令和5(ワ)1381 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年10月2日 広島地方裁判所
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判決文本文4,823 文字)

主文 1 被告は、原告に対し、2億3806万1169円及びこれに対する平成26年12月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。ただし、被告が1 000万円の担保を供するときは、その仮執行を免れることができる。 事実及び理由 第1 請求主文第1項と同旨。 第2 事案の概要等 1 事案の概要原告の住民らは、被告が地方自治法(以下「法」という。)232条の2に反する補助金の交付に関する支給決定を行ったこと等を理由に、庄原市長に対し、被告への損害賠償金2億3806万1169円(以下「本件損害賠償金」という。)の請求を求める住民訴訟を提起し、同請求を命じる判決は確定した(以下、確定 した判決の内容を「本件判決」という。)。原告は、これを受けて被告に対し法242条の3第1項に基づく支払請求をしたが、被告は同請求に応じなかった。 本件は、原告が、被告に対し、法242条の3第2項に基づき、本件損害賠償金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当裁判所に顕著な事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨によって 容易に認定できる事実)⑴ 被告は、平成17年4月17日から平成25年4月16日までの間、原告の市長の地位にあった者である。 ⑵ 原告は、平成19年3月8日、株式会社Aと協定を締結して木質バイオマス関連事業を行うことにした。同事業のうちの排ガス浄化液等バイオマス関連製 造事業(以下「本件事業」という。)については、平成20年度以降、株式会社 Aの製造部門を担当する会社として設立されたB株式会社が実施主体とされた。 ⑶ B株式会社は オマス関連製 造事業(以下「本件事業」という。)については、平成20年度以降、株式会社 Aの製造部門を担当する会社として設立されたB株式会社が実施主体とされた。 ⑶ B株式会社は、平成20年10月6日付けで原告に対し本件事業への補助金3億1420万の交付申請をした。原告は、上記申請を受けて、同日付けで中国四国農政局に対し本件事業への補助金3億1420万円の交付申請をし、中 国四国農政局は、同月8日付けで原告に対し補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(以下「補助金適正化法」という。)6条1項に基づく補助金を交付する旨を決定(以下「本件農政局交付決定1」という。)した。被告は、同月10日付けでB株式会社に対し本件事業への補助金3億1420万円を交付する旨の決定(以下「本件交付決定1」という。)をし、原告は、平成21年 5月11日、この決定に基づきB株式会社に対し補助金3億1420万円を交付した(以下、この補助金を「本件補助金1」という。)。 ⑷ B株式会社は、平成21年5月29日付けで原告に対し本件事業への補助金として3億9222万5000円の交付申請をした。原告は、上記申請を受けて、同年6月12日付けで中国四国農政局に対し平成21年度分の本件事業へ の補助金として3億9222万5000円の交付申請をし、中国四国農政局は、同月22日付けで原告に対し補助金適正化法6条1項に基づく補助金を交付する旨を決定(以下、本件農政局交付決定1と併せて「本件農政局各交付決定」という。)した。被告は、同月26日付けで、B株式会社に対し、本件事業への補助金3億9222万5000円を交付する旨の決定(以下、本件交付決定1 と併せて「本件各交付決定」という。)をし、原告は、平成22年4月30日、この決定に基づきB 式会社に対し、本件事業への補助金3億9222万5000円を交付する旨の決定(以下、本件交付決定1 と併せて「本件各交付決定」という。)をし、原告は、平成22年4月30日、この決定に基づきB株式会社に対し補助金1億4783万8000円(平成21年度本件事業分3億9222万5000円から同年度繰越分として承認を受けた2億4438万7000円を控除した金額)を交付した(以下、この補助金を本件補助金1と併せて「本件各補助金」という。)。 ⑸ 株式会社A及びB株式会社は、平成22年11月30日、営業を停止した。 原告は、平成26年11月27日付けで中国四国農政局に対し本件事業の中止を届け出たが、中国四国農政局は、B株式会社に不適切な経理処理が認められるとして、同年12月1日付けで、本件農政局各交付決定に基づいて原告に交付した補助金のうちの合計2億3156万1169円について本件農政局各交付決定を取り消すこととし、原告に対して同額の返還を命じた。 また、原告は、同月5日付けで中国四国農政局に対しB株式会社による未承認の財産処分が補助金適正化法等に違反する旨を報告し、当該財産に係る交付金の返還を申し出た。中国四国農政局は、同月8日付けでこれを了承し、原告に対し、当該財産に係る交付金相当額650万円を同月26日までに納入するよう通知した。 ⑹ 原告は、平成26年12月19日、中国四国農政局に対し、2億3156万1169円(補助金返還分)と650万円(未承認財産処分相当額)の合計2億3806万1169円を返還した。 ⑺ 原告は、B株式会社に対し、平成26年12月3日には、本件各交付決定の一部を取り消し、事業不適正分として2億3806万1169円を返還するよ う命じ、同月5日には、本件各交付決定の一部を取り 原告は、B株式会社に対し、平成26年12月3日には、本件各交付決定の一部を取り消し、事業不適正分として2億3806万1169円を返還するよ う命じ、同月5日には、本件各交付決定の一部を取り消し、事業中止分として2億1262万3952円を返還するよう命じたが、いずれも返還はなされなかった。 ⑻ 原告の住民ら(以下「本件住民ら」という。)は、平成27年4月30日付けで、庄原市監査委員に対し、庄原市長が被告に対して合計2億3806万11 69円及びこれに対する遅延損害金の支払請求を怠っていることは違法であるとして、必要な措置を講じるよう求める住民監査請求をしたが、庄原市監査委員は、同年6月25日付けで、前記監査請求を棄却した。 (甲1)⑼ 本件住民らは、平成27年7月21日、法242条の2第1項4号に基づき、 庄原市長に対し、被告に本件損害賠償金を請求することを求める住民訴訟(平 成27年(行ウ)第17号。以下「本件住民訴訟」という。)を広島地方裁判所に提起した。同訴訟では、①本件各補助金の交付は法232条の2に反しているか、②仮に反している場合、本件各補助金を交付する旨の本件各交付決定を行った被告に故意または過失が認められるか、③B株式会社の未承認の財産処分について、被告が損害賠償責任を負うか、④被告の行為と原告の損害との間 に相当因果関係が認められることが、争点となった。被告は、本件住民訴訟に補助参加した。(甲1)⑽ 広島地方裁判所は、令和4年3月30日、①当時の状況からすれば、本件各補助金の交付は法232条の2に反するものと認めるのが相当である、②本件で認められる事実を総合的に判断すれば、上記補助金を交付する旨の本件各交 付決定を行った被告の判断には過失が認められる、③原告が被った損害は 32条の2に反するものと認めるのが相当である、②本件で認められる事実を総合的に判断すれば、上記補助金を交付する旨の本件各交 付決定を行った被告の判断には過失が認められる、③原告が被った損害は被告による違法な本件各交付決定によって発生したものと認められるから、被告の行為と原告の損害との間の因果関係も認められるとして、被告は原告に対し不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償債務を負うと判断し、執行機関である庄原市長において本件損害賠償金を被告に請求することを命じる判決を言い 渡した。 庄原市長は、広島地方裁判所の判決を不服として広島高等裁判所に控訴を提起したが、同裁判所は、広島地方裁判所の判決と概ね同様の理由を掲げて(なお、未承認の財産処分に関し被告の監督管理上の過失が認められる旨を追記した。)、令和5年1月11日に控訴を棄却する判決を言い渡した。庄原市長は、 同判決を不服として最高裁判所に上告受理を申し立てたが、同裁判所は、同年5月31日に上告不受理決定をした。これにより、本件住民訴訟の判決は、同日、確定した。 (甲1~3)⑾ 原告は、令和5年6月14日、法242条の3第1項に基づき、被告に対し、 本件損害賠償金の支払を請求したが、被告は、本件判決の確定の日から60日 が経過しても同損害賠償金を支払わなかった(甲6、7)。 3 当事者の主張⑴ 原告の主張本件判決において、本件各補助金の交付は法232条の2に反する違法なものと認められ、また、被告には違法な補助金交付に係る本件各交付決定を行っ た過失及び未承認の財産処分に関する監督管理上の過失が認められ、さらに、中国四国農政局に返還した合計2億3806万1169円(本件各補助金のうち合計2億3156万1169円及び未承認の財産処分相 た過失及び未承認の財産処分に関する監督管理上の過失が認められ、さらに、中国四国農政局に返還した合計2億3806万1169円(本件各補助金のうち合計2億3156万1169円及び未承認の財産処分相当額650万円)は原告の損害であることが認められた。 被告は、本件判決の参加的効力を受けるため、上記の違法性並びに過失及び 損害の発生を争うことはできない。 ⑵ 被告の主張否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 前記第2の2⑼のとおり、被告は、本件住民訴訟に補助参加人として参加した 者であり、参加的効力の適用除外事由(民事訴訟法46条各号)も認められないため、本件住民訴訟の確定判決である本件判決は、原告と被告との間においても効力を有することになる(法242条の3第4項、民事訴訟法46条柱書)。 確定判決の参加的効力は、判決の主文に包含された訴訟物たる権利関係の存否の判断だけでなく、その前提として判決の理由中でされた事実の認定や先決的権 利関係の存否の判断にも及ぶ(最高裁昭和45年10月22日第一小法廷判決・民集24巻11号1583頁参照)ところ、判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否の判断とは、判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断等をいうとされる(最高裁平成14年1月22日第三小法廷判決・集民205号93頁参照)。そして、前記第2の2⑽記載のとおり、 本件判決により、本件各補助金の交付が法232条の2に反していると判断され ていること、本件各補助金を交付する旨の本件各交付決定を行った被告の判断には過失が認められること、未承認の財産処分に関しても被告に管理監督上の過失が認められていること及び被告の違法な行為と原告の損害との因果関係が認められていることから 本件各交付決定を行った被告の判断には過失が認められること、未承認の財産処分に関しても被告に管理監督上の過失が認められていること及び被告の違法な行為と原告の損害との因果関係が認められていることからすれば、被告はこれらの点について本件訴訟において争うことができないことになるため、被告は、原告に対し、不法行為又は債務不履行に 基づき、本件損害賠償金の支払義務を負うこととなる。 2 結論以上によれば、原告の請求には理由があるから認容することとし、主文のとおり判決する。 広島地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官大浜寿美 裁判官長谷川翔大 裁判官森谷謙太

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