令和5(行ヒ)297 特別地方交付税の額の決定取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年2月27日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 大阪高等裁判所 令和4(行コ)53
ファイル
hanrei-pdf-93824.txt

判決文本文1,721 文字)

- 1 - 主文 原判決を破棄する。 本件を大阪高等裁判所に差し戻す。 理由 上告代理人阿部泰隆ほかの上告受理申立て理由二及び三について 1 本件は、総務大臣から地方交付税法15条2項の規定により令和元年度の第1回目及び第2回目の特別交付税の額の各決定を受けた地方団体である上告人が、被上告人を相手に、上記各決定の取消しを求める事案である。 2 原審は、要旨次のとおり判断し、本件訴えを却下した。 地方団体が国から法律の定めに従い地方交付税の分配を受けることができるか否かに関する紛争は、国と地方団体がそれぞれ行政主体としての立場に立ち、地方団体全体が適正に行政事務を遂行し得るように、法規の適用の適正をめぐって一般公益の保護を目的として係争するものというべきである。したがって、本件訴えは、行政主体としての上告人が、法規の適用の適正をめぐる一般公益の保護を目的として提起したものであって、自己の財産上の権利利益の保護救済を目的として提起したものとみることはできないから、裁判所法3条1項にいう法律上の争訟に当たらない。 3 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。 ⑴ 裁判所法3条1項にいう法律上の争訟とは、当事者間の具体的な権利義務な令和5年(行ヒ)第297号特別地方交付税の額の決定取消請求事件令和7年2月27日第一小法廷判決(処分行政庁の表示)被上告人国処分行政庁総務大臣 A- (行ヒ)第297号特別地方交付税の額の決定取消請求事件令和7年2月27日第一小法廷判決(処分行政庁の表示)被上告人国処分行政庁総務大臣 A- 2 -いし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものをいう(最高裁昭和51年(オ)第749号同56年4月7日第三小法廷判決・民集35巻3号443頁参照)。 ⑵ 地方団体は、国とは別個の法人格を有し、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものであるところ(地方交付税法2条2号、地方自治法1条の2、1条の3第1項、第2項、2条1項、2項)、地方交付税は、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的として、地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるよう、国が、地方団体に対し、条件を付け又はその使途を制限することなく、交付するものである(地方交付税法1条、2条1号、3条2項)。そして、特別交付税は、このような地方交付税の一種であり、交付されるべき具体的な額は、総務大臣がする決定によって定められるものである(同法4条2号、6条の2第1項、15条1項、2項、16条1項)。そうすると、特別交付税の交付の原因となる国と地方団体との間の法律関係は、上記決定によって発生する金銭の給付に係る具体的な債権債務関係であるということができる。したがって、地方団体が特別交付税の額の決定の取消しを求める訴えは、国と当該地方団体との間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争に当たるというべきである。 また、特別交付税の額の決定は、地方交付税法及び特別交付税に関する省令に従ってされるべきものであるから、上記訴えは、法令の適用により終局的に解決する 存否に関する紛争に当たるというべきである。 また、特別交付税の額の決定は、地方交付税法及び特別交付税に関する省令に従ってされるべきものであるから、上記訴えは、法令の適用により終局的に解決することができるものといえる。 ⑶ 以上によれば、地方団体が特別交付税の額の決定の取消しを求める訴えは、裁判所法3条1項にいう法律上の争訟に当たると解するのが相当である。 4 以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 - 3 -(裁判長裁判官岡正晶裁判官安浪亮介裁判官堺徹裁判官宮川美津子裁判官中村愼)

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る