令和2(ワ)14093 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年11月30日 東京地方裁判所
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判決文本文40,006 文字)

令和3年11月30日判決言渡し同日原本交付裁判所書記官令和2年(ワ)第14093号損害賠償等請求事件口頭弁論の終結の日令和3年9月7日判決 主文 1 被告Aは,原告に対し,88万円及びこれに対する令和2年5月16日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 被告Bは,原告に対し,11万円及びこれに対する令和2年7月19日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 3 被告Cは,原告に対し,11万円及びこれに対する令和2年7月19日から 支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 4 原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,原告に生じた費用の10分の6と被告Aに生じた費用との合計の20分の17を原告の,20分の3を被告Aの各負担とし,原告に生じた費用の10分の2と被告Bに生じた費用との合計の10分の9を原告の,10分 の1を被告Bの各負担とし,原告に生じた費用の10分の2と被告Cに生じた費用との合計の10分の9を原告の,10分の1を被告Cの各負担とする。 6 この判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告Aは,原告に対し,550万円及びこれに対する令和2年5月16日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 被告Aは,別紙「謝罪広告の内容」記載1及び2の謝罪広告を,同別紙記載3及び4の条件で掲載せよ。 3 被告Bは,原告に対し,110万円及びこれに対する令和2年7月19日から 支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 び2の謝罪広告を,同別紙記載3及び4の条件で掲載せよ。 3 被告Bは,原告に対し,110万円及びこれに対する令和2年7月19日から 支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 4 被告Cは,原告に対し,110万円及びこれに対する令和2年7月19日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,ソーシャルネットワーキングサービスのTwitter(以下「ツイッター」という。)における被告Aの別紙1ないし5の各投稿,被告Bの 別紙6の投稿及び被告Cの別紙7の投稿が原告の名誉を毀損したなどと主張して,被告Aに対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,550万円の損害賠償及びこれに対する令和2年5月16日(最終の不法行為の日の後の日)から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,民法723条所定の名誉を回復するのに適当な処分として,別紙「謝罪広告 の内容」記載1及び2の謝罪広告を掲載することを求め,被告B及び被告Cに対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,各110万円の損害賠償及びこれに対する令和2年7月19日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3分の割合による各遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。 1 前提事実(以下の各事実は,当事者間に争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全 趣旨により容易に認めることができる。)⑴ 当事者ア原告は,平成元年生まれのフリーランスのジャーナリストである。 イ被告Aは,「A」のペンネームで活動する漫画家である。 また,被告Aは,ツイッターにおいて「@A29430098」のアカウ ントを使用していたところ,同アカウントのプロフィール欄に 被告Aは,「A」のペンネームで活動する漫画家である。 また,被告Aは,ツイッターにおいて「@A29430098」のアカウ ントを使用していたところ,同アカウントのプロフィール欄には「双極性障害。元看護師。」などの記載がある。同アカウントのフォロワー数は,令和2年5月27日現在で約4万3000人であった。 (甲36,乙イ16)ウ被告Bは漫画家である。 被告Bのツイッターのアカウント(@nqh56495)のプロフィール 欄には,「ツイッターは沖縄を中国から守りたい一心で始めました。そのため漫画より政治・国際問題が主題となります。ご了承ください。あと極左のしつこい人はブロックします。あしからず。」と記載されている。 (甲19,乙ロ4)エ被告Cは,ツイッターによる投稿を行っており,そのツイッターのアカウ ント(@ikari2921)のプロフィール欄には,「右よりで内向的なおっさんです(ネトウヨじゃないお!)。競馬/サイエンス/医療/歴史/政治/都市伝説/ガルパン/ガンダム講談医療ネタ少なめエロネタあり18禁」と記載されている。 (甲22,乙ハ3) ⑵ 原告による性被害の告訴をめぐる事情ア原告は,平成27年4月30日,警視庁高輪警察署の司法警察員に対し,当時株式会社TBSテレビの社員でワシントン支局長であったDが,同月3日から4日にかけて,原告が意識を失い抗拒不能状態にあるのに乗じて,原告をホテルに連れ込み,原告に対して性行為を行い,原告が意識を回復して 拒絶した後も,原告の身体を押さえつけて性行為を継続しようとしたこと(以下,原告が主張するDによる上記一連の行為を「本件性被害」という。)などを訴え,告訴状を提出した。 (弁論の て 拒絶した後も,原告の身体を押さえつけて性行為を継続しようとしたこと(以下,原告が主張するDによる上記一連の行為を「本件性被害」という。)などを訴え,告訴状を提出した。 (弁論の全趣旨)イ東京地方検察庁は,平成28年7月22日,本件性被害に係るDに対する 準強姦被疑事件について,不起訴処分(以下「本件処分」という。)をした。 原告は,本件処分を不服とし,平成29年5月29日,検察審査会に対して審査を申し立てた。しかし,検察審査会は,同年9月21日,本件処分が相当であるとの議決(以下「本件議決」という。)をした。 (弁論の全趣旨) ウ原告は,平成29年5月29日,司法記者クラブでの記者会見(以下「本 件会見」という。)において,顔と実名を明らかにした上で,本件性被害等について訴えた。 (弁論の全趣旨)エ原告は,平成29年9月28日,東京地方裁判所に対し,Dを被告として,本件性被害を理由とする損害賠償請求事件(当庁平成29年(ワ)第330 44号。以下「別件訴訟」という。)を提起した。 (弁論の全趣旨)オ原告は,平成29年10月20日,本件性被害の内容を含む自己の体験を綴った「BlackBox」(甲2。以下「本件著書」という。)を出版した。 カ英国放送協会(以下「BBC」という。)は,平成30年6月28日,原告を取材したドキュメンタリー(タイトルは,「Japan’sSecretShame(日本の秘められた恥)」である。以下「本件ドキュメンタリー」という。)を放送した。 本件ドキュメンタリーは,原告が本件性被害について詳細に述べるほか, Dの反論等の紹介もするものだった。 (甲12)キ Dは,平成31年2月, ュメンタリー」という。)を放送した。 本件ドキュメンタリーは,原告が本件性被害について詳細に述べるほか, Dの反論等の紹介もするものだった。 (甲12)キ Dは,平成31年2月,別件訴訟において,原告による本件会見及び本件著書の公表等により名誉を毀損されたなどと主張して反訴(平成31年(ワ)第2458号)を提起した。 (甲1)ク東京地方裁判所は,令和元年12月18日,別件訴訟における原告の本訴請求については,Dに対して330万円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じる旨の(一部認容),Dの上記反訴請求については棄却する旨の判決(以下「別件判決」という。)を言い渡した。 (甲1) ⑶ 被告らのツイッターにおける各投稿等ア被告Aは,平成29年6月4日,ツイッターで別紙1の投稿(甲8。以下「本件ツイート1」という。)をした。 (甲8)イ被告Aは,平成30年2月20日,ツイッターで別紙2の投稿(甲9。以 下「本件ツイート2」という。)をした。 (甲9)ウ被告Aは,平成30年2月23日,ツイッターで別紙3の投稿(甲10。 以下「本件ツイート3」という。)をした。本件ツイート3には,別紙3-1のイラスト(以下「本件イラスト3-1」という。)が添付されている。 (甲10)エ被告Bは,平成30年9月29日,ツイッターで別紙6の投稿(甲20。 本件ツイート3のリツイート。以下「被告Bリツイート」という。)をした。 被告Bは,被告Bリツイートを投稿した際,コメントを付さなかった。 (甲20,21の1及び2) オ被告Aは,令和元年12月19日,ツイッターで別紙4の投稿(甲11。 以下「本件ツイート4」という。)をした。 本件ツイート4には,別紙4-1のイラ た。 (甲20,21の1及び2) オ被告Aは,令和元年12月19日,ツイッターで別紙4の投稿(甲11。 以下「本件ツイート4」という。)をした。 本件ツイート4には,別紙4-1のイラスト(以下「本件イラスト4-1」という。),別紙4-2のイラスト(以下「本件イラスト4-2」という。),別紙4-3のイラスト(以下「本件イラスト4-3」という。)及び 別紙4-4のイラスト(以下「本件イラスト4-4」という。)が添付されている。 本件イラスト4-1は,本件イラスト3-1と同じものである。 また,本件イラスト3-1(同4-1)及び本件イラスト4-2ないし4-4の各女性は,同一人物である。 本件イラスト4-2の男性は,文筆家のEがモデルであり,Eが手にし ている書籍は,Eの著書「私の戦争犯罪」がモデルである。Eは,1980年代に,太平洋戦争中に軍の命令により朝鮮で若い女性を慰安婦にするために自身が強制連行したと証言し,同内容の著書を出したが,1990年代になって,Eの証言等は,真実でないことが明らかになった。 (甲11) カ被告Aは,令和元年12月21日,ツイッターで別紙5の投稿(甲13。 以下「本件ツイート5」といい,本件ツイート1ないし4と併せて「本件各ツイート」という。)をした。 本件ツイート5には,別紙5-1のイラスト(以下「本件イラスト5-1」といい,本件イラスト3-1及び4-1ないし4-4と併せて「本件各イラ スト」という。)が添付されている。 (甲13)キ被告Cは,令和2年1月20日,ツイッターで別紙7の投稿(甲23。本件ツイート4のリツイート。以下「被告Cリツイート」という。)をした。 被告Cは,被告Cリツイートを投稿した際,コメントを付さなかった。 ,令和2年1月20日,ツイッターで別紙7の投稿(甲23。本件ツイート4のリツイート。以下「被告Cリツイート」という。)をした。 被告Cは,被告Cリツイートを投稿した際,コメントを付さなかった。 (甲23,24の1及び2)⑷ 本件各ツイート後の被告Aのアカウントに関する事情ア本件ツイート4は,令和2年6月下旬頃,ツイッターの規約違反を理由に削除された。 (甲30の1ないし3) イ被告Aのツイッターのアカウント(@A29430098)は,令和2年10月18日頃,ツイッターの規約違反を理由に凍結された。 (甲40) 2 争点⑴ 被告A関係 ア本件各ツイートにおける事実の摘示及びこれによる原告の社会的評価の 低下の有無並びに原告の名誉感情の侵害の有無(争点⑴ア)イ本件各ツイートに係る違法性阻却事由の有無(争点⑴イ)ウ損害額(争点⑴ウ)エ謝罪広告掲載請求の当否(争点⑴エ)⑵ 被告B関係 ア被告Bリツイートにおける事実の摘示及びこれによる原告の社会的評価の低下の有無並びに原告の名誉感情の侵害の有無(争点⑵ア)イ損害額(争点⑵イ)⑶ 被告C関係ア被告Cリツイートにおける事実の摘示及びこれによる原告の社会的評価 の低下の有無並びに原告の名誉感情の侵害の有無(争点⑶ア)イ被告Cリツイートに係る違法性阻却事由の有無(争点⑶イ)ウ損害額(争点⑶ウ) 3 争点に関する当事者の主張⑴ 被告A関係 ア本件各ツイートにおける事実の摘示及びこれによる原告の社会的評価の低下の有無並びに原告の名誉感情の侵害の有無(争点⑴ア)(原告の主張) ⑴ 被告A関係 ア本件各ツイートにおける事実の摘示及びこれによる原告の社会的評価の低下の有無並びに原告の名誉感情の侵害の有無(争点⑴ア)(原告の主張) 本件ツイート1について本件ツイート1が,その文言に加え,原告と被告Aの写真を並べて掲載 し,瞳の形状以外に原告と被告Aの共通点を指摘していないことからすれば,本件ツイート1が原告が被告Aと同様に精神疾患を患っているとの事実を摘示するものであり,かかる事実は,社会的評価を著しく低下させる。 なお,本件ツイート1の投稿の6日前に,原告が検察審査会への申立てと同時に本件会見を行ったことも考慮すると,被告Aは,原告が上記申立 て及び本件会見で述べた内容が精神疾患を患っていることに起因する虚 偽の内容であることを示唆する目的ないし動機をもって,本件ツイート1を投稿したというべきである。 本件ツイート2についてa 事実の摘示及び社会的評価の低下本件ツイート2は,ジャーナリストを志望していた原告が,Dに対し て枕営業を行なったものの,期待に反して職を得られなかったことから,合意のもとで行われた性交渉について,Dとの性交渉から2年後にこれをレイプであると主張してDを訴えたとの事実を摘示するものであり,かかる事実は,原告の社会的評価を著しく低下させる。 b 名誉感情の侵害 「枕営業」,虚偽の「レイプ被害者」という表現は,著しく侮辱的で,原告の名誉感情を深く傷つける。 本件ツイート3についてa 本件イラスト3-1の女性と原告との同定可能性の肯定本件著書の内容や本件性被害についての報道内容に鑑みれば,原告と 面識のある者又は本件著書の読者やマスコミ報道を通じて原告の a 本件イラスト3-1の女性と原告との同定可能性の肯定本件著書の内容や本件性被害についての報道内容に鑑みれば,原告と 面識のある者又は本件著書の読者やマスコミ報道を通じて原告の属性又は経験をいくつか知る者は,本件イラスト3-1の女性を原告であると容易に同定することができる。 なお,被告Aは,本件イラスト3-1の女性のモデルがディズニーのアニメのキャラクターであって,原告ではないと主張するものの,被告 Aは,令和3年1月22日付け準備書面⑴の10,11頁において,本件イラスト3-1によって,原告とDの各主張のどちらが正しいかの問題提起をしていると主張して,本件イラスト3-1が本件性被害を題材としていること自体を認めているのであるから,被告Aの上記主張は不合理である。 b 事実の摘示及び社会的評価の低下並びに名誉感情の侵害 本件ツイート3は,イラスト形式で,本件ツイート2と同様の事実を摘示し,かかる事実は,本件ツイート2と同様に原告の社会的評価を著しく低下させる。 また,「枕営業」という表現は,原告の名誉感情を深く傷つける。 本件ツイート4について a 本件イラスト4-1について本件イラスト4-1は,本件イラスト3-1と同じであるから,前記のとおり,原告の社会的評価を低下させ,原告の名誉感情を深く傷つける。 b 本件イラスト4-2について ⒜ 本件イラスト4-2の女性と原告との同定可能性の肯定本件イラスト4-2の女性と本件イラスト3-1の女性が同一人物であることにつき,当事者双方で争いがないことから,前記aと同様に,本件イラスト4-2の女性を原告であると容易に同定することができる。 性と本件イラスト3-1の女性が同一人物であることにつき,当事者双方で争いがないことから,前記aと同様に,本件イラスト4-2の女性を原告であると容易に同定することができる。 ⒝ 事実の摘示及び社会的評価の低下並びに名誉感情の侵害本件イラスト4-2は,後に虚偽であることが明らかにされた著作を手にするEと本件著書を手にする原告のイラストを並べることで,原告が本件著書で訴えている本件性被害が虚偽で,枕営業であったにもかかわらず,金目当てで性犯罪の被害者を装っているという事実を 摘示するものであり,かかる事実が原告の社会的評価を著しく低下させることは明らかである。 また,「デッチあげ」,本件著書の帯に記載された「枕の極意ここにあり」という表現は,原告の名誉感情を深く傷つける。 c 本件イラスト4-3について ⒜ 本件イラスト4-3の女性と原告との同定可能性の肯定 本件イラスト4-3の女性と本件イラスト3-1の女性が同一人物であることにつき,当事者双方で争いがないことから,前記aと同様に,本件イラスト4-3の女性を原告であると容易に同定することができる。 ⒝ 事実の摘示及び社会的評価の低下並びに名誉感情の侵害 本件イラスト4-3は,韓国の従軍慰安婦支援運動を象徴する少女像,高齢の女性,BBCをもじった外国メディアの撮影スタッフなどと原告のイラストを並べることで,原告が本件著書で訴えている本件性被害は虚偽で,被告Aが考えるところの従軍慰安婦と同様に真実は枕営業であったにもかかわらず,事件から2年経過した後に性被害で あると申し立てて,金目当てで性犯罪の被害者を装い,外国メディアに取材させたという事実を摘示 るところの従軍慰安婦と同様に真実は枕営業であったにもかかわらず,事件から2年経過した後に性被害で あると申し立てて,金目当てで性犯罪の被害者を装い,外国メディアに取材させたという事実を摘示するものであり,かかる事実は,原告の社会的評価を著しく低下させ,かつ,原告の名誉感情を深く傷つけるものである。 d 本件イラスト4-4について ⒜ 本件イラスト4-4の女性と原告との同定可能性の肯定本件イラスト4-4の女性と本件イラスト3-1の女性が同一人物であることにつき,当事者双方で争いがないことから,前記aと同様に,本件イラスト4-4の女性を原告であると容易に同定することができる。 ⒝ 事実の摘示及び社会的評価の低下並びに名誉感情の侵害本件イラスト4-4は,原告が本件ドキュメンタリーで話した事項を取り上げながら,不可思議な箇所に句読点が多数打たれ,意味の通じない発言として記載することにより,原告が本件ドキュメンタリーで話した内容が,飲酒の影響などによる妄想であるとの事実を指摘す るものであり,かかる事実は,原告の社会的評価を著しく低下させ, かつ,原告の名誉感情を深く傷つけるものである。 本件ツイート5についてa 本件イラスト5-1の女性と原告との同定可能性の肯定本件イラスト5-1の女性と原告が酷似していること,原告が別件訴訟を提起し,BBCから取材を受けたこと,別件判決が原告の請求を一 部認容したことなどの事情を考慮すれば,原告と面識のある者又は本件著書の読者やマスコミ報道を通じて原告の属性又は経験を知る者は,本件イラスト5-1の女性を原告であると容易に同定することができる。 b 事実の摘示及び社会的評価の と面識のある者又は本件著書の読者やマスコミ報道を通じて原告の属性又は経験を知る者は,本件イラスト5-1の女性を原告であると容易に同定することができる。 b 事実の摘示及び社会的評価の低下並びに名誉感情の侵害本件イラスト5-1は,原告が,Dとの性交渉が合意に基づくもので あったにもかかわらず,これを合意のない性交渉であったかのような虚偽の事実を述べてBBCの取材を受け,BBCも原告が涙を流して語る様子が演技であると認識しているにもかかわらず性犯罪被害にあったものとしてドキュメンタリー番組を制作し,それを原告が本件性被害を立証するための証拠として提出したために裁判官が原告の主張を信じ, さらに裁判所が加害者であるDの意見を無視したため,原告が別件訴訟において,勝訴判決を得たという事実を摘示するものであり,かかる事実は,原告の社会的評価を著しく低下させる。 また,テレビカメラの前でわざと泣いて勝訴判決を引き出したという表現は,原告の名誉感情を深く傷つける。 (被告Aの主張) 本件ツイート1についてa 事実の摘示「親近感」は,単に,原告と被告Aの瞳の形状が近いことを述べたにすぎず,一般の読者(閲覧者)は,「親近感がわく」との記載を,原告 が精神疾患を患っているとの意味であると受け止めない。 b 社会的評価の低下の不存在前記aのとおり,本件ツイート1は,原告が精神疾患を患っているとの意味で受け止められないから,原告の名誉を毀損するものではない。 仮に,原告が精神疾患を患っているとの意味に読むことができたとしても,それは個人の人格とは無関係であるし,一般的に名誉を毀損する ものではない。 本件ツイート2についてa 本件ツイート2は論評であること を患っているとの意味に読むことができたとしても,それは個人の人格とは無関係であるし,一般的に名誉を毀損する ものではない。 本件ツイート2についてa 本件ツイート2は論評であること本件ツイート2は,被告Aが原告とDの見解を比較し,Dの意見が正しいと思ったため,Dの言い分を投稿したにすぎず,「と理解」と記載し ているとおり,被告が推測し考えたことを内容とする論評である。 b 社会的評価の低下の不存在一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準にすれば,本件ツイート2がDの言い分を述べたものであることは明らかであり,かかる記載は原告の名誉を毀損するものではない。 本件ツイート3についてa 本件イラスト3-1の女性と原告との同定可能性がないこと本件イラスト3-1の女性は,ディズニーのアニメである「アラジン」に出てくるジャスミンという女性のキャラクターをモデルにしたものであり,#MeToo運動やハニートラップの象徴のつもりで書いた架 空のキャラクターであって,原告ではない。 同イラストの女性は,原告とは明らかに異なる特徴を有しており,原告と似ていないことは明らかである。 b 本件イラスト3-1は意見ないし論評であること風刺とは,個人の愚行,政治の欠陥,社会の罪悪などに対する批判や 攻撃を,機知にとんだ皮肉,あざけり,当てこすりなどの形で表現した ものであることからすれば,風刺画,風刺漫画は,ある事柄に対する批判や攻撃などであり,全て作者の意見ないし論評である。 そして,本件イラスト3-1は,風刺漫画であるから,意見ないし論評である。 c 社会的評価の低下の不存在 一般の読者は,本件ツイート3を,被告AがDの主張を風刺し,原告とDのいずれの主張が正し ラスト3-1は,風刺漫画であるから,意見ないし論評である。 c 社会的評価の低下の不存在 一般の読者は,本件ツイート3を,被告AがDの主張を風刺し,原告とDのいずれの主張が正しいのかという問題提起をしていると受け止めるにすぎず,同ツイートを,原告が合意の下で行われた性交渉をレイプであると主張しているとか,ましてや本件著書の出版や別件訴訟を提起したなどと受け止めない。 本件ツイート4についてa 本件イラスト4-1について前記aと同様,本件イラスト4-1の女性を原告と同定することはできず,また,本件イラスト4-1は,前記cと同様に原告の社会的評価を低下させない。 b 本件イラスト4-2について⒜ 本件イラスト4-2の女性と原告との同定可能性がないこと前記aと同様,本件イラスト4-2の女性を原告と同定することはできない。 ⒝ 本件イラスト4-2は意見ないし論評であること 本件イラスト4-2は,風刺漫画であるから,前記bと同様,意見ないし論評である。 ⒞ 社会的評価の低下の不存在一般の読者は,同イラストを,受け取る情報の全てを鵜呑みにせず,情報は自分自身で精査しなければならないこと及び真実か否かが不 明であるにもかかわらずかわいそうな話で同情を誘い,それをビジネ スにするという手法に注意する必要があると主張するものと受け止めるにすぎない。 c 本件イラスト4-3について⒜ 本件イラスト4-3の女性と原告との同定可能性がないこと前記aと同様,本件イラスト4-3の女性を原告と同定すること はできない。 ラスト4-3について⒜ 本件イラスト4-3の女性と原告との同定可能性がないこと前記aと同様,本件イラスト4-3の女性を原告と同定すること はできない。 ⒝ 本件イラスト4-3は意見ないし論評であること本件イラスト4-3は,風刺漫画であるから,前記bと同様,意見ないし論評である。 ⒞ 社会的評価の低下の不存在 一般の読者は,同イラストを,何事においても被害を受けたのであれば,その場その時期に然るべき手段で告発又は被害届等の訴えを行えばよいのに,従軍慰安婦の問題も#Metoo運動も,何年も経ってから被害を言い出すのは不審であるし,卑怯であると主張するものと受け止めるにすぎない。 d 本件イラスト4-4について⒜ 本件イラスト4-4の女性と原告との同定可能性がないこと前記aと同様,本件イラスト4-4の女性を原告と同定することはできない。 ⒝ 本件イラスト4-4は意見ないし論評であること 本件イラスト4-4は,風刺漫画であるから,前記bと同様,意見ないし論評である。 ⒞ 社会的評価の低下の不存在一般の読者は,同イラストを,メディアは真実か否か不確かな話を事実確認せずに世界中に報道しているから,発信される情報をただ鵜 呑みにすることなく,自分自身で情報を精査してほしいと主張するも のと受け止めるにすぎない。 本件ツイート5についてa 本件イラスト5−1の女性と原告との同定可能性がないこと前記aと同様,本件イラスト5-1の女性を原告と同定することはできない。 b 本件イラスト5-1は意見ないし論評であること本件イラ 5−1の女性と原告との同定可能性がないこと前記aと同様,本件イラスト5-1の女性を原告と同定することはできない。 b 本件イラスト5-1は意見ないし論評であること本件イラスト5-1は,風刺漫画であるから,前記bと同様,意見ないし論評である。 c 社会的評価の低下の不存在一般の読者は,同イラストを,裁判官が世間の意見や風潮,裁判官個 人の感傷を判決に反映させるべきではなく,法と証拠に基づいた公平な判断をするべきであると主張するものと受け止めるにすぎない。 イ本件各ツイートに係る違法性阻却事由の有無(争点⑴イ)(被告Aの主張) 公共性及び公益目的があること 原告は,ジャーナリストであり,国内外のテレビやラジオにも出演し,国際連合の本部でスピーチをし,世界に影響力のある100人にも選出されるなど,広義の公人であり,パブリック・フィギュアである。そして,東京地方検察庁が本件処分をし,検察審査会が本件議決をするなど,原告を被害者,Dを被疑者とする刑事事件は社会的耳目を集める事件となった。 また,別件訴訟ではDが反訴を提起するなど,両者の間の民事事件も社会的耳目を集める事件となっている。また,風刺画とは,本来世間に対して問題を提起するものである。 以上の事情を踏まえれば,本件各ツイート及び本件各イラストのテーマは,公共の利害に関する事実であるから,被告Aの情報発信には公益目的 があるといえる。 真実相当性が認められること本件処分や本件議決の内容,別件訴訟においてDが反訴を提起し,合意のない性行為であったことを否定していること,本件著書の内容と客観的状況や別件訴訟での原告の態度との間に齟齬があることなどを踏まえると,被告Aが,D 決の内容,別件訴訟においてDが反訴を提起し,合意のない性行為であったことを否定していること,本件著書の内容と客観的状況や別件訴訟での原告の態度との間に齟齬があることなどを踏まえると,被告Aが,Dの主張を真実であると信じるにつき正当な理由がある。 なお,本件各ツイートないし本件各イラストは,本件ツイート5(本件イラスト5-1)を除き,別件判決の言渡しよりも前に投稿・作成されたものである。 本件ツイート2ないし5が論評であることを前提に,これらの投稿は,いずれも人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱していな い。 (原告の主張)本件ツイート1についてa 公共性の不存在原告がジャーナリストである事実,テレビやラジオに出演し,国際連 合の本部で記者会見をしたり,米国のニュース雑誌である「タイム」の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた事実及び本件性被害が公共の利害に関することは認める。 もっとも,本件各ツイートは,本件性被害の存否や原告及びDの主張を真摯に検討するものではなく,原告が本件性被害を訴えたことを契機 として,被告Aの原告に対する悪意に基づく想像をあたかも真実であるかのように摘示したにすぎないから,公共の利益に沿うものでないことは明らかである。 b 公益目的の不存在顔写真を見れば精神疾患かどうかが分かるなどの摘示事実は,あまり にも突飛で原告に対する単なる悪感情を表明したものと捉えるほかな く,本件ツイート1は,主として公益を図る目的があったとは認められない。 c 真実性及び真実相当性の不存在原告は精神疾患を患っていない。 被告Aは,本件ツイート1に先立ち,本件性被害について何ら事実を 調査しておら 公益を図る目的があったとは認められない。 c 真実性及び真実相当性の不存在原告は精神疾患を患っていない。 被告Aは,本件ツイート1に先立ち,本件性被害について何ら事実を 調査しておらず,被告Aが本件ツイート1による摘示事実を信じたことにつき相当の理由はない。 本件ツイート2,本件ツイート3及び本件イラスト4−1ないし4−3についてa 公共性の不存在 前記aに同じ。 b 公益目的の不存在本件ツイート2,本件ツイート3及び本件イラスト4−1ないし4−3は,いずれも著しく侮辱的な表現を用いており,原告に対する単なる悪感情を表明したものと捉えるほかなく,主として公益を図る目的があっ たとは認められない。 c 真実性及び真実相当性の不存在別件判決で認定されたとおり,本件ツイート2,本件ツイート3及び本件イラスト4−1ないし4−3による摘示事実は真実ではない。 被告Aは,本件ツイート2に先立ち,本件性被害について何ら事実を 調査しておらず,また,Dですら枕営業があったとは述べていないことに鑑みれば,被告Aが上記各事実を信じたことにつき相当の理由はない。 本件イラスト4−4についてa 公共性の不存在前記aに同じ。 b 公益目的の不存在 本件イラスト4−4は,著しく侮辱的な表現を用いており,原告に対する単なる悪感情を表明したものと捉えるほかなく,主として公益を図る目的があったとは認められない。 c 真実性及び真実相当性の不存在原告が本件ドキュメンタリーで述べた黒い車が頻繁に駐車していた こと及び自宅に盗聴器が仕掛けられてい して公益を図る目的があったとは認められない。 c 真実性及び真実相当性の不存在原告が本件ドキュメンタリーで述べた黒い車が頻繁に駐車していた こと及び自宅に盗聴器が仕掛けられているのではないかと疑うべき事情があったことは真実であり,本件イラスト4-4による摘示事実は真実ではない。 被告Aは,かかる事実の真偽について何ら調査しておらず,原告が本件ドキュメンタリーで述べた内容が妄想であると信じるに足る相当の 理由はない。 本件ツイート5についてa 公共性の不存在前記aに同じ。 b 公益目的の不存在 本件ツイート5は,著しく侮辱的な表現を用いており,原告に対する単なる悪感情を表明したものと捉えるほかなく,主として公益を図る目的があったとは認められない。 c 真実性及び真実相当性の不存在別件判決で認定されたとおり,原告とDの性交渉が合意に基づくもの であったことは真実ではない。また,原告が合意のない性交渉であったかのような虚偽の事実を述べてBBCの取材を受け,BBCも原告が涙を流して語る様子が演技であると認識しているにもかかわらず本件性被害が存在したとしてドキュメンタリー番組を制作したことはない。さらに,別件訴訟において,原告が本件性被害を立証するための証拠とし て同番組の映像を提出したことはなく,法廷で同映像が再生されたこと もない。 被告Aは,本件性被害や本件ドキュメンタリーの制作過程,原告が本件ドキュメンタリーを証拠として提出したか否か,法廷で映像が再生されたか否かについて何らの調査をしておらず,そのように信じるにつき相当の理由はない。 ウ損害額(争点⑴ウ)(原告の主 メンタリーを証拠として提出したか否か,法廷で映像が再生されたか否かについて何らの調査をしておらず,そのように信じるにつき相当の理由はない。 ウ損害額(争点⑴ウ)(原告の主張)原告の社会的評価の低下及び名誉感情の侵害は,本件性被害に続く二次被害(いわゆるセカンドレイプ)というべきであり,非常に深刻なものであること,本件各ツイートは,フォロワー数が4万3000人を超え,社会的影 響力のある被告Aによるものであり,拡散力や信用力が大きいこと,被告Aによる本件各ツイートが執拗であること,被告Aは投稿に際して摘示事実が真実であるか否かの調査を何らしていないこと,インターネット上の表現行為は完全に削除することが事実上不可能であることなどを考慮すると,原告は,被告Aによる不法行為により,慰謝料合計500万円(1ツイート10 0万円)及び弁護士費用相当額50万円の合計550万円の損害を被ったというべきである。 (被告Aの主張)争う。 エ謝罪広告掲載請求の当否(争点⑴エ) (原告の主張)原告に生じた名誉毀損の被害が深刻であり,その回復の必要性が極めて高いこと,被告Aは,本訴提起後も原告を揶揄するツイートを発していたり,本件各ツイート以外にも原告を誹謗,中傷するツイートを投稿しては削除することを繰り返していることから,本件各ツイートを削除しても,なお同種 の行為を繰り返す可能性が高いことなどの事情を考慮すると,原告の名誉を 回復するためには謝罪広告を掲載させることが必要かつ相当である。その掲載先は,被告Aのアカウントが令和2年10月18日頃から凍結されていることから,「Fさんの民事裁判を支える会」のホームページとすべきである。 は謝罪広告を掲載させることが必要かつ相当である。その掲載先は,被告Aのアカウントが令和2年10月18日頃から凍結されていることから,「Fさんの民事裁判を支える会」のホームページとすべきである。 (被告Aの主張)謝罪広告は,金銭賠償の例外であるから,謝罪広告が認められるためには, 謝罪広告を掲載する必要性がなければならないところ,被告Aが本件各イラストの女性を原告と誤解した左派メディアから相当な批判を浴びたことによって原告の名誉は相当程度回復したこと,本件各イラストの発表から現在まで相当な時間が経過したこと,被告Aのツイッターのアカウントは現在凍結されており,これ以上原告の損害が生じるおそれがないことなどの事情に 鑑みれば,謝罪広告を掲載する必要性は認められない。 ⑵ 被告B関係ア被告Bリツイートにおける事実の摘示及びこれによる原告の社会的評価の低下の有無並びに原告の名誉感情の侵害の有無(争点⑵ア)(原告の主張) 何らのコメントも付加せずに元ツイートをそのまま引用するリツイートは,ツイッターを利用する一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準とすれば,例えば,前後のツイートの内容から投稿者が当該リツイートをした意図が理解できるような特段の事情が認められない限り,リツイートの投稿者が,自身のフォロワーに対し,当該元ツイートの内容に賛同する意 思を示して行う表現行為と解されるべきである。 本件では,被告Bリツイートの前後のツイートに,本件ツイート3を批判的に引用した意図が読み取れるようなツイートはない。 したがって,被告Bリツイートは,被告Bが,自身のフォロワーに対して,本件ツイート3に賛同する意思を示して行う表現行為といえるから, 本件ツイート した意図が読み取れるようなツイートはない。 したがって,被告Bリツイートは,被告Bが,自身のフォロワーに対して,本件ツイート3に賛同する意思を示して行う表現行為といえるから, 本件ツイート3と同様に,原告の社会的評価を低下させるものであり,原 告の名誉感情を侵害する。 被告Bは,被告Bリツイートの時点で,本件イラスト3-1の女性のモデルが原告であると認識できなかったと主張する。 しかし,被告Aは,本件ツイート3を投稿した直後にインターネット番組(甲53の1及び2)に出演し,同番組において,本件イラスト3-1 が大炎上したとして,他の出演者と共に原告を侮辱した結果,被告Bリツイートの時点において,本件ツイート3に対し,本件イラスト3-1の女性のモデルが原告であることを前提とした多数の応答(リプライ)が投稿されていた。そのため,被告Bは,被告Bリツイートをする際に,同リプライを必ず目にしていたというべきであるから,被告Bの上記主張は採用 できない。 (被告Bの主張) 被告Bは,被告Bリツイートをした時点で,別件訴訟の存在を知らなかった。また,原告の経歴も把握していなかった。また,被告Bは,普段からテレビをほとんど見ておらず,原告指摘のインターネット番組も見てい ない。そのため,被告Bは,リツイートした時点で,本件イラスト3-1の女性のモデルが原告であると認識できなかったのであるから,被告Bリツイートによって,原告の社会的評価の低下及び原告の名誉感情を侵害する意図がなかった。 また,被告Bは,本件イラスト3-1の女性が,アニメ作品の「ルパン 三世」の登場人物の一人である峰不二子を連想させ,そのイラストをいつでも見られるようにするために自分の かった。 また,被告Bは,本件イラスト3-1の女性が,アニメ作品の「ルパン 三世」の登場人物の一人である峰不二子を連想させ,そのイラストをいつでも見られるようにするために自分のアカウントへの保存を目的としてリツイートしたにすぎない。被告Bが政治的な思想でリツイートしたのではないことは,リツイートのみでコメントを入れていないことからも明らかである。 以上の事情に鑑みれば,被告Bリツイートは,原告の社会的評価を低下 させない。 イ損害額(争点⑵イ)(原告の主張)本件ツイート3による原告の社会的評価の低下が極めて深刻であることに加え,被告Bが著名な漫画家であって,ツイッターのフォロワー数が50 00人近くに達していることなどを考慮すると,原告は,被告Bの不法行為により,慰謝料100万円及び弁護士費用相当額10万円の合計110万円の損害を被ったというべきである。 (被告Bの主張)争う。 ⑶ 被告C関係ア被告Cリツイートにおける事実の摘示及びこれによる原告の社会的評価の低下の有無並びに原告の名誉感情の侵害の有無(争点⑶ア)(原告の主張)本件では,被告Cリツイートの前後のツイートに,本件ツイート4を批判 的に引用した意図が読み取れるようなツイートはない。また,被告Cは,本件ツイート4に「いいね」をし,さらにその約1か月後に,「今は誰でもジャーナリストを名乗れる時代です。プロの人質も,枕営業のキャバ嬢も,みんなジャーナリストになれました。」という原告を揶揄するツイート(甲60)にも「いいね」をするとともに,リツイートをしている。 したがって,被告Cリツイートは,被告Cが,自身のフォロワーに対して, ャーナリストになれました。」という原告を揶揄するツイート(甲60)にも「いいね」をするとともに,リツイートをしている。 したがって,被告Cリツイートは,被告Cが,自身のフォロワーに対して,本件ツイート4に賛同する意思を示して行う表現行為といえるから,本件ツイート4と同様に,不法行為を構成する。 (被告Cの主張) 本件イラスト4-1ないし4-4の女性と原告の同定可能性がないこ と 同各イラストの女性は,そもそも原告に似ておらず,仮に,同各イラストの女性が原告をデフォルメしたものだとしても,髪の整え方,眉毛の形,瞳の位置,鼻の形,口の大きさ及び顔の輪郭がいずれも原告とは明らかに異なる。 したがって,一般の閲覧者が予断を排除して同各イラストを普通に見た ならば,それが原告であると判断できないというべきである。 本件ツイート4による社会的評価の低下の不存在本件ツイート4は,「風刺画はフィクションであり,実際の人物や団体とは関係がありません」と記載していることから,被告Cのリツイートを閲覧した一般の閲覧者は,同リツイートの内容をフィクションであると受 け止めるにすぎないから,原告の社会的評価は低下しない。 本件イラスト4-1ないし4-4による社会的評価の低下の不存在a 本件イラスト4-1について一般の読者は,本件イラスト4-1の「枕営業大失敗」との表現を,原告が枕営業をしたが,大失敗したとは受け止めず,原告が嘔吐したた めに枕営業をすることなく大失敗したと受け止めるにすぎないから,原告の社会的評価は低下しない。 また,本件イラスト4-1は,Dの主張を前提としたうえで,当該事実主張に対 たた めに枕営業をすることなく大失敗したと受け止めるにすぎないから,原告の社会的評価は低下しない。 また,本件イラスト4-1は,Dの主張を前提としたうえで,当該事実主張に対して与えた「枕営業大失敗!!」との評価の当否を問うものであるから論評である。この論評は,一般読者の普通の注意と読み方を 基準として客観的に見れば正当な論評としては成り立ちうるものである。 b 本件イラスト4-2について一般の読者は,同イラストを見ても,そもそも「CLAPBOX」が何かわからないし,それ以上に,既に製本された本である「CLAP BOX」を手に持って「そうだデッチあげよう!」とあるのだから, 本自体を「デッチあげ」だと受け止めず,マスコミに対し,これからでっち上げをしようと掛け声をかけているにすぎないと受け止めるから,原告の社会的評価は低下しない。 c 本件イラスト4-3について一般の読者は,同イラストを,慰安婦問題と関連するものと理解する にとどまり,ポイントが絞られていない漫画であるから,それ以上のことを読み取ることはできないというべきであるから,原告の社会的評価は低下しない。 d 本件イラスト4-4について一般の読者は,同イラストを,不思議の国のアリスと関連するものと 理解するにとどまり,それ以上のことを読み取ることはできないというべきであるから,原告の社会的評価は低下しない。 リツイートの責任についてa 被告Cのフォロワーは,歴史や漫画などのネタに興味を抱く人々であって,原告に対して関心を持つ人々ではなく,被告Cは,思想的に中立 的な立場から,上記のような無関心層のフォロワーに対し,漫画ネ 被告Cのフォロワーは,歴史や漫画などのネタに興味を抱く人々であって,原告に対して関心を持つ人々ではなく,被告Cは,思想的に中立 的な立場から,上記のような無関心層のフォロワーに対し,漫画ネタの一つとして,本件ツイート4をリツイートして情報を提供したにすぎない。 b 本件処分,本件議決及び別件訴訟において,原告及びDの双方の主張が対立していたという状況の下では,原告の主張内容のみならず,Dの 主張内容も公共的・公益的に極めて重要な意味を持つところ,被告Cリツイートは,Dの主張内容を被告Cのフォロワーに提供するという意味を持つ。 そして,何らのコメントも付加せずに元ツイートをそのまま引用するリツイートは,ツイッターを利用する一般の閲覧者の普通の注意と読み方を 基準とすれば,前後のツイートの内容から投稿者が当該リツイートをした 意図が理解できるような特段の事情が認められない限り,リツイートの投稿者が,自身のフォロワーに対し,当該元ツイートの内容に賛同する意思を示して行う表現行為であるとの考えは,リツイートの性質の一面にすぎないところ,被告Cリツイートは,上記のような意味を持つものであって,本件ツイート4とは全く異なる別個の表現行為であるから,原告の名誉を 毀損しないというべきである。 イ被告Cリツイートに係る違法性阻却事由の有無(争点⑶イ)(被告Cの主張)名誉毀損については,表現行為が公共の利害に関する事実に関するものであり,その目的が専ら公益を図るものである場合において,摘示された事実 がその重要な部分において真実であることの証明があるときは,違法性が阻却されて不法行為が成立しないというべきであるところ,前記bで主張したとおり,被告Cリツイートは公共的・公益的議論に資 がその重要な部分において真実であることの証明があるときは,違法性が阻却されて不法行為が成立しないというべきであるところ,前記bで主張したとおり,被告Cリツイートは公共的・公益的議論に資する情報を提供するものであるから,不法行為に該当しないというべきである。 (原告の主張) 争う。 ウ損害額(争点⑶ウ)(原告の主張)本件ツイート4による原告の社会的評価の低下が極めて深刻であることに加え,被告Cのツイッターのフォロワー数が1500人を超えていること などを考慮すると,原告は,被告Cの不法行為により,慰謝料100万円及び弁護士費用相当額10万円の合計110万円の損害を被ったというべきである。 (被告Cの主張)否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記第2の1の前提事実(以下「前提事実」という。)に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実を認めることができる。 ⑴ 本件各ツイート及び本件各イラストが投稿される経緯等ア原告は,平成29年5月29日,本件性被害に係る準強姦被疑事件が不起 訴処分とされたこと(本件処分)について,検察審査会に審査を申し立てるとともに,司法記者クラブで記者会見(本件会見)を開いた。 (前提事実⑵イ及びウ)イ被告Aは,平成29年6月4日,本件ツイート1を行った。 (前提事実⑶ア) ウ原告は,平成29年10月20日,本件性被害の経験を記載した「BLACKBOX」(本件著書)を出版した。 本件著書の表紙には,原告の顔写真(全体的に暗い色調の写真)が大きく掲載され,その上から白い文字で「BlackBox」と書かれていた。 (甲2) エ 」(本件著書)を出版した。 本件著書の表紙には,原告の顔写真(全体的に暗い色調の写真)が大きく掲載され,その上から白い文字で「BlackBox」と書かれていた。 (甲2) エ被告Aは,平成30年2月17日,ツイッターで,「彼女がBBCに語ったインタビュー(英語)を聞き,友人にざっと訳してもらったが,彼女の言っていることは何一つ証拠がない。インチキ慰安婦と同じ。」と投稿した。 (甲50の1)オ被告Aは,平成30年2月20日,ツイッターで,G議員による,「ただ今 予算委員会にて質問中。Fさんを被害者とする『準強姦罪』疑惑について質疑。当事者でしか分からないことなのに,どうして当時被疑者の逮捕直前に逮捕状の執行を止めたのかをH警視庁刑事局長(当時)に答えさせないのか質しています。」とのツイートを引用しつつ,「ただの枕営業失敗だろうが。 そんなことより予算の話やってくれよ前髪。一々かき分けて。。お前は花輪 くんか!!」と投稿した。 (甲18,50の2)カ被告Aは,平成30年2月20日,さらに,本件ツイート2を,同月23日,本件ツイート3をそれぞれ行った。 (前提事実⑶イ及びウ)キ本件ツイート3の投稿以降,被告Aのツイッターの閲覧者から,多数の応 答(リプライ)が投稿された。その数は,投稿された平成30年2月23日から同月末日までの数日間に,少なくとも130通以上に達し,各応答は,本件イラスト3-1の女性が原告であり,本件性被害に関する内容であることをいずれも認識した上で,多くが賛否を明確に表明したものであると認められる。その具体例は,以下のとおりである。 「似てます!似てます!私は個人的にFさんて(残念な)美人だと思っていましたので,この出来上がりは素晴らしいです 明確に表明したものであると認められる。その具体例は,以下のとおりである。 「似てます!似てます!私は個人的にFさんて(残念な)美人だと思っていましたので,この出来上がりは素晴らしいですわ」(平成30年2月23日)「Fさんのことしか考えにくいが,これまではなぜか擁護や指示ばかりがツイートでも目についた。」(同日) 「全国のDさんへの風評被害待ったなし。でも何故かリプはFさんの話題ばかり」(平成30年2月24日)「ほんとはFさんがうらやましいから絡みたくなるAさんのそんなところ,好きですよ!」(同日)「どうしてこんな醜悪な妄想を垂れ流すのかしら。人として,女性として, ありえないほどの歪み。」(同日)(甲46)ク被告Aは,平成30年3月頃,インターネットで放送された,「日本の病巣を斬る!」♯33「慰安婦問題は正式に断定せよ!朝日の罪『事実認定』への壁」に出演した。 被告Aは,同番組において,本件イラスト3-1を提示するとともに,他 の出演者の一人から,「でもこれ,枕営業大失敗じゃなくて大成功って書かなきゃ」と言われたことを受けて,「ある意味そうなんです。仰るとおり。あの,実在するFさんという美しい女性ですねー。パヨクの皆さんのアイドルです。私,あの,彼女が枕営業なんかするはずもない。で,もししたとしても失敗するはずがない。」,「彼女は美しいし,あの,国会にも出ましたしね。 で,これからあの,ニューヨークでしたっけ,国連にも行くって言うお話ですし」,「彼女大成功してますね。いや,彼女は嘘つくような女性じゃないです。目ぇ見ればわかります。『私の体が覚えている』って言ったんです。」などと述べた。 (甲44,53の1及び2) ケ被告Aは,平成30年3月6 ね。いや,彼女は嘘つくような女性じゃないです。目ぇ見ればわかります。『私の体が覚えている』って言ったんです。」などと述べた。 (甲44,53の1及び2) ケ被告Aは,平成30年3月6日,本件各ツイートを行ったアカウントとは別のツイッターアカウントにおいて,「やべー。。Aアカ停止くらったわw危ねえ危ねえモザイクかけとくべ。。」と投稿するとともに,本件イラスト4-2(ただし,女性の顔にはモザイクをいれてぼかした状態にしている。)を投稿した。 (甲50の4)コ被告Aは,平成30年6月29日,ツイッターで,涙を流す原告の写真を掲載の上,本件性被害を取り上げたBBCのニュースのリンク先を引用するとともに,「枕営業失敗した時のFちゃん?」と投稿した。 (甲50の6) サ BBCは,平成30年6月28日に本件ドキュメンタリーを放送した。 被告Aは,同月30日,ツイッターで「Anti-BritishexistsintheUK,JapanalsohasAnti-Japan.TheprogramofMissFBBCisadocumentaryhandshakebetween Anti-BritishandAnti-Japan.」(原告は,「イ ギリスには反英がいる。日本にも反日がいる。ミスFBBC番組は反英と反日が手を結んだドキュメンタリーだ」との趣旨と主張している。)と投稿するとともに,本件イラスト3-1及び原告の顔写真を並べて投稿した。 また,被告Aは,同日,「女はお得だよね。金に困りゃ身体を売ればいいし,思い通りにならなきゃ『被害者だ』と泣けばいい。男はこれが出来ないから 可哀想だw」として,本件イラスト4-2(女性の顔部分にぼかしを入れたも 「女はお得だよね。金に困りゃ身体を売ればいいし,思い通りにならなきゃ『被害者だ』と泣けばいい。男はこれが出来ないから 可哀想だw」として,本件イラスト4-2(女性の顔部分にぼかしを入れたもの),原告の顔写真などを併せて掲載し,ハッシュタグにBBCと付けた。 (前提事実⑵カ,甲17,50の7及び8)シ被告Aは,平成30年7月2日,ツイッターで「ヤマロサオリ三部作・完! (多分嘘w」との文言とともに,本件イラスト4-3を投稿した。 (甲50の9)ス被告Aは,平成30年7月9日,ツイッターで「祝アカウントロック解除! (中略)新シリーズ始まるのか!?『不思議の国のオシリ』推奨BGMは「意味なしアリス」です」との文言とともに,本件イラスト4-4を投稿した。 (甲50の11) セ被告Aは,令和元年7月9日,ツイッターで,別件訴訟に関する朝日新聞の記事を引用するとともに,「これは友人から聞いた話ですが,本当のレイプ被害者の女性が,このF嬢のケースを『虚言』と見抜き,『真のレイプ被害者を貶める行為だ』と怒っていたそうです。真の被害者から見れば,あり得ないことが沢山あるようで」と投稿した。 (甲50の10)ソ東京地方裁判所は,令和元年12月18日,別件判決をした。 (前提事実⑵ク)タ被告Aは,令和元年12月19日,本件ツイート4を,同月21日,本件ツイート5をそれぞれ行った。 (前提事実⑶オ及びカ) ⑵ 被告Cリツイートに関する事情ア被告Aは,令和元年12月19日,本件ツイート4を,被告Cは,令和2年1月20日,被告Cリツイートをそれぞれ投稿した。 (前提事実⑶オ及びキ)イ被告Cは,以下の各ツイートをいずれもリツイートした。 「裁判長の『F ,本件ツイート4を,被告Cは,令和2年1月20日,被告Cリツイートをそれぞれ投稿した。 (前提事実⑶オ及びキ)イ被告Cは,以下の各ツイートをいずれもリツイートした。 「裁判長の『Fさんには嘘をつく動機がない。』には,驚愕しますよ。(中略)反日左翼の仲間であるFが,保守論客のD氏を社会的に貶めようという十分な動機があると思います。」(引用元ツイートの投稿日令和元年12月18日)「このF氏の最大の犯罪は『表現の自由』を多く奪ったこと。Iさん,Jさ ん,…と多くの論客のFBアカウントを停止させた(中略)。しかも工作員組織を使ってヘイト報告し,FBに圧力をかけていたことがTwitterで発覚。このことも記憶遺産として永遠に残すべき。」(引用元ツイートの投稿日令和2年1月19日)「誰?その敏腕ジャーナリストとやらは。今は誰でもジャーナリストを名乗 れる時代です。プロの人質も,枕営業のキャバ嬢も,みんなジャーナリストになれました。ワイドショー御用達で急ごしらえしたジャーナリストなのでは?」(引用元ツイートの投稿日令和2年2月12日)(甲57の1及び2,甲59,60)ウ被告Cは,令和2年5月25日,「Fは実は話に為らない位告白している 事が矛盾していて...薬飲まされてレイプされたと言っているが,レイプ・ホテルイン前に酒を笑顔でガバガバと飲んでいたり,(中略)メールでお礼,レイパーの服を借りて帰宅(中略)Aさんの味方です,私は」とのツイートを,同年6月10日,「1.Fは刑事でも民事でも強姦は認定されておらず「レイプ被害者」ではありません。2.上記により,セカンドレイプは存在 しません。」とのツイート及び同日付け「調べたらF氏側の意見ばかり先に 出てきたから逆にD氏側の記事 れておらず「レイプ被害者」ではありません。2.上記により,セカンドレイプは存在 しません。」とのツイート及び同日付け「調べたらF氏側の意見ばかり先に 出てきたから逆にD氏側の記事を載せます。」とのツイートをそれぞれリツイートした。 (甲26)エ原告代理人は,令和2年6月10日,被告Cに架電して本件訴訟提起や話合いの可否などについて意向確認の連絡をした。 (甲27)オ被告Cは,令和2年6月12日,本件に関するツイート3件をリツイートした。その内容は,「そもそも「500万円」は明らかに,吹っ掛け過ぎ。」「恐ろしい思想弾圧ですね。」「これだけの材料で慰謝料請求とは,正気の沙汰とは思えませんね。」といった内容であった。 また,被告Cは,翌13日,被告Aや第三者のツイートをリツイートした。 被告Aのツイートの内容は,「FさんとDさんの細かい経緯とか知らなかったが,自分が被告(仮)になるからには,ちゃんと「予習」しないとね!いやぁ,勉強になるなぁ。。。」といったものであった(なお,この当時,本件訴訟は提起されていたが,被告C及び被告Aのいずれにも訴状は送達されてい なかった。)。上記第三者のツイート内容は「これですかね。」として,「Fは,昨年2月に虚偽告訴と名誉毀損で告訴され」で始まる文書が添付されているものである。 (甲28の1及び2)カ被告Cは,その後も,原告に関連するツイート(原告に批判的な内容)を 複数回リツイートしている。 (甲31,33,42の1ないし3の2,甲43の4の1及び2,甲54の1ないし14,甲59,60) 2 争点⑴ア(本件各ツイートにおける事実の摘示及びこれによる原告の社会的評価の低下の有無並びに原告の名誉 33,42の1ないし3の2,甲43の4の1及び2,甲54の1ないし14,甲59,60) 2 争点⑴ア(本件各ツイートにおける事実の摘示及びこれによる原告の社会的評価の低下の有無並びに原告の名誉感情の侵害の有無)について ⑴ 本件ツイート1について ア事実の摘示について被告Aは,本件ツイート1において,原告と被告Aの瞳の形状が近いことを述べたにすぎないと主張する。 しかし,被告Aは,自らが元医療関係者(元看護師)であったこと及び精神疾患(双極性障害)にり患していることをプロフィール(ツイッターアカ ウントのトップに表示される。)に記載し(前提事実1⑴イ),これらの事実が前提となっている状態で,本件ツイート1を投稿している。本件ツイート1は,医療関係者又は患者が,瞳を見れば精神疾患患者を識別できる旨を記載し,原告及び被告Aの瞳の形状が分かるようなアップの写真を並べて添付して,「それにしても,F嬢の瞳には親近感がわく。」と記載していることか らすれば(前提事実⑶ア,別紙1,甲8),本件ツイート1は,原告が精神疾患を患っているという事実を摘示するものと認められる。 イ社会的評価の低下の有無名誉毀損の不法行為は,問題とされる表現が,人の品性,徳行,名声,信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価を低下させるも のであれば,これが事実を摘示するものであるか,又は意見ないし論評を表明するものであるかを問わず,成立し得るものであるというべきところ,ある表現による事実の摘示又は意見ないし論評の表明が人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは,当該表現についての一般の読者の普通の注意と読み方を基準としてその意味内容を解釈し判断すべきである (最高裁昭和2 示又は意見ないし論評の表明が人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは,当該表現についての一般の読者の普通の注意と読み方を基準としてその意味内容を解釈し判断すべきである (最高裁昭和29年(オ)第634号同31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)。 そこで検討するに,精神疾患を患っているという事実のみで,当該人物の社会的評価が直ちに低下するとはいえない。また,被告Aは,元看護師であるものの,精神科の医師ではないから,本件ツイート1が原告につい て精神疾患を患うものと摘示していても,それが信頼に足りる診断である と受け止められるともいえない。 したがって,前記アの摘示事実は,原告の社会的評価を低下させるものとは認められない。 ⑵ 本件ツイート2についてア名誉毀損の有無 事実の摘示についてa 原告は,本件ツイート2は,ジャーナリストを志望していた原告が,Dに対して枕営業を行なったものの,期待に反して職を得られなかったことから,合意のもとで行われた性交渉について,Dとの性交渉から2年後にこれをレイプであると主張してDを訴えたとの事実を摘示する と主張する。 これに対して,被告Aは,本件ツイート2は,Dの言い分を投稿したにすぎず,「と理解」と記載しているとおり,被告が推測し考えたことを内容とする論評であると主張する。 事実の摘示による名誉毀損と意見ないし論評による名誉毀損とでは, 不法行為責任の成否に関する要件が異なることから,本件ツイート2がいずれであるのかを判断する必要があり,まず,この点について検討する。 b 問題とされている表現が,事実の摘示であるか,意見ないし論評の表明であるかを区別するに当たっては,当 ら,本件ツイート2がいずれであるのかを判断する必要があり,まず,この点について検討する。 b 問題とされている表現が,事実の摘示であるか,意見ないし論評の表明であるかを区別するに当たっては,当該表現についての一般の読者の 普通の注意と読み方とを基準として判断すべきものであり,当該表現が,証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を明示的又は黙示的に主張するものと理解されるときは,当該表現は,上記特定の事項についての事実を摘示するものと解するのが相当であり,他方,上記のような証拠等による証明になじまない物事の価値,善 悪,優劣についての批評や論議などは,意見ないし論評の表明に属する というべきである(最高裁平成6年(オ)第978号同9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3804頁,最高裁平成15年(受)第1793号,同年(受)第1794号同16年7月15日第一小法廷判決・民集58巻5号1615頁参照)。 c そこで,本件ツイート2全体を見ても,記載されている事実関係がD の見解であることを示した部分はない。そうすると,本件ツイート2の末尾に「と理解」として,被告Aの理解であることを示したとしても,本件ツイート2の内容としては,一般の読者の普通の注意と読み方によれば,ジャーナリストになることを志す原告が,Dに対して就職をあっせんしてもらうために枕営業を行ったものの,Dから就職をあっせんし てもらえなかったことを理由に,枕営業から2年後,同枕営業をDによるレイプだったと主張しているという事実を摘示するものと認められる。 社会的評価の低下の有無前記cの摘示事実は,原告が,Dから就職をあっせんしてもらうため にDと性的関係を持った人 しているという事実を摘示するものと認められる。 社会的評価の低下の有無前記cの摘示事実は,原告が,Dから就職をあっせんしてもらうため にDと性的関係を持った人物であること及び合意の上での性交渉の後にレイプであったなどと虚偽の内容を述べる人物であるとの印象を一般の読者に与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものというべきである。 イ名誉感情の侵害の有無 名誉感情は,人が自身の人格的価値について有する主観的な評価であり,表現により名誉感情を侵害する行為は,問題とされる表現が社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為等であるときに,法的保護に値する人格的利益ないし人格権を侵害したものとして不法行為を構成するものと解するのが相当である。 本件ツイート2のうち「枕営業」という表現は,社会通念上許容される 限度を超えた侮辱行為であると認められる。 また,前記アcの摘示事実を踏まえれば,本件ツイート2の「レイプ被害者」との表現は,合意の下の性交渉(枕営業)をレイプであったかのように装ったということを意味するから,社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為であるというべきである。 したがって,本件ツイート2は,原告の名誉感情を侵害すると認められる。 ⑶ 本件ツイート3についてア名誉毀損の有無 同定可能性について 被告Aは,本件イラスト3-1の女性は,ディズニーのキャラクターをモデルにした架空の女性であり,原告とは異なる特徴を有していると主張する。 しかし,本件イラスト3-1の女性は,「D」という本件性被害に関連する名前を胸につけ(被告Aは,「やまろ」と呼んで ルにした架空の女性であり,原告とは異なる特徴を有していると主張する。 しかし,本件イラスト3-1の女性は,「D」という本件性被害に関連する名前を胸につけ(被告Aは,「やまろ」と呼んでいるが,不自然な読み方 であり,本件性被害に関係するDを示唆していることは明らかである。),Tシャツ(原告が本件性被害に遭った翌日にDのTシャツを着ていたとの話がある(甲1参照)。)を着て,本件性被害の内容に関連するやり取りをしている携帯電話を持ち,容姿も原告に類似しており,原告を意識していることが認められる。また,多数の閲覧者が,本件イラスト3-1の女性 を原告と認識していたことが認められるほか(前記1の認定事実(以下「認定事実」という。)⑴キ),被告Aは,本件イラスト3-1の女性のモデルが原告であることを示唆する発言をし(認定事実⑴ク),平成30年6月30日,ツイッターで,本件ドキュメンタリーに関する投稿をするとともに,本件イラスト3-1と原告の顔写真を並べて投稿している(認定事実 ⑴サ)。さらに,被告Aは,令和3年1月22日付け準備書面⑴の10,1 1頁(第2の5⑵及び⑶)において,本件イラスト3-1に記載された表現はDのインタビュー等から着想を得たものである,本件ツイート3の文章の内容から読み取れるのは,被告AがDの主張を風刺し,原告とDのいずれの主張が正しいのか問題提起をしていることである等と主張しており,同イラストの題材が本件性被害であることが認められる。 そうすると,本件イラスト3-1の女性は,原告に類似しているのみならず,第三者の一般人である閲覧者からも原告と受け止められ,被告A自身も原告であることをほぼ自認するような発言もしているのであるから,原告と同定することが容易に可能 女性は,原告に類似しているのみならず,第三者の一般人である閲覧者からも原告と受け止められ,被告A自身も原告であることをほぼ自認するような発言もしているのであるから,原告と同定することが容易に可能であるというべきである。 事実の摘示について 一般の読者の普通の注意と読み方によれば,本件イラスト3-1を含む本件ツイート3は,ジャーナリストになることを志す原告が,大物記者であるDに対して就職をあっせんしてもらうために枕営業を行ったものの,同人から就職をあっせんしてもらえなかったことを理由に,枕営業から2年後,Dとの同意の下での性交渉をDによるレイプだったと主張している という事実を摘示するものと認められる。 被告Aは,本件イラスト3-1が風刺漫画であることから意見ないし論評であると主張するものの,前記⑵の判断基準によれば,風刺漫画であることのみをもって当該表現が意見ないし論評であるとはいえないのであって,被告Aの上記主張は,本件ツイート3が事実の摘示をするものであ るとの上記判断を左右するものではない(本件ツイート4及び5についても同様である。)。 社会的評価の低下の有無前記の摘示事実は,本件ツイート2による摘示事実と同様であるから(前記⑵アc),前記⑵アで認定・説示したのと同様に,原告の社会的 評価を低下させるというべきである。 イ名誉感情の侵害の有無本件ツイート3のうち「枕営業」という表現は,前記⑵イで認定・説示したのと同様に,原告の名誉感情を侵害すると認められる。 ⑷ 本件ツイート4についてア本件イラスト4-1について 本件イラスト4-1は,本件イラスト3-1と同じであるから,前記⑶で認定・説示した を侵害すると認められる。 ⑷ 本件ツイート4についてア本件イラスト4-1について 本件イラスト4-1は,本件イラスト3-1と同じであるから,前記⑶で認定・説示したのと同様に,原告の社会的評価を低下させ,原告の名誉感情を侵害すると認められる。 イ本件イラスト4-2について 名誉毀損の有無 a 同定可能性について被告Aは,令和3年1月22日付け準備書面⑴の15頁及び17頁(第2の6⑷及び⑸)において,本件イラスト4-1ないし4-4の各女性が,本件イラスト3-1の女性と同一人物であることを認めていることも踏まえれば,前記⑶アで認定・説示したとおり,本件イラ スト4-2の女性を原告と同定することが可能であるというべきである。 b 事実の摘示について一般の読者の普通の注意と読み方によれば,本件イラスト4-2は,原告が主張する本件性被害等について記載された本件著書(本件イラス ト4-2の女性(原告)が手に持っていること及び本件著書と類似の表紙であること(認定事実⑴ウ参照)から,同イラスト内の本は,タイトルが「CLAPBOX」であっても本件著書を指していると認められる。)の内容が虚偽であって,実際は本件性被害が枕営業にすぎないものであった事実を摘示するものと認められる。 c 社会的評価の低下の有無 前記bの摘示事実は,原告が,真実はDと合意の上で性交渉をしたにもかかわらず,合意のない性交渉をされたとの虚偽の内容を述べ,性犯罪の被害者を装っているとの印象を一般の読者に与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるというべきである。 この点,被告A ,合意のない性交渉をされたとの虚偽の内容を述べ,性犯罪の被害者を装っているとの印象を一般の読者に与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるというべきである。 この点,被告Aは,一般の読者は,受け取る情報の全てを鵜呑みにせ ず自分で精査しなければならないこと及び真偽不明のかわいそうな話で同情を誘い,それをビジネスにするという手法に注意する必要があると受け取ると主張する。 しかし,上記のとおり,本件イラスト4-2の女性が原告であること,その原告が持つ本が本件著書に似せた表紙の本であること,原告の横に 「そうだデッチあげよう」と大きく記載されていること,原告の横に立つ男性(E)が,虚偽の事実を記載した著書を出した者であること,読者に対して注意を促す文言は見当たらないことなどに照らせば,被告A主張のビジネスに注意すべきと受け取るのではなく,原告について論じていると受け取るのが通常であり,被告Aの上記主張は採用できない。 名誉感情の侵害の有無本件イラスト4-2のうち,原告が手に持つ本の帯にある「枕の極意ここにあり」という表現は,社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為であると認められる。 また,本件イラスト4-2のうち「デッチあげよう」という表現は,前 記bの摘示事実を意味するといえるから,社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為であると認められる。 したがって,本件イラスト4-2は,原告の名誉感情を侵害すると認められる。 ウ本件イラスト4-3について 名誉毀損の有無 a 同定可能性について前記イaの事情を踏まえれば,前記⑶アで認定・説示したとおり,本件イラスト4-3の女性を原告と同 名誉毀損の有無 a 同定可能性について前記イaの事情を踏まえれば,前記⑶アで認定・説示したとおり,本件イラスト4-3の女性を原告と同定することが可能であるというべきである。 b 事実の摘示について BBCが,本件性被害等を内容とする本件ドキュメンタリーを放映したことも踏まえると,一般の読者の普通の注意と読み方によれば,本件イラスト4-3は,原告が主張する本件性被害は存在せず,証拠も存在しないにもかかわらず,原告は,Dに対して枕営業を行ってから2年後に,自分の身体が覚えていることを証拠として本件性被害が存在するか のように主張し,テレビ局による取材でも同様の内容を述べたという事実を摘示していると認められる。 c 社会的評価の低下の有無本件イラスト4-3は,原告が本件性被害がなかったにもかかわらず,それがあるかのように装い,テレビ局による取材でも同様の内容を述べ た人物であるとの印象を一般の読者に与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるというべきである。 この点,被告Aは,一般の読者は,同イラストを,何事においても被害を受けたのであれば,その場その時期に然るべき手段で告発又は被害届等の訴えを行えばよいのに,従軍慰安婦の問題も#Metoo運動も, 何年も経ってから被害を言い出すのは不審であるし,卑怯であると主張するものと受け止めると主張する。しかし,上記のとおり,同イラストの女性が原告と認められること,原告がBBCの本件ドキュメンタリーに出ていたこと,読者に対して一般的な見解を示す文言は見当たらないことなどに照らせば,一般の読者は,原告についてのイラストと見るの が自然であり,被告Aの主張は採 BBCの本件ドキュメンタリーに出ていたこと,読者に対して一般的な見解を示す文言は見当たらないことなどに照らせば,一般の読者は,原告についてのイラストと見るの が自然であり,被告Aの主張は採用できない。 名誉感情の侵害の有無本件イラスト4-3のうち「枕売って泣くボロい商売」,「エビデンスなんかないけれど…そうだアイゴー」という各表現は,原告が真実は枕営業をしたにもかかわらず,本件性被害を主張していることを意味するから,社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為であると認められる。 したがって,本件イラスト4-3は,原告の名誉感情を侵害すると認められる。 エ本件イラスト4-4について 名誉毀損の有無a 同定可能性について 前記イaの事情を踏まえれば,前記⑶アで認定・説示したとおり,本件イラスト4-4の女性を原告と同定することが可能であるというべきである。 b 事実の摘示について本件イラスト4-4の右側に記載された原告の本件ドキュメンタリ ーでの供述に関連する項目を含む文が全体として,意味の通じないものであることに加え,その文字のフォントや大きさが統一されておらず,不必要な個所に句点が打たれていること,同イラストの「SexSlaveStory」との表現などを考慮すると,一般の読者の普通の注意と読み方によれば,本件イラスト4-4は,本件性被害等を内容と する本件ドキュメンタリーにおける原告の供述内容が,原告の妄想によるものであるという事実を摘示するものと認められる。 c 社会的評価の低下の有無本件イラスト4-4は,原告が妄想によって支離滅裂な発言をする人物であるとの 原告の妄想によるものであるという事実を摘示するものと認められる。 c 社会的評価の低下の有無本件イラスト4-4は,原告が妄想によって支離滅裂な発言をする人物であるとの印象を一般の読者に与えるものであるから,原告の社会的 評価を低下させるというべきである。 名誉感情の侵害の有無本件イラスト4-4が前記bの事実を摘示するものであることを踏まえると,同イラストは,社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為であり,原告の名誉感情を侵害すると認められる。 ⑸ 本件ツイート5について ア名誉毀損の有無 同定可能性について前記⑷イaの事情に加えて,本件イラスト5-1の女性が本件イラスト3-1及び本件イラスト4-1ないし4-4の女性と同一であるかについて,被告Aが争っていないこと(弁論の全趣旨)を考慮すれば,前記 ⑶アで認定・説示したとおり,本件イラスト5-1の女性を原告と同定することが可能であるというべきである。 事実の摘示についてBBCが,本件性被害等を内容とする本件ドキュメンタリーを放映したこと及び別件判決の内容を踏まえると,一般の読者の普通の注意と読み方 によれば,本件イラスト5-1は,原告は,本件性被害が存在しないにもかかわらず,テレビ局の取材に対して本件性被害の存在を涙を流して演技しながら主張し,その内容を証拠として提出し,裁判官の同情を買い,原告勝訴の判決を得たという事実を摘示するものと認められる。 社会的評価の低下の有無 本件イラスト5-1は,原告がテレビ局の取材に対して虚偽の事実を述べた上,その内容を用いて勝訴判決を得た人物であるとの印象を一般の読者に与えるものであ 社会的評価の低下の有無 本件イラスト5-1は,原告がテレビ局の取材に対して虚偽の事実を述べた上,その内容を用いて勝訴判決を得た人物であるとの印象を一般の読者に与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるというべきである。 被告Aは,一般の読者は,裁判官は世間の意見や個人的な感傷を判決に 反映させるべきではなく,法と証拠に基づいた公平な判断をすべきと主張 するものと受け止めるにすぎないと主張する。 しかし,上記のとおり,本件イラスト5-1は,原告が本件性被害の存在を涙を流して演技しながら主張し,勝訴判決を得たという事実を摘示するものと認められるのであるから,被告Aが主張するような一般的な内容として受け止められるものであるとはいえない。 イ名誉感情の侵害本件イラスト5-1が前記アの事実を摘示するものであることを踏まえると,同イラストは,社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為であり,原告の名誉感情を侵害すると認められる。 3 争点⑴イ(本件各ツイートに係る違法性阻却事由の有無)について ⑴ 本件ツイート2及び3についてア公共性及び公益目的について原告は,テレビやラジオに出演し,国際連合の本部で記者会見をし,米国のニュース雑誌である「タイム」の「世界で最も影響力のある100人」にも選出されていること(争いがない事実)からすれば,原告に関する事情は, 一般社会において一定程度の関心のある事柄であるといえる。 また,本件ツイート2及び3が摘示する事実は,前記2⑵及び⑶のとおり,いずれも本件性被害に関する事実であるところ,かかる事実の存否を巡っては,本件処分や本件議決がなされたり,別件判決がなされるなどしており,一般社会における正当な関心事 実は,前記2⑵及び⑶のとおり,いずれも本件性被害に関する事実であるところ,かかる事実の存否を巡っては,本件処分や本件議決がなされたり,別件判決がなされるなどしており,一般社会における正当な関心事といえる。 以上の事情に鑑みれば,同各ツイートが摘示する事実は,公共の利害に関する事実に係るものと認められ,その目的が専ら公益目的にあったと認められる。 イ真実相当性について 被告Aは,本件処分や本件議決の内容,別件訴訟において,Dが反訴を 提起し,合意のない性行為であったことを否定していること,本件著書の 内容と客観的状況や別件訴訟での原告の態度との間に齟齬があることなどを踏まえると,被告Aが,Dの主張を真実であると信じるにつき正当な理由があると主張する。 まず,本件処分及び本件議決は,本件ツイート2及び3が投稿される前に行われたものであるが,その理由が明確にされたものではないことを踏 まえると,これらはいずれも本件性被害の不存在を認めるに足りる事実とまではいえないというべきである。また,原告及びDは,いずれも原告とDの性交渉が原告による枕営業であったと主張していないものであるし(甲1),被告Aは,上記性交渉が原告による枕営業であったと推認させる事実を何ら具体的に主張・立証していない(被告Aが何らかの調査ない し取材をしたものとも認められない。)。 以上の事情に鑑みれば,被告Aが,同各ツイートの摘示する事実を真実であると信じるにつき相当の理由があったと認めることはできない。 ウ小括以上より,被告Aが本件ツイート2及び3を投稿した行為が違法性を欠く ものと認めることはできない。 ⑵ 本件ツイート4及び5についてア公共性及び公 きない。 ウ小括以上より,被告Aが本件ツイート2及び3を投稿した行為が違法性を欠く ものと認めることはできない。 ⑵ 本件ツイート4及び5についてア公共性及び公益目的について本件ツイート4及び5が摘示する事実は,前記2⑷及び⑸のとおり,いずれも本件性被害に関する事実であるから,前記⑴アで認定・説示したのと同 様に,同各ツイートが摘示する事実は,公共の利害に関する事実に係るものと認められ,その目的が専ら公益目的にあったと認められる。 イ真実相当性について前記⑴イで認定・説示したことに加え,本件ツイート4及び5が投稿された当時,原告の主張内容を認めた別件判決が既に出ていたことも考慮すれ ば,被告Aが,同各ツイートの摘示する事実を真実であると信じるにつき相 当の理由があったと認めることはできない。 ウ以上より,被告Aが本件ツイート4及び5を投稿した行為が違法性を欠くものと認めることはできない。 ⑶ 小括以上より,本件ツイート2ないし5は,いずれも原告の名誉を毀損するとと もに,原告の名誉感情を侵害するから,不法行為を構成するというべきである。 4 争点⑴ウ(損害額)について⑴ 本件ツイート2ないし5が摘示する事実は,その大半が同様のものであり,また,同各ツイートによる原告の社会的評価の低下及び名誉感情の侵害の各内容もその大半が同様のものであることからすれば,慰謝料の額については,本 件ツイート2ないし5を通じて,名誉毀損と名誉感情侵害とを全体的に見て判断するのが相当である。 ⑵ そして,被告Aは,約10箇月間にわたって本件ツイート2ないし5を投稿し,その間に,本件ツイート3及び4とは別の機会に本件イラスト3-1及び本件イラスト4-1 て判断するのが相当である。 ⑵ そして,被告Aは,約10箇月間にわたって本件ツイート2ないし5を投稿し,その間に,本件ツイート3及び4とは別の機会に本件イラスト3-1及び本件イラスト4-1ないし4-4をツイッター上に投稿していること,本件ツ イート2ないし5は,原告が主張する本件性被害が虚偽の主張であることなどを摘示するものであって,原告の社会的評価に与える影響が決して小さいものではないこと,その他本件にあらわれた一切の事情を考慮すると,原告が被った精神的苦痛に係る損害額は,80万円と認めるのが相当である。 また,原告は,本件訴訟を追行するために弁護士に委任しているところ,被 告Aによる不法行為と相当因果関係を有する弁護士費用相当額は,8万円と認めるのが相当である。 5 争点⑴エ(謝罪広告掲載請求の当否)について⑴ 原告は,原告に生じた名誉毀損の被害が深刻であり,その回復の必要性が極めて高いこと,被告Aは,本訴提起後も原告を揶揄するツイートを発していた り,本件各ツイート以外にも原告を誹謗,中傷するツイートを投稿しては削除 することを繰り返していることから,本件各ツイートを削除しても,なお同種の行為を繰り返す可能性が高いことなどの事情を考慮すると,原告の名誉を回復するためには謝罪広告を掲載させることが必要かつ相当であると主張する。 ⑵ しかし,本判決は,本件ツイート2ないし5が,いずれも原告の主張のとおりに,原告の名誉を毀損し,原告の名誉感情を侵害する違法なものであるもの と認め,被告Aに対して損害賠償を命ずるものであるから,原告の被った損害は,これにより相当程度回復されるというべきである。 また,原告は,ラジオやテレビに出演したり,本件著書を出版したり,本件ドキュメンタリーに係る取材に 害賠償を命ずるものであるから,原告の被った損害は,これにより相当程度回復されるというべきである。 また,原告は,ラジオやテレビに出演したり,本件著書を出版したり,本件ドキュメンタリーに係る取材に応じているほか,「Fさんの民事裁判を支える会」というホームページが存在することなどに照らすと,原告は,自身の主張 を広く社会一般に発信できるというべきである。 さらに,被告Aが本件ツイート2ないし5を投稿したアカウントは現在凍結されており(前提事実⑷イ),本件ツイート2ないし5が閲覧できない状態であることなどを考慮すれば,原告の名誉を回復するための措置として,金銭による損害賠償に加え,被告Aに対して上記ホームページに謝罪広告を掲載する よう命ずる必要があるとまでは認められない。 したがって,原告の前記⑴の主張は,採用することができない。 6 争点⑵ア(被告Bリツイートにおける事実の摘示及びこれによる原告の社会的評価の低下の有無並びに原告の名誉感情の侵害の有無)について⑴ 前記2⑶で認定・説示したとおり,本件ツイート3は,原告の名誉を毀損し, 原告の名誉感情を侵害するものであると認められる。 ⑵ リツイートによる名誉毀損の成否アツイッターにおいて,投稿者がリツイート(他者のツイッター上の投稿(元ツイート)を引用する形式で投稿すること)の形式で投稿する場合,当該投稿者が,他者の元ツイートの内容を批判する目的等でリツイートするのであ れば,何らのコメントも付加しないことは考え難く,当該投稿者の立場が元 ツイートの投稿者とは異なることなどを明らかにするべく,当該元ツイートに対する批判的ないし中立的なコメントを付すことが通常であると考えられる。 そうすると,ツイッターが,140文字という字 ツイートの投稿者とは異なることなどを明らかにするべく,当該元ツイートに対する批判的ないし中立的なコメントを付すことが通常であると考えられる。 そうすると,ツイッターが,140文字という字数制限があり,その利用者において,簡易・簡略な表現によって気軽に投稿することが想定されるS NSであること(弁論の全趣旨)を考慮しても,コメントの付されていないリツイートは,ツイッターを利用する一般の閲読者の普通の注意と読み方を基準とすれば,例えば,前後のツイートの内容から投稿者が当該リツイートをした意図が読み取れる場合など,一般の閲読者をして投稿者が当該リツイートをした意図が理解できるような特段の事情の認められない限り,リツイ ートの投稿者において,当該元ツイートの内容に賛同する意思を示して行う表現行為と解するのが相当であるというべきである。 イ被告Bは,コメントを付すことなく,被告Bリツイートを投稿し(前提事実⑶エ),被告Bリツイートの前後のツイートに,被告Bが本件ツイート3を引用した意図が読み取れるようなものはうかがわれないから(むしろ,被 告Bは,被告Aを勇気ある表現活動をする者として称賛している(後記⑶ア)。),同リツイートで引用された本件ツイート3の内容は,被告Bによる,本件ツイート3の内容に賛同する旨の意思を示す表現行為としての被告B自身の発言ないし意見でもあると解するのが相当であり,被告Bは,同リツイートの行為主体として,その内容について責任を負うというべきである。 ⑶ア被告Bは,被告Bリツイートをした時点で,別件訴訟の存在を知らず,また,原告の経歴も把握していなかったことから,本件イラスト3-1の女性のモデルが原告であると認識できておらず,同女性がアニメ作品の峰不二子を連想させるので,保 した時点で,別件訴訟の存在を知らず,また,原告の経歴も把握していなかったことから,本件イラスト3-1の女性のモデルが原告であると認識できておらず,同女性がアニメ作品の峰不二子を連想させるので,保存目的でリツイートしたと主張する。そして,被告Bは,「偽装難民」を取り上げて国内外で賛否両論の声が上がった書籍「そうだ 難民しよう!」(甲4)の著者として被告Aを知り,被告Aについて,難民支 援が人道的という意見が大半である社会風潮の中で批判や中傷を恐れずに勇気ある表現活動をする者として称賛していたが,本件ツイート3を偶然見て,本件イラスト3-1を気に入ったことからリツイートしたと陳述する(乙ロ4)。 イしかし,本件ツイート3の投稿以降,被告Aのアカウントに,本件イラス ト3-1の女性のモデルが原告であり,本件性被害に関する内容であることをいずれも認識した閲覧者による多数の応答(リプライ)が投稿されており,賛否の対立が顕著であること(認定事実⑴キ)が認められ,被告Bは,リツイートするに際して,これらのリプライの状況及びその内容を認識していたものと推認することができる。また,被告Aは,本件ツイート3を投稿した 後,本件イラスト3-1と原告の写真とを並べたツイートを投稿しているほか(認定事実⑴サ),本件ツイート3を投稿した直後には,インターネット番組において,本件イラスト3-1の女性のモデルが原告であることをうかがわせる発言をしているところ(認定事実⑴ク),これらの各発言は,いずれも,被告Bリツイートより前である。 以上のとおり,被告Bは,被告Aの表現活動を称賛していたことも踏まえると,上記多数の応答(リプライ)や被告Aによる上記各発言等に基づき,本件イラスト3-1が原告の主張する本件性被害のことであ 以上のとおり,被告Bは,被告Aの表現活動を称賛していたことも踏まえると,上記多数の応答(リプライ)や被告Aによる上記各発言等に基づき,本件イラスト3-1が原告の主張する本件性被害のことであると認識していたというべきである。被告Bの前記アの主張は,採用することができない。 ⑷ 小括 以上より,被告Bは,被告Bリツイートをしたことにつき,原告に対する不法行為責任を負うというべきである。 7 争点⑵イ(損害額)について被告Bリツイートの元ツイートである本件ツイート3は,原告が主張する本件性被害が虚偽の主張であることなどを摘示するものであって,原告の社会的評価 に与える影響が決して小さいものではないこと,その他本件にあらわれた一切の 事情を考慮すると,被告Bリツイートにより原告が被った精神的苦痛に係る損害額は,10万円と認めるのが相当である。 また,被告Bの不法行為と相当因果関係を有する弁護士費用相当額は,1万円と認めるのが相当である。 8 争点⑶ア(被告Cリツイートにおける事実の摘示及びこれによる原告の社会的 評価の低下の有無並びに原告の名誉感情の侵害の有無)について⑴ 被告Cは,前記第2の3⑶ア(被告Cの主張)のとおり,本件イラスト4-1ないし4-4の女性と原告との同定可能性がないこと及び本件ツイート4が原告の社会的評価を低下させないことをるる主張するが,前記2⑷で認定・説示したとおり,本件ツイート4は,原告の名誉を毀損し,原告の名誉感情を 侵害すると認められる。 被告Cの上記主張は,前記判断を左右するものではなく,採用することができない。 ⑵ そして,被告Cは,何らのコメントを付すことなく,被告Cリツイートを投稿し(前提事実⑶キ),被告Cリツイートの前後において, 記主張は,前記判断を左右するものではなく,採用することができない。 ⑵ そして,被告Cは,何らのコメントを付すことなく,被告Cリツイートを投稿し(前提事実⑶キ),被告Cリツイートの前後において,原告がDと合意の下 で性交渉をしたことなどを内容とする投稿をリツイートしていることも併せて考慮すれば(認定事実⑵イ及びウ),被告Cリツイートで引用された本件ツイート4の内容は,被告Cによる,本件ツイート4の内容に賛同する旨の意思を示す表現行為としての被告C自身の発言ないし意見でもあると解するのが相当であり,被告Cは,同リツイートの行為主体として,その内容について責 任を負うというべきである。 ⑶ 被告Cは,本件処分,本件議決及び別件訴訟において,原告及びDの双方の主張が対立していたという状況の下では,原告の主張内容のみならず,Dの主張内容も公共的・公益的に極めて重要な意味を持つところ,被告Cリツイートは,Dの主張内容を被告Cのフォロワーに提供するという意味を持つものであ って,本件ツイート4とは全く異なる別個の表現行為であるから,原告の名誉 を毀損しないと主張する。 しかし,被告Cリツイートが引用する本件ツイート4は,その投稿者である被告AもDの主張の提供であると位置づけておらず,そのような表示もなく,Dの主張を的確に反映したものであるとも認められない(本件イラスト4-1は,「枕営業大失敗」とするものであるが,Dが原告による枕営業の事実を主張 するものでないことは,前記3イにおいて認定・説示したとおりである。)。 したがって,被告Cの上記主張は,その前提を欠くものであり,採用することができない。 ⑷ また,被告Cは,同人のフォロワーは,歴史や漫画などのネタに興味を有する者であり,被告Cは思想的に中立 。 したがって,被告Cの上記主張は,その前提を欠くものであり,採用することができない。 ⑷ また,被告Cは,同人のフォロワーは,歴史や漫画などのネタに興味を有する者であり,被告Cは思想的に中立的な立場から,原告に対して関心を持たな いフォロワーに対し,漫画ネタの一つとしてリツイートしたにすぎないと主張する。 しかし,被告Cは,本件性被害ないし原告についてのツイートを何度もリツイートしている(認定事実⑵イ及びウ)。さらには,原告代理人から,本件訴訟提起の連絡を受けてからも原告に批判的なツイートを複数回リツイートして いる(認定事実⑵エ,オ及びカ)。そうすると,被告Cリツイートは,その前後の投稿を見ても,漫画ネタの一つとしてしたものとはいえず,本件ツイート4の内容に賛同する表現行為としてなされたと認められる。 被告Cの上記主張は,上記判断を左右するものではない。 9 争点⑶イ(被告Cリツイートに係る違法性阻却事由の有無)について ⑴ 被告Cは,名誉毀損については,表現行為が公共の利害に関する事実に関するものであり,その目的が専ら公益を図るものである場合において,摘示された事実がその重要な部分において真実であることの証明があるときは,違法性が阻却されて不法行為が成立しないというべきであるところ,被告Cリツイートは公共的・公益的議論に資する情報を提供するものであるから,不法行為は 成立しないと主張する。 しかし,被告Cは,被告Cリツイートに係る違法性阻却事由につき,上記主張以上に具体的な主張及び立証をしておらず,被告Cリツイートが違法性を欠くと認めることはできない。 ⑵ 以上より,被告Cは,被告Cリツイートをしたことにつき,原告に対する不法行為責任を負うというべきである。 をしておらず,被告Cリツイートが違法性を欠くと認めることはできない。 ⑵ 以上より,被告Cは,被告Cリツイートをしたことにつき,原告に対する不法行為責任を負うというべきである。 10 争点⑶ウ(損害額)について被告Cリツイートの元ツイートである本件ツイート4は,原告が主張する本件性被害が虚偽の主張であることなどを摘示するものであって,原告の社会的評価に与える影響が決して小さいものではないこと,その他本件にあらわれた一切の事情を考慮すると,被告Cリツイートにより原告が被った精神的苦痛に 係る損害額は,10万円と認めるのが相当である。 また,被告Cの不法行為と相当因果関係を有する弁護士費用相当額は,1万円と認めるのが相当である。 第4 結論よって,原告の被告Aに対する請求は,88万円及びこれに対する令和2年5 月16日から支払済みまで年3分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却し,原告の被告Bに対する請求は,11万円及びこれに対する令和2年7月19日から支払済みまで年3分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却し,原告の被告Cに対する請求は,11万円 及びこれに対する令和2年7月19日から支払済みまで年3分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第12部 裁判長裁判官小田正二 裁判官松下絵美 裁判官町田翼 裁判官小田正二 裁判官松下絵美 裁判官町田翼 判決書の別紙(別紙「謝罪広告の内容」,別紙1,別紙2,別紙3,別紙3-1,別紙4,別紙4-1,別紙4-2,別紙4-3,別紙4-4,別紙5,別紙5-1,別紙6,別紙7)は,記載を省略。

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