平成15(行ウ)668 解任処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年9月6日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文60,087 文字)

主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告が原告に対して平成15年10月24日付けでした日本道路公団総裁解任処分を取り消す。 第2事案の概要本件は,被告から日本道路公団法13条2項柱書き所定の「その他役員たるに適しないと認めるとき」に該当することを理由として日本道路公団総裁を解任された原告が,被告に対し,解任処分の取消しを求める事案である。 前提事実(該当箇所に証拠を併記した事実のほかは,いずれも当事者間に争いがない。)(1)原告は,平成12年6月20日,被告(ただし当時は建設大臣中山正暉。 なお,国土交通省は,中央省庁等改革の一環として,同13年1月6日に,北海道開発庁,国土庁,運輸省及び建設省を母体として設置され,初代国土交通大臣には扇千景が就任した。)から日本道路公団総裁に任命された。その任期は同16年4月16日までであった。原告は,昭和37年4月に建設省に採用され,平成8年7月に建設事務次官を最後に退官した者であり,日本道路公団総裁任命に至る原告の経歴は,別紙1「経歴表」のとおりである(甲24の1)。 なお,日本道路公団は,日本道路公団等民営化関係法施行法(平成16年 法律第102号)等の法令により,平成17年10月1日,P1株式会社,P2株式会社及びP3株式会社の3社に分割民営化されて解散し,また,一方で独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が設立されるなどしたところ,同法により,日本道路公団法も廃止されたが,廃止前の同法13条2項の定めは下記のとおりであった。 記国土交通大臣又は総裁は,それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき,その他役員たるに適しないと認めるときは,その役員を解任することができる。 一心身の故障のため職務 りであった。 記国土交通大臣又は総裁は,それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき,その他役員たるに適しないと認めるときは,その役員を解任することができる。 一心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。 二職務上の義務違反があるとき。 (2)平成15年9月22日,いわゆる第2次小泉内閣が発足し,かねてから行政改革・規制改革担当国務大臣の地位にあった石原伸晃が,同日,国土交通大臣に就任した。石原伸晃国土交通大臣は,同年10月5日午前11時ころから午後4時ころまでの間,原告と会談し,その際,原告に対し,日本道路公団総裁を辞任するよう要求するなどしたが,結局,原告は同要求を拒絶した(甲24の2)。 (3)平成15年10月7日,石原伸晃国土交通大臣は原告に対し,日本道路公団法13条2項に基づく解任処分を行うに当たり,聴聞通知書(以下「本件聴聞通知書」という。)をもって聴聞の通知を行った。本件聴聞通知書には,「予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項」,「不利益処分の原因となる事実」,「聴聞の期日及び場所」として下記の記載があった (乙1,2)。 記ア予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項貴職に対する日本道路公団法(昭和31年法律第6号)第13条第2項の規定に基づく解任イ不利益処分の原因となる事実(ア)貴職については,いわゆる「幻の財務諸表」に関する本年5月の新聞報道に関し,その記事掲載の直後から当該財務諸表の存否が問われていたにもかかわらず,十分な調査を行わず,当初はその存在を否定した。更に本年7月,月刊誌にいわゆる「幻の財務諸表」に関する内部告発が掲載された後においても状況を把握できず,8月に至ってそのデータの存在を確認したとの発表を行った。このことにより,平成15年5月 た。更に本年7月,月刊誌にいわゆる「幻の財務諸表」に関する内部告発が掲載された後においても状況を把握できず,8月に至ってそのデータの存在を確認したとの発表を行った。このことにより,平成15年5月から7月にかけての財務諸表に関する国会対応が不誠実との批判を招いた。また,道路関係四公団民営化推進委員会との関係においても,同様の批判を受けた。 (イ)また,日本道路公団の理事,職員を信用していないとの趣旨の発言を行ったとの記事が雑誌に掲載された「会合」については,国会答弁において,当初記憶にないと言いながら,最終的には「会合」の存在を認めた。この間,他の出席者に速やかに確認をとるなどの誠実な対応を行わず,組織における不信感を招来せしめた。 (ウ)さらに,貴職については,就任以来,しばしば組織の内外を問わず連絡をとることが困難という事態が指摘されるなど,結果として組 織の的確な管理運営に支障を生じさせた。 (エ)これらのことから総合的に判断すれば,貴職については,高速道路に関する制度を抜本的に改革する重要な時期を迎える公団の総裁として十分な資質を有していないと言わざるを得ず,このことが日本道路公団法第13条第2項に該当すると認められる。 ウ聴聞の期日及び場所(ア)期日平成15年10月17日(金)10時00分~(イ)場所東京都港区α-×-1β1F小会議室(4)平成15年10月15日,原告(代理人弁護士P4及び同P5)は被告に対し,行政手続法18条1項に基づき,資料の閲覧請求書を提出し,翌16日に不利益処分の原因となる事実を証する資料を閲覧した。なお,同閲覧請求書には「謄写,もしくは複写の交付については,時間,場所などの物理的な制約上,当事者の十分な防御権行使を保障するために必要不可欠であるので,これを認められるよう特 る資料を閲覧した。なお,同閲覧請求書には「謄写,もしくは複写の交付については,時間,場所などの物理的な制約上,当事者の十分な防御権行使を保障するために必要不可欠であるので,これを認められるよう特に申請する。」とも記載されていたが(乙3),被告は謄写又は複写の求めに応じなかった。 (5)平成15年10月17日,原告及び原告代理人弁護士4名が出頭し,P6国土交通省政策統括官が主宰者となって,午前10時3分から午後7時3分までの間,行政手続法所定の原告に対する聴聞が行われた(以下「本件聴聞」という。)。本件聴聞期日の冒頭において,行政庁職員から原告に対し,予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項並びにその原因となる事実が説明されたが,その際,その原因となる事実については,その内容が記載された書面が配付された。同書面の記載は下記のとおりである。同書 面の記載につき,行政庁職員は,本件聴聞通知書の記載内容と同義であるが,より丁寧に述べたものであると説明した。なお,本件聴聞期日において原告及び上記代理人らが陳述した意見の概要は,別紙2「当事者及びその代理人の陳述した意見の要旨」のとおりである。(乙4の2)記①本年5月中旬に,日本道路公団が債務超過に陥っていることを示すとされた財務諸表(以下「本件財務諸表」という。)を入手したとする新聞報道がなされ,その直後から同財務諸表に関する事実関係について国会質問があった。この問題が同公団の改革,民営化等の今後の運営に重大な影響を及ぼしかねないものであることに鑑み,同公団を代表する立場にあるP7総裁としては,速やかに役員及び職員を指揮して事実関係を正確に調査,把握し,かつ説明する等の適切な対応をとるべきところ,これを怠り,8月に至るまでそのデータの存在すら確認できなかったばかりか,国会 総裁としては,速やかに役員及び職員を指揮して事実関係を正確に調査,把握し,かつ説明する等の適切な対応をとるべきところ,これを怠り,8月に至るまでそのデータの存在すら確認できなかったばかりか,国会,道路関係四公団民営化推進委員会,マスコミ等に一方的な見解に基づく対応に終始した。 この結果,国会における答弁内容がその都度変遷するなど国権の最高機関である国会を軽視し,不誠実な対応と受け取られてもやむを得ない事態を招来した。また,道路関係四公団民営化推進委員会との関係においても,同様の問題を惹起した。 更に,本件財務諸表を巡る一連の対応は,それがマスコミを通じて広く報道されたこともあって,日本道路公団に対する国民の信頼を著しく損ねる結果を生じさせた。 ②本年4月16日にγ会館で開催されたとされる「会合」を巡る報道等に関しても,国会における質問に対して,P7総裁は,正確な事実関係を確認するための適切な対応を行わず,不誠実な答弁を繰り返した。 また,当該「会合」においてP7総裁が発言したとされた内容は,総裁自身が日本道路公団の役職員を信頼していないと受け取られるような内容であったにもかかわらず,P7総裁は,同発言に関する適切な説明等を行わず,公団組織内におけるP7総裁と役員及び職員間の信頼関係を著しく損ねる結果となった。 ③更に,P7総裁は,日本道路公団本社外における自己の居場所を,一部の公式行事等を除いて,秘書以外の者には知らせず,理事等といえども秘書を通じない限り外出中のP7総裁と連絡をとることができないような不自然な組織運営を行っており,組織の長としての職責を誠実に遂行するものとはいえない。 ④以上の諸事実を総合的に判断すれば,P7総裁の一連の対応は,日本道路公団に対する国民の信頼を著しく損ね,同公団の円滑な運営に重大な支障をも 織の長としての職責を誠実に遂行するものとはいえない。 ④以上の諸事実を総合的に判断すれば,P7総裁の一連の対応は,日本道路公団に対する国民の信頼を著しく損ね,同公団の円滑な運営に重大な支障をもたらすものといわざるを得ない。よって,P7総裁は,高速道路に関する諸制度を抜本的に改革する重要な時期を迎えて,国民の信頼を得ながら,役職員が一丸となって改革に取り組むべき日本道路公団の総裁として適格性を欠いており,日本道路公団法第13条第2項本文に規定する「その他役員たるに適しないと認めるとき」に該当すると認められる。 (6)平成15年10月24日,被告は原告に対し,解任処分理由書をもって, 「日本道路公団法(昭和31年法律第6号)第13条第2項各号列記以外の部分の規定」に基づき,下記の理由により,同日付けで日本道路公団総裁を解任する処分(以下「本件解任処分」という。)を行った(乙6)。 記①本年5月中旬に,日本道路公団が債務超過に陥っていることを示すとされた財務諸表(以下「本件財務諸表」という。)を入手したとする新聞報道がなされ,その直後から同財務諸表に関する事実関係について国会質問があった。この問題が同公団の改革,民営化等の今後の運営に重大な影響を及ぼしかねないものであることに鑑み,同公団を代表する立場にあるあなたとしては,速やかに役員及び職員を指揮して事実関係を正確に調査,把握し,かつ説明する等の適切な対応をとるべきところ,これを怠り,8月に至るまでそのデータの存在すら確認できなかったばかりか,国会,道路関係四公団民営化推進委員会,マスコミ等に一方的な見解に基づく対応に終始した。 この結果,国会における答弁内容がその都度変遷するなど国権の最高機関である国会を軽視し,不誠実な対応と受け取られてもやむを得ない事態を招来した。また, コミ等に一方的な見解に基づく対応に終始した。 この結果,国会における答弁内容がその都度変遷するなど国権の最高機関である国会を軽視し,不誠実な対応と受け取られてもやむを得ない事態を招来した。また,道路関係四公団民営化推進委員会との関係においても,同様の問題を惹起した。 更に,本件財務諸表を巡る一連の対応は,それがマスコミを通じて広く報道されたこともあって,日本道路公団に対する国民の信頼を著しく損ねる結果を生じさせた。 ②本年4月16日にγ会館で開催されたとされる「会合」を巡る報道等 に関しても,国会における質問に対して,あなたは,正確な事実関係を確認するための適切な対応を行わず,不誠実な答弁を繰り返した。 また,当該「会合」においてあなたが発言したとされた内容は,総裁自身が日本道路公団の役職員を信頼していないと受け取られるような内容であったにもかかわらず,あなたは,同発言に関する適切な説明等を行わず,公団組織内におけるあなたと役員及び職員間の信頼関係を著しく損ねる結果となった。 ③更に,あなたは,日本道路公団本社外における自己の居場所を,一部の公式行事等を除き,秘書以外の者には知らせず,理事等といえども秘書を通じない限り外出中のあなたと連絡をとることができないような不自然な組織運営を行っており,組織の長としての職責を誠実に遂行するものとはいえない。 ④以上の諸事実を総合的に判断すれば,あなたの一連の対応は,日本道路公団に対する国民の信頼を著しく損ね,同公団の円滑な運営に重大な支障をもたらすものといわざるを得ない。よって,あなたは,高速道路に関する諸制度を抜本的に改革する重要な時期を迎えて,国民の信頼を得ながら,役職員が一丸となって改革に取り組むべき日本道路公団の総裁として適格性を欠いており,日本道路公団法第13条第2項各号列記 路に関する諸制度を抜本的に改革する重要な時期を迎えて,国民の信頼を得ながら,役職員が一丸となって改革に取り組むべき日本道路公団の総裁として適格性を欠いており,日本道路公団法第13条第2項各号列記以外の部分に規定する「その他役員たるに適しないと認めるとき」に該当すると認められる。 争点 本件の争点は,以下のとおりである。 (1)本件解任処分の実体上の違法性について前提事実(6)の解任処分理由書①記載の事実(以下総称して「本件財務諸表問題」という。),同②記載の事実(以下総称して「本件会合問題」という。)及び同③記載の事実(以下総称して「本件連絡問題」という。)は認められるか。 また,仮に認められるとして,これらの事実の存在をもって日本道路公団法13条2項柱書き所定の「その他役員たるに適しないと認めるとき」に該当するということができるか。 (2)本件解任処分の手続上の違法性についてア本件解任処分は,本件聴聞通知書中の「予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項」欄の記載が「貴職に対する日本道路公団法(昭和31年法律第6号)第13条第2項の規定に基づく解任」と記載されている(前提事実(3)ア)だけで,同項1号,同項2号,同項柱書きの区別が示されていない点において,違法であるか(行政手続法15条1項1号)。 イ本件解任処分は,本件聴聞通知書中の「不利益処分の原因となる事実」欄の記載が,事実記載の特定を欠く,ないしは記載を欠くとの理由により,違法であるか(行政手続法15条1項2号)。 ウ本件解任処分は,聴聞の期日(平成15年10月17日)の指定が,聴聞の通知(同月7日)から「相当な期間」がおかれていないとの理由により,違法であるか(行政手続法15条1項柱書き)。 エ本件解任処分は,①聴聞に当たって,被告が,あらかじめ 0月17日)の指定が,聴聞の通知(同月7日)から「相当な期間」がおかれていないとの理由により,違法であるか(行政手続法15条1項柱書き)。 エ本件解任処分は,①聴聞に当たって,被告が,あらかじめ資料の標目を作成し,聴聞通知書に標目を示して閲覧を求めることができる旨原告に教 示しなかった点,②原告が,被告に対して,聴聞の期日の当日に,本件連絡問題に係る事実について,資料の閲覧を求めたのに対し,被告がこれを拒否した点,又は③被告が,原告に記録の謄写を認めなかった点において,違法であるか(行政手続法15条2項2号,18条1項及び2項)。 オ本件解任処分は,本件聴聞の主宰者が,聴聞の続行期日を指定することなく,聴聞手続を終了させた点において,違法であるか(行政手続法22条1項)。 カ本件解任処分は,①聴聞調書に,主宰者がどのような証拠や資料を根拠として不利益処分の原因となる事実の存否を認定したかの記載がないとされる点,又は②報告書が,専ら行政庁の職員の説明に即して当事者の主張を整理し,その上で,行政庁の意向に即した意見を述べ,結論付けを行っているとされる点において,違法であるか(行政手続法24条1項ないし3項)。 キ本件解任処分は,聴聞の主宰者及び被告の補助機関が聴聞の持つ意味を理解せずに手続を進めたとされる点において,違法であるか。 ク本件解任処分は,①解任処分理由書の理由の記載が特定されていないとされる点,又は②解任処分理由書の理由に,当事者の主張及び聴聞の主宰者の意見について,行政庁としてどのようにしんしゃくしたのかが示されていない点において,違法であるか(行政手続法14条1項本文,26条)。 (3)訴訟上の問題点について本件解任処分の適法性について被告が本件訴訟においてする主張は,処分 理由の差替え又は追加として い点において,違法であるか(行政手続法14条1項本文,26条)。 (3)訴訟上の問題点について本件解任処分の適法性について被告が本件訴訟においてする主張は,処分 理由の差替え又は追加として許されないか。 争点に関する当事者の主張の概要(1)争点(1)(本件解任処分の実体上の違法性)について(原告の主張)ア本件財務諸表問題について原告が隠ぺいしたと報道された「幻の財務諸表」について,①日本道路公団が組織として作成した事実はなく,②そもそも「幻の財務諸表」においても同公団は債務超過とされていない。また,③原告も同公団も「幻の財務諸表」を隠ぺいしたことはない。 また,「幻の財務諸表」なるものも,日本道路公団が公表した民間企業並財務諸表と比べると,財務諸表というに値しないことは明白である。 すなわち,「幻の財務諸表」に関する報道は誤報であり,国会での質問者もかかる誤報を前提としており,事実誤認に基づいている。 いわゆる「幻の財務諸表」に関する原告の国会答弁は,日本道路公団が組織として作成したことはない旨一貫して述べており,客観的事実に合致するもので変遷はなく,不適切な対応に当たる事情はない。 いわゆる「幻の財務諸表」は,平成15年7月10日発売の月刊誌「○○」8月号の記事で初めて公になり,同月14日,衆議院決算行政監視委員会において資料として配付されたもので,その内容は到底財務諸表というに値しないものであったが,原告はこれに応じて対応及び調査を行っており,原告による調査等の遅れなどはない。 イ本件会合問題について 平成15年5月1日発売の雑誌「○○」(なお,同雑誌は一般書店では販売されず,定期購読等によらなければ容易に入手できない。)5月号の記事のうち,同年4月16日,γ会館において会合が持たれ,同会合に原告が出席した 1日発売の雑誌「○○」(なお,同雑誌は一般書店では販売されず,定期購読等によらなければ容易に入手できない。)5月号の記事のうち,同年4月16日,γ会館において会合が持たれ,同会合に原告が出席したことは間違いないが,本件会合は,正式に議題が設定され,議事録を作成して一定の議題について議論するというような集まりではなく,原告はあいさつ程度の発言はしているが,同5月号に記載された内容の発言をしたか否かも原告の記憶にない(なお,原告は同雑誌から取材を受けたことはない。)。 原告の国会答弁は,原告に対する各質問の時点で分かった事実をできる限り誤解を招かないよう丁寧に答弁し,当初から本件会合に出席していた可能性は認めた上で,本件会合での発言内容が「○○」5月号の記事に記載された内容であったかは判然としないことを一貫して述べており,何ら問題はない。原告に限らず,一般に週刊誌等の記事に基づく国会質問については,本人への裏付け取材がされていないことや,事実について疑問が多いこともあり,コメントを差し控えるものであり,「○○」5月号の記事についてもそのような対応で十分であったが,同記事について国会で数度にわたり質問されたことから,原告としてできる限りの答弁をしたものであり,このような原告の対応は,むしろ通常の場合より丁寧かつ誠実なものである。 ウ本件連絡問題について日本道路公団において,原告に対する連絡態勢に不備はなく,実際,原告に連絡が取れないなどとして具体的な支障が生じたことはなかった。 エ以上のとおり,本件解任処分の理由はいずれも全く根拠を欠き,違法である。なお,原告は,本件解任処分には根拠となる事実が欠けていると主張しており,本件解任処分に裁量権の逸脱又は濫用があることを問題としているわけではないから,裁量権の逸脱又は濫用があったこ ,違法である。なお,原告は,本件解任処分には根拠となる事実が欠けていると主張しており,本件解任処分に裁量権の逸脱又は濫用があることを問題としているわけではないから,裁量権の逸脱又は濫用があったことを基礎付ける事実を主張せずとも,原告に求められる主張責任は果たしている。 (被告の主張)ア本件財務諸表問題について原告は,平成12年6月20日,被告によって日本道路公団総裁に任命されたものであるが,同13年4月に発足した小泉内閣の下において,日本道路公団を含む道路関係4公団の民営化が特殊法人等の改革の柱とされた。そして,その将来の在り方を検討するためにも,民間企業並みの会計基準に基づく財務諸表を作成することが強く求められるようになり,その内容に対する社会的な関心が高まっていた。このような折り,同15年5月16日のP8新聞朝刊(全国版)が「日本道路公団債務超過の諸表隠す」との見出しの下に,同公団が同14年7月に,民間企業並みの会計基準で同13年3月期の財務諸表(本件財務諸表)を作成していたという旨の記事を掲載した。 このような場合,日本道路公団総裁である原告としては,速やかに役職員を指揮して迅速かつ的確な調査を行わせ,事実関係を正確に把握して説明責任を果たし,公団に対して生じた国民の不信,疑念又は誤解を払しょくすることが求められていたというべきであるが,原告はこれを怠り,P8新聞社に対しては事実に反するとして直ちに抗議し,国会においても本 件財務諸表を一切作っていないとの断定的な答弁を行った。ところが,平成15年7月10日発売の○○において,本件財務諸表が同公団内部において作成されていたことを内部告発する同公団職員の手記が記事として掲載されたため,国会や記者会見において,実務者レベルで道路資産をどう評価するかについての勉強会をし て,本件財務諸表が同公団内部において作成されていたことを内部告発する同公団職員の手記が記事として掲載されたため,国会や記者会見において,実務者レベルで道路資産をどう評価するかについての勉強会をしていたことを認めざるを得なくなり,このような対応振りについて国会やマスコミから厳しい批判を受けた。そして,この時点においてようやく同公団内における調査に着手し,同月25日から行った更なる追加調査の結果,同公団のネットワークコンピュータの中に電子データとして本件財務諸表が保管されていることが判明したとして,同年8月8日にこれを公表した。 しかしながら,その間,国会や道路関係四公団民営化推進委員会,マスコミ等は,原告の総裁としての資質を厳しく問い,その責任を追及するようになり,日本道路公団の将来の在り方が問われていた重要な時期に,原告は公団に対する国民の信頼を失墜させた。 イ本件会合問題について平成15年5月1日発売の雑誌「○○」5月号に「道路公団総裁の『仰天』謀議」と題する記事が掲載され,原告が日本道路公団の理事や職員を信用していないとの趣旨の発言を行ったと報道された。ところが,原告は,国会において,同発言をしたとされる会合への出席の有無,会合での発言内容等についてあいまいかつ不誠実な答弁を繰り返して説明責任を果たさず,また,同公団組織内においても何ら釈明等を行わず,役職員との信頼関係に基づいてリーダーシップを発揮することが不可能な状態に至らせた。 ウ本件連絡問題について原告は,総裁就任以来,外出先等においては,常に秘書を通じて連絡を取らせるようにしていたため,日本道路公団の役職員が原告と確実に連絡を取ることの困難な状況を作り出し,組織の的確な管理運営に支障を生じさせた。 エ日本道路公団法13条2項柱書きの「役員たるに適しない」と るようにしていたため,日本道路公団の役職員が原告と確実に連絡を取ることの困難な状況を作り出し,組織の的確な管理運営に支障を生じさせた。 エ日本道路公団法13条2項柱書きの「役員たるに適しない」とは,当該「役員」が総裁である場合には,当該「役員」の資質,能力等に照らし,総裁としての職責を果たすことが困難である場合等をいうものと解されるが,他の解任事由とは異なり,解任のための具体的な基準を設けない抽象的包括的な解任事由を定めるものである。これは,日本道路公団の高度の公共的性格や,これを代表し,業務を総括する者としての総裁に特に求められる資質,能力等の高さ,特に,道路行政の在り方や,同公団自身の組織の在り方等が根本的に問われているような時期には,強いリーダーシップを発揮し,国民に対する説明責任等を積極的に果たして国民の信頼を得ることができる高い資質,能力等が求められていることをも考慮し,総裁が「役員たるに適しない」か否かの判断について,国土交通大臣に広範な裁量を認めたものということができる。 したがって,本件解任処分は,その判断の基礎とされる重要な事実に誤認があること等により同判断が全く事実の基礎を欠くか,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により同判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかである場合にのみ,裁量の範囲を逸脱し,又は濫用したものとして違法となるというべきであり,その逸脱又は濫用を 基礎付ける事実については,原告が主張立証責任を負う。 本件財務諸表問題,本件会合問題及び本件連絡問題における原告の一連の行動は,日本道路公団に対する国民の信頼を著しく損ね,同公団の円滑な運営に重大な支障をもたらすものといわざるを得ず,高速道路に関する諸制度を抜本的に改革する重要な時期を迎えて,国民の信頼を得ながら,役職 ,日本道路公団に対する国民の信頼を著しく損ね,同公団の円滑な運営に重大な支障をもたらすものといわざるを得ず,高速道路に関する諸制度を抜本的に改革する重要な時期を迎えて,国民の信頼を得ながら,役職員が一丸となって改革に取り組むべき日本道路公団の総裁としての適格性を欠いていることは明らかである。 したがって,このような見地から,日本道路公団法13条2項柱書きの「その他役員たるに適しないと認めるとき」に原告が該当するとした被告の判断は相当であって,その裁量権の行使に逸脱又は濫用がないことは明らかである。 (2)争点(2)(本件解任処分の手続上の違法性)についてア争点(2)ア(本件聴聞通知書中,予定される不利益処分の根拠となる法令の条項の記載が日本道路公団法13条2項と記載されている点)について(原告の主張)本件聴聞通知書には,解任処分の根拠となる法令として,日本道路公団法13条2項とのみ記載があるだけである。同項は,同項1号及び2号のほか,同項柱書きが解任事由を定めているところ,同通知書だけでは解任の根拠法令は特定されていない。 解任処分の根拠となる法令の条項が聴聞通知書に明示されなくてはならない理由は「不利益処分の原因となる事実」,すなわち処分の構成要件となる事実を特定し,不利益処分の名あて人となるべき者に十分な防御の機 会を与える必要からである。したがって,条項を記載しない瑕疵は,仮に構成要件事実が具体的に記載され,具体的に記載された構成要件事実から処分の根拠条項が容易に推測できる場合ならばいざ知らず,本件のように解任処分の原因となる事実が不特定かつ不明確であって,全体としてどの根拠条項によって処分されるか明らかでない場合には,解任処分の原因となる事実の記載の不備とあいまって処分の違法事由となる。 (被告の主張)本件聴聞通 る事実が不特定かつ不明確であって,全体としてどの根拠条項によって処分されるか明らかでない場合には,解任処分の原因となる事実の記載の不備とあいまって処分の違法事由となる。 (被告の主張)本件聴聞通知書には,前提事実(3)のとおり,不利益処分の根拠法令について日本道路公団法13条2項と明記してあり,併せて記載されている不利益処分の原因となる事実の記載内容からすれば,同項のうちの「その他役員たるに適しないと認めるとき」(同項柱書き)に該当するものであることは明らかであるから,予定される不利益処分の根拠となる法令の条項(行政手続法15条1項1号)の特定として十分である。 イ争点(2)イ(本件聴聞通知書中,不利益処分の原因となる事実の記載が特定を欠くか,ないしは記載を欠くか)について(原告の主張)「不利益処分の原因となる事実」(行政手続法15条1項2号)とは,不利益処分の構成要件に該当する事実であるところ,これは直接証拠によって直接判断できる事実ばかりではない。そのような場合には,構成要件該当事実を推認させる,いわば間接判断の対象となる事実も記載することによって,不利益処分の名あて人となるべき者に具体的事実を認識させ,防御権の行使を実質的に可能にすべきである。 本件聴聞通知書中の「不利益処分の原因となる事実」欄の記載は,本件財務諸表問題,本件会合問題及び本件連絡問題のいずれにおいても原告にとって防御の対象となる事実が特定されておらず,処分の原因たる事実の記載が不備であるから,瑕疵がある。 (被告の主張)本件聴聞通知書には,前提事実(3)のとおり,不利益処分の原因となる事実が記載されており,本件財務諸表問題,本件会合問題及び本件連絡問題のいずれについても,本件聴聞の期日からさほど遠くない時期において原告が体験した事実を中心として,原 おり,不利益処分の原因となる事実が記載されており,本件財務諸表問題,本件会合問題及び本件連絡問題のいずれについても,本件聴聞の期日からさほど遠くない時期において原告が体験した事実を中心として,原告の行為及びそれによりもたらされた結果が具体的に記載されており,さらに,それがなぜ解任事由に該当するのかという点についても明確に記載されている。そのため,原告の防御権の行使を妨げるような点は全くなく,聴聞通知書の必要的記載事項である不利益処分の原因となる事実の記載として何ら欠けるところはない。 ウ争点(2)ウ(聴聞の通知が聴聞の期日までに「相当な期間」をおいてされたか)について(原告の主張)「相当な期間」(行政手続法15条1項柱書き)とは,当該不利益処分の内容により異なるものであるが,本件解任処分は,日本道路公団総裁の地位の解任という例をみない処分であり,これに関連する資料も膨大な量であるところ,10日という期間は極めて短く,十分な防御の準備期間といえないことは明らかである。 (被告の主張) 本件聴聞通知書に記載された不利益処分の原因となる事実の記載が十分に具体的で特定していることは前記被告の主張のとおりであり,その内容は,比較的単純かつ明確な事実であって,しかも,聴聞の期日からさほど離れていない時期に原告が体験した事実を中心とするものである。その証拠書類は,原告の国会答弁等の議事録,新聞記事又は雑誌記事といった公表済みの資料や,日本道路公団の記者会見に関する資料,同公団内の連絡体制図等であって,一般人がインターネットや図書館等において容易に取得することができ,かつ,原告自身にとっては既知の事実に関する資料で,その量も,膨大であるとはいい難い。 したがって,本件聴聞における10日間という期間は,原告が防御をするための準備をするにつ に取得することができ,かつ,原告自身にとっては既知の事実に関する資料で,その量も,膨大であるとはいい難い。 したがって,本件聴聞における10日間という期間は,原告が防御をするための準備をするにつき十分なものということができ,「相当な期間」に当たるというべきである。 エ争点(2)エ(①聴聞に当たって,被告が,あらかじめ資料の標目を作成し,聴聞通知書に標目を示して閲覧を求めることができる旨原告に教示しなかった点,②原告が,被告に対して,聴聞の期日の当日に,本件連絡問題に係る事実について,資料の閲覧を求めたのに対し,被告がこれを拒否した点,③被告が,原告に記録の謄写を認めなかった点)について(原告の主張)(ア)国土交通省聴聞手続規則5条1項は,行政手続「法18条第1項の規定による閲覧の求めについては」「閲覧をしようとする資料の標目を記載した書面を行政庁に提出してこれを行うものとする。」と規定している。上記省令は執行命令であるから,行政庁としては,聴聞手続にお いて不利益処分の原因となる事実を証する資料の標目(標題,種目)を作成しておき,聴聞通知書に標目を挙示して閲覧を求めることができる旨教示をしなければならない。被告は,本件聴聞通知書記載の教示において,この執行命令に違反して資料の標目を挙示しないばかりか,聴聞通知後においても何らの手立ても講じていない。本件聴聞通知書には,教示として掲げられるべき資料の標目がなく,これにとまどった原告代理人は,資料の閲覧請求が遅れ,結局,閲覧したといっても標題をメモしてくることで精一杯であり,膨大な記録の内容を検討することはほとんど不可能であった。 (イ)本件聴聞期日において,本件連絡問題につき,原告代理人が資料の閲覧を求めたところ,被告行政庁は,調書が「あるかないかも含めて,明らかにする 録の内容を検討することはほとんど不可能であった。 (イ)本件聴聞期日において,本件連絡問題につき,原告代理人が資料の閲覧を求めたところ,被告行政庁は,調書が「あるかないかも含めて,明らかにするつもりはありません。」などと回答し,あらゆる回答を拒否した。 (ウ)国土交通省聴聞手続規則は,資料を事前に謄写することにより個人情報等が散逸するおそれを考えて,原則的には謄写請求権は認めないこととする反面,手続面において不利益処分の名あて人となるべき者に謄写を認めないことによる不利益を避け,当事者の実質的対等を図るべく,行政庁の裁量を義務付けるものであって,その裁量については行政庁の良識と条理にゆだねたものである。本件聴聞に当たり,原告に実質的な資料閲覧請求権を保障する見地からして,被告が資料の謄写を認めなかったことは違法である。 (被告の主張) (ア)国土交通省聴聞手続規則5条1項に基づいて閲覧を求めようとする者が作成すべき「資料の標目を記載した書面」には,個々の資料の表題を記載しなければならないものではなく,聴聞の件名と当事者の氏名によって特定された「不利益処分に関する証拠資料一切」と記載したものでも足りると解すべきである。現に,原告も「不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧…を求める」と記載した閲覧請求書をもって,証拠資料の閲覧を請求し,このような原告の請求を受けて被告は証拠資料一切の閲覧を認めた。そうである以上,行政庁において,原告が求めるような資料の標目を作成し,これを原告の防御に利用できる旨を教示する必要のないことは明らかである。そもそも,聴聞通知書に記載すべき教示事項は,行政手続法15条2項が定めるところであり,行政庁に原告が主張するような教示義務はない。 (イ)本件連絡問題に係る事実関係は,日本道路公団関係 かである。そもそも,聴聞通知書に記載すべき教示事項は,行政手続法15条2項が定めるところであり,行政庁に原告が主張するような教示義務はない。 (イ)本件連絡問題に係る事実関係は,日本道路公団関係者の証言によって認定されたものであるところ,行政庁の職員は,本件聴聞手続において,この証言を記録した文書はない旨説明している。 したがって,行政手続法18条の閲覧の対象となるべき資料は存在しなかったのであるから,本件連絡問題を裏付ける資料の開示に応じなかったことに違法はない。 (ウ)文書等の閲覧について規定する行政手続法18条1項は,不利益処分の原因となる事実を証する資料等の謄写については特に規定していないから,謄写の請求に応ずる義務はなく,謄写が認められなかったことが行政手続法違反となる余地はない。また,前記被告の主張のとおり, 本件の証拠書類は,一般人がインターネットや図書館等において容易に取得することができ,かつ,原告自身にとっては既知の事実に関する資料で,その量も,膨大であるとはいい難いから,謄写が認められなかったからといって,原告の防御権の行使が妨げられることはない。 オ争点(2)オ(主宰者が聴聞の続行期日を指定することなく,聴聞手続を終了させた点)について(原告の主張)本件聴聞期日では,原告のみならず,主宰者もまた不利益処分の根拠となる条項をなかなか把握できず,不利益処分の原因となる事実も不特定であった。さらに,本件聴聞通知書記載の原因事実(前提事実(3)イ)と,本件聴聞期日における冒頭説明での原因事実(前提事実(5)①ないし④)とが異なっていたことからしても,主宰者としては,相当な期間をおいて続行期日を指定し,原告に防御の機会を与えるべきであったにもかかわらず,本件聴聞を終了させた。 (被告の主張)続行期日を決める )とが異なっていたことからしても,主宰者としては,相当な期間をおいて続行期日を指定し,原告に防御の機会を与えるべきであったにもかかわらず,本件聴聞を終了させた。 (被告の主張)続行期日を決めるか否かは,実施した聴聞期日における審理の結果を踏まえ,聴聞主宰者が判断することであり,公正な処分の決定のために当事者等の防御権を保障する上でその意見陳述等の機会を付与することがなお必要と考える場合に,続行期日を指定するものである。 本件聴聞において,原告本人や代理人は自由かっ達に意見を述べ,さらに,原告代理人からの証拠書類の提出並びに原告本人及び代理人からの総括的な意見陳述(反論)があり,聴聞に費やした時間は実に9時間にも及 んでいるのであって,このような聴聞期日における審理の結果にかんがみ,当事者の防御権を保障するという聴聞の趣旨は十分に達せられたというべきである。したがって,聴聞期日を続行しなかったからといって,何らの違法はなく,原告の主張は失当である。 カ争点(2)カ(①聴聞調書に,主宰者がどのような証拠や資料を根拠として不利益処分の原因となる事実の存否を認定したかの記載がないとされる点,②報告書が,専ら行政庁の職員の説明に即して当事者の主張を整理し,その上で,行政庁の意向に即した意見を述べ,結論付けを行っているとされる点)について(原告の主張)(ア)本件解任処分に関する聴聞調書なるものは,被告が主張する項目を羅列しているだけで,別添1として添付されている「当事者及びその代理人の陳述した意見の要旨」は当事者及び代理人の意見を議事録からそのまま抜粋しただけのものであり,別添2として添付されている「行政庁の職員の行った説明の要旨」は行政庁の職員の行った説明要旨をそのまま記載しただけのものである。そこには,主宰者がその責任において そのまま抜粋しただけのものであり,別添2として添付されている「行政庁の職員の行った説明の要旨」は行政庁の職員の行った説明要旨をそのまま記載しただけのものである。そこには,主宰者がその責任において,不利益処分の原因となる事実の存否を確認し,解任処分という不利益処分について考慮すべき事情等を明らかにして決定権者である行政庁に知らせるという姿勢は,みじんもうかがえない。前提として処分の要件事実が特定されていないから仕方がないかもしれないが,そうとすると,主宰者は,まず,事実の特定から始めるべきであった。 聴聞調書には,主宰者が行政庁の職員と当事者との間のやり取りを通 じて,どのような証拠や資料を根拠として不利益処分の原因となる事実の存否を認定したのかという点が全く示されていない。 このようなやり方で作成された聴聞調書は,行政手続法24条の予定する聴聞調書とかけ離れたものであるといわなければならないのであって,同条に違反する。 (イ)聴聞調書の作成が極めて形式的なものにとどまっているため,聴聞主宰者が作成した報告書もまた,行政手続法の趣旨を無視するものになっている。 報告書は,専ら行政庁の職員の説明に即して「当事者の主張とおぼしきもの」を要約し,その上で行政庁の意向に即した意見を述べて,当事者の主張には理由がないという結論付けを行っているにすぎない。殊にひどいのは,本件連絡問題については証拠が皆無なのにこれを無視している。 このような聴聞報告書に示された主宰者の意見では,被告行政庁である国土交通大臣が参酌する必要もなく,参酌するに値しないものというべきである。 (被告の主張)(ア)行政手続法24条1項は,聴聞調書について,原告が主張するような,不利益処分の原因となる事実の認定過程を記載すべきことまでは要求しておらず,原告の上記主 というべきである。 (被告の主張)(ア)行政手続法24条1項は,聴聞調書について,原告が主張するような,不利益処分の原因となる事実の認定過程を記載すべきことまでは要求しておらず,原告の上記主張は,同条の文言や合理的な解釈に即しない独自の見解というべきものであって,失当である。 (イ)主宰者がその意見を記載した報告書では,当事者の主張を要約した 上,具体的かつ明確に理由を示した上で,当事者の主張には理由がなく,原因となる事実に基づく行政庁の判断は妥当なものと考える旨を記載しているのであるから,報告書が行政手続法24条3項の趣旨に沿うものであることは明らかである。 キ争点(2)キ(主宰者及び被告の補助機関が聴聞の持つ意味を理解せずに手続を進めたとされる点)について(原告の主張)聴聞の主宰者及び被告の補助機関は,聴聞が適正な事実認定を行うための手続であることを理解せず,単に原告及び代理人に意見を述べさせ,証拠の提出を促せば足りると理解していたにすぎないと推測される。 (被告の主張)本件聴聞の主宰者等は,聴聞手続の意義を十分に理解して手続を行ったもので,このことは,聴聞調書,報告書等からも明らかである。そもそも原告の主張は,聴聞手続の違法を基礎付けるものではなく,主張自体失当である。 ク争点(2)ク(①解任処分理由書の理由の記載が特定されていないとされる点,②解任処分理由書の理由に,当事者の主張及び聴聞の主宰者の意見について,行政庁としてどのようにしんしゃくしたのかが示されていない点)について(原告の主張)(ア)本件解任処分に関しては,処分の原因となる事実について,いつ,どこで,だれがといった事実の特定に関する基本的要素が欠落し,特定 性も具体性もなく,極めて不明瞭である。 (イ)不利益処分の理由とは,行政庁が, 関しては,処分の原因となる事実について,いつ,どこで,だれがといった事実の特定に関する基本的要素が欠落し,特定 性も具体性もなく,極めて不明瞭である。 (イ)不利益処分の理由とは,行政庁が,その不利益処分を行うべきであるとの最終的な判断に至った論理的プロセスを指しており,合理的な人間であれば同様の結論に達するという形で説得するためのものであるから,不利益処分の名あて人からみて理解できるものでなければならない。 したがって,行政庁は,不利益処分の理由として,その根拠となる条項,原因となる事実を示すだけでなく,不利益処分に関して聴聞の手続が執られた場合には,不利益処分の名あて人となるべき者が行った主張及び証拠書類等の提出をどのように評価したかを示し,主宰者の報告書に示された意見をどのようにしんしゃくしたかが示されなければならないところ,本件解任処分に関しては,この点が全く示されていない。 (被告の主張)(ア)解任処分理由書においては,本件財務諸表問題,本件会合問題及び本件連絡問題のいずれについても,原告の行為及びそれによりもたらされた結果が具体的に記載され,さらに,それがなぜ解任事由に該当するかという点についても明確に記載されているのであって,事実として十分に特定されており,不利益処分の名あて人である原告からみて容易に理解できる内容というべきであって,本件解任処分の根拠条項についても明記されているから,行政手続法14条1項本文に違反するものではない。 (イ)また,行政手続法14条1項本文の趣旨は,行政庁のし意的な判断を抑制し,処分の理由を相手方に知らせることによって不服申立てや訴 訟の提起に便宜を与えるところにあると解されるが,上記の内容の記載があれば,その趣旨を十分満たすことができるから,それ以上に,聴聞における原告の 由を相手方に知らせることによって不服申立てや訴 訟の提起に便宜を与えるところにあると解されるが,上記の内容の記載があれば,その趣旨を十分満たすことができるから,それ以上に,聴聞における原告の主張及び主宰者の意見について行政庁としてどのようにしんしゃくしたのかまで記載する必要はない。 (3)争点(3)(訴訟上の問題点)について(原告の主張)被告が本件訴訟において主張する本件解任処分の処分理由は,解任処分理由書記載の処分理由と全く異なる内容である。被告の主張は,処分理由の差替え又は全面的追加であり,許されない。 (被告の主張)本件解任処分の処分理由は前提事実(6)のとおりであり,本件財務諸表問題,本件会合問題及び本件連絡問題から構成されるものである。被告が本件訴訟で主張している事実関係は,本件解任処分の処分理由として主張した内容を,証拠に基づいてより具体的に主張したものにすぎず,処分理由の差替え又は追加に当たらないものであることは明らかである。 第3争点に対する判断 争点(1)(本件解任処分の実体上の違法性)について(1)証拠(該当個所に併記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実等が認められる。 ア日本道路公団をめぐる状況等について(ア)平成13年4月26日,内閣総理大臣に自由民主党総裁の小泉純一郎(以下「小泉総理大臣」という。)が就任し,いわゆる第1次小泉内 閣が発足したところ,小泉総理大臣は,同年9月27日,第153回国会における所信表明演説において,「聖域なき構造改革」を標ぼうし,行政の構造改革につき,「特殊法人等は,廃止・民営化を前提にゼロベースからの徹底した見直しを行い,年内に各法人の整理合理化計画を策定します。道路四公団,都市基盤整備公団,住宅金融公庫,石油公団の廃止,分割・民営化などについて 法人等は,廃止・民営化を前提にゼロベースからの徹底した見直しを行い,年内に各法人の整理合理化計画を策定します。道路四公団,都市基盤整備公団,住宅金融公庫,石油公団の廃止,分割・民営化などについては,他の法人に先駆けて,結論を出します。平成十四年度予算において,これらの見直し結果などを反映し,一般会計,特別会計を通じて,特殊法人等に対する財政支出の大幅な削減を目指します。」などと述べた(乙9,原告本人)。 (イ)日本道路公団は,日本道路公団法(昭和31年法律第6号)に基づき,「その通行又は利用について料金を徴収することができる道路の新設,改築,維持,修繕その他の管理を総合的かつ効率的に行うこと等によつて,道路の整備を促進し,円滑な交通に寄与すること」(同法1条)を目的として,政府の全額出資により設立された特殊法人である(同法2条,4条)。日本道路公団の資本金は2兆2849億円であり,職員数は役員を含めて8657名(平成15年度)であって,平成13年度及び平成14年度の経常収益はそれぞれ2兆円を超えるなど,他の特殊法人と比較しても極めて大規模な組織である(乙7,12)。 日本道路公団は,高速自動車国道法や道路整備特別措置法等により,「自動車の高速交通の用に供する道路で,全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し,かつ,政治・経済・文化上特に重要な地域を連絡するものその他国の利害に特に重大な関係を有する」高速自動車国道の建設及 び管理の主体として位置付けられていたものであり,その業務の重要性や公共性の高さから,国土交通大臣が監督し(日本道路公団法34条1項),毎事業年度,予算等について,国土交通大臣の認可を受けなければならない(同法22条)などとされていた。 また,同法によれば,「公団に,役員として,総裁一人,副総裁一人,理事八人以内 法34条1項),毎事業年度,予算等について,国土交通大臣の認可を受けなければならない(同法22条)などとされていた。 また,同法によれば,「公団に,役員として,総裁一人,副総裁一人,理事八人以内及び監事二人以内を置く。」こととされており(同法8条),総裁は,国土交通大臣が任命するものとされていた(同法10条1項)ところ,総裁は,「公団を代表し,その業務を総理」するものとされていた(同法9条1項)。 (ウ)平成13年12月19日,閣議決定により,特殊法人等整理合理化計画が定められた。同計画では,日本道路公団に関連し,下記の事項が定められた。(乙10)記a特殊法人等は,行政に関連する公的な事業を遂行するため,特別の法律により設立された法人である。昭和30年代にはとりわけ多くの特殊法人等が設立され,以後,行政ニーズの多様化・高度化に対応して,公共事業,政策金融,研究開発など幅広い分野において,各省庁等との緊密な連携のもと,様々な政策実施機能を果たしてきた。 b特殊法人等に対しては,平成13年度当初予算ベースで約5兆2800億円(国共済負担金等を除く。)の補助金等や約24兆4100億円の財政投融資など国からの巨額の財政支出・借り入れ等が なされており,中長期的な財政支出の縮減・効率化の視点や財政投融資改革との関連等をも踏まえた抜本的見直しが求められている。 c今回の改革は,163の特殊法人及び認可法人を対象とし,昨年12月に閣議決定された「行政改革大綱」及び先の通常国会で成立した「特殊法人等改革基本法」等に基づき進められている。 d特殊法人等改革基本法は6月に成立し,第一回の特殊法人等改革推進本部は,6月22日に開催した。8月10日に開催した第二回会合では,特殊法人等の個別事業見直しの考え方について公表した。 また10月5 特殊法人等改革基本法は6月に成立し,第一回の特殊法人等改革推進本部は,6月22日に開催した。8月10日に開催した第二回会合では,特殊法人等の個別事業見直しの考え方について公表した。 また10月5日に開催した第三回会合では,個別事業見直しの考え方に基づき,平成14年度概算要求を検証した結果や各法人の組織見直しの方向性等を公表した。 11月27日に開催した第四回会合においては,今般の改革全体を牽引する観点から,国からの財政支出が大きく,国民の関心も高い,日本道路公団,首都高速道路公団,阪神高速道路公団,本州四国連絡橋公団,都市基盤整備公団,住宅金融公庫,石油公団の7法人について,他の法人に先駆けて改革の方向性を示した。 e各特殊法人等の事業及び組織形態について講ずべき措置日本道路公団,首都高速道路公団,阪神高速道路公団,本州四国連絡橋公団は廃止することとし,四公団に代わる新たな組織,及びその採算性の確保については以下の基本方針の下,内閣に置く「第三者機関」において一体として検討し,その具体的内容を平成14年中にまとめる。 1.日本道路公団(1)組織新たな組織は,民営化を前提とし,平成17年度までの集中改革期間内のできるだけ早期に発足する。 (2)事業①国費は,平成14年度以降,投入しない。 ②事業コストは,規格の見直し,競争の導入などにより引下げを図る。 ③現行料金を前提とする償還期間は,50年を上限としてコスト引下げ効果などを反映させ,その短縮を目指す。 ④新たな組織により建設する路線は,直近の道路需要,今後の経済情勢を織り込んだ費用対効果分析を徹底して行い,優先順位を決定する。 ⑤その他の路線の建設,例えば,直轄方式による建設は毎年度の予算編成で検討する。 2.首都高速道路公団,阪神高速道路公団日本道路公 を織り込んだ費用対効果分析を徹底して行い,優先順位を決定する。 ⑤その他の路線の建設,例えば,直轄方式による建設は毎年度の予算編成で検討する。 2.首都高速道路公団,阪神高速道路公団日本道路公団と同時に,同様の民営化を行う。なお,国・地方の役割分担の下,適切な費用負担を行う。 3.本州四国連絡橋公団日本道路公団と同時に民営化する。なお,債務は,確実な償還を行うため,国の道路予算,関係地方公共団体の負担において処理することとし,道路料金の活用も検討する。 (エ)そこで,小泉内閣は道路関係四公団民営化推進委員会設立準備室を発足させ,次いで平成14年6月17日施行の道路関係四公団民営化推進委員会設置法(平成14年法律第69号)により,道路関係四公団民営化推進委員会(以下「推進委員会」という。)が設置され,小泉総理大臣により,委員として,P9(P10会名誉会長,P11株式會社代表取締役会長),P12(P13大学教授),P14(P15株式会社取締役会長),P16(P17政経学部教授,元行政改革委員会事務局長),P18(評論家),P19(作家,P20言論表現委員長,東京大学客員教授)及びP21(P22シニア・エクスパート)の7名が任命された。(乙11)。 なお,道路関係四公団民営化推進委員会設置法1条,2条及び6条の規定は下記のとおりである。 記(設置)1条内閣府に,道路関係四公団民営化推進委員会(以下「委員会」という。)を置く。 (所掌事務)2条委員会は,特殊法人等改革基本法(平成13年法律第58号)第5条第1項の規定により定められた特殊法人等整理合理化計画に基づき,日本道路公団,首都高速道路公団,阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団(第6条において「日本道路公団等」という。)に代わる民営化を前提とした新たな組織及び られた特殊法人等整理合理化計画に基づき,日本道路公団,首都高速道路公団,阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団(第6条において「日本道路公団等」という。)に代わる民営化を前提とした新たな組織及びその採算性 の確保に関する事項について調査審議し,その結果に基づき,内閣総理大臣に意見を述べる。 委員会は,前項の意見を受けて講ぜられる施策の実施状況を監視し,必要があると認めるときは,内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告するものとする。 第1項の意見は,平成14年12月31日までに述べるものとする。 (資料の提出その他の協力等)6条委員会は,その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは,関係行政機関及び日本道路公団等に対して,資料の提出,意見の開陳,説明その他必要な協力を求めることができる。 委員会は,その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは,日本道路公団等の業務の運営状況を調査し,又は委員にこれを調査させることができる。 委員会は,その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは,第1項に規定する者以外の者に対しても,必要な協力を依頼することができる。 (オ)推進委員会が平成14年8月30日付けで作成した「中間整理」には,下記の内容が掲載された(乙14の1及び2)。 記a道路関係四公団改革は,小泉構造改革の大きな柱として昨年から取り組まれている163の特殊法人等改革として位置づけられなく てはならない。 甘い交通需要の見通しと建設費の増加等によって膨らんだ約40兆円に達する道路関係四公団の債務を国民負担ができる限り少なくなるよう返済していくためには,必要性の乏しい道路を造らない仕組みを考える必要がある。 bいまある約40兆円の債務を国民負担ができる限り少なくなる る道路関係四公団の債務を国民負担ができる限り少なくなるよう返済していくためには,必要性の乏しい道路を造らない仕組みを考える必要がある。 bいまある約40兆円の債務を国民負担ができる限り少なくなるようきちんと返済していき,必要性の乏しい道路建設をストップし,サービスが向上し利用料金も下がっていくというような,国民全体にメリットのある改革を実現するのが民営化の目的であり,本委員会が達成すべき目標である。 c現在の道路関係四公団の財務状況は,本委員会が行った試算の結果,企業として存立していく上では極めて厳しいものとなっている。 d道路関係四公団は,直ちに,複数の民間企業経営者を登用し,2002年度末決算,遅くとも2003年度中間決算から公認会計士等の活用による民間企業の会計原則に基づく財務諸表を作成する等,民間企業経営者の知恵を導入し民営化に備える。 なお,当時,日本道路公団の財務諸表は,日本道路公団法24条及び同法に基づく規則に従って,公企業としての財務諸表が作成されていたが,同公団の行う有料道路事業は,毎年度の収支差がすべて投下資金(建設に要した借入金等)の返済に充てられており,営利を目的とせず,利益を配当したり,法人税を課せられたりすることがないため,適正な配当利益や課税所得を算出する必要がないことから,いわゆる償還準備 金積立方式により,損益計算書に減価償却費の記載がなく,貸借対照表の道路資産について減価処理がされないなど,企業会計原則に基づく民間企業の財務諸表とは作成方法が異なっていた(乙5,12)。 (カ)推進委員会が平成14年12月6日付けで作成した「意見書」には,下記の内容が掲載された(乙15の1及び2)。 記aバブル経済崩壊後,日本国は「失われた10年」と呼ばれる空回りの停滞期に突入するようになる。原因をさ 4年12月6日付けで作成した「意見書」には,下記の内容が掲載された(乙15の1及び2)。 記aバブル経済崩壊後,日本国は「失われた10年」と呼ばれる空回りの停滞期に突入するようになる。原因をさぐれば,官僚機構の変質と肥大化と向き合わざるを得ない。官僚機構は縄張り争いをしつつ,天下りをはじめとする利権を拡張し民間の自由な経済活動を阻害するさまざまな規制を張り巡らせた。特殊法人,認可法人,その傘下に群がる社団・財団法人,さらにはファミリー企業をつぎつぎと自己増殖させ,国民の利益をむしりとりはじめていたのだった。 そういうなか国民の危機の認識を背景に小泉内閣が誕生し,歴史的使命として構造改革が宣言された。その大きな柱のひとつが「民間にできることは民間に」という,小さな政府を実現しながら市場の活力を回復させるための特殊法人等の改革である。約40兆円もの巨額な負債を抱え込んだ道路関係四公団,すなわち日本道路公団,首都高速道路公団,阪神高速道路公団,本州四国連絡橋公団の民営化は特殊法人等改革の天王山として位置づけられた。 b現在の道路関係四公団の財務状況は,本委員会が行った試算の結果,企業として存立していく上では極めて厳しいものとなっている。 c直ちに,道路関係四公団の現首脳陣に代わり企業経営について豊かな経験と知見を有する複数の民間人を登用する。また,2002年度決算,遅くとも2003年度中間決算から公認会計士等の活用による民間企業の会計原則に基づく財務諸表を作成する等,民間企業経験者の知恵を導入し,民営化に備える。 d現在,2003年9月を目途に道路関係四公団において進められている企業会計原則に基づく財務諸表の作成により,本委員会は,各公団の財務状況を正確に把握し,同時に各公団は,財務諸表等を公表する。 eこの改革を円滑か 9月を目途に道路関係四公団において進められている企業会計原則に基づく財務諸表の作成により,本委員会は,各公団の財務状況を正確に把握し,同時に各公団は,財務諸表等を公表する。 eこの改革を円滑かつ確実に実施するため,政府及び道路関係四公団においては,速やかに必要な体制をしく。 f道路関係四公団の民営化は,2005年4月1日に実施する。 (キ)平成14年12月17日,上記意見書につき,閣議決定により,「政府は,道路関係四公団民営化推進委員会の意見を基本的に尊重するとの方針の下,これまでの同委員会の成果を踏まえつつ,審議経過や意見の内容を十分精査し,必要に応じ与党とも協議しながら,建設コストの削減等直ちに取り組むべき事項,平成十五年度予算に関連する事項,今後検討すべき課題等を整理した上で,改革の具体化に向けて,所要の検討,立案等を進める」旨定められた(甲39)。 イ上記状況に対する日本道路公団の対応等について(ア)日本道路公団では,平成13年12月19日閣議決定の特殊法人等整理合理化計画(前記ア(ウ))等により,内閣官房に道路関係四公団民 営化推進委員会設立準備室が設置されることに決まったことなどに対し,原告の了承を得た上,同月25日,日本道路公団の本社内に,P23(経営企画課長),P24(高速道路計画課付調査役)をはじめ,P25(経営企画課長代理),P26(経営企画課員),P27(高速道路計画課員)及びP28(高速道路計画課員)の6名からなる「第三者機関設立準備室担当プロジェクトチーム」を設置した。同プロジェクトチームでは,上記設立準備室との調整等に係る業務を主としつつ,自主的に同公団の民営化に係る検討等(民営化後の道路管理権限等に係る検討や道路資産の評価についての作業等を含む。)も実施することとされた。 同14年1月8日 立準備室との調整等に係る業務を主としつつ,自主的に同公団の民営化に係る検討等(民営化後の道路管理権限等に係る検討や道路資産の評価についての作業等を含む。)も実施することとされた。 同14年1月8日,P23及びP24の申入れにより,P29総務課長及びP30企画課長を加えた4名が,上記プロジェクトチームの執務室で,今後の作業内容等についての打合せを行った。 同月18日,上記プロジェクトチームが道路資産に関連する部署の課長代理を集めて会議を開催した。同会議には,P26,P27らのほか,経理部経理課及び管財課,用地・管理部用地管理企画課及び管理調整課,営業部営業計画課,企画部企画課及び計画調整課,高速道路部高速道路工務課,有料道路部有料道路計画課,有料道路建設課及び有料道路調査課,保全交通部保全企画課並びに施設部施設企画課の各課長代理及び担当者が出席した。同会議で配付された同日付け「プロジェクトチーム」作成の「道路資産の再評価作業について」と題する資料には,「2月第1週までに手法を検討,その後1ヶ月かけて現地での作業を行い,3月中旬に第1次取りまとめ,3月末には概算によるBS等を確定させるこ ととしたい。」などと記載されており,同様に配付された「JH改革に伴う道路資産再評価作業について」と題する資料には,「なお,第三者機関への対応が急がれることから,当面は年度内完成をめどとして概算値による財務諸表作成作業を優先的に行うこととしたい。」などと記載されている。また,同年2月12日に同公団本社で開催され,同公団のP31理事も出席した「平成13年度第3回全国用地部長会議」で配付された「道路資産の再評価作業について」と題する資料には,「JH改革議論の本格化前に道路資産の数量,価額の概算計上が必要となるため,現在作業を各支社等に依頼している。」な 回全国用地部長会議」で配付された「道路資産の再評価作業について」と題する資料には,「JH改革議論の本格化前に道路資産の数量,価額の概算計上が必要となるため,現在作業を各支社等に依頼している。」などと記載されている。 なお,上記プロジェクトチームは,原告の決裁を得た上,同年4月1日,「民営化検討プロジェクトチーム」と改称して人員が拡充され,同15年5月16日には「民営化総合企画局」に改組された。 (以上につき甲2,24の1,29,30,33,36,37,乙26の2ないし4)(イ)平成14年5月上旬ころ,経理部管財課,用地・管理部用地管理企画課及び管理調整課,高速道路部高速道路工務課,有料道路部有料道路建設課,保全交通部保全企画課並びに施設部施設企画課から作業結果の提出を受けた民営化検討プロジェクトチームでは,P26がそのデータを取りまとめ,P32経理課員にそのデータを交付した。P32は,そのデータに必要な処理を行った後,会計情報システムの運営管理業務を委託していた株式会社P33に対し,同月10日付け業務指示簿により減価償却計算の実施を依頼した。同年6月18日,減価償却計算が終了 し,電算出力帳票が納品されたため,P32はこれをP26に交付した。 なお,上記減価償却計算に係る費用については,平成14年度末に,経理部担当のP34理事及び用地・管理部(契約)担当のP31理事の決裁を得て,同年度会計情報システム運用管理業務委託契約の変更契約を行い,株式会社P33との間で精算した。 一方,あらかじめ同年1月ころからP35監査法人の公認会計士に相談しながら民間の会計基準に準拠した財務諸表の作成の具体的な実施方法を検討していたP36経理課員は,P37経理課長代理からの指示に従い,上記減価償却計算過程で計算した道路減価償却費や道路減価償却累計 しながら民間の会計基準に準拠した財務諸表の作成の具体的な実施方法を検討していたP36経理課員は,P37経理課長代理からの指示に従い,上記減価償却計算過程で計算した道路減価償却費や道路減価償却累計額を計上するなどの修正を行い,同年6月末ころ,剰余金が「△617,477,277,406」などと記載された別紙3「平成12年度末仮定貸借対照表」(以下「本件貸借対照表」という。)及び別紙4「平成12年度仮定損益計算書」(以下「本件損益計算書」という。)を作成した。 P36は,P37に対し本件貸借対照表や本件損益計算書等の説明を行うとともに,同月末ころ,民営化検討プロジェクトチームのP25及びP26に対し,本件貸借対照表や本件損益計算書等の説明をし,同年7月ころから再三にわたり,P37と共に本件貸借対照表及び本件損益計算書について早期に社内で説明すべきであると申し入れたが,プロジェクトチーム内で調整中との回答があったのみであった。 (以上につき甲30,31)(ウ)他方,日本道路公団では,推進委員会の中間整理(前記ア(オ))において,公認会計士等の活用による民間企業の会計原則に基づく財務諸 表の作成が求められたことから,平成14年9月1日,民営化プロジェクトチーム内に専任の資産評価班を設置するとともに,同年10月3日,同公団の民営化に際し,民間企業が採用する会計基準に基づく財務諸表(民間企業並財務諸表)の作成に当たって,採用すべき会計処理方法を検討するため,原告の委嘱により,P38P39大学教授を委員長とする「財務諸表検討委員会」を設置した。 財務諸表検討委員会は,同15年6月4日,「中間整理」を取りまとめ,日本道路公団は,同月13日,民間企業並財務諸表(平成14事業年度)を公表した。 上記財務諸表の作成に当たり,日本道路公団の資産評価作業 諸表検討委員会は,同15年6月4日,「中間整理」を取りまとめ,日本道路公団は,同月13日,民間企業並財務諸表(平成14事業年度)を公表した。 上記財務諸表の作成に当たり,日本道路公団の資産評価作業は,延べ作業日数約3万8000日,延べ作業時間約46万時間を要した。 (以上につき甲24の1,32,乙35の1及び2)ウ本件財務諸表問題に関連する事実関係について(ア)平成14年10月4日,第22回推進委員会において,固定資産税関連の基礎データを算出することを目的として,日本道路公団の資産状況について試算したデータが推進委員会事務局から提出されたところ,その前日,P8新聞朝刊において「日本道路公団」「7兆円の債務超過」との見出しによる記事の報道が,また,P40新聞朝刊において「道路公団」「5兆円債務超過」との見出しによる記事がそれぞれ報道された。 同年12月12日,第155回国会衆議院国土交通委員会において,野田佳彦委員から,「資産台帳もないという中で財務をどう把握するか というのは,それぞれが皆さん試算を出して,本当に苦労されたと思いますけれども,結果的には,P19さんは,例えばJH,日本道路公団はまだ優良だと思っていた。だから,東名高速で上がってくる通行料金で本四も賄っていこうというような,四公団を全部,借金を合わせながら,一つには,債務保有機構をつくってという,こういう独立行政法人をつくるやり方を考えたりとか,あるいは,ある意味では拡大どんぶり勘定みたいなやり方をしている。一方で,P21さんは,債務超過ではないかと,日本道路公団も債務超過だと思っている。」,「そういう基本認識が違うと,本当は,改革方針のスキーム自体が全く狂ってくるし,正確な財務の情報がなくて分割の算定も難しいと私は思うのです。その意味では,今回の議論の混乱 務超過だと思っている。」,「そういう基本認識が違うと,本当は,改革方針のスキーム自体が全く狂ってくるし,正確な財務の情報がなくて分割の算定も難しいと私は思うのです。その意味では,今回の議論の混乱は,すべて正確な財務の情報がお互いに共有されていなかったところから始まっているというふうに思います。」,「そこで,資料整備にも問題があったし,資料提出にも怠慢であったというふうに聞いていますけれども,日本道路公団のP7総裁に,今の日本道路公団は債務超過なのかどうか,その点についてお尋ねしたいと思います。」,「少なくとも,固定資産税算出のデータを資料として出されたときに,課税標準額が十八兆三千百六十一億円という形で,剰余金と資本金合わせても合計で六兆円とか考えると,債務超過に陥っているのではないかという指摘は,これはP40もP8もやりました。それは,五兆円か七兆円か,いろいろと類推をしながら計算されたと思いますけれども,その可能性が非常に大きいんじゃないでしょうか。」,「経営のトップに立つ方が,過去の経緯はいいんですけれども,実態として, 私は,皮膚感覚で感じるものがなければいけないのではないかというふうに思います。」などの発言がされた。 同15年2月19日,第156回国会衆議院予算委員会において,平岡秀夫委員から,「民営化の問題についてちょっと言いますと,実は,昨年の十月に,検討している際に,委員の中から,これは実質的には債務超過じゃないかと。新聞にも,五兆円とか七兆円の債務超過,出ていましたよね。今現在,道路公団の中では,この問題について,財務諸表検討委員会というのが精査中だというふうに聞いていますけれども,仮に五兆円とか七兆円の債務超過があった場合には,上場どころか,そもそも株を買ってくれるような人もいない,そういう倒産しなければ 務諸表検討委員会というのが精査中だというふうに聞いていますけれども,仮に五兆円とか七兆円の債務超過があった場合には,上場どころか,そもそも株を買ってくれるような人もいない,そういう倒産しなければならない,破産しなければならない会社になるというふうに思うんですけれども,そんな会社,本当に民営化できるんですか。」などの発言がされた。 (以上につき乙17ないし19)。 (イ)平成15年5月16日,P8新聞朝刊1面において,「日本道路公団」「債務超過の諸表隠す」「民間並み基準で作成」「00年度『6000億円超』」との見出しで下記の記事が報道された。これに対し,原告は,同日午前10時ころ,P8新聞株式会社に対し,事実に反する報道である旨の抗議を申し入れさせた(乙17,21,29,49,証人P41,原告本人)。 記日本道路公団が02年7月に,民間企業並みの会計基準で01年3 月期の財務諸表を作成していたことが分かった。P8新聞が入手したこの財務諸表によると,公団は6千億円余りの債務超過に陥っており,新たな道路建設は経営上,極めて難しい状況だ。公団は道路関係4公団民営化推進委員会などに対して財務諸表の存在を一貫して否定してきており,P7総裁ら首脳陣の責任問題に発展する可能性がある。 財務諸表の作成は,01年末に民営化の方針が閣議決定されたのを受けて発足した公団内のプロジェクトチーム(PT)が担当した。公団の公式の決算では,道路資産額は建設に投じた費用をすべて計上しており,これを企業会計原則に基づく形にするため,02年1月から道路資産の再評価作業に着手した。 具体的には,道路建設の「工事実施計画認可明細書」をもとに,工事の種類ごとに物価変動率を加味して資産を路線別に時価評価。さらに,耐用年数に応じて定額法で減価償却(毎年,同額を償却)し, に着手した。 具体的には,道路建設の「工事実施計画認可明細書」をもとに,工事の種類ごとに物価変動率を加味して資産を路線別に時価評価。さらに,耐用年数に応じて定額法で減価償却(毎年,同額を償却)し,建設中の金利支払いは「経費としての性格が強い」などの理由で資産計上しなかった。 その結果,PTが作成した貸借対照表では,01年3月期の正式決算で約29.1兆円とされた高速道路は約20.1兆円に,約4.8兆円とされた一般有料道路は約3.7兆円にそれぞれ目減り。資産総額は約28.7兆円となった。 これに対し,負債額は,約27.4兆円。政府からの出資金約2兆円が資本に計上されている。しかし,政府出資金については公団も「会計上,返済が必要」としており,これを負債に計上すると,負債 総額は約29.4兆円となり,6千億円余りの債務超過となる。 (ウ)平成15年5月21日,P8新聞朝刊において,「民営化シナリオに暗雲」「日本道路公団」「債務超過ひた隠し」「料金収入減も響く」との見出しによる記事が報道され,同記事では,「日本道路公団が作成した貸借対照表(01年3月末。単位は億円。▼はマイナス)」として,「流動資産1500」,「固定資産285500」,「道路321500」,「減価償却累計額▼82900」,「道路建設仮勘定41500」,「その他の資産5400」,「繰り延べ資産700」の合計「資産287700」,「流動負債3800」,「固定負債270300」の合計「負債274100」,「資本金(政府出資金)19800」,「剰余金▼6200」の合計「資本13600」との数値が記載された表が示され,「資本金(政府出資金)」の部分につき「ここを負債とすると債務超過に」と注記されている(乙17)。 なお,上記数値と本件貸借対照表の数値とは,おおむね近似する(乙 との数値が記載された表が示され,「資本金(政府出資金)」の部分につき「ここを負債とすると債務超過に」と注記されている(乙17)。 なお,上記数値と本件貸借対照表の数値とは,おおむね近似する(乙30)。 (エ)上記各報道後,これらに関してされた①平成15年5月21日の第156回国会衆議院国土交通委員会,②同月28日の同国土交通委員会における岩國哲人委員による各質問と,これらに対する原告の各答弁の概要は,別紙5「本件財務諸表に関するP7前総裁国会答弁」記載のとおりであり,その一部は下記のとおりである(乙21,22)。 なお,同月20日の第42回推進委員会において,P21委員から,P8新聞が報道した「2001年3月期の財務諸表を作成したことがわ かったという,この財務諸表は存在はないというふうに総裁がおっしゃると。」という質問がされたところ,原告は,「私ども何だろうかなと,不思議に思っております。」と回答した(乙43)。 記a上記①における原告の答弁(平成15年5月21日)「P8新聞に五月十六日に出,P42新聞にも同日付で出ましたけれども,これらは,道路公団としては全く作成しておりません。したがって,このような事実はないわけです。」b上記②における原告の答弁(平成15年5月28日)「財務諸表については,まだ,どんな形にせよ,民営化委員会あるいは国土省あるいは世間に対して,一切道路公団はつくっておりません。」(オ)平成15年7月10日,同日発売の月刊誌「○○」8月号において,「道路公団P7総裁の嘘と専横を暴く」との見出しで,下記の内容を含むP43日本道路公団四国支社副支社長(元推進委員会事務局次長)の手記を中心とした記事が報道された。同記事では「編集部の手元に二〇〇二年七月十日にまとめられ,後になかったことにされた『隠蔽さ 容を含むP43日本道路公団四国支社副支社長(元推進委員会事務局次長)の手記を中心とした記事が報道された。同記事では「編集部の手元に二〇〇二年七月十日にまとめられ,後になかったことにされた『隠蔽された財務諸表』がある。」「この『平成12年度末仮定貸借対照表』(次頁写真参照)によると」として,本件貸借対照表の写しが掲載され,その写しの下部に,「剰余金マイナス約6175億円の債務超過」との記載がされていた。これに対し,原告は,同月17日,虚偽の内容の記事を掲載したとして,株式会社P44に対し,通告書をもって抗議を申し入 れた(乙5,27の1,30)。 記実は,道路公団は前年,二〇〇二年にすでに民間基準での財務諸表をひそかに作成していました。P7総裁は,しかしそのことを国会で二度にわたって否定しました。 話は二〇〇一年暮れに遡ります。道路公団の民営化を検討するための第三者機関の設置が閣議決定され,道路公団も「やがて財務状態の把握が議論されることは必至」と考えました。そこで,資産再評価のプロジェクト・チームをつくり,翌二〇〇二年一月から準備を開始した。 作業が始められた当初は,この財務諸表作成は極秘事項でも何でもありませんでした。資産状況を把握するために,全国の支社に指示を出していますし,公団内部だけではなく,公認会計士とも相談しながら作業が進められていました。当然,総裁がこれを知らなかったということはありえません。 ところが,昨年六月あたりから,この作業に関して,ぱったりと何の声も聞かれなくなったのです。そして,ついには「そんな財務諸表は存在しない」ということになってしまった。あとで分かったことですが,このときにまとめられた内容が,道路公団にとってあまりに衝撃的なものだったからです。 (カ)原告は,上記○○の記事に関し,平成15 存在しない」ということになってしまった。あとで分かったことですが,このときにまとめられた内容が,道路公団にとってあまりに衝撃的なものだったからです。 (カ)原告は,上記○○の記事に関し,平成15年7月10日午後4時ころから,P45民営化総合企画局長に記者会見を行わせた。同人は報道 機関の記者に対し,「P43氏が作った,作ったと言っている財務諸表なるものは,私も調べたところ,その時期,彼はこのポジションにいないのに,なぜ,そんなこと知っているのか分かりませんけども,若い人たちが勉強を始めたということは事実なんですね。」,「課長代理クラスの勉強です。」,「PTだけではできないため,経理部などの同じクラスの者に声を掛けて勉強をしたと。」,「勉強会だから責任者はおりません。」,「財務諸表もいずれ話題になるのではないかということで,勉強を始めたということです。」,「資料は何も残っていない」,「PTで調査役だった2人が現在の局に課長でいるが,彼らは一切報告を受けないで終わったと言っています。」などと述べたところ,記者からは,「2人の職員に確認しただけで,それをもってそういう事実はなかったと公団として判断して公にするのは,相当危険だし,無理がある。」などという発言があった。(乙31,49,証人P41)平成15年7月11日,原告は,P41理事に対し,いわゆる「幻の財務諸表」が作成されたとされる同14年前半に民営化検討プロジェクトチームに関係した役職員を対象に調査をするよう指示した(乙49,証人P41)。 (キ)前記○○8月号発売後,これに関してされた①平成15年7月14日の第156回国会衆議院決算行政監視委員会における木下厚委員の質問,②同月15日の同衆議院国土交通委員会における前原誠司委員の質問,③同月17日の同参議院国土交通委員会に れた①平成15年7月14日の第156回国会衆議院決算行政監視委員会における木下厚委員の質問,②同月15日の同衆議院国土交通委員会における前原誠司委員の質問,③同月17日の同参議院国土交通委員会における松谷蒼一郎委員の質問と,これらに対する原告の各答弁の概要は,別紙5「本件財務諸表 に関するP7前総裁国会答弁」記載のとおりであり,その一部は下記のとおりである。なお,同月14日の上記委員会では,木下厚委員から,資料として本件貸借対照表及び本件損益計算書が提示された。(乙23の1ないし3,24の1,25,原告本人)記a上記①における原告の答弁(平成15年7月14日)「まず結論から申し上げますと,このような貸借対照表をつくった事実はございません。」b上記②における原告の答弁(平成15年7月15日)「(第三者機関設立準備室担当プロジェクトチーム)でいろいろ勉強いたしました。そうしたら,これは大変だなと。その勉強の最大のテーマは,道路資産価格というのを決めないと財務諸表ができない,財務諸表ができなければ民営化の前提となる内容ができない,なれば道路資産価格というものをどう評価するんだということで,全く経験のない人たちが集まって,ああでもないこうでもないという勉強をしたわけでございます。」c上記③における原告の答弁(平成15年7月17日)「衆議院の先生から委員会の方で,財務諸表というこういう表があるよということを配られて,私もそのときに初めて拝見をいたしました。したがって,これがどういう経緯でこんな表ができたのか私どもには分かりません。作れなかったんですから。」(ク)平成15年7月18日,P8新聞朝刊1面において,「債務超過の 財務諸表」「道路公団,全社で作業」との見出しで下記の記事が報道された(乙17)。 記日本道 。作れなかったんですから。」(ク)平成15年7月18日,P8新聞朝刊1面において,「債務超過の 財務諸表」「道路公団,全社で作業」との見出しで下記の記事が報道された(乙17)。 記日本道路公団が債務超過であることを示す財務諸表が,全社的な作業を経て作成されていたことが,公団の内部資料や関係者の証言で分かった。P7総裁ら公団側はこの財務諸表の存在を否定。国会答弁などで「課長代理クラスの勉強会で作業を始めたが,途中でやめた」としており,総裁の責任を問う声がさらに強まりそうだ。 財務諸表は,01年末に総裁直属の組織として発足したプロジェクトチーム(PT)が作成した。 P8新聞が入手した内部資料によると,PTは02年1月9日付の資料で「民間企業並み財務諸表作成のための道路資産再評価作業」を「当面の作業」に掲げた。11日にはPTと経理課の5人がP35監査法人の公認会計士4人から資産評価などについて助言を受けた。 1月18日には「資産再評価WG(ワーキンググループ)代理会議」を開き,PTと14の課から27人が出席。PTの下に経理課や用地管理部など6部課を配置し,その下に支社などの担当部局を置くことが「作業体制図」として示され,全社的な作業に入った。 さらに2月12日に理事や部長,地方の支社・建設局の担当部長も出席して「全国用地部長会議」を開催。配付資料には「道路資産の数量,価額の概算計上が必要となるため,現在作業を各支社等に依頼している」と記されている。7月にPTは「資産再評価作業結果」をま とめ,「再評価及びその結果に基づく貸借対照表の作成を実施」と明記。6174億7727万7406円の債務超過だったことが示されている。 P7総裁は国会で「勉強したが,うまくいかなかったので自然解散した。課長レベルにも報告はない」と答弁している。 を実施」と明記。6174億7727万7406円の債務超過だったことが示されている。 P7総裁は国会で「勉強したが,うまくいかなかったので自然解散した。課長レベルにも報告はない」と答弁している。 しかし,公団関係者は「課長レベルの調査役が説明を受け,理事らにも報告した」と証言する。 P7総裁への取材申し込みに対し公団は「調査中なので,お話しすることは控えたい」(広報・サービス室)としている。 (ケ)平成15年7月18日の第156回国会衆議院予算委員会における枝野幸男委員の質問及びこれに対する原告の答弁は別紙5「本件財務諸表に関するP7前総裁国会答弁」記載のとおりであり,原告は,「財務諸表は正式にはございません。」などと答弁した(乙26の1)。 (コ)平成15年7月22日,推進委員会は,「日本道路公団P7総裁の責任を問う(意見集約)」として,下記の意見集約を行った(乙28,45)。 記道路公団改革は,小泉内閣が推し進める構造改革の象徴であり,その原点である。当委員会は,小泉改革の実現に向け,後世に痛みを先送りせず,今こそ改革を断行しなければならないという強い思いのもと,「意見書」を提出した。 しかしながら,道路公団改革の現状は当委員会の期待に背き,遅々 として進んでいない。国土交通省,道路関係四公団は「意見書」を無視しているかのようである。 今般,国会審議においても日本道路公団の内部で見られる混乱について質疑が行われた。日本道路公団の企業会計原則に基づく財務諸表をめぐり,P7総裁が国会質疑において事実と異なる答弁を行った問題である。 P7総裁は,日本道路公団の企業会計原則に基づく財務諸表は今年6月に公開されたものが初めて作成されたものであり,過去には存在しなかったとこれまで一貫して主張してきた。国会審議の過程で何度もこの件で P7総裁は,日本道路公団の企業会計原則に基づく財務諸表は今年6月に公開されたものが初めて作成されたものであり,過去には存在しなかったとこれまで一貫して主張してきた。国会審議の過程で何度もこの件で事実確認を求められているが,そのたび「そのようなものをつくった事実はない」(7月14日衆議院決算行政監視委員会)として,財務諸表の存在,及び財務諸表を組織的に作成するよう指示を出し担当部署としてプロジェクトチーム(PT)を設立した事実をすべて否認する答弁を行っている。 ところが7月18日金曜日の衆議院予算委員会の質疑では,P7総裁は一転,「平成14年2月12日に,理事も出席した用地部長会議で,財務諸表の基になるデータを提出するよう協力を要請した」旨発言し,これまで「課長補佐クラスの勉強会で検討していたにすぎない」としてきた立場を改め,これまでと異なる答弁を行った。 日本道路公団の,そしてP7総裁の行為は,単に隠蔽であるだけでなく,小泉改革に対する明らかなサボタージュであり,抵抗である。 当該財務諸表あるいはその作成過程が明らかにされていたのであれば, 民営化へ向けた諸準備はより円滑に進んだはずである。一日も早く実効ある改革を実現しようとした当委員会の,そして国民の思いは裏切られた。 さらに問題なのは,この間のP7総裁の姿勢である。P7総裁はさまざまな答弁で自らの関与だけは明確に否定しつつ,その答弁から生じた嫌疑の責任は部下へあるいは部署へと転嫁する姿勢をとり続けている。 いかなる状況にあっても,公団の業務を総理するのは他ならぬP7総裁自身である。今回の問題で国民がP7総裁に問うていたのは,困難な問題に直面した際に,その問題の本質を明らかにして,きちんと世に問う姿勢であり,部下あるいは部署を率いて自ら解決する資質である。この点に関し,P7 今回の問題で国民がP7総裁に問うていたのは,困難な問題に直面した際に,その問題の本質を明らかにして,きちんと世に問う姿勢であり,部下あるいは部署を率いて自ら解決する資質である。この点に関し,P7総裁は明らかに落第点であったと言わざるを得ない。 小泉総理大臣は,「民営化推進委員会の意見を基本的に尊重して民営化しろと指示している。これをきちんと誠実に履行するか,P7総裁の言動を十分見極めたい」と7月18日,あらためて述べている。 小泉総理大臣のこうした指示を重く受け止め,誠実に遵守すべき立場にありながら,民営化に対する背信ともとれる一連の行為を行った罪は深い。P7総裁はもとより,それに協力した経営陣もその責任を取るべきである。 (サ)平成15年7月25日,日本道路公団監察室は,「平成14年7月に作成されたとされる財務諸表に関する調査結果について」と題する書 面において,前記○○8月号に掲載された本件貸借対照表が,同14年7月ころに日本道路公団で作成されたものであるかどうか等に関し,同15年7月15日から同月24日までに社内を調査した結果をまとめ,①「昨年7月に作成されたとされる財務諸表が,いわゆる『仮定貸借対照表』と同一であることは確認できないものの,4人が財務諸表を作成したと答えていること」,②「しかしながら,この財務諸表については,PT監督者への報告の有無に相違があるものの,少なくとも経営判断を求められる役員へ説明した事実はなく,手続き上も問題があること」,③「さらに,資産の再評価のための資産区分がかなり大括りになっていたり,資産の評価額の算定方法にかなり大胆な割り切りをしている上に,そうした評価基準が,JH内はもとより,PT内でも議論されていないこと」,④「財務諸表の所管は経理部であるが,経理部として会計処理方針を定めた 評価額の算定方法にかなり大胆な割り切りをしている上に,そうした評価基準が,JH内はもとより,PT内でも議論されていないこと」,④「財務諸表の所管は経理部であるが,経理部として会計処理方針を定めた事実がないこと」,⑤「以上のことからも,昨年7月に作成されたという財務諸表については,JHの財務諸表として認められないことは明白である」と結論付けた(乙24の2,27)。 (シ)平成15年7月25日午後4時ころから,上記調査結果に基づき,原告が記者会見を行ったところ,前記○○8月号に掲載されている本件貸借対照表が,日本道路公団内に存在しない旨の原告の回答に対し,記者から「ものがないと言っていること自体が食い違っているじゃないですか。それをちゃんと公表してくださいよ。」などと質問され,原告は更に再調査をする旨述べた(乙32,49,証人P41)。 (ス)平成15年8月8日,日本道路公団は,「平成14年7月に作成さ れたとされる財務諸表に関する追加調査結果について」と題する書面において,同15年7月25日から同年8月7日までに社内を調査した結果をまとめ,本件貸借対照表及び本件損益計算書の電子データが経理課のネットワークコンピュータ(共有サーバ)に存在することを確認したとして,「今回の追加調査により,仮財務諸表がJH内での所在が確認できたこと及び当該仮財務諸表と仮定貸借対照表が同一のものであることが確認されたものの,前回調査結果で取りまとめたように,①資産の再評価基準及び財務諸表作成のための会計処理方法をJHとして定めておらず,実務担当者が個人的に設定した会計処理方法により作成されたこと。②仮財務諸表については,部長,役員への報告,説明が一切なく,部長,役員の審議,評価を得ていないこと等の理由から,JHの財務諸表とは認められないことは明白で 定した会計処理方法により作成されたこと。②仮財務諸表については,部長,役員への報告,説明が一切なく,部長,役員の審議,評価を得ていないこと等の理由から,JHの財務諸表とは認められないことは明白である。」と結論付けた(乙24の2,34)。 (セ)平成15年8月8日午後4時5分ころから,上記調査結果に基づき,原告が記者会見を行った。その際,結果的に国会で虚偽の答弁をしたとしてその責任を問う記者からの質問に対し,原告は,本件貸借対照表及び本件損益計算書が日本道路公団の職員によって作成されたことの報告は全く受けていなかったのであって,そもそも本件貸借対照表及び本件損益計算書は財務諸表に相当するものではないなどと回答した。(乙33)(ソ)平成15年8月9日に報道された各新聞の記事の見出しは,次のとおりである(乙17)。 aP40新聞朝刊(a)1面「道路公団の債務超過『諸表』」,「P7総裁認める」,「調査結果を発表」,「責任論強まる」(b)3面「『第2の諸表』揺れる公団」,「債務超過事実なら新規建設は困難」,「民営化論議に波及」/「『私は改革の先兵だ』…」,「総裁会見辞任否定し弁明」bP42新聞朝刊2面「道路公団」,「財務諸表の存在認める」,「P7総裁辞任は否定」cP8新聞朝刊2面「道路公団,財務諸表を確認」,「会計士にも昨夏渡す」dP46新聞朝刊(a)1面「道路公団」,「P7総裁辞任は不可避」,「事実上更迭混乱責任問い」/「幻の財務諸表」,「『公団内で作成』認める」,「P7総裁正当性,改めて否定」(b)3面「道路公団総裁進退問題」,「『更迭』時期探る首相」,「『幻の財務諸表』引き金」,「扇国交相も態度を硬化」/「隠ぺい関与疑惑の核心は未解明」 eP47新聞朝刊2面「道路公団」,「財務 3面「道路公団総裁進退問題」,「『更迭』時期探る首相」,「『幻の財務諸表』引き金」,「扇国交相も態度を硬化」/「隠ぺい関与疑惑の核心は未解明」 eP47新聞朝刊2面「道路公団」,「財務諸表一転『あった』」,「P7総裁辞任,改めて否定」/「P7氏側近が隠蔽工作指示」,「○○9月号掲載」fP48新聞朝刊(a)1面「存在認めた『財務諸表』」,「会計士にも渡す」/「道路公団内部告発第2弾」,「『総裁側近が隠ぺい』」,「P7氏の一声で破棄決定」,/「『ずさん体質象徴』」,「民営化推進委が痛烈批判」(b)24面「『P7総裁の防衛隊』」,「道路公団の財務諸表,一転『ある』」,「内部告発つぶしの内幕」,「法曹界の権威並べたコンプライアンス本部」(タ)一方,平成15年9月20日のP46新聞では,P38財務諸表検討委員会委員長の談話として,本件貸借対照表につき,「最近になって初めて見たが,暫定的な仕掛け品というか半製品,メモ程度のものという印象だ。専門家が目を通したものとは思えない。『剰余金』がマイナス6174億円となっているために債務超過だと言われているが,その理屈は不可解だ。政府出資金を『資本金』と表示しておきながら,実際には負債とみなして計算しているようだが,奇妙な計算方法だ。(政府出資金を負債でなく資本金として計算すれば)資産合計約28兆円,負債合計約27兆円になり,少なくとも1兆円ほど資産の方が大きく,債 務超過にはなっていない。」などと報道した(甲1)。 エ本件会合問題に関連する事実関係について(ア)平成15年5月1日,同日発売の雑誌「○○」5月号において,「道路公団総裁の『仰天』謀議」との見出しで下記の内容を含む記事が報道された(乙36)。 記a小泉構造改革の象徴として,民営化の俎上に載せられてい 5月1日,同日発売の雑誌「○○」5月号において,「道路公団総裁の『仰天』謀議」との見出しで下記の内容を含む記事が報道された(乙36)。 記a小泉構造改革の象徴として,民営化の俎上に載せられている日本道路公団には,役員も知らない陰の顧問たちがいる。P7総裁が独断で人事を固め,秘密の会合を開いている。 bなぜ,隠れ顧問まで集めて,左遷人事を断行するのか。その事情を,P7総裁自身が側近たちを集めた会議で打ち明けている。 c問題の会議は四月十六日正午から,東京・霞が関のγ会館七階会議室で二時間にわたって開かれた。表向きの議題は,「道路公団民営化」である。 参加者は,P49から出向してきたP45・総合情報推進役,P50・中部支社長,P30・企画部企画課長,P24・高速道路部調査役と,いずれも総裁の側近ばかりだった。 公団の役員は一人も出席していないばかりか,会議が開催されることさえ知らされなかった。P7総裁は,その理由を秘密会議の中で次のように明かした。 「今日は本音ベースでのみ話を進めますが,私は公団の理事を信用していません。基本的には役人の延長線上の発想で腰が引けていま すし,こういう長いものには巻かれろ的な集団を私は信用していません」d会議は,P7総裁が三つの人事構想を打ち明けるところから始まる。 一つ目は,五月十六日付で日本道路公団内部に,「民営化総合企画局」を設置する人事である。局長にはP45総合情報推進役を,副局長にはP50中部支社長を充てる。さらに,側近のP30企画課長を近く企画部長に大抜擢するのだという。 e二つ目の人事は,民営化に向けて,財界からP51・P52相談役,P53・P54副社長,P55・P56副社長の三人の非常勤顧問を迎える人事だ。 そして三つ目が「民営化局」を陰で指導する二人の人物を,財団法人「 事は,民営化に向けて,財界からP51・P52相談役,P53・P54副社長,P55・P56副社長の三人の非常勤顧問を迎える人事だ。 そして三つ目が「民営化局」を陰で指導する二人の人物を,財団法人「P57」の顧問として置く極秘人事である。 裏指南役の一人は,P11理事・プロジェクト開発部長のP58氏(五十七歳),もう一人は,P54顧問のP59氏(六十三歳)である。 fP7総裁は側近たちに,こう注意を促した。 「P59という名前を絶対に外に出さないでいただきたい。ご迷惑をかけることになりますから。そういう人がいるということを察知されないように。(P51氏ら)三人の顧問さん方に対しては紹介しますが,スパイがたくさんいる今の公団の職員に対しては,紹介いたしません」 (イ)上記報道後,これに関してされた①平成15年5月12日の第156回国会参議院行政監視委員会における小川勝也委員の質問,②同年6月23日の同衆議院予算委員会における長妻昭委員の質問,③同年7月14日の同決算行政監視委員会における木下厚委員の質問,④同月15日の同国土交通委員会における前原誠司委員の質問,⑤同月18日の同予算委員会における枝野幸男委員の質問と,これらに対する原告の各答弁の概要は,別紙6「会合問題に関するP7前総裁国会答弁」記載のとおりであり,その一部は下記のとおりである(乙38ないし42)。 記a上記①における原告の答弁(平成15年5月12日)「今の雑誌につきましては私ども十分認識しておりませんから,コメントは差し控えます。」b上記②における原告の答弁(平成15年6月23日)「今先生がおっしゃったようなことについては,私は全く記憶がございません。」c上記③における原告の答弁(平成15年7月14日)「ただ,ごあいさつとして,いろいろと私見を述べた 15年6月23日)「今先生がおっしゃったようなことについては,私は全く記憶がございません。」c上記③における原告の答弁(平成15年7月14日)「ただ,ごあいさつとして,いろいろと私見を述べたり,雑談をしたりすることはございます。」d上記④における原告の答弁(平成15年7月15日)「いろいろな会合に出て,ごあいさつをしたり,ちゃんと頑張ってくださいよというような程度のことをしたりする場合はあります。 こういうものを含めて私的という言葉を使いますが,そういう意味 の会合はしたことがございますということを,昨日,木下先生に御答弁申し上げた次第でございます。」e上記⑤における原告の答弁(平成15年7月18日)「現在の体制がいいというのではなく,変わる,変わるぞという,どんどん変わる意欲があるということを理解していただかなきゃならないとか,あるいは,世の中から批判されないためにも,できる限りいろいろなことをやっていかなければ我々の生きる道はないと,言ってみてば,改革に対する意欲を示したというふうに私はこの資料を読ませていただきました。」(ウ)平成15年5月20日の第42回推進委員会において,上記○○5月号の記事につき,P16委員長代理から,「特にこの記事は総裁にとって無視できない内容だと思いますので,あえて私は,いろいろありますけれども,これについてお聞きしたいんです。」「記事は,詳しくかどうかは別にして,ごらんになっていると。御発言になっていることがいろいろ書いてあるんですが,これは事実でしょうか。」という質問がされたところ,原告は,「ちょうど2週間前ですか,3週間前ですか,決算行政監視委員会というのがございまして,そこで民主党の先生からそういう御質問が委員会にございました。そのときに私は公式に,国会の場ですから公式 原告は,「ちょうど2週間前ですか,3週間前ですか,決算行政監視委員会というのがございまして,そこで民主党の先生からそういう御質問が委員会にございました。そのときに私は公式に,国会の場ですから公式になるわけですが,この種のものについては,私は一切コメントいたしません。」などと回答した。P14委員は,「総裁,ノーコメントは結構なんですけれども,あなたが発言をしたと,かぎ括弧の中でいろいろ書かれていることで,多くの人の名前が出ていて,そ れがあなたが中傷,誹謗したと言うんでしょうか,そういう発言をして,多くの人に迷惑をかけるというような記事が出たら当然『○○』に対して私はそういうことを言っていないとか,こんなばかなことを言うと,名誉毀損だとか,抗議したり,取り消しを求めたりするのが当然の行動だと思うんですけれども,単にノーコメント,個人のあなた自身の問題に関わっているんなら別ですけれども,そうではないのにノーコメントでございますということで,国会は別にしても,この委員会でもそれで押し通すというのは,P7さん,いささか解せない。」などと発言した(乙43)。 オ本件連絡問題に関連する事実関係について被告は,原告が,総裁就任以来,外出先等においては,常に秘書を通じて連絡を取らせるようにしていたため,日本道路公団の役職員が原告と確実に連絡を取ることの困難な状況を作り出し,組織の的確な管理運営に支障を生じさせたと主張するところ,①原告は同公団から支給された携帯電話を所持していた(甲24の1,原告本人)ものの,②同公団で作成した「交通事故・事件連絡体制図(夜間・休日用)」(甲22,乙45)記載の原告の連絡先としては,自宅の電話番号と原告の秘書役の職員が所持する携帯電話の番号が記載されるのみで,原告が同公団から支給された携帯電話の番号は記 絡体制図(夜間・休日用)」(甲22,乙45)記載の原告の連絡先としては,自宅の電話番号と原告の秘書役の職員が所持する携帯電話の番号が記載されるのみで,原告が同公団から支給された携帯電話の番号は記載されていなかったこと(乙49,証人P41),③上記連絡体制図以外に作成された役員の一覧表にも,原告の所持する携帯電話の番号は掲載されていなかったこと(乙49,証人P41)などの事実が認められる。 なお,証人P41は,日本道路公団内部において,原告の自宅に電話をかけても「不在がちであるから,なかなか連絡できないということは,みんな皆さんの,職員,役職員の共通の認識」であり,秘書役の職員が随行しない場合,すなわち「総裁が例えば会議室から出てこられるまでの間は待っているという状況になる。あるいは夜,帰られてからの間はですね,連絡がなかなか取れないということになるかと思います。」などと証言し,同人作成の陳述書(乙49)にもおおむね同旨の記載がある。 (2)本件財務諸表問題についてア上記認定事実によれば,①平成15年5月16日のP8新聞朝刊1面において,「日本道路公団」「債務超過の諸表隠す」等との見出しで,「日本道路公団が02年7月に,民間企業並みの会計基準で01年3月期の財務諸表を作成していたことが分かった。P8新聞が入手したこの財務諸表によると,公団は6千億円余りの債務超過に陥っており,新たな道路建設は経営上,極めて難しい状況だ。公団は道路関係4公団民営化推進委員会などに対して財務諸表の存在を一貫して否定してきており,P7総裁ら首脳陣の責任問題に発展する可能性がある。」などと記載された記事(なお,同記事は,前記(1)イ(ア),(イ),ウ(ウ)等の事実関係に照らし,本件貸借対照表を基にして作成されたことがうかがわれる。)が報道されたこと 題に発展する可能性がある。」などと記載された記事(なお,同記事は,前記(1)イ(ア),(イ),ウ(ウ)等の事実関係に照らし,本件貸借対照表を基にして作成されたことがうかがわれる。)が報道されたこと(前記(1)ウ(イ)),②同記事に関連し,平成15年5月21日と,同月28日に,衆議院国土交通委員会において委員から質問があり,原告が日本道路公団としては財務諸表は一切作成していない旨の答弁をしたこと(前記(1)ウ(エ)),③同年7月10日発売の○○8月号において,「道路公団 P7総裁の嘘と専横を暴く」との見出しで,P43日本道路公団四国支社副支社長の手記を中心とした記事が報道され,同記事には本件貸借対照表の写しが掲載されていたこと(前記(1)ウ(オ)),④同記事に関連し,同月14日と,同月15日,同月17日,同月18日に,衆議院及び参議院の各委員会において委員から質問があり,また,同月14日の委員会では資料として本件貸借対照表及び本件損益計算書が提示されるなどしたが,原告は,日本道路公団としてそのような財務諸表を作成したことはない旨の答弁をしたこと(前記(1)ウ(キ),(ケ)),⑤原告は,同月11日,本件貸借対照表等について調査を命じ,日本道路公団において同月15日から同月24日まで,更に同月25日から同年8月7日まで社内を調査した結果,同月8日,本件貸借対照表及び本件損益計算書の電子データが経理課のコンピュータに存在することを確認したと発表したこと(前記(1)ウ(カ),(サ),(ス),(セ))などの事実を認めることができる。 一方,前記(1)アの認定事実によれば,同13年4月26日に発足した小泉内閣の下において,日本道路公団の改革,民営化が進められる中,具体的には推進委員会による「中間整理」及び「意見書」の発表等により,当時,民間 )アの認定事実によれば,同13年4月26日に発足した小泉内閣の下において,日本道路公団の改革,民営化が進められる中,具体的には推進委員会による「中間整理」及び「意見書」の発表等により,当時,民間企業並みの会計基準で同公団の財務状況を正確に把握することの必要性や重要性は広く認識されていたものと認めることができ,実際,同14年12月12日の衆議院国土交通委員会と,同15年2月19日の衆議院予算委員会において,各委員から同公団の財務状況に関する質問がされるなど(前記(1)ウ(ア)),民営化に向け,同公団が民間企業並みの会計基準の下で債務超過になるかどうかは世上関心を集めていたものと認めら れる。 そうとすれば,同年5月16日のP8新聞の記事(前記(1)ウ(イ))で,日本道路公団が債務超過に陥っているとされる民間企業並みの会計基準による「01年3月期」の財務諸表が,「公団内のプロジェクトチーム(PT)」により,「02年1月から道路資産の再評価作業に着手」された後,「02年7月」に作成されたと報道されたこと,同月21日の同新聞の記事(前記(1)ウ(ウ))で,その貸借対照表の概略が掲載されたことなど,一定程度の具体性をもって,日本道路公団が債務超過に陥っていることを示す財務諸表を作成しながらこれを隠ぺいした旨の報道に接した原告としては,このころ速やかに前記(1)ウ(サ),(ス)記載のような社内調査を行わせ,前記(1)イ(イ)記載の事実関係を把握し,国会での答弁や記者会見等によって,正確な事実関係を説明するべきであったのに,「道路公団はそういうものを作る前提となる会計基準であるとか,そういうものをまだ持っておりませんから,作りようがありません。」(原告本人)などといった認識に立って,これを怠り,結局,同年7月10日発売の○○8月号の記事が を作る前提となる会計基準であるとか,そういうものをまだ持っておりませんから,作りようがありません。」(原告本人)などといった認識に立って,これを怠り,結局,同年7月10日発売の○○8月号の記事が報道され(前記(1)ウ(オ)),同月14日の衆議院決算行政監視委員会において本件貸借対照表及び本件損益計算書が提示された(前記(1)ウ(キ))後の翌15日に調査に着手したにとどまり,同年8月に至るまで日本道路公団内に本件貸借対照表及び本件損益計算書の電子データが存在することを確認しなかったものであり(前記(1)ウ(サ),(ス)),よって,この間,国会や推進委員会,報道機関等に対し,事実に沿わない内容の対応に終始したものというべきである。 したがって,まず,解任処分理由書①記載の理由(前提事実(6)①)のうち第1段落,すなわち「本年5月中旬に,日本道路公団が債務超過に陥っていることを示すとされた財務諸表(以下「本件財務諸表」という。)を入手したとする新聞報道がなされ,その直後から同財務諸表に関する事実関係について国会質問があった。この問題が同公団の改革,民営化等の今後の運営に重大な影響を及ぼしかねないものであることに鑑み,同公団を代表する立場にあるあなたとしては,速やかに役員及び職員を指揮して事実関係を正確に調査,把握し,かつ説明する等の適切な対応をとるべきところ,これを怠り,8月に至るまでそのデータの存在すら確認できなかったばかりか,国会,道路関係四公団民営化推進委員会,マスコミ等に一方的な見解に基づく対応に終始した。」という事実は,これを認めることができる。 イ次に,原告の国会における答弁につき,原告は,平成15年5月21日の衆議院国土交通委員会において,「新聞記者は,既に財務諸表を入手しと書いているんですね。ですから,当然これは ることができる。 イ次に,原告の国会における答弁につき,原告は,平成15年5月21日の衆議院国土交通委員会において,「新聞記者は,既に財務諸表を入手しと書いているんですね。ですから,当然これはP8新聞に対して,ないものを入手するということはどういうことなのか,それは全く虚偽の財務諸表が入手された結果であるのか。」という委員からの質問に対し,「P8新聞に五月十六日に出,P42新聞にも同日付で出ましたけれども,これらは,道路公団としては全く作成しておりません。したがって,このような事実はないわけです。」と,日本道路公団の役職員らがP8新聞で報じられた「財務諸表」の作成に全く関与していないかのように答弁したが(前記(1)ウ(エ)),原告にとっては後日判明した事情であったかもしれな いにせよ(前記(1)ウ(ス),(セ)),実際には,前記(1)イ(ア),(イ)のとおり,本件貸借対照表及び本件損益計算書(ただし,その内容は,前記(1)ウ(タ)のとおり,同公団の正確な財務状況を反映したものとはいい難いものであると認められる。)は,同公団内の第三者機関設立準備室担当プロジェクトチーム(後に民営化検討プロジェクトチーム)が中心となって同14年1月から道路資産の再評価作業に着手し,その成果に基づいて,同年6月末ころになって,同公団の経理課の職員が,その職務の遂行上,作成していたものであった。 この本件貸借対照表が,前記○○8月号に掲載された(前記(1)ウ(オ))後の同15年7月14日の衆議院決算行政監視委員会では,本件貸借対照表及び本件損益計算書を提示した上での「これについて,こうした資料が作成される,こういったプロジェクトチームがあった,そういうことは認識しておられますか。」という委員からの質問に対し,原告は,「まず,結論から申し上げますと した上での「これについて,こうした資料が作成される,こういったプロジェクトチームがあった,そういうことは認識しておられますか。」という委員からの質問に対し,原告は,「まず,結論から申し上げますと,このような貸借対照表をつくった事実はございません。」などと答弁したが(前記(1)ウ(キ)),原告は,同月15日の衆議院国土交通委員会では,「第三者機関設立準備室担当プロジェクトチーム」が「そこでいろいろと勉強いたしました。」,「その勉強の最大のテーマは,道路資産価格というのを決めないと財務諸表ができない,財務諸表ができなければ民営化の前提となる内容ができない,なれば道路資産価格というものをどう評価するんだということで,全く経験がない人たちが集まって,ああでもないこうでもないという勉強をしたわけでございます。 そうしましたけれども,やはりうまくいかなかったということで,自然解 散のような形で途絶えました。」,「そういうことから,そういうデータは課長レベルにも報告がございません。もちろん部長にも理事にも,当然,私にはそういう結果は何にも報告がない。したがって,成果がないというのはそういう意味合いで申し上げているわけで,課長さんたちのレベルにも報告が何にもなかったということは,ないわけでございます。」などと答弁し,さらに,同月18日の衆議院予算委員会では,道路資産の再評価作業については,「勉強をして,その勉強の一環としてそういうデータが必要になりますからやっただけです。そこで,やってみましたけれども,内容が非常にどうにもならない数字が出てまいりました。」,「したがって,財務諸表は正式にはございません。」などと答弁した(前記(1)ウ(ケ))。 このような経過からすると,同年5月21日にされた「道路公団としては全く作成しておりません。」との答弁 。」,「したがって,財務諸表は正式にはございません。」などと答弁した(前記(1)ウ(ケ))。 このような経過からすると,同年5月21日にされた「道路公団としては全く作成しておりません。」との答弁と,同年7月18日にされた「財務諸表は正式にはございません。」との答弁との間では,前者については,日本道路公団の役職員らがP8新聞で報じられた「財務諸表」の作成に全く関与していないという内容を,後者では同公団内での勉強会の限りにせよ,同公団の職員によって作成された余地はあるかのような内容をうかがわせる答弁に変遷したものと認めることができる。このことに関し,推進委員会から責任を問われたことは,前記(1)ウ(コ)のとおりであり,その他,前記(1)ウの事実経過からすれば,解任処分理由書①記載の理由(前提事実(6)①)のうち第2及び第3段落,すなわち「この結果,国会における答弁内容がその都度変遷するなど国権の最高機関である国会を軽視し,不誠実 な対応と受け取られてもやむを得ない事態を招来した。また,道路関係四公団民営化推進委員会との関係においても,同様の問題を惹起した。」「更に,本件財務諸表を巡る一連の対応は,それがマスコミを通じて広く報道されたこともあって,日本道路公団に対する国民の信頼を著しく損ねる結果を生じさせた。」という事実は,これを認めることができる。 ウしたがって,争点(1)のうち,本件財務諸表問題に関する被告の主張には理由がある。 (3)本件会合問題について平成15年5月1日発売の「○○」5月号において,「道路公団総裁の『仰天』謀議」との見出しで,γ会館で開催されたとされる会議(又は会合)に関する記事が報道がされたこと,同記事に関連し,同月12日と,同年6月23日,同年7月14日,同月15日,同月18日に,参議院及び衆議院の との見出しで,γ会館で開催されたとされる会議(又は会合)に関する記事が報道がされたこと,同記事に関連し,同月12日と,同年6月23日,同年7月14日,同月15日,同月18日に,参議院及び衆議院の各委員会において委員から質問があり,原告が答弁したことは,前記(1)エ(ア),(イ)のとおりである。この点,民営化を図って多難な時期にある日本道路公団の総裁たる原告としては,より速やかに事実関係を確認した上,同公団の役職員の信頼を損なうような発言が報じられたことについて明確に釈明を行うべきであったと思料されるところ,その答弁内容(別紙6「会合問題に関するP7前総裁国会答弁」参照)等に照らせば,解任処分理由書②記載の理由,すわなち「本年4月16日にγ会館で開催されたとされる『会合』を巡る報道等に関しても,国会における質問に対して,あなたは,正確な事実関係を確認するための適切な対応を行わず,不誠実な答弁を繰り返した。」「また,当該『会合』においてあなたが発言したとされた内容は,総 裁自身が日本道路公団の役職員を信頼していないと受け取られるような内容であったにもかかわらず,あなたは,同発言に関する適切な説明等を行わず,公団組織内におけるあなたと役員及び職員間の信頼関係を著しく損ねる結果となった。」という事実は,これを認めることができる。 したがって,争点(1)のうち,本件会合問題に関する被告の主張には理由がある。 (4)本件連絡問題について前記(1)オの認定事実によれば,ひとまず,解任処分理由書③記載のうち,「更に,あなたは,日本道路公団本社外における自己の居場所を,一部の公式行事等を除き,秘書以外の者には知らせず,理事等といえども秘書を通じない限り外出中のあなたと連絡をとることができない」との部分は認められる余地があるものの,それが「不自 る自己の居場所を,一部の公式行事等を除き,秘書以外の者には知らせず,理事等といえども秘書を通じない限り外出中のあなたと連絡をとることができない」との部分は認められる余地があるものの,それが「不自然な組織運営」であり,「組織の長としての職責を誠実に遂行するものとはいえない」ものであったとまで断定するに十分な事実関係を証明する証拠はない。 したがって,争点(1)のうち,本件連絡問題に関する被告の主張には理由がない。 (5)「その他役員たるに適しないと認めるとき」(日本道路公団法13条2項柱書き)の該当性についてアそこで,本件財務諸表問題及び本件会合問題を原因事実として,日本道路公団法13条2項柱書きに基づく本件解任処分の効力を検討するに,前記(1)ア(イ)のとおり,日本道路公団は,国民生活を支える極めて公共性の高い社会資本である高速自動車国道の建設及び管理の主体として重要な業 務を担うもので,特殊法人の中でも極めて規模の大きい組織であり,その適正かつ円滑な業務遂行や同公団の目的の達成に支障を来した場合には,国土の総合的かつ体系的な利用,開発及び保全,そのための社会資本の整合的な整備(国土交通省設置法3条),国土の利用,開発等に関する総合的かつ基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関する事務,社会資本の整合的かつ効率的な整備の推進に関する事務(同法4条)という国土交通省所管事務の遂行にも影響を与えることが必定である。 日本道路公団法は,このような日本道路公団の高度の公共的性格に照らし,その適正かつ円滑な業務の遂行を確保するため,同公団を代表し,その業務を総理する総裁(同法9条1項)の任命権(同法10条1項)及び解任権(同法13条)を国土交通大臣に付与したものと解されるところ,同法13条2項柱書きの「その他役員たるに適しないと認め 表し,その業務を総理する総裁(同法9条1項)の任命権(同法10条1項)及び解任権(同法13条)を国土交通大臣に付与したものと解されるところ,同法13条2項柱書きの「その他役員たるに適しないと認めるとき」とは,当該「役員」が総裁である場合には,上記のとおり,高度の公共的性格を有する重要な業務を担う同公団を代表し,その業務を総理する総裁として,同公団の業務を適正かつ円滑に遂行させるために高度の資質,能力等が要求されるにもかかわらず,何らかの客観的な合理的理由に基づいて,その資質,能力等を欠くものと国土交通大臣が認めるに至ったときを指すものと解するのが相当である。そして,前記の日本道路公団の高度の公共的性格に加えて,その業務内容である高速道路の建設等が,国土の総合的かつ体系的な利用,更には関係地域の振興等の面で,住民の生活,地域経済等に重大なかかわりを持つものであり,政治的にも重要なテーマとなってきたことは公知の事実であって,そのような事情を考慮すると,日本道路公 団という大組織を代表し,その業務を総理する総裁は,大きな権限と裏腹の重大な責任を負っているものといわざるを得ず,総裁には,その時々の政治経済の状況等を正確に把握し,同公団の組織の在り方と業務の遂行について的確な判断を下し,国土交通大臣の監督の下でその事務を円滑に遂行していく高い資質,能力等が求められるものというべきである。そうすると,総裁の言動がこのような求めに沿わないものであって,国土交通大臣ひいては政府の目指す政策の遂行を阻害するものであると判断される場合には,国土交通大臣は,日本道路公団法13条2項柱書きの規定に基づいて,総裁を解任することができるものというべきである。 イところで,本件財務諸表問題及び本件会合問題は,前記(1)ア(カ)における推進委員会の意見書 は,日本道路公団法13条2項柱書きの規定に基づいて,総裁を解任することができるものというべきである。 イところで,本件財務諸表問題及び本件会合問題は,前記(1)ア(カ)における推進委員会の意見書のとおり,日本道路公団の民営化が「特殊法人等改革の天王山」として位置付けられ,同公団の財務状況は,「企業として存立していく上では極めて厳しいものとなっている」と目されて,企業会計原則に基づく財務諸表の作成により財務状況を正確に把握することが求められ,更には同公団の廃止,民営化等の抜本的な改革が検討されている状況下で生じたものであり,本件財務諸表問題及び本件会合問題のいずれについても,新聞や雑誌等による報道を発端として国会で質疑がされ,原告の対応の不十分さから,国会や推進委員会等において批判を招き,殊に推進委員会からは,平成15年7月22日,「いかなる状況にあっても,公団の業務を総理するのは他ならぬP7総裁自身である。今回の問題で国民がP7総裁に問うていたのは,困難な問題に直面した際に,その問題の本質を明らかにして,きちんと世に問う姿勢であり,部下あるいは部署を率 いて自ら解決する資質である。この点に関し,P7総裁は明らかに落第点であったと言わざるを得ない。」などとしてその責任を問われるなどし(前記(1)ウ(コ)),報道機関による各種報道もあって,国民の日本道路公団に対する信頼を損ねる事態となり,同公団の適正かつ円滑な業務の遂行を阻害するに至ったものと認められる。換言すれば,原告は,政府が日本道路公団の抜本的改革をその重要な政策として掲げて推進している状況の下で,同公団が債務超過となっているかどうかが大きな問題となった際に,これに適切な対応をすることができず,かえって,同公団の職員が検討し作成した「幻の財務諸表」は,総裁らの決裁を経たも ている状況の下で,同公団が債務超過となっているかどうかが大きな問題となった際に,これに適切な対応をすることができず,かえって,同公団の職員が検討し作成した「幻の財務諸表」は,総裁らの決裁を経たものではなく正式な財務諸表ではないから財務諸表とはいえないという考え方に固執して,形式的といわれてもやむを得ない内容の答弁等を繰り返すことによって,総裁ひいては同公団に対する国民の信頼を失墜させたものといわざるを得ない。 上記のような原告の考え方に全く理がないものとはいえないとしても,当時の状況の下での最大の関心事は,同公団が債務超過の状態にあるかどうか,また,それを示すような検討の結果が同公団内部に存在しているのかどうかということであって,その検討結果が記載された書面が正式な財務諸表であるかどうかということではなかったのであるから,原告としては,同公団の財務状況に係る内部的な検討経過とその問題点を明らかにした上で,同公団が債務超過の状態にあるのかどうかという疑問に対して誠実に応答すべきものであった。ところが,原告は,「幻の財務諸表」は正式な財務諸表ではないという考え方に固執して前記のような答弁を続けたのであって,そのような原告の言動は,事態をいたずらに混乱させたものとい わざるを得ず,少なくとも当時の状況下においては,極めて不適切な対応であったというほかない。 ウ以上の諸事情からすると,本件財務諸表問題及び本件会合問題をもって,原告につき,被告が日本道路公団法13条2項柱書き所定の「その他役員たるに適しないと認めるとき」に該当すると判断したことは相当であって,争点(1)のうち,同項柱書き該当性に関する被告の主張には理由がある。 争点(2)(本件解任処分の手続上の違法性)について(1)争点(2)ア(本件聴聞通知書中,予定される不利益 は相当であって,争点(1)のうち,同項柱書き該当性に関する被告の主張には理由がある。 争点(2)(本件解任処分の手続上の違法性)について(1)争点(2)ア(本件聴聞通知書中,予定される不利益処分の根拠となる法令の条項の記載が日本道路公団法13条2項と記載されている点)について前提事実(1)のとおり,日本道路公団法13条2項は,日本道路公団の役員の解任事由として,「心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき」(同項1号),「職務上の義務違反があるとき」(同項2号),「その他役員たるに適しないと認めるとき」(同項柱書き)という三つの処分要件を規定しているところ,前提事実(3)のとおり,本件聴聞通知書には,予定される不利益処分の根拠となる法令の条項として,「日本道路公団法(昭和31年法律第6号)第13条第2項」とのみ記載されている。 しかしながら,一方,本件聴聞通知書における不利益処分の原因となる事実の最終段落では,「これらのことから総合的に判断すれば,貴職については,高速道路に関する制度を抜本的に改革する重要な時期を迎える公団の総裁として十分な資質を有していないと言わざるを得ず,このことが日本道路公団法第13条第2項に該当すると認められる。」と記載されている(前提事実(3)イ(エ))ところ,本件聴聞通知書を受領した不利益処分の名あて人と なるべき者としては,被告が日本道路公団法13条2項柱書きによる解任処分をしようとしていることを理解することができるから,本件聴聞通知書では,予定される不利益処分の根拠となる法令の条項(行政手続法15条1項1号)が特定されているものと認めるのが相当である。 したがって,争点(2)アに関する原告の主張には理由がない。 (2)争点(2)イ(本件聴聞通知書中,不利益処分の原因となる事実の記載が 法15条1項1号)が特定されているものと認めるのが相当である。 したがって,争点(2)アに関する原告の主張には理由がない。 (2)争点(2)イ(本件聴聞通知書中,不利益処分の原因となる事実の記載が特定を欠くか,ないしは記載を欠くか)について日本道路公団は,その業務の重要性や公共性の高さから,国土交通大臣が監督し(日本道路公団法34条1項),毎事業年度,予算等について,国土交通大臣の認可を受けなければならない(同法22条)などとされていたことは前記1(1)ア(イ)のとおりであるところ,さらに,原告は,同公団の総裁として原告が行う国会の答弁についても,国土交通省と調整し,同公団において作成した答弁資料(乙27の1及び2)を同省道路局に交付していた旨供述している(原告本人)。 このように,国土交通大臣と日本道路公団総裁は,日常の業務遂行上,比較的緊密な関係にあり,本件聴聞通知書交付以前に国会や推進委員会等により明確に指摘されたことを認めるに足りる証拠がない本件連絡問題はともかくとしても,本件財務諸表問題及び本件会合問題については繰り返し国会で質問の対象となり,原告がこれらに答弁したことなどの事実経過は前記1(1)ウ,エのとおりであるところ,かかる原,被告の関係や本件聴聞通知書交付に至る事実経過等に照らすと,本件聴聞通知書において本件財務諸表問題を記載した部分(前提事実(3)イ(ア))及び本件会合問題を記載した部分(前 提事実(3)イ(イ))は,一定の具体的な事実が記載されているものとして,いずれも予定される不利益処分の原因となる事実(行政手続法15条1項1号)が特定されているものと認めるのが相当である。 なお,本件連絡問題が本件解任処分の原因事実とならないことは前記1(4)のとおりであるところ,それにもかかわらず,本件聴聞通知書におい 法15条1項1号)が特定されているものと認めるのが相当である。 なお,本件連絡問題が本件解任処分の原因事実とならないことは前記1(4)のとおりであるところ,それにもかかわらず,本件聴聞通知書において本件連絡問題を記載した部分(前提事実(3)イ(ウ))の特定につき,少なくともあえて本件解任処分を取り消さなければならないほどの重大な瑕疵があるとまでは認められず,結局,争点(2)イに関する原告の主張には理由がない。 (3)争点(2)ウ(聴聞の通知が聴聞の期日までに「相当な期間」をおいてされたか)について原告に対し本件聴聞通知書が交付された日が平成15年10月7日であり,本件聴聞期日が同月17日であったことは前提事実(3),(5)のとおりであるところ,①本件聴聞通知書交付以前における本件財務諸表問題及び本件会合問題に関する事実経過は,上記(2)及び前記1(1)ウ,エのとおりであることや,②被告が原告に対し,本件聴聞期日前に閲覧に供した資料の内容,分量(乙45),③本件聴聞の聴聞調書(乙4の2)及び報告書(乙4の3)や原告が本件聴聞期日において提出した資料(乙5)によると,結果として,原告は本件聴聞期日において,本件解任処分の実体上の違法性等につき,本件訴訟における主張と主要部分においておおむね共通する意見を述べていることが認められること(なお,別紙2「当事者及びその代理人の陳述した意見の要旨」参照),その他,④当時の日本道路公団をめぐる状況(前記1(1)ア)等の諸事情に照らすと,予定される不利益処分の内容が同公団総裁の 解任という比較的重大な性質を有することを考慮しても,本件聴聞通知書交付日から本件聴聞期日までには,不利益処分の名あて人となるべき者が有効な準備をするに「相当な期間」(行政手続法15条1項柱書き)がおかれたものと認める 性質を有することを考慮しても,本件聴聞通知書交付日から本件聴聞期日までには,不利益処分の名あて人となるべき者が有効な準備をするに「相当な期間」(行政手続法15条1項柱書き)がおかれたものと認めるのが相当である。 したがって,争点(2)ウに関する原告の主張には理由がない。 (4)争点(2)エ(①聴聞に当たって,被告が,あらかじめ資料の標目を作成し,聴聞通知書に標目を示して閲覧を求めることができる旨原告に教示しなかった点,②原告が,被告に対して,聴聞の期日の当日に,本件連絡問題に係る事実について,資料の閲覧を求めたのに対し,被告がこれを拒否した点,③被告が,原告に記録の謄写を認めなかった点)についてア本件聴聞通知書には,「教示」欄に「聴聞が終結するまでの間,上記不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができます。」との記載がある(乙1)ところ(行政手続法15条2項2号参照),原告は,国土交通省聴聞手続規則5条1項が,行政手続法18条1項の規定による閲覧の求めにつき,閲覧をしようとする資料の標目を記載した書面を行政庁に提出してこれを行うものとする旨規定していることをもって,被告が,あらかじめ資料の標目を作成し,原告に対しその標目を示して閲覧を求めることができる旨教示すべきであったと主張するが,被告において資料の標目を作成すべきことを義務付ける法令の規定や,その標目を原告に対し教示すべきことを義務付ける法令の規定は存在しない。また,実際,原告は,平成15年10月15日,被告に対し,資料の閲覧請求書を提出し,翌16日に不利益処分の原因となる事実を証する資料を閲覧して いるのであって(前提事実(4)),争点(2)エ①に関する原告の主張には理由がない。 イ原告は,本件聴聞期日において,本件連絡問題につき,原告代理人が資 原因となる事実を証する資料を閲覧して いるのであって(前提事実(4)),争点(2)エ①に関する原告の主張には理由がない。 イ原告は,本件聴聞期日において,本件連絡問題につき,原告代理人が資料の閲覧を求めたところ,被告行政庁は,調書が「あるかないかも含めて,明らかにするつもりはありません。」などと回答し,あらゆる回答を拒否した旨主張するが,本件聴聞の聴聞調書(乙4の2)によると,上記のやりとりの後,行政庁の職員は,本件連絡問題に係る事実関係は日本道路公団の関係者の証言によって認定されたものであり,この証言を記録した文書はない旨説明しており,行政手続法18条2項の閲覧の対象となるべき資料は存在しなかったと認められるから,上記原告代理人の求めに応じなかったことは違法ではなく,争点(2)エ②に関する原告の主張には理由がない。 ウ前提事実(4)のとおり,原告は被告に対し,平成15年10月15日,資料の謄写又は複写を求めたところ,被告はこれに応じなかったが,「当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料」(行政手続法18条1項)につき,謄写又は複写を求めることができることを定める法令の規定は存在しないから,被告において任意にその求めに応じることは別として,これに応じなかったとしても違法とはならず,争点(2)エ③に関する原告の主張には理由がない。 (5)争点(2)オ(主宰者が聴聞の続行期日を指定することなく,聴聞手続を終了させた点)について前記(3)のとおり,本件聴聞の聴聞調書(乙4の2)及び報告書(乙4の 3)や原告が本件聴聞期日において提出した資料(乙5)によると,結果として,原告は本件聴聞期日において,本件解任処分の実体上の違法性等につき,本件訴訟における主張と主要部分においてお (乙4の 3)や原告が本件聴聞期日において提出した資料(乙5)によると,結果として,原告は本件聴聞期日において,本件解任処分の実体上の違法性等につき,本件訴訟における主張と主要部分においておおむね共通する意見を述べていることが認められること,前提事実(5)のとおり,本件聴聞の期日は,午前10時3分から午後7時3分まで長時間にわたり実施されていることなどに照らすと,主宰者が「聴聞の期日における審理の結果,なお聴聞を続行する必要がある」(行政手続法22条1項)と認めず,続行期日を指定しなかったことが違法であるとは認められない。 したがって,争点(2)オに関する原告の主張には理由がない。 (6)争点(2)カ(①聴聞調書に,主宰者がどのような証拠や資料を根拠として不利益処分の原因となる事実の存否を認定したかの記載がないとされる点,②報告書が,専ら行政庁の職員の説明に即して当事者の主張を整理し,その上で,行政庁の意向に即した意見を述べ,結論付けを行っているとされる点)についてア行政手続法24条1項は,「主宰者は,聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し,当該調書において,不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。」と規定し,同項の聴聞調書につき,国土交通省聴聞手続規則12条1項は,①聴聞の件名,②聴聞の期日及び場所,③主宰者の氏名及び職名,④聴聞の期日に出頭した当事者及び参加人又はこれらの者の代理人並びに補佐人及び参考人の氏名及び住所,⑤当該聴聞の期日における審理で説明を行った行政庁の職員の氏名及び職名,⑥聴聞の期日に出頭しなかった聴聞参加 者の氏名及び住所並びに当事者及びその代理人が聴聞の期日に出頭しなかった場合にあっては出頭しなかったことについての正当な理由の有無,⑦聴 員の氏名及び職名,⑥聴聞の期日に出頭しなかった聴聞参加 者の氏名及び住所並びに当事者及びその代理人が聴聞の期日に出頭しなかった場合にあっては出頭しなかったことについての正当な理由の有無,⑦聴聞参加者の陳述した意見の要旨,⑧行政庁の職員が行った説明の要旨,⑨証拠書類等が提出された場合にあっては,その標目,⑩その他参考となるべき事項を記載しなければならないと規定しているところ,主宰者がどのような証拠や資料を根拠として不利益処分の原因となる事実の存否を認定したかを聴聞調書に記載しなければならないとする法令の規定は存在せず,その他,本件聴聞の聴聞調書(乙4の2)の記載内容に照らし,同聴聞調書の作成につき違法性があるとは認められない。 したがって,争点(2)カ①に関する原告の主張には理由がない。 イ行政手続法24条3項は,「主宰者は,聴聞の終結後速やかに,不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成」しなければならないと規定し,同報告書につき,国土交通省聴聞手続規則12条3項は,①不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張,②不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見,③その意見の理由を記載しなければならないと規定しているところ,本件聴聞の報告書(乙4の2)には,原告の主張するような記載内容の当否はともかくとして,上記法令の規定に従って主宰者の意見が記載されており(なお,行政手続法24条3項は,聴聞の審理の結果に基づく主宰者の判断を記載することは規定しておらず,どのような心証に達したかを報告する「意見」を記載するものと規定している。),その作成につき違法性があるとは認め られない。 したがって,争点(2)カ②に関する原告の主張に ことは規定しておらず,どのような心証に達したかを報告する「意見」を記載するものと規定している。),その作成につき違法性があるとは認め られない。 したがって,争点(2)カ②に関する原告の主張には理由がない。 (7)争点(2)キ(主宰者及び被告の補助機関が聴聞の持つ意味を理解せずに手続を進めたとされる点)について本件聴聞の聴聞調書(乙4の2)及び報告書(乙4の3)の内容に照らし,主宰者及び被告の補助機関が,聴聞を適正な事実認定を行うための手続であることを理解せずに本件聴聞を行ったなどという原告の主張を認めるに足りる証拠はない。 したがって,争点(2)キに関する原告の主張には理由がない。 (8)争点(2)ク(①解任処分理由書の理由の記載が特定されていないとされる点,②解任処分理由書の理由に,当事者の主張及び聴聞の主宰者の意見について,行政庁としてどのようにしんしゃくしたのかが示されていない点)についてア行政手続法14条1項本文において,不利益処分の理由の提示を規定する趣旨は,行政庁の判断の慎重と公正妥当を担保してそのし意を抑制するとともに,処分の理由を名あて人に知らせることによって,その不服申立てに便宜を与えるところにある。 そこで検討するに,前記(2)において記述した原,被告の関係や本件聴聞通知書交付に至る事実経過等のほか,更に開始から終了まで約9時間に及ぶ本件聴聞の審理の経過(乙4の2)等(なお,本件聴聞期日において原告及び原告代理人が陳述した意見の概要については,別紙2「当事者及びその代理人の陳述した意見の要旨」参照)に照らすと,解任処分理由書に おける本件財務諸表問題を記載した部分(前提事実(6)①),本件会合問題を記載した部分(前提事実(6)②)及び当時の日本道路公団をめぐる状況や事実関係の総合判断により原告につ 解任処分理由書に おける本件財務諸表問題を記載した部分(前提事実(6)①),本件会合問題を記載した部分(前提事実(6)②)及び当時の日本道路公団をめぐる状況や事実関係の総合判断により原告につき日本道路公団法13条2項柱書きに規定する「その他役員たるに適しないと認めるとき」に該当すると認定する部分(前提事実(6)④)は,不利益処分の原因となる事実及び根拠となる法令の条項を示したものであって,どのような事実関係につきいかなる法令を適用したかを知り得る程度の記載がされているものと認めることができるから,上記趣旨に照らし,「当該不利益処分の理由」(行政手続法14条1項)が特定されているものと認めるのが相当である。 また,本件連絡問題が本件解任処分の原因事実とならないことは前記1(4)のとおりであるが,解任処分理由書における本件連絡問題を記載した部分(前提事実(6)③)も,原告が「日本道路公団本社外における自己の居場所を,一部の公式行事等を除き,秘書以外の者には知らせず,理事等といえども秘書を通じない限り外出中のP7総裁と連絡をとることができない」状況にあることをもって,「不自然な組織運営を行っており,組織の長としての職責を誠実に遂行するものとはいえない。」と認めた旨が記載されているのであって,行政手続法14条1項本文の趣旨や本件聴聞の審理の経過(乙4の2)等に照らし,不利益処分の原因となる事実が特定して記載されているものと認められる。 したがって,原告の争点(2)ク①に関する主張には理由がない。 イ上記アのとおり,行政手続法14条1項本文の趣旨が行政庁の判断の慎重と公正妥当を担保してそのし意を抑制することにあることや,また,同 法26条では,行政庁が聴聞を経て不利益処分の決定をするときは,聴聞調書の内容及び報告書の意見を十分に参酌 が行政庁の判断の慎重と公正妥当を担保してそのし意を抑制することにあることや,また,同 法26条では,行政庁が聴聞を経て不利益処分の決定をするときは,聴聞調書の内容及び報告書の意見を十分に参酌しなければならないと規定されていることなどからすると,聴聞が行われた場合には,確かにその手続において不利益処分の名あて人となるべき者が行った主張及び証拠書類等の提出をどう評価したかを示すことが望ましい事案もあり得ると考えられるが,同法14条1項本文の趣旨にかんがみれば,不利益処分をすると同時に示さなければならない理由としては,いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して不利益処分がされたかを,名あて人においてその記載自体から了知しうるものであれば十分であるというべきであり,聴聞における当事者の主張及び主宰者の意見につき,行政庁としてどのようにしんしゃくしたのかを示さなかったからといって,直ちに同項に違反すると解することはできない。 したがって,争点(2)ク②に関する原告の主張には理由がない。 争点(3)(訴訟上の問題点)について原告は,被告が本件訴訟において主張する本件解任処分の処分理由は,解任処分理由書記載の処分理由と全く異なる内容であり,処分理由の差替え,全面的追加である旨主張するが,被告が本件訴訟で主張している事実関係は,本件解任処分の処分理由(前提事実(6)①ないし④)を,証拠に基づいてより具体的に主張したものにすぎず,処分理由の差替え又は追加には当たらない。 したがって,争点(3)に関する原告の主張には理由がない。 訴えの利益についてなお,原告の日本道路公団総裁としての任期は平成16年4月16日までと されていたのであるから(前提事実(1)),本件解任処分が取り消されても,原告が総裁の地位を回復することはない。しかし, てなお,原告の日本道路公団総裁としての任期は平成16年4月16日までと されていたのであるから(前提事実(1)),本件解任処分が取り消されても,原告が総裁の地位を回復することはない。しかし,本件解任処分が取り消された場合には,原告は本件解任処分がされた時点以降も総裁の地位にあったものということになり,総裁としての報酬請求権や退職手当請求権の行使をすることが可能となる(ただし,前提事実(1)のとおり,日本道路公団は解散したため,上記各請求権に対する債務は,独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構等が承継することになる。)ので,本件解任処分の取消しを求める訴えの利益は失われていないものと認められる。 結論 よって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部杉原則彦裁判長裁判官市原義孝裁判官 島村典男裁判官

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