○ 主文 1 被告が原告に対し昭和四三年八月三一日付でしたEの昭和四〇年八月一日から昭和四一年七月三一日までの事業年度の法人税の再更正及び無申告加算税賦課決定のうち、法人税の課税標準一三九万五二六四円をこえる部分は無効であることを確認する。2 原告のその余の請求を棄却する。3 訴訟費用はこれを一〇分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。○ 事実第一当事者の求めた裁判一原告 1 被告が原告に対し昭和四三年八月三一日付でしたEの昭和四〇年八月一日から昭和四一年七月三一日までの事業年度の法人税の再更正及び無申告加算税賦課決定は無効であることを確認する。2 被告が原告に対し昭和四三年八月三一日付でしたEの昭和四一年八月一日から昭和四二年七月三一日までの事業年度の法人税の再更正及び過少申告加算税賦課決定は無効であることを確認する。3 訴訟費用は被告の負担とする。との判決二被告 1 原告の請求を棄却する。2 訴訟費用は原告の負担とする。との判決第二原告の請求原因一本件処分の経緯等について原告は、スチール家具等の製造販売を業とする株式会社であつて、昭和四三年一月一三日Eを吸収合併したものである。Eは、昭和四〇年八月一日から昭和四一年七月三一日までの事業年度(以下「昭和四〇年度」という。)及び昭和四一年八月一日から昭和四二年七月三一日までの事業年度(以下「昭和四一年度」という。)の法人税について、青色申告書によりそれぞれ別表記載のとおり確定申告をしたところ、被告は、昭和四三年五月二八日Eの昭和四〇年度以降の事業年度について青色申告の承認を取り消したうえ、Eを吸収合併した原告に対し、同年八月三一日、右各年度の法人税について別表記載のとおり再更正(以下それぞれ「昭和四〇年度更正」「昭和四一年度更正」といい、こ 度について青色申告の承認を取り消したうえ、Eを吸収合併した原告に対し、同年八月三一日、右各年度の法人税について別表記載のとおり再更正(以下それぞれ「昭和四〇年度更正」「昭和四一年度更正」といい、これを合わせて「本件各更正」という。 り消したうえ、Eを吸収合併した原告に対し、同年八月三一日、右各年度の法人税について別表記載のとおり再更正(以下それぞれ「昭和四〇年度更正」「昭和四一年度更正」といい、こ 度について青色申告の承認を取り消したうえ、Eを吸収合併した原告に対し、同年八月三一日、右各年度の法人税について別表記載のとおり再更正(以下それぞれ「昭和四〇年度更正」「昭和四一年度更正」といい、これを合わせて「本件各更正」という。)及び昭和四〇年度につき無申告加算税の賦課決定を、昭和四一年度につき過少申告加算税の賦課決定(以下「本件各決定」という。)をした。二本件各更正の無効事由しかしながら、昭和四〇年度更正には1ないし4の、昭和四一年度更正には1及び2に掲げる重大かつ明白な瑕疵があるから、いずれも無効であり、したがつて、本件各更正を前提としてされた本件各決定も無効である。1 更正の理由附記の欠缺について被告は、昭和四九年九月六日被告のした前記青色申告の承認の取消処分を取り消した(以下「本件取消処分」という。)ので、Eは本件係争各年度について青色申告により確定申告をした者ということになる。しかして、青色申告書に係る法人税の課税標準の更正をする場合には、その更正通知書に更正の理由を附記しなければならないところ(法人税法第一三〇条第二項)、本件各更正に係る更正通知書には、いずれも更正の理由が附記されていないから、本件各更正に無効である。2 所得の帰属の誤認について被告は、昭和四〇年度において後記3の(一)記載の債務免除に係る金額の他に三五一万七七三九円を、昭和四一年度において一七六万七一四〇円をそれぞれEの所得と認定して本件各更正をした。しかしながら、Eは昭和四〇年一月下旬頃倒産し、本件係争各年度においては任意整理を続行中であつて、実質的な営業活動を行つておらず、当時営業活動の主体はEを吸収合併する以前の株式会社Fすなわち原告であつたのであり、Eには右の如き所得は生じていない。したがつて、被告の認定に係る右各所得は、原告の所得に 的な営業活動を行つておらず、当時営業活動の主体はEを吸収合併する以前の株式会社Fすなわち原告であつたのであり、Eには右の如き所得は生じていない。したがつて、被告の認定に係る右各所得は、原告の所得に帰属するというべく、本件各更正のうち右各所得をEの所得と認定してされた部分に、所得の帰属を誤つており無効である。 り、Eには右の如き所得は生じていない。したがつて、被告の認定に係る右各所得は、原告の所得に 的な営業活動を行つておらず、当時営業活動の主体はEを吸収合併する以前の株式会社Fすなわち原告であつたのであり、Eには右の如き所得は生じていない。したがつて、被告の認定に係る右各所得は、原告の所得に帰属するというべく、本件各更正のうち右各所得をEの所得と認定してされた部分に、所得の帰属を誤つており無効である。3 債務免除に係る金額について(一) 債務免除に係る金額を益金と誤認した点について訴外メーコー工業株式会社(以下「メーコー工業」という。)は、昭和四〇年一二月一五日Eに対し同社がメーコー工業に対し負担している債務三五九六万五二〇七円のうち二五九六万五二〇七円について債務免除をした(以下「本件債務免除」という。)ところ、被告は、本件債務免除に係る金額をEの昭和四〇年度の益金として所得金額を計算し、昭和四〇年度更正をした。しかしながら、本件債務免除は、同年一月下旬倒産したEの資産負債の整理の一環として、同社の負債の減少、欠損金の填補のために、メーコー工場を含むEの債権者集会の協議によつてされたものであり、その行為の実体は欠損填補のための資本減少に準ずるものであつて、法人税法第二二条第二項にいう「資本等取引」に該当するから、本件債務免除に係る金額のうちEの欠損金に充当された部分は同年度の益金とはならないというべきである。このことは、企業会計原則が資本補填を目的とする債務免除益をもつて資本剰余金とし、利益剰余金としていないことからみても明らかである。ところで、Eの昭和三九年八月一日から昭和四〇年七月三一日までの事業年度(以下「昭和三九年度」という。)においては、前事業年度における控除未済欠損金一二〇七万三二四九円が繰り越されており、更に当期欠損金一六〇一万四四三三円が生じ、本件債務免除当時右合計二八〇八万七六八二円の欠損金があつたから いう。)においては、前事業年度における控除未済欠損金一二〇七万三二四九円が繰り越されており、更に当期欠損金一六〇一万四四三三円が生じ、本件債務免除当時右合計二八〇八万七六八二円の欠損金があつたから、本件債務免除に係る二五九六万五二〇七円は、全額右欠損金に充当すべきものである。したがつて、昭和四〇年度更正のうち本件債務免除に係る金額を所得の計算上益金としてした部分は無効である。 の欠損金があつたから いう。)においては、前事業年度における控除未済欠損金一二〇七万三二四九円が繰り越されており、更に当期欠損金一六〇一万四四三三円が生じ、本件債務免除当時右合計二八〇八万七六八二円の欠損金があつたから、本件債務免除に係る二五九六万五二〇七円は、全額右欠損金に充当すべきものである。したがつて、昭和四〇年度更正のうち本件債務免除に係る金額を所得の計算上益金としてした部分は無効である。(二) 法人税法第五九条に規定する欠損金の損金算入を懈怠した点について昭和四〇年度更正のうち、法人税法第五九条、同法施行令第一一七条、第一一八条(昭和四三年政令第九六号による改正前のもの。以下同じ。)の各規定に基づく欠損金の損金算入をしないでした部分は無効である。すなわち、前記のとおり、Eが倒産し、その資産整理のためメーコー工業を含む債権者集会がもたれ、その協議の結果、メーコー工業は昭和四〇年一二月一五日Eに対し本件債務免除をした。しかして、右債権者集会によるEの資産整理は、法人税法施行令第一一七条第四号にいう「前三号に掲げる事実に準ずる事実」に該当し、また、本件債務免除に係る債権は、Eが整理を開始した以前の原因に基づき発生したものである。前記のとおり、Eは、昭和三九年度において合計二八〇八万七六八二円の欠損金を有するところ、Eには同法施行令第一一八条各号の規定に基づき控除されるべき金額はなく、したがつて、被告は両法第五九条の規定により、Eの昭和四〇年度の所得金額の計算上、右欠損金額のうち本件債務免除に係る金額に相当する金額を損金に算入すべきであるのに、これをしていない。もつとも、Eは、昭和四〇年度の確定申告書に同法第五九条第二項所定の書類の添付をしていなかつたけれども、当初、錯誤により、本件債務免除はEが残債務の弁済を完了した時点で効力を生ずると考えていたの 。もつとも、Eは、昭和四〇年度の確定申告書に同法第五九条第二項所定の書類の添付をしていなかつたけれども、当初、錯誤により、本件債務免除はEが残債務の弁済を完了した時点で効力を生ずると考えていたのであり、また、被告は、Eが被告に提出した法人事業税概況説明書及び被告係官の同社に対する実地調査により、同社が当時倒産し、任意整理を続行中であつて、本件債務免除が右整理の一環としてされたものであることを知悉していたのであるから、確定申告書に前記書類の添付がなかつたとしても、同条第三項の「その記載又は書類の添付がなかつたことについてやむを得ない事情がある」と認められる場合に当たり、被告は同条第一項を適用すべきであつた。 は、Eが被告に提出した法人事業税概況説明書及び被告係官の同社に対する実地調査により、同社が当時倒産し、任意整理を続行中であつて、本件債務免除が右整理の一環としてされたものであることを知悉していたのであるから、確定申告書に前記書類の添付がなかつたとしても、同条第三項の「その記載又は書類の添付がなかつたことについてやむを得ない事情がある」と認められる場合に当たり、被告は同条第一項を適用すべきであつた。(三) 公平課税の原則等に違反する点について被告は、本件債務免除がEの資産整理に伴つてされたものであることを知悉しながら、Eの青色申告の承認を取り消したうえ、あえて、本件債務免除に係る金額をEの所得として昭和四〇年度更正をしたものであつて、これは、会社債権者の犠牲において会社の欠損金を填補し、会社の更正をはかろうとしたら、かえつて会社が課税されることになるという不当な結果を招く処分であり、公平課税・公平負担の原則に反しているばかりでなく、信義誠実の原則に反し、権利の濫用である。したがつて、昭和四〇年度更正のうち、本件債務免除に係る金額を所得の計算上益金としてした部分は、無効である。4 法人税法第五七条に規定する繰越欠損金の損金算入を懈怠した点について昭和四〇年度更正のうち、法人税法第五七条(昭和四三年法律第二二号による改正前のもの。以下同じ。)の規定に基づく繰越欠損金の損金算入をしないでした部分は無効である。すなわち、前記のとおり、Eは、昭和三九年度において、前事業年度の控除未済欠損金一二〇七万三二四九円、当期欠損金一六〇一万 同じ。)の規定に基づく繰越欠損金の損金算入をしないでした部分は無効である。すなわち、前記のとおり、Eは、昭和三九年度において、前事業年度の控除未済欠損金一二〇七万三二四九円、当期欠損金一六〇一万四四三三円を有していたのであるが、右各欠損金の生じた昭和三九年度及びその前事業年度において青色申告書である確定申告書を提出しており、また、本件取消処分により、昭和四〇年度においても青色申告の承認を受けていたものとして、青色申告書である確定申告書を提出していたことになる。したがつて、被告は、法人税法第五七条の規定により、Eの昭和四〇年度の所得金額の計算上右各欠損金額合計二八〇八万七六八二円に相当する金額を損金に算入すべきであるのに、これをしていない。三よつて、本件各更正及び本件各決定の無効確認を求める。 確定申告書を提出しており、また、本件取消処分により、昭和四〇年度においても青色申告の承認を受けていたものとして、青色申告書である確定申告書を提出していたことになる。したがつて、被告は、法人税法第五七条の規定により、Eの昭和四〇年度の所得金額の計算上右各欠損金額合計二八〇八万七六八二円に相当する金額を損金に算入すべきであるのに、これをしていない。三よつて、本件各更正及び本件各決定の無効確認を求める。第三請求の原因に対する被告の認否及び主張一請求の原因に対する被告の認否請求原因一の事実は認める。請求原因二の1の事実のうち、被告が原告主張の日に本件取消処分をしたこと、本件各更正に係る更正通知書に理由の附記がないことは認めるが、その余の点は争う。同二の2の事実のうち、被告が本件係争各年度において原告主張の各金額をEの所得と認定して本件各更正をしたことは認めるが、その余の点は否認する。同二の3の(一)の事実のうち、メーコー工業がEに対し本件債務免除をしたこと、被告が、Eの昭和四〇年度の所得金額の計算上本件債務免除に係る金額を益金として昭和四〇年度更正をしたこと、昭和三九年度においてEに原告主張の欠損金が存したことは認めるが、その余の点は争う。同3の(二)の事実のうち、メーコー工業がEに対し本件債務免除をしたこと、Eは昭和三九年度において原告主張の欠損金を有していたこと、Eの確定申告書に法人税法第五九条第二項の書類の添付のないこと、被告 同3の(二)の事実のうち、メーコー工業がEに対し本件債務免除をしたこと、Eは昭和三九年度において原告主張の欠損金を有していたこと、Eの確定申告書に法人税法第五九条第二項の書類の添付のないこと、被告は昭和四〇年度更正において、本件債務免除に係る金額を損金に算入していないことは認めるが、その余の点は争う。同3の(三)の事実のうち、本件債務免除が資産整理に伴つてされたことは知らない。その余の点は争う。同二の4の事実のうち、Eは昭和三九年度において原告主張の欠損金を有していたこと、昭和三九年度及びその前事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していたこと、被告は昭和四〇年度更正において繰越欠損金の損金算入をしていないことは認めるが、その余の点は争う。二被告の主張 1 請求原因二1について本件各更正に係る更正通知書に更正の理由附記がないからといつて、本件各更正に重大かつ明白な瑕疵があるということはできず、右のような瑕疵は、せいぜい取消事由になるにすぎない。 ていたこと、昭和三九年度及びその前事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していたこと、被告は昭和四〇年度更正において繰越欠損金の損金算入をしていないことは認めるが、その余の点は争う。二被告の主張 1 請求原因二1について本件各更正に係る更正通知書に更正の理由附記がないからといつて、本件各更正に重大かつ明白な瑕疵があるということはできず、右のような瑕疵は、せいぜい取消事由になるにすぎない。2 請求原因二2について被告がEの本件係争各年度の所得と認定した前記各所得は、被告係官の行つたEに対する調査に際し同社が提出した収支明細表により算出されたものである。また、合併前の原告が被告に提出した昭和四一年八月一日から昭和四二年七月三一日までの事業年度の確定申告書に添付された貸借対照表には、借方貸付金一〇〇万円、貸方資本金一〇〇万円と記載されているのみで、営業活動が行われている場合通常生ずる売掛金・買掛金の記載は一切なく、損益計算書も添付されていない。そればかりでなく同申告書一表備考欄には「営業活動なし」と記載されている。これに対し、Eの本件係争各年度の各確定申告書には、貸借対照表及び損益計算書の添付があり、右貸借対照表には売掛金・買掛金の記載があり、損益計算書には売上金 備考欄には「営業活動なし」と記載されている。これに対し、Eの本件係争各年度の各確定申告書には、貸借対照表及び損益計算書の添付があり、右貸借対照表には売掛金・買掛金の記載があり、損益計算書には売上金の計上がされている。以上の事実によつてみれば、本件係争各年度において、Eが営業活動を行い、前記各所得を生じたことは明らかである。3 請求原因二3の(一)について企業会計の理論では、企業自体の稼得利益とそれ以外の贈与等の実体的資本の増減による利益とを駿別し、後者によるものを広く資本取引によるものとして当該事業年度の収益とみない立場をとつているが、これに対し、法人税法は、資本取引の概念を資本主と企業間の取引にのみ限定している(同法第二二条第四項(昭和四二年法律第二一号による改正前のもの。以下同じ。))のであつて、本件債務免除が法人税法第二二条第二項及び第四項の解釈上資本取引によるものでないことは明らかであり、Eの所得金額の計算上これを益金としてされた昭和四〇年度更正に瑕疵はない。4 請求原因二4について被告が法人税法第五七条を適用して繰越欠損金の損金算入をしなかつたのは、昭和四〇年度更正時において、Eは前記のとおり青色承認を取り消されており、白色申告者であつたからである。 のもの。以下同じ。))のであつて、本件債務免除が法人税法第二二条第二項及び第四項の解釈上資本取引によるものでないことは明らかであり、Eの所得金額の計算上これを益金としてされた昭和四〇年度更正に瑕疵はない。4 請求原因二4について被告が法人税法第五七条を適用して繰越欠損金の損金算入をしなかつたのは、昭和四〇年度更正時において、Eは前記のとおり青色承認を取り消されており、白色申告者であつたからである。したがつて、後になつて原告が、本件取消処分の結果青色申告の承認を受けている者と同様の地位に復帰したことになつても、右更正にその処分の成立の当初から外形上、客観的に重大かつ明白な瑕疵があつたということはできない(最高裁昭和三六年三月七日判決・民集一五巻三号三八一頁参照)から、昭和四〇年度更正が同条による繰越欠損金の損金算入がされていないという点で瑕疵を帯びることになつても、右瑕疵は重大かつ明白な瑕疵ということはできない。第四証拠関係(省略)○ 理由一、請求原因一の事 〇年度更正が同条による繰越欠損金の損金算入がされていないという点で瑕疵を帯びることになつても、右瑕疵は重大かつ明白な瑕疵ということはできない。第四証拠関係(省略)○ 理由一、請求原因一の事実(本件各処分の経緯等)は、当事者間に争いがない。二、そこで、本件各処分に原告主張の無効事由が存するか否かについて判断する。1 理由附記の欠如について被告が昭和四九年九月六日本件取消処分をしたこと、本件各更正に係る更正通知書に更正の理由が附記されていないことは、当事者間に争いがない。ところで、法人税法第一三〇条第二項によれば、税務署長は青色申告書に係る法人税の課税標準等について更正をする場合には、その更正通知書に更正の理由を附記しなければならないとされているところ、Eは、本件取消処分がされたことにより、本件係争各年度においては、青色申告の承認を受けた者として青色申告書により確定申告をしていたことになるから、本件各更正は、更正通知書に更正の理由附記を欠く瑕疵があるといわなければならない。しかしながら、更正通知書に更正の理由附記を欠いても、かかる瑕疵は、処分を無効ならしめる重大な瑕疵ということはできず、単に取消事由となるにすぎないというべきである。したがつて、原告の右主張は理由がない。2 所得の帰属の誤認の有無について被告が、昭和四〇年度においては本件債務免除に係る金額の他に三五一万七七三九円を、昭和四一年度においては一七六万七一四〇円をそれぞれEの所得と認定して本件各更正をしたことは、当事者間に争いがない。 正の理由附記を欠いても、かかる瑕疵は、処分を無効ならしめる重大な瑕疵ということはできず、単に取消事由となるにすぎないというべきである。したがつて、原告の右主張は理由がない。2 所得の帰属の誤認の有無について被告が、昭和四〇年度においては本件債務免除に係る金額の他に三五一万七七三九円を、昭和四一年度においては一七六万七一四〇円をそれぞれEの所得と認定して本件各更正をしたことは、当事者間に争いがない。原告は、Eは昭和四〇年一月下旬頃倒産し、本件係争各年度においては実質的な営業活動は行つておらず、営業活動の主体は原告であつたから、被告の更正に係る右各所得は原告に帰属するものであつて、Eに帰属するものではないと主張する。証人A、同Bは原 件係争各年度においては実質的な営業活動は行つておらず、営業活動の主体は原告であつたから、被告の更正に係る右各所得は原告に帰属するものであつて、Eに帰属するものではないと主張する。証人A、同Bは原告の主張にそう供述をしており、成立に争いのない甲イ第八号証の五、六、八、証人Aの証言により真正に成立したと認める甲イ第八号証の一、二、七、九、一〇には原告の主張にそう記載がみられるけれども、これらの証拠は、次に認定する事実に照らし、とうてい採用することができない。すなわち、成立に争いのない甲イ第一号証の一、二、第三号証、第四号証の一ないし四、第五号証、第六号証の一ないし三、乙第四号証の一ないし六、第五号証の一ないし五、第六号証の一、二に証人A、同B、同C、同Dの各証言を合わせると、Eは、取引先の倒産により資金繰りが悪化し、昭和四〇年二月倒産したが、直ちに原告が設立されたこと、原告とEとは営業目的を同じくし、本店を同一場所に置き、実質上同一人が経営する同族会社で、原告は、いわゆるEの第二会社であつたこと、したがつてE倒産後の営業の主体がEであるか原告であるかは必ずしも判然としていなかつたこと、Eは、被告に対し、昭和四一年一〇月一一日昭和四〇年度の確定申告書(甲イ第三号証)を、昭和四二年九月三〇日昭和四一年度の確定申告書(乙第四号証の一、二)をそれぞれ提出しているが、右各申告書には各年度の貸借対照表(乙第四号証の四)及び損益計算書(乙第四号証の五)が添付されており、右各貸借対照表には売掛金及び買掛金が計上され、右各損益計算書には売上金額や売上原価が計上されていること、他方、原告が被告に最初に確定申告書を提出したのは、昭和四一年八月一日から昭和四二年七月三一日までの事業年度についてであるが、同確定申告書(乙第六号証の一)備考欄には「当期営業活動なし しているが、右各申告書には各年度の貸借対照表(乙第四号証の四)及び損益計算書(乙第四号証の五)が添付されており、右各貸借対照表には売掛金及び買掛金が計上され、右各損益計算書には売上金額や売上原価が計上されていること、他方、原告が被告に最初に確定申告書を提出したのは、昭和四一年八月一日から昭和四二年七月三一日までの事業年度についてであるが、同確定申告書(乙第六号証の一)備考欄には「当期営業活動なし れていること、他方、原告が被告に最初に確定申告書を提出したのは、昭和四一年八月一日から昭和四二年七月三一日までの事業年度についてであるが、同確定申告書(乙第六号証の一)備考欄には「当期営業活動なし」と明記され、かつ添付の貸借対照表(同号証の二)には、借方に貸付金一〇〇万円、貸方に資本金一〇〇万円がそれぞれ計上されているのみで、売掛金及び買掛金の記載はなく、損益計算書は添付されていないこと、被告の更正に係る前記各所得金額は、被告が昭和四二年一二月からEに対し行つた法人税調査に際し、Eから提出された収支明細表等に基、ついて算出したものであること。以上の事実が認められるから、Eが営業活動をしていなかつたということはできない。もつとも、前認定の確定申告書が被告に対し提出された経緯について、証人A、同Bは、被告係官が法人税調査のため臨店した際に、E及び原告の経理責任者であつたAに対し、原告の所得に関し、E名義でも原告名義でもどちらでも都合のよい方で確定申告をしてもらえばよいという示唆があつたので、当時多額の欠損金をかかえていたE名義で申告をするのが有利であると考え、E名義を便宜的に使用して申告したものであるという趣旨の供述をしているけれども、右各供述部分は、被告係官によつてEに対する臨店調査が開始された昭和四二年一二月以前に、既にEから確定申告がされている事実に照らし採用できない。他に原告主張事実を肯認するに足る証拠はないから、本件各更正のうち、被告が前記各所得をEの所得と認定してした部分に、原告主張の瑕疵はないといわなければならない。3 債務免除に係る金額について(一) 債務免除に係る金額の益金性の有無についてメーコー工業が昭和四〇年一二月一五日Eに対し本件債務免除をしたこと、被告がEの昭和四〇年度の所得金額の計算上本件債務免除に係る 除に係る金額について(一) 債務免除に係る金額の益金性の有無についてメーコー工業が昭和四〇年一二月一五日Eに対し本件債務免除をしたこと、被告がEの昭和四〇年度の所得金額の計算上本件債務免除に係る金額を益金として昭和四〇年度更正をしたことは、当事者間に争いがない。 無についてメーコー工業が昭和四〇年一二月一五日Eに対し本件債務免除をしたこと、被告がEの昭和四〇年度の所得金額の計算上本件債務免除に係る 除に係る金額について(一) 債務免除に係る金額の益金性の有無についてメーコー工業が昭和四〇年一二月一五日Eに対し本件債務免除をしたこと、被告がEの昭和四〇年度の所得金額の計算上本件債務免除に係る金額を益金として昭和四〇年度更正をしたことは、当事者間に争いがない。原告は、本件債務免除はEの負債の減少、欠損金の填補のため債権者集会の協議を経てされたもので、資本の減少に準ずるものであるから、本件債務免除に係る金額はEの昭和四〇年度所得金額の計算上益金に計上すべきでないと主張する。しかしながら、債務免除は、その動機ないし目的のいかんを問わず、法人税法第二二条第四項にいう資本等の金額の増加又は減少を生ずる取引に該当しないことは、明らかであるというべきである。また、一般に公正妥当と認められる会計処理の規準を要約したものと考えられる企業会計原則は、企業本来の活動に基づく利益以外の財産の増加は、これを広く資本とみる立場から、資本補填を目的とする債務免除益を資本剰余金に区分しているけれども、元来、法人税法においてはこのような資本剰余金は資本等の金額に含まれない(同法第二条第一六号、第一七号)のであるから、債務免除が同法第二二条第四項の「資本等取引」に当たることはない。したがつて、本件債務免除に係る金額は、Eの昭和四〇年度の収益として所得金額の計算上益金に計上するのが相当であるから、この点に関する原告の主張は理由がない。(二) 公平課税の原則等違反の点について原告は、被告が昭和四〇年度更正において、本件債務免除に係る金額を益金に計上したことをもつて公平課税の原則等に反すると主張するけれども、独自の見解であつて、とうてい採用することはできない。4 繰越欠損金の損金算入について原告は、被告のした昭和四〇年度更正には、法人税法第五七条に基づく繰越欠損 税の原則等に反すると主張するけれども、独自の見解であつて、とうてい採用することはできない。4 繰越欠損金の損金算入について原告は、被告のした昭和四〇年度更正には、法人税法第五七条に基づく繰越欠損金の損金算入がされておらず、したがつて、右更正のうち、原告の同年度の所得金額から同条に基づく繰越欠損金額を控除した金額をこえる部分は無効であると主張する。 四〇年度更正には、法人税法第五七条に基づく繰越欠損 税の原則等に反すると主張するけれども、独自の見解であつて、とうてい採用することはできない。4 繰越欠損金の損金算入について原告は、被告のした昭和四〇年度更正には、法人税法第五七条に基づく繰越欠損金の損金算入がされておらず、したがつて、右更正のうち、原告の同年度の所得金額から同条に基づく繰越欠損金額を控除した金額をこえる部分は無効であると主張する。Eの昭和三九年度において、前事業年度の控除未済欠損金一二〇七万三二四九円、当期欠損金一六〇一万四四三三円の各欠損金が存したこと、Eは右各欠損金の生じた事業年度である昭和三九年度及びその前事業年度について青色申告書である確定申告書を提出していることは、当事者間に争いがない。また、被告が昭和四九年九月六日本件取消処分をしたことは前記のとおりであるから、原告は昭和四〇年度についても青色申告の承認を受けたものとして、被告に対し、青色申告書である確定申告書を提出していたことになるというべきである。そうすると、前記各欠損金合計二八〇八万七六八二円に相当する金額は、法人税法第五七条第一項の規定によりEの昭和四〇年度の所得金額の計算上損金の額に算入しなければならないものというべきところ、被告が、昭和四〇年度においてEは青色申告者でなかつたことを理由に、右繰越欠損金の損金算入を認めなかつたことは当事者間に争いがない。したがつて、昭和四〇年度更正のうち、原告の同年度の所得金額から右各欠損金合計額を控除した一三九万五二六四円をこえる部分は、所得金額を過大に認定した瑕疵があるというべきであり、しかも、右瑕疵は重大であると解するのが相当である。ところで、青色申告の承認が取り消されたことを前提として更正が行われ、その後右青色申告の承認の取消しに堰疵があるとして課税庁が右処分を取り消したため、更正に重大な瑕疵が生じ と解するのが相当である。ところで、青色申告の承認が取り消されたことを前提として更正が行われ、その後右青色申告の承認の取消しに堰疵があるとして課税庁が右処分を取り消したため、更正に重大な瑕疵が生じた場合において、その瑕疵が明白かどうかは、更正に瑕疵が生じた時点、すなわち青色申告の承認の取消しが取り消された時点において判断するのが相当である。けだし、この場合において、更正の瑕疵は後発的に生じたものであるから、更正時においてその瑕疵が明白であつたかどうかを論ずることは意味のないことであるし、また、もし、被告の主張するように、瑕疵の明白性は常に処分時を基準に判断するものとすると、右のような場合においては、瑕疵の明白性は常に否定され、かくては、更正に対する取消訴訟の出訴期間経過後において青色申告の承認の取消しの取消処分が行われ、その結果更正が重大な瑕疵を帯びることとなつても、被処分者は救済を受けえないという不当な結果を招来するからである。 つたかどうかを論ずることは意味のないことであるし、また、もし、被告の主張するように、瑕疵の明白性は常に処分時を基準に判断するものとすると、右のような場合においては、瑕疵の明白性は常に否定され、かくては、更正に対する取消訴訟の出訴期間経過後において青色申告の承認の取消しの取消処分が行われ、その結果更正が重大な瑕疵を帯びることとなつても、被処分者は救済を受けえないという不当な結果を招来するからである。被告の引用する判例は、事業を異にするものであるから、本件には適切でない。これを本件についてみると、前掲甲イ第三号証、第五号証によれば、Eが被告に提出した昭和三九年度及び昭和四〇年度の各確定申告書添付の明細書には前記欠損金の記載がされていることが認められ、昭和三九年度及びその前事業年度についてEが青色申告書である確定申告書を提出していたことは当事者間に争いがないから、本件取消処分の存在によりEが昭和四〇年度においても青色申告書である確定申告書を提出したこととなれば、法人税法第五七条の規定により前記欠損金の損金算入を認めなければならない案件であることは、あえて課税庁の認定判断をまつまでもなく、何びとにも客観的に明らかであつたといわなければならない。そうすると、昭和四〇年度更正のうち、課税標準一三九万五二六四円を めなければならない案件であることは、あえて課税庁の認定判断をまつまでもなく、何びとにも客観的に明らかであつたといわなければならない。そうすると、昭和四〇年度更正のうち、課税標準一三九万五二六四円をこえる部分は無効であり、したがつて、右更正に附随してされた無申告加算税賦課決定のうち右更正の無効部分に対応する部分も無効である。5 そして、昭和四〇年度更正及び無申告加算税賦課決定のうち、右判示の無効部分を除くその余の部分については、原告の請求原因二3の(二)の点について判断するまでもなく、原告主張の瑕疵は存在しないというべきであり、昭和四一年度更正及び過少申告加算税賦課決定に原告主張の瑕疵が存在しないことは、既に判示したところから明らかである。三以上によれば、原告の本件請求は、昭和四〇年度更正及び無申告加算税賦課決定のうち、法人税の課税標準一三九万五二六四円をこえる部分の無効確認を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条を適用して主文のとおり判決する。 過少申告加算税賦課決定に原告主張の瑕疵が存在しないことは、既に判示したところから明らかである。三以上によれば、原告の本件請求は、昭和四〇年度更正及び無申告加算税賦課決定のうち、法人税の課税標準一三九万五二六四円をこえる部分の無効確認を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条を適用して主文のとおり判決する。(裁判官杉山克彦時岡泰青柳馨)(別表省略)
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