主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人氏原瑞穂の上告受理申立て理由第二について 1 本件は,高知県内に事務所を有する権利能力なき社団である被上告人が,平成6年10月6日,高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号。以下「本件条例」という。)に基づき,同6年7月25日に実施された平成7年度高知県公立学校教員採用候補者選考審査のうちの教職教養筆記審査(県立学校関係)大問2(教育心理)の問題及び解答が記録された文書(以下「本件文書」という。)の開示を請求したところ,実施機関である上告人が同年10月18日付けで非開示決定をしたので,その取消しを求める事案である。 2 本件条例6条は,「実施機関は,次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については,開示をしないことができる。」とした上で,その8号において,「県の機関又は国等の機関が行う監査,検査,取締り,試験,入札,交渉,渉外,争訟その他の事務事業に関する情報であって,開示することにより,当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の実施の目的が失われ,又はこれらの事務事業の公正若しくは円滑な執行に著しい支障を生ずると認められるもの」と規定している。 3 原審は,本件文書は本件条例6条8号に該当する情報が記録されているものとはいえないとして,被上告人の請求を認容すべきものとした。 これに対し,論旨は,原審の上記判断には本件条例6条8号の解釈適用を誤った違法があるというのである。 4 しかしながら,【要旨】原審の適法に確定した事実関係等によれば,(1)- 1 -教職教養筆記審査の択一式問題の出題範囲及び傾向が予測されやすいのは,その解答形 違法があるというのである。 4 しかしながら,【要旨】原審の適法に確定した事実関係等によれば,(1)- 1 -教職教養筆記審査の択一式問題の出題範囲及び傾向が予測されやすいのは,その解答形式等からある程度やむを得ないことであり,受審者の間では,従来から,過去の教職教養筆記審査の出題例を編集した市販の問題集等を用いた受審準備が行われているのであるから,教職教養筆記審査の択一式問題とその解答が開示されたからといって,受審者の受審準備状況が変わり,教員にふさわしい受審者を採用することが困難になるとはいい難いこと,(2) 過去に出題された問題との重複を避け,審査にふさわしい問題を作成するという問題作成者の負担は,問題及び解答の開示の有無によって変化が生ずるものではないから,問題とその解答の開示により問題作成者の負担が増大し,問題作成者の確保が困難になるということはできないこと,(3) 本件条例には公文書の開示を受けた者に対して当該公文書に記録された情報の利用を具体的に制限する規定はなく,前記(1)の受審準備の状況等に照らせば,県内受審者と県外受審者との間に本件条例に基づく公文書の開示請求権の有無に差異があるからといって,これにより教員採用選考の公正又は円滑な執行に著しい支障を生ずるということはできないことという状況にあり,これらにかんがみれば,本件文書が本件条例6条8号に該当する情報が記録されているものとはいえないとした原審の判断は,是認することができる。論旨は採用することができない。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官亀山継夫裁判官福田博裁判官北川弘治裁判官梶谷玄裁判官滝井繁男)- 2 - 裁判長裁判官亀山継夫裁判官福田博裁判官北川弘治裁判官梶谷玄裁判官滝井繁男)- 2 -
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