平成27(行ウ)288 保険金等還付請求事件,ファックス送信費用等請求事件,保険金等還付金等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成31年2月27日 大阪地方裁判所
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判決文本文29,029 文字)

平成31年2月27日判決言渡平成27年(行ウ)第288号保険金等還付請求事件(甲事件)平成27年(ワ)第10659号ファックス送信費用等請求事件(乙事件)平成28年(行ウ)第172号保険金等還付金等請求事件(丙事件)主文 1 甲事件に係る訴えのうち,再計算の義務付けを求める部分及び納付誓約書の無効確認を求める部分をいずれも却下する。 2 被告は,原告に対し,1万3175円を支払え。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,これを10分し,その9を原告の負担とし,その余は被告の 負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 甲事件⑴ 被告は,原告に対し,264万4664円及びこれに対する平成27年1 1月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 厚生労働大臣は,原告の健康保険料,厚生年金保険料及び児童手当拠出金(以下「保険料等」と総称する。)に係る延滞金について,原告の届出等により減額された保険料等を元金として再計算せよ。 ⑶ 厚生労働大臣は,原告の届出等により過納となった保険料等を,当該保険 料等が納付された日の翌日から6箇月以内の期日に納付されるべき保険料等に充当して再計算せよ。 ⑷ 原告が平成27年7月30日に作成した吹田年金事務所長宛ての納付誓約書が無効であることを確認する。 2 乙事件 被告は,原告に対し,12万円及びこれに対する平成27年11月10日か ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 丙事件被告は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成27年11月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要 。 3 丙事件被告は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成27年11月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要原告が,日本年金機構(以下「機構」という。)吹田年金事務所(日本年金機構法(平成19年法律第109号)施行前の旧吹田社会保険事務所に相当する。以下,同法施行による改称の前後を通じて「吹田年金事務所」という。)に対し,平成27年6月2日,原告代表者の役員報酬が平成18年1月以降減 額されていた旨の届出をしたところ,①吹田年金事務所から,同年4月以降の健康保険及び厚生年金保険に係る原告代表者の標準報酬月額につき遡って減額改定を受け(以下「本件改定」という。),歳入徴収官である厚生労働省年金局事業管理課長(以下「事業管理課長」という。)から,②平成27年7月22日,保険料等を減額更正する処分を受け(以下「本件旧処分」という。), ③同年8月26日,本件旧処分により発生した平成18年4月分以降の保険料等に係る過納金267万1606円(以下「本件過納金」という。)の還付を受けた一方,④吹田年金事務所から,平成27年7月30日時点における原告の平成17年11月分から平成25年12月分までの保険料等に係る延滞金(以下「本件延滞金」という。)が合計93万1192円に及ぶ旨の通知を受ける などした。 本件は,原告が,本件過納金の処理,本件延滞金の計算方法及び吹田年金事務所の職員の対応に違法があるなどと主張して,被告に対し,次の請求をする事案である。 ⑴ 甲事件 ア事業管理課長は,原告が納付した保険料等について発生した過納金のう ち60万4664円を原告に無断で原告の未納保険料等及び本件延滞金に充当処理したとし ある。 ⑴ 甲事件 ア事業管理課長は,原告が納付した保険料等について発生した過納金のう ち60万4664円を原告に無断で原告の未納保険料等及び本件延滞金に充当処理したとして,国家賠償法1条1項に基づき,前記同額及び慰謝料1万円並びに遅延損害金の支払を求める請求(以下「本件国賠請求①」という。)(後記争点⑷)イ原告は,吹田年金事務所の職員であるA(以下「本件職員」という。) から,本件過納金を還付する条件として,未納保険料等4万円の納付を強要されたから,この納付は無効であるとして,不当利得返還請求権に基づき,同額の支払を求める請求(以下「本件不当利得返還請求」という。)(後記争点⑸)ウ主位的に行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条6項1号所定 の義務付けの訴えとして,予備的に通常の民事訴訟として,本件改定等により減額された保険料等を元金として本件延滞金の額を再計算すべき旨を命ずることを求める請求(以下,これらの請求に係る訴えを「本件義務付けの訴え①」と総称する。)(後記争点⑴)エ主位的に行訴法3条6項1号所定の義務付けの訴えとして,予備的に通 常の民事訴訟として,健康保険法164条2項等により,本件改定等によって過納となった保険料等を,当該保険料等が納付された日の翌日から6箇月以内の期日に納付されるべき保険料等に充当して再計算すべき旨を命ずることを求める請求(以下,これらの請求に係る訴えを「本件義務付けの訴え②」と総称する。)(後記争点⑵) オ被告は本件過納金を還付するに当たり還付加算金又は民法704条前段所定の利息を付加すべきであったとして,100万円の支払を求める請求(後記争点⑹)カ原告は,本件職員から,本件過納金を還付する条件として,未納保険料等の に当たり還付加算金又は民法704条前段所定の利息を付加すべきであったとして,100万円の支払を求める請求(後記争点⑹)カ原告は,本件職員から,本件過納金を還付する条件として,未納保険料等の支払を約束する旨の誓約書(以下「本件誓約書」という。)を書くこ とを強要されたものであり,本件誓約書は強要罪に該当する違法な行為に より作成されたものであるから無効であるとして,本件誓約書が無効であることの確認を求める請求(以下「本件確認の訴え」という。)(後記争点⑶)キ本件職員による前記カの違法行為により精神的苦痛を被ったとして,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料99万円及び遅延損害金の支払を求め る請求(以下「本件国賠請求②」という。)(後記争点⑺)⑵ 乙事件原告は,吹田年金事務所の職員から,未納保険料等を支払った旨をファックスで連絡するよう指示されたとして,民法485条ただし書に基づき,ファックス送信費用合計12万円の支払を求める請求(後記争点⑻) ⑶ 丙事件事業管理課長が,健康保険法164条2項等を適用して,本件改定等によって過納となった保険料等を,遡って当該保険料等が納付された日の翌日から6箇月以内の期日に納付されるべき保険料等に充当すべきであったにもかかわらず,これをしなかったことによって,本来発生すべき延滞金よりも多 額の延滞金が発生することとなり,原告が延滞金減少相当額100万円の損害を被ったと主張して,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として,同額の支払を求める請求(後記争点⑼) 2 関係法令の定め関係法令の定めは,別紙「関係法令の定め」記載のとおりである(同別紙中 で定めた略称は,以下においても同様に用いる。)。 3 前提事実(争いのない事実,顕著 記争点⑼) 2 関係法令の定め関係法令の定めは,別紙「関係法令の定め」記載のとおりである(同別紙中 で定めた略称は,以下においても同様に用いる。)。 3 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 当事者等原告は,書籍,ビデオテープ,CDの製作等を目的とする会社であり,吹 田年金事務所に対し,平成17年11月1日付けで健康保険法及び厚生年金 保険法の適用事業所となった旨及び原告代表者の役員報酬が月額20万円である旨の届出をした。(乙10,11)⑵ 本件改定等ア吹田年金事務所は,原告代表者の役員報酬が20万円であることを前提に,原告代表者の標準報酬月額を決定し,事業管理課長は,平成17年1 1月分から,毎月,原告に対し,前記のとおり決定された標準報酬月額に基づき算出した保険料等につき,納入の告知をした(以下「本件納入告知」という。健康保険法183条,厚生年金保険法89条,国税通則法36条,児童手当法22条1項,子ども・子育て支援法71条1項)。これに対して,原告は,同月分から保険料等を恒常的に滞納するようになり,吹田年 金事務所は,平成27年6月2日時点における原告の平成17年11月分から平成27年4月分までの保険料等に係る未納金及び延滞金の合計につき,153万4856円(未納金64万3156円,延滞金89万1700円)と算出していた。(乙3)イ原告は,平成27年6月2日,平成18年1月から同年3月までの原告 代表者の役員報酬が5万円であった旨の「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」を吹田年金事務所に提出した(乙1)。これを受けて,吹田年金事務所は,健康保険法43条1項及び厚生年金保険法23条1項に基づき, が5万円であった旨の「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」を吹田年金事務所に提出した(乙1)。これを受けて,吹田年金事務所は,健康保険法43条1項及び厚生年金保険法23条1項に基づき,原告代表者の平成18年4月から同年8月までの標準報酬月額を健康保険及び厚生年金保険についていずれも20万円から9万8000 円に改定した(乙3)。 また,原告は,平成27年6月2日,平成18年度から平成26年度までの原告代表者の役員報酬が5万円であった旨の「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届」を吹田年金事務所に提出した(乙1)。 これを受けて,吹田年金事務所は,健康保険法41条1項及び厚生年金保 険法21条1項に基づき,原告代表者の平成18年9月以降の標準報酬月 額を健康保険及び厚生年金保険についていずれも20万円から9万8000円に改定した(乙3)。 吹田年金事務所は,平成27年6月11日,原告に対し,前記のとおり原告代表者の平成18年4月以降の標準報酬月額を改定した旨(本件改定)を通知した。(乙13) ⑶ 原告に対する超過保険料等の通知事業管理課長は,平成18年4月に遡って健康保険及び厚生年金保険に係る原告代表者の標準報酬月額が減額改定された(本件改定)ことから,本件納入告知に係る保険料等の額(原告から実際に納付された額ではない。)と,本件改定後の標準報酬月額を基に算出される保険料等の額との差額を各納付 対象月について算出し,積算したところ,平成18年4月から平成27年4月までの間の前記差額(以下「超過保険料等」という。)は,329万9365円(健康保険料151万4123.2円,厚生年金保険料177万0524.16円,児童手当拠出金1万4718.60円のそれぞれにつき,円未満を切り捨て 下「超過保険料等」という。)は,329万9365円(健康保険料151万4123.2円,厚生年金保険料177万0524.16円,児童手当拠出金1万4718.60円のそれぞれにつき,円未満を切り捨てた上で合計した額)となった。 そこで,事業管理課長は,平成27年6月22日付けで,健康保険法164条2項,厚生年金保険法83条2項等を適用して,前記の超過保険料等のうち合計2万3094円(健康保険料5823.2円,厚生年金保険料1万7124.52円,児童手当拠出金147円のそれぞれにつき,円未満を切り捨てた上で合計した額)に関する納付を,同年5月分の保険料等について 納期を繰り上げてしたものとみなす充当整理をした(以下「本件充当整理」という。)上,同年6月22日付けで,原告に対し,原告代表者の報酬月額変更届が遡って提出されたため,本件充当整理をしたので,同年5月分については納入告知書を発行しない旨を通知した。この通知書には,本件充当整理の結果,超過保険料等が合計327万6270円(健康保険料150万8 300円,厚生年金保険料175万3399.64円,児童手当拠出金1万 4571.60円のそれぞれにつき,円未満を切り捨てた上で合計した額)となった旨も記載されていた。(甲1)⑷ 本件旧処分等事業管理課長は,平成27年7月22日付けで,本件改定に伴って保険料等を減額更正する処分をしたが(本件旧処分),その際,①平成18年4月 から平成27年5月までの期間に関し,当該期間の全ての月について保険料等の額を本件改定後の標準報酬月額を基に算出し直すのではなく,直近の納付対象月から順次遡って,保険料等の納付義務全額を消滅させる(納付すべき保険料等の額を零に減額する。)などという処理を,その減額分が超過保険料等の額( 準報酬月額を基に算出し直すのではなく,直近の納付対象月から順次遡って,保険料等の納付義務全額を消滅させる(納付すべき保険料等の額を零に減額する。)などという処理を,その減額分が超過保険料等の額(本件充当整理後のもの)に満つるまで行う一方,②本件旧処分 以前に発生したものとして取り扱われていた延滞金に関しては,本件改定に伴う保険料等の減額に対応した減額の措置を講じないものとした。その結果,事業管理課長は,原告の当該期間の保険料等に係る過納金(本件過納金)につき,合計267万1606円(健康保険料125万6428円,厚生年金保険料140万3407円,児童手当拠出金1万1771円)と算出し,原 告に対し,本件過納金を還付するので請求書により請求されたい旨を通知した(以下「本件通知」という。)。(甲2,乙3,弁論の全趣旨)⑸ 原告の還付請求等ア原告は,平成27年7月30日,吹田年金事務所において,本件過納金の還付を請求した。(乙4) イ原告は,平成27年7月30日,①吹田年金事務所において,未納保険料等及び延滞金として4万円を納付するとともに(以下「本件納付」という。),②吹田年金事務所から,本件旧処分及び本件納付の結果,平成27年7月30日時点における原告の平成17年11月分から平成25年12月分までの保険料等に係る延滞金が合計93万1192円(そのうち, 平成18年4月から平成25年12月までの期間に係る延滞金は,84万 2700円)に及ぶ旨告げられ,これを2年間で完済することなどを約束する旨の納付誓約書(本件誓約書)を吹田年金事務所の所長宛てに提出した。(甲4,9)ウ原告は,平成27年8月26日,本件過納金(267万1606円)の還付を受けた。(乙5) する旨の納付誓約書(本件誓約書)を吹田年金事務所の所長宛てに提出した。(甲4,9)ウ原告は,平成27年8月26日,本件過納金(267万1606円)の還付を受けた。(乙5) ⑹ 本件訴訟の提起等(顕著な事実)ア原告は,平成27年9月1日,本件訴訟(甲事件のうち本件義務付けの訴え②を除くもの及び乙事件)を提起した。 イ原告は,平成28年6月3日,本件義務付けの訴え②及び丙事件に係る訴えを追加する旨の訴えの追加的変更をした。 ⑺ 事業管理課長による新たな処分(乙20,21)事業管理課長は,平成30年9月28日付けで,本件充当整理及び本件旧処分等を取り消し,改めて平成18年4月から平成27年5月までの期間の保険料等を減額更正する処分をした(以下「本件新処分」という。)。その概要は,①当該期間の全ての月について,保険料等の額を本件改定後の標準 報酬月額を基に算出し直すとともに,②本件旧処分以前に発生したものとして取り扱われていた延滞金に関しても,本件改定に伴う保険料等の減額に対応した減額の措置を講ずる(減額後の保険料等の額を基礎として算出し直す。)というものであった。 本件新処分の結果,事業管理課長は,①原告の当該期間の保険料等に係る 過納金(本件過納金)につき,合計267万1750円(健康保険料125万6490円,厚生年金保険料140万3462円,児童手当拠出金1万1798円)と算出し(本件旧処分のそれから144円増加),平成30年9月28日付けで,当該増加額(144円)を平成27年10月分の保険料等に充当し,②また,本件新処分の結果,原告の平成18年4月から平成25 年12月までの期間の保険料等に係る延滞金につき,合計45万1100円 (健康保険料に係る延滞 10月分の保険料等に充当し,②また,本件新処分の結果,原告の平成18年4月から平成25 年12月までの期間の保険料等に係る延滞金につき,合計45万1100円 (健康保険料に係る延滞金13万2100円及び厚生年金保険料に係る延滞金31万9000円の合計額。当該期間の保険料等に係る延滞金額につき平成27年7月30日に算出した当該合計額(前記⑸イ)と比べると,39万1600円〔84 万2700 円-45 万1100 円=39 万1600 円〕の減少)と算出した。 3 争点 【甲事件関係】⑴ 本件義務付けの訴え①の適法性(前記事案の概要⑴ウ)⑵ 本件義務付けの訴え②の適法性(前記事案の概要⑴エ)⑶ 本件確認の訴えの適法性(前記事案の概要⑴カ)⑷ 事業管理課長が超過保険料等のうち60万4664円につき違法な充当処 理をしたか否か(本件国賠請求①関係)(前記事案の概要⑴ア)⑸ 本件納付は無効か否か(本件不当利得返還請求関係)(前記事案の概要⑴イ)⑹ 被告における本件過納金に係る還付加算金又は民法704条前段所定の利息の支払義務の有無及びその額(前記事案の概要⑴オ) ⑺ 本件職員の原告に対する違法行為の有無及びこれに関する被告の国家賠償法上の責任の有無(本件国賠請求②関係)(前記事案の概要⑴キ)【乙事件関係】⑻ 原告が年金事務所に領収証書をファックス送信するのに要した費用について民法485条ただし書が適用されるか否か(前記事案の概要⑵) 【丙事件関係】⑼ 過納保険料等を遡ってその納付された日の翌日から6箇月以内の期日に納付されるべき保険料等に充当しなかった事業管理課長の措置が違法か否か(前記事案の概要⑶) 4 争点に関する当事者の主張の要旨 ⑴ 争点⑴(本件義務 れた日の翌日から6箇月以内の期日に納付されるべき保険料等に充当しなかった事業管理課長の措置が違法か否か(前記事案の概要⑶) 4 争点に関する当事者の主張の要旨 ⑴ 争点⑴(本件義務付けの訴え①の適法性) (原告の主張の要旨)ア健康保険法等は延滞金の額を減額更正前の保険料の額に基づいて計算することを当然に求めているものではないから,本件延滞金の再計算には処分性があるというべきである。 イ原告代表者の体調不良のため,原告の業績は非常に悪く,原告代表者が 生活するのが精一杯の状態である。そうすると,本件延滞金の再計算がされずに100万円の延滞金支払義務が生ずることは,原告にとって重大な損害である。 ウ報酬月額が減少した場合に延滞金が発生している納付対象月分の保険料等の納付義務については減少させない処理は,政府部内でも批判されてい るところであり,そうであるにもかかわらず,前記の処理を改めないのは,法令上,他に手段がないからである。したがって,本件義務付けの訴え以外には原告の損害を避けるために適切な手段がないというべきである。 (被告の主張の要旨)ア保険料等の延滞金は,滞納した保険料等に納期限の翌日から保険料完納 又は財産差押えの前日までの日数に年14.6%の利率を乗じて機械的に算出されるものであり,その確定には特別な手続を要しない。そうすると,延滞金の計算自体は,行訴法3条2項の規定する「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とはいえない。 イ原告が本件義務付けの訴え①で求めている延滞金の計算がされないこと によって生ずるおそれのある損害は,原告の主張によっても100万円程度であり,金銭による賠償によって事後的に十分回復が可能 イ原告が本件義務付けの訴え①で求めている延滞金の計算がされないこと によって生ずるおそれのある損害は,原告の主張によっても100万円程度であり,金銭による賠償によって事後的に十分回復が可能なものであるから,本件義務付けの訴え①で求めている延滞金の計算がされないことにより原告に重大な損害が生ずるおそれがあるということはできない。 ウ原告は,被告の行った延滞金の計算が違法であり,その額が過大である 場合には,延滞金納付義務不存在確認の訴え等により延滞金納付義務の存 否を争うことができるから,本件義務付けの訴え①以外に原告の損害を避けるために適切な方法がないということはできない。 エ以上のとおり,本件義務付けの訴え①は不適法である。 ⑵ 争点⑵(本件義務付けの訴え②の適法性)(原告の主張の要旨) ア本件改定等によって過納となった保険料等を,当該保険料等が納付された日の翌日から6箇月以内の期日に納付されるべき保険料等に充当して再計算すれば,本件延滞金の額が100万円以上減少する。 イ前記⑴(原告の主張の要旨)ウと同じ。 (被告の主張の要旨) ア過納保険料等については,機構において,過納保険料等の金額の計算を行い,その後,事業管理課長名義でこれを保険料等の納付義務者に通知することによって初めて,保険料等の納付義務者において事業管理課長が認定した過納保険料等に対する還付請求等が可能となることからすると,過納保険料等の金額を計算する行為は,前記の通知の前提となる内部行為に すぎず,処分性を有しないというべきである。 イ原告が本件義務付けの訴え②で求めている延滞金の計算がされないことによって生ずるおそれのある損害は,原告の主張によっても1 る内部行為に すぎず,処分性を有しないというべきである。 イ原告が本件義務付けの訴え②で求めている延滞金の計算がされないことによって生ずるおそれのある損害は,原告の主張によっても100万円程度であり,金銭による賠償によって事後的に十分回復が可能なものであるから,本件義務付けの訴え②で求めている延滞金が計算されないことによ り原告に重大な損害が生ずるおそれがあるということはできない。 ウ原告が,保険料等の過誤納金や還付金の金額に不服がある場合,保険料等の還付金請求訴訟等により争うことができるから,本件義務付けの訴え②以外に原告の損害を避けるために適切な方法がないということはできない。 エ以上のとおり,本件義務付けの訴え②は不適法である。 ⑶ 争点⑶(本件確認の訴えの適法性)(原告の主張の要旨)本件確認の訴えは適法である。 (被告の主張の要旨)本件誓約書により証明される法律関係が現在の原告の権利又は法律上の地 位に関わり,本件誓約書の有効性が不明確であることだけによって原告の権利又は法的地位に危険・不安を生じており,被告との間で判決によって本件誓約書が無効であるか否かが確認されればその危険・不安が解消されると期待されるような事情はないから,本件確認の訴えには確認の利益がない。 ⑷ 争点⑷(事業管理課長が超過保険料等のうち60万4664円につき違法 な充当処理をしたか否か)(原告の主張の要旨)事業管理課長が平成27年6月22日付けで原告に対して通知した「納入告知書不発行通知書」では,同年5月分に充当整理した後の超過保険料等の額が327万6270円とされているのに対し,事業管理課長が同年7月2 2日付けで原告に対して通知した「過 て通知した「納入告知書不発行通知書」では,同年5月分に充当整理した後の超過保険料等の額が327万6270円とされているのに対し,事業管理課長が同年7月2 2日付けで原告に対して通知した「過誤納額還付通知書」では,還付金額が267万1606円となっており,前記各金額の差額である60万4664円は,事業管理課長が,原告の当時の未納保険料等及び延滞金に充当したものである。しかし,この充当処理は,原告に無断で行われた違法な充当処理である。 (被告の主張の要旨)事業管理課長は,超過保険料等のうち60万4664円について,その納付義務を消滅させたにすぎず,過納金を充当整理したものではない。 ⑸ 争点⑸(本件納付は無効か否か)(原告の主張の要旨) 原告は,平成27年7月30日,本件職員から,本件過納金を還付する条 件として本件納付を強要されたから,本件納付は無効である。 (被告の主張の要旨)本件職員が原告に対して本件納付を強要したことはないから,本件納付は有効である。 ⑹ 争点⑹(被告における本件過納金に係る還付加算金又は民法704条前段 所定の利息の支払義務の有無及びその額)(原告の主張の要旨)ア被告は,国税通則法58条に基づき,過納保険料等に対する年7.3%の割合による還付加算金の支払義務を負う。 イ被告は,本件過納金の発生を知っていたから,悪意の受益者として,民 法704条前段所定の利息の支払義務を負う。 ウ被告は,原告に対し,国税通則法58条所定の還付加算金又は民法704条前段所定の利息として,少なくとも100万円を支払うべきである。 (被告の主張の要旨)ア健康保険法及び厚生年金保険法は,還付金等に対する還付加算金や利息 還付加算金又は民法704条前段所定の利息として,少なくとも100万円を支払うべきである。 (被告の主張の要旨)ア健康保険法及び厚生年金保険法は,還付金等に対する還付加算金や利息 について一切規定していない。また,前記各法は,「徴収」する行為と「還付」する行為を明確に区別した上で,「徴収」についてのみ国税徴収の例によることとしており(健康保険法183条,厚生年金保険法89条),「還付」について国税通則法を準用又は類推適用する余地はない。 イ保険料等の還付金等は公法上の不当利得の性質を有するから,民法70 3条及び704条は適用されない。 保険料等の還付は,保険料等の徴収手続という権力的な公法的手続の過程において生じたものであること,保険料等の還付を受ける権利は会計法31条が適用されることからすれば,保険料等の還付の法的性質は,公法上の不当利得たる性質を有するものと解され,私人間の経済的利害の調整 を目的とする民法上の不当利得の性質を有するものではないと解される。 ウ保険料等の還付に当たって利息を付す義務があるか否かは,健康保険法及び厚生年金保険法の規定やその趣旨等を勘案して判断すべきである。そして,保険料の前納について定める健康保険法165条には,前納した保険料の還付に当たって利息を付する旨の規定がなく,同法施行令51条1項は,前納に係る期間の経過前において任意継続被保険者がその資格を喪 失した場合,前納した保険料のうち未経過期間に係るものを還付する旨規定し,その還付額を定める同条2項は,利息について何ら規定していない。 また,健康保険法164条2項及び厚生年金保険法83条2項によれば,保険者等は,最長6箇月間過誤納保険料を保持することになるため,立法政策上,前記各規定を 条2項は,利息について何ら規定していない。 また,健康保険法164条2項及び厚生年金保険法83条2項によれば,保険者等は,最長6箇月間過誤納保険料を保持することになるため,立法政策上,前記各規定をその間に利息が生ずることを前提とした規定とする ことも考えられるが,前記各規定は,過誤納保険料の元本のみを充当する規定となっている。 以上によれば,健康保険法及び厚生年金保険法上,保険料の還付に当たって利息を付することは想定されていないというべきである。 エ仮に,保険料等の還付について民法の不当利得に関する規定が適用され るとしても,①原告は,約10年間にわたって報酬月額変更届の提出義務(健康保険法施行規則26条1項,厚生年金保険法施行規則19条1項)を怠り,変更前の報酬月額を前提とした保険料等を一部納付したり,債務を承認したりしていたものであるから,民法705条の類推適用又は権利の濫用(同法1条3項)により,原告が利息の支払を求めることは許され ないものというべきであるし,②本件において保険料等の還付請求権が発生したのは本件旧処分がされた平成27年7月22日であるから,事業管理課長は,同日までは民法704条所定の「悪意の受益者」に当たらない。 オまた,仮に,保険料等の還付について民法704条が適用されるとしても,本件過納金は原告が報酬月額変更届の提出義務を怠ったことを原因と して生じたものであり,被告は原告の誤った行為を解消するための負担を 一方的に負うものであることなどからすると,本件通知は,信義則上,弁済の提供(民法493条ただし書)に当たるというべきであるから,本件通知の後は法定利息が発生していない。 ⑺ 争点⑺(本件職員の原告に対する違法行為の有無及びこれに関する被告の国家 ,信義則上,弁済の提供(民法493条ただし書)に当たるというべきであるから,本件通知の後は法定利息が発生していない。 ⑺ 争点⑺(本件職員の原告に対する違法行為の有無及びこれに関する被告の国家賠償法上の責任の有無) (原告の主張の要旨)本件職員は,平成27年7月30日,原告に対し,本件過納金を還付する条件として本件誓約書を書くように強要し,これにより,原告は多大な精神的苦痛を被った。被告は,本件職員の当該違法行為につき,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負う。 (被告の主張の要旨)機構は,被告から公的年金に係る一連の運営事務を委任・委託された公共団体(国家賠償法1条1項)であり,機構の業務を分掌する年金事務所において職員が行っている保険料等の徴収事務に係る行為は,公共団体である機構の公権力の行使に当たるから,機構の職員の違法行為について被告が国家 賠償法上の責任を負う余地はない。この点を措いても,本件職員が,原告に対して,本件誓約書を作成するよう強要したことはない。 ⑻ 争点⑻(原告が年金事務所に領収証書をファックス送信するのに要した費用について民法485条ただし書が適用されるか否か)(原告の主張の要旨) 原告は,吹田年金事務所の職員から,未納保険料等を納付したときにはその領収証書をファックスで連絡するよう指示を受け,5年間にわたり毎月1回これを行ってきた。この連絡を行うために要する費用は1回当たり2000円であり,5年間で合計12万円を要した。この費用は,民法485条所定の「弁済の費用」に当たり,債権者である国によって増加させられたもの であるから,同条ただし書が適用される。 (被告の主張の要旨)原告が,滞納した保険料等を納付書により納付した際 「弁済の費用」に当たり,債権者である国によって増加させられたもの であるから,同条ただし書が適用される。 (被告の主張の要旨)原告が,滞納した保険料等を納付書により納付した際に吹田年金事務所にその領収証書をファックスで送信したことはあるが,それは吹田年金事務所の職員の指示によるものではなく,原告の申出によるものである。また,前記領収証書のファックス送信は平成26年8月から平成27年3月までの間 に6回行われたにすぎない。原告の主張する費用は民法485条所定の「弁済の費用」に当たらないし,債権者である国によって増加させられたものでもない。 ⑼ 争点⑼(過納保険料等を遡ってその納付された日の翌日から6箇月以内の期日に納付されるべき保険料等に充当しなかった事業管理課長の措置が違法 か否か)(原告の主張の要旨)ア健康保険法164条2項及び厚生年金保険法83条2項等によれば,事業管理課長は,遡って過納保険料等が発生した場合,これを当該過納保険料等が納付された日の翌日から6箇月以内の期日に納付されるべき保険料 等に充当すべきである(例えば,平成18年頃のある月に納付された保険料等が遡って過納となった場合,この過納保険料等を当該納付月の翌月に納付されるべき保険料等に充当すべきである。)。しかるに,事業管理課長は,これと異なる充当処理を行ったものであり,この処理は違法である。 イ厚生年金保険法83条等は同法89条等にいう「別段の規定」に当たる から,国税通則法57条等は準用されない。 (被告の主張の要旨)ア健康保険法164条2項及び厚生年金保険法83条2項は,通常の納付の過程で軽微な過誤納付が生じた場合に,一旦還付して再度納付を求めるという手間を省略するた 。 (被告の主張の要旨)ア健康保険法164条2項及び厚生年金保険法83条2項は,通常の納付の過程で軽微な過誤納付が生じた場合に,一旦還付して再度納付を求めるという手間を省略するため,将来6箇月以内の期日に納付されるべき保険 料等に充当することができる旨を定めた規定であり,過去に遡って保険料 等の額が減額となった場合に適用されることを想定したものではないと解される。この場合には,健康保険法183条及び厚生年金保険法89条において準用する国税通則法57条に基づき充当すべきであると解される。 よって,健康保険法164条2項及び厚生年金保険法83条等を適用しなかったことについて,国家賠償法上の違法はない。 イ国税通則法57条1項は,還付金等がある場合において,その還付を受けるべき者につき未納国税があるときは,還付金等を当該未納国税に充当しなければならない旨規定し,同条2項は,同条1項の規定による充当があった場合には,政令(国税通則法施行令23条1項)で定める「充当をするのに適することとなった時」(充当適状)に,その充当をした還付金 等に相当する額の国税の納付があったものとみなす旨規定する。そして,同項は,充当適状について,充当に係る国税の法定納期限と還付金等が生じた時とのいずれか遅い時である旨規定するところ,ここにいう還付金等が生じた時とは,減額更正処分があった時である。 また,国税通則法32条5項において準用する同法29条2項は,既に 確定した納付すべき税額を減少させる更正は,その更正により減少した税額に係る部分以外の部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない旨規定している。 前記各規定は,健康保険法183条及び厚生年金保険法89条において準 る更正は,その更正により減少した税額に係る部分以外の部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない旨規定している。 前記各規定は,健康保険法183条及び厚生年金保険法89条において準用されるから,本件において充当適状が生じ,過納保険料等に相当する 額の未納保険料等の納付があったものとみなされるのは,本件旧処分がされた時点であり,同時点までは,滞納保険料等に対する延滞金が発生していたものである。 したがって,原告の主張は理由がない。 第3 当裁判所の判断 1 争点⑴(本件義務付けの訴え①の適法性),同⑵(本件義務付けの訴え②の適 法性)について⑴ 本件義務付けの訴え①・②のうち各主位的請求に係る訴えは,いずれも行訴法3条6項1号のいわゆる非申請型の義務付けの訴えであるから,原告が義務付けを求める行為がされないことにより原告に重大な損害を生ずるおそれがあることが訴訟要件となる(行訴法37条の2第1項)。そして,この 重大な損害が生ずるか否かを判断するに当たっては,損害の回復の困難の程度を考慮し,損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案することとなる(同条2項)。 これを本件についてみると,原告の主張によれば,本件義務付けの訴え①・②において原告が義務付けを求める行為がされないことにより原告に生ずる おそれのある損害は,合計200万円の利益が得られなくなるという経済的な損害である上,この200万円の利益は,滞納した保険料等に係る延滞金支払義務が減少するというものであり,何らかの積極財産の増加をいうものではない。このような原告の主張する損害の性質及び程度からすれば,原告の主張する損害が事後的な金銭による回復が困難とはいえないから,本件義 務付けの訴え①・② 何らかの積極財産の増加をいうものではない。このような原告の主張する損害の性質及び程度からすれば,原告の主張する損害が事後的な金銭による回復が困難とはいえないから,本件義 務付けの訴え①・②において原告が義務付けを求める行為がされないことにより原告に重大な損害が生ずるおそれがあるとはいえない。 そうすると,本件義務付けの訴え①・②のうち各主位的請求に係る訴えは,いずれも訴訟要件を欠くため不適法である。 ⑵ 本件義務付けの訴え①・②のうち各予備的請求に係る訴えは,通常の民事 訴訟として延滞金及び保険料等の額の再計算の義務付けを求めるものであるが,そのような形成の訴えを認める規定はないから,いずれも不適法である。 2 争点⑶(本件確認の訴えの適法性)について確認の利益は,判決をもって法律関係の存否等を確定することが,その法律関係に関する法律上の紛争を解決し,当事者の法律上の地位ないし利益が害さ れる危険を除去するために必要,適切である場合に認められる。しかるに,被 告は,飽くまで本件納入告知に基づく保険料等に係る延滞金の納付を求めているのであって,本件誓約書に記載された内容の合意に基づいて金員の支払を求めているものではないから,本件誓約書が有効であるか否かを確定することが,原告の法律上の地位ないし利益が害される危険を除去するために必要であるとも適切であるともいうことができない。 したがって,本件確認の訴えは,確認の利益を欠くもので,不適法である。 3 争点⑷(事業管理課長が超過保険料等のうち60万4664円につき違法な充当処理をしたか否か)について原告は,事業管理課長が平成27年6月22日付けで原告に対して通知した「納入告知書不発行通知書」では,同年5月分に充当整理した後の超過保険料 等の つき違法な充当処理をしたか否か)について原告は,事業管理課長が平成27年6月22日付けで原告に対して通知した「納入告知書不発行通知書」では,同年5月分に充当整理した後の超過保険料 等の額が327万6270円とされているのに対し,事業管理課長が同年7月22日付けで原告に対して通知した「過誤納額還付通知書」では,還付金額が267万1606円となっており,前記各金額の差額である60万4664円は,事業管理課長が,当時の原告の未納保険料等及び延滞金に充当したものであると主張する。 しかしながら,前記前提事実⑶によれば,超過保険料等は,過去に納入の告知をした保険料等の額(納付された保険料等の額ではなく,納付義務があると定められた額である。)と,変更後の標準報酬月額を基に算出される保険料等の額との差額を各納付対象月について算出し,積算したものである。他方,還付金は,原告が保険料等を納付した納付対象月についてのみ生じ,原告が保険 料等を納付しなかった納付対象月については生じない。そこで,原告が保険料等を納付しなかった納付対象月については保険料等の納付義務が消滅したにとどまり,その消滅した額が60万4664円であったものである。 したがって,事業管理課長が原告の還付金60万4664円を違法に充当処理した事実は存在しないから,原告の前記主張は採用することができない。 4 争点⑸(本件納付は無効か否か)について 原告は,平成27年7月30日,本件職員から,本件過納金を還付する条件として本件納付を強要されたから,本件納付は無効であると主張する。 しかしながら,本件職員が原告に未納保険料等及び延滞金の納付を強要した事実を認めるに足りる客観的かつ的確な証拠はない。 したがって,原告の前記主張は採用すること ,本件納付は無効であると主張する。 しかしながら,本件職員が原告に未納保険料等及び延滞金の納付を強要した事実を認めるに足りる客観的かつ的確な証拠はない。 したがって,原告の前記主張は採用することができない。 5 争点⑹(被告における本件過納金に係る還付加算金又は民法704条前段所定の利息の支払義務の有無及びその額)について⑴ 本件過納金に対する国税通則法58条の適用等の可否について健康保険法183条は,保険料等は,健康保険法に別段の規定があるものを除き,国税徴収の例により徴収する旨を,厚生年金保険法89条は,保険 料その他厚生年金保険法の規定による徴収金は,同法に別段の規定があるものを除き,国税徴収の例により徴収する旨をそれぞれ規定するところ,還付は徴収とは性質を異にするものであるから,前記各規定により還付に関する国税通則法の規定が準用されると解することはできないし,これを類推適用すべき根拠も見当たらない(なお,充当に関する同法57条は,同法第5章 「国税の還付及び還付加算金」中の規定であるものの,還付請求権の根拠規定ではなく,還付請求権の存在を前提として,徴収の一方法として相殺類似の処理を認める規定であるから,準用されるものと解される。)。 したがって,被告が,国税通則法58条に基づき,過納保険料等に対する年7.3%の割合による還付加算金の支払義務を負う旨の原告の主張は採用 することができない。 ⑵ 本件過納金に対する民法703条及び704条前段の適用等の可否等についてア(ア) 適法に納付又は徴収が行われた保険料等について,国が保有する正当な理由がなくなった場合(ただし,健康保険法165条及び同法施行令 51条並びに健康保険法164条2項及び厚生年金保険法83条2項所 定の場合 れた保険料等について,国が保有する正当な理由がなくなった場合(ただし,健康保険法165条及び同法施行令 51条並びに健康保険法164条2項及び厚生年金保険法83条2項所 定の場合を除く。以下同じ。)に,当該保険料等の納付等を行った者に対して,いかなる要件,手続等に基づき当該保険料等の還付を行うべきか,また,当該還付に当たり,保険料等に対して利息等を付すべきか否かについて,健康保険法及び厚生年金保険法には,基本的な規定は設けられておらず,保険料等の還付を受ける権利が2年を経過したときには時効 によって消滅する旨(健康保険法193条1項,厚生年金保険法92条1項)が規定されているにとどまる。 そして,民法所定の不当利得の制度は,ある人の財産的利得が法律上の原因ないし正当な理由を欠く場合に,法律が,公平の観念に基づいて,受益者にその返還義務を負担させるものであるところ(最高裁昭和45 年(オ)第540号同49年9月26日第一小法廷判決・民集28巻6号1243頁参照),この不当利得返還請求に関する一般法理は,適法に納付又は徴収が行われた保険料等について,国が保有する正当な理由がなくなった場合にも妥当するものと考えられるから,当該場合に関しては,民法所定の不当利得の規定が適用されるものと解するのが相当で ある(なお,内閣総理大臣は,国民年金に係る過払保険料等を還付する制度の有無や創設の必要性等に関する質問主意書に対し,平成20年3月21日,「国民年金法及び厚生年金保険法(中略)において,法律上の根拠なく受領していたことが判明した保険料についての取扱いについて定めた規定は設けられていないが,このような保険料については民法上 の一般原則に基づき,不当利得として還付しているところであり,御指摘のような特別 ことが判明した保険料についての取扱いについて定めた規定は設けられていないが,このような保険料については民法上 の一般原則に基づき,不当利得として還付しているところであり,御指摘のような特別な制度を設ける必要はないものと考える。」との答弁をしているところである(乙2の1・2)。)。 以上の見地からは,当該場合に関して,公平の見地から悪意の受益者に利息を付して返還する義務を負わせた民法704条前段の規定が適用 されることもまた当然のことであって,当該規定の適用のみが排除され るべき合理的な理由も見当たらない。 (イ) これを本件についてみると,被告は,本件納入告知に基づき原告から保険料等の納付を受けていたのであるから,当該納付を受けた保険料等につき「法律上の原因」を有していたところ,前記前提事実⑷によれば,本件改定に伴って平成27年7月22日に保険料等を減額更正する処分 がされたこと(本件旧処分)によって,当該納付を受けた保険料等のうち267万1606円(本件過納金)の限度で「法律上の原因」を失ったものと認められる。そして,事業管理課長は,同日,自ら本件旧処分を行うとともに,原告に対し,267万1606円(本件過納金)を還付するので請求書により請求されたい旨を通知している(前記前提事実 ⑷)のであって,同日の時点で,267万1606円(本件過納金)につき「法律上の原因」を欠くことを知ったものであることも明らかであるから,被告は,同日の時点で,267万1606円(本件過納金)につき民法704条所定の「悪意の受益者」であったというべきである。 そうすると,原告は,平成27年7月22日,被告に対し,民法70 3条に基づく267万1606円(本件過納金)の不当利得返還請求権を取得するとともに,民法70 者」であったというべきである。 そうすると,原告は,平成27年7月22日,被告に対し,民法70 3条に基づく267万1606円(本件過納金)の不当利得返還請求権を取得するとともに,民法704条前段に基づく267万1606円に対する同日を起算日とする利息(民法404条所定の年5分の割合)の請求権を取得するに至ったものと認められる。 そして,被告は,平成27年8月26日,原告に対し,267万16 06円(本件過納金)を還付したから(前記前提事実⑸ウ),原告に対し,267万1606円に対する同年7月22日から同年8月26日までの間の民法所定の年5分の割合による利息1万3175円(267 万16 06 円×5%×36÷365=1 万3175 円。円未満切捨て。国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律2条1項)の支払義務を負うこととなる。 イ被告の主張に対する判断 (ア) 被告は,保険料等の還付は,保険料等の徴収手続という権力的な公法的手続の過程において生じたものであること,保険料等の還付を受ける権利は会計法31条が適用されることからすれば,保険料等の還付の法的性質は,公法上の不当利得たる性質を有するものと解され,私人間の経済的利害の調整を目的とする民法上の不当利得の性質を有するもので はない旨主張する。 確かに,保険料等の還付が,保険料等の徴収手続という権力的な公法的手続の過程において生じたという側面を有することは否定できないものの,そのような側面があるからといって,適法に納付又は徴収が行われた保険料等について,国が保有する正当な理由がなくなった場合に関 して,当然に民法所定の不当利得の規定の適用を否定すべきものとはならないというべきである。もちろん,当該場合に関して,保険料等に関し 料等について,国が保有する正当な理由がなくなった場合に関 して,当然に民法所定の不当利得の規定の適用を否定すべきものとはならないというべきである。もちろん,当該場合に関して,保険料等に関して定めた関係法令中で,民法所定の不当利得の規定とは別個の規定がされているときや,当該規定を適用することが,当該関係法令に照らして不合理であるときには,当該規定の適用は許されないものと考えられ る(例えば,保険料等の還付を受ける権利が2年を経過したときには時効によって消滅する旨の規定(健康保険法193条1項,厚生年金保険法92条1項)は,保険料等の還付を受ける権利に関しては,時効期間に関する民法の規定を排除する趣旨であることが明確であるから,当該規定を適用することは許されない。)ものの,このような事情が見当たら ないことは,前記ア(ア)において検討したところから明らかである。 したがって,被告の前記主張は採用することができない。 (イ) また,被告は,①保険料の前納について定める健康保険法165条には,前納した保険料の還付に当たって利息を付する旨の規定がなく,同法施行令51条1項は,前納に係る期間の経過前において任意継続被保 険者がその資格を喪失した場合,前納した保険料のうち未経過期間に係 るものを還付する旨規定し,その還付額を定める同条2項は,利息について何ら規定していないことや,②健康保険法164条2項及び厚生年金保険法83条2項が,過誤納保険料の元本のみを充当する規定となっていることなどから,健康保険法及び厚生年金保険法上,保険料の還付に当たって利息を付することは想定されていない旨主張する。 しかしながら,①健康保険法施行令51条1項は,前納に係る期間の経過前において任意継続被保険者がその資格 保険法上,保険料の還付に当たって利息を付することは想定されていない旨主張する。 しかしながら,①健康保険法施行令51条1項は,前納に係る期間の経過前において任意継続被保険者がその資格を喪失した場合,その者又は相続人の請求に基づき,前納した保険料のうち未経過期間に係るものを還付する旨規定し,同条2項は,この還付額は,任意継続被保険者の資格を喪失した時において当該未経過期間につき保険料を前納するもの とした場合におけるその前納すべき額に相当額とする旨規定し, ②健康保険法164条2項及び厚生年金保険法83条2項も,当該各条項所定の場合につき,過誤納保険料の元本のみを充当する規定となっているものの,これらの各規定が存することをもって,健康保険法及び同法施行令並びに厚生年金保険法が,適法に納付又は徴収が行われた保険料等に ついて,国が保有する正当な理由がなくなった場合一般に関して,保険料等の還付に当たって利息を付することを想定していないものと解することはできず,むしろ,当該各条項所定の場合に関して明文で利息を付さない旨の規定を置かなかったならば,民法704条前段に基づき「悪意の受益者」として利息を支払わなければならない結果となるからこそ, 利息を付さない旨の規定を設けたものとも考えられるところである。 したがって,被告の前記主張は採用することができない。 (ウ) そして,被告は,仮に,民法の不当利得に関する規定が適用されるとしても,原告は,約10年間にわたって報酬月額変更届の提出義務を怠り,変更前の報酬月額を前提とした保険料等を一部納付したり,債務を 承認したりしていたものであるから,民法705条の類推適用又は権利 の濫用により,原告が利息の支払を求めることは許されない旨主張する。 を前提とした保険料等を一部納付したり,債務を 承認したりしていたものであるから,民法705条の類推適用又は権利 の濫用により,原告が利息の支払を求めることは許されない旨主張する。 しかしながら,前記アのとおり,利息の始期は本件旧処分の効果として本件過納金が発生した日である平成27年7月22日であるから,被告の主張する事情をもって民法705条の類推適用や権利の濫用が基礎付けられることはないというべきである。 したがって,被告の前記主張は採用することができない。 (エ) さらに,被告は,仮に,保険料等の還付について民法704条が適用されるとしても,本件過納金は原告が報酬月額変更届の提出義務を怠ったことを原因として生じたものであり,被告は原告の誤った行為を解消するための負担を一方的に負うものであることなどからすると,本件通 知は,信義則上,弁済の提供(民法493条ただし書)に当たるというべきであるから,本件通知の後は法定利息が発生していない旨主張する。 しかしながら,そもそも,本件過納金の還付義務は持参債務であり(民法484条),債権者である原告においてその受領を拒んでいたとか,還付について原告の行為を要する(なお,原告による振込口座の指定が これに該当しないことは明らかである。)などという事情はうかがわれないから,いわゆる口頭の提供(同法493条ただし書)をもって有効な弁済の提供ということはできない。また,仮に口頭の提供で足りると解したとしても,前記前提事実⑷のとおり,本件通知は,請求書を作成して本件過納金の還付を請求するよう促すものにすぎないし,同⑸のと おり,原告が平成27年7月30日に本件過納金の還付を請求したのに対して,還付がされたのは約1箇月後の同年8月26日で を作成して本件過納金の還付を請求するよう促すものにすぎないし,同⑸のと おり,原告が平成27年7月30日に本件過納金の還付を請求したのに対して,還付がされたのは約1箇月後の同年8月26日であるから,本件通知が弁済の準備をした上でされたものとは認められず,本件通知は口頭の提供に当たらないことは明らかである。 したがって,被告の前記主張は採用することができない。 6 争点⑺(本件職員の原告に対する違法行為の有無及びこれに関する被告の国 家賠償法上の責任の有無)について原告は,本件職員が,平成27年7月30日,原告に対して,本件過納金を還付する条件として本件誓約書を書くように強要したとして,被告は,前記の本件職員の違法行為につき,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うと主張する。 しかしながら,本件職員が原告に対して本件誓約書を書くように強要した事実を認めるに足りる客観的かつ的確な証拠はない。 したがって,原告の前記主張は採用することができない。 7 争点⑻(原告が年金事務所に領収証書をファックス送信するのに要した費用について民法485条ただし書が適用されるか否か)について 原告は,吹田年金事務所の職員から,未納保険料等を納付したときにはその領収証書をファックスで連絡するよう指示を受け,5年間にわたり毎月1回これを行ってきたとして,これに要した費用合計12万円は民法485条所定の「弁済の費用」に当たる旨主張して,同条ただし書に基づき,当該費用の支払を請求する。 しかし,保険料等の領収証書を年金事務所にファックス送信することが保険料等の納付のために必要な行為であるとはいえないから,前記費用が民法485条所定の「弁済の費用」に当たるとはいえない。 したがっ しかし,保険料等の領収証書を年金事務所にファックス送信することが保険料等の納付のために必要な行為であるとはいえないから,前記費用が民法485条所定の「弁済の費用」に当たるとはいえない。 したがって,原告の前記主張は採用することができない。 8 争点⑼(過納保険料等を遡ってその納付された日の翌日から6箇月以内の期 日に納付されるべき保険料等に充当しなかった事業管理課長の措置が違法か否か)について⑴ 原告は,健康保険法164条2項等によれば,事業管理課長は,遡って過納保険料等が発生した場合,これを当該過納保険料等が納付された日の翌日から6箇月以内の期日に納付されるべき保険料等に充当すべきであるのに, これと異なる充当処理を行ったものであり,この処理は違法であると主張す る。 しかしながら,健康保険法164条2項及び厚生年金保険法83条2項(後者の規定は,児童手当法22条1項及び子ども・子育て支援法71条1項により児童手当拠出金について準用される。)は,保険者等(本件においては厚生労働大臣)は,納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべ き保険料額を超えていることを知ったとき,又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは,その超えている部分に関する納入の告知又は納付を,その納入の告知又は納付の日の翌日から6箇月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる旨を規定している。これは,保険者等の事 務上の便宜のために相殺に類する特別の措置を認める規定であり,前記各規定の要件を満たすからといって保険者等がこの措置を講ずべき義務を負うものではないと解される。 したがって,前記各規定の適用をいう原告の主張は,前 に相殺に類する特別の措置を認める規定であり,前記各規定の要件を満たすからといって保険者等がこの措置を講ずべき義務を負うものではないと解される。 したがって,前記各規定の適用をいう原告の主張は,前提を欠き,採用することができない。 ⑵ なお,本件においては,平成18年度から平成26年度までの長期間における標準報酬月額が本件改定により遡って減額されたものであるが,これによって,本件改定がされる前の標準報酬月額を基に算出された保険料等の納付が当然に無効となるものではなく(この点において,金銭消費貸借取引の借主が利息制限法所定の制限利率により計算した金額を超えて利息を支払っ た場合,その超過部分が当然に元本に充当されたり過払金となったりするのとは異なる。),事業管理課長が,本件旧処分において保険料等の額を遡って減額したことによって初めて,本件旧処分の効果として,対象となった期間の保険料等が減額され,これによって初めて過納保険料等が発生したものである。 原告の前記⑴の主張は,遡って過納保険料等が発生した場合,これを当該 過納保険料等が納付された日の後に納期が到来する保険料等に遡って充当すべきであるという趣旨のものであるから,本件改定がされる前の標準報酬月額を基に算出された保険料等の納付が,本件旧処分によって過納となったことによって当然に無効となったと解するのと同様に帰するものであって,この点からも採用することができない。 第4 結論よって,甲事件の訴えのうち,本件義務付けの訴え①・②に係る部分及び本件確認の訴えに係る部分はいずれも不適法であるから却下し,甲事件に係る原告の民法704条前段に基づく利息請求は1万3175円の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,甲事件に係る原告のその余 件確認の訴えに係る部分はいずれも不適法であるから却下し,甲事件に係る原告の民法704条前段に基づく利息請求は1万3175円の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,甲事件に係る原告のその余の請求並びに乙事 件及び丙事件に係る原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却し,仮執行宣言については,相当でないからこれを付さないこととして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官 三輪方大 裁判官 齋藤毅 裁判官 内藤陽子 別紙関係法令の定め 1 健康保険法⑴ 健康保険(3条2項に規定する日雇特例被保険者の保険を除く。)の保険者 は,全国健康保険協会(以下「協会」という。)及び健康保険組合である(4条)。協会は,健康保険組合の組合員でない被保険者の保険を管掌する(5条1項)。 被保険者とは,3条3項に規定する適用事業所(同項1号チは,物の販売又は配給の事業の事業所であって,常時5人以上の従業員を使用するものが適用 事業所に当たる旨を規定する。)に使用される者等をいう(同条1項本文)。 ⑵ 保険者等(被保険者が協会が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては厚生労働大臣。39条1項。以下同じ。)は,健康保険事業に要する費用に充てるため,保険料を徴収する(155条1項)。被保険者及び被保険者を使用する事業主は,それぞれ保険料額の2分の1を負担 あっては厚生労働大臣。39条1項。以下同じ。)は,健康保険事業に要する費用に充てるため,保険料を徴収する(155条1項)。被保険者及び被保険者を使用する事業主は,それぞれ保険料額の2分の1を負担し(3条4項に規定す る任意継続被保険者を除く。161条1項),事業主は,その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う(同条2項)。 協会が管掌する健康保険の保険料の徴収(任意継続被保険者に係るものを除く。)及びこれに附帯する業務は,厚生労働大臣が行う(5条2項)。 ⑶ 保険者等は,被保険者が毎年7月1日現に使用される事業所において,原則 として同日前3月間に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として,これに基づき,40条所定の等級区分によって標準報酬月額を決定する(41条1項)。この標準報酬月額は,その年の9月から翌年の8月までの各月の標準報酬月額とする(同条2項)。 保険者等は,被保険者が現に使用される事業所において継続した3月間(各 月とも,報酬支払の基礎となった日数が,17日以上でなければならない。) に受けた報酬の総額を3で除して得た額が,その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて,著しく高低を生じた場合において,必要があると認めるときは,その額を報酬月額として,その著しく高低を生じた月の翌月から,標準報酬月額を改定することができる(43条1項)。この規定によって改定された標準報酬月額は,その年の8月(7月から12月までのいずれかの月か ら改定されたものについては,翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする(同条2項)。 41条1項及び43条1項等の規定による標準報酬月額の決定又は改定についての厚生労働大臣の権限に係る事務は,機構に行わせる(204条 ては,翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする(同条2項)。 41条1項及び43条1項等の規定による標準報酬月額の決定又は改定についての厚生労働大臣の権限に係る事務は,機構に行わせる(204条1項5号)。 被保険者に関する保険料額は,各月につき,被保険者の標準報酬月額等に一 定の保険料率を乗じて得た額とする(156条1項,160条)。 ⑷ 被保険者に関する毎月の保険料額は,翌月末日までに納付しなければならない(3条4項に規定する任意継続被保険者を除く。164条1項)。 保険料を滞納する者があるときは,保険者等は,期限を指定して,これを督促しなければならない(172条の規定により納期前に保険料を全て徴収する 場合を除く。180条1項)。この督促をしたときは,保険者等は,徴収金額に,納期限の翌日から保険料完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ,当該納期限の翌日から3月を経過するまでの期間については年7.3%,それより後の期間については年14.6%の各割合を乗じて計算した延滞金を徴収する(ただし,一部の例外を除く。181条1項)。 ⑸ 保険者等は,被保険者に関する保険料の納入の告知をした後に告知をした保険料額が当該納付義務者の納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき,又は納付した被保険者に関する保険料額が当該納付義務者の納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは,その超えている部分に関する納入の告知又は納付を,その告知又は納付の日の翌日から6月以内の期日に納付されるべ き保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる(164条 2項)。 ⑹ 保険料等は,健康保険法に別段の規定があるものを除き,国税徴収の例により徴収する(183条)。 2 厚生年金保険法(平成2 り上げてしたものとみなすことができる(164条 2項)。 ⑹ 保険料等は,健康保険法に別段の規定があるものを除き,国税徴収の例により徴収する(183条)。 2 厚生年金保険法(平成24年法律第63号による改正前のもの。以下同じ。)⑴ 厚生年金保険は,政府が管掌し(2条),政府が管掌する厚生年金保険事業 に関することは,厚生労働省が所掌する(厚生労働省設置法4条1項98号)。 6条1項に規定する適用事業所(同項1号チは,物の販売又は配給の事業の事業所であって,常時5人以上の従業員を使用するものが適用事業所に当たる旨を規定する。)に使用される70歳未満の者は,厚生年金保険の被保険者とされる(9条)。 ⑵ 政府は,厚生年金保険事業に要する費用に充てるため,保険料を徴収する(81条1項)。被保険者及び被保険者を使用する事業主は,それぞれ保険料の半額を負担し(82条1項),事業主は,その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う(同条2項)。 ⑶ 厚生労働大臣は,被保険者が毎年7月1日現に使用される事業所において, 原則として同日前3月間に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として,これに基づき,20条所定の等級区分によって標準報酬月額を決定する(21条1項)。この標準報酬月額は,その年の9月から翌年の8月までの各月の標準報酬月額とする(同条2項)。 厚生労働大臣は,被保険者が現に使用される事業所において継続した3月間 (各月とも,報酬支払の基礎となった日数が,17日以上でなければならない。)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が,その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて,著しく高低を生じた場合において,必要があると認めるときは,その額を報酬月額として, なければならない。)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が,その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて,著しく高低を生じた場合において,必要があると認めるときは,その額を報酬月額として,その著しく高低を生じた月の翌月から,標準報酬月額を改定することができる(23条1項)。この規定によって改定 された標準報酬月額は,その年の8月(7月から12月までのいずれかの月か ら改定されたものについては,翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする(同条2項)。 21条1項及び23条1項等の規定による標準報酬月額の決定又は改定についての厚生労働大臣の権限に係る事務は,機構に行わせる(100条の4第1項4号)。 保険料は,被保険者期間の計算の基礎となる各月につき,徴収するものとし(81条2項),保険料額は,標準報酬月額等に保険料率を乗じて得た額とする(同条3項,4項)。 ⑷ 毎月の保険料は,翌月末日までに納付しなければならない(83条1項)。 保険料を滞納する者があるときは,厚生労働大臣は,期限を指定して,これ を督促しなければならない(85条の規定により納期前に保険料を全て徴収する場合を除く。86条1項)。この督促をしたときは,厚生労働大臣は,保険料額に,納期限の翌日から保険料完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ,当該納期限の翌日から3月を経過するまでの期間については年7. 3%,それより後の期間については年14.6%の各割合を乗じて計算した延 滞金を徴収する(ただし,一部の例外を除く。87条1項)。 ⑸ 厚生労働大臣は,納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき,又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知った 。 ⑸ 厚生労働大臣は,納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき,又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは,その超えている部分に関する納入の告知又は納付を,その納入の告知又は納付の日の翌日から 6箇月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる(83条2項)。 ⑹ 保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金は,同法に別段の規定があるものを除き,国税徴収の例により徴収する(89条)。 3 児童手当法(平成24年法律第67号による改正前のもの。以下同じ。) ⑴ 児童手当は,15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童 又は同児童を含む2人以上の児童を監護し,かつ,これと生計を同じくするその父又は母であって,日本国内に住所を有するもの等に支給する(4条1項)。 児童手当は,月を単位として支給するものとし,その額は,1月につき,所定の児童手当区の区分に応じて定める額とする(6条1項)。 ⑵ 被用者(厚生年金保険法82条1項(前記2⑵)に規定する事業主等が保険 料等を負担等する義務を負う被保険者等をいう。以下同じ。)に対する児童手当の支給に要する費用(3歳に満たない児童に係る児童手当の額に係る部分に限る。)は,その15分の7に相当する額を20条1項(後記⑶)に規定する拠出金をもって充て,その余を国庫,都道府県及び市町村がそれぞれ負担する(18条1項)。 ⑶ 政府は,被用者に対する児童手当の支給に要する費用(3歳に満たない児童に係る児童手当の額に係る部分に限る。)等に充てるため,厚生年金保険法82条1項(前記2⑵)に規定する事業主等から,拠出金を徴収し,前記事 被用者に対する児童手当の支給に要する費用(3歳に満たない児童に係る児童手当の額に係る部分に限る。)等に充てるため,厚生年金保険法82条1項(前記2⑵)に規定する事業主等から,拠出金を徴収し,前記事業主等は拠出金を納付する義務を負う(20条)。 ⑷ 拠出金の額は,厚生年金保険法に基づく保険料の計算の基礎となる標準報酬 月額等に所定の拠出金率を乗じて得た額の総額とする(21条)。 ⑸ 拠出金その他児童手当法の規定による徴収金の徴収については,厚生年金保険の保険料その他の徴収金の徴収の例による(22条1項)。 4 子ども・子育て支援法⑴ 子ども・子育て支援給付は,子どものための現金給付及び子供のための教育・ 保険給付とし(8条),子どものための現金給付は,児童手当法に規定する児童手当の支給とする(9条)。 子どものための現金給付については,別段の定めがあるものを除き,児童手当法の定めるところによる(10条)。 ⑵ 政府は,児童手当の支給に要する費用等に充てるため,厚生年金保険法82 条1項に規定する事業主から,拠出金を徴収する(69条1項)。 拠出金の額は,厚生年金保険法に基づく保険料の計算の基礎となる標準報酬月額等に拠出金率を乗じて得た額の総額とする(70条1項)。 ⑶ 拠出金の徴収については,厚生年金保険の保険料その他の徴収金の徴収の例による(71条1項)。

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