昭和27(ネ)921 売買無効確認登記抹消等請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和29年2月26日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決中第一審被告A、同Bに対する部分を次のとおり変更する。      第一審被告Aは、第一審原告のために別紙第一目録記載の土地及び建物 について横浜地方法務局昭和二十三年四月

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主文 原判決中第一審被告A、同Bに対する部分を次のとおり変更する。 第一審被告Aは、第一審原告のために別紙第一目録記載の土地及び建物について横浜地方法務局昭和二十三年四月三十日受附第六二四三号を以てなした同年同月二十八日附売買による所有権取得登記の抹消登記手続をなせ。 第一審被告A並びに同Bは、それぞれ第一審原告に対し、別紙第一目録記載の土地並びに第二目録記載の建物を明け渡せ。 訴訟費用は第一・二審とも第一審被告らの負担とする。 事実 昭和二十七年(ネ)第九二一号事件控訴人、同年(ネ)第一〇四四号事件被控訴人、第一審原告C(以下単に第一審原告とよぶ。)訴訟代理人は、昭和二十七年(ネ)第九二一号事件につき、第一次請求として、「主文第一、二、三項同旨、訴訟費用は第一、二審とも第一審被告らの連帯負担とする。」との判決、予備的請求として、「第一審被告Aは第一審原告のため別紙第一目録記載の土地及び建物について横浜地方法務局昭和二十三年四月三十日受附第六二四三号を以てなした同年同月二十八日附売買に因る所有権取得登記の抹消登記手続をなせ。第一審被告Bは別紙第二目録記載の建物から退去し、第一審被告Aは同建物を収去して、それぞれその敷地たる別紙第一目録記載の土地を第一審原告に明け渡せ。訴訟費用は第一、二審とも第一審被告らの連帯負担とする。」との判決を、昭和二十七年(ネ)第一〇四四号事件につき、控訴棄却の判決を求め、昭和二十七年(ネ)第九二一号事件被控訴人、同年(ネ)第一〇四四号事件控訴人、第一審被告A(以下単に第一審被告Aと呼ぶ。)訴訟代理人は、昭和二十七年(ネ)第九二一号事件につき、第一次請求に対し控訴棄却並びに請求の拡張部分につき請求棄却の判決、予備的請求に対し請求棄却の判決を、 審被告A(以下単に第一審被告Aと呼ぶ。)訴訟代理人は、昭和二十七年(ネ)第九二一号事件につき、第一次請求に対し控訴棄却並びに請求の拡張部分につき請求棄却の判決、予備的請求に対し請求棄却の判決を、昭和二十七年(ネ)第一〇四四号事件につき、「原判決中第一審被告A敗訴の部分を取り消す、第一審原告の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも第一審原告の負担とする。」との判決を求め、昭和二十七年(ネ)第九二一号事件被控訴人、第一審被告B(以下単に第一審被告Bと呼ぶ。)訴訟代理人は、昭和二十七年(ネ)第九二一号事件につき第一審被告Aと同様の判決を求めた。 当事者双方の事実上の陳述は、第一審原告代理人において、「(一)第一審原告は、第一次の請求として、所有権に基き本件所有権取得登記の抹消登記手続及び本件宅地建物の明渡を求めるものであつて、別紙第一目録記載の宅地建物は登記簿の表示に従つて表示したものであり、第二目録記載の建物は右登記したる第一目録記載の主たる建物を実測に従つて表示したものである。そして第一目録記載の附属物置は、戦災により、焼失し現存しないので、原審においては特に右に対する所有権取得登記の抹消登記手続を求めなかつたのであるけれども、不動産登記法上登記したる主たる建物と附属建物は一箇の不動産とみなされるものであつて、仮令附属建物が滅失したからといつてこれを除外して主たる建物のみにつき所有権取得登記の抹消登記をなすことは許されず、又附属建物滅失による変更登記をなす必要上登記簿上の所有名義を第一審原告に回復する必要があるので、ここに請求を拡張変更して右附属物置を含む別紙第一目録記載の宅地建物につき所有権移転登記の抹消登記手続をなすべきことを求めた次第である。(二)原判決事実摘示中「第四、答弁に対する原告の主張、一(原判決五枚目裏三行目以下) て右附属物置を含む別紙第一目録記載の宅地建物につき所有権移転登記の抹消登記手続をなすべきことを求めた次第である。(二)原判決事実摘示中「第四、答弁に対する原告の主張、一(原判決五枚目裏三行目以下)」に「Dが原告の招きにより日本に来て、以来殆んど常に原告と同居していたこと」は「認める」とあるのを「否認する」と訂正する。(三)第一審原告は、別紙第二目録記載の建物は、その坪数、構造において多少相違するも、結局第一目録記載の主たる建物に相当するものであつて、両者同一の建物であると主張するものであるが、仮に両者別箇の建物であつて、登記簿上表示せられている第一目録記載の建物は戦災によつて滅失し、現存の第二目録記載の建物は第一審被告Aが建築所有するものとすれば、第一審原告は、予備的請求として、第一審原告が別紙第一目録記載の土地につき第一次請求と同一原因により現に所有権を有することを主張し、戦災により既に滅失したる第一目録記載の建物については、滅失当時における登記簿上の所有名義人としてこれが滅失登記をなすべき義務あり、それがためには登記簿上の所有名義を第一審原告に回復する必要があるので、第一審被告Aに対し予備的請求の趣旨第一項記載のように宅地の外右滅失建物についてもその所有権移転登記の抹消登記手続をなすべきことを求め、又、第一審被告Aは、別紙第二目録記載の建物を建築所有し、第一審被告Bは、これに居住し、いずれも別紙第一目録記載の土地の所有である第一審原告に対抗し得る権原なくして、右土地を占有しているので、第一審原告は、右土地の所有権に基き、第一審被告Bに対し右建物から退去し、第一審被告Aに対し右建物を収去して、それぞれ右土地を第一審原告に明け渡すことを求める。なお、本件建物及び本件土地の時価についての第一審被告らの主張を争う。本件建物収去の請求は、 右建物から退去し、第一審被告Aに対し右建物を収去して、それぞれ右土地を第一審原告に明け渡すことを求める。なお、本件建物及び本件土地の時価についての第一審被告らの主張を争う。本件建物収去の請求は、第一審原告の今後の生活上重大な利害関係があるためになすものであり、単に第一審被告らを害することをのみ目的とするものでないから、権利の濫用にはあたらない。しかのみならず、第一審被告らの権利濫用の主張は、自己の正当ならざる法律の非難に価する現状を維持せんがため、正当な第三者の権利行使を否認せんとするものであつて、許さるべきでない。(四)民法第百十条の表見代理、及び同条と民去第百十二条との綜合による表見代理に関する第一審被告らの主張について次のとおり主張する。第一審被告らは、Dの基本代理権に関する主張として、同人は第一審原告の復代理人として第一審原告の預金払戻に関する代理権を有していたと主張しているけれども、(イ)預金払戻行為は法律行為でなく、(ロ)仮に法律行為であるとしても、Dは預金払戻につき第一審原告の代理人Eの使者であつて復代理人でなく、(ハ)仮に復代理人であつたとしても、その代理権は昭和二十一年十二月十二、三日頃消滅し、本件売買はその後一年四月余を経た昭和二十三年四月頃行われたのであり、以上いずれの点よりも、Dは本件売買当時何らの代理権をも有していなかつたのであるから、民法第百十条の表見代理の成立する余地はない。 また第一審被告A法定代理人はDに代理権があると信ずべき正当の理由を有しないものである。すなわち、Dの権限内の行為と本件売渡行為との牽連は余りに遠く、登記所に於て登記手続をしようとして印鑑相違を指摘されて改印届をなし、権利証は焼いたといいながら実印と称する印顆と委任状のみがのこり、しかもその委任状は委任者が以前から不在なのに最近の日附 に遠く、登記所に於て登記手続をしようとして印鑑相違を指摘されて改印届をなし、権利証は焼いたといいながら実印と称する印顆と委任状のみがのこり、しかもその委任状は委任者が以前から不在なのに最近の日附となつているなど、相当の注意を払えば疑念を生ずべき状況にあつたのにかかわらず、第一審被告A法定代理人は、右につき何ら調査せず、第一審原告にたしかめることをなさなかつたのであるから、この点につき同人に過失あるものというべきである。次に民法第百十二条と第百十条との綜合による表見代理に関する主張についても、民法第百十二条にいう第三者は、相手方が従前代理権を有したことを知り、その代理権が消滅したにかかわらず現在も代理権があると信じた者に限定されるべきで、相手方が過去に有した代理権の存在を知らぬ者は含まれないものと解すべきであるから、本件における第一審被告Aは民法第百十二条の第三者には含まれず、従つて本件は民法第百十条第百十二条の綜合による表見代理にもならないものである。」と述べ、第一審被告両名代理人において、「(一)別紙第一目録記載の附属木造石板葺平物置建坪十坪が戦災によつて焼失し現存しないことは認める。(二)第一審原告が原判決事実摘示中の「Dが原告の招きにより日本に来て、以来殆んど常に原告と同居していたことは認める」とあるのを「否認する」と訂正することに異議がある。右についての第一審原告の原審における自白を採用する。(三)仮に第一審被告Aが本件土地上に現存する別紙第二目録記載の建物を所有することによつて、本件土地を不法に占有しているとしても、右建物は、同被告が昭和二十三年八月から昭和二十四年八月までの間に約七百五十万円の費用をついやして建築したものであり、これを現在の物価により換算すれば約二千万円をついやしたことになる。しかしてこの建物を本件土地か 告が昭和二十三年八月から昭和二十四年八月までの間に約七百五十万円の費用をついやして建築したものであり、これを現在の物価により換算すれば約二千万円をついやしたことになる。しかしてこの建物を本件土地から収去すれば時価二千万円の建物は殆んど無価値な材料と化するばかりでなく、更に収去費用として多額の新なる費用を要するものであつて、これは第一審被告Aにとつて莫大な損害であるばかりでなく国家的にもそれだけの損害となるのであるから、これ明らかに権利の濫用であり、許されざるものである。しかのみならず、本件土地の価格は僅かに百万余円に過ぎないのであつて、利益の均衡よりするも、建物収去の請求は許されぬものである。(四)原判決事実掲示第三被告等の答弁、三(原判決四枚目裏十行目以下)の主張を次のとおり補充する。第一審原告は、昭和二十年三月頃家族を疎開させるため中国に赴くにあたり、かねて親交あり、当時渋谷警察署長であつたEに対し、渋谷区内にあつた第一審原告所有の土地家屋の管理、税金、電気水道料金等の支払を委託し、その費用として、預金額約五千円の第一審原告名義の銀行預金通帳を印顆二個と共に預けたが、治安上の要職にあり、職務繁劇であつたEがこれらの委任事務の処理に何人かを復代理人に選任することは第一審原告として当然予想すべきことであり、暗黙にこれを許諾しておつたものである。 そこでEは、昭和二十一年中金融緊急措置令によつて右預金が封鎖された後、第一審原告の異母弟であるDを第一審原告の復代理人に選任し、同人に対し右預金通帳及び印顆を預けて右預金の封鎖の解除及び払戻をなすことを委任したのであるが、Dは、右印顆を使用して改印届をなし、印鑑証明書を受け、第一審原告名義の必要書類を作成し、第一審原告の代理人として本件不動産を第一審被告Aに売り渡したのである。Dは、第一審原告 委任したのであるが、Dは、右印顆を使用して改印届をなし、印鑑証明書を受け、第一審原告名義の必要書類を作成し、第一審原告の代理人として本件不動産を第一審被告Aに売り渡したのである。Dは、第一審原告の印鑑証明書を所持して第一審原告の代理人と称し、一方第一審原告が中国に在り第一審原告本人についてこれを確める手段がなかつたので、第一審被告A法定代理人Fは、Dが第一審原告の代理人であると信じたし、かく信ずるについて過失がなかつたのであるから、本件売買当時Dの右予金の封鎖解除並びに払戻に関する代理権が消滅しており、かつ本件不動産売渡行為が従前の代理権の範囲を超越したとしても、Dの代理権の消滅を知らず、これを知らないことにつき過失なく、かつ同人に代理権があると信ずべき正当の理由を有した第一審被告Aに対し、第一審原告はDのなした売渡行為についてその責に任ずべきものである。(五)仮にそうでないとしても、本件土地上の建物は戦災で滅失し、第一被告Aが本件土地上に新な建物を建築し、原始的に所有権を取得したのであるから、現在の登記簿は本件地上の建物につき現在の権利関係に合致しておるのである。それ故登記原因に不実があつても、現在の建物登記について、以前の建物が滅失したことにより実体のない無意味な登記簿上の権利者である第一審原告の登記の抹消を求める何らの実益を有せず、かつこれが抹消登記手続を求める権利なきものである。」と述べた外原判決事実摘示記載のとおり(但し、原判決三枚目表六行目「第六三四三号」とあるは、「第六二四三号」の誤記である。)であるから、ここにこれを引用する。 証拠として、第一審原告代理人は、甲第一号証、第二号証の一、二、第三号証の一、二、三、第四号証の一ないし四、第五号証の一、二、三、第六号証、第七号証の一、二、第八ないし第十二号証を提出し、甲第 。 証拠として、第一審原告代理人は、甲第一号証、第二号証の一、二、第三号証の一、二、三、第四号証の一ないし四、第五号証の一、二、三、第六号証、第七号証の一、二、第八ないし第十二号証を提出し、甲第三号証の一、二、第四号証の一(印鑑紙)の下方の印影、同第四号証の二、三、四はいずれもDの偽造したものであると述べ、原審並びに当審証人E、G、原審証人D、Jの各証言、原審並びに当番における第一審原告本人尋問の結果、原審における検証の結果を援用し、乙第一号証、第三号証、第九号証の一ないし十八、第十一号証の成立及び乙第十号証の一、二、三が昭和二十八年八月八日撮影にかかる本件建物の写真であることを認める、乙第二号証の成立を否認する、その余の乙各号証の成立は知らないと述べ、第一審被告ら代理人は乙第一ないし第三号証、第四号証の一、二、第五号証の一、二、三、第六号証の一、二、第七号証の一ないし五、第八号証、第九号証の一ないし十八、第十号証の一、二、三、第十一号証を提出し、乙第十号証の一、二、三は昭和二十八年八月八日撮影にかかる本件建物の写真であると述べ、原審並びに当審証人G、原審証人Kの各証言、原審並びに当審における第一審被告A法定代理人F尋問の結果、原審における第一審原告並びに被告白井建設株式会社代表者Lの各本人尋問及び検証の結果を援用し、甲第一号証、第五号証の一ないし三、第七号証の一、二、第十号証ないし第十二号証の成立を認める、甲第三号証の一、二の偽造であることは否認する、甲第四号証の一の下方の印影、同第四号証の二、三、四がそれぞれ偽造であることは知らない、その余の甲各号証の成立は知らないと述べた。 理由 第一審原告が昭和十八年三月三十日別紙第一目録記載の土地及び建物を三菱信託株式会社から買い受け、同年四月一日その旨の所有権取 の余の甲各号証の成立は知らないと述べた。 理由 第一審原告が昭和十八年三月三十日別紙第一目録記載の土地及び建物を三菱信託株式会社から買い受け、同年四月一日その旨の所有権取得登記を経由したこと、第一審被告Aが右土地及び建物を昭和二十三年四月二十八日第一審原告から買い受けた旨の所有権移転登記が昭和二十三年四月三十日横浜地方法務局受附第六二四三号を以てなされていること、並びに右第一目録記載の建物中附属物置は右移転登記前戦災により滅失したが、右土地の上には現に別紙第二目録記載の建物が存在し、第一審被告らが右建物並びにその敷地である右土地を占有していることは当事者間に争のないところである。 ところで、第一審原告は、第一次に、右第二目録記載の建物は、その坪数、構造において多少相違するも、結局第一目録記載の主たる建物に相当するものであつて、両者同一の建物である旨主張し、所有権に基き第一審被告Aに対し前記所有権移転登記の抹消登記手続を求めると共に、第一審被告両名に対し右建物並びにその敷地たる第一目録記載の土地の明渡を求めているので、以下順次第一審原告の右第一次請求の当否を判断する。 まず、第一審原告の第一審被告Aに対する右所有権移転登記の抹消登記手続の請求について按ずるに、第一審原告は、右登記簿表示の第一目録記載の土地及び建物を第一審被告Aに売り渡したことはなく、右所有権移転登記手続は第一審原告名義の書類を偽造してなされた登記原因を欠く無効の登記であると主張しているので、右登記の経緯について審究する。 第三者の作成にかかり当裁判所の真正に成立したものと認める甲第八、第九号証、成立に争のない乙第九号証の五(証人E尋問調書)原審及び当審証人E、G、原審証人Dの各証言、原審及び当審における第一審原告本人、第一審被告A法定代理 所の真正に成立したものと認める甲第八、第九号証、成立に争のない乙第九号証の五(証人E尋問調書)原審及び当審証人E、G、原審証人Dの各証言、原審及び当審における第一審原告本人、第一審被告A法定代理人Fの各尋問の結果を綜合すれば、第一審原告は、元日本国簿を有した台湾人であつて、昭和十七年頃日本内地に来住し、貿易商を営む傍ら陸軍軍属として勤務していたが、昭和二十年三月家族を中国に疎開させるため旅行期間を約二ケ月と予定して東京を離れるにあたり、予て知合であつた当時の渋谷警察署長Eに対し、第一審原告の不在中、その居宅であつた東京都渋谷区a町b番地所在建物の管理を委託し、同時に留守中の諸雑費の支払にあてるため、株式会社三菱銀行渋谷支店名義第一審原告宛の預金高約五千円の銀行預金通帳一冊及び第一審原告の印顆二箇(内黒色材認印は右銀行預金に使用)を預けて行つたこと、しかるにその後第一審原告が日本に帰えることができないでいる間に終戦となり第一審原告は中国官憲によつて抑留されて日本に帰らず、一方銀行預金は封鎖されてしまつたため、Eは、銀行預金の払戻ができないで困つていたところ、当時Eが第一審原告の兄弟と信じていたD(本名D真実は第一審原告の父の妾の連子)がEに対し、自分は第三国人であるから預金を払戻してやる。」と言うので、Eは、昭和二十一年十二月、Dに対し、右銀行預金通帳及び黒色印顆を交付して預金払戻を委任したこと、Dは、同月中に右銀行預金のほとんど全部の払戻を了し、現金と通帳とはEに交付したが、右印顆のみはEからこれが返還を請求されていたにかかわらずこれを返還せずに手許にとりとめおいたこと、Dは、昭和二十三年二月頃別紙第一目録記載の土地附近に居住していたGに対し、右土地及び地上建物(当時は、戦災に遭つたためいわゆる焼ビルの状態にあつた)の売却斡旋を依頼 ずに手許にとりとめおいたこと、Dは、昭和二十三年二月頃別紙第一目録記載の土地附近に居住していたGに対し、右土地及び地上建物(当時は、戦災に遭つたためいわゆる焼ビルの状態にあつた)の売却斡旋を依頼して買手を探した結果、同人を介して第一審被告Aとの間に売買の交渉を進め、その間Gに対し、第一審原告作成名義昭和二十三年三月二十二日附の右土地建物売却の代理権をGに授与する旨の委任状(乙第二号証)を偽造してこれを交付し、届人をしてこれを第一審被告A法定代理人に示さしめ、Gを第一審原告の代理人として、同月四月二十八日第一審被告Aに右土地建物を代金三十五万円で売り渡す約束がまとまり、同日これが所有権移転登記手続をしようとしたところ、これに使用した前記黒色材の印顆の印影が、予て横浜地方法務局に届けてあつた第一審原告の印鑑と相違したため登記手続ができなかつたところから、Dは、更に右印頼を使用して第一審原告作成名義の改印鑑届(甲第四号証の二)印鑑紛失届(同号証の三)及び委任状(同号証の四)を偽造し、これを横浜中区役所に提出して改印鑑手続を経た上印鑑証明書の下附を受け、同月三十日これを登記官吏に提出して漸く前記本件所有権移転登記をなしたこと、並びにDは、何人からも右土地建物の売却方の委任を受けず、これに関する何らの代理権をも有しなかつたことを認めることができる。右認定に反する原審証人Dの証言及び成立に争のない乙第九号証の五(東京地方裁判所和昭二十五年(ワ)第三〇八九号事件における証人Dの尋問調書)の記載はこれを信用しない。その他右認定を左右するに足る証拠はない。 果して然らば、Dは、第一審原告と第一審被告Aとの間の前記売買契約につき正当に第一審原告を代理する権限なく、Gもまたかかる代理権を取得するに由ないのであるから、右売買契約は同人らの無権代理行為であ 果して然らば、Dは、第一審原告と第一審被告Aとの間の前記売買契約につき正当に第一審原告を代理する権限なく、Gもまたかかる代理権を取得するに由ないのであるから、右売買契約は同人らの無権代理行為であるとなすの外なく、右につきDに代理権ありとの第一審被告らの主張は、到底排斥を免れない。 しかるに第一審被告らは、Dの右行為は民法第百十条又は同条と同法第百十二条に該当する表見代理行為であるとし、その基本代理権として、第一にDは当時第一審原告からその日本において保有する財産を保管する権限を与えられていたと主張しているけれども、本件一切の証拠を調べても、Dがこのような代理権を有していたと認められる証拠なく、却つて原審及び当審における証人Eの証言並びに第一原告本人の供述によれば、Dにこのような権限のなかつたことが明らかであるから、右基本代理権の存在に関する第一審被告らの主張は理由がない。しかしながら、Eが第一審原告からその不在中その所有にかかる渋谷区内の家屋の管理並びに税金、電気水道料金等の支払を委託され、かつ第一審原告名義の銀行預金通帳並びに印顆の交付を受け、これを使用して右預金の払戻を受ける権限を授与されていたこと、並びに終戦後右預金が封鎖され払戻を受けることがむずかしくなつたので、第三国人であるDに対し、右銀行預金通帳並びに黒色材印顆を交付して預金払戻手続を委任したことは、前認定のとおりであつて、Eが右委任を受けた事務の処理につき第一審原告を代理する権限のあることは勿論、Cもまた右第一審原告の代理人Eの選任により、右選任が有効である限り、右預金払戻事務につき第一審原告を代理する権限を有するものというべきである。第一審原告は右預金払戻事務は法律行為でなく、又Cは復代理人として選任せられたものでなく、単なる使者にすぎないと主張する。なる程預金の 務につき第一審原告を代理する権限を有するものというべきである。第一審原告は右預金払戻事務は法律行為でなく、又Cは復代理人として選任せられたものでなく、単なる使者にすぎないと主張する。なる程預金の払戻請求は意思通知であり、使者により預金の払戻を受けることも数多く見る事例ではあるが、本件は単なる預金の払戻でなく封鎖預金の払戻であつてその間折衝を要することも多々あるべく、その事務を処理するDを目して単なる使者であるとは到底認めることができず、又これを認めるに足る証拠もなく、又払戻金の受領行為は物権契約であつて法律行為であるばかりでなく、封鎖解除の申請、消費寄託の合意解除等公法上又は私法上の意思表示を要する場合もあるべく、一概に預金払戻事務を法律行為でないということがてきず、殊に当審証人Eの証言によれば、Dは、払戻を受けた預金中から封鎖解除のための報酬を関係者に支払い、Eはこれを承認していることが明らかであるから、なおさらEはDを預金払戻事務その他これに伴う法律行為につき復代理人として選任したものと認めるのが相当である。しかして第一審被告らは、右Eのなした復代理人の選任を有効なりとし、その理由として、第一審原告はかかる復代理人の選任を暗黙に許諾していたと主張しているけれども、何ら右事実を認むべき証拠なく、又Eが当時警察署長として相当繁劇なる公務に従事していたことは容易に想像せられるけれども、それだからといつて当然かかる許諾があつたものと推認することができず、却つて銀行預金の払戻手続に関しては預金封鎖等のない通常の場合には使者を以てもなしうること、及び前段認定のように第一審原告が約二ケ月間の旅行のため東京を離れるにあたつて留守中の諸雑費の支払にあてるため銀行預金通帳及び印顆をEに委託したことにかんがみれば、第一審原告がEに対しかかる復任権を暗 び前段認定のように第一審原告が約二ケ月間の旅行のため東京を離れるにあたつて留守中の諸雑費の支払にあてるため銀行預金通帳及び印顆をEに委託したことにかんがみれば、第一審原告がEに対しかかる復任権を暗黙の間に授与したものとは到底認め難い。しかしながら、第一審原告代理人Eにおいて第一審原告名義の封鎖預金の払戻ができなかつた前段認定の事情は、民法第百四条にいわゆる「已ムコトヲ得サル事由」にあたるものというべきであるから、EがDを復代理人に選任したことは法定の復任権の行使と認むべく、Dは右選任により第一審原告を代理して右銀行預金払戻をなす権限を有するに至つたものというべきである。 よつて進んで、Dの右銀行預金払戻に関する代理権の存在を前提として第一審被告らの表見代理の主張を吟味するに、第一審被告らは、まず本件の場合を民法第百十条にあたるもののように主張するが、前段認定のように、Dは、昭和二十一年十二月中に右銀行預金のほとんど全部の払戻を了し、通帳をEに返還し、預金払戻に使用した印顆もEから返還方を請求されていたのであるから、Dの前記代理関係は、委任事務の完了とEからの印顆返還請求(委任契約の解除の意思表示を暗黙に包含するものと解せられる)とによつて昭和二十一年十二月中に終了したものと認めるを相当とすべく、従つて昭和二十三年四月の本件土地等売買契約当時においては、Dは、第一審原告を代理する何の権限をも有しなかつたのであるから、同人の第一審原告を代理してなした本件土地等の売買行為は、基本代理権の存在をかくが故に、そのまゝでは民<要旨第一>法第百十条にいわゆる表見代理行為にあたらないことはいうまでもない。しかしながら、代理権消滅後従前の</要旨第一>代理人がなお代理人と称して従前の代理権の範囲に属しない行為をした場合においても、もし相手方が過失なく る表見代理行為にあたらないことはいうまでもない。しかしながら、代理権消滅後従前の</要旨第一>代理人がなお代理人と称して従前の代理権の範囲に属しない行為をした場合においても、もし相手方が過失なくして代理権消滅を知らないときは、従前の代理権ある以上さらにそれ以上の当該事項についても代理権あるものと信ずることあるべく、しかも相手方がかく信ずるにつき正当の理由を有するときは、かかる相手方は保護に値するを以て、本人は、該行為につき相手方に対してその責に任ずべきものとなすを至当とすべく、(昭和十八年(オ)第七五九号同十九年十二月二十二日大審院民事連合部判決参照)、この場合には、相手方は、従前の代理権の存在を知り、かつこれを知るが故に従前の代理権消滅後のしかもその範囲をこえた無権代理行為につき権限ありと信ずべき正当の理由を有するにいたつたことを要するものと解するを相当とする。よつてこれを本件についてみるに、本件売買契約締結当時、相手方である第一審被告A側の人達が、Dが従前預金払戻に関し第一審原告を代理する権限を有していたを知つていたと認むべき証拠は少しもないので、仮に第一審被告A法定代理人においてDが本件売買契約に関し第一審原告を代理する権限を有していたものと誤信していたとしても、これがためDの右無権代理行為につき第一審原告をしてその責に任ぜしむべきでないばかりでなく、同被告法定代理人がかく信ずるにつき過失なしということができないので、同人は権限ありと信ずべき正当の理由を有しないものといわなければならぬ。すなわち、原審並びに当審における第一審被告A法定代理人Fの供述によれば、同人は、友人Hから本件物件を買わぬかとすすめられ、Iをして調査せしめたところ、本件物件は第一審原告の所有であつて、Hはその義兄Gから依頼せられ、又Gは第一審原告の弟Dから依 代理人Fの供述によれば、同人は、友人Hから本件物件を買わぬかとすすめられ、Iをして調査せしめたところ、本件物件は第一審原告の所有であつて、Hはその義兄Gから依頼せられ、又Gは第一審原告の弟Dから依頼せられて本件物件の買手を探していたものであり、又Dは第一審原告が中国から呼びよせ第一審原告と同居していたものであつて、第一審原告は中国に帰国するにあたり同人に対し日本にある財産一切の管埋を委せていたものであることが判明し、かつGはDから第一審原告名義の受任者をGとする本件物件の売買に関する委任状(乙第二号証)の交付をうけこれを所持していたので、D従つてGは本件売買につき正当なる代理権を有するものと信じて、格別Dに直接あつてたしかめることもなさず、又第一審原告は当時中国にあり不在だつたので同人にあいたしかめるすべもなかつたので、そのまま本件売買契約を締結したことが認められるのであるが、仔細に右委任状をみるときは、その日附が昭和二十三年四月二十二日となつていて、右事実と第一審原告が終戦前より不在であつた事実とを思い合すれば、容易にその日附の矛盾に気がつき、ひいてD又はGの代理権につき疑を挾むにいたるべく、又売買契約当日登記をなさんとして印鑑相違の故を以てこれを果さず、漸く改印鑑手続をなして登記を完了することを得たことは前認定のとおりであるので、その過程において相当の注意を以てすれば容易に代理権なきことを知り得たかも知れず、少くともこの間の疑念をとくため、さらにGに確め、又は直接Dにあうことを必要とすべく、もしDにあつてその代理権取得の事情をきくならば、第一審原告が昭和二十年当時二十二歳の青年にすぎなかつたDに果してかかる重大なる代理権を与えたかどうかにつき一層の疑念を生ずるにいたるべく、第一審被告A法定代理人Fがこの挙に出でず、漫然G、Hらの 第一審原告が昭和二十年当時二十二歳の青年にすぎなかつたDに果してかかる重大なる代理権を与えたかどうかにつき一層の疑念を生ずるにいたるべく、第一審被告A法定代理人Fがこの挙に出でず、漫然G、Hらの言を信じて本件売買契約をなしたのは、少くとも取引上必要とする注意をかいたものであつて、軽忽のそしりをまぬかれないものといわねばならぬ。よつて表見代理に関する第一審被告らの主張はすべて理由なしとして排斥する。 果して然らば、本件売買はD又はGの純然たる無権代理行為であつて、固より第一審原告に対してその効力を生ぜず第一審被告Aはこれにより本件土地建物の所有権を取得するに由ないので、同人のためなされた前段認定の所有権移転登記は登記原因たる実質的物権変動を伴わない無効のものであるというべきである。 第一審被告Aは、右登記の効力に関し、右登記中少くとも建物登記の部分については、登記簿表示の建物はすべて焼失して存在せず、その後において第一審被告Aが本件土地上に別紙第二目録記載の建物を新築し焼失建物の登記を新築建物の登記に代えたものであるから、右登記は有効であると主張しているけれども、右第二目録記載の建物は、その坪数構造において多少相違するも、結局別紙第一目録記載の主たる建物に相当するものであり、これを改修したものであつて新築したものと認めることができないことは後に説示するとおりであるが、仮に第一審被告Aの主張のとおりとしても滅失建物の登記を新築建物の登記に流用することは不動産登記法の認めないところであるから、仮令同被告がかかる流用の意思をもつていたとしても、それがため滅失建物の登記が新築建物の登記として有効となるものでなく、同被告の右主張は主張自体理由がない。 然らば第一審原告は第一審被告Aに対し別紙第一目録記載の土地建物につきなされた前示所有権移転登 がため滅失建物の登記が新築建物の登記として有効となるものでなく、同被告の右主張は主張自体理由がない。 然らば第一審原告は第一審被告Aに対し別紙第一目録記載の土地建物につきなされた前示所有権移転登記が登記原因をかくことを理由として所有権に基きその抹消登記手続を求めることを得るものというべく、<要旨第二>右建物中附属木造石板葺平家物置建坪十坪が既に滅失して存在していないことは当事者間争がないけれども、</要旨第二>不動産登記法上登記したる主たる建物と附属建物は一箇の不動産とみなされるものであつて、登記簿は一箇の不動産につき一用紙を備うる関係上、仮令附属建物が滅失したからといつてこれを除外して主たる建物のみにつき所有権取得登記の抹消登記をなすことは許されないのであるから、第一審原告が右附属物置の滅失にかかわらず主たる建物と共にこれを一箇の不動産としてこれに対する前示登記の抹消を求めたのは当然であつて、第一審原告の第一次の請求中右抹消登記手続を求める部分は正当として認容すべきである。 次に第一審原告の第一次の請求中第一審被告らに対し別紙第一目録記載の土地及び第二目録記載の建物の明渡を求める部分の当否について審究する。 第一審被告らがそれぞれ右土地並びに建物を占有していることは、当事者間に争がない。第一審被告らは、現存の第二目録記載の建物は第一審被告Aが多額の費用をかけて新築した建物で、従前第一審原告の所有していた第一目録記載の建物は戦災により滅失してしまつたものであると主張するのに対し、第一審原告は、第一目録記載の建物が戦災にあつたことは認めるが、その主たる建物は鉄筋コンクリート造の建物であつたから、内部の可燃物は焼失しても外壁は残存し、修築すれば使用可能な状態にあつたから建物たるの性質を失わなかつたものである、そして第二目録記載の現存建 その主たる建物は鉄筋コンクリート造の建物であつたから、内部の可燃物は焼失しても外壁は残存し、修築すれば使用可能な状態にあつたから建物たるの性質を失わなかつたものである、そして第二目録記載の現存建物は右罹災建物を改修したものであると主張するので、まずこの点から検討する。成立に争のない甲第五号証の三、原審における第一審原告本人尋問の結果によりその成立を認めうる甲第二号証の一、二、原審証人G、Jの各証言右証人Jの証言によつてその成立を認めうる甲第六号証を綜合すれば、別紙第一目録記載の建物中主たる建物は、もと鉄筋コンクリート造スレート葺地階附平家で、建坪四十五坪外地階四十坪であつたが、戦災にあい、本件売買の行われた昭和二十三年四月当時は、屋根は焼け落ち鉄骨の屋根張のみが残存し、四囲の外壁は残つていたが、相当に破損し、窓は外壁の穴として判る程度であり、内部は間仕切の跡がわずかに判る程度まで焼け、地下室には水や芥がたまついいたこと、同年春右売買にさきだちGがDの依頼で株式会社佐野組に右建物の修繕工事の見積をさせた時、同会社は、附属建物二・五坪の新築を加え、工期六十日工費五十六万七千五百六十円と見積つたこと、右見積書には、鉄材、鉄筋の費用は記載されず、コンクリート工事として二十五立坪を記載したこと、当時右見積書のような修繕を加えた建物を新築すれば約二百五十万円を要したこと、従つて、地下室を含む右建物の焼残部分は、それ自体として相当の価値を有したことを認めることができる。かかる状態において右焼残部分がなお建物といいうるや否については結局社会通念によりこれを決するよりほか仕方ないのであるが、今次戦争において罹災した鉄筋コンクリート造建物の焼残部分がいわゆる「焼ビル」と呼ばれ、単に建築材料としてでなく、建物として売買せられ、これに修繕を加えて現実に使用 決するよりほか仕方ないのであるが、今次戦争において罹災した鉄筋コンクリート造建物の焼残部分がいわゆる「焼ビル」と呼ばれ、単に建築材料としてでなく、建物として売買せられ、これに修繕を加えて現実に使用されている実例の多々あ<要旨第三>ることは、公知の事実であつて、前記事実に右事実を考え合すときは、本件焼残部分は、そのままでは建物とし</要旨第三>ての用をなさないものであるけれども、なお建物としての主体を存し修繕可能のものであるが故に、社会通念上なお建物というべきものとなすのが相当である。さればこそ第一審被告Aが本件土地とともに右焼残建物を売買の目的となし、建物について前示所有権移転登記を経由したものであつて、右事実もまた当事者間において本件建物を滅失と見なかつたことの一つの証拠となすことができよう。右認定に反する原審並びに当審における第一審被告A法定代理人Fの尋問の結果は信用することがでぎず、成立に争のない乙第三号証によるも右認定を左右するに足りない。もつとも、原審証人Kの証言、同証言によつてその成立を認めうる乙第四号証の一、二、第五号証の一、二、三、第六号証の一、二、第七号証の一ないし五、第八号証、原審における被告白井建設株式会社代表者L、第一審被告A法定代理人F各尋問の結果を綜合すれば、白井道路建設株式会社(後白建設株式会社と商号を変更した)は、昭和二十三年八月頃から約一年にわたり前記建物に多大の修理補強、増築を加え、別紙第二目録記載のとおり鉄筋コンクリート造瓦葺地階四十九坪一合七勺、一階四十六坪七合二階四十三坪四合二勺となし、これが工事費合計七百四十三万千二百二十五円十八銭を要した事実を認めることができるけれども、かかる事実があるからといつて右現存建物を第一審被告Aの新築したものとなすことができず、前記焼残部分がなお建物とみうべきも 計七百四十三万千二百二十五円十八銭を要した事実を認めることができるけれども、かかる事実があるからといつて右現存建物を第一審被告Aの新築したものとなすことができず、前記焼残部分がなお建物とみうべきものである以上、右修理、補強、増築、内部造作などの工作部分はいずれも右建物の構成部分となつたか、あるいはこれに附合し、右建物と一体となり、いずれも右建物の所有者である第一審原告所有に帰したものというべきである。(もつとも右工事費を支出した白井建設株式会社あるいは第一審被告Aが民法第二百四十八条の規定に基き第一審原告に対し不当利得返還請求をなし得る外、その占有者である第一審被告らが本件建物につき支出した必要費有益費を民法第百九十六条の規定に従つて第一審原告に対しこれが償還を請求し得ることはいうまでもない。)叙上の次第であつて、第一目録記載の主たる建物は戦災によつて滅失せず、現存の第二目録記載の建物はこ理変更を加えたものであつて、結局両者同一建物であるから現存建物が第一審原告の所有に属すれに修ることはいうまでもなく、しかして第一審被告らが右建物並びにその敷地たる第一目録記載の土地を占有するにつき他に正当の権原あることは、同被告らの毫も主張立証しないところであるので、第一審原告の第一次の請求中所有権に基き第一審被告らに対し右土地建物の明渡を求める部分もまた正当として認容すべきである。 されば第一審原告の第一次の請求はすべて正当であつて認容すべく、これと帰結を異にした原判決はその限度において変更をまぬかれず、第一審原告の控訴の理由あることは勿論、第一審被告Aの控訴もまた原判決が同被告に対し本来許すことのできない主たる建物のみに対する所有権移転登記の抹消登記手続をなすことを命じた点において理由あるものというべく、よつて控訴費用の負担につき民事訴訟法第 Aの控訴もまた原判決が同被告に対し本来許すことのできない主たる建物のみに対する所有権移転登記の抹消登記手続をなすことを命じた点において理由あるものというべく、よつて控訴費用の負担につき民事訴訟法第八十八条第九十三条第九十六条を適用し主文のとおり判決する。 (裁判長判事大江保直判事岡咲恕一判事猪俣幸一)(別紙)第一目録横浜市c区d町e丁目f番一、 宅地三百十坪六合五勺横浜市c区d町e丁目g番ノh一、 宅地十四坪横浜市c区d町e丁目f番地家屋番号i番一、 鉄筋コンクリート造りスレート葺地階附平屋居宅建坪四十五坪外地階四十坪附属木造石坂葺平平屋物置建坪十坪第二目録横浜市c区d町e丁目f番地所在鉄筋コンクリート造葺地階附二階建一棟地階四十九坪一合七勺一階四十六坪七合二階四十三坪四号二勺

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