平成14(わ)250 殺人未遂,銃砲刀剣類所持等取締法違反,火薬類取締法違反被告

裁判年月日・裁判所
平成14年9月11日 岡山地方裁判所
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判決文本文3,003 文字)

主文 被告人を懲役8年に処する。 未決勾留日数中100日をその刑に算入する。 押収してあるけん銃1丁(平成14年押第50号の1)及びけん銃用実包2発(同押号の2)を没収する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1A(当時31歳)から現金80万円を借りていたものであるが,返済期日になっても返済できなかったことから,利息のカタとして自己が購入した普通乗用自動車を取り上げられた上,同人に同自動車のマフラーを無断で付け替えられたこと,母親を保証人にするよう求められたこと等から激高し,同人を殺害しようと決意し,平成14年3月30日午前4時30分ころ,岡山県倉敷市a町b番地所在のc公園野球場北東側駐車場において,法定の除外事由がないのに,同人に向けてその背後から実包を装てんした所携の38口径自動装てん式けん銃(平成14年押第50号の1)で弾丸2発を発射し,もって,不特定若しくは多数の者の用に供される場所においてけん銃を発射し,そのうち1発を同人の後頭部に命中させたが,同人に全治約2週間を要する頭,頚部銃創の傷害を負わせたにとどまり,同人を殺害するに至らなかった第2法定の除外事由がないのに,前記日時,場所において,前記自動装てん式けん銃1丁を,これに適合する実包4発(同押号の2はそのうちの2発)と共に携帯して所持するとともに,火薬類である前記実包4発をけん銃に使用することができるものとして所持したものである。 なお,被告人は,同日午後3時45分ころ,岡山県B警察署に出頭し,前記けん銃及び前記実包のうちの2発(同押号の2)を提出し,同署司法警察員らに自首したものである。 (証拠の標目)略(法令の適用)被告人の判示第1の所為のうち,殺人未遂の点は刑法203条,199条に,けん銃発射の点は包括して銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」 員らに自首したものである。 (証拠の標目)略(法令の適用)被告人の判示第1の所為のうち,殺人未遂の点は刑法203条,199条に,けん銃発射の点は包括して銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」という)3,。 1条,3条の13本文に,判示第2の所為のうち,けん銃を所持し,当該けん銃を適合けん銃実包と共に携帯した点は同法31条の3第2項,第1項,3条1項に,,,,けん銃実包所持の点は同法31条の83条の3第1項同法施行規則3条の2に火薬類所持の点は火薬類取締法59条2号,21条にそれぞれ該当するが,判示第1の殺人未遂とけん銃発射は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であり,判示第2のけん銃加重所持とけん銃実包所持と火薬類所持は1個の行為が3個の罪名に触れる場合であるから,それぞれ刑法54条1項前段,10条により1罪として,判示第1については重い殺人未遂罪の刑で,判示第2については最も重いけん銃加重所持の罪の刑で処断することとし,判示第1の罪について所定刑中有期懲役刑を選択し,判示第2の罪について,被告人はその所持に係るけん銃を適合けん銃実包と共に提出して自首したものであるから,銃刀法31条の5,刑法68条3号により法律上の減軽をし,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により重い判示第1の罪の刑に同法14条の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役8年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中100日をその刑に算入することとし,押収してあるけん銃1丁(平成14年押第50号の1)は判示第2のけん銃加重所持の犯罪行為を組成した物で,けん銃用実包2発(同押号の2)は判示第2のけん銃実包所持及び火薬類所持を組成した物で,いずれも被告人以外の者に属しないから,それぞれ同法19条1項1号,2項本文を適用し の犯罪行為を組成した物で,けん銃用実包2発(同押号の2)は判示第2のけん銃実包所持及び火薬類所持を組成した物で,いずれも被告人以外の者に属しないから,それぞれ同法19条1項1号,2項本文を適用していずれも没収することとする。 (量刑の理由)本件は,けん銃を発射して人を殺そうとしたが未遂に終わったという殺人未遂,けん銃発射,けん銃加重所持,適合実包所持,火薬類所持の事案である。 被告人は,適合実包を装てんしたけん銃を用意して犯行現場に赴き,被害者の背後から続けて2発もけん銃を発射し,後頭部に命中させたものであるが,幸いにして被害者が一命を取りとめたのは,弾丸が当たった場所がたまたま頭蓋骨の中で最も固い後頭隆起であって,そのため弾丸が弾かれて頭蓋骨を貫通して脳を傷つけることにはならずに,下方に進んで行き,更にその弾丸がたまたま頸動脈から約2センチメートル離れた僧帽筋膜内で止まったという偶然の事情が重なったからであって,致命的な結果にならなかったのはまさに奇跡的としかいいようがない。また,犯行現場は新興住宅等の建っている地域にあるc公園野球場北東側に位置する,165台の自動車を収容可能な駐車場であり,24時間開放状態となっていたのであるから,午前4時30分ころとはいえ,かかる場所でけん銃を発砲すること自体の危険性も軽視できない。さらに,被告人は,けん銃で撃った後も,逃げる被害者を車で執拗に追いかけ,暴力を加えたこと,被告人が所持していた実包数は4発と少なくないこと,被告人の借金の処理に関してもめ事があったとはいえ,到底,判示の殺害に及ぼうとする行為を正当化するものとはいえないこと,当初は,威嚇のために空に向けて撃った際の跳弾が当たったのだろうなどと不合理な弁解をしていた,,。 ,こと被害弁償をしていないことなども考え併せると犯情は を正当化するものとはいえないこと,当初は,威嚇のために空に向けて撃った際の跳弾が当たったのだろうなどと不合理な弁解をしていた,,。 ,こと被害弁償をしていないことなども考え併せると犯情は悪質である加えて被告人は,暴力団構成員であるところ,本件はもめ事を暴力によって解決しようとして,けん銃を用いて敢行された暴力団特有の思考に基づく犯罪であること,被告人には罰金前科1犯があることなどからすると,その刑事責任は重い。 他方,被告人は自首していること,被告人は,被害者から80万円の利息のカタとして大事に思っていた相当価値のある中古自動車を取り上げられた上,更に金員の返済を迫られたことから,当初は被害者と話し合っていたが,母親を保証人に立てるよう迫られたり,更には前記自動車のマフラーを無断で取り替えられたり,車体に傷を付けられていたのに気付いたり,被害者が携帯電話によって第三者に被告人の借金のことや,母親に保証人になってもらうことなどを話していると聞こえたこと等により激高して犯行に及んだものであって,被害者側にも問題が全くないとはいえないこと,被害感情が厳しくないこと,犯行後はともかくも被害者を病院に連れて行くよう手配していること,反省して正業に就くことを誓っており,母親も更生に協力することを約束していること,今回が初めての懲役となることなど,被告人に有利に斟酌すべき事情も認められる。 以上の点を考慮して,主文の刑が相当であると判断した。 平成14年9月11日岡山地方裁判所第2刑事部裁判長裁判官榎本巧裁判官中川綾子裁判官足立堅太 立堅太

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