平成31(ネ)10008 不正競争防止法に基づく差止・損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和3年3月30日 知的財産高等裁判所 2部 判決 原判決変更 東京地方裁判所 平成30(ワ)22646
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判決文本文77,416 文字)

令和3年3月30日判決言渡平成31年(ネ)第10008号不正競争防止法に基づく差止・損害賠償請求控訴事件(原審東京地方裁判所平成30年(ワ)第22646号)口頭弁論終結日令和3年1月26日判決 控訴人株式会社北里コーポレーション 同訴訟代理人弁護士日野修男 被控訴人株式会社リプロライフ 同訴訟代理人弁護士松本賢人能勢章 主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は,ガラス化凍結保存容器及びそれと共に用いる凍結液,融解液の広告,取引に用いる書類及びウェブサイトその他の宣伝広告媒体において,「解凍後100%生存」,「100% survival」,「100% Post-warmSurvival」,「achieving 100%, literally 100%, survival」及び「凍結卵を解凍した後の生存率100%を達成できる」旨の表示をしてはならない。 3 被控訴人は,インターネット上の別紙アドレス目録記載1のアドレスにおいて開設するウェブサイトから,別紙表示目録記載1及び2の各表示のうち「解凍後 100%生存」と記載された部分を抹消せよ。 4 被控訴人は,インターネット上の別紙アドレス目録記載2のアドレス において開設するウェブサイトから,別紙表示目録記載3~5の各表示のうち「生存率」「100%」と記載された部分,同目録記載6の表示のうち「100%の高い生存率」と記載された部分をそれぞれ抹消せよ。 において開設するウェブサイトから,別紙表示目録記載3~5の各表示のうち「生存率」「100%」と記載された部分,同目録記載6の表示のうち「100%の高い生存率」と記載された部分をそれぞれ抹消せよ。 5 被控訴人は,インターネット上の別紙アドレス目録記載3のアドレスにおいて開設するウェブサイトから,別紙表示目録記載7の表示のうち「100% survivalvitrification!」と記載された部分,同目録記載8の表示全部,同目録記載9の表示のうち「100% post-warmsurvivalrates」と記載された部分及び同目録記載10の表示のうち「100% survival」と記載された部分をそれぞれ抹消せよ。 6 被控訴人は,インターネット上の別紙アドレス目録記載4のアドレスにおいて開設するウェブサイトから,別紙表示目録記載11の表示のうち「100% SURVIVAL」と記載された部分及び同目録記載12の表示のうち「achieving 100%, literally 100%, survival」と記載された部分をそれぞれ抹消せよ。 7 被控訴人は,ガラス化凍結保存容器及びそれと共に用いる凍結液,融解液の広告宣伝物から,別紙表示目録記載11の表示のうち「100%SURVIVAL 」と記載された部分,同目録記載12の表示のうち「achieving 100%, literally 100%, survival」と記載された部分,同目録記載13の表示のうち「100% survival」と記載された部分及び同目録記載14の表示のうち「100% SURVIVAL」と記載された部分をそれぞれ抹消せよ。 8 被控訴人は,控訴人に対し,4346万8397円並びにうち2639万7539円に対する平成30年7月26日から支払済みま 00% SURVIVAL」と記載された部分をそれぞれ抹消せよ。 8 被控訴人は,控訴人に対し,4346万8397円並びにうち2639万7539円に対する平成30年7月26日から支払済みまで年5分の割合による金員,及びうち1707万0858円に対する令和2年11月11日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 9 控訴人のその余の請求を棄却する。 10 訴訟費用は,第1,2審を通じて,これを4分し,その1を被控訴人の負担とし,その余を控訴人の負担とする。 11 この判決は,第2項~第8項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 当事者の求めた裁判 1 原判決を取り消す。 2 主文第2項から第6項までと同旨 3 被控訴人は,ガラス化凍結保存容器及びそれと共に用いる凍結液,融解液並びにそれらの広告宣伝物から,原判決別紙表示目録記載11の表示のうち「100% SURVIVAL」と記載された部分,同目録記載12の表示のうち「achieving100%, literally 100%, survival」と記載された部分,同目録記載13の表示のうち「100% survival」と記載された部分及び同目録記載14の表示のうち「100%SURVIVAL」と記載された部分をそれぞれ抹消せよ。 4 被控訴人は,控訴人に対し,3億円及びうち7591万7834円に対する平成30年7月26日から支払済みまで年5分の割合による金員,うち2億2408万2166円に対する令和2年11月11日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え(原審における請求は,7591万7834円及びこれに対する平成30年7月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を求め に対する令和2年11月11日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え(原審における請求は,7591万7834円及びこれに対する平成30年7月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を求めるものであったが,当審において,このように拡張した。)。 第2 事案の概要1(1) 本件は,卵子等のガラス化凍結保存・加温融解に用いる医療関連器具を販売する控訴人が,同種の医療関連器具を販売する被控訴人の管理に係るウェブサイト又は被控訴人の作成に係るカタログに表示されている別紙表示目録記載1~14の各表示(以下,各表示をそれぞれ「本件表示1」などといい,これらを総称して「本件各表示」という。)のうち「解凍後100%生存」,「生存率」「100%」,「100%の高い生存率」,「100% survivalvitrification!」,「100% post-warm survivalrates」,「100% survival」(大文字により表記されたものを含む。)及び「achieving 100%, literally 100%, survival」と記載された各部分並びに本件表示8の表示全部(以下,これらを併せて「本件記載部分」という。)は,被控訴人が販売する製品の品質及び内容(以下「品質等」という。)を誤認させる表示であって,上記のウェブサイト及びカタログに本件記載部分を表示することは,平成30年法律第33号による改正後の不正競争防止法(以下「法」という。)2条1項20号(上記改正前は14号)の不正競争に当たり,それによって控訴人が営業上の利益を侵害されたと主張して,被控訴人に対し,法3条1項に基づき,上記のウェブサイト及びカタログ並びに被控訴人らが販売する「ガラス化凍結保存容器及びそれと共に用いる凍結液,融解液」における本件記 上の利益を侵害されたと主張して,被控訴人に対し,法3条1項に基づき,上記のウェブサイト及びカタログ並びに被控訴人らが販売する「ガラス化凍結保存容器及びそれと共に用いる凍結液,融解液」における本件記載部分の抹消と,被控訴人らの販売する上記の製品の広告に「解凍後100%生存」,「100% survival」,「100%Post-warmSurvival」,「achieving 100%, literally 100%, survival」及び「凍結卵を解凍した後の生存率100%を達成できる」旨の表示をすることの差止めを求めるとともに,法4条に基づき,平成27年7月26日から平成30年7月25日までに生じた法5条2項の損害及び弁護士費用の合計7591万7834円並びにこれに対する平成30年7月26日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めていた事案である。 原審は,控訴人の請求を棄却したところ,控訴人が控訴を提起した。 (2) 当審において,控訴人は,請求の対象期間を平成27年7月26日から令和2年7月31日までに拡張し,同期間に発生した法5条2項の損害及び弁護士費用の合計8億4353万1491円のうちの一部請求として3億円並びにうち7591万7834円に対する平成30年7月26日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金,及びうち2億2408万2166円に対する令和2年11月11日(当審における訴えの変更の申立てに係る書面の送達の日の翌日)から年3分の割合による遅延損害金の支払を 求めており,また,原審の差止請求のうち被控訴人の販売する「ガラス化凍結保存容器及びそれと共に用いる凍結液,融解液」 申立てに係る書面の送達の日の翌日)から年3分の割合による遅延損害金の支払を 求めており,また,原審の差止請求のうち被控訴人の販売する「ガラス化凍結保存容器及びそれと共に用いる凍結液,融解液」における表示の差止請求を取り下げた。 2 前提事実(争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)は,次のとおり補正するほかは,原判決の事実及び理由欄の「第2 事案の概要」1に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決5頁15行目の「という。」を「といい,被告サイト1,被告サイト2及び被告カタログを併せて「被告広告」という。」に改める。 (2) 原判決6頁2行目末尾の次に行を改めて次のとおり加える。 「(6) 被告製品には,「100% SURVIVAL」,「achieving 100%, literally 100%,survival」,「100% survival」の記載はない。」 3 争点(1) 被告広告に本件記載部分を表示することは,法2条1項20号の不正競争に該当するか。 ア被告広告の対象者イ本件各表示の意味(ア) 100%の生存率を達成できるための前提条件の有無(イ) 対象者の年齢の限定の有無ウ被告製品は,卵子及び胚の100%の生存率を達成できないと認められるか。 (ア) 生存の判定方法(イ) 100%の生存率の達成の可否エ被告製品の販売方法(2) 控訴人は,営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれがあるか。 (3) 被控訴人の故意又は過失の有無(4) 損害額 4 争点についての当事者の主張 (1) 争点(1)ア(被告広告の対象者は誰か)について( るおそれがあるか。 (3) 被控訴人の故意又は過失の有無(4) 損害額 4 争点についての当事者の主張 (1) 争点(1)ア(被告広告の対象者は誰か)について(控訴人)被告広告による情報の提供は,専門的な知識を十分有する医療関係者や学術研究者に向けられたものであったとしても,最終的には施術を受ける患者へも届くものであり,患者はその表示を信頼して,被告製品の代価を負担するものである。 マレーシアにあるアルファ国際不妊治療センター(以下「AFC」という。)やジェネシス・IVF・アンド・ウィメンズ・スペシャリスト・センター(以下「ジェネシス」という。)は,クライオテック法を採用していることを公表しており(甲88~90,92,93),医療法人社団桐杏会メディカルパーク横浜(以下「メディカルパーク横浜」という。)は,開設するウェブサイトにおいて,被控訴人のウェブサイト(甲96,97)を引用し,「生存率100%」を患者にアピールしている(甲94,95)。 患者が被告サイト1,2を直接閲覧して,被控訴人の卵子等の凍結保存技術を受ける選択をすることも十分考えられる。この意味において,不妊治療の患者も被告サイト1,2等の表示に接する需要者に他ならない。 「チャレンジ100に関する覚書」(乙43)には,「患者様の治療施設選択の一助となるべく,100%SurvivalClub 施設は,機関誌や学会を含めた媒体に100%生存に関するテーマを掲載することに努め」と記載されていることからすると,被告広告における「生存率100%」の表示は,患者にも向けられたものであって,「患者様の治療施設選択の一助」を目的とするもの,すなわち,顧客を誘引するための表示であることが明らかである。 (被控訴人)ア被告 0%」の表示は,患者にも向けられたものであって,「患者様の治療施設選択の一助」を目的とするもの,すなわち,顧客を誘引するための表示であることが明らかである。 (被控訴人)ア被告製品は,人の生殖医療における卵子や胚盤胞の凍結保存に用いられるものであるところ,卵子を人体(母体)から取り出すこと,また取り出した卵子に精子を受精させて胚盤胞を形成させることは,日本でも海外でも専門的な知識を有する医師や学術研究者が行っており,専門的知識を有しない一般人が行うことは 常識的にはあり得ない。また,後記(6)のとおり,被控訴人においては,被告製品は,被控訴人から,凍結,融解した卵子の生存率100%を達成したことの認定登録された者に対してしか販売しておらず,一般消費者に対して販売する仕組みになっていない。 したがって,被告製品の需要者は,一般消費者ではなく,専門的な知識を十分有する医療関係者や学術研究者に限られ,被告広告による情報の提供は,専門的な知識を十分有する医療関係者や学術研究者に向けられたものであって,それ以外の者は含まれていない。 イ控訴人は,メディカルパーク横浜のウェブサイトに被告製品を使用していることを広告している旨主張する。 しかし,上記ウェブサイトに控訴人が指摘する記事が掲載されたのは令和2年1月28日のことであり,そこには被控訴人の社名の記載もなく,被控訴人代表者の名前が記載されているにすぎない。 (2) 争点(1)イ(ア)(本件各表示の意味-100%の生存率を達成できるための前提条件の有無)について(控訴人)被告広告には,「専門の技師や医師に対して正しい使用法を正しく教育されている」とする条件,「専門的な知識を十分有する医療関係者のうち,被控訴人の技術講習会に参加して認定 ついて(控訴人)被告広告には,「専門の技師や医師に対して正しい使用法を正しく教育されている」とする条件,「専門的な知識を十分有する医療関係者のうち,被控訴人の技術講習会に参加して認定証を取得した者」とする条件,「体外受精治療に耐えられない変性卵子,異常卵子などは,卵子の凍結保存/融解をしないので除かれる。」とする条件は,いずれも記載されていない。 かえって,被告サイト1(甲28)には,「より簡単な方法で,安全,簡単に凍結融解でき,高生存率,高妊娠率を得ることができます。」,「そしてガラス化経験や基礎知識の有無にかかわらずどなたでも人為的ミスがなく同じ良好成績を得られるように,18ヶ所の改良が新たに加えられました。」との記載があり,被告サイト2(甲12)には,「最も効果的で,最も簡単そして安全です。」,「クライオテッ ク・メソッドは高度に単純化されたガラス化凍結手順です。」,「誰にでも簡単です。」との記載がある。 (被控訴人)ア医療関係者が被告製品を使えば,無条件に100%の生存率を得られるものではなく,①正常な卵子,胚を選別し,正しいツールを使用し,②正しいプロトコールを正確に習得し,③プロトコールを厳格に守り,④プロトコールを正確に再現することが必要である。 イ被控訴人代表者は,クライオテック法について無料の技術講習会(ワークショップ)を世界中で開催し,被控訴人代表者が臨床現場の技師や医師に対して,プロトコールを正確に伝えて,正しい使用法を指導することによって,その技術を移転している。技術移転が正しく完了したというためには,技術講習会において受講者がクライオテック法に基づいて100%の生存率を達成できることが条件であり,これが達成できた場合には,それを達成できたことを示した認定証を渡 転が正しく完了したというためには,技術講習会において受講者がクライオテック法に基づいて100%の生存率を達成できることが条件であり,これが達成できた場合には,それを達成できたことを示した認定証を渡すが,被控訴人は,クライオテック法に基づいて生存率100%を達成できたとの認定を受けた医療機関に対してしか,被告製品を販売していない。 このように,被告広告の情報提供の対象者は,専門的な知識を十分有する医療関係者全般であるものの,生存率100%の対象者は,専門的な知識を十分有する医療関係者のうち,被控訴人の技術講習会に参加して認定証を取得した者(技術講習会で生存率100%を達成できた者)であって,かつ,プロトコールを厳守しながら,クライオテック法に基づいて被告製品を使用して正常卵子の凍結・融解を行った場合にのみ生存率100%が達成できる。そのため,仮に,被控訴人の技術講習会に参加して認定証を取得した医療関係者であっても,プロトコールを厳守しない場合は,生存率100%の対象者となり得ない。 (3) 争点(1)イ(イ)(本件各表示の意味-対象者の年齢の限定の有無)について(控訴人)ア被告サイト1(甲28)には,「胚盤胞,分割胚そして卵子の生存率が 100%になります。(プロトコールを厳守した場合)」との記載があるだけであって,対象患者の年齢の制限についての記載はない。 イ平成25年5月2日,厚生労働省は,「第1回不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」(甲67)において,「不妊治療をめぐる現状」(甲68)という資料を配付したが,同資料によると,特定不妊治療助成事業における助成対象者のうち,40歳以上の割合は30.1%に達しており,不妊治療における40歳以上の患者は無視できる人数ではない。 8)という資料を配付したが,同資料によると,特定不妊治療助成事業における助成対象者のうち,40歳以上の割合は30.1%に達しており,不妊治療における40歳以上の患者は無視できる人数ではない。 ウ平成21年10月27日に「ヒューマン・リプロダクション」に発表された「Embryodevelopmentoffresh ‘versus' vitrifiedmetaphaseIIoocytesafterICSI: aprospectiverandomizedsibling-oocytestudy(訳文顕微授精後の分裂中期Ⅱの新鮮卵子「対」ガラス化凍結卵子の胚の発育:無作為抽出された兄弟卵子の研究の展望)」(甲73)では,「対象患者の平均年齢は36.5歳 ±(標準偏差)4.8歳(範囲26~42歳)」と記載されており,「不妊医療界」において,39歳を超える42歳の患者が調査研究の対象とされている。 また,ロシアにあるアルトラビータ・IVF・クリニック(以下「アルトラビータ」という。)の上級エンブリオロジストであるコンスタンチン・キリエンコ(以下「キリエンコ」という。)が作成し,乙30の1(以下「乙30報告」という。)を作成したセルゲイ・ヤコベンコ(以下「ヤコベンコ」という。)が名前を連ねた論文(甲91の1。以下「甲91文献」という。)では,39歳を超える44歳までの患者が臨床研究の対象とされており,AFCの研究報告(乙50の1)でも39歳を超える患者の不妊治療が報告されている。 さらに,公益社団法人日本産科婦人科学会(甲75の3)が発表する「ART(生殖補助医療)妊娠率・生産率・流産率2016」(甲75の1)には,40歳以上の患者を含む表が記載されている。 エしたがって,不妊治療を受ける患者が39歳までに 75の3)が発表する「ART(生殖補助医療)妊娠率・生産率・流産率2016」(甲75の1)には,40歳以上の患者を含む表が記載されている。 エしたがって,不妊治療を受ける患者が39歳までに限定されることはない。 (被控訴人)不妊医療界では,20歳から39歳の年齢の不妊患者が一般不妊女性患者であり,40歳以上の不妊患者は高齢不妊患者と定義されている。40歳以上の高齢不妊患者になると,加齢により卵子の受精能,受精後の発生能,耐凍能,移植後の着床能,挙児への発生能,新生児異常率などが有意に異なっていて,種々のデータが解析困難になるため,高齢不妊患者が一般不妊患者と明確に区別されることは,専門の医療関係者にとっては当たり前のことである。そのため,被告広告に特に年齢の記載がなかったとしても,専門の医療関係者にとって当然のことであるから,それらを見て誤認することはあり得ない。 (4) 争点(1)ウ(ア)(生存の判定方法)について(控訴人)ア生存判定には,卵子では融解後2時間の経過が必要であり,胚盤胞では融解後1~4時間が必要である。このことは,①A他「Survivalandpost-warminginvitrocompetenceofhumanoocytesafterhighsecurityclosedsystemvitrification(訳文高い安全性の閉鎖型システムによる凍結後のヒト卵子の生存および加温後の試験管内能力)」(平成25年1月25日)(甲69。以下「A論文」という。),②B教授の意見書(甲65の1。以下「B意見書」という。),③葛西孫三郎他「Morphologicalappearanceofthecryopreservedmousebla という。),②B教授の意見書(甲65の1。以下「B意見書」という。),③葛西孫三郎他「Morphologicalappearanceofthecryopreservedmouseblastocystasatooltoidentifythetypeofcryoinjury(訳文凍結保存したマウス胚盤胞の形態学的外観から凍結による損傷の種類を特定する方法について)」ヒューマン・リプロダクション17巻7号1863頁~1874頁(平成14年)(甲102の1。以下「葛西論文」という。),④エンブリオツールズ社の作成した文書(甲63の1),⑤PMA研究所所長ロドヴィコ・パルメジャーニ他による論文(乙40の1)からも裏付けられる。 なお,A論文では,融解直後はどの卵子も機能停止した状態であり,生存と判定することはできず,融解から時間経過して卵子の機能回復を観察確認して初めて生 存が判定できるとされており,葛西論文では,融解直後は正常に見えるが,1時間培養すると胚が死滅した例が示されている。 イ被控訴人の生存の判定方法は,「卵子,分割期胚はもとの体積へ回復した」,「胚盤胞は胞胚腔の再拡張が観察された」というものであるが,細胞の体積回復は,半透膜を境として濃度の異なる溶液を接触させると濃度の高い方へと溶媒が移動するという半透膜の機能「浸透圧」に由来するものであるから,被控訴人の判定方法は,細胞膜の浸透圧の機能を見るにすぎず,細胞の本質である細胞質を観察するものではない。 また,卵子は体積が回復した後に細胞膜が崩壊して死滅することもあるから,「浸透圧による体積回復と胞胚腔の再拡張の観察」だけでは,生存卵子を見極めるには不足である。 したがって,被控訴人の上記判定方法では,卵子,胚盤胞の生存を判定することは 死滅することもあるから,「浸透圧による体積回復と胞胚腔の再拡張の観察」だけでは,生存卵子を見極めるには不足である。 したがって,被控訴人の上記判定方法では,卵子,胚盤胞の生存を判定することはできない。 (被控訴人)ア卵子や胚は,精子と異なって大きな運動性を有しないので,顕微鏡による形態学的観察結果に依存せざるを得ない部分があり,従来は,顕微鏡で形態学的観察により細胞の「死の証拠」を示す所見があるかどうかで,卵子の死滅を判断していた。卵子細胞膜の破裂や亀裂,細胞の萎縮などの明らかな「死滅」の形態が観察された場合に,「死滅」と判定するというものであるが,このような形態学的観察だけでは,完全に死滅の兆候を示した細胞を判定されるだけであり,変色の程度が薄いとか,収縮が緩慢であった場合には,死滅か生存かを判断できないという課題があった。すなわち,顕微鏡レベルでも,見た目で変化のない死んだ細胞は生きていると判断され,死んだふりをしている細胞は,生きていても死んでいると誤って判断されていた。 このような課題を克服し,より精緻に生存を判定するために,被控訴人代表者において,従来の形態学的観察に加えて,生体膜機能の理論を応用して,細胞体積の 正常回復と胞胚腔の再形成という,細胞の「生存の証拠」によって卵子及び胚盤胞の生存の判断を確実に行う方法を確立し,世界に広めた。 イ具体的な判定方法は,以下のとおりである。 (ア) 卵子について卵子を解凍後,WS(洗浄液)で5分間の処理中に細胞体積が回復したものを,融解施設のルーティン法で培養し,2~4時間の回復培養後,顕微鏡観察し,凍結前と同等な形態に回復しているものを生存とする。 体積の回復の確認は,各施設の臨床ガイドラインに従い,卵子では顕微授精前に,倒 施設のルーティン法で培養し,2~4時間の回復培養後,顕微鏡観察し,凍結前と同等な形態に回復しているものを生存とする。 体積の回復の確認は,各施設の臨床ガイドラインに従い,卵子では顕微授精前に,倒立顕微鏡による形態学的な観察(施設にもよるが一般に200から400倍)により行う。 (イ) 胚盤胞について胚盤胞を解凍,希釈処理後,融解施設のルーティン法で培養し,3時間の回復培養中に顕微鏡観察し,凍結処理によって収縮,消失した胞胚腔の再形成が認められたものを生存とする。 胞胚腔の再形成の確認は,各施設の臨床ガイドラインに従い,胚盤胞では移植前に,倒立顕微鏡による形態学的な観察(施設にもよるが一般に200から400倍)により行う。 (ウ) 技術移転のための技術講習会における生存判定法は,凍結,融解の手技が再現できていることを確認するために,異常卵子(医療機関から提供を受けた廃棄卵子で,抵抗力が弱いため臨床では使わない。)を用いてガラス化保存を実施した場合の生存判定法であり, 卵子を解凍後,WS(洗浄液)で5分間の処理中に,50倍以上の倍率の実体顕微鏡によって,凍結により収縮した細胞体積が回復したもの(細胞形態が回復中であるといえるもの)を生存と判定する。技術講習会では,活力の高い正常卵子ではなくて,抵抗力の弱くて死滅しやすい異常卵子を使用せざるを得ないこと,融解後の培養条件が全く異なること,体外受精も行わないことから,5分間の処理中に体積の回復を以て生存を判定している。 このように,技術移転のための技術講習会における凍結,融解の手技での再現における生存の判定方法は,上記(ア),(イ)の臨床データにおける生存の判定方法とは異なる。 (エ) なお,被控訴人代表者は,クライオテック法の効果や安全性を検証す る凍結,融解の手技での再現における生存の判定方法は,上記(ア),(イ)の臨床データにおける生存の判定方法とは異なる。 (エ) なお,被控訴人代表者は,クライオテック法の効果や安全性を検証するために,平成24年から同26年にかけての2~3年の間,生殖医療,生殖工学分野の世界的専門家である医師や研究者に対して依頼して,「クライオテック法でガラス化凍結した患者卵子および胚の融解後の生存率の検討」を行ったが,その検討における生存の判定法は,以下のとおりである。 「常法に従い,卵子,分割期胚を洗浄液内で静置中に,溶液の浸透圧変化に正常に反応して収縮状態からもとの体積へ回復した卵子,胚を生存胚とした。細胞体積の回復状態の形態学的観察は実体顕微鏡を用い,50倍以上の倍率で行った。胚盤胞は洗浄中あるいは培養器内の回復培養中に,ガラス化液曝露により収縮,消失した胞胚腔の再拡張の観察された胚を生存胚とした。生存の判定は各施設の卵子,胚融解担当者が行い,各施設の臨床ガイドラインに従って顕微鏡観察により判定した。」ウ A論文についてA論文は,論文の目的を「生存率,受精率,胚発生率の観点から,安全性の高い閉鎖型器具を使用した,ヒト卵子の凍結のための二つの凍結法と2つの加温法を比較する。」としており,生存率のみならず,受精率及び胚発生率といった生存性の問題についての論文であることを明示している。 A論文によると,生存の評価については,「加温された卵子は,暗色/変性または収縮した卵細胞質がなく,透明帯に亀裂がない場合,『形態的に生き残っている』とみなされました。」としているところ,これ自体は上記で述べた被控訴人の臨床データにおける卵子の生存判定法よりも緩やかな基準といえるため,この基準を採用したとしても,被控訴人のクライオテック法の生存率 みなされました。」としているところ,これ自体は上記で述べた被控訴人の臨床データにおける卵子の生存判定法よりも緩やかな基準といえるため,この基準を採用したとしても,被控訴人のクライオテック法の生存率に変わりはない。 また,A論文は,ボロスコープ(偏光顕微鏡)分析によって紡錘体の再現を調べ たとするが,これは,「受精と胚の品質」を調べるためのものであり,これも「生存性」の問題であって,「生存率」とは関係がない。 エ B意見書についてB意見書は,「機能的に凍結前と同等であることが生存の条件」とした上で,「凍結融解卵子が非凍結融解卵子と同等の受精率,胚発生率が少なくとも要求される」とするが,これは,「生存率」ではなく,「生存性」の問題にすぎない。 このように,B意見書は,生存率と生存性の議論を混同しており,信用できない。 オ葛西論文について被控訴人の胚盤胞の生存判定方法は,融解してから3時間の回復培養中に顕微鏡観察し,凍結処理によって収縮又は消失した胞胚腔の再形成が認められたものを生存とするのであって,融解直後に生存判定するものではない。 葛西論文は,「凍結,解凍の各処理過程により細胞の受ける障害は異なるので,解凍,培養後の細胞障害所見によりその凍結手法の改良点が推測できる」という点にその趣旨があるところ,その趣旨は被控訴人の生存判定方法に合致するものであるから,葛西論文は被控訴人の主張を裏付けるものである。 他方,控訴人は,生存判定方法に関して,機能面からの経過観察が必要である旨の主張をしているところ,葛西論文には,機能面からの経過観察が必要との記載は一切なく,控訴人の主張を裏付けるものにはなり得ない。 (5) 争点(1)ウ(イ)(100%の生存率の達成の可否)について(控訴人)ア以下の各文献等によ の経過観察が必要との記載は一切なく,控訴人の主張を裏付けるものにはなり得ない。 (5) 争点(1)ウ(イ)(100%の生存率の達成の可否)について(控訴人)ア以下の各文献等によると,被告製品を用いて卵子や胚を凍結保存し融解するに当たり,クライオテック法の手順を厳密に遵守したとしても100%の生存率を達成することはできないことが認められる。 (ア) 平成25年7月に開催されたヨーロッパ生殖医学会の年次会議における「Acomparisonoftwodifferentvitrificationmethodsforcryopreservationofmaturehumanoocytes(訳文ヒト成熟卵子の凍結保存のための二つの異なる ガラス化法の比較)」と題する研究報告(甲14,15の各1・2。以下「研究報告1」という。)a 研究報告1は,インドにあるCセンター等の担当者らによって報告されたものであるが,同報告書には,クライオテック法により凍結して融解した症例の生存率は97.1%であったと記載されている。研究報告1は,執筆者として被控訴人代表者も名前を連ねる研究報告であるから,プロトコールの管理についても被控訴人代表者が関与できたものであり,また,同研究報告はヨーロッパ生殖医学会の年次会議において正式に発表されたものであるから,内容の真実性は高いものと認められる。 したがって,研究報告1から,クライオテック法では生存率100%を達成できないことが認められる。 b(a) 原判決は,D(以下「D」という。)の書簡(乙12の1・2。 以下「D書簡」という。)には,チームに加入した胚培養士が卵子を粗悪に取り扱ったため生存率を引き下げたとの記載を根拠として,手順を厳密 a) 原判決は,D(以下「D」という。)の書簡(乙12の1・2。 以下「D書簡」という。)には,チームに加入した胚培養士が卵子を粗悪に取り扱ったため生存率を引き下げたとの記載を根拠として,手順を厳密に遵守しても100%の生存率を達成することができないとは認められない旨判示した。 しかし,D書簡には,作成日付が記載されておらず,作成者であるDの肩書は現在閉院となっているCセンターの研究室長となっている。 また,Cセンターの医師は,卵子提供者に対する重過失致死の容疑で起訴されるなどしている(甲51,甲53の1・2)ほか,Dの事務所にヒト胚密輸容疑で捜索が行われるなどしており(甲52),Dには法規範の鈍麻がうかがわれる。 さらに,Dは,被控訴人代表者との共著があり(甲26の2),「Cryotech」のロゴが入ったTシャツを着て国際会議に参加する(甲54,55)などしており,被控訴人の事業と深い関わりがあるから,中立的な第三者ではない。 したがって,D書簡は信用できない。 (b) 原判決は,クライオテック法により実施した症例には,その完成前に実施されたものも含まれていた可能性があると判示するが,仮にそうであれば, 「その完成前に実施されたもの」はクライオテック法ではない。研究報告1は,「ヒト卵子の凍結保存のための二つの異なるガラス化法の比較」として,クライオトップ法とクライオテック法を比較したものであるから,クライオテック法の完成前に実施されたものが含まれている可能性はない。完成されてない方法であれば,クライオトップ法と比較できない。 (c) 被告サイト1(甲28)には,「より簡単な方法で,安全,簡単に凍結融解でき,高生存率,高妊娠率を得ることができます。」,「そしてガラス化経験や基礎知識の有無にかか 較できない。 (c) 被告サイト1(甲28)には,「より簡単な方法で,安全,簡単に凍結融解でき,高生存率,高妊娠率を得ることができます。」,「そしてガラス化経験や基礎知識の有無にかかわらずどなたでも人為的ミスがなく同じ良好成績を得られるように,18ヶ所の改良が新たに加えられました。」との記載があり,被告サイト2(甲12)には,「最も効果的で,最も簡単そして安全です。」,「クライオテック・メソッドは高度に単純化されたガラス化凍結手順です。」,「誰にでも簡単です。」との記載があり,同記載とクライオテック法マニュアル(甲44)によると,クライオテック法による卵子等の凍結保存,融解の手順は,特段の手技や技能を要するものではなく,未経験者でも手順の遵守は困難ではないことが認められる。 したがって,担当した胚培養士の技量が未熟であったとしても,手順を遵守しないことにはならない。 (イ) 平成26年7月1日発行の「日本生殖医学会雑誌」に掲載された「ヒト未受精卵凍結の検討-cryotop とcryotech との使用経験-」と題する研究報告(甲16の1~3。以下「研究報告2」という。)a 研究報告2には,原告製品の生存率は70.0%,被告製品の生存率は53.9%であったとの記載があり,同記載からすると,クライオテック法では生存率100%を達成できないことが認められる。 b 原判決は,研究報告2において,被告製品について,操作に慣れていないこともあり胚が見えづらかったという欠点が指摘されていることを根拠に,被告製品を使用した症例には,担当した医師らが使用手順を遵守しなかったものも含まれている可能性があると判示するが,「胚が見えづらかった」ことと「使用手 順を遵守する」こととは何の関係もないものであり, 使用した症例には,担当した医師らが使用手順を遵守しなかったものも含まれている可能性があると判示するが,「胚が見えづらかった」ことと「使用手 順を遵守する」こととは何の関係もないものであり,「胚が見えづらかった」との記載から「使用手順を遵守しなかったものも含まれている可能性がある」と認定することは誤りである。 また,研究報告2の作成者の一人である赤星孝子(以下「赤星」という。)作成の弁護士照会回答書(甲42)には,プロトコールを遵守したことと被控訴人の講習会に参加したことが記載されている。 さらに,前記(ア)b(c)のとおり,クライオテック法による卵子等の凍結保存,融解の手順は,特段の手技や技能を要するものではなく,未経験者でも手順の遵守は困難ではないから,「胚が見えづらかった」としても,手順を遵守しないことにはならない。 (ウ) 平成27年10月30日及び同年11月1日に開催された「生殖医療と婦人科内視鏡検査法の南アフリカ学会」の講演会における「OocyteandblastocystsurvivalratesfollowingimplementationoftheCryotechvitrificationmethod(訳文 Cryotech ガラス化法実施に伴う卵子細胞及び胚盤胞の生存率)」と題する研究報告(甲17の1~5。以下「研究報告3」という。)a 研究報告3には,クライオテック法によると,平均生存率は胚盤胞と卵子でそれぞれ87.8%と83.8%であったことが記載されており,生存率100%が達成されていないことが示されている。 b 原判決は,「研究報告3が,より最近の月における生存率が顕著にそれ以前の月よりも高くなっており,これはこの技術を用いた技師の経験が有益で 00%が達成されていないことが示されている。 b 原判決は,「研究報告3が,より最近の月における生存率が顕著にそれ以前の月よりも高くなっており,これはこの技術を用いた技師の経験が有益であることを示唆している旨考察していることからすると,担当技師が被告製品を使用する経験を重ねて手順を遵守することにより,遅くとも前記期間の最終月までには,生存率が100%に至っていたことがうかがわれるから,研究報告3によっては,手順を厳密に遵守して被告製品を用いて卵子を凍結保存し融解したとしても100%の生存率を達成することができないとは認めるに足りない。」と判示する。 しかし,「手順」には「使用経験を重ねる」という要件はなく,「担当技師が被告 製品を使用する経験を重ねる」という事実と,「手順を遵守する」ことは何らの関係もない。使用経験を重ねるかどうかにかかわらず,手順を遵守しさえすれば100%の生存率を達成できなければ,「手順を厳密に遵守しても100%の生存率を達成することができない」ものである。 そして,研究報告3には,「目的: Cryotech 法を用いた卵子および胚盤胞の生存率を研究すること。」,「Cryotech 技術の信頼性を判断するために調査された。」との記載があるとおり,研究報告3は,クライオテック法の生存率を研究することが目的であるから,その手順を遵守していたことが当然の前提となっている。 また,前記(ア)b(c)のとおり,クライオテック法による卵子等の凍結保存,融解の手順は,特段の手技や技能を要するものではなく,未経験者でも手順の遵守は困難ではないから,担当技師が被告製品を使用する経験がないことは,手順を遵守しないことにはならない。 (エ) 「VitrificationinAssistedRepro も手順の遵守は困難ではないから,担当技師が被告製品を使用する経験がないことは,手順を遵守しないことにはならない。 (エ) 「VitrificationinAssistedReproduction(訳文生殖補助医療におけるガラス化凍結)」の「3 VitrificationofOocytes:GeneralConsiderations(訳文第3章卵子の凍結にかかる一般的考察)」における「OurExperiencewithOocyteVitrification(訳文卵子のガラス化凍結の経験)」と題する研究報告(甲26の1~6。以下「研究報告4」という。)Dらが作成した研究報告4には,クライオテック法による凍結,融解卵子の生存率は94.5%であると報告されており,同記載からすると,クライオテック法による生存率が100%に達しないことが認められる。 同研究報告においても,被控訴人のプロトコールを遵守しないことはあり得ない。 (オ) 平成28年9月に開催された第34回日本受精着床学会の総会・学術講演会における「TheCryotechmethod:生存率 100%を可能とする新戦略」と題する研究報告(甲33の1・2。以下「研究報告5」という。)a 研究報告5は,被控訴人代表者によるものであり,「このガラス化法は,一般患者由来胚はもちろん,未成熟卵子,成熟卵子でも,またガン患者や高 齢患者由来の低グレード卵子,胚においても解凍後ほぼ100%の生存率が得られる極めて有効で安全な非侵襲的ガラス化法(TheCryotech 法:2012) として完成し」との記載がある。 同記載は,「解凍卵子・胚の生存率100%」を達成できないことが,この分野における常識であること,被控訴人代表 ラス化法(TheCryotech 法:2012) として完成し」との記載がある。 同記載は,「解凍卵子・胚の生存率100%」を達成できないことが,この分野における常識であること,被控訴人代表者が「100%の生存率」が得られないとの認識を有していたことを示すものである。 b 原判決は,研究報告5は,手順を厳密に遵守して実施した症例のみを対象としたものか明らかでないから,研究報告5によっては,手順を厳密に遵守して被告製品を用いて卵子を凍結保存し融解したとしても100%の生存率を達成することができないとは認めるに足りないと判示するが,被控訴人代表者が手順を厳格に遵守しないことはあり得ないことであり,手順を厳格に遵守して実施したものでなければクライオテック法ではないから,原判決の上記判断は誤りである。 (カ) アルトラビータのウェブサイトの記載(甲59)乙30報告を作成したヤコベンコの所属するアルトラビータのウェブサイトである甲59には,「ガラス化凍結のための私たちの技術は,融解後平均98%の生存率を示しています。」と記載され,融解後100%の生存を達成していないことが示されている。 (キ) 甲91文献a 甲91文献には,「精子の細胞質内注入後5または6日目に,クライオテック法(VitrificationKit 101; クライオテック,東京,日本)を使用してガラス化を実施した。予定された胚移植の日に胚盤胞を融解するために,クライオテック法(WarmingKit 102; クライオテック,東京,日本)を使用した。」,「透明帯のないグループの再拡張率(98.1%)は,透明帯無処置のグループの再拡張率(96.3%)と同等で,胚盤胞の生存性は透明帯除去操作によって影響されなかったことを示唆しまし )を使用した。」,「透明帯のないグループの再拡張率(98.1%)は,透明帯無処置のグループの再拡張率(96.3%)と同等で,胚盤胞の生存性は透明帯除去操作によって影響されなかったことを示唆しました。」と記載されており,クライオテック法を採用した凍結融解後,生存率100%を達成していないことが示されている。 b 被控訴人は,甲91文献は,生存率ではなく,生存性を示したものであると主張する。 しかし,「体外受精後の受精率(1日後)」,「分割(2~3日後)や胚盤胞(4~6日後)への発生率」は「発生能(あるいは発生能力)」(developmentalcompetence)と呼ばれるものである。これらは,凍結卵子の「生存性」(Viability)とは異なる概念である。 (ク) AFCのウェブサイトの記載(甲88~90)AFCのウェブサイトには,「2015年アルファ国際不妊治療センター(AFC)でのガラス化融解卵子の結果」(甲88),「2016年アルファ国際不妊治療センター(AFC)でのガラス化融解卵子の臨床結果」(甲89),「2017年新鮮ドナー卵子からの新鮮胚盤胞移植と,凍結ドナー卵子からの胚盤胞移植サイクルとの対比臨床結果。」(甲90)が記載されており,甲88には「結果: 合計65個の卵子が融解されました。63個の卵子が生存し(融解後の生存率:96.9%),顕微授精(ICSI)が行われました。」と,甲89には「結果:合計231個の卵子が融解されました。220個の卵子が生存し(融解後の生存率:95.2%),ピエゾ顕微授精 (Piezo-ICSI)を行いました。」と,甲90には「結果:グループAでは,合計284個の卵子が融解されました。272個の卵子が生き残りました(融解後の生存率:95.8%)。」とそれぞ 顕微授精 (Piezo-ICSI)を行いました。」と,甲90には「結果:グループAでは,合計284個の卵子が融解されました。272個の卵子が生き残りました(融解後の生存率:95.8%)。」とそれぞれ記載されており,生存率100%は達成されていないことが示されている。 (ケ) 田園都市レディースクリニックのウェブサイトの記載(甲57)a 被控訴人の卵子凍結融解の技術講習を受けた「田園都市レディースクリニック」(乙33)のウェブサイトには,「凍結融解後,胚が戻らないことがある」と記載されている(甲57)。「胚が戻らない」とは胚が死滅することを意味するから,生存率100%を達成していないことが示されている。 b 被控訴人は「胚が戻らないことがある」という文の意味が不明であると主張する。 しかし,「凍結融解後,胚が戻らないことがある」は胚の状態についての記述である。胚は施術によって母体に戻すものであって,胚が自発的に母体に戻るものでないから,「胚が母体に戻らない」の意味に解釈される余地はない。 c なお,被控訴人は,被控訴人の技術講習を受けて認定証を取得したのはE(以下「E」という。)であり,田園都市レディースクリニックのE以外の技師について「凍結保存後,胚が戻らないことがある」と表現しただけにすぎないと主張するが,同主張からすると,被控訴人の販売先において,認定証を持たない者が被告製品を使用していることになる。 (コ) 各医療機関からの質問に対する回答書等被告製品を使用して,凍結,解凍を行った卵母細胞,胚の生存率について,以下のとおりの回答を得た。 a 中国江蘇省塩城市塩城母子保健医療病院の婦人科主任兼生殖医学センター長であるF医師から,手順を厳密に遵守したにもかかわらず生存率は80 卵母細胞,胚の生存率について,以下のとおりの回答を得た。 a 中国江蘇省塩城市塩城母子保健医療病院の婦人科主任兼生殖医学センター長であるF医師から,手順を厳密に遵守したにもかかわらず生存率は80%以下であったとの回答を得た(甲45)。 b 中国江蘇省淮安母子保健病院の生殖医学センターのG胚培養士から,手順を厳密に遵守したにもかかわらず生存率は80%以下であったとの回答を得た(甲47)。 c 中国江蘇省人民医院の臨床生殖医療センターの発生学室の上級専門家であるHから,手順を厳密に遵守したにもかかわらず生存率は80%以下であったとの回答を得た(甲49)。 d 聖路加国際病院生殖医療センターのI医師から,弁護士照会に対して,所定のプロトコールを順守しても,卵子及び胚を融解した後の生存率100%が達成されていないとの回答を得た(甲38)。 e 俵IVFクリニックのJ胚培養士から,弁護士照会に対して,所定のプロトコールを順守しても,卵子及び胚を融解した後の生存率100%が達成されていないとの回答を得た(甲40)。 fK医院の赤星から,弁護士照会に対して,所定のプロトコールを順守しても,卵子及び胚を融解した後の生存率80%未満との回答を得た(甲42)。 また,L胚培養士(以下「L」という。)は被控訴人の技術講習を受けて認定証を取得した者であるが,そのような者であっても,生存率100%を達成できない(甲81の1・2)。 イ乙30報告,乙31の1(以下「乙31報告」という。)及び乙32の1(以下「乙32報告」という。)について(ア) 成立の真正について乙30の1は,署名欄には,「ef」の文字があるが,作成者の「SergeyYakovenko」やそのロシア文字には,「ef」の表記はないこと,乙31の1に (ア) 成立の真正について乙30の1は,署名欄には,「ef」の文字があるが,作成者の「SergeyYakovenko」やそのロシア文字には,「ef」の表記はないこと,乙31の1については,施設名の記載はなく,氏名欄は判読不明であること,乙32の1については,施設名の記載がないことから,いずれも成立の真正を争う。 (イ) 信用性についてa 生存率の判定方法乙30報告~乙32報告には,生存率の判定方法について,「卵子,分割期胚を洗浄液内で静置中に,溶液の浸透圧変化に正常に反応して収縮状態からもとの体積へ回復した卵子,胚を生存胚とした。」,「細胞体積の回復状態の形態学的観察は実体顕微鏡を用い50倍以上の倍率で行った。」,「胚盤胞は,ガラス化液曝露により収縮,消失した胞胚腔の再拡張の観察された胚を生存胚とした。」,「顕微鏡観察したうえで判定した。」と記載されている。 上記記載からすると,乙30報告~乙32報告における生存率の判定方法は,「浸透圧変化に正常に反応した」結果による「収縮状態からの体積回復」を判定するものであることが認められるところ,非生物であるセロハンにおいても浸透圧を発生させるから,上記の判定方法は,細胞膜が浸透圧に反応し細胞膜が破壊されていないことを確認するにすぎず,卵子や胚が生存することの判定ではない。細胞膜 が破壊されておれば卵子や胚は生存できないものであるが,細胞膜が破壊されていないからといって卵子や胚は生存すると断じることはできない。 なお,「クライオテック法マニュアル」(甲44)には,「WS希釈(5分間)」の項目において,「DS中で卵子/胚を吸引し,・・・ピペットの先端をWS1の底中心に挿入し・・・DSをゆっくりと排出して底にDS層の山をつくる。次いで卵子/胚をDS層の底に ,「WS希釈(5分間)」の項目において,「DS中で卵子/胚を吸引し,・・・ピペットの先端をWS1の底中心に挿入し・・・DSをゆっくりと排出して底にDS層の山をつくる。次いで卵子/胚をDS層の底に静かに置く。卵子/胚の形態を記憶し,実体顕微鏡の光を消して5分間待つ・・・5分後,記憶した卵子/胚の形態と比較する。収縮した卵子/胚が回復していたら生存と判定する。」と記載されており,また,被控訴人の控訴審第2準備書面では,「生存の判定法」として,「卵子,分割期胚を洗浄液内で静置中に,溶液の浸透圧変化に正常に反応して収縮状態からもとの体積へ回復した卵子,胚を生存胚とした。細胞体積の回復状態の形態学的観察は実体顕微鏡を用い,50倍以上の倍率で行った。胚盤胞は洗浄中あるいは培養器内の回復培養中に,ガラス化液曝露により収縮,消失した胞胚腔の再拡張の観察された胚を生存胚とした。」と記載されていて,被控訴人は,洗浄液中で細胞膜が浸透圧に反応して収縮した卵子/胚の回復をもって生存と判定している。このような誤りは,クライオテック法を開発した被控訴人代表者は,医療経験がなく医療現場を知らないことから,融解直後の卵子は機能停止した状態であり融解から一定の時間が経過して卵子の機能回復を観察確認して初めて生存が確認できるものであることに思い致すことがなかったから生じたものである。 b 信用性の状況的保障(a) 乙30報告の作成者であるヤコベンコ,乙31報告の作成者であるM(以下「M」という。)と,被控訴人代表者はメキシコ生殖医療センターの医療支援を行う国際サポートの一員として名前を連ねており(甲60),同人らの関係は深いものであって,上記各報告はいずれも信用性の状況的な保障が認められない。 (b) 乙32報告の作成者であるDの信用性は,前記のとおり ポートの一員として名前を連ねており(甲60),同人らの関係は深いものであって,上記各報告はいずれも信用性の状況的な保障が認められない。 (b) 乙32報告の作成者であるDの信用性は,前記のとおりであって, 中立な第三者的立場にはないから,乙32報告は信用性の状況的な保障が認められない。 c その他,乙30報告~乙32報告には,その内容について多くの疑問な点があり,信用できるものではない。 (ウ) 患者の年齢に関する品質誤認について前記のとおり,被告広告には,生存率100%を達成できるとする対象者が20歳から39歳の一般不妊女性患者であることの表示はないところ,被告広告における生存率100%の表示の根拠となった乙30報告~乙32報告は,20歳から39歳の一般不妊女性患者を対象とするものであるから,被告広告の上記表示は,商品の品質を誤認させる表示となる。 ウ乙33~39(被控訴人の技術講習会における融解後の卵子の生存率について記載した書面)について(ア) 乙33~39の書面から,①ヒトの卵子を用いたのか,ウシの卵子を用いたのか,②何個凍結,融解され,そのうち何個が生存したか,③技術講習会(ワークショップ)の講師が誰か,講習(ワークショップ)の内容がいかなるものかの記載がなく,表題と本文に不一致があるから,これらの書面は,単に「生存率100%」のスローガンを述べたものにすぎず,いずれも信用性がない。 (イ) 被控訴人が開設するウェブサイトの日本受精着床学会主催の第14回ART生涯研修コースの記事(甲30)には,被控訴人が実施した「クライオテック法」の実技研修は,ウシの卵子が使われたことが記載されていること,Nの陳述書(甲66の1)には,社内での実技講習会ではウシやブタの卵子を使用したと記載 30)には,被控訴人が実施した「クライオテック法」の実技研修は,ウシの卵子が使われたことが記載されていること,Nの陳述書(甲66の1)には,社内での実技講習会ではウシやブタの卵子を使用したと記載されていることから,被控訴人の技術移転のための実技研修ではウシやブタの卵子が使われたことは明らかである。 エ乙51,62について乙51,62は,ワークショップの凍結・融解の手技での生存率の検証を撮影したものであるところ,技術移転のためのワークショップにおいては,融解直後に生 存の判定をしているから,ワークショップのデータは臨床データにおける卵子の生存率の根拠となり得ない。したがって,乙51,62によって,卵子の生存率が100%となることが裏づけられることはない。 オ 「チャレンジ100」とジェネシスの集計データ(乙47,乙48の1~79,乙65,66)について被控訴人の「REPROLIFEChallenge 100 トライアル契約」(乙42-2)は,①「100%成功率に対して報奨を受ける」こと(4条1項),②「REPROLIFE の使命を促進するため」,入会後1年以内に少なくとも一つ以上の「100%SURVIVALrate」に関する学術出版物を作成すること(5条1項)等を内容とするものであり(乙42の2),報奨を前提に作出された「生存率100%」の医療データを用いて,「REPROLIFE の使命を促進するため」に学術出版物の作成を求めるものである。 乙47(乙65),乙48の1~79(乙66)の集計データは,報奨を前提に作出された「生存率100%」の医療データの疑いを払拭できない。すなわち,凍結融解後に死滅した事例が意図的に報告から除かれた可能性があり,信用性を欠くものである。 また,上記集計データは, 前提に作出された「生存率100%」の医療データの疑いを払拭できない。すなわち,凍結融解後に死滅した事例が意図的に報告から除かれた可能性があり,信用性を欠くものである。 また,上記集計データは,凍結日,融解日が連続していない上,提出された元データにおいては,「Collapsed」(崩れた),「SHRINK」(収縮),「notyetexpand」(まだ拡張せず),「notyetexpand@ET」(胚移植に於いて拡張せず)などの記述が読み取れるから,凍結融解後に生存率100%が達成されていない。 (被控訴人)ア乙30報告~乙32報告について(ア) 被告サイト1の「製品紹介」のウェブページの表示(甲28)の基となったデータである乙30報告~乙32報告は,ヤコベンコ,M,Dという各国における卵子冷凍保存の権威によって作成されたものであり,臨床データにおける卵子及び胚盤胞の生存判定法で行われたものであって,ワークショップにおける生存の判定方法で行われたものではない。 (イ) ヤコベンコ,M,Dは,被控訴人代表者と繋がりがあるからといって,故意に虚偽の報告をするようなことはない。また,Dについて被控訴人が主張する点については,後記カ(ア)aのとおりである。 (ウ) 乙30報告~乙32報告の内容に疑問な点はなく,信用できるものである。 イ乙33~39について(ア) 被控訴人は,これまで世界中で無料のクライオテック法の技術講習会を開催し,多くの医療関係者が同技術講習会を受講し,クライオテック法に基づいて100%の生存率を達成している(乙33~39)。 (イ) 控訴人は,乙33~39に関して,ヒトの卵子を用いたのか,ウシの卵子を用いたのかの記載がないと主張する。 受講し,クライオテック法に基づいて100%の生存率を達成している(乙33~39)。 (イ) 控訴人は,乙33~39に関して,ヒトの卵子を用いたのか,ウシの卵子を用いたのかの記載がないと主張する。 しかし,人の卵子凍結保存のための技術講習会であるから,ヒトの卵子で行ったのであり,あえてウシの卵子で行う訳がない。現在は,ヒトの廃棄卵子を取得することも十分に可能であり,ウシの卵子で行わなければならない事情もない。仮に,ウシの卵子で行ったのであれば,それ自体が異例なことであるから,ウシの卵子で行った旨を記載するはずであるが,そのような記載がない以上,ウシの卵子で行ったはずがない。過去に倫理問題への配慮から,主に国内での実技練習段階でウシの卵子を試験使用したことがあったが,被控訴人の「生存率100%」のデータにはウシの卵子は含んでおらず,乙33~39も,ヒトの卵子で行ったものである。なお,ART生涯研修コースでのクライオテック法の実技研修は,日本受精着床学会主催の研修であり,被控訴人が主催したものでなく,日本受精着床学会が用意したウシの卵子を使って研修を行ったにすぎない。 また,技術講習会の内容は,認定証を与える以上,毎回同じ内容であり,その内容を改めて記載する必要もない。 ウ(ア) 被控訴人は,技術講習会に参加し,認定登録された医療関係者が所属する施設であっても継続的に生存率100%を達成していることを確認するために, 平成31年4月頃から,「チャレンジ100」という施策を始め,複数の医療機関とそれを行う旨の合意し,覚書を締結している(乙42の1・2,乙43)。 「チャレンジ100」とは,施設ごとに,認定登録された技師から3名を選んで,卵子,分割胚又は胚盤胞の凍結周期,いずれか一つのステージで,連続する100融解周期に ている(乙42の1・2,乙43)。 「チャレンジ100」とは,施設ごとに,認定登録された技師から3名を選んで,卵子,分割胚又は胚盤胞の凍結周期,いずれか一つのステージで,連続する100融解周期にて生存率100%を達成したことを確認するというものである。 現在,「チャレンジ100」に参加した施設から続々と生存率100%の報告が集まっていて,そのうち,乙47(乙65)は,ジェネシスのラボ室長であるOによって作成された報告であり,乙48の1~79(乙66)は,その元データである。 上記各証拠によると,生存率100%が実現されていることが分かる。 (イ) 控訴人は,乙48の1~79(乙66)には,融解後の胚盤胞が「collapsed」,「SHRINK」などと記載されていることから,これらの記載があった場合には胚盤胞は生存していないと主張する。 控訴人の指摘する記載は,いずれも胚盤胞の胞胚腔の縮小や消失の表現であるが,いずれも生存している胚盤胞の正常な現象である。胚盤胞は,収縮と拡張を繰り返しながら透明帯を破ってハッチング(ふ化)するのであり,上記のいずれの表現も正常な現象の一場面を示したものにすぎない。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 エ(ア) AFCにおいては,クライオテック法の研究報告を公開しており,そこでは,1491個のうち,全て生存となったとの報告がされており,生存率100%が実現されている(乙50の1)。 また,AFCの平成29年8月の論文(乙68の1)では,凍結胚盤胞移植1011症例,1491個の胚盤胞についての融解後生存率が100%となり,「クライオテック法を使用することによって,我々が胚盤胞において一貫して100%の融解後の生存率を達成したということを示す。」と記載されている。 さらに,AFCの平成28 生存率が100%となり,「クライオテック法を使用することによって,我々が胚盤胞において一貫して100%の融解後の生存率を達成したということを示す。」と記載されている。 さらに,AFCの平成28年6月の論文(乙69の1)においても,62個の分 割胚についての融解後の生存率が100%となったことが確認されている。 (イ) AFCでは,不妊治療の研究も使命として行っていることから,正常卵子のみならず,あえて質の低い異常卵子も使用して,クライオテック法による凍結保存技術を行っている(乙72の1)。 そのため,平成27年の報告では,生存率96.9%(甲88),平成28年の論文では生存率95.2%(甲89)になったにすぎない。甲89には,「残りの胚盤胞は質の悪いものでした」との記載もあり,質の悪い卵子を使っていたことが分かる。 オ乙51,62について乙51,62は,ワークショップにおける凍結,融解の手技での再現を撮影した動画であるが,同動画によると,プロトコールに従って正しく行えば生存率は100%となることが分かる。 ワークショップでの再現では,活力の高い正常卵子ではなく,抵抗力の弱い異常卵子を使用し,しかも何度もそれを再利用することが多く,培養条件等も臨床の現場と異なることから,被告広告において生存率の表示をするに際しては,厳密にはこれを前提にはしていない。しかし,被告製品をクライオテック法のプロトコールに従って使用すれば,凍結,融解によるダメージを受けても卵子が死滅しないという結果を確認できるという点では,臨床データの場合と全く同じであることから,ワークショップの凍結,融解の手技での再現であっても,少なくとも臨床データにおける卵子の生存率が100%であることを裏付けるものといえる。 カ控訴人の提出する タの場合と全く同じであることから,ワークショップの凍結,融解の手技での再現であっても,少なくとも臨床データにおける卵子の生存率が100%であることを裏付けるものといえる。 カ控訴人の提出する証拠について(ア) 研究報告1~5に基づき,クライオテック法により生存率100%を達成できないことを立証できないことは,原判決の判示のとおりである。 a 研究報告1について控訴人は,ヒト胚のインドへの密輸容疑があることから,Dに法規範の鈍磨がうかがわれる旨主張する。 しかし,以下の事情から,控訴人の上記主張は理由がない。 インドでは,研究用途の許可を得た場合以外は,ヒト胚の輸入を禁止されており,許可なく輸入すると,インド関税法に違反することとなるところ,あるとき,マレーシアの代理店から,技術に定評のあるDのクリニックに対して,ヒト胚を送付していいかとの問合せがあり,同クリニックとしては,研究用途の許可がない場合は受領できない旨を返答していた。ところが,平成31年3月,上記のマレーシアの代理店の従業員が,インドの税関で,ヒト胚の輸入をしようとしていたとして逮捕され,同従業員の供述により,全く関係のないDも巻き込まれる形となった。Dの弁護人によると,Dは事件と無関係であり,上記従業員の陳述書以外には証拠はないとのことである。そのため,Dは,未だに逮捕もされておらず,起訴される見込みも極めて低いとのことである。(以上につき乙27,28の各1)。 b 研究報告2について(a) 赤星は,被控訴人の技術講習会に参加し,審査に合格しているが,被告製品の販売記録では,平成27年9月に2回だけ購入したというものであり,それ以外に購入実績はない。2回だけの購入でどのような検証をしたのか不明である。 術講習会に参加し,審査に合格しているが,被告製品の販売記録では,平成27年9月に2回だけ購入したというものであり,それ以外に購入実績はない。2回だけの購入でどのような検証をしたのか不明である。 (b) 控訴人は,原判決について,「胚が見えづらかった」との記載から「使用手順を遵守しなかったものも含まれている可能性がある」と認定することは誤りであると主張する。 しかし,原判決は,「研究報告2において,被告製品について,操作に慣れていないこともあり胚が見えづらかったという欠点が指摘されていること」を前提にしているのであるから,控訴人の上記主張は,原審の判断を誤解したものである。 c 研究報告3について研究報告3に関しても,世界中に数多く存在する医療関係者や研究者のごく一部が控訴人と同じ意見であることだけであり,仮にそのような報告を前提としても,経験を重ねて手順を遵守することにより生存率が100%に至っていたことがうか がえるとの原判決の認定は合理的であって,控訴人の主張は認められない。 (イ) アルトラビータのウェブサイトの記載(甲59)についてa 甲59の試験は,ヤコベンコが行ったか否かが定かではない。 b 控訴人は,「融解後平均98%の生存率を示しています。」と記載されていると主張するが,日本語訳では「generally」(一般的に)という語を意図的に欠落させている。「generally」(一般的に)という表現からして,クライオテック法以外の方法も試していることが含意されている。しかも,「havegenerallydemonstrated」という現在完了形の表現からすると,過去から現在まで全ての期間を含むものと認められるから,クライオテック法以前の方法も含まれると解釈すべき 「havegenerallydemonstrated」という現在完了形の表現からすると,過去から現在まで全ての期間を含むものと認められるから,クライオテック法以前の方法も含まれると解釈すべきである。 アルトラビータにおいては,平成19年にクライオトップ法を導入し,平成24年頃に改良版のクライオテック法が導入されたが,それまでは,生存率の低いクライオトップ法によって卵子,胚の凍結が行われていた。従来のクライオトップ法では,生存率が平均90%程度であるので,技術レベルの高い施設でも当時は100%にならなかった可能性が高い。 したがって,乙30報告の生存率100%とは何ら矛盾しないのであり,むしろ生存率の低いクライオトップ法も含まれた上での平均値であれば,少なくともクライオテック法に関しては100%であったことを裏付ける内容といえる。 (ウ) 甲91文献について甲91文献には,「透明帯のないグループの再拡張率(98.1%)は,透明帯無処置のグループの再拡張率(96.3%)と同等で,胚盤胞の生存性は透明帯除去操作によって影響を受けなかったことを示唆しました。」と記載されているように,100%でないのは,生存率ではなくて,生存性である。 (エ) 田園都市レディースクリニックのウェブサイトの記載(甲57)について田園都市レディースクリニックのウェブサイトにおける「胚が戻らないことがあ る」という文の意味が「凍結前の状態に戻らない」という意味か,「凍結前の状態に戻ったが,何らかの事情で胚が母体に戻らない」という意味なのか不明である。 後者の意味であれば,生存と判断された後の話であるから,生存性の問題であり,生存率の問題ではない。 また,仮に,「胚が戻らないことがある」という文の意味が「凍結前の状態に戻らない」という である。 後者の意味であれば,生存と判断された後の話であるから,生存性の問題であり,生存率の問題ではない。 また,仮に,「胚が戻らないことがある」という文の意味が「凍結前の状態に戻らない」という意味であったとしても,二子玉川分院の培養室長のEの経験についてのものかどうかは記載されていない。田園都市レディースクリニックは,あざみ野本院のほかに,二子玉川分院と青葉台分院があるところ,認定証(乙33)を取得したのは,二子玉川分院の培養室長のEである。田園都市レディースクリニックは3施設もあることから,E以外にも技師がいるはずである。E以外の技師について「凍結保存後,胚が戻らないことがある(稀)」と表現しただけにすぎないということである。 (オ) 各医療機関からの回答書等についてa 甲45,47,49についてF医師,G胚培養士及びH胚培養士は,被控訴人による技術講習を受けて認定登録された者ではないし,江蘇省塩城市塩城母子保険医療病院,江蘇省淮安母子保健医院及び江蘇省人民病院のいずれに対しても被告製品を販売した記録はない。 したがって,これらの回答の信用性はない。 b 甲38,40の各1・2について聖路加国際病院生殖医療センター及び俵IVFクリニックに対しては,相応に被告製品の販売実績がある。しかし,生存率の確認をどのような環境で行ったか,本当にプロトコールを正しく遵守したがどうか,正常な卵子のみを使用したのか,いかなる意味で生存という言葉を使っているかなどの状況を客観的に確認できない。 c 甲81の1についてLは,技術講習会に参加して,認定証を取得しているが,K医院に対する被告製品の販売記録では,平成27年9月に2回だけ購入したというものであり,それ以 外に購入実績はなく,2回だけの購入でどの Lは,技術講習会に参加して,認定証を取得しているが,K医院に対する被告製品の販売記録では,平成27年9月に2回だけ購入したというものであり,それ以 外に購入実績はなく,2回だけの購入でどのような検証をしたのか不明である。 また,P(以下「P」という。)は,後記(カ)のとおり,ラボを統括して仕事の全てについて把握していたにもかかわらず,実際には,クライオテック法の中身について全く理解していないのであるから,Pの指示で動いていたLにおいても,プロトコールを遵守していたかは疑わしいし,少なくともプロトコール遵守を含む管理体制に相当の問題があったのは明らかである。 (カ) Pの当審における証言及び陳述書(甲43,101)についてaPは,年間の不妊治療の件数を8000周期とし,延べ実績では,2万人の実績を有すると主張するが,各不妊治療施設のアンケートに基づく週刊ダイヤモンドの記事(乙71)によるとPが経営するK医院は,平成29年1月から同年12月の1年間の実績でも1514周期にすぎず,それまでの累積でも7619周期しかない。 bPは,管理胚培養士の資格を持ち,ラボの最高統括者として実際に胚培養士としての仕事も行っていて,その仕事のほとんどを把握していると証言したが,実際には,クライオテック法の中身を全く理解しないまま,クライオテック法のプロトコールを遵守していたと証言している。 cPの陳述書(甲43)には,被告広告における生存率100%との表示が「不当景品類及び不当表示防止法」に違反すると記載されているが,この法律を読んだことがないとも証言しており,このことからすると,Pは,控訴人代理人が作成した陳述書に,代理人に言われるままに署名したと推認される。 dPは,平成28年11月16日 が,この法律を読んだことがないとも証言しており,このことからすると,Pは,控訴人代理人が作成した陳述書に,代理人に言われるままに署名したと推認される。 dPは,平成28年11月16日に不妊治療のために通院していた女性を検査の際に死亡させたことにより,業務上過失致死罪で福岡地検小倉支部に送検された(乙61)。このように,Pが経営するK医院の管理体制は杜撰であるから,ラボでの管理体制も杜撰であり,同医療機関の医療データや研究報告書(甲16,81)は信用性が低い。 e 以上より,Pの証言や陳述書の記載は信用できない。 (キ) 控訴人代表者の当審における供述及び陳述書(甲64,103)について染色すれば卵子が死滅してしまうため,「染色したうえでの蛍光顕微鏡による核の観察」で卵子の生存を判定することは,臨床の現場では行うことはできないから,その旨を述べる控訴人代表者の供述や陳述書の記載は不合理であって,信用できない。また,控訴人代表者の供述や陳述書の記載は,自らの論文(乙41)の記載とも矛盾する。 (6) 争点(1)エ(被告製品の販売方法)について(被控訴人)被告製品は,被控訴人の技術講習会を受講し,そこで生存率100%を達成することができ,被控訴人において認定登録された者に対してしか販売されていない。 このことは,以下の点から明らかである。 ア被告製品の販売は,当初,海外44か国の医療機関への販売が国内よりも先行していたが,「技術指導が完了した」医療機関,すなわち,クライオテック法の技術講習会を受講して認定登録された医療機関に対してしか販売していなかった。国内の医療機関に対しても,海外と同様に,クライオテック法の技術講習会を受講して認定登録された場合には販売していた(乙44)。 習会を受講して認定登録された医療機関に対してしか販売していなかった。国内の医療機関に対しても,海外と同様に,クライオテック法の技術講習会を受講して認定登録された場合には販売していた(乙44)。 イ被控訴人社内においては,次のとおり,営業データベース(乙45。顧客管理システム)と「受発注/出荷システム(通称:テックロ)」(乙60の別紙2)の二つのシステムで管理し,クライオテック法の技術講習会を受講して認定登録された場合にしか販売してはならないことが徹底されている。 (ア) 営業データベースでは,医療機関ごとにデータを作成している。技術説明会を実施して審査に合格した場合には,営業データベースの「ストーントレーニング済み」の項目にチェックをすることで実施済みとのフラグを立てるとともに,「ワークショップの実施日」の欄に実施日などを入力して,営業管理責任者へ実施完了の旨を報告する。この段階に至って初めて認定登録となる。 (イ) 認定登録されると,製造部への出荷指示を行うための「受発注/出荷システム」に顧客登録を行うことになる。「受発注/出荷システム」に顧客登録がされないと,社内管理上出荷が行えないシステムになっている。しかも,「受発注/出荷システム」や営業日報での報告により,受注記録や発送記録が残っているので,誰にどれだけ販売し,実際にどれだけ出荷されたかの過程がすべて分かるので,事後的にもチェックできる。 (ウ) 認定登録された後も,国内営業部においてフォローアップを常にしている。認定登録された不妊治療施設内においては,培養士同士で技術継承が行われることになるが,仮に技術講習会を受講した培養士が退職した場合には,施設内での技術継承の状況等に鑑みて,2回目,3回目の技術講習会を提案することもある。 そのため,当初の技術講習会を受 術継承が行われることになるが,仮に技術講習会を受講した培養士が退職した場合には,施設内での技術継承の状況等に鑑みて,2回目,3回目の技術講習会を提案することもある。 そのため,当初の技術講習会を受講した培養士が退職したとしても,施設内での技術移転はされているし,それが行われていることも既存顧客に対するフォローアップ等の中で確認をしている。 ウまた,海外の医療機関に対しては,国ごとに,現地の販売代理店との間において販売代理店契約を締結し(乙46の1),販売代理店を通じて,認定登録された医療機関を管理している。 エ控訴人は,甲82,83,85,86(各医療機関の陳述録取書)を提出する。 しかし,甲82,83,85,86は,控訴人の従業員が勝手に作成したもので,聴取相手の意思が正確に反映されたものかどうかが疑わしい(乙54~58,当審におけるQの証言)ので,信用性がない。 (控訴人)甲82,83,85,86(各医療機関の陳述録取書)によると,認定登録された者以外に被告製品を販売することはあり得ないという事実は認められない。 (7) 争点(2)(控訴人は,営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれがあるか)について この点についての当事者双方の主張は,原判決9頁10行目冒頭から10頁6行目末尾までの記載のとおりであるから,これを引用する。 (8) 争点(3)(被控訴人の故意又は過失の有無)についてこの点についての当事者双方の主張は,原判決10頁8行目冒頭から10頁15行目末尾までの記載のとおりであるから,これを引用する。 (9) 争点(4)(損害額)について(控訴人)ア控訴人が受けた損害額は,以下のとおりである。 被控訴人は,平成27年7月26日から令和2年7月31日までの間に,被告広 を引用する。 (9) 争点(4)(損害額)について(控訴人)ア控訴人が受けた損害額は,以下のとおりである。 被控訴人は,平成27年7月26日から令和2年7月31日までの間に,被告広告に本件記載部分を掲載していたところ,同期間における被告製品の売上げは,合計10億9549万5445円であり,被告製品の利益率は70%であるから,被控訴人が,上記期間に本件記載部分を掲載した被告広告によって受けた利益は,7億6684万6810円となる。 したがって,法5条2項により,上記期間に,本件記載部分を掲載した被告広告により控訴人が受けた損害は,7億6684万6810円となる。 また,弁護士費用相当額は,上記額の1割である7668万4681円となるから,控訴人が受けた損害は,合計で8億4353万1491円となる。 控訴人は,上記の損害のうち,一部請求として,3億円並びにうち7591万7834円に対する平成30年7月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金及びうち2億2408万2166円に対する令和2年11月11日から支払済みまで年3分の割合による遅延損害金の支払を求める。 イ法5条2項の推定の前提事実について(ア) 被控訴人は,本件においては,法5条2項の推定の前提事実は存在しないと主張する。 しかし,凍結保存した卵子・胚の解凍後の生存率は,凍結保存した卵子・胚が死滅すれば凍結保存の目的を達せないものであるから,需要者にとって医療機器選択 の最大の基準である。「生存率100%」の表示は,このような商品選択の最大の基準に関する誤認表示であり,同誤認表示によって被控訴人商品への需要を惹起させ,被控訴人が利益を受けることは必然の結果である。 メディカルパーク横浜は,開設するウェブサイトにおいて,被控訴人の の基準に関する誤認表示であり,同誤認表示によって被控訴人商品への需要を惹起させ,被控訴人が利益を受けることは必然の結果である。 メディカルパーク横浜は,開設するウェブサイトにおいて,被控訴人のウェブサイト(甲96,97)を引用しているが,取り扱う製品を原告製品から被告製品に切り替えた。 (イ) アンケート等について被控訴人が行ったアンケート(乙75の1~3)は,第三者性,客観性,真実性の状況的保障がなく,施設名や記入者名も開示されていないものであるから,証明力はない。 また,乙114,115のアンケートも,作成者,作成日を示しておらず,第三者性,客観性,真実性の状況的担保がないから,証明力がない。 被控訴人は,4か所の医療施設の陳述書(乙121~124)を提出するが,被控訴人が陳述書を取得できた医療機関の数は,アンケートを実施した数の2.5%程度であり,残りの医療機関は,陳述書の提出に同意しなかったことを示すものである。 (ウ) 被告製品と原告製品の品質に特段の相違はないことa 被控訴人代表者が関与する研究報告1には,「本研究は,有意差はなかったもののCryotech でのより高い生存率を示している。」と記載されており,クライオトップ法とクライオテック法を用いて凍結,融解された卵子の生存率に「有意差はない」ことが示されている。 b 被控訴人の主張する18点の改良について(a) 被控訴人の主張に対する主張は,以下のとおりである。 ① 改良点①(HPC濃度の最適化)について被控訴人代表者は,販売開始以来,凍結液,融解液の組成を変更したことがないと供述しており,被控訴人の改良点①の主張は信用できない。 ② 改良点②(トレハロースへの変更)について被控訴人代表者は,販売開始 ,凍結液,融解液の組成を変更したことがないと供述しており,被控訴人の改良点①の主張は信用できない。 ② 改良点②(トレハロースへの変更)について被控訴人代表者は,販売開始以来,凍結液,融解液の組成を変更したことがないと供述しており,被控訴人の改良点②の主張は信用できない。 また,ガラス化と融解に使用された溶液において,トレハロースとショ糖(シュクロース)との間で,統計学的有意差はないとされている(甲106)。 ③ 改良点③(エチレングリコールとDMSOの濃度の低下)についてエチレングリコールとDMSOの濃度の低下は溶液の組成を変更するものであるところ,被控訴人代表者は,販売開始以来,凍結液,融解液の組成を変更したことがないと供述しており,被控訴人の改良点③の主張は信用できない。 ④ 改良点④(静置溝の導入)について改良点④は立証されていない。 ⑤ 改良点⑤(廃棄溝の導入)について原告製品においては,販売当初から不要な洗浄液を廃棄するための溝を設けている。 ⑥ 改良点⑥(インジケーターの刻印)について被告製品は,蓋にインジケーターを備えるものであって,操作中に液量の確認はできず,実用性がない。これに対し,原告製品は発売当初から,円錐ウェルの底面の円の直径がインジケーターの機能を有し,卵子や胚を観察する際に希釈液の中で液量把握が可能で,操作中に容量調節ができる。 ⑦ 改良点⑦(プレート一体型の専用ウェルの開発)について原告製品の融解液容量は4mlであり,被告製品の融解液容量は1.8mlである。融解液量が過小であると,融解の際に温度を保持することが困難であって生存率が低下するおそれがある。凍結保存容器を融解液に投入するには,融解液量が多い方が容易であり,融解液を過小 は1.8mlである。融解液量が過小であると,融解の際に温度を保持することが困難であって生存率が低下するおそれがある。凍結保存容器を融解液に投入するには,融解液量が多い方が容易であり,融解液を過小とした「底面斜面ウェル」が品質,機能において優れているとはいえない。 ⑧ 改良点⑧(死角の少ない角形ウェルの開発)について「角形ウェル」が「顕微鏡死角の少ない」ことは,否認する。 ⑨ 改良点⑨(死角を縮小する局面ウェルの開発)について原告製品のプレートには視野内の死角があったこと,卵子の紛失がしばしば生じていたことは,否認する。 ⑩ 改良点⑩(球形底ウェルの開発)についてウェルの底面形状が「丸底」,「球形底」又は「局面」のいずれであるかによって,浸透圧に影響があるとは考えられない。 ⑪ 改良点⑪(ガラス化容器シート先端の形状変更)について改良点⑪は立証されていない。 ⑫ 改良点⑫(ガラス化容器の持ち手の変更)について原告製品と被告製品の凍結保存容器は,ほぼ同一の全長であり,持ち手が長くなることは,キャップ部分が短く外れやすくなり,容器の損傷のリスクが高まる。 また,バーコード等を記載したシールを貼付する医療施設では,患者情報を手書きで記載する必要性は低く,患者情報を記載できることは,品質,機能において優れることにはならない。 ⑬ 改良点⑬(ガラス化容器の持ち手の透明度の向上)について持ち手の透明度の向上は,患者情報を手書きで記入する場合,シールを貼付する場合のいずれも認識困難となり,また,液体窒素中に投入したときは視認困難となるため,品質,機能において優れることにはならない。 ⑭ 改良点⑭(先端シート幅と厚みの最適化)について「先端シ のいずれも認識困難となり,また,液体窒素中に投入したときは視認困難となるため,品質,機能において優れることにはならない。 ⑭ 改良点⑭(先端シート幅と厚みの最適化)について「先端シート幅と厚み」の変更について,最適化の根拠となる比較データは存在しない。先端シート幅が広くなることは,液体窒素を融解液へ持ち込む量が多くなり,気泡発生は抑制されないから,品質,機能において優れることにはならない。 ⑮ 改良点⑮(カバーキャップの改良)について原告製品のカバーキャップは長いため,検体を液体窒素中に入れながら安全にカ バーキャップを液面より上に出すことができ操作しやすい。一方,被告製品のカバーキャップは短いため,液体窒素中でピンセットで操作することとなり扱いにくいものであって,カバーキャップが短いことは,品質,機能において優れることにはならない。 ⑯ 改良点⑯(立体刻印)について原告製品は,販売当初から片面ロゴを立体刻印しており,触覚で表裏の判別ができる。 また,立体刻印すると,患者情報を手書きで記載できず,シール貼付する場合はシールが剥がれやすいこととなるから,立体刻印は,必ずしも品質,機能において優れていることにはならない。 ⑰ 改良点⑰(平衡処理工程の簡素化)について急激な浸透圧変化によって,卵子は物理的障害を受けるものであるから,浸透圧は緩やかに上げることが必要であって,被告製品における簡素化されたプロトコールでは,急激な浸透圧変化により卵子に損傷を与えるリスクが高まる。 ⑱ 改良点⑱(自然浮上を利用したガラス化液法の開発)について被控訴人の主張を前提としても,「溶液の比重差による自然浮上」を待つ方法は,控訴人のプロトコールである混和させる方法より,卵子 ⑱ 改良点⑱(自然浮上を利用したガラス化液法の開発)について被控訴人の主張を前提としても,「溶液の比重差による自然浮上」を待つ方法は,控訴人のプロトコールである混和させる方法より,卵子が凍結保護物質である化学物質へ暴露される時間が長くなる。卵子の自然浮上を待つプロトコールでは凍結保護物質への暴露時間が長くなることにより,卵子に損傷を与えるリスクが高まるものであって,品質・機能において優れるということにはならない。 (b) なお,以上の改良点に関する主張は,時機に後れた攻撃防御方法であるので,民訴法157条1項により却下されるべきである。 (エ) 法5条2項は,控訴人の売上げ,利益の存否とはかかわりなく,不正競争によって被控訴人に利益があればその利益の額を控訴人の損害額と推定する規定であるから,被告製品の売上げの増加と原告製品の売上げの減少との間の相関関係は要件ではない。 ウ法5条2項の推定の覆滅について以下のとおり,法5条2項の推定の覆滅は認められない。 (ア) 代替品の存在及び競合品の不存在a 控訴人は,「卵凍結保存用具」,「卵凍結用具および通常部材保持器具」についての特許権を有している(甲9,10)が,同特許権について,被控訴人以外に実施許諾をしたことはないから,上記特許発明を実施した製品を製造,販売している事業者は,控訴人及び被控訴人のみである。 b 証人Qの証言によると,市場を,原告製品と被告製品とで二分していることは明らかである。 c 被控訴人の主張についてCryotip(クライオティップ)は,控訴人が製造,販売しており,同製品の売上げは控訴人の売上げを構成する。 乙84の2・3は,「無料のサンプル品」として,「1個」を輸入したことを示す ついてCryotip(クライオティップ)は,控訴人が製造,販売しており,同製品の売上げは控訴人の売上げを構成する。 乙84の2・3は,「無料のサンプル品」として,「1個」を輸入したことを示すものにすぎず,日本の医療機関が業務用に発注できたり,入荷できることを示すものではないから,Cryoleaf(クライオリーフ)が日本や世界で販売されていることは認められない。 Cryolock(クライオロック)及びCryoBioSystem(クライオバイオシステム)についても,日本や全世界での販売の立証はない。 (イ) 被控訴人は,原告製品は,国や地域によって販売価格が異なると主張するが,海外有名ブランドの商品が,日本国内では海外の現地での販売価格に比べて高価な値付けがされていることは多々経験することである。 (ウ) 被控訴人は,欧州の主要国,米国,中国,オセアニア,ブラジルなどの多くの国で,被告製品を販売していないと主張する。 しかし,被控訴人の販売代理店やサポートセンターとして,欧州の各国や米国,中国,南米の各国等の世界の多くの国が挙げられている(甲20の3・4,甲35の3・4,甲131の1・2,甲132の1・2,甲133の1~3,甲134の 1~5,甲135の1~3,甲136の1~3,甲137)。 また,被控訴人のウェブサイトには,「2012年,ついに解凍後100%生存の画期的な凍結手法の開発に成功」,「この画期的な凍結手法を『TheCryotechMethod』と名付け,(中略)世界26カ国パートナー達と共に,昨年より全世界供給を開始しました。」と記載されており(甲11),被控訴人は,同記載により,全世界において被告製品を供給することを宣言している。 (被控訴人)ア法5条2項の前提事実(被控訴人が被 より全世界供給を開始しました。」と記載されており(甲11),被控訴人は,同記載により,全世界において被告製品を供給することを宣言している。 (被控訴人)ア法5条2項の前提事実(被控訴人が被告広告により一定額の利益を受けていること)の不存在(ア) アンケートの結果等a 被控訴人は,国内外の顧客(不妊治療施設)に対して,令和2年6月~7月及び同年11月に,アンケートを行った(以下,同年6月~7月に行ったアンケートを「6月実施アンケート」といい,同年11月に行ったアンケートを「11月実施アンケート」という。また,6月実施アンケートと11月実施アンケートを併せて「本件アンケート」という。)が,本件アンケートの結果,被告広告を見て被告製品を購入した顧客は一人もいなかったことが分かる(乙75の1~3,乙114~120)。 b 被控訴人の顧客である「こまちレディースクリニック」は,「実際にサンプリングしてみてプロトコールがこれまでの方法と比べ確かに簡便であった点,特に平衡完了するステップでは培養士の観察力のみに頼らない浮上停止型の平衡完了確認が平準化されている点が当院にとってベネフィットであると感じました。」(乙121)と述べ,これらが採用の理由であるとしているのであって,本件各表示を理由に被告製品を購入したものではない。 また,「大宮レディースクリニック」においても,「実際の製品を用い,私たちの手技でサンプリングを実施し,機能・品質面でそれまで使用していた他社製品より優れていると判断し採用を決めております。」と述べて,これが採用理由であると するが,他方で,「100%生存するといった表現は・・・検討の動機にもなっておりません。」と述べて,ホームページ等の表示は採用理由になり得ないと明確に否定した(乙122)。 用理由であると するが,他方で,「100%生存するといった表現は・・・検討の動機にもなっておりません。」と述べて,ホームページ等の表示は採用理由になり得ないと明確に否定した(乙122)。 さらに,「AdvancedFertilityCenterCancun」においても,「ワークショップを受講し,培養士全員が融解後の胚盤胞生存を確認」したことが採用の理由であって,他方で,「100%生存という表現は採用動機にはなりません。」とした(乙123)。そして,「MumbaiFertilityClinic&IVFCenter」においても,「プロトコルの簡便さ,再現性の高さ,そして凍結融解後の結果が素晴らしかった」ことが採用の理由とし,他方で,宣伝文句である100%生存が採用の理由でないとしている(乙124)。 c アジアでも有数の最先端不妊治療施設であるAFCの培養士Rに対しても,WEB会議システムを通じてインタビューを行った(乙125,126)ところ,Rは,他社の製品と比べてクライオテック法では優れた結果が得られたため,採用に至ったと明確に述べている。 d 以上のとおり,実際に使用する培養担当者の立場からは,被告広告にどのような記載があろうとも,患者の生命身体の安全にかかわる生殖医療の器具や溶液を自ら実施せずに購入を決めるなどあり得ず,ワークショップなどで実際に使用してみて,その品質や機能を確かめた後に購入するのであるから,被告広告に仮に何らかの品質誤認表示があったとしても,そのことによって被控訴人が利益を上げているわけではない。 (イ) 被告製品の性能,品質は,原告製品よりも優れていることa クライオテック法は,従前あったクライオトップ法に,以下のとおりの18点の変更を加えて,プロトコールを厳格 るわけではない。 (イ) 被告製品の性能,品質は,原告製品よりも優れていることa クライオテック法は,従前あったクライオトップ法に,以下のとおりの18点の変更を加えて,プロトコールを厳格に遵守した場合の生存率を向上させた凍結保存,融解の技法であり,製品の性能,品質を向上させるとともに,手技の正確な操作のための工夫を凝らした技法であるから,被告製品が原告製品よりも,品質,機能において優れているのは当然である。 ① HPC濃度を最適化した。 ② エンドトキシン毒性問題が懸念されていたことから,シュークロースを溶液から排除し,細胞に安全なトレハロースへ変更した。 ③ 凍結保護物質であるエチレングリコールとDMSOの濃度を低下させて,同物質による化学的,物理的毒性を低下させるという改良を加えた。 ④ 静置溝を導入したが,これによって,ガラス化容器をプレート上に静置でき,同一のフォーカスで簡易かつ正確に卵子を導入できるようになった(ただし,平成31年頃から,控訴人製品も静置溝を導入した。)。 ⑤ パスツール内共洗い洗浄液を廃棄する廃棄溝をプレート内に増設した。 ⑥ 専用の培養プレートを開発し,そこにインジケーターを刻印した。 これにより,パスツール内希釈液量を正確にすることが可能となった。 ⑦ プレート一体型の専用ウェル(底面斜面ウェル)を開発した。これにより,ガラス化容器の正確な解凍液導入が可能となった。 ⑧ 解凍後,卵子を見つけやすい顕微鏡死角の少ない角形ウェルを開発した。 ⑨ 原告製品のプレートにおいては,視野内の死角があったため,卵子がしばしば紛失していたことから,プレートの視野内の死角を大幅に縮小する局面ウェルを開発した。 ⑩ 融解液から希釈液,希 た。 ⑨ 原告製品のプレートにおいては,視野内の死角があったため,卵子がしばしば紛失していたことから,プレートの視野内の死角を大幅に縮小する局面ウェルを開発した。 ⑩ 融解液から希釈液,希釈液から洗浄液への浸透圧減圧が可能な球形底ウェルを開発した。上記の変更後の丸底ウェルは,緩慢な浸透圧の減圧に最適なものとなった。 ⑪ 原告製品においては,ガラス化容器シート先端が長方形になっているが,被告製品においては,ガラス化容器シート先端をキャップ内へ挿入し易くするために,先端を三角形の鋭角に形状を変更するとともに,鋭角を二等辺三角形にすることで表裏(解凍時卵子が載っている側)の判別を可能とした(ただし,平 成29年頃から,原告製品においても,同様のガラス化容器シートが用いられている。)。 ⑫ 被告製品においては,ガラス化容器の持ち手を長く,幅を大きくして,術者にとって持ちやすくて操作しやすく,しかも,患者情報の記載が容易になるような変更を加えた。 ⑬ ガラス化容器持ち手の透明度を上げてクリアにし,キズ汚れを見やすく,かつ清潔で美しい容器に改良した。 ⑭ 解凍時の気泡発生を抑制し,卵子の紛失や長時間曝露による障害をなくすために,先端シート幅と厚みを最適化した。 ⑮ カバーキャップを短くして操作しやすいように改良した。 ⑯ 視覚だけでなく触覚でも容器シートの表裏が判別できるようハンドル部分に立体刻印を付加した。 ⑰ 原告製品においては,卵子平衡液への平衡処理工程を3ステップとしているが,被告製品においては,1ステップだけとして,平衡処理工程を簡素化した。 ⑱ 被告製品においては,溶液の比重差による自然浮上を利用したガラス化液法を 衡処理工程を3ステップとしているが,被告製品においては,1ステップだけとして,平衡処理工程を簡素化した。 ⑱ 被告製品においては,溶液の比重差による自然浮上を利用したガラス化液法を開発し,簡易かつ正確な平衡法が確立した。これにより,術者のテクニックに起因せずに操作することができるようになった。 b 被告製品が原告製品よりも優れていることは,前記(ア)で主張した,本件アンケートの結果,被控訴人の顧客が作成した陳述書,Rに対するインタビューの結果からも明らかである。 c また,令和2年11月27日,被控訴人代理人立会いの下,ベテランの培養士に依頼して,ブタ卵子を50個ずつ使用して原告製品と被告製品との生存率を比較する実験を行ったところ,原告製品においては,50個中,48個が生存し,生存率96%ととなり,被告製品は,50個中,50個が生存し,生存率100%となった(乙127,128)。このことからも,被告製品の方が原告製品 よりも優れていることが裏付けられる。 d 控訴人は,研究報告1に生存率に「有意差はない」と示されていると主張するが,同報告書には,「Cryotech システムを使ってガラス化された際,卵子のより高い生存率と発生率を累計的に上げていると考えられる」と記載されており,被控訴人の主張を裏付けるものである。 (ウ) 控訴人の売上げ,利益は減少していないこと被告製品の売上げの増加と原告製品の売上げの減少との間に相関関係は認められない。 甲118によると,原告製品の売上げは,平成29年3月から令和2年3月31日にかけての3年の間,日本においては,10億2161万5722円から,10億3484万4412円,11億6368万6938円となり,インドにおいては,7489万9000円から,9269万 3月31日にかけての3年の間,日本においては,10億2161万5722円から,10億3484万4412円,11億6368万6938円となり,インドにおいては,7489万9000円から,9269万1800円,1億568万1700円となり,ロシアにおいては,6250万300円から,7364万3500円,9231万5400円となり,いずれの国においても,売上げは順調に伸びている。 したがって,控訴人には,本件各表示によって損害が発生していないことは明らかである。 ただし,甲118は,日本以外の売上げを低く見せて,日本の割合を相対的に多く見せようとしたのではないかとの疑いがあり,信用できない。 例えば,インド及びロシアでは,現地代理店等に調査をしてもらったところ,インドでは控訴人のシェアが54%もあり(乙131),ロシアでは控訴人のシェアが60%もある(乙132)とのことであった。上記のインド及びロシアの市場規模の推測額にシェアをそれぞれ乗じると,インドにおける控訴人の売上額は,5億7834万円となり,ロシアにおける控訴人の売上額は,4億4330万3280円となると推測される。ところが,甲118におけるインドの売上額は,7484万9000円(平成29年4月1日から同30年3月31日までの間),ロシアの売上額は6250万300円(平成29年4月1日から同30年3月31日までの 間)にすぎず,上記の計算から導かれる売上げの推測に比べて著しく低い。 イ法5条2項の推定の覆滅仮に,法5条2項の適用が認められるとしても,以下のとおり,被控訴人が受けた利益は,各種の要因が組み合わさった結果であって,同項の推定は覆滅される。 (ア) 代替性がないこと前記アで主張したとおり,被告製品の需要者は,ワークショップなどで被告製品を実際に 人が受けた利益は,各種の要因が組み合わさった結果であって,同項の推定は覆滅される。 (ア) 代替性がないこと前記アで主張したとおり,被告製品の需要者は,ワークショップなどで被告製品を実際に使用して,被告製品の品質,機能が優れていることを実感して,被告製品の購入の決定をするのであって,その意味で,被告製品と原告製品との間に代替性はない。 (イ) 被告広告によって得た被控訴人の利益額が被控訴人の利益全体の額に占める割合はゼロ又は不明であること以下の事情を考慮すると,被告広告によって得た被控訴人の利益額が被控訴人の利益全体の額に占める割合はゼロ又は不明であるところ,そのような場合は,法5条2項を適用して損害額を推定することは許されないから,本件において,同項の適用はない。 a 被告製品の購入動機被告製品の需要者は,医療関係者や学術研究者に限られ,被控訴人は,被告製品を一般消費者に販売することはない。 不妊治療施設は,卵子等の凍結保存製品の機能,性能が優れていることを確認してから購入するのであり,被告製品の顧客は,被告製品の品質や機能を実感したことによって購入決定をしたのである。また,被控訴人代表者の業界内における高い評価も寄与している。 したがって,本件各表示は,被告製品の利益や売上げの増加に寄与していない。 b 被告製品の品質,機能前記アのとおり,被告製品の品質,機能は,原告製品や他社製品よりも優れており,そのために被告製品の売上げが増加する。本件各表示は,被告製品の売上げの 増加に寄与していない。 c 競合品の存在被告製品及び原告製品には,例えば,Cryotip(クライオティップ)(乙80の1・2,乙81の1~6,乙82),Cryoleaf(クライオリーフ)(乙83 い。 c 競合品の存在被告製品及び原告製品には,例えば,Cryotip(クライオティップ)(乙80の1・2,乙81の1~6,乙82),Cryoleaf(クライオリーフ)(乙83~85〔枝番を含む。〕),Cryolock(クライオロック)(乙86,87〔枝番を含む。〕),CryoBioSystem(クライオバイオシステム)(乙88の1・2),ビタビトロバイオテック社の製品(乙94の1・2),ARSCI社の製品(乙95の1・2),富士フィルムの商品(乙91,乙101の1・2,乙102),クーパーサージカル社の商品(乙92,乙100の1・2)など,多数の競合品が存在し,それらの競合品は日本においても購入できる(乙90,103~105)。 d 原告製品や控訴人の営業対応の問題原告製品から被告製品に切り替えられた事例があったとしても,それは原告製品や控訴人の営業対応の問題に起因しており,本件各表示とは無関係である。 控訴人や原告製品については,種々のクレームが出ていること(乙77)からすると,控訴人の顧客対応は劣悪であることが推認され,そのことにより,控訴人は商機を失っているにすぎない。 e 原告製品の価格設定原告製品は,国や地域によって販売価格が著しく異なる(乙78)から,需要者は,普通の価格である被告製品を購入するのであり,また,被告製品と原告製品とでは,販売価格が異なることになり,競争関係にない。 f 被告製品の売上げの減少被告製品の売上げは,ウェブサイトの開設前後で比べると減少している。 (ウ) 被告製品は,欧州,米国,中国,オセアニアなどにおいて販売されていないこと被控訴人は,米国,カナダ,CE圏(英仏独伊西蘭などのヨーロッパの主要国),中国,オーストラリア,ニ ている。 (ウ) 被告製品は,欧州,米国,中国,オセアニアなどにおいて販売されていないこと被控訴人は,米国,カナダ,CE圏(英仏独伊西蘭などのヨーロッパの主要国),中国,オーストラリア,ニュージーランド,ブラジルにおいては,被告製品を販売 しておらず,上記の国においては,被告製品と原告製品とは競合していない。 被告製品と原告製品とが競合する可能性がある国は,日本,インド及びロシアのみである。 そして,甲118によると,控訴人の平成29年4月1日から令和2年7月31日までの間における売上げのうち,日本,インド及びロシアが占める割合は49%であり,米国,カナダ,CE圏(英仏独伊西蘭などのヨーロッパの主要国),中国,オーストラリア,ニュージーランドなどは51%となり,したがって,控訴人の原告製品のうちの51%については,被告製品と競合していない。 ウメディカルパーク横浜の例について本件アンケートの結果(乙75の1)から明らかなとおり,被告広告を見たことを理由に,被告製品を導入した不妊治療施設は存在せず,メディカルパーク横浜も,被告広告の記載を被告製品を導入したことの理由としていない。 また,メディカルパーク横浜のブログ(甲95)には,「開発者であるS博士は生殖工学分野では非常に権威のある先生で『凍結融解のスペシャリスト』と支持されています」,「当院の院長T先生とS先生とは卵子凍結・卵巣凍結の本件仕事でご一緒になった」,「現在,当院では卵を融解したあとに死滅してしまう事は起きていません」と記載されており,同記載からすると,メディカルパーク横浜は,被控訴人代表者の専門家としての権威や評判を評価したほか,メディカルパーク横浜の院長や培養士が実際に被告製品を使用して良好な結果が得られたことを評価して,被告製品を導入するに至っ カルパーク横浜は,被控訴人代表者の専門家としての権威や評判を評価したほか,メディカルパーク横浜の院長や培養士が実際に被告製品を使用して良好な結果が得られたことを評価して,被告製品を導入するに至ったことが示されている。 したがって,メディカルパーク横浜は,本件各表示を見て,被告製品へ切り替えをしたとは認められない。 第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実,後掲証拠(人証はすべて当審において行われたものである。)及び弁論の全趣旨によると,以下の各事実が認められる。 (1) クライオトップ法とクライオテック法 被控訴人代表者は,不妊治療を行う医療機関(以下「不妊治療施設」という。)に培養士として勤務していた平成12年頃に卵子,胚の凍結保存の技術であるクライオトップ法を開発し,控訴人又は控訴人の関連会社は,クライオトップ法による凍結保存に用いる容器,凍結液及び融解液である原告製品を製造,販売している。 被控訴人代表者は,平成22年に,上記の不妊治療施設を退職し,被控訴人を設立した(被控訴人の旧商号は,「株式会社リプロサポートメディカルリサーチセンター」であり,平成27年10月1日に現在の商号に変更された。)。 被控訴人代表者は,クライオトップ法を改良したクライオテック法を開発し,平成24年にこれを完成し,被控訴人は,クライオテック法による凍結保存に用いる容器,凍結液及び融解液である被告製品を製造,販売するようになった。 被告製品は,平衡処理工程を1ステップとした点(原告製品では,同工程は3ステップである。),溶液の比重差による自然浮上を利用している点のほか,ウェル及びガラス化容器の形状並びに溶液において,原告製品と異なる。 (甲2,甲14の1~3,甲15の1・2,甲18,28,33,44,99,乙3,70,被控訴 よる自然浮上を利用している点のほか,ウェル及びガラス化容器の形状並びに溶液において,原告製品と異なる。 (甲2,甲14の1~3,甲15の1・2,甲18,28,33,44,99,乙3,70,被控訴人代表者)(2) 被告広告の記載被告広告には,本件各表示のほか,以下の記載がある(ただし,アには本件表示5が含まれ,イは日本語訳である。)。 ア被告サイト1の「製品紹介」のウェブページ(甲28)「クライオテック製品にはこんな特徴があります。 ●胚盤胞,分割胚そして卵子の生存率が100%になります。(プロトコールを厳守した場合)●クライオテックの融解システムは,他のガラス化保存法で凍結した胚や卵子にも利用でき,さらに高い生存率,妊娠率が期待できます。 ●より簡単な方法で安全,簡単に凍結融解でき,高生存率,高妊娠率を得ることができます。 ●従来法では凍結が困難であった低グレードな胚や卵子の凍結にも利用できます。」「そしてガラス化経験や基礎知識の有無にかかわらずどなたでも人為的ミスがなく同じ良好成績を得られるように,18ヶ所の改良が新たに加えられました。」イ被告サイト2の「ホーム」のウェブページ(甲12)「最も効果的で,最も簡単そして安全です」「クライオテック法は高度に単純化されたガラス化凍結手順です。誰にでも簡単です。」(3) 被告製品の販売方法被控訴人は,被告製品を不妊治療施設に対して販売しており,その営業活動は,主に,営業担当者が被告製品の購入が見込まれる不妊治療施設を訪問して被告製品の購入を勧めたり,既存の顧客を訪問して取引の継続を求めるというものであった。 被控訴人においては,被告製品を販売するに当たって,購入者である不妊治療施設の培養士に被告製品の使用方法 して被告製品の購入を勧めたり,既存の顧客を訪問して取引の継続を求めるというものであった。 被控訴人においては,被告製品を販売するに当たって,購入者である不妊治療施設の培養士に被告製品の使用方法(プロトコール)を習得させることを目的として,技術講習会(ワークショップ)を開催していた。そして,技術講習会に参加した培養士が被告製品を使用して卵子の融解後の生存率100%を達成できると認定した場合に,同培養士が所属する不妊治療施設に被告製品の販売をしていた。 ただし,被控訴人は,不妊治療施設の培養士のうちの一人でも技術講習会に参加し,被告製品のプロトコールを習得したものと認定した場合は,その培養士が,所属する不妊治療施設内で上記プロトコールを他の培養士に教えることを期待して,同不妊治療施設の他の培養士が技術講習会に参加していなくても,同不妊治療施設に対して被告製品を販売し,また,技術講習会に参加した培養士が不妊治療施設を退職しても,引き続き同不妊治療施設に被告製品を販売している。 (乙33~39,44,45,60,証人Q)(4) 被控訴人における技術講習会と「チャレンジ100」ア被控訴人の技術講習会においては,参加者に対して,被告製品を使用し て,廃棄予定のヒトの卵子を凍結,融解し,生存率を確認するという実技を行わせ,融解後の卵子が全て生存したものと認められた場合には,生存率100%を達成できるものと認定していた。その場合に認定証を渡すことがあった。 技術講習会での生存の判定方法は,卵子を融解後,WS(洗浄液)での5分間の処理中に,50倍以上の倍率の実体顕微鏡によって,凍結により収縮した細胞体積が回復したか否かを確認し,回復したと認められれば生存と判定するというものである。 (乙33~39,証人Q,被控訴人代表 処理中に,50倍以上の倍率の実体顕微鏡によって,凍結により収縮した細胞体積が回復したか否かを確認し,回復したと認められれば生存と判定するというものである。 (乙33~39,証人Q,被控訴人代表者)イ被控訴人においては,平成31年4月頃から,施設ごとに,被控訴人に生存率100%を達成できると認定された培養士3名を選んで,卵子,分割胚又は胚盤胞の凍結終期,いずれか一つのステージで連続する100融解周期で生存率100%達成を目指す,「チャレンジ100」という施策を始めた。 「チャレンジ100」における生存の判定基準は,以下のとおりである。 (ア) 卵子についてWS1に卵子を入れた直後,顕微鏡の最強拡で卵子形態を確認及び記憶する。5分後,記憶した卵子形態と比較し,体積の完全な回復あるいは回復途中であることの確認をもって「生存」とする。 (イ) 分割胚についてWS1に分割胚を入れた直後,顕微鏡の最強拡で胚形態を確認及び記憶する。5分後,記憶した胚と比較し,30%以上の割球において体積の完全な回復あるいは回復途中であることの確認をもって「生存」とする。 (ウ) 胚盤胞について融解後1時間から3時間で確認することが可能。顕微鏡の最強拡で胚を確認し,再び胞胚腔ができ始め開いていく,あるいは胞胚腔の再形成をもって「生存」とする。 (乙42の1・2,乙43,70,被控訴人代表者) (5) 凍結保存した卵子,胚の生存の判定方法凍結保存した卵子,胚の生存の判定方法として,臨床の現場において一般的に承認されている判定方法は,次のとおりのものである。 ア卵子について卵子を解凍後,WS(洗浄液)で5分間の処理中に細胞体積が回復したものを,融解施設のルーティン法で培養し,2~4 般的に承認されている判定方法は,次のとおりのものである。 ア卵子について卵子を解凍後,WS(洗浄液)で5分間の処理中に細胞体積が回復したものを,融解施設のルーティン法で培養し,2~4時間の回復培養後,顕微鏡で観察し,凍結前と同等な形態に回復しているものを生存とする。 体積の回復の確認は,顕微授精前に,倒立顕微鏡(一般に200倍から400倍のもの)による形態学的な観察を行う。 イ胚盤胞について胚盤胞を解凍,希釈処理後,融解施設のルーティン法で培養し,3時間の回復培養中に顕微鏡観察し,凍結処理によって収縮,消失した胞胚腔の再形成が認められたものを生存とする。 胞胚腔の再形成の確認は,移植前に,倒立顕微鏡(一般に200倍から400倍のもの)による形態学的な観察を行う。 (甲63の1~3,乙70,証人P,被控訴人代表者)(6) 被告製品を使用した場合の卵子,胚の生存率についての報告ア研究報告2(ア) 研究報告2は,平成26年7月1日に発行された一般社団法人日本生殖医学会編集発行の「日本生殖医学会雑誌第59巻第3号」に掲載された,赤星他9名によって執筆された,表題を「ヒト未授精卵凍結の検討―cryotop とcryotech との使用経験―」とする論文であるが,研究報告2には,以下のとおりの記載がある(甲16の1~3)。 「【目的】・・・今回我々は成功率の低いと言われている未受精卵凍結に対して検討を行い,臨床上有用な結果を得たので報告する。【方法】凍害保護液として,A:北里バイオファルマ社(cryotopsafetykit)B:リプロサポートメディカル センター社(cryotechkit:凍結法300μlのESに15min静置その後VS1の中央部に胚を置く。その後VS2に移 yotopsafetykit)B:リプロサポートメディカル センター社(cryotechkit:凍結法300μlのESに15min静置その後VS1の中央部に胚を置く。その後VS2に移動し,胚の収縮を確認し凍結を行う)の2社を用いた。・・・【結果】・・・B:蘇生率53.9%(7/13)受精率71.4%(5/7)胚盤胞到達率57.1%(4/7)であった。【結論】・・・cryotech:操作に慣れていないこともあり胚が見にくい欠点があった。しかし,胚盤胞到達率57.1%と高値を示した。今回は検討数が少ないため,さらに検討を重ねていきたい。」(イ) 研究報告2の著者の一人である赤星は,被控訴人が行ったクライオテック法の技術講習会に参加し,被控訴人から卵子の融解後の生存率100%を達成できるとの認定を受けている(争いがない)。 イ甲91文献甲91文献は,アルトラビータで上級エンブリオロジストとして働いているキリエンコやヤコベンコらによって執筆された「Mechanicalzonapellucidaremovalofvitrified-warmedhumanblastocystsdoesnotaffecttheclinicaloutcome(訳文ガラス化融解されたヒト胚盤胞の機械的透明帯除去は臨床結果に影響しない)」という題名の論文であり,令和元年11月に発行された「RBMO 39巻5号」に掲載されたところ,甲91文献には,以下のとおりの記載がある(甲91の1・2)。 「この研究は,2017年11月21日にロシアのモスクワにあるアルトラビータ・IVF・クリニックの倫理委員会の承認に従って実施されました。」「精子の細胞質内注入後5または6日目に,クライオテック法(Vitrific 7年11月21日にロシアのモスクワにあるアルトラビータ・IVF・クリニックの倫理委員会の承認に従って実施されました。」「精子の細胞質内注入後5または6日目に,クライオテック法(VitrificationKit 101; クライオテック,東京,日本)を使用してガラス化を実施した。予定された胚移植の日に胚盤胞を融解するために,クライオテック法(WarmingKit102; クライオテック,東京,日本)を使用した。透明帯のないグループでは,機械的な透明帯の除去を胚盤胞の融解後,胚が収縮(Collapsed)しているうちに行った。たとえば融解手順の完了後5~15分以内。その後,胚盤胞を洗浄し, 15mg/mlタンパク質サプリメント(LifeGlobal,米国)を含むHTF培地で移植まで培養しました。融解後の生存,すなわち胚盤胞の再拡張は,融解の1~3時間後に評価した。」「両方のグループの母体年齢,胚盤胞率(高品質の胚盤胞の数を2前核に発生した胚の数で割って計算),凍結保存前の胚盤胞の形態,および胚盤胞の平均移植数は同様でした(表1)。透明帯のないグループの再拡張率(98.1%)は,透明帯無処置のグループの再拡張率(96.3%)と同等で,胚盤胞の生存性は透明帯除去操作によって影響されなかったことを示唆しました。着床率,生化学的および臨床妊娠継続率を含む臨床転帰は,透明帯なし(33.9%,43.5%,35. 9%および32.1%)と透明帯無処置グループ(36.4%,47.6%,39%および33.1%)(図2)で統計学的な有意差は認められませんでした。」ウ AFCのウェブサイト被控訴人のマレーシアにおけるクライオテックサポートセンターである(甲35の3)AFCのウェブサイトには,被告製品を使用した卵子,胚の凍結保存にお ませんでした。」ウ AFCのウェブサイト被控訴人のマレーシアにおけるクライオテックサポートセンターである(甲35の3)AFCのウェブサイトには,被告製品を使用した卵子,胚の凍結保存における生存率について,以下のとおりの記事が掲載されている。 (ア) 2015年アルファ国際不妊治療センター(AFC)でのガラス化融解卵子の結果(甲88)「2015年6月3日~6日,マレーシアのサラワク州クチンで開催された第24回産科婦人科アジア・海洋会議での口頭発表」「前書き:2013年,S博士は卵子のガラス化と加温のクライオテック法を発表し,融解後の生存率を100%と主張しました。AFCでは2013年8月以後クライオテック法を採用しました。ここにガラス化融解卵子の結果を発表します。」「方法:クライオテック法を使用して凍結保存後,5人の患者の卵子を融解しました。」「結果: 合計65個の卵子が融解されました。63個の卵子が生存し(融解後の生存率:96.9%),顕微授精(ICSI)が行われました。46個の卵子は正常受精(2PN)し,2個は3PN(受精率:76.2%)でした。これらのうち,26個の胚が胚盤胞を形成しました(胚盤胞発生率:56.5%)。」「結論:クライオテック法を使用した凍結卵子の融解保存の私たちの経験では,融解後の生存率はほぼ100%でした。受精率,胚盤胞発生率,着床率および臨床妊娠率は,新鮮な卵子を使用した場合と同等でした。」(イ) 2016年アルファ国際不妊治療センター(AFC)でのガラス化融解卵子の臨床結果(甲89)「2016年6月2~5日,マレーシアのクアラルンプールで開催された第24回マレーシア産婦人科学会で発表されました。」「目的:この研究は AFC)でのガラス化融解卵子の臨床結果(甲89)「2016年6月2~5日,マレーシアのクアラルンプールで開催された第24回マレーシア産婦人科学会で発表されました。」「目的:この研究は,マレーシアのアルファ国際不妊治療センターでクライオテック法を使用して,ガラス化融解した卵子の臨床結果を示しています。」「結果:合計231個の卵子が融解されました。220個の卵子が生存し(融解後の生存率:95.2%),ピエゾ顕微授精(Piezo-ICSI)を行いました。139個の卵子が正常受精しました(受精率:63.2%)。139個の受精卵すべてが3日目胚に成長し,そのうちの2個を一人の患者に移植し,残り137個の胚は5または6日目までさらに培養されました。」「137個の胚のうち,90個が5または6日目に胚盤胞に発達し,31個が17人の患者に移植され,20個がガラス化され,残りの39個の胚盤胞は質の悪いものでした。移植された胚または胚盤胞の平均数は1.8個でした。2人の患者は,胚盤胞の質が低いために胚移植に至りませんでした。胚移植を受けた18人の患者のうち,11人の患者は臨床的に妊娠しており(臨床妊娠率/胚移植:61. 1%),14の胚または胚盤胞が移植されました(移植率:42.4%)。」「結論:クライオテック法を用いた卵子のガラス化において私たちの経験では,融解後の生存率は95.2%であり,良好な臨床妊娠率と着床率を示しました。私たちは,クライオテック法が,卵子の凍結融解後の生存率を最大化する凍結保存法であると確信します。」(ウ) 2017年新鮮ドナー卵子からの新鮮胚盤胞移植と,凍結ドナー卵子からの胚盤胞移植サイクルとの対比臨床結果(甲90)「2017年7月27~30日,マレーシアのクアラルン ます。」(ウ) 2017年新鮮ドナー卵子からの新鮮胚盤胞移植と,凍結ドナー卵子からの胚盤胞移植サイクルとの対比臨床結果(甲90)「2017年7月27~30日,マレーシアのクアラルンプールで開催された第25回マレーシア産婦人科学会で発表されました。」「目的:クライオテック法は,2013年7月からアルファ国際不妊治療センター(AFC)のすべての凍結融解周期で採用されています。 クライオテック法を用いて,我々は,胚の100%の融解後生存率(2016年リーら)と,ガラス化卵子のほぼ100%の融解後の生存率(2016年ルイら)を,一貫して達成しました。」「方法:41人の女性が,2014年3月から2016年12月まで,マレーシアのアルファ国際不妊治療センターに匿名で提供された卵子を使用して新鮮な胚盤胞移植を受けました。これらの患者のうち19人はガラス化融解された提供卵子(グループA)を割り当てられ,22人の患者は採卵された新鮮卵子を受け取りました(グループB)。 グループAの卵子は,クライオテック法(クライオテック,日本)を使用してガラス化し,融解しました。すべての卵子は,細胞質内精子注入・顕微授精(ICSI)を行い,その後胚は5日目または6日目まで培養されました。」「結果: グループAでは,合計284個の卵子が融解されました。272個の卵子が生き残りました(融解後の生存率:95.8%)。 グループAの患者の一人は,胚盤胞の質が低いために胚移植(ET)に至りませんでした。グループBのすべての患者は胚移植(ET)に至りました。・・・グループAの臨床妊娠率(CPR)は66.7%,グループBは63.6%でした。移植率(IR)は,グループAとグループBでそれぞれ46.9%と51.2%でした。両グ 胚移植(ET)に至りました。・・・グループAの臨床妊娠率(CPR)は66.7%,グループBは63.6%でした。移植率(IR)は,グループAとグループBでそれぞれ46.9%と51.2%でした。両グループ間でCPRおよびIRに統計的有意性(p>0.05)は見られませんでした。」「結論:この研究は,クライオテック法を使用してガラス化融解されたドナー卵子が,新鮮なドナー卵子に匹敵する臨床妊娠および着床率をもたらすことを示しています。」(エ) アルファファーティリティセンターにおける1491個の胚盤胞の融解後100%の生存率(乙50の1・2,乙68の1・2)「この研究は,1011症例の凍結胚盤胞移植(FBT)における1491個の胚盤胞の融解後の生存率を示した。」「材料と方法:クライオテック法の使用開始した2013年7月から現在(2017年5月)まで,アルファファーティリティセンターは1011人のFBT患者に対してクライオテック法を使用して1491個の胚盤胞をガラス化および融解した。」「結果:融解された1491個の胚盤胞のうち,全ての胚盤胞は,形態学的に無傷の内部細胞塊(ICM)および栄養外胚葉細胞(TE)とともに生存し,質の低下は認められなかった。」「考察:この研究は,クライオテック法を使用することにより,胚盤胞で融解後100%の生存率を一貫して達成したことを示している。」 (オ) クライオテック法は割球において融解後生存率100%を一貫して達成する(乙69の1・2)「【方法】2013年7月から2015年4月までのFET周期で,28人の患者(年齢範囲:18-43歳,平均年齢:35.5歳)から502個の割球を含む62個の分割期培養3日目胚を融解しました。すべての 法】2013年7月から2015年4月までのFET周期で,28人の患者(年齢範囲:18-43歳,平均年齢:35.5歳)から502個の割球を含む62個の分割期培養3日目胚を融解しました。すべての胚が,細胞数6個以上で,フラグメンテーションが15%未満でした。これらの胚は,CryotechVitrificationMedia を使用してガラス化し,CryotechWarmingMedia(Cryotech,日本)を使用して融解しました。胚の生存は≥50%の細胞が無傷であると定義し,一方割球の生存は融解後の溶解した細胞数を意味します。」「【結果】クライオテック融解後,62個の胚すべてが100%の融解後生存率で生存し,すべての症例において移植が可能でした。さらに,割球の生存率も100%(割球は無傷のまま502/502)で,溶解細胞を含む胚の発生はありませんでした。」(7) メディカルパーク横浜のウェブサイトメディカルパーク横浜が開設するウェブサイトには,「培養室ブログ」のページの中の「2020.01.28 【お知らせ】凍結液アップグレード」のトピックが記載されており,同トピックにおいては,「2月よりメディカルパーク横浜院での凍結液がアップグレードされます。アップグレードされる凍結液については,世界最高クラスの改良組成を行っておりその安全性・効果は凍結史上最良の実績を得ているそうです。以下メーカーメッセージより一部引用させていただきます。」との記載があり,被控訴人の開設するウェブサイトから「・・・世界で最高クラスのガラス化形成能を誇り,凍結融解後の生存率100%が期待できる最新のガラス化法です。」との記載や「臨床現場におけるクライオテック法での胚盤胞凍結融解成績」との題名のグラフが引用されており,「生存率100%で 形成能を誇り,凍結融解後の生存率100%が期待できる最新のガラス化法です。」との記載や「臨床現場におけるクライオテック法での胚盤胞凍結融解成績」との題名のグラフが引用されており,「生存率100%であることは卵へのストレスも僅かで済むという事を示唆していると考えられます。99%ではなく10 0%,この間の1%には数字以上の意味が含まれています。」との記載がある。 また,メディカルパーク横浜のウェブサイトには,「当院の院長TとS先生とは卵子凍結・卵巣凍結のお仕事でご一緒になったという経緯もあり,当時S先生には大変お世話になったとの事です。メディカルパーク横浜では2月からの凍結症例において原則全例,新規凍結方法を提供させていただきます。」との記載がある。 (甲94~97)(8) 本件アンケート被控訴人は,令和2年6月~7月に6月実施アンケートを行い,同年11月に11月実施アンケートを行った。 6月実施アンケートの質問事項は,国内向けも,国外向けも9問であり,「Q2」は,「クライオテック製品をどこでお知りになりましたか?」というものであり,「Q4」は,「・・・クライオテック製品のご購入を最終的に意思決定した際,決め手となったのは何ですか?」というものであり,「Q4」の回答の選択肢は,「商品の機能」,「商品のデザイン」,「商品の品質」,「販売価格」,「弊社のホームページ」,「(ワークショップなどで)商品を試用してみて良かったから」,「他者の同種商品(サービス含む)より優れているから」,「リプロライフの商品だから」,「他の医療機関・研究機関からの紹介」,「S博士が考案した製品だから」,「国内他施設や海外で良好な成績が得られているのを知ったから」,「学術発表や学術論文で良好な成績が公表されているのを知ったから」,「その他」の ・研究機関からの紹介」,「S博士が考案した製品だから」,「国内他施設や海外で良好な成績が得られているのを知ったから」,「学術発表や学術論文で良好な成績が公表されているのを知ったから」,「その他」の13である。 11月実施アンケートの国内向けの質問事項は2問であり,「Q2」は,「弊社が販売しているクライオテック凍結融解デバイスの品質・機能面等において,最終的な購入の決め手になったものはどれですか?」というもので,その回答の選択肢は,「ワークショップを通じて手技の簡便性を感じた」,「ワークショップを通じて卵子・胚盤胞の融解後の状態が良かった」,「価格面」,「卵子・胚盤胞にとって優しい工夫がある事」,「以前使用していた他者製品に満足できなかった」, 「サンプリングなどを通じて成績向上の可能性を感じた」,「プロトコルを厳守した場合に生存率100%を達成できると弊社ホームページ等に記載されていたことを目にして」の7である。また,11月実施アンケートの国外向けの質問事項は5問であり,「Q2」は「クライオテック製品についてどこで知りましたか。」というものであり,「Q4」は「最終的な意思決定者がクライオテック製品購入の決定をした理由を以下から確認してください」というもので,その回答の選択肢は,「製品機能」,「デザイン」,「品質」,「価格」,「ホームページを見て」,「ワークショップで製品を試して使いやすかったため」,「他社製品より優れていた(顧客サービス含む)」,「リプロライフの製品だから」,「他施設の紹介」,「S博士の開発した製品だから」,「他施設で優れた成績を出しているから」,「100%生存という広告表示」,「ワークショップで100%生存の成績を達成したから」,「学術論文や出版物を見て」,「その他」の15である。 (乙74の1・2,乙 設で優れた成績を出しているから」,「100%生存という広告表示」,「ワークショップで100%生存の成績を達成したから」,「学術論文や出版物を見て」,「その他」の15である。 (乙74の1・2,乙75の1~3,乙114~120)(9) 原告製品と被告製品のシェア日本において販売されている卵子等のガラス化凍結保存・加温融解に用いる医療関連器具(以下「本件製品」という。)のほとんどは,原告製品又は被告製品である。 インドにおいて販売されている本件製品のシェアは,被告製品が18%,原告製品が54%である。また,ロシアにおいて販売されている本件製品のシェアは,被告製品が15%,原告製品が60%である。 (乙131,132,証人Q) 2 争点(1)(被告広告に本件記載部分を表示することは,法2条1項20号の不正競争に該当するか)について(1) 争点(1)ア(被告広告の対象者)についてア証拠(甲11,12,13,甲20の1・2,甲28,甲35の1・2)によると,被告広告は,被告製品を広告するためのものであることが認められると ころ,前記第2の2で判示したとおり,被告製品は,不妊治療に用いられる器具であり,卵子や胚を凍結保存するためのものであるから,不妊治療を受けたい患者が被告製品を購入することは考え難いこと,前記1(3)のとおり,被控訴人は,被告製品を不妊治療施設にのみ販売していることからすると,被告製品の取引者,需要者は,不妊治療施設であると認められる。 そして,不妊治療施設が被告製品の購入の可否を検討するに当たっては,同施設に所属する医療関係者の意見を考慮することになると考えられるが,患者の意見までも考慮すると認めるに足りる証拠はない。 したがって,被告広告は,不妊治療施設及び同施設に所属する医療関 たっては,同施設に所属する医療関係者の意見を考慮することになると考えられるが,患者の意見までも考慮すると認めるに足りる証拠はない。 したがって,被告広告は,不妊治療施設及び同施設に所属する医療関係者に向けられたものというべきである。 イ前記1(7)のとおり,メディカルパーク横浜のウェブサイトには,被告製品を用いて治療をすること,被控訴人の開設するウェブサイトの記載を引用して,融解後の生存率が100%となることを強調した記載があるが,他に日本国内の不妊治療施設において同様の広告を行っている例があることを認めるに足りる証拠はなく,この一例のみをもって患者が受診する不妊治療施設を選択するに当たって,当該不妊治療施設が被告製品を使用しているか否かを考慮していると認めることはできない。また,被控訴人が不妊治療施設との間で前記1(4)イの「チャレンジ100」に関して締結する「チャレンジ100に関する覚書」には「患者様の治療施設選択の一助となるべく,100%SurvivalClub施設は,機関雑誌や学界を含めた媒体に100%生存に関するテーマを掲載することに努め」と記載されていることが認められる(乙43)が,この覚書の記載は,不妊治療施設の義務を記載したものにすぎないから,この覚書の記載から,患者が受診する不妊治療施設を選択するに当たって,当該不妊治療施設が被告製品を使用しているか否かを考慮していると認めることはできない。 さらに,患者も被告広告を閲覧することができるが,そのことから直ちに,患者が受診する不妊治療施設を選択するに当たって,当該不妊治療施設が被告製品を使 用しているか否かを考慮していると認めることはできない。 したがって,控訴人が主張する上記の各点は,前記アの認定判断を左右するものではない。 (2) 争点( 治療施設が被告製品を使 用しているか否かを考慮していると認めることはできない。 したがって,控訴人が主張する上記の各点は,前記アの認定判断を左右するものではない。 (2) 争点(1)イ(本件各表示の意味)についてア(ア) 被告サイト1について(甲11,28)前記第2の2で判示したとおり被告サイト1には本件表示1~6が記載されているほか,前記1(2)アで認定した記載がされている。 不妊治療において,治療用の器具を使用する際は,当該器具の使用方法に従うことは当然であることを考慮すると,被告サイト1の上記記載を閲覧した医療関係者は,被告サイト1に記載された本件表示1~6は,医療関係者が,クライオテック法のプロトコールを遵守して,被告製品を使用して正常な卵子,胚及び胚盤胞,すなわち,臨床において使用可能な卵子,胚及び胚盤胞(以下「正常な卵子」などという。)の凍結保存をした場合,融解後の生存率は100%となるという意味であると認識するものと認められる。 (イ) 被告サイト2について(甲12,13)前記第2の2で判示したとおり被告サイト2には本件表示7~12が記載されているほか,前記1(2)イで認定した記載がされている。 被告サイト2の上記記載を閲覧した医療関係者は,上記(ア)と同様に,被告サイト2に記載された本件表示7~12は,医療関係者が,クライオテック法のプロトコールを遵守して,被告製品を使用して正常な卵子,胚の凍結保存をした場合,融解後の生存率は100%となるという意味であると認識するものと認められる。 (ウ) 被告カタログについて(甲20の1・2,甲35の1・2)前記第2の2で判示したとおり,被告カタログには本件表示11~14が記載されている。 被告カタログの上記記載を見た医療関係者 (ウ) 被告カタログについて(甲20の1・2,甲35の1・2)前記第2の2で判示したとおり,被告カタログには本件表示11~14が記載されている。 被告カタログの上記記載を見た医療関係者は,上記(ア)と同様に,被告カタログに記載された本件表示11~14は,医療関係者が,クライオテック法のプロトコ ールを遵守して,被告製品を使用して正常な卵子,胚の凍結保存をした場合,融解後の生存率は100%となるという意味であると認識するものと認められる。 イまた,被告広告には,生存の判定方法については,特段の記載はないから,需要者である医療関係者は,本件各表示における100%の生存率は,臨床の現場において一般的に承認されている方法,すなわち前記1(5)の方法で判定したものと認識するというべきである。 ウさらに,被告広告には,100%の生存率となる患者の年齢を限定した記載は一切ない(甲11~13,甲20の1・2,甲28,甲35の1・2)から,需要者である医療関係者は,本件各表示は,患者の年齢の制限はなく,融解後の生存率は100%となるという意味であると認識するというべきである。 エ被控訴人の主張について(ア) 被控訴人は,被告製品を使用して凍結保存した卵子,胚が融解後に100%生存するためには,被告製品を使用して凍結保存,融解をする医療関係者が,被控訴人が行う技術講習会に参加してクライオテック法の正しいプロトコールを正確に習得し,100%の生存率を達成できることの認定登録を受ける必要がある旨主張する。 しかし,被告広告には,クライオテック法のプロトコールを遵守するためには,特別な訓練等が必要であるとの記載はない(甲11~13,甲20の1・2,甲28,甲35の1・2)。もっとも,被控訴人のウェブサイトの「Q&A には,クライオテック法のプロトコールを遵守するためには,特別な訓練等が必要であるとの記載はない(甲11~13,甲20の1・2,甲28,甲35の1・2)。もっとも,被控訴人のウェブサイトの「Q&A よくある質問」のウェブページ(乙44)には,「現在,弊社製品は,原則として,技術指導が完了した海外44カ国の医療機関への販売に限定しています。但し,国内の不妊治療施設の方でも,当センター開催の技術ワークショップで使用法(ガラス化法)のトレーニングを受け,審査に合格されれば,どなたでも自由にCryotechJapanのHPから購入することが出来ます(クレジットカード可)。Cryotech 法の国内ワークショップは月1回開催していますが,詳細は国内事業部までお問合せ下さい。」との記載があると認められるが,この記載は,被告広告が掲載されたウェブページ とは別のウェブページに記載されている。これらのことからすると,被告広告に接した医療関係者が,クライオテック法を使用するためには,被控訴人が行う技術講習会に参加してクライオテック法の正しいプロトコールを正確に習得し,100%の生存率を達成できることの認定登録を受ける必要があるとまで認識すると認めることはできない。 かえって,前記1(2)のとおり,被告サイト1には,「より簡単な方法で安全,簡単に凍結融解でき,高生存率,高妊娠率を得ることができます。」,「そしてガラス化経験や基礎知識の有無にかかわらずどなたでも人為的ミスがなく同じ良好成績が得られるように,18ヶ所の改良が新たに加えられました。」と記載されており,被告サイト2には,「最も効果的で,最も簡単そして安全です」,「クライオテック法は高度に単純化されたガラス化凍結手順です。誰にでも簡単です。」と記載されていることからすると,被告サイト1 れており,被告サイト2には,「最も効果的で,最も簡単そして安全です」,「クライオテック法は高度に単純化されたガラス化凍結手順です。誰にでも簡単です。」と記載されていることからすると,被告サイト1,2を閲覧した医療関係者は,クライオテック法のプロトコールを遵守することは極めて簡単であると認識するものというべきである。 (イ) 被控訴人は,不妊医療界では,20歳から39歳の年齢の不妊患者が一般不妊女性患者であり,40歳以上の不妊患者は高齢不妊患者と定義されているから,医療関係者が,40歳以上の患者についても100%の生存率を達成できると誤認することはないと主張する。 しかし,被告広告には,100%の生存率を達成できる患者の年齢について,40歳以上の高齢不妊患者を除外する旨の記載はない(甲11~13,甲20の1・2,甲28,甲35の1・2)上,この種の広告において40歳以上の高齢不妊患者が除外されるとの業界の一般的な認識が存したことを認めるに足りる証拠もないから,医療関係者であっても,本件各表示は,100%の生存率を達成できる患者には40歳以上の者も含まれるという意味であると認識するというべきである。 したがって,被控訴人の上記主張は理由がない。 (3) 争点(1)ウ(イ)(100%の生存率の達成の可否)について ア研究報告2について(ア) 前記1(6)アのとおり,研究報告2には,赤星らは,被告製品を使用して卵子の凍結,融解の試験をしたところ,13個の卵子のうち7個が蘇生した旨記載されており,同記載からすると,被告製品を使用して卵子の凍結,融解の試験をしたところ,融解後の卵子の生存率は100%とならないという結果となったことが認められる。 そして,研究報告2の執筆者のうちの一人である赤星 からすると,被告製品を使用して卵子の凍結,融解の試験をしたところ,融解後の卵子の生存率は100%とならないという結果となったことが認められる。 そして,研究報告2の執筆者のうちの一人である赤星は,被控訴人が行ったクライオテック法の技術講習会に参加し,卵子の融解後の生存率100%を達成できることの認定を受けていること,前記1(2)のとおり,被告サイト1及び2には,「そしてガラス化経験や基礎知識の有無にかかわらずどなたでも人為的ミスがなく同じ良好成績が得られる」,「誰にでも簡単です。」などと記載されていて,クライオテック法のプロトコールを遵守することは容易であると認められること,赤星らは,研究報告2を医学雑誌に掲載して公表している以上,その試験方法に問題はなかったと考えていたものと推認されることを考慮すると,研究報告2の試験において,クライオテック法のプロトコールを遵守していなかったとは考え難く,研究報告2における試験はクライオテック法のプロトコールを遵守して行われたものと認められる。研究報告2には,「操作に慣れていないこともあり胚が見えにくい欠点があった」との記載があるが,この記載によって,上記認定が左右されることはないというべきである。また,研究報告2に係る試験において,あえて異常卵子を使用したとは考え難いし,卵子の生存判定の方法についても,臨床の現場で一般的に承認されている方法(前記1(5)の方法)と異なる方法によったとも考え難いから,正常な卵子を用い,臨床の現場で一般的に承認されている方法で卵子の生存判定をしたものと認められる。 (イ) 被控訴人は,赤星が所属する不妊治療施設は,被控訴人から被告製品を2回しか購入していないから,どのような検証をしたのか不明であると主張するが,前記1(6)アのとおり,研究報告2には, (イ) 被控訴人は,赤星が所属する不妊治療施設は,被控訴人から被告製品を2回しか購入していないから,どのような検証をしたのか不明であると主張するが,前記1(6)アのとおり,研究報告2には,試験方法が記載されており,被控 訴人の上記主張のみから,検証方法が不明であるということはできない。 イ甲91文献について前記1(6)イのとおり,甲91文献には,クライオテック法を用いて胚盤胞を凍結,融解したところ,胚盤胞の再拡張率は透明帯のないグループで98.1%,透明帯無処置のグループの再拡張率は96.3%であったことが記載されているが,同記載からすると,被告製品を使用して胚盤胞の凍結,融解の試験をしたところ,融解後の胚盤胞の生存率は100%とはならないという結果となったことが認められる。 そして,前記1(6)イのとおり,甲91文献の執筆者であるキリエンコが所属しているアルトラビータは,被控訴人が被告広告(甲28)において宣伝している,凍結保存,融解後の卵子,胚の生存率が100%であることの根拠となったデータ(乙30報告)を提供したヤコベンコが所属する不妊治療施設であり(弁論の全趣旨),また,被告カタログにクライオテックサポートセンターとして紹介されている不妊治療施設である(甲35の3)上,ヤコベンコも甲91文献の共同執筆者の一人となっているから,甲91文献に記載された試験は,クライオテック法のプロトコールを遵守して行われたものと認められる。また,甲91文献に係る試験において,あえて異常卵子を使用したとは考え難いから,正常な卵子を用いたものと認められる。さらに,甲91文献の記載からすると,「再拡張率」は生存率を意味すると解され,臨床の現場で一般的に行われている方法(前記1(5)の方法)によって胚盤胞の生存率の判定が 卵子を用いたものと認められる。さらに,甲91文献の記載からすると,「再拡張率」は生存率を意味すると解され,臨床の現場で一般的に行われている方法(前記1(5)の方法)によって胚盤胞の生存率の判定がされたと認められる。被控訴人は,甲91文献に記載された「再拡張率」は,生存率ではなく生存性を意味すると主張するが,被控訴人の主張を採用することはできない。 ウ AFCのウェブサイトについて(ア) 前記1(6)ウのとおり,AFCのウェブサイトには,①平成27年6月に開催された第24回産科婦人科アジア・海洋会議において発表した内容として,クライオテック法によって65個の卵子を凍結,解凍したところ,融解後の卵子の 生存率は96.9%であったこと,②平成28年6月に開催された第24回マレーシア産婦人科学会において発表した内容として,クライオテック法によって231個の卵子を凍結,融解したところ,融解後の卵子の生存率は95.2%であったこと,③平成29年7月に開催された第25回マレーシア産婦人科学会において発表した内容として,クライオテック法によって284個の卵子を凍結,融解したところ,融解後の卵子の生存率は95.8%であったこと,及びAFCでは平成25年7月からクライオテック法が採用されているが,胚については100%の生存率を,卵子についてはほぼ100%の生存率を達成していること,④AFCでは,平成25年7月から平成29年5月までの間に,クライオテック法によって1491個の胚盤胞を凍結,融解したが,融解後の胚盤胞は全て生存したこと,⑤これらは患者に対して不妊治療をした臨床例であることが記載されている。 AFCのウェブサイトの上記記載からすると,AFCは,これまで,被告製品を使用して卵子,胚の凍結,融解をしてきたところ,胚につ れらは患者に対して不妊治療をした臨床例であることが記載されている。 AFCのウェブサイトの上記記載からすると,AFCは,これまで,被告製品を使用して卵子,胚の凍結,融解をしてきたところ,胚については,融解後100%の生存率を達成しているが,卵子については,融解後100%の生存率を達成していないことが認められる。 そして,AFCは,被告カタログにクライオテックサポートセンターとして紹介されている不妊治療施設であるから,AFCにおいて行われた上記の臨床例は,クライオテック法のプロトコールを遵守して行われたものと認められる。また,患者に対して不妊治療をした臨床例であることからすると,臨床の現場で一般的に行われている方法(前記1(5)の方法)によって生存率の判定がされたものと認められるし,正常な卵子が用いられたと認められる。 (イ)a 被控訴人は,AFCでは,不妊治療の研究も使命として行っていることから,正常卵子のみならず,あえて質の低い異常卵子も使用して,クライオテック法による凍結保存を行っており,100%の生存率が達成できなかったのは,質の悪い卵子を使ったためであると主張し,その証拠として乙72の1を提出する。 乙72の1には,令和2年3月10日の日付とAFCの代表取締役である「Dr. U」の署名があり,関係各位宛てに,「このレターにおいて,AlphaIVFWomen’sSpecialistCentre では,“品質の悪い卵子や凍結プロセス内で収縮しなかった卵子を凍結しない”というポリシーがない(すなわち品質が悪く死滅しやすい異常卵子も凍結した)ことを証明致します。私たちは卵子の品質には関係なく,全てのMII 卵子を凍結致します。」との記載がある。 しかし,AFCのウェブサイトには,異常卵子も凍結,融解し 死滅しやすい異常卵子も凍結した)ことを証明致します。私たちは卵子の品質には関係なく,全てのMII 卵子を凍結致します。」との記載がある。 しかし,AFCのウェブサイトには,異常卵子も凍結,融解したことについては一切説明がなく,乙72の1の上記記載も上記(ア)①~④について異常卵子を使用したと記載されているものではないこと,上記(ア)①~④の臨床例は,患者に対する不妊治療のために卵子の凍結保存をするのであるから,臨床において使用可能ではない異常卵子を使用することは合理的であるとはいえないことからすると,乙72の1の記載は,上記(ア)の卵子についての判断を左右するものではない。なお,乙125,126にも乙72の1と同旨の発言及び記載があるが,同様に上記(ア)の判断を左右するものではない。 b また,被控訴人は,甲89には,「残りの胚盤胞は質の悪いものでした」との記載があると主張する。 しかし,前記1(6)ウ(イ)のとおり,甲89には,231個の卵子を凍結,融解したところ,220個が生存し,そのうちの139個の卵子が正常受精し,そのうちの137個の胚を更に培養し,そのうちの90個が胚盤胞に発達し,この90個の胚盤胞のうちの39個が質の悪いものであったと記載されており,被控訴人の指摘する上記の記載は,この39個の胚盤胞を指すものであるから,質の悪い卵子を使用したことを意味しない。 したがって,同記載は,上記(ア)の卵子についての判断を左右するものではない。 エ被控訴人は,乙30報告~乙32報告において,生存率が100%となっていること,被控訴人が行った技術講習会において,100%の生存率を達成していること(乙33~39),「チャレンジ100」に参加した不妊治療施設が100%の生存率を達成していること,被控訴人が技術講習会にお と,被控訴人が行った技術講習会において,100%の生存率を達成していること(乙33~39),「チャレンジ100」に参加した不妊治療施設が100%の生存率を達成していること,被控訴人が技術講習会における手技を再現 した動画(乙51,62)から,被告製品を使用すれば100%の生存率を達成できることが認められると主張する。 しかし,前記1(5)のとおり,凍結保存した卵子が融解後に生存しているか否かの判定方法として臨床の現場において一般的に承認されている判定方法は,融解後,2~4時間の回復培養後,顕微鏡で観察し,凍結前と同等な形態に回復しているものを生存とするという方法であるところ,前記1(4)のとおり,技術講習会においては,卵子について,融解後,WS(洗浄液)での5分間の処理中に,凍結により収縮した体積が回復したかによって生存を判定しており,乙51,62における手技の再現においても同様の方法で判定している(乙51,52,62,63,被控訴人代表者)から,技術講習会における判定方法は,臨床の現場において一般的に承認されている判定方法とは異なっている。 また,乙30報告~乙32報告には,試験概要について,「(2)融解:凍結している卵子および胚の載ったクライオテックのシートを37℃に加熱した解凍液中に投入し1分間静置する。次いで希釈液の底部へ移動し,さらに3分間静置して浸透圧を低下させる。等張液である洗浄液底部に卵子,胚を移し,さらに5分間静置する。」,「(3)生存の判定法:常法に従い,卵子,分割期胚:洗浄液内で静置中に,溶液の浸透圧変化に正常に反応して収縮状態からもとの体積へ回復した卵子,胚を生存胚とした。細胞体積の回復状態の形態学的観察は実体顕微鏡を用い50倍以上の倍率で行った。胚盤胞は洗浄中あるいは培養器内の回復培養中に,ガラ 正常に反応して収縮状態からもとの体積へ回復した卵子,胚を生存胚とした。細胞体積の回復状態の形態学的観察は実体顕微鏡を用い50倍以上の倍率で行った。胚盤胞は洗浄中あるいは培養器内の回復培養中に,ガラス化液曝露により収縮,消失した胚盤胞の再拡張の観察された胚を生存胚とした(原文は,「Theblastocystswerejudgedassurvivinginthewashingsolution(WS) inthethawingprocessbyconfirmingtherecoveryoftheblastocoelwhichhadshrunkwhileexposedtothevitrificationsolution(VS) inthefreezingprocess.」)。生存の判定は各施設の卵子,胚融解担当者が行い,各施設の臨床ガイドラインに従って顕微鏡観察したうえで判定した。」と記載されており(乙30の1~3,乙31の1~3,乙32の1・2),同記載からすると,生存の判定は, 融解後洗浄液内に静置した5分間で行われているものと認められ,臨床の現場において一般的に承認されている判定方法とは異なっている。 さらに,「チャレンジ100」における生存率の判定方法は,前記1(4)イのとおりであって,卵子については,臨床において一般的に承認されている方法と異なっているが,胚盤胞については同様のものであると認められる。ジェネシスの報告(乙47,乙48の1~79,乙65,66)は,「チャレンジ100」における胚盤胞の生存率の趣旨である(弁論の全趣旨)ところ,同報告には,100回の試験の全てにおいて凍結,融解後の生存が確認された旨の記載がある一方で,「Collapsed」,「SHRINK 00」における胚盤胞の生存率の趣旨である(弁論の全趣旨)ところ,同報告には,100回の試験の全てにおいて凍結,融解後の生存が確認された旨の記載がある一方で,「Collapsed」,「SHRINK」及び「notyetexpand@ET」の記載もあることからすると,上記報告から,被告製品を使用して生存率100%を達成できたと認めることはできない。 オ以上に,赤星の弁護士照会に対する回答(甲41,42の各1・2)及びL(同人は,被控訴人が行ったクライオテックの技術講習会に参加し,卵子の融解後の生存率100%を達成できるとの認定を受けている〔争いがない〕)の陳述書(甲81の1)の各記載を総合すると,医療関係者が,被告製品を使用して,クライオテックのプロトコールを遵守して,正常な卵子や胚盤胞の凍結,融解をしたとしても,融解後の生存率が100%となるとは限らないものと認められる。 カ被控訴人は,被告製品は,被控訴人が開催する技術講習会を受講し,そこで,生存率100%を達成することができ,被控訴人において認定登録された者にしか販売されていないと主張する。 しかし,前記エのとおり,被控訴人の開催する技術講習会においては,融解後の卵子をWS(洗浄液)で5分間の処理中に観察して判定するのであり,臨床の現場において一般に承認された判定方法と異なる方法で生存率を判定しているのであるから,被控訴人の技術講習会に参加し,生存率100%を達成できると判定された者が,被告製品を使用して,卵子の凍結,融解をした場合に,臨床の現場において一般に承認された判定方法によって100%の生存率を達成できるということには ならない。 したがって,被控訴人は,被告製品を使用して凍結,融解した卵子の生存率を100%とすることができる者に対してのみ被告製 方法によって100%の生存率を達成できるということには ならない。 したがって,被控訴人は,被告製品を使用して凍結,融解した卵子の生存率を100%とすることができる者に対してのみ被告製品を販売しているということもできない。 (4) 小括以上のとおり,取引者,需要者である医療関係者は,被告広告に記載された本件各表示は,医療関係者が,クライオテック法のプロトコールを遵守して,被告製品を使用して正常な卵子等の凍結保存をした場合,融解後の生存率は100%となるという意味であると認識するところ,実際には,医療関係者が,クライオテック法のプロトコールを遵守して,被告製品を使用して正常な卵子等の凍結保存をした場合,融解後の生存率が100%とは限らないのであるから,本件各表示の本件記載部分は,被告製品の品質等を誤認させる表示であると認められ,被告広告に本件記載部分を含む本件各表示を表示する行為は,法2条1項20号の不正競争に当たるというべきである。 なお,控訴人は,被告製品から,「100% SURVIVAL 」,「achieving 100%,literally 100%, survival」,「100% survival」との表示を抹消することを請求しているが,被告製品には,同表示はないから,控訴人の上記主張は理由がない。 3 争点(2)(控訴人は,営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれがあるか)について(1) 前記第2の2のとおり,被告製品と原告製品とは同種の商品であるから競合関係に立つといえる。このように,控訴人は,被告製品の競合品である原告製品を販売しているから,被告製品の販売数が増えれば,営業上の利益が侵害される関係に立つところ,前記2のとおり,本件記載部分を含む本件各表示を被告広告に表示することは は,被告製品の競合品である原告製品を販売しているから,被告製品の販売数が増えれば,営業上の利益が侵害される関係に立つところ,前記2のとおり,本件記載部分を含む本件各表示を被告広告に表示することは,被告製品の品質等を誤認させる不正競争に当たり,同不正競争によって被告製品の販売数が増大することになると推認されるから,控訴人は,被控訴人の上記不正競争によって営業上の利益が侵害されると認められる。 (2) 被控訴人は,被告製品は,被控訴人の開催する技術講習会に参加した医療関係者のみに販売しているから,原告製品は被告製品の競合品とはいえないと主張する。 しかし,被控訴人の開催する技術講習会に,原告製品の需要者も参加できるのであるから,被告製品と原告製品の需要者は競合するといえる。 したがって,原告製品と被告製品は競合するといえ,被控訴人の上記主張は理由がない。 4 争点(3)(被控訴人の故意又は過失の有無)について前記2(3)ウ,エのとおり,被控訴人が上記の生存率が100%となることを裏付けると主張する証拠は,胚に関するAFCのウェブサイトの記事を除いては,いずれも,本件記載部分を裏付けるものとはなり得ないのであり,胚に関するAFCのウェブサイトの記載のみで被控訴人代表者が本件記載部分を正しいものと信じたことに相当の理由があるともいえないから,被控訴人には,本件記載部分を含む本件各表示を被告広告にしたことについて,過失があるというべきである。 5 争点(4)(損害額)について(1) 法5条2項による推定と推定の覆滅法5条2項は,「不正競争によって営業上の利益を侵害された者が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行 法5条2項は,「不正競争によって営業上の利益を侵害された者が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行為により利益を受けているときは,その利益の額は,その営業上の利益を侵害された者が受けた損害の額と推定する。」と規定し,侵害者が侵害行為によって利益を受けているときは,その利益の額を営業上の利益を侵害された者の損害額と推定するとしているところ,原告製品及び被告製品は,共に,卵子等のガラス化凍結保存・加温融解に用いる医療関連器具(本件製品)である以上,相互に代替可能であることは明らかであるから,本件においては,法5条2項により控訴人の損害の額を推定することができる。 そして,同項所定の侵害行為により侵害者が受けた利益の額とは,原則として, 侵害者が得た利益全額であると解するのが相当であって,本件においては,上記「利益の額」は,本件記載部分を含む本件各表示を掲載した被告広告を表示している期間中に,本件各表示によってその品質等が示されている被告製品を販売したことによって被控訴人が受けた利益の全額であるというべきであるから,このような利益全額について同項による推定が及ぶと解すべきである。もっとも,上記規定は推定規定であるから,侵害者の側で,侵害者が得た利益の一部又は全部について,営業上の利益を侵害された者が受けた損害との相当因果関係が欠けることを主張立証した場合には,その限度で上記推定は覆滅されるものということができる。 被控訴人は,被告製品の需要者は,ワークショップなどで被告製品を実際に使用して,被告製品の品質,機能が優れていることを実感して,被告製品の購入の決定をするのであって,その意味で,被告製品と原告製品との間に代替性はないと主張す は,ワークショップなどで被告製品を実際に使用して,被告製品の品質,機能が優れていることを実感して,被告製品の購入の決定をするのであって,その意味で,被告製品と原告製品との間に代替性はないと主張するが,そのような事情によって原告製品と被告製品との代替性が失われるとは解されないから,同事情は,上記判断を左右しない。 (2) 被控訴人が受けた利益についてア控訴人は,令和2年9月7日,法7条に基づき,平成30年7月26日から令和2年7月31日までの間の①貸借対照表・損益計算書・法人事業概況説明書を含む決算報告書,②営業報告書,③確定申告書控え(添付書類を含む),④総勘定元帳,⑤売上元帳,⑥仕入元帳を提出対象の書類とし,上記期間の被告製品によって乳児が出生される年間の件数は2万8333件であること,乳児一人の出生に必要な被告製品一式の販売価格は7733円であること及び被告製品の利益率は70%であることを証すべき事実として,書類提出命令の申立てをしたところ,当裁判所は,同年10月9日,送達日から14日以内に上記申立てに係る書類の提出を命じる旨の決定をしたが,被控訴人は,提出期限までに上記の各書類を提出しなかった。 そして,上記の各書類の記載に関して具体的な主張をすること及び上記の各書類によって証明すべき事実を他の証拠によって証明することは,著しく困難であると 認められる。 したがって,民訴法224条3項により,控訴人が,被告広告によって受けた損害の賠償請求期間として主張している平成27年7月26日から令和2年7月31日までの間における被告製品によって乳児が出生される年間の件数は2万8333件であること,乳児一人の出生に必要な被告製品一式の販売価格は7733円であること及び被告製品の利益率は70%であることは真実と認められる ける被告製品によって乳児が出生される年間の件数は2万8333件であること,乳児一人の出生に必要な被告製品一式の販売価格は7733円であること及び被告製品の利益率は70%であることは真実と認められる。 なお,前記2~4のとおり,被告広告に本件記載部分を含む本件各表示を表示する行為は,法2条1項20号の不正競争に当たり,被控訴人は,同不正競争について,控訴人に対し損害賠償責任を負うものと認められるところ,上記の書類提出命令に係る書類は,いずれも,被控訴人の上記不正競争によって控訴人の受けた損害を算定するために必要であること,被控訴人は,上記書類の提出によって受ける損害について特段の主張をしていないことからすると,上記の書類提出命令について,被控訴人において,書類の提出を拒む正当な理由があるとは認められない。 イ被控訴人は,被告製品を購入した者は,被告製品を実際に使用してみて購入したのであり,被告広告に接したことによって被告製品を購入したのではないこと,被告製品の性能,品質は原告製品よりも優れていること,控訴人の売上げ,利益は減少していないことを理由に,被控訴人は,被告広告によって利益を受けた事実は認められないと主張する。 しかし,前記アのとおり,法5条2項の「侵害の行為により・・・受けている・・・利益の額」は,侵害行為と相当因果関係のある利益を意味するのではなく,侵害者が得た利益の全額を意味するのであり,本件においては,上記「利益の額」は,本件記載部分を含む本件各表示を掲載した被告広告を表示している期間中に,本件各表示によってその品質等が示されている被告製品を販売したことによって被控訴人が受けた利益の全額であるというべきであるから,被控訴人の上記主張は理由がない。 (3) 推定の覆滅について ア前記1(3)のと 示されている被告製品を販売したことによって被控訴人が受けた利益の全額であるというべきであるから,被控訴人の上記主張は理由がない。 (3) 推定の覆滅について ア前記1(3)のとおり,被控訴人の営業活動は,主に,営業担当者が被告製品の購入が見込まれる不妊治療施設を訪問して行うというものであるから,そのような営業活動において,被告広告が利用されることがあるとしても,被控訴人の営業活動にとって,広告の占める程度は小さいといえる。 しかし,そうであるとしても,被告広告に記載された本件各表示に接することにより,被告製品の購入を検討するようになり,前記1(3)のとおり,所属の培養士を技術講習会(ワークショップ)に参加させ,その結果,被告製品を購入する不妊医療施設が存在するものと推認され,このような意味において,本件各表示は,被告製品の購入動機に影響を与えている場合があるというべきである。もっとも,その場合であっても,技術講習会(ワークショップ)における被告製品の使用感等が被告製品を購入しようとの意思決定をするに当たって重視されるものと考えられるから,本件各表示の影響は相当程度限定的であるというべきである。 また,本件製品は継続的に使用されるものであるから,原告製品や被告製品の販売の多くは,既に,同製品を購入して,同製品を使用している不妊医療施設に対するものであると認められるところ,「生存率100%」が実現できるかは,客観的に判明し,被告製品を使用している者にとっては,その真偽を比較的容易に認識し得るといえることからすると,被告製品を継続的に購入し,使用している不妊医療施設が購入の更なる継続をしようとの意思決定をするに当たっては,「生存率100%」などの本件記載部分に影響を受けることはないというべきである。 以上の事情を総 継続的に購入し,使用している不妊医療施設が購入の更なる継続をしようとの意思決定をするに当たっては,「生存率100%」などの本件記載部分に影響を受けることはないというべきである。 以上の事情を総合考慮すると,被告製品の売上げに対する被告広告の貢献の程度は,かなり小さいといわざるを得ない。 また,前記1(9)のとおり,日本において販売されている本件製品のほとんどは,原告製品又は被告製品であるが,海外においては,原告製品と被告製品が競合しているインドのシェアは,被告製品が18%,原告製品が54%であり,原告製品と被告製品が競合しているロシアのシェアは,被告製品が15%,原告製品が60%である。 そうすると,法5条2項の推定が一部覆滅され,その割合は95%であると解するのが相当である。 イ被控訴人の主張について(ア) 被控訴人は,被告広告に本件各表示を掲載した以降も,原告製品の売上は順調に伸びているから,被告製品の売上げの増加と原告製品の売上げの減少との間に相関関係は認められないと主張する。 しかし,被告広告に本件各表示を掲載しなかった場合には,原告製品の売上げは更に増加している可能性もあるから,原告製品の売上げが順調に伸びていることを推定の覆滅事情として認めることはできない。 (イ) 被控訴人は,本件アンケートの結果や被控訴人の顧客の陳述書等から,被告製品の購入動機に本件広告が全く寄与していないことが分かると主張する。 しかし,前記1(8)のとおり,6月実施アンケートの質問の「Q4」は,「・・・クライオテック製品のご購入を最終的に意思決定した際,決め手となったのは何ですか?」というものであり,また,11月実施アンケートの質問も,「・・・,最終的な購入の決め手になったものはどれですか?」,「 ライオテック製品のご購入を最終的に意思決定した際,決め手となったのは何ですか?」というものであり,また,11月実施アンケートの質問も,「・・・,最終的な購入の決め手になったものはどれですか?」,「最終的な意思決定者がクライオテック製品購入の決定をした理由を以下から確認してください」というものであり,いずれも,購入の最終的な意思決定の決め手となった事項を質問しているから,上記の各質問に対する回答として,「弊社のホームページ」,「プロトコルを厳守した場合に生存率100%を達成できると弊社ホームページ等に記載されていたことを目にして」,「100%生存という広告表示」との選択肢を選んだものがなかった(乙75の2・3,乙117,120)としても,そのことから,本件各表示が,被告製品の購入動機に影響を与えることはないと認めることはできない。 また,本件アンケートは,回答者の施設名や記入者がマスキングされた状態で証拠として提出されていることからすると,回答者に接触してその内容の真偽を確認することはできない。したがって,本件アンケートの証明力は弱いといわざるを得 ず,そのことからしても,本件アンケートから,本件各表示が,被告製品の購入動機に影響を与えることはないと認めることはできない。 さらに,被告製品の顧客の陳述書や陳述録取書には,本件記載部分を見たことが被告製品の購入のきっかけとはなっていないこと(乙121~124)や被告製品が他社製品より優れていることが被告製品を採用した理由であること(乙125,126)が記載されているが,仮に,同記載内容が真実であったとしても,上記各陳述書等のみから,本件記載部分が被告製品の購入の動機となることはないと認めることはできない。 (ウ) 被控訴人は,被告製品の品質等は原告製品や他社製品よりも優れて 容が真実であったとしても,上記各陳述書等のみから,本件記載部分が被告製品の購入の動機となることはないと認めることはできない。 (ウ) 被控訴人は,被告製品の品質等は原告製品や他社製品よりも優れていることが被告製品の売上げの増加に寄与していると主張する。 しかし,前記1(1)のとおり,被告製品は,平衡処理工程を1ステップとした点,溶液の比重差による自然浮上を利用している点のほか,ウェル及びガラス化容器の形状並びに溶液において,原告製品と異なるが,本件証拠上,これらの差異が顧客吸引力に,どの程度どのように影響するかは明らかではなく,同差異によって,被告製品が原告製品に比較して,顧客吸引力が高いものとなっていると認めることはできない。 また,ブタ卵子による原告製品と被告製品の生存率の比較実験の結果(乙127,128)から,被告製品が原告製品に比較して,品質の点で顧客吸引力が高いものとなっていると認めることもできない。 さらに,研究報告1(甲14の1~3,甲15の1・2)には,被告製品は,原告製品より胚発生率は良好であった旨の記載があるものの,卵子の生存率に統計上の有意な差異は見られなかった旨の記載もあり,被告製品が原告製品に比較して,品質の点で顧客誘引力が高いものとなっているとまで認めることはできない。 (エ) 被控訴人は,本件製品については,多数の競合品が存在すると主張する。 しかし,前記1(9)のとおり,日本においては,本件製品のほとんどは,原告製 品又は被告製品であると認められるから,これらの製品以外に競合品が流通していたとしても,それらの競合品のシェアはほとんどなく,法5条2項の推定の覆滅事情として考慮することはできない。 また,被控訴人が主張する競合品のうち,Cryotip(クライオティップ)は,控訴 いたとしても,それらの競合品のシェアはほとんどなく,法5条2項の推定の覆滅事情として考慮することはできない。 また,被控訴人が主張する競合品のうち,Cryotip(クライオティップ)は,控訴人の製品である(甲138,乙82)。 その他の被控訴人が主張する製品(乙83~88,90~105〔以上につき枝番を含む。〕)は,ホームページ上の記載のみでは販売実績を認めることはできず,本件証拠上,その品質や販売実績が明らかでないから,これらの製品が存することのみでは,法5条2項の推定を覆滅する事情が存するとは認められない。 もっとも,被告製品と原告製品が競合していると認められるロシア及びインド(弁論の全趣旨)におけるシェアは,法5条2項の推定を覆滅する事情として考慮することができるというべきである。 (オ) 被控訴人は,米国,カナダ,CE圏(英仏独伊西蘭などのヨーロッパの主要国),中国,オーストラリア,ニュージーランド,ブラジルにおいては,被告製品を販売しておらず,上記の国においては,被告製品と原告製品とは競合していないと主張する。 しかし,被告製品を販売していないために被告製品と原告製品とが競合していない国においては,控訴人の損害と推定すべき被控訴人の利益は生じていないことになるから,前記(2)で認定した被控訴人の受けた利益の中には,上記の競合していない国における被控訴人の利益は含まれていないことになる。したがって,そのような国があることは,法5条2項の推定を覆滅する事情となるものではない。 (カ) 被控訴人は,控訴人の顧客対応に問題があることを覆滅事由として主張するが,控訴人の顧客対応に問題があることを記載した陳述書(乙77)は,被控訴人の従業員が作成したものであり,また,聞き取りをした相手方の名前も明示していないこと 問題があることを覆滅事由として主張するが,控訴人の顧客対応に問題があることを記載した陳述書(乙77)は,被控訴人の従業員が作成したものであり,また,聞き取りをした相手方の名前も明示していないことから,同証拠の証拠価値は低く,同証拠から,控訴人の顧客対応に問題があることを認めることはできず,その他に,控訴人の顧客対応に問題がある ことを認めるに足りる証拠はない。 (キ) 被控訴人は,原告製品は,国や地域によって販売価格が著しく異なるから,需要者は被告製品を選択する旨主張するが,仮にそうである(乙78)としても,そのことから,被告製品は,顧客吸引力の点で原告製品に勝ると認めることはできない。また,被告製品と原告製品との価格差が著しいことを認めるに足りる証拠はない。 (ク) 被控訴人は,被告広告によって得た被控訴人の利益額が被控訴人の利益全体の額に占める割合が不明である場合は,法5条2項による推定をすることはできないと主張する。 しかし,法5条2項の推定を覆滅する事情及びその割合の主張,立証責任は営業上の利益を侵害した者にあるというべきであるから,推定を覆滅する割合が不明の場合は,推定の覆滅は認められないことになるのであり,同項の推定が認められなくなることはない。 ウ控訴人の主張について(ア) 控訴人は,凍結保存した卵子・胚の解凍後の生存率は,需要者にとって医療機器選択の最大の基準であり,「生存率100%」の表示は,このような商品選択の最大の基準に関する誤認表示であると主張する。 確かに,凍結保存した卵子・胚の解凍後の生存率は,需要者が購入する本件製品の選択をするに当たって重要な要素であるが,前記アのとおり,「生存率100%」との表示が被告製品の売上げに貢献した程度はかなり小さいというべ 存した卵子・胚の解凍後の生存率は,需要者が購入する本件製品の選択をするに当たって重要な要素であるが,前記アのとおり,「生存率100%」との表示が被告製品の売上げに貢献した程度はかなり小さいというべきである。 (イ) 控訴人は,メディカルパーク横浜は,原告製品から被告製品に切り替えた旨主張する。 しかし,前記1(7)のとおり,メディカルパーク横浜のウェブサイトには,凍結液をアップグレードすることを記載し,被控訴人のウェブサイトから,被告製品は凍結融解後の生存率100%を期待できるものであるという記載等を引用しているが,メディカルパーク横浜が,被告広告に記載された本件各表示に接したことによ り,被告製品を採用することになった旨の記載はないから,メディカルパーク横浜のウェブサイトの記載から,メディカルパーク横浜が,被告広告に記載された本件各表示に接したことにより,被告製品を採用することになったと認めることはできない。 (4) 小括ア前記(2)のとおり,平成27年7月26日から令和2年7月31日の間に,被告製品によって乳児が出生される年間の件数は2万8333件であること,乳児一人の出生に必要な被告製品一式の販売価格は7733円であること,被告製品の利益率は70%であることが認められるところ,上記被告製品一式の年間の販売数は,被告製品の使用による乳児の出生件数以上であると推認されるから,被告製品の販売による利益は,上記の数字を基に計算した利益を下回らないものと認められる。したがって,被告製品の年間の販売利益は,1億5336万9362円(2万8333件×7733円×0.7=1億5336万9362.3円。1円未満切り捨て。以下同じ。)となる。 そうすると,平成27年7月26日から令和元年7月25日の4年間の被 336万9362円(2万8333件×7733円×0.7=1億5336万9362.3円。1円未満切り捨て。以下同じ。)となる。 そうすると,平成27年7月26日から令和元年7月25日の4年間の被告製品の販売利益は,6億1347万7448円(1億5336万9362円×4年=6億1347万7448円)となり,令和元年7月26日から令和2年7月31日の1年と6日間の被告製品の販売利益は,1億5589万0502円(1億5336万9362円+1億5336万9362円×6日/365日=1億5589万0502.19円)となり,それらの合計は,7億6936万7950円(6億1347万7448円+1億5589万0502円=7億6936万7950円)となる。 イ前記(3)のとおり,本件において法5条2項の推定が覆滅される割合は95%であると認められるから,平成27年7月26日から令和2年7月31日までの間に被控訴人の不正競争によって受けた控訴人の損害額は,3846万8397円(7億6936万7950円×5%=3846万8397.5円)となる。 そして,被控訴人の不正競争と相当因果関係のある弁護士費用は,差止請求に係 る分につき100万円,損害賠償請求に係る分につき400万円の合計500万円と認めるのが相当である。 したがって,上記の期間における控訴人の損害額は,4346万8397円となる。 遅延損害金については,控訴人は,①平成27年7月26日から平成30年7月25日に発生した損害については年5分の割合による額を,②同月26日から令和2年7月31日に発生した損害については年3分の割合による額を請求しているところ,差止請求に係る分の弁護士費用は①の期間に発生した損害に含めるべきであるから,①の期間に発生した損害の額は,2639万7 年7月31日に発生した損害については年3分の割合による額を請求しているところ,差止請求に係る分の弁護士費用は①の期間に発生した損害に含めるべきであるから,①の期間に発生した損害の額は,2639万7539円(1億5336万9362円×3年×5%+400万円×3年/(5年+6日/365日)+100万円=2639万7539.75円)となり,②の期間に発生した損害の額は,1707万0858円(4346万8397円-2639万7539円=1707万0858円)となる。 よって,控訴人の損害賠償請求は,4346万8397円並びにうち2639万7539円に対する平成30年7月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金,及びうち1707万0858円に対する令和2年11月11日から支払済みまで年3分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 6 以上より,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官森 義之 裁判官佐野信 裁判官中島朋宏 (別紙)アドレス目録 1 「http://以下省略」 2 「http://以下省略」 3 「http://以下省略」 4 「http://以下省略」以上 ( 2 「http://以下省略」 3 「http://以下省略」 4 「http://以下省略」以上 (別紙)表示目録 1 「ついに解凍後100%生存の画期的な凍結手法 「TheCryotecMethod」の開発に成功!」(別紙1の黄色マーカー①部分) 2 「2012 年、ついに解凍後100%生存の画期的な凍結手法の開発に成功。」(別紙1の黄色マーカー②部分) 3 「生存率100%を実現、クライオテックの凍結保存」(別紙2の黄色マーカー③部分) 4 「融解後の生存率100%と臨床成績の向上」(別紙2の黄色マーカー④部分) 5 「胚盤胞、分割胚そして卵子の生存率が100%になります。」(別紙2の黄色マーカー⑤部分) 6 「卵子と胚で同一のプロトコールで100%の高い生存率が得られます。」(別紙2の黄色マーカー⑥部分) 7 「CryotechCreatesureHappinessby 100% survivalvitrification!」(別紙3の黄色マーカー⑦部分) 8 「100% Post-warmSurvival」(別紙3の黄色マーカー⑧部分) 9 「Anyonecanobtain 100% post-warmsurvivalratesforhumanoocytesandembryosbystrictlykeepingDr.Kuwayama'soriginalvitrification/warmingprotocol. Itiscalled “theCryotecmethod”.」(別紙3の黄色マーカー⑨部分) 10 「Only 100% survivalprovedso mingprotocol. Itiscalled “theCryotecmethod”.」(別紙3の黄色マーカー⑨部分) 10 「Only 100% survivalprovedsolutionsareprovided.」(別紙3の黄色マーカー⑩部分) 11 「WELCOMETO “THE 100% SURVIVALCLUB”!」(別紙4及び別紙5の各黄色マーカー⑪部分) 12 「BystrictadherencetospecificdetailsofTheCryotecMethod, the clinicalembryologistisassuredofachieving 100%, literally 100%,survivalofnormaloocytesandembryos.」(別紙4及び別紙5の各黄色マーカー⑫部分) 13 「SUPER-VITRIFICATION」「 CreatesureHappinessby 100% survivalvitrification!」(別紙5の黄色マーカー⑬部分) 14 「CRYOTECHADVANTAGE; "WHY 100% SURVIVAL? "」(別紙5の黄色マーカー⑭部分)以上

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