令和2(行コ)212 観察処分期間更新決定取消等請求控訴、訴えの追加的変更申立て請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年9月8日 東京高等裁判所
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判決文本文32,069 文字)

- 1 -令和3年9月8日判決言渡 同日判決原本領収令和2年(行コ)第212号,令和3年(行コ)第113号 観察処分期間更新決定取消等請求控訴,訴えの追加的変更申立て請求事件(原審・東京地方裁判所平成30年(行ウ)第289号) 5主 文1 本件控訴を棄却する。 2 当審で追加された控訴人の差止めの訴えを却下する。 3 訴訟費用は,第1,2審を通じて控訴人の負担とする。 事実及び理由 10第1 当事者の求めた裁判1 控訴の趣旨 原判決を取り消す。 処分行政庁が,平成30年1月22日付けで,AことBを教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め,これを実現することを目的とし,同人が主15宰し,同人及び同教義に従う者によって構成される団体に対してした,原判決別紙2決定目録記載第1の決定のうち,Cらの集団こと控訴人に関する部分を取り消す。 処分行政庁が,平成12年1月28日付けで,AことBを教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め,これを実現することを目的とし,同人が主20宰し,同人及び同教義に従う者によって構成される団体に対してした,原判決別紙2決定目録記載第2の決定の効力が,Cらの集団こと控訴人に対して及ばないことを確認する。 2 当審における追加請求の趣旨処分行政庁は,平成12年1月28日付けで,AことBを教祖・創始者とす25るオウム真理教の教義を広め,これを実現することを目的とし,同人が主宰し,- 2 -同人及び同教義に従う者によって構成される団体に対してした,原判決別紙2決定目録記載第2の決定の効力について,Cらの集団こと控訴人に効力を及ぼそうとする更新決定をしてはならない。 第2 事案の概要(以下,略称は,新たに定義しない限り, る団体に対してした,原判決別紙2決定目録記載第2の決定の効力について,Cらの集団こと控訴人に効力を及ぼそうとする更新決定をしてはならない。 第2 事案の概要(以下,略称は,新たに定義しない限り,原判決の例による。)1 本件は,原審において,控訴人が,①処分行政庁が,無差別大量殺人行為を5行った団体の規制に関する法律(団体規制法)5条3項から5項までに基づき,「AことBを教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め,これを実現することを目的とし,同人が主宰し,同人及び同教義に従う者によって構成される団体」(本団体)に対してした,公安調査庁長官の観察に付する処分(原判決別紙2決定目録記載第2の決定。本件観察処分)の期間更新等に係る平成3010年1月22日付けの決定(同目録記載第1の決定。本件更新決定)について,本件更新決定のうち控訴人に関する部分の取消しを求める(以下「本件取消請求」といい,同請求に係る訴え又は取消訴訟を「本件取消しの訴え」又は「本件取消訴訟」という。)とともに,②本件観察処分の効力が控訴人に対して及ばないことの確認を求めた(本件確認の訴え)事案である。 152 原判決は,控訴人の本件確認の訴えを,確認の利益を欠き不適法であるとして却下し,本件取消請求を棄却した。そこで,控訴人が原判決の全部を不服として控訴した。 3 控訴人は,当審において,行政事件訴訟法19条1項に基づき,本件取消訴訟の関連請求に係る訴えに当たるので追加的に併合提起するとして,処分行政20庁が本件観察処分の効力をCらの集団こと控訴人に効力を及ぼそうとする更新決定をすることの差止めを求める訴え(以下「本件差止めの訴え」といい,上記差止請求を「本件差止請求」という。)を提起したが(以下「本件追加的併合の申立て」という。),被控訴人は,こ ぼそうとする更新決定をすることの差止めを求める訴え(以下「本件差止めの訴え」といい,上記差止請求を「本件差止請求」という。)を提起したが(以下「本件追加的併合の申立て」という。),被控訴人は,これに同意しない。 4 「団体規制法の定め」,「前提事実」,「争点」及び「争点に関する当事者25の主張」は,原判決を後記5のとおり補正し,当審における控訴人の主張を後- 3 -記6のとおり付加するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 5 原判決の補正 原判決4頁25行目末尾に,行を改めて以下のとおり加える。 「オ 原審は,令和2年9月29日,控訴人の本件確認の訴えを却下し,その5余の請求を棄却する原判決をした。これに対し,控訴人は,同年10月13日,本件控訴を提起した。 カ 処分行政庁は,令和3年1月6日,本件観察処分の期間を3年更新するとともに報告事項を定める旨の決定(別紙2決定目録記載の決定。以下「令和3年更新決定」という。)をし,控訴人を中心とする集団(Cらの10集団),Aleph及びひかりの輪のそれぞれの代理人に通知し,その後,官報に公示した(弁論の全趣旨)。 キ 控訴人は,令和3年3月16日,同日付けの訴えの変更申立書をもって本件追加的併合の申立てをし,同申立書は,同月18日,被控訴人に送達された。 15被控訴人は,同月31日,本件追加的併合の申立てに同意しない旨の同日付け回答書を当裁判所に提出した。 ク 令和3年4月23日の当審第1回口頭弁論期日において,控訴人は,前記キの訴えの変更申立書を陳述し,本件差止請求について,本件取消請求との関係で,行政事件訴訟法13条6号所定の「その他当該処分又は裁決20の取消しの請求と関連 口頭弁論期日において,控訴人は,前記キの訴えの変更申立書を陳述し,本件差止請求について,本件取消請求との関係で,行政事件訴訟法13条6号所定の「その他当該処分又は裁決20の取消しの請求と関連する請求」に当たると主張するとともに,本件差止めの訴えについて,本件取消しの訴えと同一手続内で審判されることを前提とし,専らかかる併合審判を受けることを目的として提起したものであると主張した。これに対し,被控訴人は,前記キの回答書を陳述し,本件追加的併合の申立てに同意しなかった。」25原判決14頁3行目の「異にすると至った」を「異にするに至った」に改- 4 -める。 原判決22頁4行目の「異にすると至った」を「異にするに至った」に改める。 6 当審における控訴人の主張 争点(Cらの集団が団体規制法にいう「団体」に該当すること等により,5本団体に包摂されるか否か,その他,Cらの集団が本団体に包摂されるとすることは違法か否か)に関する補充主張ア 控訴人らは「団体」ではないこと精神的・宗教的側面を重視して団体性を判断することは,団体規制法1条ないし3条の規定の趣旨に反し,信教の自由を不当に制限すること10になるから,団体性の判断は,専らその集団の世俗的側面を対象とし,かつ,専ら世俗的目的に依拠した基準によるべきであり,また,「共同目的」という抽象的かつ主観的な要素ではなく,「多数人の継続的結合体」といえるかどうかという具体的かつ客観的な要素によって検討すべきである。最高裁判所平成8年(ク)第8号同年1月30日第一小法廷15決定・民集50巻1号199頁も,宗教法人「オウム真理教」についてされた宗教法人法に基づく解散命令が憲法20条1項に違反しないと判断した根拠の一つとして,宗教法人法81条に規定 日第一小法廷15決定・民集50巻1号199頁も,宗教法人「オウム真理教」についてされた宗教法人法に基づく解散命令が憲法20条1項に違反しないと判断した根拠の一つとして,宗教法人法81条に規定する解散命令の制度が「専ら宗教法人の世俗的側面を対象とし,かつ,専ら世俗的目的によるものであって,宗教団体や信者の精神・宗教的側面に容かいする意図20によるものではなく」,「解散命令は信者の宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果を一切伴わない」ことを挙げている。 控訴人らの集まりを,専ら世俗的側面を対象とし,かつ,専ら世俗的目的に依拠した基準により分析すると,「多数人の継続的結合体」といえるだけの実態がない。 25控訴人らには,共同目的を達成するための意思決定機関や意思決定を- 5 -実現する組織はなく,個々人の意思を離れて集団としての意思決定をするに足りる組織性はないから,個々人の意思を離れて「継続的」に「結合」することはできない。経済面においても,控訴人らに,個々人の意思を離れた収入や支出は存在せず,収入や支出はセミナー開催によるものも含めて,すべて控訴人やDが個人で計上している。「Cらの集団」5なるものの銀行口座や帳簿はなく,月々の会費もお布施もない。無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律施行令(以下「団体規制法施行令」という。)2条所定の資産・負債として報告する事項も,控訴人個人のものを除き,皆無であった。控訴人らを,団体規制法の対象とされているAlephやひかりの輪と比較すると,控訴人らの集まり10には団体名すらなく,団体性の無さは一層明らかである。 原判決は,①控訴人及びDらが代理人弁護士を通じてAlephに対して送付した平成27年1月30日付け通知書の記載内容,②「対象者聞き取りリ には団体名すらなく,団体性の無さは一層明らかである。 原判決は,①控訴人及びDらが代理人弁護士を通じてAlephに対して送付した平成27年1月30日付け通知書の記載内容,②「対象者聞き取りリスト」の作成や宗教的な勧誘活動,③団体規制法により提出を義務付けられた報告書に記載した構成員の数,④α施設の存在を根拠15として,控訴人らに「共同目的」があると認定しているが,同認定は,以下のとおり,宗教的な側面や目的に全面的に依拠し,世俗的な側面や目的を無視し,形式的な資料や事実を曲解するものであり,誤りである。 すなわち,原判決は,控訴人及びDらが上記①の通知書において「宗教的理念に賛同してくれる方については,受け入れるつもりです」と表20明したことを理由に,控訴人が「集団を形成」する方針を有していたと認定しているが,上記①の通知書は,控訴人が,Alephの執行部から宗教的な迫害を受け,かろうじてAlephの施設から逃れ,Dの援助を得てようやく生活が落ち着き,自らの信仰活動を実践できるようになった際に,Alephとの決別の意思表明をするために送付したもの25であり,上記の「受け入れるつもり」という表現も,控訴人の宗教的理- 6 -念に賛同してくれる者と共に宗教的活動を実践するという趣旨を述べたものであって,そこには団体を旗揚げするなどの世俗的側面や世俗的目的を読み取ることはできない。このように,専ら宗教的な目的・意図に基づく上記①の通知書の内容に基づいて,世俗的な目的のために定められた団体規制法の「団体」性を認めることは,団体規制法の禁止する信5教等の自由と権利に対する不当な制限に当たる。 また,上記②の「対象者聞き取りリスト」は,α施設があるEの居宅から発見されたにすぎず,控訴人やEの所有物ではないばかりか,控訴 法の禁止する信5教等の自由と権利に対する不当な制限に当たる。 また,上記②の「対象者聞き取りリスト」は,α施設があるEの居宅から発見されたにすぎず,控訴人やEの所有物ではないばかりか,控訴人らの集まりが団体として作成・保有するものでもない。控訴人らが「対象者聞き取りリスト」を基に勧誘活動をしたこともない。 10さらに,上記③の報告書に記載された構成員数については,控訴人は,上記報告書作成当時から,控訴人らが団体規制法の適用対象とされることを全面的に争っており,上記報告書には構成員として控訴人とDのみを記載して提出する予定であったが,公安調査庁から控訴人と宗教活動を共にするメンバーをすべて記載するよう強硬に要求されたため,やむ15なくα施設において宗教活動を実践する機会があるメンバーの名前を記載したにすぎない。 上記④のα施設についても,東京近郊のメンバーが宗教活動をするに当たり,Eの好意で,Eが賃借するマンションの一室を借り受けて利用しているにすぎないものであり,βの拠点と連携しているようなことも20なく,α「支部」の実態はない。 イ 「包摂」という概念は違憲であり,また,控訴人らは本団体に包摂されないこと 「包摂」という解釈は憲法31条に違反すること原判決は,Cらの集団は本団体に「包摂」されるから,本団体に対す25る本件観察処分の効力を及ぼしてもよいと判示する。しかし,「包摂」- 7 -の意義については「当初団体との連続性を有することにより,観察処分の対象とされた団体に包摂されるものと評価する」と判示するに止まり,上記の「連続性」が,組織的な連続性,人的連続性,経済的連続性,社会的連続性のいずれを意味するのかも明らかにしていない。漠然かつ不明確な「包摂」という基準をもって,控訴人に本件観察処 するに止まり,上記の「連続性」が,組織的な連続性,人的連続性,経済的連続性,社会的連続性のいずれを意味するのかも明らかにしていない。漠然かつ不明確な「包摂」という基準をもって,控訴人に本件観察処分という不利5益処分の効力を及ぼしてよいものとし控訴人らの信教の自由を制約することは,憲法31条に違反する。 また,原判決は,「包摂」される団体に観察処分の効力を及ぼしたとしても,「分派,分裂前から及んでいた効力が引き続き及ぶにすぎない」から,憲法31条に違反しないと判示する。しかしながら,「分派,分10裂前から及んでいた効力」は,あくまでも「当初団体」に及ぶものであって,分派,分裂した個人や新たな組織に及ぶものではない。分派,分裂した集団のメンバーは,「分派,分裂前から及んでいた効力」が引き続き及ぶのではなく,公安調査庁ないし公安調査官個人が当該集団を特定し本団体に「包摂」されると判断した時から,突然,全く新たな効力15を受けることになるのである。 この場合,公安調査庁や公安調査官に「包摂」の認定をする権限を付与することを定める法令の規定は存在しない。それにもかかわらず,公安調査庁ないし公安調査官が本団体に「包摂」されると判断した集団に観察処分の効力が及ぶと解することは,法律の規定に基づかずに,公安20調査庁ないし公安調査官個人に「包摂」の認定をする強大な権限を付すことになり,団体規制法が,観察処分の効力の強大さに鑑み,準司法機関的性格を有する公安審査委員会を観察処分の主体と定め,慎重で詳細な手続規制(団体規制法12条ないし17条,23条ないし25条等)を設けた意味を無にするものである。法律で定められていない「包摂」25という抽象的な要件を創設し,更新決定を繰り返すことにより,団体規- 8 -制法が詳細に定めた 7条,23条ないし25条等)を設けた意味を無にするものである。法律で定められていない「包摂」25という抽象的な要件を創設し,更新決定を繰り返すことにより,団体規- 8 -制法が詳細に定めた手続規制を潜脱することは許されない。原判決の判断は,憲法31条並びに団体規制法及びその関連法令に違反し,違憲・違法である。 宗教的要素のみに着目してCらの集団が本団体に「包摂」されると認定することは憲法20条及び21条1項に違反する(適用違憲)こと5原判決は,Cらの集団が本団体に包摂されると判断した根拠として,①控訴人がBに対し絶対的に帰依し,修行を積んでおり,Alephから離脱した経緯は教義をめぐるものではないこと,②Cらの集団がオウム真理教の教義を深く受容する者らによって構成されていること,③施設内にBの写真やBを投影した神仏の宗教画を掲出し,Bに対する個人10崇拝を浸透させていること,④Bの説法が収録された教本,機関紙,DVD等を保管していること,⑤立位礼拝,甘露水等を用いた修行を行っていることなどを挙げるが,これらは全て宗教的要素である。原判決は,結局,オウム真理教の教義を信仰し,オウム真理教の修行方法を履践する場合には,オウム真理教という団体と連続性があると判断しているの15である。 しかしながら,観察処分の本質的な要素は,団体としての危険性であり,団体規制法は,宗教的な要素には着目していない。オウム真理教が大規模なテロ活動に及んだ要因は,宗教的要素のみではなく,宗教的要素に特異な世俗的要素が相俟ってテロ活動に至る危険が生じたものであ20るところ,上記の世俗的要素とは,①上命下服・上位下達を実現する省庁制に代表される官僚組織,②大規模なテロ計画を立案し実現するために必要な人的・経済的リソース,③テロ活動の が生じたものであ20るところ,上記の世俗的要素とは,①上命下服・上位下達を実現する省庁制に代表される官僚組織,②大規模なテロ計画を立案し実現するために必要な人的・経済的リソース,③テロ活動の実践を決断するカリスマ的な代表者をはじめとする幹部たちの存在である。 これらの世俗的要素を無視し,宗教的要素にのみ着目して「連続性」25を議論することは,団体規制法の趣旨に反して無意味なだけでなく,信- 9 -仰・結社・集会等の宗教活動・信仰内容に直接容かいすることにほかならないから,憲法20条及び21条1項に違反する。 Cらの集団は本団体に包摂されないこと宗教的要素を排除して,世俗的観点から,オウム真理教・AlephとCらの集団の関係をみると,以下のとおり,連続性は皆無であるから,5Cらの集団が本団体に包摂されると評価することはできない。 a 代表オウム真理教・Alephの代表は,B又はその後継者であり,信徒の宗教的ステージを認定したり,世俗的職務を任命したりする権限を有している。これに対し,Cらの集団の代表者は,一信徒であった10控訴人であり,他者の宗教的ステージを認定することはできない。 b 組織性オウム真理教・Alephには,省庁制に代表される官僚的組織があるのに対し,Cらの集団には,世俗的にも宗教的にも組織的な要素がない。 15c 綱領・規則等オウム真理教・Alephには,詳細な綱領・規則・ルールが存在するのに対し,Cらの集団には綱領等がない。 d 経済的基盤オウム真理教・Alephには,布施・会費等による組織的・継続20的な徴収制度に基づき潤沢な資金があるのに対し,Cらの集団には,ほとんど資金がない(原判決の認定によっても,1月当たり数十万円の収入がある程度である。)。 ,布施・会費等による組織的・継続20的な徴収制度に基づき潤沢な資金があるのに対し,Cらの集団には,ほとんど資金がない(原判決の認定によっても,1月当たり数十万円の収入がある程度である。)。 e 構成員の数オウム真理教の構成員の数は数千人から1万人以上であり,Ale25phも数百人以上であるのに対し,Cらの集団の構成員の数は,実際- 10 -は2名(原判決の認定では17名)にすぎない。 f 構成員の特徴Alephの設立当時の構成員には,オウム真理教の幹部信者やその他信者が多数含まれていたが,Cらの集団の構成員は,控訴人及びDを含む8名がオウム真理教の元信者であったに止まり,その他のメ5ンバーはオウム真理教と関係がない。 g 設立の経緯Alephは,オウム真理教の後継団体として設立されたのに対し,Cらの集団は,Alephから迫害された控訴人がやむなく離脱して,独立して宗教活動に従事するようになったものである。 10 争点(Cらの集団を含む本団体が団体規制法5条1項各号に該当するか否か)に関する補充主張ア 団体規制法5条1項1号該当性控訴人らは,団体規制法5条1項1号に該当しない。 イ 団体規制法5条1項5号該当性15団体規制法5条1項5号の「無差別大量殺人行為の実行に及ぶ危険性」とは,過去に,その役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体について,無差別大量殺人行為という観点から見た場合に,当該団体が,過去の無差別大量殺人行為の実行当時の団体の属性をも考慮しつつ,現時点において,その属性として無差別大量殺20人行為の実行に関連性を有する危険な要素をどの程度具備しているかを問題とするものである。 控訴人らは,オウム真理教の教義を受容し しつつ,現時点において,その属性として無差別大量殺20人行為の実行に関連性を有する危険な要素をどの程度具備しているかを問題とするものである。 控訴人らは,オウム真理教の教義を受容しているものの,反社会的で危険な部分を除く部分のみを受容しており,無差別大量殺人行為を肯定しているわけではない。控訴人らは,位階制や省庁制を採用しておらず,25オウム真理教の後継団体であるAlephと決別しており,わずか十数- 11 -名の集団であって,オウム真理教やAlephとはおよそ別の性質を持つものであり,現時点において,その属性として無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素を持たない。 団体規制法5条1項5号は,同項1号ないし4号に規定する場合以外であっても,団体の属性として,これらと同種あるいは類似の無差別大5量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素が認められる場合には,当該団体を観察処分に付すことを明らかにしたものであり,同項5号所定の事実としては,例えば,構成員に対し,過去の無差別大量殺人行為の正当性等を含む内容の指導を行っていることなどが挙げられる。 原判決は,控訴人らについて,団体規制法5条1項1号に関して認定10した事実のみをもって同項5号該当性を肯定しているが,こうした認定判断は,同号が「前各号に掲げるもののほか,当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実があること。」と定めている趣旨に明らかに反する。 控訴人は,過去の無差別大量殺人行為が正当なものであるとは考えて15おらず,公安調査庁が「Cらの集団」の構成員とみなす人々に対し,そのような指導を行っているということもない。 以上のとおり,控訴人らは団体規制法5条1項5号に該当しない。 争 15おらず,公安調査庁が「Cらの集団」の構成員とみなす人々に対し,そのような指導を行っているということもない。 以上のとおり,控訴人らは団体規制法5条1項5号に該当しない。 争点(Cらの集団を含む本団体について引き続き活動状況を継続して明らかにする必要があるか否か)に関する補充主張20ア 観察処分に付された団体が,観察期間の更新時に,団体規制法5条1項各号の事由のいずれかに該当し,なお無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険性を具有している場合であれば,それを減殺するような特段の事情がない限り,同条4項の「引き続き当該団体の活動状況を継続して明らかにする必要があると認められるとき」に該当する。 25控訴人らは,Alephから離脱したわずか十数名の集団であり,Al- 12 -ephやひかりの輪とは異なり,位階制等を採用しておらず,「団体」でもなく,オウム真理教の教義のうち反社会的で危険な部分を除いた部分について信仰と修行を続けているにすぎず,「無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険性」を減殺するような事情しかない。したがって,控訴人らは,団体規制法5条4項に該当しない。 5イ 原判決は,Cらの集団は一般社会との関係で隔絶性,閉鎖性を有するなどと認定する。しかし,同認定は,以下の及びのとおり,前提とする事実の認定に誤りがあるか,又は事実を不当かつ過大に評価したものであり,誤りであって,控訴人らが一般社会との関係で隔絶性,閉鎖性を有するとはいえない。 10 原判決は,Cらの集団が,α施設において,実質的に集団居住に近い形態で活動を行い,そこで行う修行から生じる騒音により近隣住民に対して迷惑を掛けているにもかかわらず,修行をしていること自体を説明していないとの事実を認定し ,α施設において,実質的に集団居住に近い形態で活動を行い,そこで行う修行から生じる騒音により近隣住民に対して迷惑を掛けているにもかかわらず,修行をしていること自体を説明していないとの事実を認定した。 しかしながら,そもそも信教の自由が内心において絶対的に保障され15ていることを前提とすると,たとえ近隣住民に対して迷惑を掛けていたとしても,控訴人らがマンションの居住者や管理人に対して修行していることを説明する義務はないし,説明をしていないことをもって隔絶性,閉鎖性があると認定すべきではない。また,騒音の問題については,平成27年及び平成28年にマンションの居住者から苦情の申入れがあっ20たが,いずれについてもEが謝罪して解決している。原判決は,騒音の問題がその後解決したことを無視している上,苦情の申入れがあった件数も2年間に2件にすぎないのに,事実を不当かつ過大に評価している。 原判決は,Cらの集団が,α施設を集会所として利用していることについて,同施設のマンション管理組合から,管理規約で禁止される行為25であり止めるよう文書で注意されたにもかかわらず,謝罪や弁明を一切- 13 -しないまま,従前と同様,集会所としての利用を継続しているとの事実を認定した。 しかしながら,Eは,α施設のマンションの賃貸人に対し,自らの居宅の利用状況に関して謝罪や弁明を行っており,そのことは管理組合にも伝わっているはずであるから,上記事実認定も誤りである。 5本件差止めの訴えに関する主張ア 本件差止めの訴えの適法性本件差止めの訴えは,以下のとおり,行政事件訴訟法3条7項及び37条の4第1項所定の訴訟要件を備えており,適法である。 処分の蓋然性について10処分行政庁は,本件更新決定(平成 性本件差止めの訴えは,以下のとおり,行政事件訴訟法3条7項及び37条の4第1項所定の訴訟要件を備えており,適法である。 処分の蓋然性について10処分行政庁は,本件更新決定(平成30年1月22日付け)及び令和3年更新決定(令和3年1月6日付け)の2回にわたり,継続的に控訴人に対し,本件観察処分の効力を及ぼそうとしており,次回以降の更新決定においても,控訴人に対して本件観察処分の効力を及ぼそうとする蓋然性がある。 15損害の重大性について本件観察処分は「国民の基本的人権に重大な関係を有するもの」(団体規制法2条)であり,その対象とされると,間断なく観察され,詳細な報告義務(同法5条2項及び3項)を負い,処分の前提として立入検査に応じる義務(同法14条)を負い,場合によっては,より強力な再20発防止処分(同法8条)も受けることになる。控訴人は,本件観察処分の効力を受ける対象に含められて更新決定を受けると,独立した手続保障を受けることなく,突然,本件観察処分の効力を受けることになり,重大な損害を被ることとなる。 補充性について25令和3年更新決定は,本件更新決定とは別個独立の行政処分であり,- 14 -本件更新決定の効力の如何にかかわらず,独立して控訴人に対し本件観察処分の効力を及ぼすものであると解釈する場合,処分対象者は,更新決定が繰り返される都度,当該更新決定を対象として取消訴訟を提起することを繰り返さなければならないばかりか,取消訴訟の審理期間が3年を超えると,取消訴訟の訴えの利益が否定される可能性もある。上記5解釈が採られる場合,控訴人は,本件取消しの訴えによっては権利侵害から救済されないから,抜本的な解決のためには更新決定の差止めをする必要がある。 イ 将来の更新決定の違法性 能性もある。上記5解釈が採られる場合,控訴人は,本件取消しの訴えによっては権利侵害から救済されないから,抜本的な解決のためには更新決定の差止めをする必要がある。 イ 将来の更新決定の違法性本件更新決定のうち控訴人に関する部分が違法であることは,争点及10びに関する控訴人の主張のとおりであり,これと同様の理由から,将来の更新決定のうち控訴人に関する部分も違法である。 ウ 本件差止請求と他の請求との関係本件差止請求は,本件取消訴訟との関係では,行政事件訴訟法13条6号所定の「その他当該処分又は裁決の取消しの請求と関連する請求」に当15たり,両請求は,選択的併合の関係にある。また,本件取消請求又は本件差止請求は主位的請求であり,これらの請求との関係では,本件確認の訴えに係る請求は予備的請求となる。 第3 当裁判所の判断1 当裁判所も,控訴人の本件確認の訴えは不適法であり,本件取消請求は理由20がないと判断し,また,当審で追加された本件差止めの訴えは不適法であると判断する。その理由は,後記2のとおり原判決を補正し,後記3のとおり当審における控訴人の主張に対する判断を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の1ないし5のとおりであるから,これを引用する。 252 原判決の補正- 15 - 原判決38頁9行目の「B1の1・5」を「乙B1の1・5」に改める。 原判決39頁18行目末尾に「。」を加える。 原判決41頁10行目から11行目にかけての「前記前提事実イ,」の次に「乙B4の1,」を加える。 原判決41頁19行目の「F」を「G(その後「H」と改名)」と改める。 5 原判決42頁22行目の「通知し」を「通知したことを発表し」に改める。 次に「乙B4の1,」を加える。 原判決41頁19行目の「F」を「G(その後「H」と改名)」と改める。 5 原判決42頁22行目の「通知し」を「通知したことを発表し」に改める。 原判決48頁14行目末尾に,行を改めて以下のとおり加える。 「 ガンゴートリーは,インド・ヒマラヤ地方の地名であり,Bが,「尊師ファイナルスピーチⅡ」に掲載されたインタビュー記事の中で,最終解脱をした場所として述べた地名である(乙C93)。」10原判決48頁26行目の「14」の次に「,乙C90,91」を加える。 原判決49頁21行目から同頁22行目にかけての「及んでいた(乙C84,85)。」を以下のとおり改める。 「及んでおり,また,「イベント開催費」科目における支出があった(乙C84,85)。 15また,Cらの集団においては,β施設及びα施設の祭壇の前に布施箱が置かれ,構成員に対し,日頃の来道の際やイベントの際等に布施を求めて布施箱に金銭を投入させるなどし,「お布施によって徳を積めます」,「お布施は運営の経費に充てています」などと説明していた。公安調査官によるβ施設への立入検査において確認された同施設の布施箱内の現金の額は,平成2207年4月14日実施の立入検査時が6万0709円,平成28年11月21日実施の立入検査時が5万4909円,平成29年12月25日実施の立入検査時が7万3599円であった。また,平成29年9月18日に実施された公安調査官によるα施設への立入検査において確認された同施設の布施箱内の現金の額は,2万4980円であった(乙C90,92)。」25 原判決49頁24行目冒頭から同50頁2行目末尾までを以下のとおり改- 16 -める。 「a 施設の状況等公安調査官が平成27年から平 4980円であった(乙C90,92)。」25 原判決49頁24行目冒頭から同50頁2行目末尾までを以下のとおり改- 16 -める。 「a 施設の状況等公安調査官が平成27年から平成29年までに実施した立入検査の際,β施設及びα施設においては,以下の及び⒝の状況が確認された( 乙B2の10,3の1・33・56,4の17,6の39,乙C92,弁論の5全趣旨) 。また,Cらの集団は,α施設の立ち上げ直後は同施設に祭壇等を設けていなかったが,間もなく支持者を通じてBの写真等を集め,Bの写真を掲げた祭壇を設けて,布施箱を設置した(乙C90)。」原判決50頁7行目の「祭壇上への掲出,」の次に「祭壇前の布施箱の設置,」を加える。 10原判決50頁17行目の「祭壇上への掲出,」の次に「祭壇前の布施箱の設置,」を加える。 原判決54頁2行目冒頭から同頁14行目末尾までを以下のとおり改める。 「c セミナー等の開催α施設におけるセミナー等の開催15ⅰ Cらの集団は,平成27年のα施設の立ち上げからしばらくすると,α施設において,毎週水曜日に「勉強会」と呼ばれるイベントを行うようになったほか,月初めの週末に定期的なイベント(以下「定例イベント」という。)を行うようになった。定例イベントへの参加は,勉強会への参加より重視され,控訴人は信者に対し,全員参加するよ20う呼びかけていた。定例イベントは,1日かけて実施され,最初に,控訴人が各信者に対し「甘露水」を直接配り,各信者は,これを飲み干した後に「オウム三唱」を行い,歌を歌ったり,ヨガ,五体投地等の儀式やDVDの鑑賞等を行ったりし,その後,道場を暗くして,Bの写真が掲出された祭壇のロウソクに灯をともし,参加者が一人ずつ25三礼をして布施を ム三唱」を行い,歌を歌ったり,ヨガ,五体投地等の儀式やDVDの鑑賞等を行ったりし,その後,道場を暗くして,Bの写真が掲出された祭壇のロウソクに灯をともし,参加者が一人ずつ25三礼をして布施をする儀式を行い,これと前後して,控訴人がBやオ- 17 -ウム真理教の教えを称賛する説法を行った上で,「グルに対する供養」として食事をとり,マントラを唱えて終了するという順番で行われていた(乙C90)。 また,α施設においては,Bの生誕祭が行われ,信者に対し,定例イベントへの参加よりも更に強く参加が呼び掛けられた。Bの生誕祭5は,「オウム三唱」を行い,控訴人の話があった後,信者有志による歌や演劇が行われ,「グルに対する供養」として食事をとった後,再び「オウム三唱」をし,控訴人がBについての説法をして終了するという順番で行われた。このうち,歌や演劇については,信者に対し,事前に,歌や演劇等はグルに捧げるものとして行う旨の説明があり,10当日は,Bの写真が掲出された祭壇に向かって上演された(乙C90)。 Cらの集団は,平成29年9月16日から同月18日までの間,α施設において,Bの説く教義に従った修行を行う「秋セミナー」を実施した( 乙B3の57) 。 15公安調査官が平成29年9月18日に実施したα施設への立入検査において,同施設に居た在家信者複数名が,儀式のスケジュールやセミナーのスケジュールを記載した書面を所持していたことが確認されたが,これらの書面には,「週末セミナースケジュール」,「布施の儀式」,「夜礼メニュー」などの見出しが付され,各儀式等の開始時20刻,終了時刻,所要時間,内容が記載されていた。このうち「夜礼メニュー」の見出しが付された書面に記載されたスケジュールは,最初に「オウム三唱, ニュー」などの見出しが付され,各儀式等の開始時20刻,終了時刻,所要時間,内容が記載されていた。このうち「夜礼メニュー」の見出しが付された書面に記載されたスケジュールは,最初に「オウム三唱,大乗の発願,苦の詞章」を5分間行い,続いて「四無量心の瞑想」を10分間,「懺悔の詞章読み」を5分間,「懺悔の瞑想」を5分間,「グルへの懇願(帰依マントラ)」を10分間行っ25て,最後に「回向,オウム三唱」を3分間行うというものであった- 18 -(乙C91)。 ⅱ Cらの集団においては,α施設を「道場」と呼び,信者がα施設へ行くことを「来道」と呼んでおり,平成27年のα施設の立ち上げ後間もない頃から,α施設の出入口には,信者の入室・退室時刻を記載するための用紙が置かれ,信者に氏名及び入退室時刻を記入させてい5た。また,平成29年頃には,在家信者に対し,「来道カード」と題するスタンプカードを発行し,α施設に来ると,同カードにスタンプを押して日付けを書き込み,在家信者がα施設に来る回数,頻度等が分かるようにしていた(乙C90,91)。 ⅲ Cらの集団においては,在家信者に対し,教義に関する教本の内容10の理解度を計測するためのテストを実施しており,平成27年から平成29年頃までα施設に通っていた在家信者は,教義が記載された「改訂版特別教学システム教本」と題する書籍等や上記書籍の音声データを購入した後,Eから,「テストがある」,「満点を取らなければ次の段階に進めない」と言われ,上記テストを受けていた(乙C9150)。 ⒝ β施設におけるセミナー等の開催Cらの集団は,平成27年4月12日,β施設において,Bの説法映像を視聴することなどを内容とする「密儀ヨーガの会・7つのプロセス」と題するセミナーを実施した( 乙B3の 設におけるセミナー等の開催Cらの集団は,平成27年4月12日,β施設において,Bの説法映像を視聴することなどを内容とする「密儀ヨーガの会・7つのプロセス」と題するセミナーを実施した( 乙B3の59) 。 20また,Cらの集団は,平成27年12月30日から平成28年1月1日までの間,β施設において,Bの説く教義に従った修行を行う「年末年始セミナー」を実施した( 乙B3の57) 。 d 上記活動等における控訴人の地位等控訴人は,Cらの集団において「ヴィサーカー師」などと呼ばれてお25り,在家信者らは,「ヴィサーカー」は控訴人が出家してグルであるBか- 19 -ら与えられた名前であること,「師」はグルからクンダリニーが覚醒したと認められた人であることを意味することなどの説明を受けていた。Cらの集団において,「師」を名乗る者は控訴人のみであり,信者が集まるイベント等においては,控訴人がイベントを総括する説法等を行うなどし,他の信者らは控訴人を「代表」であると認識していた。また,かつてオウ5ム真理教の出家信者であり,オウム真理教の位階制度において信徒の中では高い位階である「師補」の位階にあったDは,Cらの集団において,D師補と呼ばれており,社会問題を取りまとめたDVDを作成して,定例イベントにおいて参加者らに視聴させるなど,Cらの集団のセミナー等の活動において,控訴人に準じた中心的な役割を果たしていた(乙B2の5,104の16,乙C90)。」原判決55頁5行目の「23~40」を「23~30・32~40」に改める。 原判決59頁4行目の「前記前提事実エ」を「前記前提事実エ及びア」に改める。 15 原判決61頁11行目の「高額の収入」の次に「及び布施による収入」を加える。 原判決6 原判決59頁4行目の「前記前提事実エ」を「前記前提事実エ及びア」に改める。 15 原判決61頁11行目の「高額の収入」の次に「及び布施による収入」を加える。 原判決62頁25行目の「変化がない上に」を「変化がなく」に改める。 原判決66頁9行目から同頁10行目にかけての「オウム真理教の教義を反社会的で危険な側面も含めて放棄したものとは認められないから」を「オ20ウム真理教の教義のうち反社会的で危険な側面を放棄したものとは認められないから」と改める。 原判決68頁26行目末尾に,行を改めて以下のとおり加える。 「ウ 控訴人は,控訴人らは団体規制法5条1項1号に該当しないと主張し,その理由として,控訴人は,Bに対する帰依を続けているものの,Bの宗25教家としての側面を重視しているにすぎず,Bの指示した地下鉄サリン事- 20 -件等の違法行為が教義上肯定的に評価されるとは考えておらず,Bの説いた教義や修行体系を指導したりBへの帰依を強制したりしていないから,Bの控訴人らに対する影響力は,教義等を通じた間接的かつ抽象的なものであって,あくまでも宗教的側面に限られ,絶対的なものではないことを挙げる。 5しかしながら,Cらの集団が,Bに対し絶対的に帰依しているものと認められ,オウム真理教の教義のうち反社会的で危険な側面を放棄したものとは認められないことは,前記3ウ及びエで認定説示したとおりであるから,上記の控訴人の主張は,採用することができない。」 原判決69頁9行目冒頭から同頁12行目末尾までを以下のとおり改める。 10「イ 前記3ウのとおり,Cらの集団は,Bに絶対的に帰依し,オウム真理教の教義を,反社会的で危険な部分を含めて受容している。 また,前記3イの 2行目末尾までを以下のとおり改める。 10「イ 前記3ウのとおり,Cらの集団は,Bに絶対的に帰依し,オウム真理教の教義を,反社会的で危険な部分を含めて受容している。 また,前記3イのとおり,Cらの集団は,「対象者聞き取りリスト」と題する詳細な聞き取り項目を設けたリストを用いるなどし,控訴人に対し,勧誘活動の進捗状況について報告したり,集団で情報を共有したりし,15組織的に勧誘活動をしていたことが認められ,B及びBの説くオウム真理教の教義に絶対的に帰依する信者を増やすための活動を団体として行っていることが認められる。 さらに,Cらの集団は,①構成員のうち10数名がα施設への出入りを繰り返し,ほぼ毎日のように同施設に出入りする者や同施設の近隣に転居20する者がいるなど,実質的に集団居住に近い形態で活動を行い,同施設で行う修行による騒音で近隣住民に迷惑を掛けているにもかかわらず,近隣住民に対し,修行をしていること自体を説明していないこと(乙B4の13・14),②α施設を集会所として利用していることについて,同施設のマンション管理組合から,管理規約で禁止される行為であり止めるよう25文書で注意されたが,謝罪や弁明を一切せず,従前と同様に集会所として- 21 -の利用を継続していること(乙C81)が認められ,これらの事実からすれば,Cらの集団は,一般社会との関係で隔絶性,閉鎖性を有するものといわざるを得ない。 以上の事情によれば,Cらの集団は,現時点において,その団体の属性として無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素を有するも5のと認められるから,団体規制法5条1項5号に該当する。」原判決69頁24行目冒頭から同70頁7行目の「いわざるを得ない。」までを以下のとおり改める。 「 また,Cら 険な要素を有するも5のと認められるから,団体規制法5条1項5号に該当する。」原判決69頁24行目冒頭から同70頁7行目の「いわざるを得ない。」までを以下のとおり改める。 「 また,Cらの集団については,前記4イの①及び②の各事実が認められ,一般社会との関係で隔絶性,閉鎖性を有するものといわざるを得ないことは,10同項において認定説示したとおりである。」3 当審における控訴人の主張に対する判断 争点(Cらの集団が団体規制法にいう「団体」に該当すること等により,本団体に包摂されるか否か,その他,Cらの集団が本団体に包摂されるとすることは違法か否か)に関する補充主張について15ア 控訴人らは「団体」ではないとの主張について a 控訴人は,精神的・宗教的側面を重視して団体性を判断することは,団体規制法1条ないし3条の規定の趣旨に反し,信教の自由を不当に制限することになるから,団体性の判断は,「共同目的」という抽象的かつ主観的な要素ではなく,「多数人の継続的結合体」といえるか20どうかという具体的かつ客観的な要素により検討すべきであると主張する。 b しかしながら,団体規制法4条2項は,「団体」を「特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体」と規定しているのであるから,同項所定の「団体」であるか否かを判断するに25当たり,「多数人の継続的結合体又はその連合体」であるかどうかだ- 22 -けでなく,それが「特定の共同目的を達成するための」ものであるか否かをも考慮しなければならないことは,同項の文言から明らかである。 したがって,前記aの控訴人の主張は,採用することができない。 a 控訴人は,団体性は,専らその集団の世俗的側面を対象とし,かつ, しなければならないことは,同項の文言から明らかである。 したがって,前記aの控訴人の主張は,採用することができない。 a 控訴人は,団体性は,専らその集団の世俗的側面を対象とし,かつ,5専ら世俗的目的に依拠した基準により判断すべきところ,控訴人らの集まりを,専ら世俗的側面を対象とし,かつ,専ら世俗的目的に依拠した基準により分析すると,「多数人の継続的結合体」といえるだけの実態がなく,宗教的な目的・意図を離れた世俗的な「共同目的」もないと主張する。 10b 団体規制法は,団体の世俗的側面に着目して,団体が無差別大量殺人行為に及ばぬよう専ら世俗的目的から観察処分等の規制を及ぼすものであるが,上記の「団体の世俗的側面」とは,過去に団体の役職員や構成員が無差別大量殺人行為を当該団体の行為として行った団体で,現在も無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素を有し15ているという側面であり,また,上記の「世俗的な目的」とは,団体規制法1条所定の目的である無差別大量殺人行為の再発防止等であって,上記の団体規制法の趣旨目的からすると,団体規制法による観察処分等の対象が宗教団体である場合に,その団体の危険性の判断において,宗教団体の教義の内容の危険性や反社会性,修行体系の危険性20等を考慮することがおよそ許されないこととなるものではない。したがって,前記aの控訴人の主張のうち,Cらの集団について「団体性」の有無を判断する際に,宗教的要素を考慮してはならない旨をいう部分は,採用することができない。 c 控訴人は,原判決が,Cらの集団について「オウム真理教の教義を25広め,これを実現するという共同目的を有する」と認定したことを論- 23 -難し,その理由として,①原判決が挙げる控訴人及びDらがAleph 決が,Cらの集団について「オウム真理教の教義を25広め,これを実現するという共同目的を有する」と認定したことを論- 23 -難し,その理由として,①原判決が挙げる控訴人及びDらがAlephに送付した平成27年1月30日付け通知書における「宗教的理念に賛同してくれる方については,受け入れるつもりです」という記載は,控訴人及びDらの宗教的理念に賛同してくれる者と共に宗教的活動を実践するという趣旨を述べたものであって,そこには団体を旗揚5げするなどの世俗的側面や世俗的目的は読み取れないこと,②同じく対象者聞き取りリストは,控訴人やEの所有物ではないばかりか,控訴人らが団体として作成・保有するものでもなく,控訴人らがこれを基に勧誘活動をしたこともないこと,③同じく団体規制法により提出を義務付けられた報告書に記載した構成員数は,もともと控訴人とD10の2名を記載して提出する予定であったが,公安調査庁から控訴人と宗教活動を共にするメンバーをすべて記載するよう強硬に要求されたため,やむなくα施設において宗教活動を実践する機会があるメンバーの名前を記載したにすぎないこと,④同じくα施設は,東京近郊のメンバーが宗教活動をするに当たり,Eの好意で,Eが賃借するマン15ションの一室を借り受けて利用しているにすぎないものであり,βの拠点との連携もなく,α「支部」の実態はないことを挙げる。 d しかしながら,前記c①の通知書に,Alephの会員を含めた第三者に対し,「自分たちの実際に経験したことや,自分たちの宗教的理念等を伝えることは積極的にしていく考え」であり,更に控訴人及20びDらの「宗教的理念に賛同してくれる方については,受け入れるつもりです」と記載されていることは,前記認定事実キのとおりであって,そこには,単に控訴人 していく考え」であり,更に控訴人及20びDらの「宗教的理念に賛同してくれる方については,受け入れるつもりです」と記載されていることは,前記認定事実キのとおりであって,そこには,単に控訴人及びDらの宗教的理念に賛同する者と共に宗教的活動を実践するに止まらず,控訴人及びDらの宗教的理念等を「積極的に」伝えていくという意思が表明されていることが認め25られる。また,証拠(乙C90)によれば,DやEは,同人らが平成- 24 -25年か平成26年頃に勧誘してAlephの在家信者となりγ施設に通っていた者に対し,平成27年春頃,Bの息子の処遇を巡ってAlephの幹部の中で派閥が形成され,幹部の会合でも意見が割れたが,仕切っている人についていけなかったこと,控訴人についていきたいから離脱したことなどを説明した上,「入信したばかりで何も分5からないうちに騒動へ巻き込んでしまい申し訳なかったが,こちらへ来ないか」などと述べてCらの集団に勧誘したこと,これにより上記在家信者はCらの集団に加わり,α施設に通うようになったことが認められるのであって,こうした勧誘の事実も,前記c①の通知書の記載内容から,控訴人が,Aleph離脱後,控訴人を中心とする集団10を形成し,オウム真理教の教義を広める活動をする方針を有していたとする,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3当裁判所の判断」の3イの認定と符合する。したがって,前記c①の通知書の記載内容に関する控訴人の主張は,前記cの冒頭の認定を左右するに足りないものというべきである。 15また,前記c②の対象者聞き取りリストに関する控訴人の主張によれば,控訴人らとは無関係な信者勧誘のためのリストが,公安調査官による立入検査の際にα施設において見つかったことになるので る。 15また,前記c②の対象者聞き取りリストに関する控訴人の主張によれば,控訴人らとは無関係な信者勧誘のためのリストが,公安調査官による立入検査の際にα施設において見つかったことになるのであって,それ自体,不自然,不合理である上,上記立入検査においては,前記c②の対象者聞き取りリストの外にも,勧誘活動に関して控訴人20に報告したり相談したりする内容が記載された書類等,Cらの集団が組織的かつ積極的に勧誘活動を行っていることを裏付ける書類が複数確認されていることは,前記認定事実ウで認定したとおりであり,これらのことに照らすと,前記c②の対象者聞き取りリストに関する控訴人の主張も,Cらの集団が,控訴人に対し勧誘活動の進捗状況に25ついて報告したり,集団で情報を共有したりし,組織的な勧誘活動を- 25 -していたとする前記認定を左右しないというべきである。 さらに,前記c③の報告書記載の構成員数や前記c④のα施設の利用実態に関する控訴人の主張についても,控訴人が,α施設において月1回開催される定例イベントについて,在家信者らに全員参加を呼び掛け,同イベント等における儀式を中心になって執り行い,説法を5し,α施設における組織的な勧誘活動についても進捗状況の報告や相談を受けるなど中心的な役割を果たしていることなど,前記認定に係るα施設における活動内容及びそこにおいて控訴人の果たしている役割等に照らすと,控訴人とα施設において宗教活動をしている東京近郊のメンバーとは,共に宗教活動を実践する機会があるにすぎず,α10施設の活動とβ施設の活動は連携しておらず,α施設で活動する東京近郊のメンバーは構成員ではないなどとする控訴人の主張は,不自然,不合理なものというべきであり,採用することができない。 e 以上のとおりで 活動とβ施設の活動は連携しておらず,α施設で活動する東京近郊のメンバーは構成員ではないなどとする控訴人の主張は,不自然,不合理なものというべきであり,採用することができない。 e 以上のとおりであるから,前記cの控訴人の主張は,Cらの集団について「オウム真理教の教義を広め,これを実現するという共同目的15を有する」とする前記認定を左右するに足りないものというべきである。 a 控訴人は,控訴人らの集まりには「多数人の継続的結合体」といえるだけの実態がないと主張し,その根拠として,①控訴人らには共同目的を達成するための意思決定機関や意思決定を実現する組織はなく,20個々人の意思を離れて集団としての意思決定をするに足りる組織性はないから,個々人の意思を離れて「継続的」に「結合」することはできないこと,②控訴人らに,個々人の意思を離れた収入や支出は存在せず,収入や支出はセミナー開催によるものも含めて,すべて控訴人やDが個人で計上しており,「Cらの集団」なるものの銀行口座や帳25簿はなく,月々の会費もお布施もなく,団体規制法施行令2条所定の- 26 -資産・負債として報告する事項も,控訴人個人のもののみであること,③控訴人らを,団体規制法の対象とされているAleph及びひかりの輪と比較すると,控訴人らの集まりには団体名すらなく,団体性の無さは一層明らかであることを挙げる。 b しかしながら,団体規制法4条2項にいう多数人の「継続的結合体」5とは,多数人の組織体であって,その構成単位である個人を離れて組織体として独自の意思を決定し得るもので,相当の期間にわたって存続すべきものをいうと解されることは,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3アで説示したとおりであるから,意思決定機関が し得るもので,相当の期間にわたって存続すべきものをいうと解されることは,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3アで説示したとおりであるから,意思決定機関が存在することは,同項の多数人10の「継続的結合体」に該当するための要件であるとはいえない。 加えて,前記補正の上引用する認定事実ウによれば,Cらの集団が,控訴人のAleph離脱後の平成27年1月30日頃以降本件更新決定までの約3年間にわたって,勧誘活動やセミナーなどの各種イベントの開催など,オウム真理教の教義を広め,これを実現するとい15う共同目的のための各種の活動を,控訴人を中心として組織的かつ継続的に行ってきたと認められることは,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3イで説示したとおりである。上記活動状況等に照らすと,Cらの集団は,オウム真理教の教義を広め,これを実現するという共同目的のために,個々20の構成員個人を離れた組織体として独自の意思を決定し得るものであり,また,その意思決定を実現することも可能であって,そうした状況は相当期間にわたって存続すべきものであると認められる。したがって,控訴人らには,共同目的を達成するための意思決定機関や意思決定を実現する組織はなく,個々人の意思を離れて集団としての意思25決定をするに足りる組織性がないなどとする前記a①の控訴人の主張- 27 -は,上記認定を左右するものとはいえない。 また,前記a②の主張については,Cらの集団が,「ガンゴートリー」という,Bが最終解脱をしたとされる地名を名称とする収益事業団体を立ち上げ,セミナー代や各種物品の販売による収入を上げるとともに,β施設及びα施設において,信者から布施を得て運営費等に5 ー」という,Bが最終解脱をしたとされる地名を名称とする収益事業団体を立ち上げ,セミナー代や各種物品の販売による収入を上げるとともに,β施設及びα施設において,信者から布施を得て運営費等に5充てていると認められることは,前記補正の上引用する認定事実ウのとおりであって,上記主張も,上記認定を左右するに足りない。 さらに,前記a③の主張についても,団体規制法4条2項の多数人の「継続的結合体」の意義は上記のように解釈すべきであり,これによれば,団体名があることやAleph及びひかりの輪と同程度の団10体性を有することが,同項の「多数人の継続的結合体」に該当するための要件ではないことは明らかであるから,上記主張も,採用することができない。 c 以上のとおりであるから,前記aの控訴人の主張は,Cらの集団について,特定の共同目的を達成するための「多数人の継続的結合体」15に当たるとする前記認定を左右しないものというべきである。 イ 「包摂」という概念が違憲であるとの主張について憲法31条違反の主張についてa 控訴人は,Cらの集団が本団体に包摂されると解して本件観察処分の効力を及ぼすことは,法律の規定に基づくことなく,漠然かつ不明20確な「包摂」という基準をもって,控訴人らに対し,突然,全く新たな効力を及ぼすものであり,また,団体規制法が観察処分について詳細に定めた手続規制を潜脱するものであるから,憲法31条並びに団体規制法及びその関連法令に違反し,違憲・違法であると主張する。 b しかしながら,Cらの集団について,本団体に包摂されると解され25ることによって新たに本件観察処分の効力が及ぶのではなく,Cらの- 28 -集団がAlephから分裂する前から及んでいた本件観察処分の効力が,分裂後も引き続き及ぶにすぎ 包摂されると解され25ることによって新たに本件観察処分の効力が及ぶのではなく,Cらの- 28 -集団がAlephから分裂する前から及んでいた本件観察処分の効力が,分裂後も引き続き及ぶにすぎないことは,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3イ及び同ウで認定説示したとおりである。そして,Cらの集団について,Alephひいてはオウム真理教との間に連続性が認められるととも5に,「オウム真理教の教義を広め,これを実現するという共同目的」を有するものと認められ,これらの認定事実に基づいて,本団体に包摂されていると認定ないし評価されて,本件観察処分の効力を受けると解されるのは,上記の認定事実に基づく団体規制法5条及び4条2項の解釈適用の結果であって,法律の規定に基づかずあるいは法律の10規定による手続規制を潜脱して,本件観察処分の効力を及ぼすものではないから,憲法31条並びに団体規制法及びその関連法令違反をいう前記aの控訴人の主張は,理由がない。 憲法20条及び21条1項違反の主張並びにCらの集団は本団体に包摂されないとの主張について15a 控訴人は,①原判決が,Cらの集団について,世俗的な団体の要素(省庁制に代表される官僚組織の有無,大規模なテロ計画を立案し実現するために必要な人的・経済的リソースの有無,テロ活動の実践を決断するカリスマ的な代表者等の幹部の有無)を無視して,宗教的な要素にのみ着目し,オウム真理教の教義を信仰しオウム真理教の修行20方法を履践していることを理由に,オウム真理教と連続性があると認定したことは,団体としての危険性を規制する団体規制法の趣旨に反し,信仰・結社・集会等の宗教活動・信仰内容に直接容かいすることになるから,憲法20条及び21条1項に違反 ウム真理教と連続性があると認定したことは,団体としての危険性を規制する団体規制法の趣旨に反し,信仰・結社・集会等の宗教活動・信仰内容に直接容かいすることになるから,憲法20条及び21条1項に違反すると主張するとともに,②宗教的要素を排除して,世俗的観点から,オウム真理教・Al25ephとCらの集団との関係をみれば,連続性は皆無であるから,C- 29 -らの集団が本団体に包摂されると評価することはできないと主張し,その理由として,代表者,組織性,綱領・規則等,経済的基盤,構成員の数及び特徴,設立の経緯に関するオウム真理教・AlephとCらの集団との違いを挙げる。 b しかしながら,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中5の「第3 当裁判所の判断」の3エで認定説示した団体規制法の趣旨目的等に照らせば,観察処分等の対象が宗教団体であったとしても,教義の内容の反社会性や危険性,修行方法の危険性等を考慮して,「過去に団体の役職員や構成員が無差別大量殺人行為を当該団体の行為として行った団体で,現在も無差別大量殺人行為の実行に関連性を10有する危険な要素を有している」かどうかを判断し,観察処分等の規制を及ぼすことが,団体規制法の趣旨目的に反すると解することはできないし,また,団体の世俗的側面を無視し宗教的な要素のみに着目して同法の規制を及ぼし,信仰・結社・集会等の宗教活動・信仰内容に直接容かいすることになって,憲法20条及び21条1項に違反す15ると解することもできない。 c そして,Cらの集団が形成されるに至った経緯は,Alephの幹部構成員であった控訴人が,Bの二男のAlephへの復帰をめぐってAlephの他の構成員と対立したことから,Alephから離脱して,控訴人を中心とする集団を形成し,オウム真理教 緯は,Alephの幹部構成員であった控訴人が,Bの二男のAlephへの復帰をめぐってAlephの他の構成員と対立したことから,Alephから離脱して,控訴人を中心とする集団を形成し,オウム真理教の教義を広め20る活動を行うようになったというものであり(前記認定事実キ及び同),Cらの集団の構成員は,17名全員がAlephに所属していた者であり,このうち少なくとも8名は両サリン事件前のオウム真理教の信徒であったというのであるから(前記認定事実ウ),Bの指示によりオウム真理教の後継団体として設立されたAleph25とCらの集団との間には,人的な連続性があるといえ,Cらの集団は- 30 -Alephから分裂した団体であると認められる。 また,オウム真理教の教義が,Bに絶対的に帰依し,かつ,最終目的である衆生救済の実現のためにはタントラ・ヴァジラヤーナの実践が不可欠であるとした上で,その具体的な規範として,結果のためには手段を選ばず,殺人を行うことも肯定されるとの内容を含む五仏の5法則を説くものであって,反社会的で危険なものであること,オウム真理教の修行体系等が,出家制度により一般社会から隔絶された孤立的,閉鎖的なコミュニティーを形成し,出家した構成員の後戻りを困難なものとしつつ,Bへの絶対的な帰依を求め,反社会的で危険な教義を不可逆的に深く受容させ,構成員の犯罪に対する反対動機の形成10を無力化するものであったことは,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3で認定説示したとおりである。 さらに,同3イ及びウで認定説示したところによれば,Alephとの間で上記の人的な連続性を有するCらの集団において,β施設15及びα施設内にBの写真等を掲出している状況や,各施設内 である。 さらに,同3イ及びウで認定説示したところによれば,Alephとの間で上記の人的な連続性を有するCらの集団において,β施設15及びα施設内にBの写真等を掲出している状況や,各施設内に保管されている教本,機関誌,DVD等の内容,上記各施設内で行われている儀式や修行等の方法,これらに使用されるPSI,甘露水等の存在などの外形的,客観的な事実からは,Cらの集団の構成員全員が,Aleph所属時と同様に,反社会的で危険なオウム真理教の教義を深20く受容し,オウム真理教と同様の修行を行っていることが認められるのであり,また,勧誘活動その他の活動状況等からも,Cらの集団として,オウム真理教及びAlephと同様に,オウム真理教の教義を広め,これを実現するという共同目的を有することが裏付けられている。 25上記認定事実によれば,Cらの集団について,Alephひいては- 31 -オウム真理教との連続性があり,本団体に包摂されると認められることは,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3当裁判所の判断」の3ウで説示したとおりである。 そして,上記のように認定して,Cらの集団に本件観察処分の効力が及ぶと解することは,団体の世俗的側面(過去に団体の役職員や構5成員が無差別大量殺人行為を当該団体の行為として行った団体で,現在も無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素を有しているという世俗的側面)に着目して,無差別大量殺人行為に及ばぬよう専ら世俗的目的から観察処分等の規制を及ぼすという団体規制法の趣旨に反するとはいえないし,また,前記説示に係る団体規制法の定10める観察処分等による規制の態様及び程度(前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3エ)をも勘案す るとはいえないし,また,前記説示に係る団体規制法の定10める観察処分等による規制の態様及び程度(前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3エ)をも勘案すると,信仰・結社・集会等の宗教活動・信仰内容に直接容かいすることになるともいえないから,憲法20条及び21条1項に違反するとはいえない。 15したがって,前記a①の控訴人の主張は,採用することができない。 d オウム真理教・AlephとCらの集団との間に,代表者の権限,組織性(官僚的組織の有無),綱領・規則等の有無,経済的基盤,構成員の数,設立の経緯に関して違いがあることは,控訴人の主張するとおりであり,これらの相違は,オウム真理教・AlephとCらの20集団との間に,無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度に差異がある可能性があることを示唆するものであるとはいえる。 しかしながら,上記の差異はその可能性があるにとどまるものである上,前記cで認定説示したとおり,AlephとCらの集団との間の人的な連続性,Cらの集団がAlephから分裂して形成された経25緯,Cらの集団の構成員全員が,Aleph所属時と同様,Bに絶対- 32 -的に帰依しオウム真理教の教義を深く受容し,オウム真理教と同様の修行を続けていること,Cらの集団として,オウム真理教及びAlephと同様,オウム真理教の教義を広め,これを実現するという共同目的を有することを勘案すれば,Cらの集団は,Alephひいてはオウム真理教と連続性を有し,本団体に包摂されると認定するのが相5当であって,控訴人が指摘するオウム真理教・AlephとCらの集団との相違は,上記認定を左右するものとはいえない。 したがって,前記a②の控訴人の主張も,採用することができない。 争点(Cら 当であって,控訴人が指摘するオウム真理教・AlephとCらの集団との相違は,上記認定を左右するものとはいえない。 したがって,前記a②の控訴人の主張も,採用することができない。 争点(Cらの集団を含む本団体が団体規制法5条1項各号に該当するか否か)に関する補充主張について10ア 団体規制法5条1項1号に該当しないとの主張について控訴人は,控訴人らが団体規制法5条1項1号に該当しないと主張するが,同主張を採用することができないことは,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の4ウで説示したとおりである。 15イ 団体規制法5条1項5号に該当しないとの主張について控訴人は,控訴人らは団体規制法5条1項5号に該当しないと主張し,その理由として,控訴人らは,オウム真理教の教義のうち反社会的で危険な部分を除く部分のみを受容しており,無差別大量殺人行為を肯定しているわけではないこと,わずか十数名の集団であって,位階制や省庁20制を採用しておらず,オウム真理教やAlephと決別し,これらの団体とはおよそ別の性質を持つものであり,現時点において,その属性として無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素がないことを挙げる。 しかしながら,Cらの集団がBに対し絶対的に帰依しているものと認25められ,オウム真理教の教義のうち反社会的で危険な側面を放棄したも- 33 -のとは認められず,Cらの集団は,現時点において,団体の属性として,無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素を有するものと認められることは,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3ウ及びエ並びに同4ウ及びイで認定説示したとおりである に関連性を有する危険な要素を有するものと認められることは,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3ウ及びエ並びに同4ウ及びイで認定説示したとおりであるから,上記の控訴人の主張は,採用するこ5とができない。 控訴人は,団体規制法5条1項1号について認定した事実のみをもって同項5号該当性を肯定することは,同号が「前各号に掲げるもののほか,当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実があること。」と定めている趣旨に明らかに反するとも主張する。 10しかしながら,Cらの集団については,①Bに絶対的に帰依し,オウム真理教の教義を,反社会的で危険な部分を含めて受容していることに加えて,②組織的に勧誘活動をして,Bに帰依しBの説くオウム真理教の教義に絶対的に従う信者を増やすための活動を団体として行っていること,③一般社会との関係で隔絶性,閉鎖性を有していることが認めら15れ,これらのことが相俟って,現時点において,団体の属性として無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素を有しており,団体規制法5条1項5号に該当すると認められることは,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の4イで認定説示したとおりである。上記認定が同号の規定の趣旨に反すると20はいえないから,上記の控訴人の主張は,採用することができない。 争点(Cらの集団を含む本団体について引き続き活動状況を継続して明らかにする必要があるか否か)に関する補充主張についてア 控訴人は,控訴人らが,Alephから離脱したわずか十数名の集団であり,Alephやひかりの輪とは異なり,位階制等を採用しておらず,25「団体」 必要があるか否か)に関する補充主張についてア 控訴人は,控訴人らが,Alephから離脱したわずか十数名の集団であり,Alephやひかりの輪とは異なり,位階制等を採用しておらず,25「団体」でもなく,オウム真理教の教義のうち反社会的で危険な部分を除- 34 -いた部分について信仰と修行を続けているにすぎず,「無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険性」が減殺されたという特段の事情があるから,団体規制法5条4項に該当しないと主張する。 しかしながら,Cらの集団がBに対し絶対的に帰依しているものと認められ,オウム真理教の教義のうち反社会的で危険な側面を放棄したものと5は認められないことは,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3ウ及びエで認定説示したとおりである上,Cらの集団の構成員の数が17名であり,位階制等を採用していないなど控訴人の挙げるその他の事情を斟酌しても,Cらの集団について無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険性が減殺されたと認める10に足りる特段の事情があったということはできないから,上記の控訴人の主張は,採用することができない。 イ控訴人は,原判決が,Cらの集団は一般社会との関係で隔絶性,閉鎖性を有すると認定したことについて,①信教の自由が内心において絶対的に保障されていることを前提とすると,たとえ近隣住民に対して迷惑15を掛けていたとしても,控訴人らがマンションの居住者や管理人に対して修行していることを説明する義務はないから,説明をしていないことをもって隔絶性,閉鎖性があると認定すべきではないし,②騒音の問題については,Eが謝罪して解決したことが考慮されておらず,不当であり,③α施設を集会所として利用していることについては,Eがα施設20 もって隔絶性,閉鎖性があると認定すべきではないし,②騒音の問題については,Eが謝罪して解決したことが考慮されておらず,不当であり,③α施設を集会所として利用していることについては,Eがα施設20の賃貸人に対し,自らの居宅の利用状況に関して謝罪や弁明を行い,そのことは管理組合にも伝わっているはずであるから,謝罪や弁明を一切せずに集会所としての利用を継続しているという事実認定は誤りであると主張する。 しかしながら,前記①の主張については,騒音により近隣住民に迷25惑を掛けた際には,もはや,絶対的無制約とされる内心における信仰の- 35 -自由の問題にとどまらないと解される上,説明義務があるか否かはともかくとして,マンションのような共同生活の場では,近隣住民に対し騒音の原因について説明することが一般社会の常識に沿った対応であって,信教の自由などを理由として頑なに説明を拒む態度自体が,Cらの集団が一般社会との関係で隔絶性,閉鎖性を有することを示すものといえる。 5また,前記②の主張については,証拠(乙B4の14)によれば,平成27年に1回,平成28年に1回,マンションの居住者らからα施設の騒音について苦情の申入れがあり,その後,Eなどが当該居住者等に対して謝罪をしたことが認められるが,前記③の主張については,これを裏付ける証拠はない。そして,上記の騒音問題について,Eが近10隣住民等に謝罪をした事実を斟酌するとしても,前記補正の上引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の4イ及び5で認定したとおり,Cらの集団がα施設における修行による騒音について近隣住民に迷惑を掛けているにもかかわらず,修行をしていること自体を説明せず,マンションの管理組合から,管理規約に違反するα施15設の集 とおり,Cらの集団がα施設における修行による騒音について近隣住民に迷惑を掛けているにもかかわらず,修行をしていること自体を説明せず,マンションの管理組合から,管理規約に違反するα施15設の集会所としての利用を止めるよう注意を受けているにもかかわらず,何ら弁明や謝罪をせず,集会所としての利用を継続していることを勘案すると,Cらの集団については,一般社会との関係で隔絶性,閉鎖性があるとの事実を否定することはできないのであって,同認定が不当であるとはいえないし,誤りであるともいえない。 20したがって,前記の控訴人の主張も,採用することができない。 本件差止めの訴えの適否についてア 行政事件訴訟法19条1項によれば,取消訴訟を提起した原告は,口頭弁論の終結に至るまで,同法13条に定める関連請求に係る訴えをこれに併合して提起することができるが,この場合において,当該取消訴訟が高25等裁判所に係属しているときは,同法16条2項の規定が準用され,関連- 36 -請求に係る訴えの被告の同意を得なければならないものとされており,その趣旨は,関連請求に関して被告の有する審級の利益を侵害しないためであると解される。 そして,前記前提事実のとおり,被控訴人は,本件追加的併合の申立てについて同意しないから,本件追加的併合の申立ては,その要件を欠く不5適法なものというほかはない。 イ 取消訴訟と併合提起された別の請求に係る訴えが,併合の要件を満たさないため不適法な併合の訴えとされる場合において,後者の請求の併合が,取消請求と同一の訴訟手続内で審判されることを前提とし,専らかかる併合審判を受けることを目的としてされたものと認められるものでない限り,10受訴裁判所としては,直ちに併合された請求に係る訴えを不適法として却下 訴訟手続内で審判されることを前提とし,専らかかる併合審判を受けることを目的としてされたものと認められるものでない限り,10受訴裁判所としては,直ちに併合された請求に係る訴えを不適法として却下することなく,これを取消請求と分離した上,自ら審判するか,又は事件がその管轄に属さないときは,これを管轄裁判所に移送する措置をとるのが相当であり(最高裁判所昭和55年(行ツ)第141号同59年3月29日第一小法廷判決・集民141号511頁),このことは,高等裁判15所において取消訴訟に関連請求に係る訴えが追加的に併合提起されたが,関連請求に係る訴えの被告が同意をしない場合についても妥当すると考えられる。 しかしながら,控訴人は,当審において,本件差止めの訴えは,本件取消しの訴えと同一手続内で審判されることを前提とし,専らかかる併合審20判を受けることを目的として提起したものであると主張しているのであるから(前記前提事実),これを独立の訴えとして管轄裁判所である東京地方裁判所に移送することは,差止めの訴えとして適法であるかどうかを判断するまでもなく,相当ではなく,結局,本件追加的併合の申立てについては,不適法として却下するほかない。 25第4 結論- 37 -以上によれば,本件確認の訴えは不適法であるからこれを却下し,本件取消請求は理由がないからこれを棄却すべきであり,これと同旨の原判決は相当であり,また,当審で追加された本件差止めの訴えは不適法であるからこれを却下すべきである。よって,控訴人の控訴は理由がないからこれを棄却し,当審で追加された本件差止めの訴えは不適法であるからこれを却下することとして,主文のとお5り判決する。 東京高等裁判所第11民事部 10裁判長裁判官 大竹昭彦 当審で追加された本件差止めの訴えは不適法であるからこれを却下することとして,主文のとお5り判決する。 東京高等裁判所第11民事部 10裁判長裁判官 大竹昭彦 裁判官 武田美和子15 裁判官 神野泰一20(別紙1、2省略)

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