昭和59(し)20 保護処分取消事件についてした抗告棄却決定に対する再抗告

裁判年月日・裁判所
昭和60年4月23日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  本件抗告の趣意は、判例違反、憲法三一条違反をいう点を含め、実質はすべて事 実誤認の主張であつて、少年法三五条一項の抗告理

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判決文本文2,152 文字)

主文本件抗告を棄却する。 理由本件抗告の趣意は、判例違反、憲法三一条違反をいう点を含め、実質はすべて事実誤認の主張であつて、少年法三五条一項の抗告理由に当たらない。 なお、所論にかんがみ職権をもつて調査するに、本件非行事実につき少年が初めて警察官の事情聴取を受けた際の状況を逐一録音したテープの内容を検討してみると、少年は、警察官に迎合したり臆したりするところもなく、極めて自然に本件非行事実を自白しているのみならず、その内容は、概ね客観的事実に符合している上、体験者でなければ供述し得ない事実を含んでいる。少年は、事情聴取開始後いくばくもなく右自白を始めているのであり、その間、本件取消事件の手続において少年が主張しているような、「いくら弁明しても信用してもらえず、警察官の誘導によつて、知らない事実を知つているかのように自白させられた」などという状況は全く認められない。少年は、その後本件逮捕に至る数日間の在宅期間中に、実母及び担任の教諭に対しても、本件非行を認めており、その後の捜査及び家庭裁判所の調査・審判の段階においても一貫してその自白を維持し、本件非行の状況を具体的詳細に供述しているのであつて、これらの事実に照らすと、少年の自白には、任意性があることはもちろん、高度の信用性があると認められる。 そして、少年が事件発生に近接した時刻にその現場の近くを徘徊していたのを第三者が目撃していること、被害者の血痕の始点付近に少年の靴と同種同型で製造特徴及び使用特徴の酷似する足跡が遺留されていること、少年が現場に遺留された兇器と同種同型のナイフを事件の数日前に購入したことを販売店の従業員が確認していることなどは、右自白を補強し、その信用性を高めるものである。 このように、捜査の当初から本件非行を認めて に遺留された兇器と同種同型のナイフを事件の数日前に購入したことを販売店の従業員が確認していることなどは、右自白を補強し、その信用性を高めるものである。 このように、捜査の当初から本件非行を認めてその状況を詳細に供述し、家庭裁- 1 -判所の調査・審判においてもその自白を維持したまま、少年院に送致されて収容処遇を受けていた少年が、収容後九か月も経過して初めて本件非行を否認するに至り、その供述に基づいて、少年の自宅の押入れの中から本件事件現場に遺留されていた兇器と同種同型のナイフが新たに発見されたというのであるが、もしその供述にいうとおり少年が本件非行を犯していないのなら、どうして捜査又は調査・審判の段階において右新発見にかかるナイフの存在に言及して無実を主張しなかつたか、少年の知能程度を考慮に入れても理解し難いものがあるのみならず、少年が右のごとき否認供述をするに至つたについては、面会者において否認の慫慂ともとれる発言があつたなど、不自然、不透明な状況もうかがわれ、加えて、その後の否認供述の内容には、数々の矛盾、客観的事実との齟齬、あるいは変転が認められ、それらは、新たに発見されたというナイフに関する説明の点を含めて、単なる記憶の混乱とか、質問に対する少年の応対能力の不足等の理由をもつてしては説明し切れない不自然さを示しているのであつて、これらのことにかんがみると、少年の否認供述は、信用に値するものとはいい難い。 所論が少年の供述に基づいてその自宅の押入れから新たに発見したと主張するナイフは、柏市内で多数販売されていていつでも容易にこれを購入し得るものであつて、前記のごとき少年の否認供述の不自然さなどと併せ考えると、右新発見にかかるというナイフが、事件当日少年が携行していたナイフであるとは認め難く、その存在も、本件非行事実の認定を 入し得るものであつて、前記のごとき少年の否認供述の不自然さなどと併せ考えると、右新発見にかかるというナイフが、事件当日少年が携行していたナイフであるとは認め難く、その存在も、本件非行事実の認定を覆すに足りるものではない。 なお、少年の右手の包帯等に返り血が付着していないことが、原決定が推認するように、本件刺突の態様が胸部次いで腕部の二度突きであつたことによるものとすれば、少年の自白する刺突態様と一致しないことになるが、一瞬の間の出来事に関することであつて少年の記憶違いがあることもあながち否定できないところであるから、この点をとらえて少年の自白全体の信用性を否定する事由とはなし難いとし- 2 -た原判断も、格別不合理なものとは認められない。 以上の諸点と本件その余の関係証拠を総合すると、所論指摘の諸点は、いずれも本件確定審判の非行事実の認定を覆すに足りるものとは認め難く、少年法二七条の二第一項にいう少年に対する審判権がなかつたことを認め得る明らかな資料が発見された場合に当たらないと認めるのが相当であつて、これと同旨の原原決定を是認した原決定の結論は正当である。 よつて、少年審判規則五三条一項、五四条、五〇条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 昭和六〇年四月二三日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官木下忠良裁判官鹽野宜慶裁判官大橋進裁判官牧圭次裁判官島谷六郎- 3 - 牧圭次裁判官島谷六郎- 3 -

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