平成19(ワ)8262 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成21年6月9日 大阪地方裁判所
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判決文本文43,193 文字)

- 1 -平成21年6月9日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成19年(ワ)第8262号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成21年3月19日判決原告株式会社フェースビューティ訴訟代理人弁護士向井太志高階貞男小林功武亀山元小口淳也被告株式会社K(旧商号・株式会社K)’被告株式会社Q同被告ら訴訟代理人弁護士春名一典田中賢一細川敦史被告株式会社X被告株式会社Z同被告ら訴訟代理人弁護士宮本重二郎土居幹夫掛樋美佐保主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 - 2 -第1請求の趣旨 被告らは,別紙被告商品目録記載1ないし9の各化粧品(アトプロデュース)を譲渡し,貸し渡し,譲渡若しくは貸渡しのために展示し,輸出し,輸入してはならない。 被告らは,前項の各化粧品を廃棄せよ。 被告株式会社K及び被告株式会社Qは,原告に対し,各自2634万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告Kは平成19年7月21日,被告Qは同月20日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告株式会社X及び被告株式会社Zは,原告に対し,各自608万4000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成19年7月20日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告らの負担とする。 仮執行宣言第2事案の概要本件は,原告が,別紙被告商品目録記載1ないし9の商品(アトプロデュース。以下「被告商品」という)を販売する被告らに対し,①主位的に,被告。 商品は原告がデザインし,開発した別紙原告商品目録記載1ないし9の各化粧品 紙被告商品目録記載1ないし9の商品(アトプロデュース。以下「被告商品」という)を販売する被告らに対し,①主位的に,被告。 商品は原告がデザインし,開発した別紙原告商品目録記載1ないし9の各化粧品(アトシステム。以下「原告商品1」等のようにいい,原告商品1ないし9を併せて「原告商品」と総称する)の形態等を模倣したものであって,被告。 商品を販売する被告らの行為は不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争(商品形態模倣)に当たると主張して,同法3条に基づき被告商品の譲渡等の差止め・廃棄を求めるとともに,同法4条に基づき損害賠償(同法5条2項)を求め,②予備的に,原告商品と類似する被告商品を販売した被告らの行為は- 3 -不法行為に該当すると主張して,民法709条,719条に基づき,被告商品の販売等の差止め・廃棄及び損害賠償を求めた事案である。 当事者間に争いのない事実等(証拠の掲記のない事実は当事者間に争いがない)。 ( )当事者及びその相互関係 ア原告は,化粧品販売等を業とする株式会社である。 イ被告Kは,化粧品・美容関連商品の販売等を業とする株式会社であり,被告Qは,被告Kの関連会社である。 ウ被告Xは,化粧品の製造販売を行うことを業とする株式会社であり,被告Zは,被告Xの100%子会社であり,本店所在地及び代表者が被告Xと同じであって,被告Xと実質的に一体の会社である。 ( )原告商品について 原告(当初はその関連会社である株式会社フェースコスメティック〔以下「フェースコスメティック」という〕が販売していた。以下同社が販売し。 ていた時期を含めその販売元を原告ということがある)は,平成7年10。 月ころから「アトシステム」のブランドで,アトピー肌専用の化粧品とし,て,クレンジング,ウォッシング,化粧水などのア 売し。 ていた時期を含めその販売元を原告ということがある)は,平成7年10。 月ころから「アトシステム」のブランドで,アトピー肌専用の化粧品とし,て,クレンジング,ウォッシング,化粧水などのアイテム(ただし,その容器の形態は原告商品とは異なる)を販売していたところ,平成17年10。 月,容器の形態が改変された原告商品の販売を開始した(甲6ないし8。 )( )被告商品について 被告らは,平成19年1月ないし3月ころから被告商品の製造販売を開始した(甲10。すなわち,被告Xは,被告商品を製造して被告K)に販売し(ただし,被告商品の容器・パンフレットには被告Zが製造元と表示されている,被告Kは,被告商品を被告Qに。)販売し,被告Qは,被告商品を美容ディーラー及び- 4 -エステティックサロン等に販売した。 なお,被告Kは,指定商品を「第3類せっけん類,化粧品」とする登録商標「ATPRODUCEアトプロデュース(平成18年7月5」日出願,平成19年2月16日登録,登録番号第5025444号)に係る商標権を有している(甲15の1・2。 )( )原告商品は,クレンジング(メイク落とし,ウォッシング(洗顔料, ))マイルドローション(保湿化粧水,スキンモイスト(スキンミルク,エ))モリエントゲル(保護クリーム,コントロールミスト(清涼ローション,))ヘアシャンプー,ヘアコンディショナー,ボディシャンプー(洗浄料)の9品目のアイテムから成るところ,被告商品も原告商品と同様の9品目のアイテムからなり,それぞれ対応する商品の容器は同一の金型から作成されたことから,その容器の形状・寸法は同一である。原告商品及び被告商品の具体的な容量・寸法は,以下のとおりである(甲1ないし5,弁論の全趣旨。 )ア原告商品1・被告商品 容器は同一の金型から作成されたことから,その容器の形状・寸法は同一である。原告商品及び被告商品の具体的な容量・寸法は,以下のとおりである(甲1ないし5,弁論の全趣旨。 )ア原告商品1・被告商品1(クレンジング〈メイク落とし)〉(ア)容量は190ml(イ)ボトル部分の上底の直径は約5㎝,下底の直径は約4.5㎝(ウ)ボトルの高さは約17㎝,ポンプ部分の高さは約6㎝イ原告商品2・被告商品2(ウォッシング〈洗顔料)〉(ア)容量は140ml(イ)ボトル部分の上底の直径は約4.5㎝,下底の直径は約4.5㎝(ウ)ボトルの高さは約12㎝,ポンプ部分の高さは約6㎝ウ原告商品3・被告商品3(マイルドローション)(ア)容量は190ml(イ)ボトル部分の上底の直径は約5㎝,下底の直径は約4.6㎝(ウ)ボトルの高さは約13.5㎝,ポンプ部分の高さは約4㎝,キャップ部分の高さは約5㎝。 - 5 -エ原告商品4・被告商品4(スキンモイスト〈スキンミルク)〉(ア)容量は190ml(イ)ボトル部分の上底の直径は約5㎝,下底の直径は約4.6㎝。 (ウ)ボトルの高さは約13.5㎝,ポンプ部分の高さは約4.2㎝,キャップ部分の高さは約5㎝。 オ原告商品5・被告商品5(エモリエントゲル〈保護クリーム)〉(ア)容量は50g(イ)容器の上底の直径は約5.5㎝,下底の直径は約5.5㎝(ウ)キャップを外した本体部分の高さは約3.5㎝,キャップの高さは約1.5㎝カ原告商品6・被告商品6(コントロールミスト〈清涼ローション)〉(ア)容量は140ml(イ)ボトル部分の上底の直径は約4.5㎝,下底の直径は約4.2㎝(ウ)ボトルの高さは約12㎝,ポンプ部分の高さは約4.3㎝,キャップ部分の高さは約4.8㎝キ原告商品7 )容量は140ml(イ)ボトル部分の上底の直径は約4.5㎝,下底の直径は約4.2㎝(ウ)ボトルの高さは約12㎝,ポンプ部分の高さは約4.3㎝,キャップ部分の高さは約4.8㎝キ原告商品7・被告商品7(ヘアシャンプー)(ア)容量は300ml(イ)ボトル部分の上底の直径は約6㎝,下底の直径は約5.5㎝(ウ)ボトルの高さは約14.5㎝,ポンプ部分の高さは(ポンプを上げた状態で)約6.5㎝ク原告商品8・被告商品8(ヘアコンディショナー)(ア)容量は300ml(イ)ボトル部分の上底の直径は約6㎝,下底の直径は約5.5㎝(ウ)ボトルの高さは約14.5㎝,ポンプ部分の高さは(ポンプを上げた状態で)約6.5㎝ケ原告商品9・被告商品9(ボディシャンプー)- 6 -(ア)容量は300ml(イ)ボトル部分の上底の直径は約6㎝,下底の直径は約5.5㎝(ウ)ボトルの高さは約14.5㎝,ポンプ部分の高さは(ポンプを上げた状態で)約6.5㎝ 主要な争点( )原告商品の商品形態は「他人」すなわち原告の商品の形態か。 ( )被告商品は原告商品を模倣したものであるか。 ( )被告商品の販売は原告に対する民法709条の不法行為を構成するか。 ( )原告の被った損害の額 第3争点に関する当事者の主張1争点((他人の商品形態か)について1)【原告の主張】( )ボトルメーカーが提案する各種のサンプルを検討し「大きさ」や「形 ,状」を指示して選定したのは原告であり,ボトルメーカーではない。原告が自ら各種の化粧品の特徴や性質に照らして妥当だと思われる大きさ・形状を有する容器を特定した。 また,容器の「色」を特定し,容器表面部の「デザイン」をしたのも原告であって,ボトルメーカーではない。色やロゴのデザイン 品の特徴や性質に照らして妥当だと思われる大きさ・形状を有する容器を特定した。 また,容器の「色」を特定し,容器表面部の「デザイン」をしたのも原告であって,ボトルメーカーではない。色やロゴのデザインについては,原告が,別個にデザイナーに発注して,思い描くイメージを独自に作成させ,これを容器に再現しているのであり,ボトルメーカーは,容器の色やロゴなどの表面に印刷されているデザイン創作には関与していない。 また,原告商品に関しては,9種のアイテムについて,それぞれに容器の大きさや形状を選択・特定され,それらが合わさって「アトシステム」としてのブランド商品となり得ているところ,各アイテムと容器との「組合せ」を決定したのも原告であった。 さらに,容器の製造費用,デザイン費用,その他の販売経費など,多額- 7 -の資本を投下して,容器に内容物を入れ,最終的に,真っ白な容器を化粧品として商品化し,販売しているのは,すべて原告であって,それら多額の費用の投下リスクや営業上のリスクも原告自身が負っている。 以上によれば,原告商品は,原告がデザインし,一般の流通に置いたのであるから,原告の商品であることが明らかであって,不正競争防止法2条1項3号の「他人の商品」に当たる。 ( )これに対し,被告Kらは,原告商品の容器がボトルメーカーの既 製品であったという1点で「原告の商品形態」という要件を満たさないと論ずるが失当である。被告らの主張によれば,原告商品の形態はボトルメーカーの商品形態だということになるが,そのような帰結は余りに的外れで合理性を欠く。 なお,原告は,原告商品の容器についてボトルメーカーから新規開発の金型を使うという説明を受けていたが,仮にそうでないとしても,なんら原告の法的主張に消長を来たすものではない。すなわち,そもそも,容器メーカ 告は,原告商品の容器についてボトルメーカーから新規開発の金型を使うという説明を受けていたが,仮にそうでないとしても,なんら原告の法的主張に消長を来たすものではない。すなわち,そもそも,容器メーカーは,被告らが指摘するボトルメーカー(株式会社ハタ)だけではなく多種多様である。もちろん,容器の形状・大きさも多種多様であり,容器に施すデザインはそれこそ千差万別である。また,エステサロン向けに揃えるアイテムの「数」や「種類」や「アイテムと容器の形状・大きさの組合せ」も無。 ,,,限のものとなるかかる前提条件の下で原告は原告商品の容器を選択しデザインを施し,アイテムごとに容器の大きさ・形状を選択して組合せを決定した。選択肢が無限大に存する状況において,原告自らの主体的な選択と決定により形成されているのが原告商品のデザイン・形態なのである。それが「ボトルが既存の金型を使用している」という1点で独自性のないものとなり「原告の」商品形態といえなくなるということはない。 ,【被告らの主張】( )原告商品及び被告商品に用いられている容器は既製品であり,他の商品 - 8 -の容器としても市場に出回っている。例えば,原告商品1及び被告商品1に用いられた容器は,ブランド名「アンドラブ」の「トリートメントマッサージクレンズ」の容器と形状・大きさが同一である。そのほか,これを含む全ての原告商品及び被告商品の容器は,別紙「既製品容器に対する対応表」のとおり,株式会社ハタ(以下「㈱ハタ」という)が製造する規格型の容器。 (BCシリーズのHB001-150R,HB001-200R,HB001-300R)及びジュテック株式会社が製造する規格型の容器(ジュジュビJRシリーズのJR-60)である(乙1ないし乙3。 )原告商品のうち「他人」の「商品の形態 R,HB001-200R,HB001-300R)及びジュテック株式会社が製造する規格型の容器(ジュジュビJRシリーズのJR-60)である(乙1ないし乙3。 )原告商品のうち「他人」の「商品の形態」を構成し得る要素は,①容器,の色彩,光沢,素材,②外箱のデザインにすぎない。原告商品の「容器の形状・大きさ」は,用いられたボトルが有型であることから原告の商品形態を構成するものではなく,また「容器にプリントされた字体「商品の取り,」扱いラインアップ「内容物の成分「商品コンセプト」は,いずれも「需」」要者が通常の用法に従った使用に際して知覚(注・視覚及び触覚)によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感(不正競争防止法2条4項)と定義される「商」品の形態」に当たらない。前記「他人の商品の形態」の構成要素である容器の色彩,光沢,素材のうち,素材は不正競争防止法2条1項3号にいう「商品の機能を確保するために不可欠な形態」であり,色彩及び光沢は違いがある。また,外箱のデザインについては,色や光沢等に明らかな違いがある。 したがって,原告商品は不正競争防止法2条1項3号の「他人の商品」に当たらない。 ( )原告は,原告商品を商品化する前に,その容器は容器メーカーでは未だ 市販されていなかったと主張する。しかし,原告商品は,平成17年5月に容器のデザインが大幅に改変され,現在の形態でリニューアル販売されたところ,㈱ハタが有型の容器を販売開始したのは,原告商品2,6に用いられ- 9 -た容器(HB001-150R)が平成16年5月,原告商品1,3及び4に用いられた容器(HB001-200R)が同年6月,原告商品7ないし()()。 9に用いられた容器HB001-300Rが同 器(HB001-150R)が平成16年5月,原告商品1,3及び4に用いられた容器(HB001-200R)が同年6月,原告商品7ないし()()。 9に用いられた容器HB001-300Rが同年7月である乙14,,,原告企画部長のCは㈱ハタと共同で新たな金型を作り原告が最初に使い1年後は㈱ハタの自由型として使うという話合いの下に金型を作った旨供述するが,共同で作った金型の権利関係や原告に専属的に使用される期間の設定は重要な事柄であるのに,原告と㈱ハタとの間では何らの契約書も交わされておらず,この容器は原告商品の販売より1年も前から市場に出回っているから,上記供述は事実に反しており,信用できない。 争点( )(形態模倣の有無)について 【原告の主張】以下のとおり,被告商品は,被告K,被告Xにおいて,原告商品の容器を製造するボトルメーカーに対し,原告商品と全く同じ金型を使用するように指示し,しかも,配色や文字の配置を含めて,原告商品と酷似するような容器にするようにと指示した上で,以下のとおり原告商品と実質的に同一な被告商品を製造させ,被告らにおいてこれを販売したものである。被告らの上記行為は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争に該当する。 ( )同一性・模倣性の判断要素 ア容器の形態の重要性原告商品と被告商品は,1つのブランド名で統一された,9種類のアイテムからなる化粧品群である。これらの化粧品は,スーパーや薬局・薬店などの小売店で箱詰めで陳列されて販売されるものではない。どちらも,基本的には,原告や被告らが運営するエステサロンで顧客に対して用いた上で販売し,あるいは他の業者が運営するエステサロンで使用してもらうためにサロンに納品するという販売方法が取られる。 サロンの顧客は,サロンでこれらの商品の特徴や使用 エステサロンで顧客に対して用いた上で販売し,あるいは他の業者が運営するエステサロンで使用してもらうためにサロンに納品するという販売方法が取られる。 サロンの顧客は,サロンでこれらの商品の特徴や使用方法について説- 10 -明を受けて,これを実際に使ってエステを受ける。その上で,サロンで使用していた商品を自宅でも使用してみるということになる。したがって,そこで顧客が目にするのは,紙箱に箱詰めにされた化粧品ではなく,箱に梱包されていないボトルや容器である。そうすると,本件商品に関して,商品形態の類似性を判断する上では,顧客が目の当たりにする「各商品のボトル・容器の形態」の同一性・類似性が重要となる。 また,サロンを運営する業者は,インターネットやパンフレットを通じて,これらの商品の商品コンセプトを熟読し,最終的には,ボトル・容器を見て購入を決することになるのであって(甲1,甲2,サロン運)営業者との関係でも,やはり各商品のボトル・容器の形態の同一性・類似性が問われることとなる。 イ内容物・コンセプトサロン用の化粧品という原告商品及び被告商品の特性からすると,当該化粧品の商品コンセプトがまったく異なっており,あるいは化粧品の使用感がまったく異なるものであれば,およそ被告商品が原告商品を「模倣」したということはできない。 したがって「模倣性」の判断において考慮されるべき両者の基本的な,構成要素のひとつとして,商品コンセプトや内容物(化粧品の成分)の同一性も問われて然るべきである。 ( )類似点・共通点 9つのアイテムについて共通する類似点・共通点を挙げると,次のようになる。 ア類似点①(ボトル・容器の形状・寸法)9つのアイテムは,すべてのボトル・キャップ・ポンプ部分・容器の「形状」及び「寸法」が寸分違わず完全に一致している。 点・共通点を挙げると,次のようになる。 ア類似点①(ボトル・容器の形状・寸法)9つのアイテムは,すべてのボトル・キャップ・ポンプ部分・容器の「形状」及び「寸法」が寸分違わず完全に一致している。 原告商品のボトル・容器の製造メーカーが,まったく同じ形のものと- 11 -して被告商品のボトル・容器を製造している。 イ類似点②(色)ややトーンを落とした薄いピンクが基調色となっており,柔らかく優しいイメージを彷彿とさせるピンク色が,ボトルや容器の基調色として用いられている。 ウ類似点③(ワンポイント色の利用)基本的には,ピンク色の素地に黒い文字で商品名等が表示されているが,それ以外に,赤と青などの違いはあるものの,どちらも文字列を挟むようにするなど,容器にワンポイントカラーが用いられている。 エ類似点④(素材)ボトルや容器の素材はどちらもプラスチックであり,金属が一切用いられていない。 オ類似点⑤(アト」=「AT)「」原告商品アトシステムの「アト=AT」は「アトピー」の「アト」を,取ったものであり,これは原告独自の造語であったが,被告商品でも「アト=AT」の文字が商品名として用いられ,ボトル等に印字されている。 ちなみに,原告が取り扱う商品には「ノープロデュース」というシリーズの商品があり,被告商品の名称「アトプロデュース」は,原告の商品である「アトシステム」と「ノープロデュース」を組み合わせたものと解される。 カ類似点⑥(文字列)ボトルや容器の正面において,中位よりもやや上部に,黒の横文字で,ブランド名が大きくアルファベットで記載され,そのブランド名の下に,やや読み取りにくいほどの小さなアルファベットによる文章を3行並べて,デザインを整え,全体のバランスを取っている。下部には「クレン,ジング」や「ウォッシング」と で記載され,そのブランド名の下に,やや読み取りにくいほどの小さなアルファベットによる文章を3行並べて,デザインを整え,全体のバランスを取っている。下部には「クレン,ジング」や「ウォッシング」といったアイテムの種類が,大文字と小文- 12 -字の違いがあるものの,どちらもアルファベットで表記されている。 ボトルや容器の裏面には,上から「ブランド名」→「アイテムの種類」,→「容量」→「製造販売元」の順序で表記がなされており,使用上の注意が四角の線で囲まれた範囲に記載されている点も同じである。 キ類似点⑦(アイテムの名称)アイテムの名称は,クレンジング,ウォッシング,マイルドローション,スキンモイスト,エモリエントゲル,コントロールミスト,ヘアシャンプー,ヘアコンディショナー,ボディシャンプーの計9種類である。 これらのアイテムの名称はすべて完全に一致している。 つまり,化粧落とし用の洗顔料に「クレンジング」という名称が付されるのはある程度一般的だといえるが,洗顔料に「ウォッシング」という名称を付すことは必ずしも一般的とはいえない(他社では「フレッシュアップフォーム」とか「マイルドフォーム」などという名称が用いられている商品がある。また,化粧水に「ローション」と名付けることは)あるが「マイルドローション」という名称を付すことも一般的だとまでは言えない(クリーンローション」という名称の他社商品もある「ス「)。 キンモイスト(保湿液「エモリエントゲル(肌保護用のクリーム)」),」及び「コントロールミスト(保湿用化粧水)に至っては,非常に特殊な」用語であり,他社商品ではまず見受けられない名称である。シャンプーやコンディショナーについても「ヘア」が付されて「ヘアシャンプー・」「ヘアコンディショナー」という名称になっているが 常に特殊な」用語であり,他社商品ではまず見受けられない名称である。シャンプーやコンディショナーについても「ヘア」が付されて「ヘアシャンプー・」「ヘアコンディショナー」という名称になっているが,どちらも,被告商品に用いられている「ボディシャンプー」にしても,ボディ用の石鹸。 として一般的な名称とはいえないが,本件商品では共通する用語になっている。こうして,各アイテムの名称が,完全に一致する形で,本件商品の各容器に印字されているのである。9つにも及ぶアイテムの名称が完全に一致しているということは,明らかに意図的に,原告商品の名称- 13 -が被告商品に用いられていることを裏づける。 ク類似点⑧(アイテムの数)本件商品は,小売店で陳列販売される商品ではなく,サロンに納品され,サロン事業者やサロンの顧客が末端のユーザーになる商品であるが,サロン用の化粧品は,一般的に9つのアイテムが揃っていなければならないというわけではない。シャンプー類(ヘア・ボディ)がラインアップされない場合やローション(清涼ローション)が含まれない場合などが多く,一つのブランドで9つのアイテムが揃っているというのはむしろ珍しいといえる。 ところが,本件商品は,商品のアイテムは9種類であり,アイテム数も完全に一致している。 ケ類似点⑨(成分)それぞの成分を成分表示の順(ボトルとは別の紙箱に記載されている)に並べてみると,両者の酷似性・同一性は明らかである。 コ類似点⑩(商品コンセプト)肌に不安や悩みを抱えている女性をターゲットとしており,異物に弱い「敏感肌」にも対応できる,やさしく,肌を守る化粧品という商品コンセプトは完全に一致している。 【被告らの主張】以下のとおり,被告Kらは,原告商品を「模倣」すなわち原告商品の形態に依拠してこれと実質的に同一の形態 応できる,やさしく,肌を守る化粧品という商品コンセプトは完全に一致している。 【被告らの主張】以下のとおり,被告Kらは,原告商品を「模倣」すなわち原告商品の形態に依拠してこれと実質的に同一の形態の被告商品を作り出したものではない。 ( )容器の形状・大きさ 原告商品及び被告商品に用いられた容器は既製品であり,また後記のとおり,その形態はその商品の機能を確保するために不可欠の形態であるから(不正競争防止法2条1項3号,これについては「模倣」の判断にあたって考)- 14 -慮すべきではない。 ( )容器の色 原告商品と被告商品の容器の色は明らかに異なる。現物を対比すると,前者は色が薄く,それに比べて後者は色が濃い。具体的には,原告商品の容器の色は,JIS慣用色(269色)名での分類による「桜色」であるが,被告商品の容器の色は「ピンク」ないし「鴇(とき)色」であり,両者は別の種類の色が用いられている。 なお,原告は,容器正面に使われているワンポイント色について「ワン,ポイント色の利用」という「類似点」がある旨主張するが,このように抽象化すべきではなく,あくまでも「容器の色」として比較対照されるものである。そして,原告商品と被告商品とでは,ワンポイントの色自体,ワンポイント色の位置及び数に違いがある。 ( )容器の光沢 原告商品の容器には光沢がないが,被告商品の容器には光沢がある点で違いがある。 ( )容器の素材 化粧品の容器がプラスチック素材であることは,商品の機能を確保するために不可欠な形態であるから,この構成要素を考慮すべきでない。 ( )容器にプリントされた字体 原告商品に付された商品名や英語表記等の字体は,商品形態にあたらない。 これらは「字体を基礎にし,これを制作者自ら創作したデザイン上の一定,の 慮すべきでない。 ( )容器にプリントされた字体 原告商品に付された商品名や英語表記等の字体は,商品形態にあたらない。 これらは「字体を基礎にし,これを制作者自ら創作したデザイン上の一定,のルールに従い様式化した文字郡」たるタイプフェイス(デザイン書体)とは異なる。 ( )外箱について 容器のみならず,容器の外箱も商品形態の構成要素として比較すべきである。この点,原告は,外箱を商品形態ととらえず,一方で,顧客や業者が購- 15 -入の際に目にする容器の形態を重視すべき旨を主張する。しかし,不正競争防止法2項1項3号は,市場において混同を生ずることを要件としないため,模倣の判断に際しては,取引者・需要者の視点ではなく,当業者の視点から観察されるべきである。外箱の色や光沢の違いは,以下のとおりである。 ア原告商品の外箱A正面,両背面及び上下底面は,ショッキングピンク色地に商品名である「atsystem」ないし半円形の図形がそれよりも薄い2種類のピンク色で抜かれている。背面は,明るいショッキングピンク色のみである。 B表面に光沢はなく,手触りは段ボール地のようにザラザラしている。 イ被告商品の外箱a正面及び両側面は,容器と同じようなピンク色とそれより若干薄いピンク色の二色ストライプである。上底面は,薄いピンク色地に商品面である「ATPRODUCE」が容器と同じようなピンク色で抜かれている。下底面及び背面は,薄いピンク色のみである。 b表面に光沢があり,手触りはツルツルしている。 ( )商品の取扱ラインナップ 被告Kらには,原告商品の取扱ラインナップは不知であるが,仮にこれが被告商品の取扱ラインナップと同数であるとしても,9つの商品を常にセットで販売するわけではなく,9つの商品はそれぞれ独立して価値を有(,。 ,原告商品の取扱ラインナップは不知であるが,仮にこれが被告商品の取扱ラインナップと同数であるとしても,9つの商品を常にセットで販売するわけではなく,9つの商品はそれぞれ独立して価値を有(,。),しているから9つ揃ったからといってその価値が上がるわけではない取扱ラインナップの数は,原告商品の特徴とはいえず「模倣」の判断にあ,たって考慮すべきではない。 ( )内容物の成分,商品の名称,商品コンセプト 商品の形態は,外部から認識が可能でなければならない。外部から認識できない原告商品の内容物の成分は,商品の形態ではない。商品の名称につい- 16 -ても,商品を外部から観察したときに認識できるものではないから,商品の形態ではない。商品コンセプトについても,商品を外部から観察したときに認識不可能であるから,商品の形態とはなりえない。 ( )商品の機能を確保するために不可欠な形態であること 以下に述べることから,原告商品の商品形態は,商品の機能を確保するために不可欠な形態である。よって,被告Kらによる被告商品の販売は「不正競争」にあたらない。 ア容器の形状・大きさ前記のとおり,原告商品の容器は既製品であり,他の化粧品の容器としても広く用いられている。よって,原告商品の容器の形状及び大きさは,商品の機能を確保するために不可欠の形態である。 イ容器の色化粧品の容器の色は,美白のイメージを連想させる白系統や,肌の色に近いピンク系統が用いられることが多い。原告商品の容器に着色された「桜色(JIS慣用269色)もピンク系統の色であり,化粧品の容器の色」として珍しいものではない。 よって,原告商品の容器の色は,商品の機能を確保するために不可欠な形態というべきである。 ウ容器の素材品質がよく,原価が安く,大量生産になじむ容器の素材と 容器の色」として珍しいものではない。 よって,原告商品の容器の色は,商品の機能を確保するために不可欠な形態というべきである。 ウ容器の素材品質がよく,原価が安く,大量生産になじむ容器の素材としては,プラスチックが選ばれることは明らかであり,容器がプラスチック素材であることは,商品の機能を確保するために不可欠な形態である。従来から化粧品の容器にはプラスチックが広く用いられており,容器をプラスチック素材にすることは,原告が開発し商品化したものではないことは明らかであるから「原告の商品形態ではない」ともいえる。 , 争点( )(不法行為の成否)について - 17 -【原告らの主張】仮に,被告らの被告商品の製造販売行為が不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に当たらないとしても,以下のとおり,被告らの上記行為は,民法709条の不法行為を構成する。 模倣商品の製造販売行為( )被告K・被告Qの行為 ア被告Kによる酷似商品の開発依頼(ア)被告Xの関係者は,原告関係者に対して,被告商品の製造販売をはじめた理由として,被告K側から類似製品を製造販売するよう要求を受け,拒否できずにやむなくその製造販売に踏み切ったものだという説明をしていた。原告が,被告商品の販売・流通について,被告Xに抗議した際に,被告Xの幹部が原告代表者を訪ねてきて,平身低頭に謝罪したことがあった。異例の行動であり,なにも問題がない商品なら,被告Xが謝罪する必要もないところである。 (イ)本件訴訟提起に先立ち,原告代理人弁護士は,被告Xの代理人弁護士と折衝していたが,その際に,被告X代理人から「有,力取引先から製造を要求されてやむなく製造せざるを得なかった「問」題の商品の製造は,X側主導ではなく,むしろQ側主導である」との説明がなされていた 衝していたが,その際に,被告X代理人から「有,力取引先から製造を要求されてやむなく製造せざるを得なかった「問」題の商品の製造は,X側主導ではなく,むしろQ側主導である」との説明がなされていた(被告X代理人はその後この説明を撤回した。 。)つまり,被告Xの代理人は,被告Kの名称を出さなかったものの,被告商品の製造を主導したのは被告Xではなく,被告Q側(被告K側)だったのだと弁明していたのである。この代理人の弁明は,被告Xの関係者の上記説明ともよく符合している。 - 18 -(ウ)被告Kは,原告商品を取り扱っており,原告商品の特徴(容器の形態の特徴,商品コンセプト,容器のデザイン)を知り尽くしていた。 (エ)被告K代表者であるA(以下「A1」という)と原告の。 会長職にあるB(以下「B1」という)は,もともと原告創業時以。 来,共同経営者として盟友であった。しかし,その後,袂を分かっており,これまで何度か衝突する場面もあった。被告商品の流通後,被告K側が「フェイス(原告)をつぶす」という発言をして,いるとの噂も流れている。つまり,被告Kには,原告商品と同一の商品を製造販売しようとする動機・理由が十分に存する。 (オ)他方,被告Xは,原告と包括的な商品の製造委託契約を締結する関係にある(甲17,甲18。原告の利益を害することを企)図して,原告商品に酷似する商品を製造・販売するという行為に及ぶ動機が,被告Xには存しない。 (カ)以上のとおり,被告商品の開発を主導したのは,被告Kであった。 イ類似性・酷似性9つのアイテムの容器が,すべて同じ大きさ,同じ形ということそれ自体が異常である。その外観は,誰が見ても,酷似しているといえ,その酷似性が「偶然」の結果だということは100%ない。 また,原告は,ボトルメーカーから 容器が,すべて同じ大きさ,同じ形ということそれ自体が異常である。その外観は,誰が見ても,酷似しているといえ,その酷似性が「偶然」の結果だということは100%ない。 また,原告は,ボトルメーカーから,被告X側より「できるだけ類似させた商品を製作して欲しいとの要請があった」と聞いている。 現に,原告商品と被告商品を混同している顧客もおり,原告は対応に苦慮している(甲19。顧客からは,コンセプトやパッケージ,種)類など似ている商品ばかりだったので,両者が同一の商品だと疑問を持ったという問合せが来ているのである。 - 19 -つまり,原告商品と被告商品は,明らかに酷似・類似しているといえ,それにより,原告が,原告商品の販売に支障を生じている。 ウ被告Qの連関性被告Kは,被告Q以外の業者には被告商品を販売していないというほど,両者には密接な関係がある。また,被告Xの代理人は,事前交渉において,原告代理人に対し,被告Qが原告商品との酷似性をまったく知らなかったなどということはあり得ないことだと述べていたところでもある。 被告Qによる被告商品の販売行為が,原告の営業上の権利を侵害する被告Kの商品販売行為と主観的・客観的に連関していることは明らかである。 したがって,被告Kと被告Q(以下両者を「被告Kら」という)は,共同不法行為者として,連帯して責を負。 う。 ( )被告X及び被告Zの行為 ア被告X原告は,被告Xとの間で,化粧品の製造委託・商品販売に関する包括的な基本契約を締結し,個々の化粧品の製造を依頼し,或いは,商品の売買をおこなっている(甲17,甲18)。 被告Xは,被告商品が原告商品に酷似していると知りつつ,これを製造・販売したものであり,原告の営業上の利益を侵害した。 イ被告Z被告Zの代表者・住所は,被告Xと同一であり, (甲17,甲18)。 被告Xは,被告商品が原告商品に酷似していると知りつつ,これを製造・販売したものであり,原告の営業上の利益を侵害した。 イ被告Z被告Zの代表者・住所は,被告Xと同一であり,両者は実質的に一体だといえ,被告Zも不法行為責任を免れない。 ( )被告らの行為の不法行為性 原告は,化粧品の容器・商品ラインアップ(容器と内容物との組合せ)- 20 -について,創造的なデザインや模様等を施し,その創作的要素によって商品としての価値を高め,この物品を製造販売することによって営業活動を行っていたのであり,これに対して,被告らは,相共同して,具体的には,被告Kらという実質的な同一会社が主導し,被告Xと被告Z(以下「被告Xら」という)という実質的な。 同一会社がその指示に従うことによって,当該商品と酷似するデザインを施し,オリジナル商品と競合する流通過程に置くことによりその営業活動を妨害したものであって,被告らの上記行為は,公正かつ自由な競争原理によって成り立つ取引社会において,著しく不公正な手段を用いて他人の法的保護に値する営業活動上の利益を侵害したものとして,不法行為を構成する(東京高裁平成3年12月17日判決〔木目化粧紙原画事件〕参照。 )【被告らの主張】( )被告商品は被告Zが自社のオリジナル商品として製造販売 する商品であり,被告Kは,下記の経緯によって開発・製造された被告商品を被告Xから仕入れた上,これを被告Qを通じて美容ディーラー等に販売したものである。したがって,被告商品の開発を主導したのは被告Kであるとの原告の主張は誤りである。 ( )被告商品の開発・製造の経緯は,以下のとおりである。 ア被告Kは,平成7年ころから,原告より原告商品「アトシステム」を仕入れ,これを自らの得意先に対し継続的に の原告の主張は誤りである。 ( )被告商品の開発・製造の経緯は,以下のとおりである。 ア被告Kは,平成7年ころから,原告より原告商品「アトシステム」を仕入れ,これを自らの得意先に対し継続的に販売していた。なお,原告商品は,原告の委託を受けて被告Xが製造するいわゆるOEM商品である。 イしかし,平成18年4月11日,フェースグループ代表であるB1から,被告Kに対し「フェースグループの組織再編に伴い取引掛率を見,直す」として,被告Kが原告から仕入れていた全商品(原告商品を- 21 -含む)の仕入値を同年6月1日から値上げする旨の通知が突然届いた(乙12。特に,原告商品は,従来17.5%であった掛率を35%とする)内容であり,被告Kにとって,仕入価格が2倍になることを意味していた。 ウ被告Kは,フェースグループから原告商品の仕入値を上げられたとしても,得意先に対して販売価格の値上げを申し出ることはできなかったため,価格改訂後は,被告Kにとって逆ざやとなり,取引を続ければ続けるほど赤字を出し続けることが見込まれた。しかし,フェースグループは「この価格改定に承諾しなければ原告商品を卸さない」と強硬な姿勢であったため,被告Kは一方的な値上げに応じざるを得なかった。なお,フェースグループは,本件提訴直前の平成19年7月2日,被告Kに対し,全商品の仕入値を更に値上げする(原告商品については,掛率35%→43%)旨の通知を送り,これがきっかけで,同年8月から両社間の取引は事実上打ち切られた。 エこのように,被告Kは,フェースグループから不当な経済的圧力をかけられる中で,得意先にこれまでどおり商品を販売し信頼関係を維持するため,敏感肌用の基礎化粧品を供給する必要に迫られたことから,原告商品に代替する製品の調達を余儀なくされることとな な経済的圧力をかけられる中で,得意先にこれまでどおり商品を販売し信頼関係を維持するため,敏感肌用の基礎化粧品を供給する必要に迫られたことから,原告商品に代替する製品の調達を余儀なくされることとなった。 オそこで,被告Kは,平成18年夏ころ,被告Xに対し「ア,トシステム」に代わる敏感肌用基礎化粧品を新たに製造し販売してほしい旨を依頼した。この依頼をきっかけに,被告X側で被告商品の企画検討が進められたが,その中で,被告Xから「被告商品を自社商品と,して製造販売したい」旨の申し出があり,被告Kはこれを了承した。 被告Xは,容器の選定,容器の調達方法,色や文字の配置などのデザイン,内容物の成分の配合等を自社において決定し,被告商品を開発した。 - 22 -カこうして,被告Xないし被告Zは,自ら開発した被告商品を製造し販売することとなった。 ( )以上のとおり,被告Kは,原告商品の仕入率を2倍にされるとい う仕打ちを受けたことをきっかけに,得意先に同じような商品を供給するために代替商品を求めて被告Xに製造を依頼したものである。そして,被告Xは,自社商品として製造販売することを前提に被告商品を開発したものであるが,同被告には商慣習上許される限度をこえて同じ物を作ろうという意図は全くなかった。したがって,被告K及び被告Xが被告商品を製造販売したことは,自由競争の範囲を逸脱するものではなく,被告Kの行為は不法行為を構成するものではない。 原告は,被告Xからボトルメーカーに対し「できるだけ類似させた商品を製作して欲しい」との要請があったと主張するが,そのような事実は全くない。上記のとおり,被告商品のデザインを考えたのは被告Xである。 ㈱ハタは,被告Xから渡されたデザインを有型のボトルに印刷し,容器として完成させた上で,被告Xに納品しただけ が,そのような事実は全くない。上記のとおり,被告商品のデザインを考えたのは被告Xである。 ㈱ハタは,被告Xから渡されたデザインを有型のボトルに印刷し,容器として完成させた上で,被告Xに納品しただけである。つまり,ボトルメーカーは,被告Xの指示どおりに被告商品の容器を製作提供しただけであり,裁量の余地は全くなかった。 ( )なお,原告が本件訴訟に及んでいるのは,被告Kを攻撃せんとす るフェースグループの明確な意図に基づくものと思われる。すなわち,もともとは,被告X,フェースコスメティック及び被告Kの関係は,被告Xが製造したOEM化粧品をフェースコスメティックが被告Kに大量に卸し,被告Kがこれを販売するという関係にあり,被告Kは,いわばフェースコスメティックの販売会社のような位置づけであった。ところが,被告Kは,企業として成長し規模が大きくなるにつれ,フェースコスメティックの商品を販売するだけでなく,自ら被告XをOEM会社として,自社製品の開発及び製造販売を行うようになって,フ- 23 -ェースコスメティックの中間利益を回避することが可能となり,逆にフェースコスメティックは被告Kから十分な利益を得られなくなった。 このように,自由競争原理の下で被告Kが企業成長していく経過の中で,フェースコスメティックは,被告Kの存在を脅威に感じるようになり,被告Kに対し攻撃的かつ強硬な姿勢をとるようになった。 ( )原告は,東京高裁平成3年12月17日判決(木目化粧紙原画事件)を 引用するが,同判決は,①創作的要素によって高められた商品の製造販売,②同一の物品に実質的に同一の模様を付する行為,③販売地域の競合,④廉価販売の4要件を基準としている。 この4要件を本件に当てはめると,①有型の容器に,化粧品としてありふれたピンク系の色をつけ,商品名・ 一の物品に実質的に同一の模様を付する行為,③販売地域の競合,④廉価販売の4要件を基準としている。 この4要件を本件に当てはめると,①有型の容器に,化粧品としてありふれたピンク系の色をつけ,商品名・英語表記及びワンポイントを付するという典型的なデザインに創作的要素があるとは考えられず,また,これによって化粧品としての原告商品の価値が高められるとも考えられない。よって,原告には,法的保護に値する営業活動の利益は存しない。②原告商品と被告商品のデザインは大きく異なるので「実質的に同一の模様を付する行為」,と同視することはできない。③販売地域は限定していないので競合する可能性はあるものの,④廉価ではない。 以上より,本件では,上記裁判例が掲げる4要件のうち3要件を欠き,しかも,特に重要な要件と考えられる①と②を満たさず,上記裁判例の事案とは大きく異なる。 争点( )(原告の被った損害の額)について 【原告の主張】( )被告Xは,被告商品(9アイテム)を少なくとも3000ロット販 売し,粗利として608万4000円を超える利益を得ていた。 ( )被告Kは,被告商品を被告Xから少なくとも3000ロット 購入し,そのうち少なくとも2000ロットを販売した。被告Kがエ- 24 -ステサロン等に対して被告商品を販売する場合,その販売価格は希望小売価格の4割程度であり,上記仕入単価と実際の販売単価との差額からすれば,被告Kが被告商品を2000ロット販売したことにより上げることができた利益は2634万円を下らない。 ( )なお,経理上は,被告Zが被告Xに販売し,被告X が被告Kに販売し,被告Kが被告Qに販売し,被告Qがサロン等に販売することにより,各被告に個別に利益が生じることになる。しかし,被告Zと被告X,被告Kと被告Qは実態的 が被告Xに販売し,被告X が被告Kに販売し,被告Kが被告Qに販売し,被告Qがサロン等に販売することにより,各被告に個別に利益が生じることになる。しかし,被告Zと被告X,被告Kと被告Qは実態的に同一会社であり,本件訴訟における原告に対する損害賠償という関係では,被告Xが被告Kに対して販売する際に生じる利益が被告Xらが得る利益であり,被告Zがサロン等に販売する際に生じる利益が被告Kらが得る利益になると解するのが相当である。 ( )不法行為に基づき原告に生じた客観的な損害額を具体的・数値的に立証 することは,酷似商品が同一業界に流通し,営業を妨害されたという事の性質上,現実的には著しく困難である。そこで,そのような場合には,損害が生じたことは認められるが損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるとして,民訴法248条を適用し,被告らの上げた利益を基準とした原告の請求する額を相当な損害額として認定するべきである。 【被告Kらの主張】原告の主張は争う。被告Kは,被告Xから被告商品の各アイテムを96個仕入れたのにすぎない。 【被告Xらの主張】原告の主張は争う。被告Xが被告Kに販売した被告商品の数量は各アイテムとも合計96個であり,試供品等も含めたその販売代金合計は132万8200円にすぎない。そして,被告Xの粗利益は原告も認めるとお- 25 -り27.6%である。 第4当裁判所の判断1事実経過( )前記争いのない事実,証拠(甲1ないし8,10,16ないし21,2 2の1・2,34ないし36,乙1ないし4,12ないし14,丙1ないし4,証人C,同B,同D,同E)及び弁論の全趣旨によれば,本件の事実経過について以下の事実が認められる。 ア原告を含むフェースグループの会長職にあるB1及び被告代表者のA1は,昭和63年3 ないし4,証人C,同B,同D,同E)及び弁論の全趣旨によれば,本件の事実経過について以下の事実が認められる。 ア原告を含むフェースグループの会長職にあるB1及び被告代表者のA1は,昭和63年3月,フェースコスメティックを設立した。フェースコスメティックの原始メンバーは,それぞれ同社の専属的販売代理店となる販社を保有しており,たとえばB1は「ザ・ワールド」を,A1は被告K(当時の商号は「株式会社K:以下商号変更の前後を’’」通じて「被告K」ともいう)もその一つであった。フェースコス。 メティックの販売する化粧品は,被告X(当時の商号は「株式会社日本X:以下「X」ともいう)がフェースコスメ’」’。 ティックの委託を受けて製造し,同社が被告Kほかの販社に販売し,各販社がエステティックサロン等に販売していた。ところで,フェースコスメティックから各販社への掛け率(各販社の仕入値)は,当初メーカー希望小売価格の20%であったが,被告K及びザ・ワールドの売上げが他の販社を圧倒していたため,売上高の大きい販社の掛け率を下げ,売上高の小さい販社の掛け率を上げるべきであるとのA1の提案に基づき,被告K及びザ・ワールドの2販社については17.5%,売上高の低い他の販社については35%と変更された。 イ被告Kは,フェースコスメティックの商品の仕入れ及び販売をするのと並行して,自社ブランドの化粧品の開発・製造を企図し,商品の製造を被告X(X)に委託し,平成3年7月から自社ブラン’- 26 -ド「エステツイン」の販売を開始したが,フェースコスメティックの要請で,旧来の「被告X(X)→フェースコスメティック→被’告K(K」という取引の流れを維持することとされ,’’)「エステツイン」の販売はフェースコスメティックを通じて販売し,被告K ックの要請で,旧来の「被告X(X)→フェースコスメティック→被’告K(K」という取引の流れを維持することとされ,’’)「エステツイン」の販売はフェースコスメティックを通じて販売し,被告Kは同社に対し売上げに応じたマージンを支払うこととされた。 ウその後,被告Kは,フェースコスメティックから仕入れる商品の販売を漸減させ,自社のオリジナル商品である「エステツイン」の販売量を増やしていったが,平成7年に至り「エステツイン」をフェースコス,メティックを介さずに,被告Xから直接仕入れて販売するようになった。そうすると,フェースコスメティックとしては被告Kからのマージンを受け取ることができなくなり,利益が大幅に減少することになることから,被告Xが「エステツイン」を被告Kに販売した分について被告Xから手数料を支払わせることとした。しかし,それでは,被告Kの被告Xからの仕入価格に上記手数料相当額を上乗せされることになって,被告Kとしてのメリットがないことになるので,被告Kは被告Xに仕入値の減額を求め,同被告がフェースコスメティックと協議した結果,平成17年4月,被告Xがフェースコスメティックに一定額を一括して支払って以後手数料を徴収しないことが合意された。 エそうしたところ,B1は,平成18年4月11日付けの書簡で,フェースグループを代表して,被告Kに対し,原告商品の掛け率を同年6月1日をもって従来の17.5%から2倍の35%に引き上げるとの通告をした。上記通告は,被告Kとの事前の協議なく一方的になされたものであった。被告Kは,フェースコスメティックの営業本部長に電話をして交渉を求めたが「同意しないと商品を出せない」と返答され,,交渉の余地がなかった。 - 27 -オところで,原告又はフェースコスメティックは,平成7年10月こ メティックの営業本部長に電話をして交渉を求めたが「同意しないと商品を出せない」と返答され,,交渉の余地がなかった。 - 27 -オところで,原告又はフェースコスメティックは,平成7年10月ころから「アトシステム」のブランドで,アトピー肌専用の化粧品として,ク,レンジング,ウォッシング,化粧水などのアイテムを製造し,販売していた。その容器の形態は原告商品とは異なったものであった。 カ原告を含むフェースグループは,上記商品の内容物に改良を加えるとともに,容器デザインを一新することとし,平成17年5月,取引先に対し,「アトシステムリニューアル新発売のお知らせ」と題する書面をもって,同月23日から「NEWアトシステム」シリーズを販売(出荷)する運びとなった旨をその品揃えとともに通知し,原告商品を販売するに至った。 その販売に当たっては,フェースコスメティックが「製造販売元」に,原告が「総発売元」になった。原告商品をエステティックサロン等に販売しているのは原告である。 キこれに先立ち,原告商品のデザインは,次の経緯で採用された。フェースグループの当時の企画部長であったC(以下「C1」という)は,容。 器メーカーの㈱ハタの担当者と原告商品の容器のデザインについて協議し,㈱ハタが従来有していた容器から適当なものを選択した上,その色彩,ロゴ,ワンポイント色をデザイン会社(ラッキーストライク)に依頼してデザインさせ,同デザイン会社から提出された約5種類のデザイン案の中から,原告商品の容器のデザインを絞り込んだ。C1は,デザイナーには,敏感肌用の商品であるので敏感肌をイメージするデザインを要望したが,それ以上の要望は出さなかった。具体的には,長円を逆三角形状に重ねるという図案は,肌の角質層をイメージしたものであるが,これは,そのような要望を であるので敏感肌をイメージするデザインを要望したが,それ以上の要望は出さなかった。具体的には,長円を逆三角形状に重ねるという図案は,肌の角質層をイメージしたものであるが,これは,そのような要望を原告が出し,デザイナーがこれを具体化したものである。 ク乙第1号証(株式会社ハタ化粧品容器ラインナップ」総合カタログ)「には,下記のとおり,原告商品で使用された容器の一部と同一の外形形態を有する容器(下記品番のもの)が掲載されているところ,乙第1号証は,- 28 -平成16年9月14日に作成されたカタログであり,同年10月5日から同月9日までの間に開催された東京国際包装展で顧客に配布されたものである。 ①HB01-150R原告商品2,6②HB01-200R原告商品1,3,4③HB01-300R原告商品7ないし9ケ原告(ないしフェースコスメティック,以下同じ)は,平成17年10月,原告商品の販売を開始し,被告Kもこれを仕入れてエステティックサロン等に販売していたところ,前記エのとおり,被告Kは,平成18年4月11日,原告から原告商品の掛け率を2倍に引き上げられ,その結果,原告からの原告商品の仕入価格が2倍にはね上がり,原告にその減額交渉を申し入れても受け入れてもらえなかったため,原告から原告商品を仕入れることが困難になり,それに伴いエステティックサロン等の得意先への敏感肌用の基礎化粧品の供給が困難になるという事態に立ち至った。そこで,被告Kは,原告商品に代わる商品を調達する必要に迫られ,同年夏ごろ,被告Xに対し,原告商品に代わる敏感肌用の基礎化粧品の製造販売を依頼し,新商品の名称を「アトプロデュース」とした。これとほぼ並行して,被告Kは,同年7月5日,指定商品を「第3類せっけん類,化粧品」とする「ATPRODUCEアトプロデュース 礎化粧品の製造販売を依頼し,新商品の名称を「アトプロデュース」とした。これとほぼ並行して,被告Kは,同年7月5日,指定商品を「第3類せっけん類,化粧品」とする「ATPRODUCEアトプロデュース」の商標登録を出願した(平成19年2月16日登録,登録番号第5025444号。 )コ被告Xは,かねて自社ブランドの敏感肌用の基礎化粧品「アトレージュ」とは別の自社ブランドを保有しておきたいとの希望を有していたところ,被告Kは,被告Xから,上記商品を自社商品として製造販売したいとの申し出を受けてこれを了承した。被告Xは,被告商品の容器のデザインを企画立案し,㈱ハタから容器の納入を受けた。 - 29 -サ被告XのF専務,E取締役等は,平成18年末ころ,原告を訪問し,B1に対し,被告Xが自社ブランドで敏感肌用の基礎化粧品を製造することについての了解を求めた。B1はこれを了承した。 シ被告らは,平成19年1月ないし3月ころ,被告商品の製造販売を開始した。 ス原告は,平成19年3月15日,得意先から原告商品によく似た商品を発売しているメーカーからダイレクトメールが届いたと教えられ(甲36,被告商品の存在を知り,同年4月5日付け内容証明郵便(同月9日)到達。甲22の1・2)で,被告Z(被告商品に製造販売元と記載されていた)に対し,被告商品は原告商品の形態を模倣した商品。 であり,その譲渡は不正競争防止法2条1項3号の不正競争に該当するから,その販売を直ちに中止するよう申し入れた。 セB1も,被告らが原告製品に類似する被告商品を競合する得意先に製造販売していることに激怒し,平成19年4月24日,被告XのG企画部長に電話をかけて抗議したところ,G企画部長は「自分も,被告商品は原告商品に類似しており,このような商品を流通させることには問題がある 売していることに激怒し,平成19年4月24日,被告XのG企画部長に電話をかけて抗議したところ,G企画部長は「自分も,被告商品は原告商品に類似しており,このような商品を流通させることには問題があると思ったが,会社(被告X)の意向であのような物ができてしまった「私一人の力ではどうしようもなかった」などと返答し,ひたすら。」。 謝罪した。また,B1は,G企画部長に被告XのF専務に連絡するよう言付けたところ,同日同専務から電話を受け「自分も被告商品が原告,商品に似ていることから,被告商品の製造には反対した「しかし,H。」社長(被告X代表者)から,Aさんのところ(被告K)は重要なお客だし,その意向に沿うべきだと言われ,それ以上反対できず,被告商品ができあがった」などと説明し,被告商品の製造中止を申し出た。 。 ソB1は,平成19年5月1日,㈱ハタの担当常務を呼び,事情を尋ねたところ,同常務から「容器の選定等について被告XのI部長と協議し- 30 -たハタの営業部員も,I部長に対して余りに似ているが良いのですかと尋ねたが,それで良いとの返答であり,渋々被告Xからの発注を受けた」と返答した。 。 タ被告Xは,上記スの内容証明郵便を受けた後,直ちに被告商品の製造を中止するとともに,平成20年2月(被告Xの決算期,被告商)品を全部廃棄した。 ( )以上のとおり認められる。これに対し,原告のC1は,㈱ハタと共同し て金型を新たに作成するが,新たに作られた金型は1年間は原告の専属の型として使用し,その後は㈱ハタの自由型として使用することを認める旨の合意がされた旨供述する。 しかし,上記供述に係る合意は,その存在を裏付ける証拠がない。また,前示クで認定したとおり,平成16年9月14日に作成され,同年10月5日から同月9日までの間に開催 る旨の合意がされた旨供述する。 しかし,上記供述に係る合意は,その存在を裏付ける証拠がない。また,前示クで認定したとおり,平成16年9月14日に作成され,同年10月5日から同月9日までの間に開催された東京国際包装展で顧客に配布されたカタログ(乙1)には,原告商品の容器のうち原告商品5を除く容器と同一の外形形態を有する容器が㈱ハタの商品として掲載されている。このことは,C1の上記供述と矛盾するものというべきである。したがって,C1の上記供述は採用できず,かえって,被告商品5を除く容器の形状自体(色彩等を除く)は,㈱ハタが独自にデザインし開発したものであると推認すること。 ができる。また,被告商品5の容器については,上記カタログ(乙1)に掲載されていないが,クリームを収納する容器の形態としては極めてありふれたものであり,既製のクリーム収納容器とほぼ同一の形態であって,原告が独自にデザインし,開発したものとは認められない。 また,B1は,被告XのF専務から「被告XのI部長も,A1に対して余りに似ているので製造を止めるように注意したが,A1が『もっと似せろ』と言うので,I部長も反対できず,あのような類似商品ができあがった」と,A1がわざと原告商品に似せた被告商品を作らせるように指示を- 31 -したと聞いた旨供述する。 しかし,仮にF専務が上記供述に係る趣旨の発言をしたとしても,F専務の発言に係るA1の発言内容はI部長からの伝聞に基づくものであり,その証拠評価には慎重な吟味が必要である。証人E(乙14)は,被告Xとしては,重要な取引先である原告からの抗議に対し「反論するのではなくまず謝る」という方針を貫くとの社内決定をし,そのようなスタンスで原告側と応対した旨証言しており,この証言は自然であり首肯することができる。 このような事情を考慮す らの抗議に対し「反論するのではなくまず謝る」という方針を貫くとの社内決定をし,そのようなスタンスで原告側と応対した旨証言しており,この証言は自然であり首肯することができる。 このような事情を考慮すれば,被告XのF専務が原告との取引関係を重視してB1に迎合し,自社の責任を軽減させようとするなどして上記発言をした疑いを払拭することができない。また,I部長も同様に,F専務に対し自己の責任を軽減させるために上記発言をした可能性も否定できない。したがって,B1が供述するF専務の発言内容(I部長が聞いたというA1の発言内容)が真実であると認定することは困難であるといわざるを得ない。その他,A1をはじめ,被告Kの関係者が被告商品の容器の形態の採用について上記に認定した以上の関与をしたと認めるに足りる証拠はない。 争点( )(請求権者)について 不正競争防止法2条1項3号は,他人の商品の形態を模倣した商品を販売することを不正競争行為とし,差止め及び損害賠償の対象としている。その趣旨は,他人が資本,労力を投下して開発し商品化した商品の形態を,他に選択し得る形態があるにもかかわらず,ことさらに上記商品の形態を模倣した商品を販売するなどの行為は,先行者の築いた成果にただ乗りするものであり,商品形態の開発のために何ら資本,労力を投下することなく先行者の市場においてこれを競合することを認めることになって,先行者を競争上不当に不利な地位に置くとともに,自己を競争上不当に有利な地位に置くものであって,これを放置することは,ひいては新商品の開発意欲を減殺することにもつながるからである。 - 32 -そして「商品の形態」とは「需要者が通常の用法に従った使用に際して知,覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩, ながるからである。 - 32 -そして「商品の形態」とは「需要者が通常の用法に従った使用に際して知,覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいう」のであり(不正競争防止法2条4項,これを原告商品についてみると,原告が原告商品の「商品形態」と主張)するもののうち,商品コンセプトやアイテムの名称(クレンジング,ウォッシング,マイルドローション,スキンモイスト,エモリエントゲル,コントロールミスト,ヘアシャンプー,ヘアコンディショナー,ボディシャンプーの合計9品目のアイテムの名称)は,上記にいう「商品の形態」とは別の属性であることが明らかであるし,内容物(化粧品の成分)は「需要者が通常の用法に,従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状」には当たらないから,いずれも商品形態を構成する要素に当たらないことが明らかである。したがって,原告商品の商品形態は,容器の形状・寸法,色彩,ワンポイント色,容器の素材の光沢及び質感を中心に観察し,素材や「アト」を含む商品名が使用されていること,容器に記載された文字列は,それが商品形態を構成する模様と認められる限度においてこれを参酌するのが相当である。 被告Kらは,原告商品の容器は既製品であると主張する。前示認定のとおり,原告商品の容器は,平成17年10月に販売を開始したものであるところ,これに先立ち,フェースグループの当時の企画部長であったC1が,容器メーカーの㈱ハタの担当者とそのデザインについて協議し,デザイン会社にデザインを注文して完成したものである。C1が㈱ハタの担当者と上記協議をし,デザイン会社にデザインを注文した確たる日時は,本件証拠上必ずしも明らかではないが,原告商品に使用された容器と同一 ン会社にデザインを注文して完成したものである。C1が㈱ハタの担当者と上記協議をし,デザイン会社にデザインを注文した確たる日時は,本件証拠上必ずしも明らかではないが,原告商品に使用された容器と同一の形態の容器が,平成16年9月14日に㈱ハタが作成し,同年10月5日から同月9日までの間に開催された東京国際包装展で顧客に配布されたカタログ(乙1)に掲載されていたものであって,原告商品の容器の形状自体は,原告商品のために新たに創作さ- 33 -れたものではなく,㈱ハタが従来から有していた金型を使用して作成されたものであり,デザイン会社には容器の色彩,光沢,質感,ワンポイントカラーなど容器の形状・寸法以外のデザインが依頼されたものである。 しかし,原告商品の容器の形状自体は,㈱ハタが従来から有していた金型を使用して作成されたものであるとしても,原告商品の商品形態は,容器の形状に尽きるものではなく,その形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感から構成されるものであって,原告商品の容器のこれらの形態要素が,C1において㈱ハタと協議の上,デザイン会社にデザインを依頼して作成されたものであることは,前示認定のとおりである。 そうすると,原告商品の商品形態は,全体として,原告が資本,労力を投下して開発し,商品化したものというべきであり,不正競争防止法2条1項3号にいう「他人の商品の形態」に当たるというべきである。 争点( )(商品形態模倣の有無)について ( )模倣の対象となる商品形態の意義 不正競争防止法2条1項3号にいう「模倣する」とは,他人の商品の形態に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいうところ(同法2条5項,前示2のとおり,同条1項3号にいう「商品の形態」と)は「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によ の形態に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいうところ(同法2条5項,前示2のとおり,同条1項3号にいう「商品の形態」と)は「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識すること,ができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいう」のであり(同法2条4項,原告が原告商品の「商品)形態」と主張するもののうち,商品コンセプトやアイテムの名称(クレンジング,ウォッシング,マイルドローション,スキンモイスト,エモリエントゲル,コントロールミスト,ヘアシャンプー,ヘアコンディショナー,ボディシャンプーの合計9種類の名称)及び内容物(化粧品の成分)は,いずれも商品形態を構成する要素に当たらないことが明らかである。したがって,,,(),原告商品の商品形態は容器の形状・寸法のほか模様ワンポイント色等- 34 -色彩,光沢及び質感を中心に観察し,素材や「アト」を含む商品名が使用されていること,容器に記載された文字列は,それが商品形態を構成する模様と認められる限度においてこれを参酌するのが相当である。 したがって,原告商品において「商品の形態」と認められるものは,容器の形状・寸法のほか,これと結合した容器の色彩・光沢・質感,模様としてのワンポイント色「アト」の文字及びその他の文字列というべきである。 ,このことを前提に,原告商品と被告商品の各商品形態の実質的同一性について検討する。 なお,前示「当事者間に争いのない事実等」のとおり,被告商品は,原告商品と同様の9品目のアイテムから成るところ,それぞれ対応する商品の容器は同一の金型から作成されたことから,その容器の形状・寸法は同一であることが明らかであるので,各原告商品ごとの容器の形状・寸法の認定は省略する。 ( ) ムから成るところ,それぞれ対応する商品の容器は同一の金型から作成されたことから,その容器の形状・寸法は同一であることが明らかであるので,各原告商品ごとの容器の形状・寸法の認定は省略する。 ( )原告商品の商品形態 証拠(甲3,5,証人C)及び弁論の全趣旨によれば,容器の形状・寸法以外の容器の色彩・光沢・質感,模様としてのワンポイント色「アト」の,文字及びその他の文字列の態様は,以下のとおりであると認められる。ただ,,(,「」しこれらの商品形態の要素は内容物を示す表示たとえばCLEANSING「」等)を除き,各品目にほぼ共通であるので,以下に一括してWASHING認定することとする。 ア色彩・光沢・質感ややトーンを落とした淡いピンク色が基調となっており,素材はプラスティックであり,表面はつや消し処理がされていて,光沢度が低い。 イ模様としてのワンポイント色「アト」の文字及びその他の文字列,(ア)容器正面上部に,赤色(ただし,原告商品7は比較的濃い青色,原告商品8は比較的薄い水色,原告商品9は紫色である)で塗りつぶし。 - 35 -た小さな長円を上から順次3個,2個,1個と3段に逆三角形状に配した,肌の角質層をイメージした図柄を上方に,その下方にゴシック体の比較的大きな英文小文字で「atsystem」と,その下方に比較的小さな文字で3段に上から順次文字列の長さが短くなるように「」「」「」Forprotectingyoursensitiveskinandpromotinganeffectofitsmoistureと表示されている(ただし,原告商品5には上記の小さな文字の表記はない。 。)(イ)容器正面下部に,上記長円を上下2段に配し,その間に比較的小さな文字で「「」 fitsmoistureと表示されている(ただし,原告商品5には上記の小さな文字の表記はない。 。)(イ)容器正面下部に,上記長円を上下2段に配し,その間に比較的小さな文字で「「」等内容物を表す表示がされていCLEANSINGWASHING」る(ただし,原告商品5には上下2段に配された長円の表示はない。 。)(ウ)容器背面に,たとえば原告商品1であれば「アトシステム「クレ」ンジング敏感肌用メイク落とし190mL製造販売元株」「〈〉」「」「」「式会社フェースコスメティック「大阪市」というように「商品名「ア」」イテムの種類「容量「製造販売元」の順序で表記され,使用上の注」」意がその下方に四角の枠内及び外側に記載されている。 ( )被告商品の商品形態 証拠(甲4,5)及び弁論の全趣旨によれば,容器の形状・寸法以外の容器の色彩・光沢・質感,模様としてのワンポイント色「アト」の文字及び,その他の文字列の態様は,以下のとおりであると認められる。 ア色彩・光沢・質感比較的濃いピンク色が基調となっており,素材はプラスティックであり,表面はつや消し処理がされておらず,光沢度が高い。 イ模様としてのワンポイント色「アト」の文字及びその他の文字列,(ア)容器正面上部に,比較的大きな英文大文字で「ATPRODUCE」(ただし「O」の字は円の中心点を通る上下の直線で貫かれている。 ,以下同じ)と,その下に比較的小さな英文で3段(被告商品5は2段)。 - 36 -,,「」で被告商品1ないし46はThemildfomulaofskincareforsensitiveskin「「」と,thathasalackofmoistureandabarrierfu はThemildfomulaofskincareforsensitiveskin「「」と,thathasalackofmoistureandabarrierfunctiondeteriorated」Themildfomulaofhairandbodycareforsensitive被告製品7ないし9は「」「「」と,被skinthathasalackofmoistureandabarrierfunctiondeteriorated」Themildfomulaofskincareforsensitiveskinthathasalack告製品5は「「」」とそれぞれ表記され,その下方ofmoistureandabarrierfunctiondeterioratedに,青色で塗りつぶされた小さなポイント状の円形が縦方向に3個に配されたもの(原告商品1ないし4,7,青色の小さなポイント状の円)形が1個配されたもの(原告商品5,赤色の小さなポイント状の円形)が縦方向に3個に配されたもの(原告商品8,白色の小さなポイント)状の円形が縦方向に3個に配されたもの(原告商品9,赤色のやや太)い十字模様とその外側の4つの角に沿ってやや細い線を配したもの(原告商品6)が表示されている。 (イ)容器正面下部に,比較的小さなゴシック英文字で「」cleansing「」等内容物を表す表示がされている。 washing(ウ)容器背面に,たとえば被告商品1であれば「アトプロデュース「ク」レンジング〈敏感肌用メイク落とし「190mL「製造販売元」」「〉」」「株式会社Z「東京都千代田区」というように「商品名」」「アイテムの とえば被告商品1であれば「アトプロデュース「ク」レンジング〈敏感肌用メイク落とし「190mL「製造販売元」」「〉」」「株式会社Z「東京都千代田区」というように「商品名」」「アイテムの種類「容量「製造販売元」の順序で表記され,使用上」」の注意がその下方に四角の枠内及び外側に記載されている。 ( )原告商品と被告商品との対比 以上に基づき,それぞれの原告商品とこれに対応する被告商品とを対比する。被告商品の容器の形状・寸法が原告商品と同一であることは,前示のとおりである。 ア原告商品1と被告商品1(ア)両者は以下の点で一致する。 - 37 -a容器の色彩がピンクを基調にしており,素材がプラスティックであることb容器正面上部に表示された商品名がいずれも「アト」と称呼される英文字を含むものであることc上記商品名の表示の下に英文による説明文があることd容器正面にワンポイント色が配されていることe容器正面下部に内容物(クレンジング)の表示がされていることf容器背面には「商品名「アイテムの種類「容量「製造販売元」」」」の順序で表記され,使用上の注意がその下方に四角の枠内及び外側に記載されていること(イ)他方,両者は以下の点で相違する。 a容器の基調をなす色彩が,原告商品1はややトーンを落とした淡いピンク色でつや消しされた光沢感が低いものであるのに対し,被告商品1は比較的濃いピンク色でつや消しがなく光沢感が高いものであることb容器正面に表示されたワンポイント色が,原告商品1は容器正面の最上方に赤色で塗りつぶした小さな長円を上から順次3個,2個,1個と3段に逆三角形状に配した肌の角質層をイメージした図柄であるのに対し,被告商品1は容器正面の最下部に青で塗りつぶされた小さなポイント状の円形が縦方 りつぶした小さな長円を上から順次3個,2個,1個と3段に逆三角形状に配した肌の角質層をイメージした図柄であるのに対し,被告商品1は容器正面の最下部に青で塗りつぶされた小さなポイント状の円形が縦方向に3個に配した図柄であることc容器正面に表示された商品名が,原告商品1はゴシック体の英文字で「atsystem」と表示されているのに対し,被告商品1はボールド体の英文大文字で「ATPRODUCE」と表示されていることd商品名下の英文の説明文の内容が,原告商品1は「あなたの敏感肌を守り,モイスチャー効果を促進するために」というものであるのに- 38 -対し,被告商品1は「水分が欠如し防御機能が悪化した敏感肌のためのスキンケア(ヘアケアとボディケア)のマイルドな処方箋」というものであることe容器正面下部の内容物の表示が,原告商品1はワンポイント色の長円を上下2段に配した間に大文字で「」と表示されていCLEANSINGるのに対し,被告商品1は小文字で「」と表示されているのcleansingみでワンポイント色に挾まれた態様になっていないこと(ウ)以上に基づき被告商品1の商品形態が原告商品1の商品形態と実質的に同一であるといえるか検討する。前示のとおり,被告商品1は,原告商品1と同じ金型から作成された同一の形状・寸法の容器を使用しているのに加え,容器の基調となる色彩はいずれもピンク色であり,商品,,,名英文の説明文ワンポイント色及び内容物の表示が配されている点また,商品名がいずれも「アト」と称呼される英文字を含む点において共通するものであり,一見すると原告商品1とよく似た印象を与えるものであることは否定できない。 しかし,容器の形状・寸法は,この種の化粧用品の容器の形状等として特異,斬新なものではなく,どちらかといえば するものであり,一見すると原告商品1とよく似た印象を与えるものであることは否定できない。 しかし,容器の形状・寸法は,この種の化粧用品の容器の形状等として特異,斬新なものではなく,どちらかといえばありふれたものというべきであるし,容器の基調をなす色彩がいずれもピンク色であるとはいえ,その色調及び光沢感に相当の相違がある。また,それぞれの商品のイメージとして特徴づけるワンポイント色も原告商品1では肌の角質層をイメージした赤色の長円を逆三角形状に配した図柄であるのに対し,被告商品1は青色の円を上下に並べただけの平凡なものであること,原告商品1のゴシック体の「atsystem」と被告商品1のボールド体の「ATPRODUCE」では,いずれも「アト」と称呼される英文字を含むとはいえ「アト」と称呼される文字自体は,敏感肌を示す,「アトピー」の前2文字をとったものにすぎず,他社からも「アト」と- 39 -いう名を冠した同種商品が発売されている(例えば,株式会社ナリス化粧品の販売する「アトデリエ〔乙5,グリーン漢方製薬株式会社の」〕販売する「アトキュア〔乙6〕等〔乙7ないし11。また,原告商」〕)品1のゴシック体の「atsystem」と被告商品1のボールド体の「ATPRODUCE」を模様としてみた場合の印象が相当に異なること,その他,商品名下の説明文の表記方法及び内容,容器正面下部の内容物の表示方法にも軽視できない相違があることが認められる。これらの相違点は,被告商品1の形態の原告商品1の形態との実質的同一性の判断に影響を及ぼさない程度の軽微な相違ということはできず,容器の形状・寸法その他の共通点を考慮しても,被告商品1の形態が原告商品1の形態と実質的に同一であるということはできない。 (エ)なお,容器背面に「商品名「アイテムの種 微な相違ということはできず,容器の形状・寸法その他の共通点を考慮しても,被告商品1の形態が原告商品1の形態と実質的に同一であるということはできない。 (エ)なお,容器背面に「商品名「アイテムの種類「容量「製造販売」」」元」の順序で表記され,使用上の注意がその下方に四角の枠内及び外側に記載されているという形式について,被告商品1は原告商品1と共通するところがあるが,その表記方法及び内容には相当な相違がある上,このような表記はこの種の商品に表記される一般的でありふれたものにすぎず,また,これを「商品の形態」の構成要素となる「模様」と認めることも困難である。したがって,上記共通点をもって,被告商品1の形態の原告商品1の形態との実質的同一性を肯定する1資料とすることはできない。このことは,原告商品2~9と被告商品2~9を対比する場合も同様である。 イ原告商品2と被告商品2(ア)両者の一致点は,容器正面下部に内容物(ウォッシング)の表示がされていることを除き,上記ア(ア)と同様である。 (イ)両者の相違点は,容器正面下部の内容物の表示が,原告商品1はワンポイント色の長円を上下2段に配した間に大文字で「」とWASHING- 40 -表示されているのに対し,被告商品1は小文字で「」と表示さwashingれているのみでワンポイント色に挾まれた態様になっていないことを除き,上記ア(イ)と同様である。 (ウ)原告商品2と被告商品2の各商品形態は,内容物の表示を除き,原告商品1と被告商品1の各商品形態と同一である。したがって,上記ア(ウ),(エ)で説示したのと同一の理由により,被告商品2の商品形態は,原告商品2の商品形態と実質的に同一であるということはできない。 ウ原告商品3と被告商品3(ア)両者の一致点は,容器正面下部に内容物(マ (エ)で説示したのと同一の理由により,被告商品2の商品形態は,原告商品2の商品形態と実質的に同一であるということはできない。 ウ原告商品3と被告商品3(ア)両者の一致点は,容器正面下部に内容物(マイルドローション)の表示がされていることを除き,上記ア(ア)と同様である。 (イ)両者の相違点は,容器正面下部の内容物の表示が,原告商品1はワンポイント色の長円を上下2段に配した間に大文字で「」MILDLOTIONと表示されているのに対し,被告商品1は小文字で「」と表mildlotion示されているのみでワンポイント色に挾まれた態様になっていないことを除き,上記ア(イ)と同様である。 (ウ)原告商品3と被告商品3の各商品形態は,内容物の表示を除き,原告商品1と被告商品1の各商品形態と同一である。したがって,上記ア(ウ),(エ)で説示したのと同一の理由により,被告商品3の商品形態は,原告商品3の商品形態と実質的に同一であるということはできない。 エ原告商品4と被告商品4(ア)両者の一致点は,容器正面下部に内容物(スキンモイスト)の表示がされていることを除き,上記ア(ア)と同様である。 (イ)両者の相違点は,容器正面下部の内容物の表示が,原告商品1はワンポイント色の長円を上下2段に配した間に大文字で「」SKINMOISTと表示されているのに対し,被告商品1は小文字で「」と表skinmoist示されているのみでワンポイント色に挾まれた態様になっていないこと- 41 -を除き,上記ア(イ)と同様である。 (ウ)原告商品4と被告商品4の各商品形態は,内容物の表示を除き,原告商品1と被告商品1の各商品形態と同一である。したがって,上記ア(ウ),(エ)で説示したのと同一の理由により,被告商品4の商品形態は,原告商品4の商品 商品4の各商品形態は,内容物の表示を除き,原告商品1と被告商品1の各商品形態と同一である。したがって,上記ア(ウ),(エ)で説示したのと同一の理由により,被告商品4の商品形態は,原告商品4の商品形態と実質的に同一であるということはできない。 オ原告商品5と被告商品5(ア)両者は以下の点で一致する。 a容器の色彩がピンクを基調にしており,素材がプラスティックであることb容器正面上部に表示された商品名がいずれも「アト」と称呼される英文字を含むものであることd容器正面にワンポイント色が配されていることe容器正面下部に内容物(エモリエントゲル)の表示がされていることf容器背面には「商品名「アイテムの種類「容量「製造販売元」」」」の順序で表記され,使用上の注意がその下方に四角の枠内及び外側に記載されていること(イ)他方,両者は以下の点で相違する。 a容器の基調をなす色彩が,原告商品5はややトーンを落とした淡いピンク色でつや消しされた光沢感が低いものであるのに対し,被告商品5は比較的濃いピンク色でつや消しがなく光沢感が高いものであることb容器正面に表示された商品名が,原告商品1はゴシック体の英文字で「atsystem」と表示されているのに対し,被告商品1はボールド体の英文大文字で「ATPRODUCE」と表示されていること- 42 -c被告商品5には上記商品名の表示の下に英文による説明文があるのに対し,原告商品5にはそのような表示がないことd容器正面に表示されたワンポイント色が,原告商品5は容器正面の上方に赤色で塗りつぶした小さな長円を上から順次3個,2個,1個と3段に逆三角形状に配した肌の角質層をイメージした図柄であるのに対し,被告商品1は容器正面の商品名及び英文の説明文の下に青で塗りつぶされた小さなポイ つぶした小さな長円を上から順次3個,2個,1個と3段に逆三角形状に配した肌の角質層をイメージした図柄であるのに対し,被告商品1は容器正面の商品名及び英文の説明文の下に青で塗りつぶされた小さなポイント状の円形1個を配した図柄であることe容器正面下部の内容物の表示が,原告商品5はワンポイント色の長円を上下2段に配した間に大文字で「」と表示されEMOLLIENTGELているのに対し,被告商品5は小文字で「」と表示されemollientgelていること(ウ)以上に基づき被告商品5の商品形態が原告商品5の商品形態と実質的に同一であるといえるか検討するに,前示のとおり,被告商品5は,原告商品5と同じ金型から作成された同一の形状・寸法の容器を使用しているのに加え,容器の基調となる色彩はいずれもピンク色であり,商品名,ワンポイント色及び内容物の表示が配されている点,また,商品名がいずれも「アト」と称呼される英文字を含む点において共通するものであり,一見すると原告商品5といくぶん似た印象を与えるものであることは否定できない。 しかし,容器の形状・寸法は,この種の化粧用品の容器の形態として極めてありふれたものというべきであるし,容器の基調をなす色彩がいずれもピンク色であるとはいえ,その色調及び光沢感に相当の相違がある。また,それぞれの商品のイメージとして特徴づけるワンポイント色も原告商品1では肌の角質層をイメージした赤色の長円を逆三角形状に配した図柄であるのに対し,被告商品1は青色の円を1個配しただけの単純,平凡なものであること,原告商品5のゴシック体の「atsy- 43 -stem」と被告商品1のボールド体の「ATPRODUCE」では,いずれも「アト」と称呼される英文字を含むとはいえ,これを模様としてみた場合の印象は相当に異な のゴシック体の「atsy- 43 -stem」と被告商品1のボールド体の「ATPRODUCE」では,いずれも「アト」と称呼される英文字を含むとはいえ,これを模様としてみた場合の印象は相当に異なる上,商品名の表示箇所が異なること,その他,容器正面下部の内容物の表示方法にも軽視できない相違があることが認められる。これらの相違点は,被告商品5の形態の原告商品5の形態との実質的同一性の判断に影響を及ぼさない程度の軽微な相違ということはできず,容器の形状・寸法その他の共通点を考慮しても,被告商品5の形態が原告商品5の形態と実質的に同一であるということはできない。 カ原告商品6と被告商品6(ア)両者の一致点は,容器正面下部に内容物(コントロールミスト)の表示がされていることを除き,上記ア(ア)と同様である。 (イ)両者の相違点は,容器正面に表示されたワンポイント色が,原告商品6は容器正面の最上方に赤色で塗りつぶした小さな長円を上から順次3個,2個,1個と3段に逆三角形状に配した肌の角質層をイメージした図柄であるのに対し,被告商品1は赤色のやや太い十字模様とその外,側の4つの角に沿ってやや細い線を配したものであること容器正面下部の内容物の表示が,原告商品1はワンポイント色の長円を上下2段に配した間に大文字で「」と表示されているのに対し,CONTROLMIST被告商品1は小文字で「」と表示されているのみでワンポイcontrolmistント色に挾まれた態様になっていないことを除き,上記ア(イ)と同様である。 (ウ)原告商品6と被告商品6の各商品形態は,ワンポイント色の態様及び内容物の表示を除き,原告商品1と被告商品1の各商品形態と同一である。被告商品6のワンポイント色は,原告商品6のワンポイント色とは著しく異なるものである。 6の各商品形態は,ワンポイント色の態様及び内容物の表示を除き,原告商品1と被告商品1の各商品形態と同一である。被告商品6のワンポイント色は,原告商品6のワンポイント色とは著しく異なるものである。したがって,上記ア(ウ),(エ)で説示した- 44 -のと同一の理由により,被告商品2の商品形態は,原告商品2の商品形態と実質的に同一であるということはできない。 キ原告商品7と被告商品7(ア)両者の一致点は,原告商品7のワンポイント色の色彩が比較的濃い青色であること,容器正面下部に内容物(ヘアシャンプー)の表示がされていることを除き,上記ア(ア)と同様である。 (イ)両者の相違点は,容器正面下部の内容物の表示が,原告商品1はワンポイント色の長円を上下2段に配した間に大文字で「」とHAIRSHAMPOO表示されているのに対し,被告商品1は小文字で「」と表示hairshampooされているのみでワンポイント色に挾まれた態様になっていないことを除き,上記ア(イ)と同様である(ただし,前記( )イ(ア)のとおり,英文の 説明文の内容及び構成が原告商品1とはやや異なるが,この点は商品形態の実質的同一性の判断に特段の影響を及ぼさないものと考えられる。原告商品8,9についても同様である。 。)(ウ)原告商品7と被告商品7の各商品形態は,ワンポイント色の色彩,内容物の表示及び英文の説明文の内容・構成を除き,原告商品1と被告商品1の各商品形態と同一である。したがって,上記ア(ウ),(エ)で説示したのと同一の理由により,被告商品7の商品形態は,原告商品7の商品形態と実質的に同一であるということはできない。ワンポイント色の色彩において両者は一致するが,その態様において相当に異なり,この一致点をもって両者の形態が実質的に同一であるということ 告商品7の商品形態と実質的に同一であるということはできない。ワンポイント色の色彩において両者は一致するが,その態様において相当に異なり,この一致点をもって両者の形態が実質的に同一であるということはできない。 ク原告商品8と被告商品8(ア)両者の一致点は,容器正面下部に内容物(ヘアコンディショナー)の表示がされていることを除き,上記ア(ア)と同様である。 (イ)両者の相違点は,原告商品8のワンポイント色の色彩が比較的薄い- 45 -青色であるのに対し,被告商品8のワンポイント色の色彩が赤色であること,容器正面下部の内容物の表示が,原告商品8はワンポイント色の長円を上下2段に配した間に大文字で「」と表示HAIRCONDITIONERされているのに対し,被告商品1は小文字で「」と表示hairconditionerされているのみでワンポイント色に挾まれた態様になっていないことを除き,上記ア(イ)と同様である。 (ウ)原告商品8と被告商品8の各商品形態は,ワンポイント色の色彩,内容物の表示及び英文の説明文の内容・構成を除き,原告商品1と被告商品1の各商品形態と同一である。したがって,上記ア(ウ),(エ)で説示したのと同一の理由により,被告商品8の商品形態は,原告商品8の商品形態と実質的に同一であるということはできない。 ケ原告商品9と被告商品9(ア)両者の一致点は,容器正面下部に内容物(ボ),。 ディシャンプーの表示がされていることを除き上記ア(ア)と同様である(イ)両者の相違点は,原告商品9のワンポイント色の色彩が紫色であるのに対し,被告商品9のワンポイント色の色彩が白色であること,容器正面下部の内容物の表示が,原告商品8はワンポイント色の長円を上下2段に配した間に大文字で「」と表示されているのにBODYS るのに対し,被告商品9のワンポイント色の色彩が白色であること,容器正面下部の内容物の表示が,原告商品8はワンポイント色の長円を上下2段に配した間に大文字で「」と表示されているのにBODYSHAMPOO対し,被告商品9は小文字で「」と表示されているのみでbodyshampooワンポイント色に挾まれた態様になっていないことを除き,上記ア(イ)と同様である。 (ウ)原告商品9と被告商品9の各商品形態は,ワンポイント色の色彩,内容物の表示及び英文の説明文の内容・構成を除き,原告商品1と被告商品1の各商品形態と同一である。したがって,上記ア(ウ),(エ)で説示したのと同一の理由により,被告商品9の商品形態は,原告商品9の商品形態と実質的に同一であるということはできない。 - 46 -コ小括以上の次第で,被告商品の形態は,いずれも原告商品の形態と実質的に同一であるということはできない。したがって,その余の点(被告らが原告商品の形態に依拠したか否か)について判断するまでもなく,被告商品を製造販売した被告らの行為が不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に当たるということはできない。 なお,被告らは,被告商品と原告商品を包装する外箱の外観を対比し,その相違を根拠に両者の実質的同一性の欠如を主張する。しかし,原告がその商品形態を模倣したと主張しているのは容器本体のみであって,外箱を含んでいないから,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為の存否の判断に当たり,外箱の形態の相違は考慮に入れない。 争点( )(不法行為の成否)について ( )上記3のとおり,被告商品の形態は,いずれも原告商品の形態と実質的 に同一であるということはできず,原告商品の形態を模倣したものということはできない。しかし,原告は,被告らが被告商品を販売 ( )上記3のとおり,被告商品の形態は,いずれも原告商品の形態と実質的 に同一であるということはできず,原告商品の形態を模倣したものということはできない。しかし,原告は,被告らが被告商品を販売する行為は,不正競争行為には当たらないとしても,民法709条の不法行為を構成する旨主張する。 すなわち,原告は,化粧品の容器・商品ラインアップ(容器と内容物との組合せ)について,創造的なデザインや模様等を施し,その創作的要素によって商品としての価値を高め,この物品を製造販売することによって営業活動を行っていたのであり,これに対して,被告らは,相共同して,具体的には,被告Kらが主導し,被告Xらがその指示に従うことによって,当該商品と酷似するデザインを施し,オリジナル商品と競合する流通過程に,,置くことによりその営業活動を妨害したものであって被告らの上記行為は公正かつ自由な競争原理によって成り立つ取引社会において,著しく不公正な手段を用いて法的保護に値する他人の営業活動上の利益を侵害したものと- 47 -して,不法行為を構成する,と(東京高裁平成3年12月17日判決〔木目化粧紙原画事件〕参照。なるほど,被告商品は,原告商品と同じ金型を使)用したものであり,容器の形状・寸法は同一である。また,各商品の9品目のアイテムのラインアップ及び9品目のアイテムに付された名称も同一であること等からすると,被告商品の形態が原告商品の形態に依拠したものであることは優に推認することができる。 ( )しかし,被告らが被告商品を販売するに至った経緯は,前示認定のとお りである。すなわち,被告KのA1は,原告のB1らとともに,フェースコスメティックを設立したものであり,被告K(当時は「K’’)はその販社と位置づけられ,フェースコスメティックが被告X」( りである。すなわち,被告KのA1は,原告のB1らとともに,フェースコスメティックを設立したものであり,被告K(当時は「K’’)はその販社と位置づけられ,フェースコスメティックが被告X」(当時は「X)に委託して製造させた化粧品等を被告Kその他の販社に’」販売し,販社を通じてエステティックサロン等に販売させていたものである。そして,フェースコスメティックの各販社への掛け率はもともとメーカー希望小売価格の20%であったが,被告K及びB1の経営する販社(ザ・ワールド)への掛け率は17.5%に引き下げられ(売上高の低い他の販社は35%に引き上げられた,その後そのような。)状態がしばらく継続していたところ,その後被告Kがフェースコスメティックから仕入れる商品の販売を漸減させ,自社のオリジナル商品(エステツイン)を被告Xに製造させてフェースコスメティックを通さずに販売する量を増やしていったことから,フェースコスメティックの得る利益が減少することになり,このことをめぐってB1との間で対立が生じるようになった。B1は,フェースコスメティックの利益を確保するため,被告Xに対し同被告が「エステツイン」を被告Kに販売した分について手数料を支払わせることとしたが,被告Xに手数料相当額を仕入価格に上乗せされることになった被告Kが反発し,被告Xに仕入価格の減額を求め,被告Xとフェースコスメティックとの間で協議し,平成17- 48 -年4月,被告Xがフェースコスメティックに一定額を支払い,以後手数料を徴収しないことが合意された。ところが,B1は,上記合意の約1年後の平成18年4月,被告Kに対し,同被告と事前の協議をすることなく,同年6月1日以降,原告商品の掛け率を17.5%から35%に倍増させる旨の通告をし,減額の交渉をまったく受け入れない姿 意の約1年後の平成18年4月,被告Kに対し,同被告と事前の協議をすることなく,同年6月1日以降,原告商品の掛け率を17.5%から35%に倍増させる旨の通告をし,減額の交渉をまったく受け入れない姿勢に終始した。そこで,被告Kとしては,原告ないしフェースコスメティックから原告商品を仕入れることが困難になり,これによりエステティックサロン等への敏感肌用基礎化粧品の供給が困難になったことから,原告商品に代わる敏感肌用基礎化粧品の調達の必要に迫られた。他方,被告Xも,かねて自社ブランドの敏感肌用基礎化粧品「アトレージュ」とは別の自社ブランドを保有しておきたいとの希望を有していたところ,被告Kの了解を得て,原告商品の代替商品に被告Kの保有する登録商標「アトプロデュース」を付して,被告Xのオリジナル商品として販売することとし,自社商品の販売についてB1の了承を得た上で(ただし,その販売先,商品形態について説明をしていない,前示のような商品形態の被告商品を販売するに。)至った。 ( )このように,被告商品は,被告KがB1から一方的に原告商品の 掛け率をこれまでの倍額にするとの通告を受け,原告からの減額交渉を受け入れない姿勢を示されたため,原告から原告商品の仕入れを受けることが困難になったことから,基本的にはエステティックサロン等への供給責任を果たすために製造販売するに至ったという側面があることは否定できず,被告らがかかる目的の下にこの種の敏感肌用基礎化粧品を製造販売すること自体は,独立した企業の判断及び行為として何ら問題はない(B1も,被告Xが敏感肌用基礎化粧品を自社ブランド商品として販売することについては了承していた。問題は,被告商品が原告商品と同じ形状・寸法の同じよ。)うな色調(ピンク)の容器を使用し,商品ラインアップやアイテム 感肌用基礎化粧品を自社ブランド商品として販売することについては了承していた。問題は,被告商品が原告商品と同じ形状・寸法の同じよ。)うな色調(ピンク)の容器を使用し,商品ラインアップやアイテムの名称も- 49 -同じであることや,その供給先が原告商品と競合するなど,その販売により原告が営業上の利益を侵害されるおそれがあるということであり,被告らの主観的意図や行為態様をも勘案して,被告商品の製造販売が商取引における自由で公正な競争の範囲を著しく逸脱し,法秩序全体の見地から原告に対する不法行為を構成するといえるかどうかである。 ( )そこで検討するに,まず,被告商品が原告商品と同じ敏感肌用基礎化粧 品であり,商品ラインアップも,各アイテムの名称及び内容物が原告商品と同じであるか,類似するものであるということは,もともと被告商品が原告商品の代替商品として,被告Kの販売先であるエステティックサロン等への供給責任を果たすという目的に照らし,やむを得ないところがある(商品ラインアップ及び各アイテムの名称が原告商品と異なるときは,販売先であるエステティックサロン等を混乱させることになりかねない。また,仮に上記商品ラインアップ等が原告の考案に係るものであったとしても,その使用を原告に独占させるべき法律上の根拠はない。もとより,内容物の組。)成自体について原告が特許権等の独占権を有するとの主張立証はないから,原告商品の代替商品としての被告商品が原告商品と内容物において同様の組成を有することも当然であるといえる。したがって,被告商品がこれらの点で原告商品を模倣したものであるとしても,これをもって,直ちに被告商品の販売が原告に対する商取引における公正な自由競争の範囲を著しく逸脱するものということはできない。次に,被告商品の容器の形状・寸法は 原告商品を模倣したものであるとしても,これをもって,直ちに被告商品の販売が原告に対する商取引における公正な自由競争の範囲を著しく逸脱するものということはできない。次に,被告商品の容器の形状・寸法は原告商品のそれと同一である。しかし,原告商品の容器の金型は,原告商品を開発する際に新たに作成されたものではなく,㈱ハタが有していた有型の中から原告の担当者が選択したものにすぎず,かつ,その形状・寸法自体はさほど特徴のある形態のものではなく,どちらかといえばありふれたものにすぎない。さらに,被告商品の容器の色彩は,原告商品の容器のそれと同様,広い意味でピンク色であるが,前示認定のような色調上の相違があるし,敏感肌- 50 -用基礎化粧品の容器としては柔らかな暖色系が好まれることから,この種の商品の容器に使用される色彩としてピンク色はありふれたものというべきである。その他,光沢,質感,ワンポイント色,商品名の点で相違するものであり,実質的に同一といえるほど酷似したものということもできない。 ( )確かに,被告商品は,原告商品の容器とその形状・寸法において共通し, 色彩の点で類似するところがあるから,一見して類似するという印象を受けることは否定できない。被告らとしては,被告商品の容器の形態として原告商品とより相違した形態を採用することも可能であったとはいえる。しかし,原告商品と被告商品とが上記相違点を有していることから,その形態が実質的に同一であるとは認められず,また,前示のとおり,被告商品のデザインに当たり,A1が「もっと似せろ」などと発言したとまでは認定できず,他にA1をはじめ被告らの関係者が,故意に被告商品の形態を原告商品の形態に似せようとしたとまでは認められない。また,被告Xは,原告から被告商品の販売について抗議を受けるや直ちにその では認定できず,他にA1をはじめ被告らの関係者が,故意に被告商品の形態を原告商品の形態に似せようとしたとまでは認められない。また,被告Xは,原告から被告商品の販売について抗議を受けるや直ちにその販売を中止し在庫品を廃棄しているのであり,被告商品が実際にエステティックサロン等に販売された数量は比較的少量にとどまること(原告は,被告Xはアイテムごとに各3000ロットを被告Kに販売し,同被告は,そのうち少なくとも各アイテムごとに各2000ロットを販売した旨主張するが,これを裏付ける確たる証拠はなく,かえって,丙2ないし4及び弁論の全趣旨によれば,被告Xが被告Kに販売した被告商品の数量は被告Xの自認する96個にとどまり,被告Kの販売数量も上記数量を限度とするものと認められる)等を考慮すると,被告商品の販売が原告に与えた営業上の利。 益の侵害の程度も軽微なものであったといえる。以上の被告らの主観的意図や客観的な行為態様等を総合すれば,被告商品を製造販売した被告らの行為は,いまだ商取引における公正な自由競争の範囲を著しく逸脱するものであったということはできず,原告に対する不法行為を構成するものというに十- 51 -分なものとはいえないというべきである。 ( )原告は,東京高裁平成3年12月17日判決〔木目化粧紙原画事件〕を 引用して,本件における被告商品の販売は原告に対する不法行為を構成する旨主張する。しかし,上記事件は,木目化粧紙の模様を完全に模倣して木目化粧紙を製造し,元の木目化粧紙の販売地域と競合する地域でこれを廉価で販売する行為について,取引における公正かつ自由な競争として許されている範囲を甚だしく逸脱し,元の木目化粧紙の販売者の法的保護に値する営業活動上の利益を侵害するものとして,不法行為を構成するとした事例であるところ,本 ,取引における公正かつ自由な競争として許されている範囲を甚だしく逸脱し,元の木目化粧紙の販売者の法的保護に値する営業活動上の利益を侵害するものとして,不法行為を構成するとした事例であるところ,本件とは商品の模倣の程度,販売態様が異なり,本件に適切な事案ということはできない。 第5以上によれば,原告らの被告らに対する本件請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部裁判長裁判官田中俊次裁判官北岡裕章裁判官西理香は,転官のため署名押印することができない。 裁判長裁判官田中俊次- 52 -- 53 -

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