【DRY-RUN】主 文 原判決を取消す。 被控訴人の従来の請求ならびに当審で追加された第二次請求は、いずれ も棄却する。 訴訟費用は差戻前の第一、二審、上告審および差戻後の当審とも
主文 原判決を取消す。 被控訴人の従来の請求ならびに当審で追加された第二次請求は、いずれも棄却する。 訴訟費用は差戻前の第一、二審、上告審および差戻後の当審とも被控訴人の負担とする。 事実 控訴代理人は、「原第一審判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。」との判決を求め、当審における被控訴人の第二次請求(訴の追加的変更)につき、「被控訴人の訴の変更申立(訴の追加的変更)を却下する。仮に右訴の変更申立が許されるとすれば、被控訴人の第二次請求を棄却する。」との判決を求めた。 被控訴代理人は、控訴人の控訴につき、「本件控訴を棄却する。」との判決を求め、当審における第二次請求として、「控訴人から被控訴人への所有権移転登記手続が認められないときは、控訴人は被控訴人に対し、別紙目録記載の土地につき、控訴人より名古屋市a区b町c丁目d番地光豊産業株式会社に対する昭和三四年五月二五日譲渡を原因とする所有権移転登記手続をせよ。当審における訴訟費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。 当事者双方の主張および証拠の関係は、次に付加、訂正するほか、原第一審判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。 (控訴代理人の陳述)一控訴人は、昭和三四年五月二五日、訴外光豊産業株式会社(以下、訴外会社という)から、金一二万五、〇〇〇円を、弁済期昭和三五年三月二四日と定めて借受け、同時に別紙目録記載の土地(以下、本件土地という)を譲渡担保に提供した。これに対し、控訴人は、昭和三五年三月二七日金九万七、八七五円(内訳元金二万五、〇〇〇円、利息金七万二、八七五円)、同年五月六日利息金二、〇〇〇円を、それぞれ弁済した。 ところが、控訴人と訴外会社との間で作成された公正証書には、元金一五万円と記載 八七五円(内訳元金二万五、〇〇〇円、利息金七万二、八七五円)、同年五月六日利息金二、〇〇〇円を、それぞれ弁済した。 ところが、控訴人と訴外会社との間で作成された公正証書には、元金一五万円と記載されているので、控訴人は訴外会社と折衝の結果、昭和三五年五月六日付で、改めて残金一〇万円を元金として借受けることとし、弁済期の定めのない消費貸借契約を締結した。この新債務金一〇万円の消費貸借契約を締結することによつて、従来の債務を消滅させたものである。また、なんら特約をしないときは、旧債務に付着した担保は消滅するものと解すべきところ、控訴人と訴外会社との間にはなんらの特約もなされていない。 したがつて、訴外会社の担保権は昭和三五年五月六日消滅に帰したものであるから、訴外会社の処分は効力を生ぜず、被控訴人は所有権を取得し得ないものである。 二仮に右主張が認められないとしても、訴外会社と控訴人との間において、本件土地の使用貸借が終了した事実もなく、控訴人は本件土地を訴外会社に引渡していない(それ故、訴外会社は昭和三五年五月六日にも控訴人より利息として金二、〇〇〇円を受領している)のであつて、訴外会社が本件土地の引渡を受けることもなく、かつ、控訴人に対しなんらの通知催告なくして、本件土地を第三者に売却処分することは許されないものである。 三仮に右主張が認められないとしても、被控訴人はその所有権を控訴人に対抗し得ないものである。すなわち訴外会社は、昭和三七年八月一〇日、名古屋地方裁判所に、本件土地に対する強制競売の申立をしたが、控訴人と訴外会社間の公正証書一二条には、「債権者は、債務者が債務不履行の場合には、担保物件に対する権利を放棄して、所有権を債務者に復帰させ、該物件その他全財産に対し、直ちに強制執行をすることができる」と定められてい 公正証書一二条には、「債権者は、債務者が債務不履行の場合には、担保物件に対する権利を放棄して、所有権を債務者に復帰させ、該物件その他全財産に対し、直ちに強制執行をすることができる」と定められているので、訴外会社の右強制競売申立は、かつて担保のため取得した本件土地の所有権を放棄し、控訴人に復帰させたものである。この関係は、担保のため本件土地の所有権を取得した訴外会社が、これを被控訴人に売却し、移転登記をしないままに、控訴人に所有権を復帰させ、登記(強制競売申立によつてなされた所有権保存登記)がなされ、あたかも二重売買におけるのと同様の第三者対抗の問題であつて、被控訴人は本件土地の所有権取得を控訴人に対抗し得ないものである。 四仮に被控訴人主張のように、右強制競売の申立が錯誤に基いたものとして、いつたん担保のため取得した本件土地の所有権を放棄して控訴人に復帰させたことが無効であるとしても、控訴人が昭和三七年一〇月一一日右強制競売の申立を信用して、元金、損害金ならびに執行費用一切合計金一九万七、一七三円を弁済供託したところ、訴外会社はにわかに態度を変え、右強制競売の申立は錯誤によるものとしてこれを取下げ、被控訴人は右所有権復帰の無効を主張するにいたつたものであつて、このように、先行行為に対し、相手方がそれを信じてある行為をした場合に、先行行為者が先行行為と矛盾する無効の主張をすることは、いわゆる表示による禁反言の法理により許されないものである。すなわち、訴外会社か所有権を放棄し、強制競売の申立をなした以上、その行為を信じて、控訴人が弁済等の行為をしたことは、公平上保護されねばならない関係にある。それ故、訴外会社から本件土地を買受けた被控訴人は、訴外会社の地位を承継したものであるから、右所有権復帰の無効を主張することはできない。 五 をしたことは、公平上保護されねばならない関係にある。それ故、訴外会社から本件土地を買受けた被控訴人は、訴外会社の地位を承継したものであるから、右所有権復帰の無効を主張することはできない。 五仮に以上の主張が認められないとしても、訴外会社は被控訴人に対し、本件土地を、訴外会社の控訴人に対する債権額に合致する代金で売渡したもので、なんら債権の清算を伴わずして処分する結果となり、流質禁止の脱法行為であつて、公序良俗、信義誠実の原則に反し無効であり、権利の濫用にあたるものである。 六中間省略登記の合意の主張について被控訴人の中間省略登記の合意があつた旨の主張は、被控訴人の故意に基づく時機に遅れた攻撃方法の提出であるばかりでなく、これにより著しく訴訟遅延を生ぜしめるから許されるべきではない。 仮に右主張が時機に遅れたものでないとしても、右中間省略登記の合意の存在を否認する。控訴人は本件土地の所有権移転登記について、中間者登記の省略を承諾したことがないのはもちろん、直接被控訴人に移転登記手続をすることを承諾したこともない。また、右承諾を事前に、かつ、包括的に同意したこともない。 七被控訴人の第二次請求(訴の追加的変更申立)について被控訴人は差戻前の上告審まで一審の請求を維持し、本件土地について訴外会社に所有権移転はなかつたと主張していたのにかかわらず、差戻後の当審において新たに右主張をなし、これを前提として、訴外会社が控訴人に対して有する本件土地の所有権移転登記請求権を代位行使するとして、訴外会社への所有権移転登記手続を求める追加的訴の変更を申し立てた。かかる訴の変更を許すことは、審級の利益を害し、かつ、著しく訴訟手続を遅滞せしめるから、許されるべきではない。したがつて、被控訴人の右訴の追加的変更申立は、民事訴訟法二三二条により却 更を申し立てた。かかる訴の変更を許すことは、審級の利益を害し、かつ、著しく訴訟手続を遅滞せしめるから、許されるべきではない。したがつて、被控訴人の右訴の追加的変更申立は、民事訴訟法二三二条により却下されるべきである。 仮に右主張が認められないとしても、叙上一ないし五の主張のとおり、被控訴人は訴外会社に対し本件土地につき保全すべき債権を有せず、また、控訴人は昭和三五年三月二七日訴外会社に対し金九万七、八七五円を支払い、訴外会社が異議なくこれを受領したことにより、本件貸金は期限の定めのないものとなつたところ、控訴人は昭和三七年一〇月一一日新債務全額一九万七、一七三円を供託により弁済したこと、さらに、被控訴人は訴状第四項で、「本件移転登記請求は、訴外会社に代位することなく、直接控訴人に対し請求する」とし、代位権を放棄していることにより、被控訴人は前記申立の代位権を有しない。 八清算額について主張立証する意思はない。 (被控訴代理人の陳述)一控訴人の主張に対する認否ならびに主張(一) 控訴人が昭和三五年五月六日訴外会社との間で、従来の消費貸借契約を消滅させて、残金一〇万円を元金とし、弁済期の定めのない消費貸借契約を締結し、したがつて、旧債務の担保も消滅したとの控訴人主張事実は否認する。 右主張は、控訴人が昭和三五年三月二七日元金二万五、〇〇〇円、利息金七万二、八七五円、同年五月六日利息金二、〇〇〇円を支払つたとして、これを根拠とするのであるが、譲渡担保権を有する債権者が弁済期後において内入弁済を受けるのも、通常の権利として当然のことであり、これによつて期限の猶予がされたものでもなく、また、減少した元金による新消費貸借契約が成立したりすることももちろんなく、まして、担保権が消滅することなどはあり得ないことである。 仮に前記内金弁 り、これによつて期限の猶予がされたものでもなく、また、減少した元金による新消費貸借契約が成立したりすることももちろんなく、まして、担保権が消滅することなどはあり得ないことである。 仮に前記内金弁済による期限の猶予があつたとしても、それは昭和三五年四月二〇日までであつて(乙第一号証、同第四号証の一にあるとおり、昭和三五年三月二七日支払われた金九万七、八七五円により、同年四月二〇日までの利息が支払ずみである)、同日までに返済がなされていない。また、仮に期限の定めなく猶予されたとしても、訴外会社は同三五年夏ころまでたびたび支払の請求をしたので、期限は到来している。のみならず、譲渡担保権者が期限前になした処分行為であつても、第三者に対する関係では、完全に有効であり、債務者との内部関係において、債務不履行あるいは不法行為の問題があり得るにすぎない。 (二) 訴外会社は控訴人から本件土地の引渡をうけていないから、その処分権を有しないとの控訴人の主張は争う。公正証書一一条には、「債務者は債務完済前使用貸借が終了したときは、遅滞なく後記物件を債権者に引渡すこと。この場合に、債権者は該物件を法定の手続によらないで任意売却し、その売得金をもつて債権の弁済に充当することができる(以下略)」とあり、これに対し、訴外会社が本件土地を被控訴人に売却処分したのは、債務が完済せられずして使用貸借契約が終了した後の昭和三五年九月七日であつて、引渡義務が発生していたのであるから、本件土地の処分は適法である(故意に引渡を拒否したり、遅延したりした場合に、売却処分ができないとすることは、とうてい許されない不当な解釈である)。 仮に訴外会社の本件土地売却処分につき、控訴人の引渡義務履行完了を要するものとしても、訴外会社は本件土地処分当時、控訴人から引渡を受けていたものであ ことは、とうてい許されない不当な解釈である)。 仮に訴外会社の本件土地売却処分につき、控訴人の引渡義務履行完了を要するものとしても、訴外会社は本件土地処分当時、控訴人から引渡を受けていたものである。すなわち、訴外会社は昭和三五年七月一〇日控訴人より本件土地上に所在する建物の所有権を取得したから、同日本件土地の引渡を受けたものである。仮に右の場合建物の所有権移転登記を要するとするも、被控訴人は昭和三六年七月一七日所有権移転登記を了したから、訴外会社の売却処分は少くともその日に効力を生ずるに至つたものである。 (三) 1 訴外会社が本件土地につき強制競売の申立をしたことにより、本件土地に対する売却処分権を放棄したとの控訴人の主張事実はこれを否認する。訴外会社は、本件土地が名古屋市の特別処分土地使用区域に含まれ、被控訴人に対する登記手続が困難であつたため、A弁護士に対し、売却処分をした者の責任上、被控訴人のため、登記手続ができるよう相談し、その際、委任者名義のみを記載して捺印した白紙の弁護士用委任状を交付しておいたところ、同弁護士が前記強制競売手続に着手したものであつて、訴外会社としては、そのような手続を依頼したものではないのである。おそらく、同弁護士は、登記手続などは裁判所の発する裁判書類によるのが、法務局や区画整理組合等に対する手続や弁明を容易にする一般の例にならい、強制競売手続を申し立て、そのうえで、被控訴人をして競落せしめようとしたものと推測される。しかしながら、訴外会社としては、同弁護士に対し強制競売手続を頼んだ覚えはなかつたので、のちに同弁護士の辞任(実質は委任の不存在)後、右申立を錯誤(実質は委任契約の錯誤)を理由に取下げた。したがつて、右強制競売申立は訴外会社の意思によらないものであり、しかも、右申立自体により売却処分権 に同弁護士の辞任(実質は委任の不存在)後、右申立を錯誤(実質は委任契約の錯誤)を理由に取下げた。したがつて、右強制競売申立は訴外会社の意思によらないものであり、しかも、右申立自体により売却処分権を放棄したものでないことは明らかであり、ましてや、そのような事実によつて第三者たる買主の被控訴人の権利が左右されるものではない。 2 次に、控訴人は、いつたん本件土地が訴外会社の所有になつたものとの前提をとり、訴外会社より、昭和三五年九月七日被控訴人に、同三七年八月一〇日控訴人に、それぞれ二重売買類似の所有権移転行為があつたものであり、被控訴人にはその登記を欠く旨主張するが、右主張事実は否認する。 被控訴人は、訴外会社が控訴人との間の金銭貸借契約公正証書による約定、すなわち譲渡担保契約により取得した処分権に基づきなした売却処分により、控訴人から本件土地の所有権を取得したものである。右処分権の法理は、代理権か授権である。 しかし、本件土地につき、訴外会社に対し所有権移転登記がなされていないから、内部的のみならず、外部的にも全く所有権の移転はない。純然たる処分清算型の譲渡担保である。前記公正証書四条の所有権移転条項(すなわち、「債務者は本債務の履行を担保するためその所有する後記物件を債権者に譲渡し債権者はこれを譲り受けその引渡を受けた」)は、債権担保の一つの形式を示したにすぎず、実体は右一一条二項に定める「法定の手続によらないで任意売却し」得る処分権授与である。 (四) 控訴人は、訴外会社の強制競売の申立および控訴人の弁済供託に関し、禁反言の法理を主張するが、それは被控訴人の関知するところではなく、被控訴人としては、速やかに所有権移転登記手続を求める態度を終始一貫してとつている次第である。 (五) 控訴人の、本件売買は流質禁止の脱法行為であ 張するが、それは被控訴人の関知するところではなく、被控訴人としては、速やかに所有権移転登記手続を求める態度を終始一貫してとつている次第である。 (五) 控訴人の、本件売買は流質禁止の脱法行為であり、公序良俗に反する旨の主張は争う。被控訴人の本件土地買受代金は、同土地上の建物と合せて金一五万円のほかに、右建物に関する訴訟費用、同建物明渡執行費用、仮差押登記抹消費用等のため金一二万円を、被控訴人負担の約定により出捐し、実質の譲渡代金は金二七万円であつた。訴外会社としては、処分可能な要件が具備した際にも、何度となく任意弁済の回を重ね、本件地上建物については、訴訟上の和解もしたのに控訴人は和解条項すら守らず、やむなく売却処分したものであり、また、買主である被控訴人としては、もちろん譲受代金は安いに越したことはないが、それでも右金二七万円は、譲受のために真に止むを得ない出捐金額であつたのであり、その際控訴人に清算金として交付される余剰を生じない処分であるからといつて、これが脱法行為となるはずのものではない。 (六) 控訴人が被控訴人の代位権行使について主張する点は、いずれも争う。 控訴人主張の弁済供託は、供託の対象債務を欠き、かつ、供託の要件を充たしていないから、無意味かつ無効のものである。 二第一次請求(控訴人より被控訴人への所有権移転登記手続請求)についての主張(一) 本件譲渡担保の目的物は、その契約締結時の昭和三四年五月二五日当時、土地区画整理事業の施行中の特別処分土地の所有権と同一内容の、もしくは所有権に準ずる使用収益権であつた。そして、被控訴人が右目的物を買受けた昭和三五年九月七日当時もそのままであつたので、右の意味における使用収益権を取得したものである。そののち、右区画整理事業は昭和三六年三月二九日に完成し、右の使用収益 て、被控訴人が右目的物を買受けた昭和三五年九月七日当時もそのままであつたので、右の意味における使用収益権を取得したものである。そののち、右区画整理事業は昭和三六年三月二九日に完成し、右の使用収益権がそのまま同一性をもつて本件土地となつたので、この時点で被控訴人は本来の意味における所有権者となつたものである。本件が一般の仮換地の処分と異つているのは、いわゆる旧地に相当するものがなく、したがつて、旧地の所有権移転登記なども全くないまま特別処分土地使用収益権が所有権になつてきたもので、そのため本来の手続をいうならば、控訴人と被控訴人とが整理事業施行者に対し、特別処分土地使用収益権移転の届出をしておいて、そのうえで、整理事業完成のとき、被控訴人に直接所有権取得の登記(いわば、はじめてする所有権の原始登記)をしてもらうべきてあつたところ、届出手続がしてもらえないので、控訴人名義に登記(結果は、表示登記は整理事業者、保存登記は裁判所がそれぞれすることとなつた)され、しかる後に、被控訴人に所有権移転登記を求めるよりほかがなかつたものである。この点をも考慮に入れるならば、被控訴人は控訴人に対し、前述の訴外会社の処分すなわち売買契約を原因とする登記請求権のほか、所有権に基づく登記請求権を有することになるので、これを併せて選択的に主張する。 (二) 仮に本件土地の所有権が、控訴人から訴外会社、そして訴外会社から被控訴人に移転したとするも、訴外会社と控訴人との間に中間登記を省略して訴外会社からの買受人に直接所有権を移転する旨の合意が、譲渡担保契約中に包括的に明示または黙示になされている。 すなわち、前記公正証書一一条三項において、控訴人は、「売買の時期、方法、価格等に付き一切異議を述べないこと」とあることから、これは控訴人が中間省略登記の同意についても または黙示になされている。 すなわち、前記公正証書一一条三項において、控訴人は、「売買の時期、方法、価格等に付き一切異議を述べないこと」とあることから、これは控訴人が中間省略登記の同意についても、その意思表示をなしたものと解釈される。また、本件譲渡担保が前述のとおり、「処分清算型」で「当然帰属型」でないことからすれば、控訴人は事前に、かつ包括的に、訴外会社が処分の相手方との間で処分に関して合意した一切の条件を、自らも合意しているのであり、そして、訴外会社はまさしく控訴人より被控訴人に対して直接登記させることを約していたものであるから、三者間の合意が存するのである。 三第二次請求の請求原因仮に本件土地につき、控訴人より被控訴人に対する直接の所有権移転登記手続の請求が認容されないとすれば、被控訴人は訴外会社に代位し、訴外会社が控訴人に対して有する本件土地の所有権移転登記請求権を行使し、控訴人に対し、本件土地につき、訴外会社に対する所有権移転登記手続をなすことを予備的に求める(訴の追加的変更)。 (証拠関係)(省略) 理由 一控訴人が昭和三四年五月二五日訴外会社より、金一二万五、〇〇〇円を、弁済期昭和三五年三月二四日と定めて借受け(以下、本件貸金という)、同時に右債務の支払を担保するため、控訴人所有にかかる本件土地を訴外会社に譲渡し、占有改定により引渡をするとともに、存続期間を右の弁済期までとする使用貸借契約をなす旨のいわゆる譲渡担保契約を締結したことは、当事者間に争いがない。 二成立に争いのない甲第一、二号証、第四ないし第七号証、第一〇号証、乙第三号証の一、三ないし五、原審および当審(差戻後第一回)における証人Bの証言により真正に成立したことの認められる甲第三号証の一ないし五、差戻前の当審における 証、第四ないし第七号証、第一〇号証、乙第三号証の一、三ないし五、原審および当審(差戻後第一回)における証人Bの証言により真正に成立したことの認められる甲第三号証の一ないし五、差戻前の当審における証人Bの証言により真正に成立したことの認められる甲第八号証の一ないし三、第九号証、原審における控訴本人の尋問の結果により真正に成立したことの認められる乙第一、二号証、第三号証の二、差戻前の当審における控訴本人尋問の結果により真正に成立したことの認められる乙第四号証の一、二、原審証人C、同Dの各証言、差戻前の当審における証人Aの証言、原審および当審(差戻前および差戻後第一、二回)における証人Bの証言、原審および差戻後の当審における被控訴本人尋問の結果、原審および当審(差戻前および差戻後第一、二回)における控訴本人尋問の結果(ただし、前記証人Bの証言および当事者双方本人尋問の結果は、いずれも後記措信しない部分を除く)によると、次の事項が認められる。 (一) 本件貸金契約にあつては、利息月六分(金一〇〇円につき一日金二〇銭)、遅延損害金月一割二分(金一〇〇円につき一日金四〇銭)の約束であり(ただし、公正証書上では、遅延損害金年三割六分―金一〇〇円につき一日金九銭八厘とされている)、控訴人は貸付日である昭和三四年五月二五日に月六分の割合による一か月分の利息を前払いした。 (二) 前記譲渡担保ならびに使用貸借契約については、次のような約束がなされていた。 1 債務者は、他の債務のため差押、仮差押、仮処分を受けまたは競売、破産もしくは和議の申立があつたときなど、その他本契約各条項の一に違背したときは、期限の利益を失い、なんらの手続を要しないで、直ちに全債務を完済する。 2 債務者が前記により期限の利益を失つたときは、使用貸借はその効力を失う。 3 、その他本契約各条項の一に違背したときは、期限の利益を失い、なんらの手続を要しないで、直ちに全債務を完済する。 2 債務者が前記により期限の利益を失つたときは、使用貸借はその効力を失う。 3 債務者は本件土地をその性質によつて定まつた用方に従つて使用収益するほかは、譲渡、質入その他一切の処分をすることができない。また、債権者は債権担保の目的を達成するためでなくてはこれを処分することができない。 4 債務者が本件債務を完済したときは、本件土地の使用貸借はその効力を失い、本件土地の所有権は当然控訴人に復帰する。 5 控訴人が債務を完済しないうちに右の使用貸借契約の期間が満了したとき、すなわち右弁済期が経過したときは、訴外会社において、担保の目的である本件土地を法定の手続によらず任意売却して債権の弁済に充当することができ、かつ、控訴人はその売却の時期、方法、価格等一切につき異議を述べない。 そして、その売得金が債権額を超過するときは、その超過額を控訴人に返還し、また、不足するときは、控訴人はその不足額を訴外会社に支払う。 (三) もと本件土地は、控訴人が旧住宅営団から譲受け、その地上に木造瓦葺平屋建居宅床面積三九・六六平方メートル(一二坪。以下、本件地上建物という)を所有して、そこに居住していたが、名古屋市e町土地区画整理組合の土地区画整理事業施行地区内の特別処分土地使用区域(同組合が昭和二五年一一月二〇日耕地整理法第三〇条第二項の処分を行なうための使用区域に指定した土地。もとの表示名古屋市f区e町gh番e町住宅i号敷地j、土地四三坪八合九勺九)で、未登記の土地であつたもので、昭和三六年三月二九日に土地区画整理事業が完成したものである。 (四) 右のような事情であつたため、前記の契約当時、本件土地の登記簿が閉鎖中であり、譲渡担保契約 )で、未登記の土地であつたもので、昭和三六年三月二九日に土地区画整理事業が完成したものである。 (四) 右のような事情であつたため、前記の契約当時、本件土地の登記簿が閉鎖中であり、譲渡担保契約がなされても、登記簿上所有名義は依然控訴人名義のままで、訴外会社に所有権移転登記がなされなかつた。 そこで、訴外会社は右契約と同時に、本件土地が控訴人所有であることを証明するものとして、控訴人から特別処分土地使用区域指定書(甲第六号証)を受取り、また、控訴人とB(訴外会社代表者)の連名で、昭和三四年五月二三日付により前記組合長あてに、「本件土地を担保としてBから金一五万円を借受けたにつき、今後Bの承諾なくして所有者の名義変更その他権利に関する一切の行為はしないので、前記組合においても承知されたい旨要請し、前記組合はこれを承認した」旨を記載した名義変更停止願(甲第一〇号証)を受取つた。訴外会社としては、あくまでも本件土地を控訴人から担保として提供するということで本件貸金をなしたもので、契約存続中に登記ができるようになれば、訴外会社のため抵当権設定登記をするということで甲第一〇号証の交付を受けたが、同年五月二五日には、右のような抵当権設定登記もまた所有権移転登記も一切できないということで、金銭貸借契約公正証書(甲第四号証)の作成を公証人に嘱託し、前記(二)の約定を記載した(以上の事情にあつたため、右公正証書には、登記に関する約定はなんら定められなかつた)。 (五) 本件地上建物は、前記のとおり、控訴人が旧住宅営団から本件土地とともに譲受け、そこに居住していたものてあるが、控訴人は昭和三〇年二月ころ訴外株式会社中島商事(以下、中島商事という)から金借して、右建物をその担保に供し、売買予約を原因として所有権移転請求権保全仮登記を経ていたが、同三三年 ていたものてあるが、控訴人は昭和三〇年二月ころ訴外株式会社中島商事(以下、中島商事という)から金借して、右建物をその担保に供し、売買予約を原因として所有権移転請求権保全仮登記を経ていたが、同三三年一〇月右建物に対し訴外大和生命保険相互会社(以下、大和生命という)から仮差押があつて、その旨の登記がなされ、同三四年二月訴外丹陽商事株式会社(以下、丹陽商事という)に右仮登記移転の付記登記がせられ、その直後、丹陽商事から競売法による競売申立があり(まもなく取下)、同年三月名古屋市から滞納処分による差押があり、同年八月訴外Eに右仮登記移転の付記登記がせられた(その間に中島商事の控訴人に対する右売買予約上の権利は、丹陽商事を経てEに譲渡せられたと推測せられる)。訴外会社は同年末ころ、本件貸金債権確保の目的で、Eから控訴人に対する債権の譲渡を受け、同三五年一月にいたつて、右仮登記移転の付記登記を経て、控訴人を被告として、愛知中村簡易裁判所に、右建物につき、所有権移転登記手続請求訴訟を提起し、同年五月一二日訴訟上の和解が成立し、控訴人は訴外会社に対し金一〇万五、〇〇〇円の支払義務のあることを認め、これを昭和三五年七月一〇日限り金五万円(ただし、内金一万円の限度において同年八月一〇日までの遅滞を認める)、同年八月一〇日限り金五万五、〇〇〇円を支払う。右分割金の支払を一回でも怠れば、訴外会社は右仮登記に基づき直ちに右建物につき所有権移転登記を受けることができ、控訴人は同年八月二〇日限り訴外会社に対し右建物を明渡す旨の定めがなされた。 (六) ところで、控訴人は本件貸金債務をその弁済期までに完済せずして使用貸借期間が満了し、右期限経過後である昭和三五年三月二七日元金二万五、〇〇〇円および利息金七万二、八七五円、同年五月六日利息金二、〇〇〇円を支払ったの 本件貸金債務をその弁済期までに完済せずして使用貸借期間が満了し、右期限経過後である昭和三五年三月二七日元金二万五、〇〇〇円および利息金七万二、八七五円、同年五月六日利息金二、〇〇〇円を支払ったのみで、(控訴人が元金の内金二万五、〇〇〇円を支払つたことは当事者間に争いがない)、その余の支払を怠つたため、訴外会社は昭和三五年九月七日、前記公正証書の約定に基づくとして、右の債権の弁済に充てるため、訴外Cを通じ、本件土地と本件地上建物を被控訴人に任意売却する旨の契約をした(本件建物は、控訴人が前記和解に基づく債務を履行しなかつたため、前記和解に基づき、昭和三五年九月七日当時訴外会社の所有となつていた)。訴外会社は金融業を目的とする会社であり、前記一部弁済を受けた後、右本件土地売却時まで月二、三回は控訴人に催促し、弁済をしなければ本件土地を処分する旨通告していたが、弁済の見込のないことが判つたため、かねて知合のCを通じて売却することとしたものであり、訴外会社としては、本件貸金債権の弁済を得るため公正証書の約定に基づいて売却処分することにしたもので、本件土地に対する執着はなかつた。 (七) 右売却契約の際、被控訴人は義兄の前記C(妻の兄に当たる)を通じて、前記公正証書を受取り、これに基づいて訴外会社の説明を受け、本件土地は控訴人の所有であつたもので、目下土地区画整理事業施行中の土地であり、右事業が完了するまでは所有権移転登記はできないが、右事業が完了すれば確実に登記ができる態勢であること、売却代金は本件土地および地上建物ともで金一五万円(その内訳は定めず)であるが、差押なとがなされており、諸費用を含め総額金三〇万円位は控訴人の負担する金額であるといわれ、控訴人はそのころ右代金一五万円の支払をしたほか、後記のとおり、控訴人をして右建物を明渡させる ず)であるが、差押なとがなされており、諸費用を含め総額金三〇万円位は控訴人の負担する金額であるといわれ、控訴人はそのころ右代金一五万円の支払をしたほか、後記のとおり、控訴人をして右建物を明渡させるに必要な費用、大和生命の仮差押登記抹消に関する必要な費用、訴外会社の控訴人に対する訴訟費用の一部などの諸費用として少なくとも金一二万円を出費した。そして、被控訴人は本件土地は担保物件であるとの説明を受け、担保にとつたものでも自由に売却することができるといわれ、右のとおりこれを買受けることとしたものである。 (八) 右任意売却の契約のなされた後である昭和三六年四月二〇日頃、控訴人は本件地上建物明渡の強制執行を受けてこれを明渡し、その後に被控訴人が右建物に入居し、さらに、右建物につき、名古屋法務局古沢出張所昭和三六年七月一七日受付により同年六月四日売買を原因として、被控訴人のため所有権移転登記がなされた。 (九) ところが、本件土地については、前記のとおり、土地区画整理事業の施行中であつたため、すぐには被控訴人に所有権移転登記ができなかつたが、その後昭和三六年三月二九日土地区画整理事業が完成した後になつても、控訴人が本件土地に柵を作つたりして、これに応じない態度であつたので、訴外会社はA弁護士に依頼して事件の解決を委任し、同弁護士は昭和三七年八月一〇日債権者代理人として、名古屋地方裁判所に対し、本件貸金債権残金(元金一〇万円および昭和三五年三月二五日から同三七年七月三日までの金一〇〇円につき一日金九銭八厘の割合による遅延損害金八万四、二八〇円)の弁済を得るため、本件土地に対する強制競売の申立をなし、同月一一日競売手続開始決定がなされ(その際、同月一三日右裁判所の嘱託により、本件土地につき控訴人名義に所有権保存登記がなされた)、そのころ控訴人に 得るため、本件土地に対する強制競売の申立をなし、同月一一日競売手続開始決定がなされ(その際、同月一三日右裁判所の嘱託により、本件土地につき控訴人名義に所有権保存登記がなされた)、そのころ控訴人にその旨の通知がなされた。 (一〇) そこで、控訴人はその頃A弁護士のところへ赴き、訴外会社に対し債務をまけてもらつて弁済して事件を解決しようと交渉したところ、同弁護士は訴外会社代表者Bを呼んで解決しようとしたが、Bは定められた日に参集せず話合ができなかつた。そのため、控訴人は同弁護士から、「競売期日もきまつておりもう仕様がないから、債務をまけるとかまけんとかいつているより全額払いなさい。」といわれ、昭和三七年一〇月一一日、名古屋法務局に金一九万七、一七三円(内訳、残元金一〇万円およびこれに対する昭和三五年三月二五日から同三七年一〇月一一日まで九二三日間の金一〇〇円につき一日金九銭八厘の割合による遅延損害金九万一、三三六円右元利金合計金一九万一、三三六円のほか右競売の執行費用金五、八三七円)を弁済供託した。 (一一) 控訴人は前記のとおり弁済供託したが、約定の利息・遅延損害金の利率はいずれも利息制限法所定の範囲を超過しているので、その超過分を元本に充当すると、その残債務は次のとおりとなる。 1 弁済(1) 昭和三四年五月二五日貸付時、元金一二万五、〇〇〇円に対し、月六分の割合により一か月分の利息金七、五〇〇円を前払いし、さらに、昭和三五年三月二七日に、同三四年六月二五日から同三五年三月二四日まで九か月分の利息金六万八、一五〇円を支払い、結局、昭和三四年五月二五日から同三五年三月二四日まで一〇か月分の利息合計金七万五、六五〇円を支払つた。 (2) 昭和三五年三月二七日、元金の内金二万五、〇〇〇円ならびに残元金一〇万円に対し、昭和三五年三月 三四年五月二五日から同三五年三月二四日まで一〇か月分の利息合計金七万五、六五〇円を支払つた。 (2) 昭和三五年三月二七日、元金の内金二万五、〇〇〇円ならびに残元金一〇万円に対し、昭和三五年三月二五日から同年四月二〇日までの遅延損害金四、七二五円を支払い(3) 昭和三五年五月六日、残元金一〇万円に対し、昭和三五年四月二〇日から同年五月五日までの遅延損害金二、〇〇〇円を支払つた。 2 利息制限法所定の範囲を超過した分を元本に充当すると、別紙計算表のとおり、昭和三五年五月五日現在における控訴人の残債務は残元金三万八、一三一円である。 (一二) 右によると、控訴人が前記のとおり供託をした昭和三七年一〇月一一日における残債務は、残元金三万八、一三一円およびこれに対する昭和三五年五月六日から同三七年一〇月一一日まで年三割六分の割合による合計金七万二、六三九円である。 38,131円×905/30月×0.36/12=34,508円38,131円+34,508円=72,639円しかるに、実際の供託額は金一九万七、一七三円であり、その内訳は元利金一九万一、三三六円のほか執行費用五、八三七円であるから、控訴人は優に残債務を超過する金額を供託したものであることは明らかである。 (一三) その後、控訴人は昭和四〇年二月ころ本件土地の道路に面した部分に新たに建物建築にとりかかろうとして、名古屋市に建築確認申請をし、同年三月には地上の花や庭木を抜き、柵や門をこわし、測量や地鎮祭をし、被控訴人に対し本件土地は控訴人の所有である旨主張したので、被控訴人は昭和三〇年三月二六日控訴人に対し仮処分申請をし、控訴人にその決定が送達された。また、本件土地に対する前記強制競売については、債権者代理人A弁護士が辞任し、訴外会社は昭和四〇年三月二三日その申 人は昭和三〇年三月二六日控訴人に対し仮処分申請をし、控訴人にその決定が送達された。また、本件土地に対する前記強制競売については、債権者代理人A弁護士が辞任し、訴外会社は昭和四〇年三月二三日その申立を取下げた。 このような経過のもとで、被控訴人は昭和四〇年四月二二日本訴を提起した(本件訴状添付の固定資産評価証明書によれば、昭和四〇年二月名古屋市長決定によれば、本件土地の評価額は金四八万二、七九〇円であることが明らかであるので、これに徴すると、昭和四〇年当時の時価は金一二〇万円を下らないものであり、前記供託のなされた昭和三七年一〇月当時の時価は金八四万円を下らないものと認められる)。 以上の事実が認められ、原審および当審(差戻前および差戻後第一、二回)における証人Bの証言、原審および差戻後の当審における被控訴本人尋問の結果、原審および当審(差戻前および差戻後第一、二回)における控訴本人尋問の結果中前記認定に反する部分は措信し難く、他に右認定に反する証拠はない。 <要旨>三右認定の事実によれば、訴外会社と控訴人の間では、本件土地につき本件貸付債権担保のための譲渡担保</要旨>契約が締結されたものであり(前記認定の事情により所有権移転登記がなされなかつた)、特段の事情が認められないので、いわゆる帰属清算型に属するものと解される。すなわち、この場合、債務者が履行遅滞となつたときは、債権者は目的不動産を処分する権能を取得し、これを適正に評価された価額で確定的に自己の所有に帰属させるという換価方法により、その評価額から自己の債権の弁済を得るのであり、評価額が債権額および換価に要した相当費用の合計を超えるときは、超過分を清算金として債務者に交付すべきであり、他方、債務者は清算金の支払を受けるまで登記手続の履行ないし引渡を拒むことができるのであ 評価額が債権額および換価に要した相当費用の合計を超えるときは、超過分を清算金として債務者に交付すべきであり、他方、債務者は清算金の支払を受けるまで登記手続の履行ないし引渡を拒むことができるのであつて、清算金の支払と同時履行の関係に立つものである。そして、このような関係にある場合、単に弁済期が経過したというだけで所有権が債権者に移転するものではないとするのが相当である。もつとも、本件にあつては、「本件貸金債務の支払を担保するため、控訴人所有にかかる本件土地を訴外会社に譲渡する」とか、「弁済期が経過したときは、訴外会社において、本件土地を法定の手続によらないで任意売却して債権の弁済に充当することができる」(すなわち、所有権の内容としての処分権に基づく任意売却)とか、「控訴人が本件貸金債務を完済したときは、本件土地の使用貸借はその効力を失い、本件土地の所有権は当然控訴人に復帰する」などの約定がなされ、所有権が債権者に移転する形式をとつているが、それは債権者と債務者の双方が合意して、そのような形式の担保権を設定したものであつて、所有権が一応債権者に移転し、債務者の受戻権が残つているものと解すべきでなく、本件においては、清算金のいわゆる後払い的特約がされているにすぎないものである。そうすると、このような譲渡担保の関係にあつては、同時履行の関係を否定することはできないのであつて、少なくとも、債権者が清算金の提供をして初めて所有権が債権者に移転し、その時までは債務者は所有権を保有し、弁済によつて債務を消滅させることができるものと解すべきである。 四ところで、本件にあつては、前記認定事実からも明らかなように、訴外会社が正当な評価清算をして控訴人に清算金を交付したこと、または少なくとも清算金の提供をした事実は認め難く、単に弁済期を経過したというだけ ろで、本件にあつては、前記認定事実からも明らかなように、訴外会社が正当な評価清算をして控訴人に清算金を交付したこと、または少なくとも清算金の提供をした事実は認め難く、単に弁済期を経過したというだけであるから、本件所有権はなお債務者である控訴人のもとに保有されているものと解すべきである。 そして、このような清算未了の間にあつて、訴外会社は前記認定の事実より明らかなように、受領拒絶の態度が明白で、提供をしても弁済を受領しない態度を事前に示していたのであるから、控訴人のした弁済供託は有効ということができ、右供託により控訴人の債務は消滅に帰したものである。 五次に、被控訴人は前記認定のとおり、本件土地の所有権が控訴人のもとに保有されている間にあつて、訴外会社からこれを譲受けたものであるが、このような場合、債権者が清算を完了して所有権を取得したとして本件土地を善意の第三者に譲渡したときは、債務者はこれを取戻し得ないものである。しかるに、前記認定によれば、被控訴人が善意であるとは認め難く、かえつて、悪意であることが認められる。そうすると、被控訴人は買主として売買契約上の権利を取得し、本件土地の所有権を得たものとはなし難い。 六以上の次第で、被控訴人の従来の請求ならびに当審における第二次請求は、いずれもその余の点を判断するまでもなく理由がないから棄却すべきであり、これと結論を異にする原判決は相当でないからこれを取消し、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第九六条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官植村秀三裁判官寺本栄一裁判官西川豊長)(別紙)<記載内容は末尾1添付>(別紙)目録名古屋市f区k町l丁目m番地一、宅地一四五・〇九平方メートル(四三坪八合九勺) 西川豊長)(別紙)<記載内容は末尾1添付>(別紙)目録名古屋市f区k町l丁目m番地一、宅地一四五・〇九平方メートル(四三坪八合九勺)
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