【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人沢辺金三郎の上告趣意第一点について。 所論は、判例違反をいうが、原判決は、本件接客婦A外一六名は、業主の経営す
主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人沢辺金三郎の上告趣意第一点について。 所論は、判例違反をいうが、原判決は、本件接客婦A外一六名は、業主の経営する喫茶店で女給として客を接待した上、任意その客を接待婦各自の所属待合につれ込んで売淫し客からその料金の支払を受けることを主眼とし、また、本件喫茶店兼待合営業を営むB外九名が待合として接客婦が売淫する場所を準備して使用させる外一連の経営施設として買淫客を誘引すべき場所である喫茶店を設置するとともに接客婦に宿舎を提供し、客から受領した売淫料のうち一定の金員を席料名義の下に支払わせて利得すると同時に右定額を超える分に限り接客婦に対する報酬としてその任意処分に委ねることを双方合意した旨判示したに止り、所論のごとくいわゆる待合、喫茶店業者は売淫する場所を提供して売淫料の内一定金額を収得するものであり、また、いわゆる接客婦は、売淫をその業態とするものであるとは判示していない。されば、所論判例は本件に適切でないばかりでなく、原判決は、何等これと相反する判断をしていない。 同第二点について。 論旨は、違憲をいうが、原判決が、所論のごとく、警察官庁において、本件業者並びに接客婦が公認又は黙認されて公然とその業務を営んでいる事実を認めながら、被告人の業務並びに社会的地位関係においてのみ所論のごとき差別的な事実認定の取扱をした事実を認めることができない。されば、所論違憲の主張は、その前提を欠き、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。 同第三点について。 所論は、違憲をいうが、その実質は、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇- 1 -五条の上告理由に当らない。そして、職業安定法五条にいわゆる「雇用関係」とは、必ずしも、厳格に民法六二三条の意義に解すべきものではな が、その実質は、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇- 1 -五条の上告理由に当らない。そして、職業安定法五条にいわゆる「雇用関係」とは、必ずしも、厳格に民法六二三条の意義に解すべきものではなく、広く社会通念上被用者が有形、無形の経済的利益を得て一定の条件の下に使用者に対し肉体的、精神的労務を供給する関係にあれば足りるものと解するを相当とすることは、当法廷の判例とするところである(判例集八巻三号二四〇頁以下参照)。されば、原判決が、控訴趣意第二点並びに第一点について、判示のごとく認定し、結局本件業主と本件接客婦との間の法律関係は接客婦の業務行為の性質に基因する特殊条件を備えた一種の職業安定法五条にいわゆる雇用関係に外ならないとしたのは正当である。 同第四点について。 所論は、違憲をいうが、前点について述べたとおり、被告人の行為は、職業安定法五条に該当するものであるから、同条に該当しないことを前提とする所論一の主張は、その前提を欠き、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また、所論二は、接客婦の職業選択の自由に関するものであるが、原判決は、接客婦の所為を処罰したものでないから、これまた、その前提を欠き、同条の上告理由に当らない。(なお、職業安定法三二条は憲法一三条、二二条に違反しないとの昭和二五年六月二一日大法廷判決判例集四巻六号一〇四九頁以下参照)。 よつて、刑訴四〇八条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 昭和三一年一二月二七日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官斎藤悠輔裁判官入江俊郎裁判官下飯坂潤夫- 2 - 輔裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫
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