昭和34(ラ)15 執行の方法に関する異議事件につきなされた決定に対する抗告事件

裁判年月日・裁判所
昭和35年7月28日 福岡高等裁判所 宮崎支部
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判決文本文4,581 文字)

主文 本件抗告を棄却する。抗告費用は抗告人の負担とする。事実 抗告代理人は「原決定を取り消す。相手方の本件異議の申立は却下する。異議および抗告費用は相手方の負担とする。」との決定を求め、相手方代理人は抗告棄却の決定を求めた。事実および証拠の関係は、事実関係につき、抗告代理人において「本件ごとき不動産引渡命令の執行に対する異議申立においては、異議事由は執行そのものに対する形式上・手続上のかしのみを主張すべきで、相手方の主張するような実体上の事由は主張し得ないと解すべきであるから、この点においてすでに相手方の申立は排斥を免れない。また、かりに、本件根抵当権設定契約が申立外Aの無権代理行為であるとしても、その契約後昭和三二年四月二九日相手方は右無権代理行為を追認したので、該根抵当権設定行為は契約の時に遡つて有効となつたというべく、根抵当権の不存在を前提とする相手方の主張は理由がない。つぎに抗告人が別紙目録記載の不動産(以下本件不動産という)を競落により取得した後、再び相手方にその所有権を譲渡したとの相手方の主張事実は否認する。もつとも、抗告人が本件不動産を競落した後相手方より三〇〇、〇〇〇円の支払を受けたことはあるが、これは右競落後相手方が本件不動産を無権限で使用していることによる損害金の支払であつて、相手方主張のごとき趣旨の金員ではない。なお、相手方主張のように本件不動産を申立外Dに所有権移転登記を経由した事実は認める。」と述べ、相手方代理人において「抗告人主張の追認の事実は否認する。かりに、根抵当権設定契約が有効で、抗告人が競落により本件不動産の所有権を取得したとしても、右競落後相手方は抗告人と交渉を重ねた結果、昭和三三年四月二三日、相手方と抗告人間に本件不動産の譲渡契約が 。かりに、根抵当権設定契約が有効で、抗告人が競落により本件不動産の所有権を取得したとしても、右競落後相手方は抗告人と交渉を重ねた結果、昭和三三年四月二三日、相手方と抗告人間に本件不動産の譲渡契約が成立し、再び相手方がその所有権を取得するにいたつたので、本件引渡命令は失当である。 得したとしても、右競落後相手方は抗告人と交渉を重ねた結果、昭和三三年四月二三日、相手方と抗告人間に本件不動産の譲渡契約が 。かりに、根抵当権設定契約が有効で、抗告人が競落により本件不動産の所有権を取得したとしても、右競落後相手方は抗告人と交渉を重ねた結果、昭和三三年四月二三日、相手方と抗告人間に本件不動産の譲渡契約が成立し、再び相手方がその所有権を取得するにいたつたので、本件引渡命令は失当である。すなわち、右競落後相手方は抗告人に対し、本件抵当権設定契約が相手方の長男申立外Aのなした印章冒用による無権代理行為である旨を説明したところ、抗告人は二五〇、〇〇〇円を昭和三一年末に一時に弁済すれば本件不動産を相手方に譲渡することを約諾するにいたつた。しかし、相手方においてその履行ができず、再び交渉したところ、昭和三二年四月二九日、右二五〇、〇〇〇円につき、内金一五〇、〇〇〇円を昭和三二年四月末までに、残金一〇〇、〇〇〇円を同年六月末までに支払い、さらに、昭和三〇年一〇月以降昭和三二年三月までの家屋使用損害金として五〇、〇〇〇円を支払うこと、相手方において右を不履行のときは本件不動産を明け渡すことになつた。ところが、相手方はこれも期日に履行できず、一部弁済をしてその都度履行の延期を求め、ようやく、昭和二三年三月までに完済するにいたつたので、本件不動産の譲渡について接衝した結果、前記昭和三三年四月二三日、申立外Bを借主、同Cを保証人とする二〇〇、〇〇〇円の借用証書を差し入れることを条件に本件不動産を相手方に譲渡することの最終的契約が成立し、これにもとづいて右の借用証書を差し入れた。したがつて、本件不動産は再び相手方の所有に帰したので、本件引渡命令は失当である。なお本件不動産について、昭和三三年八月中に申立外Dに対し所有権移転登記を経由しているが、この譲渡契約はその後当該当事者間において合意解除されている。」と述べ、証拠関係につき、相手方代理人において、甲第六 動産について、昭和三三年八月中に申立外Dに対し所有権移転登記を経由しているが、この譲渡契約はその後当該当事者間において合意解除されている。」と述べ、証拠関係につき、相手方代理人において、甲第六、七号証、第八号証の一ないし八、第九号証を提出し、当審証人A、Eの各証言を援用し、後記乙号各証はいずれも成立を認める、と述べ、抗告代理人において、乙第三ないし第五号証を提出し、当審証人F、G、H、Iの各証言を援用し、前記甲号各証のうち、第六号証は成立を否認する、爾余は成立を認める、と述べたほか、原決定事実摘示のとおりであるから、原決定のそれを引用する。 、証拠関係につき、相手方代理人において、甲第六、七号証、第八号証の一ないし八、第九号証を提出し、当審証人A、Eの各証言を援用し、後記乙号各証はいずれも成立を認める、と述べ、抗告代理人において、乙第三ないし第五号証を提出し、当審証人F、G、H、Iの各証言を援用し、前記甲号各証のうち、第六号証は成立を否認する、爾余は成立を認める、と述べたほか、原決定事実摘示のとおりであるから、原決定のそれを引用する。理由 本件不動産が相手方の所有であつたこと、昭和二九年三月頃右不動産につき、抗告人のため債権極度額四七八、〇九三円の根抵当権が設定されたとして、抗告人より宮崎地方裁判所に対して不動産競売の申立がなされ(宮崎地方裁判所昭和三〇年(ケ)第三八号)、右競売手続において、昭和三〇年一〇月抗告人が競落した上、同裁判所に対し不動産引渡命令の申立をなし、同裁判所は昭和三一年一二月一九日、右不動産に対する相手方の占有を解いて抗告人に現実に引渡すべき旨の不動産引渡命令をなしたことは、いずれも当事者間に争いがない。抗告人はこのような不動産引渡命令に対する異議申立事由は、執行そのものに対する形式上・手続上のかしのみを主張すべきで、実体上の事由は主張し得ないと抗争するので、まずその点について判断する。<要旨>不動産引渡命令に対する不服の方法は当該不動産の競落許可決定が確定したことを前提としていなければな</要旨>らないが、それを前提としているかぎり、形式上・手続上のかしは勿論引渡を拒絶し得る実体上の理由をも主張することができると解する。(引渡命令は債務名義ではなく、競売法による競売手 いなければな</要旨>らないが、それを前提としているかぎり、形式上・手続上のかしは勿論引渡を拒絶し得る実体上の理由をも主張することができると解する。(引渡命令は債務名義ではなく、競売法による競売手続において民事訴訟法第五四四条の準用による異議について、形式上・手続上の違法だけでなく、実体上の理由をも主張し得るとする大審院昭和六年一一月一八日言渡判決参照)。したがつて、本件において、根抵当権設定そのものが無効で、競落により抗告人が所有権を取得しないことを理由とする相手方の主張は請求異議の訴としてならば格別、本件引渡命令に対する異議の事由としてはその内容について判断するまでもなく、すでに理由のないことはまさに所論のとおりであるが、相手方主張の競落後競落人たる抗告人と相手方間に所有権の譲渡があり、相手方において、抗告人に対し本件不動産の引渡を拒絶し得る事由が生じたとの主張は、引渡命令に対する異議事由となり得るので、その事実の有無について判断する。 とを理由とする相手方の主張は請求異議の訴としてならば格別、本件引渡命令に対する異議の事由としてはその内容について判断するまでもなく、すでに理由のないことはまさに所論のとおりであるが、相手方主張の競落後競落人たる抗告人と相手方間に所有権の譲渡があり、相手方において、抗告人に対し本件不動産の引渡を拒絶し得る事由が生じたとの主張は、引渡命令に対する異議事由となり得るので、その事実の有無について判断する。本件不動産の競落許可決定確定後に抗告人が相手方より三〇〇、〇〇〇円を受取つたことは、その趣旨の点を除き当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第一、三号証に原審および当審証人A、Eの各証言と右証言によつて真正に成立したと認める甲第五号証の一、二並びに原審における相手方本人尋問の結果を綜合すると、相手方が抗告人に支払つた右三〇〇、〇〇〇円の支払の趣旨は相手方主張のとおりであつて、その主張のとおりのいきさつをたどつた末、昭和三三年四月二三月抗告人の代理人Gとの間に、相手方においてすでに支払つた三〇〇、〇〇〇円のほかに、Bを借主とし、Cを保証人とする二〇〇、〇〇〇円の借用証書を抗告人に差し入れることを条件に本件不動産を相手方に譲渡する旨の合意が成立し、これに従つて甲第三号証の借用証書を抗告人に差し 〇円のほかに、Bを借主とし、Cを保証人とする二〇〇、〇〇〇円の借用証書を抗告人に差し入れることを条件に本件不動産を相手方に譲渡する旨の合意が成立し、これに従つて甲第三号証の借用証書を抗告人に差し入れたことが認められる。この認定に牴触する原審および当審証人G、F、I、原審証人J、当審証人Hの各証言部分は措信しない。その他右認定事実を覆えすに足りる資料はない。もつとも抗告人の代理人Gが本件不動産を相手方に譲渡した後である昭和三三年八月七日に、申立外Dに対し更に譲渡し、その頃移転登記を経由していることは当事者間に争いがないのであるが、当審証人Iの証言によると、その売買には全く金銭の授受がなく、その後右両者間において合意解除をしたことが認められるので、相手方は抗告人との間の前記譲渡契約にもとづき取得した本件不動産の所有権を抗告人に主張することに何等の支障はない。以上認定のとおり、相手方は競落許可決定の確定後に本件不動産を競落人たる抗告人から譲り受けたものであり、相手方の右不動産に対する爾後の占有は自己の所有権にもとづくもので、もとより抗告人に対抗し得るものであるから、抗告人は相手方に対し、もはや本件引渡命令による執行をなすことは許されないというべく、その排除を求める相手方の本件異議の申立は理由があり、本件引渡命令は取消を免れない。 ことに何等の支障はない。以上認定のとおり、相手方は競落許可決定の確定後に本件不動産を競落人たる抗告人から譲り受けたものであり、相手方の右不動産に対する爾後の占有は自己の所有権にもとづくもので、もとより抗告人に対抗し得るものであるから、抗告人は相手方に対し、もはや本件引渡命令による執行をなすことは許されないというべく、その排除を求める相手方の本件異議の申立は理由があり、本件引渡命令は取消を免れない。よつて、これと結論を同じくする原決定は結局相当であつて、本件抗告は理由がないので、民事訴訟法第四一四条、第三八四条、第九五条、第八九条により主文のとおり決定する。(裁判長裁判官桑原国朝裁判官後藤寛治裁判官蕪山厳)(別紙目録は省略する。) 官蕪山厳) (別紙目録は省略する。)

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