【DRY-RUN】主 文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事 実 (当事者双方の申立) 一、原告 1 被告が、原告の昭和三八年四月一日から昭和三九年三月三一日までの事業年
主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実(当事者双方の申立)一、原告1 被告が、原告の昭和三八年四月一日から昭和三九年三月三一日までの事業年度の所得金額および法人税額について、昭和四〇年八月二五日付でなした更正決定中、所得金額金三、六七四万一、四八四円、法人税額金一、三六〇万九、二七五円を超えて決定した部分はこれを取消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決を求める。 二、被告主文同旨の判決を求める。 (原告の請求原因)一、原告(旧商号株式会社風間製作所。昭和四三年八月一八日商号変更)は、スキー、野球バット、庭球ラケット、バトミントンラケット、軽車両等の製作およびこれに附帯する一切の業務を事業目的とする非同族の法人である。 二、原告は被告に対し、昭和三八年四月一日から昭和三九年三月三一日までの事業年度の所得金額および法人税額について確定申告をなしたところ、被告はこれに対し昭和四〇年八月二五日所得金額を金四、〇二三万六、一九五円、法人税額を金一、四七三万五、六八〇円、および過少申告加算税を金一一万六、八〇〇円とそれぞれ更正決定処分(以下、本件処分という。)をなした。そこで原告は本件処分のうち一部を不服として関東信越国税局長に対し審査請求をしたが、同局長はこれを棄却する裁決をなし、原告は昭和四一年五月四日その裁決書謄本を受取つた。 その経過は別紙一記載のとおりである。 三、本件処分の理由はつぎのとおりである。すなわち原告は、昭和三八年一〇月七日訴外株式会社南葉会館(以下南葉会館という。)を吸収合併(以下単に合併という。)したのであるが、その当時南葉会館の株式は一株の額面金五〇〇円で発行済株式の総数は五、〇〇〇株であり、したがつて資本の額は金二五〇万円であつた。そして、原告 う。)を吸収合併(以下単に合併という。)したのであるが、その当時南葉会館の株式は一株の額面金五〇〇円で発行済株式の総数は五、〇〇〇株であり、したがつて資本の額は金二五〇万円であつた。そして、原告は南葉会館の右株式のうち四、四八〇株(額面金額総計金二二四万円)を所有していた。 1 雑損(一一二万円)否認。 ところで、合併に際して、南葉会館の株主に同社の普通株式(以下旧株という。)一株に対し、原告の普通株式(以下新株という。額面金五〇円。)五株の割合で、これを交付することにしたので、原告は旧株四、四八〇株と引換えに新株二万二、四〇〇株の交付を受けた。そして右の経理にあたつて、原告は旧株二二四万円を新株一一二万円と雑損金一一二万円に振替え記帳し、その旨確定申告した。 しかるに、被告は「合併により、合併法人から当該法人の株式を取得した場合においては、被合併法人の株式取得価額を旧株一株について交付を受けた新株の数で除して得た金額となる」のであるから、前記自己株式一株の帳簿価額を金一〇〇円とし総額を従前どおり金二二四万円とすべきであり、前記金一一二万円の雑損を否認する、とした。 2 有価証券売却益(一〇〇万八、〇〇〇円)の認定原告は合併によつて取得した新株(自己株式)二万二、四〇〇株を、昭和三八年一〇月三一日別紙三記載のとおり訴外a外六名に一株当り金五〇円、総額金一一二万円で売却した。 ところが、被告は、右売却時における株式の通常取引推定価額は一株当り金一四五円が相当であると認め、右取引推定価額と売却額との差額一株当り金九五円、総額金二一二万八、〇〇〇円を原告の特定役員に対する賞与金(なお、b名義の株式はその夫c名義の株式に、d名義の株式はその夫e名義の株式に含まれているとして、右c、eに対するそれぞれの賞与金として。)であると認定し、その 〇〇円を原告の特定役員に対する賞与金(なお、b名義の株式はその夫c名義の株式に、d名義の株式はその夫e名義の株式に含まれているとして、右c、eに対するそれぞれの賞与金として。)であると認定し、そのうち金一〇〇万八、〇〇〇円(金一一二万円は前記のとおり雑損否認。)を売却利益として原告の所得に加算する、とした。 3 寄附金(一三六万六、七一一円)の損金不算入原告は南葉会館に対し後述のように立替支出してきた債権の利息金合計金一七八万〇、四九二円(昭和三三年四月一日から昭和三八年三月三一日までの累計。)を、合併前貸倒れとして処理し、経理上損失金として確定申告した。 ところが、被告は、右貸倒れ金一七八万〇、四九二円を南葉会館に対する寄附金と認定すべきであるから、右のうち金一三六万六、七一一円を限度超過の理由で損失金と認めない、とした。 以上の理由により、被告は、原告の確定申告にもとづく所得金額金三、〇五九万三、一八五円に合計金三四九万四、七一一円を加算し、その所得金に所定の法人税および過少申告加算税を課したとしている。(但し、別紙一記載のとおり、本件処分は原告の確定申告にもとづく所得金額に、他の理由によつても金六一四万八、二九九円を加算しているが、この点に不服はない。)四、しかしながら、本件処分は前項記載の部分につき、つぎのとおり違法である。 (一) 南葉会館の経営状態等南葉会館は昭和三三年八月二八日ころ、日本住宅公団から新潟県新井市内の別紙二記載の建物(施設付住宅)を、代金四、三七七万二、七八〇円で買い受けたが、原告は右代金債務の支払につき連帯保証をした。そして、南葉会館は右建物の一階を店舗とし、二、三階を住宅として賃貸し、これが賃貸料により右買受代金を割賦弁済してゆく計画であつたが、地理的条件が悪いなどのために、右店舗を相当賃料で借 保証をした。そして、南葉会館は右建物の一階を店舗とし、二、三階を住宅として賃貸し、これが賃貸料により右買受代金を割賦弁済してゆく計画であつたが、地理的条件が悪いなどのために、右店舗を相当賃料で借りる者がなく、したがつて営業発足当時より買受代金の割賦弁済金に不足することとなつた。しかも、南葉会館は右賃貸料が主たる収入であるので、営業を続けてもその収支が好転する見込みがなく、その損失金は毎年累増し、昭和三四年度には前記の資本金を超過する損失金を生じ、将来ますます損失金は増大こそすれ減少する見込みはなかつた。 南葉会館がこのような状態であつたため、原告は連帯保証人として当初より前記買受代金け立替払いすることとなり、その金額は増加するのみで昭和三五年ころからは常時金五〇〇万円ないし金六〇〇万円を立替えしなければならない状態であつて、その立替金を将来前記買受金を完済するまで相当長期にわたつて支出してゆかねばならぬ羽目となつてしまつた。原告としては、右南葉会館に対する立替金元金はもちろんその利息金を帳簿上計上するのみで、昭和三三年当初より現実には全く弁済を受けておらず、将来も弁済を受け得られる見通しは全くない実情にあつた。 そして、原告は前記のとおり南葉会館のほとんど全部に近い株式を所有しており、したがつて同会社が倒産すればその株式の価値は零となつて多額の損害を蒙り、またそれを避けようとすれば、さらに回収見込のない多額の資金援助を長期に亘つて継続してゆかねばならないこととなつた。 そこで前記のとおり南葉会館を原告に吸収合併したのである。 (二) 原告の株価1 原告は前記一のとおりの事業目的をもつた非同族の中小企業に属する会社であるが、合併時の資本金は金二、〇〇〇万円に過ぎず、その株式は市場に上場されないばかりか店頭の気配相場もないものであり、し 価1 原告は前記一のとおりの事業目的をもつた非同族の中小企業に属する会社であるが、合併時の資本金は金二、〇〇〇万円に過ぎず、その株式は市場に上場されないばかりか店頭の気配相場もないものであり、したがつてその流通交換価値は低く、かつ会社の信頼性、安定性が之しく、額面金五〇円を上廻る株価は生れないところであつた。 2 原告の株価はつぎの売買実例などによつても、知ることができる。 (イ) 原告の株式は別紙四記載のとおり、一株金五〇円で取引された事実がある。 (ロ) 原告は、昭和三六年七月三一日を払込期日とし、一株の発行価額を金五〇円として株主にその所有株式一株について〇・六株を割当て新株一一万四、〇〇〇株を発行増資した際、二万三、六六九株の引受人のない失権株を生じた事実がある。 (ハ) 原告は昭和三六年一〇月三一日を払込期日として新株九万六、〇〇〇株を発行価額一株金七〇円で一般公募した事実がある。 しかるに、原告は右(イ)、(ロ)、(ハ)の当時に比べ、前記自己株式を処分した当時特別業績等において株価を上昇させる要因がない。 3 仮に以上の事実のみでは原告の株価算定の根拠となし難いとして、他に方法を見出そうとするならば、原告のように非同族の中小会社で上場または店頭の相場のない会社の株式については、昭和三九年一月一日(原告の本件申告年度中)より適用を見た相続税財産評価に関する基本通達(以下相続税基本通達という。)にもとづく配当還元方式(その株式を所有することによつて受ける利益の配当金額を一定の利率で還元して元本である株式の価額を求める方法)によるべきである。詳述すれば、評価会社の直前期末以前二年間の各事業年度の末日におけるその株式にかかる年配当率の合計数を、その期間の事業年度で除して得た「年平均配当率」およびその株式一株当りの券面額を基とし、 る。詳述すれば、評価会社の直前期末以前二年間の各事業年度の末日におけるその株式にかかる年配当率の合計数を、その期間の事業年度で除して得た「年平均配当率」およびその株式一株当りの券面額を基とし、(その株式一株当りの券面額)×(その株式にかかる年平均配当率)/1〇%の式により計算した価額で評価されるとされるが(相続税基本通達一八四項、一八五項。)、これを原告の場合にあてはめると、昭和三七年三月期の普通配当率一二%、昭和三八年三月期も同じく一二%であるので、年平均配当率一二%であり、これを券面額金五〇円に乗じて、一〇%で除すれば金六〇円という評価額になる。 (三) 本件処分の違法1 雑損否認について前記のとおり、合併により原告が取得した新株は自己株式であつて、その一株当りの価額が金五〇円相当であり、従前所有していた旧株の取引価額は額面を大きく下回りほとんど零に近いものであつた。 したがつて、減資のうえ合併すれば問題のないものを、株式の交付比率だけで勘案したために生じた結果であるから、かかる場合にまで前記更正の理由のような処置が正当とは到底考えられない。 そうだとすると、前記雑損否認をした本件処分は違法であるから、同処分によつて認定された原告の所得額よりまず金一一二万円を控除すべきである。 2 有価証券売却益の認定について(イ) 前記のとおり原告の株価は、一株金五〇円が正当であると思料するので、これにつき一株金一四五円として有価証券売却益を認定した本件処分はその前提につき不当なものであり取消さるべきである。 (ロ) また本件処分では、前記売却価額金五〇円を超える金額を役員に対する賞与金として認定しているが、別紙三記載のとおりd、bは原告の役員でなく、dは取締役eの、bは取締役cの妻であり、その分をe、cに対する賞与金と認定する根拠はな 額金五〇円を超える金額を役員に対する賞与金として認定しているが、別紙三記載のとおりd、bは原告の役員でなく、dは取締役eの、bは取締役cの妻であり、その分をe、cに対する賞与金と認定する根拠はない。d、bはいずれも金五万円を支出して原告より各一、〇〇〇株を買受けたものであり、その個人の固有財産にしてe、cの所有株式となつたものでなく、同人らはなんら原告よりこのことにより経済的利益を受けていない。本件処分は、この点においても違法である。 3 寄附金の認定について前記(一)のとおり、南葉会館の経営状態は悪く、資本金額を超過する損失金があり、合併の準備として決算をする場合、そのままでは南葉会館の株主に存続予定会社の原告の株式を交付することは不向きであるとともに、合併した時には存続会社は南葉会館の権利義務を当然承認(原告は南葉会館に対し、合併時に立替金元金債権金四二七万七、二五〇円を有していたが、この債権は合併と同時に混同により消滅しており、この分についてはもちろん更正処分を受けていない。)するのであるから、原告の南葉会館に対する金銭債権は本件貸倒れ処理をした立替金の利息金を含めて全部消滅する理である。どちらにしても回収出来ないことが明白であるとすれば、合併に際して前記立替金の利息金債権金一七八万〇、四九二円を貸倒れとして処理することにより、南葉会館には資本として金一二五万六、五一一円残る経理が可能となり、合併比率を考えれば、存続会社の新株を交付することは可能であるから、原告の所有する南葉会館の株式もその限度において価値を存続し得るとの考慮により事を選んだものである。 したがつて、原告が本件貸倒れの処理をしたことは全く回収不能の債権をそのように処理したものであり、これは法人税法上認められている正当な処理である。そのまま仮に帳簿上計算を存 事を選んだものである。 したがつて、原告が本件貸倒れの処理をしたことは全く回収不能の債権をそのように処理したものであり、これは法人税法上認められている正当な処理である。そのまま仮に帳簿上計算を存続させても合併により当然消滅すべきものであるから、右貸倒れ処理により合併による新株の発行交付を容易にすることにより原告自身の損害を最少限に食い止めようとしたものであり、原告自身が不当な損害処理をして所得を減少させ法人税の軽減を計つたり、若しくは南葉会館に不当な経済的利益を与えようとしたものではない。 しかるに、本件処分においては、原告の貸倒れによる損失金処理を寄附金と認定しながら、その事由を明らかにしていない。このような本件処分は不当であり、取消さるべきである。 4 有価証券売却損失仮に前記(三)の1で述べた金一一二万円の雑損否認の本件処分取消が認められないとすれば、被告がなした本件処分による自己株式の帳簿価額一株金一〇〇円と、原告が正当に処分した一株金五〇円との差額、すなわち一株について金五〇円全売却株式二万二、四〇〇株で金一一二万円が売却による損失というべきであるから、いずれにしても原告主張の金額を超える所得額の認定および法人税額の更正処分は取消さるべきである。 また、同様に原告の自己株式の売却価額が一株金五〇円を超え金一〇〇円以下が適正価額と認定された場合は、金一〇〇円とその適正認定価額との差額に、全株数二万二、四〇〇株を乗じて得た金額は売却損失として、本件処分の所得額から控除すべきであり、したがつて法人税額をその限度で減額すべきである。 五、よつて、原告は被告に対し、被告がなした本件処分のうち所得金額金三、六七四万一、四八四円、法人税額金一、三六〇万九、二七五円を超える部分の取消を求める。 (被告の答弁ならびに主張)一、請求原 五、よつて、原告は被告に対し、被告がなした本件処分のうち所得金額金三、六七四万一、四八四円、法人税額金一、三六〇万九、二七五円を超える部分の取消を求める。 (被告の答弁ならびに主張)一、請求原因一項の事実は認める。 同二項の事実のうち、裁決書謄本到達の日時は知らないが、その余の事実は認める。 同三項の事実は認める。 同四項の事実のうち、(二)の1記載の原告会社の業務内容、資本金額、株式が上場されておらず、且つ店頭気配相場もないこと、(二)の3のうち、相続税および贈与税に関して、その主張のような通達が存在し、その後取引相場のない中小会社の株式で、非同族株主の所有するものの価額の評価にはその主張のような方式が適用されること、(三)の2の(ロ)記載のd、bがそれぞれe、cの妻であり、原告の役員でないことはいずれも認めるが、(一)の事実、(二)の2の(イ)、(ロ)、(ハ)の各事実は知らない。その余の事実は争う。 二、本件処分はつぎのとおり適法である。 (一) 原告の株価原告の株式の一株当りの通常取引推定価額は、つぎのとおり金一四五円(原告の自己株式売却当時)が相当である。 1 類似会社比準方式(イ) 元来当時施行されていた法人税法(昭和二二年三月三一日法律第二八号、以下、旧法人税法という。)には、株式価額の算定方式を定めた規定がなく、法人税基本通達(昭和二五年九月二五日直法一-一〇〇号)第一三七の三には「気配相場および売買実例のない株式についてはその株式を発行する法人と事業の種類および収益の状況が類似する他の法人の株式」に比準して推定した価格によるべきものとあるだけで、とくに具体的な算定方式は示されていない。そこで具体的な算定については、富裕税財産評価事務取扱通達(以下評価通達という。)第一八六の二、(一)に定める類似会社比準方式に によるべきものとあるだけで、とくに具体的な算定方式は示されていない。そこで具体的な算定については、富裕税財産評価事務取扱通達(以下評価通達という。)第一八六の二、(一)に定める類似会社比準方式によることとした。 (ロ) 右方式は上場会社のうち評価しようとする株式の発行会社と事業内容が類似する会社を選び、その株価に比準して評価会社の株価を求めるものであり、つぎの(あ)式および(あ’)式の二方式により算出された数額のうちいずれか低い方を採すことになつている(評価通達第一八六の二)。 あ式 {A×(B’/B+C’/C+D’/D)}/3あ’式 {A×(B’/B+C’/C+D’/D+3)}/6但し、Aは評価会社と事業の種類が同一であつて、かつ、資産の構成、収益の状況等が類似する取引相場または気配相場のある会社(以下、これを類似会社という。)の一株当りの株式の価額。 Bは類似会社の課税時期直前に終了した事業年度の最後の日以前一年間における一株当りの配当金額(特別配当、記念配当等で将来毎期受くることを予想できないものを除く。以下同じ。)Cは類似会社の課税時期直前に終了した事業年度の最後の日以前一年間における一株当りの利益金額。 Dは類似会社の課税時期における一株当りの純資産価額である。 そして、類似会社の右B、C、Dに対応する評価会社のそれぞれB’、C’、D’とする。 (ハ) そして、全国の証券取引所に上場されている資本金一〇億円以下の会社のうち、原告と事業の種類が同一でかつ資産の構成、収益の状況、資本金額の点で最も類似する会社として、浜松市<以下略>所在の天竜木材株式会社(名古屋証券取引所上場会社)を選定する。右会社の昭和三八年一〇月一六日より三一日までの平均株価は金四五円であり、一株当りの年配当額は金四円、一株当りの年利益金額は金一〇 略>所在の天竜木材株式会社(名古屋証券取引所上場会社)を選定する。右会社の昭和三八年一〇月一六日より三一日までの平均株価は金四五円であり、一株当りの年配当額は金四円、一株当りの年利益金額は金一〇円、一株当りの純資産額は金六九円であつた。よつて、Aは四五、Bは四、Cは一〇、Dは六九となる。 つぎに原告の発行株数は当該事業年度(昭和三八年)当初は四〇万株であつたが、事業年度中途(同年一〇月七日)にて四二万五、〇〇〇株となつたので、当該事業年度の月当り平均株数は四一万二、五〇〇株となる。また原告の当該事業年度の年配当金額は金三〇九万三、七五〇円、本件課税時期における純資産総額金一億〇、七二七万六、〇五八円であつた。よつて一株当りの配当金額は金七円五〇銭、一株当りの年間利益金額は金一〇九円、一株当りの純資産額は金二五二円、すなわち、B’は七・五、C’は一〇九、D’は二五二である。 これら数値を前記の算式にあてはめると、(あ)式では二四六(円)、(あ’)式では一四五(円)の数値を得るので、右のうち低い方の金一四五円をもつて、原告の株式の通常取引推定価額と評価する。 (ニ) 仮に、前記天竜木材株式会社が類似会社に適当でないとするならば、これに代るべき類似会社として、東京証券取引所第二部の上場会社である美津濃株式会社が相当である。右会社は原告と同様の事業目的を持ち、資産の構成、収益の状況の点において原告のそれに類似する。そして、昭和三八年一〇月三一日(本件株式売却時)の東京証券取引所第二部における右会社の株式の終値は金五五〇円であり、昭和三七年事業年度における一株当りの年配当額は金一〇円、一株当りの年間利益金額は金一〇七円、また右事業年度期末現在の一株当りの純資産価額は金二二九円であつた。よつてAは五五〇、Bは一〇、Cは一〇七、Dは二二九となる。 おける一株当りの年配当額は金一〇円、一株当りの年間利益金額は金一〇七円、また右事業年度期末現在の一株当りの純資産価額は金二二九円であつた。よつてAは五五〇、Bは一〇、Cは一〇七、Dは二二九となる。 つぎに、原告の昭和三七事業年度における一株当りの年配当額は金六円、一株当りの年間利益金額は金一四〇円、同事業年度期末現在の一株当りの純資産価額は金二三三円であつた。よつてB’は六、C’は一四四、D’は二三三となる。 これら数値を前記算式にあてはめると、(あ)式では五四三(円)、(あ’)式で五三六(円)の数値を得ることになる。 ところで、原告の昭和三七事業年度末における資本金は金二、〇〇〇万円であるのに比し、美津濃株式会社の同期の資本金は金三億二、〇〇〇万円であるところ、評価通達は、かかる場合、中会社については、評価会社の純資産価額による区分、取引金額による区分および従業員数による区分により、類似会社比準価額に調整割合を乗じて最終的評価額を求めることとしている(評価通達第一八六の三)。そして原告はいわゆる中会社であるので、前記算出された低い方の金五三六円を類似会社比準価額とし、これに右調整割合を乗じて所定の調整をすると、原告の株式の通常取引推定価額は金四七五円となり、被告の主張する評価額金一四五円は決して高きに失するものではない。 (ホ) なお、原告主張の配当還元方式は、利益の内部留保を多くして配当を少なくしている会社には不適当であるところ、類似業種のそれと比べてみると、原告の配当額はその利益額に比し明らかに過少であるから、原告の株式の評価に右方式を適用することは妥当でない。また、右方式を規定した相続税基本通達は、原告の自己株式売却時、いまだ適用をみていなかつたのであるから、これに拠りえない。 2 類似業種比準方式仮に現行評価通達に示され 適用することは妥当でない。また、右方式を規定した相続税基本通達は、原告の自己株式売却時、いまだ適用をみていなかつたのであるから、これに拠りえない。 2 類似業種比準方式仮に現行評価通達に示されている評価方式によつて原告の株式の評価をなすべきものとするならば、つぎに述べる類似業種比準方式によるのが相当である。 右方式は全国の上場会社を日本標準産業分類にしたがつて業種によつて区分し、評価会社と類似する業種の平均的株価、一株当り配当金額、利益金額および純資産価額に比準して当該評価会社の株価を求めるものであり、つぎの(①式および(②式により算出された数額のうち、いずれか低い方を採ることとなつている(相続税基本通達第一八〇)。 ①式 A×(B’/B)+(C’/C)+(D’/D)+3/6②式 A×(B’/B)+(C’/C)+(D’/D)+1/4但し、Aは類似業種の株価、Bは類似業種の一株当りの配当金額、Cは類似業種の一株当りの利益金額、Dは類似業種の一株当りの純資産価額であり、B’、C’、D’は類似業種の右B、C、Dに対応する評価会社のそれである。 なお、上場会社の事業内容を基として別に定める一定の業種およびその各業種のA、B、CおよびDの数値は、あらかじめ国税庁において定めることとされている。この一定の業種は、全国証券取引所に上場されている上場会社について調査した各上場会社の事業内容を、日本標準産業分類による業種区分に基づいて分類してえられるものであり、A、B、C、Dの金額は、その各業種に該当する会社について調査した株価、配当金額、利益金額および純資産価額を基として、その一社当り相当額として求められるそれぞれの業種の数値である。 そして、原告は、スポーツ用品(靴、被服を除く。)製造業であるから、右のうち「その他製造業」に該当し、これによ 純資産価額を基として、その一社当り相当額として求められるそれぞれの業種の数値である。 そして、原告は、スポーツ用品(靴、被服を除く。)製造業であるから、右のうち「その他製造業」に該当し、これによればAは昭和三九年三月分の株価を採り一一〇(円)、Bは六・二(円)、Cは一九(円)、Dは一一八(円)である。また、昭和三九年三月末日現在における原告の株式の一株当りの配当金額B’は七・五(円)、利益金額C’は九九(円)、純資産価額D’は二四七(円)である。 そしてこれらの数値を前記算式にあてはめると、①式では金二〇九円、②式では金二五八円の数値を得るので、右のうち低い方の金二〇九円をもつて原告の株式の通常取引推定価額と評価できる。 したがつて、いずれにしても、被告の前記主張額は決つして高きに失するものではない。 (二) 雑損否認について当時施行の法人税法施行規則(昭和二二年三月三一日勅令第一一一号、以下、旧規則という。)第一九条第一項第一号によれば、法人がその所有する株式(旧株)について、その株式を発行する法人(被合併法人)の合併により、合併法人から当該合併法人の株式(新株)のみを取得した場合においては、被合併法人の旧株の取得価額を旧株一株について交付を受けた新株の数で除して得た金額をもつて当該合併法人の株式(新株)に附すべき帳簿価額とする旨規定されており、合併により交付を受けた新株の帳簿価額の記帳は、旧株の取得価額をそのまま付けかえる方式により行なわせ、よつて新株を取得した事業年度には、新株の取得による損益を生じないように措置されているのである。本件処分は、これに拠つたものであり適法である(三) 有価証券売却益について原告が合併によつて取得した新株(自己株式)の通常取引推定価額は、一株当り金一四五円が相当であることは前記(一)のと 。本件処分は、これに拠つたものであり適法である(三) 有価証券売却益について原告が合併によつて取得した新株(自己株式)の通常取引推定価額は、一株当り金一四五円が相当であることは前記(一)のとおりである。 しかるに、原告は別紙三記載のとおり、これを原告の代表取締役fと同族関係にある特定役員に一株当り金五〇円で売却したのであるから、被告は右取引推定価額と売却額との差額一株当り金九五円、総額金二一二万八、〇〇〇円を原告の特定役員に対する賞与金であると認定し、そのうち金一〇〇万八、〇〇〇円を売却利益として原告の所得に加算し本件処分をなしたものである。 かりに、原告主張のように、dおよびbの両名が原告から直接株式を買受けたものであるとしても、時価が一株当り金一四五円が相当である限り、株式の評価額が金五〇円に低下しておらず、むしろ株式の時価と譲渡額との差額は低額譲渡により発生したものであるから、売却損失ではなく、両名への寄附金として処理されるべきである。 ところで原告の寄附金損金算入限度額に見合う金額は、後記(四)のとおり他の損金が算入されているから、右両名に対する寄附金は原告の損金となりえない。したがつて、本件原告の株式の時価と譲渡額との差額が仮にd、bに対する寄附金であつても、そのことは原告の所得額を変動せしめるものではなく、本件処分が適法であることに変りはない。 (四) 寄附金の損金不算入について原告は南葉会館に対する立替金債権のうち、利息相当額を合併前に貸倒れと処理したが、税務上貸倒れを損金として認めるためには、その債権が回収不能となつたことが確認されたときに限るところ、原告主張事実をもつてしてもいまだ回収不能の債権であることは認められない。しかも原告は業績優良な会社であるところ、一般に業績優良な会社に吸収合併されようとする会 たことが確認されたときに限るところ、原告主張事実をもつてしてもいまだ回収不能の債権であることは認められない。しかも原告は業績優良な会社であるところ、一般に業績優良な会社に吸収合併されようとする会社に対する第三者の債権はむしろ回収の可能債権であるというべきであり、たまたま債権者が合併会社であるため混同で債権が消滅した場合においても同様に解されるのである。 また、欠損のある会社を被合併会社としたため合併により生じた損金は、合併差損金として処理されることとなつている。 この合併差損金は資本取引から生ずる損費であるため、税法上損金へ算入することは許されないものである。したがつて、合併に際し右欠損金を消滅ないしは減少させるため、合併会社が被合併会社に対する債権を貸倒れとして消滅させるような処理は、資本取引にもとづく合併差損金を損益取引にもとづく損失金に振替えることとなるので、かかる貸倒れ処理の損金性は、税法上も会計理論上も認められない。 被告は、原告の損金処理が南葉会館をしてなんら対価を支出することなく利益を受けさせた事実から、これを原告の南葉会館に対する寄附金と認定したものである。 そして、原告のような法人が寄附金を損金に算入し得る金額は、当該事業年度においてなした寄附金の合計金額が当該事業年度の資本金額に一〇〇〇分の二・五を、所得金額に一〇〇分の二・五をおのおの乗じて算出した金額の合計金額の二分の一に相当する金額までに限定されている(旧法人税法第九条第三項、旧規則第七条第一項。)これを原告に適用すると、右損金算入限度額は金五四万八、七一一円となるところ、原告の当該事業年度における寄附金合計額は金二二二万〇、四二二円(その内訳は、指定寄附金三〇万五、〇〇〇円、南葉会館に対する利息相当額免除金一七八万〇、四九二円、その他申告書記載の寄附金一 るところ、原告の当該事業年度における寄附金合計額は金二二二万〇、四二二円(その内訳は、指定寄附金三〇万五、〇〇〇円、南葉会館に対する利息相当額免除金一七八万〇、四九二円、その他申告書記載の寄附金一三万四、九三〇円)であつたから、このうち単独に損金として処理することができる指定寄附金(旧規則第八条第一項)の金三〇万五、〇〇〇円を除いた金一九一万五、四二二円から、前記損金算入限度金五四万八、七一一円を差引いた金一三六万六、七一一円が寄附金限度超過額と認定し、本件処分をなしたものである。 よつて本件処分は適法である。 (被告の主張に対する原告の認否等)一、前記二の(一)の被告主張の事実のうち、1の類似会社比準方式、2の類似業種比準方式が被告主張のような方法であり、株価算定の一方法となり得ること、原告の発行株数、増資、平均株数、配当金額、純資産額が被告主張のものであることはいずれも認める(但し、類似会社の意義については後記のとおり争う。)が、天竜木材株式会社、美津濃株式会社の事業内容は不知、その余の事実は争う。 類似会社比準方式は不合理なもので、本件の場合これに拠ることはできない。とくにその前提である類似会社の選択が容易でなく、その選択を間違えば評価の結果が大きく左右されるという大きな欠点があり、さらに数字として算出不能の株価決定の諸要素、殊に市場性を考慮に入れないという致命的な欠陥がある。また右方法をとるとしても、「評価会社と事業の種類、資産の構成が同一であつて、かつ収益の状況等が類似する取引相場または気配相場のある会社」を類似会社というべきところ、被告主張の天竜木材株式会社、美津濃株式会社はいずれも類似会社として不適格である。 類似業種比準方式は、原告のような会社株式について、配当還元方式によつて得られた価額よりも低い場合(過大配当の ろ、被告主張の天竜木材株式会社、美津濃株式会社はいずれも類似会社として不適格である。 類似業種比準方式は、原告のような会社株式について、配当還元方式によつて得られた価額よりも低い場合(過大配当の場合)において始めて代替的に採用される方式であり、類似会社比準方式と同様の欠陥があり、本件の場合これに拠ることもできない。 二、同(二)の事実は争う。 三、同(三)の事実のうち原告が自己株式を別紙三記載のとおり売却したことは認めるが、その余の事実は争う。 四、同(四)の事実のうち被告主張のように貸倒れ処理したことは認めるが、回収不能でないとの事実は争う。 (証拠)(省略) 理由一、(本件処分の存在等)請求原因一項記載のような事業目的をもつ非同族の法人である原告(旧商号株式会社風間製作所、昭和四三年八月一八日に現商号に変更)が、昭和三八年四月一日から昭和三九年三月三一日までの事業年度(以下、本件事業年度という。)の所得金額および法人税額について、被告に対し確定申告をしたところ、請求原因二項記載のような経過により、被告は昭和四〇年八月二五日本件処分をなしたこと、原告はこれに対してその一部を不服として関東信越国税局長に対し審査請求をなしたが、同局長はこれを棄却する旨の裁決をしたことは当事者間に争いがなく、成立に争いない甲第五号証によれば原告は昭和四一年五月四日に右裁決書謄本を受取つたことが認められる。 二、(合併までの経緯)原告が昭和三八年一〇月七日南葉会館を吸収合併したことは当事者間に争いがないが、右合併にいたるまでの経緯はつぎのとおりである。 すなわち、成立に争いない甲第一七ないし第四〇号証、乙第一三号証の一ないし五、証人eの証言および同証言によつて真正に成立したものと認められる甲第四一、第四二号証、原告代表者本人尋問 とおりである。 すなわち、成立に争いない甲第一七ないし第四〇号証、乙第一三号証の一ないし五、証人eの証言および同証言によつて真正に成立したものと認められる甲第四一、第四二号証、原告代表者本人尋問の結果(後記信用しない部分を除く。)、弁論の全趣旨を総合すれば、1 南葉会館は、昭和三二年八月ころその株式を一株額面金五〇〇円、発行済株式の総数五、〇〇〇株、したがつて資本の額を金二五〇万円として設立されたが、その資本の払込みは全額原告代表者fが引き受け、その後同人から新井市内の有力者らや原告に対しその株式の一部を譲渡する形で株主が募られ、またその代表取締役には右fが就任し、その経理も原告の経理担当者が同時にあたるなど、実質上原告の子会社的存在で営業を開始した。 2 そして南葉会館は、昭和三三年八月二八日日本住宅公団(以下、公団という。)より、別紙二記載のような建物(施設付住宅)を代金四、四二一万八、七五〇円で買受け、内金四四万五、九七〇円を即日弁済し、残代金四、三七七万二、七八〇円を八〇回にわたつて割賦弁済する旨の契約を締結し、原告は同日右南葉会館の債務につき公団に対し連帯保証をした。 3 南葉会館は右買受にかかる建物の一階を店舗として、二、三階を住宅として他に賃貸し、この賃貸料をもつて右買受代金の割賦金(以下、単に割賦金という。)を弁済してゆく計画であつた。しかしその計画は予定どおりことが運ばず、比較的賃料の低い二、三階の住宅部分を賃借するものはあつたが、賃料の高い一階店舗の部分については、その地理的条件が悪いなどのために、これを相当賃料で借りるものがなく、また他の利用方法も資金難などで実現できず、結局原告が昭和三五年度より倉庫として賃貸する程度であつた。もともと賃貸料が主たる収入であつた南葉会館は、右のような事情から、営業発足当時より割 のがなく、また他の利用方法も資金難などで実現できず、結局原告が昭和三五年度より倉庫として賃貸する程度であつた。もともと賃貸料が主たる収入であつた南葉会館は、右のような事情から、営業発足当時より割賦金の弁済にことを欠き、開業準備中というべき昭和三二年度はともかく、昭和三三年度(同年四月一日から翌年三月三一日までの事業年度、以下の年度も同じ。)で金七四万七、三七二円、昭和三四年度に金二〇〇万五、二六六円の損失金を出して、はやくも、累積損失が資本金を上廻る状態となつた。そして昭和三五年度には前記のとおり原告からの倉庫賃料(年間約二四〇万円)の収入により多少収支が好転したもののやはり金七万八、〇八六円の損失金を出し、さらに昭和三六年度に金二八万一、五四六円、昭和三七年度に金七万〇、七〇五円(甲第四九号証の未払利息金五一万一、三六五円から甲第三四号証の当期純利益四四万〇、六六〇円を控除した額)と毎年損失金を計上して、その後もその収支が好転する気配を示さなかつた。 4 南葉会館がこのような事情にあつたため、前記1のように同会社と特別な関係にあり、かつ、割賦金の連帯保証人である原告は、南葉会館の営業当初より、同会社の公団に対する債務を立替払いすることとし、しかもその金額は昭和三三年度で金一三二万円余であつたものが、昭和三四年度からは金四三八万円余となつて、その後もこれが増加し、常時金四〇〇万円ないし七〇〇万円の立替金債権を持つ結果となり、とくに昭和三八年三月三一日現在では、立替金元本五三八万三、七五〇円でその累計利息(昭和三三年四月一日から昭和三八年三月三一日までの累計利息。 但し昭和三四年三月三一日までは日歩二銭六厘、同年四月一日以降は日歩二銭五厘の割合による。)が金一七八万〇、四九二円となつた。 5 そこで原告および南葉会館は、昭和三八年六月初め 一日までの累計利息。 但し昭和三四年三月三一日までは日歩二銭六厘、同年四月一日以降は日歩二銭五厘の割合による。)が金一七八万〇、四九二円となつた。 5 そこで原告および南葉会館は、昭和三八年六月初めころこれが収拾策について協議した結果、原告にはその事業が新井市の代表的産業であるとの自負があり、前記1のとおり原告と特別な関係にある南葉会館を倒産させることは、原告ないし原告代表者の社会的信用に大きく影響するばかりでなく、新井市内の有力者である株主らの面目をつぶすことになりかねないとの配慮から、この際原告が南葉会館を吸収合併することとし、そのころ合併比率を後記のとおり五対一と定めてその準備を進めた。 そして原告は、南葉会館のために協力してくれた地元株主であるgほか五名から、同年六月一五日ころ同会社の株式計七〇〇株を額面金額どおり合計金三五万円で買受け、さらに原告代表者fからも同月三日ころ同様に二、七八〇株を合計金一三九万円で買受け、その結果原告はすでに取得していた株式一、〇〇〇株と合わせて、南葉会館の発行済総株式五、〇〇〇株のうち四、四八〇株額面総額金二二四万円を所有することになつた。 また、その際南葉会館の資本を積極にするために、原告は同会社に対する前記立替金の累計利息債権金一七八万〇、四九二円を回収不能との理由で免除した。その結果、南葉会館は昭和三八年九月三〇日現在で繰越損失を金一四〇万二、四八三円にとどめ、当期純利益を金一五万八、九九四円とし、資本の額を金一二五万六、五一一円と計上した。かくして同年一〇月七日原告は南葉会館を吸収合併するにいたり、当初の予定どおり、その合併比率を南葉会館の株主に同会社の旧株一株に対し原告の新株(一株の額面金五〇円)五株の割合として交付することにし、したがつて原告はその所有する旧株四、四八〇株と引換えに り、当初の予定どおり、その合併比率を南葉会館の株主に同会社の旧株一株に対し原告の新株(一株の額面金五〇円)五株の割合として交付することにし、したがつて原告はその所有する旧株四、四八〇株と引換えに新株二万二、四〇〇株の交付を受けることになつた。 以上の事実が認められ、原告本人尋問の結果中右認定に反する部分は信用できず、そのほかこれを覆えすにたりる証拠はない。 三、(雑損否認について)原告が前記合併の際の経理にあたつて、旧株二二四万円を新株一一二万円と雑損一一二万円に振替え記帳し、その旨確定申告したところ、被告は右の雑損処理を否認し同額を確定申告の所得金額に加算する旨の本件処分をなしたことは当事者間に争いがない。 しかして、旧規則第一九条第一項第一号によれば、法人がその有する株式(旧株)について、その株式を発行する法人(被合併法人)の合併により合併法人から当該合併法人の株式(新株)のみを取得した場合においては、被合併法人の旧株の取得価額を旧株一株について交付を受けた新株の数で除して得た金額をもつて、当該合併法人の株式(新株)に附すべき帳簿価額とする旨規定されており、これを本件にあてはめれば、原告の自己株式(新株)一株の帳簿価額を金一〇〇円とすべきことは計算上明らかであり、その総額を合併前と同様に金二二四万円とすべきである。そして右規定が無効になるような事情が主張立証されていない以上、同規定にもとづいてなした被告の雑損否認は適法というべきであり、本件処分はこの点につきなんら瑕疵がない。 四、(有価証券売却益の認定について)(一) 原告は前記のとおり合併によつて取得した新株(自己株式)二万二、四〇〇株を、昭和三八年一〇月三一日別紙三記載のとおりa外六名(但し、d、b名義のものが、真実同人らに対し売却したかどうかは別として。)に、一株当 のとおり合併によつて取得した新株(自己株式)二万二、四〇〇株を、昭和三八年一〇月三一日別紙三記載のとおりa外六名(但し、d、b名義のものが、真実同人らに対し売却したかどうかは別として。)に、一株当り金五〇円、総額金一一二万円で売却したこと、そして原告は右売却の関係にふれることなく所得金額を算出し前記確定申告をしたところ、被告は、右売却時における原告の自己株式の通常取引推定価額は一株当り金一四五円が相当であると認め、右取引推定価額と売却額との差額一株当り金九五円、総額金二一二万八、〇〇〇円を原告の特定役員に対する賞与金(b名義の株式はその夫c名義の株式に、d名義の株式はその夫e名義の株式に含まれているとして、右c、eに対するそれぞれの賞与金。)であると認定し、そのうち金一〇〇万八、〇〇〇円を売却利益として、原告の所得に加算する旨の本件処分をなしたことは当事者間に争いがない。 (二) そこで原告の株価について検討するに、1、原告が前記一のとおりの事業目的をもつ非同族の法人であり、また合併時の資本金は金二、〇〇〇万円であつて、その株式は証券取引所に上場されておらず、かつ店頭気配相場もないことは当事者間に争いない。 ところで、旧法人税法には株式価額の算定方式についての規定がとくになかつたのであるが、成立に争いない乙第一二号証によれば、当時の法人税基本通達(昭和二五年九月二五日直法一―一〇〇号)第一三七には、右のように上場されていない株式の時価は、まず(イ)気配相場のない株式で売買実例のあるものについては、事業年度終了の日前六ケ月以内において売買のなされたもののうち適正と認められる価格による、とされ、つぎに(ロ)気配相場および売買実例のないときは、その株式を発行する法人と事業の種類、規模および収益の状況等が類似する他の法人の株式に比準して推定 れたもののうち適正と認められる価格による、とされ、つぎに(ロ)気配相場および売買実例のないときは、その株式を発行する法人と事業の種類、規模および収益の状況等が類似する他の法人の株式に比準して推定した価格による、とされていることが認められる。 2、そこで、右(イ)によつて原告の株価が算定できるかどうかについて検討するに、成立に争いない甲第四八号証の一一ないし一七、株式会社北星鈴木運動具店の裏書部分は弁論の全趣旨から真正に成立したものと認められ、その余の部分の成立に争いない甲第四八号証の一八、一九ならびに原告代表者本人尋問の結果によれば、一応本件事業年度終了の日前六ケ月以内の売買実例として、原告代表者fが昭和三九年三月一二日hから原告の株式四〇〇株を一株当り金五〇円、総額金二万円で、同年三月一六日鈴木光夫から三、二〇〇株を同単価、総額金一六万円でそれぞれ買受けたことが認められるが、前記本人尋問の結果によれば、これらはいずれも譲渡人らがたまたま右株式の換金を必要とし、原告の代表者に個人的に売却方を依頼した結果、同人がその事情を汲みこれを自ら買受けたものと認められるから、右のようなわずか二例の、しかも特殊な事情下における売買実例をもつて、ただちに原告の株式の通常取引における価格を推定することは相当でない。また原告主張のその余の売買実例は、その主張日時からいずれも前記通達に定める期間内のものでないことは明らかであり、したがつて前記(イ)の規定によつて原告の適正な価格を算定することはできない。 3、つぎに前記(ロ)の算定方法について検討するに、前掲乙第一二号によれば、前記法人税基本通達にはこの場合でもその具体的な算定方法を示していないことは明らかであるが、証人iの証言によれば、被告はこのような場合の実務として、当時の評価通達(昭和二六年一月二〇日 号によれば、前記法人税基本通達にはこの場合でもその具体的な算定方法を示していないことは明らかであるが、証人iの証言によれば、被告はこのような場合の実務として、当時の評価通達(昭和二六年一月二〇日直資一―五)第一八六の二(一)に定める類似会社比準方式によつて具体的な算定をしていたことが認められる。 ところが原告は、右類似会社比準方式を原告の株価の算定に際して適用することは不合理であるから、むしろ相続税基本通達(昭和三九年四月二五日直資五六)にもとづく配当還元方式によるべきである旨主張する。 そして相続税および贈与税の評価に関してその主張のような通達が存在し、昭和三九年一月一日から取引相場のない中小会社の株式で非同族株主の所有するものの価額には、その主張のような内容の方式が適用されるようになつたことは当事者間に争いがない。 しかし、成立に争いない甲第四三号証の一ないし五、乙第八号証、証人j、同iの証言によれば、相続税および贈与税における財産評価に関して、昭和三九年四月二五日付の前記相続税基本通達で、配当還元方式が採用されたのは、当時従業員持株制度が普及して従業員株主などの零細な持株の非同族株主が増える傾向にあつたのに、相続税および贈与税においては申告納税制度がとられていたため、右のような納税者でも自ら財産評価につき複雑な計算(後記のとおり従来の評価通達によれば、その計算はかなり複雑になつていた。)をしなければならず、これがためその評価手続の簡素化が納税者から強く要望されていたことと、また右のように取引相場のない中小会社の非同族株主は、株式を会社財産の持分として所有したり、元本である株価自体の値上りを期待してもつものは非常に稀有であり、単にその配当金に期待して所有するものが多いとの実情から、これらの者に限つて、その株価の構成要素として考 財産の持分として所有したり、元本である株価自体の値上りを期待してもつものは非常に稀有であり、単にその配当金に期待して所有するものが多いとの実情から、これらの者に限つて、その株価の構成要素として考えられるもののうち配当金だけに着目し、それをもととしてその元本であるその株式の価額を求めるという簡便な方式を採用し、よつて前記のような納税者の利益を計ろうとしたものであることが認められる。 したがつて配当還元方式が右認定の範囲において適用される限りにおいては、合理的な評価方法であることは明らかであるが、これをもつてただちに本件のような法人税の財産評価に適用することが、右のような同方式採用の特殊事由からみて、合理的といえないことは多言を要しないところであり、とくに類似業種のそれに比較して利益の内部留保を多くし、配当を少なくしている会社にこれを適用することは、株価の他の構成要素である利益、純資産等を全く無視することになつて適正な価格から遠く離れる算出結果を得る危険があり、相当でないというべきである。しかして、これを本件についてみるに、成立に争いない甲第一三号証、乙第二号証の一、二および弁論の全趣旨によれば原告の昭和三八年度決算期における一株当りの配当金額は金七円五〇銭であり、一株当りの利益金額は金一〇〇円前後であるのに対し、同時期における類似業種のそれは金六円二〇銭および金一九円と認められるのであつて、これから原告の配当額はその利益額に比し明らかに過少であり利益の内部留保を多くしているものと推認できるから、原告の株式の評価に配当還元方式を適用することは相当でなく、原告の前記主張は採用できない。 そして類似会社比準方式が類似会社の意義を除き、被告主張のような方式であることは当事者間に争いがないところ、成立に争いない乙第九ないし第一一号証および証人 当でなく、原告の前記主張は採用できない。 そして類似会社比準方式が類似会社の意義を除き、被告主張のような方式であることは当事者間に争いがないところ、成立に争いない乙第九ないし第一一号証および証人iの証言によると、評価通達第一八六の二にいう類似会社は「評価会社と事業の種類が同一であつてかつ資産の構成、収益の状況等が類似する取引相場又は気配相場のある会社」と規定されていたことが認められ、原告の主張に沿う成立に争いない乙第七号証中、第一八六の二の該当部分の記載は、前掲証拠に照らせば印刷の誤りであることが明らかであるから、この点に関する限り採用できず、そのほか原告の主張を裏づけ右認定事実を覆えすにたりる証拠はない。しかして右方式は、上場会社(または気配相場のある会社)のうち、評価しようとする株式の発行会社と事業内容が類似する会社を選び、その株価と右両会社の株価構成要素としての配当、利益、純資産等の要素を一定の算式によつて比準して評価しようとするものであるが、原告主張のように類似会社の選定に多少困難がともなう欠点があることは免れないとしても、他にこれに代る合理的な方式が主張立証されていない以上、右評価方式が合理性を欠くものとはいえない。 4、そこで類似会社比準方式にしたがつて、原告の株価を算定するに、被告はまず原告の類似会社として天竜木材株式会社(以下、天竜木材という。)が好適である旨主張するが、前記一の事実に前掲甲第一三号証、成立に争いない甲第一二号証、乙第一号証の一ないし五、弁論の全趣旨を併せ考えれば、原告の事業の種類はスキー、野球バツト、庭球ラケツト、バトミントンラケツト、軽車輛等のいわゆるスポーツ用品の製造および販売を業とするのに対し、天竜木材のそれは山林の経営、立木の販売、製材および合板の製造を業とするものであることが認められるから、 ツト、バトミントンラケツト、軽車輛等のいわゆるスポーツ用品の製造および販売を業とするのに対し、天竜木材のそれは山林の経営、立木の販売、製材および合板の製造を業とするものであることが認められるから、右事業によれば、両社の事業の種類は同一といえないことは明らかであり、この点において天竜木材は類似会社として不適であるというべきであり採用することができない。 つぎに美津濃株式会社(以下、美津濃という。)の類似性についてみるに、前掲甲第一二号証、成立に争いない乙第一五号証の一、二、第一六号証の一ないし三、証人kの証言および同証言によつて真正に成立したものと認められる乙第一四号証の一ないし三、弁論の全趣旨を総合すると、美津濃は資本金三億二、〇〇〇万円(昭和三七年度末)で、スキー、バツト、ラケツト、卓球台、ゴルフクラブ、野球用具、トレーニングパンツ、保安帽などスポーツ用品の製造および販売を業としており、同社の昭和三八年二月二〇日終了の事業年度(以下の数値も同じ。)の当期製品製造原価は金一二億五、四九〇万六、〇〇〇円、当期商品仕入高は金二六億一、八八八万九、〇〇〇円(内部振替仕入を除く。)で自社製品と他社製品の比率は前者が三三%、後者は六七%であるのに対し、原告の昭和三八年三月三一日終了の事業年度(以下の数値も同じ。)の当期製品製造原価は金二億二、五二一万四、〇〇〇円、当期商品仕入高は金二億〇、九八二万九、〇〇〇円で、その割合は自社製品が五二%に対し他社製品が四八%であること、美津濃と原告の資産の構成は別紙五の(イ)記載のとおりであるが、流動資産の構成およびその中の当座資産、たな卸資産の構成割合はほぼ同一でありまた固定資産についてもその構成および有形、無形資産の構成割合もほぼ同一数値を示していること、さらに両者の収益の状況は別紙五の(ロ)記載のと びその中の当座資産、たな卸資産の構成割合はほぼ同一でありまた固定資産についてもその構成および有形、無形資産の構成割合もほぼ同一数値を示していること、さらに両者の収益の状況は別紙五の(ロ)記載のとおりであるが、売上総利益率は原告二七%に対し、美津濃二三%、法人税控除前の純利益率はともに一〇%であり、一株当りの利益金は原告一四〇円に対し、美津濃は一一一円であることがそれぞれ認められ、これを覆えすにたりる証拠はない。右事実によれば、美津濃はその扱う製品の種類が多いとはいえ、原告と同様にスポーツ用品の製造および販売を業とするものであり、しかもその自社製品と他社製品の比率は原告のそれとほぼ同一であるから、原告と事業の種類は同一であるというべきであり、資産の構成、収益性の点についても類似していることは明らかであるから、これを類似会社として選ぶことに妨げない。もつとも資本金では、原告が前記のとおり金二、〇〇〇万円にすぎないのに対し美津濃はその一〇数倍の金三億二、〇〇〇万円であり、前記資産、売上、利益金の絶対値をみると両社の経営規模はかなり異なることが窺えるけれども、前掲乙第七号証、証人kの証言および弁論の全趣旨によれば、別紙(六)記載のような評価通達第一八六の三により、原告のような中会社(この点当事者間に争いがない。)については、評価会社の純資産価額による区分、取引金額による区分および従業員数による区分により、同通達第一八六の二によつて得られる類似会社比準価額に調整割合を乗じ最終的評価を求めることにより、類似会社の規模による相互間の評価に断層が生じないように調整規定が設けられていることが認められ、右調整割合による修正が合理性を欠くと断定すべき事由も見出せないから、前記程度の両会社の規模のちがいは美津濃を類似会社として選定するにつき障害となるもので うに調整規定が設けられていることが認められ、右調整割合による修正が合理性を欠くと断定すべき事由も見出せないから、前記程度の両会社の規模のちがいは美津濃を類似会社として選定するにつき障害となるものではない。 5、そして前記認定事実に、前掲甲第一二号証、乙第一四号証の一ないし三、成立に争いない乙第五、六号証を併せ考えると、類似会社比準方式における各数値は、被告主張のとおりAが五五〇、Bが一〇、Cが一〇七、Dが二二九となり、B’が六、C’が一四四、D’が二三三となることが認められるから、これを前記計算式にあてはめると(あ)式の場合は金五四三円、(あ’)式の場合は金五三六円の数値を得ることは計算上明らかであり、右のうち低い方の金五三六円が類似会社比準価格となる。また、前掲乙第七号証、弁論の全趣旨から真正に成立したものと認められる乙第一七号証、証人kの証言および同証言によつて真正に成立したものと認められる乙第一八号証によれば、原告の総資産額は金四億三、五〇〇万円、取引金額は金五億五、〇〇〇万円、従業員数は三五八人であるから、評価通達第一八六の三に定める前掲調整割合はそれぞれ八〇%、五〇%、七五%となり、したがつて同規定にいうLは八〇%となること、そしてこれらを評価通達第一八六の三にもとづいて、前記類似会社比準価額金五三六円に乗じると最終的な評価額は金四七五円となることが認められる。 6、したがつて原告の株式の通常取引推定価額は少なくとも金一四五円以上であると認めることができ、成立に争いない甲第四五、四六号証をもつても右価額を下回るような事情は証することができず、そのほか右認定を覆えすにたりる証拠はない。(なお現行評価通達においては被告主張の類似業種比準方式が採用され、その方式が被告主張のとおりであることは当事者間に争いがないが、前掲甲第一三号証 できず、そのほか右認定を覆えすにたりる証拠はない。(なお現行評価通達においては被告主張の類似業種比準方式が採用され、その方式が被告主張のとおりであることは当事者間に争いがないが、前掲甲第一三号証、乙第二号証の一、二により右計算式に所定の数値をあてはめて原告の株式の通常取引推定価額を算定しても、右認定の金一四五円を下回ることはない。)(三) しかして、原告が別紙三記載のd、bを除く五名の者に対し、同別紙記載のとおり、原告の株式総数二万〇、四〇〇株を単価金五〇円総額金一〇二万円で売却したことは前記のとおりであるが、すでに述べたように原告の株式の一株当りの通常取引推定価額が金一四五円を下廻らない以上、右譲受人らは著るしく低い価額で買受けたことになるから、少なくとも金一四五円との差額一株当り金九五円については、なんら対価なくして財産的利益を得たものであり実質的に贈与と解するほかなく、これを原告の譲受人(原告の役員)らに対する寄附金と解するのが相当であるから、その総額金一九三万八、〇〇〇円は同人らに対する賞与金というべきである。 (四) 被告は、d、bの名義分の売却は、e、cの分にそれぞれ含ませるべきであると主張するが、右d、bが原告の役員でないことは当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨によつて真正に成立したものと認められる甲第一五、一六号証、証人eの証言によれば、右両名はいずれも自ら一、〇〇〇株づつを買受けたことが認められるから、これをもつて前項の賞与金と解することは相当でない。 しかしこれについても、通常取引推定価額金一四五円と売却額金五〇円との差額金九五円、総額金一九万円は前項と同様の理由により低額譲渡より発生したものであるから、両名に対する寄附金と解するほかはない。そして原告の寄附金損金算入限度額に見合う金額は後記五のとおり損金に算入さ 金九五円、総額金一九万円は前項と同様の理由により低額譲渡より発生したものであるから、両名に対する寄附金と解するほかはない。そして原告の寄附金損金算入限度額に見合う金額は後記五のとおり損金に算入されているから、右は原告の損金となりえず、原告の所得額について被告認定の額を変えるものでない。 (五) してみると、被告が金一〇〇万八、〇〇〇円を認定申告にもとづく所得金額に加算した本件処分は結論において正当であり、本件処分はこの点についても瑕疵はない。 五、(寄附金の損金不算入について)原告が前記二のとおり、南葉会館との合併前に、債務の免除をし貸倒れ金として処理した同社に対する立替利息金一七八万〇、四九二円を経理上損失金として確定申告をしたところ、被告は右金員を南葉会館に対する寄附金と認定すべきであるとして、そのうち金一三六万六、七一一円を限度超過の理由で損失金として認めない旨の本件処分をなしたことは当事者間に争いがない。 ところで、事業の遂行上生じた貸付金その他これに準ずる債権の貸倒れは所得の計算上一定の限度で損金として扱われるが(旧規則第一四条)、貸倒れ処理が債務の免除等により法律上債権自体を消滅させる場合であつても、これが動機等が債務者の支払不能のためでなく、債権者の債務者に対する実質的な贈与(利益処分)とみられる場合には、右にいう貸倒れということができないと解すべきである。 これを本件についてみるに、前記二のとおり、南葉会館は営業発足当時より損失を出し、合併が話題になるころもその収支が好転する見通しもなかつたのであるが、原告は右事情を知悉しながら連帯保証人としての責任を追及される前に、いわゆる親会社である原告自体あるいは原告代表者の社会的信用等を重んずることから、南葉会館に対する立替金をむしろ年々増加し、合併比率を決めてからも南葉会 ながら連帯保証人としての責任を追及される前に、いわゆる親会社である原告自体あるいは原告代表者の社会的信用等を重んずることから、南葉会館に対する立替金をむしろ年々増加し、合併比率を決めてからも南葉会館の株式を額面どおり買取つてその所有株式を増やし、法律上可能な減資手続をとることもなく、立替金の利息のみを免除して経理上資本金を出し、あえて業績優秀な(このことは前四項に認定の事情から推認できる。)原告に吸収合併させたのである。これを換言すれば、原告の前記立替金の支出は実質的にはいわば潜在的な利益供与であり、ただこれが南葉会館の帳簿上負債として計上されているため、債務免除により従前の潜在的なものを顕在化させ、もつて合併に際し、南葉会館に積極財産を残して旧株主に新株式の交付を可能にし、これにより原告らの面子の維持と旧株主の南葉会館に対する従来の協力に答えたものにほかならないのであるから、これらの事情から考えると、原告の利息金に関する債務免除の動機は、南葉会館に対する実質的贈与ないしは利益供与にあつたと推認するほかはない。 してみると、原告の南葉会館に対する立替金利息金一七八万〇、四九二円の損金処理はなんら対価なくしてなされたものであるから寄附金と解すべきところ、原告の昭和三八年事業年度における損金算入限度寄附金額(旧法人税法第九条第三項、旧規則第七条第一項。)が金五四万八、七一一円、寄附金合計額が金二二二万〇、四二二円(但し、前四の(四)の寄附金は含まない。)でそのうち指定寄附金が金三〇万五、〇〇〇円(旧規則第八条第一項)であることは原告も明らかに争わないところであるから、被告主張のとおり前記寄附金のうち金一三六万六、七一一円が寄附金限度超過額となることは明らかである。したがつて、右金額の損金不算入とした本件処分は適法である。 六、(結び) ないところであるから、被告主張のとおり前記寄附金のうち金一三六万六、七一一円が寄附金限度超過額となることは明らかである。したがつて、右金額の損金不算入とした本件処分は適法である。 六、(結び)以上説示のとおり、原告の確定申告にもとづく所得金額に金三四九万四、七一一円を加算(他の理由により合計金六一四万八、二九九円を加算しているが、これが適法であることは当事者間に争いがない。)した本件処分は適法であるから、この取消を求める原告の本訴請求は失当として棄却されるべきである。 よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官宮崎啓一泉山禎治佐藤歳二)(別紙一)課税の経過表<略>(別紙二)(省略)(別紙三)自社株式売却処分の内訳表<略>(別紙四)株式取引一覧表<略>(別紙五)美津濃(株)と原告との類似性<略>(別紙六)百八十六の三第百八十六項による株式の価額は、次に掲げる算式により計算したところによる。この場合において、算式中Lは、評価会社の総資産価額、取引金額及び従業者数に応じて定める割合のうち、最も高い割合とする。(昭26直資1-78追加)類似会社比準価額×L+D’×(I-L)(注) 昭和26年分富裕税については、本質による割合は、次に掲げるとおりとする。 (昭27直資1-52改正)(一) 総資産価額による区分<略>(二) 取引金額による区分(三) 従業者数による区分
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