昭和52(オ)595 抵当権設定登記抹消登記手続等、債務不存在確認

裁判年月日・裁判所
昭和54年4月17日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 広島高等裁判所 松江支部 昭和47(ネ)38
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を広島高等裁判所松江支部に差し戻す。          理    由  上告代理人松永和重の上告理由第一点及び第三点について  所論の点に関す

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判決文本文2,022 文字)

主文 原判決を破棄する。 本件を広島高等裁判所松江支部に差し戻す。 理由 上告代理人松永和重の上告理由第一点及び第三点について所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。 同第二点について原審は、被上告人を登記権利者とし上告人ら先代D(以下「D」という。)を登記義務者とする本件仮登記の登記申請に用いられたD名義の登記委任状(甲第一〇号証の二)は、被上告人において預つていたDの実印を冒用して作成したものではないかとの疑いが濃厚であるとしながらも、本件仮登記それ自体は実体関係に符合するものであり、また、Dがこれに協力すべき当然の義務があるかどうかはともかくとして、同時履行の抗弁権による対価的給付の確保等、右登記を拒む正当な利益を有するとは認めがたいことを挙げ、このような事案においては、仮登記手続に前記のような瑕疵があつても、D及びその相続人である上告人らは本件登記の抹消を求めることはできない、として、上告人らの請求を理由がないものとし、第一審判決を取り消したうえ、上告人らの被上告人に対する請求を棄却している。 しかしながら、登記が偽造文書による登記申請に基づいてされた場合においても登記義務者において右登記の無効を主張することができないものというためには、その登記の記載が実体的法律関係に符合し、かつ、登記義務者においてその登記を拒みうる特段の事情がないというだけではなく、登記権利者において当該登記申請- 1 -が適法であると信ずるにつき正当の事由があることを要するものと解すべきことは、当裁判 記義務者においてその登記を拒みうる特段の事情がないというだけではなく、登記権利者において当該登記申請- 1 -が適法であると信ずるにつき正当の事由があることを要するものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和三九年(オ)第七七号同四一年一一月一八日第二小法廷判決・民集二〇巻九号一八二七頁参照)。したがつて、Dないし上告人らにおいて本件仮登記の無効を主張することができないものというためには、本件仮登記が実体的法律関係に符合し、かつ、登記義務者であるDにおいて登記を拒む正当な利益を有しないということだけでなく、登記権利者である被上告人において本件仮登記の申請が適法であると信ずるにつき正当の事由があつたことを要するものであるから、右の最後の要件の存在を認定しないまま、上告人らの請求を棄却した原判決には、偽造文書による登記の効力に関する法令の解釈適用を誤り、ひいて理由不備を犯した違法がある。論旨は理由があり、原判決はこの点において破棄を免れない。 ところで、本件記録に徴すれば、原審が真正に成立したものであることを確定した丙第一号証の一は原判決の確定にかかるDの被上告人に対する本件土地の売買契約の成立を証するために作成された昭和三七年一〇月三日付売買契約書であり、同じく同号証の二は右売買契約書と一体となるべきDを作成者とする被上告人あての同日付委任状であるところ、右委任状の委任事項欄の記載内容と本件売買が農地の売買であつたことに徴すれば、Dがあらかじめ被上告人に対し本件仮登記をすることをも承諾し、被上告人にこれを委任してその代理権を授与していたものと認める余地がないではなく、原審における被上告人本人の尋問の結果中にも同旨の供述が存在するのである。そして、もし、被上告人がDから本件仮登記申請手続をするについてその代理権 理権を授与していたものと認める余地がないではなく、原審における被上告人本人の尋問の結果中にも同旨の供述が存在するのである。そして、もし、被上告人がDから本件仮登記申請手続をするについてその代理権を授与されていたとするならば、原審が判示するように本件仮登記の申請にあたり被上告人がたまたま預つていたDの実印を用いて同人名義の委任状を作成したとしても、右委任状をもつて偽造のものであるとすることはできず、かかる委任状を用いてされた登記申請手続は権限のある代理人によりされたものと- 2 -して有効であるといわなければならない。してみれば、本件仮登記の申請にあたり被上告人がDから代理権を授与されていたといえないかどうか、代理権を有しなかつたとしても、なお、上告人らの請求を棄却すべき特別の事情があるかどうかについて、さらに審理を尽くす必要があると認められるので、本件を原審に差し戻すのが相当である。 よつて、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官高辻正己裁判官江里口清雄裁判官服部高顯裁判官環昌一裁判官横井大三- 3 -

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