主文 1 原告Aの被告門真税務署長に対する訴え中,平成6年分贈与税に係る更正のうち課税価格4681万4550円,納付すべき税額2413万9100円を超える部分,過少申告加算税賦課決定のうち352万7000円を超える部分の各取消しを求める部分を却下する。 2 原告Bの被告吹田税務署長に対する訴え中,平成6年分贈与税に係る更正のうち課税価格1億3397万6142円,納付すべき税額8246万3200円を超える部分,過少申告加算税賦課決定のうち1224万6500円を超える部分の各取消しを求める部分を却下する。 3 被告門真税務署長が,原告Aの平成6年分の贈与税について平成9年6月13日付けでした更正(ただし,被告国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)のうち,課税価格2835万4000円,納付すべき税額1275万2400円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定(ただし,被告国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)のうち182万円を超える部分を取り消す。 4 被告吹田税務署長が,原告Bの平成6年分の贈与税について平成9年6月13日付けでした更正(ただし,被告国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)のうち,課税価格7859万4492円,納付すべき税額4479万6100円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定(ただし,被告国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)のうち658万8500円を超える部分を取り消す。 5 原告Aの被告門真税務署長に対するその余の請求,原告Bの被告吹田税務署長に対するその余の請求及び原告らの被告国税不服審判所長に対する請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,以下の通りとする。 (1) 原告Aに生じた費用の25分の12と被告門真税務署長に生じた費用の その余の請求及び原告らの被告国税不服審判所長に対する請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,以下の通りとする。 (1) 原告Aに生じた費用の25分の12と被告門真税務署長に生じた費用の5分の3を原告Aの負担とし,原告Aに生じた費用の25分の8と被告門真税務署長に生じた費用の5分の2を被告門真税務署長の負担とする。 (2) 原告Bに生じた費用の25分の12と被告吹田税務署長に生じた費用の5分の3を原告Bの負担とし,原告Bに生じた費用の25分の8と被告吹田税務署長に生じた費用の5分の2を被告吹田税務署長の負担とする。 (3) 原告Aに生じた費用の5分の1と被告国税不服審判所長に生じた費用を原告Aの負担とする。 (4) 原告Bに生じた費用の5分の1と被告国税不服審判所長に生じた費用を原告Bの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主位的請求(1) 被告門真税務署長が,原告Aの平成6年分の贈与税について平成9年6月13日付けでした更正のうち,課税価格360万4000円,納付すべき税額45万1000円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。 (2) 被告吹田税務署長が,原告Bの平成6年分の贈与税について平成9年6月13日付けでした更正のうち,課税価格434万4492円,納付すべき税額64万8200円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。 (3) 被告国税不服審判所長が平成11年10月18日付けでした,大裁(諸)平11第25号の「更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分は,いずれもその一部を取り消す」旨の裁決を取り消す。 2 予備的請求(1) 被告門真税務署長が,原告Aの平成6年分の贈与税について平成9年6月13日付 分及び過少申告加算税の賦課決定処分は,いずれもその一部を取り消す」旨の裁決を取り消す。 2 予備的請求(1) 被告門真税務署長が,原告Aの平成6年分の贈与税について平成9年6月13日付けでした更正のうち,課税価格1585万4000円,納付すべき税額573万9700円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。 (2) 被告吹田税務署長が,原告Bの平成6年分の贈与税について平成9年6月13日付けでした更正のうち,課税価格4109万4492円,納付すべき税額2042万1100円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。 (3) 主位的請求(3)と同じ第2 事案の概要本件は,原告らの平成6年分の贈与税について,被告門真税務署長(原告Aについて)及び被告吹田税務署長(原告Bについて)がした更正(以下「本件各更正」という。)及び過少申告加算税賦課決定(以下「本件各賦課決定」といい,本件各更正とあわせて,「本件各更正等」という。)の各取消しと,本件各更正等を不服とする審査請求に対して被告国税不服審判所長がした裁決(以下「本件裁決」という。)の取消しを求めた事案である。 1 前提となる事実等(当事者間(一部当事者間を含む。)に争いのない事実を含む。)(1) 法令の定めア相続税法の定め相続税法22条は,贈与により取得した財産の価額については,原則として,当該財産の取得の時における時価により評価すべき旨定めている。 イ財産評価基本通達の定め(ア) 相続税等に係る財産の評価については,財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56,直審(資)17国税庁長官通達(平成7年6月27日付け課評2-6による改正前のもの。以下「評価基本通達」という。) 税等に係る財産の評価については,財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56,直審(資)17国税庁長官通達(平成7年6月27日付け課評2-6による改正前のもの。以下「評価基本通達」という。)が定められている。 (イ) 評価基本通達において,「時価」とは,贈与により財産を取得した日等の課税時期において,それぞれの財産の現況に応じ,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい,その価額は,評価基本通達の定めによって評価した価額によるとされている(評価基本通達1(2))が,評価基本通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は,国税庁長官の指示を受けて評価するとされている(評価基本通達6)。 (ウ)a 評価基本通達において,有限会社に対する出資の価額は,評価基本通達178(取引相場のない株式の評価上の区分)から193までの株式の価額の評価の定めに準じて評価すべき旨定められている(評価基本通達194)。 b しかるところ,取引相場のない株式の評価は,評価しようとするその株式の発行会社(以下「評価会社」という。)が大会社,中会社又は小会社のいずれに該当するかに応じて評価すべきものとされ(評価基本通達178本文),原則として,大会社については類似業種比準価額,中会社については類似業種比準価額と1株当たりの純資産価額の併用,小会社については1株当たりの純資産価額によるべきものとされている(評価基本通達179)。 そして,この場合の1株当たりの純資産価額は,課税時期における各資産を評価基本通達に定めるところにより評価した価額の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額及び評価基本通達186-2により計算した評価差 の場合の1株当たりの純資産価額は,課税時期における各資産を評価基本通達に定めるところにより評価した価額の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額及び評価基本通達186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除した金額を課税時期における発行済株式数で除して計算した金額とするとされている(評価基本通達185本文)。ただし,この1株当たりの純資産価額について,株式の取得者とその同族関係者(法人税法施行令4条に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。)の有する株式の合計数が評価会社の発行済株式数の50パーセント未満である場合においては,上記により計算した1株当たりの純資産価額に100分の80を乗じて計算した金額とするとされている(評価基本通達185ただし書)。 c もっとも,同族株主以外の株主等が取得した株式の価額は,評価基本通達188の定めによって評価するとされている(評価基本通達178ただし書)。 そして,評価基本通達188(1)は,同族株主のいる会社の株主のうち,同族株主以外の株主の取得した株式の価額は,評価基本通達188-2の定めによるとするところ,評価基本通達188-2は,この場合の株式の価額は,その株式に係る年配当金額(ただし,同金額が2円50銭未満のもの及び無配のものにあっては2円50銭とする。)を基として,次の算式により計算した金額によって評価するとしている(配当還元方式)。 (算式)その株式に係る年配当金額 × その株式の1株当たりの資本金の額10% 50円なお,上記の場合 額 × その株式の1株当たりの資本金の額10% 50円なお,上記の場合における同族株主とは,課税時期における評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者の有する株式の合計数がその会社の発行済株式数の30パーセント(その評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者の有する株式の合計数が最も多いグループの有する株式の合計数が,その会社の発行済株式数の50パーセント以上である会社にあっては,50パーセント)以上である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう(評価基本通達188(1))。 (2) 有限会社シティ・アイランド開発の設立と出資の経緯等ア平成2年7月24日,不動産の売買,賃貸及び管理等を目的とする株式会社大志(以下「大志」という。なお,大志は,平成8年7月4日に株式会社大地と商号を変更している。)が設立された。大志の発起人中には,C,Cの妻のD及び原告Bも含まれており,設立に際し,各1株ずつ大志の株式を引き受けている。なお,大志の当初の本店所在地は,CやD,原告Bの住所地と同じであった。大志の代表者にはEが就いた。 (乙8号証,11号証,12号証)イ平成3年5月15日,大志が510口,Fが490口を出資して,不動産の賃貸及び管理業務等を目的とする有限会社シティ・アイランド開発(以下「シティ・アイランド開発」という。)が設立された。シティ・アイランド開発の代表者にはEが就いた。シティ・アイランド開発の設立の際の出資1口の引受金額は100万円とされ,出資1口について1万円を超える引受金額は資本準備金とすることとされた。その結果,シティ・アイランド開発の設立 にはEが就いた。シティ・アイランド開発の設立の際の出資1口の引受金額は100万円とされ,出資1口について1万円を超える引受金額は資本準備金とすることとされた。その結果,シティ・アイランド開発の設立時の資本金は1000万円であった。 (甲74号証,乙7号証,8号証)ウ 「有限会社シティ・アイランド開発概要」と題する書面(以下「会社概要」という。)には,シティ・アイランド開発に関し,以下の記載がある。 (ア) 事業目的不動産の賃貸及び管理業務有価証券に関する投資及び運用業務(イ) 資本資本金 1000万円自己資本 10億円(ウ) 出資について現在大志(代表取締役E)が51パーセントの出資を行っています。今後できる限り多くの出資をして頂ける方を募集し,事業の拡大を図っていきたいと考えておりますが,出資して頂いた皆様に安心をして頂けますよう大志(代表取締役E)においても増資を行い,最大株主は大志であること(出資金のうち最低30パーセントは大志で所有します。),日常の業務,会社運営には,Eが責任を持って当たることをお約束致します。 (乙9号証)エまた,シティ・アイランド開発(代表取締役E)とEの連名による平成3年8月付けの「事業拡大に伴う出資の御依頼」と題する書面には,シティ・アイランド開発に関し,以下の記載がある。 すなわち,シティ・アイランド開発が行おうとする事業は,土地を賃貸している地主より比較的低価で土地(底地)を買い取り,その後,借地人と立ち退き,又は買取りの交渉を行い,底地の整理を行うものであり,このことにより地域における再開発を行い,社会的貢献をなす。地主から ている地主より比較的低価で土地(底地)を買い取り,その後,借地人と立ち退き,又は買取りの交渉を行い,底地の整理を行うものであり,このことにより地域における再開発を行い,社会的貢献をなす。地主からの底地の購入資金は,借入でなく出資で調達した資金により購入するので金利負担はない。そのために早急に底地を整理する必要はないので,借地人との話し合いは長時間かけて行うことができ,決して地上げ屋のように荒っぽいことや,違法なことをする必要もなく解決することができる。借地人との交渉は時間をかけることを前提に,具体的には以下のようなスケジュールで実行している。 (ア) 底地購入後,1年間は買取り交渉,立ち退き交渉は一切行わず,地代の集金にだけ回り,人間関係の形成を行う。 (イ) その後2,3年をかけてじっくりと買取り交渉,立ち退き交渉を行うが,決して荒っぽいこと,違法なことはしない。 (ウ) それだけの時間をかけて,借地人にとっても有利なことであることを説明しても,どうしても買取りや立ち退きに応じられない借地人に対しては,底地の整理はできないものとあきらめ,たとえ購入価額よりも下回った価額でしか売却できないものであっても,処分(売却)してしまう。 (エ) 買取りか立ち退きに応じてもらえるのが7ないし8割,応じてもらえないのが2ないし3割を目途とし,それを前提に底地を購入する。 シティ・アイランド開発の利益は後から結果としてついてくるものであり,利益のみを目的としている地上げ屋とは理念が違うと共に,賃貸している土地の購入資金を借入金のような金利負担のかかる資金で調達するのではなく,出資により資金調達を予定しており,金利負担がかからないことが,ゆっくりと時間をかけ 地上げ屋とは理念が違うと共に,賃貸している土地の購入資金を借入金のような金利負担のかかる資金で調達するのではなく,出資により資金調達を予定しており,金利負担がかからないことが,ゆっくりと時間をかけることができる理由である。 上記事業の成否は,どれだけの資金を出資により集められるかにかかっているといえる。なお,事業が予定通りに行えたあかつきには,出資を頂いた貴兄には,多額の配当を行うことが出来るものと考えている。 (乙10号証)オシティ・アイランド開発は,平成3年9月4日に資本金を1700万円に,同月18日に資本金を3300万円に,平成4年12月16日に資本金を3600万円にそれぞれ増資した(以下,それぞれ「第1回増資」「第2回増資」「第3回増資」といい,これらをあわせて「本件各増資」という。)。 本件各増資に際しての出資持分に対する各出資者の払込金額は,1口当たり100万円であり,シティ・アイランド開発は,いずれも当該払込金額のうち1万円を資本金に組み入れ,その余の99万円を資本準備金に組み入れた。 本件各増資によるシティ・アイランド開発の出資及び資本金・資本準備金の異動と,出資者の内訳及び出資割合は,別表1「シティ・アイランド開発の出資状況等一覧表」記載のとおりである。 本件各増資を通じての大志の出資持分割合は,第1回増資後が30パーセント(1700口中510口),第2回増資後が30.6パーセント(3300口中1010口),第3回増資後が30.8パーセント(3600口中1110口)である。 (乙4号証ないし7号証)カシティ・アイランド開発は,設立時から平成8年2月29日までの各事業年度の間においては,シティ・ア ーセント(3600口中1110口)である。 (乙4号証ないし7号証)カシティ・アイランド開発は,設立時から平成8年2月29日までの各事業年度の間においては,シティ・アイランド開発の出資持分を有する者に対し,利益配当を行っていない。 (甲14号証)(3) Cのシティ・アイランド開発に対する出資と原告らへの贈与ア Cは,平成4年12月16日のシティ・アイランド開発の第3回増資の際,200口を引き受け,2億円を払い込んだ。シティ・アイランド開発は,この2億円についても,1口当たり1万円(合計200万円)を資本金に組み入れ,その余の1口当たり99万円(合計1億9800万円)は資本準備金に組み入れた。 (乙5号証)イ Cは,平成6年12月27日,シティ・アイランド開発の出資持分(以下「本件出資」という。)200口について,原告Aに50口,原告Bに150口それぞれ贈与した(以下「本件贈与」という。)。 (4) 原告らに係る平成6年贈与税の申告原告らは,平成6年中にCから本件贈与及び不動産の贈与を受けたことから,平成7年3月13日,被告門真税務署長に対し,以下のとおり,平成6年分の贈与税の申告をした(別表2「課税の経緯」中,当初申告欄記載のとおり。以下「本件申告」という。)。原告らは,本件贈与に係る本件出資については,評価基本通達194に基づき,本件基本通達188-2が定める配当還元方式により,1口当たり5000円として評価し,申告した。 ア原告A(ア) 本件出資50口1口当たり5000円で合計25万円(イ) 四条畷市α所在の土地(以下「四条畷の土地」という。)335万4000円(ウ) (ア) 本件出資50口1口当たり5000円で合計25万円(イ) 四条畷市α所在の土地(以下「四条畷の土地」という。)335万4000円(ウ) 合計360万4000円(エ) 納付すべき税額45万1000円イ原告B(ア) 本件出資150口1口当たり5000円で合計75万円(イ) 宝塚市β所在のマンション(以下「宝塚のマンション」という。)368万6124円(ウ) 合計443万6124円(エ) 納付すべき税額67万5800円ウ原告Bは,平成7年10月23日,宝塚のマンションについて,阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係の臨時特例に関する法律の規定により,359万4492円であるとした平成6年分の贈与税の訂正申告書を被告門真税務署長に提出した(別表2「課税の経緯」中,訂正申告欄記載のとおり。)。 なお,原告Bは,平成8年1月25日,四条畷市α17番30号から吹田市γ11番14-○○○○号に転居した。 (5) Cに対する税務調査平成9年1月24日午前9時ころ,大阪国税局の職員であるG実査官とH実査官(以下G実査官とあわせて,「G実査官ら」という。)の両名が,Cが本件出資を取得した経緯や本件出資を原告らに贈与した経緯等を聞き取るため,C宅を訪れ,Cに対する税務調査(以下「本件税務調査」という。)を行った。 Cは,医師であり,C宅と同一敷地内にI医院を開業しており,同日も午前中はI医院での診療があり,また,午後1時30分からは市の健康診断を行う予定となっていた。 なお,C宅の2階に Cは,医師であり,C宅と同一敷地内にI医院を開業しており,同日も午前中はI医院での診療があり,また,午後1時30分からは市の健康診断を行う予定となっていた。 なお,C宅の2階にはCの母のJが重篤な病気のため療養していた。Jは,同年2月1日死亡した。 (甲21号証,乙17号証,証人G)(6) 本件各更正等及びこれに対する原告らの不服申立ての経緯ア被告門真税務署長は,平成9年6月13日,原告Aに係る本件申告について,本件出資の評価に誤りがあり,本件出資については払込額と同額の1口当たり100万円として評価すべきであるとして,課税価格5335万4000円,納付すべき贈与税額2839万0100円とする更正(以下「本件Aに対する更正」という。)及び過少申告加算税416万4500円の賦課決定(以下「本件Aに対する賦課決定」という。)を行った(別表2「課税の経緯」中,更正処分等欄記載のとおり)。 (甲2号証)イ被告吹田税務署長は,平成9年6月13日,原告Bに係る本件申告について,本件出資の評価に誤りがあり,本件出資については払込額と同額の1口当たり100万円として評価すべきであるとして,課税価格1億5359万4492円,納付すべき贈与税額9619万5800円とする更正(以下「本件Bに対する更正」という。)及び過少申告加算税1429万8500円の賦課決定(以下「本件Bに対する賦課決定」という。)を行った(別表2「課税の経緯」中,更正処分等欄記載のとおり)。 (甲3号証)ウ原告らは,本件各更正等を不服として,平成9年7月14日,それぞれ大阪国税局長に対する異議申立てを行った(別表2「課税の経緯」中,異議申立て欄記載のとおり。)。 ( )ウ原告らは,本件各更正等を不服として,平成9年7月14日,それぞれ大阪国税局長に対する異議申立てを行った(別表2「課税の経緯」中,異議申立て欄記載のとおり。)。 (甲4号証の1及び2)エ大阪国税局長は,平成10年1月22日,原告らの各異議申立てをいずれも棄却する旨の異議決定(以下「本件異議決定」という。)をした(別表2「課税の経緯」中,異議決定欄記載のとおり。)。 本件異議決定において,大阪国税局長は,本件出資について,贈与税の負担の軽減を図る目的のみで一時的に保有し,その目的を達成すると出資額に見合う金銭を回収することができるというシティ・アイランド開発の出資は,法形式はともかくとして,経済的実質は預け金と同様なものであり,およそ評価基本通達188及び188-2において評価することを予定している株式(出資)には当たらず,また,評価基本通達上このような資産の評価方法については定められていないため,個別的に相続税法22条に規定する時価,すなわち客観的な交換価値により評価することとなるとした上,本件出資の本件贈与時における客観的な交換価値は贈与者の取得価額と同額の1口当たり100万円と評価することが相当である旨判断している。 (甲7号証の1及び2)オ原告らは,本件異議決定を不服として,平成10年2月23日,それぞれ被告国税不服審判所長に対する審査請求を行った(別表2「課税の経緯」中,審査請求欄記載のとおり。)。 (甲8号証)カ被告国税不服審判所長は,平成11年10月18日,本件各更正等を一部取り消す旨の本件裁決をした(別表2「課税の経緯」中,裁決欄記載のとおり。なお,本件Bに対する賦課決定に係る裁決について,同別表の裁 被告国税不服審判所長は,平成11年10月18日,本件各更正等を一部取り消す旨の本件裁決をした(別表2「課税の経緯」中,裁決欄記載のとおり。なお,本件Bに対する賦課決定に係る裁決について,同別表の裁決欄では過少申告加算税の額が1223万9000円との記載となっているが,証拠(甲14号証)によれば,被告国税審判所長は,過少申告加算税の額を1224万6500円とする裁決をしていることが認められる。)。 本件裁決において,被告国税不服審判所長は,本件出資は,評価基本通達188-2において評価することを予定している出資に当たるということはできず,配当還元方式によることは不相当であるから同方式は採り得ないとし,本件出資の本質が原告らに単なる本件出資による配当を期待させるというよりは,むしろ,実質的には出資者としての地位を有している間は本件出資を通じて原告らに会社資産の支配をさせる実質を有するものと解すべきであるから,本件出資の価額はシティ・アイランド開発の課税時期現在における純資産価額を基とした純資産方式によって評価することが相当であると判断し,また,本件異議決定が本件出資が実質的には預け金と同様であるとした点については,本件出資が預け金ではないことは明らかであるとして,これを排斥した。 本件裁決は,上記観点から本件出資の評価額を算定し,別表3「シティ・アイランド開発の出資の評価明細表」記載のとおり,本件贈与時における本件出資1口当たりの評価額(純資産額)は86万9211円となるとした。 その結果,本件裁決は,原告Aの平成6年分贈与税について,課税価格4681万4550円,納付すべき贈与税額2413万9100円となり,過少申告加算税の額は352万7000円となるとして,本件Aに対する更正及び本件Aに対 ,原告Aの平成6年分贈与税について,課税価格4681万4550円,納付すべき贈与税額2413万9100円となり,過少申告加算税の額は352万7000円となるとして,本件Aに対する更正及び本件Aに対する賦課決定中,上記金額を超える部分を取り消した。また,本件裁決は,原告Bの平成6年分贈与税についても,課税価格1億3397万6142円,納付すべき贈与税額8246万3200円となり,過少申告加算税の額は1224万6500円となるとして,本件Bに対する更正及び本件Bに対する賦課決定中,上記金額を超える部分を取り消した。 (甲14号証) 2 争点(1) 本件税務調査の違法性及びこれが本件各更正等に与える影響(2) 本件出資の評価(配当還元方式によることの可否及びこれによらない場合の評価方法)(3) 本件各賦課決定について,国税通則法65条4項所定の「正当な理由」の有無(4) 本件裁決の固有の瑕疵の有無 3 争点についての当事者の主張(1) 争点(1)(本件税務調査の違法性及びこれが本件各更正等に与える影響)について(被告門真税務署長及び被告吹田税務署長(両被告をあわせて,以下「被告税務署長ら」という。)ア本件税務調査(質問調査)の概要は以下のとおりである。 (ア) 平成9年1月24日,G実査官らは,まず,I医院を訪れ,Cへの面会を求めた。このとき,I医院の待合室には数人の患者が待っていた。そして,Cは自宅にいるとのことで,G実査官らはC宅を訪れた。 (イ) C宅の玄関において,G実査官らは,Cに対し身分証明書を示し,本件出資の取得経緯等を聞きたい旨伝えたところ,Cから,午前9時から診察を開始しなければならず,また,午後1時30分から (イ) C宅の玄関において,G実査官らは,Cに対し身分証明書を示し,本件出資の取得経緯等を聞きたい旨伝えたところ,Cから,午前9時から診察を開始しなければならず,また,午後1時30分からは市の健康診断があるため,その後か,若しくは,午前の診察終了後,市の健康診断に出かけるまでの間であれば,応対できる旨の申出を受けた。 また,Cの妻のDから,Cの母のJが病気のため,C宅2階で点滴をしており,午前中は,Jの世話をしなければならない旨の申出があった。 (ウ) 上記申出に対し,G実査官らは,C以外のシティ・アイランド開発への出資者宅にも,同時に大阪国税局の職員がその出資の経緯などの聞き取りのために訪れており,午前の診察の終了を待っている間にシティ・アイランド開発の出資に関する書類だけでも見せて欲しい旨協力を依頼した。 そして,G実査官らは,Cから,上記書類は住友銀行徳庵支店の貸金庫に保管している旨申出を受けたため,午前中のJの看病の終了後,Dとともに貸金庫に同行させて欲しい旨依頼し,また,Cに対しては,午前の診察の終了後,話を聞きたい旨依頼した。 (エ) G実査官らの上記依頼に対し,Dは貸金庫への同行を承諾した上,C宅の2階に上がった。また,Cは,G実査官らに応接間に待つようにと言い,G実査官らは午前9時15分ころ,C宅の応接間に案内された。G実査官らは,応接間において,Cが本件出資を取得した経緯や本件出資を原告らに贈与した経緯について,概略的な質問をした。 (オ) 午前9時40分ころ,I医院から早く診察を開始するよう連絡があった旨Dから申出を受けたため,G実査官らは,Cに対し,すぐにI医院に行くようにと伝えたところ,Cは応接間を出ていった。 オ) 午前9時40分ころ,I医院から早く診察を開始するよう連絡があった旨Dから申出を受けたため,G実査官らは,Cに対し,すぐにI医院に行くようにと伝えたところ,Cは応接間を出ていった。 このとき,G実査官らは,Dに対し,再度,住友銀行徳庵支店の貸金庫に同行させて欲しい旨依頼したところ,Dはこの同行を承諾した上,C宅の2階に上がった。 その後,G実査官らは,1階でDの姿を見かけた際にも,Dに再度同様の依頼をした。 (カ) 午後零時10分ころ,Cが応接間に戻ったため,G実査官らは,Cに対し,午前中に聞き取った事項に対する回答に誤りがないことを確認した上,上記事項を記載したメモ(乙2号証。以下「本件メモ」という。)を示し,事実であれば,このような内容の書面を作成したいから,これに署名押印するよう依頼した。 Cは,上記依頼に対し,署名押印はしないが,上記事項に対する回答は事実であるから,書面は自分で作成する旨申し立てた。なお,Cは,上記書面を作成するに当たって,本件メモの一部を自筆で訂正した。 (キ) Cが上記書面を作成していたところ,Dが応接間に来て,住友銀行徳庵支店の貸金庫に保管していたとするシティ・アイランド開発の出資に関する書類をG実査官らに提示した。 G実査官らは,上記提示を受け,Dに対し,貸金庫への同行を重ねて承諾していたにもかかわらず,なぜ同行させなかったのか,調査に協力してもらえないのか,このようなことでは,午前中はJの看病のため手が離せないとの申出も信用できなくなってしまう旨指摘した。 上記指摘に対し,Dから,G実査官らが急いでいると思い一人で貸金庫に言った旨申出を受け,また,Dが泣いたこともあ ため手が離せないとの申出も信用できなくなってしまう旨指摘した。 上記指摘に対し,Dから,G実査官らが急いでいると思い一人で貸金庫に言った旨申出を受け,また,Dが泣いたこともあり,G実査官らは言葉が過ぎた旨謝罪した。 (ク) その後,DはC宅2階に上がり,Cは書面の作成を続けた。このとき,G実査官らがCに対し,市の健康診断はまだ大丈夫かと尋ねたところ,Cは,午後1時30分からなので大丈夫である旨返答した。 (ケ) G実査官らは,Cから,同人が自筆で作成した書面(乙3号証。以下「本件自筆書面」という。)と住友銀行徳庵支店の貸金庫に保管していたとするシティ・アイランド開発の出資に関する書類の写しを受け取ったので,帰ることとした。そして,G実査官らは,玄関において,CにDを呼んでもらい,再度Dに対し,G実査官らの言葉が過ぎた点を謝罪した上,午後1時30分ころ,本件税務調査を終えてC宅を出た。 (コ) このように,G実査官らがCに対して聞き取りを行っていた時間は,午前9時ころから午前9時40分ころまでの約40分間と,午後零時10分ころから午後1時30分ころまでの約1時間20分間の合計約2時間であった。 イ以上から,G実査官らは,C及びDの承諾を得て本件税務調査を行っており,その際にはCの診察について,過度の支障を来すことのないよう十分に配慮し,また,DがJの看病を行うことについては,何ら制限を加えていないことは明らかである。したがって,本件税務調査が違法であるとは到底認められず,本件税務調査が適法に行われたことは明らかである。 ウまた,CがI医院の院長としての地位を有する者であることや,本件税務調査におけるCの言動に照らせば,Cが本件税務調査を断ることができ 本件税務調査が適法に行われたことは明らかである。 ウまた,CがI医院の院長としての地位を有する者であることや,本件税務調査におけるCの言動に照らせば,Cが本件税務調査を断ることができないものと誤信していたとは考えがたい。Cは,本件税務調査が任意調査であることを認識してこれに応じたものであるから,本件税務調査が適法な手続の下に行われたことは明白である。 エ原告らは,違法な調査により収集された資料が本件各更正等を支える主要な根拠資料であった旨主張する。 しかしながら,本件税務調査が適法な手続に従い行われたことは上記記載のとおりであるから,これにより収集された資料もまた適法に収集されたものであることは明らかである。また,本件税務調査に,刑罰法令に触れたり,公序良俗に反するような点があったとは到底認められない。 さらに,本件税務調査の際作成された本件自筆書面が排除されたとしても,本件各更正等が維持できなくなるものではなく,その他の資料や事実を基に総合判断する事により,本件各更正等の適法性は維持される。 (原告ら)ア本件税務調査(質問調査)の概要は以下のとおりである。 (ア) 平成9年1月24日,G実査官らは,医師であるCが院長を務めるI医院の診療所に,午前の診療時間が始まって間もない午前9時,事前の連絡もなく,突然訪れた。 G実査官らは,最初,診療所の窓口でCへの訪問を告げた。このとき,診療所では,午前8時30分からの午前の診療が始まっており,すでに40人程の患者が受付を済ませて待合室でCによる診察の順番を待っていた。G実査官らは,これら40人もの患者を目にしながら,これに気を配ることもなく,診療時間であるにもかかわらず,Cを呼び おり,すでに40人程の患者が受付を済ませて待合室でCによる診察の順番を待っていた。G実査官らは,これら40人もの患者を目にしながら,これに気を配ることもなく,診療時間であるにもかかわらず,Cを呼び出した。 (イ) G実査官らが診療所の窓口でCへの面会を求めたとき,Cは,診療所の裏手にある自宅で,療養している重体の母Jの容体が悪くなり苦しみだしたので,苦しむJに投薬し,点滴をしようと準備していたところであった。 そこに,G実査官らの訪問の連絡が入ったので,Cは,Jへの点滴の準備を中断して玄関先に向い,G実査官らを迎えたところ,G実査官らは,「ちょっとだけ,シティ・アイランド開発について聞きたい。」と言ってその応対を求めた。 Cは,このG実査官らの「ちょっとだけ」と言う言葉から数分で済むと受け止め,G実査官らをC宅に上げた。 その際,G実査官らは,この調査の目的も明らかにせず,また,この調査が任意調査であることも,任意調査なので都合が悪ければ日時を変更することができることも,Cに何ら伝えなかった。 (ウ) G実査官らは,C宅に上がると,質疑を1時間半にわたって続け,この間,CとDを半ば強制的に拘束し,このためにI医院における診療を中断させたばかりか,重体の母Jの治療や看病さえもできない状況へと追いやった。 (エ) 診療所においては,診療時間であるにもかかわらず,いつまでたっても診察が行われないという異変に,診療時間開始時において既に待合室にいた40人もの患者に加えて,その後も増え続ける多くの外来患者が次から次へと診療所の窓口において治療を訴え,苦情を唱え,このためにCを呼び出そうと,C宅玄関の呼鈴インターホン,電話が何度も何度も鳴らされ 0人もの患者に加えて,その後も増え続ける多くの外来患者が次から次へと診療所の窓口において治療を訴え,苦情を唱え,このためにCを呼び出そうと,C宅玄関の呼鈴インターホン,電話が何度も何度も鳴らされ続ける有り様であった。 また,待合室では,治療を待ちきれず高熱で倒れる者,嘔吐する者,どうなっているんだと怒って窓口に詰め寄りとうとう帰ってしまう者,頭に障害を負い運び込まれてきた者,その他にも外科を診療科目の1つとするI医院には緊急の治療を求める患者が度々訪れたものの,Cが診療行為を行わないために他の病院へ行ってもらう手配等で,混乱の極みに陥っていた。 (オ) G実査官らがCを自宅に留め置く中,この診療所での騒ぎは玄関の呼鈴,インターホン,電話でと,何度も何度もCのいる自宅に知らされ,その喧騒の中,Cらが診療所での混乱をG実査官らに訴え,日を改めて訪問し直して欲しいと何度も訴えたが,G実査官らはこの訴えを無視し続け,Cを留め置き,質疑を強行した。 また,この間,Cらがこの診療所での状況の深刻さを訴え,何度も,「多くの患者が待っていて大変なことになっている。すごいことになっているからその様子を見てきてくれ。」と頼んでも,G実査官らは,「もう見ました。」といって平然とするばかりで,全く見に行こうともしなかった。 更には,待たされている患者も100人を超え,重症の患者も運び込まれる中,診療所での混乱がいよいよ押さえきれないとの必死の呼出に,Cも,これ以上診療所や患者を放りだしておくことはできないと,G実査官らがなおも留め置こうとする中,意を決して,中座し,診療所へ向かおうとしたところ,G実査官らは,「ちょっと行ってすぐに帰ってきて下さい。」と言って,なおも,診療行為を中断さ ことはできないと,G実査官らがなおも留め置こうとする中,意を決して,中座し,診療所へ向かおうとしたところ,G実査官らは,「ちょっと行ってすぐに帰ってきて下さい。」と言って,なおも,診療行為を中断させていることを全く意に介さず,自らの都合を優先させようとした。 (カ) Cは,診療を再開できた午前10時30分過ぎから午後1時までの2時間30分という時間で,100人もの患者の診察にあたり,肉体的にも限界に近づく中,何とか混乱状態にあった診療所を落ち着かせた。 (キ) また,C宅では,心不全,糖尿病,高血圧症,寝たきり状態であり,しかも,1月24日の訪問の数日前には一時的に心臓が止まるといった危篤的状況に陥った重体の母Jを抱えていた。このようにJは常時目の離せない状態で,Cが投薬,点滴の治療をして看病をし,Cが医院で診察を行っている間は,Dが代わりに側について,その容体を見守るようにしていた。 このようなJの朝の治療でさえもG実査官らの突然の訪問で中断させられた。 CとDが何度も何度も,「母親が重体なんだ。」「目が離せない状態なんだ。」「このままでは治療ができない。」「日を改めて訪問してほしい。」と必死に訴えても,G実査官らは,この訴えを無視して居座り続けた。 G実査官らは,Jの容体を見て確認するようにCらが訴えても,この訴えも無視し続けて,質疑を続けた。 (ク) 午後1時にようやく患者の診察を終えたときには,Cは精神的にも,肉体的にも疲弊しきっていた。Cがそのような状態で自宅に戻ってきたところ,待ち構えていたG実査官らに再び捕まり,書面を示されてそこに署名するように執拗に迫られた。 G実査官らは,この後のCの予定につい いた。Cがそのような状態で自宅に戻ってきたところ,待ち構えていたG実査官らに再び捕まり,書面を示されてそこに署名するように執拗に迫られた。 G実査官らは,この後のCの予定について午後1時30分から始まる市の老人健診のために出かけなければならないから時間的余裕が全くないこと,母Jの治療も投げ出されたままとなっているということも聞いていながら,それでも書面を書かせようと,再びCを午後1時35分まで無理矢理留め置いた。 G実査官らは,Cに対し,このように書けと見本を突きつけ,この見本を見てこれは事実と異なるというCに対し,「この通りに書け。」「書かなければ帰らない。」「書かなければ4時までも居る。」と言って迫り続けた。 さらに,書いた内容は事実と異なると言うCに対し,書面に署名押印するように促し,押印を拒否するCに対し,押印をするようになおも執拗に迫り続けた。 (ケ) Cは,市の老人健診にこれ以上遅れて行くことはできないと,重体の母Jの治療を行えないまま,G実査官らを振り切って市の老人健診に向かうほかなかった。 (コ) CがJの治療を行うことができたのは,同日の夕方になってからであった。しかし,このときには,既にJの容体は悪化し,朝には162あった血圧が102へと低下し,ショック状態を起こしており,その後の必死の看病のかいなく,Jは回復することなく1週間後の2月1日に死亡した。 (サ) G実査官らは,重体の母の容体を必死で訴える者をつかまえて,「母親が病気なんて嘘だろう。」と言って嘲笑するなどという非人道的な態度をとった。 また,Dが,G実査官の「出かけるときには声をかけて下さい。」という言葉を,家人のいなくなった家に残 が病気なんて嘘だろう。」と言って嘲笑するなどという非人道的な態度をとった。 また,Dが,G実査官の「出かけるときには声をかけて下さい。」という言葉を,家人のいなくなった家に残されて,後で紛失物が出たなどと言われてはG実査官が困るから,そういうことを避けたいために言っているのだろうと善意に解釈し,そんな心配をかけないようにと気を配り,Cがいったん自宅の方に戻ってきたときに合わせて,ほんの少しの中座で済むようにと自転車を跳ばして急いで銀行の貸金庫に行って戻ってきて,貸金庫に行ってきたことをG実査官に伝えたところ,思いもかけず,G実査官に「嘘つき。」「信用できない。」などといきなり罵倒され,睨み付けられた。Dは,このように犯罪者のような扱いを受けたが,未だその精神的苦痛を消すことはできない。 さらに,G実査官らは,質疑の中においても,シティ・アイランド開発のことを,「あんなすぐつぶれるようなわからん会社」と,会社の信用を傷つけるような言動をした。 イ以上のように,本件税務調査の目的は,原告らが行った本件申告における本件出資の時価評価の適否であり,事実を隠蔽したとか,仮装したという不正を行ったものではないから,G実査官らは,Cの診療を妨害し,また,母Jの看病を妨害してまでも調査を強要する必要性は微塵もなかった。 本件税務調査は,社会通念上の相当性を著しく逸脱したものである。 ウ本件税務調査に当たって,G実査官らは,いわゆるフォーエスキャピタル事件を参考にしている。このフォーエスキャピタル事件は,フォーエスキャピタル株式会社の株式の評価にまつわる事件であり,同社が出資を募る際に,同社ないし関連会社が株式を買い戻すことを予定していたところ,出資者が取得した株式に係る相 ーエスキャピタル事件は,フォーエスキャピタル株式会社の株式の評価にまつわる事件であり,同社が出資を募る際に,同社ないし関連会社が株式を買い戻すことを予定していたところ,出資者が取得した株式に係る相続税ないし贈与税の申告に際し,配当還元方式で評価したのに対し,上記買戻し約束の存在を重視して,配当還元方式の適用が不相当とされたものである。 G実査官らは,このフォーエスキャピタル事件を参考に,買戻し約束の事実を最重要事実として,これに係わる資料を取得しようとして本件税務調査を行ったものである。実際,本件税務調査によって得られた資料である本件メモや本件自筆書面は,上記フォーエスキャピタル事件を前提に,本件も同じ内容の事件であるとの予断と偏見に基づいて作成し,又は作成されたものである。 エ税務調査手続の違法により課税処分が取り消されるための要件として,①調査手続の違法性の程度が,刑事法令に触れたり,公序良俗に反する程度に至っていること,②違法に収集された資料が,それが排除されると課税処分が維持できないような,課税処分を支える主たる根拠資料であることがあげられる。 これを本件についてみるに,多くの患者を抱え診療にあたらなければならない医師を診療にあたらさないで拘束し医院を混乱に陥れ,重病の母Jの看病をしなければならないDに看病をさせず暴言を吐き,そのうえ,往診を制限し,老人健診を制限して無理に書類を書かせるという非常識甚だしい,社会通念を欠いた不当な調査が行われていることから,①の要件に当たることは明らかである。 また,違法な本件税務調査によって収集された,事実ではない資料によって,買戻し約定の存在が認定され,それを根拠に本件各更正等が行われていることは明らかであるから,②の要件にも当 。 また,違法な本件税務調査によって収集された,事実ではない資料によって,買戻し約定の存在が認定され,それを根拠に本件各更正等が行われていることは明らかであるから,②の要件にも当てはまる。 オ以上から,本件各更正等は,違法な本件税務調査による事実ではない資料による課税処分であり,取り消されるべきである。 (2) 争点(2)(本件出資の評価(配当還元方式によることの可否及びこれによらない場合の評価方法))について(被告税務署長ら)ア本件出資について配当還元方式を定める評価基本通達188-2は適用すべきでないこと(ア) 相続税法22条所定の「時価」について相続税法22条は,相続,遺贈又は贈与により取得した財産の価額は,当該財産の取得の時における時価により評価されると規定する。贈与における「取得の時における時価」とは,贈与により財産を取得した時における当該財産の客観的な交換価値,すなわち,それぞれの財産の現況に応じ,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいうと解すべきである。 もっとも,すべての財産の客観的な交換価値が必ずしも一義的に確定されるものではないから,納税者間の公平,納税者の便宜,徴税費用の節減という見地に立って,合理性を有する評価方法により画一的に贈与財産を評価することも,当該評価による価額が相続税法22条に規定する時価を超えない限り適法なものということができる。その反面,いったん画一的に適用すべき評価方法を定めた場合,納税者間の公平及び納税者の信頼保護の見地から,評価基本通達に定める方法が合理性を有する場合には,原則として評価基本通達に基づき評価することが相当である。 ん画一的に適用すべき評価方法を定めた場合,納税者間の公平及び納税者の信頼保護の見地から,評価基本通達に定める方法が合理性を有する場合には,原則として評価基本通達に基づき評価することが相当である。 しかしながら,上記評価基本通達の趣旨からすれば,評価基本通達に定められた評価方式を形式的に適用することが,実質的な租税負担の公平を著しく害する結果となるなど,評価基本通達に定められた評価方式によらない評価を行うことが正当であるとして是認される「特別の事情」がある場合には,評価基本通達によらずに,他の合理的な方法により評価するのが相当であると解される。 そして,かかる「特別の事情」という要件はいわゆる規範的要件であるから,これの有無を判断するに当たっては種々の評価根拠事実及び評価障害事実を総合考慮しなければならないものであり,その評価根拠事実としては,①本件出資が不自然・不合理であること,②本件出資が行われたことにより,これがなされなかった場合に比べて,評価基本通達所定の方法による贈与財産の評価額が著しく減少すること,③本件出資が贈与税負担軽減の意図に基づくものであること,という事情が挙げられるものと解される。 (イ) 本件出資に係る「特別の事情」の有無についてそこで,本件出資における事実関係について検討すると,以下の各事情が認められる。 a シティ・アイランド開発は平成3年5月15日に設立され,他の出資者(大志を除く。)の贈与時点において開業2年ほどしか経ていない有限会社である。 bCのシティ・アイランド開発に対する出資金額は,2億円という多額のものであり,シティ・アイランド開発から高額な配当を得られることを期待して出資したにもか いない有限会社である。 bCのシティ・アイランド開発に対する出資金額は,2億円という多額のものであり,シティ・アイランド開発から高額な配当を得られることを期待して出資したにもかかわらず,Cは,シティ・アイランド開発から,設立時ないし平成8年2月28日までの各事業年度の間において,配当を受けていない。 c シティ・アイランド開発の出資口数全体に対する出資割合の状況は,設立当初,同じく出資者である大志が51パーセントであったが,その後のシティ・アイランド開発の増資においても,大志が常にシティ・アイランド開発の同族株主となるように意図的に出資割合を調整することにより,大志以外の出資者を常に同族株主以外の株主等にしている。 d 出資1口当たりの額面金額(1万円)と払込金額(100万円)が大きく乖離している。 e シティ・アイランド開発にあっては,出資金の100分の1を資本金,残りの100分の99を資本準備金とし,通常の経済活動を行う会社であれば合理的説明のできない異常な資本構成をとっている。 fCから本件贈与を受けた原告らは,本件申告において,本件出資を評価基本通達188-2に定める配当還元方式で評価し,原告A25万円,原告B75万円としている。 上記aないしfの事情を踏まえると,本件出資も,専ら,配当還元方式を定める評価基本通達188-2の適用を受けることにより,本件贈与に係る贈与財産の価額を大幅に圧縮し,これにより,原告らの贈与税の負担を減少させることだけを意図して,当初から計画的に実行されたものであったと認めることができる。また,Cは,本件出資及び配当を「預金」及び「利子」と申述していることから,通常の出資金とはその性質を異 担を減少させることだけを意図して,当初から計画的に実行されたものであったと認めることができる。また,Cは,本件出資及び配当を「預金」及び「利子」と申述していることから,通常の出資金とはその性質を異にするものであることが認められ,本件出資の目的は通常の投資と異なり配当金の取得にあったのではなく,贈与税の負担の軽減を図ることのみにあったと推認されることからも,上記のような「特別の事情」が認められると解すべきである。 原告らは,上記「特別の事情」に関し,「買取約束」がなければ「特別の事情」が認められない旨主張するが,(ア)記載のとおり,「特別の事情」の有無は,評価基本通達による評価方式を形式的に適用すると不適当な結果となるような状態が創出されているか否かによって判断されるべきであり,このような規範的要件である「特別の事情」の有無を判断するに当たっては,個別事件における種々の評価根拠事実及び評価障害事実を総合考慮しなければならない。したがって,仮に原告らが主張するような正式な契約の形式で「買取約束」が存在していなくても,上記の各事情を総合すれば,本件出資に「特別の事情」が認められることは明らかである。 なお,シティ・アイランド開発に対する他の出資者(大志を除く。)から贈与を受けた者のうち3人は,贈与税の申告後,贈与を受けたシティ・アイランド開発の出資を当該出資の払込金額と同額でシティ・アイランド開発に譲渡しており,Cについても,本件出資を出資金額の2億円とほぼ同じ価額で売却することが可能であることをEらと約していたことが認められる。 (ウ) 以上のとおり,本件出資については,贈与税の負担の軽減を図ることを主たる目的としている「特別の事情」が認められるから,配当還元方式を定める評価基本通達1 たことが認められる。 (ウ) 以上のとおり,本件出資については,贈与税の負担の軽減を図ることを主たる目的としている「特別の事情」が認められるから,配当還元方式を定める評価基本通達188-2に定められた評価方式によらないで,他の合理的な方式により評価することが許されると解される。 イ評価基本通達188-2によらない場合の本件出資の評価方法について(ア) 純資産価額を基準とした評価方法を適用することが相当であること配当還元方式を定める評価基本通達188-2のほかにいかなる評価方法によるのが合理的であるか検討すると,出資は,会社資産に対する割合的持分としての性格を有し,会社の所有する総資産価値の割合的支配権を表象したものであり,社員は,出資を保有することによって会社財産を間接的に保有するものであるから,当該出資の理論的・客観的な価値は,会社の純資産の価額を出資口数で除したものと考えるのが相当であり,また,そのような方法が,取引相場のない株式等の評価の原則的な評価方法といい得るものである。 この点,原告らは,評価基本通達において,純資産価額方式以外の評価方法として,上場会社における取引相場であるとか,類似業種比準方式が認められていることを根拠に,純資産価額方式が原則ではない旨主張する。しかしながら,上記のとおり,純資産価額方式は,株価等の評価方法として高い合理性を有すると考えられるから,原告らの上記主張は失当である。 そして,シティ・アイランド開発は,Cを含む大志以外の出資者のほとんどが個人的な信頼関係により出資し,同社の経営をEに任せているように,同族的色彩の濃い閉鎖的な会社であり,本件出資が贈与税の負担軽減を図る意図で取得されたもの 開発は,Cを含む大志以外の出資者のほとんどが個人的な信頼関係により出資し,同社の経営をEに任せているように,同族的色彩の濃い閉鎖的な会社であり,本件出資が贈与税の負担軽減を図る意図で取得されたものであって,本件趣旨における払込額とほぼ同額の払戻しを受ける意図・計画があることがうかがわれ,実質的には出資者に対し,その地位を有している間,本件出資を通じて出資額相当額の会社資産を支配させるものと評価できることからすれば,本件出資については,上記の純資産価額を基準とした評価方法を適用するのが相当である。 (イ) 純資産価額を基準とした評価方法について純資産価額を基準とした評価方法は,(ア)記載のとおり,会社の純資産の価額を出資口数で除して1口当たりの価額を算定する方法によって評価するのであるが,具体的な算定方法には様々な類型があり,本件出資の評価においては,このうち評価基本通達185本文の計算方法を参酌して行っている。 この点,評価基本通達185ただし書には,評価基本通達179(取引相場のない株式の評価の原則)の(2)(中会社の株式の価額)の算式及び(3)(小会社の株式の価額)の1株当たりの純資産価額については,1株当たりの純資産価額に100分の80を乗じて計算した金額とする旨定められていることから,本件出資の評価においても,同ただし書による計算を行うことも考えられる。 しかしながら,上記ただし書の趣旨は,小会社における同族株主による会社経営の実態は,個人事業者の場合と実質的にはほとんど変わることがないものが多いが,小会社の中には,複数の同族株主グループにより会社経営を行っているものがあり,このような小会社では,1同族株主グループの所有株式数だけでは会社を完全支配で 的にはほとんど変わることがないものが多いが,小会社の中には,複数の同族株主グループにより会社経営を行っているものがあり,このような小会社では,1同族株主グループの所有株式数だけでは会社を完全支配できないという実態が認められるので,株式の評価額を,このような実態に即したものとする必要があるところから,単独の同族株主グループの所有株式数によって会社支配を行っている場合の支配力との較差を考慮して,持株割合の合計が50パーセント未満である同族株主グループに属する株主の取得株式を純資産価額方式により評価する場合には,20パーセントの評価減を行うこととしているものである。 そうとすれば,評価会社において,各同族株主グループの利害対立やその会社支配力の較差が問題とならないなどの事情が認められる場合においては,上記評価減を理論上配慮する必要はないのであるから,このような会社の株式の純資産価額を判断する場合,上記ただし書を参酌する必要はないといえる。 まして,本件出資は,各出資者に強度の個人的信頼関係があり,また,贈与税の負担の軽減を図ることを主たる目的としている「特別の事情」が認められることからすれば,本件出資の評価に当たっては,出資者の出資割合の多寡による同族株主グループ間の利害対立及び会社支配力の較差が問題となる余地はなく,会社の支配力の強弱等を考慮した上記ただし書を当然に適用する必要はない。そればかりか,本件出資の評価に当たり,同ただし書の適用を許せば,かえって他の納税者一般との関係で法の適用の不平等を生ずることになるのは明らかである。 さらに,上記ただし書が,評価基本通達179に定める会社のうちの中会社,小会社に限って適用され,大会社の場合には適用されないこと,大会社の場合でも純資産 になるのは明らかである。 さらに,上記ただし書が,評価基本通達179に定める会社のうちの中会社,小会社に限って適用され,大会社の場合には適用されないこと,大会社の場合でも純資産価額方式の適用を認めているのは,同方式が評価理論上取引相場のない株式の評価方法の基本的な考え方であることに照らせば,上記ただし書の定める内容が,純資産価額を基準として評価する際に理論上当然に配慮すべき性質のものでないことは明らかである。 なお,シティ・アイランド開発に対する他の出資者のうちの3名においては,取得したシティ・アイランド開発の出資を当該出資の払込金額(1口当たり100万円)と同額でシティ・アイランド開発に譲渡しており,仮に,取引実例を基に時価へアプローチする評価方法を採用するとしても,それによる評価額は,被告らが主張するところの評価額と近似する結果となるのであるから,このことからも純資産価額を基準とした評価方法が適正であることは明らかである。 以上から,本件出資を適正に評価するに当たっては,評価基本通達185ただし書を適用する余地がないことは明らかである。 (ウ) 原告らは,本件出資について評価基本通達188-2に定める配当還元方式を適用すべきでない「特別の事情」があるとしても,適用すべきである本件出資の評価方式は純資産価額方式ではなく,払込金100万円のうち2分の1である50万円を資本に組み入れたと仮定し,評価基本通達188-2を適用して本件出資1口当たり25万円として評価されるべきである旨主張する。 しかしながら,純資産価額を基準に評価する方法が,シティ・アイランド開発のような取引相場のない出資に関する原則的な評価方法であり,高い合理性を有するものである である旨主張する。 しかしながら,純資産価額を基準に評価する方法が,シティ・アイランド開発のような取引相場のない出資に関する原則的な評価方法であり,高い合理性を有するものであること,本件出資にあっては,現実に払込金100万円のうち50万円が資本に組み入れられたものではないことからすると,かかる仮定の事実を前提として本件各更正等の違法性を論じるのは失当である。 (エ) 以上のとおり,本件出資については純資産価額方式によってその課税価格を計算するのが相当である。 ところで,1口当たりの純資産価額は,評価基本通達に定めるところにより評価した会社の各資産の合計額から各負債の合計額を控除した金額から,さらに,評価基本通達186-2により算出した評価差額に対する法人税額等相当額(51パーセント相当額)を控除した金額を発行済出資口数で除して計算した金額である(評価基本通達185本文)ところ,本件においては,本件贈与事件の直前期である平成5年3月1日から平成6年2月28日までの事業年度におけるシティ・アイランド開発の貸借対照表による資産及び負債によって評価することとなる。そして,上記事業年度におけるシティ・アイランド開発の出資1口当たりの純資産価額は,別表3「シティ・アイランド開発の出資の評価明細表」記載のとおり,86万9211円となる。 したがって,原告Aに係る本件出資50口,原告Bに係る本件出資150口の各評価額は,本件出資の1口当たりの純資産価額86万9211円に本件出資口数50口ないし150口をそれぞれ乗じた4346円0550円(原告A)ないし1億3038万1650円(原告B)となる。 以上から,原告らに係る平成6年贈与税の額は,別表4「贈与税の計算 口ないし150口をそれぞれ乗じた4346円0550円(原告A)ないし1億3038万1650円(原告B)となる。 以上から,原告らに係る平成6年贈与税の額は,別表4「贈与税の計算」記載のとおりとなるところ,これらの金額は,本件裁決により取り消された後の本件各更正の額と同額であるから,本件各更正は適法である。 (原告ら)アシティ・アイランド開発の設立と本件贈与の経緯(ア) シティ・アイランド開発の設立についてa シティ・アイランド開発を設立したのは,不動産業者であるEである。 すなわち,長年にわたり大阪圏において不動産業を行っていたEは,戦前からの低廉な賃貸料に泣かされている底地権者の地主の実態をつぶさに承知していたことから,その底地を低額で取得して借地人に時価で譲渡するという事業(いわゆる地下げ事業)を行う目的で法人を設立することを計画し,その事業資金の獲得のために,Eが以前から不動産等の管理業務や取得の相談を受けていた大東市内の地主に出資を依頼し,投資目的で事業計画に賛同した地主の協力を得て,シティ・アイランド開発を設立した。 Eは,自身が最大の出資者として,また代表取締役社長として経営権を握ること,最大限の資金を外部から調達すること,という目的を達成するために,51パーセントをEが代表取締役を務める大志が,49パーセントを当該地主が取得するということでシティ・アイランド開発を設立したが,その際,1口の出資払込金100万円のうち1万円を資本金に,残りの99万円を資本準備金に組み入れた。 その後,シティ・アイランド開発の資金増強のために,Eが不動産の管理業務等を行い,また多くの収益マンショ 円のうち1万円を資本金に,残りの99万円を資本準備金に組み入れた。 その後,シティ・アイランド開発の資金増強のために,Eが不動産の管理業務等を行い,また多くの収益マンション等の売買の仲介をして,信用を得ていた顧客のCに出資を募り,Cが投資目的でこれに応じて,平成4年12月,出資1口100万円,200口で出資払込金額2億円の増資払込を行い,設立時と同様の割合で資本及び資本準備金への組入れを行った。 ba記載のような割合で出資払込金を資本準備金に組み入れたのは,多額な資本金の会社であることが借地人らに知れると,底地買収後の底地の売却若しくは借地権の買取りにおける価格交渉に当たって不利に働くことから,資本準備金の組入れを最大限に行い,少額な資本金として登記することが必要であるというEの経営対策上からの必要によるものであった。 加えて,有限会社法上も,かかる資本組入れは適法であり,かつ,資本金の額が少額であれば,登録免許税が軽減されることや,中小企業に対する優遇税制が適用されるという点も付随的な要因であった。 c シティ・アイランド開発は,これらの出資払込金の資金を使用して,既に設立以前から交渉していた土地(底地)の取得を進めた。 シティ・アイランド開発は,設立間もない平成3年6月には,約1600坪の土地(底地)を8億0344万円で取得し,さらに同年12月には約480坪を1億1997万円で,約1300坪を5億8383万円で,約1110坪を3億3298万円で取得した。 さらに,シティ・アイランド開発は,多額の登記費用(登録免許税)や不動産取得税の負担をした上,設立の事業目的に応じた事業を開始している。 億3298万円で取得した。 さらに,シティ・アイランド開発は,多額の登記費用(登録免許税)や不動産取得税の負担をした上,設立の事業目的に応じた事業を開始している。 シティ・アイランド開発が購入した土地(底地)は,全てで4500坪にも及び,その土地に対して権利を有する借地人などの人数は,優に100人を超えている。 シティ・アイランド開発は,これらの土地(底地)を購入した時点から,早速,借地人に対する賃料(地代)の集金業務を始め,設立の事業計画に沿った活動を開始した。 また,底地の売却交渉がまとまった場合に各借地人に土地を売却していくことができるように,多額の費用負担をかけて,分筆のための測量の業務も開始した。 このように,実際に大量の土地(底地)を取得し,取得とともに多額の費用と手間をかけて事業目的にそった業務を開始していることをみれば,シティ・アイランド開発が贈与税の負担の軽減を図る目的で設立されたものではないことは明らかである。 (イ) 本件贈与に至る経緯についてa 上場会社で公表されている資本払込金の資本準備金の組入れの現状をみると,商法上の許容限度額である発行価額の2分の1の金額とする企業が大半である。 そこで,Eは,有限会社法上許容されている1口の最低資本金の金額を超える金額を資本金の額とし,残りの出資払込金を資本準備金とすることに格別問題はないと考えた。 また,出資に応じたCらにおいては,本件出資は投資目的であって,自らが事業を行うというような意思はなく,事業活動の全てをEに委ねる予定であったことから,Eにおいて事業遂行上の必 また,出資に応じたCらにおいては,本件出資は投資目的であって,自らが事業を行うというような意思はなく,事業活動の全てをEに委ねる予定であったことから,Eにおいて事業遂行上の必要があるということであれば,出資の形態にこだわりがあるものでもなかったので,特別意識をすることもなく,払込金の資本組入額はEに任せていた。 b その後,同様の目的で設立されたE主宰の別法人(有限会社ライジング・サン開発)の出資者に相続が発生した。その相続申告に当たり,当該出資の評価額については,同出資者が同族株主以外の株主等に該当することから,配当還元方式が適用され,かつ,出資1口の資本金への組入額は1万円であって,しかも無配当であったことから,当該出資1口の配当還元方式による評価額は,資本金の半額の1口当たり5000円であるとして相続税の申告がされた。 このような事実を相続税の申告に際して知っていたEは,シティ・アイランド開発の出資者である原告らの父Cに対し,シティ・アイランド開発の出資を,多額の配当金を受けて多額の所得税の負担が必要となる前に,所得の低い親族に贈与して分散をしておいた方が良いのではないかと進言した。 そこで,Cは,本件出資を贈与することとして,原告らに対し,本件出資は1口当たり5000円で評価され,たいした贈与税にはならないので,原告らにおいても納税は可能であるから,贈与をする旨伝えた。 原告らは,1口当たり5000円で評価されるのであれば自分達でも納税は可能と考え,Cの贈与の申出を受けることに同意した。 イ本件出資の評価は配当還元方式によるべきこと(ア) 評価基本通達188-2を適用しないことを正当とする 達でも納税は可能と考え,Cの贈与の申出を受けることに同意した。 イ本件出資の評価は配当還元方式によるべきこと(ア) 評価基本通達188-2を適用しないことを正当とする「特別の事情」が存在しないことa 評価基本通達は,租税平等主義の観点から,原則として全ての納税者及び全ての財産に対して平等に適用されるべきものである。 相続及び贈与により取得した財産の課税価格とされる時価は,第三者間で通常成立する客観的交換価格と解されており,その時価は,法律に特別の定めがある場合のほかは,評価基本通達に定めるところによることとされている。このような評価基本通達は,一般の解釈通達とは異なり,その通達に定める評価方法に従って,納税者が財産の時価評価を行い申告することを期待し,もって,納税者の便宜と統一的評価による相続税と贈与税の課税の公平を実現するという観点から,税務当局は当該通達を広く一般に公開している。 このため,相続及び贈与により取得した財産の評価に当たっては,評価基本通達の定める評価方法によって時価を算定する実務が定着し,それが当然のこととして実践されているところである。 このように,相続財産及び贈与財産(特に非上場株式等)の時価の算定の困難性のために,国税庁は,課税の公平と納税者及び課税庁の便宜のために評価基本通達を制定して,各種の評価方法を規定し,公表をして,納税者が評価基本通達に従って相続財産及び贈与財産を評価して申告することを期待し,また事実上強制しているのである。 b 被告らは,配当還元方式によることが実質的な租税負担の公平を著しく害する旨主張する。 しかしながら,相続税及び 待し,また事実上強制しているのである。 b 被告らは,配当還元方式によることが実質的な租税負担の公平を著しく害する旨主張する。 しかしながら,相続税及び贈与税における租税負担の公平とは,あくまでも,相続及び贈与時点におけるそれぞれの財産の態様(財産的価値,すなわち客観的な交換価値)に応じて,租税の負担を求めるということである。 そして,本件出資においては,原告らは少数持分権者であり,シティ・アイランド開発の会社経営において,主導的な影響力を発揮できる余地はなく,配当金を取得できるだけという極めて受動的な立場にあり,だからこそ,社員総会において,解散等の決議をすることも法的に不可能である。原告らが本件贈与により取得した本件出資の客観的交換価値は,出資払込金額に比べて大きく低下しており,まさしく評価基本通達で規定するところの配当還元方式による評価額としての価値となっていたのである。 被告らは,本件出資をしなかった場合と本件出資を実行した場合の贈与税の金額とを比較して,開差が大きいとする。 しかしながら,Cは,借地の底地の地主から底地を買収し,借地人に譲渡するというシティ・アイランド開発の主宰者であるEの事業計画に賛同し,多額の配当金を受けることを期待して本件出資を実行したのであり,出資を実行しなかった場合,すなわち,Eの事業計画に賛同しなかった場合との比較を論じること自体無意味である。そして,現金を出資することにより贈与者の財産保有の状況が異なれば,それが現金と同様の客観的な交換価値を有するものでない以上,贈与をした場合の贈与税額は,現金を贈与した場合の贈与税額と異なることは当然である。 c 評価基本通達に 状況が異なれば,それが現金と同様の客観的な交換価値を有するものでない以上,贈与をした場合の贈与税額は,現金を贈与した場合の贈与税額と異なることは当然である。 c 評価基本通達における同族株主以外の株主等が取得した株式等の評価においては,配当還元方式により評価することとされている。これは,同族株主以外の株主は,会社の事業経営に対する影響力が少なく,また,単に配当を期待するにとどまるという実質によるものである。そして,配当還元方式を適用して評価をするということは,会社経営に影響力を発揮できない同族株主以外の株主に対する評価理論上の当然の要請なのである。 評価基本通達において同族株主以外の株主等と区分される者の株式(出資)の評価は,その持株割合がいかに高くても,配当還元方式の適用を受け,配当還元方式による評価方式で評価をされている。この場合においては,その1株当たりの純資産の金額が1株当たりの資本金額の何十倍,何百倍であろうとも,1株当たりの資本金の額と配当金の金額とで評価がされている。もちろん資本準備金に組み込まれるプレミアム付発行を実施している法人であっても,あくまでも資本金の額だけに着目して評価が行われているのである。 本件出資において原告らに対してのみ,通常適用されるのとは異なる評価方法を適用して評価を行おうとすること自体が平等という観点を著しく害する行為であり,実質的な租税負担の公平を著しく害する行為である。 出資持分の評価(客観的な交換価値)は,その会社に対しての経営権等法的な権利や経済的な権利を踏まえた上で評価を行うべきであるところ,本件出資については,原告らは,同族株主以外の少数株主と同じ零細株主であり,会社の事業経営に対する影響力は何 会社に対しての経営権等法的な権利や経済的な権利を踏まえた上で評価を行うべきであるところ,本件出資については,原告らは,同族株主以外の少数株主と同じ零細株主であり,会社の事業経営に対する影響力は何もなく,ただ単に配当を期待するだけである。 評価基本通達においては,このような,会社の経営に影響を及ぼさず,配当を期待するだけの同族株主以外の少数株主などの零細株主を,その持株割合から判定をして,配当還元方式の適用の範囲を定めているのである。そして,本件出資の目的となったシティ・アイランド開発において,原告らの所有している本件出資の持株割合は,評価基本通達で定めるところの配当還元方式の適用を受ける同族株主以外の株主等に該当するのである。 本件出資の所有の目的に照らしても,また評価基本通達で定める持株割合からも,本件出資の評価に当たっては,配当還元方式を適用すべきである。 d 評価基本通達を適用しないという「特別な事情」については,租税法律主義や租税平等主義の観点からその適用が厳格に限定され判断されるべきである。 これまでの裁判例等でも,評価基本通達を適用せず,他の合理的な方法により評価することが許されたものは,課税時期直前と課税時期直後に土地等の売買が行われ客観的交換価値が判明しており,また,課税時期直後の売却等により課税庁の認定した評価額に見合う金銭等の経済的価値の流入があり,相続税を納付する上での担税力に問題がないといった事例であり,客観的な交換価値が判明しておらず,また,金銭等の経済的価値の流入がない本件出資の場合とは全く異質の事例である。 すなわち,本件においては,以下の各点を指摘することができるのであり,これらからも,本 おらず,また,金銭等の経済的価値の流入がない本件出資の場合とは全く異質の事例である。 すなわち,本件においては,以下の各点を指摘することができるのであり,これらからも,本件において配当還元方式を適用しないという「特別な事情」は存在しない。 (a) 本件出資は,第三者に対する自由な状態での売買は行われておらず,不特定多数の当事者間での自由な取引が行われる場合に通常成立する客観的な交換価値は不明である。 (b) 本件出資は,贈与者Cが信頼し,そして不動産業における事業手腕を信用していたEが計画した事業計画(低廉な地代により貸し付けられている土地を買い取り,借地人に売却をしていく事業計画)が借地権の設定されている土地を所有する地主にとっても,借地人にとっても,喜ばれる社会的に意義のある事業であり,また,その事業により多額の配当金を収受することができると考え,贈与者CがEの求めに応じて出資をしたものである。 本件出資は,長期にわたり半永久的に所有しておくつもりであり,一時的に所有をしたものではない。 (c) 本件出資は,原告らにおいて現在においてもそのまま所有しており,現預金とは全く違う財産となっており,財産の内容は大きく変動している。 (イ) 相続税負担軽減の意図と租税法規適用の関係a 租税負担の軽減を図るための相続税対策なるものが,世上,さまざまに紹介されている。その手法につき,数多くの書物により紹介され,実際に数多く行われているのが実情である。それらの書物は,単に一税理士が紹介するものだけではなく,課税当局の退職者や税理士会発行の書物にも記載され紹介されている。また,マンションなどの建物は,それを建築すれば評価額が減少して 実情である。それらの書物は,単に一税理士が紹介するものだけではなく,課税当局の退職者や税理士会発行の書物にも記載され紹介されている。また,マンションなどの建物は,それを建築すれば評価額が減少して相続税対策になるなどと,公の機関ともいえる住宅金融公庫のパンフレットなどにも記載され推奨されている。 これは,節税行為が納税者の当然の権利だからである。 したがって,租税負担軽減の意図がそれだけで評価基本通達の適用を排斥する正当な事由となり得ないことは当然である。また,本来適用が予定されている評価基本通達の適用を排して別の評価基本通達を適用するとしても,いずれの通達も,「相続財産の評価は時価による」と規定する相続税法22条を受けて相続財産の客観的交換価値を明らかにするために設けられたものであることは共通している。ここに客観的な交換価値とは,通常の第三者間で売買される場合に形成される価額をいうから,当該財産を取得した際の主観的な取得の意図や目的は,本来,財産の価額には影響をしないはずである。 したがって,租税負担軽減の意図のような主観的事情は,それ自体に独立の意味があるのではなく,客観的な交換価値を明らかにする上での一資料にすぎないというべきである。 すなわち,相続税対策の目的で取得したものであろうと,それ以外の他の目的で取得したものであろうと,当該財産の客観的要因,すなわち,当該財産の現況によって,当該財産の価値は決まるのであり,それこそが相続税法22条の規定する時価である。 b 以上のような基本的視点から考察すれば,配当還元方式を規定する評価基本通達の適用を排斥し,これに代えて純資産価額方式を規定する評価基本通達を適用すること の規定する時価である。 b 以上のような基本的視点から考察すれば,配当還元方式を規定する評価基本通達の適用を排斥し,これに代えて純資産価額方式を規定する評価基本通達を適用することを正当化する「特別の事情」なるものの本体は,租税負担の軽減の意図などといったものではなく,当該財産を純資産価額方式で評価するに相応しい事情,すなわち,当該財産が一時的,一過性のもので,純資産価額で現金化できるという事情でなければならないはずである。 なぜなら,純資産価額とは,基本的には,正味財産価額から負債額を控除した価額を意味するところ,同族株主であれば自由に解散を決議して純資産価額に相当する残余財産の分配を受けて現金化できるが,そのような決議を行えない非支配株主の場合には必ずしも純資産価額で売却できるとは限らないが,純資産価額による買戻約定が存在する場合には純資産価額で売却できるのであり,そのような約定こそがまさしく当該財産を純資産価額方式で評価するに相応しい事情と考えられるからである。 以上のような財産の現況の存否を精査せずに適用すべき評価基本通達を変更するのは,財産の現況を踏まえて客観的交換価値を把握しなければならないという評価の原則を明記する評価基本通達に明らかに反する。のみならず,評価基本通達の根拠法であり,かつ,相続財産の評価は時価によると明記する相続税法22条の趣旨にも反するといわなければならない。 ウ評価基本通達188-2によらない場合の本件出資の評価方法について(ア) 純資産価額を基準とした評価方法の不合理性a 小会社は,その事業規模や経営の実態からみて個人事業に類似するものであり,これを株式・出資の実態からみても,会社経営者 (ア) 純資産価額を基準とした評価方法の不合理性a 小会社は,その事業規模や経営の実態からみて個人事業に類似するものであり,これを株式・出資の実態からみても,会社経営者を含む同族株主が,その保有する株式を通じて会社財産を完全支配しているのであり,これは,個人事業者が自らその財産を所有している場合と実質的に変わらない。そこで,小会社の株式・出資については,それが会社財産に対する持分を表現していることに着眼して,1株当たりの純資産価額をもって株主・出資の評価とした,というのが純資産価額方式である(評価基本通達185本文)。 なお,評価基本通達185に定める純資産方式は,同ただし書において,持分割合が50パーセント未満の同族株主の出資につき,会社支配力の低減を考慮して20パーセントの評価減を行うこととしている。これに対し,被告らの主張は,本件出資が50パーセント未満の持分割合であるにもかかわらず,同ただし書の適用を排斥するものである(かかる評価方法を「修正純資産価額方式」という。)。 b ところが,本件においては,原告らは,同族株主等以外の株主に該当することは明らかである。したがって,法律上,原告らが本件出資を通じて会社を支配しておらず,それゆえ,本件出資を通じて会社財産を実質的に保有しているとはいえないことも明らかである。 さらに,実態上も,シティ・アイランド開発の出資比率は,同社の意図する地下げ事業の発案者であるEが,他の出資者から最大限出資を仰ぎつつ,しかも,その出資者から口出しされずに自由に,余裕をもって地下げ事業を行いたいとの方針から,Cの出資比率は,意図的に会社支配権を行使できない限度にとどめられている。 かかる しかも,その出資者から口出しされずに自由に,余裕をもって地下げ事業を行いたいとの方針から,Cの出資比率は,意図的に会社支配権を行使できない限度にとどめられている。 かかる経緯,実態からしても,原告らが本件出資を通じて会社に対する支配権を行使し得るということはあり得ないし,したがって,本件出資を通じて会社の財産を実質的に支配しているといえないことも明らかである。 したがって,本件出資につき,純資産価額方式を適用する根拠がそもそも存在しない。 とするならば,仮に配当還元方式を適用すべきでない特別の事情が存在するとしても,その場合に適用すべき他の合理的方法とは,純資産価額方式ではなく,まして,被告らの主張する評価基本通達185ただし書の適用をも排除するいわゆる修正純資産価額方式ではない。 なぜなら,配当還元方式,純資産価額方式のいずれにしても,それらを規定する評価基本通達は,「相続財産の評価は時価による」と定める相続税法22条を具体化したものであり,その趣旨はいずれも,租税負担の公平,納税者の便宜,課税事務の負担軽減等を勘案した上で時価を適切に把握しようというものであるところ,本件出資においては,原告らは何ら会社財産を実質的に支配していないにもかかわらず,会社財産を実質的に支配していることを根拠とする純資産価額方式を適用することは,租税負担の公平という趣旨に反するだけでなく,納税者の便宜,課税事務の負担軽減という趣旨からも何ら説明できないものである。 c 商法上,発行価格の2分の1を超えない額は資本に組み入れないことができる旨規定されているところ(商法284条ノ2),ほぼ全ての会社が資本組入額をこの許容限度いっぱいに低く抑え c 商法上,発行価格の2分の1を超えない額は資本に組み入れないことができる旨規定されているところ(商法284条ノ2),ほぼ全ての会社が資本組入額をこの許容限度いっぱいに低く抑え,できるだけ資本準備金への組入額を多くしている。 特に,非上場会社では,登録免許税の関係で,できるだけ資本金の額を抑えようとされるところから,時価発行の場合には,発行価格の2分の1ぎりぎりまで資本準備金に組み入れるのが実態である。 さらに有限会社では,資本の額と額面総額が一致することが必要とされていることから,額面超過額は全て資本準備金に組み入れられることとなる。 ところで,我が国の法人数は約250万社であり,その99パーセント以上が小規模,非上場会社である。すなわち,我が国の法人は,その大半が,その法人に存在するであろう「同族株主以外の株主」につき,その保有する株式・出資に対して配当還元方式が適用される小規模,非上場会社である。 そして,かかる会社の大半が,設立・増資の際に,額面超過額のうち,発行価格の半分を超えない限度で目一杯の額を資本準備金に組み入れ,有限会社では額面超過額を当然に資本準備金に組み入れているのである。 かかる会社の株式・出資につき,それを保有する同族株主以外の株主に相続・贈与が発生した場合,評価基本通達通り配当還元方式が適用されているのが課税実務の実際である。 本件においても,仮に1口の出資払込金100万円のうち,その半分の50万円を資本金に組み入れていたとしたら,課税庁は配当還元方式の適用を否定しなかったと思われる。 その場合には本件出資の評価は,1口 出資払込金100万円のうち,その半分の50万円を資本金に組み入れていたとしたら,課税庁は配当還元方式の適用を否定しなかったと思われる。 その場合には本件出資の評価は,1口当たり25万円となるのに対し,本件で被告らは1口当たり約87万円と主張している。このことからも,被告ら主張の評価額が課税実務から乖離していることは明らかである。 また,本件において,大志が所有しているシティ・アイランド開発に対する出資持分は,同族株主として純資産価額方式で評価されるが,持分割合が50パーセント未満であるから,本件基本通達185ただし書の規定により,1口当たり86万9211円の80パーセントに相当する69万5368円と評価される。これに対し,被告らが修正純資産価額方式を適用した結果,同族株主以外の株主である原告らの本件持分は,それ以上の価額である86万9211円と評価されているのであるが,これは明らかに不当なものである。 (イ) 本件出資の評価方法相続税法22条は,「相続財産の評価は時価による」と規定するところ,この時価とは,当該財産の客観的交換価値をいい,この交換価値とは,それぞれの財産の現況に応じ,不特定当事者間において自由な取引が行われた場合に通常成立すると認められる価額を意味する。 そして,相続税法は,客観的交換価値を明らかにする合理的評価方法であれば,評価基本通達に規定のない評価方法であっても,それが納税者間の公平,納税者・課税事務の便宜という趣旨に沿う特段の事情がある限り,かかる評価方法をも許容する趣旨のものということができる。 さらに,評価基本通達所定の評価方法を適用する際に,当該財産に関する種々の事情を勘案して, に沿う特段の事情がある限り,かかる評価方法をも許容する趣旨のものということができる。 さらに,評価基本通達所定の評価方法を適用する際に,当該財産に関する種々の事情を勘案して,その評価方法を変容することも,租税負担の公平に合致する限り,相続税法22条は認めているものと解される。 そこで,本件出資の評価方法についてみるに,原告らが同族株主以外の株主であり,本件出資を通じて会社財産を何ら支配しているわけではないという実態を踏まえれば,本件出資の評価方法は,基本的に収益還元方式の一種である配当還元方式によって評価すべきである。そして,評価の実態において,払込価格の半額が資本金に組み入れられるというのが慣例であることからして,本件出資においても,1口100万円の払込金額につき半額の50万円が資本金に,残りの50万円が資本準備金に払い込まれたものとして,これを配当還元方式で評価した25万円をもって,本件出資の評価とすべきである。 (3) 争点(3)(本件各賦課決定について,国税通則法65条4項所定の「正当な理由」の有無)について(原告ら)ア原告らは,本件申告に際し,評価基本通達において明文をもって規定している評価方法にしたがって評価し,申告したものである。原告らが評価基本通達にしたがって,本件出資を配当還元方式により評価して申告したことは,評価基本通達が実際上果たしている機能に照らせば当然のことであり,原告らの責めに帰されるべき過失は何ら存しない。 したがって,本件各更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことは,むしろ納税者にとり当然のことであり,かつ,本件申告が真にやむを得ない理由によるものであるから, 正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことは,むしろ納税者にとり当然のことであり,かつ,本件申告が真にやむを得ない理由によるものであるから,これは国税通則法65条4項にいう「正当な理由」に該当することは明らかである。 イまた,被告らの主張する評価方法自体,原処分における評価方法と被告国税不服審判所における本件裁決の評価方法とは異なっている。このように,課税庁という租税の専門家の機関が評価しても評価方法が異なる相続財産の評価において,被告らの主張するように,評価基本通達の文言を拡大解釈して算定させることを納税者に求めることなど到底期待することはできない。公表されている評価基本通達に従う以外の評価方法により評価することを,税務に関しては素人である原告らに求めること自体が不可能であるから,本件各更正の適法性を問題とする以前において,原告らが評価基本通達に基づく配当還元方式により評価したことは当然であり,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がある。 ウ以上から,本件各賦課決定は取り消されるべきである。 (被告税務署長ら)ア国税通則法65条4項の「正当な理由」については,一般に,税法の解釈に関して,申告当時に公表されていた見解がその後改変されたことに伴い,修正申告し,若しくは更正を受けた場合,又は,災害,盗難等に関し申告当時損失とすることを相当としたものが,その後予見しなかった保険等の支払を受け,若しくは盗難品の返還を受けたため修正申告し,若しくは更正を受けた場合など,申告当時適法とみられた申告が,その後の事情の変更により,納税者の故意過失に基づかずして過少申告となった場合のように,当該申告が真にやむを得ない理由によるものであり,こうした納税 正を受けた場合など,申告当時適法とみられた申告が,その後の事情の変更により,納税者の故意過失に基づかずして過少申告となった場合のように,当該申告が真にやむを得ない理由によるものであり,こうした納税者に過少申告加算税を賦課することが不当若しくは酷になる場合を意味するのであり,単に過少申告が納税者の不知若しくは誤解に基づく場合には,これに該当しない。 イ本件においては,相続税法22条所定の時価の解釈につき,本件申告当時,課税庁が「本件出資の時価を評価するに当たっては常に配当還元方式を定める評価基本通達188-2を適用する。」という見解を公表していたとの事実はない。 また,本件出資の時価を評価するに当たっては,評価基本通達188-2を適用すべきでない「特別の事情」が認められるところ,このことは本件申告当時であっても同様であり,本件申告後に事情が変更したためにこのように解されるに至ったというものではない。 以上のように,本件各更正については,ア記載のような事情は認められない。 結局のところ,原告らは,贈与税軽減の意図で本件出資を行い,更正処分を受ける可能性があることを十分に予測し得たにもかかわらず,評価基本通達の趣旨を独自に解釈し,本件出資についても評価基本通達188-2の適用があるものと判断した結果,本件申告に及んだものにすぎず,このような租税回避を目的とするスキームに参加することに「正当な理由」が認められないことは明らかである。 ウなお,原告らの平成6年贈与税に係る過少申告加算税の額は,別表5「過少申告加算税の計算明細表」記載のとおりである。 (4) 争点(4)(本件裁決の固有の瑕疵の有無)について(原告ら)ア被告国税不服審判所長の本件裁 税の額は,別表5「過少申告加算税の計算明細表」記載のとおりである。 (4) 争点(4)(本件裁決の固有の瑕疵の有無)について(原告ら)ア被告国税不服審判所長の本件裁決は,本件税務調査は違法である旨の原告らの主張を排斥しているが,その理由として掲げている内容は事実と全く異なり,当然原告らの主張と全く異なっている。本件裁決は,原告らの主張を一方的に排斥しているにもかかわらず,そのような事実認定がどのような根拠や理由に基づいて行われたものであるのか,「当審判所が調査したところによれば」とするだけで,何らの理由附記もされていない。 また,本来原告らが事実だと主張する内容を排斥するのであれば,それが事実ではないということを,証拠をあげて個別具体的に行う必要があるのは当然のことである。しかしながら,被告国税不服審判所長は,何らの事実調査も行わないままに,原告らの主張を排斥しているのであり,「当審判所が調査したところによれば」としているのは全くの虚構である。 被告国税不服審判所長は,原告ら主張事実についての事実確認のための調査を何ら実施しないまま,税務署長側の主張のみに基づいて,原処分を維持することを目的に本件裁決を下しているのである。 このことからも,本件裁決には審理不尽及び理由附記不備の違法があるという他ない。 イ本件裁決は,本件出資について評価基本通達188-2に定める配当還元方式によって評価すべきであるにもかかわらず,純資産価額方式により評価しており,しかも純資産価額の80パーセント相当額とする評価基本通達185ただし書の適用も排斥している。しかも,本件裁決では,同ただし書の適用を排斥する理由が全く示されていない。 このことは,被告 純資産価額の80パーセント相当額とする評価基本通達185ただし書の適用も排斥している。しかも,本件裁決では,同ただし書の適用を排斥する理由が全く示されていない。 このことは,被告国税不服審判所長としてあるまじき裁決であり,信義則及び課税の平等原則に違背し,裁決の理由附記不備の決定的瑕疵のある違法な裁決というべきである。 加えて,被告国税不服審判所長は,本件出資と類似の他の法人の出資の評価(いわゆるK事件)に当たっては,評価基本通達185ただし書に規定する純資産価額の80パーセント相当額の評価額を適用して評価することが妥当であると判断したにもかかわらず,本件出資の評価においては,何らの理由も附記せず,一刀両断,突如として,評価基本通達の純資産価額方式とは異なる純資産方式なる評価方式により純資産価額の100パーセントの評価額によって評価したものである。 これが同一状況下の財産の客観的交換価値の評価として不合理,不公平な評価であることは明らかであり,かかる本件裁決は,信義に違背し,法の下の平等に反する裁決固有の瑕疵というべきである。 また,類似のK事件の出資の評価に当たって,原処分は,いわば修正配当還元方式により,出資払込金の50パーセント相当額を評価額としたものであり,本件の被告税務署長らの評価が何故にK事件の評価額の2倍の価格として評価されるのかについて,被告門真税務署長らに対し求釈明を行ったのに対し,被告国税不服審判所長は,被告門真税務署長らから的確な答弁を求めることなく無視した。また,原告らがこのような不公平課税が許されるものではないことを主張しているにもかかわらず,本件裁決は,これには全く答えず,本件各更正の大半を維持した。 被告国税不服審判所長に た。また,原告らがこのような不公平課税が許されるものではないことを主張しているにもかかわらず,本件裁決は,これには全く答えず,本件各更正の大半を維持した。 被告国税不服審判所長において,原告らの上記不公平課税に関する主張を排斥し,新たな評価方法を採用するのであれば,それを否定する理由を附記して初めて権利救済機関としての裁決といえるのであり,そのことを一顧だにしないで無視し,いままでに聞いたこともない評価方法を採用するのは,理由附記不備の違法があると断ぜざるを得ない。 ウ本件裁決は,シティ・アイランド開発が当初の事業計画に従って4500坪もの相当な面積の土地底地権を20億円以上の価額で取得し,事業展開を図っていることに対し,シティ・アイランド開発の設立は租税回避目的であると一蹴している。しかしながら,シティ・アイランド開発の設立が租税回避目的であるとする理由が附記されていないのであり,この点からも本件裁決は理由附記不備の違法な裁決といえる。 エ被告らも,本件出資について1口100万円の出資払込金の全額の資本組入れによった場合,正常な資本組入れとして,その評価額は配当還元方式によるものであることを当然の事理としていると解される。とすると,本件各更正等において,被告らがした本件出資の評価100万円ないし約100万円は,上記正常な資本組入れの場合の時価として評価される1口当たり50万円の2倍ないし約2倍に当たる。本件出資を純資産価額方式により評価するというのであれば,この点について,正常な資本組入れの場合の2倍の金額として評価することの理由,根拠を明示すべきであり,この点においても,本件裁決には審理不尽,理由附記不備の違法がある。 オ本件裁決においては,評価基本通達188-2によることが不相 金額として評価することの理由,根拠を明示すべきであり,この点においても,本件裁決には審理不尽,理由附記不備の違法がある。 オ本件裁決においては,評価基本通達188-2によることが不相当と認められる特別の事情が存在するとしながら,その特別の事情について,原告らの詳細な主張にかかわらず,一方的に認定するのみで,その認定をする理由について附記していない。この点においても,本件裁決には理由附記不備の違法がある。 カ本件出資について,相続税法22条に規定する「時価」の解釈として国税庁長官が発している通達は評価基本通達(配当還元方式)である。ところが,被告税務署長らは,買戻し約定が存在することを理由に,評価基本通達に評価方法の定めがないとして,預け金として原処分をしている。 しかしながら,被告国税不服審判所長は,本件裁決において,買戻し約定の存在を否定している。とすれば,本件出資の経済的実質は法形式どおりの株式(出資)のものであって,評価基本通達には評価方法が定められており,当然,評価基本通達に従って評価を行うことが論理的帰納である。 すなわち,買戻し約定の存在を否定した以上,法令(相続税法22条)の解釈について,国税庁長官の発した通達に従うべきことは当然のことである。ところが,被告国税不服審判所長が本件裁決において本件出資の相続税法22条の「時価」の解釈として適用したのは,修正純資産価額方式による評価額である。 とすれば,被告国税不服審判所長は,法令(相続税法22条)の解釈について,国税庁長官と異なる解釈をして本件裁決をしているのであるから,国税通則法99条に定める国税庁長官への申出を要することは当然である。にもかかわらず,被告国税不服審判所長は,同条に定める適正手続を て,国税庁長官と異なる解釈をして本件裁決をしているのであるから,国税通則法99条に定める国税庁長官への申出を要することは当然である。にもかかわらず,被告国税不服審判所長は,同条に定める適正手続を過怠している。これは手続的保障原則に違反するものであり,憲法に定める租税法律主義に違反するから,本件裁決の違法は明らかである。 キ被告国税不服審判所長は,被告税務署長らによる本件各更正処分等が評価基本通達総則第5項に基づいて行われており,総則第6項に基づく国税庁長官の指示を受けていないことを承知しながら,「特別の事情」を認定して評価基本通達の適用を排除している。 しかしながら,たとえ「特別の事情」に当たるとしても,被告税務署長らが総則第6項による適正手続を過怠していることは明らかであるから,本来,被告国税不服審判所長が行うべき裁決は,買戻約定の存否の認定で終了し,改めて総則第6項を適用して「特別の事情」を認定することなどできない。 すなわち,買戻約定が存しないとの事実認定により,総則第5項の適用を排斥したうえは,本来の評価基本通達の定めに戻って,同通達に従って評価が行われるのであり,既に被告税務署長らによる総則第6項の適正手続は行われていないのであるから,改めて裁決の段階で総則第6項を適用することなどできない。 ク国税不服審判所は,中立な第三者機関であり,納税者の権利救済機関として,公正で妥当な審理を迅速に行うことと建前ではなっている。しかしながら,実際は,課税当局である国税局や税務署と同じく,国税庁長官に属しており,頻繁に,国税庁,国税局,税務署と人事交流が行われている。国税不服審判所の審判官は,外部からもその人材を求めることとされているが,実際はほとんど大部分の審判官が課税当局より人事 税庁長官に属しており,頻繁に,国税庁,国税局,税務署と人事交流が行われている。国税不服審判所の審判官は,外部からもその人材を求めることとされているが,実際はほとんど大部分の審判官が課税当局より人事異動により配属されており,建前でいうような国税不服審判所の独立性はなんら確保されていない。 (被告国税不服審判所長)ア裁決取消しの訴えにおいては,裁決の違法事由として原処分の違法事由を主張し得ず(行訴法10条2項),裁決固有の瑕疵のみを主張することができる。ここでいう裁決固有の瑕疵とは,原則として裁決の手続的瑕疵(裁決の主体,審理手続及び裁決形式の瑕疵)のみをいうものと解されるところ,本件裁決には裁決の手続的瑕疵は存しない。 イ本件裁決においては,審査請求人及び原処分庁が争点として判断を求めた事項に関して,審理を尽くし,審査請求人の不服事項に対応し,かつ,裁決における理由附記の目的及び趣旨に沿って,その論拠とともに一部取消しの結論に到達した過程を示しており,裁決に違法を来すような理由附記の不備及び審理不尽はない。 ウ国税通則法99条1項は,国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決をするときに,被告国税不服審判所長に国税庁長官への意見の申出を義務付けるものである。 これを本件についてみると,本件出資は株式(出資持分)であるが,評価基本通達に定める評価方式を画一的に適用し形式的な平等を貫くことにより実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであるなどの特別な事情がある出資に関しては,評価基本通達に何らの定めがない。 そうすると,このような「特別の事情」がある本件にあっては,評価基本通達にこのような出資に関する評価方法の定めがないのである がある出資に関しては,評価基本通達に何らの定めがない。 そうすると,このような「特別の事情」がある本件にあっては,評価基本通達にこのような出資に関する評価方法の定めがないのであるから,国税通則法99条1項が適用される余地がないことは明らかである。 エ原告らは,被告国税不服審判所長が本件裁決において大阪国税局長の主張する買戻し約定の存在を否定したのであれば,被告税務署長らが評価基本通達総則6項で定める国税庁長官の指示を受けていないのであるから,買戻し約定の存否の認定で裁決を終了すべきである旨主張する。 しかしながら,本件においては,そもそも評価基本通達にこのような出資に関する評価方法の定めがないのであるから,評価基本通達総則6項の適用がある旨の原告ら主張は前提を欠き失当である。 また,仮に原告らの主張を前提としたとしても,審査請求における審査の対象は,課税庁の処分理由の当否ではなく,課税庁の認定した所得金額ないし税額の存否一般にわたるものであるから,本件裁決において,買戻し約定の存否について判断を加えた上で,「特別の事情」があることを踏まえて評価基本通達が定めていない評価方法について判断をし,原告らの税額を一部減額したことに何ら違法がないことは明らかである。 オ原告らは,その他にも本件裁決に審理不尽,理由不備等の違法があるなどと縷々主張するが,これらの主張は実質的にみれば,原処分の実質的な適法性の問題に帰着する内容を主張するものにすぎず,裁決固有の瑕疵に該当するものではないから,失当である。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件税務調査の違法性及びこれが本件各更正等に与える影響)について(1) 平成9年1月24日午前9時ころ,大阪国税局の職員であ いから,失当である。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件税務調査の違法性及びこれが本件各更正等に与える影響)について(1) 平成9年1月24日午前9時ころ,大阪国税局の職員であるG実査官とH実査官の両名が,Cが本件出資を取得した経緯や本件出資を原告らに贈与した経緯等を聞き取るため,C宅を訪れ,Cに対する本件税務調査を行ったこと,Cは医師であり,C宅と同一敷地内にI医院を開業しており,同日も午前中はI医院での診療があり,また,午後1時30分からは市の健康診断を行う予定となっていたこと,そして,C宅の2階にはCの母のJが重篤な病気のため療養していたことは,前提となる事実等(5)記載のとおりである。 そこで,この本件税務調査が適法な調査といえるか否か,以下検討する。 (2) この点,証拠(乙2号証,3号証,17号証,証人G)によれば,以下の各事実が認められる。 ア平成9年1月24日当時G実査官らが勤務していた大阪国税局課税第一部資料調査第3課においては,当時,シティ・アイランド開発への出資者が当該出資を出資日から1年ないし2年という短期間に贈与を受けている者が複数おり,かつ,原告らのように当該出資の贈与を受けた者全員が贈与税の申告に際し当該出資の価額を実際に取得のために払い込まれた金額と比較して著しく低い価額で評価した上で申告していたことから,租税回避についての何らかの手段を構築している可能性が高いと考え,出資者等の関係者に対して調査を行うこととした。本件出資についても,このような租税回避の一環として贈与されたものかどうか明らかにするために,Cに対して本件出資や本件贈与の経緯を質問調査するよう同課長からG実査官らに指示がされた。 イ G実査官らは,平成9年1月24日,C宅に調査のた 贈与されたものかどうか明らかにするために,Cに対して本件出資や本件贈与の経緯を質問調査するよう同課長からG実査官らに指示がされた。 イ G実査官らは,平成9年1月24日,C宅に調査のため訪れたが,ア記載のような目的に照らし,事前の連絡により重要な証拠書類の隠ぺいや他の出資者,関係者等との口裏合わせが行われる可能性があるとの考慮から,事前にCに対し連絡はしていなかった。 ウ G実査官らは,同日午後9時ころ,まずI医院を尋ね,I医院の受付で大阪国税局の職員であることを告げた上で,Cに取り次ぐよう依頼した。当時,I医院の待合室には,3,4人ほどいた。 エその後,I医院の事務員の指示で,C宅(自宅)に行くよう言われ,G実査官らは,C宅の玄関先に入った。 G実査官らは,応対したC及びDに対し,身分証明書を提示し,名刺を渡して大阪国税局の職員であることを告げた上,「今日は,国税の調査のために来ました。今日の予定はどうなっていますか。診察の時間もあると思いますが,ご協力をお願いしたい。」と述べて,調査への協力を依頼した。 これに対し,Cから,「今から診察が始まるので十分に話ができない。午前の診察は12時には終わるので,その後なら時間が取れる。」旨の申出を受けたため,G実査官は,「診察時間であることは十分理解しているので,先に概略だけでもお聞きできませんか。概略をお聞きしましたらすぐに診察に行っていただきますので,調査にご協力いただけませんか。」と調査への協力を依頼した。 また,Dから,「母が2階にいる。母は危篤で,点滴もしなければならないので,午前中は母の世話をする必要があり,今日はやめてほしい。」との申出がされた。そこで,G実査官が具体的にどのような状態か聞いたと た,Dから,「母が2階にいる。母は危篤で,点滴もしなければならないので,午前中は母の世話をする必要があり,今日はやめてほしい。」との申出がされた。そこで,G実査官が具体的にどのような状態か聞いたところ,Cは,「今すぐとか,2,3日で亡くなるという状態ではない。」旨説明した。G実査官が,さらに「では,数週間という話なのか。」と聞いたところ,Cは,「分からない。」旨答えた。さらに,G実査官が,「では,いつごろであれば調査に協力していただけるか。」と尋ねたところ,Cは,「いつになるかわからない。」旨回答した。 G実査官は,このままJの容体が回復しないことなどを理由にいつまでも調査に協力してもらえず,その間に他の出資者等と口裏を合わせたり,証拠を隠されたりする可能性があると考え,「今日は,Cさんのお宅だけでなく他の方の所にも同様の件で同時に調査にお伺いしているので,なんとか協力いただけませんか。また,診察があることは分かっていましたので,診察に行かれるまでに簡単に概略だけお聞きし,午後,診察が終わってからお話をお聞きするということでお願いできませんか。」と調査に協力してもらえるよう依頼した。 これに対し,Cは,「今から概略の話をし,昼まで待ってもらうのを覚悟の上ならやむを得ない。」と言い,午前9時15分ころ,G実査官らをC宅の応接室に案内した。 このとき,Dは,「2階へ母の看病に行きたい。」旨話したので,G実査官は,Dに対し早く行くよう促し,Dに2階に上がってもらった。 オ G実査官らは,C宅の応接室に案内された後,Cに対し,本件出資や本件贈与の概略について質問した。 まず,G実査官らが,「シティ・アイランド開発はご存知ですか。」と質問をしたのに対し,Cが,「え,シティ・ 接室に案内された後,Cに対し,本件出資や本件贈与の概略について質問した。 まず,G実査官らが,「シティ・アイランド開発はご存知ですか。」と質問をしたのに対し,Cが,「え,シティ・アイランド開発は危ないのですか。」という応答をしたため,G実査官らは,シティ・アイランド開発が危ないかどうかは知らない旨返答した。 その後,G実査官らが,Cに対し,本件出資や本件贈与の経緯について質問をし,さらに,これに関する証拠を確保する必要から,関係書類がどこに保管してあるか質問したところ,住友銀行住道支店の貸金庫に保管していると思うとの回答であった。そこで,G実査官らが,貸金庫の中のものを見せて欲しい旨要望したところ,Cは,貸金庫にはDがいつも行っている旨回答した。 そのとき,Dが2階から応接室に入ってきて同席したため,G実査官は,Dに対し,貸金庫の中身を確認したい旨要望した。これに対し,Dが,「母の看病が一段落したらいける。」旨答えたため,G実査官が,「それでは,貸金庫に書類を取りに行くときには必ず声を掛けてください。」と依頼したところ,Cらは了承した。なお,この際,G実査官らは,貸金庫に一緒に行かせて欲しい旨の話はしなかった。 カ午前9時30分ころにはI医院から電話連絡があり,応答したDからCに対し,早く診察を開始して欲しいとの要件が伝えられた。これに対し,Cは,「もうすぐ行く旨を伝えてもう少し待っておくように。」とDに言い,引き続きG実査官らと話を続けた。 午前9時35分ころ,I医院から2回目の電話が鳴ったため,G実査官がCに対し,「そろそろ診療に行ってください。」と促したところ,Cも,「そうですね。ちょっと様子を見てきます。」と言って席を立った。 G実査 院から2回目の電話が鳴ったため,G実査官がCに対し,「そろそろ診療に行ってください。」と促したところ,Cも,「そうですね。ちょっと様子を見てきます。」と言って席を立った。 G実査官が,Cに対し,「すぐに戻ってこられますか。」と尋ねたところ,Cも,すぐに戻ってくる旨返答した。 Cは,数分ほど席を外してI医院に聞き,すぐに戻ってきた。G実査官がCに対し,I医院の状態を聞いたところ,Cは,まだ大丈夫である旨答えた。 午前9時40分ころ,I医院から3回目の電話が鳴り,診察を待っている患者が早く診察を開始して欲しいと言っているとのことであったので,G実査官はCに対し,「すぐに診療所に行ってください。」と言い,CはI医院に向かった。 キ G実査官らは,CがI医院に行った午前9時40分から正午過ぎころまで,C宅の応接室で,それまでCから聴取した事項を基に本件メモの原案を作成し,待機していた。G実査官は,その間の午前10時4分及び同6分には国税局に,午前10時15分,同26分,午前11時41分,午後零時9分には他の調査先に,それぞれ携帯電話で連絡をしている。 また,G実査官は,この間,3度ほど,Dに対し,銀行の貸金庫に行くときには声を掛けて欲しい旨依頼した。 ク午後零時10分過ぎにCが診察を終えて応接室に戻ってきた。Cは,このとき,G実査官らに対し,午後1時30分から市の老人健診のために出かけなければならない旨話した。 G実査官らは,午前中の聴取内容を再度確認し,G実査官らが作成した本件メモの原案を示し,事実と相違する部分は直して欲しい旨,また,間違いなければ,自筆でその内容を書き,最後に署名捺印するよう依頼した。 Cは,本件メモ 確認し,G実査官らが作成した本件メモの原案を示し,事実と相違する部分は直して欲しい旨,また,間違いなければ,自筆でその内容を書き,最後に署名捺印するよう依頼した。 Cは,本件メモについて数か所訂正する等した。また,G実査官がCに対し白紙の用紙を手渡したところ,Cは,箇条書きで本件自筆書面を作成した。 Cは本件自筆書面に署名捺印をしなかったことから,G実査官が本件自筆書面への署名捺印を依頼したところ,Cは,「後で何があるか分からないので,署名捺印はできない。 文書にそう簡単に署名捺印できない。」旨答え,本件自筆書面への署名捺印を拒否した。 ケそのころ,Dが,銀行の貸金庫から戻ってきたとして,シティ・アイランド開発の設立関係の書類を持って応接室に入ってきた。 G実査官は,貸金庫に行くときには声を掛けて欲しいとDに依頼していたにもかかわらず,DがG実査官らに声を掛けずに一人で貸金庫に行ったことから,貸金庫にあるシティ・アイランド開発の重要な証拠を押さえることができなかったとの思いもあり,「銀行に行く時には声をかけてくださいと再三お願いしたでしょう。なぜ一人で行かれたのですか。再三お願いしたことと違うじゃないですか。こんなことでは,あなたの言うことは全て信用できなくなってしまう。午前中,母の看病で手が離せないということも信用できなくなってしまう。」ということを厳しい口調で言った。 これに対し,Dは,「今朝,突然あなたたちが来て,あなたたちが急いでいるみたいだったので,何度も事故を起こしそうになりながら一生懸命急いで取りに行ったのに。」「何その怖い目。」と言い,さらに,「私は,この30年間,誠心誠意,母のために尽くしてきた。この30年間どれだけ苦労してきたことか。」などと を起こしそうになりながら一生懸命急いで取りに行ったのに。」「何その怖い目。」と言い,さらに,「私は,この30年間,誠心誠意,母のために尽くしてきた。この30年間どれだけ苦労してきたことか。」などと話し,激しく泣いた。Cも,「信用できないなら2階を見てくれれば分かる。」と言った。 G実査官は,Dの言動から,Dが書類を隠ぺいしたり破棄したりするために一人で貸金庫に行ったのではないと思い,「そのようなお母様のことを言ったのではありません。誤解です。何度も何度も貸金庫に行かれるときには声をかけてくださいとお願いしていたので。」と言って,言葉の行き違いを説明し,Dをなだめたが,Dはかなり興奮しており,G実査官らの話には耳を傾けなかった。 コその後,G実査官らは,Cに対し,銀行の貸金庫からDが取ってきた書類のコピーを依頼し,Cもこれを了承してコピーを取り,G実査官らに交付した。 そして,午後1時30分に近づき,Cも行かなければならないとのことだったので,G実査官らは,結局本件自筆書面に署名捺印してもらうことは断念し,調査を終了した。 (3) これに対し,原告らは,本件税務調査の概要は,争点(1)の原告ら主張ア記載のとおりである旨主張するところ,CがG実査官ら宛で出した平成9年4月22日付け請願書(甲1号証の1及び2)には,本件税務調査について,多数の患者の生命,健康につき法律上重大な責務を負うCの職務執行を困難な状況に陥れ,患者の生命,健康に危険を生じさせ,更に,税務調査の数日前に心臓が一時的に停止するという重大な危篤的状況に陥り常時看護の必要性があって片時も目を離せない状況にあったCの母の看病を全くさせず,それを契機にショック状態のまま同年2月1日に母が亡くなるという事態を生ぜしめたとし,事実関 う重大な危篤的状況に陥り常時看護の必要性があって片時も目を離せない状況にあったCの母の看病を全くさせず,それを契機にショック状態のまま同年2月1日に母が亡くなるという事態を生ぜしめたとし,事実関係を明確にするためとして,上記原告ら主張に沿う内容の100項目余に及ぶ質問がされている。また,証拠(乙17号証)によれば,本件税務調査が行われた翌月の同年2月12日に,G実査官と上司のL主査がC宅を訪れた際,CやDの他に同席していた原告ら代理人のM弁護士から,①本件税務調査により,Cの診察業務に支障を来す結果となっており,通常考えられない行為であること,②C宅2階で重病の母がいることを申し出たにもかかわらず,G実査官らはこれを無視したこと,③2階を見れば,重病の母がいることを認識し得たにもかかわらず,G実査官らはこれをしなかったこと,④本件税務調査の際,Cが提出した本件自筆書面については,G実査官らが同書面をCが作成するまで本件税務調査を終了しない旨申し立てたため提出したものであり,問題であること等の申出があったことが認められる。 このように,本件税務調査が行われた後の早期の段階から,上記原告ら主張に沿う内容の抗議等がされていたものといえる。 しかしながら,(1)で認定した内容に沿うG実査官の陳述及び証言(乙17号証,証人G)が存するところ,上記請願書の記載内容や,M弁護士の申出内容以外に,本件税務調査の内容が上記原告ら主張のような事実経過であったことを伺わせるような証拠は存しない。 逆に,証拠(乙2号証,3号証,17号証,証人G)によれば,以下の事実が認められる。すなわち,H実査官において本件メモの原案を作成し,これをCに示したところ,Cにおいて,原案では「現在の子供の出資分は,8年12月末に約束通り買戻し 7号証,証人G)によれば,以下の事実が認められる。すなわち,H実査官において本件メモの原案を作成し,これをCに示したところ,Cにおいて,原案では「現在の子供の出資分は,8年12月末に約束通り買戻してもらおうと思い」とあり,また,このうち「約束通り買戻」の部分が横線で削除され,H実査官により,同部分の上に「そろそろ売却」との文言が書き加えられたのに対し,Cにおいて,この「そろそろ売却」との文言を横線で削除したうえ,「どうなっているか」と書き加えている。また,本件メモの原案では「この後は,約束通り㈲シティ・アイランド開発に買戻させるよう交渉を続けるつもりです。」とある部分についても,Cは横線で削除しており,特に,「買戻させるよう」との記載部分については,幾重にも横線を引いて削除している。このほか,Cは,本件メモの原案では「子供から㈲シティ・アイランド開発への売却は,出資価格の2億でできるという約束があった」との部分について,「2億」の前後に「ほぼ」「ぐらい」との文言を付け加えている。さらに,Cは,自ら本件自筆書面を作成しているが,本件自筆書面の記載内容は上記Cにおいて訂正した内容に沿うものである。また,G実査官らの要請にもかかわらず,Cは本件自筆書面に署名捺印を行っていない。 上記のような本件メモや本件自筆書面の作成経過,内容に照らせば,これらの作成が,Cが精神的,肉体的に疲弊しきっている状態の中で,G実査官らの意に添うような内容の書面をCに作成させるよう強要してされたものとみることはできず,むしろ,Cにおいて,G実査官らがまとめた部分(本件メモの原案)中の相違点も指摘しつつ,自らの意思で本件メモの削除,訂正や,本件自筆書面の作成に及んだものと認められる。 このことに加え,G実査官の陳述及び証言内容(乙17号証,証人 (本件メモの原案)中の相違点も指摘しつつ,自らの意思で本件メモの削除,訂正や,本件自筆書面の作成に及んだものと認められる。 このことに加え,G実査官の陳述及び証言内容(乙17号証,証人G)が具体的詳細なものであることをもあわせ考慮すると,G実査官の陳述及び証言内容は信用できるところである。 (4) (2)記載の本件税務調査の経過にかんがみると,1人で貸金庫に行き,シティ・アイランド開発の設立に関する書類を取ってきたDの行動をとがめたG実査官らの言動にはやや行きすぎたきらいがあるとはいえるものの,この点をとらえて本件税務調査が違法性を帯びるものということはできないし,本件税務調査が行われたことによってI医院での診察に一定程度の影響が出たとしても,この点はCにおいて了解していたことであり,このことから本件税務調査を違法とすることもできない。その他,本件税務調査により,CやDのJに対する看病に具体的な支障が生じたものとも認められない。他に本件税務調査の適法性に疑義を生ぜしめるような事情も認められない。 したがって,本件税務調査は適法なものと解するのが相当である。 2 争点(2)(本件出資の評価(配当還元方式によることの可否及びこれによらない場合の評価方法))について(1) 相続税法22条は,贈与により取得した財産の価額については,原則として,当該財産の取得の時における時価により評価すべき旨定めているところ,ここにいう時価とは,当該財産の取得時における当該財産の客観的な交換価値,すなわち,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいうものと解するのが相当である(評価基本通達1(2)もこの旨規定している。)。 しかしながら,財産の客観的な交換価値というもの で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいうものと解するのが相当である(評価基本通達1(2)もこの旨規定している。)。 しかしながら,財産の客観的な交換価値というものが必ずしも一義的に確定されるものではないことから,課税実務上は,納税者間の公平,納税者の便宜,徴税費用の節減という見地から,相続税法が規定する相続税及び贈与税の対象となる財産の評価の一般的規準が評価基本通達により定められ,そこに定められた画一的な評価方法により同財産の評価をすることとされている。このように画一的な評価方法により同財産の評価を行うことは,その評価方式が合理性を有するものであり,相続税法22条に規定する時価を超えないものである限り適法なものということができる。 そして,上記のように評価基本通達により画一的に適用すべき評価方法を定めた以上は,これが合理性を有する限り,納税者間の公平及び納税者の信頼保護の見地から,原則として,全ての納税者との関係で評価基本通達に基づく評価を行う必要があり,特定の納税者あるいは特定の贈与財産についてのみ評価基本通達に定める方法以外の方法によって評価することは,たとえその方法による評価がそれ自体としては相続税法22条の定める時価として許容できる範囲内のものであったとしても,許されないものと解すべきである。 しかしながら,他方,評価基本通達に定められた評価方法によるべきであるとする趣旨が上記のようなものであることからすると,上記の評価方法を画一的に適用するという形式的平等を貫くことによって,かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかな場合など,上記評価方法によらないことが正当と是認される特別の事情がある場合には,別の合理的な評価方法によることが許されるものと解すべきであ かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかな場合など,上記評価方法によらないことが正当と是認される特別の事情がある場合には,別の合理的な評価方法によることが許されるものと解すべきである。このことは,評価基本通達6において,評価基本通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は,国税庁長官の指示を受けて評価するとされていることからも明らかである。 (2)ア本件では,原告らの平成6年分の贈与税に関し,本件贈与に係る本件出資の評価が問題となるところ,評価基本通達における有限会社に対する出資の価額の評価に関する定めは,前提となる事実等(1)イ(ウ)記載のとおりである。 これによれば,有限会社に対する出資の価額の評価に当たって準用すべきものとされている取引相場のない株式の評価については,原則として,評価会社を大会社,中会社及び小会社に分類し,大会社については類似業種比準価額,中会社については類似業種比準価額と1株当たりの純資産価額の併用,小会社については1株当たりの純資産価額によるべきものとされている。このうち,小会社について純資産価額方式が原則とされるのは,小会社は,事業規模や経営の実態からみて個人企業に類似するものであり,これを株式の実態からみても,株主が所有する株式を通じて会社財産を完全支配しているところから,個人事業者が自らその財産を所有している場合と実質的に変わりがないことにかんがみ,小会社の株式が会社財産に対する持分を表現することに着目するものと解される。 これに対し,上記原則的評価方法に対する特例として,同族株主以外の株主等が取得した株式の価額は,配当還元方式によるべきものとされている。これは,事業経営への影響の少ない同族株主の一部及び従業員株主などのような ,上記原則的評価方法に対する特例として,同族株主以外の株主等が取得した株式の価額は,配当還元方式によるべきものとされている。これは,事業経営への影響の少ない同族株主の一部及び従業員株主などのような少数株主が取得した株式については,これらの株主は単に配当を期待するにとどまるという実質のほか,評価手続の簡便性をも考慮したものと解される。 以上からすれば,有限会社に対する出資の価額の評価に当たって準用すべきものとされている取引相場のない株式の評価についての評価基本通達の定めは,評価会社の規模や株式取得者の属性に応じた評価方法を定めるものであり,合理性を有するものといえる。 したがって,本件出資の評価においても,原則として,上記評価基本通達の定める方法により評価する必要がある。 イそして,本件贈与時点におけるシティ・アイランド開発の各出資者の出資割合は,別表1「シティ・アイランド開発の出資状況等一覧表」記載のとおりであるところ(前提となる事実等(2)オ),大志が3600口中1110口を出資しており,その出資割合が30.8パーセントであることから,大志が同族社員(評価基本通達194で,有限会社に対する出資の価額は,評価基本通達178から193までの株式の価額の評価の定めに準じて評価すべき旨定められていることから,これら規定中の同族株主を同族社員と読み替える。)と評価される。 これに対し,原告らが本件贈与により贈与を受けた本件出資はあわせて200口で,その出資割合は5.6パーセントであり,また,原告らは大志の同族関係者(法人税法施行令4条に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。)にも当たらないから,原告らは同族社員以外の社員に当たることとなる。 したがって,評価基本通達の定めによれ 関係者(法人税法施行令4条に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。)にも当たらないから,原告らは同族社員以外の社員に当たることとなる。 したがって,評価基本通達の定めによれば,原告らが本件贈与により得た本件出資の価額の評価は,評価基本通達188-2に定める配当還元方式によるべきこととなる。 (3)アこれに対し,評価基本通達に定める評価方法によらないことが正当と是認される特別の事情がある場合には,別の合理的な評価方法によるよることが許されるものと解すべきことは(1)記載のとおりであるところ,被告税務署長らは,本件出資の評価においては,評価基本通達188-2が規定する配当還元方式によるべきではない特別の事情が存する旨主張するので,この点について検討する。 イまず,シティ・アイランド開発の設立及び出資の経緯は,前提となる事実等(2)記載のとおりであるところ,証拠(甲5号証,36号証,49号証,62号証ないし65号証,74号証,75号証の1ないし5,76号証の1ないし5,77号証,78号証,乙7号証ないし10号証)によれば,さらに以下の各事実が認められる。 (ア) Eは,それまで不動産業に関わってきた経験から,土地を賃貸している地主にとっては,土地が細分化されて賃貸され,しかも低廉な地代であることが多く,固定資産税等の負担をも考えると,当該土地は非常に収益性の低い財産となっており,一方,当該土地を賃借し,その上に建物を建てて所有している借地人にとっては,建物の老朽化が進む中で建て替えの可否等,将来に不安が存することから,地主から当該土地を低価格で購入し,これを当該土地の借地人に売却する事業を起こすことを思いついた(Eは,同事業を「地下げ事業」と称している。)。 (イ) E 来に不安が存することから,地主から当該土地を低価格で購入し,これを当該土地の借地人に売却する事業を起こすことを思いついた(Eは,同事業を「地下げ事業」と称している。)。 (イ) Eは,営んでいた不動産業の取引先であり,大阪市δ及びεに多くの賃貸土地を有していたNに対し,同人所有の賃貸土地の買取りを持ちかけた。そして,Eは,平成元年ないし2年ころ,O測量登記事務所にN所有地の位置の調査を依頼し,また,株式会社オフィス・エヌ・ジーに,借地人の氏名や居住状況,借地面積等の状況を把握するための現地調査を依頼した。 (ウ) Eは,(ア)記載の事業を運営する資金の調達方法として,Eがそれまで行っていた不動産関係の仕事を通じて面識のあった者から出資を受けることとした。 (エ) Eは,平成3年5月15日,(ア)記載の事業を運営する法人として,Eが代表者となっている大志が510口,Eが出資を依頼したFが490口を出資して,シティ・アイランド開発を設立した。シティ・アイランド開発のその後の増資の経緯は,前提となる事実等(2)イ記載のとおりである。 また,Eは,平成3年5月15日,同じく(ア)記載の事業を運営する法人として,大志が510口,Eが出資を依頼したPが490口を出資して,有限会社ライジング・サン開発(以下「ライジング・サン開発」という。)を設立した。 (オ) Eは,シティ・アイランド開発に対する出資について,出資1口当たりの引受金額は100万円とし,そのうち1万円を資本に組み入れ,1万円を超える99万円については資本準備金とすることとした。 (カ) シティ・アイランド開発は,(ア)記載の事業の遂行として,Nから,以下のとおり土地を購入した。 ,1万円を超える99万円については資本準備金とすることとした。 (カ) シティ・アイランド開発は,(ア)記載の事業の遂行として,Nから,以下のとおり土地を購入した。 a 平成3年6月13日,大阪市ζ及びηの土地5筆合計5312平方メートルを8億0344万円で購入b 平成3年12月16日,大阪市θ及びιの土地7筆合計3669.22平方メートルを3億3298万2000円で購入c 平成3年12月16日,大阪市κの土地9筆合計1586.41平方メートルを1億1997万円で購入d 平成3年12月16日,大阪市λの土地3筆合計4289平方メートルを5億8383万9000円で購入(キ) Eは,シティ・アイランド開発がNから購入した(カ)記載の各土地について,その借地人からの地代の集金業務も行っていた。 ウ次に,本件出資に評価基本通達188-2に定める配当還元方式がどのように適用されるかについて検討する。 (ア) シティ・アイランド開発の設立時及び本件各増資後のシティ・アイランド開発の出資及び資本金・資本準備金の異動と,出資者の内訳及び出資割合は,別表1「シティ・アイランド開発の出資状況等一覧表」記載のとおりであり,Eが代表者を務める大志が占める割合は,シティ・アイランド開発の設立時は51パーセントであり,その後,第1回増資後が30パーセント(1700口中510口),第2回増資後が30.6パーセント(3300口中1010口),第3回増資後が30.8パーセント(3600口中1110口)である(前提となる事実等(2)イ及びオ)。このように,大志の出資割合は,本件各増資の前後を通じて,常に30パーセ 300口中1010口),第3回増資後が30.8パーセント(3600口中1110口)である(前提となる事実等(2)イ及びオ)。このように,大志の出資割合は,本件各増資の前後を通じて,常に30パーセントを確保するようにされている。 この点,会社概要においても,出資金のうち最低30パーセントは大志で所有する旨の記載がされている(前提となる事実等(2)ウ)。 (イ) 本件出資を含め,シティ・アイランド開発への出資1口の引受金額は100万円とされ,出資1口について1万円を超える引受金額は資本準備金とすることとされている(前提となる事実等(2)イ及びオ)。 (ウ) シティ・アイランド開発は,設立時から平成8年2月29日までの各事業年度の間においては,シティ・アイランド開発の出資持分を有する者に対し,利益配当を行っていない(前提となる事実等(2)カ)。 (エ) 本件贈与がされた平成6年分の贈与税の計算に際しての本件贈与に係る本件出資の価額の評価は,(ア)記載のように大志の出資割合が30パーセントを超えて同族社員と評価され,一方,原告らの出資割合は5.6パーセントであり,また,原告らは大志の同族関係者に当たらないことから,評価基本通達188-2に定める配当還元方式によるべきこととなる。そして,(イ)記載のように出資1口当たりの資本の額が1万円とされ,(ウ)記載のようにシティ・アイランド開発による配当が行われていないことから,配当還元方式によった場合の本件出資の価額は1口当たり5000円となる。 原告らも,前提となる事実等(4)記載のとおり,本件出資の価額が1口当たり5000円であるとして,本件申告をしている。 エさら の価額は1口当たり5000円となる。 原告らも,前提となる事実等(4)記載のとおり,本件出資の価額が1口当たり5000円であるとして,本件申告をしている。 エさらに,Cのシティ・アイランド開発に対する本件出資と原告らに対する本件贈与についてみるに,その概要は,前提となる事実等(3)記載のとおりである。 そこで,Cが本件出資をした目的について検討する。 (ア) 本件税務調査の際,Cが作成した本件自筆書面(乙3号証)には,要旨以下の各記載がある(なお,本件自筆書面について,Cが自らの意思で作成したものと認められることは,1(2)記載のとおりである。)。 a シティ・アイランド開発に高い利子がでるので出資しないかとの誘いを受けた。 b その後,日本経営のQ,Rから,子らへの贈与も安くできる,ほぼ2億円くらいでできると思うということであった。 c 2億円を子ら名義の預金に安い税金でできると考え出資した。 d 平成8年12月ころに,日本経営に本件出資がどうなったか聞いたところ,都合により待って欲しいとのことだった。 e 今後,EやQと話し合いをしたい。 (イ) また,本件税務調査の際,G実査官らが原案を作成し,Cが加除訂正した本件メモ(乙2号証)からは,以下の点が認められる(なお,本件メモのCによる加除訂正も,Cが自らの意思で行ったものと認められることは,1(2)記載のとおりである。)。 a 本件出資について,シティ・アイランド開発が買戻約束をしていたか否かとの点に関しては,本件メモの原案に「現在の子供の出資分は,8年12月末に約束通り買戻してもらおうと思い」と a 本件出資について,シティ・アイランド開発が買戻約束をしていたか否かとの点に関しては,本件メモの原案に「現在の子供の出資分は,8年12月末に約束通り買戻してもらおうと思い」とあり,また,このうち「約束通り買戻」の部分が横線で削除され,H実査官により,同部分の上に「そろそろ売却」との文言が書き加えられたのに対し,Cにおいて,この「そろそろ売却」との文言を横線で削除したうえ,「どうなっているか」と書き加えていること,また,本件メモの原案では「この後は,約束通り㈲シティ・アイランド開発に買戻させるよう交渉を続けるつもりです。」とある部分についても,Cは横線で削除しており,特に,「買戻させるよう」との記載部分については,幾重にも横線を引いて削除していることに照らせば,本件メモ作成時のCの意思として,シティ・アイランド開発による本件出資の買戻約束は否定するものであったといえる。 b 本件メモ中,「㈲シティ・アイランド開発への出資は,出資前から,E,日本経営のQ,Rより子供への贈与は安い価格ででき,子供から㈲シティ・アイランド開発への売却は,出資価格の2億でできるという約束があったので,私の2億の預金を子供名義の預金に安い税金で移せる事を目的として出資しました。」との部分については,Cにおいて,「2億」の前後に「ほぼ」「ぐらい」との文言を付け加え,また,Eとの記載部分から矢印を引いて,「高い利子で出資しないか」と解される書き込みをしているが,他に削除部分や訂正部分は存しない。 オ(ア) 以上を総合すると,Eは,シティ・アイランド開発に対する出資を受けやすくするため,Eが代表者を務める大志が30パーセント以上の出資割合を保つことにより,大志が同族社員となり,大志以外の出資者は非同族社員となるようにして は,シティ・アイランド開発に対する出資を受けやすくするため,Eが代表者を務める大志が30パーセント以上の出資割合を保つことにより,大志が同族社員となり,大志以外の出資者は非同族社員となるようにして,当該出資に係る相続税ないし贈与税については評価基本通達188-2に定める配当還元方式が適用されるようにし,加えて,出資の際の引受金額中1口について1万円のみ資本に組み入れ,残る99万円は資本準備金とすることによって,配当還元方式によった場合の出資の価額を低額に抑えることができるようにすることにより,極めて低額の税金の負担で子孫への財産の移譲(贈与ないし相続)ができる方策を考案し,これをシティ・アイランド開発に対する出資の勧誘のセールスポイントとしたものと解される。 そして,Eは,Cに対しても,極めて低額の税金の負担で子孫への財産の移譲ができるとの触れ込みでシティ・アイランド開発への出資の勧誘を行い,また,シティ・アイランド開発の行う事業の成果により,将来的には出資した金額と同程度の金額の回収が見込まれることを説明して,勧誘を行い,Cも,子である原告らにCの財産を低額の税金の負担で移譲する目的で,本件出資に及んだものと認めるのが相当である。 (イ) (ア)記載のように,本件出資は,配当還元方式が適用されるように出資割合を調整した上,本件基本通達188-2が1口当たりの資本金の額を基準に評価する旨定めていることを利用して,本件出資に係る引受金額のうち1口当たり1万円のみを資本金に組み入れ,残り99万円は資本準備金として,全額資本金に組み入れた場合の100分の1の評価額になるように設定することにより,極めて低額の税金の負担で,これを子である原告らに贈与することを目的としてされたものと認められるところ,このような1対 全額資本金に組み入れた場合の100分の1の評価額になるように設定することにより,極めて低額の税金の負担で,これを子である原告らに贈与することを目的としてされたものと認められるところ,このような1対99の割合をもってした資本金と資本準備金への振り分けは何ら合理性を有しないものであり,専ら本件出資の評価額を低廉なものとするための方策に過ぎないものといわざるを得ない。この点,原告らは,シティ・アイランド開発の事業内容に照らし,1対99の割合をもってした資本金と資本準備金への振り分けには合理的な理由が存するものである旨主張し,別件(K事件)におけるEの陳述書や証言調書(甲36号証,49号証)中にはこれに沿う陳述ないし証言が存するが,これら陳述ないし証言は,上記認定に照らし,信用できない。 以上によれば,本件のように,専ら本件出資の評価額を低廉なものとするための方策として1対99の割合をもって資本金と資本準備金への振り分けをしているような場合にまで,評価基本通達188-2に定める配当還元方式を適用して本件出資の価額を評価することは,実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであるというべきであるから,上記評価方法によらないことが正当と是認される特別の事情が存するものといえる。 したがって,本件出資については,評価基本通達188-2に定める配当還元方式を形式的に適用することなく,他の合理的な評価方法により評価すべきものと解するのが相当である。 (4) そこで,本件出資の価額をどのように評価すべきか,以下検討する。 ア(ア) この点,被告税務署長らは,出資は会社資産に対する割合的持分としての性格を有し,会社の所有する総資産価値の割合的支配権を表象したものであり,社員は,出資を保有すること 討する。 ア(ア) この点,被告税務署長らは,出資は会社資産に対する割合的持分としての性格を有し,会社の所有する総資産価値の割合的支配権を表象したものであり,社員は,出資を保有することによって会社財産を間接的に保有するものであるから,当該出資の理論的・客観的な価値は,会社の純資産の価額を出資口数で除したものと考えるのが相当であり,また,そのような方法が,取引相場のない株式等の評価の原則的な評価方法といい得るものである旨主張して,純資産価額方式によるべきであるとする。 (イ) 確かに,有限会社に対する出資が,会社資産に対する割合的持分としての性格を有し,会社の所有する総資産価値の割合的支配権を表象したものであり,社員は,出資を保有することによって会社財産を間接的に保有するものであるとの側面を有していることは,被告税務署長ら主張のとおりである。 しかしながら,本件出資の価額を評価するにあたっては,(1)記載のとおり,相続税法22条にいう時価により評価する必要があり,この時価は,本件出資の取得時における本件出資の客観的な交換価値,すなわち,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいうものと解するのが相当である。したがって,本件出資について純資産価額方式によって評価した場合,その価額が客観的な交換価値,すなわち,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額と認められるか否かを吟味する必要がある。 そして,評価基本通達は,評価会社を大会社,中会社及び小会社に分類し,このうち小会社については,その事業規模や経営の実態からみて個人企業に類似するものであり,これを株式の実態からみても,株主が所有する株式を通じて会社財産 ,評価会社を大会社,中会社及び小会社に分類し,このうち小会社については,その事業規模や経営の実態からみて個人企業に類似するものであり,これを株式の実態からみても,株主が所有する株式を通じて会社財産を完全支配しているところから,個人事業者が自らその財産を所有している場合と実質的に変わりがないことにかんがみ,小会社の株式が会社財産に対する持分を表現することに着目して,純資産価額方式を原則的評価方法とし,一方,事業経営への影響の少ない同族株主の一部及び従業員株主などのような少数株主が取得した株式については,これらの株主は単に配当を期待するにとどまるという実質をも考慮して,同族株主以外の株主等が取得した株式の価額の特例的評価方法として,配当還元方式によるべきものとしているところ,これら評価基本通達の定めが合理性を有することは,(2)ア記載のとおりである。 このことからすると,本件出資のような有限会社に対する出資の評価においても,純資産価額方式によるのを相当とする前提として,当該出資をした社員が当該有限会社を支配しているといえる状況が存することが必要であると解される。これに反し,当該出資をした社員が当該有限会社を支配しているとはいえないような場合にまで,純資産価額方式により算出した金額により,当該出資の有する客観的な交換価値が反映されているものと解する合理的根拠は見出し難い。 すなわち,個人企業のような状態で会社を支配している場合には,現在ある会社の資産を次の事業に再投資するか,会社を解散して財産を分配するかを決定できるから,会社を支配している者にとっては会社の資産は随時換金可能である。ところが,個人企業のような状態で他人に会社を支配されている場合には,折角会社に財産があっても,会社を支配している者がその できるから,会社を支配している者にとっては会社の資産は随時換金可能である。ところが,個人企業のような状態で他人に会社を支配されている場合には,折角会社に財産があっても,会社を支配している者がその財産を次の事業に投資することを止められず,いつの日か会社を支配している者が解散を決断するまでこれが繰り返されることになる。そして,それまでの間に事業が成功すれば多額の配当が受けられるものの,事業が失敗して損失を被った場合にはその損失を負担することになる。このような出資においては,現在ある財産よりも将来の予想配当が重要となるから,それが不特定多数の当事者間で純資産価額方式により算出した金額の価値があるとして取引されるとは認め難いのである。 このことは,商法上規定されている反対株主からの株式買取請求がされた場合(商法245条ノ2,349条,408条ノ3)や譲渡制限株式の売買価格の決定の場合(商法204条ノ4)等の商事非訟事件における当該株式の売買,買取価格の決定において,事案に応じて配当還元方式や収益還元方式,純資産価額方式等が採られており,このうち純資産価額方式が採られるのは,会社が近い将来解散・清算する可能性が強い場合(この場合には,株式の価値は結局残余財産の分配請求権に帰着する。)や,当該株式の買受けにより発行済株式の多数を所有することになる株主の場合(この場合には,会社を支配することができ,業務執行についての判断はもとより,会社を存続させるか,解散・清算の道を選ぶかについても自己の判断で決することができる。)においてであり,これに反し,株式取得者が会社の支配権を有しない場合には,純資産価額方式によるべきではないとの見解が有力であることとも整合するものといえる(例えば,坂倉充信「商事保全及び非訟事件の実務研究・東京地裁商事 反し,株式取得者が会社の支配権を有しない場合には,純資産価額方式によるべきではないとの見解が有力であることとも整合するものといえる(例えば,坂倉充信「商事保全及び非訟事件の実務研究・東京地裁商事部研究会報告④」判例時報1284号3頁参照)。 (ウ) そこで,本件出資について,CないしCから本件出資の贈与を受けた原告らにおいて,シティ・アイランド開発に対する支配権を有していたものと認められるか否か検討する。 a この点,Cが取得した本件出資の口数は200口であり,その出資割合は5.6パーセントに過ぎない(前提となる事実等(2)オ)。また,シティ・アイランド開発の設立やその後の事業運営の経緯((3)イ及び前提となる事実等(2))をみても,Cがシティ・アイランド開発の設立やその後の事業運営に積極的に関わっているものとは認められない。 なお,この点,前提となる事実等(2)ア記載のとおり,シティ・アイランド開発の出資の30パーセント以上を行い,シティ・アイランド開発の同族社員となっている大志の発起人中にC,D及び原告Bが含まれており,設立に際してはCら3名が各1株ずつ大志の株式を引き受けていること,また,大志の当初の本店所在地は,Cらの住所地と同じであったことがそれぞれ認められる。しかしながら,大志の代表者にはEが就いており(前提となる事実等(2)ア),また,大志の設立に際してはSが100株中93株を引き受けている(乙12号証。なお,大志設立の際の定款である乙12号証では,大志設立に際して発行する株式の総数は100株とするとあるのに対し,同定款に記載されている発起人が引き受けた株式数を合計しても99株にしかならない。)ところ,CやD,原告Bにおいて,大志の経営に実際に関与していたことを認め 式の総数は100株とするとあるのに対し,同定款に記載されている発起人が引き受けた株式数を合計しても99株にしかならない。)ところ,CやD,原告Bにおいて,大志の経営に実際に関与していたことを認めるに足る証拠は存せず,Cらが大志の発起人に含まれており,また,Cらの住所地が大志の当初の本店所在地とされていたことをもって,Cらがシティ・アイランド開発を支配していたことを示す一事情と解することはできない。 その他,Cないし原告らが,Eと意を通じて,(3)オ記載のように配当還元方式によった場合の出資の価額を低額に抑えることができるようにすることにより,極めて低額の税金の負担で子孫への財産の移譲(贈与ないし相続)ができる方策を考案したものと認めるに足る証拠も存しない。 b また,被告税務署長らは,シティ・アイランド開発に対する他の出資者(大志を除く。)から贈与を受けた者のうち3人は,贈与税の申告後,贈与を受けたシティ・アイランド開発の出資を当該出資の払込金額と同額でシティ・アイランド開発に譲渡しているとし,Cについても,本件出資を出資金額の2億円とほぼ同じ価額で売却することが可能であることをEらと約していたことが認められる旨主張する。この点,EがCに対し,シティ・アイランド開発の行う事業の成果により,将来的には出資した金額と同程度以上の金額の回収が見込まれることを説明してシティ・アイランド開発に対する出資を勧誘し,Cも,子である原告らにCの財産を低額の税金の負担で移譲する目的で,本件出資に及んだものと認められることは,(3)オ(ア)記載のとおりである。しかしながら,本件税務調査時において,Cはシティ・アイランド開発による本件趣旨の買戻約束が存したことを否定していたものであるところ((3)エ(イ)a),Eな は,(3)オ(ア)記載のとおりである。しかしながら,本件税務調査時において,Cはシティ・アイランド開発による本件趣旨の買戻約束が存したことを否定していたものであるところ((3)エ(イ)a),Eないしシティ・アイランド開発として,Cに対し,本件出資を受けるに際して買戻しの約束をしていたものと認めるに足りる合意書面等の客観的な証拠はない。してみれば,上記被告税務署長らの主張のようにシティ・アイランド開発の出資を当該出資の払込金額と同額でシティ・アイランド開発に譲渡している者がいたとしても,そのことから直ちに当該出資について買戻約束が存したものとまで認めることはできない。 なるほど,本件メモには,「㈲シティ・アイランド開発への出資は,E(判決注:引出線で「高い利子で出資しないか」が挿入されている。),日本経営のQ,Rより・・・子供から㈲シティ・アイランド開発への売却は,出資価格のほぼ2億くらいでできるという約束があったので・・・」との記載がある。 しかし,大志ないしEは,シティ・アイランド開発の事業を行うに当たり,本件出資を受け入れて土地,それも借地権付きのため市場性の低いものを購入するのである。それなのに本件出資を買い戻すという約束をするのであれば,最初から全額自己資金で事業を行えばよいのであって,本件出資を受け入れるメリットはない。すなわち,出資というのは,本来資金不足の会社が資金を補うために受け入れるものであるから,買い戻す約束をしてしまうと,買い戻す際に買戻し資金が不足して窮するのである。 のみならず,シティ・アイランド開発の行っている事業は,借地権が付いている土地を購入して転売するという「地下げ事業」である。そして,土地の価格は上昇することもあれば下落すること のみならず,シティ・アイランド開発の行っている事業は,借地権が付いている土地を購入して転売するという「地下げ事業」である。そして,土地の価格は上昇することもあれば下落することもあるうえ,土地の転売に成功するかどうかも借地人の意向や経済力にかかっているから,地下げ事業により利益を得ることが絶対確実と言い切れないことは自明である。そうだとすると,Eにおいて,Cないし原告らが本件出資を出資金額の2億円とほぼ同じ価額で売却する(換言すれば,シティ・アイランド開発,大志ないしEが購入する)という約束をしてしまうと,地価下落や地下げ事業失敗のリスクは大志ないしEが負担することになってしまう。すなわち,万一,土地が転売できないうちに価格が下落してシティ・アイランド開発の純資産が出資金総額を大幅に下回った場合,シティ・アイランド開発,大志ないしEは,2億円を大幅に下回る価値しかない本件出資を約2億円で買い取らなければならない羽目になってしまい,損失を被るのである。 ところが,大志やEが,その損失のリスクに備える保証料や手数料を受け取ったと認めるに足りる証拠もなく,Cのためにそのようなリスクを負担しなければならない事情は窺えない。 シティ・アイランド開発が,出資金を預貯金,公社債等リスクの少ない商品で運用しているなら,出資金とほぼ同額くらいで本件出資を買い戻す約束をすることが可能であろうが,シティ・アイランド開発の地下げ事業は,預貯金,公社債等への投資とは異なり,安全確実でも換金容易でもない資産に投資するものであるから,出資金とほぼ同額くらいで本件出資を買い戻すという約束は不合理であって,明確な裏付資料なしに認定し得るものではないのである。 c もっとも,シティ・ア 産に投資するものであるから,出資金とほぼ同額くらいで本件出資を買い戻すという約束は不合理であって,明確な裏付資料なしに認定し得るものではないのである。 c もっとも,シティ・アイランド開発として,その行う事業の成果により,将来的には出資した金額と同程度の金額の回収が見込まれることを説明して,出資を募ったものと認められることは上記のとおりであるから,Cを含むシティ・アイランド開発への出資者や,当該出資の贈与を受け,あるいは当該出資を相続した者において,当該出資に係る払込金額と同程度の金額の回収を図るため,シティ・アイランド開発に働きかけを行うであろうことは,容易に推測されるところである。しかしながら,(3)イ記載のようなシティ・アイランド開発への出資とシティ・アイランド開発の土地の購入の状況等に照らせば,シティ・アイランド開発として,出資者等からの上記働きかけにすべて応じることができるような状況にあったものとは認められない。現に,本件メモや本件自筆メモの記載内容(乙2号証,3号証)から,Cにおいても,シティ・アイランド開発側に対して本件出資の回収を企図した働きかけを行ったものと推測されるのに対し,本件出資の買戻し等による本件出資に係る払込金額相当額の回収は実現していない。してみれば,シティ・アイランド開発に対する出資者ないしその譲受人中に当該出資の払込金額と同額でシティ・アイランド開発に譲渡している者がいるとしても,そのことをもって,シティ・アイランド開発の出資者が,当該出資の買戻しの要求を行うこと等により,シティ・アイランド開発に対する実質的な支配力を有しているものと解することもできない。 d 以上から,本件出資について,CないしCから本件出資の贈与を受けた原告らにおいて,シティ・アイランド開発に対 発に対する実質的な支配力を有しているものと解することもできない。 d 以上から,本件出資について,CないしCから本件出資の贈与を受けた原告らにおいて,シティ・アイランド開発に対する支配権を有していたものと認めることはできない。 (5)ア (4)記載の検討結果に照らせば,本件出資の価額について,被告税務署長らが主張する純資産価額方式により評価することが相当であるとは言い難い。 イそこで,この場合の本件出資の価額の評価をいかにするかが問題となる。 この点については,上記認定のように,CないしCから本件出資の贈与を受けた原告らにおいて,シティ・アイランド開発に対する支配権を有するものではなく,また,シティ・アイランド開発からの本件出資の払込金額相当額の回収を期待していたとはいえ,同回収が確実なものとして約束されていたとはいえないことにかんがみれば,本件出資の時価すなわち客観的交換価値としては,結局本件出資に対する配当を期待する限度に止まるものと解さざるを得ない。この点,シティ・アイランド開発の事業の性格から,当面の配当は期待し難いものの,同事業が順調に推移した場合には,多額の配当あるいは状況に応じて払込金額相当額の回収自体も可能と認められるが,これらもあくまでそのような可能性があるというに止まり,確実なものとはいえない。 したがって,本件出資の客観的な交換価値を把握することは非常に困難なものといわざるを得ないが,評価基本通達188-2の定める配当還元方式の考え方そのものは優れて合理的なものであることは(2)ア記載のとおりであることに照らせば,本件出資を評価するについても,上記配当還元方式の考え方を参酌して評価するのが,客観的な交換価値の把握方法として相当であると解される。 的なものであることは(2)ア記載のとおりであることに照らせば,本件出資を評価するについても,上記配当還元方式の考え方を参酌して評価するのが,客観的な交換価値の把握方法として相当であると解される。 ウもっとも,本件において,専ら本件出資の評価額を低廉なものとするための方策として1対99の割合をもって資本金と資本準備金への振り分けをしており,評価基本通達188-2に定める配当還元方式を適用して本件出資の価額を評価することが実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであって,上記評価方法によらないことが正当と是認される特別の事情が存するものといえることは,(3)オ記載のとおりである。 この場合,イ記載のとおり評価基本通達188-2の定める配当還元方式の考え方自体には合理性があり,上記資本金と資本準備金への1対99の振り分けが合理性の存しない租税回避目的のものと認められることにかんがみ,また,イ記載のように,本件事業が順調に推移した場合には多額の配当あるいは状況に応じて払込金額相当額の回収自体も可能となることをも踏まえると,本件出資に係る払込金額(1口当たり100万円)全額を資本金に当たるものとした上で,評価基本通達188-2に定める方式に準じて本件出資の価額の評価をするのが相当と解される。 この点,原告らは,特に非上場会社においては,時価発行の場合,発行価格の2分の1ぎりぎりまで資本準備金に組み入れるのが実態であるとして,本件出資の評価においても,1口当たり100万円の払込金額のうち半額の50万円を資本金に当たるものとした上で評価基本通達188-2に定める方式に準じて本件出資の価額の評価をすべき旨主張する。 しかしながら,原告ら主張のような実態が存するとしても,シティ・アイラン 本金に当たるものとした上で評価基本通達188-2に定める方式に準じて本件出資の価額の評価をすべき旨主張する。 しかしながら,原告ら主張のような実態が存するとしても,シティ・アイランド開発に対する出資については,原告ら主張にように1口当たり100万円の払込金額のうち半額の50万円を資本金に充て,残り50万円を資本準備金に充てるといった取扱を行っていないのであるから,本件出資の価額の評価に際し,1口当たり100万円の払込金額のうち半額の50万円を資本金に当たるものとして評価することが相当であるとは認められない。 (6) 以上から,評価基本通達188-2に定める方式に準じ,出資1口当たりの資本金額を払込金額全額の100万円とした上で,本件出資の価額を評価するのが相当であるところ,これによれば,本件出資の価額は1口当たり50万円と評価すべきこととなる。 (7)アそこで,原告らに係る平成6年分贈与税について計算すると,別表6「贈与税計算表」記載のとおり,原告Aについては,課税価格2835万4000円,納付すべき税額1275万2400円,原告Bについては,課税価格7859万4492円,納付すべき税額4479万6100円となる。 イ以上から,本件各更正については,原告Aについて,課税価格2835万4000円,納付すべき税額1275万2400円を超える部分,原告Bについて,課税価格7859万4492円,納付すべき税額4479万6100円を超える部分は,それぞれ取り消すべきこととなる。 なお,原告らが本件各更正について取消しを求める部分中,本件裁決について取り消されている部分(原告Aについて,課税価格4681万4550円,納付すべき税額2413万9100円を超える部分,原告Bについて,課税価格1億 各更正について取消しを求める部分中,本件裁決について取り消されている部分(原告Aについて,課税価格4681万4550円,納付すべき税額2413万9100円を超える部分,原告Bについて,課税価格1億3397万6142円,納付すべき税額8246万3200円を超える部分)については,その取消しを求める訴えの利益が存しないから,却下するのが相当である。 3 争点(3)(本件各賦課決定について,国税通則法65条4項所定の「正当な理由」の有無)について(1) 2で認定したところに基づき,原告らの平成6年分贈与税に係る過少申告加算税の額を計算すると,別表7「過少申告加算税計算表」記載のとおり,原告Aについては182万円,原告Bについては658万8500円となる。 (2) この点,原告らは,過少申告加算税の賦課決定(本件各賦課決定)について,国税通則法65条4項所定の「正当な理由」が存する旨主張する。 しかしながら,同項所定の「正当な理由」が存するとして,過少申告加算税を賦課しない場合とは,納税者の故意過失に基づかずして過少申告となった場合のように,当該申告が真にやむを得ない理由によるものであり,こうした納税者に過少申告加算税を賦課することが不当若しくは酷になると認められる場合をいうものと解すべきである。 これを本件についてみるに,2(3)記載のとおり,本件においては,専ら本件出資の評価額を低廉なものとするための方策として本件出資の払込金額について1対99の割合をもって資本金と資本準備金への振り分けをしているものであり,評価基本通達188-2に定める配当還元方式を適用して本件出資の価額を評価することは,実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであって,上記評価方法によらないことが正当と是認される特別の ,評価基本通達188-2に定める配当還元方式を適用して本件出資の価額を評価することは,実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであって,上記評価方法によらないことが正当と是認される特別の事情が存するとして,評価基本通達188-2に定める配当還元方式によるべきでないと解されるところである。してみれば,かかる原告らの本件申告について,当該申告がやむを得ない理由によるものということは到底できず,原告らが本件申告をすることについて,国税通則法65条4項所定の「正当な理由」は認められない。 よって,この点についての原告らの主張は失当である。 (3) したがって,本件各賦課決定については,原告Aについて182万円を超える部分,原告Bについて658万8500円を超える部分については,それぞれ取り消すべきこととなる。 なお,原告らが本件各賦課決定について取消しを求める部分中,本件裁決について取り消されている部分(原告Aについて352万7000円を超える部分,原告Bについて1224万6500円を超える部分)については,その取消しを求める訴えの利益が存しないから,却下するのが相当である。 4 争点(4)(本件裁決の固有の瑕疵の有無)について(1) 行政事件訴訟法10条2項は,審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えにおいて,原処分の違法を理由として当該裁決の取消しを求めることができない旨規定するところ,その趣旨が,原処分が実体的にみて違法なものであるか否かの点については,これを専らその原処分の取消しを求める訴訟において審理,判断させるものとし,裁決取消しの訴えにおいては,裁決固有の瑕疵,すなわち,裁決の主体や手続等の形式に関する違法の点についてのみ審理,判断させるものとする点にあることは明らかである。 審理,判断させるものとし,裁決取消しの訴えにおいては,裁決固有の瑕疵,すなわち,裁決の主体や手続等の形式に関する違法の点についてのみ審理,判断させるものとする点にあることは明らかである。 (2) 原告らは,本件裁決には理由附記不備の違法がある旨縷々主張する。 しかしながら,証拠(甲14号証)によれば,被告国税不服審判所長は,本件裁決に係る裁決書において,審査請求に至る経緯や原処分の概要,双方の主張の概要を記載した上で,被告国税不服審判所長の判断を17頁にわたって詳細に記載していることが認められ,その記載内容をみても,本件裁決において,理由附記不備の違法が存するものとは認められない。 原告らの主張は,自己の主張が容れられなかった部分について,納得できる理由が付されていないとして不服をいうものにすぎず,結局は,原処分の実体面についての不服をいうものに他ならない。 したがって,本件裁決が理由附記不備により違法であるとする原告らの主張は失当である。 (3) 次に,原告らは,国税通則法99条に定める国税庁長官への申出の手続を過怠している旨主張する。 しかしながら,国税通則法99条1項は,国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決をするときに,被告国税不服審判所長に国税庁長官への意見の申出を義務付けるものである。しかるに,本件は,2(3)記載のとおり,評価基本通達188-2に定める配当還元方式によるべきでない特別の事情が存する場合であり,このような場合に同項による国税庁長官への意見の申出が必要とは解されない。 (4) さらに,原告らは,被告国税不服審判所長が本件裁決において大阪国税局長の主張する買戻し約定の存在を否定したのであれば,被告税務署長らが評価 税庁長官への意見の申出が必要とは解されない。 (4) さらに,原告らは,被告国税不服審判所長が本件裁決において大阪国税局長の主張する買戻し約定の存在を否定したのであれば,被告税務署長らが評価基本通達総則6項で定める国税庁長官の指示を受けていないのであるから,買戻し約定の存否の認定で裁決を終了すべきである旨主張する。 しかしながら,審査請求における審査の対象は,課税庁の処分理由の当否ではなく,課税庁の認定した所得金額ないし税額の存否一般にわたるものであるから,被告国税不服審判所長が,前提となる事実等(6)カ記載のとおり,買戻し約定の存否について判断を加えた上で,評価基本通達188-2に定める配当還元方式によるべきでない特別の事情が存するとし,純資産価額方式によって本件出資を評価したうえで,原処分を一部取り消す旨の本件裁決を行ったことをもって,評価基本通達6項に違反するものと解することはできない。 (5) さらに,原告らは,国税不服審判所の独立性が確保されていない旨の主張をするが,原告ら主張のような人事交流等を前提としても,これをもって,原処分庁とは別個の機関により審査,裁決を行うとの被告国税不服審判所長による裁決の趣旨を没却するような違法が存するものということはできない。 (6) 他に本件裁決固有の瑕疵に当たるような違法事由は何ら認められないから,被告国税不服審判所長による本件裁決の取消しを求める原告らの請求は理由がない。 5 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判官田中健治 裁判官小野裕信 裁判長裁判官山田 裁判官田中健治 裁判官小野裕信 裁判長裁判官山田知司は,差し支えにつき,署名押印することができない。 裁判官田中健治
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