【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人小山隼太、同服部信也、同三島駿一郎の上告理由第一(上告人A1建 設
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人小山隼太、同服部信也、同三島駿一郎の上告理由第一(上告人A1建 設株式会社に関する部分)の一、(一)について。 論旨は、訴外DことEが上告人A1建設株式会社に対し本件建物階上部分の引渡 義務を履行しなかつたことにより、本件建物賃貸借契約の特約に基づき、右上告人 のDに対する所論保証金の返還請求権が発生したことを前提として、その返還義務 が、本件建物所有権の移転に伴い賃貸人の地位を承継した被上告人に承継される旨 主張するものであるが、すでに具体化した右返還義務が当然に被上告人に承継され る理由のないことは明らかであり、たとえ、右保証金が敷金の性質を有するとして も、敷金について右のような新賃貸人が承継するのは、いまだ返還義務の具体化し ない敷金についての権利義務関係にすぎないのであるから(最高裁昭和四三年(オ) 第四八三号同四四年七月一七日第一小法廷判決・民集二三巻八号一六一〇頁参照)、 その理は異ならない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。 同第一の一、(二)について。 本件保証金がたとえ敷金の性質を有し、そのため前示の意義における敷金につい ての権利義務関係が被上告人に承継されたとしても、敷金返還請求権は、賃貸借終 了後、建物が明け渡された時において、それまでに生じた延滞賃料や賃料相当損害 金などを控除した残額につき発生するものと解すべきところ(最高裁昭和四六年( オ)第三五七号同四八年二月二日第二小法廷判決)、原審の認定によれば、上告人 A1建設株式会社は被上告人に対して本件建物部分を明け渡していないことが明ら かであるから、いまだ本件保証金返還請求権は発生していないわけであり、したが - 1 - つて、この点 の認定によれば、上告人 A1建設株式会社は被上告人に対して本件建物部分を明け渡していないことが明ら かであるから、いまだ本件保証金返還請求権は発生していないわけであり、したが - 1 - つて、この点だけからいつても、右請求権をもつてした上告人の相殺は、その効力 を生ずるに由ないものといわなければならない。原判決に所論の違法はなく、論旨 は理由がない。 同第一の二について。 本件建物賃貸借契約におけるような所論の催告不要の特約は、契約を解除するに あたり催告をしなくてもあながち不合理とは認められない事情がある場合に、催告 を要しないで賃貸借契約を解除することができる旨を定めたものとして有効と解さ れることは、当裁判所の判例とするところである(昭和四二年(オ)第一一〇四号 同四三年一一月二一日第一小法廷判決・民集二二巻一二号二七四一頁)。原審の確 定するところによれば、上告人A1建設株式会社は、本件建物のうち被上告人が賃 貸人の地位を承継した一階部分につき、被上告人に対し一〇年以上の長期にわたり 全く賃料を支払つていない(その趣旨は、有効な供託をもしていないことを含むと 解される。)というのであるから、かような事情のもとでは、前記特約に基づき無 催告で解除権を行使することもあながち不合理とは認められず、被上告人のした本 件建物部分の賃貸借契約の解除を有効と解するに妨げない。原判決に所論の違法は なく、論旨は採用することができない。 同第二(上告人株式会社A2に関する部分)について。 所論は、すべて論旨第一の部分を援用するものであるから、すでに述べたところ に徴して、採用することができないことは明らかである。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、 主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判 ることができないことは明らかである。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、 主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 大 隅 健 一 郎 裁判官 藤 林 益 三 - 2 - 裁判官 下 田 武 三 裁判官 岸 盛 一 裁判官 岸 上 康 夫 - 3 -
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