裁判所
昭和46年12月2日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 名古屋高等裁判所 昭和40(ネ)288
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主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人浜口雄、同江谷英男の上告理由第一、第二について。所論は、訴外亡Dのした財団法人E設立を目的とする寄附行為についての遺言の効力が、右遺言後にしたF設立を目的とする生前寄附行為によつて取消されたことにはならないとする原審の判断を争うものである。しかし、遺言による寄附行為に基づく財団法人の設立行為がされた後に、遺言者の生前処分の寄附行為に基づく財団設立行為がされて、両者が競合する形式になつた場合において、右生前処分が遺言と牴触し、その遺言が取り消されたものとみなされるためには、少なくとも、まず、右生前処分の寄附行為に基づく財団設立行為が主務官庁の許可によつてその効果の生じたことを必要とし、単に生前処分の寄附行為に基づく財団設立手続がされたというだけでは、その法律効果は生ぜず、遺言との牴触の問題は生じえないとするのが、当裁判所の判例(当裁判所第三小法廷判決、昭和四〇年(オ)第七〇六号同四三年一二月二四日言渡、民集二二巻一三号三二七〇頁、同第一小法廷判決、昭和四〇年(オ)第九〇七号同四四年六月二六日言渡、民集二三巻七号一一七五頁)とするところである。原審の確定した事実関係に照らせば、生前処分にあたる財団法人F設立の寄附行為はまだその効力を生じていないから、この生前処分が遺言による財団法人E設立の寄附行為に牴触するものとはいえない。したがつて、これと同旨の原審の判断は正当であり、原判決(その引用にかかる第一審判決を含む。以下同じ。)には所論の違法はない。同第三ないし第五について。所論は、ひつきよう、遺言執行者たる訴外Gが財団法人E設立準備のための設立- 1 -準備委員会を組織し、本件株式を同委員長名義に名義書 同じ。)には所論の違法はない。同第三ないし第五について。所論は、ひつきよう、遺言執行者たる訴外Gが財団法人E設立準備のための設立- 1 -準備委員会を組織し、本件株式を同委員長名義に名義書換申請手続をなさしめたことをもつて、遺言執行者の権限の範囲内に属する行為であるとした原審の判断を争うものである。 訴外Gが財団法人E設立準備のための設立- 1 -準備委員会を組織し、本件株式を同委員長名義に名義書 同じ。)には所論の違法はない。同第三ないし第五について。所論は、ひつきよう、遺言執行者たる訴外Gが財団法人E設立準備のための設立- 1 -準備委員会を組織し、本件株式を同委員長名義に名義書換申請手続をなさしめたことをもつて、遺言執行者の権限の範囲内に属する行為であるとした原審の判断を争うものである。しかし、遺言執行者は、相続人に代わつて、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をなす権利義務を有し、そのために相当かつ適切と認める行為をすることができるから、原審の確定した事実関係のもとにおいては、財団法人E設立準備委員会を組織し、同委員会に本件株式の権利を帰属させ、その代表機関名義に本件株式の名義を書き換えることは、遺言執行者としては、本件遺言の目的達成のために必要な行為をしたものというべきであり(前掲第一小法廷判決参照)、これと同旨の原判決の判断は正当である。したがつて、原判決には所論の違法はなく、論旨は理由がない。同第六について。所論の事実は、原審において、当事者間に争いない事実とされたものであることは、本件記録に照らしてこれをうかがうことができるから、所論は、原審において、争いのない事実の確定について非難を加えるものであつて採用することができない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官岸盛一裁判官岩田誠裁判官大隅健一郎裁判官藤林益三裁判官下田武三- 2 - 裁判官 大隅健一郎 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三
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