平成14(行ス)26 執行停止決定に対する抗告事件(原審・東京地方裁判所平成13年(行ク)第166号)

裁判年月日・裁判所
平成14年6月10日 東京高等裁判所 警察関係
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判決文本文8,746 文字)

主文 1 原決定中,抗告人が平成13年11月27日付けで相手方に対して発付した退去強制令書に基づく執行のうち,収容部分の執行停止を命じた部分を取り消す。 2 前項の取消しにかかる本件申立てを却下する。 3 本件申立費用及び抗告費用は,これを2分し,その1を抗告人の,その余を相手方の各負担とする。 理由 第1 抗告人の申立て及び原決定 1 抗告人の抗告の趣旨(1) 主文1,2と同旨(2) 本件申立費用及び抗告費用は相手方の負担とする。 2 原決定の主文(1) 抗告人が平成13年11月27日付けで相手方に対して発付した退去強制令書に基づく執行は,本案事件(東京地方裁判所平成13年(行ウ)第396号退去強制令書発付処分取消等請求事件)の第一審判決の言渡しの日までの間これを停止する。 (2) 申立費用は抗告人の負担とする。 第2 本件事案の概要 1 本件は,抗告人が相手方に対し平成13年11月27日付けでした退去強制令書(以下「本件退去強制令書」という。)の発付処分の取消し等を求める訴え(東京地方裁判所平成13年(行ウ)第396号退去強制令書発付処分取消等請求事件)を本案として,本案事件の第一審判決の言渡しまで本件退去強制令書の執行の停止を求めた事件である。 原決定は,本件申立てを認容したので,抗告人は,本件退去強制令書に基づく執行のうち収容部分の執行停止を認容した部分に限ってその取消しを求め本件抗告の申立てをした。 2 前提となる事実本件記録によれば,本邦に入国した相手方に本件退去強制令書が発付されるまでの経緯は,次のとおりであることが一応認められる。 (1) 相手方は,昭和35年(1960年)4月25日に出生したアフガニスタン国籍を有する外国人である(疎乙7の1)。 (2) 相手方は,平成13年2月末ころ,アフガニ りであることが一応認められる。 (1) 相手方は,昭和35年(1960年)4月25日に出生したアフガニスタン国籍を有する外国人である(疎乙7の1)。 (2) 相手方は,平成13年2月末ころ,アフガニスタンから出国し,ブローカーに500ドルを支払った上,パキスタン・イスラム共和国(以下「パキスタン」という。)へ行き,ブローカーに自分の写真を渡して作成した他人名義の旅券を使用して,航空機で大韓民国(以下「韓国」という。)に入国し,同国で約2か月間滞在した後,ブローカーに1万ドルを支払って船舶密航の手配を依頼し,同年7月31日ころ,韓国釜山から船籍船名等不詳の貨物船に乗船し,同年8月5日ころ,横浜港に到着し,不法入国した(疎乙7の1,2)。 (3) 相手方は,同年8月24日,東京入国管理局(以下「東京入管」という。)において,難民認定申請をした(疎乙8の1)。 また,相手方は,同日,東京都八王子(以下「八王子」という。)市長に対し,同市α17-33βビル302号を居住地として外国人登録の新規登録申請をした(疎乙4,8の2)。 (4) 東京入管入国警備官は,同年10月3日,違反調査を実施し(疎乙7の1,2),相手方が出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)24条1号に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして,抗告人から収容期間を同日から同年11月1日までとする収容令書(以下「本件収容令書」という。疎乙9)の発付を受け,同年10月3日,これを執行して相手方を東京入管収容場に収容し(疎乙9),同月5日,法24条1号該当容疑者として東京入管入国審査官に引き渡した(疎乙10)。 (5) 東京入管入国警備官は,同年10月22日及び同年11月14日,違反調査を実施した(疎乙7の3,4)。 (6) 東京入管入国審査官は,同年10月5日,同月25日及び に引き渡した(疎乙10)。 (5) 東京入管入国警備官は,同年10月22日及び同年11月14日,違反調査を実施した(疎乙7の3,4)。 (6) 東京入管入国審査官は,同年10月5日,同月25日及び同月30日,違反審査を実施し(疎乙11の1ないし3),同月30日,相手方が法24条1号に該当する旨認定し,相手方にこれを通知したところ,相手方は,同日,東京入管特別審理官に対し口頭審理を請求した(疎乙11の3,12)。 (7) 相手方は,同年10月19日,東京地方裁判所に対し,本件収容令書発付処分取消訴訟を提起するとともに,その執行停止を申し立てた(疎乙29)。 (8) 抗告人は,同年10月30日,本件収容令書に基づく収容期間を平成13年12月1日まで延長した(疎乙9)。 (9) 東京入管特別審理官は,平成13年11月5日,上記(7)の訴訟の訴訟代理人である山口元一弁護士立ち会いの下,口頭審理を実施し(疎乙13),入国審査官の上記認定に誤りがない旨判定し,相手方にこれを通知したところ(疎乙14),相手方は,同日,法務大臣に異議を申し出た(疎乙15)。 (10) 東京地方裁判所は,同年11月5日,相手方の上記(7)の執行停止の申立てを却下する旨決定したところ(疎乙29),相手方はこれを不服として,東京高等裁判所に即時抗告をした。 (11) 法務大臣は,同年11月20日,相手方からの上記(3)の難民認定申請について難民の認定をしない処分をし,同月26日,相手方にこれを通知したところ(疎乙16),相手方は,同月28日法務大臣に異議を申し出た(疎乙17)。 (12) 東京高等裁判所は,同年11月26日,相手方の上記(10)の即時抗告を棄却する旨決定した(疎乙30の1。なお,相手方は,後に,上記7)の本件収容令書発付処分取消訴訟を取り下げた。)。 (13) ) 東京高等裁判所は,同年11月26日,相手方の上記(10)の即時抗告を棄却する旨決定した(疎乙30の1。なお,相手方は,後に,上記7)の本件収容令書発付処分取消訴訟を取り下げた。)。 (13) 法務大臣は,同年11月27日,上記(9)の異議の申出は理由がない旨裁決し(疎乙18),その通知を受けた抗告人は,同日,相手方にその旨を知らせるとともに(疎乙19),アフガニスタンに送還する旨の本件退去強制令書(疎乙20)を発付した。 (14) 東京入管入国警備官は,同年11月27日,本件退去強制令書を執行し,引き続き相手方を東京入管収容場に収容した後,入国者収容所東日本入国管理センター(以下「東日本センター」という。)に移収した(疎乙20)。 (15) 相手方は,同年12月12日,本件退去強制令書の発付処分の取消し等を求める訴えを提起するとともに,この事件を本案事件として,同日,本案事件の第1審判決の言渡しの日まで本件退去強制令書に基づく執行の停止を求める本件申立てをした。原審は,平成14年3月1日,前記第1の2のとおり執行を停止する旨の原決定をした。抗告人は,原決定に基づき,同日,相手方を放免した(疎甲131)。 3 当審における当事者双方の主張(1) 抗告人の本件抗告の理由の骨子は,①本件申立ては,執行停止の積極的要件である「回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があるとき」の要件を満たさず,②消極的要件である「本案について理由がないとみえるとき」の要件に該当する,というものである。 (2) これに対する相手方の反論の骨子は,相手方に生ずる回復困難な損害を避けるため,直ちに相手方を収容から解放する緊急の必要があるというものである。 すなわち,本件退去強制令書に基づく収容によって相手方が被る身体の自由に対する侵害は,金銭によって償うことができな 損害を避けるため,直ちに相手方を収容から解放する緊急の必要があるというものである。 すなわち,本件退去強制令書に基づく収容によって相手方が被る身体の自由に対する侵害は,金銭によって償うことができないものであって,その性質上回復することが困難なものであるところ,さらに,相手方が収容されている東日本センターの医療体制が機能しておらず,相手方の心身の健康を著しく阻害している,というものである。 第3 当裁判所の判断 1 相手方のように法の定めに従って退去強制令書の発付を受けた者は,その送還先に送還される前提として,法5章に定める手続を経て,入国者収容所,収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容されることになり(法52条5項),これによって同章所定の限度で身体の自由が制限されることになるが,法は,これによって本邦から不法入国者等を退去させ,出入国の公正な管理を図ることとしているものである(法1条)。 したがって,法の規定に基づき退去強制を受ける相手方が収容場等に収容されることにより,一定の限度でその自由が制限されることやその収容自体がもたらす精神的苦痛等の不利益を被ったとしても,そのような自由の制限や精神的苦痛等の不利益が収容の結果通常発生する範囲にとどまる限りにおいては,行訴法25条2項にいう「回復の困難な損害」には該当せず,相手方が受ける損害は社会通念上事後的な金銭賠償による回復をもって満足することもやむを得ないものといわなければならない。そうすると,退去強制令書に基づく収容処分の執行の停止を求める申立てにおいて,行訴法25条2項にいう「回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があるとき」に該当するというためには,法が予定している身体拘束による自由の制限や精神的苦痛等の不利益を超え,退去強制を受ける者が収容に耐 訴法25条2項にいう「回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があるとき」に該当するというためには,法が予定している身体拘束による自由の制限や精神的苦痛等の不利益を超え,退去強制を受ける者が収容に耐え難い身体的状況にあるとか,収容場等の環境その他諸般の事情により,収容を継続することが是認できない程度の特別の損害を被るおそれがあることを要すると解するのが相当である。 この点に関し,相手方は,収容は人身の自由を拘束する処分であるから,収容されること自体が「回復の困難な損害」に該当するとの趣旨の主張をするが,上記と異なる見解に立つものであって,到底採用することができない。 2 そこで,相手方について,収容の継続を是認できないような特別の損害を被るおそれがあるか否かを検討する。 (1) 相手方は,東日本センターの医療体制は機能していないと主張する。 本件記録によると,①a医師は,母国での迫害から逃れてきたアフガニスタン人難民は過酷な体験による精神障害を既に有しているところ,収容による非人間的な扱いや言葉による暴力による恐怖心から,上記精神障害が悪化し,最終的にはPTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつ状態などの精神疾患を患うようになり,自殺企図などの行動に発展する可能性があるが,東日本センターではこのようなアフガニスタン人被収容者に対して適切な治療を施していないとの意見を述べていること(疎甲124),②東日本センターに収容されているアフガニスタン人被収容者は,相手方の訴訟代理人弁護士らに対し,b及びcが平成14年2月13日に意識を喪失し(疎甲114,117),dが同月14日にはさみで自傷行為をし,翌15日にパジャマで首つり自殺を図って未遂となり(疎甲117),eが同月15日に血を吐いて倒れ(疎甲118,119),f,g,h,i,jが同年3月11 17),dが同月14日にはさみで自傷行為をし,翌15日にパジャマで首つり自殺を図って未遂となり(疎甲117),eが同月15日に血を吐いて倒れ(疎甲118,119),f,g,h,i,jが同年3月11日に仮放免を求めて担当者と面談した後それぞれ10円玉4,5個を飲んで自傷行為に及び,同月25日に他の1名を加えて睡眠促進薬を各約40錠ずつ飲む方法で自殺を図って未遂となり(疎甲120,121),kが同月15日にライターにより体に発火,洗剤の飲み込み,首つりなどの方法で自殺を図ったが未遂に終わった(疎甲122)等と述べたことが一応認められる。 しかしながら,①アフガニスタン人被収容者らが母国において迫害を受けるなどの過酷な体験をしたことを認めるに足りる確たる資料がない上,同人らが収容によって非人間的な扱いや言葉による暴力を受けたこともうかがわれない。また,本件記録によれば,②アフガニスタン人被収容者らの上記供述の中には,常に被収容者の動静を監視している入国警備官にも確認されていない事実がある上,異常な行動を起こした被収容者に対しては東日本センターの医師らから治療が施されていること(疎甲117ないし122),③むしろ,上記被収容者らは,収容されたことについて強い不満を抱き,日ごろから面会に来た弁護士らにそのことを訴えていたこと(疎甲71,117),④東日本センターには,被収容者のために診療室が設置され,医師1名(内科医)と看護婦1名が配置され,週4日(月曜日,火曜日,木曜日,金曜日)を定期診療日として診療がされ,医師が不在時に診療を要する被収容者が発生したときは,上記医師の登庁を求めるか,その指示を得て外部病院に連れていったり,又は救急車の出動要請を行っていること,また,東日本センターの診療室には,被収容者の治療のため,各種薬剤のほかエックス線 したときは,上記医師の登庁を求めるか,その指示を得て外部病院に連れていったり,又は救急車の出動要請を行っていること,また,東日本センターの診療室には,被収容者の治療のため,各種薬剤のほかエックス線撮影装置,多要素心電計及び超音波診断装置,全自動血圧計等が備えられていること,さらに,精神的不安定者等に対しては,専門のカウンセラー(臨床心理士)が週1回来庁し,1回当たり2,3名を対象にカウンセリングを行っていること(疎乙24の1)が一応認められる。 上記の事実関係によれば,a医師の上記意見はその前提を欠くものというべきであって採用することができず,また,アフガニスタン人被収容者が供述する異常な行動が真実そのとおり存したか否かが明確でない上,被収容者の異常行動の中には,収容に対する抗議の趣旨で行われたものがあるともうかがわれ,少なくとも,その結果治療が必要となった被収容者に対しては医師の診療がされており,さらに,上記の東日本センターの医療体制が不十分であるということもできない。そうすると,アフガニスタン人被収容者に上記のような異常行動が認められたとしても,東日本センターの医療体制が機能していないということはできない。 したがって,相手方の上記主張は採用することができない。 (2) 相手方は,本件収容は相手方に著しい肉体的,精神的被害を生じさせるものであると主張する。 本件記録によると,①相手方は,平成13年10月3日から平成14年3月1日までの約5か月間収容されたが,収容中の平成13年11月29日,背部痛を訴えて2種類の薬剤の投与を受け,同年12月1日には,精神科医の外部診療により,心因反応(不安障害)と診断され,抗うつ薬と胃薬の処方を受けたこと(疎乙24の2),②その後,相手方は,平成14年1月24日には肩から背部にかけての筋肉痛を訴 月1日には,精神科医の外部診療により,心因反応(不安障害)と診断され,抗うつ薬と胃薬の処方を受けたこと(疎乙24の2),②その後,相手方は,平成14年1月24日には肩から背部にかけての筋肉痛を訴えて薬剤の投与を受け,同年2月19日には視力低下,皮膚炎(両下肢踵部及び左下肢外側部の角質層に肥厚あり)と診断され,同月26日には上腕痛,皮膚炎,心因反応と診断されて解熱・鎮痛・消炎剤,皮膚炎剤及び精神安定剤の処方を受けていること(疎乙50),③精神科医であるl医師は,平成13年12月6日の時点における相手方の精神状態について,これ以上の自由の束縛や不自由,自尊心への傷付けは,深刻な精神的ダメージを容易かつ早期に呼び起こす可能性があり,急性精神病状態の発症,自殺企図,自殺などの行動化が早期にみられることとなるとの意見を述べていること(疎甲79),④相手方が放免された後の平成14年3月9日に相手方を診察したa医師は,相手方が軽度うつ状態であり,病状は回復に向かいつつあると診断した上,相手方が再び収容された場合には,うつ状態が悪化する可能性があるとの意見を述べていること(疎甲131)が一応認められる。 しかしながら,本件記録によると,①東日本センターにおける収容については,保安上の支障等が認められない一定の範囲において,収容棟(鉄筋3階建の冷暖房完備の建物)内での行動(1日4時間各部屋の開放,同時間内でのホールでの卓球などの軽い運動),戸外での運動(週3回,1回1時間),面会人との面会,通信文の授受等の行動が許されていること(疎乙24の1),②相手方は,本件執行停止決定によって平成14年3月1日に出所するまでの間,上記のとおり心因反応(軽度うつ状態)と診断され,抗うつ薬や精神安定剤等の処方を受けたことなどはあるものの,その他に体調の不調を訴えた 本件執行停止決定によって平成14年3月1日に出所するまでの間,上記のとおり心因反応(軽度うつ状態)と診断され,抗うつ薬や精神安定剤等の処方を受けたことなどはあるものの,その他に体調の不調を訴えたことはなく,日中の開放時間帯においては,同室の同国人と雑談や卓球をしたり,ホールを歩行したりしており,居室内では同室者と一緒にテレビを視聴したり,雑談,喫煙,読書やお祈り等をして過ごし,運動時間は運動場へ出て日光浴やサッカーなどしており,支援団体の者や訴訟代理人弁護士らとしばしば面会したり,電話をかけるなど日常行動に異常な点は認められなかったこと(疎乙23,24の2,疎乙50),③上記l医師の意見は,相手方と面会した代理人弁護士作成の報告書に基づくものであり(疎甲79),この報告書から相手方の心身の状態を適切に把握できるか疑問があるし,上記a医師の診断及び意見についても,相手方がアフガニスタンで過酷な体験を受けたことを前提に,専ら相手方の訴えに基づいてされたものであり,東日本センターでの相手方の上記生活状況や診療状況などを正確に把握した上でされたものではないものと思われること(疎甲124)が一応認められ,また,相手方がアフガニスタンにおいて拘束,暴行等の過酷な体験を受けたことを疎明するに足りる的確な資料はない。 上記の事実関係によれば,上記l医師やa医師の診断内容あるいは意見は,直ちに採用することができず,また,相手方は,収容中に心因反応と診断され,また,a医師は現在の相手方の症状を軽度のうつ状態と診断しているが,収容中の相手方の日常の生活状況に照らせば,この症状が収容に耐えられない程度のものと認めることもできない。 したがって,相手方の上記主張は採用することができない。 (3) 相手方は,本件収容によって,本案の立証活動が制限されるほか, らせば,この症状が収容に耐えられない程度のものと認めることもできない。 したがって,相手方の上記主張は採用することができない。 (3) 相手方は,本件収容によって,本案の立証活動が制限されるほか,不利益な供述を強要される危険があると主張する。 しかしながら,被収容者には,法令により,代理人弁護士との面会(被収容者処遇規則33条1項2号)や収容所等の保安上支障があると認められない通信文の発受(同規則37条)等が認められており,現に,相手方は代理人弁護士を含む外部関係者との面会及び通話をしばしば行っていることが一応認められる(疎乙24の2,疎乙50)。 上記の事実関係によれば,本案について,相手方の立証活動が通常の収容に伴う制約を超えて制限されたり,不利益な供述を強要される危険があるということはできない。 したがって,相手方の上記主張は採用することができない。 (4) 以上のとおりであるから,相手方には,本件退去強制令書の執行に基づく収容の継続を是認できないような特別の損害を被るおそれがあるということはできず,その他,本件記録を子細に検討しても,そのような特別の損害を被るおそれがあると認めることのできる事情があるとはいえない。したがって,本件退去強制令書による収容処分の執行については,これを停止する緊急の必要性があることについての疎明がないものといわざるを得ない。 そうすると,相手方の本件申立てのうち収容処分の執行停止を求める部分は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 3 結論よって,本件申立てのうち本件退去強制令書に基づく収容部分の執行の停止を認容した原決定は不当であり,本件抗告は理由があるから,原決定中本件退去強制令書に基づく収容部分の執行停止を命じた部分を取り消し,この取消しにかかる本件申立てを却下することと 収容部分の執行の停止を認容した原決定は不当であり,本件抗告は理由があるから,原決定中本件退去強制令書に基づく収容部分の執行停止を命じた部分を取り消し,この取消しにかかる本件申立てを却下することとし,主文のとおり決定する。 平成14年6月10日東京高等裁判所第15民事部裁判長裁判官赤塚信雄裁判官宇田川基裁判官加藤正男

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