令和元年9月20日判決言渡平成30年(ネ)第10049号損害賠償等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成26年(ワ)第29490号)口頭弁論終結日令和元年7月18日判決 控訴人ピュロライト・エージー 訴訟代理人弁護士佐賀義史同池田裕彦同茂木龍平同近藤直生同金丸絢子同後岡伸哉同千葉尚路同五十嵐敦同伊勢智子同高橋美早同角藤大樹補佐人弁理士内藤和彦同秋山祐子同斉藤直彦 被控訴人日立GEニュークリア・エナジー株式会社 訴訟代理人弁護士有富丈之同末吉亙同清水真同高橋元弘同辻川昌徳主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴人の当審 清水真同高橋元弘同辻川昌徳主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴人の当審における追加請求を棄却する。 3 当審における訴訟費用は控訴人の負担とする。 4 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨1(1) 原判決主文第1項を次のとおり変更する。 (2) 選択的請求ア被控訴人は,控訴人に対し,7億7744万2892米国ドル及びこれに対する平成24年3月4日から支払済みまで年7分の割合による金員を支払え。 イ被控訴人は,控訴人に対し,7億7744万2892米国ドル及びこれに対する平成23年11月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 当審における追加請求(前項(2)イと選択的請求)被控訴人は,控訴人に対し,7億7744万2892米国ドル及びこれに対する平成23年11月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要(略称は,特に断りのない限り,原判決に従う。) 本件は,控訴人が,控訴人との間で東京電力福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)における放射性物質汚染水浄化事業に関するパートナーシップ契約を締結した被控訴人が,控訴人の関与なく,「高性能多核種除去設備」に係る事業を受注し,同設備の設計等を行ったことが上記パートナーシップ契約の排他的義務条項に違反する債務不履行に当たり,控訴人から開示された控訴人の営業秘密である技術情報を控訴人に無断で上記設計等に使用し,第三者に開示したことが営業秘密の不正使用及び不正開示の不正競争(不正競争防止法2条1項7号)に該当するなどと 控訴人から開示された控訴人の営業秘密である技術情報を控訴人に無断で上記設計等に使用し,第三者に開示したことが営業秘密の不正使用及び不正開示の不正競争(不正競争防止法2条1項7号)に該当するなどと主張して,被控訴人に対し,①パートナーシップ契約の債務不履行に基づく損害賠償として7億7744万2892米国ドル及びこれに対する平成25年12月10日から支払済みまで年7分の割合による約定遅延損害金の支払を,②同法3条1項に基づき,福島第一原発における放射能汚染水の浄化(放射性物質の除去)作業の従事等の差止め並びに同法4条に基づく損害賠償として1218億4577万1613円及びこれに対する同年10月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原判決は,控訴人主張の被控訴人によるパートナーシップ契約の債務不履行及び不正競争はいずれも認められないとして,控訴人の請求をいずれも棄却した。 控訴人は,原判決について,パートナーシップ契約の債務不履行に基づく損害賠償請求を棄却した部分,不正競争防止法に基づく差止請求を棄却した部分及び同法に基づく損害賠償請求のうち,7億7744万2892米国ドル及びこれに対する遅延損害金の支払請求を棄却した部分を不服として,本件控訴を提起した。 控訴人は,当審において,同法に基づく差止請求に係る部分の訴えを取り下げた上,上記各損害賠償請求を選択的請求とし,それぞれの遅延損害金の支払請求の起算日を「平成24年3月4日」及び「平成23年11月2日」に遡ら せるとともに,同法に基づく損害賠償請求の選択的請求として,一般不法行為に基づく損害賠償請求を追加した。 1 前提となる事実次のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第2の1記載のとおりであるから,これ 基づく損害賠償請求の選択的請求として,一般不法行為に基づく損害賠償請求を追加した。 1 前提となる事実次のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第2の1記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決3頁17行目の「ピュロライト株式会社」から18行目の「グループ会社である。」までを次のとおり改める。 「ピュロライト株式会社(以下「日本ピュロライト」という。)は,ピュロライト社グループに属している。」(2) 原判決7頁14行目の「処理水の環境への放出」を「処理水の海洋への放出」と改める。 (3) 原判決7頁25行目から26行目にかけての「本件秘密保持契約では,」から8頁3行目の「定められた。」までを次のとおり改める。 「本件秘密保持契約では,控訴人及び被控訴人について,相手方に明示的に秘密の情報である旨を記載して開示した秘密情報を受領した当事者は,開示を受けてから10年間,開示当事者の承諾がない限り当該秘密情報を開示してはならないことなどが定められた。」(4) 原判決8頁15行目から16行目にかけての「丸紅ユーティリティ・サービス株式会社」の次に「(以下「丸紅」という。)」を加える。 (5) 原判決8頁24行目の「(別紙Aで定義される)」を「(別紙A(原文・ExhibitA)で定義される)」と改める。 (6) 原判決10頁8行目と9行目の各「別紙A~J」をいずれも「別紙A~J(原文・ExhibitA~J)」と改める。 (7) 原判決11頁16行目の「被告は,」から17行目の「提出した。」までを次のとおり改める。 「被控訴人は,平成24年1月31日ころ,東京電力に対して平成23年 多核種除去設備の提案書等を提出した(甲132の1,132の2)。」(8) 原判決14頁2行目の「採用 り改める。 「被控訴人は,平成24年1月31日ころ,東京電力に対して平成23年 多核種除去設備の提案書等を提出した(甲132の1,132の2)。」(8) 原判決14頁2行目の「採用することとした」の次に「(甲15)」を加える。 2 争点(1) 被控訴人による平成25年実証事業の受注等についての本件パートナーシップ契約の本件排他的義務条項違反の有無(2) 被控訴人による高性能ALPSの設計等についての不正競争防止法2条1項7号の不正競争の成否ア控訴人が営業秘密であると主張する情報(以下「原告情報」という。)の営業秘密該当性イ控訴人から被控訴人への原告情報の開示の有無ウ被控訴人による控訴人の営業秘密の使用の有無(3) アバンテック社からの情報の受領についての本件排他的義務条項違反の有無ア本件排他的義務条項により禁止される行為の範囲及び被控訴人による本件排他的義務条項違反の有無イ停止条件の不成就の確定の有無(4) アバンテック社に対する控訴人の営業秘密の不正開示の有無(不正競争防止法2条1項7号の不正競争の成否)ア被控訴人によるアバンテック社への情報の開示の有無イ被控訴人がアバンテック社に開示した情報の営業秘密該当性ウ被控訴人によるアバンテック社への情報開示についての図利加害目的の有無(5) アバンテック社に対する情報の開示による本件パートナーシップ契約違反及び本件秘密保持契約違反の有無ア本件パートナーシップ契約違反の有無 イ本件秘密保持契約違反の有無(6) 一般不法行為の成否(当審における追加請求関係)(7) 控訴人の損害額第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(被 の有無 イ本件秘密保持契約違反の有無(6) 一般不法行為の成否(当審における追加請求関係)(7) 控訴人の損害額第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(被控訴人による平成25年実証事業の受注等についての本件パートナーシップ契約の本件排他的義務条項違反の有無)について(控訴人の主張)次のとおり訂正するほか,原判決15頁12行目から28頁19行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決15頁15行目の「本件パートナーシップ契約」を「本件パートナーシップ契約書」と改める。 (2) 原判決16頁18行目から17頁8行目までを削る。 (3) 原判決17頁9行目の「以下のとおり,」を「イ以下のとおり,」と,同行目の「「本プロジェクト」」を「「本プロジェクト」の範囲」と改める。 (4) 原判決19頁5行目の「平成23年11月18日に作成した契約書案」の次に「(甲32,32の2)」を,同頁9行目の「契約書案の修正案」の次に「(乙11の1,2)」を加える。 (5) 原判決21頁18行目から19行目にかけての「「イオン交換物質の売買に関する基本契約書」の案」の次に「(甲32,32の2)」を,同頁23行目の「同契約書案の修正案」の次に「(乙11の1,2)」を加える。 (6) 原判決22頁14行目の「契約書案」の次に「(甲150の1~3の2)」を,同頁18行目の「修正案」の次に「(甲151の1~3の2)」を加え,同頁23行目から24行目にかけての「本件パートナーシップ契約」を「本件パートナーシップ契約書(甲4の1)」と改める。 (7) 原判決26頁4行目の「本件契約」を「本件パートナーシップ契約」と改める。 (8) 原判決28頁19行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 ーシップ契約書(甲4の1)」と改める。 (7) 原判決26頁4行目の「本件契約」を「本件パートナーシップ契約」と改める。 (8) 原判決28頁19行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「ウ当審における控訴人の主張原判決は,本件パートナーシップ契約の本件定義条項所定の「本プロジェクト」は,平成23年プロジェクト(東京電力が発注を予定した「平成23年多核種除去設備」の設置に関する事業)に係る多核種除去設備の設置及び同設備による汚染水処理のプロジェクトをいうものであり,平成25年実証事業(経済産業省が補助事業者を公募した平成25年度「汚染水処理対策事業(高性能多核種除去設備整備実証事業)」。以下同じ。)は「本プロジェクト」に含まれないから,被控訴人が平成25年実証事業の高性能ALPSを受注し,同設備の設計等を行ったことが本件パートナーシップ契約の本件排他的義務条項に違反するものとは認められない旨判断した。 しかしながら,①前記イのとおり,本件パートナーシップ契約書の条項の文言,本件パートナーシップ契約締結の動機・目的,契約交渉の過程及び契約締結後の事情等を考慮すれば,本件パートナーシップ契約の「本プロジェクト」の範囲は,発注の時期にかかわらず,福島第一原発において,およそ,「セシウム処理装置からの出口水及び/又は逆浸透膜装置(RO)及び/又は蒸発器からの濃縮水及び/又は出口水を対象とし,この対象汚染水における多核種を検出不能レベルまで浄化する。」という目的を達成するための発注を全て含むプロジェクトであると解すべきであること,②平成23年プロジェクトと平成25年実証事業は,別個独立のプロジェクトではなく,両プロジェクトは一連一体のものであることからすると,平成25年実証事業は「本プロジェクト」に含まれると解すべきで ,②平成23年プロジェクトと平成25年実証事業は,別個独立のプロジェクトではなく,両プロジェクトは一連一体のものであることからすると,平成25年実証事業は「本プロジェクト」に含まれると解すべきであるから,原判決の上記判断は誤りである。敷衍すると,以下のとおりである。 (ア)a 前記イ(ア)のとおり,本件定義条項は,「本プロジェクト」を 「放射性物質によって汚染された水を,海洋への放出システムのために適用されるNDレベルまで汚染を処理すること及びそのサポートサービス」と定義しており,本プロジェクトが平成23年プロジェクトに限定されると解すべき文言上の根拠はない。 また,本件パートナーシップ契約の交渉過程において,控訴人及び被控訴人は,いずれも,「本プロジェクト」を発注主体や発注時期等を明記することで特定の発注案件に限定しようとすらしておらず,「本プロジェクト」を平成23年プロジェクトその他の特定の発注案件に限定することを企図した形跡がなく,多少の文言修正はあっても「本プロジェクト」の本質には揺らぎがない。控訴人及び被控訴人が本件処理対象水の処理完了までパートナーとして本件処理対象水に関する汚染水処理事業に参画する機会を確保できるよう,あえて広範な定義を置こうとしたことは合理的であり,特定の発注案件に限定すべき理由は全くなかった。 さらに,被控訴人が,単独で本件処理対象水の浄化プロセスの開発・運営を行うことは不可能であり,控訴人の技術情報を平成23年プロジェクトの失注後も独占する必要があったから,両者の排他的な協働関係を特定の発注にのみ限定すべき理由は,控訴人及び被控訴人のいずれにおいてもなかったものである。 そして,仮に「本プロジェクト」を平成23年プロジェクトという特定の発注案件に限定するのであれば,契約書 特定の発注にのみ限定すべき理由は,控訴人及び被控訴人のいずれにおいてもなかったものである。 そして,仮に「本プロジェクト」を平成23年プロジェクトという特定の発注案件に限定するのであれば,契約書にパートナーシップ関係が平成23年プロジェクトに限ると明記する以外にも,当時,被控訴人は,平成23年プロジェクトの発注仕様書案(甲91,92)を入手していたのであるから,仕様書案自体を添付し,又は引用するなどといった直截かつ容易な方法があったにもかかわらず,これらの方法が採られなかったことは,明示的に「本プロジェクト」 の対象は限定されなかったものといえる。 b この点に関し原判決は,本件パートナーシップ契約に関する交渉は,東京電力が平成23年プロジェクトという具体的なプロジェクトを発注する予定であることが判明した後に開始されたものであること,本件パートナーシップ契約に関する交渉が行われていた当時,本件処理対象水からの多核種除去に関して具体化していたプロジェクトは平成23年プロジェクトのみであること,本件パートナーシップ契約の交渉過程において,控訴人が被控訴人に対し,本件パートナーシップ契約の対象となるプロジェクトが平成23年プロジェクトに限られず,他のプロジェクトも含む旨を明示したことはなかったことに照らせば,控訴人び被控訴人は,平成23年プロジェクトを念頭において契約交渉に臨んでおり,契約書に仕様書等を添付するまでもなく,本件パートナーシップ契約の対象となるプロジェクトは平成23年プロジェクトであることを当然の前提としていたものと認められる旨判断した。 しかしながら,平成23年プロジェクトと別の汚染水処理プロジェクトは,平成23年プロジェクトが成功しなかった場合に新たに発注されるものであるから,本件パートナーシップ契約締 認められる旨判断した。 しかしながら,平成23年プロジェクトと別の汚染水処理プロジェクトは,平成23年プロジェクトが成功しなかった場合に新たに発注されるものであるから,本件パートナーシップ契約締結当時にそのような具体的な汚染水処理プロジェクトがなかったとしても,それは当然のことである。また,当事者双方が,当面の目標として,平成23年プロジェクトの受注を目指していたのであるから,当面の受注目標である平成23年プロジェクトの存在を念頭に本件パートナーシップ契約の交渉を行ったことも,ビジネス・チャンスの獲得をめざした営利を目的とする事業者として,極めて自然かつ合理的な経済行動である。原判決指摘のいずれの点も,契約文言や契約交渉過程にかかわらず,「本プロジェクト」を平成23年プロジェ クトに限定する意味を持つと解釈すべき特段の事情にはなり得ないし,当事者が追加の個別発注があり得ることを想定し,そのような追加の個別発注をも包含する形で「本プロジェクト」を広範に定義することは否定されるものではない。 そして,将来的に一連の汚染水浄化プロジェクトとして新たな個別発注がされることも当然にあり得ること,その場合には日本政府等が個別プロジェクトを発注することも考えられたことから,停止条件条項について,当初の契約書案では,「東京電力」による発注を受注することを本件パートナーシップ契約の条件としていたのを,「東京電力が設立する特定目的事業体又は日本政府」という文言を追加して,「東京電力若しくは東京電力が設立する特定目的事業体又は日本政府」による発注を受注することを本件パートナーシップ契約の条件とする本件停止条件条項(1条最終文)に修正したものであるが,このような修正について被控訴人は異を唱えなかった。 したがって,原判決の上記判断は誤り 注を受注することを本件パートナーシップ契約の条件とする本件停止条件条項(1条最終文)に修正したものであるが,このような修正について被控訴人は異を唱えなかった。 したがって,原判決の上記判断は誤りである。 c また,原判決は,本件パートナーシップ契約に添付する予定であった控訴人作成の別紙の草案が平成23年プロジェクト仕様書に添付された別紙を引用していることは「本プロジェクト」の対象が平成23年プロジェクトに限られることを前提としていることを優にうかがわせるものである旨判断した。 しかしながら,原判決が挙げる別紙の草案の内容は,本件処理対象水を浄化の対象とするプロジェクトに共通のものであるか,平成23年プロジェクトの発注時点での本件処理対象水の性状(放射線濃度)等を明確にし,それに変化があった場合の当事者の権利義務関係を明らかにするために作成されたものにすぎないから,特定の発注案件(特に平成23年プロジェクト)に固有の内容ではない。 しかも,別紙の草案のうち,別紙B~D及びHが,内容の変更を前提としていることは,かえって,「本プロジェクト」が広く本件処理対象水からの多核種除去プロジェクト一般を意図していることの裏付けですらある。 したがって,原判決の上記判断は誤りである。 d そうすると,本件パートナーシップ契約の「本プロジェクト」の範囲は,発注の時期にかかわらず,福島第一原発において,およそ,「セシウム処理装置からの出口水及び/又は逆浸透膜装置(RO)及び/又は蒸発器からの濃縮水及び/又は出口水を対象とし,この対象汚染水における多核種を検出不能レベルまで浄化する。」という目的を達成するための発注を全て含むプロジェクトであると解すべきである。 (イ) 平成23年プロジェクトと平成25年実証事業とは,発 対象汚染水における多核種を検出不能レベルまで浄化する。」という目的を達成するための発注を全て含むプロジェクトであると解すべきである。 (イ) 平成23年プロジェクトと平成25年実証事業とは,発注経緯や目的,東京電力及び日本政府が平成23年プロジェクトの下で開発・運用される既存ALPSと平成25年実証事業の下で開発・運用される高性能ALPSとを一括して「多核種除去設備等」(甲288・9頁)と取り扱っていること,既存ALPSと高性能ALPSとが並行して運転されていることなどからすると,平成23年プロジェクトと平成25年実証事業は,別個独立のプロジェクトではなく,一連一体のものとして捉えるべきである。 すなわち,平成23年プロジェクトと平成25年実証事業は,いずれも将来的な海洋放出が可能なレベルまで放射性核種を除去することを最終目標としており,その除染対象水の範囲,除染対象核種(62核種),求められる処理容量(1日500㎥)その他の具体的達成目標が同一であること,平成25年実証事業は,平成23年プロジェクトの実行の過程で明らかになった新たな課題への解決策を確立し,そ の成果を平成23年プロジェクトに取り込むためのパイロット・プロジェクト(整備実証事業)であり,平成23年プロジェクトの補完的なプロジェクトであることからすると,平成23年プロジェクトと平成25年実証事業は,別個独立のプロジェクトではなく,一連一体のものとして捉えるべきである。 したがって,「本プロジェクト」は,平成25年実証事業を含むものである。 以上のとおり,被控訴人は,「本プロジェクト」に含まれる平成25年実証事業を受注し,控訴人の関与なく高性能ALPSの設計等を行ったことにより,本件パートナーシップ契約2条に定める本件排他的義務条項に違反した。よ 被控訴人は,「本プロジェクト」に含まれる平成25年実証事業を受注し,控訴人の関与なく高性能ALPSの設計等を行ったことにより,本件パートナーシップ契約2条に定める本件排他的義務条項に違反した。よって,同契約22条に基づき,被控訴人は控訴人に対して損害賠償義務を負う。」(被控訴人の主張)次のとおり訂正するほか,原判決28頁21行目から36頁12行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決28頁21行目から末行までを次のとおり改める。 「ア本件パートナーシップ契約では,「本プロジェクト」の具体的内容は別紙Aにより定義されるものとされている。控訴人と被控訴人は別紙Aを含む各別紙に署名をしておらず,内容について合意をしたこともない。 したがって,別紙Aについて控訴人と被控訴人との間で意思表示の合致はなく,本件パートナーシップ契約における控訴人と被控訴人との間の独占的供給及び購入の範囲は特定されていない。 独占的供給及び購入に関する契約である本件パートナーシップ契約において,独占の範囲は権利義務の要素であるから,独占の範囲について両当事者に意思表示の合致がなく,特定がない以上は,独占的供給及び購入に係る権利義務は未だ発生していない。 なお,本件パートナーシップ契約3条3項では,対価を別紙Fにより定めることとされているが,別紙Fについても署名がされておらず,契約の要素たる対価についても意思表示の合致がない。この点からしても,独占的供給及び購入に係る権利義務は発生していない。 イ仮に本件パートナーシップ契約の対象となる「本プロジェクト」の範囲が特定されているとしても,その範囲は,以下のとおり,平成23年プロジェクトという特定の発注に係る平成23年多核種除去設備による汚染水処理に限られるから,平成 約の対象となる「本プロジェクト」の範囲が特定されているとしても,その範囲は,以下のとおり,平成23年プロジェクトという特定の発注に係る平成23年多核種除去設備による汚染水処理に限られるから,平成25年実証事業は,「本プロジェクト」に含まれない。」(2) 原判決36頁6行目から12行目までを次のとおり改める。 「ウ当審における控訴人の主張は争う。 エ以上のとおり,本件パートナーシップ契約における独占的供給及び購入の範囲を画する「本プロジェクト」として想定されていたのは,平成23年プロジェクトに係る平成23年多核種除去設備という特定の発注に係る設備による汚染水処理に限られるから,平成25年実証事業は,「本プロジェクト」に含まれない。 したがって,被控訴人による平成25年実証事業の受注及び高性能ALPSの設計等が本件排他的義務条項に違反する旨の控訴人の主張は,失当である。」 2 争点(2)(被控訴人による高性能ALPSの設計等についての不正競争防止法2条1項7号の不正競争の成否)について(1) 原告情報の営業秘密該当性(争点(2)ア)(控訴人の主張)次のとおり訂正するほか,原判決36頁17行目から42頁7行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決36頁末行から37頁1行目にかけての「別紙1営業秘密一覧」 を「原判決別紙1営業秘密一覧及び本判決別紙営業秘密一覧(当審追加分)(以下,これらを併せて「別紙営業秘密一覧」という場合がある。)」と改める。 イ原判決41頁7行目の冒頭に「(a)」を加える。 ウ原判決42頁1行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「⒝ 原判決は,原告情報1①,原告情報1④,原告情報2①,原告情報2②,原告情報2③,原告情報2⑦, 頭に「(a)」を加える。 ウ原判決42頁1行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「⒝ 原判決は,原告情報1①,原告情報1④,原告情報2①,原告情報2②,原告情報2③,原告情報2⑦,原告情報3①,原告情報3②,原稿情報3③,原告情報4①,原告情報4②,原告情報5②及び原告情報7を「不使用情報群の情報以外の情報」と表記した上で,不使用情報群の情報以外の情報のうち,本件訴訟において情報として特定されている情報については,いずれも,被控訴人が高性能ALPSの設計を行うことになる平成25年9月より前に,特許庁が発行する公報や一般的な書籍を含む文献に記載されたり,福島第一原発の汚染水処理に関係するシンポジウムや講演において公表されたり,放射性物質の廃棄に関する会議において控訴人自身によって公表されたり,その内容から汚染水処理に関与する者が当然に知っていたり,公表された情報から容易に知ることができたりする情報であるから,同月の時点で,少なくともいずれも公然と知られていた情報であり,それらの情報を組み合わせた情報についても,公然と知られていた情報であったといえるから,非公知性の要件を満たさない旨判断したが,以下のとおり,原判決の判断は誤りである。 ① 不正競争防止法上の営業秘密は,様々な知見を組み合わせて一つの情報を構成していることが通常であるが,ある情報の断片が様々な刊行物に掲載されており,その断片を集めてきた場合,当該営業秘密たる情報に近い情報が再構成され得るからといって,そのことをもって直ちに非公知性が否定されるわけではなく,複数の情報の 総体としての情報については,組合せの容易性,取得に要する時間や資金等のコスト等を考慮し,保有者の管理下以外で一般的に入手できるかどうかによって,非公知性を判断すべき なく,複数の情報の 総体としての情報については,組合せの容易性,取得に要する時間や資金等のコスト等を考慮し,保有者の管理下以外で一般的に入手できるかどうかによって,非公知性を判断すべきである。 これを本件についてみると,原告情報に含まれる個別の技術情報や原告情報のうちのいくつかが文献等で個別に公表されたからといって,誰もが膨大な情報の中に散在するそれらの情報を取捨選択し,集約して,放射性核種をNDレベルまで減少させる総合的なシステムを構築し,運用することができるようになるわけではない。各原告情報及び原告情報全体は,福島第一原発における汚染水からの多核種除去の目的を達成するためのまとまった解決策として,有機的に機能する各技術情報の組合せや集積である点に意味があるのであって,これらの情報を短期間で全て入手し,有機的に組み合わせることは,至難の業である。 したがって,①多核種除去に役立つ個別の技術情報を組み合わせた総合的な技術,システム,プロセスの存在を被控訴人が実際に知っていたこと,②知っていたことを前提にそれを実際に検討していたこと,③検討を踏まえてそれを実際の運用に組み込み,一体として稼働する浄化プロセスを設計するノウハウや知識があったこと,④実際にこれらを前提に稼働する浄化プロセスを独自に設計したこと等が認められる必要があるが,原判決には,上記各事実の有無を一切検討せずに,単に,個別の技術情報が文献等に掲載されていることのみをもって,原告情報の非公知性を否定している点で誤りがある。 ② 仮に原告情報に含まれる個々の技術情報について非公知性を検討するとしても,控訴人の営業秘密を構成する各技術情報が,汚染水からの多核種除去と全く別の目的の装置や技術に関する文献におい 情報について非公知性を検討するとしても,控訴人の営業秘密を構成する各技術情報が,汚染水からの多核種除去と全く別の目的の装置や技術に関する文献におい てその一部が言及されていたとしても,それが多核種除去において有効な手法かどうかはわからず,汚染水からの多核種除去の文脈で言及されなければ全く意味をなさない。 したがって,各技術情報が全く別の目的の装置や技術に関する文献において言及されていたという事実だけでは,当該技術情報が,汚染水多核種除去に有益な情報として公知であったとはいえない。 ③ 原判決は,不使用情報群の情報以外の情報は,汚染水処理における各種の考慮要素に関わるものであって,汚染水処理において,当然に各情報を組み合わせて使用するものであり,それらを組み合わせて使用することに困難があるとは認められず,上記各情報を組み合わせたことによって,組合せによって予測される効果を超える効果が出ることを認めるに足りる証拠はないから,これらの情報を組み合せた情報が公然と知られていなかった情報であるとはいえない旨判断した。 しかしながら,不正競争防止法上の営業秘密は,特許のような排他的独占権ではなく事実状態の保護であり,有用性は要求されているが,進歩性は求められていないから,各情報の組合せは,どの情報をどう組み合わせるかといったこと自体に有用性があり,営業秘密たり得るというべきである。 したがって,非公知性の判断に当たり,各情報の組合せによって技術水準から予測される範囲を超えた顕著な効果が得られるか否かを考慮するのは不当であるから,原判決の上記判断は誤りである。 そして,汚染水処理システムの構築の上で考慮すべき各要素間には相互に密接な関係性 準から予測される範囲を超えた顕著な効果が得られるか否かを考慮するのは不当であるから,原判決の上記判断は誤りである。 そして,汚染水処理システムの構築の上で考慮すべき各要素間には相互に密接な関係性があるため,汚染水処理システムにおいて,62核種のND(検出限界値以下)までの除染という目標を達成しつつ,合理的に最適な全体解決を実現し最大の処理効率を発揮する ためには,控訴人が開示した各情報に紐づけられる各要素間で,絶妙なバランスを考慮した調整をしなければならない。すなわち,●●●●●●●●●●●●●●●●●,接触時間を含むすべての要素それぞれが,個別に重要な価値を有するのみならず,各要素間のバランスを考慮することに関する技術情報についても,重要な価値を有するものである。 したがって,仮に一つの基本的な要素又は独立した少数の要素の全部又は一部が個別に公知であったとしても,各要素を全体のバランスを見てそれぞれ調整することは,非公知である。さらに,開発において,どの要素についてどのような条件を所与のものとして固定し,開発を進めるかという点の判断に当たっても,諸要素間の条件が相互に与える影響を考慮する必要があり,組み合わされた各要素における条件として固定されるということに重要な意味がある。 (c) 原判決は,不使用情報群の情報以外の情報のうち,原告情報2①,原告情報3①及び原告情報4②について,平成24(2012)年に開催された米国電力研究所の国際低レベル放射性廃棄物会議(開催地アリゾナ州トゥーソン。以下「平成24年米国電力研究所会議」という。乙114の1,2)において,控訴人によって公表された情報であるから,非公知性は認められない旨判断した。 しかしながら,平成24年米国電力研究所会議で使用されたプレゼンテーション資料(以 という。乙114の1,2)において,控訴人によって公表された情報であるから,非公知性は認められない旨判断した。 しかしながら,平成24年米国電力研究所会議で使用されたプレゼンテーション資料(以下「アリゾナ資料」という場合がある。乙114の1)は,控訴人が福島第一原発の汚染水処理を受注するために行った活動の概要を紹介することを目的として作成されたものであって,控訴人が開発した多核種処理システムの最終的な構成に必要不可欠な要素,すなわち,実験データから多核種除去設備を設計するに至るまでのノウハウは記載されておらず,意図的に排除している。しか も,平成24年米国電力研究所会議での発表時間は約25分間にすぎず,アリゾナ資料に記載された内容すらすべて紹介できなかった。そのため,アリゾナ資料の内容を知ったからといって,それ以外の情報や知見,創意工夫がなければ,商業的な実施はできない。 このように平成24年米国電力研究所会議では,競業他社に対して有利な地位を占めることを可能ならしめるような具体的な情報は何ら開示されていないから,控訴人が本件訴訟で営業秘密であると主張する原告情報は何ら開示されていない。 また,不正競争防止法において保護される営業秘密は,「競業他社から守られるべき価値のある情報」をいうから,精査をすれば世界のどこかに存在するような情報であっても,当該情報を取得するために相当の労力,費用又は時間がかかるなどの事情が存在する場合には,当該情報を保有していることは競業他社に対して有利な地位に立てることであるといえるので,営業秘密として保護に値する。したがって,不正競争防止法上の非公知性を判断するに当たっては,競業他社にとって,入手に費用や時間等を要するか,あるいはライセンスを受ける必要があるというような入手困難性がある として保護に値する。したがって,不正競争防止法上の非公知性を判断するに当たっては,競業他社にとって,入手に費用や時間等を要するか,あるいはライセンスを受ける必要があるというような入手困難性があるか否かによって判断すべきであり,非公知性は,情報の保有者とそれを使用した者との関係により相対的に判断されるべきである。 しかるところ,被控訴人はそもそも平成24年米国電力研究所会議に出席しておらず,同会議により何らかの情報を取得したという経緯はないこと,被控訴人がアリゾナ資料を証拠として提出したのは,本件訴訟提起から約1年半もの期間が経過した後であることからすると,アリゾナ資料の内容は,これを取得するために相当の労力,費用又は時間がかかるものであるといえるから,アリゾナ資料に係る発表及びアリゾナ資料にアクセスし得べき者であったとはいえない被控 訴人との関係では,公知であったことにはならない。 そうすると,仮に平成24年米国電力研究所会議で控訴人の営業秘密が開示されたとしても,当該開示によって,控訴人の営業秘密の非公知性が失われることはない。 以上によれば,原判決の上記判断は誤りである。」エ原判決42頁7行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(ウ) 原告情報(当審追加分)の営業秘密該当性a ●●●●●●●●●●●●●●●について(原告情報3④)(a) 非公知性吸着剤除去の際には最適なpH調整があるということは一般的な机上の知識としては知られながらも,現実には,被処理水のpHは,作業員の被ばくリスクを冒してまで調整するほど除去効率に影響を与えるファクターではないと軽視され,必要最低限(●●●●●●●●●●●●しか行われてこなかったというのが,放射能汚染水処理業界の常識であった の被ばくリスクを冒してまで調整するほど除去効率に影響を与えるファクターではないと軽視され,必要最低限(●●●●●●●●●●●●しか行われてこなかったというのが,放射能汚染水処理業界の常識であった。 実際に,●●●●●●●●●●●●●●●を取り入れる放射性核種除去プロセスの設計は,一般的な実務で行われていなかっただけでなく,多少なりとも本件と類似している他の原子力発電所のメルトダウン事例において適用された方法にも反していた。他の事例の廃水除染プロセスでは,pH調整は,より多くの設備を必要とし,より多くのプロセス管理を必要とし,作業員の注意や危険な酸性剤や腐食剤の取扱いを必要とし,一般的には単純に不具合発生の可能性が高かったため,pH調整のステップを回避又は最小化する傾向にあった。さらに,福島第一原発においては,複数の貯水タンクに貯水されているおよそ10万㎥もの冷却水からの放射性核種を除去しなければならず,かかる冷却水が海水と 淡水の混合であり,海水由来の高濃度の塩分を含んでいて原子炉から発生する放射性核種の除去効率を阻害するという困難があった点で,淡水からの放射性核種の除去が行われた他の事例と異なるものであった。 控訴人は,従前より有していた自らの知見と福島第一原発の汚染水処理のために行った実験等により,放射能汚染水処理業界の常識に反して,福島第一原発における汚染水処理においては,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●を行うことが最適であるという知見を得,実際にこれを最適な形で実現する方法を見つけ出した。 このように●●●●●●●●●●●●●●●●●を行うこと(原告情報3④)は,当時の放射能汚染水処理業界の常識に反するものであり,福島第一原発における汚染水処理において,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●を行うこと(原告情報3④)は,当時の放射能汚染水処理業界の常識に反するものであり,福島第一原発における汚染水処理において,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●を行うことが最適であるという知見は,当該業界において知られておらず,かつ,控訴人から開示されるまでは被控訴人も有していなかった。したがって,この知見は非公知であるといえる。 (b) 有用性及び秘密管理性海水が多く含まれるという特徴を有する福島第一原発の放射能汚染水処理において,その対応策としてのpH調整に関する知見は必要不可欠であり,有用である。 また,控訴人がかかる情報(原告情報3④)を秘密として管理していたことは,控訴人が当該情報を被控訴人に開示したのが平成23(2011)年10月16日であり(甲36の1),同月5日に本件秘密保持契約が締結されるまで,当該情報を開示していなかったことからも明らかである。 bCs吸着剤及びSr吸着剤の具体的接触時間について(原告情報5②のうち,別紙営業秘密一覧(当審追加分)記載のもの)対象処理水が吸着剤に接触する接触時間は,「吸着剤の量」を「吸着塔に流入する汚染水の量(1分間当たりに吸着剤に通水される汚染水の量)」で除した結果得られた数字により算出される値であるが,実験の中でこの2つの値を調整し,最も吸着剤が効果的に吸着性能を発揮できる接触時間を導き出すことになる。長い接触時間を必要とするような吸着剤は,処理時間に制約のある実機では採用できず,一方,接触時間が短すぎれば放射性多核種を十分に吸着できないまま出水してしまい,吸着剤の真の実力が評価できない。したがって,吸着剤の評価試験において,短すぎず,長すぎないバランスの取れた接触時間を設定することは が短すぎれば放射性多核種を十分に吸着できないまま出水してしまい,吸着剤の真の実力が評価できない。したがって,吸着剤の評価試験において,短すぎず,長すぎないバランスの取れた接触時間を設定することは,緊急性の高い浄水システムの開発においては非常に重要な要素である。また,実験で最適な接触時間を算出した場合,実機へスケールアップするには接触時間を維持することが必要であり,実機仕様を実験から導き出すに当たっても非常に重要な情報である。 最適な接触時間は,実機設計における諸条件及び制約を念頭に置いた上で,プロセス全体の諸条件との組合せの中で,吸着剤の性能・性質,対象処理水の状況及び除去すべき多核種の量や,達成すべき浄化数値等に応じて,それまでの知見・経験を参照した上で,何度もトライアンドエラーを重ね,膨大な時間と費用をかけて算出された数値である。実液試験における適切な接触時間が予め分かっていれば,吸着剤の種類や配列の選択に要する時間・費用を大幅に節約することができ,競業他社に対して有利な地位に立つことが可能となる。 したがって,接触時間に関する技術情報は,有用であり,かつ, 非公知である。 また,控訴人が,被控訴人にCs吸着剤及びSr吸着剤の具体的な接触時間の情報(原告情報5②のうち,別紙営業秘密一覧(当審追加分)記載のもの)を開示したのは,平成23(2011)年11月6日であり,控訴人は,本件秘密保持契約を締結した同年10月5日まで,被控訴人に対して,この情報を開示していなかったことから,秘密管理性の要件が満たされることは明らかである。」(被控訴人の主張)次のとおり訂正するほか,原判決42頁9行目から45頁21行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決44頁14行目から15行目にか ある。」(被控訴人の主張)次のとおり訂正するほか,原判決42頁9行目から45頁21行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決44頁14行目から15行目にかけての「米国電力研究所国際低レベル放射性廃棄物会議」の次に「(平成24年米国電力研究所会議)」を加える。 イ原判決45頁6行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(c) 知見の組合せが非公知であるというためには,組合せの容易性,取得に要する時間や資金等のコスト等を考慮し,保有者の管理下以外で一般的に入手できるかどうかによって判断すべきである。複数の公知の情報の組合せが営業秘密であると主張される場合であっても,これらの知見の組合せによって相互に関連して特殊な性質を導き出すものではない限り,解決すべき課題や達成すべき目的を認識していれば,その解決方法たる個別の公知の情報に辿り着くことは容易であるから,結局,そのためそのような知見の組合せは公知であると判断されることとなる。また,被疑侵害者が保有者から示されることなく組み合わされた知見の一部を独自に得ていたのであれば,残りの知見を得ることはより容易になるので,知見の組合せの公知性がより広く認められることとなる。 そして,原告情報のうち,不使用情報群の情報以外の情報は,汚染水処理における各種の考慮要素に関わるものであって,汚染水処理において,当然に各情報を組み合わせて使用するものであり,これらを組み合わせて使用することに困難はない。具体的には,これらの情報は,吸着剤による物質の除去に関する極めて一般的な知見である部分や,海水中からの核種除去として一般的に考慮すべき知見であり,特に,『福島原発事故収束に向けたバックエンド領域の取り組み(実践編)「汚染水処理に係わる学会有 除去に関する極めて一般的な知見である部分や,海水中からの核種除去として一般的に考慮すべき知見であり,特に,『福島原発事故収束に向けたバックエンド領域の取り組み(実践編)「汚染水処理に係わる学会有志チームの取り組み」』(乙58。 以下「バックエンド論文」という。)などからも明らかなとおり,被控訴人を含めた福島第一原発の事故を契機に汚染水からの多核種除去に関わる者が当然のように認識して公表している知見であって,福島第一原発における汚染水処理においても当然に考慮要素となる事項に関する知見でもあり,かつ,その多くは平成23年当時には被控訴人も独自に得ていた知見である。 したがって,これらを組み合わせて使用することは容易であり,取得に要する時間や資金等のコストを要することにはならないから,不使用情報群の情報以外の情報を組み合わせた情報の非公知性を否定した原判決の判断に誤りはない。 (d) 不使用情報群の情報以外の情報のうち,原告情報2①,原告情報3①及び原告情報4②は,控訴人が平成24年米国電力研究所会議において公表したアリゾナ資料(乙114の1)などにより,公知となっている。 この点について控訴人は,アリゾナ資料の内容は,これを取得するために相当の労力,費用又は時間がかかるものであるが,被控訴人は,アリゾナ資料に係る発表及びアリゾナ資料にアクセスし得べき者であったとはいえないから,被控訴人との関係では,公知であったとはい えない旨主張する。 しかし,東京電力も,米国電力研究所(EPRI)の会員であること(乙148),日立製作所グループは同研究所に研究を委託するなど同研究所との関係も深いこと(乙149)からすると,被控訴人において,アリゾナ資料の入手に困難性はなかったといえるから,控訴人の上記主張は失当である。 製作所グループは同研究所に研究を委託するなど同研究所との関係も深いこと(乙149)からすると,被控訴人において,アリゾナ資料の入手に困難性はなかったといえるから,控訴人の上記主張は失当である。 また,控訴人が秘密保持義務を負うことのない不特定多数の者にアリゾナ資料を開示しているという事実は,アリゾナ資料に記載された技術情報は,秘密管理されていないことを示すものであるから,秘密管理性の要件を満たしていない。 したがって,原告情報2①,原告情報3①及び原告情報4②は,いずれにせよ営業秘密たり得ない。」ウ原判決45頁21行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(ウ) 原告情報(当審追加分)の営業秘密該当性についてa ●●●●●●●●●●●●●●●について(原告情報3④)控訴人の主張する「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●が必要である」との知見(原告情報3④)は,どの部分でどのようなpH値でその調整をするかという具体的なものではなく,単純に●●●●●●●●を行うという知見である。 溶液中のイオンはそのpH値によって化学的性質に変化を生じさせること,そのためイオン交換においてpH依存性がある場合があることは,周知であり(乙23,24),吸着剤とその吸着対象とする物質の種類によって,推奨されるpH値が決まっていること(乙19の1,2,25,26等)からすると,吸着剤の吸着性能を発揮させるために最適なpHに調整することは吸着剤による物質の除去において当然に考慮されるべき事項であり,吸着剤毎にそのpH の範囲が指定されている。そのため,吸着剤による物質の除去性能を発揮させるためには,吸着剤毎に指定されたpHの範囲に調整することが有効であるから,複数の吸着剤を利用するプラントにおいては, の範囲が指定されている。そのため,吸着剤による物質の除去性能を発揮させるためには,吸着剤毎に指定されたpHの範囲に調整することが有効であるから,複数の吸着剤を利用するプラントにおいては,●●●●●●●●の可能性が必然的に生じ得ることになる。 したがって,●●●●●●●●が有効であるという知見は,控訴人以外が時間や資金等のコストを要することなく入手可能な知見であるといえる。 実際に,東芝が開発した多核種除去設備ALPSに係る公表資料(乙53の2)において,そのpH調整について,「各プロセスにおいて最適のpHとなるように薬液の注入を行う。また,pH調整回数を極力低減した設計としている。」との説明がされていているが,「pH調整回数を極力低減」ということ自体,●●●●●●●●を前提とするものであって,●●●●●●●●自体が技術常識であったことを裏付けるものである。 したがって,原告情報3④は公知であり,これが非公知であったとの控訴人の主張は失当である。 bCs吸着剤及びSr吸着剤の具体的接触時間について(原告情報5②のうち,別紙営業秘密一覧(当審追加分)記載のもの)控訴人の主張は争う。」(2) 控訴人から被控訴人への原告情報の開示の有無(争点(2)イ)原判決45頁23行目から47頁7行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (3) 被控訴人による控訴人の営業秘密の使用の有無(争点(2)ウ)(控訴人の主張)原判決51頁12行目末尾に行を改めて次のとおり加えるほか,原判決47頁10行目から51頁12行目までに記載のとおりであるから,これを引 用する。 「(ウ) 原判決は,原告情報1②,原告情報1③,原告情報1⑤,原告情報2④,原告情報2⑤,原告 7頁10行目から51頁12行目までに記載のとおりであるから,これを引 用する。 「(ウ) 原判決は,原告情報1②,原告情報1③,原告情報1⑤,原告情報2④,原告情報2⑤,原告情報2⑥,原告情報4③,原告情報5①,原告情報6①,原告情報6②及び原告情報6③は,いずれも,各個別の情報としても,他の情報と組み合せても,高性能ALPSの設計において,被控訴人が使用したとは認められず,「不使用情報群の情報」である旨判断したが,以下のとおり,原判決の判断は誤りである。 a 不正競争防止法において保護される「営業秘密」は,「競業他社から守られるべき価値のある情報」であり,入手するために「それ相応の費用や時間等が掛かる」情報であれば,「事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」であって,営業秘密として保護に値する。例えば,当該情報がなければ,「効率よく,あるいは安価に,あるいは短時間で実施できず,又は無駄な生成物を少なく実施できない」場合には,当該情報は営業秘密に該当し得る。 そうすると,ある情報について,不正競争防止法上の「使用」があるか否かは,当該情報によって,費用や時間等が節約できたか否かによって判断されるべきである。 b 原告情報1②,原告情報1③及び原告情報1⑤は,凝集沈殿処理による前処理に関するものであるが,かかる前処理を行わない多核種除去プロセスを開発するに当たっては,既存ALPSにおいて問題を引き起こしている凝集沈殿処理による前処理の有用性や必要性,仕組み等を理解した上で,前処理を行わなくても所要の成果を挙げ得る多核種除去装置を開発する必要があったものである。 したがって,高性能ALPSが凝集沈殿処理による前処理を行わないとの方針のもとに開発されたものであるからといって,被控訴人がRI の成果を挙げ得る多核種除去装置を開発する必要があったものである。 したがって,高性能ALPSが凝集沈殿処理による前処理を行わないとの方針のもとに開発されたものであるからといって,被控訴人がRINX開発時に控訴人から得た凝縮沈殿処理に関する上記各原告情 報を使用しなかったことにはならない。 c 原告情報2④及び原告情報2⑤は,高性能ALPSで採用されなかった控訴人製の吸着剤であるSr4000及びCs4000に関する情報であるが,競合他社は,控訴人が福島第一原発の汚染水処理のために特別に開発したSr4000及びCs4000の仕様やその効率的な使用方法等の情報を参考にすれば,より容易にかつより短期間で,同等製品又はより有用な吸着剤を開発し,製造することができる。また,多核種除去設備の開発及び運用に当たっては,当該設備で使用する吸着剤の種類,使用順序(吸着塔の配列デザイン)及び使用量,各吸着剤の接触時間,各吸着剤間でのpH調整の要否などを検討し,各検討項目について最適な組合せを見つけ出した上で,一連のシステムや仕様を構築する必要があるから,仮にSr4000及びCs4000自体を実際には使用しなかったとしても,原告情報2④及び原告情報2⑤は,費用及び時間等の節約につながることは明らかである。 したがって,高性能ALPSの開発段階において,被控訴人が原告情報2④及び原告情報2⑤を使用していないということはできない。 d 原告情報4③,原告情報5①,原告情報6①,原告情報6②及び原告情報6③は,吸着塔の配列デザイン等に関する情報であるが,かかる情報は,他社製の吸着剤を用いる場合においても,配列の参考にしたり,ネガティブデータとして利用したりすることもあり得るから,有用であり,価値がある情報である。 したがって,高性能ALPSの かかる情報は,他社製の吸着剤を用いる場合においても,配列の参考にしたり,ネガティブデータとして利用したりすることもあり得るから,有用であり,価値がある情報である。 したがって,高性能ALPSの最終的な構成において控訴人の吸着剤を使用していない,あるいは,最終的な吸着塔の配列デザインとは異なることのみを理由に,上記各原告情報を使用していないと判断することは誤りである。 e 以上のとおり,原判決のいう「不使用情報群の情報」は,いずれも 被控訴人が使用した情報であるから,これと異なる原判決の判断は誤りである。 (エ) 原告情報(当審追加分)の使用についてa ●●●●●●●●●●●●●●●について(原告情報3④)平成23(2011)年6月3日に,被控訴人がエナジー・ソリューションズ社とともに作成したフローチャートには,●●●●●●●●●●●●●●●●●については,記載されていない(乙93)。また,被控訴人は,エナジー・ソリューションズ社とともに同年10月14日に東京電力に提案を行ったが,かかる提案でも,●●●●●●●●●●●●●●●●●は組み込まれていなかった(甲118)。 にもかかわらず,控訴人がステージ間における複数回のpH調整に関する知見を開示した同年10月16日以降(甲36の1),被控訴人は,同年11月ころから翌年2月ころまでの間に実施したパラレル実験(以下「本パラレル実験」という。)において,●●●●●●●●に関する技術情報を採用している(甲92)。 そして,被控訴人が平成27(2015)年に行った高性能ALPSの実証試験でも,被控訴人は,控訴人の技術情報であるステージ間における●●●●●●●●を採り入れた。 このように,被控訴人は,従来採用していなかった●●●●●●● 2015)年に行った高性能ALPSの実証試験でも,被控訴人は,控訴人の技術情報であるステージ間における●●●●●●●●を採り入れた。 このように,被控訴人は,従来採用していなかった●●●●●●●●●●●●●●●●●を高性能ALPSの実証試験に採用し,別紙営業秘密一覧(当審追加分)記載の原告情報3④を使用している。 bCs吸着剤及びSr吸着剤の具体的接触時間について(原告情報5②のうち,別紙営業秘密一覧(当審追加分)に記載のもの)控訴人は,平成23(2011)年11月14日から18日の間に実施した実液試験に向けたノウハウの提供の一環として,被控訴人に対し,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●が最適な接触時間であるとの情報を開示した。 そして,当該開示以前には,被控訴人は,セシウム吸着剤については6分から12分(甲118)又は12分(甲228),ストロンチウム吸着剤については12分から24分(甲118)又は6分(甲228)という全く見当外れな接触時間を設定していたにもかかわらず,当該開示後の平成23(2011)年11月21日以降に実施された本パラレル実験においては,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●という,控訴人の開示した接触時間と全く同一の接触時間をそのまま使用している。 その後,控訴人は,PuroliteCoreTechnology の最終設計として,●●●●●●●●●●●●●●●●に設定したのに対し(甲8の1,2),被控訴人は,本パラレル実験をもとに高性能ALPSで採用されることとなる基本構成の一部を開発した後,高性能ALPSの最終設計として,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●に設定している(乙80)。 このように,被 実験をもとに高性能ALPSで採用されることとなる基本構成の一部を開発した後,高性能ALPSの最終設計として,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●に設定している(乙80)。 このように,被控訴人は,控訴人の開示した接触時間に関する情報(原告情報5②のうち,別紙営業秘密一覧(当審追加分)に記載のもの)を使用して本パラレル実験を実施し,それを基礎に高性能ALPSを開発することによって時間と費用を大幅に節約したのであるから,控訴人の開示した接触時間に関する情報を使用したといえる。」(被控訴人の主張)次のとおり訂正するほか,原判決51頁14行目から55頁4行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決51頁17行目の「別紙1営業秘密一覧」を「別紙営業秘密一覧」と改める。 イ原判決55頁4行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(エ) 被控訴人は原告情報のうち不使用情報群の情報を使用していないことa 原告情報のうち不使用情報群の情報が高性能ALPS設計等の過程で使用されたか否かは,対象となる情報の性質・内容,対象情報の取得の態様(取得の適法性,適法な取得の場合の秘密としての明示の有無等),行為の具体的な態様等の要素を総合的に考慮して,取引通念上許容されない程度の時間的・金銭的コストを削減したといえるか否かを基準として,営業秘密の使用の有無を判断すべきである。また,営業秘密保有者は,被疑侵害者が営業秘密を使用したというためには,少なくとも,現に営業秘密を使用することで時間的・金銭的コストを削減したことを立証しなければならない。 b 原告情報1②,原告情報1③及び原告情報1⑤については,高性 というためには,少なくとも,現に営業秘密を使用することで時間的・金銭的コストを削減したことを立証しなければならない。 b 原告情報1②,原告情報1③及び原告情報1⑤については,高性能ALPSの設計に当たり,凝集沈殿処理による前処理の有用性や必要性,仕組み等を理解する必要はなく,控訴人の主張は失当である。 原告情報2④及び原告情報2⑤については,高性能ALPSにおいて使用される吸着剤は被控訴人が独自に得た知見に基づいて選択したものであって,吸着剤の選択について,控訴人の提示した吸着剤の情報を使用して,高性能ALPSの吸着剤を選択することはあり得ない。 原告情報4③,原告情報5①,原告情報6①,原告情報6②及び原告情報6③については,高性能ALPSにおいては,ラボ試験,検証試験及び実証試験を通じ,数次にわたり吸着塔配列が変更されているが,各時点の吸着塔配列における核種の吸着順序は,いずれもRINXにおける最終的な吸着塔の配列デザインとは異なっているのであり,控訴人の主張する「吸着塔の配列デザイン」を使用し たという事実はない。 (オ) 原告情報(当審追加分)の不使用についてa ●●●●●●●●●●●●●●●について(原告情報3④)控訴人の主張は争う。被控訴人は,平成23年5月以降,福島第一原発の汚染水の多核種除去の目的に適合する吸着剤の選定のためにバッチ試験及び簡易カラム試験を繰り返し行っており,その中でpH調整を行って試験を行っていることから,多核種除去設備の開発を行うに当たり,吸着性能を発揮させるための吸着剤毎に最適なpHを設定するとの知見を得ている。 bCs吸着剤及びSr吸着剤の具体的接触時間について(原告情報5②のうち,別紙営業秘密一覧(当審追加分)に記載のもの)被控訴人は,高性能A 吸着剤毎に最適なpHを設定するとの知見を得ている。 bCs吸着剤及びSr吸着剤の具体的接触時間について(原告情報5②のうち,別紙営業秘密一覧(当審追加分)に記載のもの)被控訴人は,高性能ALPS設計等に当たって,控訴人が提示したCs吸着剤及びSr吸着剤の接触時間を参考にしていない。 平成23年多核種除去設備の実機の仕様がSV10(1時間で吸着塔1塔の容量の10倍の処理水を流すという意味)仕様であるため,1塔当たりの接触時間は6分となる。そのため,合計の接触時間は6分の倍数となるところ,被控訴人は,従来よりSr及びCsの吸着剤の評価を行っており,また,汚染水中のそれぞれの濃度も把握しており,こうした点を踏まえ,被控訴人において独自に検討した結果,採用した接触時間が,たまたま,控訴人が採用した接触時間(●●●●●●●●●●●●●●●●●●●)と一致したにすぎないのであり,平成23年当時の被控訴人の実験において,控訴人の実験条件であるCs吸着剤及びSr吸着剤の接触時間を参考にしたことはない。そもそも,控訴人の選定した吸着剤(甲41,58,乙114の1,2)と被控訴人が選定した吸着剤(乙19の1,2,91の1,2,99の1,2,109)とはその種類が異なっ ているのであるから,その性能も自ずと異なり,そのため,控訴人が提示したCs吸着剤及びSr吸着剤の接触時間を参考にすることはあり得ない。 さらに,被控訴人が高性能ALPSで採用したCs/Sr同時吸着剤(甲18)も,控訴人が提示した吸着剤(甲58,乙114の1,2)とはその種類が異なっていることから,控訴人が提示した吸着剤の接触時間を参考にすることはあり得ない。 そして,高性能ALPSにおけるCs/Sr同時吸着剤の接触時間は,ラボ試験,検証試験,実証試験を経て設定し 類が異なっていることから,控訴人が提示した吸着剤の接触時間を参考にすることはあり得ない。 そして,高性能ALPSにおけるCs/Sr同時吸着剤の接触時間は,ラボ試験,検証試験,実証試験を経て設定したものであるから,控訴人の提示した接触時間に関する情報を参照したものではないことは明らかである。」 3 争点(3)(アバンテック社からの情報の受領についての本件排他的義務条項違反の有無)について(1) 本件排他的義務条項により禁止される行為の範囲及び被控訴人による本件排他的義務条項違反の有無(争点(3)ア)原判決55頁10行目から59頁9行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (2) 停止条件の不成就の確定の有無(争点(3)イ)原判決60頁5行目の「(イ)」の次に以下のとおり加えるほか,原判決59頁11行目から61頁10行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 「 本件パートナーシップ契約には,9条(複製,改変又は変更の禁止),12条(当事者に係る変更についての通知義務),13条(知的財産の帰属),16条(秘密保持),20条(通知),21条(裁判管轄)に代表されるように,契約締結と同時に効力を生じると考えるのが適切な条項が多数規定されている。特に,控訴人にとって30年にわたる原子力業界で の経験の結晶ともいうべき浄化プロセスに係る技術情報が保護されるか否かを,「本プロジェクト」の受注という不確かな将来事実の発生に係せるわけがない。内容的に可分である本パートナーシップ契約の全条項が,本件停止条件条項に服すると考えることはできない。」 4 争点(4)(アバンテック社に対する控訴人の営業秘密の不正開示の有無(不正競争防止法2条1項7号の不正競争の成否))について次のとおり訂正す 止条件条項に服すると考えることはできない。」 4 争点(4)(アバンテック社に対する控訴人の営業秘密の不正開示の有無(不正競争防止法2条1項7号の不正競争の成否))について次のとおり訂正するほか,原判決61頁13行目から67頁2行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決64頁2行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 そして,被控訴人が控訴人に対してアバンテック社との連絡やアバンテック社に対する情報開示を秘し,これを殊更に隠ぺいしたこと,前記アの被控訴人の一連の行為からすれば,被控訴人は,控訴人から得た知見及びノウハウをアバンテック社に開示し,吸収させることによって,控訴人を排除してアバンテック社と手を組んで福島第一原発における汚染水処理を受注しようとしていたことが容易に推認される。」(2) 原判決67頁2行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(オ) 控訴人は,被控訴人が控訴人に対してアバンテック社との連絡やアバンテック社に対する情報開示を秘し,これを殊更に隠ぺいした旨主張するが,被控訴人としては,下請先同士が直接接触すると,元請として案件全体の状況の把握が難しくなることから,特に理由がなければアバンテック社と控訴人とのコミュニケーションの必要がないと考えることは当然のことであり,被控訴人によるアバンテック社に対する情報の開示行為を殊更に隠ぺいしたものではない。 そして,被控訴人がアバンテック社に対して実際に行った情報の開示行為は,いずれも平成23年プロジェクトに係る多核種除去設備の検討の目的によるものであること,被控訴人は,控訴人を吸着剤の供給元と して,優先すべき先として考えており,控訴人を排除する意図など 年プロジェクトに係る多核種除去設備の検討の目的によるものであること,被控訴人は,控訴人を吸着剤の供給元と して,優先すべき先として考えており,控訴人を排除する意図など皆無であったこと,被控訴人が東京電力から平成23年プロジェクトに係る多核種除去設備の受注ができなければ,控訴人と被控訴人との間の取引も実現しないのであり,特に,廃棄容器や吸着塔の設備業者であるアバンテック社に対して,容器に入れる物質やプラントの全体像を理解してもらうことは,廃棄容器や吸着塔の設計の検討のためには必須であり,ひいては,控訴人からの吸着剤の供給の実現のためにも必須であったことなどからすれば,仮に控訴人主張の情報が控訴人の営業秘密に該当するとしても,被控訴人によるアバンテック社に対する当該情報の開示行為について図利加害目的があったということはできない。」 5 争点(5)(アバンテック社に対する情報の開示による本件パートナーシップ契約違反及び本件秘密保持契約違反の有無)について次のとおり訂正するほか,原判決67頁5行目から69頁2行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決67頁12行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「ウ当審における控訴人の主張(ア) 控訴人と被控訴人の間には,平成23年12月7日ころ,控訴人の送付した本件パートナーシップ契約案の別紙D(本件パートナーシップ契約では別紙Gと改題)を基本的内容とする秘密保持の合意が黙示に成立した。当該合意を確認し,条文化したものが,本件パートナーシップ契約16条の「秘密保持に関して,両当事者は,別紙Gに定める諸条件に合意する。」との規定である。 容とする秘密保持の合意が黙示に成立した。当該合意を確認し,条文化したものが,本件パートナーシップ契約16条の「秘密保持に関して,両当事者は,別紙Gに定める諸条件に合意する。」との規定である。 (イ) 被控訴人との間で本件秘密保持契約を締結したのは控訴人の日本法人の日本ピュロライトであるが,日本ピュロライトは,控訴人のためにも本件秘密保持契約を締結したのであるから,日本ピュロライトのみならず,控訴人も本件秘密保持契約の当事者である。」 (2) 原判決69頁2行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「ウ当審における控訴人の主張について(ア) 控訴人主張の黙示の秘密保持の合意が成立したことは否認する。 本件パートナーシップ契約書には,署名欄以外の頁にも1枚1枚署名がされている一方で,秘密保持契約に係る別紙Gには署名がされていない。 (イ) 日本ピュロライトの代表取締役社長αが,本件秘密保持契約の契約書(甲6の1)の当事者欄に,日本ピュロライトのためにすることを示して署名して意思表示を行っているのであるから,その当事者が日本ピュロライトのみであることは,明らかである。 仮にαが控訴人のために本件秘密保持契約を締結したものであったとしても,同人が日本ピュロライトのためにすることを示して本件秘密保持契約を締結したことから,被控訴人は,当然同契約の当事者は,控訴人日本法人であると認識しており,控訴人のためにされたなどという認識は全く有していなかった。」 6 争点(6)(一般不法行為の成否(当審における追加請求関係))について(控訴人の主張)控訴人と被控訴人は,福島第一原発における汚染水処理作業の実現に向けて協力体制をとることとし,平成23年10月5日付けで本件秘密保持契約及び同年12月10日付けで本件パート て(控訴人の主張)控訴人と被控訴人は,福島第一原発における汚染水処理作業の実現に向けて協力体制をとることとし,平成23年10月5日付けで本件秘密保持契約及び同年12月10日付けで本件パートナーシップ契約を締結した。その上で,控訴人は,被控訴人に対して,控訴人製の吸着剤サンプルを複数回にわたって提供するとともに,控訴人がイオン交換樹脂の専業事業者として30年以上にわたる研究と経験により,多大な労力及び費用を費やして獲得した知見及びノウハウをもとに開発した技術情報である「PuroliteCoreTechnology」を提供した。 「PuroliteCoreTechnology」は,NDレベルを達成した唯一無二の技術情 報であるのみならず,他のセシウム/塩分等前処理水多核種除去を含む多核種除去設備事業にも応用できるものであり,控訴人の事業の正に核となるものであるから,それ自体が独立した法的保護に値する価値を有するものである。 しかるところ,被控訴人は,控訴人から提供された「PuroliteCoreTechnology」を,控訴人に無断で第三者に開示したばかりか,これを利用して高性能ALPSの設計等をし,第三者とともに福島第一原発の放射能汚染水浄化プロジェクトに従事するに至ったものであり,これにより,控訴人は,甚大な損害を被った。 そして,被控訴人の一連の行為は,社会的に許容される限度を超えた悪質なものであるから,控訴人に対する不法行為を構成する。 (被控訴人の主張)不正競争防止法は,営業秘密の使用について,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に排他的な権利を認めるとともに,その排他的権利は,その性質上第三者に対して行為の適法性の限界を画するものであり,具体的な要件を定めて排他的権利の及ぶ範囲,限界を明 の範囲の者に対し,一定の要件の下に排他的な権利を認めるとともに,その排他的権利は,その性質上第三者に対して行為の適法性の限界を画するものであり,具体的な要件を定めて排他的権利の及ぶ範囲,限界を明らかにしている。そのため,ある情報が同法上の「営業秘密」に該当しない場合,当該情報の独占的な利用の利益は,法的保護の対象とはならない。 したがって,上記「営業秘密」に該当しない情報の利用行為は,同法が規律の対象とする営業秘密の使用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り,不法行為を構成するものではない(最高裁平成23年12月8日第一小法廷判決・民集65巻9号3275頁参照)。 しかるところ,控訴人主張の「PuroliteCoreTechnology」は,原告情報と同じ情報であると解されるところ,前述のとおり,被控訴人は,原告情報のうち,不使用情報群の情報を使用していないこと,原告情報のうち,不使用情報群の情報以外の情報は,いずれも公知であり,かつ,その組合せも含めて誰でも自由に利用できる情報であるから,法的保護の対象とはならない。一方,控 訴人は,被控訴人が使用したと主張する原告情報について,営業秘密の使用による利益とは異なる法的に保護された利益の侵害の主張をしていない。 以上によれば,控訴人の主張する被控訴人の行為について不法行為が成立する余地はない。 7 争点(7)(控訴人の損害額)について次のとおり訂正するほか,原判決69頁4行目から71頁21行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決70頁1行目の「(なお,」から3行目の「変更しない。)」までを削る。 (2) 原判決70頁12行目から末行までを削る。 (3) 原判決71頁15行目の「(平成27 用する。 (1) 原判決70頁1行目の「(なお,」から3行目の「変更しない。)」までを削る。 (2) 原判決70頁12行目から末行までを削る。 (3) 原判決71頁15行目の「(平成27年」から19行目の「変更しない。)」までを削る。 (4) 原判決71頁19行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「ウ一般不法行為に基づく控訴人の損害額本件パートナーシップ契約においては,PuroliteCoreTechnology の価格を損害賠償の予定額としているところ,被控訴人の不法行為により控訴人が被った損害は,正に「PuroliteCoreTechnology」の価値そのものであるから,上記損害額は,少なくとも本件パートナーシップ契約の損害賠償の予定額と同額の7億7744万2892米国ドルを下らない。また,かかる損害は,遅くとも被控訴人が控訴人からの提案である前処理の内容を記載した第1フローチャートをアバンテック社に開示した日である平成23(2011)年11月2日までに生じたものである。」第4 当裁判所の判断当裁判所は,控訴人の請求は,当審における追加請求を含め,いずれも理由がないものと判断する。その理由は,次のとおりである。 1 準拠法について 本件各損害賠償請求は,スイス法人である控訴人が,日本法人である被控訴人に対して,被控訴人が,控訴人の関与なく,福島第一原発における「高性能多核種除去設備」に係る事業を受注し,同設備の設計等を行ったことが控訴人と被控訴人間の本件パートナーシップ契約の債務不履行に当たること,被控訴人が控訴人から開示された控訴人の技術情報を無断で使用し,第三者に開示したことが控訴人の営業秘密の不正使用及び不正開示の不正競争に該当し,又は一般不法行為を構成するこ 債務不履行に当たること,被控訴人が控訴人から開示された控訴人の技術情報を無断で使用し,第三者に開示したことが控訴人の営業秘密の不正使用及び不正開示の不正競争に該当し,又は一般不法行為を構成することを理由とするものであり,渉外的要素を含むため,その準拠法を決定する必要がある。 そこで検討するに,本件パートナーシップ契約の債務不履行に基づく損害賠償請求については,控訴人及び被控訴人が本件パートナーシップ契約に係る準拠法を日本法とする旨合意しているので(本件パートナーシップ契約21条),法の適用に関する通則法7条の規定により,日本法が準拠法となるものと認められる。 次に,不正競争に基づく損害賠償請求については,不正競争が不法行為としての性質を有するものであるから,法の適用に関する通則法17条が適用されるものと解されるところ,控訴人の営業秘密の不正使用及び不正開示が日本国内で行われ,それによって控訴人の営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあることに基づくものであるから,同条の「加害行為の結果が発生した地」は,日本であると認められ,日本法が準拠法となるものと認められる。 同様に,一般不法行為に基づく損害賠償請求については,同条が適用され,同条の「加害行為の結果が発生した地」は,日本であると認められるから,日本法が準拠法となるものと認められる。 したがって,本件各損害賠償請求の準拠法は,いずれも日本法である。 2 争点(1)(被控訴人による平成25年実証事業の受注等についての本件パートナーシップ契約の本件排他的義務条項違反の有無)について(1) 認定事実 次のとおり訂正するほか,原判決71頁末行から88頁6行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決72頁3行目の「(ア)」の次に (1) 認定事実 次のとおり訂正するほか,原判決71頁末行から88頁6行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決72頁3行目の「(ア)」の次に以下のとおり加える。 「 平成23年3月11日,東北地方太平洋沖地震が発生した。同地震で発生した津波により,東京電力が設置運営する福島第一原発の原子炉6基のうち,1~4号機のタービン建屋等の地下階は海水に浸水された。 また,福島第一原発では,全電源を喪失し,炉心燃料を冷却することができなくなったため,原子炉に海水等を注入して炉心燃料を冷却するという措置が執られたが,冷却に使用された海水等が,原子炉及び原子炉格納容器の損傷によりタービン建屋に流出したため,タービン建屋に滞留する水には高濃度の放射性核種が含まれることとなり,さらに,タービン建屋,原子炉建屋等の損傷及び建屋周辺に設けられたサブドレンピット・ポンプの損傷により,継続的に雨水や地下水がタービン建屋等に流入する事態が生じた影響により,1~4号機の原子炉建屋等には高濃度の放射能汚染水が,5号機及び6号機の原子炉建屋等には,低濃度の放射能汚染水が滞留することとなった。」イ原判決72頁10行目から11行目にかけての「である既存設備」を「で構成される「既存設備」」と改め,同頁15行目の「処理水を」の次に「浄化して」を加える。 ウ原判決73頁13行目の「(ウ)」を「(イ)」と,同頁16行目の「(エ)」を「(ウ)」と,同頁22行目の「(オ)」を「(エ)」と,同行目の「既存設備から発生して保管されている」を「既存設備による処理後に保管されている」と改める。 エ原判決74頁2行目の「被告は,」の次に「同月30日,」を加え,同頁5行目から15行目までを削る。 オ原判決74頁16行 管されている」を「既存設備による処理後に保管されている」と改める。 エ原判決74頁2行目の「被告は,」の次に「同月30日,」を加え,同頁5行目から15行目までを削る。 オ原判決74頁16行目の「(カ)」を「(オ)」と,同頁21行目の「(キ)」 を「(カ)」と改める。 カ原判決74頁末行から75頁1行目までを次のとおり改める。 「(キ) 日本ピュロライトと被控訴人は,平成23年10月5日付けで本件秘密保持契約(甲6の1,甲6の2)を締結した(前記前提となる事実(8))。」キ原判決75頁9行目の「エ本件パートナーシップ契約締結に関する経緯等」を「エ本件パートナーシップ契約の締結に至る経緯等」と,同頁23行目の「浄化」を「浄化設備」と改める。 ク原判決76頁8行目の「標記」を「表記」と改める。 ケ原判決76頁11行目から14行目までを次のとおり改める。 「(オ) 被控訴人は,平成23年12月6日,控訴人からの依頼を受け,東京電力が作成した平成23年プロジェクト仕様書案の改訂第1版(H23.11.10rev.1)を日本ピュロライトに電子メールで送付した。これは,被控訴人が東京電力から正式な仕様書(同月19日付け平成23年プロジェクト仕様書。甲7)の提示を受けるのに先がけて入手していたものであった。(甲91)」コ原判決76頁18行目及び77頁6行目の各「(別紙Dで定義する)」をいずれも「(別紙D(原文・ExhibitD)で定義する)」と改める。 サ原判決77頁9行目の「プロジェクト範囲の定義」を「ExhibitD:プロジェクト範囲の定義」と,同頁21行目の「後記オ」を「後記カ」と改める。 シ原判決77頁23行目から79頁11行目までを次のとおり改める。 「オ本件パートナーシップ契約の ibitD:プロジェクト範囲の定義」と,同頁21行目の「後記オ」を「後記カ」と改める。 シ原判決77頁23行目から79頁11行目までを次のとおり改める。 「オ本件パートナーシップ契約の締結等(ア) 控訴人と被控訴人は,平成23年12月9日,控訴人代表者を交えて契約書の内容についての交渉を行い,その翌日の同月10日,丸紅を証人として,本件パートナーシップ契約書をもって,本件パ ートナーシップ契約を締結した(前記前提となる事実(10)。甲229の1,2)。 本件パートナーシップ契約書(原文甲4の1・訳文甲4の2)には,次のような条項の記載がある(同契約書中,「Purolite」は控訴人を,「HGNE」は被控訴人を指し,また,冒頭の「定義」を定める条項が「本件定義条項」,1条最終文の「条件」を定める条項が「本件停止条件条項」,2条1文から4文までの「本契約における独占的関係」に関する条項が「本件排他的義務条項」である。)。 「定義:本プロジェクト:(別紙A(原文・ExhibitA)で定義される)放射性物質によって汚染された水を,海洋への放出システムのために適用されるNDレベルまで汚染を処理すること及びそのサポートサービスPuroliteCoreTechnology:イオン交換及び・又は吸着媒体によって,(別紙B(原文・ExhibitB)で定義される)列挙された対象放射性物質であってそれぞれ列挙された濃度を有するものを,別紙D(原文・ExhibitD)に記載されているテスト方法により,NDレベルまで除去するもの流入水質:HGNE を通じてTEPCO から入手するとおりの福島第一原発における流入水の水質(別紙C(原文・ExhibitC)参照)検出不能レベルに達したことの確認を行う ルまで除去するもの流入水質:HGNE を通じてTEPCO から入手するとおりの福島第一原発における流入水の水質(別紙C(原文・ExhibitC)参照)検出不能レベルに達したことの確認を行うテスト方法(別紙D(原文・ExhibitD)参照)SupportService:Purolite は,PuroliteCoreTechnology の利用,保管,取扱いに関するマニュアルを提供する。また,Puroliteは,その従業員を現地に配置し,出口水を観測しPuroliteCore Technology に修正を加える必要があればその旨の勧告を行う。 発注書:発注書に関しては別紙F(原文・ExhibitF)で定義される。 第1条本契約の期間中,下記に定めるプロジェクト(以下「本プロジェクト」という。)に関して,Purolite は,福島第一原子力発電所における,汚染水の浄化作業に関して,HGNE に対して,PuroliteCoreTechnology 及びSupportService を独占的に提供し,HGNE は,福島第一原子力発電所における,汚染水の浄化作業に関して,Purolite からPuroliteCoreTechnology 及びSupportService を排他的に購入することを合意し,確認する。PuroliteCoreTechnology による浄化作業の対象となる廃水及び汚染物質は別紙H(原文・ExhibitH)に定めるとおりである。PuroliteCoreTechnology は,福島の試験地においてHGNE と共同で行う試験の完了時にPurolite が決定するものとする。 両当事者は,(i) Purolite がHGNE と共同で行う当初の水質試験 hnology は,福島の試験地においてHGNE と共同で行う試験の完了時にPurolite が決定するものとする。 両当事者は,(i) Purolite がHGNE と共同で行う当初の水質試験後に流入水パラメータに変化があった場合,及び/又は,(ii) 別紙D(原文・ExhibitD)の記載から変化が生じた場合には,Puroliteが選定するPuroliteCoreTechnology の吸着剤又はその配合比が,別紙F(原文・ExhibitF)に記載する価格決定計算式にしたがって変更されることに合意する。流入水質の変化を把握した際には,HGNE はPurolite に直ちにその旨を通知し,Purolite は新しい水質に対応すべくPuroliteCoreTechnology に変更を加える。 本契約は, HGNE 又はその継承者若しくは譲受人が東京電力株式会社(主たる営業所の所在地:(省略))(以下「TEPCO」という。)若しくはTEPCO が設立する特定目的事業体又は日本政府から本プロ ジェクト(上記に定義する。)を受注することを条件とする。 第2条(独占的関係)両当事者は,以下に記載する,本契約における独占的関係を遵守する。本プロジェクトに関して, Purolite は,HGNE 以外の者にPuroliteCoreTechnology 又はこれに類似若しくは相当する製品又は対策を,販売し,かつ,納入してはならず,HGNE は,Purolite以外の如何なる第三者からもPuroliteCoreTechnology に類似又は相当する製品又は対策を,購入せず,かつ受け入れてはならない。 疑義を避けるために付言すると,本契約における独占的関係は,本プロジェクトにおけるPuroliteCoreTec logy に類似又は相当する製品又は対策を,購入せず,かつ受け入れてはならない。 疑義を避けるために付言すると,本契約における独占的関係は,本プロジェクトにおけるPuroliteCoreTechnology の売買のみに関して適用され,両当事者で別途書面により合意しない限り,本契約の期間中にいずれかの当事者が行うその他の取引に適用されるものではない。さらに,本プロジェクトの存続期間中において,HGNE及び/又はその関係会社がPurolite の相手方であり,かつ,PuroliteCoreTechnology が第8条に定める保証内容に沿ったものである限り,Purolite の明確な書面による同意(その取締役会で承認されたものに限る。)なく,いかなる技術もPuroliteCoreTechnology に代わって使用されてはならない。PuroliteCoreTechnology がPurolite による保証内容を満たしていない場合には,Purolite は45日以内にかかる保証義務の違反を正す。 第3条(諸条件)1.本契約を条件として,HGNE は,TEPCO からの受注を受けた際,Purolite に対してPuroliteCoreTechnology の発注書を発行する。 2.Purolite は,TEPCO による条件に沿った内容の発注書を受領後,72時間以内に確認書を発行する。 3.Purolite は,HGNE に対して,別紙E(原文・ExhibitE)に,10年分のコアテクノロジーに関する年間運転費用の見積りを固定価格ベースで,また,解約時の請求金額として当該10年分の固定価格ベースでの費用のうちまだ未請求分の20%に相当する額を提示する。運転費用については,10年間にわたり各年度に 転費用の見積りを固定価格ベースで,また,解約時の請求金額として当該10年分の固定価格ベースでの費用のうちまだ未請求分の20%に相当する額を提示する。運転費用については,10年間にわたり各年度について四半期毎に請求が行われるが,1年目には請求日から45日以内に25%の保証金を前払いするものとし,その後の残高については四半期ごとに請求を行い,当該請求日から45日以内にこれを支払うものとする。 4.固定価格ベースでの年間運転費用については,HGNE から入手するとおりの,PuroliteCoreTechnology で一年間に行う除染作業の対象となる汚染水に含まれる汚染物質,その流速及び水量に応じた特定の流水パラメータ群に基づいて算出される。当該既定の流水及び運転パラメータに変化が生じた場合には,HGNE が支払義務を負うPuroliteCoreTechnology の運転費用に影響を及ぼす。費用の変動については(別紙F(原文・ExhibitF))記載の数式を用いて算出する。 第4条(製品の引渡し)Purolite は,共同体に対し,指定された日付までにPuroliteCoreTechnology を提供する。かかる製品の納入に関連して発生する費用はPurolite が負担する。Purolite は,本プロジェクトが存続する全期間中にわたって検出不能要件を満たすべくPuroliteCoreTechnology を維持しこれを供給する責任を負う。疑義を避けるために付言すると,Purolite は,いずれの設備,制御装置,ソフトウェア又はその他の技術的ハードウェアについて,その運転,設置又は保守について何らの責任も負わない。汚染物質を別紙B(原文・ ExhibitB )に規定するレベルまで除去するための フトウェア又はその他の技術的ハードウェアについて,その運転,設置又は保守について何らの責任も負わない。汚染物質を別紙B(原文・ ExhibitB )に規定するレベルまで除去するための適切な前処理設備の設置及びその保守についてはHGNE の責任とする。(以下略)第5条(検収)HGNE は,処理水が別紙B(原文・ExhibitB )に定義するとおりの検出不能レベルを達成している限りPuroliteCoreTechnologyの受入れを承認したものとみなす。 (中略)第7条(支払方法)1.第3.2条に定めるとおりにHGNE に対するTEPCO の発注の確認が行われた際には,Purolite は,HGNE に対し,PuroliteCoreTechnology の初年度の総運転費用の25%について,45日以内を支払期日とする請求書を発行する。初年度の運転費用の残りの75%については,四半期ごとに請求を行い,請求書の日付から45日以内を支払期日とする。 (中略)2.支払は米ドルで支払う。 3.HGNE が支払期日までに支払金額を全額支払わない場合には,未払部分について,支払期日から全額支払が完了するまでの間,年7%の利息が生じるものとする。 第8条(保証及び救済方法)1.Purolite は,本契約に基づいて提供されるPuroliteCoreTechnology について,第5条に定める検収日現在において,別紙B(原文・ExhibitB )に定める除染仕様を達成する目的に適したものであることを保証する。Purolite は,本条項において上記に定めるものを除き,自社製品に関して何らの保証も行わない。 2.PuroliteCoreTechnol に適したものであることを保証する。Purolite は,本条項において上記に定めるものを除き,自社製品に関して何らの保証も行わない。 2.PuroliteCoreTechnology が,本条に定めるPurolite の保証事項を満たしていない場合には,Purolite は60日以内にかかる保証違反を正す。(以下略)第9条(不正使用及び交換の禁止)HGNE は,Purolite の事前の書面による同意なくして,いかなる場合(PuroliteCoreTechnology の前処理を行う場合を含むがこれに限らない)であっても,PuroliteCoreTechnology について,全体的にも部分的にも,その複製,改変又は変更を行わないものとする。HGNE は,PuroliteCoreTechnology を,本プロジェクトの目的にのみ使用するものとし,それ以外の如何なる目的のためにもこれを使用しない。HGNE が本条に違反した場合には,不正使用されたPuroliteCoreTechnology について,第8条に定めるPurolite の保証は適用されないものとする。さらに,Purolite による保証事項に違反がありかかる保証の違反が60営業日以内に是正されなかった場合を除き,福島第一原発においてPuroliteCoreTechnologyの構成要素に代わるものとしてその他の如何なる物質も使用してはならない。 (中略)第12条(通知義務)いずれの当事者も,下記のいずれかが発生したこと又は発生することが差し迫っっていることを把握した場合には直ちに他方当事者にその旨通知する。 a)所在地,代表者,又は商号の変更(以下略)第13条(知的財産権)両当事者は,特許権,商 と又は発生することが差し迫っっていることを把握した場合には直ちに他方当事者にその旨通知する。 a)所在地,代表者,又は商号の変更(以下略)第13条(知的財産権)両当事者は,特許権,商標権,著作権,又は独占所有権を取得し ているPurolite/ HGNE の情報又は技術について,本契約によりその実施権が付与されるものではないことを確認する。 (中略)第15条(契約期間及び終了)1.本契約は,以下のとおりに両当事者がこれを締結した日付をもって効力を発するものとし,本プロジェクトが完了するまでその効力を維持するものとする。疑義を避けるために付言すると,HGNE 又はPurolite が本件プロジェクトにかかる事業を第三者に譲渡した場合には,当該当事者は,かかる第三者に本契約に基づく当該当事者の権利及び義務を承継させる義務を負うものとし,各当事者は本プロジェクトから撤退したとはみなされないものとする。 (以下略)第16条(秘密保持)秘密保持に関して,両当事者は,別紙Gに定める諸条件に合意する。 (中略)第19条(可分性及び見出し)本契約及び個別契約の各条項は,あらゆる適用法に従って可能な最大限の範囲において有効であると解釈される。本契約のいずれかの定め又は条件が無効又は違法であると判明した場合には,かかる無効性又は違法性は,本契約のその他の定め又は条件に何らの影響も与えず,これを損なわずかつ失効させず,当該無効又は違法な定め又は条件は本契約から削除されたものと解釈される。本契約に定める見出しは,当事者らの便宜のために付されたものであり,その定めの意味を決定するものとはみなされない。 (中略)第21 約から削除されたものと解釈される。本契約に定める見出しは,当事者らの便宜のために付されたものであり,その定めの意味を決定するものとはみなされない。 (中略)第21条(裁判管轄)両当事者は,本契約又は個別契約に関連して何らかの紛争が生じた場合,東京地方裁判所を第一審の専属的管轄裁判所とすることに合意する。本契約は日本法に準拠しこれに従って解釈されるものとする。(以下略)第22条(排他的義務に違反した場合の損害賠償金)HGNE 又はPurolite が第2条に定める排他的義務に違反した場合,他方当事者に対する損害賠償金を以下のとおりに算出し,HGNE 又はPurolite は,違反発生後60日以内に当該損害賠償金額を支払うものとする。 HGNE 又はPurolite の場合:HGNE は,PuroliteCoreTechnologyについて,当該特定のPuroliteCoreTechnology の研究開発のためにPurolite が莫大な投資額を投じたこと及びPuroliteCoreTechnology の生産に必要な資本投資がされたことを確認する。 Purolite は,PuroliteCoreTechnology をサポートするための設備のために及び当該システムを製造するための技術のためにHGNEが莫大な投資を行ったことを確認する。上記を踏まえて,HGNE 又はPurolite のいずれかが排他的義務に違反した場合には,違反した当事者は,他方当事者に対して,別紙F(原文・ExhibitF )に規定するPuroliteCoreTechnology の価格のその時点での残額を支払う。」(イ) 本件パートナーシップ契約書には,本文の末尾に別紙A ,別紙F(原文・ExhibitF )に規定するPuroliteCoreTechnology の価格のその時点での残額を支払う。」(イ) 本件パートナーシップ契約書には,本文の末尾に別紙A(「ExhibitA」)から別紙J(「ExhibitJ」)までの標題(別紙Aは「本プロジェクトの範囲の定義」,別紙Bは「除去すべき放射能物質のリスト及びPuroliteCoreTechnology により検出不能レベルを確認する放射能のリ スト」,別紙Cは「流入水の条件」,別紙Dは「検出不能を確認するテスト方法」,別紙Eは「発注書のサンプル」,別紙Fは「費用計算式」,別紙Gは「守秘義務契約」,別紙Hは「除染すべき汚染水及び汚染物質」,別紙Iは「テストの結果及びPurolite が決定する製品の仕様」,別紙Jは「福島における除染活動に関する状況の情報」)が記載されていたが,別紙自体は,いずれも添付されていなかった。これらの別紙は,平成23年プロジェクト仕様書の確定版の内容を確認した後に添付される予定であった。(前記前提となる事実(10)イ,甲4の1,2)。 (ウ) 本件パートナーシップ契約の締結に至るまでの交渉過程において,控訴人が被控訴人に対し,本件パートナーシップ契約の対象となる「本プロジェクト」が,平成23年プロジェクトに限られず,他のプロジェクトも含む旨を明示したことはなかったし,平成23年プロジェクトを失注した場合にその後,別のプロジェクトの受注に向けて控訴人と被控訴人が共同して行動する旨を明らかにしたこともなかった。 (エ) なお,平成23年9月から本件パートナーシップ契約締結までの間,東京電力の今後の在り方に関し,次のような報道がされていた。 同月16日の業界誌「電気新聞」(甲269)は,全国銀行協会 た。 (エ) なお,平成23年9月から本件パートナーシップ契約締結までの間,東京電力の今後の在り方に関し,次のような報道がされていた。 同月16日の業界誌「電気新聞」(甲269)は,全国銀行協会のβ会長(三菱東京UFJ銀行頭取)が,同月15日の定例会見で,東京電力の経営問題でγ経済産業相が金融機関による債権放棄の必要性に言及したことについて,「債権放棄に応じる考えは全くない」とあらためて強調し,また,銀行や株主が一定の負担を負うという考え方については,「重要な公益インフラを担う(東電のような)企業にはできるだけ協力するという姿勢に変わりはない。実際,3月の緊急融資実施などをはじめ,東電の経営維持に関する協力については金融機関のスタンスは一致している。ただ債権放棄というのは,軽々に応じられるようなものではない。」と述べたなどと報じた。 同年11月24日の「電気新聞」(甲270)は,同月4日,東京電力と原子力損害賠償支援機構が共同で策定した「緊急特別事業計画」が認定された,「緊急特別事業計画」は,今年度末までにまとめられる「総合特別事業計画」の策定までの,ある意味暫定的な計画となる,(東京電力の)当面の賠償資金の手当て不足という懸念は解消した格好だ,しかし来年度以降の経営をどう舵取りしていくかについては,「総合特別事業計画」策定作業の中で決まっていくことになる,「緊急特別事業計画は,東京電力を存続させるメッセージと読むことも,そうではないと読むこともできる印象だ,法的整理を含め,カードは政治が握っている」などと報じた(甲270)。 同年12月5日の「電気新聞」(甲271)には,「福島第一事故に伴う賠償費用は東電の経営に重くのしかかった」,「債務超過に陥る可能性も現実味を帯びた,国は賠償を円滑に進めるため,原子力損害賠 )。 同年12月5日の「電気新聞」(甲271)には,「福島第一事故に伴う賠償費用は東電の経営に重くのしかかった」,「債務超過に陥る可能性も現実味を帯びた,国は賠償を円滑に進めるため,原子力損害賠償支援機構法を制定(8月3日成立,10日施行),11月4日には国から東電に約9千億円が交付されることが決まり,賠償費用の手当てについてはひとまずめどが立った格好だ」などと報じた。 東京電力は,同月8日,同日付けの毎日新聞(甲272)において「東電実質国有化-資本注入1兆円来夏にも政府,改革を主導-」との報道がなされたことについて,「決まった事実はありません,当社といたしましては,まずは,徹底した経営合理化による費用削減や資金確保に取り組んでまいります」とのコメントを発表した。」ス原判決79頁12行目の「オ」を「カ」と改める。 セ原判決79頁13行目の「東京電力は,」から15行目の「行うこととした。」までを次のとおり改める。 「(ア) 東京電力は,平成23年12月21日付けで,平成23年多核種除去設備の設置に関する事業である平成23年プロジェクトの発注先 を検討するために事前価格調査を実施するので,購入追加仕様書(事前価格調査用)に基づいた事前見積書及び見積仕様書の提示を求める旨を記載した調査要領を発行した。」ソ原判決79頁20行目の「平成23年プロジェクト仕様書」の次に「(甲7)」を加え,同頁21行目の「そこでは,」から80頁1行目までを次のとおり改める。 「 そこでは,購入を予定する「多核種除去設備」は,①処理対象水移送設備一式,②処理対象水一時貯蔵設備1基,③多核種除去塔及び付属設備一式,④放射性廃棄物安定貯蔵化設備(必要に応じて遮蔽体を含む)一式,⑤多核種除去塔の設置ハウス一式(た 設備」は,①処理対象水移送設備一式,②処理対象水一時貯蔵設備1基,③多核種除去塔及び付属設備一式,④放射性廃棄物安定貯蔵化設備(必要に応じて遮蔽体を含む)一式,⑤多核種除去塔の設置ハウス一式(ただし,ハウスの基礎,堰は除く。)から構成されるものとされていた(2頁)。 また,平成23年プロジェクト仕様書には,「多核種除去設備」の機能に関する要求事項として,次のような記載がある(5頁)。」タ原判決81頁8行目の「平成23年プロジェクト仕様書」から11行目の「求められていた。」までを次のとおり改める。 「 平成23年プロジェクト仕様書では,多核種除去設備の「設計上考慮すべき事項」として,「i.設備の運転継続期間を設備設置後15年とし,これが合理的に達成可能な設計とすること。」が求められ(7頁),「d.…処理容量(通水容量)は,1日当たり500㎥以上とすること」(5頁)などが求められていた。」チ原判決81頁19行目の「検出限界値以下とある」を「検出限界値以下となる」と改める。 ツ原判決82頁6行目の「測定核種」を「測定対象核種」と,同頁15行目の「カ」を「キ」と,同頁18行目の「キ」を「ク」と改める。 テ原判決82頁19行目から20行目にかけての「プレゼンテーション」の次に「(甲8の1,2)」を加え,同頁22行目の「被告による」から 24行目から25行目にかけての「説明された。」までを次のとおり改める。 「被控訴人によるプレゼンテーションは,「RINXGT(GlobalTeam)による多核種除去設備のご提案」と題するもの(甲8の1)であり,そこでは,RINXの具体的な構成,特長と利点,これまでの実液試験の結果などが説明された。」ト原判決83頁19行目の「ク」を「ケ」と改める。 備のご提案」と題するもの(甲8の1)であり,そこでは,RINXの具体的な構成,特長と利点,これまでの実液試験の結果などが説明された。」ト原判決83頁19行目の「ク」を「ケ」と改める。 ナ原判決84頁16行目の「平成23年プロジェクト仕様書」の次に「(甲7)」を加える。 ニ原判決85頁15行目から16行目にかけての「事前価格調査文書であり,平成23年プロジェクト仕様書を添付したものを指すと認められる。」を「事前価格調査文書である。」と,同頁17行目の「秘密保持契約である。」を「秘密保持契約の契約条項である。」と,同頁22行目の「ケ」を「コ」と,同頁23行目の「東芝が平成23年プロジェクトを受注し,」を「東芝が東京電力から平成23年プロジェクトを受注し,」,同頁末行の「コ」を「サ」と改める。 ヌ原判決86頁6行目の「東京電力」を「TEPCO(東京電力)」と改める。 ネ原判決87頁21行目の「前記ク」を「前記ケ」と改める。 ノ原判決87頁24行目の「原告被告間において,」から25行目までを「控訴人と被控訴人との間において,それら別紙の取扱いが協議されたことはなかった。」と改める。 ハ原判決87頁末行から88頁3行目までを次のとおり改める。 「(ク) 経済産業省は,平成25年9月11日,本件処理対象水について多核種除去設備の実証実験である平成25年実証事業の補助事業者の公募をした(甲14)。 経済産業省は,平成25年10月10日,平成25年実証事業について,東京電力,東芝及び被控訴人を補助事業者に決定し(甲15),被控訴人は,その後,平成25年実証事業に取り組み,高性能ALPSの実機を設置するなどした(前記前提となる事実(16)ウ及びエ)。」ヒ原判決88頁4行 び被控訴人を補助事業者に決定し(甲15),被控訴人は,その後,平成25年実証事業に取り組み,高性能ALPSの実機を設置するなどした(前記前提となる事実(16)ウ及びエ)。」ヒ原判決88頁4行目から6行目までを次のとおり改める。 「(ケ) 控訴人の代理人弁護士は,平成26年6月20日ころ,被控訴人に対し,本件パートナーシップ契約に関して協議を依頼する旨の書面(甲20)を送付した。 被控訴人は,同年7月18日ころ,上記代理人弁護士に対し,本件パートナーシップ契約に関する事実確認を進めた結果,平成24年2月8日付けで,控訴人から本件パートナーシップ契約のExhibitA(別紙A)のドラフトを受領したものの,同月17日,福島第一原発の放射能汚染水処理に係るあるプロジェクトを他社が受注したため,これ以降,上記添付書類について交渉は行われず,上記添付書類は締結に至っていない事実が判明した旨回答した(甲23)。 (コ) 控訴人は,平成26年11月7日,原審に本件訴訟を提起した。」(2) 本件パートナーシップ契約の対象となる「本プロジェクト」の範囲等について次のとおり訂正するほか,原判決88頁9行目から100頁13行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決88頁9行目から17行目までを次のとおり改める。 「ア本件パートナーシップ契約書(甲4の1,2)の冒頭部分には,「定義」の見出しの下に,「本プロジェクト」を「(別紙A(原文・ExhibitA)で定義される)放射性物質によって汚染された水を,海洋への放出システムのために適用されるNDレベルまで汚染を処理すること及びそのサポートサービス」とする本件定義条項が設けられており,同条 項は,本件パートナーシップ契約の対象となる を,海洋への放出システムのために適用されるNDレベルまで汚染を処理すること及びそのサポートサービス」とする本件定義条項が設けられており,同条 項は,本件パートナーシップ契約の対象となるプロジェクトを定めたものと解される。一方で,控訴人及び被控訴人の代表者のそれぞれが署名をした本件パートナーシップ契約書には,本文で引用する別紙Aを含む各別紙が添付されておらず,本件パートナーシップ契約締結後も,これらの各別紙が添付され,控訴人及び被控訴人によって署名されることはなかった(前記(1)オ(イ),サ(キ))。」イ原判決89頁3行目の「前記(1)エ(ケ)」を「前記(1)オ(イ)」と改める。 ウ原判決89頁12行目の「少なくとも」から14行目までを「控訴人と被控訴人の間で,本件パートナーシップ契約の締結時点で,別紙Aに記載されることとなる事項を本件パートナーシップ契約の対象の「本プロジェクト」の範囲とすることについて合意が成立していたものと認めるのが相当である。」と改める。 エ原判決89頁16行目から23行目までを次のとおり改める。 「イ控訴人は,本件パートナーシップ契約の対象として合意された「本プロジェクト」は,「セシウム処理装置からの出口水及び/又は逆浸透膜装置(RO)及び/又は蒸発器からの濃縮水及び/又は出口水を対象とし,この対象汚染水における多核種を検出不能レベルまで浄化する。」という目的を達成するための発注を全て含むものであり,平成23年プロジェクトに限られず,本件実証事業も含まれる旨主張する。」オ原判決90頁6行目の「前記(1)ク(イ)a」を「前記(1)ケ(イ)a」と,同頁9行目の「前記(1)オ(イ)の「a.」」を「前記(1)カ(イ)の「a.」」と,同頁13行目から14行目にかけての「 オ原判決90頁6行目の「前記(1)ク(イ)a」を「前記(1)ケ(イ)a」と,同頁9行目の「前記(1)オ(イ)の「a.」」を「前記(1)カ(イ)の「a.」」と,同頁13行目から14行目にかけての「前記(1)オ(エ),同ク(イ)b~d及びg」を「前記(1)カ(エ),同ケ(イ)b~d及びg」と,同頁22行目から23行目にかけての「うかがわせる事情はない(前記(1)イ(オ))。」を「うかがわせる事情は存在しない。」と改める。 カ原判決91頁1行目の「前記(1)イ(オ),エ」を「前記(1)イ(オ),オ(ア)」と,同頁4行目の「前記(1)エ(コ)」を「前記(1)オ(ウ)」と,同頁14行目の「前記(1)オ(ウ)」を「前記(1)カ(ウ)」と改める。 キ原判決91頁14行目の「同仕様書の」から15行目の「「受注者は,」までを「同仕様書の「Ⅶ.運転及び維持管理」の「(2)維持管理」の項目には,「維持管理の実施に先立ち,受注者は,」と,同頁17行目の「提示された」を「先に提示された」と改める。 ク原判決92頁4行目の「前記(1)キ(イ)」を「前記(1)ク(イ)」と,同頁13行目の「本件パートナーシップ契約」を「本件パートナーシップ契約書(甲4の1,2)」と改める。 ケ原判決92頁16行目から93頁17行目までを次のとおり改める。 「(オ) 以上によれば,本件パートナーシップ契約締結当時,本件処理水に関する多核種除去のためのプロジェクトとして具体的に想定されていたものは平成23年プロジェクトのみであったこと,控訴人と被控訴人の間では,平成23年プロジェクトの受注を想定して本件パートナーシップ契約締結に向けての交渉等がされていたことが認められるが,他方で,その交渉過程において,控訴人が被控訴人に対し,本件パートナーシップ契約の対象と 3年プロジェクトの受注を想定して本件パートナーシップ契約締結に向けての交渉等がされていたことが認められるが,他方で,その交渉過程において,控訴人が被控訴人に対し,本件パートナーシップ契約の対象となるプロジェクトが平成23年プロジェクトに限られず,他のプロジェクトも含む旨を明示したことはなかったことが認められる。そして,控訴人が本件パートナーシップ契約締結後の平成24年2月8日に被控訴人に対し送付した別紙AないしD,F及びHの草案の内容(甲11の1の1~7の2)等に照らしても,本件パートナーシップ契約は,個別のプロジェクトである平成23年プロジェクトにおける詳細で具体的な諸条件を,その契約の内容とすることを前提として締結されたものと認められる。 以上の事実関係に照らせば,本件パートナーシップ契約は,平成2 3年プロジェクトに関して締結されたものと認めるのが相当である。 そして,平成23年多核種除去設備は,その後長期間の運転を予定したものであり,控訴人及び被控訴人も,平成23年多核種除去設備の運転及び維持管理,すなわち,同設備による汚染水処理を長期にわたり共同して行うことを予定していたと認められることに鑑みれば,控訴人及び被控訴人は,平成23年プロジェクトとその後の同設備の運転及び維持管理を一体のプロジェクトと考えていたものと認められる。 そうすると,本件定義条項に記載されている「(別紙Aで定義される)放射性物質によって汚染された水を,海洋への放出システムのために適用されるNDレベルまで汚染を処理すること及びそのサポートサービス」及び別紙Aに記載されている「福島第一原子力発電所に所在する放射性物質で汚染された水を検出限界値以下レベルまで浄化処理すること」とは,平成23年多核種除去設備による汚染水処理を指し,具体的に ビス」及び別紙Aに記載されている「福島第一原子力発電所に所在する放射性物質で汚染された水を検出限界値以下レベルまで浄化処理すること」とは,平成23年多核種除去設備による汚染水処理を指し,具体的には,平成23年プロジェクトを受注した場合における多核種除去設備の設置及び同設備の設置に伴い従事することが想定される同設備の「運転及び維持管理」を意味するものと認められる。 以上によれば,本件パートナーシップ契約の本件定義条項で規定する「本プロジェクト」とは,平成23年プロジェクトに係る多核種除去設備の設置並びに同設備の運転及び維持管理による汚染水処理のプロジェクトをいうものと解するのが相当である。 したがって,本件パートナーシップ契約の対象として合意された「本プロジェクト」は,「セシウム処理装置からの出口水及び/又は逆浸透膜装置(RO)及び/又は蒸発器からの濃縮水及び/又は出口水を対象とし,この対象汚染水における多核種を検出不能レベルまで浄化する。」という目的を達成するための発注を全て含むものであり,平成23年プロジェクトに限られず,平成25年実証事業も含まれると の控訴人の主張は,理由がない。」コ原判決93頁18行目から21行目までを次のとおり改める。 「ウ(ア) 控訴人は,平成23年プロジェクトが短期のものである一方,本件パートナーシップ契約の契約期間は,10年分の年間運転費用の見積りを提示し(3条3項),また,当事者のいずれかが事業譲渡した場合の扱いを定める(15条1項)など長期を想定していることからすれば,本件パートナーシップ契約の対象は平成23年プロジェクトに限られない旨主張する。」サ原判決93頁26行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。」シ ップ契約の対象は平成23年プロジェクトに限られない旨主張する。」サ原判決93頁26行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。」シ原判決94頁11行目の「そして」から13行目の「に照らせば,」までを「そして,平成23年後半には,福島第一原発の事故処理と損害賠償を巡って,東京電力の国有化や法的整理の可能性も取り沙汰され,東京電力の今後の在り方は未だ流動的であったという当時の状況(前記(1)オ(エ))に照らせば,」と改める。 ス原判決95頁17行目の「判明した後に開始された」を「判明したことを契機として開始された」と,同頁19行目から20行目にかけての「平成23年プロジェクトのみであること」を「平成23年プロジェクトだけであったこと」と改める。 セ原判決96頁11行目から12行目にかけての「前記(1)エ(コ)」を「前記(1)オ(ウ)」と改める。 ソ原判決97頁10行目の「前記(1)ク(イ)b,d及びg」を「前記(1)ケ(イ)b,d及びg」と改める。 タ原判決98頁13行目の「前記コ(オ)」を「前記サ(オ)」と改める。 チ原判決99頁2行目から3行目にかけての「前記(1)コ(イ)及び(ウ)」を「前記(1)サ(イ)及び(ウ)」と,18行目の「前記(1)コ(カ)」を「前記 (1)サ(カ)」と改める。 ツ原判決99頁22行目から100頁13行目までを次のとおり改める。 「エ以上のとおり,本件パートナーシップ契約の「本プロジェクト」とは,平成23年プロジェクトに係る多核種除去設備の設置並びに同設備の運転及び維持管理による汚染水処理のプロジェクトをいうものと認めるのが相当であるから,平成25年実証事業は,本件パートナーシップ契約の「本プロジェクト」に含 に係る多核種除去設備の設置並びに同設備の運転及び維持管理による汚染水処理のプロジェクトをいうものと認めるのが相当であるから,平成25年実証事業は,本件パートナーシップ契約の「本プロジェクト」に含まれない。 そうすると,平成25年実証事業が本件パートナーシップ契約の「本プロジェクト」の対象に含まれることを前提として,被控訴人が平成25年実証事業に係る高性能ALPSを受注し,同設備の設計等を行ったことが,本件パートナーシップ契約に定める本件排他的義務条項違反に当たる旨の控訴人の主張は,その前提を欠くものであり,理由がない。」オ当審における控訴人の主張について控訴人は,①本件パートナーシップ契約書の条項の文言,本件パートナーシップ契約締結の動機・目的,契約交渉の過程及び契約締結後の事情等を考慮すれば,本件パートナーシップ契約の「本プロジェクト」の範囲は,発注の時期にかかわらず,福島第一原発において,およそ,「セシウム処理装置からの出口水及び/又は逆浸透膜装置(RO)及び/又は蒸発器からの濃縮水及び/又は出口水を対象とし,この対象汚染水における多核種を検出不能レベルまで浄化する。」という目的を達成するための発注を全て含むプロジェクトであると解すべきであり,平成23年プロジェクトに限られないこと,②平成23年プロジェクトと平成25年実証事業は,別個独立のプロジェクトではなく,両プロジェクトは一連一体のものであることからすると,平成25年実証事業は「本プロジェクト」に含まれると解すべきである旨 主張する。 しかしながら,控訴人の主張は,以下のとおり理由がない。 (ア) 上記①の点に関し控訴人は,本件パートナーシップ契約の「本プロジェクト」が平成23年プロジェクトに限られないと解すべきであるこ しかしながら,控訴人の主張は,以下のとおり理由がない。 (ア) 上記①の点に関し控訴人は,本件パートナーシップ契約の「本プロジェクト」が平成23年プロジェクトに限られないと解すべきであることの根拠として,㋐本件パートナーシップ契約の本件定義条項は,「本プロジェクト」を「放射性物質によって汚染された水を,海洋への放出システムのために適用されるNDレベルまで汚染を処理すること及びそのサポートサービス」と定義しており,本プロジェクトが平成23年プロジェクトに限定されると解すべき文言上の根拠はないこと,㋑本件パートナーシップ契約の交渉過程において,控訴人及び被控訴人は,いずれも,「本プロジェクト」について発注主体や発注時期等を明記することで特定の発注案件に限定することを意図した形跡がないこと,㋒控訴人及び被控訴人が本件処理対象水の処理完了までパートナーとして本件処理対象水に関する汚染水処理事業に参画する機会を確保できるよう,あえて広範な定義を置こうとしたことは合理的であること,㋓被控訴人が,単独で本件処理対象水の浄化プロセスの開発・運営を行うことは不可能であり,控訴人の技術情報を平成23年プロジェクトの失注後も独占する必要があったから,両者の排他的な協働関係を特定の発注にのみ限定すべき理由はなかったこと,㋔仮に「本プロジェクト」を平成23年プロジェクトという特定の発注案件に限定するのであれば,契約書にパートナーシップ関係が平成23年プロジェクトに限ると明記する以外にも,当時,被控訴人は,東京電力から平成23年プロジェクトの発注仕様書案(甲91,92)を入手していたのであるから,仕様書案自体を添付し,又は引用するなどといった直截かつ容易な方法があっ たにもかかわらず,これらの方法が採られなかったことなどを挙げる。 (甲91,92)を入手していたのであるから,仕様書案自体を添付し,又は引用するなどといった直截かつ容易な方法があっ たにもかかわらず,これらの方法が採られなかったことなどを挙げる。 そこで検討するに,本件パートナーシップ契約書の本件定義条項の「本プロジェクト:(別紙A(原文・ExhibitA)で定義される)放射性物質によって汚染された水を,海洋への放出システムのために適用されるNDレベルまで汚染を処理すること及びそのサポートサービス」との文言によれば,「本プロジェクト」とは,「放射性物質によって汚染された水を,海洋への放出システムのために適用されるNDレベルまで汚染を処理すること及びそのサポートサービス」をいい,その具体的な内容は,別紙A(原文・ExhibitA)で定義されるものと理解することができる。しかるところ,本件パートナーシップ契約書の本文の末尾に「ExhibitA:本プロジェクトの範囲の定義」との記載があるが,別紙A自体は,本件パートナーシップ契約締結当時から添付されておらず,その後も添付されることがなかったことからすれば,本件定義条項の文言のみから,「本プロジェクトの範囲」を定めることはできない。 次に,前記イ及びウで説示したとおり,東京電力は,福島第一原発の高濃度汚染水等の処理について,既存設備による処理後の処理水(本件処理対象水)に含まれる放射性核種を海洋放出可能なレベルまで除去する処理を行う施設である多核種除去設備を設置することとし,平成23年9月22日,被控訴人を含む数社に対し,同設備の発注予定があることを告げて,見積対応する意思の有無を照会し,被控訴人は,上記照会に対して見積対応する意思がある旨を回答し,同設備の受注に向け,実際の高濃度汚染水を用いた実液試験を行う計画を立てたこと,その あることを告げて,見積対応する意思の有無を照会し,被控訴人は,上記照会に対して見積対応する意思がある旨を回答し,同設備の受注に向け,実際の高濃度汚染水を用いた実液試験を行う計画を立てたこと,その後,東京電力は,同年12月21日付けで,平成23年多核種除去設備の設置に関する事業(平成23 年プロジェクト)の発注先を検討するための事前調査を行うこととし,その調査要領には,平成23年プロジェクト仕様書が添付されていたこと,控訴人と被控訴人間の本件パートナーシップ契約に関する交渉は,東京電力が平成23年プロジェクトという具体的なプロジェクトを発注する予定であることが判明したことを契機として同年11月以降に開始されたものであり,その交渉開始から本件パートナーシップ契約が締結された同年12月9日の時点までの間に,本件処理対象水からの多核種除去に関して具体化していたプロジェクトは,平成23年プロジェクトだけであったこと,本件パートナーシップ契約書には,別紙Aを含む各別紙は添付されなかったが,控訴人が本件パートナーシップ契約締結後の平成24年2月8日に被控訴人に対し送付した別紙Aを含む各別紙の草案のうち,別紙Aの草案は,平成23年プロジェクト仕様書そのものを引用するものではないが,本プロジェクトの処理対象水を平成23年プロジェクトにおける処理対象水とする旨を定めていること,別紙BないしDの草案は,詳細で具体的な平成23年プロジェクト仕様書の別紙と基本的に同じ内容のものであること,別紙Fは控訴人の吸着剤を利用した汚染水処理に要する費用に関するものであり,平成23年プロジェクト仕様書を引用して汚染水の処理量を設定していること,東芝が同月17日に東京電力から平成23年プロジェクトを受注したため,被控訴人は同プロジェクトを失注したこと,控 ものであり,平成23年プロジェクト仕様書を引用して汚染水の処理量を設定していること,東芝が同月17日に東京電力から平成23年プロジェクトを受注したため,被控訴人は同プロジェクトを失注したこと,控訴人が被控訴人に対し別紙Aを含む各別紙の草案を送付してから被控訴人が失注するまでの間,本件パートナーシップ契約の別紙Aを含む各別紙が作成されることはなく,その後も,控訴人と被控訴人間で上記草案の取扱いについて協議がされることはなかったことからすると,控訴人と被控訴人は,平成23年プロジェクトを念頭において契約 交渉に臨んでおり,契約書に仕様書等を添付するまでもなく,本件パートナーシップ契約の対象となる「本プロジェクト」は平成23年プロジェクトであることを当然の前提としていたものと認められる。 加えて,本件パートナーシップ契約書中には,被控訴人が東京電力から受注を受けた際に控訴人に対して発注書を発行し,控訴人は,東京電力による条件に沿った内容の発注書を受領後72時間内に確認書を発行すること(3条1項,2項)など,「本プロジェクト」に関し,東京電力から個別の取引の受注があることを想定した条項が存在すること,他方で,本件パートナーシップ契約書中に,「本契約」は,「東京電力若しくは東京電力が設立する特定目的事業体又は日本政府」から「本プロジェクト(上記に定義する。)」を受注することを条件とする旨の条項があり(1条最終文),「本プロジェクト」の発注主体が,契約交渉当初の案の東京電力から「東京電力若しくは東京電力が設立する特定目的事業体又は日本政府」に変更された経緯があるが,前記ウ(イ)認定のとおり,平成23年後半時点において,東京電力の今後の在り方は未だ流動的であり,平成23年プロジェクトの発注主体が東京電力本体以外の主体となる可 政府」に変更された経緯があるが,前記ウ(イ)認定のとおり,平成23年後半時点において,東京電力の今後の在り方は未だ流動的であり,平成23年プロジェクトの発注主体が東京電力本体以外の主体となる可能性もあり得たのであるから,上記変更は,本件パートナーシップ契約の「本プロジェクト」が平成23年プロジェクトであることと矛盾するものではないこと(前記ウ(イ))に照らすと,控訴人が挙げる上記㋐ないし㋔は,いずれも本件パートナーシップ契約の「本プロジェクト」が平成23年プロジェクトに限られないことの根拠となるものではない。 (イ) 上記②の点に関し前記(1)の認定事実によれば,平成23年プロジェクトと平成25 年実証事業は,別個独立のプロジェクトであることは明らかであり,平成25年実証事業が,平成23年プロジェクトにおいて採用された既存ALPSが,大量の廃棄物を発生させ,4核種についてND値を達成できない等の課題を抱えていたことから(甲13・4頁及び6頁),日本政府が,かかる課題を解決するための研究開発を国の財政措置の下で行わせる目的で行われたものであるからといって,平成23年プロジェクトとは別のプロジェクトであることが否定されることにはならない。 したがって,両プロジェクトは一連一体のものであるとの控訴人の主張は理由がない。」 3 争点(2)(被控訴人による高性能ALPSの設計等についての不正競争防止法2条1項7号の不正競争の成否)について(1) 認定事実次のとおり訂正するほか,原判決100頁17行目から113頁18行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決100頁17行目の「前記前提となる事実,」の次に「前記2(1)の認定事実と」を加える。 イ原判決100頁21行 頁18行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決100頁17行目の「前記前提となる事実,」の次に「前記2(1)の認定事実と」を加える。 イ原判決100頁21行目から22行目までを次のとおり改める。 「(ア) 被控訴人は,東北地方太平洋沖地震発生後の平成23年3月末以降,福島第一原発の1~4号機の原子炉建屋等に滞留している高濃度汚染水等の処理について,様々な吸着剤メーカーの吸着剤について除去性能試験を実施していた(乙95,140)。」ウ原判決102頁6行目の「原告から」から7行目までを「控訴人から具体的な情報を示されたことはなかった。」と改め,同頁10行目の「ホット試験」の次に「(疑似汚染水を使用した試験)」を加える。 エ原判決102頁16行目の「(ア)」の次に以下のとおり加える。 「 被控訴人と控訴人は,平成24年2月3日,東京電力に対してプレゼンテーションを行い,多核種除去設備「RINX」を提案した。」オ原判決103頁1行目の「pH値を8~9に」を「pH値を8.5~9. 5に」と,同頁25行目の「実際に」から末行末尾までを「実際にそのような試験が行われなかった。」と改める。 カ原判決104頁8行目から19行目までを次のとおり改める。 「 控訴人は,平成24年に米国アリゾナ州トゥーソンで開催された米国電力研究所の国際低レベル放射性廃棄物会議(平成24年米国電力研究所会議)において,「福島の原子炉冷却水-高硬度の放射性の水中の62種の放射性核種を検出限界値以下のレベルまで削減するプログラム」とのテーマで,福島第一原発における多核種を含む放射能汚染水の処理に関する発表を行った。 同発表におけるプレゼンテーション資料(アリゾナ資料)には,「原 のレベルまで削減するプログラム」とのテーマで,福島第一原発における多核種を含む放射能汚染水の処理に関する発表を行った。 同発表におけるプレゼンテーション資料(アリゾナ資料)には,「原子力冷却水の浄化」の項目に「・当社は契約を獲得できなかったが,当社(と日本のパートナー)は,原子力冷却水及び濃縮された貯留水からの62種の放射性核種の除去に関する東京電力の目標値に達成した。」,「本プレゼンテーションは,状況を把握し,浄化目標を達成する計画を設定するために用いられるプロセスを簡単に述べるものである。」などと記載され,福島第一原発における放射能汚染水の浄化に関し,「CoreTechnology」として,硬度処理・沈殿処理を行った後,セシウム,ストロンチウム,重金属,ヨウ素・テクネチウム,遷移金属をこの順に除去し,最終ポリッシングを行う構成が記載され,吸着剤として,Cs4000,Sr4000などを用いることが記載され,また,模擬水試験において,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●などが記載されている。」 キ原判決104頁25行目の「次のとおりであると認められる。」を「次のとおりである。」と改める。 ク原判決107頁2行目の「実施をすることとされていた」の次に「(甲14)」を加える。 (2) 高性能ALPSの設計に当たり使用が想定されない情報について(争点(2)ウ(被控訴人による控訴人の営業秘密の使用の有無)関係)次のとおり訂正するほか,原判決113頁21行目から120頁2行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決113頁25行目の「ここで,以下のイ~シのとおり,」を「以下のとおり,」と り訂正するほか,原判決113頁21行目から120頁2行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決113頁25行目の「ここで,以下のイ~シのとおり,」を「以下のとおり,」と改める。 イ原判決115頁6行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 なお,原告情報1⑤のうち「その他右記証拠記載の技術情報」は,対象となる技術情報が第三者に識別可能な程度にまで具体化されていないから,営業秘密としての特定を欠くものと認められる。」ウ原判決115頁17行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 なお,原告情報2④のうち「その他右記証拠記載の技術情報」は,対象となる技術情報が第三者に識別可能な程度にまで具体化されていないから,営業秘密としての特定を欠くものと認められる。」エ原判決116頁2行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 なお,原告情報2⑤のうち「その他右記証拠記載の技術情報」は,対象となる技術情報が第三者に識別可能な程度にまで具体化されていないから,営業秘密としての特定を欠くものと認められる。」オ原判決118頁25行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 なお,原告情報6②のうち「その他右記証拠記載の技術情報」は,対象となる技術情報が第三者に識別可能な程度にまで具体化されていないから,営業秘密としての特定を欠くものと認められる。」 カ原判決118頁25行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 なお,原告情報6③のうち「その他右記証拠記載の技術情報」は,対象となる技術情報が第三者に識別可能な程度にまで具体化されていないから,営業秘密としての特定を欠くものと認められる。」キ原判決119頁13行目末尾に行を改め その他右記証拠記載の技術情報」は,対象となる技術情報が第三者に識別可能な程度にまで具体化されていないから,営業秘密としての特定を欠くものと認められる。」キ原判決119頁13行目末尾に行を改めて「ス小括」と加え,同頁14行目の「ス」を削る。 ク原判決120頁2行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「セ控訴人の主張について控訴人は,不正競争防止法において保護される「営業秘密」は,「競業他社から守られるべき価値のある情報」であり,入手するために「それ相応の費用や時間等が掛かる」情報であれば,「事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」であって,営業秘密として保護に値することからすると,ある情報について,不正競争防止法上の「使用」があるか否かは,当該情報によって,費用や時間等が節約できたか否かによって判断されるべきであるとした上で,①原告情報1②,原告情報1③及び原告情報1⑤は,凝集沈殿処理による前処理に関するものであるが,かかる前処理を行わない多核種除去プロセスを開発するに当たっては,既存ALPSにおいて問題を引き起こしている凝集沈殿処理による前処理の有用性や必要性,仕組み等を理解した上で,前処理を行わなくても所要の成果を挙げ得る多核種除去装置を開発する必要があったから,高性能ALPSが凝集沈殿処理による前処理を行わないとの方針のもとに開発されたものであるからといって,被控訴人がRINX開発時に控訴人から得た凝縮沈殿処理に関する上記各原告情報を使用しなかったことにはならない,②原告情報2④及び原告情報2⑤は,高性能ALPSで採用されなかった控訴人製の吸着剤であるSr4000及びCs4000に関する情報であるが,競合他社は, 控訴人が福島第一原発の汚染水処理のために特別に開発したSr4000及び 能ALPSで採用されなかった控訴人製の吸着剤であるSr4000及びCs4000に関する情報であるが,競合他社は, 控訴人が福島第一原発の汚染水処理のために特別に開発したSr4000及びCs4000の仕様やその効率的な使用方法等の情報を参考にすれば,より容易にかつより短期間で,同等製品又はより有用な吸着剤を開発し,製造することができるし,また,仮にSr4000及びCs4000自体を実際には使用しなかったとしても,原告情報2④及び原告情報2⑤は,費用及び時間等の節約につながることは明らかであるから,高性能ALPSの開発段階において,被控訴人が原告情報2④及び原告情報2⑤を使用していないということはできない,③原告情報4③,原告情報5①,原告情報6①,原告情報6②及び原告情報6③は,吸着塔の配列デザイン等に関する情報であるが,かかる情報は,他社製の吸着剤を用いる場合においても,配列の参考にしたり,ネガティブデータとして利用したりすることもあり得るから,有用であり,価値がある情報であるから,高性能ALPSの最終的な構成において控訴人の吸着剤を使用していない,あるいは,最終的な吸着塔の配列デザインとは異なることのみを理由に,上記各原告情報を使用していないと判断することは誤りである旨主張する。 しかしながら,上記①の点については,高性能ALPSは,既存ALPSにおける凝集沈殿による前処理によって,スラッジが大量に発生したことを踏まえ,当該前処理をしないとの方針のもとに開発されたものであるから,凝集沈殿処理による前処理に関する情報(原告情報1②,原告情報1③及び原告情報1⑤)を使用したものとは認められない。 上記②の点については,控訴人が提供したSr4000は特殊金属官能基を含む化合物(乙114の1・訳文乙114の2)であり,C 報1②,原告情報1③及び原告情報1⑤)を使用したものとは認められない。 上記②の点については,控訴人が提供したSr4000は特殊金属官能基を含む化合物(乙114の1・訳文乙114の2)であり,Cs4000はヘキサシアノ鉄酸カリウムである(甲58)ところ,被控訴人が高性能ALPSにおいて採用したCs/Sr同時吸着剤はチ タンケイ酸塩化合物(甲18,乙78)であって,Sr4000及びCs4000とは主成分が異なるものである。そして,被控訴人がCs/Sr同時吸着剤を開発するに当たって,原告情報2④,原告情報2⑤,原告情報2⑥,原告情報6①,原告情報6②及び原告情報6③を参考にしたことによって,より容易にかつ短期間で,有効な吸着剤を開発できたことを認めるに足りる証拠はない。 上記③の点については,被控訴人が高性能ALPSの吸着塔の配列デザインの設計に当たり,原告情報4③,原告情報5①,原告情報6①,原告情報6②及び原告情報6③を吸着塔の配列の参考にし,又はネガティブデータとして利用することによって,より容易にかつ短期間で,高性能ALPSにおける吸着塔の配列デザインを設計することができたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。」(3) 原告情報のうち,不使用情報群の情報以外の情報の非公知性等について(争点(2)ア(原告情報の営業秘密該当性)関係等)次のとおり訂正するほか,原判決120頁5行目から135頁3行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決121頁22行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 なお,原告情報1①のうち「右記証拠記載の技術情報」は,対象となる技術情報が第三者に識別可能な程度にまで具体化されていないから,営 決121頁22行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 なお,原告情報1①のうち「右記証拠記載の技術情報」は,対象となる技術情報が第三者に識別可能な程度にまで具体化されていないから,営業秘密としての特定を欠くものと認められる。」イ原判決129頁15行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 なお,原告情報3①のうち「右記証拠記載の技術情報」は,対象となる技術情報が第三者に識別可能な程度にまで具体化されていないから,営業秘密としての特定を欠くものと認められる。」(4) 営業秘密の不正使用の不正競争の成否について 次のとおり訂正するほか,原判決135頁6行目から143頁19行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決136頁16行目の「平成25年9月の時点で,」を「被控訴人,東京電力及び東芝が平成25年実証事業の補助事業者に採用される前の平成25年9月の時点で,」と改める。 イ原判決137頁2行目の「情報として具体的に摘示していないもの」を「情報として具体的に摘示していないもの(前記(2)エないしカ,サ及びシ)」と改める。 ウ原判決143頁16行目から19行目までを次のとおり改める。 「キ(ア) さらに,控訴人は,①原告情報に含まれる個別の技術情報や原告情報のうちのいくつかが文献等で個別に公表されたからといって,誰もが膨大な情報の中に散在するそれらの情報を取捨選択し,集約して,放射性核種をNDレベルまで減少させる総合的なシステムを構築し,運用することができるようになるわけではなく,各原告情報及び原告情報全体は,それぞれその全体が福島第一原発における汚染水からの多核種除去の目的を達成するためのまとまった解決策として,有機的に機能する各技術情報の組合せや集 になるわけではなく,各原告情報及び原告情報全体は,それぞれその全体が福島第一原発における汚染水からの多核種除去の目的を達成するためのまとまった解決策として,有機的に機能する各技術情報の組合せや集積である点に意味があるのであって,これらの情報を短期間で全て入手し,有機的に組み合わせることは,至難の業であるから,単に,個別の技術情報が文献等に掲載されていることのみをもって,原告情報の非公知性を否定することはできない,②また,仮に控訴人の営業秘密を構成する各技術情報が汚染水からの多核種除去と全く別の目的の装置や技術に関する文献においてその一部が言及されていたとしても,それが多核種除去において有効な手法かどうかはわからないから,当該技術情報が,汚染水からの多核種除去に有益な情報として公知であったとはいえないし,③さらに,汚染水処理システムの構築の 上で考慮すべき各要素の全部又は一部が公知であったとしても,各要素を全体のバランスを見てそれぞれ調整することは,非公知であった旨主張する。 しかしながら,原告情報のうち,不使用情報群以外の情報は,汚染水処理における各種の考慮要素に関わるものであって,いずれも平成25年9月までに公然と知られていた情報であり(前記イ),これらの考慮要素自体は,汚染水処理において自明の課題というべきものであること,これらの情報を開示する文献等も放射性物質除去に関する文献であること(前記(3)),被控訴人は,平成23年プロジェクトに関与するよりも前から,福島第一原発における汚染水処理に深く関わり,平成23年10月までに,独自に,東京電力に対して個別の放射線核種に対応した複数の吸着剤を使用し,Cs及びSrをそれぞれ複数の吸着塔で除去する設備を提案するなど,汚染水処理に関して,既に相当の知見等を有していたこ までに,独自に,東京電力に対して個別の放射線核種に対応した複数の吸着剤を使用し,Cs及びSrをそれぞれ複数の吸着塔で除去する設備を提案するなど,汚染水処理に関して,既に相当の知見等を有していたこと(前記ウ,エ)に照らすと,不使用情報群以外の情報を有機的に組み合わせて使用することに格別の困難があったものと認めることはできないから,控訴人の上記主張は採用することができない。 (イ) 控訴人は,①平成24年米国電力研究所会議で使用されたアリゾナ資料は,控訴人が福島第一原発の汚染水処理を受注するために行った活動の概要を紹介することを目的として作成されたものであって,控訴人が開発した多核種処理システムの最終的な構成に必要不可欠な要素は記載されておらず,アリゾナ資料の内容を知ったからといって,それ以外の情報や知見,創意工夫がなければ,商業的な実施はできない,②不正競争防止法上の非公知性を判断するに当たっては,競業他社にとって,入手に費用や時間等を要するか,あるいはライセンスを受ける必要があるというような入手困難性があ るか否かによって判断すべきであり,非公知性は,情報の保有者とそれを使用した者との関係により相対的に判断されるべきであるところ,被控訴人はそもそも平成24年米国電力研究所会議に出席しておらず,同会議により何らかの情報を取得したという経緯はないこと,被控訴人がアリゾナ資料を証拠として提出したのは,本件訴訟提起から約1年半もの期間が経過した後であることからすると,アリゾナ資料の内容は,これを取得するために相当の労力,費用又は時間がかかるものであるといえるから,アリゾナ資料に係る発表及びアリゾナ資料にアクセスし得べき者であったとはいえない被控訴人との関係では,公知であったことにはならないから,アリゾナ資料によって,不使 間がかかるものであるといえるから,アリゾナ資料に係る発表及びアリゾナ資料にアクセスし得べき者であったとはいえない被控訴人との関係では,公知であったことにはならないから,アリゾナ資料によって,不使用情報群の情報以外の情報のうち,原告情報2①,原告情報3①及び原告情報4②についての非公知性が否定されることはない旨主張する。 しかしながら,アリゾナ資料(乙114の1,2)は,控訴人が,平成24年米国電力研究所会議において,「福島の原子炉冷却水-高硬度の放射性の水中の62種の放射性核種を検出限界値以下のレベルまで削減するプログラム」とのテーマで,福島第一原発における多核種を含む放射能汚染水の処理に関する発表を行った際に使用されたプレゼンテーション資料であり,「CoreTechnology」として,硬度処理・沈殿処理を行った後,セシウム,ストロンチウム,重金属,ヨウ素・テクネチウム,遷移金属をこの順に除去し,最終ポリッシングを行う構成が記載され,吸着剤として,Cs4000,Sr4000などを用いることが記載され,また,模擬水試験において,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●などが記載され(前記(1)エ),また,最初にCs,Coを除去してから,●●● ●●●●●●●●●Sr,Niコロイドを除去すること,次に●●●●●●●●●●●●●●●,その他の核種を除去するというシステムの概要,最初の4つのゾーン(Csゾーン,Srゾーン,重金属ゾーン,ヨウ化物及びテクネチウムゾーン)はそれぞれ,連続する複数のメリーゴーランド運用する吸着塔で構成されており,先頭塔に充填された吸着剤が消耗した際には,処理プロセスの中断を最小限にして容易に交換することができることが開示されてい )はそれぞれ,連続する複数のメリーゴーランド運用する吸着塔で構成されており,先頭塔に充填された吸着剤が消耗した際には,処理プロセスの中断を最小限にして容易に交換することができることが開示されている。アリゾナ資料には,控訴人が開発した多核種処理システムの最終的な構成に必要不可欠な要素が記載されていないとしても,アリゾナ資料に記載又は開示された上記各原告情報は,控訴人の上記会議における発表によって,原子力発電所における放射性廃棄物に関わる業界の関係者において,広く知られるようになったものと認められる。 そして,東京電力は米国電力研究所(EPRI)の会員であり,被控訴人の属する日立グループは同研究所に研究を委託する関係にあったこと(乙148,149),被控訴人は,原子力発電所における放射性廃棄物に関わる業界に属し,平成23(2011)年後半には,福島原発における放射性物質の除去への取組みに関わっていたことからすれば,被控訴人において,アリゾナ資料に記載された情報を知得することに控訴人が主張するような相当の労力,費用又は時間がかかるものであったものと認めることはできない。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 ク原告情報(当審追加分)の営業秘密該当性及びその使用について控訴人は,①●●●●●●●●●●●●●●●(原告情報3④),②Cs吸着剤及びSr吸着剤の具体的な接触時間(原告情報5②のうち,別紙営業秘密一覧(当審追加分)に記載のもの)が,控訴人の営業秘密に該当し,被控訴人はこれらの営業秘密を使用した旨主張する ので,以下において判断する。 (ア) ●●●●●●●●●●●●●●●について(原告情報3④)控訴人は,●●●●●●●●●●●●●●●●●を行うこと(原告情報3④)は, ので,以下において判断する。 (ア) ●●●●●●●●●●●●●●●について(原告情報3④)控訴人は,●●●●●●●●●●●●●●●●●を行うこと(原告情報3④)は,当時の放射能汚染水処理業界の常識に反するものであったが,控訴人が従前より有していた自らの知見と福島第一原発の汚染水処理のために行った実験等により,放射能汚染水処理業界の常識に反して,福島第一原発における汚染水処理においては,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●を行うことが最適であるという知見を得,実際にこれを最適な形で実現する方法を見つけ出したものであり,かつ,控訴人から開示されるまでは被控訴人も有していなかったのであるから,この知見は非公知であった旨主張する。 しかしながら,吸着剤の吸着性能にはそれぞれ最適なpH値が存在すること自体は,汚染水処理に係る者にとって自明であり,他方で,頻繁にpH調整を行うことは,作業工程の複雑化に伴う費用や不具合の増加,作業員の被ばくのおそれを伴うことも汚染水処理に係る者にとって自明であることからすると,各要素を全体のバランスを見てそれぞれ調整し,適切なpH調整を行うことは,汚染水処理に係る者が当然に考慮すべき事柄であるといえる。過去に●●●●●●●●●●●●●●●が行われていなかったとしても,原告情報3④が非公知であったということはできない。 また,前記キ(イ)のとおり,控訴人は,平成24年米国電力研究所会議において,最初にCs,Coを除去してから,●●●●●●した上で,Sr,Niコロイドを除去し,次に●●●●●●●●●●●してから,その他の核種を除去するというシステムの概要を発表し,●●●●●●●●●●●●●●を行うことを公表していたの であるから,この点においても,非公知であったと ●●●●●●●●●●してから,その他の核種を除去するというシステムの概要を発表し,●●●●●●●●●●●●●●を行うことを公表していたの であるから,この点においても,非公知であったということはできない。 したがって,原告情報3④は,非公知性の要件を満たさないから,不正競争防止法所定の営業秘密(2条6項)に該当しない。 (イ) Cs吸着剤及びSr吸着剤の具体的な接触時間について(原告情報5②のうち,別紙営業秘密一覧(当審追加分)に記載のもの)被控訴人が,控訴人の提供したCs吸着剤及びSr吸着剤の具体的な接触時間の情報を高性能ALPSの設計等において使用したか否かについて判断する。 (a) 前記(1)ス認定のとおり,被控訴人は,高性能ALPSにおいて,Cs/Sr同時吸着剤(甲18)を使用したものであり,控訴人の提供したCS4000(Cs吸着剤)及びSR4000(Sr吸着剤)を使用していない。被控訴人の使用したCs/Sr同時吸着剤はチタンケイ酸塩化合物(甲18,乙78)であるのに対し,控訴人の提供したCS4000はヘキサシアノ鉄酸カリウム(甲58),SR4000は特殊金属官能基を含む化合物(乙114の1・訳文乙114の2)であって,種類が異なるから,CS4000及びSR4000における吸着剤の接触時間が直ちに参考になるものとはいえない。 (b) 控訴人がCs/Sr同時吸着剤の接触時間を設定した経緯等は次のとおりである。 ① 東京電力,被控訴人及び東芝作成の平成25(2013)年11月29日付けの「第1回高性能多核種除去設備タスクフォース高性能多核種除去設備整備実証事業の概要」(甲13)によれば,高性能ALPSの開発過程における処理量は,500㎥/日,吸着塔容量は1.4㎥/塔であるから,SV(空間 備タスクフォース高性能多核種除去設備整備実証事業の概要」(甲13)によれば,高性能ALPSの開発過程における処理量は,500㎥/日,吸着塔容量は1.4㎥/塔であるから,SV(空間 速度:ろ過装置内を通過する1時間当たりの水量を装置内のろ材容量で除したもの)は14.88(=500㎥/日÷24時間÷1.4㎥)となり,1塔当たりの接触時間はその逆数,すなわち約4分(=60分÷14.88)となる。そして,カラムの出口濃度がNDを達成していなければ,カラムを増加するなどの対処をするので,接触時間は4分の倍数となる●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●また,上記「第1回高性能多核種除去設備タスクフォース高性能多核種除去設備整備実証事業の概要」には,Cs/Sr同時吸着塔は5塔とする旨の記載があり,この場合の接触時間は約20分(=約4分×5塔)となる(接触時間の算定方法は,以下同様である。)。 ② 被控訴人作成の平成25年11月29日付けの「高性能多核種除去設備整備実証事業試験計画書(案)」(乙115)には,「(1) 核種除去性能確認試験(Ru以外)」において,「実証設備での現状想定」としてCs/Sr同時吸着塔は合計5塔とする旨の記載があり,この場合の接触時間は約20分となる。 東京電力,被控訴人及び東芝作成の平成26年7月22日付けの「高性能多核種除去設備整備実証事業の進捗について」(甲16)には,同年3月から同年8月(予定)にかけて,Cs/Sr同時吸着塔を5塔構成とするラボ試験が行われる旨の記載がある。 東京電力,被控訴人及び東芝作成の同年11月7日付けの「高性能多核種除去設備の検討状況について」(乙116)には,検証試験(15塔構成)の結果,「Srに対するCs・ 験が行われる旨の記載がある。 東京電力,被控訴人及び東芝作成の同年11月7日付けの「高性能多核種除去設備の検討状況について」(乙116)には,検証試験(15塔構成)の結果,「Srに対するCs・Sr吸 着剤の持続時間が短い」,「Cs・Sr吸着剤(2塔目以降)のDFが低い」という課題が確認されたこと,Cs-137についても処理後水の濃度が早期に告示濃度限度を上回ることが確認されたことなどから,実証試験装置を20塔構成とし,Cs/Sr同時吸着塔を7塔構成とする追加ラボ試験を実施し,8塔構成による実証試験が計画されたことの記載がある。Cs/Sr同時吸着塔を7塔構成とした場合の接触時間は約28分,8塔構成とした場合の接触時間は約32分となる。 そして,同年12月13日,Sr除去性の持続時間向上のため,Cs/Sr同時吸着塔は8塔構成となった(乙51)。 東京電力,被控訴人及び東芝作成の平成27年1月22日付けの「高性能多核種除去設備の検討状況について」(甲57)には,ラボ試験の結果から,Cs/Sr同時吸着塔を8塔構成とする計画を見直し,7塔構成とした旨の記載がある。 ● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●④ 以上によれば,高性能ALPSにおけるCs/Sr同時吸着 剤の接触時間は,被控訴人によるラボ試験,検証試験,実証試験及びそれらの検討の結果を踏まえて設定されたことが認められ,その検討の過程において,Cs/Sr同時吸着剤とは種類の異なるSR4000やCS4000の接触時間の情報を適用し,あるいはこれを参考として使用したことを認めるに足りる証拠はない。 (c) 以上のとおり被控訴人が,高性能ALPSの設計等において,控訴人から提示されたCS4000及びSR4000に係る具体的な接触時間の情報(原告情報5②のうち,別紙営業秘密一覧(当審追加分)に記載のもの)を使用したことを認めることはできない。 (ウ) まとめ以上のとおり,原告情報3④は,非公知性の要件を満たさないから,営業秘密に該当せず,また,原告情報5②のうち,別紙営業秘密一覧(当審追加分)に記載のものは,被控訴人による使用の事実が認められない。 したがって,控訴人が上記各原告情報の不正使用の不正競争を行ったとの控訴人の主張は理由がない。」(5) 小括以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,被控訴人が高性能ALPSの設計等において控訴人の営業秘密の不正使用の不正競争を行ったとの控訴人の主張は理由がない。 4 争点(4)(アバンテック社に対する控訴人の営業秘密の不正開示の有無(不正競争防止法2条1項7号の不正競争の成否))について本件の事案に鑑み,争点(3)の判断に先立ち,争点(4)について判断する。 (1) 認定事実 原 業秘密の不正開示の有無(不正競争防止法2条1項7号の不正競争の成否))について本件の事案に鑑み,争点(3)の判断に先立ち,争点(4)について判断する。 (1) 認定事実 原判決147頁11行目の「前記前提となる事実,」の次に「前記2(1)及び3(1)の認定事実と」を加えるほか,原判決147頁11行目から155頁末行までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (2) 被控訴人によるアバンテック社への情報の開示の有無(争点(4)ア)について次のとおり訂正するほか,原判決156頁2行目から157頁末行までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決156頁10行目の「コメント」を「前処理に関するコメント」と改める。 イ原判決157頁10行目の「前記3(1)ケ」を「前記(1)ケ」と改める。 (3) 被控訴人によるアバンテック社への情報開示についての図利加害目的の有無(争点(4)ウ)について次のとおり訂正するほか,原判決158頁3行目から164頁10行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決158頁5行目の「前記1(1)イ~エ」を「前記2(1)イないしオ」と改める。 イ原判決159頁23行目の「11月13日意見書」を「11月13日付け意見書」と改める。 ウ原判決163頁6頁から7頁にかけての「平成23年多核種除去設備に係る設備を製造することが想定されていたアバンテック社」を「平成23年多核種除去設備に係る設備で使用する使用済み吸着剤の保管容器等や吸着塔の設計,製造をすることが想定されていたアバンテック社」と改める。 エ原判決163頁14行目から16行目までを次のとおり改める。 「 このように被控訴人がアバンテック社に対して開示した前記アの各情報は,被控 想定されていたアバンテック社」と改める。 エ原判決163頁14行目から16行目までを次のとおり改める。 「 このように被控訴人がアバンテック社に対して開示した前記アの各情報は,被控訴人が東京電力から平成23年プロジェクトに係る多核 種除去設備を受注するために,アバンテック社が同設備で使用する使用済み吸着剤の保管容器等や吸着塔の適切な設計等を行うために必要な情報であったものと認められるところ,被控訴人が東京電力から受注できなければ,控訴人と被控訴人間の吸着剤の供給等の取引も実現できない関係にあったから,その実現のためにも被控訴人によるアバンテック社に対する前記アの情報を開示する必要があったものと認められる。」オ原判決164頁6行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 オまた,控訴人は,被控訴人の一連の行為からすれば,被控訴人は,控訴人から得た知見及びノウハウをアバンテック社に開示し,吸収させることによって,控訴人を排除してアバンテック社と手を組んで福島第一原発における汚染水処理を受注しようとしていたことが容易に推認されるから,被控訴人のアバンテック社に対する情報の開示について,被控訴人に図利加害目的があった旨主張する。 しかしながら,前記アないしウで説示したとおり,被控訴人は,東京電力から平成23年プロジェクトに係る多核種除去設備を受注するために,アバンテック社に対し,同設備で使用する使用済み吸着剤の保管容器等や吸着塔の適切な設計等のために必要な範囲の情報を開示したものであり,また,その開示をした当時,被控訴人が控訴人を排除する意図を有していたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,被控訴人の上記主張は採用することができない。 (4) 小括」カ原判決164頁7行目の「オ」を削る。 被控訴人が控訴人を排除する意図を有していたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,被控訴人の上記主張は採用することができない。 (4) 小括」カ原判決164頁7行目の「オ」を削る。 5 争点(3)(アバンテック社からの情報の受領についての本件排他的義務条項違 反の有無)について(1) 争点(3)ア(本件排他的義務条項により禁止される行為の範囲及び被控訴人による本件排他的義務条項違反の有無)についてア控訴人は,被控訴人が,平成23年12月10日から平成24年2月初旬にかけて,平成23年プロジェクトに関し,アバンテック社に対して提案や助言等を求め,同社から提案やコメントを受け取った行為が本件パートナーシップ契約の本件排他的義務条項に違反する旨主張する。 ところで,本件パートナーシップ契約の本件排他的義務条項(2条1文から4文)は,「両当事者は,以下に記載する,本契約における独占的関係を遵守する。本プロジェクトに関して,Purolite は,HGNE 以外の者にPuroliteCoreTechnology 又はこれに類似若しくは相当する製品又は対策を,販売し,かつ,納入してはならず,HGNE は,Purolite 以外の如何なる第三者からもPuroliteCoreTechnology に類似又は相当する製品又は対策を,購入せず,かつ受け入れてはならない。疑義を避けるために付言すると,本契約における独占的関係は,本プロジェクトにおけるPuroliteCoreTechnology の売買のみに関して適用され,両当事者で別途書面により合意しない限り,本契約の期間中にいずれかの当事者が行うその他の取引に適用されるものではない。」旨を定めている。 本件排他的義務条項の上記文言によれば,本件パートナーシ れ,両当事者で別途書面により合意しない限り,本契約の期間中にいずれかの当事者が行うその他の取引に適用されるものではない。」旨を定めている。 本件排他的義務条項の上記文言によれば,本件パートナーシップ契約における独占的関係は,「本プロジェクトにおけるPuroliteCoreTechnology の売買のみ」に関して適用されるものである。また,本件パートナーシップ契約」の「本プロジェクト」は,平成23年プロジェクトに係る多核種除去設備の設置並びに同設備の運転及び維持管理による汚染水処理のプロジェクトをいうものであることは,前記2(2)イ(オ)認定のとおりである。 そして,本件パートナーシップ契約3条1項は,「本契約を条件として, HGNE は,TEPCO からの受注を受けた際,Purolite に対してPuroliteCoreTechnology の発注書を発行する。」と定め,同条2項は,「Purolite は,TEPCO による条件に沿った内容の発注書を受領後,72時間以内に確認書を発行する。」と定めている。上記各条項によれば,PuroliteCoreTechnology の売買は,被控訴人が東京電力から受注を受け,控訴人に対してPuroliteCoreTechnology の発注書を発行し,控訴人がこれに対して確認書を発行することにより行われることを定めており, PuroliteCoreTechnology の売買は東京電力から平成23年プロジェクトを受注することによって開始されるのであるから,本件排他的義務条項は,被控訴人が,控訴人以外の第三者から,平成23年プロジェクトで使用される吸着剤の供給を受けたり,その供給の際に当該吸着剤の使用方法及び使用条件等に関する情報の提供を受けることを禁止する趣旨と 項は,被控訴人が,控訴人以外の第三者から,平成23年プロジェクトで使用される吸着剤の供給を受けたり,その供給の際に当該吸着剤の使用方法及び使用条件等に関する情報の提供を受けることを禁止する趣旨と解するのが相当である。 イ前記4(1)シないしタ認定のとおり,被控訴人は,本件パートナーシップ契約締結後の平成23年12月10日以降,アバンテック社から,次のような情報の提供を受けたことが認められる。 (ア) 被控訴人は,平成23年12月14日までに,アバンテック社に対し,控訴人の吸着剤であるSr4000及びCs4000のほか,控訴人の吸着剤ではない吸着剤であるSrTreat,Read-B等を含む複数の吸着剤を提供して,脱水試験を依頼し,アバンテック社は,提供を受けた吸着剤について,アバンテック社の脱水プロセスとの適合性を確認するための脱水試験を行った。 アバンテック社は,同月14日,被控訴人から提供を受けた上記各吸着剤とアバンテック社の脱水システムは相性が良いとの結果が得られた旨を被控訴人に連絡した。また,アバンテック社は,同月16日付けで,同脱水試験の結果についての報告書を作成した。同報告書では,Sr4000やCs4000を含むビーズ状吸着剤では,処分容器の底に一列 の脱水口が設けられた脱水容器を用いることにより,約3分半以内で脱水を終えることができ,これらについては,標準的なビーズタイプの脱水機能搭載高性能容器(HICs)を使用することを提案するとし,Sr-Treatなどの粒状吸着剤については,脱水に要する時間が7分以内のものについて,複数の脱水口が設けられた粒状タイプ用脱水容器による脱水が可能であるとの結論に至ったとして,これらについては,複数の列の脱水口が設けられた高性能容器(HICs)を使用することを提案する のについて,複数の脱水口が設けられた粒状タイプ用脱水容器による脱水が可能であるとの結論に至ったとして,これらについては,複数の列の脱水口が設けられた高性能容器(HICs)を使用することを提案するとしている。 (イ) アバンテック社は,平成24年1月3日,被控訴人に対し,同日付けのエンジニアリング通信シート(ECS)を電子メールにより送付した。 同ECSには,アバンテック社がRINXの性能向上に役立つデータ等の収集を目的とした試験プログラムを進めていること,被控訴人はRINXフローチャートの最適化を実現できていないこと,多くの種類の吸着剤及び薬剤並びにpH調整プロセスは,十分な技術的思想や根拠による裏付けがなく,非効率的な方法がとられているように思われることなどが記載されていた。また,同ECSにはRINXフローチャートに関するコメントが添付されており,①pH調整の回数が多すぎるため,よりシンプルな方法等を検討すること,②吸着塔の数を減らすこと等が提案されていた。 (ウ) 被控訴人は,平成24年1月23日,アバンテック社に対し,栗田工業による納品が予定納期に間に合わない場合には,アバンテック社にコンポーネントの提供を依頼する予定であることを連絡した。また,被控訴人は,同日,アバンテック社に対し,「RINX設計用の技術情報になりますので,諸条件をご確認ください。」として,①吸着容器のサイズ,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●⑤アルカリ化薬につき,流入水のpHは不明であるが,pH2~7程度を想定していること及び排水のpHを5.8~9にする必要があること,⑥吸着容器への給水時への温度を10℃~65℃とする必要があること等を電子メールで伝えた。 被控訴人は,同月28日,アバンテック社に対して電子メールを送信し,栗田工業は予定納期に納品を間に合わせることができないと思われるため,アバンテック社の提案に基づいて東京電力に対する提案を行う旨決定したことを連絡した。 ウ前記イの認定事実によれば,被控訴人がアバンテック社から提供を受けた情報は,被控訴人が提供した各吸着剤についてのアバンテック社の脱水システムとの相性や性能,pH調整プロセス等に関する情報であって,被控訴人がアバンテック社から平成23年プロジェクトで使用される吸着剤そのものの供給を受けたものではなく,また,その供給の際に当該吸着剤の使用方法及び使用条件等に関する情報の提供を受けたものと認めることはできない。 したがって,被控訴人によるアバンテック社からの情報の受領等が本件排他的義務条項の違反に当たるものと認めることはできない。 (2) 小括以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,被控訴人によるアバンテック社からの情報の受領等が本件排他的義務条項に違反するとの控訴人の主張は理由がない。 6 争点(5)(アバンテック社に対する情報の開示による本件パートナーシップ契約違反及び本件秘密保持契約違反の 報の受領等が本件排他的義務条項に違反するとの控訴人の主張は理由がない。 6 争点(5)(アバンテック社に対する情報の開示による本件パートナーシップ契約違反及び本件秘密保持契約違反の有無)について(1) 本件パートナーシップ契約違反の有無(争点(5)ア)についてア控訴人は,被控訴人がアバンテック社に対してCs4000及びSr4000を提供したこと並びに平成24年1月23日にpH調整に関する情報を開示したことが本件パートナーシップ契約9条2文及び16条が引用する別紙Gの3.1条(1)及び(2)の守秘義務の違反に当たる旨主張する。 そこで検討するに,本件パートナーシップ契約9条2文は,「HGNE は,PuroliteCoreTechnology を,本プロジェクトの目的にのみ使用するものとし,それ以外の如何なる目的のためにもこれを使用しない。」旨を定めているところ,本件パートナーシップ契約の「本プロジェクト」が平成23年プロジェクトに係る多核種除去設備の設置及び同設備の運転及び維持管理による汚染水処理プロジェクトをいうものであることは,前記2(2)イ(オ)のとおりである。 また,被控訴人によるアバンテック社への情報の開示は,被控訴人が平成23年プロジェクトを受注するためにされたものであって,被控訴人がその受注をした場合に,平成23年多核種除去設備に係る設備で使用する使用済み吸着剤の保管容器等や吸着塔の設計,製造することが想定されていたアバンテック社がその設計等を適切に行うために必要な範囲の情報開示であったことは,前記4(3)ウで説示したとおりである。 そうすると,被控訴人がアバンテック社に対して開示した情報に本件パートナーシップ契約に定める「PuroliteCoreTechnology」に含まれる は,前記4(3)ウで説示したとおりである。 そうすると,被控訴人がアバンテック社に対して開示した情報に本件パートナーシップ契約に定める「PuroliteCoreTechnology」に含まれるものがあるとしても,被控訴人によるアバンテック社への情報の開示は,同条において禁止されている「PuroliteCoreTechnology」の目的外使用には該当しないというべきである。 次に,本件パートナーシップ契約16条が引用する別紙Gについては, 本件パートナーシップ契約の締結時において,控訴人と被控訴人との間で別紙Gとして秘密保持に関する何らかの定めを設けることを合意していたことが認められる(前記前提となる事実(10)イ,前記2(1)オ(イ)の認定事実)。 しかしながら,日本ピュロライトは,本件パートナーシップ契約締結後の平成24年2月8日,被控訴人に対し,「こちらで作成した別紙のドラフトを添付したのでご確認ください。我々は,以下の残っている3つの別紙を除き,合意した別紙について,今署名したいと考えています」などと記載した本文に別紙Gの草案(甲11の6)を含む各別紙の草案を添付した電子メール(甲10・訳文甲10の2)及び「弊社間違い・勘違いなどありましたらご指摘よろしくお願いいたします。両者合意できるExhibitから署名を始めたいと思います。よろしく御願いいたします。」と記載した電子メール(乙1)を送信したのに対し,被控訴人は,同日,日本ピュロライトに対し,「下記の件,内容レビューしご連絡致します。今しばらくお時間頂戴したく,何卒宜しくお願い致します。」と記載した電子メール(乙1)を送信したことに照らすと,別紙Gの草案については,被控訴人において修正する余地が残されていたものであり,しかも,最終的に署名はされず, く,何卒宜しくお願い致します。」と記載した電子メール(乙1)を送信したことに照らすと,別紙Gの草案については,被控訴人において修正する余地が残されていたものであり,しかも,最終的に署名はされず,本件パートナーシップ契約書の別紙として添付されることもなかったから,別紙Gの草案の具体的な内容については,同日時点までに,控訴人と被控訴人間に合意が成立していたものと認めることはできない。 また,同日以降においても,控訴人と被控訴人が上記合意をしたことを認めるに足りる証拠はない。 この点に関し,控訴人は,控訴人と被控訴人の間には,平成23年12月7日ころ,控訴人の送付した本件パートナーシップ契約案の別紙D(本件パートナーシップ契約では別紙Gと改題)を基本的内容とする秘密保持の合意が黙示に成立し,当該合意を確認し,条文化したものが,本件パー トナーシップ契約16条の「秘密保持に関して,両当事者は,別紙Gに定める諸条件に合意する。」との規定である旨主張するが,上記黙示の合意が成立したことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,被控訴人によるアバンテック社に対する情報の開示が本件パートナーシップ契約に基づく守秘義務に違反する旨の控訴人の上記主張は採用することができない。 イ以上によれば,被控訴人によるアバンテック社への情報の開示が本件パートナーシップ契約に違反するものであるとは認められない。 (2) 本件秘密保持契約違反の有無(争点(5)イ)について次のとおり訂正するほか,原判決165頁24行目から168頁15行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決167頁25行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「第13条(準拠法及び仲裁)13.1 本契約は,日本法(法の選 に記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決167頁25行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「第13条(準拠法及び仲裁)13.1 本契約は,日本法(法の選択に関する規定を除く。)を準拠法とし,日本法に従って解釈される。」イ原判決168頁3行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 そこで検討するに,本件秘密保持契約は日本ピュロライトと被控訴人との間で締結されたものであり(前記前提となる事実(8)),控訴人は同契約の当事者ではない。 この点に関し控訴人は,被控訴人との間で本件秘密保持契約を締結したのは控訴人の日本法人の日本ピュロライトであるが,日本ピュロライトは,控訴人のためにも本件秘密保持契約を締結したのであるから,日本ピュロライトのみならず,控訴人も本件秘密保持契約の当事者である旨主張する。 しかしながら,本件秘密保持契約の契約書(甲6の1)の当事者欄の日本ピュロライトの署名欄には,日本ピュロライトの代表取締役社長α が日本ピュロライトの「ジェネラルマネジャー」として署名を行っており,同契約書には控訴人を当事者とする旨の記載はなく,また,控訴人のために契約が締結されることを明文化した条項はないから,控訴人の上記主張は採用することができない。」ウ原判決168頁9行目の「なお,」を「次に,」と改める。 エ原判決168頁14行目から15行目までを次のとおり改める。 「ウしたがって,被控訴人によるアバンテック社に対する情報の開示が本件秘密保持契約に違反する旨の控訴人の上記主張は理由がない。」 7 争点(6)(一般不法行為の成否(当審における追加請求関係))について(1) 控訴人は,被控訴人との間で本件パートナーシップ契約を締結した上で,被控訴人に対し, 記主張は理由がない。」 7 争点(6)(一般不法行為の成否(当審における追加請求関係))について(1) 控訴人は,被控訴人との間で本件パートナーシップ契約を締結した上で,被控訴人に対し,控訴人がイオン交換樹脂の専業事業者として30年以上にわたる研究と経験により,多大な労力及び費用を費やして獲得した知見及びノウハウをもとに開発した技術情報である「PuroliteCoreTechnology」を提供したところ,被控訴人は,「PuroliteCoreTechnology」を,控訴人に無断で第三者に開示したばかりか,これを利用して高性能ALPSの設計等をし,第三者と共に福島第一原発の放射能汚染水浄化プロジェクトに従事するに至ったものであり,これにより,控訴人は,法的保護に値する「PuroliteCoreTechnology」を侵害され,甚大な損害を被ったものであるから,被控訴人の一連の行為は,社会的に許容される限度を超えた悪質なものであるから,控訴人に対する不法行為を構成する旨主張する。 そこで検討するに,控訴人の主張する「PuroliteCoreTechnology」は,原告情報を意味するものと解されるところ,被控訴人は,原告情報のうち,不使用情報群の情報を使用していないこと,原告情報のうち,不使用情報群の情報以外の情報は,その組合せを含めて,非公知性の要件を満たしていないことから,被控訴人による上記情報の使用は営業秘密の不正使用の不正競争(不正競争防止法2条1項7号)に当たらず,また,被控訴人のアバンテ ック社に対する情報の開示は営業秘密の不正開示の不正競争(同号)に当たらないことは,前記3(4)及び4(4)で説示したとおりである。 次に,不正競争防止法は,事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束 に対する情報の開示は営業秘密の不正開示の不正競争(同号)に当たらないことは,前記3(4)及び4(4)で説示したとおりである。 次に,不正競争防止法は,事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため,不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ,もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とし(1条),規制の対象となる「不正競争」を限定列挙し(2条),営業秘密に係る不正競争については,同条1項4号ないし10号に規定し,事業者が相応の努力を払って獲得した有用な秘密情報を不正に取得,使用,開示する行為を禁止し,営業秘密として法的に保護される範囲を定めている。 そのため,ある情報が同法上の「営業秘密」に該当しない場合,当該情報の使用の利益は,法的保護の対象とはならないというべきである。 そうすると,上記「営業秘密」に該当しない情報の利用行為は,同法が規律の対象とする営業秘密の使用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り,民法709条の不法行為を構成するものではないと解するのが相当である(最高裁平成23年12月8日第一小法廷判決・民集65巻9号3275頁参照)。 しかるところ,控訴人は,被控訴人が使用したと主張する原告情報について,営業秘密の使用による利益とは異なる法的に保護された利益の侵害の主張立証をしていないから,上記特段の事情は認められない。 したがって,控訴人の主張する被控訴人の行為について不法行為が成立するものと認められないから,控訴人の上記主張は採用することができない。 (2) 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,一般不法行為に基づく控訴人の請求は理由がない。 8 結論以上によれば,控訴人の請求は,その余の点について判断する きない。 (2) 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,一般不法行為に基づく控訴人の請求は理由がない。 8 結論以上によれば,控訴人の請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がないから,これを棄却した原判決は相当であって,本件控訴は 理由がないから,これを棄却すべきである。また,控訴人が当審において追加した請求も,理由がないから,これを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官古河謙一 裁判官岡山忠広 別紙営業秘密一覧(当審追加分) 控訴人の営業秘密を構成する技術情報被控訴人の主張非公知性使用の有無1.多核種除去処理の前に行う前処理方法 2.高い選択性を持つ最適な吸着剤及び吸着方法の選択 3.吸着性能を発揮させるための最適なpHを設定すること ④ ●●●●●●●●●●●●という技術情報 左記技術情報は,知見というにも値しないほど当然のことである。また,控訴人は,平成24年米国電力研究所会議において,●●●●●●●●●●●●●●を行うことを公表している。 4.吸着剤の配列及び吸着塔数を最適に設定すること 控訴人の営業秘密を構成する技術情報被控訴人の主張非公知性使用の有無5.スケールアップ ② パイロット試験で得たNDの結果を,大きさや処理量が異なる 控訴人の営業秘密を構成する技術情報被控訴人の主張非公知性使用の有無5.スケールアップ ② パイロット試験で得たNDの結果を,大きさや処理量が異なる実機でも同様に得るには,吸着剤総量での合計接触時間(吸着剤総量の厚みと時間あたりの放射能汚染水の線速度の比)が維持されるように設計されることが必要であるという技術上の情報及び具体的な算定方法で以下を含む(中略)● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●という具体的な接触時間 高性能ALPSで使用したのはCs/Sr同時吸着剤であり,控訴人提供の吸着剤は使用していない。
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