主文 被告人を懲役3年6月に処する。 未決勾留日数中160日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,かねて夫であるA(当時50歳。以下「被害者」という。)から肋骨を折られる暴行,暴言や過去の経歴を暴露するとの脅迫を受けるなどし,平成30年3月10日にも,些細なことに怒った被害者から土下座させられ,一緒に赴いたラーメン店では,飲酒した被害者からラーメンのスープをかけられた。そして,被告人は,同日午後9時20分過ぎに名古屋市a区bc丁目d番地のeBf号当時の被告人方に帰宅した直後,被害者に「前みたいにボコボコにしてやる。」などと言われ,胸倉を両手でつかまれ身体を上方に持ち上げられた。そこで,被告人は,同日午後9時27分頃から同日午後10時38分頃までの間に,同所において,自己の身体を防衛するため,防衛の程度を超え,殺意をもって,被害者の頸部に電源コードを巻いて絞め付け,さらに,被害者の頸部にネクタイを巻いて絞め付け,よって,その頃,同所において,被害者を頸部圧迫による窒息により死亡させた。 (法令の適用)罰条刑法199条刑種の選択有期懲役刑を選択法律上の減軽刑法36条2項前段,68条3号未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由)被告人は,被害者の首に電源コードを巻き付けて,被害者が動かなくなるまで強く絞め付け,さらに,ネクタイを首に巻き付けて強く絞め付けており,本件は強固な殺意に基づく犯行である。 被告人が,平成22年頃以降,被害者から,肋骨を折られる,顔面が腫れ上がるなどの強度の暴行を数回受けていたことからすれば,本件犯行直前の被 けており,本件は強固な殺意に基づく犯行である。 被告人が,平成22年頃以降,被害者から,肋骨を折られる,顔面が腫れ上がるなどの強度の暴行を数回受けていたことからすれば,本件犯行直前の被害者の言動により激しい暴行を受けるとの恐怖を感じたことはやむを得なかったといえ,とっさに電源コードを手にして被害者の首を絞め付ける行為に及んだことには過去の暴行が関係しており,犯行に至る経緯には酌むべきものがある。しかしながら,被告人は,身動きしない被害者を別の部屋に移動させた後も,その場から逃げ出したりすることが可能であったにもかかわらず,被害者が目覚めた場合に激しい暴行を受けることを恐れ,被害者の死を確実なものにするためにネクタイで更に首を絞め付けており,防衛行為の過剰の程度が大きく,過剰の程度が大きくなったことがやむを得なかったと評価することはできない。 また,知らないうちに被害者を移動させる手伝いをさせられ,今でも本件現場で暮らしている被害者の父親の処罰感情が厳しいのは当然である。 被告人は本件犯行から約13時間後に自首しているが,その間の被告人の行動等をみると,被告人の母親及び叔父に促されてのものである。加えて,被告人が被害者の遺族に対して謝罪の意思を示していること,前科前歴がないこと,母親が出廷して被告人の更生を支援する旨述べ,叔父からも支援が見込まれることなどを考慮しても,本件が被害者1名に対する殺人の事案の中では比較的軽いものであり,かつ,過剰防衛による法律上の減軽をすべきであるものの,執行猶予を付すべき事案であるとはいえず,主文の刑期の実刑は免れないと判断した。 (求刑・懲役7年,弁護人の意見・執行猶予)平成31年1月21日名古屋地方裁判所刑事第5部 裁判長裁判官森島聡 裁 主文 刑期の実刑は免れないと判断した。 理由 (求刑・懲役7年,弁護人の意見・執行猶予) 事実 平成31年1月21日名古屋地方裁判所刑事第5部 裁判長裁判官森島聡 裁判官西山志帆 裁判官横井千穂
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