平成13(わ)1414 恐喝未遂

裁判年月日・裁判所
平成14年7月5日 神戸地方裁判所
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判決文本文3,230 文字)

判決平成14年7月5日神戸地方裁判所平成13年(わ)第1414号恐喝未遂被告事件 主文 被告人を懲役2年に処する。 未決勾留日数中120日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,暴力団A組員であるが,パチンコ店でのパチスロ遊技中ビッグボーナスの大当たりを当てたのに,コインが平均の数だけ出なかったことに因縁を付け,同店関係者から金員を喝取しようと企て,平成13年11月29日午後7時ころ,B株式会社が経営する神戸市a区bc丁目d番e号所在のパチンコ店「C」事務所において,同社D店長E(当時26歳)に対し,「このパチスロ350枚出るいうて書いとんやから,100枚しか出てないんやから足りん250枚分補償してくれ。見てのとおり堅気じゃないのが分かるやろう。」などと語気鋭く申し向け,更に,同日午後10時45分ころ,上記「C」事務所前の通路において,上記Eから5000円補償するが今後同店やチェーン店への出入りを禁止する旨告げられたのに対し,「たかが5000円ぽっちの金で出入り禁止にできると思っているのか。 わしがこの店に来んでも,わしの連れや若い者が来ることはできる。」,「もし,年収が1億やったら,待たされた2時間半の補償はどないしてくれんねん。」などと語気鋭く申し向けて,金員の交付を要求し,もしその要求に応じなければ上記Eらの身体及び同店の営業等にいかなる危害を加えるかもしれない気勢を示して脅迫し,上記Eをしてその旨畏怖させ金員を喝取しようとしたが,通報により警察官が駆けつけたため,その目的を遂げなかったものである。 (証拠の標目)(省略)(補足説明)弁護人は,被告人には金員喝取の犯意はなかったし,被告人が, 金員を喝取しようとしたが,通報により警察官が駆けつけたため,その目的を遂げなかったものである。 (証拠の標目)(省略)(補足説明)弁護人は,被告人には金員喝取の犯意はなかったし,被告人が,「見てのとおり堅気じゃないのが分かるやろう。」,「わしがこの店に来んでも,わしの連れや若い者が来ることはできる。」,「年収が1億やったら,待たされた2時間半の補償はどないしてくれんねん。」と言ったことはない旨主張する。 しかしながら,前掲各証拠によれば,本件は,暴力団構成員である被告人が,パチンコ店でのパチスロ遊技中ビッグボーナスの大当たりを当てたのに,コインが平均の数だけ出なかったことに因縁を付け,同店関係者に対し,補償名下に金員を要求した事案であることが明らかであるところ,証人Eの当公判廷における供述は,本件当日の午後7時ころ及び同日午後10時45分ころの2回に亘り,被告人から判示のように言われて脅迫され金員を喝取されそうになったことについて,被告人とEら同店関係者らのやりとりを明確かつ具体的に述べるものであって,そのいうところに特に不自然不合理なところは見当たらず,十分信用に値するということができる上,被告人の検察官調書(乙9,10)及び警察官調書(乙4ないし7)もまた,判示のような脅迫文言を用いて,Eらから金員を喝取しようとしたことを自認しており,そのいうところも自然かつ合理的であって,十分信用に値するものであるから,被告人が,金員喝取の犯意をもって,判示のとおり申し向け脅迫を加えた事実は間違いがないと認めることができる。 被告人の捜査・公判段階における各供述中には,コインが平均の数だけ出なかったときには,その分を補償してもらえると思っていた,「見てのとおり堅気じゃないのが分かるやろう。」とは言っておらず,Eから,「堅気の人ですか。 判段階における各供述中には,コインが平均の数だけ出なかったときには,その分を補償してもらえると思っていた,「見てのとおり堅気じゃないのが分かるやろう。」とは言っておらず,Eから,「堅気の人ですか。」と聞かれて,「見てのとおり堅気に見えへんか。」と言ったにすぎない,「わしがこの店に来んでも,わしの連れや若い者が来ることはできる。」などとは言っていない,「年収が1億やったら,待たされた2時間半の補償はどないしてくれんねん。」ではなく,「もし年商1億円稼ぐ芸能人だったら,2時間半穴あけたらすごい金額になるんと違うか。」と言ったのであるなどというものもあるが,前掲各証拠によれば,被告人は,パチンコ店の関係者から補償はできない旨繰り返し言われながら,理不尽な要求を執拗に続けたものであることが明らかである上,被告人が言ったという前記文言は,その場の雰囲気ややりとりからみて不自然なものであるから,その各供述の信用性は乏しく,これをもって前記認定に合理的な疑いを容れるには至らない。 (累犯前科)被告人は,平成8年1月24日神戸地方裁判所で銃砲刀剣類所持等取締法違反罪により懲役4年に処せられ,平成11年12月24日その刑の執行を受け終わったものであって,この事実は検察事務官作成の前科調書(乙13)及び上記裁判の判決書謄本(乙16)によって認められる。 (法令の適用)罰条刑法250条,249条1項累犯加重刑法56条1項,57条(再犯の加重)宣告刑懲役2年未決勾留日数の算入刑法21条(120日)訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由)本件は,暴力団構成員である被告人が,パチンコ店でのパチスロ遊技中ビッグボーナスの大当たりを当てたのに,コインが平均の数だけ出なかったこと 不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由)本件は,暴力団構成員である被告人が,パチンコ店でのパチスロ遊技中ビッグボーナスの大当たりを当てたのに,コインが平均の数だけ出なかったことに因縁を付け,同店関係者に脅迫を加えて補償名下に金員を喝取しようとして未遂に終わったという,恐喝未遂の事案である。 被告人は,パチスロ遊技でかなりの金額を負け,ようやくビッグボーナスの大当たりを当てたのに,コインが思ったほど出なかったことから,それに腹を立て,本件犯行に及んだものであって,犯行の動機にあまり酌むべきものはないこと,被告人は,暴力団の勢威を背景にして,被害者らに対し,判示のような脅迫文言を申し向けて,理不尽な要求を執拗に続けたものであって,犯行の態様は悪質であること,被害者は,そのため自分らの身体やパチンコ店の営業等に危害を加えられかねないと畏怖させられたものであって,その結果も軽視できないこと,被告人は,捜査段階の半ばまでや公判段階において,自己の責任回避のための不自然な弁解を重ねており,真摯な反省の情は窺えないことなどを考え併せると,犯情は悪く,被告人の刑事責任は軽くないというべきである。 また,被告人には,判示の累犯前科に加えて,窃盗罪や賭博開張図利幇助罪により懲役刑に処せられた前科(いずれも執行猶予付き)があることや,被告人が長年にわたり暴力団組織に所属していて,その生活態度がよくなかったことも,量刑上看過するわけにはいかない。 してみると,本件は,暴力団組織による計画的な犯行ではなく,被告人個人による偶発的な犯行であること,被告人は,脅迫を加えたものの,暴力を振るったわけではないこと,被告人が要求した金額は多額なものではなく,しかもその恐喝の点は未遂に終わっていること,被告人も人を騒がせたことについては一応反省して ,被告人は,脅迫を加えたものの,暴力を振るったわけではないこと,被告人が要求した金額は多額なものではなく,しかもその恐喝の点は未遂に終わっていること,被告人も人を騒がせたことについては一応反省していることなどの,被告人のために酌むべき事情を考慮しても,主文の刑はやむを得ないところである。 (検察官の科刑意見懲役2年6月)よって,主文とおり判決する。 平成14年7月5日神戸地方裁判所第12刑事係甲裁判官森岡安廣

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