平成13(行ウ)9 出納長中国訪問旅費返還請求

裁判年月日・裁判所
平成14年12月16日 大分地方裁判所
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判決文本文26,686 文字)

平成14年12月16日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成13年(行ウ)第9号出納長中国訪問旅費返還等請求事件判決原告 A原告 B原告 C原告 D原告A,同B及び同C訴訟代理人弁護士河野聡原告ら訴訟代理人弁護士瀬戸久夫被告 E被告 F被告 G被告 H被告 I被告ら訴訟参加人大分県知事E被告ら及び同訴訟参加人訴訟代理人弁護士内田健被告ら訴訟参加人指定代理人 JKLM 主文 1 被告Eは,大分県に対し,金19万9600円及びこれに対する平成13年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告Fは,大分県に対し,被告Eと連帯して金10万2400円及びこれに対する平成13年4月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告Hは,大分県に対し,被告Eと連帯して金9万7200円及びこれに対する平成13年4月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告らのその余の請求を棄却する。 5 訴訟費用はこれを5分し,その4を原告らの負担とし,その余は被告E,同F及び同Hの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告E及び同Iは,大分県に対し,連帯して金85万6700円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告Eについては平成13年4月1日,被告Iについては平成13年4月3日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告E及び同Gは,大分県に対し,連帯して金7万4200円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告Eについては平成13年4月1日,被告Gにつ 3日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告E及び同Gは,大分県に対し,連帯して金7万4200円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告Eについては平成13年4月1日,被告Gについては平成13年4月18日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告Fは,大分県に対し,被告E及び同Iと連帯して金50万5800円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成13年4月18日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告Hは,大分県に対し,被告E及び同Iと連帯して金35万7900円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成13年4月3日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 訴訟費用は被告らの負担とする。 6 仮執行宣言第2 事案の概要本件は,大分県の住民である原告らが,大分県出納長(以下,単に「出納長」という。)が,臼杵市が市制50周年記念事業の一環として同市の友好都市である中華人民共和国(以下「中国」という。)甘粛省敦煌市を親善訪問する訪問団(以下「本件訪問団」という。)の名誉団長となり,敦煌市,西安市,桂林市,昆明市を訪問したことが,①出納長の職務に当たらず公務性がない,②出納長としての職務専念義務に違反する,③仮に公務に当たるとしてもその旅費等の支出は必要最少限度の支出を定めた地方自治法2条14項,地方財政法4条1項等に違反するなどの理由により違法であるとして,大分県知事,大分県出納事務局会計課課長及び同課課長補佐兼総務係長に対し,地方自治法242条の2第1項4号前段に基づき,出納長及びその秘書役を務めた随行職員に対し,同条同項同号後段に基づき,大分県に代位して,出納長及び随行職員に支出された旅費等相当額の損害賠償(出納長及び随行職員に対しては,不法行為に基づく損害賠償金と選 及びその秘書役を務めた随行職員に対し,同条同項同号後段に基づき,大分県に代位して,出納長及び随行職員に支出された旅費等相当額の損害賠償(出納長及び随行職員に対しては,不法行為に基づく損害賠償金と選択的に不当利得に基づく不当利得金)及びこれに対する遅延損害金の支払を求めている事案である。 1 争いのない事実等(末尾掲記の証拠によって容易に認定することができる事実を含む。)(1) 当事者ア原告らは大分県の住民である。 イ被告Eは,大分県知事であり,被告Fに対する旅行命令権者であって,かつ被告F及び同Hの旅費の本来的支出権者である。 ウ被告Gは,大分県出納事務局会計課課長であり,被告Hに対する旅行命令権者であり,かつ被告F及び同Hのビザ申請代行手数料及び土産品代の支出の専決権者である。 エ被告Iは,大分県出納事務局会計課課長補佐兼総務係長であり,被告F及び同Hの旅費等の支出の専決権者である。 オ被告Fは,出納長である。 カ被告Hは,大分県出納事務局会計課総務係主査である。 (2) 被告F及び同Hの本件訪問団参加ア被告Fは,本件訪問団結成に当たり,臼杵市長に委嘱され,被告Eの旅行命令(以下「本件旅行命令(1)」という。)により,本件訪問団の名誉団長となって参加し,被告Hは,被告Gの旅行命令(以下「本件旅行命令(2)」という。)により,被告Fの秘書として同被告に同行した(以下,被告F及び同Hの本件訪問団参加による出張を「本件出張」という。)。 本件訪問団には,臼杵市長ほか臼杵市職員3名,臼杵市議会議長ほか臼杵市議会議員5名などの公式訪問団員が参加した他,「臼杵市民の翼」との名称で広く臼杵市民に参加が呼びかけられ,総勢172名が参加した(甲7の4,被告H)。 イ本件出張の概要本件出張の概要は,以下のとおりであった(甲1,5の 団員が参加した他,「臼杵市民の翼」との名称で広く臼杵市民に参加が呼びかけられ,総勢172名が参加した(甲7の4,被告H)。 イ本件出張の概要本件出張の概要は,以下のとおりであった(甲1,5の5,6の2,7の2,4及び5,乙1,丙3,被告H)。 (ア) 平成12年9月27日(以下,年が略されている場合は,平成12年のことである。)出国。午前10時30分,大分空港発の航空機(チャーター便)で西安へ。更に航空機(チャーター便)で敦煌市へ。 午後7時30分から,敦煌市主催の歓迎・交流会に出席。 (イ) 9月28日午前7時30分,臼杵市長,被告Fら公式訪問団員による敦煌市人民政府表敬訪問。互いの挨拶と意見交換がなされる。被告Fは,大分県知事が公務の都合により訪問できなかったことを詫び,被告Eから言付かった親書を敦煌市長に手交した。 その後,莫高窟等敦煌市内を視察。 午後5時30分から,訪問団主催の答礼夕食会に出席。被告Fは,答礼の挨拶をし,敦煌市長からねぎらいの挨拶を受けた。 (ウ) 9月29日本件訪問団参加者のうち一般市民は,敦煌空港から航空機で西安へ移動し,西安市内観光。 被告F及び同Hは,臼杵市長等と共に敦煌市に残り,午前8時40分,敦煌駅において,「日蘭友好400周年記念使節団(日蘭大陸横断レールクルーズ)」(以下「レールクルーズ」という。)の歓迎行事に出席。臼杵市長が,オランダの代表に,臼杵市が用意していた「出会いの図」のレプリカ1点を記念に贈呈し,その後敦煌観光に出かけるレールクルーズの一行を見送った。 その後,敦煌市長の希望で敦煌市内の魔鬼城を視察し,敦煌泊。 (エ) 9月30日本件訪問団参加者のうち一般市民は,西安市内観光の後,夕方,航空機で西安から桂林へ。 被告F及び同Hは,午前10 その後,敦煌市長の希望で敦煌市内の魔鬼城を視察し,敦煌泊。 (エ) 9月30日本件訪問団参加者のうち一般市民は,西安市内観光の後,夕方,航空機で西安から桂林へ。 被告F及び同Hは,午前10時,敦煌発の航空機で西安へ向かい,西安で他の訪問団員と合流して,桂林へ移動。 (オ) 10月1日終日桂林市内視察。七星公園の見学,漓江下りの船に乗船等。 (カ) 10月2日午前11時ころ,桂林発の航空機で昆明へ移動。 午後,世界園芸博覧園(以下「博覧園」という。)視察。 その後,円通寺,西山森林公園視察。 (キ) 10月3日昆明市内(昆明博物館,石林)視察。本件訪問団の日程は,終日フリータイムの予定であったが,被告F及び同Hは,希望者に対するオプショナルツアーとして選択し得たコースを選択したもの。 (ク) 10月4日午前11時,昆明発の航空機(チャーター便)で大分空港へ。帰国。 (3) 公金の支出本件出張に関して,被告Fには,旅費等(航空運賃,交通費,日当,宿泊料,空港使用料)合計50万2300円及び中国ビザ申請代行手数料3500円が,被告Hには,同様に旅費等合計35万4400円,中国ビザ申請代行手数料3500円及び敦煌市への土産品代6万7200円が支出された(甲4の8及び9,5の1ないし3,8の1ないし3,丙16の1及び2。以下,これらの支出を併せて「本件支出」といい,被告Fの上記旅費等合計50万2300円を「本件旅費(1)」,被告Hの上記旅費等合計35万4400円を「本件旅費(2)」,被告F及び同Hへの上記中国ビザ申請代行手数料合計7000円を「本件ビザ代行手数料」,上記土産品代6万7200円を「本件土産品代」という。)。 (4) 監査請求原告らは,平成12年12月26日,大分県監査委員に対し,本件支出につい 行手数料合計7000円を「本件ビザ代行手数料」,上記土産品代6万7200円を「本件土産品代」という。)。 (4) 監査請求原告らは,平成12年12月26日,大分県監査委員に対し,本件支出について地方自治法242条1項に基づく監査請求をしたところ,同監査委員は,平成13年2月23日,同請求を理由のないものと認めて棄却した。 2 争点本件の争点は,①被告Fの本件出張に出納長の職務権限との関係で公務性が認められるか,②本件出張によって被告Fに職務専念義務違反が生じ,本件支出が違法となるか,③本件支出が,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反するか,④被告Hへの本件支出の適法性,⑤被告らの責任である。 (1) 出納長の職務権限と本件出張の公務性について(原告らの主張)地方自治法上,出納長は,会計事務に関しては長の補佐役としての職務権限を有しているが,広く県の事務一般について長を補佐する職務権限は有していない。 このような意味での最高補佐役は副知事である。出納長は,あくまで会計事務に専念すべきであり,外国訪問や外国使節団の出迎え,「全国都市緑化大分フェア」の内容や予算の決定等はその職務に含まれない。 出納長が,一週間以上もその職務を放棄し,自らの職務権限に属さない行為を行うことは許されないのであり,知事がそのような職務を委任することも違法である。 被告らは,何ら法令上の根拠もなく,出納長が地方公共団体のいわゆる三役の1人として,副知事と共に,事実上知事の最高補佐役としての役割を果たしているなどと主張するが,地方自治法138条の3第1項の規定に鑑みれば,法令・条例上定められた権限を安易に事実上変更することは許されない。 出納長の職務権限については,同法170条1項で「法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるも 8条の3第1項の規定に鑑みれば,法令・条例上定められた権限を安易に事実上変更することは許されない。 出納長の職務権限については,同法170条1項で「法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか,出納長及び収入役は,当該普通地方公共団体の会計事務をつかさどる。」と定められており,法律・政令の定めがない限りは,会計事務以外を行う権限は存しない。出納長が地方公共団体に置かれているのは,近代会計法の原則に則して,会計事務につき,命令機関と執行機関を分離することとしたものであり,会計事務公正を期すため長から独立した権限が与えられ(地方自治法232条の4),その選任にも議会の同意が必要とされているのである。このような出納長を「三役」であるからというだけの理由で安易に知事代理としての職務を遂行させることは地方自治法が求める出納長の独立を脅かすものというべきである。 (被告らの主張)出納長は,会計事務の公正な処理を確保するために設けられた知事の補助機関であるが,議会の同意を得て選任される「特別職」であり(地方自治法162条,168条7項,地方公務員法3条),その地位は地方公共団体にあって特別のものであること,地方公共団体の会計事務を司り,その権限に属する事務の執行については当該地方公共団体を代表するという極めて重要な職責を担っていること,このような出納長の職の特質から,出納長には地方公共団体の事情に精通し,知事の特に信任の厚い者が選任されるのが一般であり,被告Fも県組織の枢要ポストを歴任して,出納長に選任されていること,このようなことから,出納長に選任された者は,知事の信任が厚いブレーンとして,法令上出納長としての権限に属する会計事務を行うのはもちろんのこと,知事の最高補佐役の1人としての機能も現実には求められ,その役割を果た ら,出納長に選任された者は,知事の信任が厚いブレーンとして,法令上出納長としての権限に属する会計事務を行うのはもちろんのこと,知事の最高補佐役の1人としての機能も現実には求められ,その役割を果たしている。 このような出納長の最高補佐役としての職務は,各種の大会,式典等への出席や儀礼的行為等について知事を代理したり,また,知事の重要なブレーンとして県行政各般にわたる事項について知事から助言等を求められ,これに応ずるなどの事実上の行為にすぎないものである。このような事実行為を知事に代わって行うことは,出納長が知事から「権限」の委任を受け,出納長の「権限」として行使するものではない。また,他の補助職員の権限を侵すものでもなく,行政の執行において何ら支障を生ずるものでない以上,法令上許容されていると解すべきである。 地方自治法138条の3第1項は,地方公共団体が,知事,教育委員会,人事委員会,選挙管理委員会,監査委員等の複数の執行機関から構成されていることから,執行機関の組織の原則及び執行機関相互の関係における基本原則を明らかにした規定であって,出納長の職務権限とは何ら関係のない規定である。 (2) 職務専念義務違反について(原告らの主張)被告Fは,9月27日から10月4日まで,8日間という長期間,海外旅行をし,本来の出納業務に専念する義務を著しく怠った。 出納長が知事代理として儀礼的行為に携わることによって,出納事務局全体として,事務処理量は減少し,これを補う職員が必要となるのであるから,違法な支出が発生しているというべきである。出納長の職務は,重要な決裁や緊急の用務も存するのであるから,本来の職務以外のために長期間の海外旅行をさせることは,許されるべきではない。 (被告らの主張)大分県においては,大分県事務決裁規程及び大 長の職務は,重要な決裁や緊急の用務も存するのであるから,本来の職務以外のために長期間の海外旅行をさせることは,許されるべきではない。 (被告らの主張)大分県においては,大分県事務決裁規程及び大分県事務委任規則を定めており,出納長がつかさどる「会計事務」についても,その一部を,出納員その他の会計職員に専決させ,あるいは,権限を委任行使させることによって事務処理を行っている。そして,出納長の権限に属する会計事務を円滑に処理するため,大分県会計規則の定めるところにより,本庁及び地方機関に出納員その他を配置し,専決ないし委任処理させているから,会計事務の執行が停滞するなどの支障が生ずるということはない。 (3) 本件支出の必要最少限度性について(原告らの主張)地方自治法2条14項,地方財政法4条1項が求める必要最少限度性については,社会的な支出の厳格性の要請,それを具体化した大分県職員職務執行基準により,極めて厳格に解釈しなければならない。本件出張は,臼杵市からの委嘱により,被告Fを本件訪問団の名誉団長として派遣したものであるが,大分県としては,市町村が委嘱する事項につき,どのようなものでも応えるべきではなく,大分県の財政事情や市町村の行事の重要性,市町村の自主性に対する影響,その他(本件では訪問の日程・内容)を総合して判断すべきであるところ,以下のとおり,本件出張には必要性が認められないので,本件支出は必要最少限度性に違反する。 ア現在の国際交流の在り方現在では,一般的に国際交流の重点が住民間の国際理解推進から実のある国際協力事業に移っており,中身の伴わない単なるセレモニーと見学だけの海外訪問を行うことは,財政状況の悪化した大分県の現状からして,全く不合理かつ不相当である。 イ大分県と敦煌市との関係敦煌市は 業に移っており,中身の伴わない単なるセレモニーと見学だけの海外訪問を行うことは,財政状況の悪化した大分県の現状からして,全く不合理かつ不相当である。 イ大分県と敦煌市との関係敦煌市は,臼杵市の友好都市であって,大分県とは特別な関係になく,本件出張においても,大分県と敦煌市との間の産業,経済,文化,観光等に関する具体的な施策に関する協議,交渉,情報交換等は行われていない。 被告Fが敦煌市長に手渡した知事の親書も極めて一般的・儀礼的な挨拶に止まっており,これをわざわざ持参したことは,必要最小限度性の要件を逸脱する。 敦煌市からの招待状(丙9の1)でも,特に大分県への参加要請がなされているわけでもないのであるから,大分県から参加する必要性は存しなかった。 県内市町村が海外都市との姉妹都市・友好都市関係を結ぶにあたり,大分県が紹介役としての役割を果たすことはあり得るとしても,姉妹都市・友好都市関係が結ばれた後に,当該都市間の関係に別段問題が生じたわけでもないのに,大分県が引き続き後見的関与をすることは,市町村の行政に必要以上に干渉し,独立性を侵すものであり,ましてや,これを公務とする根拠は存在しない。 ウ本件出張の必要性・合理性(ア) 本件主張全体について本件出張は,臼杵市が一般市民を募って行った観光中心の旅行にほとんど同行しているものであり,全体として観光旅行の実態を有するものであった。 (イ) 敦煌市親善訪問について敦煌市は臼杵市の単なる友好都市にすぎず,また,敦煌市で行われた歓迎夕食会,人民政府への表敬訪問,答礼夕食会等は,いずれもそのとき限りのレセプションに過ぎず,中身のある政策協議がなされたものではない。敦煌市交流の内容も臼杵市民の観光訪問であるから,このような訪問について大分県が名誉団長を出す必要性 食会等は,いずれもそのとき限りのレセプションに過ぎず,中身のある政策協議がなされたものではない。敦煌市交流の内容も臼杵市民の観光訪問であるから,このような訪問について大分県が名誉団長を出す必要性はない。 (ウ) レールクルーズ歓迎行事への出席についてレールクルーズは,後に日本を訪問する予定のものであり,また,レールクルーズは,臼杵行きの「チューリップエキスプレス」にするように働きかけたが実現しなかったというのであるから,臼杵市とは無関係なものとして実施されたものであり,これをわざわざ敦煌市において出迎える必要性も合理性もない。 まして,「交流400周年記念事業実行委員会」,「オランダ・ウィークオープニングセレモニー記念式典」と本件出張とは無関係である。大分県の代表がレールクルーズを出迎える独自の必要性はない。 レールクルーズ参加は,そもそも旅行命令簿(甲3)の出張用務に記載されておらず,旅行全体に参加することを正当化するために,無理に付加した用務としか考えられない。 (エ) 敦煌市以降の旅程について本件訪問団の募集広告裏面には,9月29日以降の日程について,「西安市内観光」,「桂林市内観光」,「昆明フリータイム」と記載されている。これと行動を共にしたのであるから,本件出張の実態は観光にすぎなかったものである。 敦煌を発ち,西安空港着後は,被告F及び同Hは,一貫して,一般市民と一緒に,私服で,観光旅行をしている。訪問団の副団長という立場としても,西安空港到着後は何の役割も果たしていないのであり,同行の必要性は認められない。 また,出納長である被告Fに,国際交流や国際協力,観光行政に関する職務権限はないのだから,被告らが主張するように,真の国際交流や国際協力を実現するために,中国の歴史,文化等に接して見識を高める必要性 また,出納長である被告Fに,国際交流や国際協力,観光行政に関する職務権限はないのだから,被告らが主張するように,真の国際交流や国際協力を実現するために,中国の歴史,文化等に接して見識を高める必要性は存しない。 (オ) 博覧園視察について被告Fは,会計事務を司る出納長であって,政策立案に関わる者ではなく,博覧園の視察結果を「第20回全国都市緑化おおいたフェア」(以下「緑化フェア」という。)の準備に反映させることはできないものであるから,博覧園の視察が出納長の職務権限に含まれるということはできない。 また,緑化フェアは,その誘致が決定されて以来,大分県土木建築部公園下水道課(緑化フェア推進班)が主幹課となって準備を進め,有識者から構成される懇談会が基本構想を策定し,以前の開催県等への視察も公園下水道課職員によって行われ,復命書も作成されているのであるから,緑化フェアについて何らの権限も有していない被告Fが一般的な視察をする必要性はなく,また,被告Fが仮に視察の結果を担当部局に伝えたとしても,公務性を認めることはできない。 被告Fの博覧園見学は,団体旅行の一員として,自由見学をしたにすぎず,博覧園職員の説明を受けたり,質問をしたり,資料を求めたり,写真に残す等の行為もしておらず,公務としての実態を備えたものとは認められない。 博覧園の視察は,そもそも旅行命令簿(甲3)の出張用務に記載されておらず,旅行全体に参加することを正当化するために,無理に付加した用務としか考えられない。 (カ) 仮に敦煌市訪問についてのみ公務性を認めた場合の旅費について現に,被告F及び同Hについて支出が生じている以上,旅程の一部だけに公務性が認められる場合には,日数の割合に応じて,公務性が認められない部分についての旅費を返還させるべきである。 (被告ら いて現に,被告F及び同Hについて支出が生じている以上,旅程の一部だけに公務性が認められる場合には,日数の割合に応じて,公務性が認められない部分についての旅費を返還させるべきである。 (被告らの主張)本件出張には,以下のとおり,合理的な必要性があり,出張の内容及び日程についても合理性があるので,本件支出は地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反しない。 ア大分県における国際交流の推進大分県は,海外自治体と幅広い分野において各種のローカル外交を展開しており,また,県内市町村の多様な地域間国際交流等の活動を積極的に支援し,県と市町村が一体となって,地域間国際交流を推進している。 イ大分県と臼杵市,敦煌市との交流臼杵市と敦煌市は,平成6年9月27日,「日本国臼杵市と中華人民共和国敦煌市との友好都市提携協定書」を締結したが,この締結に当たっては,大分県知事である被告Eと中国甘粛省副省長が立会者となり調印した。 また,この友好都市締結を受けて,平成7年10月,被告Eは,第1回目の敦煌市親善訪問団に,名誉団長として参加した。 以上のような経緯のもと,臼杵市長から,被告Eに対して,敦煌市との学術,文化交流を更に深めるため協力をお願いしたいとの趣旨から,本件訪問団の名誉団長就任の委嘱があり,大分県としては,県の財政事情や臼杵市の自主性に対する影響,訪問の日程・内容を総合的に判断し,引き続き,臼杵市と敦煌市との地域間国際交流の推進を支援するため,名誉団長としての参加を検討した。しかし,被告Eの公務の日程が折り合わなかったため,被告Fが上記委嘱を受け,本件訪問団の名誉団長として,知事代理として本件出張を行ったものであり,必要性がある。 ウ本件出張の必要性・合理性(ア) 本件訪問団の名誉団長としての出納長の立場 め,被告Fが上記委嘱を受け,本件訪問団の名誉団長として,知事代理として本件出張を行ったものであり,必要性がある。 ウ本件出張の必要性・合理性(ア) 本件訪問団の名誉団長としての出納長の立場本件訪問団は,臼杵市民が敦煌市の人々との市民レベルでの交流を通して,臼杵市と敦煌市との友好・親善を一層促進すると共に,臼杵市民の国際感覚を高めることを目的として,この趣旨に賛同して参加した一般市民により構成されたものであり,本件訪問団は,臼杵市の主要な国際交流事業の一つとして位置付けられている。 大分県としては,そのような臼杵市と敦煌市との地域間国際交流を支援する必要があることから,被告Fが臼杵市長の委嘱を受け,名誉団長として参加したものであり,同被告は,その立場上,本件訪問団に参加した市民らと行動を共にする必要があった。 (イ) 敦煌市親善訪問について被告Fは,敦煌市では,敦煌市民による到着歓迎セレモニーや敦煌市主催の歓迎・交流会に出席すると共に,敦煌市人民政府を表敬訪問し,知事の親書を手渡す等,知事代理としての役割を果たし,また,名誉団長として,大分県と臼杵市とが一体となって敦煌市との地域間国際交流を図ったものであり,単なる観光旅行ではない。 (ウ) レールクルーズ歓迎行事への出席について西暦2000年は,日本とオランダとの交流400周年に当たり,21世紀に向けて両国の更なる発展・飛躍を図るため,両国政府の要請により,それぞれに「交流400周年記念事業実行委員会」が設立され,年間を通じて数多くの公式記念事業が行われた。 日蘭交流ゆかりの臼杵市においても,平成12年4月19日に日蘭両国の皇太子臨席のもと,日蘭交流400周年記念事業「オランダ・ウィークオープニングセレモニー記念式典」等が実施され,被告Fも同Eと共に同記念式典に かりの臼杵市においても,平成12年4月19日に日蘭両国の皇太子臨席のもと,日蘭交流400周年記念事業「オランダ・ウィークオープニングセレモニー記念式典」等が実施され,被告Fも同Eと共に同記念式典に出席した。 日蘭両国の市民が参加したレールクルーズも,上記日蘭交流400周年記念事業の公式行事の一つであり,臼杵市は,事前にロッテルダム発臼杵行きの「チューリップエキスプレス」にするよう働きかけていたが実現せず,オランダハーグ王宮ハウステンボスを出発し,最終目的地が佐世保市のハウステンボスとなった。そこで,被告Fは,敦煌市訪問の機会を利用して,臼杵市長らと共にレールクルーズを敦煌駅において出迎え,歓迎の意を表し,オランダとの交流・親善の促進を図ったものである。 (エ) 敦煌市以降の旅程について本件訪問団の募集広告上,西安市,桂林市,昆明市での日程が,「観光」,「フリータイム」と記載されていることは事実であるが,これは臼杵市民向けのものである。 被告F及び同Hは,中国の代表的都市である桂林市の視察を行ったものである。 臼杵市民の翼は,単なる物見遊山を目的としたものではなく,行政と一般市民が一体となって,敦煌市との友好関係の継続発展を目的に実施されたものである。 敦煌市はもとより,西安市,桂林市,昆明市は,中国の歴史,文化,風土,自然,暮らし等を理解するうえで,中国を代表する都市であるということができ,そこで見聞し,経験したことが,国際感覚を養い,国際的な視野を広め,真の国際交流と国際相互理解に資する。また,他国を観光することによって,市長,議員及び職員は,地方行政の担い手の立場から,一般参加者は地域住民の立場から,それぞれ郷土を見直し,行政と地域住民が共通の認識を持つことによって,一体となって産業としての観光の振興と,観光を重要な 議員及び職員は,地方行政の担い手の立場から,一般参加者は地域住民の立場から,それぞれ郷土を見直し,行政と地域住民が共通の認識を持つことによって,一体となって産業としての観光の振興と,観光を重要な柱とした郷土のまちづくり・地域づくりに発展していく。このようなことは,知事のブレーンとしてその求めに応じて助言等を行う最高補佐役の機能を現実に担っている被告Fについてもいえることである。 (オ) 博覧園視察について博覧園は,平成11年5月から同年10月まで開催された「’99昆明世界園芸博覧園」の会場跡地を利用した施設であり,展示区域だけで218ヘクタールという広大な敷地に,花壇や日本等アジアを中心とした世界各国のパビリオンや各種施設が設置されている。 大分県においては,平成15年4月下旬から同年6月までの約2か月間,緑化フェアが開催されることとなっており,大分県としては,このフェアを一過性のイベントに終わらせることなく,事業終了後も,フェアの理念が継承され,県内各地に展開されるよう,その跡地の利活用を含めて検討していく必要がある。被告Fは,知事の最高補佐役の一人として,これが今後の県政の重要な施策の一つと認識し,この機会を利用して,同種事業の先進事例として博覧園を視察し,視察の結果を担当部局に伝えたものである。 (カ) 仮に敦煌市訪問についてのみ公務性を認めた場合の旅費について本件出張は,チャーター便を利用した団体旅行である本件訪問団に同行したものであるため,旅費については,目的地の区間毎に交通費を区分することは困難である。 また,仮に,敦煌市訪問後,被告F及び同Hが本件訪問団を離団して単独で帰国したと想定すると,その旅費は,それぞれ別紙1,2のとおりとなり,本件出張の現実の旅費より高くなり,不合理である。 (4) 被告Hへの ,敦煌市訪問後,被告F及び同Hが本件訪問団を離団して単独で帰国したと想定すると,その旅費は,それぞれ別紙1,2のとおりとなり,本件出張の現実の旅費より高くなり,不合理である。 (4) 被告Hへの本件支出の適法性(原告らの主張)被告Fの出張が職務権限外であり,必要最少限度性等が認められない以上,同被告の秘書として被告Hが随行する必要性も認められないのであるから,被告Hへの本件支出は違法である。 また,同様の理由から,お土産品持参も必要性が認められないから,土産品代の支出も違法である。 (5) 被告らの責任(原告らの主張)ア被告F及び同Hの責任被告F及び同Hは,公務とは認められない出張であることを知り,又は容易に知り得たのに,旅費請求をして本件支出をさせたのであるから,大分県に対し,支出金額相当の損害を与え,私費で旅費を支払うことを免れた現存利益があるから,不法行為に基づき損害を賠償し,又は不当利得に基づき不当利得金を支払う義務があるというべきである。 イ被告Eの責任被告Eは,大分県知事として,県職員の職務権限や出張目的との関係で許される旅行の範囲等に関して知悉しているところ,支出権限を職員に委任,分掌させるに当たって,その職務に違法がないように指揮監督すべきであり,本件では,当初自ら行おうとしていた旅行を被告Fに代理させたのであるから,旅行の内容については当然把握していたものであるので,本件支出について,指揮監督上の過失が認められる。 ウ被告I及び同Gの責任被告I及び同Gは,出納長の職務権限や出張内容の必要最小限度性等について,当然に違法性判断基準を知っていたものであるから,当然に重大な過失が認められるというべきである。 (被告らの主張)ア被告F及び同Hの責任被告F及び同Hが支給を受けた旅費は,同 性等について,当然に違法性判断基準を知っていたものであるから,当然に重大な過失が認められるというべきである。 (被告らの主張)ア被告F及び同Hの責任被告F及び同Hが支給を受けた旅費は,同被告らの用途遂行のために費消したものであり,現存利益は存しない。 また,本件旅費は,団体扱いのいわゆるパッケージによる旅費であって,これに参加すれば一律・定額の旅費が徴収される仕組みとなっており,これを分割して利得があるなどとすることはできない。 イ被告Eの責任大分県は,平成11年に策定した「大分県長期計画(おおいた新世紀創造計画)」において,国際交流を県政の5本柱の一つである「連携と交流による活力ある地域の創造」の中に位置付け,その中で,地域に根ざした国際交流・協力の展開を図るため,市町村が行う国際的な姉妹都市交流を支援する施策をとっているところ,本件訪問団は,被告Eが,臼杵市長から協力申出を受けて行ったものであり,その施策に沿うものであった。 そして,本件訪問団は,敦煌市から多数の市民の参加が要請されており,その旅程も,姉妹都市との都市間交流をはじめ多面的な国際交流を通じて市民の国際感覚を高めるため計画されたものであった。 また,「市民の翼」方式の訪問団が,本件以前から,市民参加の国際交流方式として定着し,大きな成果を挙げてきたことから,大分県下の市町村においても,これに地方自治体の長,議員が公費をもって参加してきた。 したがって,被告Eは本件支出が違法であると認識しうる状況にはなく,本件旅費等の支出について,指揮監督上の注意義務を怠ったものとして,過失があったとすることはできない。 ウ被告Iの責任被告Iは,本件出張当時,本件旅費(1)及び(2)について,支出負担行為及び支出命令のいずれについても専決による権限を 務を怠ったものとして,過失があったとすることはできない。 ウ被告Iの責任被告Iは,本件出張当時,本件旅費(1)及び(2)について,支出負担行為及び支出命令のいずれについても専決による権限を有していたいわゆる予算執行職員であるが,予算執行職員については,支出負担行為又は支出命令をするにつき故意又は重大な過失があった場合に限り損害賠償責任を負うと解されている(最高裁昭和61年2月27日判決)。 被告Iは,被告F及び同Hが本件訪問団に参加するに当たり,被告Hから詳細な旅行目的を記載した「臼杵市制50周年記念事業・敦煌市親善訪問等概要」及びその旅程表である「臼杵市姉妹都市敦煌市親善訪問団日程」の提出を受け,本件出張の公務性を確認した上で,本件旅費(1)及び(2)を支出したものであり,重大な過失があったとは到底いえない。 エ被告Gの責任被告Gは,本件出張当時,交際費及び役務費について支出負担行為及び支出命令のいずれについても専決による権限を有していたいわゆる予算執行職員であり,支出負担行為又は支出命令をするにつき故意又は重大な過失があった場合に限り損害賠償責任を負うところ,被告Gも,本件出張の公務性を確認した上で,本件土産品代及び本件ビザ代行手数料を支出しており,重大な過失があったとは到底いえない。 第3 争点に対する判断 1 出納長の職務権限と本件出張の公務性(争点(1))について地方自治法170条1項は,出納長の職務権限として,「当該普通地方公共団体の会計事務をつかさどる」と規定している。これは,近代会計法制の原則に従い,予算執行機関と会計機関とを分離し,前者は普通地方公共団体の長が担当し(同法149条2号),後者は出納長(市においては収入役)が担当することとしたものである。そして,出納長は,知事の補助機関であり, 予算執行機関と会計機関とを分離し,前者は普通地方公共団体の長が担当し(同法149条2号),後者は出納長(市においては収入役)が担当することとしたものである。そして,出納長は,知事の補助機関であり,知事の会計監督権に服する(同法149条5号)が,出納その他の会計事務の執行については,独立の権限を有し,県を代表するものであり,その地位の重要性及び特殊性から,知事が議会の同意を得て選任する特別職とされている(同法168条7項,162条,地方公務員法3条3項)。 以上によれば,出納長の本来的職務権限は,会計事務にあり,出納長は,独立の権限を有する会計機関としてその任務を全うする責務があるが,そうであるからといって,純粋な会計事務以外の行為を一切行い得ないというわけではなく,県の特別職として県政を担う立場にあることから,会計事務に加えて,前記の職務内容や地位に付随する各種の事実行為,すなわち,県の会計をつかさどることによって培われる県政に関する横断的知識を組織内部で活用することや,会計事務に関して県を代表するという重要な地位に伴う責任と表裏をなす県民その他対外的関係における信頼に基づいて儀礼的な行為を行うことなどは,知事代理の立場で行う場合を含め,会計事務と直接関係のない事項であっても,地方自治法が予算執行機関と会計機関を分離した趣旨に反し,これを没却するものでない限り,法令上許容されているものと解すべきである。 そこで,上記観点からして,本件出張が出納長の重要な地位に付随して行われる事実行為として法令上許容されるものであるかどうかを検討するに,証拠(甲3,4の3ないし5,乙1,被告H)によれば,本件出張は,臼杵市からの被告Eに対する本件訪問団参加要請を同被告において検討した結果,被告Eの日程が折り合わなかったため,被告Fに命じたものであって, 3,4の3ないし5,乙1,被告H)によれば,本件出張は,臼杵市からの被告Eに対する本件訪問団参加要請を同被告において検討した結果,被告Eの日程が折り合わなかったため,被告Fに命じたものであって,被告Fに対する旅行命令は大分県知事が行ったものであり,出納事務局で企画し,予算執行行為を行ったものではないこと,被告Fが本件出張において行った行為は,知事が行う予定であった歓迎行事への出席等儀礼的な事実行為がほとんどであったこと(博覧園視察についてはこの限りでないことは後述する。)が認められる。 そうすると,本件出張は,会計事務とは直接関係のない国際交流の支援という業務に関して行われたものであるが,旅行命令自体は予算執行機関である大分県知事において行われている上,本件出張において被告Fが行った行為は,基本的には知事代理としての事実行為にすぎず,予算執行行為に類する行為を行ったものではないから,本件出張自体が,予算執行機関と会計機関を分離した地方自治法の趣旨に反するものとはいえない。 なお,原告らは,同法138条の3第1項の規定を引いて,法令上定められた権限を安易に変更すべきでない旨主張するが,同規定は,地方公共団体の長・委員会などの複数の執行機関相互の関係を定めている規定である上,上記事実行為を行うことは,法令上定められた職務権限を変更するものではないから,被告Fの本件出張が同規定に反するともいえない。 よって,出納長の職務権限との関係で,本件出張自体の公務性が否定されるとはいえない。 2 職務専念義務違反(争点(2))について地方公務員法30条,35条は,地方公務員の職務専念義務を規定しているが,ここにいう「職務」とは,法令上与えられた権限としての職務のみならず,当該地方公共団体がなすべき職務,すなわち,当該地方公共団体が行うべき行政活動 35条は,地方公務員の職務専念義務を規定しているが,ここにいう「職務」とは,法令上与えられた権限としての職務のみならず,当該地方公共団体がなすべき職務,すなわち,当該地方公共団体が行うべき行政活動としての法律行為及び事実行為のうち,法令又は上司の職務上の命令(同法32条)によって,当該公務員がすべき行為全てをいうものと解するのが相当である。 したがって,法令により本来的職務として規定されている職務以外の行為であっても,上記行為に該当する限り,同行為を遂行することに職務専念義務違反の問題が生じるとはいえない。 そうすると,本件出張は前項で判示したとおり,上司である知事の職務上の命令に基づいて行われた公務であるから,職務専念義務の対象となる職務に該当し,本件出張を遂行することに職務専念義務違反が生じることはない。 これに対し,原告らは,本件出張により出納長の本来的職務に職務専念義務違反が生じている等と主張するが,財務会計行為が職務専念義務違反を理由として違法となり得るのは,当該財務会計行為の対象となった職務自体について職務専念義務違反が生じた結果,当該財務会計行為自体が財務会計法規に違反して違法となる場合であるから,本件出張について職務専念義務違反が生じない限り,本件支出が違法となる余地はないので,原告らの上記主張は失当である。 なお,原告らが主張する点について付言するに,証拠(丙17ないし19,被告H)及び弁論の全趣旨によれば,大分県においては,出納長の職務権限として法令上規定されている会計事務について,その多くを出納事務局の他の職員に委任したり,専決させたりしており,また,出納長が不在の折には,出納事務局長が代理で決済できることになっていて,本件出張期間中に被告F自身が緊急に行わなければならない事務は特に存しなかったことが認められるから, 専決させたりしており,また,出納長が不在の折には,出納事務局長が代理で決済できることになっていて,本件出張期間中に被告F自身が緊急に行わなければならない事務は特に存しなかったことが認められるから,本件出張によって被告Fの出納事務に支障が生じるようなことはなかったものと認められる。 3 本件支出の必要最少限度性(争点(3))について(1) 地方自治法2条14項は,「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と,地方財政法4条1項は「地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて,これを支出してはならない。」と,それぞれ地方公共団体の支出の必要最少限度性について規定しているが,この支出の必要最少限度性は,地方財政法4条1項において「その目的を達成するため」と規定されているように,あくまでその行政目的を達成するための支出について要求されるものである。 しかして,地方公共団体の執行機関には,行政目的の決定及び同目的達成のための手段の選択について一定の合理的な裁量が認められているから,決定された行政目的及び同目的達成のために選択された手段に裁量権の逸脱又は濫用がない限り,他の手段を選択したとしたらより少ない支出で済んだとしても,選択された手段実施に伴う支出につき地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の違反は生じないというべきである。 なお,原告らの主張する大分県職員職務執行基準は,平成12年9月1日に廃止されているので,本件では同基準違反の問題は生じない。 そこで,以上を前提に,本件支出が地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反するか否かを大分空港を発ち敦煌市を経て西安空港に着くまでの日程及び昆明空港から大分空港までの帰国便の日程(以下「西安空港に着くまでの日程等」という。)に対する部分と西 項,地方財政法4条1項に違反するか否かを大分空港を発ち敦煌市を経て西安空港に着くまでの日程及び昆明空港から大分空港までの帰国便の日程(以下「西安空港に着くまでの日程等」という。)に対する部分と西安空港に着いて以降昆明空港から発つまでの日程(以下「西安空港に着いて以降の日程」という。)に対する部分に分けて検討する。 (2) 西安空港に着くまでの日程等に対する部分についてア前記争いのない事実等(2)イ,証拠(甲4の3ないし7,5の5,丙1の1及び2,6,7,被告H)及び弁論の全趣旨によれば,大分県は,基本政策の一つとして地域間国際交流の推進を掲げており,その一環として県内の市町村の国際交流についても支援していること,平成6年9月27日の臼杵市と敦煌市の友好都市提携には,被告Eが立会者として関与しており,友好都市締結を受けての第1回目の敦煌市親善訪問団にも,被告Eは名誉団長として参加したこと,そのような経緯のもと,8月ころ,臼杵市長が大分県庁を訪れて,被告Eに対し,敦煌市との学術,文化交流を更に深めるため協力を願いたいとの趣旨から,本件訪問団の名誉団長就任の依頼を行ったこと,被告Eはこれを検討したが,被告Eの公務の日程が折り合わなかったため,自身の代理として,出納長である被告Fに本件出張を命じ,9月18日,臼杵市長から被告Fに対する正式の委嘱があったこと,被告F及び同Hは,前記争いのない事実等(2)イ記載のとおりの日程で本件出張を行い,9月27日及び翌28日,被告Fは,敦煌市において,敦煌市主催の歓迎・交流会へ出席し,敦煌市人民政府を表敬訪問して敦煌市長宛の被告Eの親書を手交し,答礼夕食会に出席して,答礼の挨拶をする等したこと,レールクルーズについては,本件訪問団が敦煌市に滞在する日と近接した日程で敦煌市を来訪するものであり,本件出張の 敦煌市長宛の被告Eの親書を手交し,答礼夕食会に出席して,答礼の挨拶をする等したこと,レールクルーズについては,本件訪問団が敦煌市に滞在する日と近接した日程で敦煌市を来訪するものであり,本件出張の企画段階において,臼杵市長から,この機会を利用してオランダとの交流を深めたく,ついては,大分県の代表と一緒にレールクルーズを迎えたいとの提案があったこと,そのため,被告F及び同Hは,本件訪問団のうち一般市民とは異なる日程を事前に調整して,臼杵市長らと共にレールクルーズの歓迎行事に出席したことが認められる。 イ以上の認定事実によれば,本件出張は,主として臼杵市の行う敦煌市との国際交流を大分県が支援するという目的のため,副次的には臼杵市の行うオランダとの国際交流を大分県が支援するという目的のため,知事代理としての被告Fの参加を決めたものであると認められるが,大分県が,地域的に包含される別の地方自治体である臼杵市の政策を支援することは,地域の総合的な発展と活性化の観点から当然に許容されると考えられること,これに,被告Eは,臼杵市と敦煌市の友好都市提携に当初から関与していたことをも併せ考えれば,被告Eが本件訪問団の名誉団長として参加することを検討したこと,被告Eの日程の都合上,代理の者の派遣を決めたこと,その代理に,出納長という知事,副知事に次ぐ特別職にある被告Fを選出したことは,知事の代理としてふさわしい高官を派遣するという敦煌市及びオランダに対する社交的儀礼からしても,合理的裁量の範囲内の行為として是認することができるものというべきである。 なお,国際交流事業として,具体的な政策協議を行うか,挨拶等の儀礼的行為にとどめるかは,相手方との関係,訪問に至る経緯等を総合考慮の上,地方公共団体がその裁量によって決すべき事項であり,政策協議等が行われな 際交流事業として,具体的な政策協議を行うか,挨拶等の儀礼的行為にとどめるかは,相手方との関係,訪問に至る経緯等を総合考慮の上,地方公共団体がその裁量によって決すべき事項であり,政策協議等が行われなかったからといって,当該交流事業又はその支援が裁量権逸脱又は濫用により違法と評価されるものではない。 よって,本件支出中西安空港に着くまでの日程等に対する部分は,その内容・額,上記本件出張の主目的及び副次的目的,本件出張に至る経緯並びに前記認定の日程をも総合考慮すれば,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反するとはいえない(なお,敦煌空港から西安空港までの航空運賃及び昆明空港から大分空港までの航空運賃の支出は,本件出張自体が適法である以上,帰途に必要なものであるので,上記各法条に違反しない。)。 (3) 西安空港に着いて以降の日程に対する部分について前記争いのない事実等(2),証拠(甲4の1及び2,5の1及び5,7の2,10の2,乙1,被告H)によれば,本件出張の日程のうち,9月30日に西安空港に着いて以降の日程の中で,公務性がうかがわれるものは,10月2日の博覧園視察のみであり,その他の日程(七星公園の見学,漓江下りの船への乗船,円通寺や西山森林公園,昆明博物館,石林等視察)は,臼杵市民の翼として参加を呼び掛けた一般市民に対し,本件訪問団参加の魅力を高めるために企画された観光コースにすぎないものであること,被告Hが本件出張についての支出負担行為や支出命令を受けるに当たり本件出張前に作成した「臼杵市制50周年記念事業・敦煌市親善訪問等概要」(甲4の2)や,「臼杵市姉妹都市敦煌市親善訪問等日程」(甲5の5)にも,博覧園視察以外の日程については特に触れられていないこと,博覧園視察は,本件訪問団が昆明市を訪れることを知った被告Fが, 概要」(甲4の2)や,「臼杵市姉妹都市敦煌市親善訪問等日程」(甲5の5)にも,博覧園視察以外の日程については特に触れられていないこと,博覧園視察は,本件訪問団が昆明市を訪れることを知った被告Fが,平成15年4月下旬から6月に大分県で開催される予定の緑化フェアの跡地利用等の参考にするため,国際園芸博覧会の跡地利用である博覧園の状況を見てこようと,自ら発案し,強く要請して,日程に取り入れたこと,博覧園の資料は,本件出張前にインターネット等を通じて入手しており,博覧園視察の当日,被告F及び同Hは,本件訪問団の一般市民とは別行動をとったものの,博覧園入口で,入園者に通常交付されるパンフレット1枚の交付を受けた他は,特に博覧園の職員等から説明を受けたり,資料の交付を受ける等しなかったこと,被告Fは,本件出張後,緑化フェアを担当する都市緑化推進班を呼び,視察した概要を口頭で説明するとともに,被告Hの作成した本件出張の復命書の写しを手渡したことが認められる。 以上の認定事実と前項の認定事実を総合すれば,本件出張の日程のうち9月30日の西安空港に着いて以降のものは,臼杵市と敦煌市ないしオランダとの国際交流を大分県が支援するという主ないし副次的目的との関連性がないものであり,また,その内容からみても,博覧園視察以外の部分については,もっぱら観光を目的とするものであり,公務のための旅行というような性質を有するものとは認め難い。また,出納長が,その職務内容や地位に付随する各種の事実行為や儀礼的行為を行いうることは前述したとおりであるが,このような範囲を越えて,自ら発案して,予算執行機関の権限に属する予算執行行為を積極的に行うことは,地方自治法が,会計事務の公正を期するため,予算執行機関と会計機関を分離した趣旨を没却するものであって,法令上許容されないと ら発案して,予算執行機関の権限に属する予算執行行為を積極的に行うことは,地方自治法が,会計事務の公正を期するため,予算執行機関と会計機関を分離した趣旨を没却するものであって,法令上許容されないと考えられるところ,博覧園視察は,被告Fが,出納長の権限を越えて,自ら発案して予算執行機関の権限に属する予算執行行為を企画し,行ったものであるから,違法である。また,以上認定の博覧園視察の内容及び出納長の権限に加え,被告Fは当初から本件訪問団と同一行動を取ることが決まっていて,博覧園視察は,本件訪問団が昆明市を訪問する日程となっていたことから,ついでに視察目的に加えられたものであること(被告H)からするならば,博覧園を視察するために,わざわざ敦煌市だけでなく,昆明市までも出張する必要性があったものとは認められない。よって,西安空港に着いて以降の日程について公務性は認められない。 なお,上記の点について,被告らは,被告Fは,臼杵市長の委嘱を受け,名誉団長として参加したものであるから,その立場上,本件訪問団に参加した市民らと行動を共にする必要があった旨主張する。しかし,証拠(甲6の1ないし5,7の2及び4,乙1,丙3)及び前記争いのない事実等(2)を総合すれば,本件訪問団は,一般市民に対しては,「敦煌市親善訪問団員募集」を呼びかけつつ,旅程としては,「敦煌市親善訪問と西安・桂林・昆明の旅」として,親善訪問部分とその他の観光部分に分けた紹介をしていること,そして,本件訪問団に参加した一般市民は,この西安・桂林・昆明の観光コースに代えて,三峡下りの観光コースやシルクロードの観光コースも選択できたこと,実際に行われた旅程を見ても,敦煌市における行事には,一般市民が参加する形での地方都市間の国際交流行事(敦煌市主催の歓迎・交流会,訪問団主催の答礼夕食会 やシルクロードの観光コースも選択できたこと,実際に行われた旅程を見ても,敦煌市における行事には,一般市民が参加する形での地方都市間の国際交流行事(敦煌市主催の歓迎・交流会,訪問団主催の答礼夕食会等)が存在するものの,西安市,桂林市,昆明市においては,観光以外の日程はなかったこと,うち10月3日のスケジュールはいわゆるフリータイムになっており,一般市民の訪問団員らも,団体として行動したものではないことが認められる。これらの事実を総合すれば,被告Fが本件訪問団の名誉団長として参加したことから,一般市民である訪問団員らと行動を共にすべきであったのは,敦煌市における日程部分のみであったと認められ,それ以降の日程について,一般市民と行動を共にする必要があったものとは認められない。 また,被告らは,知事のブレーンとしてその求めに応じて助言等を行う最高補佐役の機能を現実的に担っている被告Fについては,国際感覚を養い,国際的な視野を広め,真の国際交流と国際相互理解に資するため,また,行政と地域住民が共通の認識を持つためにも,他国を観光することが必要である旨主張する。しかしながら,本件全証拠によるも,被告ら主張の観光目的が本件出張の目的の一つになっていたことを認めるに足りないし,前判示のとおり,出納長は,本来,出納その他の会計事務の執行をつかさどるものであり,それ以外に,その職務内容や地位に付随する各種の事実行為を行うことがあるとしても,地方自治法が予算執行機関と会計機関とを分離した趣旨を没却しない範囲でのものに限られるものであって,それを越えて,知事のブレーンとしてその求めに応じ,予算執行機関の権限について助言等を行うことは本来予定されていないのであるから,出納長については,被告ら主張のような他国を観光する必要性は認められない。 4 被告Hへの ブレーンとしてその求めに応じ,予算執行機関の権限について助言等を行うことは本来予定されていないのであるから,出納長については,被告ら主張のような他国を観光する必要性は認められない。 4 被告Hへの本件支出の適法性(争点(4))について前記争いのない事実等(2)ア記載のとおり,被告Hは,出納長である被告Fの秘書として本件出張を行ったものであるところ,前記認定のとおり,西安空港に付くまでの日程等については,被告Fの本件出張は公務としての適格性を有すると認められ,被告Fの地位の重要性及び県庁との連絡体制確保の要請等に鑑みれば,被告Hが同Fの秘書として本件出張に同行する必要性もあったと認められるので,被告Hへの本件支出についても適法であったと認められる。 しかしながら,西安空港に着いて以降の部分については被告Fの公務性が認められず違法と認められるものであるから,被告Hについても,同日程部分についての本件支出は違法となる。 5 大分県の損害について前記争いのない事実等(3),証拠(甲5の3及び4,丙16の2及び3)及び調査嘱託の結果によれば,西安空港に着いて以降の日程に要した支出は,被告Fについては,この間の移動や宿泊等に要した8万2000円と9月30日から10月3日までの日当(小計2万0400円)の合計である10万2400円,被告Hについては,この間の移動や宿泊等に要した8万2000円と9月30日から10月3日までの日当(小計1万5200円)の合計である9万7200円であると認められる。 よって,本件支出のうち,本件旅費(1)についてはうち10万2400円,本件旅費(2)についてはうち9万7200円の支出が,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反し,違法であり,上記違法な支出が大分県の損害となる。 なお,被告らは,敦煌 うち10万2400円,本件旅費(2)についてはうち9万7200円の支出が,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反し,違法であり,上記違法な支出が大分県の損害となる。 なお,被告らは,敦煌市訪問後,被告F及び同Hが本件訪問団を離団して単独で帰国したら,その旅費は本件支出よりも高額になると主張するが,パック旅行を利用したり,団体旅行に参加して,その一部の日程が公務に当たり,残部の日程が私用に当たる場合は,その公務に当たる日程部分に限って旅費等が支給されることになるので,本件においても,本件出張の日程中,公務性が認められる部分とこれが認められない部分とを峻別して判断すれば足りるのであり,被告らの上記主張を採用することはできない。 6 被告らの責任(争点(5))についてそこで,以下,上記違法な支出についての被告らの責任について検討する。 (1) 被告F及び同Hの責任について前記争いのない事実等(3)及び証拠(甲5の2,丙16の1)によれば,被告F及び同Hは,それぞれ,大分県に対し,本件旅費(1)及び(2)の請求をなし,請求に係る旅費の交付を受けたものであることが認められる。そして,本件出張が,西安空港に着いて以降の部分について公務性が認められないことは前判示のとおりであるが,前記各認定事実及び証拠(被告H)によれば,被告F及び同Hは,前記認定の本件出張の目的・日程等について請求前から知悉していたと認められるから,上記部分の日程の旅費を請求することが違法であることについても知り得たものであり,故意又は少なくとも過失によって,大分県に対し,前記5認定のとおりの損害を与えたことが認められる。 (2) 被告Iの責任について前判示のとおり,本件出張は,被告Fについても同Hについても,西安空港に着いて以降の部分については公務性が認 し,前記5認定のとおりの損害を与えたことが認められる。 (2) 被告Iの責任について前判示のとおり,本件出張は,被告Fについても同Hについても,西安空港に着いて以降の部分については公務性が認められないから,本件出張の目的達成のための手段として合理的な裁量の範囲を逸脱するものであり,このような出張を命じた本件旅行命令(1)及び(2)は,上記部分については著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するというべきであり,したがって,本件旅行命令(1)及び(2)に基づく旅費の請求があった場合,これに対する支出をなす権限を有する者は,上記部分の支出を阻止すべき義務があったというべきである。 そうすると,前記争いのない事実等(1),証拠(甲4の1,5の1)及び弁論の全趣旨によれば,被告Iは,大分県出納事務局会計課課長補佐兼総務係長として,本件旅費(1)及び(2)の支出負担行為(以下「本件支出負担行為」という。)及び支出命令(以下「本件支出命令」という。)をなしたものであるから,同被告については,地方自治法242条の2第1項4号前段に基づく損害賠償責任が問題となる。ただ,いわゆる予算執行職員に対し,同号前段に基づく賠償責任を問い得るのは,当該職員が支出負担行為又は支出命令をするにつき故意又は重大な過失があった場合に限られる(同法243条の2第1項)ので,以下,被告Iに,本件支出負担行為及び本件支出命令をなすに際し,故意又は重大な過失が認められるか否かを検討する。 証拠(甲3,4の1ないし7,5の1ないし6)によれば,大分県知事による本件旅行命令(1)において,用務地は敦煌市,桂林,昆明と,旅行期間は9月27日から10月4日までとされており,本件支出負担行為決議書の添付書類である「臼杵市制50周年 )によれば,大分県知事による本件旅行命令(1)において,用務地は敦煌市,桂林,昆明と,旅行期間は9月27日から10月4日までとされており,本件支出負担行為決議書の添付書類である「臼杵市制50周年記念事業・敦煌市親善訪問等概要」には,訪問目的が敦煌市親善訪問,レールクルーズとの交流及び博覧園視察と,訪問先が「敦煌市,昆明市ほか」と記載されていて,同じく添付書類である臼杵市長から大分県知事宛の被告Fの本件訪問団参加依頼書にも,訪問先が「敦煌市,西安市,桂林市,昆明市」と,その日程が「平成12年9月27日から10月4日まで」と記載されており,本件支出命令書の添付書類である「臼杵市姉妹都市敦煌市親善訪問等日程」には,9月27日から10月4日までの日程が記載されていて,そのうち10月3日の日程として,「世界園芸博覧園等(H15開催全国都市緑化フェアのため)昆明市内視察」との記載があることが認められる。 そうすると,これらの事実を総合すれば,被告Iが本件支出負担行為及び本件支出命令を行うに際して提出された資料からは,西安空港に着いて以降の日程部分について,本件支出の違法性を直ちに知り得る状態にあったものと認めることはできないから,被告Iには,本件支出負担行為及び本件支出命令をなすに際し,故意又は重大な過失があったと認めることはできない。 よって,被告Iに対し,本件旅費(1)及び(2)のうち違法部分に係る支出負担行為及び支出命令をしたことについての責任を問うことはできないというべきである。 (3) 被告Eの責任について前記争いのない事実等(1),前記3(2)認定事実,証拠(甲3,4の3ないし5,乙1,被告H)及び弁論の全趣旨によれば,被告Eは,臼杵市長から事前に本件訪問団の名誉団長の委嘱を打診され,また,その後,臼杵市長から被告Eに対 ,前記3(2)認定事実,証拠(甲3,4の3ないし5,乙1,被告H)及び弁論の全趣旨によれば,被告Eは,臼杵市長から事前に本件訪問団の名誉団長の委嘱を打診され,また,その後,臼杵市長から被告Eに対し,正式に,被告Fに本件訪問団への参加を依頼する文書を受けて,被告Fに対し,本件出張を命じたものであるが,そのような経緯からは,被告Eは,本件出張の主目的が敦煌市親善訪問であることを知悉していたこと,しかし,それにもかかわらず,臼杵市長から被告Eに対し,被告Fの本件訪問団参加を依頼する文書には,被告Fの訪問先として,敦煌市の他,敦煌市親善訪問とは関連のない桂林市,昆明市が明記されており,また,被告Eの押印した被告Fの旅行命令簿にも,用務地欄に,本件出張の目的地とは関連のない「桂林2泊,昆明2泊」との記載がなされていたこと及び被告Eは,被告Fが出張をなすに当たって,秘書役の随行員が同道することも知っていたことが認められる。 そうすると,被告Eは,本件旅行命令(1)をするに当たり,被告H分も含めて,本件出張のうち西安空港に着いて以降の部分について公務性がないことを認識し得たものであるから,当該部分について,自らは,本件旅行命令(1)の発令を部分的に控え,被告Gによる本件旅行命令(2)の発令を部分的に控えるようにとの指示をなすとともに,被告Iに対し,当該部分に関する本件旅費(1)及び(2)の支出を行わないように指揮監督すべきであったというべきである。しかし,それにもかかわらず,被告Eはそのような指揮監督上の注意義務を怠ったものであるから,過失があったものと認められる。 第4 結論以上によれば,原告らの本訴請求のうち,被告Eに,大分県に対し,損害金19万9600円及びこれに対する平成13年4月1日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定年 と認められる。 第4 結論以上によれば,原告らの本訴請求のうち,被告Eに,大分県に対し,損害金19万9600円及びこれに対する平成13年4月1日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分,被告Fに,大分県に対し,被告Eと連帯して損害金10万2400円及びこれに対する同月18日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分,及び,被告Hに,大分県に対し,被告Eと連帯して損害金9万7200円及びこれに対する同月3日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分については,いずれも理由があるので,これを認容し,その余の請求は,いずれも理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行訴法7条,民訴法61条,64条,65条1項を適用し,仮執行宣言については,相当でないからこれを付さないこととして,主文のとおり判決する。 (口頭弁論終結日平成14年10月21日)大分地方裁判所民事第2部裁判長裁判官一志泰滋裁判官細野なおみ裁判官和田はる子

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