平成30(ネ)1445 損害賠償請求控訴事件、同附帯控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和6年12月18日 大阪高等裁判所 破棄自判 京都地方裁判所 平成25(ワ)3053
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判決文本文251,575 文字)

平成30年(ネ)第1445号、同年(ネ)第2537号損害賠償請求控訴事件、同附帯控訴事件令和6年12月18日大阪高等裁判所第12民事部判決 主文 1 一審原告らと一審被告東電との間について (1) 一審原告2-2、3-2、6-1、7-1・5、8-1、10-1・2、12-1、14-1、16-1、18、19-1、20-1、21-1、22-1、23-1、24-1、25-1、26-2、27-1、29-1、30-1、31-1・2、32-1・2、33-2、34-2、35-1、43-3、44-2、48-1、52-2、57-2及び58-2の各控訴 並びに一審原告1(当審における請求の拡張を含む。)及び25-2の各附帯控訴に基づき、原判決中、これらの一審原告らと一審被告東電との間に関する部分を次のとおり変更する。 ア一審被告東電は、別紙認容額等一覧表の「原告番号」欄記載の一審原告らのうち上記各一審原告に対し、同表の「認容額」欄記載の各金員及びこ れに対する平成23年3月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ上記各一審原告の一審被告東電に対する主位的請求及びその余の予備的請求(一審原告1及び32-1・2を除く。)をいずれも棄却する。 (2) 一審被告東電の控訴に基づき、原判決中、一審原告7-4、9-1、15 -1・2、26-1・3~5、35-2、37-1・2、39、45-1、46-1~5、50、51-1、52-1、56-1・2及び58-1・3と一審被告東電との間に関する部分を次のとおり変更する。 ア一審被告東電は、別紙認容額等一覧表の「原告番号」欄記載の一審原告らのうち上記各一審原告に対し、同表の「認容額」欄記載の各金員及びこ れに対する平成23年3 る部分を次のとおり変更する。 ア一審被告東電は、別紙認容額等一覧表の「原告番号」欄記載の一審原告らのうち上記各一審原告に対し、同表の「認容額」欄記載の各金員及びこ れに対する平成23年3月11日から支払済みまで年5分の割合による金 員を支払え。 イ上記各一審原告の一審被告東電に対する主位的請求及びその余の予備的請求をいずれも棄却する。 (3) 一審原告ら(上記(1)記載の一審原告らを除く。)の一審被告東電に対する各控訴及び附帯控訴並びに一審被告東電の一審原告ら(上記(2)記載の一審原 告らを除く。)に対する控訴をいずれも棄却する。 2 一審原告らと一審被告国との間について(1) 一審被告国の控訴に基づき、原判決中、一審被告国の敗訴部分をいずれも取り消す。 (2) 上記部分につき、一審原告らの一審被告国に対する請求(当審における拡 張請求を含む。)をいずれも棄却する。 (3) 一審原告らの一審被告国に対する各控訴及び各附帯控訴をいずれも棄却する。 3 訴訟費用の負担は次のとおりとする。 (1) 第1項記載の各一審原告と一審被告東電との間に生じた費用は、第1、2 審を通じ、それぞれ別紙認容額等一覧表の「訴訟費用の一審被告東電の負担割合」欄記載の各割合を一審被告東電の負担とし、その余を同表の対応する「原告番号」欄記載の各一審原告の負担とする。 (2) 一審原告2-3・4、6-3、7-2・3・6、8-3、9-2~4、10-3、13-1~3、14-2~4、15-3・4、16-2、19-3・ 4、20-2~6、21-3・4、22-3、23-4・5、24-2~4、25-3~5、27-3・4、29-2、30-3、31-3、32-3~5、33-3、35-3~5、43-4、44-3、47、48-3 20-2~6、21-3・4、22-3、23-4・5、24-2~4、25-3~5、27-3・4、29-2、30-3、31-3、32-3~5、33-3、35-3~5、43-4、44-3、47、48-3、51-3、55、57-3~6及び58-4と一審被告東電との間に生じた控訴費用は、これらの一審原告の負担とする。 (3) 一審原告2-1、3-1、4-1・2、5、6-2、8-2、19-2、 20-7・8、21-2、22-2、23-2承継人、23-3、27-2、28、30-2、33-1、34-1・3・4、36-1・2、38、40、42、43-1・2、44-1、45-2・3、48-2・4~6、49、51-2、52-3・4、54-1・2及び57-1と一審被告東電との間に生じた控訴費用及び附帯控訴費用は、各自の負担とする。 (4) (2)記載の各一審原告と一審被告国との間に生じた控訴費用は、これらの一審原告の負担とする。 (5) (4)記載の一審原告ら以外の各一審原告と一審被告国との間に生じた訴訟費用は、第1、2審を通じ、これらの一審原告の負担とする。 4 この判決は、第1項(1)ア及び(2)アに限り、仮に執行することができる。た だし、一審被告東電が、別紙認容額等一覧表の「担保額」欄記載の各金員を供託するときは、同表の対応する「原告番号」欄記載の各一審原告との関係で、その執行を免れることができる。 5 なお、原判決中、一審原告11-1・2・4、12-2及び17-1の請求に関する部分並びに一審原告53の一審被告東電に対する請求に関する部分は、 訴えの取下げにより失効している。 事実及び理由 第1章控訴及び附帯控訴の趣旨 1 一審原告ら(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 一審被告ら 請求に関する部分は、 訴えの取下げにより失効している。 事実及び理由 第1章控訴及び附帯控訴の趣旨 1 一審原告ら(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 一審被告らは、別紙認容額等一覧表の「原告番号」欄記載の各一審原告に対し、連帯して同表の対応する「原告らの請求額」欄記載の各金員及びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(ただし、一審原告1、8-1、10-2、25-2、35-1は、当審において、その請求を拡張した。一審原告53は、一審被告東電に対す る請求に係る訴えを取り下げた。一審原告23-1は、死亡し、一審原告2 3-3が訴訟承継した。)。 2 一審被告東電(1) 原判決中、一審被告東電敗訴部分を取り消す。 (2) 上記部分につき、一審原告らの請求をいずれも棄却する。 3 一審被告国 (1) 原判決中、一審被告国敗訴部分を取り消す。 (2) 上記部分につき、一審原告らの請求をいずれも棄却する。 第2章事案の概要第1節事案の要旨一審原告らは、平成23年3月11日に発生した平成23年(2011年) 東北地方太平洋沖地震(以下「本件地震」という。)に伴う津波の影響により、一審被告東電が設置運営する福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」又は「本件原発」という。)の電源が消失し、炉心の冷却が不可能になったことなどから放射性物質が放出されるに至った事故(以下「本件事故」という。)に関し、放出された放射性物質によってその当時の居住地が汚染されたと主張する 者(本件事故後に出生した者を含む。)又はその承継人である。本件は、一審原告らが、一審被告東電に対し、本件事故により避難を余儀なくされ、損害を被ったとして、 時の居住地が汚染されたと主張する 者(本件事故後に出生した者を含む。)又はその承継人である。本件は、一審原告らが、一審被告東電に対し、本件事故により避難を余儀なくされ、損害を被ったとして、主位的に民法709条に基づき、予備的に原子力損害の賠償に関する法律(以下「原賠法」という。平成26年法律第134号による改正前のもの。以下同じ。)3条1項に基づき損害賠償を求めるとともに、一審被告国に対 し、経済産業大臣が津波による本件原発の事故を防ぐために電気事業法(平成24年法律第47号による改正前のもの。以下同じ。)に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるとして、国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき損害賠償を求める事案である。 原審が、一審原告らのうち原判決別紙認容額等一覧表の「認容額」欄に金額 の記載のある各一審原告について、同欄記載の金員及びこれに対する遅延損害 金を、一審被告東電については原賠法に基づき、一審被告国については国賠法に基づき、連帯して支払うべき旨命じ、それらの各一審原告のその余の請求及びその余の各一審原告の請求全部をいずれも棄却したところ、一審被告東電及び一審被告国は、請求認容部分を不服としてそれぞれ控訴し、他方、一審原告らの一部も、請求棄却部分を不服としてそれぞれ控訴ないし附帯控訴をした(な お、一審原告1及び25-2は附帯控訴した上それぞれ請求を拡張し、一審原告8-1、10-2及び35-1はそれぞれ請求を拡張した。また、一審原告23-2は平成30年2月7日死亡し、子である一審原告23-3が同人を相続し、訴訟手続を承継した。一審原告42についても令和3年5月15日死亡し、子が同人を相続し、訴訟手続を承継した(以下、一審原告42については、 承継の前後を通 ある一審原告23-3が同人を相続し、訴訟手続を承継した。一審原告42についても令和3年5月15日死亡し、子が同人を相続し、訴訟手続を承継した(以下、一審原告42については、 承継の前後を通じて単に「一審原告42」という。)。)。 以下、略語は、原則として、原判決別紙略語・用語一覧表の記載によるが、理解のために再掲する場合がある。 第2節前提事実前提事実は、次のとおり補正するほか、原判決の「事実及び理由」の「第2 章事案の概要等」の第2節(原判決7頁20行目~22頁26行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決11頁10行目の「とされる。」を「とされ、その最大すべり量は50m以上であったとされる。」に改める。 (2) 同11頁15行目の「本件津波により」を「本件津波は、本件原発の敷地 の海に面した東側及び南側(南東側)の全方向からその敷地内に浸入し」に改める。 第3節主たる争点第1 経済産業大臣による電気事業法40条に基づく技術基準適合命令により是正する規制権限の範囲について 第2 一審被告らの本件津波の予見可能性の有無について 第3 一審被告らの本件事故の結果回避可能性の有無について第4 一審被告東電の故意又は重過失(慰謝料増額事由)の有無について第5 一審原告らの避難の相当性について第6 一審原告らの損害について第7 弁済の抗弁について 第4節主たる争点に関する当事者の主張主たる争点に関する原審における当事者の主張は、原判決の「事実及び理由」の「第2章事案の概要等」の第4節(原判決23頁7行目~8行目及び別冊当事者の主張)に記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決別冊109頁11行目の「済む」を「住む」に、同1 理由」の「第2章事案の概要等」の第4節(原判決23頁7行目~8行目及び別冊当事者の主張)に記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決別冊109頁11行目の「済む」を「住む」に、同14行目の「低線量率被ば く」を「低線量被ばく」に、同128頁10行目の「欣射線影響」を「放射線影響」にそれぞれ改め、同132頁18行目の「本準備書面の」を削り、同132頁20行目の「記載している」を「主張している」に、同147頁7行目の「審理すべき」を「判断すべき」に、同184頁10行目の「こととなった。 と抽象的に」を「こととなった。」と抽象的に」にそれぞれ改める。なお、前記 「第3節争点」の第1は原判決別冊当事者の主張の第3に、前記「第3節争点」の第2は原判決別冊当事者の主張の第1に、前記「第3節争点」の第3は原判決別冊当事者の主張の第2及び第3に、前記「第3節争点」の第4は原判決別冊当事者の主張の第2に、前記「第3節争点」の第5は原判決別冊当事者の主張の第4に、前記「第3節争点」の第6及び第7は原判決別冊当 事者の主張の第5に、それぞれ記載されている。)。これに加えて、当審における当事者の主張は、本判決別紙控訴審における当事者の主張に記載のとおりである。 第3章当裁判所の判断第1節経済産業大臣による電気事業法40条に基づく技術基準適合命令により是 正する規制権限の範囲について 1 炉規法は、原子炉の設置、変更の許可に関する定め(23条~26条の2)に加え、設計及び工事の方法の認可に関する定め(27条)等の各規定を設け、これらの規制が段階的に行われることを予定し、原子炉の設置、変更の許可の段階においては、専ら当該原子炉の基本設計のみが規制の対象とされ、後続の設計及び工事の方法の認 定め(27条)等の各規定を設け、これらの規制が段階的に行われることを予定し、原子炉の設置、変更の許可の段階においては、専ら当該原子炉の基本設計のみが規制の対象とされ、後続の設計及び工事の方法の認可の段階で規制の対象となる当該原子炉の具体的な詳 細設計及び工事の方法については規制の対象とならないものと解される。そして、電気事業法39条及び省令62号で定める技術基準は、上記のような段階的規制の下においては、工事計画認可の段階における基準とされており(47条3項1号)、同法39条及び省令62号で定める技術基準に適合していないと認めるときに発せられるべき40条による技術基準適合命令も、本来的には、 詳細設計についての技術基準に適合していないと認めるときに発せられるべきものであると解される。 2 しかし、電気事業法39条は、その文言上、基本設計や詳細設計を区別することなく、経済産業省令で定める技術基準に適合するよう維持することを求めるものであり、詳細設計に関する事項についてのみ技術基準に適合することを 求めるものと解されるべきではない。実質的に考えても、経済産業大臣が、発電用原子炉の設置許可申請がされた時点においては、炉規法24条1項4号所定の基準に適合すると判断して設置許可をしたところ、その後の周辺環境の変化や判断の根拠となった知見の発展等により、当該発電用原子炉が、当初の基本設計では上記基準に適合しないと判断されるに至り、当初の設置許可が維持 されたままであることが不相当であるに至ることは当然に想定し得る。このような場合においても、経済産業大臣が、技術基準適合命令を発する権限を有せず、行政指導にとどめるか、設置許可の取消しを選択するしかないと解するのは不合理である。 3 そうであれば、経済産業大臣は、発電用原子炉 おいても、経済産業大臣が、技術基準適合命令を発する権限を有せず、行政指導にとどめるか、設置許可の取消しを選択するしかないと解するのは不合理である。 3 そうであれば、経済産業大臣は、発電用原子炉の基本設計に関する事項につ いて、設置許可後の周辺環境の変化や判断の根拠となった知見の発展等により、 技術基準に適合しなくなったと判断される場合においても、電気事業法40条の技術基準適合命令を発することができると解するのが相当である。 4 なお、本件事故後に改正された炉規法(平成24年法律第47号による改正後)43条の3の23は、上記の電気事業法40条とは異なり、原子力規制委員会が必要な措置を命ずることができる場合として、「発電用原子炉施設が第 43条の3の14の技術上の基準に適合していないと認めるとき」のほか「発電用原子炉施設の位置、構造若しくは設備が第43条の3の6第1項4号の基準に適合していないと認めるとき」を挙げ、基本設計が基準に適合しない場合にも必要な措置を命ずることができることを明らかにしているが、上記2及び3で説示したとおり、従前の電気事業法40条の規定によっても、基本設計に 関する事項についても技術基準適合命令を発することが可能であると解され、同改正も、技術基準適合命令を基本設計に関する事項に関しても発することができることを確認的に明らかにしたものにすぎないと解するのが相当である。 第2節一審被告東電の不法行為責任の存否について一審原告らは、一審被告東電に対し、主位的に民法709条に基づく損害賠 償を求める。しかし、原賠法の規定のうち、原子力損害の賠償責任に関して定める第2章の規定は,原子力損害についての原子力事業者の無過失責任(3条)、責任の集中(4条)、求償権等の制限(5条) 償を求める。しかし、原賠法の規定のうち、原子力損害の賠償責任に関して定める第2章の規定は,原子力損害についての原子力事業者の無過失責任(3条)、責任の集中(4条)、求償権等の制限(5条)を定めており、これらは民法の不法行為に関する規定の特則であって、原賠法の規定が適用される範囲においては、民法の規定はその適用が排除されるものと解するのが相当である。したが って,本件事故による原子力損害の賠償に関しては、一審被告東電は、原賠法3条1項によってのみ損害賠償責任を負うものと解するのが相当であり、一審原告らの一審被告東電に対する民法709条に基づく損害賠償請求は理由がない。 次に、無過失責任である原賠法3条に基づく損害賠償請求については、一審 被告東電による本件事故の予見可能性は問題とならないが、一審原告らは、原 賠法に基づく一審被告東電の責任について、責任加重事由としての故意又は重過失の存在を主張するから、以下では、一審被告国の過失(本件津波の予見可能性及び本件事故の結果回避可能性)を検討し、併せて一審被告東電の故意又は重過失についても検討する。 第3節一審被告らの津波の予見可能性の有無について 第1 経済産業大臣による権限不行使の国賠法上の違法性の判断基準国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関係において、国賠法1条1項の適用上 違法となるものと解するのが相当である(最高裁平成13年(受)第1760号同16年4月27日第三小法廷判決・民集58巻4号1032頁、最高裁平成13年(オ)第 おいて、国賠法1条1項の適用上 違法となるものと解するのが相当である(最高裁平成13年(受)第1760号同16年4月27日第三小法廷判決・民集58巻4号1032頁、最高裁平成13年(オ)第1194号、第1196号、同年(受)第1172号、第1174号同16年10月15日第二小法廷判決・民集58巻7号1802頁、最高裁平成26年(受)第771号同年10月9日第一小法廷判決・民集68 巻8号799頁、最高裁平成30年(受)第1447号、第1448号、第1449号、第1451号、第1452号令和3年5月17日第一小法廷判決・民集75巻5号1359頁参照)。そして、国又は公共団体が、上記公務員が規制権限を行使しなかったことを理由として同項に基づく損害賠償責任を負うというためには、上記公務員が規制権限を行使していれば上記の者が被害を受け ることはなかったであろうという関係が認められなければならない。 以下、経済産業大臣が一審被告東電に対する電気事業法40条の技術基準適合命令を行使しなかったことについて、一審被告国による本件津波到来の予見可能性及びその津波による本件事故発生の回避可能性の観点から順次検討する。 第2 認定事実 1 後記2のとおり補正するほか、原判決の「事実及び理由」の「第3章当裁 判所の判断」の「第1節争点①(予見可能性の有無)について」の第1(原判決23頁11行目~61頁21行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。 2 補正(1) 原判決48頁23行目の「長期評価に従い、」から26行目の「行ったと ころ、」までを次のとおり改める。 「長期評価に基づいて福島県沖から房総沖の日本海溝寄りの領域に明治三陸地震の断層モデル(波源モデル)を設定した上で、津波評価技術が示す設 26行目の「行ったと ころ、」までを次のとおり改める。 「長期評価に基づいて福島県沖から房総沖の日本海溝寄りの領域に明治三陸地震の断層モデル(波源モデル)を設定した上で、津波評価技術が示す設計津波水位の評価方法に従って、断層モデルの諸条件を合理的と考えられる範囲内で変化させた数値計算を多数実施して津波の試算を行うパラメー タスタディが行われ、その結果、本件原発における」(2) 原判決49頁7行目の「試算された」の次に、「。もっとも、敷地の東側前面(取水ポンプ位置)では、最も高い2号機でO.P.+9.244mであって、敷地の高さ(O.P.+10m)を越えていなかった」を加える。 (3) 原判決50頁3行目の「理解」を「意見」に改める。 (4) 原判決51頁24行目末尾に、改行して次のとおり加える。 「(7) 本件事故後の試算一審被告東電は、本件事故後である平成28年7月頃、平成20年試算の結果により得られた最大津波に対して、本件原発の敷地への浸水を防ぐための対策を実施していた場合に、本件原発1号機ないし4号機の 敷地(O.P.+10m盤)への浸水を防ぐことができたか否かを確認した。そして、平成20年試算津波に対する対策としては、本件原発南側(南東側)敷地にO.P.+22m及びO.P.+17.5mの天端高さの防潮堤、1号機北側にO.P.+12.5mの天端高さの防潮堤及び本件原発北側敷地にO.P.+14mの天端高さの防潮堤を設置する ことが考えられるが、そのような防潮堤の設置によっても、本件津波が 本件原発のO.P+10m盤及びO.P.+13m盤(本件原発5号機及び6号機の敷地高さ)に浸入することを防ぐことはできなかったことを確認した。(乙B26)(8) なお、本件事故までの間、我 本件原発のO.P+10m盤及びO.P.+13m盤(本件原発5号機及び6号機の敷地高さ)に浸入することを防ぐことはできなかったことを確認した。(乙B26)(8) なお、本件事故までの間、我が国における発電所の津波対策としては、安全上重要な全ての機器が設計想定津波の水位よりも高い場所に設置さ れることなどによって、それらの機器が津波で浸水することを防ぐという考え方(ドライサイトコンセプト)が主流であり、設計想定津波が敷地内に浸入することが想定される場合には、防潮堤、防波堤等を設置することにより津波の敷地内への浸入を防止することが実効的かつ合理的であると考えられていた。そして、原子力安全委員会は、本件事故後で ある平成24年3月に公表した「発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策について(想定を超える津波に対する原子炉施設の安全確保の基本的考え方)においても、「これまでの国内の原子力発電所の設計においては、基本的に、原子炉建屋等の主要施設の敷地高さを原子炉設置(変更)許可申請書等に記載された津波高さ以上とすることに よって、施設の安全機能への影響を未然に防止するという考え方がとられてきた。」とし、原子力規制委員会が、本件事故後である平成28年6月に策定した「実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方について」においても、「津波を敷地に遡上又は流入させないドライサイトを基本としつつ、設計を超える事象(津波が防潮堤を越え敷地に流入する事象等) に対しても一定の耐性を付与するよう配慮すること」を求めている。(乙B22、丙B85・20~21頁、丙A59・315頁)」(5) 原判決57頁21行目の「機(JNES)構解析評価部」を「機構(JNES)解析評価部」に改める。 第3 一審被告らの津波の予見可 乙B22、丙B85・20~21頁、丙A59・315頁)」(5) 原判決57頁21行目の「機(JNES)構解析評価部」を「機構(JNES)解析評価部」に改める。 第3 一審被告らの津波の予見可能性の有無について 1 一審被告らの予見可能性の対象となる津波 (1) 本件原発の1号機ないし4号機の主要建屋等が設置されているのは、O. P.+10m盤であり、電源設備については、その多くが地下等の敷地高よりも低い位置に設置されていたと認められ、何らかの津波対策を行わなければ、本件原発の敷地高であるO.P.+10mを越える津波が到来した場合には、その敷地内にある非常用電源供給設備が被水し、その機能を喪失して、 本件事故と同様の事故が生じるおそれがあったといえる。そうであれば、一審被告東電においては、O.P.+10mを越える津波への対応が不可欠となるのであるから、一審被告らの予見可能性の対象となる津波は、本件原発の存在する地点においてO.P.+10mを越える津波であるというべきである。 (2) 一審被告国は、予見可能性の対象となる津波は、O.P.+10mの高さを越える津波ではなく、本件津波と同程度の津波の到来であると主張する。 しかし、上記のとおり、本件原発敷地に、1号機ないし4号機の主要建屋等が設置されている地盤面であるO.P.+10mを越える津波が到来すれば、電源設備が被水してその機能を喪失し、本件事故と同様の事態を生じる具体 的な危険性があったというべきであるから、一審被告らの予見可能性の対象となる津波としては、電源設備の機能を喪失させる可能性があるO.P.+10mを越える津波の到来であるというべきである。そして、予見可能性の対象となるO.P.+10mを越える高さの津波への対策を行っていたにも としては、電源設備の機能を喪失させる可能性があるO.P.+10mを越える津波の到来であるというべきである。そして、予見可能性の対象となるO.P.+10mを越える高さの津波への対策を行っていたにもかかわらず、これを越える津波が到来したことにより電源設備の機能を喪失 し、原子力被害を生じた場合には、その予見可能性や現実の予見を前提に、合理的な結果回避措置をとることにより、具体的な結果を回避し得たのかを別途検討することになるというべきである。 2 一審被告らが予見し得る津波(1) 津波評価技術により予見し得る津波 一審被告東電は、平成14年2月に土木学会から津波評価技術が公表され ると、津波評価技術に従ってシミュレーションを実施して、同年3月には、本件原発の設計津波最高水位は、O.P.+5.4~5.7mであるとの結論を得ており(甲B7、乙B15)、その検討内容が特に不合理であったと評価すべき事情もないから、上記時点における一審被告東電による本件原発に到来する可能性がある津波の予見は、上記の程度であったといえる。しかも、 津波評価技術によって計算される設計想定津波は、平均的には既往津波の痕跡高の2倍となっており(甲B3・2-209頁)、そうであれば、本件原発に上記の算定を大きく上回るO.P.+10mを越える津波の到来を予見することも困難であったといえる。 (2) 長期評価により予見し得る津波 もっとも、平成14年7月には、地震調査研究推進本部(地震調査委員会長期評価部会)から、長期評価が公表され、これにより、一審被告らも、日本海溝沿いの領域のうち、三陸沖北部から房総沖の海溝寄りまでを一体の領域としてとらえ、三陸地方で生じた慶長三陸地震(1611年)、房総半島沖で生じた延宝房総沖地震(1677年 より、一審被告らも、日本海溝沿いの領域のうち、三陸沖北部から房総沖の海溝寄りまでを一体の領域としてとらえ、三陸地方で生じた慶長三陸地震(1611年)、房総半島沖で生じた延宝房総沖地震(1677年)及び三陸地方で生じた明治三陸地震 (1896年)を、上記の一体の領域で生じたものと取り扱うことなどにより、津波評価技術により想定される津波よりも大規模な津波が到来する可能性があるとされていることを認識し得たといえる。そして、一審被告東電は、地震調査委員会長期評価部会海溝型分科会を構成する委員に対して、長期評価を発表した理由を尋ねるなどしており、一審被告東電の本件原発への津波 対策に重大な影響を及ぼし得るものであることを認識していたと認められることや、平成14年当時から東電設計に委託して平成20年試算を実施するまでの間に、津波のシミュレーションに関する知見において特に大きな進展があったような事情も見当たらないことに照らせば、一審被告らは、長期評価が公表された平成14年の年末頃までには、長期評価の方法によって想定 される津波が、O.P.+10mを越え、平成20年試算津波と同等のO. P.+15.7m程度の津波となることを予見し得たといえる。 これに対して、一審被告らは、「長期評価の見解」は、科学的根拠が乏しく、専門家の間でも原子力規制に取り入れられるべき科学的知見としては認識されていなかったと主張する。そして、地震調査研究推進本部の長期評価部会における議論からは、慶長三陸地震、延宝房総沖地震及び明治三陸地震を一 体の領域で生じたものとして取り扱うこととしたのは、全国のいずれの地域においても大規模な地震が生じる可能性を指摘し、国民の防災意識の高揚を図るという防災行政上の目的もあったことがうかがわれる上、長期 体の領域で生じたものとして取り扱うこととしたのは、全国のいずれの地域においても大規模な地震が生じる可能性を指摘し、国民の防災意識の高揚を図るという防災行政上の目的もあったことがうかがわれる上、長期評価を発表した地震調査研究推進本部自身も、平成15年に公表した「プレートの沈み込みに伴う大地震に関する長期評価の信頼度について」において、三陸沖 南部海溝寄りのプレート間地震について、「発生領域の評価の信頼度」及び「発生確率の評価の信頼度」をいずれも「C」(やや低い)と評価付けし(乙B7)、また、長期評価の目的が「全国を概観した地震動予測地図」の作成にあったところ、平成17年に地震調査委員会がとりまとめた同予測地図のうち、決定論的手法により作成した「震源断層を特定した地震動予測地図」に も、長期評価はその基礎として用いられず(丙B211の1)、さらに、中央防災会議に設置された専門家14名からなる「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に関する専門調査会」が平成18年1月に作成した「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に関する専門調査会報告」(乙B8)においても長期評価は採用されておらず、その見解は、地震学者、津波学者らの中でも、必ずし も一般的なものではなかったといえる。 しかし、原子力発電所は、多量の放射性物質を取り扱っており、その制御も容易でなく、一旦事故が生じ、放射性物質が外部に放出されるようなことになれば、周囲に甚大かつ取り返しのつかない被害を長期間にわたって及ぼし続けるという性質を有しており、万が一にもそのような事故を生じさせな いよう極めて高い安全性が要求される。そうであれば、その安全性を確保す るため、あらゆる知見を考慮に入れなければならないとまではいえないとしても、一定の客観性、合理性があると考 いよう極めて高い安全性が要求される。そうであれば、その安全性を確保す るため、あらゆる知見を考慮に入れなければならないとまではいえないとしても、一定の客観性、合理性があると考えられる科学的見解に接した場合は、これを取り入れるか否か慎重に検討しなければならないというべきである。 そして、長期評価は、それまでに確立されていた地震地体構造論の見解とは異なる見解から策定されたものであり、また、科学的な裏付けが十分に明示 されているものではないものの、政府の特別機関として設置された地震調査研究推進本部(地震防災対策特別措置法7条)の地震調査委員会において、地震、津波工学の専門家らによって構成された長期評価部会により策定されたものであって、独自の見解として安易に排斥し得るようなものではない上(そうであるからこそ、一審被告東電においても長期評価への対応を継続し ている。)、既に公表されていた津波評価技術は、既往津波に基づき津波を予測する決定論的手法であって、それ自体によっては、大きな既往津波が確認されていない福島県沖海溝沿い領域を波源とする津波を評価することはできないが、同領域を波源とする津波が発生する可能性を否定すべき積極的な根拠もなかったのであるから、「長期評価の見解」が未だ見解の一致をみるべき 科学的知見ではなかったとしても、安全側に立ってその取扱いについては慎重に検討すべきであったといえる。 3 まとめ以上によれば、一審被告らにおいても、地震調査研究推進本部が公表した「長期評価の見解」を慎重かつ安全側に立って検討することにより、長期評価が公 表された後である平成14年末頃には、平成20年試算におけるのと同程度のO.P.+15m程度の高さの津波が、本件原発に到来する可能性があったことを予見する て検討することにより、長期評価が公 表された後である平成14年末頃には、平成20年試算におけるのと同程度のO.P.+15m程度の高さの津波が、本件原発に到来する可能性があったことを予見することができたというべきであり、また、予見すべきであったといえる。 4 貞観津波による予見 一審原告らは、一審被告東電が、869年に生じた貞観地震による津波を基 礎として津波評価技術により算定すると、本件原発に到来する津波がO.P. +8.6~9.2mとの試算を得ており、不確実性(パラメータスタディ)を考慮すると、その津波が本件原発の敷地高であるO.P.+10mを越えるものとなることを予見できた旨主張する。 そして、東京大学地震研究所のB教授らは、平成20年頃、貞観津波の津波 堆積物調査の結果による「石巻・仙台平野における869年貞観津波の数値シミュレーション」と題する論文(甲B22)を公表し、一審被告東電も、同年9月頃には、これに基づいて津波評価技術により貞観津波を評価した結果、本件原発1号機ないし4号機(O.P.+10m)における津波水位はO.P. +8.7m、5号機及び6号機(O.P.+13m)における津波水位はO. P.+9.1~9.2mとなり、パラメータスタディのため2~3割程度津波水位が大きくなる可能性はあり、敷地南側からの津波の遡上がO.P.+11m程度となることも想定していたと認められる(甲A2・398頁、甲B11、139)。 しかし、津波評価技術のパラメータスタディによる最大水位上昇量は、既往 最大津波の痕跡高に対し平均で約2倍の大きさとなっており、詳細パラメータスタディによる最大水位上昇量は、既往最大津波の痕跡高を超過するとの結果が得られていたのであるから(甲B2・1-7頁、甲B3・2 最大津波の痕跡高に対し平均で約2倍の大きさとなっており、詳細パラメータスタディによる最大水位上昇量は、既往最大津波の痕跡高を超過するとの結果が得られていたのであるから(甲B2・1-7頁、甲B3・2-209頁)、貞観津波から想定される津波が、本件原発の地盤の高さを大きく越えると認識すべきであるとまではいえない。また、そもそも、土木学会津波評価部会におい ては、貞観津波については断層モデルとしての成熟度が低いため、津波評価技術の次回の改訂(平成24年10月を予定)で取り込むのは時期尚早であり、継続して知見を収集するという方針であったと認められる(甲B11、140)。 そうであれば、一審被告東電において、貞観津波に関する知見を津波評価技術に当てはめたことによって、津波による本件原発の浸水を予見できたとしても、 その浸水は、最大でも敷地南側においてO.P.+11m(浸水深1m)程度 (甲B139)であって、これが平成20年試算津波の規模を超えるようなものであるとか、本件原発により甚大な影響を及ぼすほどのものであったともいえない。したがって、貞観津波に関する知見が、平成20年試算津波を前提とする一審被告らの予見可能性(及び後述の結果回避可能性)に影響を及ぼすものとはいえない。 第4節一審被告らの本件事故の回避可能性の有無について第1 判断 1 前記のとおり、国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使が著しく合理性を欠くと認められるときは、国賠法上違法となるものと解されるが、国又は公共団体が、その規制権限を行使しなかったことを理由として同項に基づく 損害賠償責任を負うというためには、上記公務員が規制権限を行使していれば上記の者が被害を受けることはなかったであろうという関係が認められなければならない。 かったことを理由として同項に基づく 損害賠償責任を負うというためには、上記公務員が規制権限を行使していれば上記の者が被害を受けることはなかったであろうという関係が認められなければならない。 そして、前記事実関係等によれば、本件事故以前の我が国における原子炉施設の津波対策は、津波により安全設備等が設置された原子炉施設の敷地が浸水 することが想定される場合には、防潮堤等を設置することにより上記敷地への海水の浸入を防止することを基本とするものであったから、経済産業大臣が、長期評価を前提に、電気事業法40条に基づく技術基準適合命令を発して津波による本件原発の事故を防ぐための適切な措置を講ずることを一審被告東電に義務付けた場合には、一審被告東電において、長期評価に基づいて想定される 最大の津波が本件原発に到来しても、主要建屋の地盤面であるO.P.+10m盤への海水の浸入を防ぐことができるように設計された防潮堤等を設置するという措置が講じられた蓋然性が高いということができる。そして、平成20年試算は、長期評価が今後同様の地震が発生する可能性があるとする明治三陸地震の断層モデルを福島県沖等の日本海溝寄りの領域に設定した上、津波評価 技術が示す設計津波水位の評価方法に従って、上記断層モデルの諸条件を合理 的と考えられる範囲内で変化させた数値計算を多数実施し(パラメータスタディ)、本件原発の敷地の海に面した東側及び南側(南東側)の前面における波の高さが最も高くなる津波を試算したものであり、安全性に十分配慮して余裕を持たせ、当時考えられる最悪の事態に対応したものとして、合理性を有する試算であったといえる。 そうすると、経済産業大臣が上記事実を踏まえて電気事業法40条の技術基準適合命令を発していた場合に たせ、当時考えられる最悪の事態に対応したものとして、合理性を有する試算であったといえる。 そうすると、経済産業大臣が上記事実を踏まえて電気事業法40条の技術基準適合命令を発していた場合には、一審被告東電において平成20年試算津波と同じ規模の津波による本件原発の敷地の浸水を防ぐことができるように設計された防潮堤等を設置するという措置が講じられた蓋然性が高いということができる。 他方、本件事故以前において、津波により安全設備等が設置された原子炉施設の敷地が浸水することが想定される場合に、想定される津波による上記敷地の浸水を防ぐことができるように設計された防潮堤等を設置するという措置を講ずるだけでは対策として不十分であるとの考え方が有力であったことはうかがわれず、その他、本件事故以前の知見の下において、上記措置が原子炉施設 の津波対策として不十分なものであったと解すべき事情はうかがわれない。したがって、本件事故以前に経済産業大臣が電気事業法40条の技術基準適合命令を発していた場合に、平成20年試算津波と同じ規模の津波による敷地の浸水を防ぐことができるように設計された防潮堤等を設置するという措置に加えて他の対策が講じられた蓋然性があるとか、そのような対策が講じられなけれ ばならなかったということはできない。 2 もっとも、長期評価が今後発生する可能性があるとした地震の規模は、津波マグニチュード(Mt)8.2前後であったのに対し、本件地震の規模は、Mt9.1であり、長期評価に基づいて想定される地震よりもはるかに規模が大きいものであった。また、平成20年試算津波による本件原発の主要建屋付近 の浸水深は、約2.6m(O.P.+10m盤にある4号機原子炉建屋中央付近) 又はそれ以下とされたのに対 きいものであった。また、平成20年試算津波による本件原発の主要建屋付近 の浸水深は、約2.6m(O.P.+10m盤にある4号機原子炉建屋中央付近) 又はそれ以下とされたのに対し、本件津波による主要建屋付近の浸水深は、最大で約5.5mに及んでいる。そして、平成20年試算では、津波の高さは、本件敷地の南側(南東側)前面においては、敷地の高さ(O.P.+10m)を越えるO.P.+約15.5mとされていたものの、東側前面(取水ポンプ位置)においてはO.P.+約9.2mとされており(甲B72の2)、本件原発の 敷地の高さを越えることはなく、平成20年試算津波と同じ規模の津波が本件原発に到来しても、本件原発の敷地に東側から海水が浸入することは想定されていなかったが、現実には、本件津波の到来に伴い、敷地の南側(南東側)のみならず東側からも大量の海水が本件敷地に浸入している。 これらの事情に照らすと、平成20年試算津波と同じ規模の津波による本件 原発の敷地の浸水を防ぐことができるものとして設計される防潮堤等は、敷地の南側(南東側)からの海水の浸入を防ぐことに主眼を置いたものとなる可能性が高く、一定の裕度を有するように設計されるであろうことを考慮しても、本件津波の到来に伴って大量の海水が本件原発の敷地に浸入することを防ぐことができるものにはならなかった可能性が高いといわざるを得ない。 3 以上によれば、仮に、経済産業大臣が、長期評価を前提に、電気事業法40条に基づく技術基準適合命令を発して、津波による本件原発の事故を防ぐための適切な措置を講ずることを一審被告東電に義務付け、一審被告東電がその義務を履行していたとしても、本件津波の到来に伴って大量の海水が本件原発の敷地に浸入することは避けられなかった可能性が高く ぐための適切な措置を講ずることを一審被告東電に義務付け、一審被告東電がその義務を履行していたとしても、本件津波の到来に伴って大量の海水が本件原発の敷地に浸入することは避けられなかった可能性が高く、その大量の海水が主要 建屋の中に浸入し、非常用電源設備が浸水によりその機能を失うなどして本件原発の各原子炉施設が電源喪失の事態に陥り、本件事故と同様の事故が発生するに至っていた可能性が相当にあるといわざるを得ない。 そうすると、経済産業大臣が技術基準適合命令を発していれば本件事故又はこれと同様の事故が発生しなかったであろうという関係を認めることはできず、 一審被告国が、経済産業大臣が電気事業法40条に基づく規制権限を行使して 津波による本件原発の事故を防ぐための適切な措置を講ずることを一審被告東電に義務付けなかったことを理由として、一審原告らに対し、国賠法1条1項に基づく損害賠償責任を負うということはできない。 第2 結果回避可能性に関する一審原告らの主張に対する判断 1 溢水勉強会における一審被告らの対応 一審原告らは、平成18年1月以降に開催された溢水勉強会において、想定外の津波に対するアクシデントマネジメント(以下「AM」という。)対策の実施も検討されていたにもかかわらず、一審被告東電は、敷地が浸水した場合の対策を講じる必要性を無視し、一審被告国も、本件原発の津波に対する脆弱性を認識しながら、想定外水位を仮定した溢水対策を実施しないことを認める結 果となった旨主張する。 そして、平成18年1月頃に立ち上げられた溢水勉強会においては、平成22年頃に想定外津波に対するAM対策の実施を予定して(甲B226、227)、津波等の外部溢水に関して津波PSA、津波溢水AM等の検討が進められることとされ、 ち上げられた溢水勉強会においては、平成22年頃に想定外津波に対するAM対策の実施を予定して(甲B226、227)、津波等の外部溢水に関して津波PSA、津波溢水AM等の検討が進められることとされ、平成18年6月頃には、一審被告東電に関しては、本件原発5号機 を代表プラントとして、O.P.+13mの敷地高さ+1m(O.P.+14m)の津波による影響が検討されたが、現実には、本件事故までの間にはAM対策の実施には至らなかったものと認められる(甲B229)。 しかし、上記のようなO.P.+14mの津波の想定は、単に本件原発5号機の敷地高さ(O.P.+13m)を1m越える津波が到来したという想定を したにすぎず、O.P.+14mの津波が到来する現実的な危険性を想定したものではない。また、前記のとおり、平成20年試算による津波の予測には合理性があるというべきところ、溢水勉強会において想定されたO.P.+14mの津波を基礎としてAM対策を実施したとしても、これが、最大でO.P. +約15.7mと想定された平成20年試算津波を更に上回る津波の到来に対 処することができるものとなっていたというべき根拠もない。したがって、一 審被告東電において津波に対するAM対策を実施していたとしても、これが、一審被告東電において、平成20年試算津波に対する対策より安全側に立った防潮堤、防波堤の設置その他の対策になったとまではいえず、経済産業大臣において、電気事業法40条の技術基準適合命令を発すべきであったということにもならない。そして、前述のとおり、仮に、本件事故時までに、平成20年 試算津波を想定して防潮堤や防波堤が設置されていた場合に津波が敷地東側から本件原発の敷地に流入したことによる1号機ないし4号機の主要建屋の浸水深と、 とおり、仮に、本件事故時までに、平成20年 試算津波を想定して防潮堤や防波堤が設置されていた場合に津波が敷地東側から本件原発の敷地に流入したことによる1号機ないし4号機の主要建屋の浸水深と、本件津波による現実の浸水深とはほとんど変化がなかったものと考えられるから(乙B26)、溢水勉強会において津波PSA等が検討されていたことも、一審被告らの責任を肯定すべき事情であるとはいえない。 2 O.P.+20mの鉛直壁設置の必要性一審原告らは、平成20年試算津波を前提としても、O.P.+20mの高さの防潮堤を設けるべきであった旨主張する。そして、東電設計は、平成20年試算(甲B72の2)に際して「資料1 鉛直壁を設置した場合の検討」(甲B102、丙B150の2)を作成しており、同書面によれば、本件原発の敷地O. P.+10m及びO.P.+13mに鉛直壁(O.P.+20m)を仮定して、津波が到来した場合の本件原発の敷地への浸水状況の試算を行ったものと認められる。 しかし、このような鉛直壁の設定は、主要建屋敷地のどの地点においても越流しないと考えられる高さの鉛直壁を設定することによって、防潮壁による津 波の跳ね上がりの高さやその挙動の変化を仮想的に確認するためのものにすぎないのであって、実際に本件原発の敷地に、津波対策としてO.P.+20mの防潮堤を設置すべきであるという意味ではないと解される(丙B150の1)。 O.P.+20mもの防潮堤(又は鉛直壁)を設ける必要がないことは、平成20年試算津波が最大でもO.P.+約15.7mとされていたことからも明 らかである。 他に、平成20年試算津波を前提として、O.P.+20mの防潮堤を設置すべきであったとする見解も見当たらず、一審原告らの主張はその前提 とされていたことからも明 らかである。 他に、平成20年試算津波を前提として、O.P.+20mの防潮堤を設置すべきであったとする見解も見当たらず、一審原告らの主張はその前提を欠く。 3 水密化の必要性(1) 一審原告らは、一審被告らが、IAEAのセイフティガイドにより、冗長的対策として水密化が必要であることを認識しており、現に、中部電力の浜 岡原発や日本原電の東海第二発電所においては水密化が実施され、一審被告東電も、福島第二原発においては建屋扉の水密化を実施していたのであるから、本件原発についても水密化が講じられるべきであった旨主張する。 (2) そして、本件事故当時のIAEAの安全指針(2003年)においては、津波による洪水に関し、原発は、設計基準洪水のレベルより上に建設されなけ ればならず、必要であればプラントを十分に高い位置に配置するか又は現場の地盤高を上げる建設手段(「ドライサイト」概念)により達成することができること、防潮堤、護岸及び隔壁のような恒久的な外部障壁が建設されるものとすること、サイトの洪水に対する冗長的対策として、極端な水文学的現象に対するプラントの防御は、防水と、原子炉を停止し安全な停止状態で維 持する能力を確保するために必要なすべての項目の適切な設計によって補強されるべきであることなどが定められていた(甲B212の1、丙A62の2)。 しかし、IAEAの上記安全指針においても、堤防、防潮堤等によって、設計基準洪水や設計基準津波から原発設備を守ることとされ、冗長的対策と して、防水等の適切な設計によって補強され、防御されるべきであることを抽象的に定めるにとどまり、設定基準津波を超える津波が、原発の地盤高を越えてその敷地内に浸入する場合があることを想定し、主 して、防水等の適切な設計によって補強され、防御されるべきであることを抽象的に定めるにとどまり、設定基準津波を超える津波が、原発の地盤高を越えてその敷地内に浸入する場合があることを想定し、主要建屋や機器類の水密化等によって対処することを具体的に定めるものではない。そのようなIAEAの方針は、本件事故後である2022年の改訂によっても基本的に 変更はなく(甲B213、丙A63の2)、我が国において、平成25年に原 子力規制委員会が定めた新規制基準(丙B145)及び平成28年に原子力委員会が定めた「実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方について」(丙A59・315、319頁)においても、設計を超える事象に対しても一定の耐性を付与するよう配慮し、多層的な津波対策を求めることとしつつも、津波を敷地に遡上又は流入させないドライサイトを基本とする方針は維持され ている。 そうであれば、IAEAのセイフティガイドから、直ちに本件原発について津波による浸水を想定して水密化を実施すべきであったとまではいえない。 (3) なお、一審被告東電は、以下のとおり、原子力発電所施設に対する水密化を実施し又は水密化を検討していたものと認められるが、そのような水密化 の実施や検討の事実も、一審被告東電に水密化を義務付け、経済産業大臣が技術基準適合命令を発すべきことを基礎づける事情であるとはいえない。 ア一審被告東電は、平成3年10月頃、本件原発1号機の機器室入口扉の水密化を実施した。しかし、これは、配管からの海水漏洩により床面が浸水したという内部溢水を契機とするものであって(丙A66)、津波等の外 部溢水への対策として水密化が行われたものではない。 イ一審被告東電は、平成14年頃、津波評価技術に基づく津波評価の結 水したという内部溢水を契機とするものであって(丙A66)、津波等の外 部溢水への対策として水密化が行われたものではない。 イ一審被告東電は、平成14年頃、津波評価技術に基づく津波評価の結果、O.P.+5.2m程度の津波の到来が想定されたことから、O.P.+4m盤上に設置されていた福島第二原発の海水熱交換器建屋扉の水密化を行ったと認められる(乙B3の1・19頁)。 しかし、これについても、防潮堤等によっては阻止し得ない比較的軽微な浸水に対する局所的、限定的な対策であり、現に、上記熱交換器建屋は、本件津波により外壁や柱等の構造躯体に有意な損傷は確認されなかったものの、建具が破損し、建屋内に浸水したものと認められ(乙B3の1・110頁、丙B275・4-71~72頁)、その水密化は、本件津波に対して 有効な対策であったとはいえず、そのような水密化が実施されていた事実 が、本件原発の建屋等の水密化を義務付ける根拠となる事情であるとはいえない。 ウ一審被告東電は、平成20年3月、原子力安全・保安院の耐震バックチェック指示に対して「福島第一原子力発電所/福島第二原子力発電所「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂に伴う耐震安全性評価 (中間報告)」を提出し、本件原発の耐震安全性が確認されたことを報告するとともに(甲B72の4の3)、津波高さについては解析、評価中であり、結果は最終報告で示すとしつつ、津波に対する評価の結果、施設への影響が無視できないとなった場合に考えられる津波対策として、「非常用海水ポンプ電動機が冠水し、故障することを想定した電動機予備品準備、水密化 した電動機の開発、建屋の水密化等が考えられる。」としており(甲B72の5・28~29頁)、一審被告東電においても 用海水ポンプ電動機が冠水し、故障することを想定した電動機予備品準備、水密化 した電動機の開発、建屋の水密化等が考えられる。」としており(甲B72の5・28~29頁)、一審被告東電においても、水密化を津波対策の一手法であると考えていたことはうかがわれる。 しかし、これについても、長期評価に基づく想定津波による本件原発への影響が無視できないとなった場合の対策であり、平成20年試算津波へ の対策が、その当時、主たる津波対策であると考えられていた防潮堤等の設置による防護で足りるのであれば、一審被告東電において、これに加えて水密化を実施すべきことまで必要であると考えていたとはいえない。そして、平成20年試算津波への対策を、防潮堤等を設置して敷地への浸水を防止するとしたことが津波対策として不足していたともいえないから、 一審被告東電において、それ以上の水密化の検討、実施が必要であったということもできないし、経済産業大臣らの規制機関において、一審被告東電に対して水密化を命じなければならなかったというべき根拠もない。 エ一審被告東電は、平成21年2月頃、津波評価技術に基づき再評価した結果、O.P.+5.4mから6.1mの津波の到来が想定されたことか ら、本件原発5号機及び6号機の非常用海水ポンプ用モータの一部につい てシール処理による水密化を行ったと認められる(乙B3の1・19頁)。 また、平成22年8月27日に開催された一審被告東電での会議(福島地点津波対策ワーキング(第1回))において、長期評価に基づくO.P.+10m以上の津波に対しては、既存の非常用海水系電動機では機能を維持できないため、O.P.+4m盤に設置されている非常用ポンプについて建 屋扉の水密化の検討が必要であることなどが報告されてい +10m以上の津波に対しては、既存の非常用海水系電動機では機能を維持できないため、O.P.+4m盤に設置されている非常用ポンプについて建 屋扉の水密化の検討が必要であることなどが報告されていたことが認められる(甲B138)。 しかし、上記において水密化が行われ、又は検討されていたのは、本件原発の関連設備のうち、海水ポンプの電動機及びその建屋に限った局所的、限定的な水密化であり、本件原発のタービン建屋等の主要建屋についての 水密化が検討されていたものではなく、これをもって、当時の知見に照らし、本件津波による本件原発の全電源喪失を回避し得るような水密化が可能であったとか、水密化を実施しなければならなかったとはいえず、経済産業大臣らの規制機関において、一審被告東電に水密化を命ずるべきであったともいえない。 (4) また、他の電気事業者らも、以下のとおり、本件事故前に水密化等の対策を実施していたことが認められるが、これらについても、一審被告東電において、本件原発に対する水密化を実施すべきであったとか、経済産業大臣が技術基準適合命令を発するべきであったとする根拠になるものとはいえない。 ア中部電力は、平成20年以前から、その設置する浜岡原発3号機及び4 号機において、原子炉建屋等の出入口に腰部防水構造の防護扉を設置し、さらに、平成20年2月頃には、RCWSポンプモータの水密化案等を検討することとしていたことが認められる(甲B141)。 しかし、これらは、原子炉施設の安全性に問題がないことを前提に、「津波に対する安全余裕向上策」として掲げられているものであり(甲B14 1・1頁)、津波対策として必須のものとして設置し又は設置を検討してい たものではない。 なお、浜岡原発の原子炉建屋の海 余裕向上策」として掲げられているものであり(甲B14 1・1頁)、津波対策として必須のものとして設置し又は設置を検討してい たものではない。 なお、浜岡原発の原子炉建屋の海側に面する大物搬入口に、強化扉及び水密扉の二重式構造の扉が設置されたのは、本件事故を踏まえ、緊急安全対策として実施されたものである (丙B293)。 したがって、中部電力により、浜岡原発に関して水密化が検討され又は 水密化が実施されていたことをもって、一審被告東電が本件原発において水密化を行うべきであったとか、経済産業大臣が技術基準適合命令を発すべきであったと評価すべき根拠となる事情とはいえない。 イ日本原電は、その設置する東海第二発電所について、平成20年3月頃、長期評価や、茨城県が平成19年に行った津波評価に基づき、茨城県沖海 溝沿いに明治三陸地震の波源モデルを設定した津波評価を行った結果、原子炉建屋等を含む敷地全体が浸水するおそれがあるという結果が出されたことから、海水ポンプ室の水密化確保のために屋根を設置すること、海水ポンプ室前面壁のかさ上げ等を検討し、平成20年12月頃、建屋の防水扉、防潮シャッター及び防潮堰を設置する工事を行ったことが認められる (甲B131~136)。 しかし、このうち、防水扉は、JIS規格の気密要求によるものにすぎず、水圧に対する性能を十分に有するものではなく(丙B291、292)、防潮堰も、建屋の開口部前に高さ1~15cm程度の鉄筋コンクリート造のものを設置するにとどまる。そして、これらは、いずれも、安全裕度を 高めるために日本原電が自主的に行った津波対策工事であるというべきであって、本件津波のような津波がその敷地高を越えて浸入することを前提とする水密化を実施したものとまではい ずれも、安全裕度を 高めるために日本原電が自主的に行った津波対策工事であるというべきであって、本件津波のような津波がその敷地高を越えて浸入することを前提とする水密化を実施したものとまではいえず、これをもって、一審被告東電が、本件原発に関して水密化等の対策を講じなければならなかったとか、経済産業大臣が技術基準適合命令を発すべきであったと評価すべき根 拠となる事情とはいえない。 (5) さらに、原子力安全委員会は、平成15年3月頃、原子力安全基準・指針専門部会耐震指針検討分科会地震・地震動ワーキンググループでの議論において、「非常用海水ポンプを強固な建屋・壁等の内側に設置する構造とする」とする津波対策概要図を示し(甲B162図3)、原子力安全・保安院も、平成17年1月18日付けの原子力発電安全審査課作成の「原子力発電所の津 波対策について」において、「建屋扉によって水の侵入を防ぐなどにより、安全上重要な機器への影響はないよう対応しております。」と記載するなど、原子力発電所の設備の水密化に言及している部分もあるが、これらも非常用海水ポンプ等を対象とした限定的な対策を記載するものにとどまり、これらの議論や記載をもって、一審被告東電が、本件原発において水密化を実施すべ きであったとか、経済産業大臣が技術基準適合命令を発すべきであったと評価すべき根拠となる事情とはいえない。 (6) したがって、水密化等の対策は、本件事故当時、溢水対策として特異なものであったとはいえないが、いずれも局所的、限定的なものにすぎず、主要建屋等が設置されている敷地に津波が直接浸入することを想定して、主要建 屋や機器全体について津波による浸水被害を阻止するための全面的な水密化が当時の技術的水準として一般的に採用されていたと 要建屋等が設置されている敷地に津波が直接浸入することを想定して、主要建 屋や機器全体について津波による浸水被害を阻止するための全面的な水密化が当時の技術的水準として一般的に採用されていたとは評価できない。現に、福島第二原発のO.P.+4mの敷地に設置してある海水熱交換器建屋に対しては、水密化の措置が講じられたものの、本件津波により、ドア等の地上開口部が破損し、同建屋内に本件津波を浸入させていたと認められ(乙B3 の1・110頁、丙B275・4-71~72頁)、仮に、一審被告東電において、本件原発の主要建屋等に一審原告らが主張するような水密化を実施していたとしても、これによって、本件事故の発生を回避できたともいい難い。 そうであれば、規制機関もドライサイトコンセプトを維持できているか否かによって技術基準への適合の有無を判断することになり、水密化の有無が その判断に影響を及ぼすものとは考え難い。したがって、水密化が実施され ていないことが、経済産業大臣が電気事業法40条に基づく技術基準適合命令を発すべきことを根拠づける事情であるとはいえない。 4 一審被告国による適時適切な調査義務について一審原告らは、一審被告国が、一審被告東電から2回程度ヒアリングを行ったにとどまり、適時適切に調査義務を果たしていなかった旨主張する。 そして、経済産業大臣は、事業用電気工作物が技術基準に適合していないと認めるときは、電気事業法40条に基づく技術基準適合命令を発することができるところ、その権限を適切に行使するためには、当該事業用電気工作物が技術基準に適合するか否かを適切に調査する必要があるといえるから、これを怠り、その結果として技術基準適合命令の不行使が許容される限度を逸脱して著 しく合理性を欠くと は、当該事業用電気工作物が技術基準に適合するか否かを適切に調査する必要があるといえるから、これを怠り、その結果として技術基準適合命令の不行使が許容される限度を逸脱して著 しく合理性を欠くと認められるときは、国賠法1条1項の適用上違法となり得るといえる。 しかし、一審被告東電においては、長期評価の見解の正当性に疑問を抱きつつも、専門家の意見を聴取したり、新耐震指針に基づく原子力安全・保安院によるチェックバック指示に応じて平成20年試算を行うなどの津波対策の検討 を進めており、一審被告国も、中間報告書(甲B72の4の3)等によってその検討状況の報告を受けていたと認められ、そうであれば、一審被告国において、一審被告東電に対する調査が不十分であって、その結果、技術基準適合命令の不行使が著しく合理性を欠いていたとはいえない。 また、仮に、一審被告国の調査に不十分な点があったとしても、前記のとお り、少なくとも本件事故以前において、原子力発電所における津波対策が、想定される津波による敷地の浸水を防ぐことができるように設計された防潮堤等を設置するという措置を講ずるだけでは対策として不十分であるとの考え方が有力であったことはうかがわれないこと、想定される津波が平成20年試算津波を上回るものであったと認めるに足りる証拠もないこと、技術基準適合命令 自体はある程度抽象的なものとならざるを得ず、技術基準に適合させる具体的 な作為の内容は電気事業者に委ねざるを得ないことなどに照らせば、調査の結果、本件原発に技術基準に適合しない部分が発見され、経済産業大臣が技術基準適合命令を発したとしても、これによって、一審被告東電が、平成20年試算津波に対応し得る防潮堤等の設置以外の対策を実施したとは考え難く、本件事故を回避し得た い部分が発見され、経済産業大臣が技術基準適合命令を発したとしても、これによって、一審被告東電が、平成20年試算津波に対応し得る防潮堤等の設置以外の対策を実施したとは考え難く、本件事故を回避し得たとはいい難い。 5 平成14年以降の一審被告国による対応の不適切性前記のとおり、平成14年に津波評価技術及び長期評価が公表され、一審被告らも、同年末頃には、平成20年試算津波と同等のO.P.+15.7m程度の津波が本件原発に到来することを予見できたといえる。そうであれば、一審被告東電において、平成20年試算津波と同程度の津波に対応することが可 能な程度の防潮堤等を設置するなどの津波対策が完了するまでの間においても、一審被告東電において、本件原発に何らかの有効な津波対策を実施するか、それが不可能なのであれば、本件原発の運転を一時停止するなどして、万が一にも本件事故のような事故を生じさせないような対策を講ずべきであるとして、経済産業大臣において、一審被告東電にこれを命ずることも考えられないでは ない。 しかし、前記のとおり、長期評価は、科学的な裏付けが十分に明示されているものではなく、地震学者、津波学者らの間でも必ずしも一般的ではなかった上、平成18年に発表された「日本における確率論的津波ハザード解析法の開発」(「マイアミ論文」(丙B193の2))では、ロジックツリー法を取り入れ た確率論的津波ハザード解析が行われ、本件原発1号機の主要建屋があるO. P.+10m盤を越える高さの津波が到来する年超過確率は、1×10⁻⁵から1×10⁻⁶、すなわち10万年ないし100万年に1回と評価され(丙B135・10頁)、これは、原子力安全委員会安全目標専門部会が平成18年に作成した「発電用軽水型原子炉施設の性能目標について」(甲C ×10⁻⁶、すなわち10万年ないし100万年に1回と評価され(丙B135・10頁)、これは、原子力安全委員会安全目標専門部会が平成18年に作成した「発電用軽水型原子炉施設の性能目標について」(甲C71・5、13頁) に記載された炉心損傷頻度(CDF)に関する性能目標指標値10⁻⁴/年程度 を下回るものであったと認められる (丙B149)。平成18年当時に確率論的安全評価の手法が確立していたとはいえず、上記のような解析は試論にすぎないが、少なくとも、本件津波の到来までの間に平成20年試算津波と同程度の津波が到来する確率が、上記解析よりも高かったと評価すべき根拠はない(なお、国会事故調報告書(甲A1)92頁に記載された「約330年に1回」は、 津波評価技術に基づく想定津波O.P.+5.7mを越える頻度を指すものである(同参考資料1.2.5)。)。 そのような事情に照らせば、平成14年末頃には、長期評価に基づきO.P. +10mを越える津波が本件原発に到来することを予見することが可能であったとしても、経済産業大臣において、一審被告東電に直ちに本件原発の運転を 停止するなどの対策を求めなかったことが、権限の不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くとまではいえない。 第5節一審被告東電の故意又は重過失(慰謝料増額事由)の有無について第1 一審被告東電の対応 1 一審被告東電は、平成14年7月に公表された長期評価を確定論的に取り入 れることに対しては、科学的根拠を欠くなどとして抵抗し(甲B96)、平成19年11月頃にも、地震調査研究推進本部の震源領域(長期評価を指すものと思われる。)は、「確率論で議論するということで説明してきているが、この扱いをどうするかが非常に悩ましい」とし(甲B97)、平 9年11月頃にも、地震調査研究推進本部の震源領域(長期評価を指すものと思われる。)は、「確率論で議論するということで説明してきているが、この扱いをどうするかが非常に悩ましい」とし(甲B97)、平成20年3月頃にも、「津波対応については平成14年頃に国からの検討要請があり、結論を引き延 ばしてきた経緯がある」、「津波地震波源エリアを宮城県沖の北側と南側に分けて考えるべきことについては学者先生に対して技術的、科学的説明ができない」(甲B98)などとして、長期評価を津波対策に取り入れること(特に確定論的に取り入れること)については消極的な対応をしていたと認められる。 しかし、前記認定のとおり、長期評価は、国民の防災意識の高揚を図るとい う防災行政上の目的から策定されたものであることがうかがわれる上、その見 解は、地震研究者、津波研究者らの中でも、必ずしも一般的なものではなかったのであるから、一審被告東電がこれを取り入れようとしなかったことも不合理であるとまではいえない。そうであれば、一審被告東電において、O.P.+10mを越えるような津波が本件原発に到来し、本件原発が全電源を喪失するような事故が発生することを知り又は容易に予見し得たということはできない。 2 また、一審被告東電は、平成18年の新耐震指針の策定及び耐震バックチェックの指示を受けて、「長期評価の見解」を取り入れた平成20年試算を実施しており、その試算結果は、当時の技術水準に照らして合理性があったということができる。そして、前記のとおり、その試算結果である平成20年試算津波への対策を実施していたとしても、平成20年試算に基づいて想定される最大 の津波が到来した場合に、本件原発の敷地に海水の浸入を防ぐことができるように設計された防潮堤等を ある平成20年試算津波への対策を実施していたとしても、平成20年試算に基づいて想定される最大 の津波が到来した場合に、本件原発の敷地に海水の浸入を防ぐことができるように設計された防潮堤等を設置することに加えて、水密化等の他の対策が講じなければならなかったとはいえず、そうであれば、平成20年試算津波を大きく上回る本件津波による本件事故を回避し得たとはいい難い。 第2 まとめ 以上によれば、一審被告東電には、本件津波を予見しておらず、かつ、予見しなかったこと及び本件津波による本件事故を回避し得なかったことについて、一審原告らが主張するような故意又は重過失があったとはいえない。 第6節一審原告らの避難の相当性について(総論)第1 認定事実 一審原告らの避難の相当性に関する認定事実は、次のとおり補正するほか、原判決の「事実及び理由」の「第3章当裁判所の判断」の「第4節争点④(避難の相当性)について」の第1(原判決115頁16行目~144頁25行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決117頁2行目の「根付け」を「値付け」に改める。 (2) 原判決117頁23行目末尾に、改行して次のとおり加える。 「(6) 自主的避難等対象区域における空間放射線量は、おおむね原判決別紙8「各市町村の環境放射能測定結果の推移-①」及び同「各市町村の環境放射能測定結果の推移-②」に記載のとおりである。」(3) 原判決119頁26行目の「2007年」の次に「及び本件事故後である2020年」を、120頁1行目の「55」の次に「、375」を、それぞ れ加える。 (4) 原判決122頁21行目の「実行線量」を「実効線量」に改める。 (5) 原判決124頁12行目の「福島県教育員 年」を、120頁1行目の「55」の次に「、375」を、それぞ れ加える。 (4) 原判決122頁21行目の「実行線量」を「実効線量」に改める。 (5) 原判決124頁12行目の「福島県教育員会」を「福島県教育委員会」に改める。 (6) 原判決125頁16行目の「東京電力株式会社」の次に「福島」を加える。 (7) 原判決144頁4行目末尾に、改行して次のとおり加える。 「(3) 中間指針第2次追補(乙D共5、6)審査会は、平成24年3月16日、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第二次追補(政府による避難区域等の見直し等に係る損害について)」を策 定、公表した。 これによれば、①自主的避難等に係る損害について、平成24年1月以降に関して、少なくとも子ども及び妊婦については、個別の事例又は類型毎に、放射線量に関する客観的情報、避難指示区域との近接性等を勘案して、放射線被ばくへの相当程度の恐怖や不安を抱き、また、その 危険を回避するために自主的避難を行うような心理が、平均的、一般的な人を基準としつつ、合理性を有していると認められる場合には、賠償の対象となること、②上記①により賠償の対象となる場合において、賠償すべき損害及びその賠償額の算定方法は、原則として第一次追補の損害項目で示したとおりとし、具体的な損害額については、同追補の趣旨 を踏まえ、かつ当該損害の内容に応じて、合理的に算定するものとされ た。 (4) 中間指針第5次追補(乙D共496・31頁以下)審査会は、令和4年12月20日、以下のとおり、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第五次追補(集団訴訟の確定 乙D共496・31頁以下)審査会は、令和4年12月20日、以下のとおり、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第五次追補(集団訴訟の確定判決等を踏まえた指針の見直 しについて)」を策定し、公表した。 ア対象者自主的避難等対象者また、本件事故発生時に避難指示等対象区域内(計画的避難区域及び特定避難勧奨地点を除く。)に住居があった者についても、中間指 針第3の[損害項目]の6の精神的損害の賠償対象とされていない期間及び自主的避難等対象区域内に避難して滞在した期間(本件事故発生当初の時期を除く。)は自主的避難等対象者の場合に準じて賠償の対象とする。 上記以外の者についても、個別具体的な事情に応じて賠償の対象 と認められ得る。 イ損害の項目自主的避難等対象者が受けた損害のうち、以下のものが一定の範囲で賠償すべき損害と認められる。 ① 放射線被ばくへの恐怖や不安により自主的避難等対象区域内の 住居から自主的避難を行った場合における以下のもの。 ⅰ 自主的避難によって生じた生活費の増加費用ⅱ 自主的避難により、正常な日常生活の維持・継続が相当程度阻害されたために生じた精神的苦痛ⅲ 避難及び帰宅に要した移動費用 ② 放射線被ばくへの恐怖や不安を抱きながら自主的避難等対象区 域内に滞在を続けた場合における以下のもの。 ⅰ 放射線被ばくへの恐怖や不安、これに伴う行動の自由の制限等により、正常な日常生活の維持・継続が相当程度阻害されたために生じた精神的苦痛ⅱ 放射線被ばくへの恐怖や不安、これに伴う行動の自由の制限 等により生活費が増加した分があれば、その増加費用上記①のⅰからⅲまでに係る損害額並びに 度阻害されたために生じた精神的苦痛ⅱ 放射線被ばくへの恐怖や不安、これに伴う行動の自由の制限 等により生活費が増加した分があれば、その増加費用上記①のⅰからⅲまでに係る損害額並びに②のⅰ及びⅱに係る損害額については、いずれもこれらを合算した額を同額として算定するのが、公平かつ合理的な算定方法と認められる。 の具体的な損害額の算定に当たっては、本件事故発生から平成 23年12月末までの損害として、①自主的避難等対象者のうち子ども及び妊婦については一人40万円、②その他の自主的避難等対象者については一人20万円を目安とする。なお、②について、本指針策定時において、に示す損害で既に賠償されたものがあれば、第一次追補で示した目安の8万円を含め、控除することができる。 平成24年1月以降に関しては、以下のとおりとする。 ① 少なくとも子ども及び妊婦については、個別の事例又は類型ごとに、放射線量に関する客観的情報、避難指示区域との近接性等を勘案して、放射線被ばくへの相当程度の恐怖や不安を抱き、また、その危険を回避するために自主的避難を行うような心理が、 平均的・一般的な人を基準としつつ、合理性を有していると認められる場合には、賠償の対象となる。 ② ①によって賠償の対象となる場合において、損害項目は原則として前記のとおりとし、具体的な損害額については、本指針の趣旨を踏まえ、かつ、当該損害の内容に応じて、合理的に算定す るものとする。 (省略)(5) 一審被告東電は、中間指針を受けて自主賠償基準を設けているところ、その基準により、中間指針第5次追補までを踏まえた裁判外での精神的損害等の賠償額の目安は、以下のとおりである。 ア旧居住制限区域 一人1130万 受けて自主賠償基準を設けているところ、その基準により、中間指針第5次追補までを踏まえた裁判外での精神的損害等の賠償額の目安は、以下のとおりである。 ア旧居住制限区域 一人1130万円内訳:日常生活阻害慰謝料 850万円過酷避難慰謝料 30万円生活基盤変容慰謝料 250万円イ旧緊急時避難準備区域 一人230万円内訳:日常生活阻害慰謝料 180万円生活基盤変容慰謝料 50万円ウ自主避難等対象区域① 子ども及び妊婦以外の者 一人20万円内訳:自主的避難等に係る損害 20万円② 子ども及び妊婦一人72万円内訳:自主的避難等に係る損害(平成23年12月まで) 40万円同(平成24年1月から同年8月まで) 8万円避難実行の追加的費用(平成23年12月まで)20万円同(平成24年1月から同年8月まで) 4万円 エ福島県県南地域又は宮城県l 町における自主的避難等に係る損害 (自主賠償)① 子ども及び妊婦以外の者一人10万円② 子ども及び妊婦一人28万円 内訳:精神的損害 24万円追加的費用等 4万円」第2 判断 1 原子力損害の意義前記のとおり、一審被告東電は、原賠法3条に基づく責任を負うというべき ところ、同条において損害賠償の対象とされるのは、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えた場合である。そして、原子力損害とは、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は く責任を負うというべき ところ、同条において損害賠償の対象とされるのは、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えた場合である。そして、原子力損害とは、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用により生じた損害をいうこととされており(原賠法2条2項)、本件原発は、原子炉の運転中に本件事故を発生させており、一審被告東電は、一審原告らに生じ た損害のうち、本件原発の運転等と相当因果関係のある原子力損害について賠償する責任を負う。 そして、放射線は、人の五感の作用によっても覚知し得ず、これを被ばくした者に対し、そのような認識がないまま、しかも長期的かつ重大な健康上の影響を与える可能性があるという性質を有しているから、現実に健康上の影響を 受けた場合に生じた損害はもちろんのこと、健康上の影響を受けるおそれが高い地域に居住していたため、放射線の被ばくを受けたとの恐怖心や不安を抱くに至ったり、行動の自由を制限されたことによる精神的損害や、放射線の影響を回避する目的で避難を実行したことにより平穏な生活を送るという法的利益が侵害されたことによる損害も原子力損害に含まれるというべきである。 一審原告らは、本件事故当時、それぞれ、本件原発に比較的近い場所に居住 しており、その多くは、本件事故による放射線の影響を回避するため避難を実行し、平穏な生活が害され、損害が生じた旨主張するものであるところ、その居住場所や空間放射線量等に照らし、本件事故による放射線のため健康に影響を受けるとの恐怖心や不安を抱いて避難をするに至り、平穏な生活という法的利益が害されたといい得る場合は、これらにより生じた損害は、本件事故と相 当因果関係がある原子力損害に該当し、一審被告東電は一審原告らに 恐怖心や不安を抱いて避難をするに至り、平穏な生活という法的利益が害されたといい得る場合は、これらにより生じた損害は、本件事故と相 当因果関係がある原子力損害に該当し、一審被告東電は一審原告らにその損害を賠償する責任を負うことになる。 2 避難の意義(1) 一審原告らの移動により生じた損害が原子力損害であるといい得るためには、当該移動が、放射線の作用又は毒性的作用の影響を避けるためのもの であることを要する。その判断は、一審原告らの主観のみによるべきものではなく、一審原告らの意図や移動の目的、移動した時期、滞在期間の長短、移動先の場所、滞在態様及び移動後の経過等の事情を考慮し、客観的かつ総合的に判断すべきである。 (2) たとえば、放射線による影響を受けることを回避するためといえるとし ても、生活の本拠を移転させずに元の居住地に戻ることを前提に、短期間に限って居住地を離れる保養は、生活の本拠を移転するものではなく、娯楽的要素を伴うこともあり、費用をかけて実行する必要性があるということはできず、本件事故と相当因果関係のある支出であるとはいえない。もっとも、本件事故当初の時期(おおむね平成23年4月22日頃まで)においては、 本件事故による放射線の影響の範囲や程度も十分に周知されず、情報も錯綜していたため、少しでも本件原発から離れた場所に避難しようとすることも合理的な判断であるということができ、それが結果として短期間の避難にとどまる場合であっても、避難の相当性を肯定するのが相当である場合が多いということができる。 (3) また、避難先を探すための下見については、帰宅を予定しているものであ って、それ自体が避難というべきものではなく、避難をするための費用の性質を有するにとどまる。こうした費 (3) また、避難先を探すための下見については、帰宅を予定しているものであ って、それ自体が避難というべきものではなく、避難をするための費用の性質を有するにとどまる。こうした費用については、避難生活に要する雑費ともいうことができ、一般的にはさほど多額になるものでもないことに照らせば、独立した費目として考慮する必要はなく、後述の避難雑費等に含まれるものとして考慮することで足りると考えられる。 (4) 居住地である避難元から避難先への避難自体は相当であったとしても、その避難先から更に他所へ移転する必要性については別途考慮が必要である。 その目的が、生活を安定させるために必要であるなど、客観的合理性を有していれば、その移転も相当な避難の範囲内であるといえるが、単なる自己都合による移転であれば、その移転は、もはや避難のために必要なものである とはいえず、避難の一環と評価することはできないから、本件事故との相当因果関係は認められないということになる。 3 避難の相当性の判断基準(1) 一審原告らが避難により被った損害が、一審被告東電が賠償すべき原子力損害といえるためには、その避難が、原子炉等の運転と相当因果関係にあ るものでなければならない。仮に、一審原告らによる避難が、本件原発の原子炉等の運転とは無関係であるとか、その避難が相当性を欠くという場合には、これによる損害を原子力損害ということはできない(不法行為に基づく損害賠償請求についても、その行為と損害の発生との間には、同様に相当因果関係が必要である。)。 (2) 指定区域ごとの居住者の避難の相当性政府等により避難を命じられた者については、その避難の相当性が明らかであるのに対し、その余の区域からの避難は必ずしも避難の相当性が明らかであ (2) 指定区域ごとの居住者の避難の相当性政府等により避難を命じられた者については、その避難の相当性が明らかであるのに対し、その余の区域からの避難は必ずしも避難の相当性が明らかであるとはいえないから、まず、指定区域ごとに避難の相当性を検討する。 ア避難指示等対象区域の居住者 文部科学省に設置された原子力損害賠償紛争審査会は、平成23年8 月5日、自主的な解決に資する一般的な指針として、中間指針を策定、公表した。中間指針においては、避難指示等対象区域(避難区域、屋内退避区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域、特定退避勧奨地点及びこれらの区域を除く南相馬市全域)内の居住者が損害賠償の対象とされていた。これらの地域は、国や地方公共団体から、避難を指示され又 は自主避難が促進されるなどした地域であり、当該地域からの避難には合理性、相当性が認められる。 なお、緊急時避難準備区域の指定は平成23年9月30日に、居住制限区域の指定(避難指示区域の見直しにより平成24年4月1日指定)は平成29年4月1日に、それぞれ解除されているが、少なくとも解除 の日までは避難の相当性は否定されないし、これらの指定が解除されたからといって、その避難の期間中に形成された生活環境を放棄して直ちに帰還することができるものではなく、その後も一定期間の避難の継続も必要であったといえる。 イ自主的避難等対象区域の居住者 原子力損害賠償紛争審査会は、平成23年12月6日、中間指針追補を策定、公表し、本件事故と自主的避難等に係る損害との相当因果関係の有無は、個々の事案ごとに判断すべきものとしながら、①本件原発からの距離、②避難指示等対象区域との近接性、③政府や地方公共団体から公表された放射線量に関する情報、 避難等に係る損害との相当因果関係の有無は、個々の事案ごとに判断すべきものとしながら、①本件原発からの距離、②避難指示等対象区域との近接性、③政府や地方公共団体から公表された放射線量に関する情報、④自己の居住する市町村の自主的 避難の状況等の要素を総合的に勘案し、福島県内の一部の地域を自主的避難等対象区域とした上で、自主的避難等対象区域においては、放射線被ばくへの相当程度の恐怖や不安を抱いたことに相当の理由があり、また、その危険を回避するために自主的避難を行ったことについてやむを得ない面があるとした。 これらの事情によれば、自主的避難等対象区域からの避難についても、 基本的には社会通念上も相当であって、避難の相当性が認められるというべきである。 そして、中間指針追補においては、自主的避難等対象区域内に居住していた子ども及び妊婦については、本件事故発生から平成23年12月末までの損害として一人40万円を、その他の自主的避難等対象者につ いては、本件事故発生当初の時期(平成23年4月22日まで)の損害として一人8万円を、それぞれ目安とすることとされていたところ、平成24年3月16日に策定された中間指針第2次追補では、少なくとも子ども及び妊婦については、平成24年1月以降の避難に関しても、合理性を有していると認められる場合には賠償の対象となることが示され、 さらに、令和4年12月20日に策定された中間指針第5次追補では、中間指針追補において本件事故発生当初の時期を対象として、子ども及び妊婦以外の者に対して8万円とされていた損害賠償の目安が、その対象期間を平成23年12月31日までとし、その金額も一人20万円に改められた。 このような中間指針(各追補を含む。)の内容や、原子力災害対策本 て8万円とされていた損害賠償の目安が、その対象期間を平成23年12月31日までとし、その金額も一人20万円に改められた。 このような中間指針(各追補を含む。)の内容や、原子力災害対策本部が、平成23年12月16日、本件原発について、原子炉は冷温停止状態に達し、不測の事態が発生した場合も、敷地境界における被ばく線量が十分低い状態を維持することができるようになったことから、「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている」という「ス テップ2」の目標達成と完了を確認し、本件事故そのものは収束に至ったと判断していること、同月26日には、原子力災害対策本部が、避難指示解除準備区域、居住制限区域及び帰還困難区域を設定して避難指示区域等を再編する方針を示していたこと、その頃までには各地の空間放射線量が相当程度低下していたこと、福島県から京都府への避難者数は、 平成24年1月4日までに918人であり、その後は緩やかに増加して いるものの、その後1年間で146名が増加しているにすぎないことなどに鑑みると、避難の相当性が認められるのは、原則として、平成23年12月31日までに開始された避難とするのが相当であり、これを経過した後に開始された場合は、合理性がある避難と評価することは困難である。 もっとも、中間指針第2次追補においては、少なくとも子ども及び妊婦については、平成24年1月以降の避難に関しても合理性を有していると認められる場合には賠償の対象となることが示されており、その合理性の有無は個別に検討すべきであるし、妊婦又は子どもが早期に避難をしていながら、就業その他の事情により、妊婦又は子どもと同時に避 難をすることができず、移動時期が平成24年1月以降になった当該妊婦の夫又は当 検討すべきであるし、妊婦又は子どもが早期に避難をしていながら、就業その他の事情により、妊婦又は子どもと同時に避 難をすることができず、移動時期が平成24年1月以降になった当該妊婦の夫又は当該子どもの親については、その移動時期、移動が遅れた理由やその後の同居状況等の事情を考慮して、避難として評価することができるか否かを個別に検討すべきである。 また、自主的避難等対象区域からの避難者は、居住制限区域等と異な り、帰還が制限されていたものではなく、避難元の状況も刻一刻と変化しているのであるから、避難の開始は相当であったとしても、その後に避難の相当性が消滅することも考えられ、避難の継続が相当であるというべき期間は別途検討する必要がある。 ウ避難指示等対象区域及び自主的避難等対象区域外の居住者 中間指針追補(第2次追補、第5次追補を含む。)においては、避難指示等対象区域及び自主的避難等対象区域外の居住者に関しても、個別具体的事情に応じて、賠償の対象と認められ得るとされているところ、自主的避難等対象区域からの避難の場合に考慮された①本件原発からの距離、②避難指示等対象区域との近接性、③政府や地方公共団体から公表 された放射線量に関する情報、④自己の居住する市町村の自主的避難の 状況に加えて、⑤避難を実行した時期、⑥居住地の自主的避難等対象区域との近接性、⑦当該世帯に、子どもや放射線の影響を特に懸念しなければならない事情を有する者の有無等種々の要素を考慮して、自主的避難等対象区域からの避難者と同等又はこれに準じる場合には、避難は社会通念上相当であるというべきである。 避難を開始した者の避難継続の相当性については別途検討する必要があることは、自主的避難等対象区域からの避難者の場合と同様で れに準じる場合には、避難は社会通念上相当であるというべきである。 避難を開始した者の避難継続の相当性については別途検討する必要があることは、自主的避難等対象区域からの避難者の場合と同様である。 4 国内法の定めについて(1) 年間空間放射線量1mSvの基準及び土壌汚染についてア空間放射線量(公衆被ばく限度)について 一審原告らは、旧居住制限区域、旧緊急時避難準備区域のみならず、自主的避難等対象区域やこれらの区域外の地域においても、「容認不可」とされている基準値である公衆被ばく限度年間1mSv(mSv/y)を超える地域においては、避難や避難継続の相当性があると主張する。 しかし、一審原告らが主張する公衆被ばく限度1mSv/yは、「線量 告示」や「数量告示」において基準とされているものの、これらは、平時の管理基準として設けられているものにすぎず、それら自体が、健康への影響を与えるか否かの基準として定められたものではない。したがって、一審原告らの避難元において、空間放射線量が1mSv/yを上回ることがあったとしても、そのことから、直ちに一審原告らに放射線 の影響を与えるおそれがあるとはいえず、これをもって、一審原告らの法的利益の侵害の有無を判断することはできない。また、上記の基準値は、実効線量を問題とするものであるところ、一審原告らが主張するのは空間放射線量であり、実効線量は空間放射線量を下回るものであるから、この点からも一審原告らの主張は相当でない。 一審原告らは、国内の法制度は、平成10年6月の放射線審議会の審 議を経て(甲D共33)、線量限度を1mSv/yとすべきとするICRP1990年勧告が取り入れられたものであり、同勧告では、科学的な裏付けのあるLNTモデルが採 月の放射線審議会の審 議を経て(甲D共33)、線量限度を1mSv/yとすべきとするICRP1990年勧告が取り入れられたものであり、同勧告では、科学的な裏付けのあるLNTモデルが採用されていて、1mSv/yを超える放射線被ばくは許容されないこととされている旨主張する。 しかし、ICRPは、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(U NSCEAR)が報告する科学的知見等を参考にしながら、放射線防護の基本的枠組と防護基準について、各国、地域及び各国際機関に対して勧告をしているところ、2007年の勧告において、「いわゆる直線しきい値なし(LNT)モデルが、放射線被ばくのリスクを管理する最も良い実用的なアプローチであり、予防原則にふさわしい」(乙D共46・9 頁)として、放射線防護という観点から、安全側に立ってLNTモデルを採用したにすぎない。そして、2007年の勧告においては、「LNTモデルが実用的な放射線防護体系において引き続き科学的にも説得力がある要素である一方、このモデルの根拠となっている仮説を明確に実証する生物学的/疫学的知見がすぐには得られそうにないということを強 調しておく」ともしているのであって(乙D共46・17頁)、ICRPも、LNTモデルを採用しつつ、1mSv/y以下の放射線被ばくについて、健康に影響があるという生物学的、疫学的知見はなお実証されたものではないと考えているものといえる。 なお、ICRPの2020年の勧告(甲D共375)では、放射線被 ばくが、被ばくした集団のがん発生確率を増加させることを示す信頼できる科学的根拠があるとされている。しかし、上記勧告においては、低線量及び低線量率の放射線被ばくに伴う健康影響については大きな不確かさが残されているとしており、LNTモデ 増加させることを示す信頼できる科学的根拠があるとされている。しかし、上記勧告においては、低線量及び低線量率の放射線被ばくに伴う健康影響については大きな不確かさが残されているとしており、LNTモデルを全面的に実証されたものとして採用しているものではないといえる上、自然バックグラウンド レベルに加えて100mSvの線量を受けた場合では、疫学調査の結果 に基づくと、全世界の集団の典型的な致死性がんの生涯リスク25%が約0.5%高まると推定されているというのであり、がん発生のリスクは、低線量被ばくのうち100mSv程度の放射線量を念頭に置いているものといえる。 また、ICRPの2007年の勧告では、人の被ばく状況を、①計画 的に管理できる平常時(計画被ばく状況)、②事故等の非常事態(緊急時被ばく状況)、③事故後の回復や復旧の時期等(現存被ばく状況)に分類し、防護の基準を定めているところ、1mSv/yは①の平常時の一般公衆の線量拘束値であり、②の緊急時被ばく状況においては参考レベル(経済的及び社会的要因を考慮しながら、被ばく線量を合理的に達成で きる限り低くする最適化の原則(ALARAの原則)に基づいて措置を講じるための目安)として20~100mSv/yの範囲、③の現存被ばく状況においては参考レベルとして1~20mSv/yのうち低線量域とした上で長期目標は1mSv/yとすることとした上、「線量拘束値とリスク拘束値も参考レベルも、“安全”と“危険”との境界を表してお り、個人の健康リスクに関連した段階的変化を反映するものではないことを理解しなければならない」としている。(乙D共31・10頁、乙D共46・55、75頁)そして、ICRPは、本件事故を受けても、政府に対し、平成23年3月21日、緊急時 反映するものではないことを理解しなければならない」としている。(乙D共31・10頁、乙D共46・55、75頁)そして、ICRPは、本件事故を受けても、政府に対し、平成23年3月21日、緊急時及び現存被ばく状況の放射線に対する防護が十分に 保障されるために、最適化と参考レベルをこれまでの勧告(2007年勧告)から変更することなしに用いることを勧告することとし、緊急時に、国の機関が最も高い計画的な被ばく線量として20~100mSvの範囲で参考レベルを設定することをそのまま変更することなしに用いること、長期間の後には放射線レベルを1mSv/yへ低減するとして、 これまでの勧告から変更することなしに現時点での参考レベル1~20 mSv/yの範囲で設定することを用いることをそれぞれ勧告している(乙D共47)。 なお、2020年の勧告では、原子力事故が継続している段階において、公衆の防護の最適化の手引きとなる参考レベルとして、公衆に関しては、①初期及び中期の全期間について100mSv又はそれを下回る 線量を、②長期においては年間1~20mSvのバンドの下半分で、徐々にバンドの下端に向かって、あるいは可能であればそれ以下に被ばくを軽減することを目標とすることとされており、緊急時被ばく状況において、20~100mSvのバンドから参考レベルを選択することを勧告していた2007年勧告よりも安全側に立ったレベルが勧告されている といえる。しかし、そうであるとしても、1mSvを超えるような放射線被ばくを不可とするような勧告内容とはいえない。 したがって、ICRPは、LNTモデルを、放射線防護の観点から安全側に立ってこれを採用することとしつつ、ALARAの原則に従って、平常時の計画的被ばく状況については1mS 勧告内容とはいえない。 したがって、ICRPは、LNTモデルを、放射線防護の観点から安全側に立ってこれを採用することとしつつ、ALARAの原則に従って、平常時の計画的被ばく状況については1mSv/yを勧告しているもの にすぎず、空間放射線量が1mSv/yを超えることにより、健康への影響があるものとしていると解することはできないというべきである。 そして、2007年の勧告では、緊急時被ばく状況においては20mSv/yが参考レベルの下限とされ、2020年の勧告でも、初期及び中期において100mSv又はそれを下回る線量、長期において1~2 0mSvの下半分などとされているところ、20mSvの健康リスクは、他の発がん要因(喫煙、肥満、野菜不足等)によるリスクと比較しても低い程度であるから、20mSv/yの空間放射線量を目安として、避難等対象区域を定めるなどすることも不合理とはいえず、しかも、ICRPによる勧告や国内法における規制の数値は実効線量を指していると ころ、実効線量は空間放射線量を下回る数値となるから、少なくとも、 1mSv/yを超える空間放射線量が観測されたからといって、健康への影響を及ぼすおそれが高いものとして、避難の相当性を肯定することにはならない。 そうであれば、ICRPの勧告内容に照らしても、1mSv/yを超える放射線被ばくをもって、直ちに避難の相当性が認められるとはいえ ず、避難指示等対象区域外からの避難に相当性を肯定するためには、避難元における空間放射線量だけではなく、本件原発からの距離等前記の諸事情を考慮して、放射線による被ばくに対する相当程度の恐怖や不安を抱いたことに相当の理由があり、自主的避難を行ったことについてやむを得ない事由があるといえるか否かの観点から検討すること 離等前記の諸事情を考慮して、放射線による被ばくに対する相当程度の恐怖や不安を抱いたことに相当の理由があり、自主的避難を行ったことについてやむを得ない事由があるといえるか否かの観点から検討することを要する。 なお、空間放射線量1mSv/yは、1日のうち屋外に8時間、木造家屋(遮へい効果0.4倍)に16時間滞在するという生活様式を想定すると、0.23μSv/hと換算するのが相当であるところ(乙D共234)、一審原告らのうち、特に避難の相当性が問題となる自主的避難等対象区域等の区域以外の居住者の避難元における空間放射線量は、こ れに達しないか、達していても、一時的であったり、わずかに超える程度の場合も多く、一審原告らが主張するように100mSv以下の低線量被ばくによって有意な健康影響が生じる可能性があるとしても、避難の相当性を一律に肯定することはできず、これらの者の避難の相当性については慎重に検討する必要があるといえる。 一審原告らは、ICRP2007年勧告は、1990年勧告と異なり国内法に取り入れられてはいない旨主張するが、2007年勧告は、1990年勧告に基づく放射線防護体系の問題点の是正や体系の単純化を目的として、1990年勧告の内容との整合性についても配慮しつつ、最新の科学的知見を考慮して発行されたものであり(甲D共53、55)、 その趣旨は、本件事故による避難の相当性を検討するに当たっても参照 するのが相当であるといえる。 イ土壌汚染について一審原告らは、土壌汚染の放射線管理区域規制4万Bq/㎡やクリアランスレベル6500Bq/㎡を超える地域においては、避難の相当性があり、避難継続の必要性もあるところ、一審原告らの避難元においては、こ れらの基準を上回る土壌汚染が生じ 制4万Bq/㎡やクリアランスレベル6500Bq/㎡を超える地域においては、避難の相当性があり、避難継続の必要性もあるところ、一審原告らの避難元においては、こ れらの基準を上回る土壌汚染が生じており、避難の相当性が肯定される旨主張する。 しかし、土壌汚染による放射線の値は、空間放射線量の測定により補足することができるから、少なくとも外部被ばくに関しては空間放射線量で考慮すれば足りる。また、放射線障害防止法に基づく管理区域は、平常時 において、放射線業務に従事する者が受ける放射線被ばくの状況を管理するために設定される区域であって、その規制値を上回ることにより、直ちに人の健康に影響を及ぼすという趣旨のものではない。 炉規法に基づくクリアランスレベルについても、これを下回る場合には放射能レベルが極めて低く、人の健康に対する影響を無視できるレベルで あり、放射性廃棄物として取り扱う必要がないというものであり(乙D共237)、その基準を超えた場合であっても、これにより直ちに人の健康に影響を及ぼすという趣旨のものではない。 一審原告らは、土壌が汚染されたことにより、土ぼこりや食物を通じて体内に摂取されることにより内部被ばくの原因になる旨主張するが、食物 による摂取は、食物自体の検査を行うことにより回避できるし、土ぼこりによる摂取の可能性については、一審原告らも具体的な数値を挙げるものではなく、空間放射線量に加えて考慮すべきほどのものとまではいえない。 また、子どもが遊びの中で汚染された土壌等を体内に取り込むおそれは皆無とはいえないとしても、健康に害が及ぶ程の量の放射性物質を取り込む とは考え難い。そして、福島県が平成23年6月27日から平成28年7 月31日までに行ったホールボディカウンターによる内部 いとしても、健康に害が及ぶ程の量の放射性物質を取り込む とは考え難い。そして、福島県が平成23年6月27日から平成28年7 月31日までに行ったホールボディカウンターによる内部被ばく検査では、累計約30万人のうちほぼ全員が1mSv未満であって、健康に害が及ぶ数値ではなかったとされている。そうであれば、一審原告らの避難の相当性を検討するに当たって、土壌汚染の事実を重視することはできない。 一審原告らは、外部被ばくのみならず内部被ばくもあわせて1mSv/ y以下とすべきである旨主張するが、そもそも、空間放射線量は、実効線量(人体の臓器や組織の線量から計算される量)を上回るものであって、内部被ばくの可能性を考慮しても、一審原告らに1mSv/yの実効線量を上回る被ばくが生じているとは認め難い。また、仮にこれを上回ることがあったとしても、ICRPの勧告による緊急時被ばく状況の参考レベル の下限であり、本件事故に関する避難指示の基準とされ、低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ(WG)も十分に低いと評価した20mSv/yを超えるとは考えられない。 (2) 除染基準について一審原告らは、除染基準20mSv/y又は1mSv/y等を上回る場所 においては避難及び避難継続の相当性があり、一審原告らが居住する自主的避難等対象区域外の地域においても、除染特別措置法に基づく汚染状況重点調査地域に指定されている場所がある旨主張する。しかし、汚染状況重点調査区域は、平均的な放射線量が0.23μSv/h(1mSv/y。乙D234)以上の地域を含む市町村が市町村単位で指定されるものである。そし て、上記のような空間放射線量の数値が、直ちに住民らの健康に影響を及ぼすようなものであるとはいえない上、一審原告らが D234)以上の地域を含む市町村が市町村単位で指定されるものである。そし て、上記のような空間放射線量の数値が、直ちに住民らの健康に影響を及ぼすようなものであるとはいえない上、一審原告らが居住する市町村が同地域に指定されているとしても、それは同じ市町村内に平均的な放射線量が高い地域があることを示すにすぎず、一審原告らが同等又はこれを上回る空間放射線により被ばくするおそれが高いということもできない。また、前述のと おり、そもそも1mSv/yを基準に、これを超える空間放射線量が観測さ れていたことを理由として、避難の相当性が基礎づけられるものとはいえない。 (3) 食物出荷制限等についてア水道汚染について本件事故後、福島県いわき市等複数の地域で、水道水から放射性ヨウ素 が検出されていたと認められるが、放射性ヨウ素は半減期も短く、各自治体は健康に影響を及ぼす可能性は小さいとして、落ち着いた対応を求めており、妊婦や乳児が飲んでも影響はない旨報道されていたと認められる(乙D共254・23頁)。そうであれば、水道水から放射性ヨウ素が検出されていたことも、避難の相当性を肯定する事情とはいえない。 イ食品の出荷制限について本件事故後、福島県やその周辺地域においては、食品が放射性物質により汚染されているとして出荷制限がされていたと認められるが、これらの食品については早期の段階から出荷時に検査が行われており、高度に汚染された食品は流通しておらず、たとえ本件事故直後に摂取していたとして も、その消費量から大量に放射性物質を摂取したとは考え難く、一審原告らが食品を摂取することにより被ばくする可能性が高いとはいえない。したがって、そのような出荷制限があることも、避難の相当性を肯 も、その消費量から大量に放射性物質を摂取したとは考え難く、一審原告らが食品を摂取することにより被ばくする可能性が高いとはいえない。したがって、そのような出荷制限があることも、避難の相当性を肯定する事情とはいえない。 5 低線量被ばくに関する科学的知見 (1) 前記のようなICRPの勧告に加え、一審原告らは、低線量被ばくの危険性に関する文献等に基づく主張をするので、以下検討する。 (2) P(以下「P」という。)の見解一審原告らは、原審証人Pの見解を援用し、医学的知見や各種の疫学調査の報告によれば、100mSv以下の低線量被ばくであっても、がん死や発 がんリスクが増加することは実証されている旨主張し、被ばくによるがん死 及び発がんリスクに関する論文や疫学調査結果を指摘する。しかし、これらの論文や調査結果には、いずれも批判や異なる見解及び調査結果があり、100mSv以下の低線量被ばくによって、がん死や発がんリスクの増加が実証されているとまでいうことはできない。 (3) LSS研究 2017年に公表された原爆被爆者の死亡率に関する研究(LSS)第14報については、研究著者の1人であるS自身が、同論文の記載は0.2Gy(200mGy)以上でリスクが有意になるという意味である旨述べており、これによっても、0.2Gy未満の低線量被ばくに関して、有意な研究結果であるということはできない。 (4) BEIR-Ⅶ報告2006年に米国アカデミー研究審議会「電離放射線の生物影響に関する委員会」によるBEIR-Ⅶ報告(甲D共353の1・2)では、LNTモデルを採用し、被ばく線量が増えるにしたがって固形がんの発生が増えるとするが、他方で、低線量のリスクは確かに小さく、リスク評価は不確定であ EIR-Ⅶ報告(甲D共353の1・2)では、LNTモデルを採用し、被ばく線量が増えるにしたがって固形がんの発生が増えるとするが、他方で、低線量のリスクは確かに小さく、リスク評価は不確定であ るともしており、仮定として0.1Sv(100mSv)であれば100人に一人が、0.01Sv(10mSv)であれば1000人に一人が、がんになると予想されるとするが、その根拠は明確でない。 (5) Uらの論文2017年のUらの論文「原爆被爆者の寿命調査での固形がんの罹患」(甲 D共376の2)では、グループとしての全固形がんについての放射線の線量反応関係は、線形で、しきい値を示すエビデンスがないことが観察されたと記載され、LNTモデルの見解とも合致しているが、20mSv/yの被ばくによる健康リスクは、喫煙、肥満、野菜不足等によるリスクと比較しても低いものと考えられ、上記の線量反応関係が示す線形も、必ずしも仮説と されてきたLNTモデルを証明するようなものとはいえない。また、上記論 文には、「線形ERRモデルを使って統計的に有意な線量反応関係を示した最小の線量範囲は0-100mGy」と記載されているが、これは100mGy以上でリスクが有意となるという趣旨であると考えられ、自主的避難等対象区域外に居住していた一審原告らの避難元における空間放射線量に照らせば、上記論文によっても、これらの一審原告の避難の相当性を基礎づける ものとはいえない。 (6) INWORKS研究2023年に公表されたINWORKS研究(フランス、英国、米国の労働者を対象とした低線量電離放射線被ばく後のがん死亡率コホート研究)(甲D共377の2)においては、100mSv以下の低線量被ばくによっても 健康影響が生じていることが報告さ 英国、米国の労働者を対象とした低線量電離放射線被ばく後のがん死亡率コホート研究)(甲D共377の2)においては、100mSv以下の低線量被ばくによっても 健康影響が生じていることが報告されているが、同研究においては、「喫煙や職業上のアスベストばく露が関連性の大きな交絡因子にならないことを示す間接的なエビデンスが得られた」とされているものの、その内容は不明であって、低線量被ばくによる発がんの危険性を正確に表しているか疑問があり、にわかに採用することができない。 (7) V勧告等国連人権理事会特別報告者であるVは、低線量被ばくの影響についてLNTモデルに立ち、被ばく線量が可能な限りに低減されて1mSv/y未満になった場合にのみ避難者は帰還を推奨されるべきであると勧告し、被災者が必要とする財政支援を提供するよう要請している。また、国連の有害物質及 び廃棄物の環境面での適切な管理及び廃棄の人権への影響に関する特別報告者であるWも、平成30年10月、本件事故に関し、許容される放射線被ばくのレベルが1mSv/yから20mSv/yに引き上げられ、子どもの権利に深刻な影響が生じているなどと指摘している。 しかし、これらの勧告や指摘等は、政府に向けられた勧告や指摘等にとど まり、これらをもって、一審被告東電に対する損害賠償請求における避難及 び避難継続の相当性が認められるものではない。この点を措くとしても、Vは、放射線の健康影響を専門とする者でもない上、国連人権理事会に対して特別報告者として、同人の見解を報告したにとどまり、科学的な裏付けがあるものではなく、にわかに採用できるものではない。 (8) X報告書 国連の避難民特別報告者であるXは、2023年、本件事故に関する避難民について、避難 たにとどまり、科学的な裏付けがあるものではなく、にわかに採用できるものではない。 (8) X報告書 国連の避難民特別報告者であるXは、2023年、本件事故に関する避難民について、避難を続けることを望む避難者(特に自主的避難者)が帰還するようにとの経済的、社会的圧力を感じていること、国内避難民が自発的、安全かつ尊厳をもって帰還できるあるいは自発的に他の場所に定住できる条件を確保する第一義的な義務と責任を政府が負うこと、帰還に十分な条件が 整う前に国内避難民への支援を終了することは国際法の基準に反すること、避難が自発的であるか強制的であるかに関係なく平等な条件で支援と損害賠償を受けるべきであることなどを勧告したと認められる(甲D共364の1)。 しかし、上記は、特別報告者の意見にとどまり、その意見が法的拘束力を持つものでない上、名宛人は日本国政府であり、その内容も抽象的なものにと どまり、これをもって、一審原告らの一審被告東電に対する請求の当否を決すべきものではない。 (9) Yの意見書(甲D共264)、補充意見書(甲D共338)及び証言(甲D366の1・2)大阪大学医学系研究科保健学専攻のY教授は、原子放射線の影響に関する 国連科学委員会(UNSCEAR)が本件事故による公衆被ばく線量を著しく過少に評価しているとし、より高い放射線被ばくをしていた可能性を指摘したほか、放射線感受性には個人差があり、しきい値も、放射線量がこれを下回れば健康に影響しないという意味ではない旨述べる。 しかし、UNSCEARによる公衆被ばく線量の評価について、特段不当 な点は見受けられず、一審原告らが、より高い放射線被ばくをしていたとい うべき合理的根拠も見当たらない。また、放射線感受性に個人差があると 公衆被ばく線量の評価について、特段不当 な点は見受けられず、一審原告らが、より高い放射線被ばくをしていたとい うべき合理的根拠も見当たらない。また、放射線感受性に個人差があるとしても、自主的避難等対象区域外に居住していた一審原告らの避難元における空間放射線量に照らせば、一審原告らに健康被害を及ぼすようなものであったとはいい難い。したがって、Y教授の意見も、一審原告らの避難の相当性を基礎づけるものとはいえない。 さらに、Y教授は、地上1mで計測するモニタリングポストの数値が子どもへの影響を過小評価している旨述べる。しかし、同一箇所における高さ50cmと高さ1mでの周辺線量当量率の関係は、平均的にみて、50cmの数値が1mの数値の1.01~1.05倍とされており(乙D共457・20頁)、子どもについて、特に高い放射線にさらされているということはでき ない。 (10) 福島県県民健康調査福島県が平成23年10月から実施した県民健康調査では、本件事故前の統計から推定された有病数に比べて多くの甲状腺がん患者が確認されているが、同様の検査を実施した他県においても多数の甲状腺がん患者が発見され ていることや、年齢が高い者の発見率が高く、5歳以下からの発見はないこと、地域別による発見率に大きな差はないことといった事情が認められ(乙D共467)、同調査では、精度の高い超音波検査が広く実施されたことにより、自覚症状がなく、通常であれば受診することもないため、発見されなかった甲状腺がんが発見された可能性があり、本件事故による低線量被ばくに よって甲状腺がん患者が増加したと断ずることはできない。 (11) その他の研究成果一審原告らは、他にも、本件事故による低線量被ばくによる危険性に関する研究結 事故による低線量被ばくに よって甲状腺がん患者が増加したと断ずることはできない。 (11) その他の研究成果一審原告らは、他にも、本件事故による低線量被ばくによる危険性に関する研究結果に基づく主張をするが、いずれも、自主的避難等対象区域外に居住していた一審原告らの避難元における空間放射線量に照らして、避難の相 当性を基礎づけるようなものであるとはいえない。 また、一審原告らは、国際人権法に基づく「健康に対する権利」を主張するが、一審被告東電に対する損害賠償請求に関する避難の相当性の判断に影響を及ぼすようなものではない。 6 避難に関する情報の提供について(1) 一審原告らは、本件事故直後の一審被告国や地方公共団体による対応は、 指示内容が変遷するなどしており、その発信する情報の信用性を失わせ、住民らの不信感を生じさせるものであった旨主張する。 しかし、福島県やその周辺部においては、本件事故の直後、正確かつ十分な情報の収集ができず、本件事故による放射線の危険性を報じる新聞記事等も見受けられたものの、早い段階から、避難指示の対象区域以外の区域にお ける空間放射線量が健康に影響を及ぼすようなものではないことが、専門家の見解を含めて、新聞等により広く報道されていたと認められ(乙D共254)、一審被告国や地方公共団体における対応に、一審原告らの不安をあおったり、混乱を招き、避難の必要性があると判断させるような点があったとはいえない。 (2) また、一審原告らは、政府が、放射線の人体への影響に関し、「直ちに人体に影響を及ぼすものではない」と説明したことが「人体への影響を心配する必要がない」という意味であるのか、「長期的には人体への影響がある」という意味であるのか明らかでなかった旨主張す し、「直ちに人体に影響を及ぼすものではない」と説明したことが「人体への影響を心配する必要がない」という意味であるのか、「長期的には人体への影響がある」という意味であるのか明らかでなかった旨主張するが、その説明当時の状況や説明の内容に照らし、住民らの不安をあおる後者のような意味での説明であ ると解する余地はない。 7 子どもの生育環境への影響について(1) 一審原告らは、学校の再開、除染の方針、校庭の利用基準を20mSv/yとした政府の方針に対して異論が噴出し、平成23年5月にはこれを修正して当面1mSv/y以下を目指し、同年8月には、児童生徒等が受ける線 量について原則1mSv/以下とし、校庭や園庭の空間線量は1μSv/h を目安とするなど、より制限的な基準に改めていた旨主張する。 しかし、文部科学省は、学校の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方として、平成23年4月19日に、線量の暫定的な目安を1~20mSv/yと定めたところ(甲D共79、乙D共50)、そのような数値は、ICRPの勧告にも沿うものであり、それ自体が不合理なものではなく、その後 の空間線量や除染作業の進展に伴い、同年5月には当面1mSv/y以下を目指すこととし(甲D共85)、空間線量の低下がみられたことから、原則として1mSv/y(児童生徒等の行動パターンを考慮し1μSv/h)以下とするなど、より制限的な基準を設定すること(甲D共80、乙D共51)は、その実情に合った合理的な措置であるといえる。 (2) また、平成23年4月に内閣官房参与が、校庭利用基準を20mSv/yとすることに反対するなどして辞任したこと(甲D共304の1)に関して、放射線安全学の専門家として、安全性を確保できないとの見解を示していることを軽視 に内閣官房参与が、校庭利用基準を20mSv/yとすることに反対するなどして辞任したこと(甲D共304の1)に関して、放射線安全学の専門家として、安全性を確保できないとの見解を示していることを軽視することはできないものの、低線量被ばくについては様々な見解があるところであり、参与が辞任したことをもって、その基準が不当である ということはできない。 (3) 以上によれば、学校の再開や、校庭等の空間線量に関する政府の対応が、一審原告らの避難の相当性を基礎づけるような事情であるとはいえない。 8 自主的避難者率について一審原告らは、福島県の自主的避難者数が多く、平成23年9月には5万人 余りに増加していることを指摘する。 しかし、その比率は、時期により変動があり、また、転居届を提出しないで転出した者も一定程度はいたと考えられるものの、いわき市で約4.5%(これには地震や甚大な被害をもたらした津波により被害を受けた者の避難も含まれる。)、福島市で約1.1%、郡山市で約1.5%程度にとどまり、大半はそ の住居地にとどまっており、避難を実行した者の割合は低い。一審原告らの中 には、避難の要否をめぐって親族間で意見が対立し、関係が険悪になったという者もあり、その点からも、避難の必要性が高いと考えるのが当時の避難元の状況に照らして一般的であったともいえず、現にその余の住民らは、本件事故後も福島県内での生活を継続しており、本件事故に由来する放射線による健康被害が生じているとも認められない。これらの点からも、社会通念に照らし、 自主的避難等対象区域や区域外の地域から避難を選択する必要性が高かったとはいえない。 9 復興状況について上記のとおり、福島県内からの避難者は、圧倒的に少数であったと認められ、本件 、 自主的避難等対象区域や区域外の地域から避難を選択する必要性が高かったとはいえない。 9 復興状況について上記のとおり、福島県内からの避難者は、圧倒的に少数であったと認められ、本件事故後も、早期の段階から、復興に向けて、学校の再開や住民らによる企 業活動も再開されていると認められる。こうした事情は、一審原告らが避難元において生活を継続することが可能であったことを裏付けるものであり、避難の相当性、避難継続の相当性を減殺すべき事情であるといえる。 10 避難の相当性に関する時期的制限について(1) 一審原告らは、平成24年4月の時点においても、避難の相当性はある旨 主張する。 しかし、一審原告らが主張するような空間放射線量が1mSv/yを超える地域からの避難が相当であるとはいえないことは前述のとおりである。一審原告らは、汚染水の海洋への流出が続いており、海洋汚染が拡散していた旨主張するが、仮にそうであったとしても、海洋汚染が、直ちに一審原告ら の健康に影響を及ぼすものではない。また、一審原告らは、除染を実施しない場合、福島県内において高濃度の空間放射線量が計測される地域がある見通しであったなどとも主張するが、一審原告らの避難元の周辺部においてさほど高濃度の空間放射線量が観測されているものでもない。 そして、平成23年12月16日には、本件事故の収束が宣言されていた ことや、その頃までには一審原告らの避難元の空間放射線量が低減し、住民 らによる社会的活動も行われていたこと、福島県から京都府への避難者も、そのほとんどが同年中に避難をしていることなどに鑑みると、特段の事情がない限り、平成24年1月以降に新たに避難を開始する必要性は認め難く、その避難に相当性があるとはいえず、その後の 府への避難者も、そのほとんどが同年中に避難をしていることなどに鑑みると、特段の事情がない限り、平成24年1月以降に新たに避難を開始する必要性は認め難く、その避難に相当性があるとはいえず、その後の避難は、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。 (2) 一審原告らは、先行して避難した親族等と同居し又は近傍に居住するための親族らによる後行の避難について、その期間を制限し、又は、その対象を妊婦の夫や子どもの親に限定するのは不合理である旨主張する。 アしかし、前記のとおり、平成24年1月以降は、原則として、新たに避難を開始する必要性は乏しいといわざるを得ず、その後の避難は、本件事 故による放射線の影響を回避するための本件事故と相当因果関係がある避難とは評価し難い。もっとも、妊婦や子どもは、一般的に放射線への感受性が高いと認識されており、これらの者を先行して避難させることには合理性があり、そのような先行した避難があった場合において、避難先で開始された妊婦又は子どもの生活を直ちに放棄して避難元に帰還することが 困難であることも考えられるから、そうした場合に妊婦の夫又は子どもの親が、妊婦や子どもの生活にあわせ、同居するために、後行の避難を実行することも必ずしも不合理とはいえず、後行の避難時期、避難が遅れた理由やその後の同居状況等の事情を考慮して、避難の相当性を個別に検討するのが相当である。他方、後行の避難時期を無限定とすることは、本件事 故による放射線の影響を回避するという避難の目的を考慮せず、本件事故と相当因果関係がある範囲を超えて損害を認定することになり相当でない。 イまた、本件事故前に避難元において親族らが同居していた場合には、避難先においても親族で同居を望む心情は理解できないではないが、同一世帯であった 範囲を超えて損害を認定することになり相当でない。 イまた、本件事故前に避難元において親族らが同居していた場合には、避難先においても親族で同居を望む心情は理解できないではないが、同一世帯であったとはいえ、たとえば、親と成人した子、祖父母とその孫といっ た関係性は、妊婦とその夫や、子どもとその親といった関係性よりは希薄 であって独立性が高く、それぞれの事情に応じて、本件事故直後から避難の要否を検討することができたといえ、その世帯構成員の一部が先行して避難を実行していたことを理由に、平成24年1月以降に避難を実行したことについて合理性があるということはできない。また、子どものいない夫婦の一方のみが先行して避難を実行していたような場合も、それぞれの 考え方に応じた避難を実行したというべきであり、先行した夫婦の一方の先行した避難の実行により平成24年1月以降の他方配偶者の避難の実行について相当性を認めることはできない。 11 避難継続の相当性について(1) 放射線の影響を避けるために避難を開始した者は、その避難先で、安全、 安定した生活を希求することは当然であり、避難指示や緊急時避難準備区域の指定解除等の事情が生じたからといって、避難先で苦労の上築き上げた安定した生活を放棄し、避難元に帰還することは容易ではないといえる。そのため、避難指示や緊急時避難準備区域の指定解除により、直ちに避難継続の必要性が失われるとはいえない。これは、自主的避難等対象区域や区域外か らの避難者についても同様であり、避難先において安定した生活を築くためには相当な苦難があったものと推認でき、避難の実行後、収束宣言がされ、避難元の復興が進んだからといって、直ちに避難元に帰還することは容易ではないといえる。 (2) 他方で、避難 した生活を築くためには相当な苦難があったものと推認でき、避難の実行後、収束宣言がされ、避難元の復興が進んだからといって、直ちに避難元に帰還することは容易ではないといえる。 (2) 他方で、避難元への帰還が客観的にみて可能となり、その帰還の準備に要 する相当期間が経過した後には、もはや避難先での避難を継続する必要性は乏しくなり、その後も避難先での生活を継続するのは、当該避難者の自由意思によるものになったというべきであるから、それ以降に生じた避難に関する費用の支出は、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。 (3) また、避難者が避難先において築き上げた生活が安定し、新たに不動産を 取得するなどして避難先に定着し、避難元への帰還が考え難い状況に至った のであれば、その状態も、もはや避難であるとはいい難く、その後に生じた費用の支出も、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。これらの事情は、避難者ごとに状況が異なるため、避難継続の相当性が認められるべき期間(一審原告らの支出と本件事故との相当因果関係を認めるべき期間)を一律に定めることは相当でないが、避難後の生活の安定のためには相当程度の 時間を要すること、帰還の判断も容易ではないことを考慮すると、おおむね避難の開始から2年間程度を目安とするのが相当である。 12 まとめ以上を踏まえると、本件事故と一審原告らの避難との間では、以下の場合に避難の相当性が認められるといえる(以下「避難基準」という。)。 ① 本件事故当時、中間指針が定める避難指示等対象区域に居住していた者が避難した場合② 本件事故当時、中間指針追補が定める自主的避難等対象区域に居住しており、かつ、以下のいずれかの条件を満たす場合ⅰ 特段の事情がない限り、平成23年12月31 に居住していた者が避難した場合② 本件事故当時、中間指針追補が定める自主的避難等対象区域に居住しており、かつ、以下のいずれかの条件を満たす場合ⅰ 特段の事情がない限り、平成23年12月31日までに避難したこ と。 ⅱ 本件事故時、同居していた妊婦又は子どもが、平成23年12月31日まで(特段の事情がある場合を除く。)に避難しており、その妊婦又は子どもと同居するため、その妊婦の配偶者又はその子どもの親が避難した場合であって、移動時期や移動が遅れた理由、その後の同居 状況等から避難と評価すべき場合であること。 ③ 本件事故当時、自主的避難等対象区域外に居住していたが、個別具体的事情により、上記②の場合と同等の場合又はこれに準じる場合第7節一審原告らの個別の避難の相当性 1 一審原告1 (1) 一審原告1は、福島県双葉郡a8 町(警戒区域、居住制限区域。平成29 年4月1日に指定解除。)に居住していたところ、平成23年3月12日から同月13日にかけて、京都市に避難したものと認められる。したがって、避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告1の避難元について居住制限区域の指定が解除されたのは平成29年4月1日であり、少なくとも同日まで一審原告1は帰還することはで きず、一審原告1が賠償を求める平成27年8月31日までの全期間について避難継続の相当性が認められる。 2 一審原告2(1) 一審原告2-1・3・4は、福島県郡山市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、平成23年3月14日から同月15日にかけて、大阪府 に避難したものと認められる。したがって、避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告2-2が平成25年4月に福島市から京都市に転居し、同年9月には、一審原告 から同月15日にかけて、大阪府 に避難したものと認められる。したがって、避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告2-2が平成25年4月に福島市から京都市に転居し、同年9月には、一審原告2-1・2が所有する福島市の自宅の売却契約を締結するに至っていること(甲D2の5の1~6)に照らせば、一審原告2は、遅くとも同年4月までには、福島市へ帰還せず、京都での定住を決意したものと認 められる。そうすると、避難の相当性が認められるのも、一審原告2-1・3・4が避難してから2年後である平成25年2月28日までというべきである。 (3) 一審原告2-2は、平成25年4月に、一審原告2-1・3・4と同居するために京都市に移動したと認められるが、そもそも、一審原告2-2は、 避難の必要性に懐疑的であり、2-1に対し「帰ってこなければ離婚だ」と述べていたというのであり(甲D2の1の1)、避難の必要性を有していたとはいい難い上、上記のとおり、平成23年12月頃までには、客観的には避難の必要性は消滅していたというべきであり、2-1・3・4との同居を目的としているとはいえ、その後1年以上を経過した平成25年4月の移動が、 本件事故と相当因果関係がある避難であるとはいい難い。 3 一審原告3(1) 一審原告3-1・2は、福島県郡山市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、平成23年3月16日、京都市に避難したものと認められる。 したがって、避難の相当性が認められる。 (2) また、避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったも のと考えるのが相当である。 4 一審原告4(1) 一審原告4―1・2は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、4-1は平成23年7月4日、4-2は 難継続の相当性があったも のと考えるのが相当である。 4 一審原告4(1) 一審原告4―1・2は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、4-1は平成23年7月4日、4-2は同月19日、それぞれ京都市に避難したものと認められる。したがって、避難の相当性が認められる。 (2) また、避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 5 一審原告5(1) 一審原告5は、福島県郡山市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、平成23年3月16日、京都市に避難したものと認められる。したが って、避難の相当性が認められる。 (2) また、避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 6 一審原告6(1) 一審原告6-1・2は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していた ところ、平成23年3月19日、埼玉県に避難したものと認められる。したがって、避難の相当性が認められる。 (2) また、避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 7 一審原告7 (1) 一審原告7―1~6は、福島県いわき市(自主的避難等対象区域)に居住 していたところ、平成23年3月17日、神奈川県に避難したものと認められ、避難の相当性が認められ、その後おおむね2年間についても、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 (2) 一審原告7-1~6は、平成23年3月26日、避難先である神奈川県からいわき市に帰還し、7-2~6は、同年6月8日、再度、いわき市から秋 田県に避難し、7-2・3は、平成24年2月にいわき市に帰還した上、同年3月29日、7-1~3がい 、避難先である神奈川県からいわき市に帰還し、7-2~6は、同年6月8日、再度、いわき市から秋 田県に避難し、7-2・3は、平成24年2月にいわき市に帰還した上、同年3月29日、7-1~3がいわき市から京都市に避難したと認められる。 そして、京都市に避難したのは、平成23年12月を超えた平成24年3月ではあるが、子どもである7-2・3は、ほぼ一貫して避難を継続しており、いわき市への帰還は一時的なものであるといえ、7-1~3の京都市へ の避難についても、継続的な避難の一環であるということができる。 8 一審原告8(1) 一審原告8は、福島県郡山市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、平成23年10月17日、京都市に避難したものと認められる。したがって、避難の相当性が認められる。 (2) その後おおむね2年間についても、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 9 一審原告9(1) 一審原告9-1・3・4は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月12日から同月14 日までの間、福島県会津若松市に避難し、同年8月3日、京都市に避難したものと認められる。したがって、避難の相当性が認められる。 なお、一審原告9-1・3・4は、平成23年3月中に、再度、福島県会津若松市に避難したと主張するが、短期間の滞在にとどまり、これをもって避難であるということはできない。 (2) また、避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があった ものと考えるのが相当である。 (3) なお、一審原告9-2は、福島県会津若松市(自主的避難等対象区域外)に居住していたが、平成23年8月21日に京都市に移動しているところ、 た ものと考えるのが相当である。 (3) なお、一審原告9-2は、福島県会津若松市(自主的避難等対象区域外)に居住していたが、平成23年8月21日に京都市に移動しているところ、9-2の居住場所は本件原発から約99kmも離れており、9-2が避難した平成23年8月頃の避難元付近のモニタリングポストの空間放射線量は0. 10~0.14μSv/hであって高いともいえない。土壌においては放射性物質濃度が高い値を示していた場所もあると認められるが、これにより、空間放射線量を離れて、直ちに一審原告9-2に内部被ばく等を生じて、健康に影響を及ぼすおそれがあるとはいえない。以上によれば、一審原告9-2に、客観的にみて避難が必要であったとはいえず、避難の相当性があった とはいえない。 10 一審原告10(1) 一審原告10-1・3は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、平成23年3月19日、10-1の実家である千葉県に避難したものと認められる。したがって、避難の相当性が認められる。 (2) また、一審原告10-1・3は、平成23年4月3日、避難先の千葉県からいったん福島市に帰還し、同月11日長野県に避難し、同年11月11日長野県から京都市に避難したと認められる。長野県への避難についても、その時期に照らして避難の相当性が認められ、京都への移転についても、その時期や、家賃負担を免れるという目的、移動費用も比較的少額であることに 照らせば、その移転には合理性があり、避難の相当性が認められる。 (3) 避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 11 一審原告12(1) 一審原告12-1は、長男及び二男と共に福島市(自主的避難等対象区域) に居 からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 11 一審原告12(1) 一審原告12-1は、長男及び二男と共に福島市(自主的避難等対象区域) に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月14日、 福島市から京都市に避難したものと認められる。そして、一審原告12-1と二男は、平成23年4月5日福島市に帰還したが、同年9月25日、再度京都市に避難しているものと認められる。したがって、避難の相当性が認められる。 (2) また、避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったも のと考えるのが相当である。 12 一審原告13(1) 一審原告13-1~3は、茨城県つくば市に居住していたところ(自主的避難等対象区域外)、平成23年5月26日、京都に移動したものと認められる。 しかし、一審原告13-1~3の居住場所は、本件原発から約172kmも離れており、平成23年5月27日時点での空間放射線量も0.20~0. 27μSv/hであること、同一審原告らの周囲に、つくば市から自主的避難をした者はいなかったことなどを総合すると、一審原告13-1~3の移動が、自主的避難等対象区域からの避難と同等であるとかこれに準じるとま ではいえない。避難元近隣の土壌においては、放射性物質濃度が高い値を示していた場所もあると認められるが、これにより、空間放射線量を離れて、直ちに一審原告13-1~3に内部被ばく等を生じて、健康に影響を及ぼすおそれがあるとはいえない。 (2) したがって、一審原告13-1~3に避難の相当性は認められない。 13 一審原告14(1) 一審原告14-1・2・4は、福島県郡山市に居住していたところ(自主的避難等対象区 。 (2) したがって、一審原告13-1~3に避難の相当性は認められない。 13 一審原告14(1) 一審原告14-1・2・4は、福島県郡山市に居住していたところ(自主的避難等対象区域)、14-1は平成23年5月12日、14-2・4は同月13日、郡山市から京都市に避難したものと認められる。したがって、避難の相当性が認められる。 (2) また、避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったも のと考えるのが相当である。 14 一審原告15(1) 一審原告15-1~4は、福島県大沼郡n1 町(自主的避難等対象区域外)に居住していたところ、15-1・2は平成24年2月24日、15-3・4は同年4月5日、京都市に移転したと認められる。 しかし、移転の時期は、平成23年12月以降である。また、一審原告15の居住地は、本件原発から約105kmも離れており、空間放射線量も、平成23年3月20日にはモニタリングポストにおいて0.53μSv/hを観測したものの、翌月には最大0.21μSv/hと減少し、その後も減少傾向にあって、移転の時期までには相当程度減少していたと考えられるこ と(甲D15の9の1・2)も併せ考慮すると、一審原告15-1~4の移転は、自主的避難等対象区域からの避難と同等であるとかこれに準じるとまではいえない。一審原告15-1~4の避難元近隣の土壌の放射性物質濃度は相当程度高い値を示していた場所もあると認められるが、これにより、空間放射線量を離れて、直ちに15-1~4に内部被ばく等を生じて、健康に影 響を及ぼすおそれがあるとはいえない。 以上によれば、一審原告15-1~4の避難の相当性は認め難い。 (2) なお、一審原告15-2は、京都市への移動前である平成24年 等を生じて、健康に影 響を及ぼすおそれがあるとはいえない。 以上によれば、一審原告15-1~4の避難の相当性は認め難い。 (2) なお、一審原告15-2は、京都市への移動前である平成24年2月頃から右耳の後ろが赤く腫れるなどの症状を訴えていたことが認められるが、その原因は詳らかでなく、これが本件事故と相当因果関係があるものとはいえ ないし、避難後である同年4月に、甲状腺障害の一種である橋本病であるとの診断を受けていることが認められるが、母である15-1は、15-2の橋本病の悪化を懸念して避難をしたものではなく、15-2も、平成28年4月に自ら望んでn1 町に帰還していることに照らすと、15-2の体調不良や橋本病と京都市への移転との間に相当因果関係があるとはいえない。こ の点からも、一審原告15-1・2に、避難の相当性を認めることはできな い。 15 一審原告16(1) 一審原告16-1・2は福島県二本松市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件地震のため帰宅することができず、福島市に一時滞在し、平成23年3月19日、新潟県に避難したと認められる。したがって、 避難の相当性が認められる。 (2) また、避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 16 一審原告18(1) 一審原告18は、福島県南相馬市(緊急時避難準備区域。平成23年9月 30日指定解除)に居住していたところ、平成23年3月12日、福島市に避難し、同年4月2日に京都市に避難したものと認められる。緊急時避難準備区域からの避難であって、避難の相当性が認められる。 (2) 緊急時避難準備区域の指定は、平成23年9月30日に解除されているが、避難に要する費用に関しては 避難したものと認められる。緊急時避難準備区域からの避難であって、避難の相当性が認められる。 (2) 緊急時避難準備区域の指定は、平成23年9月30日に解除されているが、避難に要する費用に関しては、その解除からおおむね2年間については、避 難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 17 一審原告19(1) 一審原告19-1~4は、福島県郡山市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、19-1・3・4は、平成23年4月20日、京都市に避難したものと認められる。したがって、避難の相当性が認められる。 (2) これに対して、一審原告19-2は、飲食店事業を整理した上で、平成27年4月に京都に移転したと認められるが、平成23年12月を経過し、かつ、本件事故及び19-1・3・4の避難から約4年を経過していることを考慮すると、19-1・3・4との同居という目的があったとしても、本件事故に起因する放射線の影響から避難するために移転したとはいい難い。し たがって、19-2については、避難の相当性を欠く。 (3) 一審原告19-1・3・4の避難については、避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 18 一審原告20(1) 一審原告20-1・3~6は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、平成23年3月24日、埼玉県に避難し、同年4月5日に福 島市に帰還した後、平成24年1月4日、京都に移転したものと認められる。 (2) このうち、埼玉県への移動は、本件事故による放射線の影響から避難するための移動であったと認められ、避難の相当性が認められる。 これに対して、京都への移動は、平成23年12月を経過してからの移動であり、一旦避難してか 移動は、本件事故による放射線の影響から避難するための移動であったと認められ、避難の相当性が認められる。 これに対して、京都への移動は、平成23年12月を経過してからの移動であり、一旦避難してから約11か月間福島市において生活をし、平成24 年1月に至って改めて避難をする合理的理由も見当たらない。したがって、京都への避難については、避難の相当性を欠くといわざるを得ない。 (3) 一審原告20-2は、そもそも本件事故当時中国に単身赴任中であり、平成26年3月に帰国したものと認められ、避難の事実が認められない。 19 一審原告21 (1) 一審原告21-1~4は、福島県二本松市(自主的避難等対象区域)に居住していたが、21-1・3・4は、本件事故当初の時期である平成23年3月19日、神奈川県に避難し、同年4月2日、福島県二本松市に帰還した後、同年5月20日、京都市に避難したものと認められる。したがって、避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告21-2は、平成24年7月12日、21-1・3・4と同居するために京都市に移動したものと認められ、21-3・4が避難時にそれぞれ6歳、3歳と幼かったこと、移動が遅れたのはプロパンガス販売の職務に従事していたことや自宅不動産を所有していたことからであると考えられることからすれば、21-2の移動についても、避難の相当性が認められる。 (3) 避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと 考えるのが相当である。 20 一審原告22(1) 一審原告22-1・2は、福島県郡山市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月17日、茨城県に避難したが、同月21日福島県郡山市に帰還した後、22-1は、 一審原告22-1・2は、福島県郡山市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月17日、茨城県に避難したが、同月21日福島県郡山市に帰還した後、22-1は、同年8 月12日に出生した22-3とともに、平成24年2月3日、京都市に避難したものと認められる。このうち、茨城県への避難は、避難の相当性が認められ、京都市への避難も、平成24年2月であるものの、22-3が平成23年8月に出生し、直ちに移動することが困難であったことを考慮すると、避難の時期が遅れたことにも合理性があるといえる。したがって、京都市へ の避難についても避難の相当性が認められる。 (2) 避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 21 一審原告23(1) 一審原告23-1~5は、福島県いわき市(自主的避難等対象区域)に居 住していたところ、23-1・2・5は、本件事故当初の時期である平成23年3月28日から同月29日にかけて、京都市に避難したものと認められ、避難の相当性が認められる。また、一審原告23-3は、23-1・2・4・5とともに、自家用車で京都に移動していると認められ、同月3日には公共交通機関を利用して福島県いわき市に帰還しており、23-1・2・4・5 の避難を手伝ったにすぎないとも考えられるが、本件事故当初の時期に移動しており、避難としての意味がなかったともいえず、避難の相当性が認められる。 (2) これに対して、一審原告23-4は、そもそも、平成23年4月に進学のため京都市に転居することが予定されており、移動した時期も同年3月28 日であったことに鑑みると、その移動は進学のためであるといえ、避難のた めであったと評価すること 月に進学のため京都市に転居することが予定されており、移動した時期も同年3月28 日であったことに鑑みると、その移動は進学のためであるといえ、避難のた めであったと評価することはできない。 (3) また、一審原告23-2は、平成24年5月2日には福島県いわき市に帰還しているが、本件事故当初の時期を経過して帰還を決意したものといえ、上記のような避難の相当性が否定されるものではない。 (4) 避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと 考えるのが相当である。 22 一審原告24(1) 一審原告24-1~3は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月22日に新潟県に避難し、同月24日帰還したが、同月31日、再度新潟県に避難し、同年4月1 4日に帰還し、さらに、一審原告24-2~4は、同年6月3日に24-4が出生した後である同年7月14日、京都に避難したことが認められ、これらはいずれも避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告24-1は、平成24年10月6日、24-2~4と同居するために福島市から京都市に移動していると認められ、24-3・4が、避難時 にそれぞれ2歳、0歳と幼かったこと、避難が遅れたのは、避難元において不動産販売等の職務に従事していたことや、自宅不動産を取得したばかりであったためであると考えられることによれば、24-1の移動についても、避難の相当性が認められる。 (3) 一審原告24-2~4の京都市への避難からおおむね2年間については、 避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 23 一審原告25(1) 一審原告25-1~5は、福島県郡山市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、2 2年間については、 避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 23 一審原告25(1) 一審原告25-1~5は、福島県郡山市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、25-2~5は、本件事故当初の時期である平成23年3月15日、25-1も同月18日、福島県会津若松市へ避難し、同月25日 に全員が郡山市に帰還し、同年7月26日、25-2~5が京都市に避難し たことが認められ、これらはいずれも避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告25-1は、平成25年3月29日、25-2~5と同居するために郡山市から京都市に移動していると認められ、25-3~5が、避難時にそれぞれ7歳、3歳、1歳と幼かったこと、移動が遅れたのは、25-1が公立学校の教員として稼働していたためであると考えられることによれば、 25-1の移動についても、避難の相当性が認められる。 (3) 一審原告25-2~5の京都市への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 24 一審原告26(1) 一審原告26-1~5は、福島県郡山市(自主的避難等対象区域)に居住 していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月13日、神奈川県に避難し、26-1は同月18日、26-1~5は同月27日に郡山市に帰還したが、26-2~5は同年6月2日、京都市に避難したものと認められ、これらはいずれも避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告26-1は、平成25年5月、26-2~5と同居するため、京 都市に移動し、平成26年8月まで京都市に居住していたと認められ、26-3~5が、避難時にそれぞれ6歳、3歳、0歳と幼かったこと、移動が遅れたのは、自宅不動産を所有し、また、勤務先から戻 京 都市に移動し、平成26年8月まで京都市に居住していたと認められ、26-3~5が、避難時にそれぞれ6歳、3歳、0歳と幼かったこと、移動が遅れたのは、自宅不動産を所有し、また、勤務先から戻って来るよう強く言われからであったと考えられることによれば、26-1の京都への移動についても避難の相当性が認められる。 (3) 一審原告26-2~5の京都市への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 25 一審原告27(1) 一審原告27-1~4は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、27-2~4は、平成23年8月30日、京都市に避難したもの と認められ、避難の相当性が認められる。なお、一審原告27の1~4は、 同年5月から8月にかけて、群馬県や宮城県等にも避難していた旨主張するが、本件事故当初の時期を経過している上、その滞在期間は短く、避難元に戻る前提で移動したに留まっていたと認められ、これらをもって避難ということはできない。 (2) また、一審原告27-1は、平成24年8月19日、27-2~4と同居 するため、京都市に移動したと認められるところ、26-3・4が避難時にそれぞれ13歳と7歳という未成熟子であったこと、移動が遅れたのは、27-1が父の経営する洋服店に勤務し、容易に避難することができなかったからであると考えられることによれば、27-1の京都への移動についても避難の相当性が認められる。 (3) 一審原告27-2~4の京都市への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 26 一審原告28(1) 一審原告28は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、平成23年 難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 26 一審原告28(1) 一審原告28は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、平成23年3月15日、京都府に避難したものと認められ、避難の相当性が 認められる。 (2) 一審原告28の京都府への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 27 一審原告29(1) 一審原告29-1・2は、福島県いわき市(自主的避難等対象区域)に居 住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月15日、東京都に避難し、同年4月1日、いわき市に帰還し、同年7月23日、京都市に避難したものと認められ、避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告28の京都市への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 28 一審原告30 (1) 一審原告30-1~3は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月18日、京都市に移動し、その後、30-1は同月19日、30-2・3は同月28日、それぞれ福島市に帰還したものの、30-2・3は、同年7月30日、京都市に再度避難したと認められ、30-2・3の避難は、避難の相当性が認められる。 また、30-1が京都市に滞在したのは同年3月18日から同月19日までであるが、本件事故当初の時期であることに照らせば、避難の相当性は否定できず、これを認めることができる。 (2) 一審原告30-2・3の京都市への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 29 一審原告31(1) 一審原告31 ことができる。 (2) 一審原告30-2・3の京都市への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 29 一審原告31(1) 一審原告31-1~3は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、31-2・3は、平成23年8月5日、京都市に避難したものと認められ、避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告31-2・3の京都市への避難からおおむね2年間については、 避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 30 一審原告32(1) 一審原告32-1~5は、福島県いわき市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月14日から同月18日までの間、滋賀県に避難したことが認められ、避難の相当性が認め られる。 (2) 一審原告32-2は、平成23年4月30日、滋賀県から千葉県に移動しているが、生活が困窮し、生活費を稼ぐための仕事の関係による移転であって、避難の相当性が認められる。 (3) また、一審原告32-1・3~5は、平成23年10月、滋賀県から京都 市に移転しているが、これについても、生活を安定させるための移転であっ て、避難の相当性が認められる。 (4) 一審原告32-1~5の滋賀県への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 (5) 一審原告32は、平成24年3月頃には、本件事故当時に居住していた施設の賃貸借契約を解除しているが、自ら、定住先を決めるなどの目的をもっ て積極的に解除をしたものではなく、これをもって、避難を終了したということもできないから、その後の避難に関する損害が、本件事故との因果関係を否定されるものではなく、こ を決めるなどの目的をもっ て積極的に解除をしたものではなく、これをもって、避難を終了したということもできないから、その後の避難に関する損害が、本件事故との因果関係を否定されるものではなく、これを認めるのが相当である。 31 一審原告33(1) 一審原告33-1~3は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住してい たところ、33-2・3は、本件事故当初の時期である平成23年3月18日に京都府に避難したことが認められ、避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告33-1は、平成23年12月以降である平成24年1月24日、33-2・3と同居するため、京都府に移動したと認められるところ、その時期が平成24年となって間もなくであったこと、33-3が避難時2 歳と幼かったこと、移動が遅れたのは、仕事をすぐに辞めることができなかったからであると考えられることによれば、33-1の京都府への移動についても避難の相当性が認められる。 (3) 一審原告33-2・3の京都府への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 (4) 一審原告33-1は、福島市で居住していた建物の契約を解除し、平成24年1月に京都府に避難しているが、33-2・3との同居のために避難したものと認められ、その頃に京都府での生活が安定していたものではなく、これをもって避難を終えたということはできない。 32 一審原告34 (1) 一審原告34-1~3は、福島県白河市(県南地域)に居住していたとこ ろ、34-1・3は、平成23年9月7日に出生した34-4とともに、同年11月に福島県西白河郡q 村に転居し、平成24年2月25日、京都市に移動したことが認められる。そして、福島県白河市及びq 村は、 、34-1・3は、平成23年9月7日に出生した34-4とともに、同年11月に福島県西白河郡q 村に転居し、平成24年2月25日、京都市に移動したことが認められる。そして、福島県白河市及びq 村は、自主的避難等対象区域外ではあるが、平成23年3月にはq 村で一時的とはいえ2.55μSv/hの空間放射線量が観測され、一審被告東電も県南地域として賠 償の対象地域としていたこと(ただし、賠償基準では妊婦及び子どものみを対象としている。)を踏まえると、自主的避難等対象区域と同等と考えるのが相当である。一審原告34-1~4の避難の時期も、平成23年12月以降であるが、34-4の出生時期に照らせば、その避難の時期が遅れることもやむを得ず、その時期のみをもって、34-1・3・4の避難の相当性が否 定されるものではない。したがって、一審原告34-1・3・4については、避難の相当性が認められる。 (2) また、一審原告34-2は、平成24年2月24日に京都市に移動しており、妻である34-1及び子である34-3・4と同居するため、ほぼ同時期に避難しているものであるから、34-2についても避難の相当性が認め られる。 (3) 一審原告34-1~4の京都府への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 33 一審原告35(1) 一審原告35-1~5は、福島県いわき市(自主的避難等対象区域)に居 住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月12日から同月16日にかけて京都市に避難したことが認められ、避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告35-3は、平成23年4月には、福島県いわき市に帰還しているが、35-1・2・4・5とともに京都市に移動していることに照らせば、 とが認められ、避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告35-3は、平成23年4月には、福島県いわき市に帰還しているが、35-1・2・4・5とともに京都市に移動していることに照らせば、 35-3についても避難であると評価できる。もっとも、35-3は、その 後、平成25年4月に、再度京都に移転しているが、大学進学に伴う移動であり、その時期に照らしても、その移動は避難と評価することはできない。 (3) 一審原告35が居住していた建物は、本件地震により損壊したことが認められるが、本件事故当初の時期に京都市への避難を開始していることに照らせば、その避難は、本件地震による被害のためではなく、本件事故による 放射線の影響を回避する趣旨によるものといえる。 (4) 一審原告35-1~5の京都府への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 34 一審原告36(1) 一審原告36-1・2は、福島県田村郡k1 町(自主的避難等対象区域) に居住していたところ、36-2は、本件事故当初の時期である平成23年3月17日、東京都に避難したことが認められ、避難の相当性が認められる。 (2) もっとも、一審原告36-2は、平成23年6月10日には福島県田村郡k1 町に帰還しており、その後の東京都での滞在日数は、同月から平成24年3月までの間で合計7日間にすぎず、この間は、もはや避難をしたというこ とはできず、36-2の避難期間は、平成23年6月10日に福島県田村郡k1 町に帰還するまでの間であったと評価するのが相当である。また、36-2は、平成24年3月6日から同月10日にかけて大阪府に移動したと認められるが、その時期に照らし、避難の相当性を認めることはできない。 (3) までの間であったと評価するのが相当である。また、36-2は、平成24年3月6日から同月10日にかけて大阪府に移動したと認められるが、その時期に照らし、避難の相当性を認めることはできない。 (3) 一審原告36-1は、平成24年5月1日、京都市に移動したと認められ るが、その移動時期に照らし、避難の相当性を認めることはできない。 35 一審原告37(1) 一審原告37-1・2は、福島県郡山市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月14日から同月21日に同市に帰還するまでの間、福島県会津若松市に避難していたものと 認められ、避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告37-1・2は、平成25年4月26日、京都市に移動したと認められるが、その時期に照らし、避難の相当性を認めることはできない。 一審原告37-1・2は、娘である25-2が避難した後に、25-2の夫である25-1を支えるために福島県郡山市に残った旨主張し、食事の準備程度はしていたことがうかがわれるが、その他いかなる必要性があったの か詳らかでなく、その主張はにわかに採用することができない。 36 一審原告38(1) 一審原告38は、福島県大沼郡n2 町(自主的避難等対象区域外)に居住していたところ、同居していた長男(当時8歳)とともに、本件事故当初の時期である平成23年3月15日、広島県に移動し、引き続き佐賀県に移動 したものと認められる。そして、その居住地は、自主的避難等対象区域外であり、本件原発からは約134kmの距離があるものの、同月20日におけるn2 町役場のモニタリングポストにおいて空間放射線量0.31μSv/hが観測されていたこと、一審原告38が当時8歳の長男と同居していたこ 原発からは約134kmの距離があるものの、同月20日におけるn2 町役場のモニタリングポストにおいて空間放射線量0.31μSv/hが観測されていたこと、一審原告38が当時8歳の長男と同居していたことに照らせば、同年4月5日にn2 町に帰還するまでの避難はやむを得ない ものであったというべきであり、避難の相当性が認められる。 (2) もっとも、一審原告38は、一旦福島県大沼郡n2 町に帰還し、平成23年8月27日、同町から京都府に移動していると認められるが、元々、一審原告38が居住するn2 町は自主的避難等対象区域外であること、京都府への移動時期は本件事故当初の時期より後であること、同月時点でのn2 町役 場のモニタリングポストの空間放射線量は0.11μSv/h程度にまで減少していたと認められること、避難元近隣の土壌においては放射性物質濃度が高い値を示していた場所もあると認められるが、これにより、空間放射線量を離れて、直ちに一審原告38に内部被ばく等を生じて、健康に影響を及ぼすおそれがあるとはいえないことなどに鑑みると、同年8月27日の京都 府への移動については、避難の相当性を認めることはできない。 (3) なお、福島県大沼郡n2 町に近接するα1 町では、平成23年9月頃、杉林の落葉等から5.85kBq/kgの放射性セシウムが検出されていることが認められるが(甲D38の9の9)、同年頃におけるその周辺における空間線量率は、平均で0.12μSv/h程度であり、また、同年7月9日のn2 町のα2 自然観察教育林での空間放射線量も、地上100cmで平均0. 17~0.18μSv/h程度であった上(甲D38の9の7)、これら山林の放射線量が住宅地に直接影響するものともいえない。したがって、避難の相当性 での空間放射線量も、地上100cmで平均0. 17~0.18μSv/h程度であった上(甲D38の9の7)、これら山林の放射線量が住宅地に直接影響するものともいえない。したがって、避難の相当性を検討するに当たり、これらの放射線量を考慮しなければならないとはいえない。 37 一審原告39 (1) 一審原告39は、福島県田村郡k1 町(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月14日、k1 町から新潟県に、同月15日、新潟県から京都市に移動し、同月20日にk1 町に帰還するまで避難していたと認められ、避難の相当性が認められる。 (2) 一審原告39は、平成23年4月4日以降、実家のある中国に渡航してい るが、本件事故当初の時期であり、避難自体の相当性は認められるものの、本件事故による放射線の影響を回避するために国外に移動することまでは相当であるとはいえない。 (3) また、一審原告39は、平成24年5月1日、k1 町から京都市に移転したと認められるが、それまでに、本件事故前である平成22年8月から中国 国内に居住していた長女(当時小学校3年生)を中国から連れ帰り、平成24年1月15日から同年2月8日までの間、k1 町の自宅に滞在させていたことに照らせば、その頃において一審原告39において避難の必要性があると認識していたとは考え難く、平成23年12月に本件事故の収束宣言が出されていたことも併せ考慮すると、平成24年1月以降については、避難の相当 性は認められない。 38 一審原告40(1) 一審原告40は、福島県いわき市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月15日、長男(当時6歳)及び長女(当時3歳) 38 一審原告40(1) 一審原告40は、福島県いわき市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月15日、長男(当時6歳)及び長女(当時3歳)を連れて栃木県に、同月18日、栃木県から埼玉県に、それぞれ移動し、同年4月1日にいわき市に帰還し、同月23日には、 長男及び長女もいわき市に帰還させたものと認められるところ、その時期等に照らし、避難の相当性が認められる。 (2) もっとも、一審原告40は、上記帰還後である平成23年4月23日から、再度いわき市に居住していたところ、平成24年6月26日に至って、長男及び長女とともに京都市に移転していることが認められるが、その移転の時 期や、その頃、居宅で火災が発生して住むことができなくなったという事情があったことを考慮すると、京都市への移転が、本件事故による放射線の影響を回避するためのものであったとは考え難く、避難の相当性があるとはいえない。 39 一審原告42 (1) 一審原告42は、福島県田村市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月14日、福島県大沼郡n3村に避難したものと認められ、その時期等に照らし、避難の相当性が認められる。また、同月19日の新潟県への移転及び同年4月の同県内での移転についても、避難の相当性が認められる。 (2) 福島県大沼郡n3 村への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。一審原告42は、平成25年10月16日、新潟県から京都市に移動したと認められるが、その時期に照らし、避難の相当性を認めることはできない。 40 一審原告43 (1) 一審原告43-1~4は、福島市(自主的避難等対象区 月16日、新潟県から京都市に移動したと認められるが、その時期に照らし、避難の相当性を認めることはできない。 40 一審原告43 (1) 一審原告43-1~4は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住してい たところ、平成23年5月19日、山形県に避難し、平成24年3月に一旦福島市に戻ってはいるものの、同月22日、京都市に避難しており、その避難は、平成23年5月から継続しているものということができ、避難の相当性も認められる。 (2) なお、一審原告43-1~4は、平成23年5月8日から同月9日にも山 形県に赴いているが、短期間であって避難と評価することはできず、また、同年7月には北海道に移動していることも認められるが、短期間のうちに山形県に戻る前提であって、放射線の影響を回避するためのものともいえず、避難の相当性は認め難い。 (3) 一審原告43-1~4の山形県への避難からおおむね2年間については、 避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 41 一審原告44(1) 一審原告44-1~3は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月11日、山口県に避難し、同年4月9日には福岡県に移転したと認められ、その時期等に照らし、 避難の相当性が認められる。 (2) なお、一審原告44-2は、平成23年4月18日、福岡県から福島市に帰還し、同年5月、福島市から山形県へ移転していることが認められるが、これによって、44-2の避難の相当性が否定されるものではない。 (3) 一審原告44-2は、平成24年4月1日、山形県から徳島県に移転して いるが、これについても、避難の性質が否定されるものではない。 (4) 一審原告44-1~3に山口県への はない。 (3) 一審原告44-2は、平成24年4月1日、山形県から徳島県に移転して いるが、これについても、避難の性質が否定されるものではない。 (4) 一審原告44-1~3に山口県への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 42 一審原告45(1) 一審原告45-1~3は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住してい たが、45-2・3は、本件事故当初の時期である平成23年3月20日、 東京都に避難し、同年7月19日、東京都から京都市に移転したと認められ、その避難及び移転には相当性が認められる。 (2) 一審原告45-2・3の東京都への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 43 一審原告46 (1) 一審原告46-1~5は、千葉県松戸市(自主的避難等対象区域外)に居住していたが、平成24年2月4日、三重県に避難し、同年8月1日、三重県から愛知県に、平成25年4月8日、愛知県から京都府に、それぞれ移転したものと認められる。 (2) しかし、一審原告46-1~5が居住していた自宅は、本件原発から約2 05kmも離れている上(乙D46の1)、一審原告46-1~5が避難を開始したのは、本件事故の収束宣言がされた平成23年12月以降であり、かつ、本件事故から約11か月を経過した平成24年2月である。一審原告46-2は、避難がその時期に至った理由として、平成23年11月にジャーナリストの講演会で、汚染の状況がひどいと聞いて避難を考えるようになっ た旨供述するが、その講演内容の専門性、正確性には疑問がある。また、一審原告46-2は、本件事故から約半年経って品切れ状態であったエアーカウンター(放射 ひどいと聞いて避難を考えるようになっ た旨供述するが、その講演内容の専門性、正確性には疑問がある。また、一審原告46-2は、本件事故から約半年経って品切れ状態であったエアーカウンター(放射線測定器)を入手することができ、これにより計測したところ、生活圏内において高い放射線量を検出したことも避難の理由である旨供述する。しかし、一審原告46-2も、ホームページ等を見て、千葉県松戸市の 空間放射線量は0.02~0.04μSv/h程度であると把握していた上(一審原告46-2本人)、自宅近辺の空間放射線量は、平成23年11月1日に約0.25μSv/h(r 公園。ただし、地表からの高さ50cm。乙D共212の2)、同月2日に約0.41μSv/h(s 公園。同)を観測しているが、避難時期に近い平成24年2月6日には約0.15μSv/h(t 保 育所。同。乙D46の5)であって、その空間放射線量は特に高いものでは なく、一審原告46-2が自ら計測したエアーカウンターによる結果の正確性にも疑問がある。また、農林水産省が平成23年4月から同年7月までの間に行った農地の土壌調査によれば、千葉県松戸市内の農地で相当程度の濃度の放射性物質が計測されたと認められるが、これにより直ちに一審原告46-1~5に内部被ばく等を生じて、健康に影響を及ぼすおそれがあるとは いえない。 そうすると、一審原告46-1~5の移動が、客観的にみて本件事故による放射線の影響を回避するためであったとは認め難い。 (3) 一審原告46-2は、長男である46-4がかつて急性リンパ性白血病にり患したことがあり、医師からは再発すれば命にかかわると聞かされてい たことがあり、子どもらの健康を考えて避難を決断した旨供述する(一審原告46-2本人)。し -4がかつて急性リンパ性白血病にり患したことがあり、医師からは再発すれば命にかかわると聞かされてい たことがあり、子どもらの健康を考えて避難を決断した旨供述する(一審原告46-2本人)。しかし、46-4(平成16年1月27日生まれ)が急性リンパ性白血病を患ったのは、平成17年12月頃であり、平成19年12月頃には、化学療法も終了し、平成20年1月には寛解の維持も確認され、本件事故直後である平成23年4月12日にも、寛解は持続し、異常所見は認 められないと診断されており (甲D46の7の5~9)、その際に、医師に放射線が心配であることも相談したが、その回答は46-2も覚えていないという程度であり、避難を勧められたこともなく、また医師からレントゲン検査等をできるだけ受けない方がよいなどと言われたこともないというのであるから(一審原告46-2本人)、長男の病歴も、避難の必要性、相当性を基 礎づけるものであるとまではいえない。 (4) また、一審原告46-2は、本件事故後、避難前に、長男及び長女も体調不良を訴えていた旨供述する(一審原告46-2本人)が、その原因は不明であるというのであり、これらが本件事故と相当因果関係があるものと認めることもできない。 44 一審原告47 (1) 一審原告47は、長男及び長女とともに、仙台市u1 区(自主的避難等対象区域外)に居住していたところ、平成23年9月7日、アメリカに渡航し、同年11月4日、仙台市u1 区に帰還したと認められる。 しかし、一審原告47が居住していた自宅のある仙台市u1 区は自主的避難等対象区域にも指定されておらず、本件原発から約89km離れており、 自宅周辺の空間放射線量は、平成23年6月27日に0.18μSv/h(ただし、地表 ていた自宅のある仙台市u1 区は自主的避難等対象区域にも指定されておらず、本件原発から約89km離れており、 自宅周辺の空間放射線量は、平成23年6月27日に0.18μSv/h(ただし、地表からの高さ50cm。)が観測されているが、直ちに健康に影響を与えるものということはできず、そのことは新聞報道等により周知されていたと認められる。また、仙台市u1 区は、避難指示等対象区域にも自主的避難等対象区域にも接していない。そうであれば、一審原告47のアメリカへの 渡航に、避難の相当性があるとはいえない。 (2) 一審原告47は、許容される空間放射線量を1mSv/y(0.114μSv/h)以下とすべきであり、これを超えることは許されないところ、自ら計測した空間放射線量や近隣の土壌やプールの汚泥の放射性物質濃度も高く、避難の相当性が認められる旨主張する。しかし、そもそも1mSv/y を超える空間放射線量による被ばくが直ちに健康影響を与えるものであるとは認められず、これが容認されないというものではないし、1mSv/yは0.23μSv/hと換算するのが相当であり、そうであれば、1mSv/yを上回るものではなく、また、地表からの高さ等その計測方法によっても変動し得るものであるから、これをもって、避難の相当性が認められるとは いえない。 避難元近隣の土壌やプールの汚泥の放射性物質濃度については、比較的高い値を示している場所もあるが、これにより、空間放射線量を離れて、直ちに一審原告47の内部被ばく等を生じて、健康に影響を及ぼすおそれがあるとはいえず、避難の相当性を基礎づけるものとはいえない。 (3) 一審原告47は、長男が夜中に鼻血を出したり、長女が血液検査で甲状腺 機能の異常を指摘されたことなども指摘する とはいえず、避難の相当性を基礎づけるものとはいえない。 (3) 一審原告47は、長男が夜中に鼻血を出したり、長女が血液検査で甲状腺 機能の異常を指摘されたことなども指摘するが、これらが本件事故と相当因果関係があるとも認めるに足りず、一審原告47に、放射線の影響を特に懸念しなければならない特別の事情があったともいえない。 (4) 一審原告47は、平成24年1月に沖縄県に避難したとも主張するが、これについても、上記のような避難元の状況やその時期に照らすと、避難の相 当性があったとはいえない。 (5) したがって、一審原告47に避難の相当性は認められない。 45 一審原告48(1) 一審原告48-1~6は、福島県郡山市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、48-1~3は、本件事故当初の時期である平成23年3 月15日から同月18日までの間、福島県会津若松市に避難し、48-2~4は、同年6月29日、福島県郡山市から京都市に避難し、48-1も、48-2・3と同居するため、同年8月、京都市に避難したものと認められ、これらの避難には相当性が認められる。 (2) これに対して、一審原告48-5は平成26年2月17日、48-6は平 成27年9月26日、京都に移動しているものの、その移転時期に照らし、その移動に、避難の相当性は認められない。 46 一審原告49(1) 一審原告49は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月17日から同月18日にかけて、 大阪府に避難したと認められ、その避難には相当性が認められる。 (2) また、一審原告49は、平成24年3月15日に大阪府から京都市に移転しているが、これについても、生活を安定させるための移転 大阪府に避難したと認められ、その避難には相当性が認められる。 (2) また、一審原告49は、平成24年3月15日に大阪府から京都市に移転しているが、これについても、生活を安定させるための移転であるといえ、相当性が認められる。 (3) 一審原告49の大阪府への避難からおおむね2年間については、避難継 続の相当性があったものと考えるのが相当である。 47 一審原告50(1) 一審原告50は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月14日、新潟県に避難したと認められ、その避難には相当性が認められる。 (2) また、一審原告50は、平成23年3月17日新潟県から山口県へ、同年 5月27日山口県から東京都へ、同年6月26日東京都から京都市へ、それぞれ移転したと認められるところ、これらは生活を安定させるための移転であると認められ、移転の相当性が認められる。 (3) 一審原告50の新潟県への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 48 一審原告51(1) 一審原告51-1~3は、福島市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、51-2・3は、本件事故当初の時期である平成23年3月15日、福島市から新潟県に避難したものと認められ、その避難には相当性が認められる。 また、51-1~3は、兵庫県を経て、同年6月23日、福島市に帰還し、同年7月2日、山形県に避難したものと認められ、その避難についても相当性が認められる。 (2) 一審原告51-2・3の新潟県への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。一審原告51-2・ 3は、平成25年11月1 性が認められる。 (2) 一審原告51-2・3の新潟県への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。一審原告51-2・ 3は、平成25年11月18日から同月19日にかけて、山形県から京都市に移転し、51-1も同日、福島市から京都市に移動しているが、その移動時期に照らし、これらの移動に避難の相当性は認められない。 一審原告51は、上記の移動は、山形県米沢市が雪深く、一審原告51-2の精神的、肉体的負担が過多になっていたことなどから、不規則、不安定 な状況を解消するためである旨主張するが、一般的には、避難から2年程度 が経過すれば、避難先での生活も安定し、避難元に帰還するか(避難元の空間放射線量もさほど高いとはいえない。)、避難先での生活を継続するかの判断も可能であるといえ、避難先での生活を継続するとしても、放射線の影響を回避するための避難生活とは評価できず、その後に要する費用についてまで、本件事故と相当因果関係があるとまではいうことができない。 49 一審原告52(1) 一審原告52-1~4は、茨城県北茨城市(自主的避難等対象区域外)に居住していたところ、平成24年1月27日、京都市に移転したと認められる。しかし、その移転時期は、平成23年12月以降である。そして、一審原告52が居住していた自宅は、本件原発から約67km程度離れており、 自主的避難等対象区域の多くが入る半径80km圏と同程度であって、自主的避難等対象区域である福島県いわき市とも隣接し、その空間放射線量は、本件事故当初こそ最大で15.8μSv/hもの高い数値が観測されていたことは認められるが(甲D52の9の7)、一審原告52-1~4が避難をした平成24年1月頃には、その数値も低くな 空間放射線量は、本件事故当初こそ最大で15.8μSv/hもの高い数値が観測されていたことは認められるが(甲D52の9の7)、一審原告52-1~4が避難をした平成24年1月頃には、その数値も低くなっていたと認められる(約0. 17μSv/h)。避難元近隣の土壌においては、放射性物質濃度が高い値を示していた場所もあると認められるが、これにより、空間放射線量を離れて、直ちに一審原告52-1~4に内部被ばく等を生じて、健康に影響を及ぼすおそれがあるとはいえない。他に、一審原告52に放射線の影響を特に懸念しなければならない特別な事情もうかがわれない。 したがって、一審原告52-1~4の京都への避難については、避難の相当性を欠くといわざるを得ず、その損害は本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 (2) 一審原告52-1~4は、平成23年8月頃、放射線の影響を回避するため、北海道函館市に保養に赴いたことは認められるが(甲D52の1の1、5 2の6の1)、保養は、生活の本拠を移転する避難とは性質を異にし、その保 養の事実から、避難の時期が平成24年1月まで遅れたことの合理性が肯定できるものでもない。 (3) したがって、一審原告52の移転に、避難の相当性があるとはいえない。 50 一審原告53一審原告53は、一審被告東電に対する訴えを取り下げている。また、一審 被告国に対する請求は、前述のとおり、その余の点について判断するまでもなく理由がない。 51 一審原告54(1) 一審原告54-1・2は、福島県いわき市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、平成23年5月20日、京都府に避難したと認められ、 その避難には相当性が認められる。 (2) 一審原告54-1・2の京都府 2は、福島県いわき市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、平成23年5月20日、京都府に避難したと認められ、 その避難には相当性が認められる。 (2) 一審原告54-1・2の京都府への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 52 一審原告55(1) 一審原告55は、子(当時0歳)及び夫とともに仙台市u2 区(自主的避 難等対象区域外)に居住していたところ、平成23年12月16日、子とともに京都市に避難したと認められる。 (2) しかし、仙台市u2 区は、自主的避難等対象区域とも接しておらず、一審原告55が居住していた自宅は本件原発から約95km程度離れている上、近隣の空間放射線量は、平成23年6月において0.09~0.13μSv /h程度であったと認められる。一審原告55は、自宅及びその周辺で自ら計測した空間放射線量は、平成27年7月頃でも高い数値を示していた旨主張するが、一審原告55が自ら計測した数値についてはその正確性に疑問がある上、その数値も、特に高いものであるとはいえない。 また、避難元近隣の土壌の放射性物質濃度は比較的高い値を示していた場 所もあると認められるが、これにより、空間放射線量を離れて、直ちに一審 原告55の内部被ばく等を生じて、健康に影響を与えるものであるとはいえない。 (3) 他に、一審原告55に放射線の影響を、特に懸念しなければならない特別な事情もうかがわれず、そうであれば、一審原告55の京都市への避難には相当性があるとはいえない。 53 一審原告56(1) 一審原告56-1は、栃木県大田原市(自主的避難等対象区域外)に居住していたところ、平成23年3月12日、本件地震に不安を感じて東京都に移転 あるとはいえない。 53 一審原告56(1) 一審原告56-1は、栃木県大田原市(自主的避難等対象区域外)に居住していたところ、平成23年3月12日、本件地震に不安を感じて東京都に移転した上、本件事故当初の時期である同月17日、東京都から大阪府に移転したと認められる。そして、一審原告56-1の自宅は、本件原発から約 100km離れているものの、自宅近くの空間放射線量は、平成23年5月中旬でも、0.33~0.37μSv/hが測定されていたと認められる。 そうであれば、一審原告56-1は、一般人から見ても避難をすることもやむを得なかったというべきであり、その避難には相当性が認められる。 (2) 一審原告56-2は、本件事故当時、東京都内に居住しており、平成23 年3月17日、56-1とともに大阪府に移転したものと認められるが、本件事故のため東京都内に居住することができなくなったとはいえず、これをもって、本件事故による放射線の影響を回避するための避難であると評価することはできない。 一審原告56-2は、資格取得のため一時的に東京都に居住していたにす ぎず、平成23年春には栃木県大田原市の自宅に戻る予定であったと主張する。しかし、56-2は、都立高等学校を卒業後、イギリスやニュージーランドに留学し、帰国後は株式会社を設立して取締役として稼働するとともに、本件事故当時、資格取得のため、東京で学校に通っており(甲D56の1の1・6、46頁)、本件事故後である平成23年9月頃にも、再度、東京で学 校に通い始めていたというのであって(甲D56の1の1・33頁)、その生 活の本拠が栃木県大田原市にあったとは認め難い。 (3) また、一審原告56-1は、その亡父を相続したものであるところ、亡父は、 というのであって(甲D56の1の1・33頁)、その生 活の本拠が栃木県大田原市にあったとは認め難い。 (3) また、一審原告56-1は、その亡父を相続したものであるところ、亡父は、栃木県大田原市に居住しており、避難を実行した旨主張するが、亡父は東京都内に住民登録をしており、本件事故時に栃木県大田原市に居住していたと認めるに足りる証拠はない。一審原告56-1は、亡父が東京都内に住 民登録をしていたのは、兄弟の看病のためであったと主張するが、そのためにあえて居住実体のない住民登録をする必要があったとは考え難い。加えて、亡父は、死亡前に東京で死期を迎えたいとの希望を述べていたというのであって、この点からも、栃木県大田原市に居住する意思があったとは考え難い。 したがって、一審原告56-1の上記主張は採用することができない。 54 一審原告57(1) 一審原告57-1~6は、福島県いわき市(自主的避難等対象区域)に居住していたところ、本件事故当初の時期である平成23年3月14日、福島県会津若松市に避難し、同月15日、会津若松市から新潟県へ、同月16日、新潟県から大阪府へ、同月21日大阪府から京都市へ、それぞれ移転したこ とが認められ、その避難及び移転には相当性が認められる。 (2) 一審原告57-1~6の福島県会津若松市への避難からおおむね2年間については、避難継続の相当性があったものと考えるのが相当である。 55 一審原告58(1) 一審原告58-1~3は、千葉県柏市(自主的避難等対象区域外)に居住 していたところ、58-2・3は、本件事故当初の時期である平成23年3月14日、余震を回避するため、58-2の実家のある京都市に移転し、その後、同年6月頃には、放射線による影響を回避するため、千葉県柏市 いたところ、58-2・3は、本件事故当初の時期である平成23年3月14日、余震を回避するため、58-2の実家のある京都市に移転し、その後、同年6月頃には、放射線による影響を回避するため、千葉県柏市に戻らないことを決意したことが認められる(58-4は、平成23年9月17日出生。)。 (2) 一審原告58の自宅は、本件原発から約195kmの距離があるが、自宅 付近の空間放射線量は、平成23年3月15日から31日までの間に0.52~0.80μSv/hが観測され、同年6月8日にも自宅近くのモニタリングポストで0.30μSv/h、柏市内のその他のモニタリングポストでも0.219~0.439μSv/hが観測されていたと認められる。 そして、一審原告58-2は、本件事故当時、58-4を妊娠中であり、 幼少である58-3も抱えていたことに照らせば、実家のある京都市での滞在を継続し、生活の本拠である千葉県柏市に戻らず避難をすることも相当であるといえる。 (3) 一審原告58-2・3が京都市から千葉県柏市に戻らないことを決意した平成23年6月からおおむね2年間については、避難継続の相当性があっ たものと考えるのが相当である。 第8節損害論(総論)第1 認定事実 1 中間指針の策定(1) 原子力損害賠償紛争審査会は、原賠法18条1項に基づき、平成23年 4月に文部科学省に設置された。同審査会は、同年8月5日、原子力損害の判定等に関する指針として、中間指針を公表した。中間指針においては、損害項目ごとに賠償すべき損害が示されており、その内容は次のとおりである。 ア検査費用本件事故の発生以降、放射線へのばく露の有無又はそれが健康に及ぼす 影響を確認する目的で必要かつ合理的な範囲で検査を 償すべき損害が示されており、その内容は次のとおりである。 ア検査費用本件事故の発生以降、放射線へのばく露の有無又はそれが健康に及ぼす 影響を確認する目的で必要かつ合理的な範囲で検査を受けるために負担した検査費用(検査のための交通費等の付随費用を含む。)イ避難費用必要かつ合理的な範囲で負担した①対象区域から避難するために負担した交通費、家財道具の移転費用、②対象区域外に滞在することを余 儀なくされたことにより負担した宿泊費及びこの宿泊に付随して負担し た費用、③避難等対象者が避難等によって生活費が増加した部分があれば、その増加費用 ①、②については、避難等対象者が現実に負担した実費を損害額とするのが合理的な算定方法であるが、領収証等による損害額の立証が困難な場合には、平均的な費用を推計することにより損害額を立証するこ とも認められるべきである。③については、原則として後記精神的損害の額に加算し、その加算後の一定額をもって両者を損害額とするのが公平かつ合理的な算定方法と認められる。 避難指示等の解除等から相当期間経過後に生じた避難費用は、特段の事情がある場合を除き、賠償の対象とはならない。 ウ一時立入費用警戒区域内に住居を有する者が、市町村が政府及び県の支援を得て実施する「一時立入り」に参加するために負担した、必要かつ合理的な範囲の交通費、家財道具の移動費用及び除染費用等エ帰宅費用 対象区域内に住居を有する者が、市町村が政府及び県の支援を得て実施する「一時立入り」に参加するために負担した、必要かつ合理的な範囲の交通費、家財道具の移動費用等オ生命・身体的損害本件事故により避難等を余儀なくされたため、傷害を負い、治療を要す る程度に 時立入り」に参加するために負担した、必要かつ合理的な範囲の交通費、家財道具の移動費用等オ生命・身体的損害本件事故により避難等を余儀なくされたため、傷害を負い、治療を要す る程度に健康状態が悪化し(精神的障害を含む。)、疾病にかかり、あるいは死亡したことにより生じた逸失利益、治療費、薬代及び精神的損害等本件事故により避難を余儀なくされ、これによる治療を要する程度の健康状態の悪化等を防止するため、負担が増加した診断書、治療費及び薬代等 カ精神的損害 本件事故から6か月間(第1期)一人月額10万円ただし、避難所、体育館又は公民館等における避難生活等を余儀なくされた者については一人月額12万円第1期終了から6か月間(第2期) 一人月額5万円なお、第2期は、中間指針第2次追補において、避難指示区域見直しの時点までに延長された。 第2期終了から終期まで(第3期)今後の本件事故の収束状況等を踏まえ、改めて損害額の算定方法を検 討する。 なお、中間指針第2次追補において、損害額の算定方法が示された。 キ就労不能等に伴う損害対象区域内に住居又は勤務先がある勤労者が、避難指示等により、その就労が不能等となった場合には、かかる勤労者について、給与等の減収分 及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用ク財物価値の喪失又は減少等財物(動産及び不動産)について、現実に発生した以下の損害① 避難指示等による避難等を余儀なくされたことに伴い、対象区域内の財物の管理が不能等となったため、当該財物の価値の全部又は一部 が失われたと認められる場合の、現実に価値を喪失し又は減少した部分及びこれに伴う必要かつ合理的な範囲の追加的費用② 当該財物が対象区域内 が不能等となったため、当該財物の価値の全部又は一部 が失われたと認められる場合の、現実に価値を喪失し又は減少した部分及びこれに伴う必要かつ合理的な範囲の追加的費用② 当該財物が対象区域内にあり、財物の価値を喪失又は減少させる程度の量の放射性物質にばく露したか、そうではないものの、財物の種類、性質及び取引態様等から、平均的・一般的な人の認識を基準とし て、本件事故により当該財物の価値の全部又は一部が失われたと認め られる場合の、現実に価値を喪失し又は減少した部分及び除染等の必要かつ合理的な範囲の追加的費用③ 対象区域内の財物の管理が不能等となり、又は放射性物質にばく露することにより、その価値が喪失又は減少することを予防するため所有者等が支出した費用 (2) 中間指針追補原子力損害賠償紛争審査会は、平成23年12月6日、中間指針追補を公表した。中間指針追補においては、自主的避難等対象者の賠償額の目安が示されており、その内容は次のとおりである。 ア損害の内容 自主的避難を行った場合① 生活費の増加費用② 正常な日常生活が相当程度阻害されたために生じた精神的苦痛③ 移動費用自主的避難等対象区域に滞在を続けた場合 ① 放射線被ばくへの恐怖や不安、これに伴う行動の自由の制限等により、正常な日常生活の維持・継続が相当程度阻害されたために生じた精神的苦痛② 生活費の増加費用イ対象者及び賠償額 自主的避難等対象者のうち子ども及び妊婦① 本件事故発生から平成23年12月末までの損害として一人40万円② 平成24年1月以降に関しては、今後必要に応じて検討する。 その他の自主的避難等対象者 本件事故当初の時期(おおむね平成23年4月22 23年12月末までの損害として一人40万円② 平成24年1月以降に関しては、今後必要に応じて検討する。 その他の自主的避難等対象者 本件事故当初の時期(おおむね平成23年4月22日頃まで)の損害 として一人8万円これらの金額は、自主的避難等対象者が避難をした場合と、自主的避難等対象区域に滞在し続けた場合とで、同額とされた。 (3) 中間指針第2次追補原子力損害賠償紛争審査会は、平成24年3月16日、中間指針第2次追 補を公表した。中間指針第2次追補においては、中間指針の「第2期」を避難指示区域見直しの時点まで延長し、当該時点から終期までの期間を「第3期」とし、第3期における精神的損害の賠償額(避難費用のうち、通常の範囲の生活費の増加費用を含む。)の目安が示された。その内容は次のとおりである。 ア居住制限区域については、一人月額10万円を目安とする。 イ旧緊急時避難準備区域については、一人月額10万円とし、中間指針で、特段の事情がある場合を除き賠償の対象とならない「避難指示等の解除等から相当期間経過後に生じた避難費用」について「相当期間」は平成24年8月末までを目安とする。 (4) 中間指針第4次追補原子力損害賠償紛争審査会は、平成25年12月26日、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲等に関する中間指針第四次追補(避難指示の長期化等に係る損害について)」(中間指針第4次追補)を公表した。中間指針第4次追補では、第3期の賠償額の目安が示 された。その内容は次のとおりである。 ア帰還困難区域、a1 町・a2 町の居住制限区域・避難指示解除準備区域以外の地域については、一人月額10万円イ中間指針で、特段の事情がある場合を された。その内容は次のとおりである。 ア帰還困難区域、a1 町・a2 町の居住制限区域・避難指示解除準備区域以外の地域については、一人月額10万円イ中間指針で、特段の事情がある場合を除き賠償の対象とならないこととされた「避難指示等の解除等から相当期間経過後に生じた避難費用」に関 し、避難指示区域については「相当期間」は1年間を当面の目安とし、個 別の事情も踏まえ柔軟に対応するものとする。 (5) 中間指針第5次追補原子力損害賠償紛争審査会は、令和4年12月20日、中間指針第5次追補を公表した。中間指針第5次追補では、次のような点が定められた。 ア過酷避難状況による精神的損害 対象者本件事故発生時に避難区域(本件原発から半径20km圏内又は福島第二原発から半径10km圏内)におり、避難等を余儀なくされた者金額本件事故から6か月間(第1期)を対象期間とし、 ① 本件原発から半径20km圏内又は福島第二原発から半径8km圏内の区域一人30万円② 福島第二原発から半径8~10km圏内で、かつ本件原発から半径20km圏内に含まれない区域一人15万円イ生活基盤変容による精神的損害 趣旨生活基盤が本件事故前の状況からかなりの程度毀損されたことにより被害者に生ずる精神的損害を賠償するものである。 旧居住制限区域に関しては、新たに生活基盤変容による精神的損害の損害額の目安を定めたものである。また、旧緊急時避難準備区域に関し ては、旧居住制限区域に準じて、生活基盤変容による精神的損害を認めるものである。 対象者及び金額① 旧居住制限区域一人250万円② 旧緊急時避難準備区域一人50万円 ウ 旧居住制限区域に準じて、生活基盤変容による精神的損害を認めるものである。 対象者及び金額① 旧居住制限区域一人250万円② 旧緊急時避難準備区域一人50万円 ウ自主的避難等対象者について 自主的避難等対象区域内に住居があった者について、賠償額の目安が示された。その内容は次のとおりである。 損害の内容a 避難を行った者① 生活費の増加費用 ② 正常な日常生活の維持・継続が相当程度阻害されたために生じた精神的苦痛③ 避難及び帰宅に要した移動費用b 自主的避難等対象区域内に滞在を続けた者① 放射線被ばくへの恐怖や不安、これに伴う行動の自由の制限等に より、正常な日常生活の維持・継続が相当程度阻害されたために生じた精神的苦痛② 生活費増加費用その具体的な損害額は、以下の額を目安とする。 a 本件事故発生から平成23年12月末まで ① 子ども及び妊婦については一人40万円(変更なし)② その他については一人20万円本件事故発生当初の時期を対象として8万円とされていたものが、平成23年12月末までを対象として20万円と改められた。 b 平成24年1月以降 少なくとも子ども及び妊婦については、個別の事例又は類型ごとに、放射線量に関する客観的情報、避難指示区域との近接性等を勘案して、放射線被ばくへの相当程度の恐怖や不安を抱き、また、その危険を回避するために自主的避難を行うような心理が、平均的・一般的な人を基準としつつ、合理性を有していると認められる場合には、賠償の対 象となる。 その場合の具体的な損害額については、本指針の趣旨を踏まえ、かつ、当該損害の内容に応じて、合理的に算定するものとする。 2 一審 と認められる場合には、賠償の対 象となる。 その場合の具体的な損害額については、本指針の趣旨を踏まえ、かつ、当該損害の内容に応じて、合理的に算定するものとする。 2 一審被告東電の支払基準(1) 一審被告東電は、被害者からの直接請求に対応するため、中間指針等に基づいて補償の具体的な算定基準を定めた。このうち、避難、帰宅費用等に関 しては、次のような定めがある。(甲D共224)ア避難、帰宅費用(交通費)同一都道府県内の移動は、移動手段にかかわらず、一人につき移動1回当たり5000円都道府県を越える移動は、車1台につき、移動1回当たり、「標準交通 費一覧表(自家用車)」の該当する標準金額例:福島~京都 2万8000円福島~山形 1万3000円福島~新潟 1万4000円福島~東京 1万3000円 東京~京都 2万5000円都道府県を越える移動(自家用車以外の手段による移動)は、一人につき、移動1回当たり「標準交通費一覧表(自家用車以外)」の該当する標準金額例:福島~京都 2万6000円 福島~大阪 4万0000円福島~東京 1万4000円東京~京都 1万9000円イ一時立入費用(交通費)1か月当たり1回までで、避難等の指示が解除された後、合理的な期間 まで。1回当たりの金額はアと同額。 (2) 一審被告東電は、上記算定基準に従い、居住制限区域の居住者、旧緊急時避難準備区域の居住者、自主的避難等対象区域の居住者並びに福島県の県南地域(白河市、q 村を含む。)及び宮城県l 町に居住していた妊婦及び子どもに対し、次のような賠償を行ってきた(乙D共23、 急時避難準備区域の居住者、自主的避難等対象区域の居住者並びに福島県の県南地域(白河市、q 村を含む。)及び宮城県l 町に居住していた妊婦及び子どもに対し、次のような賠償を行ってきた(乙D共23、25~28、34~38)。 ア居住制限区域の居住者平成23年3月11日から平成30年3月31日まで一人月額10万円(避難所における生活の期間は月額12万円)イ旧緊急時避難準備区域の居住者平成23年3月11日から平成24年8月31日まで一人月額10万 円(中学生以下は増額)ウ自主的避難等対象区域の居住者子ども及び妊婦平成23年3月11日から同年12月31日まで一人40万円(避難を実行している場合、一人20万円を加算) 平成24年1月1日から同年8月31日まで一人8万円(精神的苦痛のほか、生活費増加費用や移動費用を含む。)その他の者平成23年3月11日から同年4月22日まで一人8万円上記、の賠償対象者(本件事故後出生した者を含む。)に対し、追 加費用等に対する賠償として一人4万円エ県南地域及び宮城県l 町(乙D共35、36)子ども及び妊婦① 平成23年3月11日から同年12月31日まで一人20万円② 平成24年1月1日から同年8月31日まで一人4万円(精神的苦 痛のほか、生活費増加費用や移動費用を含む。) 上記の賠償対象者(本件事故後出生した者を含む。)に対し、追加費用等に対する賠償として一人4万円 3 中間指針第5次追補を踏まえた一審被告東電の追加賠償基準一審被告東電は、令和4年12月20日に中間指針第5次追補が公表されたことを受け、令和5年1月31日、従前の基準を変更し、精神的損害等に関す る賠償基準を公表した。そ 審被告東電の追加賠償基準一審被告東電は、令和4年12月20日に中間指針第5次追補が公表されたことを受け、令和5年1月31日、従前の基準を変更し、精神的損害等に関す る賠償基準を公表した。その概要は次のとおりである(一審原告らに関連する部分の抜粋。乙D504)。 (1) 旧居住制限区域一人1130万円(中間指針第5次追補前 850万円)内訳日常生活阻害慰謝料 850万円(変更なし) (平成30年3月末日までの85か月分)過酷避難慰謝料 30万円(追加)生活基盤変容慰謝料 250万円(追加)(2) 旧緊急時避難準備区域一人230万円(中間指針第5次追補前 180万円) 内訳日常生活阻害慰謝料 180万円(変更なし)生活基盤変容慰謝料 50万円(追加)(3) 自主的避難等対象区域ア子ども及び妊婦以外の者一人20万円(増額改定) (中間指針第5次追補前12万円。自主賠償額4万円を含む。)イ子ども及び妊婦一人72万円(変更なし。自主賠償額4万円を含む。)(4) 避難指示等対象区域(避難区域、緊急時避難準備区域等)内の住民が、平成23年4月23日から同年12月31日までの間に避難等対象区域内又は 自主的避難等対象区域内に避難して滞在した期間の自主的避難等に係る損害 ア子ども及び妊婦以外の者一人20万円(自主賠償額10万円を付加)(中間指針第5次追補前の公表賠償額は追加的費用として4万円)イ子ども及び妊婦一人48万円(変更なし) (5) 福島県県南地域又は宮城県l 町における自主的避難等に (中間指針第5次追補前の公表賠償額は追加的費用として4万円)イ子ども及び妊婦一人48万円(変更なし) (5) 福島県県南地域又は宮城県l 町における自主的避難等に係る損害(中間指針によらない自主賠償)ア子ども及び妊婦以外の者一人10万円(中間指針第5次追補前追加費用4万円を含む。)イ子ども及び妊婦 精神的損害24万円、追加的費用等4万円(変更なし)第2 判断 1 中間指針(第5次までの追補を含む。)及び一審被告東電の算定基準の相当性中間指針は、原賠法18条2項2号に依拠して、法学者及び放射線の専門家等の委員で構成された原賠審において、原子力損害の範囲の判定の指針その他 の当該紛争の当事者による自主的な解決に資する一般的な指針として、多数の被害者への迅速、公平かつ適正な賠償を行うとの見地から、過去の裁判例並びに慰謝料額の基準も踏まえて定められた基準である。そのような基準は、裁判所の判断を拘束するものではないことはいうまでもないが、関連する地方自治体の首長や有識者等の意見を聴取して、上記のような専門家らによって策定さ れた上、これまでの裁判例を踏まえて修正を加えられたものであることを考慮すると、これを踏まえて一定の上乗せをした一審被告東電の賠償基準も含め、その指針には一定の合理性があるといえる。 そして、本件事故と相当因果関係のある損害の発生及び金額は、一審原告らが具体的に主張立証しなければならないが、一審原告らは、本件事故当初の時 期を初め、混乱した状況下において避難、移動をしており、立証に要する資料 が散逸し、厳格な立証は困難となっていることも考えられる。中間指針は、そうした事情があることも考慮しつつ、多数の避難者に共通する損 況下において避難、移動をしており、立証に要する資料 が散逸し、厳格な立証は困難となっていることも考えられる。中間指針は、そうした事情があることも考慮しつつ、多数の避難者に共通する損害の賠償基準を策定したものといえ、一審被告東電も、一定の資料が確認できた場合には、中間指針を踏まえ、あるいはこれを超える賠償を行ってきたのであり、原賠審及び一審被告東電の賠償基準は、極めて多数の避難者らに対する賠償を迅速に 行うという政策的な目的が含まれるとしても、避難者らに対する客観的、合理的な損害賠償という観点からはおおむね妥当であるといえる。 一審原告らは、中間指針(各追補を含む)は、避難者の被害実態を全く調査せずに策定され、その結果賠償基準は極めて低額であるし、区域外避難者に、「過酷避難状況による精神的損害」、「相当量の線量地域に一定期間滞在したこ とによる健康不安に基礎を置く精神的損害」及び「生活基盤喪失・変容による精神的損害」を認めないなど、区域内外に被害実態に見合わない格差を設けた旨主張する。しかし、前記のとおり、中間指針は、地方自治体の首長や有識者等の意見を聴取して定められたものであり、区域に関しても、特に高い空間放射線量が見込まれるため避難指示等により居住や行動が制限された地域とそれ 以外の自主的避難等対象区域を対象とし、それ以外の区域についても実情に応じて賠償の対象とすることとしており、その区分には、多数の被災者に対する賠償を実施するための基準として十分な合理性があるといえる。 本件においても、本件事故による損害の発生及び金額については、一審原告らが具体的に主張立証することを原則とするが、これが困難である場合には、 中間指針や一審被告東電の賠償基準の考え方を弁論の全趣旨として考慮し、損害の発生及び の発生及び金額については、一審原告らが具体的に主張立証することを原則とするが、これが困難である場合には、 中間指針や一審被告東電の賠償基準の考え方を弁論の全趣旨として考慮し、損害の発生及び金額を検討することとする。 2 費目ごとの損害の範囲上記の観点から、避難の相当性、避難継続の相当性が認められる避難に関して、一審原告らに生じた各損害については、おおむね次の範囲で、本件事故と 相当因果関係のある損害と考えるのが相当である(一審原告らの主張する費目 の区分は必ずしも統一的でないが、以下では、一般的と思われる区分により整理した。)。 (1) 避難費用避難が相当であると判断される場合の避難行動そのものにより生じた損害のほか、避難継続の相当性が認められる場合に、その継続が相当と認められ る期間内に生じた損害を含む。 ア避難交通費本件事故による放射線の影響を避けるための避難に要した交通費については、本件事故と相当因果関係がある損害と認める。 その金額については、一審原告らが個別に立証すべきことが原則である が、一審原告らのうち、多くの者は、本件事故と近接した時期において避難を実行しており、その際に、領収証や請求書等の書面を取得、保管できていないこともやむを得ない面がある。 そして、一審被告東電は、迅速かつ十分に賠償を行うため、避難者らから直接請求を受けた際の基準として「補償の具体的な算定基準」(甲D共2 24)を設け、交通費に関しては、「標準交通費一覧表(自家用車)」及び「標準交通費一覧表(自家用車以外)」を定め、現に多数の避難者との間においてこれによる解決が行われていたと認められ、一定の合理性が推認できる。もっとも、これらの一覧表では、たとえば、同一都道府県内の移動は、移動手段 (自家用車以外)」を定め、現に多数の避難者との間においてこれによる解決が行われていたと認められ、一定の合理性が推認できる。もっとも、これらの一覧表では、たとえば、同一都道府県内の移動は、移動手段にかかわらず一人につき移動1回当たり5000円と定めて いるところ、近距離の移動であればそのような多額の費用は要しないし、公共交通機関を利用した場合、未就学児は費用を要さず、小学生も大人の半額程度であることが多いことは顕著な事実である。また、公共交通機関を利用した場合、福島から京都まで2万6000円、福島から大阪まで4万円などと定められているところ、これらの金額もその移動に要する実費 としては相当高額であるといえ、簡易迅速に賠償を行うため、相当程度に 上乗せされた金額が定められているといえる。そうであれば、一審原告らの避難交通費を「標準交通費一覧表」によって算定することが許容されるとしても、その額は、公共交通機関を利用した場合、大人は「標準交通費一覧表(自家用車以外)」に記載された金額に0.8を、子ども(6歳以上12歳未満)は0.4をそれぞれ乗じた額とし、未就学の幼児については 0円とし、自家用車を利用した場合、1台当たり5名まで乗車できる前提で、1台当たり、「標準交通費一覧表(自家用車)」に記載された金額に0. 8を乗じた金額とするのが相当である。 一審原告らは、訴訟により認められる交通費が、直接請求により支払われる標準交通費一覧表による賠償額を下回るのは不当である旨主張する が、前記のとおり、標準交通費一覧表を含む「補償の具体的な算定基準」は、一審被告東電が、簡易迅速に多数の避難者に対して、訴訟外で支払うべき額を提示したものにすぎず、その金額が訴訟においても当然に認められるべきものではない。 イ を含む「補償の具体的な算定基準」は、一審被告東電が、簡易迅速に多数の避難者に対して、訴訟外で支払うべき額を提示したものにすぎず、その金額が訴訟においても当然に認められるべきものではない。 イ移転交通費 避難後に、避難先から更に移転をした場合の移転費については、その移転が単に居住場所を変更するというのにとどまらず、生活の安定のためなど本件事故と相当因果関係があるものであれば、その費用についても損害として認める。その金額は、避難交通費に準ずるものとするのが相当である。 ウ滞在費(宿泊費)避難のために必要であった滞在費(宿泊費)についても、その宿泊が避難のために必要であった場合には、本件事故と相当因果関係がある損害と認める。 エ一時帰宅費用 避難先から避難元へ帰宅するための交通費は、避難に伴い生じるもので あるから、これが本件事故と相当因果関係がある損害であるという余地はある。 もっとも、自主的避難等対象区域内への一時帰宅をするか否かは、専ら避難者の意思に委ねられているところ、避難元における放射線の影響を回避するために避難を実行したという関係上、頻繁な一時帰宅はその避難の 趣旨に反するものとなる。そうであれば、一時帰宅の必要性が認められるのは、一時帰宅がやむを得ないというべき場合に限られるというべきである。避難により空家となった所有不動産を管理するために一時帰宅するような場合には、その必要性が高く、年4回程度の一時帰宅費用は本件事故と相当因果関係がある損害であるということができるが、盆や正月などに 帰省したり、親族らが集まって顔を合わせることを目的とするような一時帰宅は、避難との関係で、その必要性を認めることができず、本件事故と相当因果関係がある損害であるとはいえない 盆や正月などに 帰省したり、親族らが集まって顔を合わせることを目的とするような一時帰宅は、避難との関係で、その必要性を認めることができず、本件事故と相当因果関係がある損害であるとはいえない。 オ面会交流交通費未成熟子とその親との面会交流は、未成熟子の成長のために必要である といえ、避難元から避難することにより、親と別居するに至った未成熟子と親との面会交流に要する交通費は、本件事故と相当因果関係がある損害であるというべきである。 もっとも、面会交流を実施するか否か、その方法、頻度等は、専ら当該親子の意思や同人らの事情によって定まるものであるが、その面会交流が 欠くことができず、一審被告東電が賠償をすべきであるものとして本件事故との相当因果関係が認められるのは、月1回程度とするのが相当である。 そして、その面会交流交通費としては、避難元において生活する別居親が、別居する未成熟子との面会交流を行うために、その避難先を訪問するための交通費として、その実費又は「標準交通費一覧表」記載の金額に0. 8を乗じた金額による往復分を認めるのが相当である。 一審原告らが、特に子どもへの放射線の影響を回避するために避難を実行していることに鑑みると、避難を実行した子どもが別居親の住む避難元に赴いて面会交流を行うことは、その避難の趣旨に反するものであり、そのために要した費用は、本件事故と相当因果関係がある損害であるということができない。 また、未成熟子が祖父母や親族と面会する場合や、成人が親族等と面会するための費用は、未成熟子とその親との面会交流とは法的な意味合いを異にし、これに要した交通費を、本件事故と相当因果関係がある損害であるということはできない。 カ引越費用及び宿泊費等 会するための費用は、未成熟子とその親との面会交流とは法的な意味合いを異にし、これに要した交通費を、本件事故と相当因果関係がある損害であるということはできない。 カ引越費用及び宿泊費等 避難に伴い必要となった引越費用及び宿泊費等については、それが避難のために合理的なものである限り、本件事故と相当因果関係がある損害であるというべきである。 (2) 生活費増加費用ア世帯分離による生活費増加費用 世帯の一部が避難を実行したことにより、世帯分離が生じた場合、水道光熱費等の生活費が増加し、これにより一審原告らに損害が生じていることが推認できる。 その金額については、生活様式や世帯構成等により異なる可能性が高いといえ、避難の前後で、世帯全体に生じた水道光熱費等の額を立証するこ とも、避難の前後の領収証等を対比するなどして不可能ではないとしても、これらの資料を収集整理することは、避難を実行した一審原告らにとって相当困難であるし、その点の立証ができたとしても、そのうち避難により増加した金額を立証することは極めて困難であるといえる。 そうであれば、世帯分離による生活費増加費用については、裁判所が口 頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定するの が相当であるというべきであり、避難者らと一審被告東電とのADR手続での和解契約成立事例等に鑑みると、その金額は、分離した少ない方の世帯が1名の場合は月額2万円とし、1名増えるごとに1万円を増加することとするのが相当である。もっとも、1か月に満たない短期間の避難に関しては、水道光熱費等が増加したとも断じ難く、増加したとしてもさほど の金額とはならないと考えられるため、弁論の全趣旨によってもこれを認めることはできない。 1か月に満たない短期間の避難に関しては、水道光熱費等が増加したとも断じ難く、増加したとしてもさほど の金額とはならないと考えられるため、弁論の全趣旨によってもこれを認めることはできない。 イ家財道具購入費用避難により、避難先で新たな生活を開始するためには、一定の家財道具や生活用品の調達が必要となり、そのために費用を要することは容易に推 認することができ、そのために必要な費用は、本件事故と相当因果関係のある損害ということができる。 家具や家電製品等比較的高額な動産に関しては、領収証等により購入の事実を立証することも可能であると考えられ、その立証がされた場合においては、その額を当該一審原告に生じた損害額であるということができる が、避難を実行した一審原告らにおいて、そのような具体的な立証ができなかった場合であっても、家財道具や生活用品の調達を要したことが明らかである以上、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、一定範囲において、一審原告らに相当な損害額を認定すべきである。 そして、避難により世帯分離が生じ、避難先において新たな生活を開始 する場合には、避難元の家財道具を搬出することはできない場合も多く、その調達費用は高額になると考えられ、避難者らと一審被告東電とのADR手続での和解契約成立事例等に鑑みると、家財道具等購入費用は控えめにみても30万円程度にはなるものと考えられ、30万円を一審原告らの損害と認める。これに対して、世帯全体が避難を実行した場合は、避難元 で使用していた家財道具を搬出して避難先において使用することが想定 できるから、世帯分離を生じる場合ほどの費用は要しないと考えられるが、搬出ができない家財道具や、避難先の状況に応じて新たな家財道具を調達する必要もあり 先において使用することが想定 できるから、世帯分離を生じる場合ほどの費用は要しないと考えられるが、搬出ができない家財道具や、避難先の状況に応じて新たな家財道具を調達する必要もあり、その金額は控えめにみて15万円程度にはなるものと考えられ、15万円を一審原告らの損害と認める。 ウその他の生活費増加費用(賃料、自治会費、学用品購入費等) 避難に伴って支出を要したものについて、個別具体的に検討し、本件事故と相当因果関係がある範囲において損害であると認める。 エ避難雑費一審原告らは、避難を実行したことにより生活状況に変容が生じ、親族や友人らとも離れて避難生活を送ることになったのであり、一審原告らに は、避難元においては不必要又は少額にとどまっていた交通費、通信費、日用品購入費等さまざまな費用の発生、増加が生じたものと推認できる。 これらについても、本件事故と相当因果関係のある損害であるといえ、避難者一人当たり月額1万円を認めるのが相当である。 なお、1か月に満たない短期間の避難に関しては、水道光熱費等と同様、 さほど費用負担が増加したとは断じ難く、これを認めることはできない。 原子力損害賠償紛争解決センターにおける標準的な取扱いにおいては、自主的避難実行者に関しては、平成24年以降について(平成23年分は加算をしない。)、妊婦及び子どもについて月額一人当たり2万円の避難雑費を生活費増加分とすることとされているが(甲D共148・27頁)、そ の期間及び金額の根拠は明確でなく、上記金額を認めるのが相当である。 (3) 就労不能損害及び営業損害ア避難指示により避難を実行した場合、これにより就労や営業をすることができなくなるから、本件事故がなければ得られたであろう収入は損害と認める。 である。 (3) 就労不能損害及び営業損害ア避難指示により避難を実行した場合、これにより就労や営業をすることができなくなるから、本件事故がなければ得られたであろう収入は損害と認める。 イ自主的避難の場合についても、避難の相当性が認められる場合は、避難 によって就労や営業をすることができなくなったことによる損害は、本件事故と相当因果関係があるといえる。 就労不能損害及び営業損害を認めるべき期間は、一般論としては、避難後、当該一審原告が就労し又は就労するのが相当な時期までの期間に、本件事故がなければ得られていた額とし、就労後も従前と同等の収入が得ら れない場合には、一定期間、その差額を損害として考慮することになる。 もっとも、各一審原告らには、その経歴や避難後の就労状況、家族の状況等により、就労可能な状況は異なるから、その損害額については、個別に検討を要する。 (4) 不動産損害及び動産損害 ア不動産損害について一審原告らは、避難指示等の対象区域外である自主的避難等対象区域等にある不動産について、売却を余儀なくされ、損害を被ったなどと主張するが、本件事故によって本件不動産を売却しなければならなくなったとはいえない。また、その売却価格が、本件事故により下落したと認めるに足 りる証拠もない。 イ動産損害について一審原告らは、その所有していた動産類が放射線の影響により使用することができなくなったとか、搬出することができず廃棄せざるを得なくなったなどと主張する。 しかし、これらの動産類が、本件事故による放射線の影響を受けて使用ができなくなるほどの放射線による汚染を受けたとは認め難い。また、避難指示区域等と異なり、一審原告らが動産類を搬出する機会が制限されていた事実 れらの動産類が、本件事故による放射線の影響を受けて使用ができなくなるほどの放射線による汚染を受けたとは認め難い。また、避難指示区域等と異なり、一審原告らが動産類を搬出する機会が制限されていた事実もない。そうであれば、一審原告らに、動産を廃棄したことによる損害が生じているとしても、これを本件事故と相当因果関係がある損害 であるということはできない。 (5) 放射線検査費用等一審原告らの避難元においては、一定程度の空間放射線量が観測されており、その数値が直ちに身体への影響を及ぼすほどのものではなかったとしても、本件事故が未曽有の事故であり、放射線が五感の作用によっても覚知し得ず、気づかないうちに生命身体への影響を及ぼすおそれがあるものである ことに照らせば、身体への放射線の影響を調べるために検査を受けたり、空間放射線量を計測するためにガイガーカウンター等を購入して費用を支出することにも、合理性があるというべきである。したがって、これらの費用についても、必要な範囲において本件事故と相当因果関係がある損害であるといえる。 (6) 精神的損害(慰謝料)ア本件事故により避難を実行した一審原告らのうち、避難の相当性、避難継続の必要性が認められる者については、居住地における平穏な生活を侵害されたといえるから、一審被告東電に対し、その精神的苦痛を慰謝するに足りる慰謝料の支払を求めることができる。その金額は、上記のとおり 一定の合理性が認められる中間指針や一審被告東電の賠償基準等を踏まえた上で算定するのが相当であり、旧居住制限区域の居住者(一審原告1)及び緊急時避難準備区域の居住者(一審原告18)については、後に個別に検討するとおりとするのが相当である。自主的避難等対象区域の居住者については、大人 当であり、旧居住制限区域の居住者(一審原告1)及び緊急時避難準備区域の居住者(一審原告18)については、後に個別に検討するとおりとするのが相当である。自主的避難等対象区域の居住者については、大人は一人当たり30万円、放射線への感受性が高いと考えられ る妊婦及び子どもは一人当たり60万円を基準としつつ、個別の事情によりこれを増減することとするのが相当であり、区域外の居住者については、自主的避難等対象区域の居住者についての慰謝料額を参照しつつ、個別の事情を考慮して算定することとするのが相当である。 イまた、一審原告らの中には、同一世帯の家族は避難したものの、様々な 理由から避難をせず居住地にとどまった者もいる。これらの者については、 避難による慰謝料を認める余地はないが、居住地に滞在を続けることにより、放射線による身体侵襲への不安や恐怖感が継続することとなるから、これらの者にも精神的損害が生じたものと考え、避難者と同等の慰謝料を認めるのが相当である。 ウさらに、一審原告には、避難中に、本件事故に起因した疾病により入通 院を要した者もいたと認められ、これらの本件事故に起因する入通院により被った精神的苦痛についても、本件事故と相当因果関係のある損害であるというべきである。 エ一審原告らのうち、本件事故当時、胎児であった者の胎児であった期間に関する恐怖や不安は、妊婦に対する慰謝料として評価しているといえる から、その期間については別途慰謝料を認めない。 本件事故後避難の実行までの間に出生した者に対する慰謝料額は、出生後の期間に関し、それぞれの居住区域の子どもについて相当と考えられる慰謝料額の半額を相当と認める。 避難の実行後に出生した者については、出生後に放射線に対する恐怖や 不安を抱 謝料額は、出生後の期間に関し、それぞれの居住区域の子どもについて相当と考えられる慰謝料額の半額を相当と認める。 避難の実行後に出生した者については、出生後に放射線に対する恐怖や 不安を抱いたとはいえないし、少なくとも自主的避難等対象区域や区域外からの避難者に関する平成24年1月以降の避難継続の相当性は、主として避難先での生活の安定という点から肯定され、その判断は養育者に委ねられている部分が大きい。そうであれば、避難後に出生した者に、避難元において生活することができたという利益の侵害を観念し得るとしても、 これが本件事故により失われたものと評価することはできない。したがって、避難実行後に出生した者については、慰謝料請求は認められない。 オ一審原告らは、避難による精神的苦痛以外にも、本件事故により地域コミュニティが破壊されたことを理由とする慰謝料の支払を求める。しかし、一審原告らのうち、自主的避難等対象区域及び自主的避難等対象区域外か ら自主的に避難をした者らについては、その地域の多くの住民は避難をす ることなく避難元での生活を継続していたのであり、そもそもコミュニティが侵害されたということはできない。 これに対して、避難指示等対象区域から避難した者(一審原告1、18)については、避難を命じられるなど、その生活圏に重い制限が課せられたことにより、その平穏な生活の侵害の程度は、自主的避難等対象区域等の 居住者らと比してはるかに大きいといえるが、これらの者については、中間指針第5次追補により、生活基盤変容慰謝料として相当額が認められるに至っており、一審原告らが主張するコミュニティ侵害を観念し得るとしても、これらの慰謝料額をもってもなお慰謝されない精神的苦痛を被ったとまではいえない。 基盤変容慰謝料として相当額が認められるに至っており、一審原告らが主張するコミュニティ侵害を観念し得るとしても、これらの慰謝料額をもってもなお慰謝されない精神的苦痛を被ったとまではいえない。 カまた、一審原告らは、一審被告東電には、本件事故の発生を予見し、本件事故の発生を回避することができたのに、結果を回避するような手法を取り入れず、一審被告東電には重過失があったから、一審原告らに対して支払う慰謝料額を増額すべきであると主張する。しかし、前記のとおり、一審被告東電が、本件津波の発生を予見し、これを回避することができた とはいえず、一審原告らが主張するような重過失があったともいえない。 3 弁済の抗弁(1) 弁済の費目について一審被告東電は、一審原告らに対し、直接請求を受け、又はADR手続による和解を経て、一審原告らの損害に対する支払をしており、これを当該一 審原告に生じた損害に、その費目を問わず充当されるべきことを主張し、一審原告らも、ADR手続で成立した和解において損害費目ごとに合意によって確認されたものを除き、支払われた費目を問わず、その賠償金を当該一審原告に生じた損害に充当することを争わない。したがって、一審被告東電が、一審原告らのうち、特定の者に対して支払った金額については、ADRで成 立した和解において費目が定められているものを除き、その費目を問わず、 その者に対する弁済として取り扱う。 これに対して、ADR手続で成立した和解においては、費目及び対象期間を明示して金額が算定され、一部の一審原告らにおいては、当該費目及び期間を超える部分については請求することが妨げられないことなどが定められており、これらの点からも、当該費目の当該期間に関する支払とすることが 合意されて 一部の一審原告らにおいては、当該費目及び期間を超える部分については請求することが妨げられないことなどが定められており、これらの点からも、当該費目の当該期間に関する支払とすることが 合意されていたといえ、その弁済金を他の費目に充当することは想定されていないといえる。 (2) 世帯内の弁済充当についてア一審被告東電は、概要、世帯内のある者に支払われた金額についても、その者が本件訴訟の当事者でない場合、その者に対して支払われた金額は、 同一世帯の本件訴訟の一審原告の損害に充当されるべきであるし、世帯内のある一審原告に支払われた金額がその者に生じた損害額を上回る場合は、その上回る部分については、その者と同一世帯である他の一審原告の損害に充当されるべきである旨主張する。 イしかし、一審被告東電が作成した直接請求の書式においては、世帯の代 表者がその世帯全員分の損害賠償を請求する形式が採られているものの、その請求額は、世帯内の誰が、いくらの支払を求めるのか、その内訳を明らかにすることが求められている。そして、世帯の代表者がまとめて請求をしていたとしても、そのことから、弁済の効果が、世帯の構成員全員に包括的に及ぶことになるものではなく、その効果が帰属するのはその世帯 を構成する個々人であるといわざるを得ない。したがって、直接請求により支払われた賠償金については、請求者個々人の損害に充当されるべきものであり、原則として、これを世帯が共通であるという理由から他の者の損害に充当することはできない。 また、直接請求の手続においては、その支払金に、精神的損害の賠償の ほか、生活費の増加費用や避難による追加的費用等に対する賠償を含める こととされ、妊婦や子どもに対しては最大72万円が支払われているも いては、その支払金に、精神的損害の賠償の ほか、生活費の増加費用や避難による追加的費用等に対する賠償を含める こととされ、妊婦や子どもに対しては最大72万円が支払われているものの、その支払額のうち、いくらが名宛人の固有の損害に対する賠償であり、いくらが上記費用に対する賠償の趣旨であるのかが、具体的に明示されているものでもなく、これらを分割して考えることもできない。 ウ ADR手続におけるその和解金の支払についても、その損害を被った主 体が世帯内の誰であるのか、必ずしも明示、特定されているものではないが、費目や対象期間が明示され、その損害額を積算して賠償額が定められ、精神的損害についても、一定の基準に従って積算されており、世帯構成員の誰に対していくらが支払われたのか理解することが可能なものもある。 そうであれば、ADRに基づく支払額についても、避難交通費等の費用 に関してはこれらを現実に負担していた者に、就労不能損害に関しては現実に就労ができず収入を失った者に、それぞれ支払われたものと解すべきであり、精神的損害に関しても、その積算根拠に応じて、個々人に対する支払がされたものであると理解するのが相当であり、結果として、特定の者に対する支払額が、裁判所の損害認定額を超えた場合であっても、その 超過部分を世帯内の他の者に生じた損害に充当することはできないというべきである。 (3) 胎児に関する弁済金の取扱いについて本件事故当時及び避難時に胎児であった者については、慰謝料を認めることができない。一審被告東電は、直接請求の手続において、胎児に関しても 賠償金を支払ったこともあったと認められるが、その支払額は、あくまで、その後に出生した胎児であった者への弁済であるといえ、同一世帯の他の者に対す 電は、直接請求の手続において、胎児に関しても 賠償金を支払ったこともあったと認められるが、その支払額は、あくまで、その後に出生した胎児であった者への弁済であるといえ、同一世帯の他の者に対する弁済であると考えることはできない。 (4) 遅延損害金への充当指定について一審原告らのうち、中間指針第5次追補等を踏まえた追加賠償金を受領し ている者は、これを本件訴訟において賠償を求めている損害に関する遅延損 害金に先に充当すべきである旨主張する。しかし、中間指針第5次追補に基づく一審被告東電への賠償金の請求は、「自主的避難等に係る賠償金ご請求書」を提出するか、所定の様式のウェブページからその支払を請求することとされているところ、これらには、本件事故時点における生活の本拠が自主的避難等対象区域にあった者のうち、自主的避難等対象区域外に自主的に避 難又は自主的避難等対象区域に滞在した者における精神的損害等に係る損害に対する賠償として支払うものであるとされており、これが損害金元金に対するものとして支払われる趣旨であることは明示されていたといえ、一審原告らと一審被告東電との間では、支払われる賠償金が損害金元金に充当されるものであることが合意されていたといえる。 第9節一審原告らの個別的損害便宜上、各一審原告に関する弁済の抗弁についても併せて判示する。 1 一審原告1(1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅の経過及びADR手続における和解については、原判決232頁6行目から233頁11行目までに記載のとおり であるから、これを引用する。 (2) 損害額ア概要一審原告1は、旧居住制限区域に居住しており、政府の避難指示による避難を実施しているものであるから、その避難に基 とおり であるから、これを引用する。 (2) 損害額ア概要一審原告1は、旧居住制限区域に居住しており、政府の避難指示による避難を実施しているものであるから、その避難に基づく損害を、本件事故 と相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、下記及び別紙損害額等一覧表の原告番号1記載のとおりである。 イ避難費用 交通費・滞在費京都市への避難、京都市内における移転に要した費用は、本件事故と 相当因果関係のある損害と認められ、交通費は別紙避難経路等一覧表の 原告番号1のとおり5万4890円となり、その他滞在費合計40万1650円(火災保険料7120円(甲D1の8の5・6)を含む。)を要したものと認める。 一時帰宅費用避難指示等の区域から家財道具を持ち出すため、平成27年3月15 日から同月17日までの間の一時帰宅に要した費用として、別紙避難経路等一覧表の原告番号1記載のとおり一時帰宅交通費(航空運賃)に2万9100円を要し、他にも、宿泊費用等に4万4240円、燃料費に3488円、宅配便費用に3688円、一時帰宅のための放射線防護服等の購入費用に1万5586円をそれぞれ支出したことが認められる (甲D1の3の1~7)。一時帰宅交通費及びそれに関する諸費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められるから、別紙損害額等一覧表の原告番号1のとおり、合計9万6102円を本件事故による損害と認める。そして、その頃までに、一審原告1の生活をもって、避難生活ではなくなったと評価すべき事情は見当たらないし、必要最小限の物品 を持ち出すための帰宅も一時帰宅として相当性を欠くものではない。 ウ生活費増加 に、一審原告1の生活をもって、避難生活ではなくなったと評価すべき事情は見当たらないし、必要最小限の物品 を持ち出すための帰宅も一時帰宅として相当性を欠くものではない。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用避難指示により自宅から退去せざるを得なかったため、家財道具一式の価値を喪失し、そのために要した家財道具購入費用は、本件事故と相 当因果関係のある損害と認められ、かかる損害額は245万円と認める(なお、防護服等の購入費用1万5586円(甲D1の3の1の6)は、一時帰宅費用に含む。)。 生活費増加費用避難により増加した生活費は、本件事故と相当因果関係のある損害と 認められ、かかる損害額は合計41万0197円と認める。 エ就労不能損害 給与a 一審原告1の平成22年における収入は1049万3400円であったと認められる。 また、一審原告1は、避難後の平成24年12月25日から平成2 5年3月31日まで月額15万5000円の収入(賞与なし)を得ていたこと、平成25年4月1日から平成26年3月31日まで月額26万8500円の収入(賞与なし)を得ていたこと、平成26年4月1日から平成27年3月31日まで月額21万8000円の収入(賞与なし)を得ていたこと、平成27年4月1日から同年9月30日ま で月額12万円の収入(賞与なし)を得ていたこと、平成27年10月1日から平成28年3月31日まで月額15万5000円の収入(賞与なし)を得ていたことが認められる(甲D1の4の1、1の4の3の1~6)。 b 一審原告1は、本件事故当時の年齢が55歳であり、本件事故後に 失職し、従前と同程度の収 の収入(賞与なし)を得ていたことが認められる(甲D1の4の1、1の4の3の1~6)。 b 一審原告1は、本件事故当時の年齢が55歳であり、本件事故後に 失職し、従前と同程度の収入を得ることは困難であるといえ、少なくとも一審原告1が請求する平成27年8月31日までについて、本件事故がなければ得られたであろう収入と新たに得た収入との差額は、本件事故と相当因果関係のある損害と認めることができる。そして、一審原告1は、本件事故後も平成23年3月までは従前どおりの給与 額を受領しているから同月については損害がないといえるが、同年4月から平成24年9月までは1574万0100円(1049万3400円÷12×18)を、平成24年10月1日から平成26年6月30日までは1836万3450円(1049万3400円÷12×21)を相当な損害と認める(この期間に関しては、ADR手続におい て一審原告1の新たな収入は控除せずに支払が合意されている。)。ま た、平成26年7月1日から平成27年8月31日までは、本件事故がなければ得られたであろう収入1224万2300円(1049万3400円÷12×14)から、一審原告1が同期間に得た収入256万2000円(21万8000円×9+12万円×5)を差し引いた、968万0300円を損害と認める。 一審被告東電は、再就職に必要と考えられる期間の賃金相当額のみを損害とすべきである旨主張するが、上記のとおり、一審原告1は、その年齢等に照らし再就職をしても従前と同等の収入を得られる見込みは乏しく、現に再就職後も収入も低額にとどまっているから、少なくとも平成27年8月31日までは従前の収入を基礎とし、平成26 年7月以降は、その金額から現に得た収入額を控除した額 られる見込みは乏しく、現に再就職後も収入も低額にとどまっているから、少なくとも平成27年8月31日までは従前の収入を基礎とし、平成26 年7月以降は、その金額から現に得た収入額を控除した額を就労不能損害額とするのが相当である。 また、一審原告1は、一審原告1が特別の努力により得た収入を、就労不能損害から控除すべきでない旨主張するが、避難先での就労に避難元での就労とは異なる労苦があることを考慮しても、一審原告1 が現に収入を得ている以上、少なくとも平成26年7月以降に関しては、その収入額を就労不能損害から控除すべきであり、これを控除することが不当であると解すべき特段の事情もない。 退職金差額a 一審原告1は、平成14年4月から研究開発の仕事に就いており、 その基本給が38万9400円であり、満60歳で定年を迎えていた場合、勤続が13年となり、506万2200円の退職金が支給される予定であった(甲D1の4の2)。しかし、本件事故によって、勤続9年の時点で解雇され、退職金は350万4600円であったのであるから(甲D1の1、弁論の全趣旨)、差額の155万7600円から 中間利息(4年間、年5分。ライプニッツ係数0.8227)を控除 した128万1438円(1円未満四捨五入)は、本件事故のために生じた一審原告1の損害である。一審原告1が定年退職までの間に退職する理由は特段認められず、退職する蓋然性は低いから、上記の退職金差額は本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。 b したがって、退職金差額として合計128万1438円を損害と認 める。 オ放射線検査費用・診断書取得費用放射線検査及び診断書取得に要した費用は、本件事故と相当因果 b したがって、退職金差額として合計128万1438円を損害と認 める。 オ放射線検査費用・診断書取得費用放射線検査及び診断書取得に要した費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、かかる損害額は放射線検査費用1万0500円、診断書取得費用4500円と認める。 カ精神的損害(慰謝料) 入通院慰謝料一審原告1は、本件事故によりうつ病を発症して通院したことが認められ、当該通院による慰謝料は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。かかる損害額は、その通院実日数等に照らし、平成23年 3月11日から平成26年6月30日までは161万4666円を相当な損害と認める。 また、一審原告1は、平成26年7月1日から平成27年8月31日まで、服薬治療を継続していたとしても、実通院日数は8日間にとどまっているから(甲D1の7の4、1の7の5)、25万2000円を通院 慰謝料として相当と認める。 精神的損害(避難・コミュニティ侵害)一審原告1は、政府の避難指示による避難を実施しており、本件事故による恐怖及び不安並びに長期間自宅を離れて避難生活を余儀なくされた苦痛への慰謝料として、月額10万円を基本として、平成23年3月 11日~平成24年9月30日について193万円、平成24年10月 1日~平成26年6月30日について210万円、平成26年7月1日~平成27年8月31日について140万円として、合計543万円を一審原告1の請求する平成27年8月31日までの慰謝料として認める。 また、これに加えて中間指針第5次追補に鑑み、過酷避難状況による慰謝料として30万円、避難指示により、周囲を含めて長期間にわたり避 一審原告1の請求する平成27年8月31日までの慰謝料として認める。 また、これに加えて中間指針第5次追補に鑑み、過酷避難状況による慰謝料として30万円、避難指示により、周囲を含めて長期間にわたり避 難元に帰還することができなかったことにより生活の基盤が変容したことを理由とする生活基盤変容慰謝料として250万円を加える。以上の合計額は823万円となる。 一審原告1に、コミュニティの侵害を理由として、上記慰謝料額を更に増額しなければならないほどの精神的苦痛が生じたと認めるに足りる 証拠はない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、ADR手続において、一審原告1に合計4655万0586円を支払っている。上記金額には、一審被告東電が通院交通費名目で支払った5万5120円が含まれているところ(甲D1の8の1)、一審原告1 はこれを本件訴訟では明示的に請求していないから、その支払についても既払金から除くのが相当である。したがって既払金のうち4649万5466円を損害額に充当する。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、256万4765円(120万9433円とADR手続分 70万8317円及び64万7015円の合計額)を相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号1の認容額欄記載のとおりである。 2 一審原告2 (1) 世帯の概要、避難の経緯及び面会・一時帰宅の経過については、原判決2 37頁13行目から238頁6行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害額ア概要一審原告2-1・3・4の大阪府への避難は相当であるところ、それに 伴う損害のうち、大阪府へ避難した日を含む月である平 あるから、これを引用する。 (2) 損害額ア概要一審原告2-1・3・4の大阪府への避難は相当であるところ、それに 伴う損害のうち、大阪府へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月までの2年間に生じた損害を、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。これに対して、一審原告2-2が平成25年4月にした京都市への移動は、本件事故と相当因果関係が認められない。 当裁判所が認定した損害額の詳細は、下記及び別紙損害額等一覧表の原 告番号2のとおりである。 イ避難費用 避難交通費一審原告2-1・3・4による福島県郡山市から大阪府への避難に要した費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。また、 大阪府から京都市への移転も、親族方から転居し、生活を安定させるためにしたものであって、その費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。これらの金額は、標準交通費一覧表(自家用車以外)の額を修正し、別紙避難経路等一覧表の原告番号2のとおり、合計7万3600円と認めるのが相当であり、これは一審原告2-2に生じた損 害と認められる。 一審原告2は、交通費の算定は、標準交通費一覧表記載の額を修正すべきでない旨主張するが、標準交通費一覧表は、一審被告東電が、訴訟外において避難者らが避難に要した費用を簡易迅速に概算額で計算するために作成したものであって、これによって算定される金額を、一審原 告の交通費額と認定することはできない。そして、一審原告2において、 避難に要した交通費の額を具体的に立証しない以上、その金額は控えめな額とせざるを得ず、標準交通費一覧表記載の金額を基礎としてその8割相当額とするのが合理的である。したがっ おいて、 避難に要した交通費の額を具体的に立証しない以上、その金額は控えめな額とせざるを得ず、標準交通費一覧表記載の金額を基礎としてその8割相当額とするのが合理的である。したがって、一審原告2の上記主張は採用することができない。 一時帰宅費用 平成25年4月までの間、一審原告2-1・3・4と2-2は別居しており、世帯分離が生じていたのであるから、父である2-2が子である2-3・4と面会するため、大阪府を訪れるのに要した費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。そして、一審原告2-2は、平成24年1月及び同年6月に大阪府を訪れたと認められる(なお、 平成25年4月に要した交通費は、避難期間経過後に生じたものであって相当因果関係がある損害とはいえない。)。したがって、その損害額は、標準交通費一覧表(自家用車)の額を修正し、別紙避難経路等一覧表の原告番号2のとおり、合計10万8800円と認めるのが相当である。 その余の一時帰宅費用については、下記避難雑費に含まれる額を超えて、 本件事故と相当因果関係があるとはいえない。 避難雑費一審原告2-1・3・4の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じており、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。そして、平成23年3月から平 成25年2月28日までの間、1か月当たり1名につき1万円を限度として、損害と認めるのが相当であり、その合計72万円について2-2に生じた損害と認める。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用 一審原告2-1・3・4が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、 本件事故と相当因果 損害と認める。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用 一審原告2-1・3・4が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、 本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、前記のとおり、避難に伴い世帯分離が生じていたから、家財道具購入費用は30万円とし、これを2-2に生じた損害と認める。 一審被告東電は、どの時点で、誰がいかなる理由で支出したのか証拠がない旨主張するが、避難に伴い相当額の家財道具購入費用が生じるこ とは明らかであって、その子細な内容については不明であっても、転居の時期におおむね30万円程度は要するといえる。そして、一審原告2世帯の収入状況に照らせば、支出したのは一審原告2-2と推認することができる。 生活費増加費用 前記のとおり、平成25年4月までの間、世帯分離が生じており、その間の水道光熱費等が二重に要したと認められる。したがって、世帯分離による生活費増加費用として、世帯分離していた平成23年3月から避難の相当性が認められる平成25年2月28日までの間、1か月当たり2万円(合計48万円)を認め、これを一審原告2-2に生じた損害 と認める。 エ活動費一審原告2-1の活動費は、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。一審原告2は、本件訴訟の複雑困難性を主張するが、一審原告らには、別途弁護士費用相当額の賠償が認められることに照らしても、 一審原告2-1の活動費を損害として考慮することはできない。 オ不動産売却損一審原告2-1・2は、自宅売却により損害を被った旨主張するが、売却によって損害が生じたことを認めるに足りる証拠はない。また、仮に、一審原告2-1・ できない。 オ不動産売却損一審原告2-1・2は、自宅売却により損害を被った旨主張するが、売却によって損害が生じたことを認めるに足りる証拠はない。また、仮に、一審原告2-1・2が自宅を安価で売却し、差損を生じていたとしても、 その売却は、本件事故と相当因果関係があるとはいえない2-2の京都市 への避難に伴うものであって、その差損が本件事故と相当因果関係がある損害であるということはできない。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告2-1~4は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、2-1・ 2は各30万円、2-3・4は各60万円が相当である。 一審原告2-1~4は、精神的苦痛の甚大さを主張するが、本件事故による放射線の空間線量は、直ちに住民らの健康に影響を及ぼすようなものであったとはいえず、その精神的苦痛を慰謝するに足りる金額としては、中間指針第5次追補による金額及び一審被告東電の賠償基準額をもって 相当とする。一審原告2-3・4は体調の不良を訴えるが、これが本件事故と相当因果関係があると認めるに足りる証拠はない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求の手続により、一審原告2-1・2に各12万円、2-3・4に各72万円を支払っていることが認められる(乙D2の4、 弁論の全趣旨)。これらをそれぞれの損害額(ただし、2-3・4は各60万円の限度。)に充当するのが相当である。 そうすると、別紙損害額等一覧表の原告番号2の既払額欄記載のとおりとなる。 (4) 弁護士費用 弁護士費用は、一審原告2-1につき1万8000円を、2-2につき18万6240円をそれぞれ相当と認め 害額等一覧表の原告番号2の既払額欄記載のとおりとなる。 (4) 弁護士費用 弁護士費用は、一審原告2-1につき1万8000円を、2-2につき18万6240円をそれぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号2の認容額欄記載のとおりである。 3 一審原告3 (1) 世帯の概要、避難の経緯、面会・一時帰宅の経過及びADR手続における和解に関しては、原判決241頁9行目~242頁20行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告3-1・2の京都市への避難は相当であるところ、それに伴う損害のうち、京都市へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、下記及び別紙損害額等一覧表の原告番号3のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではな いにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D3の8の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費・宿泊費a 一審原告3-1・2の京都市への避難に要した交通費は、本件事故 と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号3のとおり、かかる損害額は2万2340円と認めるのが相当であり、これは3-2に生じた損害と認める。 b 一審原告3-1・2の京都市への避難の際に要した宿泊費用は、本件事故と相当因果関係のある損害であるといえ、その損害額は2万3 500円とし、3-2に生じた損害と認める。 c 上記合計4万5840円を避 ・2の京都市への避難の際に要した宿泊費用は、本件事故と相当因果関係のある損害であるといえ、その損害額は2万3 500円とし、3-2に生じた損害と認める。 c 上記合計4万5840円を避難費用(交通費・宿泊費)として、一審原告3-2に生じた損害と認める。 引越費用・一時帰宅費用a 一審原告3-1・2の京都市への避難の際に要した引越費用は、本 件事故と相当因果関係のある損害と認められ、かかる損害額は1万7 320円であり、これは3-2に生じた損害と認める。 b 一審原告3-1が一時帰宅に要した費用のうち、別紙避難経路等一覧表の原告番号3のとおり、6万8766円を本件事故と相当因果関係のある損害とし、これを3-2に生じた損害と認める。その余の一時帰宅費用については、避難雑費に含まれる額を超えて損害が生じた とは認められない。また、避難から2年を超えて一時帰宅費用を認めるべき根拠もない。 c 合計8万6086円を引越費用・一時帰宅費用として、一審原告3-2に生じた損害と認める。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告3-1・2が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、避難後、平成23年8月から、一審原告3-1・2と一審原告5が別居し、世帯が分離して生活していたことを踏まえると、一審原告5と合わせて30万円を認めるべ きであり、そのうち10万円を3-2に生じた損害と認める。 生活費増加費用(食費増加)一審原告3-1・2が避難生活の際に要した自家消費野菜分の生活費増加は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。かかる損害額は3万2500円とし、3-2に生じた損害と 食費増加)一審原告3-1・2が避難生活の際に要した自家消費野菜分の生活費増加は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。かかる損害額は3万2500円とし、3-2に生じた損害と認める。 一審原告3-1の母である一審原告5と世帯が分離することによる食費を含む生活費の増加については、一審原告5において考慮する。 生活費増加費用(駐車場代)一審原告3-1・2が避難生活の際に要した駐車場代は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その損害額は月額7000円で あり、平成23年8月31日までが5万3000円、同年9月1日から 平成25年2月(避難から2年)までが12万6000円(合計17万9000円)となり、これは3-2に生じた損害と認める。その余の費用については、下記避難雑費に含まれる額を超えて、損害が生じたとは認めるに足りる証拠はない。 生活費増加費用(ガイガーカウンター購入) 本件事故により支出したガイガーカウンター購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、かかる損害額は2万9120円と認めるのが相当であり、これは一審原告3-2に生じた損害と認める。 エ動産損害一審原告3-1・2は、自宅にある家財道具が、放射性物質による汚染 により使いものにならなくなったとして、損害を被った旨主張するが、そのような汚染により、家財道具の価値が減少又は喪失したと認めるに足りる証拠はない。そうであれば、家財道具購入費用として10万円を超える損害が生じたとはいえない。 オ就労不能損害 一審原告3-1について本件事故前の収入は、27万5298円(平成23年1月分)及び2 として10万円を超える損害が生じたとはいえない。 オ就労不能損害 一審原告3-1について本件事故前の収入は、27万5298円(平成23年1月分)及び26万9249円(平成23年2月分)であったこと、非常勤職員であり、雇用期間が平成23年3月31日までと定められていたが、その後の契約更新が予定されていたこと、同年5月から平成27年3月まで避難先 で就労していたことが認められる(甲D3の1の1、3の4の1)。 そして、平成23年3月16日から同年4月30日までの間については、本件事故による避難を実行したために就労できなかったものと認められるが、それ以降については、特段、賃金の減少等を認めるに足りる証拠はない。そうであれば、平成23年3月16日から同年4月30日 までの就労不能損害として、41万7526円を認めるのが相当である。 一審原告3-1は、避難先での就労には厳しい精神的負担を伴っていたなどと主張するが、現に避難前と同程度の収入が得られており、就労するのが特に過酷な環境にあったともいえないのであって、平成23年5月以降については、就労不能損害が生じたとはいえない。 一審原告3-2について 本件事故前の収入は、36万9089円(平成23年1月から同年3月17日まで。1日当たり4856円)であったこと、平成23年5月に避難先で就職し、その後も転職を繰り返しながらも稼働を続けていたものの、平成24年7月から平成25年3月までは失業していたことが認められる(甲D3の1の1、3の4の2)。 平成23年3月18日から同年4月までの間については、本件事故による避難を実行したため就労できなかったものと認められ、その期間の就労不能損 とが認められる(甲D3の1の1、3の4の2)。 平成23年3月18日から同年4月までの間については、本件事故による避難を実行したため就労できなかったものと認められ、その期間の就労不能損害として36万9090円を認めるのが相当である。また、平成24年7月以降の失業についても、避難先での就業であったことや一審原告3-2の年齢に照らせば、就業しなかったことが不合理である とはいえず、平成24年7月から平成25年2月までの就労不能損害として118万0008円(基礎収入日額4856円×243日)を認めるのが相当である。以上の合計は、合計154万9098円である。 カ避難雑費一審原告3-1・2の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難 いさまざまな支出が生じていたことが推認でき、これらは本件事故と相当因果関係があると認められる。したがって、平成23年3月から平成25年2月28日までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度において損害と認め、その合計額48万円を3-2に生じた損害と認める。 キ精神的損害(慰謝料) 一審原告3-1・2は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事 故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、各30万円を認める。 一審原告3-1・2は、代えがたい故郷が放射線によって汚染されたこと自体が耐え難い苦痛である、3-1の高齢の両親を避難させることに苦悩したなどとして、上記慰謝料額が低額に過ぎる旨主張するが、その居住 地は自主的避難等対象区域であり、避難を命じられたものでもなく、一審原告3-1・2が指摘するような各事情を考慮しても、上記慰謝料額を増額すべきであるとまではいえない。 一審原告3-1は、先天的に 的避難等対象区域であり、避難を命じられたものでもなく、一審原告3-1・2が指摘するような各事情を考慮しても、上記慰謝料額を増額すべきであるとまではいえない。 一審原告3-1は、先天的に白血球の量が少なく、放射線に対する健康上の不安を強く感じていたなどと主張するが、これが健康上特段の留意を 必要とするようなものであったとまではいえず、この点についても慰謝料額を増額すべき事情とはいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、ADR手続における和解に基づいて、①一審原告3-1・2に136万8779円、②一審原告3-1・2及び一審原告5に145万 9599円(うち8万円を控除し、実際には137万9599円)をそれぞれ支払っていることが認められる(争いがない。)。これら既払金から、3-1に上記①のうちの49万7526円(就労不能損害分41万7526円、精神的損害・追加賠償分計8万円の合計)を、3-2に上記①の残金87万1253円を、それぞれの損害に充当するのが相当である(②については一 審原告5に対する弁済と考える。)。 したがって、別紙損害額等一覧表の原告番号3の既払額欄記載のとおり、各原告に生じた損害額に充当する。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告3-1につき2万2000円、3-2につき23 万2906円(19万3039円とADR手続分3万9867円の合計額) を相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号3の認容額欄記載のとおりである。 4 一審原告4 (1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅の経過及びADR手続における和解については、原判決247頁4行目から248頁2行目までに記 号3の認容額欄記載のとおりである。 4 一審原告4 (1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅の経過及びADR手続における和解については、原判決247頁4行目から248頁2行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告4-1・2の京都市への避難は相当であり、京都市へ避難した日を含む月である平成23年7月から平成25年6月30日までの2年間に生じた損害を本件事故と相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、下記及び別紙損害額等一覧表の原告番号4記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわら ず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D4の8)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費(引越費用を含む)a 避難交通費 京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害といえ、別紙避難経路等一覧表の原告番号4記載のとおり、その損害額は4万3200円とし、一審原告4-2に生じた損害と認める。 b 引越費用京都市への避難の際に要した引越費用は、本件事故と相当因果関係 のある損害と認められ、その損害額は5万5600円とし、一審原告 4-2に生じた損害と認める。 c したがって、引越費用を含む交通費として、合計9万8800円を一審原告4-2に生じた損害と認める。 一時帰宅費用一審原告4-1・2が一時帰宅に要した費用のうち、別紙避難経路等 一覧表原告番号4記載のとおり、16万6400円の限度で、本件事故と相当因果関係のある損害とし、4-2に生じた損害と認める。その余 一審原告4-1・2が一時帰宅に要した費用のうち、別紙避難経路等 一覧表原告番号4記載のとおり、16万6400円の限度で、本件事故と相当因果関係のある損害とし、4-2に生じた損害と認める。その余の一時帰宅費用については、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害といえる。そして、世帯全体で避難したことを踏まえると、その損害額は15万円とし、一審原告4-2に生じた損害と認める。 避難雑費 一審原告4-1・2の避難に伴い、帰省費用の増加等、さまざまな支出が生じており、これらは本件事故と相当因果関係があると認められるから、避難していた平成23年7月から平成25年6月30日までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度において、損害と認めるのが相当である。避難雑費合計48万円について、一審原告4-2に生じた損害 と認める。 エ就労不能損害 一審原告4-1について本件事故当時、歯科助手として働いており、平成23年1月から6月までに97万9700円(月額16万3283円)の収入があったが、 避難時に退職したこと、同年9月から平成24年3月までは避難先にて 契約社員として就労していたこと、同年4月頃に妊娠していることが判明し、それ以降就労していないことが認められる(甲D4の1、4の4の2)。 避難先において就労していた間は、避難以前と比して収入が減少したと認めるに足りる証拠はなく、平成24年4月以降の就労不能は、妊娠、 出産及び子の養育のためであると考えられ、本件事故と相当因果関係 避難先において就労していた間は、避難以前と比して収入が減少したと認めるに足りる証拠はなく、平成24年4月以降の就労不能は、妊娠、 出産及び子の養育のためであると考えられ、本件事故と相当因果関係があるとは認められない。しかし、平成23年7月から同年8月までの間は、避難に伴い就労が困難となっていたものと認められるから、避難前の基礎収入(月額16万3283円)を基準として、合計32万6566円(=16万3283円×2か月)の就労不能損害を認める。 一審原告4-1は、避難後、慣れない環境下で精神的負担を伴いながら稼働したのであるから、その収入を就労不能損害から控除すべきでない旨主張するが、4-1が現に稼働して収入を得ている以上、その収入額は就労不能損害から控除すべきであり、これを控除することが不当であると解すべき特段の事情もない。また、平成24年4月以降の不就労 についても、実家からの支援が受けられないため就労を断念した旨主張するが、長男の出生(平成24年11月19日)よりも相当早期に退職するに至っていることを考慮すると、実家の支援が得られないために退職したとは認め難い。 一審原告4-2について 本件事故当時、福島市の所有する施設の管理等を行う会社に勤めており、平成23年1月から7月までに251万4822円(月額35万9260円)の収入があったが、避難時に退職したこと、平成23年9月から平成24年3月までは避難先にて契約社員として就労していたこと、職業訓練にも通い、平成25年6月から再就職したことが認められる(甲 D4の1、4の4の1)。 避難後から平成24年1月31日までの間については、本件事故による避難に伴い、就労困難又は転職のため合計107万57 就職したことが認められる(甲 D4の1、4の4の1)。 避難後から平成24年1月31日までの間については、本件事故による避難に伴い、就労困難又は転職のため合計107万5740円(89万6450円+17万9290円)の損害が生じたと認める。また、平成24年4月から平成25年5月31日までの間は、避難に伴い就労していないが、年齢等や土地勘のない避難先での就労であり、避難元での 就労とは異なる労苦があることを考慮しても、不就労期間の不就労全てが本件事故と相当性があるとは認められない。そこで、避難前の基礎収入(月額35万9260円)を基準として、半年間は不就労分全額、その後は不就労分半額について相当性があると認め、359万2600円(=35万9260円×6+35万9260円÷2×8)の就労不能損 害を認める。 以上によれば、就労不能損害は、合計466万8340円となる。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告4-1・2は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、各30万 円が相当である。 一審原告4-1・2は、避難先で労苦や福島市での生活の喪失等を指摘し、上記慰謝料額が低額に過ぎる旨主張するが、自主的避難等対象区域である福島市の居住者であって、避難を命じられたものでもなく、4-1・2が指摘するような各事情を考慮しても、上記慰謝料額を増額すべきであ るとまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告4-1・2に対して、ADR手続において、221万5468円を支払っているところ(争いがない。)、その合計額から、4-1に12万円、4-2に209万5468円を、その損害額に充当する のが 告4-1・2に対して、ADR手続において、221万5468円を支払っているところ(争いがない。)、その合計額から、4-1に12万円、4-2に209万5468円を、その損害額に充当する のが相当である。 したがって、別紙損害額等一覧表の原告番号4の既払額欄記載のとおり、各原告に生じた損害額に充当する。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告4-1につき5万0657円、4-2につき44万1335円(37万6807円とADR手続分6万4528円の合計額) と認めるのが相当である。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号4の認容額欄記載のとおりである。 5 一審原告5 (1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅の経過及びADR手続における和解については、原判決251頁14行目から252頁12行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告5の京都市への避難は相当であり、京都市へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を本件事故と相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、下記及び別紙損害額等一覧表の原告番号5記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠 の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D5の8)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費・宿泊費京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損 害と認められる。そして、別紙避難経路等一覧表の原告番号5記載のと おり、かかる 交通費・宿泊費京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損 害と認められる。そして、別紙避難経路等一覧表の原告番号5記載のと おり、かかる損害額は、避難に際して要した宿泊費も含めて5万9030円と認める。 引越関連・一時立入費用一審原告5は、兄の葬儀に参列するなどの目的で一時帰宅をした等主張するが、その時期は避難から2年を経過した後である平成25年11 月以降である。また、冠婚葬祭目的での帰還は、避難がなければ本来支出しなければならなかった額よりも増額したであろう事情を踏まえても、避難雑費に含めて損害として認めるのが相当であるから、下記避難雑費に含まれる額を超えて、損害が生じたとは認められない。 引越関連費用についても、損害が生じたとは認めるに足りる証拠はな い。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。一審原告5は、平成23年3月に一審原告3 -1・2とともに避難したが、同年8月からは一審原告3-1・2と別居しており、世帯が分離して生活することになったことを踏まえれば、家財道具購入費用として、3-1・2と合わせて30万円とし、一審原告5にかかる損害額は20万円と認めるのが相当である。 生活費増加費用(食費増加) 避難生活の際に要した自家消費野菜を補うために支出した費用は、本件事故と相当因果関係のある損害といえ、かかる損害額は16万5750円と認める。 生活費増加費用(二重生活)前記のとおり、一審原告5は、避難後、平成23年8月から3-1・ 2と 果関係のある損害といえ、かかる損害額は16万5750円と認める。 生活費増加費用(二重生活)前記のとおり、一審原告5は、避難後、平成23年8月から3-1・ 2との間で世帯分離が生じ、水道光熱費等の生活費が増加したものと認 められ、当該費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。 かかる損害額は62万円と認める。 生活費増加費用(漏水損害、ヘルパー代)避難生活の際に要した、漏水損害及びヘルパー代金の生活費増加は、本件事故と相当因果関係のある損害といえ、かかる損害額は13万23 06円と認める。 エ動産損害一審原告5は、自宅にある家財道具が、放射性物質による汚染により使いものにならなくなったとして、損害を被った旨主張するが、そのような汚染により、家財道具の価値が減少又は喪失したと認めるに足りる証拠は ない。 オ避難雑費一審原告5の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じており、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。避難期間である平成23年3月から平成25年2月 28日までの間、1か月当たり1万円の限度において、損害と認めるのが相当である(合計24万円)。 一審被告東電は、避難雑費の内容は、家財道具購入費用や生活費増加と重複する旨主張するが、避難に伴い、避難者らには、個別の支出には必ずしも包含されない一定の支出の増加があることは明らかであるから、これ らの支出の増加を、避難雑費として一括して評価するのが相当である。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告5は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避 らの支出の増加を、避難雑費として一括して評価するのが相当である。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告5は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として30万円が相当である。 一審原告5は、認知症となった夫の介護を要する状態となったことや8 0年以上生活してきたが福島のコミュニティが破壊されたことなどを指摘する。しかし、一審原告5の夫の認知症が本件事故と相当因果関係があったとはいえないし、一審原告5は、自主的避難等対象区域である福島県郡山市の居住者であって、避難を命じられたものでもなく、その他一審原告5が指摘するような各事情を考慮しても、上記慰謝料額を増額すべきで あるとまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告5に、直接請求により12万円を支払い、また、一審原告5及び一審原告3-1・2に、ADR手続において合計145万9599円(うち8万円は既払として控除され、137万9599円)を支払 っている(争いがない。)。このうち、上記137万9599円は、その支払の内容からして、全て一審原告5への支払とみることができるから、上記12万円を加えた合計149万9599円を、一審原告5に生じた損害額に充当する(4) 弁護士費用 弁護士費用は6万4262円(2万1749円とADR手続分4万2513円の合計額)を相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号5の認容額欄記載のとおりである。 6 一審原告6(1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅の経過及びADR手続における和解については、原判決255頁4行目から256 等一覧表の原告番号5の認容額欄記載のとおりである。 6 一審原告6(1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅の経過及びADR手続における和解については、原判決255頁4行目から256頁6行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要 一審原告6-1・2の避難は相当であるところ、避難を開始した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、下記及び別紙損害額等一覧表の原告番号6記載のとおりである。 なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のな い損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D6の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費埼玉県への避難交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認め られる。また、埼玉県内における移転は、避難当初、叔母宅に滞在しており、その後叔母宅に長居はできないとして埼玉県内で移転したものであり、埼玉県から京都市への移転についても、埼玉県内の移転先は家賃の支払を要する貸家であったことから、家賃の負担のない京都市の居宅へ移転したものであると認められる。そうすると、いずれの移転につい ても、生活を安定させるために必要と認められるから、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。そして、別紙避難経路等一覧表の原告番号6記載のとおり、かかる損害額は3万4600円であり、これを一審原告6-1に生じた損害と認める。 一審原告6-1・2は、一審被告東電が認めていた金額を下回る旨主 張するが、一審被告東電が訴訟手続において上記金額を上回る金額を認めてい であり、これを一審原告6-1に生じた損害と認める。 一審原告6-1・2は、一審被告東電が認めていた金額を下回る旨主 張するが、一審被告東電が訴訟手続において上記金額を上回る金額を認めているとはいえず、一審原告6-1・2が交通費として要した具体的な金額を立証しておらず、標準交通費一覧表記載の金額も、必ずしも移動のために現実に要する金額と合致するものではなく、同表による金額の約8割に相当する金額を交通費として認定するのが合理的である。 住居費 避難生活の際に要した住居費(埼玉県での家賃3か月分)は、本件事故と相当因果関係のある損害といえ、その損害額9万円を一審原告6-1に生じた損害と認める。 引越関連費用避難及び移転の際に要した引越等の費用は、本件事故と相当因果関係 のある損害といえ、その損害額14万1112円を一審原告6-1に生じた損害と認める。 一時立入費用一時帰宅に要した費用のうち、別紙避難経路等一覧表の原告番号6記載のとおり、12万1400円の限度で、本件事故と相当因果関係のあ る損害と認める。その余の一時帰宅費用については、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用避難生活の際、避難元に残置した家財道具の滅失等は認められないが、 新たに購入するのに要した費用の限度で、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。そして、世帯全体で避難していることを踏まえれば、かかる損害額は15万円と認めるのが相当であり、これを一審原告6-1に生じた損害と認める。 一審原告6-1・2は、上記金額は低額に失する旨主張するが、購入 難していることを踏まえれば、かかる損害額は15万円と認めるのが相当であり、これを一審原告6-1に生じた損害と認める。 一審原告6-1・2は、上記金額は低額に失する旨主張するが、購入 を要した家財道具の具体的内容及び金額が立証されていない以上(たとえ領収証等を残していなくても、購入先に問い合わせるなどして、相当程度の資料の収集は可能であると考えられる。)、上記金額とするのが合理的である。 生活費増加費用(自家消費野菜米) 避難生活の際、自家消費野菜や米を補うために支出した費用は、本件 事故と相当因果関係のある損害といえる。そして、その損害額は合計12万6000円とし、一審原告6-1に生じた損害と認める。 一審原告6-1・2は、月額1万4666円相当を認定すべきである旨主張するが、具体的な立証がない。 避難雑費 一審原告6-1~3の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じており、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。一審原告6-1~3が避難していた平成23年3月から平成25年2月28日までの間、1か月当たり1名につき1万円の割合による合計額72万円について、一審原告6-2に 生じた損害と認める。 一審原告6-1・2は、一審被告東電に対する直接請求等の時点よりも低額であって不合理である旨主張するが、避難雑費は、その性質上、個別具体的な主張立証になじまず、包括的かつ謙抑的な認定とせざるを得ない。 また、一審被告東電は、避難雑費の内実は、交通費住居費等と重複している旨主張するが、避難雑費は、必ずしもこれらに包含されない一定の支出を填補す 謙抑的な認定とせざるを得ない。 また、一審被告東電は、避難雑費の内実は、交通費住居費等と重複している旨主張するが、避難雑費は、必ずしもこれらに包含されない一定の支出を填補するものであるから、一審被告東電の上記主張は採用できない。 エ動産損害 一審原告6-2は、自動車を避難に伴い廃車したことにより損害を被った旨主張するが、同自動車は、一時抹消登録とされており(甲D6の7の2の1)、第三者に譲渡されたことがうかがわれる。また、その対価として受領した金額も不明であり、その金額と当該自動車の経済的価値との間に齟齬があったと認めるに足りる証拠もない。したがって、同自動車を処分し たことによって、一審原告6-2に損害が生じたとは認められない。 オ検査費用一審原告6-1~3が要した検査費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その検査費用は合計1万7440円と認められ、これは6-1に生じた損害と認める。 一審原告6-1~3は、検査費用として2万3280円が認められるべ きである旨主張する。しかし、一審原告6-1~3が提出する請求書兼領収証等(甲D6の7の3の1~7)の作成者、作成日は、検査結果(甲D6の7の4~8)の医療機関や作成時期とも必ずしも一致せず、これらが検査費用として支出を要したものとまでは認められない。そうであれば、検査費用としては、一審被告東電が支払った1万7440円を超えては認めら れない。 カ就労不能損害 一審原告6-1について一審原告6-1は、避難前、有料老人ホームにて勤務していたが、避難に伴い退職したこと、平成23年10月に避難先で再就職したことが 認められる(甲D6の1)。避難後 6-1について一審原告6-1は、避難前、有料老人ホームにて勤務していたが、避難に伴い退職したこと、平成23年10月に避難先で再就職したことが 認められる(甲D6の1)。避難後から同年12月31日までの間については、本件事故による避難に伴い、就労困難又は転職による収入減少があったといえ、175万8192円の損害が生じたと認める。 一審原告6-2について一審原告6-2は、避難前、歯科衛生士として歯科医院に勤務してい たが、避難に伴い退職したこと、その後、平成23年10月に一審原告6-3を出産したこともあり、就労していないことが認められる(甲D6の1)。出産後は、子の養育等の理由もあり、就労不能が本件事故と相当因果関係があるとはいえないが、避難後から平成23年10月31日までの間については、本件事故による避難に伴い、就労困難による収入 減少があったといえ、135万6020円の損害が生じたと認める。 キ精神的損害(慰謝料)一審原告6-1・2は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による慰謝料としては、6-1については30万円、6-2については60万円が相当である。6-3は、本件事故当時胎児で、避難後出生した子であるから、慰謝料は認められない。 一審原告6-3は、本件事故当時胎児であったことから慰謝料を認定しないのは不当である旨主張するが、避難時までの放射線に対する不安や恐怖は、母である6-2に対する慰謝料として評価されており、避難先で出生したことによって、精神的苦痛を被ったとも評価し難い。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、直接請求により、一審原告6-1に12万円、6-2に64万円、6-3に72万円を支 避難先で出生したことによって、精神的苦痛を被ったとも評価し難い。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、直接請求により、一審原告6-1に12万円、6-2に64万円、6-3に72万円を支払っており、ADR手続において、493万3457円(うち128万円(6-1に対する8万円、6-2・3に対する各60万円)は既払として控除。)を支払っており(争いがない。)、これら既払金合計513万3457円から、6-3に対する支払額72万円を控除 し、6-1に241万7437円、6-2に199万6020円を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告6-1につき17万5824円(3万2131円とADR手続分14万3693円)を、6-2につき6万8000円を、6 -3につき0円をそれぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号6の認容額欄記載のとおりである。 7 一審原告7 (1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅・面会交流の経過については、原判 決260頁3行目から261頁8行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要一審原告7-1の神奈川県及び京都市への避難、7-2・3の神奈川県、 秋田県及び京都市への各避難、7-4・5の神奈川県及び秋田県への各避難は相当であるといえ、平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を本件事故と相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、下記及び別紙損害額等一覧表の原告番号7記載のとおりである。 イ移動交通費避難交通費関係a 一審原告7-1~ 因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、下記及び別紙損害額等一覧表の原告番号7記載のとおりである。 イ移動交通費避難交通費関係a 一審原告7-1~3の神奈川県及び京都市への避難並びに7-2・3の秋田県への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その損害額は、標準交通費一覧表(自家用車) の額を修正した額又は実額によることとして、別紙避難経路等一覧表の原告番号7記載のとおり、合計5万6800円(3万2800円+1万2000円+1万2000円)と認めるのが相当であって(甲D7の3の1~3)、これは7-1に生じた損害と認める。 b 一審原告7-4の神奈川県及び秋田県への避難に要した交通費は、 本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その損害額は、実額により、別紙避難経路等一覧表の原告番号7記載のとおり、6800円と認めるのが相当である(甲D7の3の1・2)。 c 一審原告7-5・6の神奈川県及び秋田県への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その損害額は、 実額により、別紙避難経路等一覧表の原告番号7記載のとおり、合計 1万0200円(6800円+3400円)と認めるのが相当であって(甲D7の3の1・2)、これは7-5に生じた損害と認める。 面会交流交通費関係一審原告7-1~3が面会交流や一時帰宅に要した費用については、標準交通費一覧表(自家用車以外)の額を修正した額によることとして、 別紙避難経路等一覧表の原告番号7記載のとおり、平成23年7月から平成24年2月頃までの間に、母である一審原告7-1が、子であり秋田県への避難中である7-2・3に面会するために要したと認められる 紙避難経路等一覧表の原告番号7記載のとおり、平成23年7月から平成24年2月頃までの間に、母である一審原告7-1が、子であり秋田県への避難中である7-2・3に面会するために要したと認められる10万8800円の限度で、本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当であって、これは7-1に生じた損害と認める。 その余の一時帰宅費用については、一審原告7-1~6に損害が生じたとは認められないか、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 小括したがって、移動交通費(面会交流交通費を含む。)としては、一審原 告7-1に16万5600円(5万6800円+10万8800円)、7-4に6800円、7-5に1万0200円の各損害が生じたと認める。 ウ動産損害 一審原告7-1~4について一審原告7-1は、本件事故当時、夫と婚姻関係にあり、福島県いわ き市内の自宅において夫及び7-2~4と同居していたが、平成23年3月17日、7-2~4とともに神奈川県に避難しており、夫と世帯分離を生じたものと認められる。そのため、新たに家財道具を購入する必要性があったものと推認でき、その費用は本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額としては30万円を相当とし、7-1の 損害として認める。 一審被告東電は、家財道具購入に係る具体的な立証がない旨主張するが、世帯を分離して避難生活を開始するに当たっては、相当程度の家財道具が必要となるものと推認でき、その購入費用としては上記金額が相当である。 一審原告7-5・6について 一審原告7-5・6は、世帯全体で避難したことが認められるから、家財道具購入 ものと推認でき、その購入費用としては上記金額が相当である。 一審原告7-5・6について 一審原告7-5・6は、世帯全体で避難したことが認められるから、家財道具購入費用として15万円を7-5の損害として認める。 エ生活費増加費用 二重生活に伴う生活費増加分a 一審原告7-1~4は、平成23年3月26日、神奈川県から福島 県いわき市に帰還したものの、7-2~4は、同年6月8日から、秋田県に避難したため、同日から平成24年2月まで世帯分離が生じ、水道光熱費等の生活費が増加したものと推認できる(神奈川県への避難期間は10日間にとどまるので考慮しない。)。同期間の生活費増加分としては、分離した少ない方の世帯が2名であるから月額3万円を 相当とする(合計27万円)。 そして、一審原告7-2・3の平成23年6月から平成24年2月までの秋田県への避難については、7-4~6も同行しており、その費用負担者を考慮すると、生活費増加分27万円の3分の2(18万円)を7-1の、3分の1(9万円)を7-4の各損害として算定するの が相当である。 b 一審原告7-2・3は、平成24年2月、秋田県からいわき市に帰還した後、同年3月29日から、7-1とともに京都市に避難しており、7-1~3と夫との世帯分離が生じたから、この期間についても水道光熱費等の生活費が増加したものと推認できる。 生活費増加分として、平成24年2月から平成25年2月まで(当 初避難から2年)、分離した少ない方の世帯が1名であるから月額2万円を相当とし(合計24万円)、これは7-1の損害として算定するのが相当である。 c そうすると、一審 初避難から2年)、分離した少ない方の世帯が1名であるから月額2万円を相当とし(合計24万円)、これは7-1の損害として算定するのが相当である。 c そうすると、一審原告7-1の生活費増加分としての損害は、合計42万円(18万円+24万円)となる。 d また、一審原告7-4は、平成24年2月に7-2・3がいわき市に帰還してからは、7-1~3との同居を解消し、娘である7-5及び孫である7-6と同居するようになったものと評価することができるから、世帯分離による生活費増加費用に関しては、上記9万円の限度で認めるのが相当である。 避難雑費a 避難生活に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じていることが推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められるから、1か月当たり1名につき1万円を損害と認める(神奈川県への避難期間は短期間であるのでこれ を認めない。)。 b 一審原告7-2・3に関する平成23年6月から平成24年2月までの避難(合計18万円)及び7-1~3に関する同年3月から平成25年2月(当初の避難から2年)までの避難(合計36万円)を7-1に生じた損害と認める(合計54万円)。 c 一審原告7-4に関する平成23年6月から平成25年2月までの間の避難雑費合計21万円についても、一審原告7の主張に従い、一審原告7-1の損害と認める。 d 一審原告7-5・6に関する平成23年6月から平成25年2月までの間の避難雑費合計42万円を7-5に生じた損害と認める。 オ就労不能損害 一審原告7-1の稼働状況や収入を認めるに足りる証拠 6月から平成25年2月までの間の避難雑費合計42万円を7-5に生じた損害と認める。 オ就労不能損害 一審原告7-1の稼働状況や収入を認めるに足りる証拠はなく(少なくとも所得証明書や課税証明書等を取得して提出することは可能であると考えられる。)、7-1が避難により就労不能損害を被ったとは認められない。 カ精神的損害(慰謝料) 一審原告7-1~6は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料としては、大人である7-1・4・5について各30万円、子どもである7-2・3・6について各60万円が相当であると認める。 一審原告7-1は、夫との離婚を余儀なくされたと主張するが、これが 本件事故と相当因果関係があったとは認められない。 また、一審原告7-2は、統合失調症の診断を受け、入院を要するなど重大な影響を受けたと主張するが、心身の不調を訴えたのは平成27年9月に至ってからであって(甲D7の10)、これが本件事故と相当因果関係があるものとは認められない。 一審原告7-1~6は、他にも慰謝料を増額すべき事情があると主張するが、いずれも採用することはできない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告7-1に12万円、7-2に72万円、7-3に72万円、7-4に12万円、7-5に12万円、7- 6に72万円をそれぞれ支払っている(争いがない。)。 これらをそれぞれの損害額に充当するのが相当である(ただし、一審原告7-2・3・6は各60万円の限度。)。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告7-1に18万1560円、7-2に0円、7 それぞれの損害額に充当するのが相当である(ただし、一審原告7-2・3・6は各60万円の限度。)。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告7-1に18万1560円、7-2に0円、7- 3に0円、7-4に2万7680円、7-5に7万6020円、7-6に0 円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号7の認容額欄記載のとおりである。 8 一審原告8 (1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅の経過及びADR手続における和解については、原判決265頁10行目から266頁9行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告8-1~3の避難は相当であり、平成23年10月から平成25年9月30日までの2年間に生じた損害を本件事故と相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、下記及び別紙損害額等一覧表の原告番号8記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR 手続における和解額(甲D8の8)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費一審原告8-1~3の京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号 8記載のとおり、その損害額は8808円とし、これを8-1に生じた損害と認められる。 引越関連費用一審原告8-1~3の避難の際に要した引越等の費用は、本件事故と相当因果関係のある損害であるといえ、その損害額5万2851円を8 -1に生じた損害と認める。 用一審原告8-1~3の避難の際に要した引越等の費用は、本件事故と相当因果関係のある損害であるといえ、その損害額5万2851円を8 -1に生じた損害と認める。 一時帰宅費用一審原告8-1~3が一時帰宅に要した費用のうち、別紙避難経路等一覧表の原告番号8記載のとおり、平成23年10月から同年12月頃までの間に要したと認められる9万3777円の限度で、本件事故と相当因果関係のある損害とし、これを8-1に生じた損害と認める。 避難雑費一審原告8-1~3の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められるから、8-1~3が避難していた平成23年10月から平成25年9月30日までの間、1か 月当たり1名につき1万円の限度において、損害と認めるのが相当である。その合計72万円について、8-1に生じた損害と認める。 ウ生活費増加費用(家財道具購入費用)一審原告8-1~3が、避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、世帯全体で避難したことを 踏まえると、かかる損害額は15万円と認めるのが相当であり、これを8-1に生じた損害と認める。 エ動産(家財道具)価値損失損害本件事故により、家財道具の価値が減少又は喪失したと認めるに足りる証拠はない。 オ営業損害一審原告8-1は、本件事故前、お好み焼き店を経営し、月額平均19万7588円程度の営業利益を得ていたが、平成23年10月に避難するに当たって同店の営業に関する権利を第三者に譲渡し、避難後は平 一審原告8-1は、本件事故前、お好み焼き店を経営し、月額平均19万7588円程度の営業利益を得ていたが、平成23年10月に避難するに当たって同店の営業に関する権利を第三者に譲渡し、避難後は平成24年2月に避難先で就職し、トラック運転手などとして稼働していたものの、 同年11月には就職した会社の統合に伴って退社し、平成25年4月に再 就職した事実が認められる(甲D8の1、8の8、原告8-1本人)。 以上によれば、一審原告8-1は、平成23年10月から平成24年1月までの間、避難のため、経営していたお好み焼き店を廃業して収入を失ったものと認められ、これについては一審原告8-1の損失と認めるのが相当である。また、一審原告8-1は、避難先においていったん就職した 後にも、平成24年12月から平成25年3月までは無職であったと認められるところ、避難から未だ1年程度しか経過しておらず、なお安定した就業状況にあったとはいえないこと、退職から再就職までの期間も、再就職のために必要な期間として不相当であるともいえないことなどに照らせば、上記無職の期間に収入を得ることができなかったことについても、 本件事故と相当因果関係のある損害であるというべきである。 そうすると、一審原告8-1には、平成23年10月から平成24年1月31日までの間及び平成24年12月から平成25年3月31日までの間の就労不能損害として、合計158万0704円(19万7588円×8か月)を認めるのが相当である。 一審原告8-1が避難先において就労していた期間については、特段、避難前と比して収入の減少等を認めるに足りる証拠はなく、これを営業損害として認めることはできない。 一審原告8-1は、避難先での就労による稼得を損害認定において考慮 労していた期間については、特段、避難前と比して収入の減少等を認めるに足りる証拠はなく、これを営業損害として認めることはできない。 一審原告8-1は、避難先での就労による稼得を損害認定において考慮すべきでない旨主張するが、8-1が現に稼働して収入を得ている以上、 その収入額は営業損害から控除すべきであり、これを控除することが不当であると解すべき特段の事情もない。 カ廃業損害一審原告8-1が経営していたお好み焼き店の営業の客観的な経済的価値を認めるに足りる証拠はない上、その譲渡価格が時価を下回るものであ ることや、そのような時価を下回る価格で譲渡せざるを得なくなったのが 本件事故によるものであると認めるに足りる証拠はない。 したがって、この点に関する一審原告8-1の主張は採用することができない。 キ精神的損害(慰謝料)一審原告8-1~3は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事 故による慰謝料としては、8-1・2は各30万円、8-3は60万円が相当である。 一審原告8-1~3は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な主張をするが、いずれも慰謝料額を増額すべき事情であるとまではいえない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、直接請求に基づいて、一審原告8-1・2に各12万円、8-3に72万円を支払い、さらに、ADR手続における和解に基づいて、8-1~3に対して164万3662円(うち76万円(8-1・2に対する各8万円、8-3に対する60万円)は既払金として控除され、88万3662円のみ支払われている。)を支払っている(争いがない。)。 これらの既払金合計184万3662円から、8-1に100万3662円、8-2に12万円 円)は既払金として控除され、88万3662円のみ支払われている。)を支払っている(争いがない。)。 これらの既払金合計184万3662円から、8-1に100万3662円、8-2に12万円、8-3に72万円(ただし60万円の限度。)を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告8-1に23万8122円(19万0248円と ADR手続分4万7874円の合計)、8-2に1万8000円、8-3に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号8の認容額欄記載のとおりである。 9 一審原告9 (1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅の経過については、原判決269頁15行目から270頁12行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告9-1・3・4の福島県内における一時避難及び京都市への避難は相当であり、平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、下記及び別紙損害額等一覧表の原告番号9記載のとおりである。 イ避難費用 交通費一審原告9-1・3・4の福島県会津若松市及び京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その損害額は、標準交通費一覧表(自家用車以外)の額を修正した額による こととし、別紙避難経路等一覧表の原告番号9記載のとおり、合計8万6400円(各2万8800円)と認めるのが相当であって、これは9-1に生じた損害と認める。 引越費用 こととし、別紙避難経路等一覧表の原告番号9記載のとおり、合計8万6400円(各2万8800円)と認めるのが相当であって、これは9-1に生じた損害と認める。 引越費用一審原告9-1・3・4の避難の際に要した引越費用は、これを認め るに足りる証拠はない。 一時立入費用一審原告9-1・3・4が冠婚葬祭等のため一時帰宅に要した費用は、避難雑費に含まれる額を超えて損害が生じたとは認められないか、又は本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 避難雑費 一審原告9-1・3・4の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められるから、その避難期間中である平成23年8月から平成25年2月28日(当初の避難から2年)までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度において損害と認 めるのが相当である(平成23年3月の避難は短期間であるから認めない。)。もっとも、一審原告9-3は、平成24年4月から、大学進学のため別居していることが認められるから、同人に関しては同年3月までの期間、避難雑費を認める。その合計額46万円(1万円×2×19か月+1万円×8か月)について、これを一審原告9-1に生じた損害と 認める。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告9-1・3・4は、9-1の両親と同居していたが、本件事故による避難によって世帯分離が生じたため、新たに家財道具を購入す る必要が生じたと認められる。したがって、家財道具購入費用として30万円を要したものと認め、これを9-1に生じた損害と 本件事故による避難によって世帯分離が生じたため、新たに家財道具を購入す る必要が生じたと認められる。したがって、家財道具購入費用として30万円を要したものと認め、これを9-1に生じた損害と認める。 一審被告東電は、一審原告9-1は両親が所有していた家財道具を使用していた旨主張するが、仮にそうであったとしても、一審原告9-1が、世帯分離により新たに家財道具を購入する必要が生じることには変 わりがない。したがって、一審被告東電の上記主張は採用することができない。 生活費増加費用一審原告9-1・3・4は、同居していた世帯を3名と2名で分離して生活することとなり、水道光熱費等の生活費が増加したものと認めら れる。世帯分離による生活費増加費用として、平成23年8月から平成 25年2月28日までの間、1か月当たり3万円の増加を相当因果関係のある損害と認め、合計57万円について9-1に生じた損害と認める(平成24年4月以降は9-2が別世帯となるが、金額を変ずる必要は見当たらない。)。 なお、このことは、一審原告9-1が、本件事故当時、両親から生活 費の支援を受けていたか否かによって異なるものではない。 エ就労不能損害一審原告9-1は、避難前に月額平均17万3136円の収入を得ていたが、避難時に退職したこと、平成23年9月10日に避難先において就職したことが認められる(甲D9の1、9の4の1、原告9-1本人)。同 年8月3日から同年9月9日までの間については、本件事故による避難を実行したために、就労できなかったものと認められ、それ以降については、特段、賃金の減少等を認めるに足りる証拠はないことを踏まえると、9-1の主張する範囲 9日までの間については、本件事故による避難を実行したために、就労できなかったものと認められ、それ以降については、特段、賃金の減少等を認めるに足りる証拠はないことを踏まえると、9-1の主張する範囲内で、就労期間1か月余に当たる20万円の就労不能損害を認めるのが相当である。 オ放射線検査費用一審原告9-3・4は、いずれも、自主的避難等対象区域に居住しており、本件事故によって放射線への恐怖にさらされたといえ、そのことによって放射線検査を受けることは相当であるといえるから、放射線検査費用は本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。検査を受けたこと及びその費用 については、9-1作成の陳述書(甲D9の1)しか証拠提出されていないが、避難者が避難先で検査を受けるのは自然で合理的な行動であるし、検査機関の名(Zクリニック)や検査結果も明らかにされている上、他の原告らの事例からしても、検査費用が不当とはいえず、上記陳述書は信用することができる。したがって、同陳述書により、9-3に4240円、9-4に4 920円を、それぞれ損害と認める。9-2については、本件事故と相当因 果関係のある損害と認めることはできない。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告9-1・3・4は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料としては、9-1は30万円、9-3・4は各60万円が相当である。 9-2は、自主的避難等対象区域外の居住者であり、その避難は自主的避難区域の居住者の避難の場合と同等又は準じる場合ともいえないから避難に伴う精神的損害は認められない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告9-1に12万円、9-3・4に各72万円を 的避難区域の居住者の避難の場合と同等又は準じる場合ともいえないから避難に伴う精神的損害は認められない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告9-1に12万円、9-3・4に各72万円を支 払っている(争いがない。)。これらをそれぞれの損害額(ただし、9-3・4についてはそれぞれの損害額の限度。)に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告9-1に17万9640円、9-2~4に0円をそれぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号9の認容額欄記載のとおりである。 10 一審原告10(1) 世帯の概要、避難の経緯及び面会交流の経過については、原判決273頁 25行目から274頁24行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要一審原告10-1・3の千葉県、長野県及び京都市への避難は相当であ り、平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害 を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号10記載のとおりである。 イ避難費用 避難交通費一審原告10-1・3の平成23年3月の千葉県及び同年4月の長野 県への避難に交通費を要したことは明らかであり、その交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。また、同年11月の京都市への移転も、家賃の負担がない住居の提供を受けることにより、住居費を抑えて生活の安定を図るためといえ、その移転に要した費用も特に高額なものでもなく、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。 その金額は、 負担がない住居の提供を受けることにより、住居費を抑えて生活の安定を図るためといえ、その移転に要した費用も特に高額なものでもなく、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。 その金額は、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正し、別紙避難経路等一覧表の原告番号10記載のとおりとするのが相当であり、その合計は7万5600円(5万5200円+2万0400円)となり、これは10-1に生じた損害と認める。 面会交流交通費 一審原告10-1~3が面会交流に要した費用のうち、別紙避難経路等一覧表の原告番号10記載のとおり、平成23年4月から平成25年2月頃までの間に、10-2が10-3に面会するために要したと認められるものについては、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正した額で、平成25年2月までの23回分合計88万160 0円の限度で、本件事故と相当因果関係のある損害と認め、これを10-2に生じた損害と認める。その余の面会交流交通費については、損害が生じたとは認められないか、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 避難雑費 一審原告10-1・3の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定 し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められるから、その避難期間中である平成23年3月から平成25年2月28日(当初の避難から2年)までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度において損害と認めるのが相当である。避難雑費合計48万円について、10-2に生じた 損害と認める。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原 1万円の限度において損害と認めるのが相当である。避難雑費合計48万円について、10-2に生じた 損害と認める。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告10-1・3が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、10-2とは別居して 世帯分離が生じていることを踏まえると、その損害額は30万円と認めるのが相当であり、これを10-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(二重生活)一審原告10-1・3は、平成23年3月から10-2と長期間世帯分離して生活することになったのであるから、水道光熱費等の生活費が 増加したものと認められる。したがって、世帯分離による生活費増加費用として、避難雑費と同様に、世帯分離していた同月から平成25年2月28日までの間、1か月当たり2万円を認め、合計48万円について10-2に生じた損害と認める。 エ甲状腺検査関連費用 一審原告10-1~3は、被ばくの身体への影響を検査するため、平成24年10月26日、検査費用として1万8740円を支出したことが認められる(甲D10の7の1~3)。本件事故当時に自主的避難等対象区域に居住していた10-1~3が、避難後も身体への影響を不安に思い、それを解消するために検査することは相当であるから、前記検査費用1万8 740円は、本件事故と相当因果関係のある損害と認め、10-2に生じ た損害と認める。また、10-3は、平成26年6月23日にも検査を受け、6420円を要したものと認められ(甲D10の7の4)、これについても10-2に生じた損害と認める(合計2万5160円)。 一審原告らは、検査を受けるために宿泊費を要した旨 月23日にも検査を受け、6420円を要したものと認められ(甲D10の7の4)、これについても10-2に生じた損害と認める(合計2万5160円)。 一審原告らは、検査を受けるために宿泊費を要した旨主張するが、そのような必要性があったとは認め難い。また、検査のために要する交通費は 少額であり、避難雑費に含むものと考えるのが相当である。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告10-1~3は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、10-1・2は各30万円、10-3は60万円が相当である。 一審原告10-1~3は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、いずれも上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告10-1・2に各12万円、10-3に72万円を支払っている(争いがない。)。これら既払金から、10-1に14万0 400円(10-3の避難費用相当額2万0400円を含む。)、10-2に12万円、10-3に69万9600円(ただし、60万円の限度。)を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 したがって、別紙損害額等一覧表の原告番号10の既払額欄記載のとおり、各原告に生じた各損害額に充当する。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告10-1に5万3520円、10-2に20万4676円、10-3に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号10の認容 額欄記載のとおりである。 11 一審原告12(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅の経過に 以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号10の認容 額欄記載のとおりである。 11 一審原告12(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅の経過については、原判決283頁18行目から284頁13行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。なお、一審原告12-2は訴えを取り下げている。 (2) 損害 ア概要一審原告12-1の京都市への避難は、いずれも避難の相当性が認められる。そして、平成23年3月14日から同年4月5日に福島市に帰還するまで及び再度京都市へ避難した同年9月から平成25年2月28日まで(当初の避難から2年間)に生じた損害を、本件事故と相当因果関係のあ る損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号12記載のとおりである。 イ避難費用 避難交通費一審原告12-1・2、長男及び二男が、平成23年3月から同年4 月にかけて京都市に避難するために要した交通費、並びに、12-1及び二男が、同年9月25日に京都市に避難するために要した交通費は、いずれも本件事故と相当因果関係のある損害であるといえる。そして、その額は、標準交通費一覧表(自家用車以外)の額を修正して算定した別紙避難経路等一覧表の原告番号12記載のとおり、合計18万880 0円(=6万4000円+4万1600円×3)と認めるのが相当であり、これは12-1に生じた損害と認める。 一審原告12-1は、平成23年3月に、福島市から直接京都市に移動することができなかったため、新潟空港を経由して飛行機で大阪に行くという手段を使ったため、多額の費用を要した旨主張するが、具体的 な支出額について 平成23年3月に、福島市から直接京都市に移動することができなかったため、新潟空港を経由して飛行機で大阪に行くという手段を使ったため、多額の費用を要した旨主張するが、具体的 な支出額について主張立証はなく、上記基準による金額の範囲で認定す るのが相当である。 なお、長男が京都市から北海道へ移転するための費用については、本来、京都市から福島市の自宅へ戻るところを、直接、北海道へ移転したのであるから、その費用のうち、福島市へ帰宅するのに要する費用の限度で本件事故と相当因果関係がある損害と認める。 一審原告12-1は、平成23年7月27日から同年8月18日までの間にも京都市に避難した旨主張し、陳述書(甲D12の1の2)にもその旨の記載があるが、夏休み期間中の12-1の実家への短期間の滞在であり、これをもって避難と評価することはできない。 一時立入(面会)交通費 一審原告12-1は、平成23年9月25日に京都市に避難した後、二男とともに、年3回、福島市に帰省している旨主張し、その費用相当額を損害と主張する。しかし、12-1が、定期的に不動産の維持管理を要するなど福島市に帰省しなければならない事情は見当たらず、その帰宅費用は、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 なお、仮に、一審原告12-2が、二男との面会交流のため、京都市を訪問し、その費用を要したのであれば、面会交流交通費と考える余地はあるが、そうであれば、その費用は特段の事情がない限り、12-2が負担したと考えるのが相当であり、12-1の損害とは考え難い。 引越費用 一審原告12-1が、引越費用を要したと認めるに足りる証拠はない。 ウ生活費増加費用 担したと考えるのが相当であり、12-1の損害とは考え難い。 引越費用 一審原告12-1が、引越費用を要したと認めるに足りる証拠はない。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告12-1及び二男が、避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。そして、12 -1及び二男が12-2と別居し、世帯分離が生じていたことを踏まえ ると、かかる損害額は30万円と認め、これを12-1に生じた損害と認める。 家賃平成26年7月以降に、大阪府において要した家賃については、その時期に照らし、本件事故と相当因果関係のある損害とはいえない。 世帯分離に伴う生活費の増加一審原告12-1と二男が避難したことにより、平成23年9月以降、12-1及び二男と12-2は世帯分離して生活することになったのであるから、水道光熱費等の生活費が増加したものと認められる。したがって、世帯分離による生活費増加費用として、避難雑費と同様に、世帯 分離していた平成23年9月から平成25年2月28日までの間(当初の避難から2年間)、1か月当たり2万円を認め、合計36万円について12-1に生じた損害と認める。 エ就労不能損害一審原告12-1は、平成23年9月に避難するまでパート勤務をして おり、同年1月から9月までに62万2735円の収入があったが、平成23年9月に京都市へ避難する際に退職したこと、避難後は、同年12月から正社員として就労し、パート勤務時よりも多額の収入を得ていることが認められる(甲D12の1、12の4、12の1の4、原告12-1本人)。そうであれば、同年10 退職したこと、避難後は、同年12月から正社員として就労し、パート勤務時よりも多額の収入を得ていることが認められる(甲D12の1、12の4、12の1の4、原告12-1本人)。そうであれば、同年10月及び11月については避難のため稼働する ことができず、避難前の基礎収入(月額6万9193円)を基準として、2か月分である13万8386円の範囲で就労不能損害が認められる。一審原告12-1は、避難後の勤務先で給与の支給を受けたのは平成24年1月である旨主張するが、避難のため稼働できなかったのは2か月間であると認められるから、その損害は、上記金額と認めるのが相当である。 また、一審原告12-1は、無理をして子どもとの時間を犠牲にして働 いているのであるから、就労不能損害から再就職後の給与収入を控除することは不当である旨主張するが、現に稼働して収入を得ている以上、その収入額は就労不能損害から控除すべきであり、これを控除することが不当であると解すべき特段の事情もない。 オ避難雑費 一審原告12-1及び二男の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じていると推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められるから、12-1及び二男が避難していた平成23年9月から平成25年2月28日までの間(当初の避難から2年)、1か月当たり1名につき1万円の限度で損害と認める。避 難雑費合計36万円について、12-1に生じた損害と認める。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告12-1は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料としては30万円が相当である。 (3) 既払金の充当一審被告東電 一審原告12-1は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料としては30万円が相当である。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告12-1に対して12万円を支払っていることが認められる(乙D12の3、弁論の全趣旨)から、これを12-1に生じた損害額に充当する。 一審被告東電は、長男及び二男に各72万円を支払っており、このうち、 長男及び二男の固有の慰謝料額各48万円を超える部分(各24万円)については、一審原告12-1の損害に充当されるべきである旨主張する(合計60万円)。しかし、長男及び二男に支払われた各72万円については、避難のための交通費等その賠償すべき費目が明示されているものではなく、訴訟手続外の長男及び二男に生じる固有の慰謝料等の損害を認定できるものでも ないから、長男及び二男に支払われた金額のうち一審原告12-1の損害に 充当すべき金額も確定することができないというほかない。したがって、一審被告東電の上記主張は採用することができない。 (4) 弁護士費用弁護士費用は15万2719円を相当と認める。 (5) まとめ 以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号12の認容額欄記載のとおりである。 12 一審原告13一審原告13-1~3については、いずれも避難の相当性が認められない。 また、居住していたのは、自主的避難等対象区域外であり、自主的避難等対象 区域と同等又はこれに準じるような事情も見当たらない。したがって、その余の点について判断するまでもなく、その請求はいずれも理由がない。 13 一審原告14(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅の経過については に準じるような事情も見当たらない。したがって、その余の点について判断するまでもなく、その請求はいずれも理由がない。 13 一審原告14(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅の経過については、原判決288頁21行目から289頁11行目までに記載のとおりであるから、これを引用 する。 (2) 損害ア概要一審原告14-1・2・4の京都市への避難は相当であると認められる。 避難に伴う損害のうち、京都市へ避難した日を含む月である平成23年5 月から平成25年4月30日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号14記載のとおりである。 イ避難費用 交通費 一審原告14-1~4は、親族に面会する等の目的で福島県郡山市に 一時帰宅に要した費用を、本件事故と相当因果関係がある損害として、避難費用(交通費)名目で損害として計上する。しかし、祖父母や親類縁者との面会交流は、親と未成熟子との面会交流とは法的な意味合いが異なり、その費用が、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。 避難費用(避難交通費用) 別紙避難経路等一覧表の原告番号14記載のとおり、一審原告14-1については、標準交通費一覧表(自家用車)の金額を修正した2万2400円、14-2については、標準交通費一覧表(自家用車以外)の金額を修正した2万0800円を避難交通費用として認めるのが相当である。14-4は、避難時1歳であり、交通費を要したとは認められな い。 避難雑費一審原告14-1・2・4の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生 ある。14-4は、避難時1歳であり、交通費を要したとは認められな い。 避難雑費一審原告14-1・2・4の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められるから、避難がさ れた平成23年5月から平成25年4月30日までの間(当初の避難から2年)、1か月当たり1名につき1万円の限度で損害と認める。避難雑費合計72万円について、14-1に生じた損害と認める。 ウ生活費増加費用(家財道具購入費用)一審原告14-1・2・4が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、 本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、世帯全体で避難したことを踏まえると、かかる損害額は15万円と認めるのが相当である。これは14-1に生じた損害と認める。 エ精神的損害(慰謝料)一審原告14-1・2・4は、自主的避難等対象区域の居住者であり、 本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、1 4-1は30万円、14-2・4は各60万円が相当である。14-3は、本件事故当時及び避難時に胎児であったから、慰謝料の請求は認めない。 一審原告14-1~4は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、一審原告14-1のうつ病については本件事故と相当因果関係があるとまでは認められず、その他の事情も本件事故と相当因果関係 があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 一審被告東電は、一審原告14-1は、14-2・4の避難に同伴したにすぎない旨主張するが、14-1についても、自主的避難等対象区域からの避難であって、そ を増額すべき事情とまではいえない。 一審被告東電は、一審原告14-1は、14-2・4の避難に同伴したにすぎない旨主張するが、14-1についても、自主的避難等対象区域からの避難であって、その避難には相当性が認められ、単なる同伴であるとはいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告14-1に12万円、14-2に64万円、14-3・4に各72万円を、それぞれ支払っている(合計220万円。争いがない。)。これら既払金を、それぞれに生じた各損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告14-1に10万7240円、14-2~4に各0円をそれぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号14の認容 額欄記載のとおりである。 14 一審原告15一審原告15-1~4については、いずれも避難の相当性が認められない。 また、居住していたのは、自主的避難等対象区域外であり、自主的避難等対象区域と同等又はこれに準じるような事情も見当たらない。したがって、その余 の点について判断するまでもなく、その請求はいずれも理由がない。 15 一審原告16(1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅の経過及びADR手続における和解については、原判決294頁8行目から295頁14行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要一審原告16-1・2の平成23年3月の新潟県への避難及び同年11月の京都市への避難は相当であると認められる。避難に伴う損害のうち、新潟県への避難に要した交通費及び新潟県への避難期間が短期間であったことに鑑みて、京 2の平成23年3月の新潟県への避難及び同年11月の京都市への避難は相当であると認められる。避難に伴う損害のうち、新潟県への避難に要した交通費及び新潟県への避難期間が短期間であったことに鑑みて、京都市に避難した平成23年11月から平成25年10 月31日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。 当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号16記載のとおりである。 イ避難費用 移動費用(交通費) 一審原告16-1・2が平成23年3月に一時避難場所である福島市(16-1の実家)から新潟県に避難するために要した交通費及び同年11月に京都市への避難に要した交通費は、いずれも本件事故と相当因果関係のある損害であるといえる。そして、その額は、標準交通費一覧表(自家用車)の額を修正して算出した別紙避難経路等一覧表の原告番 号16記載のとおり、合計4万4800円と認めるのが相当であり、これは16-1に生じた損害と認める。 一審原告16-1・2は、上記のほか、平成23年5月から同年10月までの間、東京都、佐賀県及び青森県等にも避難をしていたから、これらも損害として認めるべきである旨主張するが、これらは新潟県への 避難とは異なり、本件事故当初の時期にされたものではなく、また、い ずれも短期間にとどまる保養や転居の下見の趣旨であったといえ、これらを避難と評価することはできない。したがってこれらの移動に要した交通費や宿泊費等を本件事故と相当因果関係のある損害であると評価することはできない。 移動費用(宿泊費) 一審原告16-1・2の新潟県への避難の際、宿泊費として1万5000円を要したことが認められる( 果関係のある損害であると評価することはできない。 移動費用(宿泊費) 一審原告16-1・2の新潟県への避難の際、宿泊費として1万5000円を要したことが認められる(甲D16の3の1)。これは本件事故と相当因果関係のある損害といえ、16-1に生じたと認める。その余の宿泊費は、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 引越関連費用 一審原告16-1・2は、京都市へ避難する際、引越代金4万5450円を要したことが認められる(甲D16の6の1~3)。これは本件事故と相当因果関係のある損害といえ、16-1に生じた損害と認める。 16-1は、引越費用は合計4万9406円であると主張し、上記のほか書証(甲D16の6の4・5)を提出するが、これらはいずれも16- 1の京都市への避難とは時期を異にする平成26年以降のものであり、これを引越関連費用とみることはできない。 一時立入費用一審原告16-1・2が帰省等のため、平成25年8月(避難開始から2年以内)までの間に一時帰宅に要した31万2000円は、一審原 告16-1が所有する福島県伊達市所在の不動産の管理等のために必要であったといえ、本件事故と相当因果関係のある損害として、16-1に生じた損害と認める。 一審原告16-1は、その費用合計額は70万5500円であると主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。 家財道具喪失損害 一審原告16-1は、福島県伊達市所在の陶芸工房の設備及び道具が、その価値を喪失し、損害を被った旨主張するが、陶芸工房付近での空間放射線量が、その使用を妨げるほどのものであると認めるに足りる証拠はなく 原告16-1は、福島県伊達市所在の陶芸工房の設備及び道具が、その価値を喪失し、損害を被った旨主張するが、陶芸工房付近での空間放射線量が、その使用を妨げるほどのものであると認めるに足りる証拠はなく、本件事故によりその価値が減少又は喪失したとはいえない。 避難雑費 一審原告16-1・2の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。したがって、16-1・2が京都市に避難していた期間のうち、平成23年11月から平成25年10月31日までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度 において、損害と認めるのが相当であり、合計48万円について、16-1に生じた損害と認める。 ウ就労不能損害一審原告16-1は、陶芸教室や作陶により、平成22年に39万7055円(月額平均3万3088円)の収入を得ていたが(甲D16の4の 6)、平成23年11月に京都市に避難してからその収入が失われたものと認められる。もっとも、一審原告16-1は、平成25年8月以降、これを上回る収入を得ていると認められるから、就労不能損害を認める期間としては、平成23年11月から平成25年7月までの1年9か月間とするのが相当である。 また、一審原告16-1は、平成24年4月から平成25年3月まで陶工高等技術専門学校で学ぶ選択をしている上、就職活動を開始して約2か月後には、本件事故前の収入を上回る収入を得ているのであるから、就労不能損害が発生するとしても、平成23年11月から平成25年7月までの間について、従前の収入の半額の損害と認めるのが相当である。その金 額は、34万7424円(=3万3088円 あるから、就労不能損害が発生するとしても、平成23年11月から平成25年7月までの間について、従前の収入の半額の損害と認めるのが相当である。その金 額は、34万7424円(=3万3088円÷2×21か月)となる。 一審被告東電は、就業不能損害が認められるのは、再就職に必要と考えられる数か月から1年程度と解すべきである旨主張するが、避難者らが避難先で生活を安定させるには、避難を継続するか否かの判断を含め、相当期間を要するものと解される上、一審原告16-1のような特殊な職種に従事していた者については、特に就業が困難であると考えられるから、そ のような短期間に限定することが相当とはいえない。 エ検査費用一審原告16-1・2は、被ばく検査を受け、その費用を要したものと認められる(甲D16の7の1~7)。その検査費用は、本件事故と相当因果関係のある損害であるといえ、16-1の主張する6460円の限度で、 16-1に生じた損害と認める。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告16-1・2は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、16-1は30万円、16-2は60万円が相当である。 一審原告16-1・2は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、いずれの事情も上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告16-1に12万円、16- 2に72万円を支払い、ADR手続において、16-1・2及び16-1の父母に合計200万0116円(うち84万円(16-1への8万円、16-2への60万円、16-1の父母への各8万円) 6- 2に72万円を支払い、ADR手続において、16-1・2及び16-1の父母に合計200万0116円(うち84万円(16-1への8万円、16-2への60万円、16-1の父母への各8万円)は既払金として控除)を支払っている(争いがない。)。これらの既払金合計200万0116円(12万円+72万円+116万0116円)のうち16万円は、16-1・2 以外の者に対する支払の趣旨であることが明らかであるから、これを控除し、 その余の184万0116円から、16-1に112万0116円、16-2に72万円(ただし、60万円の限度。)を、それぞれの損害に充当するのが相当である。 なお、一審原告16-1の父母は、中間指針第5次追補に基づいて、一審被告東電から、それぞれ合計20万円の支払を受けたことが認められるが(弁 論の全趣旨)、これらが一審原告16-1・2の支払に充当されると考える余地はない。 (4) 弁護士費用弁護士費用は一審原告16-1につき10万1358円(4万3102円とADR手続分5万8256円の合計額)を、16-2につき0円をそれぞ れ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号16記載の認容額欄記載のとおりである。 16 一審原告18 (1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅の経過及びADR手続における和解については、原判決304頁3行目から305頁3行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告18、長女及び二女は、後に緊急時避難準備区域に指定された区域から避難しており、その避難は相当と認められる。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損 損害ア概要 一審原告18、長女及び二女は、後に緊急時避難準備区域に指定された区域から避難しており、その避難は相当と認められる。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号18記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D18の8の1)を 根拠とした認定である。 イ避難費用 移動交通費一審原告18の福島市及び京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号18記載のとおり、かかる損害額は合計4万6000円と認めるの が相当である。 家財道具移動費用一審原告18の避難生活の際に要した家財道具移動費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、かかる損害額は18万1260円と認めるのが相当である。 一時立入費用一審原告18が一時立入りに要した費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、かかる損害額は7万9000円と認めるのが相当である。 家財道具価値喪失損害 一審原告18が居住していた緊急時避難準備区域は、本件事故から約半年後である平成23年9月30日に解除されていることからすれば、自宅に残した家財道具について、価値減少や喪失を認めることはできない。 一審原告18は、家財道具を搬出できるまで放置せざるを得ず、保管 状況もよくなく、放射性物質付着のおそれもある旨主張するが、これらが家財道具の価値を喪失させるほどのものであるとは認めるに足りない。 ウ生 道具を搬出できるまで放置せざるを得ず、保管 状況もよくなく、放射性物質付着のおそれもある旨主張するが、これらが家財道具の価値を喪失させるほどのものであるとは認めるに足りない。 ウ生活費増加費用一審原告18が避難生活の際に要した生活費増加費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。避難雑費としての生活費増加費用は、 1か月当たり一人1万円を相当とするところ、平成23年3月から平成2 5年9月までの避難期間における一審原告18並びに長女及び二女の避難雑費は合計93万円とするのが相当であり、これを一審原告18の損害とする。 エ就労不能損害一審原告18は、避難前である平成22年に281万5717円の給与 収入があったと認められる(甲D18の4の1)。 一審原告18は、平成23年3月から平成24年6月30日までの間は、本件事故による避難のため、就労困難又は転職による収入減少が認められ、その額は314万6582円と認めるのが相当である。 また、平成24年7月以降も、本件事故前に比べて収入が下がったこと が認められ、その転職による収入減少は、本件事故と相当因果関係のあるものと認められる。そして、一審原告18は、その期間中、月額20万円程度の収入を得ていると主張するところ、その金額は不合理なものとはいえない。そうであれば、平成24年7月から緊急時避難準備区域の解除から2年後である平成25年9月までの15か月分である51万9646 円((281万5717円÷12-20万円)×15)について、就労不能損害を認めるのが相当である。 以上の合計は366万6228円である。 オ通勤交通費増加分・放射線検査費用一審原告18が避難生活の際に要した通勤交 円)×15)について、就労不能損害を認めるのが相当である。 以上の合計は366万6228円である。 オ通勤交通費増加分・放射線検査費用一審原告18が避難生活の際に要した通勤交通費増加分及び放射線検査 費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、かかる損害額は通勤交通費増加分7万9200円、放射線検査費用6万8000円と認めるのが相当である。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告18は、緊急時避難準備区域に居住していた者であり、避難所 において生活していた時期があることも踏まえると、本件事故による恐怖 及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、本件事故から平成24年6月30日までについては、ADR手続において合意された212万円を認めるのが相当である。また、同年7月1日以降に関しては、中間指針第2次追補において、旧緊急時避難準備区域内に住居があった者について、賠償の対象とされた「避難指示等の解除等から相当期間経過後」の「相当 期間」を平成24年8月末までを目安とすることとされていること(乙D共5)に照らせば、同月までの2か月分として20万円を認めるのが相当である。さらに、中間指針第5次追補では、旧緊急時避難準備区域の住民らについては、生活基盤変容慰謝料として50万円を認めるのが相当とされており、これについても、一審原告18の精神的苦痛を慰謝するものと して相当であるといえる。以上の合計額は282万円となる。 一審原告18は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、いずれの事情も、本件事故と相当因果関係が認められないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、ADR手続において、 々な事情を主張するが、いずれの事情も、本件事故と相当因果関係が認められないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、ADR手続において、658万2933円(うち130万円は直接請求時の既払金として控除されている。)を支払っていることが認められるところ(甲D18の8の1、弁論の全趣旨)、これを一審原告18に生じた損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用 弁護士費用は、32万0412円(12万8676円とADR手続分19万1736円の合計額)を相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号18の認容額欄記載のとおりである。 17 一審原告19 (1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅・面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決307頁22行目から308頁20行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告19-1・3・4の京都市への避難は相当であるところ、それに伴う損害のうち、京都市へ避難した日を含む月である平成23年4月から平成25年3月31日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。一審原告19-2の避難は、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一 覧表の原告番号19記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D19の8)を根拠とした認定である。 イ避難費用 移動費用 一審原告19-1・3・4の京都市への避難 記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D19の8)を根拠とした認定である。 イ避難費用 移動費用 一審原告19-1・3・4の京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害であるが、避難には無料のバスを利用したことが認められるから(甲D19の1)、別紙避難経路等一覧表の原告番号19記載のとおり、その損害額は0円である。 避難費用(面会交通費) 一審原告19-1~4が面会に要したとして主張する費用のうち、19-1・3・4が避難先の京都市から避難元である福島県郡山市に帰還する費用については、避難の必要性を主張する者が避難元に戻る費用を損害と認めることとなり、相当でないから、損害としては認められない。 しかし、子である19-3・4が、父である19-2と面会交流する利 益はあり、19-2が福島県郡山市から京都市を訪問するために要した 費用は、平成25年3月までのものについて、本件事故と相当因果関係がある損害であるといえる。その費用は、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正した額により、別紙避難経路等一覧表の原告番号19記載のとおり合計25万4400円であると認められ、同額が、これを負担した19-1に生じた損害と認める。その余の面会交通費に ついては、下記避難雑費に含まれる額を超えて、損害が生じたとは認められないか、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 避難費用(一時帰宅費用)一審原告19-1・3・4が、一時帰宅に要した費用のうち、37万7600円は、本件事故と相当因果関係があるものと認め、これを19 -1に生じた損害と認める。 ウ生活費増 一審原告19-1・3・4が、一時帰宅に要した費用のうち、37万7600円は、本件事故と相当因果関係があるものと認め、これを19 -1に生じた損害と認める。 ウ生活費増加費用 二重生活に伴う生活費増加費用(一般)一審原告19-1・3・4と19-2は、平成23年4月から別居し、世帯が分離して生活することになったのであるから、水道光熱費等を含 む生活費が増加したものと認められる。世帯分離による生活費増加費用として、世帯分離していた平成23年4月以降の合計81万円について、19-1に生じた損害と認める。 家財道具購入費一審原告19-1・3・4が避難生活の際に要した家財道具購入費用 は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。そして、19-2との世帯分離を生じていたことを踏まえると、その損害額は30万円と認めるのが相当であり、これは19-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(食費増加分)・携帯電話増加代前記の二重生活に伴う生活費増加費用の損害を超えて、本件事故によ る避難によって、食費や携帯電話通話料金が増加したと認めるに足りる 証拠はない。 生活費増加費用(避難雑費)一審原告19-1・3・4の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。その総額は1 08万円と認めるのが相当であり、これを19-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(自治会費)一審原告19-1・3・4が避難生活の際に、新たに要した自治会費は、本件事故と相 と認めるのが相当であり、これを19-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(自治会費)一審原告19-1・3・4が避難生活の際に、新たに要した自治会費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、かかる損害額は3 万3900円と認めるのが相当である。 家賃差額・引越の際の礼金一審原告19-1・3・4は、平成26年8月から賃貸マンションに移転し、19-2の転居に伴い、別の賃貸マンションに移転したため、福島県郡山市で居住していた際と家賃差額が生じ、礼金が新たに要した 旨主張している。しかし、これらは、平成25年4月以降に生じた損害であるから、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。 ダクト交換費用一審原告19-2は、避難する際に経営していた店舗を閉店して引き渡すに当たって、ダクト交換をする必要があった旨主張するが、ダクト 交換の必要性を認めるに足りる証拠はなく、また、これが本件事故と相当因果関係があるものとも認められない。 エ就労不能損害一審原告19-1が、避難前、19-2の経営する飲食店において働いていたことはうかがわれるが(甲D19の1、原告19-1本人)、収入が あったことを認めるに足りる証拠はなく、就労不能損害は認められない。 オ検査費用・検査交通費一審原告19-1~4が、被ばくの身体への影響を検査するため、平成25年12月から平成26年4月までの間に、検査費用として1700円を支出し、そのための交通費として5880円を支出したことが認められる(甲D19の1)。本件事故当時に自主的避難等対象区域に居住していた 19-1~4が身体への影響を不安に思 用として1700円を支出し、そのための交通費として5880円を支出したことが認められる(甲D19の1)。本件事故当時に自主的避難等対象区域に居住していた 19-1~4が身体への影響を不安に思い、それを解消するために検査することは相当であるから、前記検査費用及び交通費は本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告19-1~4は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件 事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、19-1・2は各30万円、19-3・4は各60万円が相当である。 一審原告19-1~4は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、いずれの事情も、本件事故と相当因果関係が認められないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告19-1・2に各12万円、19-3・4に各72万円を支払い、ADR手続において、19-1~4に399万2980円(うち136万円は控除され263万2980円のみ支払われている。)を支払っている(争いがない。)。これらの既払金合計431 万2980円から、19-1に275万2980円、19-2に12万円、19-3・4に各72万円(ただし、60万円の限度。)を、それぞれに生じた損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告19-1に15万7350円(4万1050円と ADR手続分11万6300円)、19-2に1万8000円、19-3・4 に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号19の認容額欄記 )、19-2に1万8000円、19-3・4 に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号19の認容額欄記載のとおりである。 18 一審原告20 (1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅・面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決312頁21行目から314頁3行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告20-1・3~6の埼玉県への避難については、避難の相当性が認められ、埼玉県への避難にかかる避難交通費及び避難又は滞在に関する慰謝料は、本件事故と相当因果関係がある損害と認めるが、平成24年1月にした京都市への避難については、避難の相当性が認められず、これに関する支出は、本件事故と相当因果関係がある損害とはいえない(一審 被告東電との間で和解が成立しているものを除く。)。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号20記載のとおりである。 なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D20の8の1)を根拠とした認定である。 イ平成23年分生活費増加費用及び移動費用一審原告20-1・3~6が避難に要した費用のうち、平成23年12月31日までに生じた生活費増加費用及び移動費用は、本件事故と相当因果関係があると認められ、かかる損害額は合計172万円と認めるのが相当であり、20-1に164万円、20-7・8に各4万円生じた損害と 認める。 ウ避難費用 避難交通費一審原告20-1・3~6の のが相当であり、20-1に164万円、20-7・8に各4万円生じた損害と 認める。 ウ避難費用 避難交通費一審原告20-1・3~6の埼玉県への避難に要した交通費は、前記平成23年分生活費増加費用及び移動費用に含まれる。 京都市への避難に要した交通費については、その金額を6万2400 円として一審被告東電との間で和解が成立しており、これを本件事故と相当因果関係のある損害とし、20-1に生じた損害と認める。上記金額を超えて、本件事故と相当因果関係がある避難交通費が生じたと認めるに足りる証拠はない。 面会交通費 京都市への避難に伴い、平成24年3月から平成27年3月までに、一審原告20-1~6及び20-1の母が一時帰宅や面会に要した費用については、その金額を99万2378円として一審被告東電との間で和解が成立しており、これを本件事故と相当因果関係のある損害として、20-1に生じた損害と認める。上記金額を超えて、本件事故と相当因 果関係がある面会交通費が生じたと認めるに足りる証拠はない。 避難雑費京都市への避難に伴い、平成24年1月1日から同年6月12日までに、一審原告20-1・4~6に生じた避難雑費については、その金額を213万円として一審被告東電との間で和解が成立しており、これを 本件事故と相当因果関係のある損害として、20-1に生じた損害と認める。上記金額を超えて、本件事故と相当因果関係がある避難雑費が生じたと認めるに足りる証拠はない。 エ生活費増加費用 家財道具購入費用 一審原告20-1・4~6が京都市への避難の際に要した家財道具購 生じたと認めるに足りる証拠はない。 エ生活費増加費用 家財道具購入費用 一審原告20-1・4~6が京都市への避難の際に要した家財道具購 入費用については、その金額を30万円として一審被告東電との間で和解が成立しており、これを本件事故と相当因果関係のある損害として、20-1に生じた損害と認める。上記金額を超えて、本件事故と相当因果関係がある家財道具購入費用が生じたと認めるに足りる証拠はない。 生活費増加費用(二重生活に伴う) 一審原告20-1・3~6が、平成24年1月1日から平成27年3月末までに、京都市に避難することにより生じた生活費増加費用については、その金額を117万円として一審被告東電との間で和解が成立しており、これを本件事故と相当因果関係のある損害として、20-1に生じた損害と認める。上記金額を超えて、本件事故と相当因果関係があ る生活費増加費用が生じたと認めるに足りる証拠はない。 オ就労不能損害一審原告20-1は、生命保険会社において営業職をして、本件事故前には98万2384円(平成23年分、月額8万1865円)の収入を得ていたが、平成23年12月に退職したことが認められる。一審原告20 -1と一審被告東電との間では、平成24年1月1日から同年6月12日までを対象期間とし、就労不能損害を44万0194円とする和解が成立しており、これを20-1に生じた損害と認める。上記金額を超えて、20-1に本件事故と相当因果関係がある就労不能損害が生じたと認めるに足りる証拠はない。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告20-1・3~8は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並び 関係がある就労不能損害が生じたと認めるに足りる証拠はない。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告20-1・3~8は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料としては、20-1・7・8は各30万円、20-3~6は各60万円が相当である。 一審原告20-1~8は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情 を主張するが、いずれの事情も、本件事故と相当因果関係が認められない か、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 20-2は、本件事故当時中国に単身赴任中であり、帰国が平成26年3月であるから、自主的避難等対象区域の居住者とはいえず、慰謝料は認められない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、直接請求により、一審原告20-1・7・8に各12万円、20-3~6に各72万円を支払っていることが認められ、また、ADR手続において、20-1~8に合計796万7021円(うち264万円(20-1・7・8への各8万円、20-3~6への各60万円の合計額)が既払金として控除され、532万7021円が支払われている。)を支払っ ている(争いがない)。これら既払金合計856万7021円から、20-1に536万7021円、20-3~6に各72万円(ただし各60万円の限度。)、20-7・8に各16万円を、それぞれに生じた損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用 弁護士費用は、一審原告20-1に39万8844円(16万6795円とADR手続分23万2049円の合計額)、20-2~6に各0円、20-7・8に各1万8000円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告 DR手続分23万2049円の合計額)、20-2~6に各0円、20-7・8に各1万8000円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号20の認容 額欄記載のとおりである。 19 一審原告21(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅・面会交流の経過については、原判決317頁18行目から318頁12行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要一審原告21-1・3・4の神奈川県への避難及び21-1~4の京都市への避難は、いずれも本件事故と相当因果関係があると認められるところ、それに伴う損害のうち、神奈川県への避難にかかる避難交通費及び21-1・3・4が当初避難をした日を含む月である平成23年3月から平 成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号21記載のとおりである。 イ避難費用 避難交通費 一審原告21-1・3・4の神奈川県への避難及び21-1~4の京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正した額で、別紙避難経路等一覧表の原告番号21記載のとおり、合計8万0800円(4万6400円+2万2400円+1万2000円の合計 額)と認めるのが相当である。これを21-2に生じた損害と認める。 一審原告21は、標準交通費一覧表の額から減額する理由はない旨主張するが、避難に要した交通費の額を具体的に立証しない以上、その金額は控えめな額とせざるを得ず、標準交通費一覧 に生じた損害と認める。 一審原告21は、標準交通費一覧表の額から減額する理由はない旨主張するが、避難に要した交通費の額を具体的に立証しない以上、その金額は控えめな額とせざるを得ず、標準交通費一覧表記載の金額を基礎としてその8割相当額とするのが合理的である。 引越費用a 一審原告21-1・3・4が京都市へ避難する際、物品の運送費として1万5000円を要したことが認められる(甲D21の6の1~3、弁論の全趣旨)。これについても、本件事故と相当因果関係のある損害といえ、21-1に生じた損害と認める。 b 一審原告21-2が京都市へ避難する際、引越代金16万円を要し たことが認められる(甲D21の6の9)。これについても、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、21-2に生じた損害と認める。 一時立入費用・祖母交通費一時立入(帰宅)費用・祖母交通費については、本件事故と相当因果 関係がある損害であるとはいえない。 一審原告21は、平成23年12月には、祖母の葬儀出席のための帰宅であり、本件事故と相当因果関係がある旨主張するが、そうであったとしても、冠婚葬祭や帰省のための帰宅費用は、帰宅の目的が様々な趣旨を含んでいることが多いと考えられ、そのような帰宅費用を、本件事 故と相当因果がある損害であるとはいえない。 また、平成24年7月に、一審原告21-1の実母が京都に赴いた交通費、宿泊費(5万6000円)についても、本件事故と相当因果関係のある支出であるとはいえない。 一審原告21-1・2は、福島県二本松市内に所有する不動産を、平 成25年7月10日に売却していることが認められるが(甲D21の3の2)、平成 当因果関係のある支出であるとはいえない。 一審原告21-1・2は、福島県二本松市内に所有する不動産を、平 成25年7月10日に売却していることが認められるが(甲D21の3の2)、平成24年7月に21-2が京都市に避難した後も、当該不動産の管理を行い、売却手続にも関与する必要があったものといえ、平成24年8月、同年10月及び平成25年7月にそれぞれ公共交通機関を利用して一時帰宅することも合理的であるといえる。したがって、これら に要した帰宅費用については、本件事故と相当因果関係がある損害であると認める。その金額は、標準交通費一覧表(自家用車以外)の金額を修正した2万0800円が相当であり、3往復分の12万4800円を認め、これを21-1の損害と認める。 面会交通費 一審原告21-2が、21-3・4との面会交流に要した費用のうち、 別紙避難経路等一覧表の原告番号21記載のとおり、平成23年6月から平成24年6月頃までの間に要したと認められる合計58万2400円は、本件事故と相当因果関係のある損害と認め、これを21-2に生じた損害と認める。その余の面会交通費については、損害が生じたとはいえないか、本件事故と相当因果関係がある損害であるであるとはいえ ない。 避難雑費一審原告21-1~4の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。そして、一審原告 21-1~4の避難期間である平成23年3月(21-2については平成24年7月)から平成25年2月28日までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度において、損害と認めるのが相当である。したがっ 21-1~4の避難期間である平成23年3月(21-2については平成24年7月)から平成25年2月28日までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度において、損害と認めるのが相当である。したがって、上記合計80万円を避難雑費として認め、これを21-1に生じた損害と認める。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告21-1~4が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、前記のとおり世帯分離していたことも踏まえると、かかる損害額は30万円と認めるのが相当 であり、これは21-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(二重生活)平成23年3月から一審原告21-2が避難した平成24年7月までの間、21-1・3・4と21-2は別居しており、世帯分離により水道光熱費等の生活費が増加したものと認められる。したがって、世帯分 離による生活費増加費用として、平成23年3月から平成24年7月3 1日までの間、1か月当たり2万円を認め、合計34万円について、21-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(賃料)一審原告21-1は、本件事故による避難に際し、賃料を支出した旨主張するが、避難後2年間は賃料が免除され、平成25年5月以降に支 出したものであること(甲D21の1の1)からすれば、本件事故と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 エ就労不能損害 一審原告21-1について一審原告21-1は、パートとして稼働し、本件事故前の年収は91 万6200円(平成22年分。月額7万6350円)であったと認められる(甲D21の4の1)。そ 告21-1について一審原告21-1は、パートとして稼働し、本件事故前の年収は91 万6200円(平成22年分。月額7万6350円)であったと認められる(甲D21の4の1)。そして、平成24年7月には、21-2も京都に避難し、その後は京都市での生活が予定されており、もはや一時的な避難とはいい難い状況であったことに鑑みると、10件以上の求人面接を受けたが断られたこと(甲D21の1の1)を考慮しても、その全 期間について、全額を就労不能損害として評価することはできない。そして、これらの事情を考慮し、平成23年3月から同年8月までの6か月は全額の就労不能損害を認め、同年9月から平成25年2月までの18か月間は半額の就労不能損害を認めるのが相当である。したがって、就労不能損害としては、114万5250円(7万6350円×6+7 万6350円÷2×18)を認めるのが相当である。 一審原告21-2について一審原告21-2は、プロパンガスの販売に従事し、本件事故前の年収は358万6928円(平成22年分。月額29万8911円)であったと認められる(甲D21の4の2)。そして、避難後である平成25 年4月からは、木製ストーブの販売及び設置の仕事に従事したことが認 められ(甲D21の1の1)、それまでの間も、就労できなかった期間があることはうかがわれるものの、その期間は1か月を除いて不明であり、また、就労していた期間については、賃金の減少等を認めるに足りる証拠はない。そうすると、1か月間の就労不能損害として、29万8911円を認めるのが相当である。 オ放射線検査費用一審原告21-1は、周囲の放射線量を検査するため、ガイガーカウンター購入費用として4万 、1か月間の就労不能損害として、29万8911円を認めるのが相当である。 オ放射線検査費用一審原告21-1は、周囲の放射線量を検査するため、ガイガーカウンター購入費用として4万9500円を支出したことが認められる(甲D21の7の1)。本件事故当時、自主的避難等対象区域に居住していた21-1が、周囲の放射線量を測定し、身体への影響等の不安を解消するために 検査することは相当であるから、前記購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。これを返品に至ったと認めるに足りる証拠はない。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告21-1~4は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件 事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、21-1・2は各30万円、21-3・4は各60万円が相当である。 一審原告21-1~4は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、いずれの事情も、本件事故と相当因果関係が認められないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告21-1・2に各12万円、21-3・4に各72万円を支払っているところ(争いがない。)、これら既払金をそれぞれの損害額(ただし、21-3・4は60万円の限度。)に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用 弁護士費用は、一審原告21-1に29万5455円、21-2に13万0211円、21-3・4に各0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号21の認容額欄記載のとおりである。 20 一審原告22(1) 世帯の概要、避難の経緯、面 認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号21の認容額欄記載のとおりである。 20 一審原告22(1) 世帯の概要、避難の経緯、面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決322頁24行目から324頁4行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。なお、一審原告22-1・3は、平成26年6月に福島県郡山市に帰還した。 (2) 損害額ア概要一審原告22-1・2の茨城県への避難及び22-1・3の京都市への避難はいずれも避難の相当性が認められるところ、それに伴う損害のうち、茨城県への避難にかかる交通費及び22-3の出産のために避難が遅れ ることもやむを得なかったといえることに鑑み、京都市への避難の日を含む月から2年間である平成26年1月31日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号22記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、 ADR手続における和解額(甲D22の8の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費一審原告22-1・2の茨城県への避難及び22-1・3の京都市への避難に要した各交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認め られる。このうち、京都市への避難に要した費用は、別紙避難経路等一 覧表の原告番号22記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正した合計3万1200円と認めるのが相当であり、これは22-1に生じた損害と認められる。平成23年3月の茨城県への避難費用は、後 2記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正した合計3万1200円と認めるのが相当であり、これは22-1に生じた損害と認められる。平成23年3月の茨城県への避難費用は、後記の平成23年生活費増加費用及び移動費用(84万円)の範囲内であって、これを超える損害は認められない。 滞在費(宿泊費)一審原告22-1・2の茨城県への避難の際、親族方に滞在した謝礼として2万4000円を要したことが認められる(甲D22の1の1)。 これについても、後記平成23年生活費増加費用及び移動費用に含まれていると解され、これを超える損害は認められない。 面会交通費一審原告22-1~3が一時帰宅や面会に要した費用については、別紙避難経路等一覧表の原告番号22記載のとおり、54万0800円の限度で本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、22-1に生じた損害と認める。その余の一時帰宅・面会交通費については、本件事故 と相当因果関係があるとはいえない。 平成23年分生活費増加費用及び移動費用一審原告22-1・2が避難に要した費用のうち、平成23年12月31日までに生じた生活費増加費用及び移動費用は、本件事故と相当因果関係があり、その額は合計84万円と認めるのが相当であって、これ を22-1に生じた損害と認める。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告22-1・3が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、22-1・3と22- 2に世帯分離していたことも踏まえると、かかる損害額は30万円と認 めるのが相当であり、これを22-1に生 、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、22-1・3と22- 2に世帯分離していたことも踏まえると、かかる損害額は30万円と認 めるのが相当であり、これを22-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(二重生活)平成24年2月から一審原告22-1・3と22-2は別居しており、世帯が分離して生活することになったのであるから、水道光熱費等の生活費が増加したものと認められる。世帯分離による生活費増加費用とし て、平成24年2月から平成26年1月31日までの間、1か月あたり2万円とし、合計48万円について22-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(共益費及び住居関連費用)一審原告22-1・3が避難生活の際に要した共益費及び除草代は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その合計額は1万8 800円であり、これは22-1に生じた損害と認める。 エ就労不能損害一審原告22-1は、避難前、会社員として勤務し、本件事故当時は産前・産後休暇、育児休業を経て、平成24年6月頃に復職する予定であったところ、本件事故による避難によって就労が困難となったものと認めら れるから、就労不能損害として、合計106万3242円を認める。 オ避難雑費一審原告22-1・3の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。避難雑費としては、一審 原告22-1・3の避難期間である平成24年2月から平成26年1月末までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度で損害と認めるのが相当である。その合計額48万円を避難雑費として認め は、一審 原告22-1・3の避難期間である平成24年2月から平成26年1月末までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度で損害と認めるのが相当である。その合計額48万円を避難雑費として認め、これを22-1に生じた損害と認める。 カ精神的損害(慰謝料) 一審原告22-1・2は、本件事故当時、自主的避難等対象区域の居住 者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、22-1は本件事故当時に妊婦であったことから60万円、22-2は30万円、22-3は本件事故当時胎児であり出生後避難した者であったことから30万円が相当である。 一審原告22-1~3は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情 を主張するが、いずれの事情も、本件事故と相当因果関係が認められないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告22-1に64万円、22-2に12万円、22-3に72万円を、ADR手続において、22-1~3 に410万5520円(うち128万円(22-1・3への各60万円、22-2への8万円の合計額)は既払いとして控除されているため、282万5520円)を支払っているところ(甲D22の8の1、乙D22の4、弁論の全趣旨)、これら既払金合計430万5520円から、22-1に346万5520円、22-2に12万円、22-3に72万円(ただし、30万円 の限度。)を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、22-1に20万8430円(8万8852円とADR手続分11万9578円の合計額)、22-2に1万8000円、22-3に0円を、それぞれ相当 る。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、22-1に20万8430円(8万8852円とADR手続分11万9578円の合計額)、22-2に1万8000円、22-3に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号22の認容額欄記載のとおりである。 21 一審原告23(1) 世帯の概要、避難の経緯、面会交流の経過及びADR手続における和解に ついては、原判決327頁18行目から328頁25行目までに記載のとお りであるから、これを引用する。 なお、一審原告23-2は死亡し、子である23-3が同人を相続し、その訴訟手続を承継している。 (2) 損害ア概要 一審原告23-1~3・5の京都市への避難は相当性が認められ、京都市へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号23記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、 証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D23の8の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費一審原告23-1~3・5が京都市への避難に要した交通費(23- 2・3の福島県いわき市への帰宅費用を含む。)は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号23記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正した額等により合計7万2800円(5万0400円と2万2400円の合計額)を23-1に生じた損害と認め 経路等一覧表の原告番号23記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正した額等により合計7万2800円(5万0400円と2万2400円の合計額)を23-1に生じた損害と認める。なお、平成24年5月に要 した交通費2万2400円は、面会交流交通費ではなく、避難費用としての交通費に含める。 滞在費(宿泊費)一審原告23-1~3・5が避難生活の際に要した宿泊費のうち6万4500円は、本件事故と相当因果関係のある損害として、これを23 -1に生じた損害と認める。その余の費用については、損害が生じたと 認めるに足りる証拠はない。 面会交通費一審原告23-1・3・5が一時帰宅や面会に要した費用については、別紙避難経路等一覧表の原告番号23記載のとおり、65万4400円の限度で本件事故と相当因果関係のあるものとして、23-1に生じた 損害と認める。その余の一時帰宅・面会交通費については、損害が生じたとは認められない。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告23-1・2・5が避難生活の際に要した家財道具購入費用 は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、23-3と23-1・2・5が別居して世帯分離が生じていたことを踏まえると、その損害額は30万円と認めるのが相当であり、これは23-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用一般 平成23年3月から、一審原告23-3と23-1・2・5の世帯が分離して生活することになったのであるから、水道光熱費等の生活費が増加したものと認められる。世帯分離による生活費増加費用として、世帯分離していた平成23年3月から平成25 と23-1・2・5の世帯が分離して生活することになったのであるから、水道光熱費等の生活費が増加したものと認められる。世帯分離による生活費増加費用として、世帯分離していた平成23年3月から平成25年2月28日までの間、1か月当たり2万円(ただし平成24年6月まで月額3万円)の割合による 合計64万円(3万円×16か月+2万円×8か月)について23-1に生じた損害と認める。 住居関連費用(駐車場代及び共益費)一審原告23-1・2・5が避難生活の際に要した駐車場代及び共益費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、駐車場代5万3 500円及び共益費7800円の合計6万1300円について、23- 1に生じた損害と認める。その余の費用について、損害が生じたと認めるに足りる証拠はない。 エ介護施設利用料一審原告23-2の介護施設利用料は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、その費用24万4125円を23-1に生じた損害と認 める。 オ避難雑費一審原告23-1・2・5の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。避難雑費としては、 23-1・2・5の3名が避難していた平成23年3月から平成24年5月31日までの間及び23-1・5の2名が避難していた同年6月から平成25年2月28日までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度で損害と認めるのが相当であり、合計63万円(3万円×15か月+2万円×9か月)について、23-1に生じた損害と認める。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告23-1~5は、自主的避難等 るのが相当であり、合計63万円(3万円×15か月+2万円×9か月)について、23-1に生じた損害と認める。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告23-1~5は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、23-1~3は各30万円、23-5は60万円が相当である。23-4は、進学のため居住地から移動しており、本件事故による恐怖及び不安を感じた のは、移動をした平成23年3月28日までであり、避難生活の苦痛も認められないことから、避難時18歳の子どもであることを考えても、その慰謝料は20万円が相当である。 一審原告23-1~5は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、いずれの事情も、本件事故と相当因果関係が認められない か、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告23-1~3に各12万円、23-4に64万円、23-5に72万円を支払い、ADR手続においても、23-1~5に295万0667円(うち144万円(23-1~3に対する各8万円、23-4・5に対する各60万円の合計額)は既払いとして控 除され、151万0667円のみ支払われている。)を支払っている(争いがない。)。これら既払金合計323万0667円のうち、23-1に163万0667円、23-2・3に各12万円、23-4に64万円(ただし20万円の限度)、23-5に72万円(ただし60万円の限度。)を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告23-1に21万9588円(13万3646円とADR手続分8万5942円)、23- 限度。)を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告23-1に21万9588円(13万3646円とADR手続分8万5942円)、23-2・3に各1万8000円、23-4・5に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ 以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号23の認容額欄記載のとおりである。 一審原告23-2は死亡し、23-3が23-2を相続しているから、23-3の認容額は、23-2及び23-3の各認容額欄に記載の金額の合計額となる。 22 一審原告24(1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅・面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決332頁18行目から333頁23行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要 一審原告24-1~4の新潟県及び京都市への避難は相当であると認められるところ、それに伴う損害のうち、新潟県への避難にかかる避難交通費及び24-2~4が京都市へ避難した日を含む月である平成23年7月から平成25年6月30日までの2年間に生じた損害を、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別 紙損害額等一覧表の原告番号24記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(乙D24の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費 一審原告24-1~4が新潟県及び京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の イ避難費用 交通費 一審原告24-1~4が新潟県及び京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号24記載のとおり、その損害額は合計30万6685円となり、これは24-1に生じた損害と認める。 滞在費(宿泊費) 一審原告24-2・3が避難生活の際に要した宿泊費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、その損害額は合計18万5944円として、これは24-1に生じた損害と認める。 一時帰宅(立入)費用一審原告24-1~4が避難生活の際に要した一時帰宅(立入)費用 は、別紙避難経路等一覧表の原告番号24記載の範囲で本件事故と相当因果関係のある損害といえ、その合計額61万9200円は24-1に生じた損害と認める。その余の一時帰宅(立入)費用については損害が生じたとは認められない。 面会交通費 一審原告24-1~4が面会に要した費用は、別紙避難経路等一覧表 の原告番号24記載の範囲で本件事故と相当因果関係のある損害といえ、その合計額54万0800円は24-1に生じた損害と認める。その余の面会交通費については損害が生じたとは認められない。 ウ生活費増加費用 二重生活に伴う生活費増加費用 一審原告24-2~4が京都市に避難した平成23年7月から、24-1が京都市へ避難した平成24年10月までの間、24-1と24-2~4が別居し、世帯分離が生じたことにより、水道光熱費等の生活費が増加したものと認められる。世帯分離による生活費増加費用として、合計48万円を24-1に生じた損害と認める。 の間、24-1と24-2~4が別居し、世帯分離が生じたことにより、水道光熱費等の生活費が増加したものと認められる。世帯分離による生活費増加費用として、合計48万円を24-1に生じた損害と認める。 家財道具購入費用一審原告24-2~4が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、世帯が分離したことを踏まえると、その損害額は30万円とするのが相当であり、24-1に生じた損害と認める。 避難雑費一審原告24-1~4は、避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。24-1~4が避難していた間(24-1は平成24年10月以降に限る。)、避難雑費 合計149万円について、24-1に生じた損害と認める。 エ就労不能損害一審原告24-1は、平成23年に年収434万7023円(月額36万2252円)を得ていたが(甲D24の1、24の4の1、24の4の2の1・2)、避難時に退職し、避難先においては、平成25年9月に就労 したことが認められる。平成24年10月から避難の期間として認める平 成25年6月30日までの間のうち、当初の6か月間である同年3月までは、避難前の収入を基礎として、その全額を就労不能損害と認め、同年4月から同年6月までは、その半額を就労不能損害と認める。その額は、271万6890円(36万2252円×6か月+36万2252円÷2×3か月)となる。 オ検査費用一審原告24-3・4は、被ばくの身体への影響について検査を受け、検査費用として合計4030円を支出したこと ×6か月+36万2252円÷2×3か月)となる。 オ検査費用一審原告24-3・4は、被ばくの身体への影響について検査を受け、検査費用として合計4030円を支出したことが認められる(甲D24の7)。本件事故当時、自主的避難等対象区域に居住していた24-3及び胎児であってその後出生した24-4が、これらの検査を受けることは相当 であり、その検査費用の支出は、本件事故と相当因果関係のあるものとして、24-1に生じた損害と認める。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告24-1~3は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料としては、24 -1は30万円、24-2・3は各60万円、24-4は本件事故当時胎児であり、出生後に避難した者であるから30万円が相当である。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、24-1に12万円、24-2に64万円、24-3・4に各72万円を支払っており、ADR手続においても、 24-1~4に705万9446円(うち188万円(24-1に対する8万円、24-2~4に対する各60万円)は既払金として控除され517万9446円のみ支払われている。)を支払っている(争いがない。)。これら既払金合計737万9446円から本件では請求されていない駐車場代分11万5260円を控除し、残額726万4186円のうち、24-1に518 万4186円、24-2に64万円(ただし、60万円の限度。)、24-3 に72万円(ただし、60万円の限度。)、24-4に72万円(ただし、30万円の限度。)を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一 に72万円(ただし、60万円の限度。)、24-4に72万円(ただし、30万円の限度。)を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告24-1に38万1551円(17万5936円とADR手続分20万5615円の合計額)、24-2~4に各0円を、それぞれ 相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号24の認容額欄記載のとおりである。 23 一審原告25 (1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅・面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決337頁14行目から338頁19行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害額ア概要 一審原告25-1~5の福島県会津若松市への避難及び京都市への避難は、いずれも相当であると認められるところ、これらに伴う損害のうち、福島県会津若松市への避難交通費及び25-2~5が京都市へ避難した日を含む月である平成23年7月から平成25年6月30日までの2年間に生じた損害は、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。当裁判 所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号25記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D25の8の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費 一審原告25-1は、平成25年3月に25-1が京都市への避難に要した交通費を損害であると主張するところ、当該避難は相当性が認められ、その交通費は本件事故と相当因果関係のある損害といえる。 一審原告25-1は、平成25年3月に25-1が京都市への避難に要した交通費を損害であると主張するところ、当該避難は相当性が認められ、その交通費は本件事故と相当因果関係のある損害といえる。その金額は、標準交通費一覧表(自家用車)の額を修正し、別紙避難経路等一覧表の原告番号25記載のとおり合計2万2400円とし、これは2 5-1に生じた損害と認める。 引越費用一審原告25-1の京都市への避難は、本件事故と相当因果関係があるが、一審原告25-1が主張する引越費用は、避難とは時期を異にし、平成25年7月以降に支出されたものであり(甲D25の7の1)、本件 事故による損害と認めることはできない。 面会交通費一審原告25-1が、平成23年7月から平成25年3月までの間に、25-3~5との面会交流のために要した費用のうち、別紙避難経路等一覧表の原告番号25に記載のものについては、本件事故と相当因果関 係のある損害と認める。これらのうち、平成23年に生じたものについては、下記平成23年分生活費増加費用及び移動費用に含まれる分を超えて損害が生じているとは認められない。平成24年1月から平成25年3月までに生じたものについては、標準交通費一覧表(自家用車以外)の額を修正した額により、合計54万0800円の限度で25-1に生 じた損害と認める。なお、一審原告25-1は、多くは高速バスを利用し、その運賃は上記一覧表から減額した金額よりも更に安価(往復で2万0180円程度)であったと認められ(甲D25の3の9~18・21~23。)、新幹線を利用した場合であっても、その運賃等の額は上記一覧表から減額した金額を下回ることがうかがわれるが(甲D25-3 -19・20) ったと認められ(甲D25の3の9~18・21~23。)、新幹線を利用した場合であっても、その運賃等の額は上記一覧表から減額した金額を下回ることがうかがわれるが(甲D25-3 -19・20)、他の一審原告らとの衡平から、標準交通費一覧表(自家 用車以外)の額を修正した額により損害を認める。その余の面会交通費については、損害が生じたとは認められない。 避難雑費一審原告25-2~5の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じており、これらの支出についても本件事故 と相当因果関係があると認められる。25-2~5が避難していた期間のうち平成23年分については、後記平成23年分生活費増加費用及び移動費用に含まれる分を超えて損害が生じているとは認められないが、平成24年1月から平成25年6月末日までの間(25-1は平成25年3月以降)、1か月当たり1名につき1万円の限度において、損害と認 めるのが相当であり、合計76万円(4万円×14+5万×4)について25-1に生じた損害と認める。 動産損害一審原告25-1~5は、避難により自宅が狭小になったため家財道具を廃棄した旨主張するが、その内容は詳らかでなく、損害が発生した とは認められない。 ウ生活費増加費用 家財道具運搬費用一審原告25-2~5が避難生活の際に要した家財道具運搬費用を補うために支出した費用1200円は、本件事故と相当因果関係のあるも のとして、25-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(二重生活)一審原告25-2~5の避難により、平成23年7月から25-1と別居し、世帯分離が生じ、水道光熱費等の生活費が増加した 1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(二重生活)一審原告25-2~5の避難により、平成23年7月から25-1と別居し、世帯分離が生じ、水道光熱費等の生活費が増加したものと認められる。平成23年7月から12月については、後記平成23年分生活 費増加費用及び移動費用に含まれる分を超えて損害が生じているとは認 められないが、平成24年1月以降について合計36万円を25-1に生じた損害と認める。 家財道具購入費用一審原告25-2~5が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、前記のとおり世帯分離 が生じていたことを踏まえると、その額は30万円として、25-1に生じた損害と認められる。一審原告25-1は、家財道具の購入に関する領収書等を提出するが(甲D25の7の2~25の7の26)、いずれも平成27年の転居に伴うものであり、これらを本件事故と相当因果関係がある損害であるとはいうことはできない。 検査費用一審原告25-1~5は、被ばくの身体への影響を検査するため、検査費用として3万5560円を支出したことが認められる(甲D25の7の45~57)。本件事故当時、自主的避難等対象区域に居住していた一審原告25-1~5が放射線による身体への影響を不安に思い、検査 を受けることは相当であり、その検査費用は本件事故と相当因果関係があるものとして、25-1に生じた損害と認める。 エ平成23年分避難費用及び生活費増加費用一審原告25-1~5が避難に要した費用のうち、平成23年12月31日までに生じた生活費増加費用及び移動費用は本件事故と相当因果関 係があるものといえ、その損害額合 難費用及び生活費増加費用一審原告25-1~5が避難に要した費用のうち、平成23年12月31日までに生じた生活費増加費用及び移動費用は本件事故と相当因果関 係があるものといえ、その損害額合計128万円を25-1に生じた損害と認める。 オ就労不能損害一審原告25-2は公立学校教員として勤務しており、平成22年の年収は432万3423円(月額36万0285円)であったこと、本件事 故当時は育児休業を取得しており、育児休業の期間は平成24年3月31 日までを予定していたこと、その後育児休業の期間を平成25年6月30日まで延長したこと、育児休業中の平成23年7月頃まで育児休業手当金を受給していたこと、平成25年3月31日に退職したことが認められる(甲D25の4の1~6)。これらの事実によれば、25-2は、平成24年4月1日に復職する予定であったが、本件事故による避難に伴って復職 が困難になり、退職したものと認められる。そして、公立学校教員として育児休業中であるから、兼業禁止の点からして、他の仕事に従事することも困難であったと推測されるから、平成24年4月から平成25年6月30日までの間は、避難に伴い就労が困難となっていたものということができ、避難前の基礎収入(月額36万0285円)を基準として、540万 4275円(=36万0285円×15)の就労不能損害が認められる。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告25-1~5は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料としては、25-1・2は各30万円、25-3~5は各60万円が相当である。 一審原告25-1~5は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、いずれの事 難生活の苦痛への慰謝料としては、25-1・2は各30万円、25-3~5は各60万円が相当である。 一審原告25-1~5は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、いずれの事情も、本件事故と相当因果関係が認められないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告25-1・2に各12万円、 25-3~5に各72万円を支払い、ADR手続においても、25-1~5に586万4311円(うち196万円(25-1・2への各8万円、25-3~5への各60万円)は直接請求により既払いとして控除され、390万4311円のみ支払われている。)を支払っていることが認められる(甲D25の8の1、乙D25の3、弁論の全趣旨)。これら既払金合計630万4 311円は、25-1に170万1205円、25-2に244万3106 円(就労不能損害弁済分232万3106円と12万円)、25-3~5に各72万円(ただし、各60万円の限度。)を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告25-1に36万0681円(18万9876円 とADR手続分17万0805円)、25-2に32万6117円、25-3~5に各0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号25の認容額欄記載のとおりである。 24 一審原告26(1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅・面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決343頁12行目から344頁17行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 避難の経緯、一時帰宅・面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決343頁12行目から344頁17行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要一審原告26-1~5の神奈川県への避難及び京都市への避難は、いずれも避難の相当性が認められるところ、それに伴う損害のうち、神奈川県への避難にかかる避難交通費及び京都市へ避難した日を含む月である平成23年6月から平成25年5月31日までの2年間に生じた損害を相 当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号26記載のとおりである。なお、下記で定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D26の8の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費 一審原告26-1~5の神奈川県への避難及び京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、標準交通費一覧表(自家用車)の額を修正した額により、別紙避難経路等一覧表の原告番号26記載のとおり合計7万8400円(4万4800円と3万3600円の合計額)と認め、これを26-1に生じた損害と認める。 一審原告26-1~5は、標準交通費一覧表から減額すべきでなく、かつ神奈川県への避難は新潟県を経由せざるを得なかったのであるから、その経路に沿った計算をすべきである旨主張するが、避難費用として標準交通費一覧表記載の金額を要したと認めるに足りる証拠はない。 避難先滞在謝礼 避難先滞在謝礼については、損害の発生の事実が認められず、仮に支払の事実があったとして 準交通費一覧表記載の金額を要したと認めるに足りる証拠はない。 避難先滞在謝礼 避難先滞在謝礼については、損害の発生の事実が認められず、仮に支払の事実があったとしても、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 引越費、手伝親族交通費一審原告26-2~5が京都市へ避難する際、引越代金2万6750 円を要したことが認められ(甲D26の6の2)、これを26-1に生じた損害と認める。その余の引越費、手伝親族交通費については、損害発生の事実を認めるに足りる証拠がない。 一時立入・家族面会費用一審原告26-1~5が要した一時帰宅、面会交流のために要した交 通費のうち、26-3~5が福島県郡山市に帰還するために要した費用については、本件事故と相当因果関係がある損害とは認められない。これに対して、26-2が26-3~5の避難先である京都市へ訪問するのに要する費用については、1か月に1回程度の割合の範囲で本件事故と相当因果関係のある損害と認める。以上を踏まえて、標準交通費一覧 表(自家用車以外)の額を修正した額により、別紙避難経路等一覧表の 原告番号26記載のとおり、合計45万7600円を26-2に生じた損害と認める。その余の一時帰宅・面会交通費については、損害が生じたとは認められないか、本件事故と相当因果関係のある損害とはいえない。 ウ生活費増加費用 生活費増加費用(二重生活)平成23年6月に一審原告26-2~5と26-1が別居し、世帯分離が生じたことにより、水道光熱費等の生活費が増加したものと認められる。世帯分離していた平成23年6月から平成25年5月31日までの間、1 23年6月に一審原告26-2~5と26-1が別居し、世帯分離が生じたことにより、水道光熱費等の生活費が増加したものと認められる。世帯分離していた平成23年6月から平成25年5月31日までの間、1か月当たり2万円を二重生活による生活費の増加分として認め、 その合計額48万円について、26-2に生じた損害と認める。 生活費増加費用(自治会費)一審原告26-2~5が避難生活の際に要した自治会費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、6865円を26-2に生じた損害と認める。 避難雑費一審原告26-1~5の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。そして、避難期間である平成23年6月から平成25年5月31日までの間(26-1は 同月分のみ)、1か月当たり1名につき1万円の割合により、合計97万円を26-2の損害と認める。 エ精神的損害(慰謝料)一審原告26-1~5は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、26- 1・2は各30万円、26-3~5は各60万円が相当である。 一審原告26-1~5は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、いずれの事情も、本件事故と相当因果関係が認められないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告26-1・2に各12万円、 26-3~5に各67万円を支払っており、ADR手続においても、26-1~5に60万5198円を支払っているところ 金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告26-1・2に各12万円、 26-3~5に各67万円を支払っており、ADR手続においても、26-1~5に60万5198円を支払っているところ(争いがない。)、これら既払金合計285万5198円から、26-1に12万円、26-2に72万5198円、26-3~5に各67万円(ただし、各60万円の限度。)を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告26-1に2万8515円、26-2に16万6554円(14万8927円とADR手続分1万7627円の合計額)、26-3~5に各0円をそれぞれ相当と認める。 (5) まとめ 以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号26の認容額欄記載のとおりである。 25 一審原告27(1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅・面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決347頁23行目から348頁25行目までに 記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要一審原告27-1~4の京都市への避難は、いずれも相当であると認められるところ、それに伴う損害のうち27-2~4が京都市へ避難した日 を含む月である平成23年8月から平成25年7月31日までの2年間 に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号27記載のとおりである。 なお、下記で定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(乙D27の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費一審 定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(乙D27の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費一審原告27-2~4が平成23年8月に、27-1が平成24年8月に、それぞれ京都に避難した際の交通費は、いずれも本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その合計額は、別紙避難経路等一覧 表の原告番号27記載のとおり合計25万0400円とし、これは27-1に生じた損害と認める。 一審原告27-1~4は、平成23年5月から同年8月までの避難についても、本件事故と相当因果関係のある損害と認めるべきである旨主張するが、これらはごく短期間であったり、生活の拠点を移動するもの でもなく、これらをもって、本件事故と相当因果関係のある避難であると評価することはできない。 また、27-1の平成24年8月の京都市への避難についても、金沢市を経由することを要した事情は見当たらず、標準交通費一覧表(自家用車)の金額を修正した2万2400円と認定するのが相当である。 滞在費(宿泊費)一審原告27-1~4の避難生活の際に要した滞在費は合計1万4100円と認められ、これは本件事故と相当因果関係のある支出として27-1に生じた損害と認める。 引越関連費用 一審原告27-1~4の避難生活の際に要した引越関連費用は合計5 0万6180円と認められ、これは本件事故と相当因果関係のある支出として27-1に生じた損害と認める。 面会交通費一審原告27-1が27-3・4との面会交流に要した費用については、別紙避難経路等一覧表の原告番号27記載 関係のある支出として27-1に生じた損害と認める。 面会交通費一審原告27-1が27-3・4との面会交流に要した費用については、別紙避難経路等一覧表の原告番号27記載の合計54万0800円 の限度で本件事故と相当因果関係のあるものと認め、これは27-1に生じた損害と認める。その余の面会交通費については、本件事故と相当因果関係のある損害であるとは認められない。 一時帰宅費用一審原告27-2~4が避難生活の際に要した一時帰宅費用は、別紙 避難経路等一覧表の原告番号27記載の合計2万2400円の限度で本件事故と相当因果関係のあるものと認め、これは27-1に生じた損害と認める。 避難雑費一審原告27-1~4の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定 し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。そして、避難期間である平成23年8月から平成25年7月31日までの間(27-1は平成24年8月から平成25年7月まで)、1か月当たり1名につき1万円の割合により、合計84万円(3万円×12+4万円×12)を27 -1の損害と認める。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告27-1~4が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。27-1と27-2 ~4に世帯分離が生じていたことを踏まえると、その損害額は30万円 とし、27-1に生じた損害と認めるのが相当である。 家財道具価値喪失費用一審原告27-1は、避難の際に自宅にある家財道具を廃棄し、損害を被った旨主張 とし、27-1に生じた損害と認めるのが相当である。 家財道具価値喪失費用一審原告27-1は、避難の際に自宅にある家財道具を廃棄し、損害を被った旨主張するが、家財道具購入費用として新たに購入する費用を認めていることに加え、廃棄した家財道具の詳細も詳らかでなく、これ をもって本件事故と相当因果関係のある損害が生じたと認めることはできない。 生活費増加費用(二重生活に伴う生活費増加分一般)平成23年8月から平成24年8月までの間、一審原告27-1と27-2~4に世帯分離が生じており、水道光熱費等の生活費が増加した ものと認められる。上記期間について、生活費増加分として合計39万円を認め、これを27-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(自治会費)一審原告27-1は、平成23年8月以降、自治会費として月額1200円を支払っていたことが認められる(甲D27の1の1、27の6 の1)。平成25年7月までの合計2万8800円は、本件事故と相当因果関係のある支出とし、これを27-1の損害と認める。 生活費増加費用(賃料)平成26年5月以降に生じた賃料月額2万円(甲D27の6の2)については、平成25年8月以降に生じたものであり、本件事故と相当因 果関係のある損害とは認められない。 エ不動産損害一審原告27-1は、自宅売却までの間に支払い続けたローンの合計額154万円について、本件事故のために買い手がつくのが遅れたことによる損害である旨主張する。しかし、ローンの支払自体は本件事故の有無に かかわらず一審原告27-1が行わなければならないものである上、そも そも、 買い手がつくのが遅れたことによる損害である旨主張する。しかし、ローンの支払自体は本件事故の有無に かかわらず一審原告27-1が行わなければならないものである上、そも そも、本件事故により売却が遅れたと認めるに足りる証拠はない。また、自主的避難をした場合であっても、自宅を資産として持ち続けることは可能であり、27-1について自宅売却を余儀なくされたというべき特段の事情も認めるに足りないから、仮に27-1に損害が生じたという余地があったとしても、その損害を本件事故と相当因果関係のある損害というこ とはできない。 オ就労不能損害 一審原告27-1について一審原告27-1は、父が経営する洋服店に勤務し、系列会社の役員にもなっており、平成21年に470万円の収入を得ていたが、平成2 2年及び23年は各270万円となり、平成24年1月から9月までについても202万5000円(月額22万5000円)の収入を得ていたものと認められる。 しかし、27-1は、避難後である平成24年9月に退職したものの、避難先で就職し、平成24年9月から12月までに87万0904円(月 額21万7726円)とほぼ同等の収入を得ていることが認められるから(甲D27の1の1、27の4の1~3)、27-1について、本件事故による避難に伴う減収があったとまでは認められない。 27-1は、平成21年に470万円の収入があり、平成22年以降は、貸付金の返済の名目により、実質的には給与の支払を受けていたの であるから、過失金返済名目の金額についても給与と評価すべきである旨主張するが、そのような事実を認めるに足りる証拠はない。 一審原告27-2について一審原告27-2は、2 であるから、過失金返済名目の金額についても給与と評価すべきである旨主張するが、そのような事実を認めるに足りる証拠はない。 一審原告27-2について一審原告27-2は、27-1と同じ洋服店で就労し、平成22年には139万8153円の給与収入を得ていたが、避難のために退職した ことが認められる(甲D27の1の1、27の4の4)。もっとも、平成 24年2月以降は稼働しており、相当額の収入があるものと推認できるから、平成23年8月から平成24年2月までの就労不能損害として、64万0820円を認めるのが相当である。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告27-1~4は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件 事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料としては、27-1・2は各30万円、27-3・4は各60万円が相当である。 一審原告27-1~4は、27-3がPTSDの症状に悩まされ通学や就業も困難な状況にあること、27-1がうつ病にり患して仕事を失ったこと、27-3・4にのう胞が見つかっていることなど、慰謝料額を増額 すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとまではいえず、その他の事情についても、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告27-1・2に各12万円、 27-3・4に各72万円を支払い、ADR手続においても、27-1~4に354万5569円(うち136万円(27-1・2に対する各8万円、27-3・4に対する各60万円の合計額)は直接請求により既払いとして控除され、218万5569円のみ支払われている。)を支払っていることが認められ (うち136万円(27-1・2に対する各8万円、27-3・4に対する各60万円の合計額)は直接請求により既払いとして控除され、218万5569円のみ支払われている。)を支払っていることが認められる(乙D27の1・7、弁論の全趣旨)。これら既払金合計386万 5569円から、27-1に166万4749円、27-2に76万0820円、27-3・4に各72万円(ただし、各60万円の限度。)を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告27-1に25万6062円(15万2793円 とADR手続分10万3269円の合計額)、27-2に1万8000円、2 7-3・4に各0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号27の認容額欄記載のとおりである。 26 一審原告28 (1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅・面会交流の経過については、原判決353頁20行目から354頁8行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告28の京都府への避難は相当であるところ、それに伴う損害のうち、28が京都府へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号28記載のとおりである。 イ避難費用 交通費一審原告28の京都府への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号28記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車)の 交通費一審原告28の京都府への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号28記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車)の額を修正した2万240 0円を本件事故と相当因果関係のある損害と認める。 一審原告28が、平成27年9月30日に新潟県に移転した費用は、京都府への避難時及び本件事故から4年以上経過したものであり、高齢となり、独力での生活が困難になったために生じたものであり、本件事故と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 一時立入費用 一審原告28は、平成23年4月、持ち家を片付ける目的で一時帰還をしており、そのために要した費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。その金額は、標準交通費一覧表(自家用車以外)の額を修正した4万1400円と認める。 ウ生活費増加費用(医療費・看護費用) 一審原告28は、平成27年4月、左上肢壊死性筋膜炎等を発症し、入院費等の治療費や看護者のための家賃を要した旨主張し、上記疾病の発症及びその治療のための入院費等の支出を要した事実は認められる(甲28の7の2(診断書)・3)。しかし、同診断書によっても、その原因は不明とされており、左上肢壊死性筋膜炎等が本件事故によるものであるとは認 められない。したがって、これらの支出を、本件事故と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 エ家財道具喪失損害一審原告28は、家財道具喪失損害を請求するところ、避難に伴う家財道具購入費用について、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。一 審原告28が本件事故前に単身で居住し、避難も単身であったことを踏まえる 、家財道具喪失損害を請求するところ、避難に伴う家財道具購入費用について、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。一 審原告28が本件事故前に単身で居住し、避難も単身であったことを踏まえると、本件事故と相当因果関係のある損害としては、15万円と認めるのが相当である。 一審原告28は、自宅が高濃度に汚染されており、家具の使いまわしもできなかったと主張するが、家具類について使用の継続ができないほど放 射線による汚染がされていたとまでは認められない。 オ就労不能損害一審原告28は、平成6年頃から、福島市で助産所を開設して助産師等として稼働していたことが認められ、平成21年には249万3500円の事業収入があったが、本件事故による避難後は、避難先の京都から福島 県や山形県に出張したものの、事業収入は激減したことがうかがわれる (甲D28の1の1、28の4の1~5)。しかし、避難前の一審原告28の収入を証する書面としては、自ら作成した帳簿(甲D28の4の1)しか見当たらず、その帳簿も、その記載の体裁に照らせば逐一作成していたものとは考え難く、事後的に作成されたものであると推認でき、その記載の正確性には疑問がある。また、記載された金額は、顧客から受領した金 額が記載されているにとどまり、そのために要した経費等の記載もない。 そうであれば、上記帳簿に記載の金額をもって、就労不能損害と認めることはできない。もっとも、一審原告28は、当初から就労不能損害として96万2500円と主張しており(甲D28の1の1)、避難の相当性が認められる2年間の就労不能損害としては、上記金額程度が生じていたとし ても不自然ではなく、平成23年3月から平成25年2月までの就労不能損害として96万2500円 の1の1)、避難の相当性が認められる2年間の就労不能損害としては、上記金額程度が生じていたとし ても不自然ではなく、平成23年3月から平成25年2月までの就労不能損害として96万2500円を認める。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告28は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料としては、30万円が相 当である。 一審原告28は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、一審原告28に対して12万円を支払っており(争いがない。)、これを損害額に充当する。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、13万5630円を相当と認める。 (5) まとめ 以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号28の認容 額欄記載のとおりである。 27 一審原告29(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅・面会交流の経過については、原判決356頁16行目から357頁8行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要一審原告29-1・2の平成23年3月の東京都への避難及び同年7月の京都市への避難はいずれも相当性が認められ、それに伴う損害のうち、29-1・2が東京都へ避難した交通費及び京都市へ避難した日を含む月 である平成23年7月から平成25年6月30日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号29記載のとお を含む月 である平成23年7月から平成25年6月30日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号29記載のとおりである。 イ避難費用 交通費、一時帰宅費用 一審原告29-1・2の東京都及び京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号29記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正した額により合計4万1600円とし、これを29-1に生じた損害と認める。 29-2は、京都市への避難時に満4歳であり、福島県いわき市から京都市への移動であることを考慮しても、公共交通機関による交通費を要するものと考えるのが相当とはいえない。 引越費用一審原告29-1・2は、平成23年7月23日、京都市β1 区のボ ランティア方で間借りをする形で避難をしていたところ、同年9月、京 都市●に移転したものと認められる(甲D29の1)。そして、これらの避難及び移転時には、引越費用として、福島県いわき市からの9万8996円を要したと認められるところ(甲D29の7の2・3)、これらの避難及び移転も、生活の安定を図るために相当なものということができる。したがって、前記引越代金は、いずれも本件事故と相当因果関係の あるものとして、29-1に生じた損害と認める。 面会交通費一審原告29-2と29-1の両親(祖父母)や叔母との面会は、別居する未成熟子と両親との面会とは性質を異にし、そのために要した費用の支出は、本件事故と相当因果関係がある損害とはいえない。 一審原告29-2と29-1の両親(祖父母)や叔母との面会は、別居する未成熟子と両親との面会とは性質を異にし、そのために要した費用の支出は、本件事故と相当因果関係がある損害とはいえない。 避難雑費一審原告29-1・2の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。その金額は、29-1・2の避難期間として相当と認める平成23年7月から平成25年 6月30日までの間、1か月当たり1名につき1万円の割合より損害と認めるのが相当である。その合計48万円は、29-1に生じた損害と認める。 ウ生活費増加費用 賃料 一審原告29-1・2は、京都市に避難した際、平成23年7月23日から同年9月23日まで、ホームステイ先で月額3万円の家賃を支払ったこと、平成24年4月から平成27年2月まで月額7万2300円の家賃を支払ったこと、平成27年3月以降は月額6万9000円の家賃を支払っていることが認められる(甲D29の1、29の6の4の1 ~4、原告29-1本人)。ホームステイ先に対する月額3万円の支払に ついて、客観的な資料は見当たらないが、ホームステイに要する費用として不相当なものではなく、これらの家賃等は、いずれも本件事故による避難のために支出を要した費用と認める。そして、避難の相当性が認められる平成23年7月から平成25年6月までの間に支出した合計117万4500円(3万円×3+7万2300円×15)を、本件事故 と相当因果関係のあるものとして、これを29-1の損害と認める。 家財道具購入費用一審原告29- 17万4500円(3万円×3+7万2300円×15)を、本件事故 と相当因果関係のあるものとして、これを29-1の損害と認める。 家財道具購入費用一審原告29-1・2が避難の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、避難に伴い29-1の父らとの世帯分離が生じていることを踏まえると、その金額は30万円とす るのが相当であり、これを29-1に生じた損害と認める。 食費・水道光熱費一審原告29-1・2の避難により世帯分離が生じたことにより、その避難期間中、食費及び水道光熱費(甲D29の6の1の1~9、29の6の2の1~20、29の6の3の1~18)を含む生活費が増加し たものと推認できる。そして、世帯分離による生活費増加費用として、平成23年7月から平成25年6月30日までの間、1か月当たり3万円の割合を認めるのが相当であり、その合計72万円を29-1に生じた損害と認める。 エ精神的損害(慰謝料) 一審原告29-1・2は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、29-1は30万円、29-2は60万円が相当である。 一審原告29-1・2は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえ ないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告29-1に12万円、29-2に72万円を支払っている(争いがない。)。これら既払金は、それぞれに生じた損害額(ただし、29-2については60万円の限度。)に充当するのが 一審被告東電は、一審原告29-1に12万円、29-2に72万円を支払っている(争いがない。)。これら既払金は、それぞれに生じた損害額(ただし、29-2については60万円の限度。)に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用 弁護士費用は、一審原告29-1に29万9510円、29-2に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号29の認容額欄記載のとおりである。 28 一審原告30(1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅・面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決360頁6行目から361頁15行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要一審原告30-1~3の京都市への避難は相当であるところ、それに伴う損害のうち、平成23年3月の福島市から京都市への避難にかかる避難交通費及び30-2・3が京都市へ避難した同年7月から平成25年6月30日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当 裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号30記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D30の8の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費 一審原告30-1~3の京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号30記載のとおり合計29万4600円を30-1に生じた損害と認める。 滞在費(宿泊費)・引越費用・避難費用(共益 故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号30記載のとおり合計29万4600円を30-1に生じた損害と認める。 滞在費(宿泊費)・引越費用・避難費用(共益費) 一審原告30-1~3の避難生活の際に要した滞在費(宿泊費)、引越費用及び避難費用(共益費)は、いずれも本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、滞在費(宿泊費)については5万6400円、引越費用については18万2000円、避難費用(共益費)については8万8800円を30-1に生じた損害と認める。 面会交通費一審原告30-1~3が一時帰宅、面会交流のために要した交通費のうち、30-2・3が福島市に帰還するために要した費用については、本件事故と相当因果関係がある損害とは認められない。これに対して、30-1が30-2・3の避難先である京都市へ訪問するのに要する費 用については、1か月に1回程度の割合の範囲で本件事故と相当因果関係のある損害と認める。以上を踏まえて、標準交通費一覧表(自家用車以外)の額を修正した額により、別紙避難経路等一覧表の原告番号30記載のとおり合計71万3600円を30-1に生じた損害と認める。 その余の一時帰宅・面会交通費については、損害が生じたとは認められ ないか、本件事故と相当因果関係のある損害とはいえない。 避難雑費一審原告30-2・3の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じており、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。そして、30-2・3の避難期間 である平成23年7月から平成25年6月30日までの間、1か月当た り1名につき1万円の割合によ ても本件事故と相当因果関係があると認められる。そして、30-2・3の避難期間 である平成23年7月から平成25年6月30日までの間、1か月当た り1名につき1万円の割合により、合計48万円を30-1の損害と認める。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告30-2・3が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、 本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、避難に伴い30-1と30-2・3に世帯分離が生じていたことを踏まえると、その金額は30万円とするのが相当であり、これを30-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(二重生活)平成23年7月から平成25年6月30日までの間、一審原告30- 1と30-2・3に世帯分離が生じており、水道光熱費等の生活費が増加したものと認められる。上記期間について、生活費増加分として、1か月当たり2万円の割合による合計48万円を30-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(教育費) 一審原告30-2・3が避難生活の際に要した生活費増加費用(教育費)は、本件事故と相当因果関係のある損害といえ、その損害額は6000円として、これを30-1に生じた損害と認める。 エ就労不能損害一審原告30-2は、避難前にガス検針員のアルバイトをしており、平 成22年は54万7476円(月額4万5623円)の収入があったこと、避難後は、平成23年10月末から平成25年3月まで、時給800円、勤務時間1日4時間、週5日の条件で学校図書館運営補助の仕事をしていたこと、その後平成26年4月から再就職したことが認められる(甲D30の1、30の4の1・2)。 以上によれば、一審原告30- 時間1日4時間、週5日の条件で学校図書館運営補助の仕事をしていたこと、その後平成26年4月から再就職したことが認められる(甲D30の1、30の4の1・2)。 以上によれば、一審原告30-2は、避難のため、避難期間のうち、平 成23年8月から同年10月31日まで及び平成25年4月から同年6月30日までの間、就労することができず、27万3738円(4万5623円×6)の就労不能損害が生じたと認められる。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告30-1~3は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件 事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、30-1・2は各30万円、30-3は60万円が相当である。 一審原告30-1~3は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告30-1・2に各12万円、30-3及び30-1・2の長男に各72万円をそれぞれ支払い、ADR手続においても、30-1~3及び上記長男に対して320万7807円(うち136万円(30-1・2に対する各8万円、30-3及び上記長男に対 する各60万円の合計額)は既払金として控除され、184万7807円のみ支払われている。)を支払っていることが認められるところ(甲D30の8の1、乙D30の3、弁論の全趣旨)、これら既払金合計352万7807円から、上記長男分83万1400円(交通費8万3200円、滞在費(宿泊費)2万8200円、直接請求分72万円)を除いた269万6407円に ついて、30-3の損害額に72万円(ただし 807円から、上記長男分83万1400円(交通費8万3200円、滞在費(宿泊費)2万8200円、直接請求分72万円)を除いた269万6407円に ついて、30-3の損害額に72万円(ただし、60万円の限度。)を充当し、その余の既払金を、費用を負担している30-1に158万2669円、30-2に39万3738円を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 なお、一審原告30-1の長女は、中間指針第5次追補に基づき、一審被告東電から20万円の支払を受けた事実が認められるが(弁論の全趣旨)、こ れが、30-1~3の損害金に充当されると考えるべき根拠はない。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告30-1に22万5304円(13万1873円及びADR手続分9万3431円の合計額)、30-2に1万8000円、30-3に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ 以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号30の認容額欄記載のとおりである。 29 一審原告31(1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅・面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決365頁12行目から366頁17行目に記載 のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要一審原告31-2・3の京都市への避難は相当であるところ、それに伴う損害のうち、京都市へ避難した日を含む月である平成23年8月から平 成25年7月31日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号31記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損 損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号31記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(乙D31の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費一審原告31-2・3が、京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号31記載のとおり、その額は2万6400円として、これを31- 1に生じた損害と認める。 引越関連費用一審原告31-2・3が避難のために要した引越関連費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、その額は2万8000円として、これを31-1に生じた損害と認める。 面会交通費 一審原告31-1が、31-3との面会交流のために要した費用のうち、別紙避難経路等一覧表の原告番号31記載のものについては、本件事故と相当因果関係のある損害と認め、これを31-1に生じた損害と認める。その余の面会交通費については、損害が生じたとは認められない。 一時立入費用一審原告31-2・3が避難生活の際に要した一時立入費用のうち、合計8万9600円は、本件事故と相当因果関係がある損害であると認め、これを31-1に生じた損害と認める。 避難雑費 一審原告31-2・3の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じており、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。そして、31-2・3の避難期間である平成23 1-2・3の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じており、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。そして、31-2・3の避難期間である平成23年8月から平成25年7月31日までの間、1か月当たり1名につき1万円の割合により、合計48万円を30-1の損害と認 める。 ウ生活費増加費用 二重生活に伴う生活費増加平成23年8月に、避難に伴い31-2・3と31-1が別居し、世帯分離が生じており、水道光熱費等の生活費が増加したものと認められ る。世帯分離による生活費増加費用として、平成23年8月から平成2 5年7月までの合計69万円を31-1に生じた損害と認める。 学用品増加費用一審原告31-2・3が避難生活の際に要した学用品増加費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、その金額は3万8300円として、これを31-1に生じた損害と認める。 家財道具購入費用一審原告31-2・3が避難に伴い要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、世帯分離が生じていたことを踏まえると、その金額は30万円と認めるのが相当であり、これを31-1に生じた損害と認める。 エ就労不能損害一審原告31-2は、避難前、パートで就労して月額8万円程度の収入を得ていたが、避難に伴い平成23年7月31日に退職し、収入が得られなくなったこと、避難後である平成24年4月から内職をしているものの、その金額は1か月1000円程度にすぎないことが認められる(甲D31 の1の1)。そして、31-2が、避難時に4歳である31-3とともに、慣れない ある平成24年4月から内職をしているものの、その金額は1か月1000円程度にすぎないことが認められる(甲D31 の1の1)。そして、31-2が、避難時に4歳である31-3とともに、慣れない土地に避難し、親族等の手助けを得ることもできなかったことに照らせば、その避難期間の全部について、就労不能損害を認めるのが相当である。その金額は、月額8万円の割合により合計192万円となる。 オ精神的損害(慰謝料) 一審原告31-1~3は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、31-1・2は各30万円、31-3は60万円が相当である。 一審原告31-1~3は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえ ないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告31-1・2に各12万円、31-3に72万円をそれぞれ支払い、ADR手続においても、31-1~3に325万8619円(うち76万円(31-1・2に対する各8万円、31-3に対する60万円の合計額)は既払金として控除され、249万8 619円のみ支払われている。)を支払っている(争いがない。)。これらの既払金合計345万8619円から、31-1に212万3211円、31-2に61万5408円(直接請求12万円の支払とADR手続における就労不能損害49万5408円の支払の合計額)、31-3に72万円(ただし、60万円の限度。)を、それぞれに生じた損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告31-1 万5408円の支払の合計額)、31-3に72万円(ただし、60万円の限度。)を、それぞれに生じた損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告31-1に18万5340円(9万0429円とADR手続分9万4911円の合計額)、31-2に16万0459円、31-3に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ 以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号31の認容額欄記載のとおりである。 30 一審原告32(1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅・面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決370頁4行目から371頁8行目までに記載 のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要一審原告32-1~5の滋賀県への避難、32-1・3~5の滋賀県から京都市への移動及び一審原告32-2の滋賀県から千葉県への移動は、 いずれも相当性があるところ、それに伴う損害のうち、滋賀県及び千葉県 へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号32記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D32の8 の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 避難移動費用一審原告32-1~5が、福島県いわき市から滋賀県への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。また、 32-2の滋賀県から千葉県への移転は、32-2の仕事の関係もあっ 審原告32-1~5が、福島県いわき市から滋賀県への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。また、 32-2の滋賀県から千葉県への移転は、32-2の仕事の関係もあって実家に移ったものであって相当性が認められ、32-1・3~5の滋賀県から京都市への移転についても、他人の家の一室を借りていたため、家賃の負担がない住居が提供されていた京都へ移転したものであり、いずれも生活の安定を図るための移動であって、これらの各移転に要した 費用も、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その損害額の合計は、別紙避難経路等一覧表の原告番号32記載のとおり合計6万7200円と認めるのが相当であり、32-1・2に3万3600円ずつ生じた損害と認める。 面会交通費 一審原告32-2が、32-3~5との面会交流に要した費用については、別紙避難経路等一覧表の原告番号32記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正した額により、35万5200円の限度で本件事故と相当因果関係のあるものとし、32-1・2に各17万7600円ずつ損害が生じたと認める。 その余の面会交流費用については、本件事故と相当因果関係があると はいえないか、損害が生じたとは認められない。 一時帰宅費用一審原告32-1・2が避難生活の際に要した一時帰宅費用のうち合計85万9200円は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、32-1・2に各42万9600円ずつ損害が生じたと認める。その余 の一時帰宅費用については、下記避難雑費に含まれる額を超えて、損害が生じたとは認められない。 軽自動車購入費用一審原告32-2は、 円ずつ損害が生じたと認める。その余 の一時帰宅費用については、下記避難雑費に含まれる額を超えて、損害が生じたとは認められない。 軽自動車購入費用一審原告32-2は、従前使用していた軽自動車の車検費用を工面できないため、平成24年4月、避難生活を送るために必要であるとして 中古の軽自動車を購入し、その費用を要した旨主張する。しかし、従前使用していた軽自動車が車検を受ける必要があったことや、そのために費用を要することは、本件事故と相当因果関係が認められず、新たな自動車を購入する費用も、本件事故と相当因果関係があるとは認められない。 ウ生活費増加費用 一般一審原告32-1~5は、滋賀県に避難していたが、平成23年4月末に32-2が千葉県に転居することにより、32-1・3~5と32-2に世帯分離が生じたと認められる。当該世帯分離は、本件事故及び 32-2の仕事の関係でやむを得ず生じたものであって、本件事故と相当因果関係が認められる。そして、世帯分離によって、水道光熱費等を含む生活費が増加したものと認められるから、その増加額合計63万円について、32-1・2に各31万5000円ずつ生じた損害と認める。 家財道具購入費用 一審原告32-1~5が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、 本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、世帯分離が生じていたことも踏まえると、その金額は30万円と認めるのが相当であり、32-1に生じた損害と認める。 食費増加分一審原告32-1~5は、避難前、自家栽培した野菜等を消費してい たが、避難生活においては、野菜等の購入費用を要するようになったの に生じた損害と認める。 食費増加分一審原告32-1~5は、避難前、自家栽培した野菜等を消費してい たが、避難生活においては、野菜等の購入費用を要するようになったのであるから、増加した食費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額は、20万9000円と認めるのが相当であり、32-1・2に各10万4500円ずつ生じた損害と認める。 避難雑費 一審原告32-1~5の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。そして、31-2・3の避難期間である平成23年3月から平成25年2月28日までの間、1か月当たり1名につき1万円の割合により、損害と認めるのが相当で ある。その合計120万円は、32-1・2に各60万円ずつ生じた損害と認める。 賃料一審原告32-2は、平成26年10月以降の家賃について、避難により支出した費用である旨主張するが、その時期に照らし、本件事故と 相当因果関係のある損害とは認められない。 エ逸失利益(農業損害)一審原告32-1・2は、平成16年4月から本件事故当時までブルーベリー農園を経営し、30アールの農園でブルーベリーを栽培していたが、放射性物質の飛散による土壌等の汚染があったこと、福島県産の農作物が 値下がりしたこと、再開するためには莫大な費用が必要となり、廃業せざ るを得なかったこと、ブルーベリーは植付けから7~8年程度で成木となり、本格的に果実を収穫できるようになること、年間の利益が少なくとも226万6923円であることが認められる(甲32の1の1)。と るを得なかったこと、ブルーベリーは植付けから7~8年程度で成木となり、本格的に果実を収穫できるようになること、年間の利益が少なくとも226万6923円であることが認められる(甲32の1の1)。ところが、本件事故によってブルーベリー農園における収穫ができなくなったから、本件事故と相当因果関係のある損害として、680万0769円の逸失利 益を認め、32-1に340万0384円、32-2に340万0385円を、それぞれに生じた損害と認める。 オ逸失利益(事業損害)一審原告32-1・2は、ブルーベリー農園の経営とともに、農作物を使った料理教室や摘み取り体験教室を開催するなどして、年間134万円 程度の事業収入があったが(甲32の1の1)、本件事故によって、農作物を使った体験教室を開いて収益を得ることができなくなったと認められるから、本件事故と相当因果関係のある損害として241万2000円の逸失利益を認め、32-1・2にそれぞれ120万6000円ずつ生じた損害と認める。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告32-1~5は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、32-1・2は各30万円、32-3~5は各60万円が相当である。 一審原告32-1~5は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情 を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告32-1・2に各12万円、32-3~5に各72万円をそれぞれ支払い、ADR手続においても、32 -1~5に合計1341万4483円(うち 充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告32-1・2に各12万円、32-3~5に各72万円をそれぞれ支払い、ADR手続においても、32 -1~5に合計1341万4483円(うち196万円(32-1・2への 各8万円、32-3~5への各60万円の合計額)は既払金として控除され、1145万4483円のみ支払われている。)を支払っていることが認められるところ(甲D32の8の1、乙D32の6、弁論の全趣旨)、これら既払金合計1385万4483円については、32-3~5に各72万円(ただし、各60万円の限度。)を、その余の1169万4483円は、損害額に応 じて、32-1に597万7824円、32-2に571万6659円、を、それぞれに生じた損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告32-1に28万4243円(8万8886円とADR手続分19万5357円の合計額)、32-2に28万0360円(8 万5003円とADR手続分19万5357円の合計額)、32-3~5に各0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号32の認容額欄記載のとおりである。 31 一審原告33(1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅・面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決375頁25行目から377頁2行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要一審原告33-1~3の京都府への避難は相当であると認められるところ、それに伴う損害のうち、33-2・3が避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害 一審原告33-1~3の京都府への避難は相当であると認められるところ、それに伴う損害のうち、33-2・3が避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別 紙損害額等一覧表の原告番号33記載のとおりである。なお、下記で、定 額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(乙D33の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 交通費一審原告33-1~3の京都府への避難に要した交通費は、本件事故 と相当因果関係のある損害と認められ、その金額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号33記載のとおり合計4万6800円と認めるのが相当であり、33-1に2万0800円、33-2に2万6000円の損害が生じたものと認める。 滞在費(宿泊費) 一審原告33-1は、実家に避難して、その滞在中に滞在費(宿泊費)を要した旨主張するが、親族方における滞在であり、現実にこれを生じたと認めるに足りる証拠はない。 引越費用一審原告33-1~3が、避難生活の際に要した引越費用は、本件事 故と相当因果関係のある費用であり、その金額は14万1450円と認めるのが相当であり、これは33-2に生じた損害と認める。 面会交流交通費一審原告33-1が33-3との面会交流に要した費用のうち、別紙避難経路等一覧表の原告番号33記載のとおり、平成23年3月から同 年12月までの間に要した合計16万1200円を、本件事故と相当因果関係のあるものとして、これを33-1に生じた損 うち、別紙避難経路等一覧表の原告番号33記載のとおり、平成23年3月から同 年12月までの間に要した合計16万1200円を、本件事故と相当因果関係のあるものとして、これを33-1に生じた損害と認める。 一時立入交通費一審原告33-1~3が避難生活の間に要した一時立入費用のうち、別紙避難経路等一覧表の原告番号33記載のとおり、平成23年3月か ら平成24年9月までに要した合計20万8000円は、本件事故と相 当因果関係のあるものとして、これを33-2に生じた損害と認める。 その余の一時立入費用については、その支出や本件事故との相当因果関係を認めるに足りる証拠がない。 避難雑費一審原告33-1~3の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定 し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。避難雑費としては、平成23年3月(33-1については平成24年1月)から平成25年2月28日までの間、1か月当たり1名につき1万円の割合により合計62万円を要したものと認め、33-1・2に各31万円の損害が生じ たと認める。 ウ生活費増加費用 通勤費増加分一審原告33-1は、避難によって、自宅より通勤距離が長くなったため、通勤費が増加した旨主張するが、その具体的な損害額を認めるに 足りる証拠はない。 増築費用一審原告33-1~3が避難生活の際に要した増築費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額としては6万4682円と認めるのが相当であり、これは33-2に生じた損害と認められ る。 二重生活 した増築費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額としては6万4682円と認めるのが相当であり、これは33-2に生じた損害と認められ る。 二重生活平成23年3月から一審原告33-1が避難した平成24年1月までの間、33-2・3と33-1が別居し、世帯分離が生じたことにより、水道光熱費等の生活費が増加したものと認められる。世帯分離が生じて いた期間の合計33万円について、33-2に生じた損害と認める。 医療費一審原告33-2は、本件事故によって、急性扁桃炎になったとして、治療費や入通院交通費等の請求をしているが、前記疾病と本件事故との間に相当因果関係を認めるに足りる証拠はない。 エ就労不能損害 一審原告33-1は、避難するまで、鉄鋼を扱う会社の営業職として勤務しており、492万9720円の年収(平成23年、月額41万0810円)を得ていたが、平成24年1月31日に避難のため退職したこと、同年6月から避難先で就労し、平成24年は272万3474円の収入(うち、30万4000円は前職によるもの)があったこと、平成25年は5 32万8102円の収入があったことが認められる(甲D33の1、33の4の1~4)。そうであれば、平成25年には収入減少が認められないが、平成24年2月から同年12月31日までの間については、本件事故による避難に伴い、就労困難又は転職による収入減少が認められるから、避難前の基礎収入(月額41万0810円)を基準として、209万9436 円(=41万0810円×11-(272万3474円-30万4000円))の就労不能損害が認められる。 オ精神的損害(慰謝料) 1万0810円)を基準として、209万9436 円(=41万0810円×11-(272万3474円-30万4000円))の就労不能損害が認められる。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告33-1~3は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、33- 1・2は各30万円、33-3は60万円が相当である。 一審原告33-1~3は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、直接請求により、33-1・2に各12万円、33-3 に72万円をそれぞれ支払い、ADR手続においても、33-1~3に358万8130円(うち76万円(33-1・2に対する各8万円、33-3に対する60万円の合計額)は既払金として控除され、282万8130円のみ支払われている。)を支払っているところ(争いがない。)、これら既払金合計378万8130円から、33-1に208万7998円、33-2に 98万0132円、33-3に72万円(ただし、60万円の限度。)を、それぞれに生じた損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告33-1に18万4853円(8万0344円とADR手続分10万4509円の合計額)、33-2に4万0000円、33 -3に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号33の認容額欄記載のとおりである。 32 一審原告34 (1) 世帯の概要、避難の経緯、 当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号33の認容額欄記載のとおりである。 32 一審原告34 (1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅・面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決380頁24行目から381頁25行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告34-1~4の京都市への避難には相当性があると認められるところ、それに伴う損害のうち、34-1~4が避難した日を含む月である平成24年2月から平成26年1月31日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号34記載のとおりである。なお、下記で、 定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、 ADR手続における和解額(甲D34の8の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 避難交通費一審原告34-1~4が京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額は、別紙避難経路等 一覧表の原告番号34記載のとおり6万4000円と認められ、これは34-2に生じた損害と認める。 引越費用一審原告34-1~4が避難の際に要した引越費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額は9万2650円と認め られ、これは34-2に生じた損害と認める。 一時帰宅費用一審原告34-1~4が避難生活の際に要した一時帰宅費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額は、別紙避難経 -2に生じた損害と認める。 一時帰宅費用一審原告34-1~4が避難生活の際に要した一時帰宅費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号34記載のとおり33万2800円と認められ、 これは34-2に生じた損害と認める。 一審原告34-1~4は、ADR手続において合意された平成25年3月までの一時帰宅費用のみならず、同年4月以降の一時帰宅費用も損害として認めるべきである旨主張するが、所有する不動産の管理等一時帰宅の必要性を認めるに足りる証拠はなく、その一時帰宅費用は本件事 故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 一審原告34-1の両親の面会及び看病のための交通費一審原告34-1~4は、34-1の両親が、福島県から京都市に、34-1~4との面会や看病のために赴いたことによる交通費も、本件事故と相当因果関係のある損害である旨主張するが、34-1の両親に おいて京都市に赴かなければならないような必要性があったとまではい えず、そのような支出をもって本件事故と相当因果関係がある損害であるということはできない。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告34-1~4が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、 本件事故と相当因果関係のある支出であるといえ、世帯全員で避難したことに鑑みれば、その金額は15万円と認めるのが相当であり、これを34-2に生じた損害と認める。 避難雑費一審原告34-1~4の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定 し難いさまざまな支出が生じており、これらの支出についても本件事故と相当因果関係 認める。 避難雑費一審原告34-1~4の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定 し難いさまざまな支出が生じており、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。避難雑費としては、平成24年2月から平成26年1月31日までの間、1か月当たり1名につき1万円の割合により合計96万円を要したものと認め、これを34-2に生じた損害と認める。 賃料一審原告34-2は、平成27年4月以降の生活において要した家賃等について、本件事故による損害である旨主張するが、避難をしてから相当期間が経過した平成26年2月以降に生じた損害であり、本件事故と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 エ検査関連費用一審原告34-1~4が受けた検査関連費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その額は、ADR手続において合意された1万7850円に加え、平成26年4月以降に要した1万1230円(甲D34の7の2~6)も含むものとするのが相当であり、これは34-2に 生じた損害と認める。 オ就労不能損害一審原告34-2は、避難前、クリーニング店に勤務しており、平成23年の年収は293万0800円(月額24万4233円)であったが、避難時に退職し、避難後は、平成24年4月に4日程度稼働し、同年7月2日から同年12月20日まで稼働し、平成25年1月末からは就職先が安 定し始め、平成25年の年収は256万2000円(月額21万3500円)となり、平成26年以降は避難前の年収を超える収入があることが認められる(甲34の1、34の4、34の4の2~5)。したがって、平成24年3月から平成25年1月までの間について 額21万3500円)となり、平成26年以降は避難前の年収を超える収入があることが認められる(甲34の1、34の4、34の4の2~5)。したがって、平成24年3月から平成25年1月までの間については、本件事故による避難に伴い、就労困難又は転職による収入減少が認められるが、安定しなかっ た就職先での収入が明らかではないから、上記11か月間について、避難前の収入額を基準として、その約3分の2に相当する179万円(≒24万4233円×11か月×2/3)を就労不能損害と認める(一審原告34-2は、当審において就労不能損害を187万4084円と主張している。)。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告34-1~4は、自主的避難等対象区域外の居住者であるが、その避難は、自主的避難等対象区域からの平成24年4月1日までの避難と同等の避難とみることができるから、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、34-2は30万円、34-1・3 は各60万円、34-4は、本件事故当時胎児であり、本件事故後出生し、その後避難しているから、30万円がそれぞれ相当である。 一審原告34-1~4は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、直接請求により、一審原告34-1に24万円、34-2に4万円、34-3・4に各28万円をそれぞれ支払い、ADR手続においても、34-1~4に204万3718円を支払っていることが認められるところ(甲D34の8の1、弁論の全趣旨)、これら既払金合計288万3718円から、34-1に2 それぞれ支払い、ADR手続においても、34-1~4に204万3718円を支払っていることが認められるところ(甲D34の8の1、弁論の全趣旨)、これら既払金合計288万3718円から、34-1に24万円、34-2に208万3718円、34 -3・4に各28万円を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告34-1につき3万6000円、34-2に22万3007円(16万3481円及びADR手続分5万9526円の合計額)、34-3に3万2000円、34-4に2000円を、それぞれ相当と認め る。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号34の認容額欄記載のとおりである。 33 一審原告35 (1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅・面会交流の経過については、原判決385頁8行目から386頁1行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告35-1~5の平成23年3月の京都市への避難は、避難の相当性があるところ、それに伴う損害のうち、35-1~5が避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号35記載のとおりである。 イ避難費用 交通費一審原告35-1~5が平成23年3月に京都市への避難に要した交通費及び35-3が同年4月に福島県いわき市へ帰還した交通費(一時立入費用として請求されているが、茨城県の高等学校へ通学するために帰還する費用の一部と解される。)は、 3月に京都市への避難に要した交通費及び35-3が同年4月に福島県いわき市へ帰還した交通費(一時立入費用として請求されているが、茨城県の高等学校へ通学するために帰還する費用の一部と解される。)は、本件事故と相当因果関係のある損 害と認められる。その損害額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号35記載のとおり35-1が主張する4万2000円の限度で認めるのが相当である。 滞在費(宿泊費等)滞在費(宿泊費等)については、これを要したと認めるに足りる証拠 はない。 一時立入費用自宅の整理のための一時立入費用は、大人1名の1回の往復分は本件事故と相当因果関係のあるものと認める。また、35-3が平成23年4月から学生寮に居住して茨城県内の高等学校に進学していたことに照 らせば、子である35-3の学校行事に参加するために、親である35-1・2が茨城県の同校や栃木県に赴くことも、面会交流の趣旨に照らして相当であるから(避難元を訪れることを目的とするものではなく、避難の趣旨にも反しない。)、そのために要した費用は、本件事故と相当因果関係がある損害であるというべきである。 当該費用の合計は、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正した額の合計の範囲内であり、かつ、35-1が主張する20万円の限度で、これを35-1の損害と認める。 その余の一時立入費用については、本件事故と相当因果関係がある損害であると認めるに足りる証拠はない。 ウ生活費増加費用 家財道具喪失費用一審原告35-1は、京都市への避難によって家財道具を処分せざるを得なかった旨主張するが、新たな家財道具購入費用を損害として認めていることに 家財道具喪失費用一審原告35-1は、京都市への避難によって家財道具を処分せざるを得なかった旨主張するが、新たな家財道具購入費用を損害として認めていることに加えて、その処分が本件事故と相当因果関係のあるものとはいえず、本件事故による損害と認めることはできない。 家財道具購入費用一審原告35-1~5が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。そして、35-1~5は35-3を除く世帯全体で避難しており(35-3は茨城県に移転し、学校の寮から通学しており、家財道具の購入が必要な別居とは認められ ない。)、これによる損害額は15万円とするのが相当であり、これを35-1に生じた損害と認める。一審原告35-1は、15万円は低額に過ぎる旨主張するが、上記金額を超えて本件事故と相当因果関係がある損害であるとはいえない。 エ避難雑費 一審原告35-1・2・4・5の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出が生じているものと推認でき、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。避難雑費としては、平成23年3月から平成25年2月28日までの間、35-1が求める36万4000円の限度で、これを35-1に生じた損害と認める。 オ就労不能損害 一審原告35-1について避難前はフェンス工の仕事をしており、286万5000円の収入(平成22年)を得ていたが、避難時に退職し、避難先で就職したのは避難から3年後のことであって、その間は生活保護を受給し、定期的にハロ ーワークに通い、ヘルパー2級の資格を取るなどしていたことが認めら 得ていたが、避難時に退職し、避難先で就職したのは避難から3年後のことであって、その間は生活保護を受給し、定期的にハロ ーワークに通い、ヘルパー2級の資格を取るなどしていたことが認めら れる(甲D35の1の1、35の4の1)。そして、避難直後である平成23年3月から相当期間は避難に伴い、就労が困難又はその可能性が低くなっていたというべきであるが、相当期間が経過した後は就業することも可能であったと考えられる。そうであれば、平成23年3月から同年8月までの6か月間は、避難前の収入額(月額23万8750円)の全 額を就労不能損害として認めるが、その後は、就労可能性を考慮して、その半額を就労不能損害と認める。その額は、358万1250円(23万8750円×6か月+23万8750円÷2×18か月)となる。 一審原告35-2について避難前はデイサービスセンターで福祉支援員として働いており、月額 5万円程度の収入があったが、避難時に退職し、避難先では就労していなかったことが認められる(甲D35の1の1、35の4の2)。そして、避難直後である平成23年3月から同年8月までの6か月間は、避難前の収入額(月額5万円)の全額を就労不能損害として認めるが、その後は、就労可能性を考慮して、その半額を就労不能損害と認める。その額は合 計75万円(5万円×6か月+5万円÷2×18か月)となり、平成23年3月中の避難前の収入4万9290円を控除した70万0710円が35-2の就労不能損害となる。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告35-1~5は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件 事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、33-1・2は各30万円、33 精神的損害(慰謝料)一審原告35-1~5は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件 事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、33-1・2は各30万円、33-3~5は各60万円が相当である。 一審原告35-1~5は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、直接請求により、一審原告35-1・2に各20万円、35-3~5に各72万円をそれぞれ支払っているところ(乙D35の4、弁論の全趣旨)、これらの既払金を、それぞれの損害金に充当するのが相当である(ただし、35-3~5については各60万円の限度。)。 (4) 弁護士費用 弁護士費用は、一審原告35-1に44万3725円、35-2に8万0071円、35-3~5に各0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号35の認容額欄記載のとおりである。 34 一審原告36(1) 世帯の概要一審原告36-1は、昭和20年2月21日生まれの男性、36-2は昭和23年8月1日生まれの女性であり、36-1・2は夫婦である。本件事故当時、36-1・2は、36-2の母とともに、福島県田村郡k1 町におい て自宅(持ち家)に居住していた。なお、36-2の母は、平成27年10月27日、死亡した。 (甲D36の1、36の2の1、一審原告36-2本人)(2) 避難の経緯ア一審原告36-2は、平成23年3月17日、福島県田村郡k1 町から東京都へ避難したが、同年6月 、死亡した。 (甲D36の1、36の2の1、一審原告36-2本人)(2) 避難の経緯ア一審原告36-2は、平成23年3月17日、福島県田村郡k1 町から東京都へ避難したが、同年6月10日には福島県田村郡k1 町へ帰還した。3 6-2は、その後、平成23年12月を超えて、平成24年3月までの間、福島県田村郡k1 町において生活しており、その後の東京都、大阪府を経由して京都市へ避難した。 イ一審原告36-1は、36-2が東京都に避難した後も福島県田村郡k1町の自宅に居住し、平成23年12月を超えて平成24年5月1日に至っ て、京都市へ避難した。 (3) ADR手続における和解一審原告36-1・2と一審被告東電との間では、平成28年8月4日、本件事故に関する損害の一部について、一審被告東電が33万0424円の支払義務があることを認め、中間指針追補に基づく既払金16万円を除いた残額の17万0424円を支払うことなどを内容とする和解契約が成立した。 なお、清算条項において、ADR手続における弁護士費用のみ、当事者間に何らの債権債務がないことが確認されており、その余の各損害項目については、和解条項に定める金額を超える部分につき、和解の効力は及ばず、別途損害賠償請求することを妨げないことが確認されている。(乙D36の1)(4) 損害額 ア概要一審原告36-2の東京都への避難は相当であると認められる。これに対して、36-2の大阪府への避難及び京都市への移転並びに36-1の京都市への避難にかかる損害は、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表 の原告番号36記載のとおりである。なお、下記で、定額 の京都市への避難にかかる損害は、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表 の原告番号36記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(乙D36の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 避難費用 一審原告36-2の東京都への避難に要した交通費は、別紙避難経路等一覧表の原告番号36記載のとおり、1万5200円の範囲で本件事故と相当因果関係のあるものとして、これを36-2に生じた損害と認める。 面会交通費用 一審原告36-2が面会交流に要した費用は、別紙避難経路等一覧表 の原告番号36記載のとおり、3万3600円の範囲で本件事故と相当因果関係のあるものとして、これを36-2に生じた損害と認める。その余の面会交通費については、本件事故と相当因果関係のある損害とはいえない。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告36-2が、東京都への避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。そして、36-2の避難に伴い、36-1との世帯分離が生じていることから、その金額は30万円とし、36-2に生じた損害と認める。 二重生活に伴う生活費増加費用(一般)一審原告36-1・2は、36-2の避難に伴い、平成23年3月17日から6月10日までの間、世帯分離が生じており、水道光熱費等の生活費が増加したものと推認できる。世帯分離による生活費増加費用としては、世帯分離していた上記期間につき、合計9万円を 成23年3月17日から6月10日までの間、世帯分離が生じており、水道光熱費等の生活費が増加したものと推認できる。世帯分離による生活費増加費用としては、世帯分離していた上記期間につき、合計9万円を36-2に生 じた損害と認める。 生活費増加費用(食費増加分)食費の増加分については、上記二重生活に伴う生活費増加費用に含まれる額を超えて、損害が生じたと認めるに足りる証拠はない。 共益費 一審原告36-1・2が、平成24年5月以降、避難先において支払った共益費は、避難の相当性が認められない大阪府及び京都市への避難に伴うものであるから、本件事故と相当因果関係のある損害とはいえない。 エ避難雑費 一審原告36-2の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難い さまざまな支出が生じており、これらの支出についても本件事故と相当因果関係があると認められる。36-2が避難していた平成23年3月から同年6月30日までの間、1か月当たり1万円の割合による合計4万円を36-2に生じた損害と認める。 オ放射線検査費用・検査交通費 一審原告36-2は、被ばくの身体への影響を検査するため、検査費用として6792円を、検査のための交通費(Zクリニックへの往復費用)として2640円を、それぞれ支出したことが認められる(甲D36の7の6・8・11)。本件事故当時、自主的避難等対象区域に居住していた36-2が、身体への影響を不安に思い、それを解消するために検査するこ とは相当であるから、前記検査費用及び検査交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認め、36-2に生じた損害と認める。 カ精神的損害(慰謝料)一審 ために検査するこ とは相当であるから、前記検査費用及び検査交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認め、36-2に生じた損害と認める。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告36-1・2は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、各30 万円が相当である。 一審原告36-1・2は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (5) 既払金の充当 一審被告東電は、直接請求により、一審原告36-1・2に各12万円を支払っていること、ADR手続において、36-1・2に対して33万0424円(うち16万円(36-1・2に対する各8万円)は既払金として控除され、17万0424円のみ支払われている。)を支払っていることが認められるところ(乙D36の1・4・7、弁論の全趣旨)、これらの既払金合計 41万0424円から、36-1に12万円、36-2に29万0424円 を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (6) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告36-1につき1万8000円、36-2につき、5万9405円(4万9781円とADR手続分9624円の合計額)をそれぞれ相当と認める。 (7) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号36の認容額欄記載のとおりである。 35 一審原告37(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅の経過は、原判決393頁25行目 から394頁17行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) る。 35 一審原告37(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅の経過は、原判決393頁25行目 から394頁17行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要一審原告37-1・2の平成23年3月の福島県会津若松市への避難は避難の相当性が認められるが、同年12月を超えて平成25年4月にした 京都市への避難は、避難の相当性を欠く。したがって、避難に伴う損害のうち、福島県会津若松市への避難にかかる交通費については、相当因果関係のある損害と認めるが、その余の損害は本件事故と相当因果関係のあるものとは認められない。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号37記載のとおりである。 イ交通費一審原告37-1・2の福島県会津若松市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号37記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車)の額を修正した合計1万6000円とし、これを37-1に生じた損害と 認める。 ウ避難した娘家族との面会費用一審原告37-1・2は、自らの避難とは関係なく、娘である一審原告25-2の家族の避難の手伝いや育児の援助のために要した費用を損害と主張するが、子や孫に対する援助であって、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。 エ逸失利益一審原告37-1・2は、37-1が本件事故前から営んでいた有限会社(観光業)の売上げが本件事故によって減少し、平成26年5月に廃業のやむなきに至ったとして、同年4月以降の役員報酬相当額を損害と主張している。しかし、上記有限会社は、平成26年3 営んでいた有限会社(観光業)の売上げが本件事故によって減少し、平成26年5月に廃業のやむなきに至ったとして、同年4月以降の役員報酬相当額を損害と主張している。しかし、上記有限会社は、平成26年3月31日に旅行業の登 録期間が終了している上、37-1は当時70歳に達していた一方で(甲D37の1、一審原告37-1本人)、福島県の観光客入込数は、平成24年から平成27年にかけて回復してきていたことも認められるから(乙D共144の1~3)、本件事故と上記有限会社の廃業との間に相当因果関係があるとまでは認められない。したがって、平成26年4月以降の役員 報酬相当額が、本件事故と相当因果関係のある逸失利益であると認めることもできない。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告37-1・2は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料としては、各3 0万円が相当である。 一審原告37-1・2は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、一審原告37-1に210万9285円を支払っており (争いがない。)、これは損害額を上回るから、未払額はないこととなる。また、一審被告東電は、37-2に合計20万円を支払っており(争いがない。)、その残余額は10万円となる。37-1への支払額は、37-1の被った損害を賠償するためのものであり、37-2が被った精神的損害を賠償する趣旨は含まれないから、これを37-2の精神的損害に充当すべき根拠はない。 (4) 弁護士費用弁護士費用 の被った損害を賠償するためのものであり、37-2が被った精神的損害を賠償する趣旨は含まれないから、これを37-2の精神的損害に充当すべき根拠はない。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告37-1について0円、37-2について1万円を相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号37の認容 額欄記載のとおりである。 36 一審原告38(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅の経過については、原判決396頁14行目から397頁12行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害額ア概要一審原告38の平成23年3月の広島県及び引き続いての佐賀県への避難は相当であるが、同年8月の京都市への避難は、本件事故と相当因果関係のある避難ではない。したがって、広島県及び佐賀県への避難にかかる 損害は相当因果関係のある損害と認めるが、その余の損害は本件事故と相当因果関係のあるものとは認められない。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号38記載のとおりである。 イ避難費用(移動交通費)一審原告38の広島県への避難に要した交通費(福島県大沼郡n2 町へ の帰宅費用も含む。)は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。 また、飛行機の都合等により、一旦広島県の友人宅で避難生活をしていたが、その後親戚の家があり、当初の避難目的地であった佐賀県へ移転したことは、避難の一環ともいうことができるので、当該移転に要した費用も、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号38記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車 は、避難の一環ともいうことができるので、当該移転に要した費用も、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号38記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車、 自家用車以外)の額を修正した合計9万0400円と認める。一審原告38において、これを超える金額を要したと認めるに足りる証拠はない。 ウガイガーカウンター購入費用一審原告38は、平成23年7月頃、被ばくによる身体への影響を懸念し、周囲の空間線量を計測するため、ガイガーカウンターを購入し、その 費用として4万9800円を支出したことが認められる(甲D38の6の2)。38が、本件事故の直後、放射性物質が飛散する等の恐怖にさらされたことを踏まえると、周囲の空間線量を確かめる行動をとるのは合理的といえるから、当該費用は本件事故と相当因果関係のある損害と認める。なお、38は、平成25年12月頃にもガイガーカウンターを購入したこと が認められるが(上記証拠)、同年4月、イギリスに移転した後であり、新たにガイガーカウンターを購入する必要性は認められないから、当該購入費用は本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。 エ精神的損害(慰謝料)一審原告38について、広島県及び佐賀県への避難は相当であるが、京 都市への避難は相当といえない。そして、一審原告38は、自主的避難等対象区域外の居住者ではあるが、その避難元の当初の空間線量がやや高く、子どもを伴っていたため、自主的避難等対象区域の居住者に準じて本件事故当初の避難は相当と認められることからすれば、平穏な生活が害されたというべきであり、その精神的苦痛を慰謝する金額としては10万円が相 当であると認める。 一審原 て本件事故当初の避難は相当と認められることからすれば、平穏な生活が害されたというべきであり、その精神的苦痛を慰謝する金額としては10万円が相 当であると認める。 一審原告38は、上記金額があまりに低額であるとして、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 弁護士費用 弁護士費用は、2万4020円を相当と認める。 (4) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号38の認容額欄記載のとおりである。 37 一審原告39 (1) 世帯の概要については、原判決399頁2行目から11行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 避難の経緯一審原告39は、平成23年3月13日、知人から、自衛隊に勤務する親戚から子どもを連れて逃げるよう言われたと聞いたため、インターネット等 で本件事故のことなどを調べて放射線への恐怖を抱き、同月14日、中国の退避勧告を知り、新潟の中国大使館まで避難することを決意し、新潟県へ避難し、翌15日、京都市へ移転したが、同月20日、福島県田村郡k1 町の自宅へ戻った。その後、平成23年4月4日から同月19日まで中国にある実家を訪れ、いったん帰国したが、同年5月7日からオーストラリアを経由し て再度中国に渡航していた。 一審原告39は、平成24年1月15日、長女とともに帰国し、自宅において生活し、長女も、小学校に通学していたが、同年2月8日、長女を中国に連れて行き、同年3月2日、単身で帰国した。 一審原告39は、平成24年4月頃、夫と離婚し、同年5月1日、 し、自宅において生活し、長女も、小学校に通学していたが、同年2月8日、長女を中国に連れて行き、同年3月2日、単身で帰国した。 一審原告39は、平成24年4月頃、夫と離婚し、同年5月1日、単身で 京都市に移転し、同年9月以降は、帰国した長女と生活をしている。 (甲D39の1・1の2、39の2の1~4、39の7の5、一審原告39本人)(3) 損害ア概要一審原告39の平成23年3月の新潟県及び京都市への避難は相当であ ると認められ、避難交通費については相当因果関係のある損害と認める。 また、同年4月から平成24年1月までの中国への渡航に関連して生じた損害のうち、中国への交通費は本件事故と相当因果関係のある損害とはいえないが、避難のために生じたと考えられるその他の損害については、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。その後の移転等に伴う損害は、 本件事故と相当因果関係のある損害であるとは認められない。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号39記載のとおりである。 イ避難費用 避難交通費用 一審原告39の平成23年3月の新潟県への避難及びそれに続く京都市への移転に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号39記載のとおり標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正した合計5万3600円と認める。 一審原告39が、平成23年4月4日から同月19日まで及び同年5月7日から平成24年1月15日までの間に中国に渡航しているところ、これらについて、避難自体の相当性は認められるとしても、中国への渡航が必要であったとはいえず、その 4日から同月19日まで及び同年5月7日から平成24年1月15日までの間に中国に渡航しているところ、これらについて、避難自体の相当性は認められるとしても、中国への渡航が必要であったとはいえず、その渡航費用は本件事故と相当因果関係がある支出であるとはいえない。 また、一審原告39は、平成24年1月15日に帰国する際、本件事 故前である平成22年8月から中国国内に居住していた長女を連れ帰り、同年2月8日までの間、福島県内に滞在させており、その頃において放射線の被ばくを回避するために避難をしなければならないという必要性を認識していたとは考え難く、その頃には本件事故の収束が宣言されていたことも併せ考慮すると、平成24年1月に帰国してから一審原告3 9に生じた損害については、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。したがって、平成24年5月に要した福島県田村郡k1 町から京都市への移転についても、避難の相当性は認められず、その費用の支出は本件事故と相当因果関係のある損害とはいえない。 面会交通費 一審原告39が主張する面会交流や一時帰宅に関する交通費は、いずれも平成24年3月以降のものであり、本件事故と相当因果関係のある支出であるとはいえない。 家財宅配費用一審原告39が主張する家財宅配費用は、平成24年5月の京都への 移転に関連して生じたものであり、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 ウ生活費増加費用 パソコン及びまくら等購入費用一審原告39が購入したパソコン及びまくら等の家財道具購入費用 (甲39の6の2の1~4)は、平成26年1月から平成27年12月に支出さ パソコン及びまくら等購入費用一審原告39が購入したパソコン及びまくら等の家財道具購入費用 (甲39の6の2の1~4)は、平成26年1月から平成27年12月に支出されたものであって、本件事故と相当因果関係のある損害と認められない。 生活費増加費用(共益費)平成24年5月以降の京都市への移転に関連する支出であり、本件事 故と相当因果関係のある損害であるであるとは認められない。 エ避難雑費一審原告39は、避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出を要したものと推認でき、これらの支出のうち、避難の相当性が認められる平成23年3月から平成24年1月までの11か月間について、月額1万円の限度(合計11万円)で損害と認める。 オ就労不能損害一審原告39は、平成23年3月まで契約社員として稼働し、平成22年には210万7692円の給与収入(月額17万5641円)があったものと認められる。同月中については、収入の減少があったとは認められないが、同年4月以降については、契約更新の可能性があり、避難の相当 性が認められる平成24年1月までについて、就労不能損害を認める。その金額は、175万6410円(17万5641円×10か月)となる。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告39は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、30万円が相当 である。 一審原告39は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 ( ある。 一審原告39は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (4) 既払金の充当 一審被告東電は、一審原告39に対して12万円を支払っていることが認められ(乙D39の5、弁論の全趣旨)、この既払金を上記損害額に充当するのが相当である。 なお、一審原告39は、その夫(当時)やその母とともに、長女の生活の本拠が中国にあったのに、本件事故当時、長女が福島県田村郡k1 町に居住し ていたかのように装って損害賠償を請求し、一審被告東電の長女に対する賠 償金として、一審原告39が72万円を受領していると認められる(一審原告39本人)。しかし、これは長女に対して支払われたものであり、その請求が不当なものであって、一審原告39又は長女が一審被告東電に返還又は賠償すべきものであるとしても、本手続において39に生じた損害から控除することは相当でない。 (5) 弁護士費用弁護士費用は、21万0001円を相当と認める。 (6) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号39の認容額欄記載のとおりである。 38 一審原告40(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅の経過については、原判決403頁14行目から404頁7行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要一審原告40並びに長男及び長女の平成23年3月から同年4月にかけての栃木県への避難及び埼玉県への移転は相当であるが、平成24年6月の京都市への避難は本件事故と相当因果関係のある避難とは認められない。したがって、 に長男及び長女の平成23年3月から同年4月にかけての栃木県への避難及び埼玉県への移転は相当であるが、平成24年6月の京都市への避難は本件事故と相当因果関係のある避難とは認められない。したがって、栃木県への避難及び埼玉県への移転にかかる損害を相当 因果関係のある損害と認め、その余の損害は本件事故と相当因果関係のあるものとは認められない。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号40記載のとおりである。 イ避難費用 交通費 一審原告40の栃木県への避難に要した交通費(帰還費用も含む。)は、 本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。また、埼玉県への移転は、妹の友人宅で避難生活をしていたことから、アパートを借りて住むために埼玉県へ移動したものであるから、当該移転に要した費用も、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号40記載のとおり標準交通費一覧表(自家用 車)の額を修正した額による合計3万9200円と認めるのが相当である。なお、長男及び長女の埼玉県からの帰還は、一審原告40が迎えに行っているが、長男及び長女が年少者であることを考慮し、その費用も一審原告40の上記損害額に含める。 住居費、引越費用及び家財道具購入費用 栃木県への避難及び埼玉県への移転は短期間であり、住居費、引越費用及び家財道具購入費用について損害が生じたと認めるに足りる証拠はない。 一時立入費用一審原告40は、平成24年6月の京都市への避難以降に生じた一時 立入費用を請求しているが、同避難は、避難の相当性があるものではないから、本件事故と相当因果関係のある損害と認 用一審原告40は、平成24年6月の京都市への避難以降に生じた一時 立入費用を請求しているが、同避難は、避難の相当性があるものではないから、本件事故と相当因果関係のある損害と認められない。 ウ生活費増加費用 避難雑費一審原告40は、避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難い さまざまな支出を要したものと推認でき、これらの支出のうち、避難の相当性が認められる平成23年3月から同年4月までの2か月間(一審原告40は3月分のみ。)について、一人月額1万円の限度(合計5万円)で一審原告40の損害と認める。 一審被告東電は、長男及び長女に対して生活費増加分を含めて各60 万円を支払っているから、長男及び長女の避難に伴って生じた費用を一 審原告40の損害と認定する余地はない旨主張する。しかし、長男及び長女に支払われた各60万円に、一審原告40が支出を要したと推認できる避難雑費等に関する賠償が含まれていたと断ずることはできない。 ガイガーカウンター購入費用一審原告40が、ガイガーカウンター購入費用を支出したと認めるに 足りる証拠はない。 エ精神的損害(慰謝料)一審原告40は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、30万円が相当である。 一審原告40は、長女がパニック障害を発症していることなど様々な事情を慰謝料額の増額事由として主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、一審原告40並びに長男及び長女に対し 事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、一審原告40並びに長男及び長女に対して、合計156万円を支払っているところ、そのうち、長男及び長女への支払額が各72万円であり、一審原告40への支払額は12万円であると認められるから(乙D40の7)、これを一審原告40の損害額に充当するのが相当である。一審被告東電が、一審原告40の長男及び長女に対して支払った各72万円を、 一審原告40に生じた上記損害に充当すべき理由はない。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、2万6920円を相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号40の認容 額欄記載のとおりである。 39 一審原告42(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時立入りの経過については、原判決406頁11行目から407頁6行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、一審原告42(被承継人)は、令和3年5月15日死亡し、その子が同人を相続している。 (2) 損害ア概要一審原告42の平成23年3月14日の福島県大沼郡n3 村への避難及び同月19日の新潟県への移転及び同年4月1日の新潟県内での移転はいずれも相当であると認められるところ、それに伴う損害のうち、福島県 大沼郡n3 村へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号42記載のとおりである。 イ避難費用 交通費 までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号42記載のとおりである。 イ避難費用 交通費一審原告42の福島県大沼郡n3 村への避難に加え、同村から新潟県への移転及び同県内での移転は、いずれも避難直後であり、生活の安定を図るためといえ、これらに要した費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。その金額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号 42記載のとおり標準交通費一覧表(自家用車)の額を修正した額により合計1万9200円とし、これを42に生じた損害と認める。その余の避難、移転費用については、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。 滞在費(宿泊費)、引越費用、一時立入交通費及び一時立入滞在費 一審原告42の主張する滞在費(宿泊費)、引越費用及び一審原告42 が仕事等のため一時帰宅に要した費用は、いずれも平成25年3月以降に生じたものであり、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。 一審原告42は、自ら理事長を務めるNPO法人の引継ぎ等のため遠方への避難ができず、平成25年10月に本格的に避難に至ったもので ある旨主張するが、平成23年12月には本件事故の収束が宣言されていたことなどを踏まえると、平成25年10月に至ってからの避難は避難の相当性を欠く。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用及び家賃差額 家財道具購入費用及び家賃差額の損害については、いずれも、京都市に移転してからの費用支出であり(甲D42の3の4)、平成25年3月以降に生じた損害であることからすれば、本件事故と 家財道具購入費用及び家賃差額の損害については、いずれも、京都市に移転してからの費用支出であり(甲D42の3の4)、平成25年3月以降に生じた損害であることからすれば、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。 放射線量検査費 一審原告42は、全身放射能測定費用として6000円、食品等の測定費用として1万円及びガイガーカウンター購入費用として27万8000円を支出した旨主張し、全身放射能測定検査及び食品等の検査(甲D42の7の2・3)を行った事実は認められるが、これらに要した費用については証拠がなく、また、ガイガーカウンターを購入した事実につい ても証拠がないから、これらの損害を認めることはできない。 医療費(診断書料)一審原告42が、医療費(診断書料)として4200円を支出した事実は認められるが(甲D42の7の1)、これは入院費の還付を受けるためのものであって、本件事故との相当因果関係のある損害とは認められ ない。また、これが、平成25年3月以降に生じた損害であり、その点 からも本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。 エ避難雑費一審原告42は、福島県大沼郡n3 村又は新潟県での避難生活のため、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出を要したものと推認でき、これらの支出のうち、避難の相当性が認められる平成23年3月か ら平成25年2月28日までの間、1か月当たり1万円の限度(合計24万円)で損害と認める。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告42は、自主的避難等対象区域の居住者であるが、全身性の障害であるビタミンD抵抗性くる病に罹患し、1種1級の障害等級認定を受 け、介護度4の状 る。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告42は、自主的避難等対象区域の居住者であるが、全身性の障害であるビタミンD抵抗性くる病に罹患し、1種1級の障害等級認定を受 け、介護度4の状態であって、日常生活においては、車いすを利用しており、避難生活の中では、微熱、吐き気、下痢などの体調不良となったり、急激な体重の減少(30㎏から27㎏へ。最低は23㎏。)により、救急車で病院に運ばれたりしており、避難生活の負担及び苦痛は、健常者に比較してもはるかに大きいといわざるを得ない。 したがって、慰謝料を増額すべき特段の事情が認められるから、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、40万円を認める。 一審原告42が、慰謝料増額の根拠として主張するその他の事由は、本件事故と相当因果関係が認められないか、慰謝料を増額すべき事情とまで はいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告42に12万円を支払っていることが認められ(乙D42の7、弁論の全趣旨)、この既払金を原告に生じた損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用 弁護士費用は、5万3920円を相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号42の認容額欄記載のとおりである。 40 一審原告43 (1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時立入りの経過については、原判決409頁24行目から410頁20行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告43-1~4の山形県及び京都市への各避難は相当であるといえ、山形県への避難をした平成23年5月から平成25年4月30日まで を引用する。 (2) 損害ア概要 一審原告43-1~4の山形県及び京都市への各避難は相当であるといえ、山形県への避難をした平成23年5月から平成25年4月30日までの損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号43記載のとおりである。 イ避難費用 交通費一審原告43-1~4の山形県及び京都市への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号43記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車)の額を修正した額により合計4万3200円とし、これを43-1に生じた損害 と認める。 北海道への移動は、短期間の保養を目的としており、避難とはいえず、これに要した費用は、本件事故と相当因果関係がある損害であるとはいえない。 引越費用 一審原告43-1~4は、京都市へ避難した際、引越代金合計19万 7300円を要しているが(甲D43の7の1、43の7の2)、17万2000円を東日本大震災復興支援財団から受領し、前記引越代金の損害に補填したため、その残額は2万5300円であることが認められる。 当該避難は相当であるから、引越代金の損害残額も本件事故と相当因果関係のある損害として、これを43-1に生じた損害と認める。 一時立入費用一審原告43-1~4が帰省等のため、一時帰宅に要した費用については、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。 家財道具価値喪失損害一審原告43-1は、放射性物質による被ばくによって、家財道具の 価値が喪失した旨主張す ついては、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。 家財道具価値喪失損害一審原告43-1は、放射性物質による被ばくによって、家財道具の 価値が喪失した旨主張するが、そのような価値の滅失を認めるに足りる証拠はない。ただし、43-1~4が世帯全体で避難したことにより要した家財道具購入費用については、15万円の限度で本件事故と相当因果関係のあるものとし、これは43-1に生じた損害と認める。 避難雑費 一審原告43-1~4は、避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出を要したものと推認でき、これらの支出のうち、避難の相当性が認められる平成23年5月から平成25年4月までの2年間、一人月額1万円(合計96万円)の限度で43-1の損害と認める。 ウ生活費増加費用(放課後預かり) 一審原告43-1は、避難に伴い、祖父母の援助がなくなったため、障害のある43-3を預かってもらう必要があったとして、その預かり費用を支出した旨主張する。そして、43-3の障害程度などを踏まえれば、その必要性は認められるが、支出があることが明らかであるのは、避難継続の相当性が認められない平成25年12月以降であって(甲D43の6 の1)、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。 エ就労不能損害一審原告43-1は、避難前、介護職員として勤務しており、月額26万1340円(日額8711円、平成23年4月)の収入があったが、平成24年2月29日に退職し、同年3月23日から避難先において就労していることが認められる(甲D43の1、43の4の1)。したがって、平 成24年3月1日から同月22日までの22日間につ が、平成24年2月29日に退職し、同年3月23日から避難先において就労していることが認められる(甲D43の1、43の4の1)。したがって、平 成24年3月1日から同月22日までの22日間について、避難に伴い就労が困難となっていたものと認められるから、避難前の基礎収入(日額8711円)を基準として、19万1642円(=8711円×22)の就労不能損害が認められる。 オ精神的損害(慰謝料) 一審原告43-1~4は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、43-1・2は各30万円、43-4は60万円が相当である。43-3は重度の障害を抱えており、環境への順応に時間を要すること、転居の際には受入先の状況の確認を要するなど、避難が困難となる特別の事情があるとい え、その精神的苦痛を慰謝する額としては70万円が相当である。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告43-1・2に各8万円、43-3・4に各60万円を、それぞれ支払っているところ(争いがない。)、これらの既払金を各原告に生じた各損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告43-1に15万9014円、43-2に2万2000円、43-3に1万円、43-4に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号43の認容 額欄記載のとおりである。 41 一審原告44(1) 世帯の概要、避難の経緯、面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決413頁15行目から415頁1行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 審原告44(1) 世帯の概要、避難の経緯、面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決413頁15行目から415頁1行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要一審原告44-1~3の山口県への避難、44-2のその後の福島市への帰還、その後の山形県への移転及びその後の徳島県への移転は相当であるところ、避難に伴う損害のうち、山口県へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相 当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号44記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D44の8の8)を根拠とした認定である。 イ避難費用 避難交通費一審原告44-1~3の平成23年3月の山口県への避難は相当性が認められ、同年4月の山口県から福岡県への移転についても、一時的な避難から長期的な避難を見据えての移動であって相当性が認められる。 また、一審原告44-2は、平成23年4月に福岡県から福島市に帰 還し、同年5月に山形県に移転した後、平成24年4月に徳島県に移転したと認められるが、これについても本件事故と相当因果関係があるといえる。したがって、これらの避難及び移転に要した費用は、本件事故と相当因果関係のあるものといえ、別紙避難経路等一覧表の原告番号44記載のとおり、合計23万5768円を44-2に生じた損害と認め る。 面会交通費一審原告44-2が44-3との面会交流に要した費用は、別紙避難経路等 とおり、合計23万5768円を44-2に生じた損害と認め る。 面会交通費一審原告44-2が44-3との面会交流に要した費用は、別紙避難経路等一覧表の原告番号44に記載の195万2540円の範囲で本件事故と相当因果関係があるといえ、これを44-2に生じた損害と認める。その余の面会交通費については、本件事故と相当因果関係があると はいえない。 宿泊費一審原告44-1~3が避難に要した宿泊費は、4万3053円の範囲で本件事故と相当因果関係があるといえ、これを44-2に生じた損害と認める。その余の宿泊費については、本件事故と相当因果関係があ るとはいえない。 引越関連費用一審原告44-1~3の避難生活の際に要した引越関連費用は、36万8932円の範囲で本件事故と相当因果関係があるといえ、これを44-2に生じた損害と認める。その余の費用については、本件事故と相 当因果関係があるとはいえない。 自動車に要した費用一審原告44-2が自動車に要した費用(一審原告44-2が、通勤での被ばくを避け、余震などによる次の危機的状況が来た場合の備えのために、新たに自動車を購入した費用等)は、本件事故と相当因果関係 のある損害とは認められない。 避難雑費一審原告44-1~3は、避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出を要したものと推認でき、これらの支出のうち、避難の相当性が認められる平成23年3月から平成25年2月28日ま での間、1か月当たり1名につき1万円の限度(合計72万円)で、44 -2に生じた損害と認める。 ウ生活費増加 性が認められる平成23年3月から平成25年2月28日ま での間、1か月当たり1名につき1万円の限度(合計72万円)で、44 -2に生じた損害と認める。 ウ生活費増加費用 二重生活に伴う生活費増加費用一審原告44-1・3と44-2は、平成23年4月から、避難のため世帯を分離して生活することになり、水道光熱費等の生活費が増加し たものと推認できる。世帯分離していた期間の生活費増加費用として合計70万5000円を、44-2に生じた損害と認める。 家財道具購入費用一審原告44-1・3が避難の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、44-2と世帯分離したこ とを踏まえると、その損害額は30万円と認めるのが相当であり、これを44-2に生じた損害と認める。 住居費一審原告44-1・3及び44-2が、それぞれ避難生活のために要した住居費は、本件事故と相当因果関係のある支出であると認められる。 その金額は合計39万8900円であり、これを44-2に生じた損害と認める。 共益費一審原告44-1・3が避難生活の際に要した共益費の支出は、本件事故と相当因果関係があり、その金額1万4000円は44-2に生じ た損害と認める。 謝礼一審原告44-1・3が避難生活の際に滞在先にした謝礼の支出は、本件事故と相当因果関係があり、その金額10万円は、44-2に生じた損害と認める。 交通費 一審原告44-2が、福島市から山形市に避難したことにより増加した通勤交通費は、本件事故と相当因果関係のあ 4-2に生じた損害と認める。 交通費 一審原告44-2が、福島市から山形市に避難したことにより増加した通勤交通費は、本件事故と相当因果関係のある支出であり、その金額8万9900円は44-2に生じた損害と認める。 エ除染費用一審原告44-1~3が購入した除染道具の購入費用は、本件事故と相 当因果関係のある支出と認められ、その金額1万5000円は44-2に生じた損害と認める。上記金額を超えて除染道具を購入する必要があったとは認められない。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告44-1~3は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件 事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、44-1・2は各30万円、44-3は60万円が相当である。 一審原告44-1~3が、慰謝料増額の根拠として主張するその他の事由は、本件事故と相当因果関係が認められないか、慰謝料を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、44-1・2に各12万円、44-3に72万円をそれぞれ支払っていること、ADR手続において、44-1~3に494万7186円(うち76万円(44-1・2に対する各8万円、44-3に対する60万円の合計額)は既払金として控除され、418万7 186円のみ支払われている。)を支払っていることが認められるところ(甲D44の8の8、乙D44の6、弁論の全趣旨)、これら既払金合計514万7186円から、44-1に12万円、44-2に430万7186円、44-3に72万円(ただし、60万円の限度。)を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用 6円から、44-1に12万円、44-2に430万7186円、44-3に72万円(ただし、60万円の限度。)を、それぞれの損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用 弁護士費用は、一審原告44-1に1万8000円、44-2に23万7684円(9万3591円とADR手続分14万4093円の合計額)、44-3に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号44の認容 額欄記載のとおりである。 42 一審原告45(1) 世帯の概要、避難の経緯及び面会交流の経過は、原判決418頁24行目から419頁15行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要一審原告45-2・3の平成23年3月の東京都への避難及び同年7月の京都市への移転はいずれも相当であると認められるところ、避難に伴う損害のうち、東京都へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を本件事故と相当因果関係 のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号45記載のとおりである。 イ避難費用 交通費a 避難交通費 一審原告45-2・3の東京都への避難及び京都市への移転に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号45記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車以外)の額を修正した額により合計2万6400円とし、これを45-1に生じた損害と認める。 b 面会交流交通費 一審原告45-1と4 交通費一覧表(自家用車以外)の額を修正した額により合計2万6400円とし、これを45-1に生じた損害と認める。 b 面会交流交通費 一審原告45-1と45-3との面会交流に要した費用は、平成25年2月までの間のものについて本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号45記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車以外)の額を修正した額により、13回分合計48万1600円とし、これを45-1に生じた損害と 認める。平成24年8月の面会交流については主張立証がない。また、その余の面会交通費については、本件事故と相当因果関係がある損害とはいえない。 c したがって、交通費として合計50万8000円を一審原告45-1に生じた損害と認める。 家財道具移動費用一審原告45-2・3が京都市へ移転するに際して、平成23年7月17日に、家財道具移動費用として1万7440円を要したことが認められる(甲D45の6の10)。45-2・3の京都市への移転に際して家財を移動させる費用も、本件事故と相当因果関係のあるものとして、 これを45-1に生じた損害と認める。その余の家財道具移動費用について、損害が生じたと認めるに足りる証拠はない。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告45-2・3が避難生活の際に購入した家財道具の購入費用 として支出したと主張する5万1879円(甲D45の6の1~9、弁論の全趣旨)は、本件事故と相当因果関係のある損害といえ、全額を45-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(二重生活)一審原告45-1と45-2・3は、平成23年3月から 9、弁論の全趣旨)は、本件事故と相当因果関係のある損害といえ、全額を45-1に生じた損害と認める。 生活費増加費用(二重生活)一審原告45-1と45-2・3は、平成23年3月から、避難のた め世帯を分離して生活することになり、水道光熱費等の生活費が増加し たものと推認できる。世帯分離していた期間の生活費増加費用として、1か月当たり2万円を認め、合計48万円を45-1に生じた損害と認める。 駐車場代一審原告45-2・3の避難に伴い駐車場代の支出を要したと認める に足りる証拠はない。 エ就労不能損害一審原告45-1は、本件事故前、行政のイベントを企画運営する会社に就労しており、平成13年の年収は369万9100円であったが、平成23年6月整理解雇された事実が認められる(甲D45の1、45の4 の1)。しかし、一審原告45-1が勤務していたのは行政のイベントを企画運営する会社であり、その経営状態は、本件事故がなくても、震災や津波により多大な影響を受けたことが推認でき、45-1が整理解雇された原因が、本件事故によるものであるとまでは認められない。また、45-1が提出する本件事故前の給与所得の源泉徴収票は、平成13年のものだ けであり、これをもって本件事故当時の収入を証するものということもできない(収入額は、源泉徴収票によらずとも、所得証明書、課税証明書等により容易に立証可能であったはずである。)。そうすると、一審原告45-1に、本件事故による減収があったとは認めるに足りない。 オ避難雑費 一審原告45-2・3の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出を要したものと推認でき、これらの支出のうち、避難 減収があったとは認めるに足りない。 オ避難雑費 一審原告45-2・3の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出を要したものと推認でき、これらの支出のうち、避難の相当性が認められる平成23年3月から平成25年2月までの2年間、一人月額1万円(合計48万円)の限度で45-1の損害と認める。 カ精神的損害(慰謝料) 一審原告45-1~3は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件 事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、45-1・2は各30万円、45-3は60万円が相当である一審原告45-1~3は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告45-1に18万3732円、45-2に3万円、45-3に6万円を、それぞれ相当と認める。 (4) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号45の認容 額欄記載のとおりである。 43 一審原告46(1) 一審原告46-1~5が居住していた地域は、自主的避難等対象区域にも指定されておらず、近隣の空間放射線量もさほど高くなく、避難の相当性は認められない。また、本件原発からの距離や空間放射線量等に照らし、客 観的にみて、本件事故により、平穏な生活という法的利益を侵害されたと評価することもできず、慰謝料請求も理由がない。 (2) したがって、その余の点について判断するまでもなく、別紙損害額等一覧表の原告番号46記載のとおり、その請求は理由がない。 44 一審原告47 (1) 、慰謝料請求も理由がない。 (2) したがって、その余の点について判断するまでもなく、別紙損害額等一覧表の原告番号46記載のとおり、その請求は理由がない。 44 一審原告47 (1) 一審原告47が居住していた仙台市u1 区は、自主的避難等対象区域にも指定されておらず、本件原発までの距離は約89㎞あり、避難指示等対象区域や自主的避難等対象区域とも近接しておらず、観測された空間放射線量もさほど高いとはいえず、避難の相当性が認められない。 したがって、その避難のために要した支出は、本件事故と相当因果関係の ある損害であるとはいえない。 (2) また、一審原告47は、長男及び長女の被ばくの身体への影響を検査するため、検査費用を支出したことが認められるが(甲D47の7の1~4)、本件原発までの距離や空間放射線量等の状況を踏まえれば、その必要性があったとはいえず、検査費用が本件事故と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 (3) 一審原告47において、その居住地等に照らし、客観的にみて、本件事故により平穏な生活という法的利益を侵害されたと評価することはできず、一審原告47の慰謝料請求も理由がない。 (4) したがって、その余の点について判断するまでもなく、別紙損害額等一覧表の原告番号47記載のとおり、その請求は理由がない。 45 一審原告48(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅・面会交流の経過は、原判決428頁3行目から429頁7行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要一審原告48-1~3の平成23年3月の福島県会津若松市への避難及び48-1~4の京都市への避難(48-2~4は同年6月、48-1は同年8月) (2) 損害 ア概要一審原告48-1~3の平成23年3月の福島県会津若松市への避難及び48-1~4の京都市への避難(48-2~4は同年6月、48-1は同年8月)は、いずれも相当性が認められるが、48-5・6の京都市への避難(48-5は平成26年2月、48-6は平成27年9月)は、避 難の相当性が認められず、本件事故と相当因果関係のあるものではない。 48-1~4の避難に伴う損害のうち、福島県会津若松市への避難交通費及び48-2~4が京都市へ避難した日を含む月である平成23年6月から平成25年5月31日までの2年間に生じた損害を、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙 損害額等一覧表の原告番号48記載のとおりである。 イ避難費用 交通費a 避難交通費一審原告48-1~3の福島県会津若松市への避難及び48-1~4の京都市への避難に要した交通費は、本件において請求されていな い。 48-5・6の避難交通費は、その避難時期に照らし、本件事故と相当因果関係がある損害であるとはいえない。 b 面会交流交通費一審原告48-3の父母である48-1・2は48-3とともに避 難しており、48-5・6と48-3は親子の関係にもない。また、48-3以外の者はいずれも成人している。したがって、面会交流のための費用は本件事故と相当因果関係がある損害とはいえない。 c 一時帰宅費用一審原告48-1~4の福島県郡山市への一時帰宅、一時立入りは、 自宅の管理のための一時帰宅などと評価することはできない。したがって、これらについて、本件事故と相当因果関係がある損 宅費用一審原告48-1~4の福島県郡山市への一時帰宅、一時立入りは、 自宅の管理のための一時帰宅などと評価することはできない。したがって、これらについて、本件事故と相当因果関係がある損害であるとはいえない。 引越費用一審原告48-5・6の引越費用(甲D48の7の1)については、 その避難の相当性は認められないから、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告48-1~4が避難生活のために要した家財道具購入費用は、 本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、48-1~4と48- 5・6が別居して世帯分離が生じていることを踏まえると、その損害額は30万円とするのが相当であり、これを48-1に生じた損害と認める。 二重生活平成23年3月の福島県会津若松市への避難は短期間で終わっている が、同年6月からは、避難が継続し、世帯分離により水道光熱費等の生活費が増加したものと推認できる。生活費増加費用として、世帯分離していた平成23年6月から平成25年5月31日までの間、1か月当たり2万円を認め、合計48万円を48-6に生じた損害と認める。 避難雑費 一審原告48-1~4の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出を要したものと推認でき、これらは本件事故と相当因果関係があると認められるから、平成23年6月から平成25年5月31日までの間(48-1については平成23年8月以降)、1か月当たり1名につき1万円の限度において、損害と認める。その合計94万 円(24万円×3+22万円)を48-1に生じた損害と認める。 1日までの間(48-1については平成23年8月以降)、1か月当たり1名につき1万円の限度において、損害と認める。その合計94万 円(24万円×3+22万円)を48-1に生じた損害と認める。 一審被告東電は、一審原告48-1・2・4は、専ら48-3の付添いとして避難に同行したにすぎない旨主張する。しかし、父母である48-1・2や同居の親族である48-4が、幼少の子である48-3と同居することとして避難を選択することに不合理な点はなく、また自ら の避難という側面があることも明らかである。したがって、一審被告東電の上記主張は採用することができない。また、従前同居していた一審原告48-5が平成26年2月まで、48-6が平成27年9月まで、福島県郡山市に居住を継続しており、48-1~4についても、平成25年5月31日頃までの間に、京都への定住を決断していたと断じるべ き証拠もないから、48-1~4について、同月まで避難の相当性を認 める。 家賃・共益費及び生活用動産保険一審原告48-6の避難に伴うこれらの費用(甲D48の6の1・2)については、その避難が相当と認められないから、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。 エ精神的損害(慰謝料)一審原告48-1~6は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、48-1・2・4は各30万円、48-3は60万円、48-5・6は本件事故による恐怖及び不安並びに行動の自由の制限についての苦痛への慰謝料と して、各30万円がそれぞれ相当である。 一審原告48-1~6は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件 並びに行動の自由の制限についての苦痛への慰謝料と して、各30万円がそれぞれ相当である。 一審原告48-1~6は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、一審原告48-1・4・5・6に各12万円、48-2に20万円、48-3に72万円を、それぞれ支払っているところ(争いがない。)、これらをそれぞれに生じた損害額(ただし、48-3については60万円の限度)に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用 弁護士費用は、一審原告48-1に14万2000円、48-2に1万円、48-3に0円、48-4に1万8000円、48-5に1万8000円、48-6に6万6000円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号48の認容 額欄記載のとおりである。 46 一審原告49(1) 世帯の概要、避難の経緯、一時帰宅の経過及びADR手続における和解については、原判決431頁26行目から432頁25行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要一審原告49の大阪府への避難及びその後の京都市への移転は相当と認められるところ、避難に伴う損害のうち、大阪府へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細 は、別紙損害額等一覧表の原告番号49記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず 年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細 は、別紙損害額等一覧表の原告番号49記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、直接請求による支払額若しくはADR手続における和解額又はそれらの合算額(甲D49の8の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 移動費用一審原告49の大阪府への避難に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。また、49の大阪府から京都市への移転についても、生活の安定のための移転であるから、その費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。 これに対して、49の京都市から福島市への移転は、大阪府への避難から4年以上が経過しており、生活が安定した後の移転であるから、本件事故と相当因果関係がある損害と認められない。 したがって、別紙避難経路等一覧表の原告番号49記載のとおり、その金額は合計3万6000円とし、これを49に生じた損害と認める。 滞在費 一審原告49が大阪府への避難の際に要した滞在費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、その損害額は7600円と認める。 引越費用一審原告49が引越費用を要したことを認めるに足りる証拠はない。 一審原告49が、ADR手続(甲D49の8の1)において、一審被告 東電との間でその支払を合意した事実も認められない。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告49が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。49が、本件事故当時、単身 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告49が避難生活の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。49が、本件事故当時、単身 で居住しており、避難したことを踏まえると、その損害額は15万円と認めるのが相当である。 一時立入費用(移動費用・滞在費)一審原告49が避難生活の際に要した一時立入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害といえ、その損害額は、別紙避難経路等一覧表の 原告番号49記載のとおり、移動費用が18万2400円、滞在費が1万2800円と認めるのが相当である。 賃料一審原告49は、平成24年3月以降、民間賃貸物件を賃借し、月額7万円の賃料を支払った旨主張するが、これを認めるに足りる証拠はな い。また、一審原告49は、平成26年4月23日には、京都市β3 区内の賃貸物件を賃借した事実は認められるが(甲D49の6の1・2)、その賃借期間については避難の相当性を認めることができず、その賃料相当額を本件事故と相当因果関係がある損害であると認めることはできない。 エ営業損害(逸失利益) 一審原告49は、本件事故当時、自宅においてお菓子教室を開いており、その事業等による収入があったこと、避難時にお菓子教室を閉鎖したこと、避難後は平成23年6月から就労していたが、その後転職を繰り返して、平成25年5月以降は定職に就いていないことが認められる(甲49の1の1)。この間の営業損害については、合計143万9647円(直接請求 で認められた99万6385円(甲D49の3)及びADR手続における和解で認められた44万3262円の合計額)は認められるが、こ )。この間の営業損害については、合計143万9647円(直接請求 で認められた99万6385円(甲D49の3)及びADR手続における和解で認められた44万3262円の合計額)は認められるが、これを超えて、一審原告49に営業損害を生じたと認めるに足りる証拠はない。 一審原告49は、直接請求及びADR手続における和解で認められたのは、平成23年3月から同年9月までの分であるとして、同年10月以降、 月額35万1651円の割合による営業損害を主張する。しかし、これを認めるに足りる証拠はなく、仮に営業損害があるとしても、一審原告49は、平成23年6月以降平成24年10月までに、手取り額で合計404万4593円(190万2445円及び214万2148円の合計額。乙D49の3)の収入を得ており、平成25年にも一定の収入があったこと がうかがわれるから(乙D49の3)、いずれにしても、一審原告49に、直接請求及びADR手続における和解で認められた営業損害の額を超える損害があったとまでは断ずることができない。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告49は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故によ る恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、30万円が相当である。 一審原告49は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当 一審被告東電は、一審原告49に、直接請求により111万6385円、ADR手続において89万3280円(うち8万円は既払金として控除され、81万3280円のみ支払われている。)を支払っており、これら既払金の合 電は、一審原告49に、直接請求により111万6385円、ADR手続において89万3280円(うち8万円は既払金として控除され、81万3280円のみ支払われている。)を支払っており、これら既払金の合計192万9665円を一審原告49に生じた損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、4万5896円(1万9878円及びADR手続分2万6018円の合計額)を相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号49の認容 額欄記載のとおりである。 47 一審原告50(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅の経過については、原判決436頁4行目から22行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要一審原告50の新潟県への避難並びにその後の山口県、東京都及び京都市への移転は、相当性が認められ、避難に伴う損害のうち、新潟県へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定 した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号50記載のとおりである。 イ避難費用 交通費一審原告50の新潟県への避難は、本件事故と相当因果関係のある損 害と認められる。その後の山口県、東京都及び京都市への移転について も、実兄宅や従兄弟宅を転々とするものであり、生活を安定させるために必要な移転であるといえ、これらの移転に要した交通費についても、本件事故と相当因果関係のある損害と認める(ただし、京都市への移転については東京都からの移転費用に限る。)。その合計額は、別 せるために必要な移転であるといえ、これらの移転に要した交通費についても、本件事故と相当因果関係のある損害と認める(ただし、京都市への移転については東京都からの移転費用に限る。)。その合計額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号50記載のとおり合計7万8400円とし、これ を一審原告50に生じたものと認める。 一時帰宅交通費一審原告50は、実母との面会等のため、複数回にわたり福島市に一時帰宅しており、これに要した費用についても、本件事故と相当因果関係がある損害であると主張するが、一審原告50は成人であり、その実 母との面会交流のために要する費用が、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用一審原告50が避難の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相 当因果関係のある損害と認められる。一審原告50が実母と同居していたが、避難に伴い世帯分離が生じたことを踏まえると、その損害額は30万円として、一審原告50に生じた損害と認める。 二重生活一審原告50は、平成23年6月下旬から実母と世帯分離して生活す るようになり、水道光熱費等の生活費が増加したものと推認できる。したがって、世帯分離による生活費増加費用として、世帯分離していた平成23年6月から平成25年2月28日までの間、1か月当たり2万円を認め、その合計42万円について一審原告50の損害と認める。 二重生活に伴う通信費 前記世帯分離による生活費増加費用を超えて、避難により通信費を要 したと認めるに足りる証拠はない。 生活費増加費用(賃料等)一審原告50 前記世帯分離による生活費増加費用を超えて、避難により通信費を要 したと認めるに足りる証拠はない。 生活費増加費用(賃料等)一審原告50は、平成24年12月以降、避難先において月額2000円の共益費を要したことが認められる(甲50の1・2。住民票上、市営住宅入居は、平成24年12月14日である。)。したがって、平成 24年12月から平成25年2月28日までの共益費合計6000円(2000円×3か月)を本件事故と相当因果関係のある損害と認める。 エ就労不能損害一審原告50は、平成20年4月から平成23年2月まで、福島市役所において臨時職員として勤務しており、平成22年には118万2404 円(平均月額9万8534円)を得ており、その後も、月額10万円程度の給与で飲食店において稼働する予定であったが、避難により稼働することができなくなったことが認められる(甲D50の1・4の1)。 もっとも、一審原告50は、平成23年9月に、避難先において就職し、平成25年3月までに合計254万6133円の収入(平均月額13万4 007円)を得たことが認められ(甲D50の4の3~20)、平成23年3月から同年8月までの間は、本件事故による避難のため稼働できず、就労不能損害を生じたというべきであるが、同年9月以降については、収入の減少等があったとはいい難い。したがって、一審原告50には、避難前の基礎収入(月額9万8534円)を基準として、合計50万円の就労不 能損害を認める(同年3月については就労予定日数が不明である。)。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告50は、自主的避難等対象区域の居住者であり、また脳腫瘍の入院治療で医療 能損害を認める(同年3月については就労予定日数が不明である。)。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告50は、自主的避難等対象区域の居住者であり、また脳腫瘍の入院治療で医療被ばくを受けており、医師から相当高い量の放射線を浴びているとの説明を受けていたことから、本件事故による恐怖及び不安は、 同区域の通常の居住者に比べて、より大きいとみる特段の事情がある。し たがって、その恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、40万円が相当と認める。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告50に20万円を支払っており(争いがない。)、この既払金を一審原告50に生じた損害額に充当する。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、15万0440円を相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号50の認容額欄記載のとおりである。 48 一審原告51(1) 世帯の概要、避難の経緯、面会交流の経過及びADR手続における和解については、原判決439頁15行目から440頁17行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア概要一審原告51-2・3の新潟県及び山形県への各避難並びに兵庫県への移転は、避難の相当性が認められ、新潟県へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別 紙損害額等一覧表の原告番号51記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D51の8の1)を根拠とし 紙損害額等一覧表の原告番号51記載のとおりである。なお、下記で、定額による認定ではないにもかかわらず、証拠の記載のない損害額認定は、ADR手続における和解額(甲D51の8の1)を根拠とした認定である。 イ避難費用 移動交通費 一審原告51-2・3の新潟県及び山形県への各避難並びに新潟県か ら兵庫県への移転に要した交通費及び平成23年6月の福島市への帰還費用は、本件事故と相当因果関係のある損害といえる。その費用は、別紙避難経路等一覧表の原告番号51記載のとおり合計8万4400円とし、これは51-1に生じた損害と認める。 一審原告51-1は、51-2・3が、富山県へ避難した旨述べるが (甲D51の1の1)、滞在日数が1日にとどまり、独立した避難であるとは評価することができない。福島市へ帰還するための経由地にすぎず、福島市への帰還とは別に避難したとは評価できない。 また、一審原告51-2・3の山形県から京都市に移転及び51-1の福島県から京都市への移転は、平成25年11月18日であり、山形 県への当初の避難から2年以上経過しており、本件事故と相当因果関係があると評価することはできないから、その移転に要した交通費は、損害と認められない。 宿泊費及び謝礼一審原告51-2・3が避難の際に要した宿泊費及び謝礼は、本件事 故と相当因果関係のある損害といえ、その金額7万5700円を51-1に生じた損害と認める。 引越関連費用一審原告51-2・3の避難生活の際に要した引越関連費用は、本件事故と相当因果関係のある損害といえ、その金額15万2900円を5 1-1に生じた損害と認める。 面会交通費 一審原告51-2・3の避難生活の際に要した引越関連費用は、本件事故と相当因果関係のある損害といえ、その金額15万2900円を5 1-1に生じた損害と認める。 面会交通費一審原告51-1が、子である51-3との面会交流に要した費用のうち、別紙避難経路等一覧表の原告番号51記載の126万3200円は、本件事故と相当因果関係のある損害であるといえ、51-1に生じ た損害と認める。一審原告51-1が主張するその余の面会交通費につ いては、その支出が認めるに足りないか、本件事故と相当因果関係がある損害であるとはいえない。 立入交通費一審原告51-3が一時帰宅に要した費用のうち、別紙避難経路等一覧表の原告番号51記載の8万3200円については、本件事故と相当 因果関係がある損害であるものとして、51-1に生じた損害と認める。 その余の一時帰宅交通費については、その支出が認めるに足りないか、本件事故と相当因果関係がある損害であるとはいえない。 ウ二重生活に伴う生活費増加費用(光熱費、通信費、被服費、食費)一審原告51-2・3の避難に伴い、平成23年3月から51-1と別 居することにより世帯分離が生じ、光熱費、通信費等の生活費が増加したものと推認できる。世帯分離による生活費増加費用として合計91万5000円を認め、51-1に生じた損害と認める。一審原告51にこれを超えた損害を認めるに足りる証拠はない。 エ家財道具購入費用 一審原告51-2・3が、避難生活に際して支出した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、世帯分離が生じていたことを踏まえると、その金額は30万円とするのが相当で 一審原告51-2・3が、避難生活に際して支出した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、世帯分離が生じていたことを踏まえると、その金額は30万円とするのが相当であり、これを51-1に生じた損害と認める。また、これを超える支出があったとしても、その全部が本件事故と相当因果関係のある損害であるとまではいえな いし、複数回の移転があったからといって、その金額を増額する理由は見当たらない。 オ賃料、仲介料及び住宅保険料等一審原告51-2・3の兵庫県への移転後の生活及び山形県における避難生活の際に要した賃料、仲介料及び住宅保険料等は、本件事故と相当因 果関係のあるものといえる。そして、その金額は、賃料等18万8070 円、仲介料及び住宅保険料8万5350円、家賃23万3666円と認めるのが相当であり、これらは51-1に生じた損害と認める。 カ駐車料及び管理料並びに車のナンバー変更に関する費用一審原告51-2・3が避難生活の際に要した駐車料及び管理料並びに車のナンバー変更に関する費用のうち、駐車料及び管理料33万6000 円並びに車のナンバー変更に関する費用3650円(甲D51の8)は、本件事故と相当因果関係のあるものとして、51-1に生じた損害と認める。 その余の金額については、本件事故と相当因果関係がある損害であるとはいえない。 キ検査費用(医療費) 一審原告51-1~3が、被ばくの身体への影響を検査するために要した検査費用3150円は、本件事故と相当因果関係のあるものといえ、51-1の損害と認める。 クガイガーカウンター購入費用・高圧洗浄機購入費用本件事故により、ガイガーカウンター及び除染の 用3150円は、本件事故と相当因果関係のあるものといえ、51-1の損害と認める。 クガイガーカウンター購入費用・高圧洗浄機購入費用本件事故により、ガイガーカウンター及び除染のための高圧洗浄機を購 入する費用は、本件事故と相当因果関係があるといえ、ガイガーカウンター購入費用4000円、高圧洗浄機購入費用4万5800円は、いずれも一審原告51-1に生じた損害と認める。 ケ避難雑費一審原告51-2・3の避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し 難いさまざまな支出を要したものと推認でき、これらは本件事故と相当因果関係があると認められるから、平成23年3月から平成25年2月28日までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度において、損害と認める。その合計48万円(24万円×2)を51-1に生じた損害と認める。 一審原告51-1~3にこれを超える避難雑費が生じたと認めるに足り る証拠はない。 コ町内会費一審原告51-1~3において、町内会費を支出したと認めるに足りる証拠はない。また、仮にその支出があったとしても、平成25年11月以降であり、本件事故と相当因果関係がある損害とは認められない。 サ精神的損害(慰謝料) 一審原告51-1~3は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、51-1・2は各30万円、51-3は60万円が相当である。 一審原告51-1~3は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえ ないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審 増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえ ないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、直接請求により、一審原告51-1に12万円、51-2に12万円、51-3に72万円を、それぞれ支払い、ADR手続においても、51-1~3に462万8908円(うち76万円(51-1・2に 対する各8万円、51-3に対する60万円の合計額)は既払金として控除され、386万8908円のみ支払われている。)を支払うなど、一審原告51に合計1293万6823円を支払っているところ(争いがない。)、これら既払金から、51-1に1209万6823円(ただし、468万8908円の限度。)、51-2に12万円、51-3に72万円(ただし、60万 円の限度。)を、それぞれに生じた損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告51-1に0円(ADR手続において合意された13万4822円についても支払済みである。)、51-2に1万8000円、51-3に0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ 以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号51の認容額欄記載のとおりである。 49 一審原告52(1) 世帯の概要、避難の経緯及び面会交流の経過は、原判決444頁25行目から445頁20行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 一審原告52-1~4は、平成24年1月27日、茨城県北茨城市から京都市に避難しているところ、その時期は、本件事故の収束宣言がされた平成23年12月を超えており、避難の相当性が認められない。したがって 審原告52-1~4は、平成24年1月27日、茨城県北茨城市から京都市に避難しているところ、その時期は、本件事故の収束宣言がされた平成23年12月を超えており、避難の相当性が認められない。したがって、避難に要した費用に関する請求は理由がない。 (3) 損害 ア概要上記のとおり、一審原告52-1~4に避難の相当性は認められないから、避難に関する損害賠償は認められないが、居住地の状況を踏まえると、自主的避難等対象区域の住民と同等と考えるのが相当である。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号52記載のとお りである。 イ避難費用(保養費用)一審原告52-1~4は、平成23年8月頃、52-1の夫とともに、北海道函館市に保養に赴いた事実は認められる。しかし、保養は、生活の拠点を変更する避難とはその性質を異にし、これをもって避難と同視する ことはできない。 この点を措くとしても、その保養のために要した交通費は、船か新幹線を利用すれば負担する必要がなかったにもかかわらず、飛行機を利用したために負担を要したというのであって(甲D52の1の1)、その交通費は本件事故と相当因果関係があったとはいえない。また、一審原告52-1 は、食費と電気代は負担したというものの、その金額は3万2500円に すぎず(甲D52の6の6)、保養のために特に出費が増えたということもできない。 以上によれば、一審原告52-1~4が主張する保養費用は、本件事故と相当因果関係のある損害であるということはできない。 ウ検診料 一審原告52-1~4は、被ばくの身体への影響を検査するため、検査費用として合計4万5560円を支出したことが認められる(甲D52の7の1~20)。 できない。 ウ検診料 一審原告52-1~4は、被ばくの身体への影響を検査するため、検査費用として合計4万5560円を支出したことが認められる(甲D52の7の1~20)。本件原発に比較的近い場所に居住していた52-1~4が、身体への影響を不安に思い、それを解消するために検査することは相当であるから、前記検査費用は、本件事故と相当因果関係のあるものとし て、52-1に生じた損害と認める。 エ精神的損害(慰謝料)一審原告52-1~4の居住する茨城県北茨城市は、自主的避難等対象区域等の範囲外である。しかし、その自宅は、本件原発から約67km程度に位置しており(乙D52の1)、自主的避難等対象区域の多くが入る半 径80km圏内にあるといえる。また、同市内においては、平成23年3月16日に、一時的とはいえ、平常時の300倍という15.8μSv/hもの高い空間放射線量が観測されており(甲D52の9の7)、これらの事情を考慮すると、その居住地域は、自主的避難等対象区域と同等の状況にあったというべきである。したがって、52-1~4が本件事故による 恐怖及び不安は、本件事故と相当因果関係のある損害であるということができる。 そして、本件事故による恐怖及び不安への慰謝料としては、52-1は30万円、52-2~4は各60万円が相当である。 一審原告52-1~4は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情 を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえ ないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告52-1に3万4556円、52-2~4に各6万円をそれぞれ相当と認める。 (5) まとめ ないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告52-1に3万4556円、52-2~4に各6万円をそれぞれ相当と認める。 (5) まとめ 以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号52の認容額欄記載のとおりである。 50 一審原告54(1) 世帯の概要、避難の経緯及び面会交流の経過は、原判決451頁4行目から23行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要一審原告54-1・2の京都府への避難は、相当と認められるところ、避難に伴う損害のうち、京都府へ避難した日を含む月である平成23年5月から平成25年4月30日までの2年間に生じた損害を相当因果関係 のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号54記載のとおりである。 イ避難費用 交通費一審原告54-1・2の京都府への避難に要した交通費は、本件事故 と相当因果関係のある損害と認められ、別紙避難経路等一覧表の原告番号54記載のとおり、その金額は標準交通費一覧表(自家用車)の金額を修正した2万2400円とし、これを54-1に生じた損害と認める。 面会交通費一審原告54-1・2の一時帰宅が、不動産の管理等のために必要で あったとは認められず、また54-2の母が京都府を訪れることによる 面会交流の費用については、54-1・2がいずれも成人であることに照らし、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 ウ生活費増加費用(家財道具購入費用)一審原告54-1・2が避難の際に要した家財道 1・2がいずれも成人であることに照らし、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 ウ生活費増加費用(家財道具購入費用)一審原告54-1・2が避難の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、世帯全体で避難したことを踏ま えると、その損害額は15万円と認めるのが相当であり、これを54-1に生じた損害と認める。 エ逸失利益(作付けにかかる損害)一審原告54-1・2は、平成22年5月頃、福島県いわき市に転居し、その頃から農業研修を受けて白ネギの作付けをしており、平成23年3月 下旬頃収穫する予定であったが、本件事故によりその収穫ができなくなり、また、福島県産農作物の価格の下落も見込まれたことから、その後の農業の継続も断念したことが認められる(甲D54の1の1、一審原告54-1本人)。しかし、作付けをした白ネギの数量やその見込み価格、本件事故のために使用することができなくなった農業用資材の内容やその価格の 作付けのために作付けしたネギの量やそのための費用の額などについて、一審原告54-1の供述内容を裏付ける証拠がなく(54-2は、農業研修に関していわき市から給付金を受領していたものと認められる。)、54-1・2に損害が生じたと認めることはできない。 オ精神的損害(慰謝料) 一審原告54-1・2は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、各30万円が相当である。 一審原告54-1・2は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえ ないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 一審原告54-1・2は、慰謝料額を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえ ないか、上記慰謝料額を増額すべき事情とまではいえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告54-1・2に各12万円を支払っており(争いがない。)、これら既払金を各原告に生じた各損害額に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用 弁護士費用は、一審原告54-1に3万5240円、54-2に1万8000円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号54の認容額欄記載のとおりである。 51 一審原告55(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅・面会交流の経過については、原判決453頁20行目から454頁11行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害 ア一審原告55が主張する損害は、その発生が認められないか、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。 イ避難費用及び生活費増加費用(生活費増加)一審原告55が居住していた仙台市u2 区は、自主的避難等対象区域にも指定されておらず、本件原発までの距離は約95㎞あり、避難指示等対 象区域や自主的避難等対象区域とも近接しておらず、観測された空間放射線量もさほど高いとはいえず、避難の相当性が認められない。 したがって、その避難のために要した支出は、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 ウ放射線検査費用 一審原告55は、平成26年3月17日及び平成27年6月8日、長男 に、甲状腺の検査を受けさせたことが認められるが(甲D55の7の1)、 いえない。 ウ放射線検査費用 一審原告55は、平成26年3月17日及び平成27年6月8日、長男 に、甲状腺の検査を受けさせたことが認められるが(甲D55の7の1)、一審原告55や長男が居住していた自宅から本件原発までの距離や自宅周辺の空間放射線量等の状況に加え、その検査の時期を踏まえれば、検査の必要性があったということはできず、そのために要した費用を本件事故と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 エ精神的損害一審原告55は、その居住地等に照らし、客観的にみて、本件事故により平穏な生活という法的利益を侵害されたと評価することはできず、一審原告55の慰謝料請求も理由がない。 一審原告55は、慰謝料請求を認めるべき事情として様々な事情を主張 するが、これらの事情も、慰謝料請求を基礎づける事情とはいえない。 (3) したがって、別紙損害額等一覧表の原告番号55欄記載のとおり、一審原告55の請求は理由がない。 52 一審原告56(1) 世帯の概要 一審原告56-1は、昭和37年8月26日生まれの女性、56-2は昭和63年7月8日生まれの女性である。本件事故当時、56-1は、栃木県大田原市において、父の所有する建物を自宅として居住していた。56-2は、都立高等学校を卒業し、その後、イギリスやニュージーランドに留学し、会社を設立してその取締役に就任するなどしていた。56-2は、遅くとも 平成23年1月頃からは東京都内に居住しており、資格取得のために学校に通っていた。 56-1の父(以下、一審原告56-1・2の関係では「亡父」という。)は、本件事故当時、東京都内に居住していたが、平成24年9月9日死亡し、56-1が相続した。(甲D56の1の1、一審原告56- 56-1の父(以下、一審原告56-1・2の関係では「亡父」という。)は、本件事故当時、東京都内に居住していたが、平成24年9月9日死亡し、56-1が相続した。(甲D56の1の1、一審原告56-1本人) (2) 避難の経緯 ア一審原告56-1は、平成23年3月14日、仕事のため、成田空港から中国に出国する予定であり、同月12日、盲導犬候補として預かっていた犬を連れて自動車で東京都に向かった。その後、東京都内から、成田空港に向かう途中で、中国への航空便が欠航となったことを知り、関西空港から出国することとして、同月17日頃、大阪府に向かった。また、一審 原告56-2は、東京都に居住していたが、56-1とともに、盲導犬候補の犬を連れて自動車で大阪府に向かった。(甲56の1の1・9頁)イ一審原告56-1・2は、大阪府内の盲導犬協会の施設等で生活した後、平成23年4月1日頃、大阪府豊中市の市営住宅で生活をするようになった(甲D56の1の1・12頁)。 ウ亡父は、本件事故当時、東京都内に居住していたが、平成23年4月末から5月初旬頃、一審原告56-1・2と同居を開始した。しかし、同年9月頃には東京都に戻り、同年12月頃には、東京都荒川区内にマンションを借りて居住するようになった。その後、体調の悪化により、兵庫県内の病院に入院したが、最期を東京都で迎えたいという希望により、東京都 内の病院に転院し、平成24年9月9日死亡した。(甲D56の1の1・33~39頁)エ一審原告56-2は、平成23年8月頃から、東京都内で生活をし、資格を取得するために学校に通うなどするようになり、平成24年に婚姻して、東京で生活をしている(甲D56の1の1・29頁)。 (3) 一時帰宅・面会交 23年8月頃から、東京都内で生活をし、資格を取得するために学校に通うなどするようになり、平成24年に婚姻して、東京で生活をしている(甲D56の1の1・29頁)。 (3) 一時帰宅・面会交流の経過一審原告56-1・2は、平成23年8月から平成28年12月までの間、面会交流のために東京都等を訪問したり、栃木県大田原市へ一時帰宅したりした(甲D56の1の1)。 (4) 損害 ア概要 栃木県大田原市に居住していた一審原告56-1の避難は相当であり、避難に伴う損害のうち、避難をした日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因果関係のある損害と認める。これに対し、本件事故当時東京都内に居住していた56-2及び56-1の亡父による避難には相当性が認められず、その避難に伴 う支出が本件事故と相当因果関係があるとはいえない。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号56記載のとおりである。 イ避難費用 避難交通費 一審原告56-1は、平成23年3月14日、仕事のため、成田空港から中国に出国する予定であったが、搭乗する予定であった航空便が欠航となったため、関西空港から出国することとして、大阪府に向かったというのであり、本件事故がなくても大阪府に移動し、そのために支出を要したものであるといえる。したがって、56-1の大阪府への移動 に要した費用の支出は、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。 これに対して、56-1の大阪府から京都市への移転は、避難直後であり、生活の安定を図るためといえ、当該移転に要した費用も、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。その金額は、別紙避難 いえない。 これに対して、56-1の大阪府から京都市への移転は、避難直後であり、生活の安定を図るためといえ、当該移転に要した費用も、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。その金額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号56記載のとおり7200円と認め、これを56-1に 生じた損害と認める。 一審原告56-1は、その後も移転を繰り返し、移転費用を要した旨述べるが、これらの移転は、多数回に上り、全国各地に移転するものであり、その目的も明らかでなく、生活の安定を図るためという目的を超えるといわざるを得ず、本件事故と相当因果関係のある損害とは認めら れない。 一審原告56-1・2は、化学物質過敏症や電磁波過敏症のため、居住できる場所が限られるなどと主張し、それぞれ、平成20年12月3日、本態性化学物質不耐(化学物質過敏)との診察を受けていることが認められる(甲D56の7の2の1・2)。しかし、56-1は、平成22年3月まではアメリカで生活し、平成23年3月には中国への渡航が予 定され、さらに、本件事故後には、北海道から沖縄に至るまで、各地に赴いていると認められるが、これらの移動や滞在に関して、化学物質過敏や電磁波過敏症を発症し、生活に具体的に支障が生じていたような事実はうかがわれない。そして、上記の診察以外に、化学物質過敏症や電磁波過敏症により、日常生活にいかなる支障を生じるものであるのかを 認めるに足りる証拠もなく、56-1が避難先として提供された住居に居住できなかった理由についても、これを客観的に明らかにする資料はない。そうであれば、56-1が化学物質過敏症や電磁波過敏症のために複数の移転を要したと認めることはできず、そのための移転費用についても、本件事故と相当因果関係がある損害であるとはい かにする資料はない。そうであれば、56-1が化学物質過敏症や電磁波過敏症のために複数の移転を要したと認めることはできず、そのための移転費用についても、本件事故と相当因果関係がある損害であるとはいえない。 一時帰宅一審原告56-1は、大阪府へ避難した後、平成24年1月までに2度、一時帰宅しており、自宅の片付け等のためと認められるから、大人1名分の帰宅費用の限度で認める。その金額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号56記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車、自家用車 以外)の額を修正し、合計5万4400円とし、56-1に生じた損害と認める。 部屋探し部屋探しのための費用は、避難後に更に移転先を探すための費用であると思われるが、一審原告56-1が、京都市から他所に移転すること について、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。 一審原告56-1・2は、化学物質過敏症や電磁波過敏症のため転居先探しに苦労していた旨主張するが、上記のとおり、これらの症状のために頻繁な移転を要するとまでは認められず、生活の安定を図るためという目的に沿うものということもできないから、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。 面会交流未成熟の子と親以外の親族の面会交流に要する費用については、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。また、一審原告56-1と亡父、56-1・2は、いずれも親子であるが、いずれも成人であり、その面会交流のための費用も本件事故と相当因果関係がある損害であると はいえない。 滞在費滞在費についても、移転自体、生活の安定を図るためという目的を超えるといわざるを得ず、そ ための費用も本件事故と相当因果関係がある損害であると はいえない。 滞在費滞在費についても、移転自体、生活の安定を図るためという目的を超えるといわざるを得ず、その支出をもって、本件事故と相当因果関係がある損害であるとはいえない。 ウ生活費増加費用 清掃作業・リフォーム等本件事故による避難のため、清掃費用が必要となったと認めるに足りる証拠はないし、自宅のリフォームについて、本件事故により価値が減少又は滅失したとは認められないから、これらに要した費用は、本件事 故と相当因果関係のある損害とはいえない。 家財道具購入費用一審原告56-1が避難の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害といえ、世帯全体で避難したことを踏まえると、その損害額は15万円とし、これを56-1に生じた損害と認める。 引越費用 一審原告56-1の大阪府から京都市への移転は、相当性が認められるから、その費用のうち引越費用23万2050円の限度で、本件事故と相当因果関係のある損害と認める(甲56の6の1の1~3、56の6の2の3)。 入居初期費用・家賃等 一審原告56-1の大阪府から京都市への移転は相当であるから、京都市での家賃等住居にかかる費用として、6万4000円の限度で、本件事故と相当因果関係のある損害と認める(甲56の6の3の2・3)。 敷金9万6000円(甲D56の6の3の1)については、返還が予定されているものであり、損害とは認めない。 重複光熱費一審原告56-1の避難は、世帯全体で行っており、自宅における光 (甲D56の6の3の1)については、返還が予定されているものであり、損害とは認めない。 重複光熱費一審原告56-1の避難は、世帯全体で行っており、自宅における光熱費の支出を免れているのであるから、光熱費が重複して必要となったと認められない。 エ処分家財等 一審原告56-1は、自宅にある家財道具等が、空き巣により盗難に遭い、また、放射性物質による汚染により使いものにならなくなったとして、損害を被った旨主張するが、空き巣による被害は本件事故と因果関係は認められないし、放射性物質による汚染により、家財道具の価値が減少又は喪失したと認めるに足りる証拠はない。 オ精神的損害(慰謝料)一審原告56-1は、自主的避難等対象区域外の居住者であるが、大阪府への避難は、自主的避難等対象区域からの避難に準じると評価することができるから、慰謝料を認めるのが相当である。そして、本件原発からの距離や、自宅周辺の空間放射線量等を考慮すると、その慰謝料としては1 0万円を認めるのが相当である。 一審原告56-1は、慰謝料の増額を認めるべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、本件事故と相当因果関係があるとはいえないか、慰謝料の増額を基礎づける事情といえない。 なお、一審原告56-2及び亡父は、本件事故当時、東京都内に居住していたと認められ、その避難には相当性が認められず、また、本件事故に よって放射線への恐怖にさらされたといえるような特段の事情もないから、これらの者に慰謝料は認められない。 (5) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告56-1に6万0765円を相当と認める。 (6) まとめ 以上を踏まえると、認 の事情もないから、これらの者に慰謝料は認められない。 (5) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告56-1に6万0765円を相当と認める。 (6) まとめ 以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号56の認容額欄記載のとおりである。 53 一審原告57(1) 世帯の概要、避難の経緯及び一時帰宅の経過については、原判決460頁1行目から23行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要一審原告57-1~6の福島県会津若松市への避難は相当であり、避難に伴う損害のうち、福島県会津若松市へ避難した日を含む月である平成23年3月から平成25年2月28日までの2年間に生じた損害を相当因 果関係のある損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別紙損害額等一覧表の原告番号57記載のとおりである。 イ避難費用 交通費一審原告57-1~6の福島県会津若松市への避難に要した交通費は、 本件事故と相当因果関係のある損害と認める。また、57-1~6の福 島県会津若松市から新潟県への移転、新潟県から大阪府への移転及び大阪府から京都市への移転は、いずれも避難直後であり、生活の安定を図るためのものであったといえ、当該移転に要した費用も、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。その金額は、別紙避難経路等一覧表の原告番号57記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車)の額を修正 した額により合計4万5600円とし、これを57-2に生じた損害と認める。 一時帰宅費用一時帰宅費用については、自宅の整理等のための立入りとして、年に4回程度、大人1名の1回の往復分を本件事故と相当 とし、これを57-2に生じた損害と認める。 一時帰宅費用一時帰宅費用については、自宅の整理等のための立入りとして、年に4回程度、大人1名の1回の往復分を本件事故と相当因果関係のあるも のと認める。もっとも、一審原告57-1~6の自宅は、借家であったことから、自宅の維持等の管理は不要であり、自宅の整理や家財の運搬は、3回程度で足りるものと考えられるから、別紙避難経路等一覧表の原告番号57記載のとおり、標準交通費一覧表(自家用車)の額を修正した額で3往復分として、13万4400円を57-2に生じた損害と 認める。その余については、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。 避難雑費一審原告57-1~6は、避難に伴い、個別具体的な費目としては算定し難いさまざまな支出を要したものと推認でき、これらは本件事故と 相当因果関係があると認められるから、平成23年3月から平成25年2月28日までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度において、損害と認める。その合計144万円(24万円×6人)を57-2に生じた損害と認める。 ウ生活費増加費用 家財道具購入費用 一審原告57-1~6が避難の際に要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められ、世帯全体で避難したことを踏まえ、その損害額は15万円とし、これを57-2に生じた損害と認める。 生活費増加費用(一般) 一審原告57-1~6が世帯全体で避難していることに鑑みれば、本件避難によって生活費が増加したとは認め難い。 生活費増加費用(食費増加分)一審原告57-1~6は、57-2が単身赴 57-1~6が世帯全体で避難していることに鑑みれば、本件避難によって生活費が増加したとは認め難い。 生活費増加費用(食費増加分)一審原告57-1~6は、57-2が単身赴任したために、二重生活となって食費が増加した旨主張する。しかし、57-2が、避難後に避 難先である京都市又はその周辺において稼働することも不可能又は困難であるとはいえず、避難後、避難先からした単身赴任は、本件事故と相当因果関係があるとはいえない。したがって、食費の増加は、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 生活費増加費用(賃料) 一審原告57-1~6は、平成24年11月頃から、京都市●所在の賃貸住宅に居住し、賃料の支払を要するようになったと認められる。避難直後には、親族の居宅に無償で居住していたことは認められるが、当該居宅が火災のため使用することができなくなり、避難の継続のため支払を要することとなった賃料についても、本件事故と相当因果関係があ るといえる。その賃料額は、平成24年11月から平成25年2月まで月額2万円(合計8万円)を相当と認め、これを57-2の損害と認める。 エ就労不能損害(事業損害)一審原告57-2は、本件事故前、林業関係の仕事に就いており、平成22年は229万円の給与収入(月額19万0833円相当)を得ており、 平成23年1月から3月までにも72万円の給与収入があったが、本件事 故による避難のために退職し、避難中である平成24年2月から3月までは三重県に単身赴任して工場に勤務していたこと、同年5月から平成25年2月までは京都市で契約社員として勤務していたことが認められる(甲57の1の1、57の4の1~5)。以上によ 4年2月から3月までは三重県に単身赴任して工場に勤務していたこと、同年5月から平成25年2月までは京都市で契約社員として勤務していたことが認められる(甲57の1の1、57の4の1~5)。以上によれば、平成23年4月から平成24年1月までの間及び平成24年4月については、本件事故による避 難を実行したために、就労できなかったものと認められる。これに対して、避難後に就労していた期間については、賃金の減少等を認めるに足りる証拠はない。そうすると、57-2の就労不能による損害(事業損害)は、避難前の基礎収入(月額19万0833円)を基準として、209万9163円(=19万0833円×11)を認めるのが相当である。 オ就労不能損害(農業損害)一審原告57-2は、2.5反の田を借りて、稲作をする予定であったとして、農業損害を主張するが、57-2は、稲作の経験がなかったところ、平成23年5月に初めて田植えをすることとしたものであり、その収穫量や出来栄えを推認することはできない上、稲作に要する経費額も不明 であって、57-2の主張するような収穫や売上げが見込まれるとはいえない。 カ精神的損害(慰謝料)一審原告57-1~6は、自主的避難等対象区域の居住者であり、本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として、57- 1・2は各30万円、57-3~6は各60万円が相当である。 なお、一審原告57は、同地区に移住してきた他の5世帯も避難し、地区の小学校も閉校になった旨主張するが、これは、移住してきた各世帯がいずれも自主的な避難を選択したことによるものであって、住民らが避難を命じられた居住制限区域のように、そのコミュニティが本件事故により 直接破壊されたような場合と同視す 、移住してきた各世帯がいずれも自主的な避難を選択したことによるものであって、住民らが避難を命じられた居住制限区域のように、そのコミュニティが本件事故により 直接破壊されたような場合と同視することはできない。 一審原告57-1~6は、慰謝料の増額を認めるべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情は、慰謝料の増額を基礎づける事情といえない。 (3) 既払金の充当一審被告東電は、一審原告57-1・2に各12万円、57-3~6に各 72万円を支払っているところ(争いがない。)、これらの既払金は、それぞれの損害額(ただし、57-3~6は各60万円の限度。)に充当するのが相当である。 (4) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告57-1に1万8000円、57-2に41万2 916円、57-3~6に各0円を、それぞれ相当と認める。 (5) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号57の認容額欄記載のとおりである。 54 一審原告58 (1) 世帯の概要、避難の経緯及び面会交流の経過は、原判決464頁9行目から465頁9行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 損害ア概要一審原告58-2・3が、平成23年3月に京都市に移動したことは、 本件事故と相当因果関係が認められないが、同年6月以降、放射線による影響を回避するため千葉県柏市に戻ることを断念することは相当と認められるから、千葉県柏市への帰還を断念した平成23年6月から平成25年5月31日までの2年間に生じた損害を、本件事故と相当因果関係のある58-1~4の損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別 紙損害額等一覧表の原告番号58 成23年6月から平成25年5月31日までの2年間に生じた損害を、本件事故と相当因果関係のある58-1~4の損害と認める。当裁判所が認定した損害額の詳細は、別 紙損害額等一覧表の原告番号58記載のとおりである。 イ避難費用 交通費a 避難交通費一審原告58-2・3は、妊婦である58-2に悪阻があり、余震を避けるため、平成23年3月14日、58-2の実家のある京都市 に移動していたところ、58-1は、同年6月頃に至って被ばくの危険を認識し、58-2・3の帰還を断念したと認められ (甲D58の1)、そうであれば、58-2・3の移動は、放射線による影響を回避するためのものであったとはいえず、京都への移動に要した交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害とはいえない。 b 面会交流交通費一審原告58-1が、子である58-3・4との面会交流に要した費用のうち、別紙避難経路等一覧表の原告番号58記載のとおり、平成23年6月から平成25年5月までにした面会交流のうち、1か月に1回の割合による合計24回に要したものは、本件事故と相当因果 関係があると認める。1回当たりの金額は、標準交通費一覧表(自家用車以外)の額を修正した1万6800円(片道)とし、24回分の合計80万6400円は、本件事故と相当因果関係があるものとして、58-1に生じた損害と認める。その余の面会交流交通費については、本件事故と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 c したがって、避難費用(交通費)については、面会交流交通費80万6400円を58-1に生じた損害と認める。 引越費用一審原告58-2・3は、平成2 c したがって、避難費用(交通費)については、面会交流交通費80万6400円を58-1に生じた損害と認める。 引越費用一審原告58-2・3は、平成23年6月に京都市内にある58-2の実家から同市内で転居し、平成24年5月にも同市内で転居し、同月 の転居の際には引越費用として12万7050円を要したと認められる (甲D58の7)。これらの2回の移転は、58-4の出生や生活を安定させるためのものということができるから、上記引越費用も本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。 ウ生活費増加費用 二重生活 一審原告58-1と58-2・3は、平成23年3月から別居していたところ、58-2・3は、同年6月、放射線の影響を回避するため千葉県松戸市への帰還を断念し、実家からも転居して新たに生活を開始したと認められる。そうであれば、同月以降の世帯分離に関して生じる水道光熱費等の生活費の増加については、本件事故と相当因果関係がある 損害であるといえる。そして、世帯分離による生活費増加費用としては、世帯分離が生じた平成23年6月から平成25年5月31日までの間、1か月当たり2万円と評価するのが相当であり、その合計48万円を58-1に生じた損害と認める。 家財道具購入費用 一審原告58-2・3が、平成23年6月以降の避難生活のために要した家財道具購入費用は、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。そのために要した費用は、世帯分離が生じていたことに鑑みると30万円と認めるのが相当であり、これを58-1に生じた損害と認める。 なお、58-1が家財道具購入のために要した額は、30万円を超える に要した費用は、世帯分離が生じていたことに鑑みると30万円と認めるのが相当であり、これを58-1に生じた損害と認める。 なお、58-1が家財道具購入のために要した額は、30万円を超えるものと認められるが(甲D58の6の1~16)、購入した家財道具の中には、高価なものや避難とは直接関係ない家財道具も含まれるから、30万円の限度で相当な損害と認める。 避難雑費 一審原告58-2~4は、避難に伴い、個別具体的な費目としては算 定し難いさまざまな支出を要したものと推認でき、これらは本件事故と相当因果関係があると認められるから、平成23年6月(58-4は同年9月)から平成25年5月31日までの間、1か月当たり1名につき1万円の限度で損害と認める。その合計69万円(1万円×2名×24か月+1万円×1名×21か月)を58-2に生じた損害と認める。 エ精神的損害(慰謝料)一審原告58-1~4は、自主的避難等対象区域外の居住者であるが、58-2・3については、京都市から千葉県柏市への帰還を断念したことによる避難が、自主的避難等対象区域からの避難に準じる避難と評価することができるから、慰謝料を認めるのが相当である。そして、その額は、 本件事故による恐怖及び不安並びに避難生活の苦痛への慰謝料として各30万円を認めるのが相当である。 58-4は、本件事故当時胎児で、避難後出生の子であるから、慰謝料は認められない。 58-1は、避難せずに千葉県柏市に居住し続けているところ、同市は 自主的避難等対象区域にも指定されておらず、本件原発から自宅までの距離が約195kmあり、58-1が避難の必要性を認識した平成23年6月頃には、同市内の空間放射線量も相当程度低下しており、妊婦及 自主的避難等対象区域にも指定されておらず、本件原発から自宅までの距離が約195kmあり、58-1が避難の必要性を認識した平成23年6月頃には、同市内の空間放射線量も相当程度低下しており、妊婦及び幼児である58-2・3の避難の相当性は認められるとしても、妊婦でない大人である58-1が避難せざるを得なかったとはいえず、避難を要した5 8-2・3に加えて、現に避難をしていない58-1にも金銭をもって慰謝しなければならないほどの精神的苦痛が生じたとまではいえない。 一審原告58-1~4は、慰謝料請求を認めるべき事情及び慰謝料を増額すべき事情として様々な事情を主張するが、これらの事情を考慮しても、58-1・4の慰謝料請求を認め、58-2・3の慰謝料を増額すべきで あるとはいえない。 (3) 弁護士費用弁護士費用は、一審原告58-1に17万1345円、58-2に9万9000円、58-3に3万円、58-4に0円を、それぞれ相当と認める。 (4) まとめ以上を踏まえると、認容額は、別紙損害額等一覧表の原告番号58の認容 額欄記載のとおりである。 第10節弁済の抗弁前記一審原告らの個別的損害において説示したとおりである。 第11節時機に後れた攻撃防御方法であるとの申立てについて第1 一審原告らの申立て 一審原告らは、最終弁論期日においてされた一審被告東電がした次の主張及び証拠の申出について、時機に後れた攻撃防御方法の提出であるから却下すべきであると申し立てた。 1 主張(1) 1審被告東京電力共通準備書面(34) ア第2・5「短半減期ヨウ素の存在について」(12頁)イ第3・3「もっと高い被ばくがあった可能性があるとの指摘について」(2 (1) 1審被告東京電力共通準備書面(34) ア第2・5「短半減期ヨウ素の存在について」(12頁)イ第3・3「もっと高い被ばくがあった可能性があるとの指摘について」(23頁)ウ第3・4「1080人調査に関する指摘について」(26頁)エ第3・5「福島県県民健康調査に関する指摘について」のうち、(1)「過 剰診断説は明確に否定されているとの指摘について」(27頁)及び(2)「チェルノブイリ原発事故との比較に関する指摘について」(30頁)(2) 1審被告東京電力共通準備書面(35)ア第2・2「BEIR-Ⅶ報告後の疫学研究(JNCIモノグラフ)に基づく主張の誤り」のうち(2)「メタ解析・メタアナリシスの有効性と限界」 (8頁)及び(3)「放射線リスクの評価に関するメタアナリシスの例」(9 頁)イ第2・3「ICRP2020年勧告に基づく主張の誤り」のうち(2)「ICRP2020年勧告の位置づけ」(12頁)(3) 1審被告東京電力共通準備書面(36)第2・4「中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償における1審被告東 京電力と追加賠償受領者との間の合意の内容」のうち(3)「WEB方式」(9頁)(4) 1審被告東京電力共通準備書面(37)ア第3「中間指針第五次追補に関する高等裁判所の判断・説示の内容について」(4頁) イ第4「仙台高判令和6年1月17日(令和2年(ネ)第27号、乙D共567)について」(7頁)(5) 1審被告東京電力共通準備書面(38)ア第6・1「弁済の抗弁に関する考え方」の(2)「一部請求の場合の弁済の抗弁の判断について」のオ「財産的損害と精神的損害の既払金の総額をも って認定 被告東京電力共通準備書面(38)ア第6・1「弁済の抗弁に関する考え方」の(2)「一部請求の場合の弁済の抗弁の判断について」のオ「財産的損害と精神的損害の既払金の総額をも って認定額への充当を認めた裁判例」のうち、(エ)「神戸地判令和6年3月21日」(52頁)イ第6・2「少なくとも1審原告らが本件事故と相当因果関係のある避難及び当該避難の継続に伴い生じた損害により被った損害については、1審被告東京電力が避難及び当該避難の継続に対し実施した賠償の全額につ いて弁済の抗弁が認められるべきこと」(59頁) 2 証拠の申出乙D共552、555~570第2 判断 1 1審被告東京電力共通準備書面(34)記載の主張は、一審原告が提出した Y教授の尋問調書に関する証拠評価の主張であり、新たな主張をするものでは なく、改めて一審原告らの反論を要するようなものでもなく、これにより訴訟の完結を遅延させることになるとはいえない。 2 1審被告東京電力共通準備書面(35)記載の主張は、低線量被ばくに関する科学的知見に関する一審原告らの主張に対する反論及び一審原告らの主張の根拠となった文献に関する証拠評価の主張であって、新たな主張をするもので はなく、改めて一審原告らの反論を要するようなものでもなく、これにより訴訟の完結を遅延させることになるとはいえない。 3 1審被告東京電力共通準備書面(36)記載の主張は、一審被告東電の既払金の充当に関する主張であるが、書面による請求のほかWEB方式による請求もあることを示したにすぎず、一審原告らも知る事情に関し、従前の主張を補 充するものにすぎないのであって、新たな主張であるとはいえず、改めて一審原告らの反論を要するようなものでもなく、これ 求もあることを示したにすぎず、一審原告らも知る事情に関し、従前の主張を補 充するものにすぎないのであって、新たな主張であるとはいえず、改めて一審原告らの反論を要するようなものでもなく、これにより訴訟の完結を遅延させることになるとはいえない。 4 1審被告東京電力共通準備書面(37)及び(38)記載の主張は、類似事件の裁判例を説明するものにすぎず、新たな主張であるとはいえず、一審原告 らの反論を要するようなものでもなく、これにより訴訟の完結を遅延させることになるとはいえない。 5 また、証拠の申出に関しても、乙D共552~563の1・2は、一審被告東電の従前の主張を裏付け、Y教授の尋問調書の証拠価値を減殺するものにすぎず、乙D共564は、用語の解説にすぎず、乙D共565、566も、従前 の一審被告東電の主張を補足するものにすぎない。乙D567、569、570は、本件に関連する裁判例にすぎず、一審原告らの証拠評価を要するようなものではなく、乙D共568の1・2についても、書面によらないWEB方式での直接請求の方法を明らかにするものであるが、一審原告らにおいても認識していたものといえ、これについての証拠評価を要するものではない。そうで あれば、これらの証拠の申出についても、訴訟の完結を遅延させることになる ものとはいえない。 6 したがって、一審原告らの時機に後れた攻撃防御方法の提出であるとの申立ては、いずれも採用することができない。 第4章結論以上の次第で、これと異なる原判決を変更することとし、主文のとおり判決 する。なお、一審被告東電の仮執行開始時期の猶予の申立てについては相当でないからこれを付与しない。 大阪高等裁判所第12民事部 裁判長裁判官牧賢 主文のとおり判決する。なお、一審被告東電の仮執行開始時期の猶予の申立てについては相当でないからこれを付与しない。 大阪高等裁判所第12民事部 裁判長裁判官牧賢二 裁判官島戸真 裁判官内田貴文 (別紙省略)

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