平成18(行コ)7 公文書部分開示決定処分取消請求控訴事件〔原審・津地方裁判所平成16年(行ウ)第33号の5〕

裁判年月日・裁判所
平成18年6月15日 名古屋高等裁判所 情報公開
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判決文本文12,281 文字)

- 1 -主文 原判決を次のとおり変更する。 ( )被控訴人が控訴人に対して平成16年11月8日付けでした公文書 部分開示決定総務第01-98号のうち同年9月17日起案の支(),「出負担行為整理兼支出命令書」添付の旅費請求内訳書につき「用務先」欄の「施設名」及び「市区町村」並びに「宿泊先」欄の「市区町村」の一部を非開示とした部分(ただし,平成16年6月1日から同年7月31日までのもの)を取り消す。 ( )控訴人のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを2分し,その1を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴人( )原判決を取り消す。 ( )被控訴人は,控訴人に対し,平成16年11月8日付け公文書部分開示 決定通知書(総務第01-98号)でした公文書部分開示決定のうち,同通知書の「開示しない部分」で「2総務局税務調査プロジェクトに係る支出負担行為兼支出命令書の一部」と記載した部分〔平成16年9月17日支出命令起案の「支出負担行為整理兼支出命令書」添付の旅費請求内訳書の非開示部分(用務先」欄の「施設名」及び「市区町村「宿泊先」欄の「市区町「」,村」並びに「摘要」欄及び「特別承認事項」欄の一部〕の非開示処分を取)り消す。 ( )訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 被控訴人( )本件控訴を棄却する。 - 2 -( )控訴費用は控訴人の負担とする。 第2事案の概要 本件は,控訴人が,三重県情報公開条例(本件条例)に基づき平成16年10月27日に行った公文書開示請求(本件開示請求)について,被控訴人が同(,)年11月8日付けでした公文書部分開示決定総務第01 は,控訴人が,三重県情報公開条例(本件条例)に基づき平成16年10月27日に行った公文書開示請求(本件開示請求)について,被控訴人が同(,)年11月8日付けでした公文書部分開示決定総務第01-98号本件決定につき,その一部の取消しを求めた事案である。 控訴人が取消しを求める非開示情報は,平成16年9月17日起案の「支出負担行為整理兼支出命令書(本件文書)添付の旅費請求内訳書(本件旅費請」求内訳書)のうち「用務先」欄の「施設名」及び「市区町村「宿泊先」欄」,の「市区町村」並びに「摘要」欄及び「特別承認事項」欄の各一部(ただし,,),平成16年6月1日から同年7月31日までのもの本件非開示部分であり同部分についての被控訴人の非開示理由は,本件条例7条4号の「公共安全情報(公共安全情報)及び同6号の「事務事業情報(事務事業情報)に該当」」するというものである。 控訴人が主張する取消事由は,①本件非開示部分を非開示とすることは,旅,(,)費食糧費等に関する開示基準規則三重県規則第57号本件旅費開示規則に違反する、②本件非開示部分は,上記公共安全情報又は事務事業情報のいずれにも該当しない,③本件決定の際の理由付記に不備があるというものであるところ,原審は,①について,本件非開示部分は犯則事件の調査に関わり,公共の安全と秩序の維持という極めて重大な利益に支障を及ぼすもので,このような場合にまで,本件旅費開示規則3条の規定が,本件条例7条所定の非開示情報に該当する場合でも一律に実施機関たる被控訴人に開示を義務づけているものと解釈することは相当でないなどとし,②について,本件非開示部分は,同条4号の公共安全情報及び同条6号の事務事業情報のいずれにも該当するとし,③について,本件決定の際の理由付記に不備はないというべ のと解釈することは相当でないなどとし,②について,本件非開示部分は,同条4号の公共安全情報及び同条6号の事務事業情報のいずれにも該当するとし,③について,本件決定の際の理由付記に不備はないというべきであるとして,控訴人の主張する取消事由をいずれも排斥し,控訴人の請求を棄却したた- 3 -め,控訴人がこれを不服として控訴した。 前提となる事実は,原判決「事実及び理由」の「第2事案の概要」1のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決3頁14行目の次に改行して,以下を加える。 「公益上の理由による裁量的開示)(第10条実施機関は,開示請求に係る公文書に非開示情報(第7条第1号に該当する情報を除く)が記録されている場合であっても,公益上特に必要。 があると認めるときは,開示請求者に対し,当該公文書を開示することができる」。 争点及び争点に関する当事者の主張は,当審における主張も加えて次項のように改めるほかは,原判決「事実及び理由」の「第2事案の概要」2のとおりであるから,これを引用する。 原判決6頁20行目の次に改行して以下を加え,21行目の「イ」を「ウ」に改める。 「イ本件旅費開示規則は,三重県職員のカラ出張による旅費等の不正支出を根絶することを目的として制定されたものであり,実施機関の長としての三重県知事が,高度の行政的判断の結果として,旅費支出に関する公文書(復命書を除く)を全面的に開示することにより上記目的を達成する公。 益上の利益の方が,これを非開示にすることの公益上の利益に優先するとして,本件条例10条の公益上の理由による開示裁量権(すなわち,本件条例7条2号以下のいずれかに該当する非開示情報であっても,公益上特に必要と認めるときはこれを開示できるとしていること)を行使して,。 上記公文書の全面 公益上の理由による開示裁量権(すなわち,本件条例7条2号以下のいずれかに該当する非開示情報であっても,公益上特に必要と認めるときはこれを開示できるとしていること)を行使して,。 上記公文書の全面開示を義務づけたものである。すなわち,本件旅費開示規則は,本件条例10条の公益上の理由による開示裁量権を具体的に規定したものである。 したがって,被控訴人が本件非開示部分を開示しなかったことは,本件- 4 -旅費開示規則に違反し違法である。 なお,原判決のように,本件非開示部分を開示することが極めて重大な利益に支障を及ぼすとして,本件条例7条所定の非開示情報に該当する場合でも,本件旅費開示規則3条の規定が一律に実施機関たる被控訴人に開示を義務づけているものと解釈することは相当でないと解することは,本件条例10条で認められている裁量権に基づき三重県知事が行った高度な行政的判断(本件旅費開示規則の制定)に不当に介入するものであり,憲法の基本原理である三権分立に違背するものである」。 原判決7頁4行目の「ウ」を「エ」に改め,22行目の次に改行して以下を加え,23行目の「イ」を「ウ」に,25行目の「ウ」を「エ」にそれぞれ改める。 「イ本件旅費開示規則は,旅費等の支出の透明性を確保することを目的として制定されたものであるが,本件条例7条は,行政の透明性の確保とは別の保護されるべき利益を勘案して各号に掲げる非開示情報を定めているものであり,非開示情報に該当する情報の取扱いについて行政の自由裁量を認める趣旨の規定ではない。 ところで,本件非開示部分は犯則事件の調査に関わるものであり,同部分を開示することにより,犯罪の予防,捜査の遂行という公共の安全と秩序の維持,すなわち「極めて重大な利益」に支障を及ぼすことは明らかであるところ,本件旅費開示規則3 件の調査に関わるものであり,同部分を開示することにより,犯罪の予防,捜査の遂行という公共の安全と秩序の維持,すなわち「極めて重大な利益」に支障を及ぼすことは明らかであるところ,本件旅費開示規則3条の規定が,本件のように「極めて重大な利益」に支障を及ぼす場合まで,一律に開示を義務づけているものと解することはできない」。 原判決9頁1行目の「そして」の次に「本件プロジェクトの職員が実施す,る内偵調査を含めた軽油引取税の調査用務における出張は,不正軽油密造施設が存する特定の箇所を主体としたものになるところ」を加え,13行目から,14行目にかけての公共安全情報についてはを本件条例7条4号は支「」「,「- 5 -障を及ぼすおそれがあると実施機関(行政機関の長)が認めることにつき相当の理由がある情報」と規定されていることから,本号に規定する情報に該当す」,。 るか否かの判断に当たってはに改め21行目の次に改行して以下を加える「(ウ)控訴人は,本件決定がなされた時点では,本件プロジェクトの職員による犯則事件(不正軽油の密造による軽油引取税の脱税事件)の調査は終了していると推認され,犯則嫌疑者は逮捕されているから,本件非開示部分の開示について「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあ,ると実施機関が認めることにつき相当の理由がある」とはいえないと主張する。 しかし,本件決定がなされた時点において,当該出張の目的である犯則事件に係る調査が終了しているとは必ずしもいえない。すなわち,不正軽油密造事犯は証拠を把握しがたく,継続的に内偵調査を実施して,確実な証拠の収集により犯則嫌疑事実を把握することを要するが,これらの調査が一定の期間は,専ら一つの犯則嫌疑者のみを調査対象としているとは必ずしも言い得ず,同時に別件 ,継続的に内偵調査を実施して,確実な証拠の収集により犯則嫌疑事実を把握することを要するが,これらの調査が一定の期間は,専ら一つの犯則嫌疑者のみを調査対象としているとは必ずしも言い得ず,同時に別件の調査先に対して内偵調査を実施していることは十分にあり得るのであり,また,これらの調査は公訴時効が完成する。 ,,まで実施され得るのであるしたがって控訴人の推論には合理性がなく被控訴人が本件非開示部分を本件条例7条4号の公共安全情報に該当するとして開示しなかったことには相当の理由がある。 また,本件プロジェクトの職員の出張等の動向は,それ自体が犯則嫌疑者等にとっては有意な情報であり,その時点のみならず,将来においても実質的な秘密性を有するのは明らかである。 さらに,本件非開示部分は,軽油引取税に関する犯則事件の調査対象先に関する情報であり,これを開示すると,三重県が行う検査及び取締に係る事務に関し,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれがあるから,- 6 -事務事業の遂行に重大な支障を及ぼすといえる。したがって,本件非開示部分が本件条例7条6号の事務事業情報に該当することは明らかであり,このことは,県下の特定の箇所において犯則事件があったことが報道されていたとしても変わるものではない」。 原判決10頁9行目の次に改行して以下を加える。 「なお,控訴人は,本件非開示部分について,本件条例10条の公益上の理由による裁量的開示をすべきであると主張するが,本件非開示部分を開示することの公益性が,開示しないことによって保護される公益性を上回るとはいえないから,本件非開示部分について本件条例10条を適用することはできない」。 原判決10頁18行目の次に改行して以下を することの公益性が,開示しないことによって保護される公益性を上回るとはいえないから,本件非開示部分について本件条例10条を適用することはできない」。 原判決10頁18行目の次に改行して以下を加える。 「ウ本件条例7条4号の「相当の理由がある」とは「その判断の基礎とさ,れた重要な事実に誤認があること等により右判断が全く事実の基礎を欠くかどうか,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により右判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかかどうか」によって判断されるものであるところ(情報公開制度規程集・解釈運用,乙1,)本件開示請求がなされたのは,本件プロジェクトの職員が本件非開示部分に係る出張をしてから相当期間経過後であり,当該犯則事件の調査は既に終了しているものと推認され,また,犯則嫌疑者は本件開示請求前に逮捕されているのであるから,本件決定がなされた時点では,本件非開示部分を開示しても「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ」がある,。 ,「」,とはいえないしたがって被控訴人の相当の理由があるとの判断は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるから,本件非開示部分は本件条例7条4号には該当しない。 また,本件条例7条6号についても,同条項の「支障」は名目的なものでは足りず,実質的なものであることが必要であり「おそれ」も抽象的,- 7 -な可能性では足りず,法的保護に値する程度の蓋然性が要求されるところ(情報公開制度規程集・解釈運用,乙1,被控訴人は,本件において,)実質的な支障や法的保護に値する程度の蓋然性のあるおそれを主張,立証していないから,本件非開示部分は本件条例7条6号にも該当しない。 ,,エ仮に本件非開示部分が本件条例7条4号及び6号に該当するとしても旅 法的保護に値する程度の蓋然性のあるおそれを主張,立証していないから,本件非開示部分は本件条例7条6号にも該当しない。 ,,エ仮に本件非開示部分が本件条例7条4号及び6号に該当するとしても旅費等の不正支出を予防する公益の方が,本件非開示部分を開示することによって損なわれる犯罪予防公益を上回ると解するのが社会通念であるか,,。」ら本件非開示部分は本件条例10条により開示されなければならない第3当裁判所の判断 当裁判所は,本件決定は本件旅費開示規則に違反しないし,理由付記に不備があるともいえず,本件非開示部分のうち「摘要」欄及び「特別承認事項」,欄の一部は本件条例7条4号及び6号のいずれにも該当するところ,同10条の適用はなく,非開示とすることが相当であるが「用務先」欄の「施設名」,及び「市区町村」並びに「宿泊先」欄の「市区町村」の一部を非開示とした部分は,本件条例7条4号にも同6号にも該当せず,これらを非開示とした処分は違法であると判断するその理由は以下のように改めるほかは原判決事。 ,,「実及び理由」の「第3当裁判所の判断」1ないし3のとおりであるから,これを引用する。 原判決13頁5行目の「必要がある」の次に「このことは,議会は地方公。 共団体の意思決定機関であり,知事は議会が意思決定した事項について管理執,,,行する立場にあるところ条例は議会の決議によって定められたものであり規則は,知事がこれを管理執行するために事務処理の基準を定めたものであることからも明らかである」を加える。 。 ,「」「」 原判決14頁11行目の次に改行して以下を加え12行目のウをエに改める。 「ウ控訴人は,本件旅費開示規則は,実施機関の長としての三重県知事が,- 8 -高度の行政的判断の結果 「」 原判決14頁11行目の次に改行して以下を加え12行目のウをエに改める。 「ウ控訴人は,本件旅費開示規則は,実施機関の長としての三重県知事が,- 8 -高度の行政的判断の結果として,旅費支出に関する公文書(復命書を除く)を全面的に開示することによる公益上の利益の方が,これを非開示。 にすることの公益上の利益に優先するとして,本件条例10条の公益上の理由による開示裁量権を行使して,上記公文書の全面開示を義務づけたものであると主張する。 ところで,本件条例7条各号は,その規定自体から,開示することの公益を斟酌することとされているので,このような利益衡量の結果,非開示による利益が開示による利益に優越すると判断されたものを,実施機関が恣意的に開示することは許されないというべきである。しかし,同条号の判断自体においては,非開示とすることの必要性が認められる場合であっても,個々の事例における特殊な事情によっては,開示による利益が非開示による利益に優越すると認められる場合があり得るから,実施機関の高度な行政的判断により裁量的開示を行う余地を残しておくべきであるとして定められたのが,本件条例10条の実施機関による裁量的開示の規定であると解される。すなわち,本件条例10条は,同7条各号に該当する場合であっても,個々の事例ごとに,その具体的な事情により,公益上特に必要があると認められるときは,これを開示することができる旨規定したものであるから,そのような個別的な利益衡量をすることなく,旅費支出に関する公文書(復命書を除く)については一律に全面開示することを。 定めた本件旅費開示規則3条が,本件条例10条を根拠にするものでないことは明らかである。 したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 また,上記のとおり,本件旅費開示規則は本 全面開示することを。 定めた本件旅費開示規則3条が,本件条例10条を根拠にするものでないことは明らかである。 したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 また,上記のとおり,本件旅費開示規則は本件条例10条に基づいて制定されたものではないから,本件条例7条各号と本件旅費開示規則との関係についての解釈(原判決引用部分)が,三重県知事が行った高度な行政的判断に不当に介入するものであり,三権分立に違背するとの控訴人の主- 9 -張も理由がない」。 「,」「,」 原判決15頁22行目のこれに対しから23行目の立証はないからまでを「上記認定事実に反する甲9号証,10号証は乙12号証,13号証に照らしてたやすく信用できないし,甲8号証の1,2も上記認定を覆すに足りないから」に改める。 , 原判決16頁1行目の「乙2ない6」を「乙2ないし6」に改め,16行目から17頁の24行目までを以下のように改める。 「( )本件非開示部分の公共安全情報該当性 ア本件条例7条4号は「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜,査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」については,公共の安全と秩序維持が行政に課せられた重要な責務であることから,これを非開示情報として定めているところ,本件プロジェクトに係る調査は,犯罪の予防・捜査と関連し刑事司法手続に準ずるものであるから,同調査に関する情報であって公にすることにより公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるものは,同条号に定める公共安全情報に含まれるものと解される。 そして,公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれの有無を判断す,,,るに当たっては犯罪等に関する専門的技術的な知識を それがあるものは,同条号に定める公共安全情報に含まれるものと解される。 そして,公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれの有無を判断す,,,るに当たっては犯罪等に関する専門的技術的な知識を必要とするため,,同条号該当性については実施機関が裁量権を有しているところ裁判所が非開示情報について,同条号にいう上記支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報か否かを判断するに際しては,実施機関によって判断の基礎とされた重要な事実に誤認があることなどにより右判断が事実の基礎を欠くかどうか,又は事実に対する評価が合理性を欠くことなどにより右判断が社会通念に照らし妥当性を欠くことが明らかかどうかとの基準によるのが相当である。 - 10 -イ本件非開示部分のうち「用務先」欄の「施設名」及び「市区町村」並,びに「宿泊先」欄の「市区町村」の一部について(ア)前記(原判決)のとおり,本件非開示部分のうち「用務先」欄の,「施設名」及び「市区町村」は,本件プロジェクトの職員が不正軽油の密造による軽油取引税の脱税事件の調査のために赴いた用務先の施設名とその所在地である市区町村名を記載したものであり「宿泊先」欄の,「市区町村」は,上記職員がその際に宿泊した場所の市区町村名を記載したものであるところ,証拠(甲22,23,乙11)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ①三重県が平成16年中に軽油の密造に係る地方税法違反で検挙した事件数は7件であるところ,その主要な検挙事例2件のうち,1件は同年2月までに犯則嫌疑者が逮捕されており,残る1件(同年6月から7月までの間の犯則行為に係る事件,以下「甲事件」という)は。 同年10月に犯則嫌疑者が逮捕されている(乙11)。 ②三重県警生活環境課,久居署及び名 疑者が逮捕されており,残る1件(同年6月から7月までの間の犯則行為に係る事件,以下「甲事件」という)は。 同年10月に犯則嫌疑者が逮捕されている(乙11)。 ②三重県警生活環境課,久居署及び名張署の合同捜査により,平成16年春ころから名張市の工場跡地で軽油の密造をしていた業者2名,,。()が同年7月26日廃棄物処理法違反容疑で逮捕された甲22③三重県は,平成16年10月30日,甲事件について,同年8月27日に強制捜査を実施し,同年10月13日に犯則嫌疑者2名を逮捕し,同月29日に同人らを津地方検察庁に告発したことを県のホームページに掲載した(甲23)。 (イ)上記認定事実によれば,控訴人が開示を求めている期間中(平成16年6月1日から同年7月31日まで)に,本件プロジェクトの職員が調査していた犯則事件は,甲事件であったと推認されるところ,本件決定がなされた時点(同年11月8日)においては,同事件は犯則嫌疑者,。 が逮捕され告発済みでその調査は既に終了していたものと推認される- 11 -なお,被控訴人は,本件プロジェクトの職員による犯則事件の調査は複数の事件を並行して行うこともあり得るから,控訴人が開示を求めている期間中の調査(以下「本件調査」という)が,本件決定時点で終了。 しているとは必ずしもいえない旨主張するが,被控訴人は本件調査の対象である犯則事件を知悉しているのであるから,本件決定時において捜査継続中あるいは捜査保留中の事件があるのであれば,その旨主張,立証することが可能であるにもかかわらず,それをしていないのであるから,被控訴人の上記主張は採用できないというべきである(なお,本件決定が適法であることの立証責任が被控訴人にあることからすれば,被控訴人に本件調査が終了していないことの立証責任がある ないのであるから,被控訴人の上記主張は採用できないというべきである(なお,本件決定が適法であることの立証責任が被控訴人にあることからすれば,被控訴人に本件調査が終了していないことの立証責任があるというべきである。 。),,「」「」「」(ウ)ところで被控訴人は用務先欄の施設名及び市区町村並びに「宿泊先」欄の「市区町村」を開示すれば,犯則事件にかかる調査先が推知され,その結果,調査対象となっている者らによる隠ぺい工作等により,密造行為の潜在化,巧妙化等の防衛措置が講じられるおそれがあると主張するが,上記のとおり,本件においては,本件調査の対,,象である犯則事件の嫌疑者は本件決定時において既に逮捕されており本件調査は終了していると推認されるのであるから,被控訴人が主張するようなおそれはないというべきである。また,被控訴人は,調査の対象となっていない者らが,調査の対象となっていないことを知って軽油の密造行為をさらに拡大したり,新たな行為が企図されたりするおそれもあると主張する。確かに,そのような抽象的なおそれがないとは断定できないが,これをもって,直ちに公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由があるとまで認めることはできない。さらに,被控訴人は,本件プロジェクトの職員の出張等の動向は,それ自体が犯則嫌疑者等にとっては有意な情報で- 12 -あり,その時点のみならず,将来においても実質的な秘密性を有するのは明らかであると主張するが,上記出張等の動向が,将来においても実質的な秘密性を有することについての具体的な主張はなく,その根拠は必ずしも明らかではなく,上記主張も採用できない。 (エ)そうすると,結局,被控訴人は,調査対象となっている者らによる隠ぺい工作 実質的な秘密性を有することについての具体的な主張はなく,その根拠は必ずしも明らかではなく,上記主張も採用できない。 (エ)そうすると,結局,被控訴人は,調査対象となっている者らによる隠ぺい工作等のおそれを主たる理由にして「用務先」欄の「施設名」,及び「市区町村」並びに「宿泊先」欄の「市区町村」を非開示にしたと,,,思料されるところ上記のとおりそれらのおそれは認められないから上記部分を開示することにより,公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由があるとはいえず,上記非開示情報は本件条例7条4号の公共安全情報には該当しないというべきである。 ウ本件非開示部分のうち「摘要」欄及び「特別承認事項」欄の一部につ,いて前記(原判決)のとおり,本件非開示部分のうち「摘要」欄及び「特,別承認事項」欄には,特別承認事項として,本件プロジェクトにおける内偵調査等の手法,体制が記載されているところ,これらの情報は,その性質上,本件調査が終了していても,これを開示すれば,将来において別の犯則事件の内偵調査等に影響を及ぼし,あるいは著しい支障をもたらすおそれがあるといえる。したがって,本件条例7条4号に該当するとした被控訴人の判断は,本件旅費開示規則の存在を考慮しても,裁量権の範囲内にあると認めるのが相当である。 ( )本件非開示部分の事務事業情報該当性 ア本件条例7条6号は,取締り等に係る事務に関し,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれがある情報について,非開示とすることができる- 13 -旨規定しているところ,本件調査は取締り等に係る事務に該当するから,上記のおそれが存在すれば,同条号の事務事業情報に該当するとい にするおそれがある情報について,非開示とすることができる- 13 -旨規定しているところ,本件調査は取締り等に係る事務に該当するから,上記のおそれが存在すれば,同条号の事務事業情報に該当するといえる。 そして,上記の正確な事実の把握を困難にするおそれ等については,控訴人が主張するとおり,抽象的な可能性では足りず,法的保護に値する程度の蓋然性が要求されるものと解される。 イ本件非開示部分のうち「用務先」欄の「施設名」及び「市区町村」並,びに「宿泊先」欄の「市区町村」の一部について前記のとおり,本件調査は本件決定時において既に終了しているものと推認されるのであるから,上記の非開示部分を開示しても,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれがあるとは認められない。 したがって,上記の非開示部分は,本件条例7条6号の事務事業情報には該当しないというべきである。 ウ本件非開示部分のうち「摘要」欄及び「特別承認事項」欄の一部につ,いて,,,上記非開示部分については前記のとおり本件調査終了後であってもこれを開示することにより,将来において別の犯則事件の内偵調査等に著しい支障をもたらすおそれがあるといえるところ,このおそれは法的保護に値する程度の蓋然性を有するものと認められる。したがって,上記非開示部分は,本件旅費開示規則の存在を考慮しても,本件条例7条6号の事務事業情報に該当するというべきである。 ( )本件条例10条の公益上の理由による裁量的開示について ア本件非開示部分のうち「用務先」欄の「施設名」及び「市区町村」並,びに「宿泊先」欄の「市区町村」は,前記のとおり,本件条例7条4号及び6号のいずれにも該当しないから,本件条例10条の公益上の理由による裁量的 分のうち「用務先」欄の「施設名」及び「市区町村」並,びに「宿泊先」欄の「市区町村」は,前記のとおり,本件条例7条4号及び6号のいずれにも該当しないから,本件条例10条の公益上の理由による裁量的開示について判断するまでもなく,その非開示処分は取消しを免- 14 -れない。 イ本件非開示部分のうち「摘要」欄及び「特別承認事項」欄の一部につ,いては,前記した記載内容等に照らし,これを開示することによって損なわれる法益(犯則事件の調査における支障)の方が,これを開示することによって得られる法益(旅費等の不正支出の防止)を上回るものと認められるから,上記非開示部分を開示することが公益上特に必要であるとは認められない。 したがって,上記非開示部分については,本件条例10条を適用してこれを開示すべきものということはできない」。 原判決18頁21行目の「詳細」を「特定」に,24行目の「了知可能であるから」を「了知可能であるし,非開示理由も記載自体から理解され得る程,度に記載されているといえるから」にそれぞれ改める。 ,,,,「」 以上によれば控訴人の本件請求は本件旅費請求内訳書のうち用務先欄の「施設名」及び「市区町村」並びに「宿泊先」欄の「市区町村」の一部を非開示とした部分(ただし,本件開示請求は,平成16年6月1日から同年7,。)月31日までの文書の公開を求めるものであるから同期間中のものに限るの取消しを求める限度で理由があるが,その余は理由がなく,これと結論を異にする原判決は相当でないから,本件控訴はその限度で理由がある。 よって,原判決を変更し,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第1部裁判長裁判官田中由子- 15 -裁判官林道春裁判官山崎秀尚 ある。 よって、原判決を変更し、主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第1部裁判長裁判官田中由子 裁判官林道春 裁判官山崎秀尚

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