令和4(ワ)11394 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年1月16日 大阪地方裁判所
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令和6年1月16日判決言渡同日原本受領裁判所書記官令和4年(ワ)第11394号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結の日令和5年11月6日判決 原告 P1同訴訟代理人弁護士栗須直樹 被告株式会社囲碁将棋チャンネル同代表者代表取締役 同訴訟代理人弁護士宮川勝之同千葉克彦同村田和希主文 1 被告は、別紙「原告動画目録」記載の各動画が被告の著作権を侵害している 旨を第三者に告げてはならない。 2 被告は、モイ株式会社に対し、原告が同社の運営する動画配信サービス「ツイキャス」に配信した同目録記載9の動画について被告が行った著作権侵害に基づく削除申請に関し、同動画は被告の著作権を侵害しないこと及び当該申請が被告の過誤によるものでありこれを撤回する旨を通知せよ。 3 被告は、原告に対し、118万8960円及びうち106万7657円に対する令和4年1月10日から、うち12万1303円に対する令和5年1月8日から各支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は、これを5分し、その3を原告の負担とし、その余は被告の負担 とする。 6 この判決は、3項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は、原告が配信する動画(ただし、被告が著作権を有する映像又は音声が含ま 判決は、3項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は、原告が配信する動画(ただし、被告が著作権を有する映像又は音声が含まれていることが明らかなものを除く)が被告の著作権を侵害している旨を第 三者に告げてはならない。 2 被告は、GoogleLLC(以下「グーグル」という。)に対し、原告が同社の運営する動画配信サービス「YouTube」(以下「ユーチューブ」という。)に配信した別紙「原告動画目録」記載1ないし8及び10の各動画について被告が行った著作権侵害に基づく削除申請に関し、いずれの動画も被告の著作権 を侵害しないこと及び当該申請が被告の過誤によるものでありこれを撤回する旨を通知せよ。 3 主文2項と同旨 4 被告は、原告に対し、338万8360円及びうち312万4510円に対する令和4年1月10日から、うち26万2350円に対する令和5年1月8日か ら各支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、原告が、ユーチューブ等に投稿した別紙「原告動画目録」記載の動画(以下、順に「本件動画1」などといい、これらを「本件動画」と総称する。)について、被告がグーグル等に対して本件動画が被告の著作権を侵害する旨の申告 をした行為が不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項21号の不正競争に当たると主張して、被告に対し、不競法3条1項に基づき、原告が配信する動画が被告の著作権を侵害する旨を第三者に告げることの差止め(前記第1の1)、同法14条に基づき、グーグル等の動画配信プラットフォーム事業者(以下「プラットフォーマー」という。)に対して本件動画が被告の著作権を侵害しないこと等 を通知すること(前記 (前記第1の1)、同法14条に基づき、グーグル等の動画配信プラットフォーム事業者(以下「プラットフォーマー」という。)に対して本件動画が被告の著作権を侵害しないこと等 を通知すること(前記第1の2及び3)を求めるとともに、民法709条に基づき、 損害賠償金338万8360円及びうち312万4510円に対する令和4年1月10日(本件動画1ないし9に係る最終の不法行為の日)から、うち26万2350円に対する令和5年1月8日(本件動画10に係る不法行為の日)から各支払済みまで民法所定年3分の割合による遅延損害金の支払(前記第1の4)を求める事案である。 2 前提事実(争いのない事実及び弁論の全趣旨から容易に認定することができる事実)(1) 当事者原告は、ユーチューブ(グーグルが運営する動画配信サービス)及びツイキャス(モイ株式会社が運営する動画配信サービス)において、オリジナル動画を配信し、 収益を得ている動画配信者である。 被告は、インターネット上で、囲碁、将棋の実況中継等の番組を有料で動画配信すること等の事業を営む株式会社である。 (2) 原告による本件動画の配信原告は、本件動画1ないし8及び10につき、別紙「原告動画目録」の各「配信 日」欄記載の日に同「タイトル」欄記載の動画をユーチューブに投稿し、その頃、同各動画(以下「本件ユーチューブ動画」という。)は閲覧可能になった。また、原告は、本件動画9につき、同目録の「配信日」欄記載の日に同「タイトル」欄記載の動画をツイキャスに投稿し、その頃、同動画(以下「本件ツイキャス動画」という。)は閲覧可能になった。 本件動画は、原告が出演し、被告が配信する将棋の実況中継から得た情報を基に、即時に、自ら用意した将棋盤面に各対局者の指し手を表示する 下「本件ツイキャス動画」という。)は閲覧可能になった。 本件動画は、原告が出演し、被告が配信する将棋の実況中継から得た情報を基に、即時に、自ら用意した将棋盤面に各対局者の指し手を表示するなどして、視聴者が、視聴者同士や原告とのチャットでのコミュニケーションを行う内容であるが、本件動画内において、被告が配信する動画の映像、画像、音声等は一切表示等されることはない。 (3) 被告による著作権侵害に基づく動画の削除申請(以下「本件削除申請」と いう。)被告は、本件ユーチューブ動画について、ユーチューブ上で閲覧可能になった頃、グーグルに対し、所定の方法に従って、著作権侵害による動画の削除通知を提出し、本件ユーチューブ動画は、別紙「原告動画目録」の「配信停止期間」欄記載の各始期日に配信が停止された。これに対し、原告は、所定の手続に従って、異議申立て をしたが、被告は、期限内に回答をせず、本件ユーチューブ動画は、同「配信停止期間」欄記載の各終期日にいずれも配信停止が解除された。 被告は、本件ツイキャス動画について、ツイキャス上で閲覧可能になった令和2年9月22日、モイ株式会社に対し、所定の方法に従って、著作権侵害による動画の削除通知を提出し、本件ツイキャス動画は、同日、配信が停止され削除された。 3 争点(1) 本件削除申請は「虚偽の事実の告知」に当たるか(争点1)(2) 本件削除申請は原告の「営業上の利益」を侵害するか(争点2)(3) 損害の発生及びその額(争点3)(4) 差止め及び信用回復措置の必要性(争点4) 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件削除申請は「虚偽の事実の告知」に当たるか)について(原告の主張)本件削除申請の内容は、本件動画が被告の著作 の必要性(争点4) 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件削除申請は「虚偽の事実の告知」に当たるか)について(原告の主張)本件削除申請の内容は、本件動画が被告の著作権を侵害するものではないにもかかわらず、被告の著作権を侵害している旨を摘示するものであり、本件動画の配信 により、被告の営業上の利益その他何らかの権利が侵害された事実もないから、本件削除申請は「虚偽の事実の告知」に当たる。 (被告の主張)本件動画が被告の著作権を侵害するものではないことは争わないが、本件動画の配信は被告の営業上の利益その他何らかの権利を侵害するものであるから、本件削 除申請は「虚偽の事実の告知」に当たらない。 2 争点2(本件削除申請は原告の「営業上の利益」を侵害するか)について(原告の主張)原告は、本件削除申請により、本件動画の配信が停止されたり、収益を得ることができなくなるなどした。 原告は、本件動画において、将棋の対局における各対局者の指し手の情報を利用 しているところ、これ自体は単なる事実であり、また、違法な手段で取得したものではないから、これを他者に伝えることが違法行為になるとは考えられない。 したがって、本件削除申請は、法律上保護された原告の営業上の利益を侵害する。 (被告の主張)原告が本件動画で取り上げた棋戦は、タイトル戦である王将戦及び銀河戦である ところ、これらは、主催者や協賛者が相応の費用や労力を負担したことにより初めて開催され運営されるものであるから、その棋譜情報(盤面の推移と指し手順の情報)をリアルタイムで配信することによって収益を獲得することは、被告ら主催者側の営業活動として最も保護されるべきものである。そうであるにもかかわらず、原告は、被 の棋譜情報(盤面の推移と指し手順の情報)をリアルタイムで配信することによって収益を獲得することは、被告ら主催者側の営業活動として最も保護されるべきものである。そうであるにもかかわらず、原告は、被告の許諾なく、このような棋譜情報をフリーライドで利用して、棋戦の 経緯を同時中継的に配信したのであるから、原告による本件動画の配信は、著しく不公正な手段を用いて被告らの営業活動上の利益を侵害するものとして不法行為を構成する。 したがって、本件動画の配信に係る営業上の利益は法律上保護される利益に当たらないから、本件削除申請により、原告の営業上の利益が侵害されることはない。 3 争点3(損害の発生及びその額)について(原告の主張)本件削除申請は、被告の故意又は重大な過失によるものであるところ、これにより、原告は次の損害を被った。 (1) 逸失利益に係る損害 原告が運営するユーチューブ上のチャンネルの収益は、番組内で表示する広告収 入、チャンネル登録者からのスーパーチャット(「投げ銭」に類似するもの)等によるものであり、配信動画1本当たりの平均的な収益は4万7845円である。 原告は、別紙「配信予定動画目録」記載の各動画(以下「配信予定動画」という。)を配信する予定であったところ、本件ユーチューブ動画は、本件削除申請により、別紙「原告動画目録」の各「配信停止期間」欄記載の期間、配信が停止され、 原告は、その間、本件ユーチューブ動画のみならず、その間に配信を予定していた配信予定動画も配信することができなかった。したがって、原告が本件削除申請により被った損害は、別紙「損害目録」記載のとおり、原告の配信動画1本当たりの平均収益4万7845円に、本件動画及び配信停止期間中に配信が予定されていた同目録の各「配信予定 って、原告が本件削除申請により被った損害は、別紙「損害目録」記載のとおり、原告の配信動画1本当たりの平均収益4万7845円に、本件動画及び配信停止期間中に配信が予定されていた同目録の各「配信予定動画」欄記載の動画の本数の合計数を乗じ、同「実際の収益」 欄記載の収益額を控除した同「損害額」欄記載の金額を下らない。 また、ツイキャスにおける原告の動画配信による1か月当たりの平均収益は9965円であるところ、原告は、本件削除申請により、ツイキャスでの動画配信による収益を得ることができなくなった。したがって、本件ツイキャス動画につき、原告が令和2年10月から令和4年11月までの26か月の間に被った損害は、25 万9090円(9965円×26か月)を下らない。 (2) 精神的損害原告は、本件削除申請により、自己表現の場であるユーチューブでの動画配信及びチャンネル登録者との交流を妨げられ、ユーチューブでの動画配信ができなくなるかもしれないという懸念を感じるとともに、ツイキャス上での収益化の道を絶た れたことで自己表現の場を失い、甚大な精神的苦痛を受けた。これらの精神的苦痛を慰藉するに足りる金額は、100万円を下らない。 (3) 弁護士費用弁護士に依頼をしなければ、適切な訴訟活動は不可能であるから、被告による本件削除申請と相当因果関係のある弁護士費用は、前記(1)及び(2)の損害合計308 万0328円の1割である30万8032円を下らない。 (被告の主張)経済的損害に係る主張については、いずれも損害論の主張立証としては不十分である。また、精神的損害に係る主張については、経済的損害のほかに精神的損害を別途観念する余地はない。 4 争点4(差止め及び信用回復措置の必要性)について (原告の主張 としては不十分である。また、精神的損害に係る主張については、経済的損害のほかに精神的損害を別途観念する余地はない。 4 争点4(差止め及び信用回復措置の必要性)について (原告の主張)(1) 差止めの必要性本件の訴え提起前における原告訴訟代理人と被告とのやりとりにおいて、被告は、「主催者から各対局の独占的な生中継放送権・ライブ配信権を付与されており、自ら制作・放送・配信する番組に関する権利・利益を有しており、これを保護するた めの対応を今後も行っていく」と述べるなど、今後も削除申請等をすることを自ら宣言しているのであるから、差止めの必要性があることは明らかである。 (2) 信用回復措置の必要性原告は、本件削除申請により、著作権侵害をしているのではないかとの疑念を抱かれて、グーグルからはたびたび警告を受け、また、ツイキャスでは、動画配信に よる収益化の道が閉ざされたままになっている。このような原告の不利益を解消するためには、被告自身から、グーグル等のプラットフォーマーに対し、本件動画が被告の著作権を侵害していないこと及び本件削除申請が被告の過誤によるものでありこれを撤回することを直接伝える必要がある。 (被告の主張) 前記2の(被告の主張)のとおり、本件動画の配信による原告の営業上の利益は法律上保護される利益に当たらないから、原告の差止め及び信用回復措置の各請求には理由がないが、この点を措くとしても、次のとおり、差止め等の必要性がない。 (1) 差止めの必要性がないこと原告は、原告が配信する動画から、被告が著作権を有する映像又は音声が含まれ ていることが明らかなものを除外した動画を対象として、著作権侵害を理由とする 行為の差止めを求めているが、不正競争となり得ない が配信する動画から、被告が著作権を有する映像又は音声が含まれ ていることが明らかなものを除外した動画を対象として、著作権侵害を理由とする 行為の差止めを求めているが、不正競争となり得ないものをも差止めの対象としているから、許されない。 (2) 信用回復措置の必要性がないことグーグルに対する信用回復措置につき、原告は、本件ユーチューブ動画の配信停止が解除され、現在は、本件ユーチューブ動画を配信することが可能になっており、 原告の信用は既に回復されているから、重ねて特段の措置を講じる必要はない。モイ株式会社に対する信用回復措置につき、原告は、ツイキャスでの収益化が将来的に不可能となったことについて一切立証しておらず、請求の前提を欠く。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(本件削除申請は「虚偽の事実の告知」に当たるか)について 本件動画は被告の著作権を侵害するものではない(この点について被告は争っていない。)にもかかわらず、本件削除申請は、グーグル等に対し、本件動画が被告の著作権を侵害する旨を摘示するものであるから、客観的な真実に反する内容を告知するものとして、「虚偽の事実の告知」に当たると認められる。 これに対し、被告は、本件動画は被告の営業上の利益その他何らかの権利を侵害 する旨を主張するが、本件削除申請が虚偽の事実の告知に当たるかどうかの判断とは無関係である上、本件動画により被告の何らかの権利が侵害された事実も明らかでないから、採用できない。 2 争点2(本件削除申請は原告の「営業上の利益」を侵害するか)について前提事実に加え、証拠(枝番号があるものは各枝番号を含む。以下同じ。甲4~ 13、15、16)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、ユーチューブ及びツイキャスにおいて、本件動画 るか)について前提事実に加え、証拠(枝番号があるものは各枝番号を含む。以下同じ。甲4~ 13、15、16)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、ユーチューブ及びツイキャスにおいて、本件動画を配信して収益を得ていたところ、本件削除申請は、グーグル等のプラットフォーマーに対し、本件動画が被告の著作権を侵害する違法なものであることを摘示する内容であり、これによって、原告は、ユーチューブにおいては、別紙「原告動画目録」の「配信停止期間」欄記載の期間、動画の配信が停止 されたことが、ツイキャスにおいては、動画配信によって収益を得ることが少なく とも一定期間停止されたことがそれぞれ認められる。そうすると、本件削除申請は、原告が本件動画の配信という営利事業を遂行していく上での信用を害するものとして、原告の「営業上の利益」を侵害したと認められる。 これに対し、被告は、原告による本件動画の配信は、被告が配信する棋譜情報をフリーライドで利用するという著しく不公正な手段を用いて被告ら棋戦主催者の営 業活動上の利益を侵害するものとして不法行為を構成することを指摘して、本件動画の配信に係る営業上の利益は法律上保護される利益に当たらない旨を主張し、これを裏付ける証拠として「王将戦における棋譜利用ガイドライン」(乙2)を提出する。しかし、棋譜は、公式戦対局の指し手進行を再現した「盤面図」及び符号・記号による「指し手順の文字情報」を含むものと認められるところ(乙2)、本件 動画で利用された棋譜等の情報は、被告が実況中継した対局における対局者の指し手及び挙動(考慮中かどうか)であって、有償で配信されたものとはいえ、公表された客観的事実であり、原則として自由利用の範疇に属する情報であると解される。 同ガイドラインは、棋譜の利用権等を王将戦主催 手及び挙動(考慮中かどうか)であって、有償で配信されたものとはいえ、公表された客観的事実であり、原則として自由利用の範疇に属する情報であると解される。 同ガイドラインは、棋譜の利用権等を王将戦主催者が独占的に有する旨規定するが、王将戦主催者が、原告を含めた被告の実況中継の閲覧者の関与なく一方的に定めた ものであり(乙2)、原告に対して法的拘束力を生じさせるものであるとはいえない。また、前記1のとおり、本件動画は被告の著作権を侵害するものではなく、その他、原告が、被告の配信する棋譜情報を利用することが不法行為を構成することを認めるに足りる事情はない。したがって、被告の前記主張は、その前提を欠き、採用できない。 3 争点3(損害の発生及びその額)について本件削除申請は、被告の故意又は過失に基づくものとして、不法行為を構成し、次の損害が発生したものと認められる。 (1) 逸失利益に係る損害証拠(甲4~12、15、18)及び弁論の全趣旨によれば、ユーチューブにお ける、本件動画と同様の内容で、削除申請のない状態で令和3年9月から令和4年 2月にかけてアップロードされた3本の動画1本当たりの原告の平均的な収益は4万7845円であること、原告は別紙「配信予定動画目録」記載の各動画を配信予定であったこと、本件ユーチューブ動画の配信により原告が得た収益は、別紙「損害目録」の各「実際の収益」欄記載の金額であることが認められる。一方、前記4万7845円の計算の基礎とされた動画は、原告が選定した3本の動画であるとこ ろ、いずれも収益があったとされるのはアップロードの日である(甲4)。本件ユーチューブ動画のうち、本件動画5及び7はアップロードから一定期間経過後に配信が停止されているにもかかわらず、実際の収益額は2 、いずれも収益があったとされるのはアップロードの日である(甲4)。本件ユーチューブ動画のうち、本件動画5及び7はアップロードから一定期間経過後に配信が停止されているにもかかわらず、実際の収益額は2579円及び1万5923円とされており、本件ユーチューブ動画の実際の収益と前記4万7845円とには少なくとも3万円以上の相違がある。その余の本件ユーチューブ動画は配信開始日 に配信が停止されているものの、配信停止の詳細な時刻は明らかでない。原告のユーチューブでの収益にはスーパーチャットによるものが含まれていること(甲4~12、15)や棋戦の棋譜情報を即時に伝え、視聴者が、視聴者同士や原告とのチャットでのコミュニケーションを行うという本件ユーチューブ動画の内容(前提事実(2))に照らすと、原告は、主として動画のライブ配信開始日に収益をあげてい るものと認められることから、前記4万7845円の基礎とされた動画は、特に収益が高かったものが選ばれた可能性を排斥することができない。これらの諸事情を考慮すると、本件ユーチューブ動画に係る部分について、本件削除申請がなければ原告が得られたであろう利益は、前記4万7845円と(配信開始日における収益は概ね得られたとみられる)本件動画5及び7の実際の収益額のほぼ平均値に相当 する2万2200円に、本件ユーチューブ動画及び配信停止期間に配信が予定されていた動画の本数を合計した数を乗じ、実際の収益額を控除した金額をもって相当と認める。したがって、本件ユーチューブ動画に係る原告の逸失利益は、別紙「損害目録」の各「裁判所認定」欄記載のとおりとなり、その合計は82万1083円となる。 また、証拠(甲13)及び弁論の全趣旨によれば、原告がツイキャスでの収益化 を開始した令和2年4月18日 の各「裁判所認定」欄記載のとおりとなり、その合計は82万1083円となる。 また、証拠(甲13)及び弁論の全趣旨によれば、原告がツイキャスでの収益化 を開始した令和2年4月18日から本件ツイキャス動画が削除された同年9月22日までのツイキャスでの収益総額は5万2485円であり、その間の1か月当たりの平均収益額は9965円であることが認められる。一方、証拠(甲16)及び弁論の全趣旨によれば、原告の問合せに対し、モイ株式会社は、令和3年7月2日、著作権を侵害する配信など、利用規約及び法令に違反する行為が確認されたことか ら、原告がツイキャスにおいて収益機能を利用できなくなっている旨を回答したことが認められ、原告は、同時点で、ツイキャスにおいて収益機能を利用することができない状態であったことが認められるものの、モイ株式会社の回答内容から、ツイキャスにおいて再度収益機能を利用する方法や原告において再度収益機能を利用することが可能であるか否か等は明らかでなく、他の証拠をみても、かかる事実関 係は明らかでない。また、原告が本件ツイキャス動画を削除された後、将来的にもツイキャス上での動画配信を継続するか否かは明らかでない。これらの諸事情を考慮すると、本件ツイキャス動画に係る部分について、本件削除申請がなければ原告が得られたであろう利益は、前記9965円に6か月を乗じた金額をもって相当と認める。したがって、本件ツイキャス動画に係る原告の逸失利益は、5万9790 円(9,965 円×6)となる。 (2) 精神的損害前記2のとおり、本件削除申請は原告の営業上の信用を低下させ、営業上の利益を侵害するものであり、また、これが繰り返し行われていること等を考慮すると、本件削除申請によって原告は精神的苦痛を被ったものと認め 2のとおり、本件削除申請は原告の営業上の信用を低下させ、営業上の利益を侵害するものであり、また、これが繰り返し行われていること等を考慮すると、本件削除申請によって原告は精神的苦痛を被ったものと認められ、かかる精神的苦 痛を慰藉する金額は、20万円が相当と認められる。 (3) 弁護士費用本件の不正競争と相当因果関係のある弁護士費用は、前記(1)及び(2)の損害合計108万0873円の約1割に相当する10万8087円(うち本件動画10に係る部分は1万1028円)をもって相当と認める(1円未満四捨五入)。 (4) 以上から、本件削除申請により原告が被った損害は、前記(1)ないし(3)の 合計118万8960円となる。 4 争点4(差止め及び信用回復措置の必要性)について(1) 差止めの必要性被告は、本件削除申請を繰り返し行っていることに加え、原告が、本件の訴えを提起し、さらに、被告に対し動画の配信を妨害しないよう通知をした(甲14)に もかかわらず、被告は、その後、本件動画10に対して本件削除申請をしている。 このような事実関係に照らすと、被告に対し、本件動画について、被告の著作権を侵害している旨を第三者に告知することの差止めを求める必要性が認められる。一方で、本件動画を除く、その他の原告の動画については、被告の著作権侵害の有無が明らかでないこと等を考慮すると、前記第1の1のとおり、被告が著作権を有す る映像又は音声が含まれていることが明らかなものを除く旨の限定を加えたとしても、なお差止めを求める対象が広範に過ぎるといわざるを得ず、差止めを求める必要性を認めるに足りない。 (2) 信用回復措置の必要性前記2のとおり、本件削除申請は、原告の営業上の信用を低下させるものである が 象が広範に過ぎるといわざるを得ず、差止めを求める必要性を認めるに足りない。 (2) 信用回復措置の必要性前記2のとおり、本件削除申請は、原告の営業上の信用を低下させるものである が、本件ユーチューブ動画については、すでに配信の停止が解除されており、一定程度信用が回復していることが認められる。したがって、本件ユーチューブ動画に関し、前記(1)の差止めに加えて、別途信用回復措置を求める必要性を認めるに足りない。 一方、本件ツイキャス動画については、前記3(1)のとおり、原告が、ツイキャ スにおいて、再度収益機能を利用することが可能であるかやその方法等は明らかでないものの、原告は、少なくとも令和3年7月2日の時点で、収益機能を利用することができない状態であったところ、本件全証拠によっても、現時点において、原告が収益機能を利用することが可能であること、その他、原告の営業上の信用が回復したことを認めるに足りる事情はない。したがって、本件ツイキャス動画に関し、 前記(1)の差止めに加えて、被告が、モイ株式会社に対し、本件ツイキャス動画が 被告の著作権を侵害しないこと等を通知する信用回復措置を求める必要性が認められる。 5 結論以上から、原告の請求は、不競法3条1項に基づき、本件動画が被告の著作権を侵害している旨を第三者に告げる行為の差止めを求める部分、同法14条に基づ き、本件ツイキャス動画について信用回復措置をとることを求める部分、民法709条に基づき、損害賠償金118万8960円及びうち本件動画1ないし9に係る106万7657円に対する令和4年1月10日から、うち本件動画10に係る12万1303円に対する令和5年1月8日から各支払済みまでの遅延損害金の支払を求める部分については理由があるから、こ に係る106万7657円に対する令和4年1月10日から、うち本件動画10に係る12万1303円に対する令和5年1月8日から各支払済みまでの遅延損害金の支払を求める部分については理由があるから、これを認容し、その余は棄却することとして、主文のとおり判決する。なお、主文第1項及び第2項に対する仮執行宣言は相当ではないからこれを付さないこととする。 主文 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官 武宮英子 裁判官 阿波野右起 裁判官 峯健一郎 (別紙)原告動画目録 配信日配信停止期間タイトル R2.9.22 R2.9.22~R2.10.10(省略) R2.11.2 R2.11.2~R2.11.20(省略) R2.11.30 R2.11.30~R2.12.18(省略) R3.9.23 R3.9.23~R3.9.30(省略) R3.10.4 R3.10.18~R3.10.25(省略) R3.11.5 R3.11.5~R3.11.12(省略) R3.12.14 R3.12.17~R3.12.24 R3.10.25(省略) R3.11.5 R3.11.12(省略) R3.12.14 R3.12.17 R3.12.24(省略) R4.1.10 R4.1.17(省略) R2.9.22 (省略) R5.1.8 R5.1.15(省略) 以上 (別紙)配信予定動画目録 配信予定日タイトル 1 R2.10.1(省略) 2 R2.10.5(省略) 3 R2.11.3(省略) 4 R2.11.7(省略) R2.11.8(省略) 6 R2.11.11(省略) 7 R2.11.17(省略) 8 R2.12.3(省略) 9 R2.12.3(省略) R2.12.5(省略) 11 R2.12.6(省略) 12 R2.12.10(省略) 13 R2.12.10(省略) 14 R2.12.16(省略) R3.9.25(省略) 16 R3.9.27(省略) 17 R3.10.19(省略) 18 R3.10.21(省略) 19 R3.19.22(省略) R3.10.23(省略) 21 R3.11.9(省略) 22 R3.11.12(省略) 23 R3.12.18(省略) 24 R4.1.13(省略) R4.1.16(省略) 26 R4.1.16(省略) 27 R5.1.9(省略) 28 R5.1.12(省略) 29 R5.1.15(省略) (別紙)損害目録 本件動画配信予定動画実際の収益計算式損害額裁判所認定 1、26,314円 47,845×3-6,314 137,221円 60,286 3~72,077円 47,845×6-2,077 284,993円 131,123 8~141,973円 47,845×8-1,973 380,787円 175,627 15、16 250円 47,845×3-250 143,285円 66,350 17~202,579円 47,845×5-2,579 236,646円 108,421 21、226,264円 47,845×3-6,264 137,271円 60,336 15,923円 47,845×2-15,923 79,767円 28,477 24~268,612円 47,845×4-8,612 182,768円 80,188 27~30 725円 47,845×5-725 238,500円 110,275 合計1,821,238円 821,083以上

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