平成18(行コ)103 各所得税納税告知処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)第8号,第10号)

裁判年月日・裁判所
平成18年12月13日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文9,725 文字)

- 1 -主文本件各控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1当事者の申立て 控訴人ら( )原判決を取り消す。 ( )被控訴人杉並税務署長が控訴人Aに対して平成15年7月8日付けでした 原判決別表1記載の平成12年2月分から平成14年12月分までの各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分(ただし,平成13年10月分及び平成14年1月分については平成15年11月26日付け異議決定により一部取り消された後のもの)及びこれに伴う不納付加算税の各賦課決定処分をいずれも取り消す。 ( )被控訴人武蔵野税務署長が控訴人株式会社Bに対して平成15年6月30 日付けでした原判決別表2記載の平成12年4月分から平成14年12月分までの各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及びこれに伴う不納付加算税の各賦課決定処分をいずれも取り消す。 ( )控訴費用は被控訴人らの負担とする。 被控訴人ら主文同旨第2事案の概要 事案の要旨,,本件は控訴人らがその各経営するパブクラブで使用する各ホステスに対しておおむね半月ごとに支給額を計算して報酬を支払っていたところ,当該報酬の額から,( )そのホステスが欠勤等をした場合に罰金と称して差し引かれること とされていたペナルティ金額,及び( )所得税法(昭和40年法律第33号, - 2 -以下「法」という)205条2号,同法施行令(昭和40年政令第96号,以。 下「施行令」という)322条所定の控除額として,そのホステスの実際の出。 勤日数にかかわらず,同条所定の5000円に上記計算期間として半月間の日数を乗じて算定した額を差し引いた残額に100分の10の税率を乗じて計算した金額を法204条1項6号205条2号の源泉徴収に 勤日数にかかわらず,同条所定の5000円に上記計算期間として半月間の日数を乗じて算定した額を差し引いた残額に100分の10の税率を乗じて計算した金額を法204条1項6号205条2号の源泉徴収に係る所得税額以下源,,(「泉所得税額」という)であるとして納付したのに対し,被控訴人らが,それぞ。 れ上記欠勤等に係るペナルティ金額については控除を認め,法205条2号,施行令322条に係る控除額については5000円にそのホステスの実際の出勤日数を乗じた額にとどまるとして,控訴人らに対し,上記納付額との差額分の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分をしたことから,控訴人らが異議申立て及び審査請求(なお,審査裁決において本件ペナルティ金額の控除は否定された)を経て,その取消し(控訴人Aについては異議決定により一部取り消され。 た後のものの取消し)を求める事案である。 。 原審は控訴人らの請求をいずれも棄却したので,控訴人らが控訴に及んだ。 法令等の定め,前提事実及び争点いずれも原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要」の1ないし3に記載のとおりであるからこれを引用する。 当審における当事者の補充主張(施行令322条の「当該支払金額の計算期間の日数」の意義の点について)( )控訴人ら 上記期間をホステスの実際の出勤日数とする被控訴人らの判断が適法な法解釈とはいえないことにつき,以下のとおり補足する。 ア所得税の源泉徴収方式は,申告納税方式及び賦課課税方式という租税債務の確定方式とは異なり,租税の自動確定を前提とし,この確定した租税の徴収方法に関する方式にすぎないと解すべきである。すなわち,源泉徴収義務者は源泉徴収の対象となる所得を支払うに当たっては所得税法等に定める各- 3 -種所得に応じた計算方法によって画一 した租税の徴収方法に関する方式にすぎないと解すべきである。すなわち,源泉徴収義務者は源泉徴収の対象となる所得を支払うに当たっては所得税法等に定める各- 3 -種所得に応じた計算方法によって画一的に徴収すべき税額を計算し,徴収・納付すれば足りるのであるから,ホステス報酬に係る源泉所得税額の計算も当然に画一的・機械的に計算できることが予定されていると解すべきである。 したがって,施行令322条にいう「当該支払金額の計算期間の日数」の意義は,各集計期間の全日数とする控訴人らの解釈こそが自動確定方式をとる源泉所得税の徴収方式の計算方式として妥当である。 これに対し,被控訴人らが主張するように「当該支払金額の計算期間の,日数」について「同一人に対して1回に支払われる金額の計算要素となった期間の日数」と解すべきものとすると,源泉徴収義務者は,各ホステスの勤務状況を逐一個別的に把握した上で(例えば,常勤者かどうか,欠勤があった場合にどうするか,拘束される日が何日であるか,拘束される日に欠勤した場合にどうするか,拘束される日に一部だけ出勤した場合にどうするか,時給計算の場合に午前0時をまたいで勤務した場合や1日の中途で一時帰宅し再度出勤した場合の出勤日数をどう処理するかなど,自らの責任と判断)の下に徴収すべき税額を計算しなければならないという多大な事務負担を課せられることになる。 また,画一的・自動的に確定すべき源泉所得税の計算の過程に,各ホステスと支払者との契約関係といった個別事情を考慮することは,源泉徴収制度が徴収方式としての性質を有することと相容れないものであって,源泉徴収制度の趣旨に反するものというべきである。 イ租税法の解釈に当たっては他の法律の解釈に比して一層文理解釈に徹すべしとの要請が強いものである。 そして,世間一般で理解さ 容れないものであって,源泉徴収制度の趣旨に反するものというべきである。 イ租税法の解釈に当たっては他の法律の解釈に比して一層文理解釈に徹すべしとの要請が強いものである。 そして,世間一般で理解されている「期間」の意義については「ある時点からある時点まで継続した時の区分」なのであり,また,租税法の中で「期」「」間の日数という文言が使用されている規定はいずれも当該期間の全日数- 4 -を意味しており,その一部の日数を意味しているものはない。したがって,法における「期間の日数」の意味からしても施行令322条の「当該支払金額の計算期間の日数」は当該期間の全日数と解すべきである。 ウまた,施行令322条の「計算期間」について報酬の算定要素となる業務上の拘束を受ける日(実際の出勤日)であるとすると,同条括弧書きの「当該期間」も同義と解することとなるはずである。 ところが,一般に雇用契約においては労働基準法所定の休日等を含めた一定期間の就労の対価として実際の稼働日数にかかわらず給与等を支給しているのであるから,当該期間を労働基準法所定の休日等を除いた実際の出勤日と解することはできず,結局,同一条項において同一の意義を有する文言として規定されているはずの当該支払金額の計算期間と当該期間の期「」「」「間」という文言を別異に解するほかないという不当な結論を招来することとなる。 また,その場合には,支払者が同一人に対してホステス報酬のほかに法28条1項の給与等を支払っている場合には,支払者による源泉徴収税額の計算方法は不明であり,実際は不可能というべきである。 エ所得税の確定税額は累進税率により計算するものとされているが,ホステス報酬に係る源泉徴収税額が定率の10パーセントで計算することとされているように,法は源泉徴収の段階で確 可能というべきである。 エ所得税の確定税額は累進税率により計算するものとされているが,ホステス報酬に係る源泉徴収税額が定率の10パーセントで計算することとされているように,法は源泉徴収の段階で確定的な税額に近い税額を源泉徴収税額として徴収することを予定していないのである。したがって,源泉徴収制度の一内容として設けられた基礎控除方式が源泉徴収の段階で確定的な税額に近い額を源泉徴収税額として徴収するために設けられた制度ではありえず,基礎控除方式は還付の手数を省くことがその趣旨であって,不足分の納税の可及的防止などというものが基礎控除の趣旨なのではない。また,仮に源泉徴収制度の趣旨として税収の確保の意義があるとしても,控訴人らの主張する計算方法であってもほとんどの場合にホステス報酬について源泉所得税額- 5 -が発生するから不都合はない。 オ源泉徴収における控除額と必要経費との間には何の関係もない。 施行令が定める控除額はいずれも低額であって,必要経費に近似するように定められているものでないことは明らかである。特に,ホステスの必要経費は1日5000円とされているがそれ自体いかにも少なく,また,ホステスの収入は本来個人差が大きいはずであるにもかかわらず一律にそうした低,,額にとどめたまま昭和50年度の税制改正以来一度も改正されていないがこの間の物価上昇を考えるとホステスの必要経費の額も相当増加しているはずであるのに,一度も控除額が引き上げられたことがないのは,実際の収入を何ら反映したものではないことを如実に示しており,控訴人の上記指摘の正当なことが明らかである。 ( )被控訴人ら 以下に補足するとおり,上記控除額算定の計算期間はホステスが実際に出勤した日数と解するのが正当である。 アホステス等の報酬等についての源泉徴収制度が設 なことが明らかである。 ( )被控訴人ら 以下に補足するとおり,上記控除額算定の計算期間はホステスが実際に出勤した日数と解するのが正当である。 アホステス等の報酬等についての源泉徴収制度が設けられた立法の経緯や立法趣旨,関係条文の規定ぶりなどからすれば,ホステス等の報酬等の源泉徴収の基礎控除額には経費的性格が認められる上,個々の具体的な基礎控除額を算定するに当たっても最終的に納付すべき所得税額と源泉徴収税額を近似させて両者の差額をなるべく大きくならないようにし,確定申告時において納付する税額をできるだけ減少させることが制度として予定されているのである。源泉徴収制度においては,確定申告時に納付する税額ができるだけ減少するように制度設計がされており,また,源泉徴収税額の算定上,一定の基礎控除額を控除する基礎控除方式も,確実な租税の徴収と納税者の便宜を図る源泉徴収制度を構成する仕組みの一つなのであるから,納税者が最終的に納付すべき所得税額と源泉徴収税額をなるべく近似させて両者の差額をなるべく大きくならないようにし,確定申告時に納- 6 -付する税額をできるだけ減少させることが予定されている。 イ法204条1項6号によってその報酬等について源泉徴収されるホステス等は,事業主と雇用関係にあって給与所得を得ているホステスとは異な,,り毎日毎日当該キャバレーなどにおいてホステスとして自ら事業を営みそれに対して報酬等を得ているのであり,その1日1日の業務の報酬等の一定期間における積み重ねについて源泉徴収を行うことが法204条1項6号の予定している源泉徴収というべきである。すなわち同号にいう「報酬又は料金」は,給与所得のように実際の拘束の有無にかかわりのない始期と終期が定まった支給期間における給与,俸給という観念ではなく,ホステスとし いる源泉徴収というべきである。すなわち同号にいう「報酬又は料金」は,給与所得のように実際の拘束の有無にかかわりのない始期と終期が定まった支給期間における給与,俸給という観念ではなく,ホステスとしての1日1日行った業務に対する報酬等であり,そ報酬等を積み上げていることしか観念できないものである。ホステス等の報酬等が1日1日の業務に係る事業収入の積み重ねである以上,その収入を得るための経費も,1日1日の業務に係る経費の積み重ねと解するのが合理的である。したがって,経費的性格を有する基礎控除額についても本来の必要経費の発生状況ないし態様と整合的に解釈すべきである。 ところが,ホステス等の報酬等が発生する余地のない日を基礎控除額の金額の計算の対象日とすることは,勤務しない日すなわち上記ホステス等の事業収入の発生根拠とならない日も基礎控除額の計算対象に盛り込むことを意味するから,ホステス等の経費の発生状況ないし態様とは合致しないばかりか,租税収入の確保の見地からも,課税の公平の観点からも極めて不合理であり,施行令322条の解釈適用を誤るものである。 ウ昭和42年の法改正時における立法資料によれば,確定申告によってはホステス等の報酬等について税収を確保することが困難であったことから,ホステス報酬等を含めた所得全般について公平な課税を図るために,ホステス等の報酬等について源泉徴収制度が設けられた経緯があるのである。したがって,源泉徴収税間の公平を図るためには,同種,同額の報酬- 7 -に対しては同額の源泉徴収額が予定されているというべきである。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,控訴人らの当審における主張及び新たな証拠を検討しても,施行令322条の「当該支払金額の計算期間の日数」は本件各集計期間のうち本件各ホステスの実際の出勤日数と解すべき 当裁判所の判断 当裁判所は,控訴人らの当審における主張及び新たな証拠を検討しても,施行令322条の「当該支払金額の計算期間の日数」は本件各集計期間のうち本件各ホステスの実際の出勤日数と解すべきものであり,また,本件各ホステスの報酬に係る源泉所得税の課税対象金額の計算に当たっては,本件各ペナルティの額を控除すべきものではないと判断する。その理由は,次に控訴人らの当審における補充主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」の「第3争点に対する判断」の1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決15頁14行目冒頭から末行末尾までを削る。 。) 控訴人らの当審における補充主張に対する判断( )控訴人らは,ホステス報酬に係る源泉所得税額は当然に画一的・機械的に 計算できることが予定されていると解すべきであるから,施行令322条にいう「当該支払金額の計算期間の日数」の意義は各集計期間の全日数と解すべきであり,これを「同一人に対して1回に支払われる金額の計算要素となった期間の日数」と解すると,源泉徴収義務者は各ホステスの勤務状況を逐一個別的に把握してその責任と判断の下に徴収税額を計算しなければならないという大変な事務量を負担させられることになって不都合である旨主張する。 しかしながら,源泉徴収税額を画一的機械的に計算できることが望ましいことは明らかであるが,控訴人らの指摘する控訴人らと被控訴人らの税額計算方法における手間暇の違いは相対的なものにすぎない。すなわち,源泉徴収義務者は,源泉徴収税額を計算するに際しては,1時間当たりの報酬額を算出しなければならないのであるが,この報酬額の算定については,入店間もないホステスを除けば,本件各集計期間における本件各ホステスの指名個数等の合計を実際の出勤日数で除し は,1時間当たりの報酬額を算出しなければならないのであるが,この報酬額の算定については,入店間もないホステスを除けば,本件各集計期間における本件各ホステスの指名個数等の合計を実際の出勤日数で除して算出する必要があるのであるから,控訴人の主張する計算方式を採用しても,本件各集計期間における本件各ホステスの実際の出勤- 8 -日数を確定し把握する作業は避けることができないのである。したがって,施行令322条にいう「当該支払金額の計算期間の日数」の意義を控訴人らが主張するように各集計期間の全日数と解しても,また,被控訴人らが主張するように「同一人に対して1回に支払われる金額の計算要素となった期間の日数」と解しても,源泉徴収義務者の源泉所得税額の算定作業に看過し難い差異をもたらすものとは認めることができない。 なお,源泉所得税計算に当たり,各ホステスが支払者との間でどのような契約条件のもとに稼働する定めであるかを確定する必要があることは,その契約類型によって源泉徴収の内容が異なり得る(給与所得者としての源泉徴収となる場合もあり得るし,実際に稼働しない場合でも何らかの報酬が支払われる場。 ,,合なども想定し得るこれは源泉徴収義務者の経営形態の選択の問題であり本件の各ホステスとの関係も控訴人らがその業界やホステス等の業種の特殊性等を考慮し,自らの判断に基づきその選択権を行使した結果にすぎず,上記各法条の解釈には何ら関係のない事柄である)ことを考えても当然のことであ。 って,そのこと自体は何ら源泉徴収制度の趣旨に反するものではない。 したがって,控訴人らの上記主張は採用できない。 ,,,( )次に控訴人らは租税法の解釈に当たっては文理解釈に徹すべきであり 一般に理解されている「期間」の意義や租税法中の文言例に照らしても,施行令3 人らの上記主張は採用できない。 ,,,( )次に控訴人らは租税法の解釈に当たっては文理解釈に徹すべきであり 一般に理解されている「期間」の意義や租税法中の文言例に照らしても,施行令322条の「当該支払金額の計算期間の日数」は当該期間の全日数と解すべきである旨主張する。 ,,,しかし法令の解釈に当たり原則として文理解釈に徹すべきであるにせよ法令の文言を変動するあらゆる社会事象に余すところなく対応させることなど立法技術上不可能であるから,当該法令の趣旨・目的を十分に参酌した上で,その法令の文言の解釈を行うべきものであることは,一般に法令の解釈において基本的な遵守事項とされているのであり,このことは租税法令の解釈においても何ら異なるところはない。そして,法におけるホステス報酬等の源泉徴収- 9 -制度の趣旨・目的をも参酌した上で上記法条を解釈すれば,本件各集計期間のうち本件各ホステスの実際の出勤日数と解すべきことに合理性があることは前記引用に係る原判決説示のとおりである。なお,こうした解釈は「期間」と,いう文言から受ける印象からは外れるところがあるようにも感ぜられなくもな,。 いけれども上記の文理解釈の範囲を逸脱するようなものであるとはいえないしたがって,控訴人らの上記主張は採用できない。 ( )また,控訴人らは,施行令322条の計算期間の解釈について,同条の括 弧書きの中にある「当該期間」との「期間」の解釈の異同及びその解釈上の不都合を指摘する。 しかし,それらの各「期間」については同一の条文中にあるからといって当然に同一に解釈しなければならないものとはいえず,それぞれの趣旨・目的に照らして適正に解釈すべきものというべきであるから,上記本文と括弧書きの「」,期間の解釈の異同及びその解釈上の不都合を指摘する 同一に解釈しなければならないものとはいえず,それぞれの趣旨・目的に照らして適正に解釈すべきものというべきであるから,上記本文と括弧書きの「」,期間の解釈の異同及びその解釈上の不都合を指摘する点は合理性に乏しくいずれにせよ実際の出勤日数と解する被控訴人らの判断の正当であることを左右するものではない。 したがって,控訴人らの上記主張は採用できない。 ( )さらに,控訴人らは,法は源泉徴収段階で確定的な税額に近い税額を源泉 徴収税額として徴収することを予定しておらず,したがって,基礎控除方式は還付の手数を省くことがその趣旨であり,不足分の納税の防止を趣旨とするものではないのであるから,収入算定の基礎となる実際の出勤の有無は,上記計算期間とは関係しない旨主張する。 しかし,基礎控除方式が還付の手数を省く趣旨に出たものであることは明らかであるが,それにとどまるものではなく,そうした過大な源泉徴収を回避する一方で,徴税に困難を伴うことが多いホステス等の所得に対する税収の確保を図るとともに,源泉納税義務者に対しても申告等における煩雑さを避けるという納税の便宜にも配慮したものであることは,前記引用に係る原判決説示の- 10 -とおりである。したがって,そうした趣旨に照らせば,源泉徴収の段階では,来るべき確定申告の段階における確定的な税額の徴収は望むべくもないとはいえ,上記のような源泉徴収制度の趣旨・目的という制約の下で可能な範囲で確定的税額に少しでも近づくような計算を指向しているものであることは当然のことというべきである。控訴人らが指摘するように源泉徴収制度は確定した租税の徴収方法に関する方式にすぎず,また,その計算の方式には画一的要素が強いことを考慮しても,源泉徴収段階での税額計算がこれを確定的税額に近づける計算方法とはおよそ無関係であ 泉徴収制度は確定した租税の徴収方法に関する方式にすぎず,また,その計算の方式には画一的要素が強いことを考慮しても,源泉徴収段階での税額計算がこれを確定的税額に近づける計算方法とはおよそ無関係であるかのような主張は,ホステス等に対する申告納税方式が効を奏さなかった経緯等被控訴人らの指摘する昭和42年改正時における立法関係資料(乙24の1,3)を待つまでもなく,公平を旨とする徴税に関する法令の解釈の点からしても採用し得ないものというべきである。 したがって,控訴人らの上記主張は採用できない。 ( )また,控訴人らは,源泉徴収に際して控除額として定められた1日500 0円という金額がいずれも低額であり,特に個人差の大きいホステス報酬については昭和50年以来一度も改正されずに上記の低額にとどまっていることからみても,必要経費に近似するように定められているものとはいえないから,ホステス報酬の源泉徴収における上記控除額と必要経費との間には何の関係もないのであり,これがあるとして上記控除額算定の計算期間につき実際の出勤日数とするのは違法である旨主張する。 なるほど,上記控除額が低額であり長年にわたり据え置かれていることは控訴人らの主張のとおりであるけれども,その点は本質的な問題ではない。すなわち,ホステス等の職種の特殊性を踏まえた上で導入されたホステス等に対する源泉徴収制度が税収の確保を図る一方で還付の手数を省くという趣旨に出たものであり,また,必要経費には個人差が大きいことを考えれば,日額として定める控除額を最低限のものにとどめる立法方針を採ることはやむを得ないも- 11 -のとも考えられるのであって,そうした低額の定めがあるからといって,控除額が必要経費と関連しないものとして定められているなどとは解することはできない。 したがって,控訴 やむを得ないも- 11 -のとも考えられるのであって,そうした低額の定めがあるからといって,控除額が必要経費と関連しないものとして定められているなどとは解することはできない。 したがって,控訴人らの上記主張は採用できない。 ( )以上のとおりであり,控訴人らの当審における補充的主張はいずれもこれ を首肯するに足りる合理的根拠を見いだすことはできない。被控訴人らが採用した施行令322条にいう「計算期間」を本件各ホステスが実際に出勤した日の総数とする算定方法は,ホステス等の報酬に対する源泉徴収制度の趣旨・目的に合致し,関係法条の文理解釈にも反するものではないのであって,この点について被控訴人らの本件各処分に違法はないというべきである。 よって,控訴人らの本件各請求はいずれも理由がなく棄却すべきものであり,これと同旨の原判決は相当であって,本件各控訴はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第15民事部藤村啓裁判長裁判官佐藤陽一裁判官古久保正人裁判官

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