昭和36(オ)338 第三者異議

裁判年月日・裁判所
昭和39年3月6日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 福岡高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担よする。          理    由  上告代理人石田市郎の上告理由について。  原審の確定したところによれば、亡Dは

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判決文本文1,500 文字)

主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担よする。          理    由  上告代理人石田市郎の上告理由について。  原審の確定したところによれば、亡Dは昭和三三年六月一一日付遺言により本件 不動産をE外五名に遺贈し、右遺贈は同月一七日Dの死亡により効力を生じたが、 遺贈を原因とする所有権移転登記はなされなかつたこと、被上告人は、同年七月一 〇日Dの相続人の一人であるFに対する強制執行として、右相続人に代位し同人の ために本件不動産につき相続による持分(四分の一)取得の登記をなし、ついでF の取得した右持分に対する強制競売申立が登記簿に記入されたというのである。  ところで、不動産の所有者が右不動産を他人に贈与しても、その旨の登記手続を しない間は完全に排他性ある権利変動を生ぜず、所有者は全くの無権利者とはなら ないと解すべきところ(当裁判所昭和三一年(オ)一〇二二号、同三三年一〇月一 四日第三小法廷判決、集一二巻一四号三一一一頁参照)、遺贈は遺言によつて受遺 者に財産権を与える遺言者の意思表示にほかならず、遺言者の死亡を不確定期限と するものではあるが、意思表示によつて物権変動の効果を生ずる点においては贈与 と異なるところはないのであるから、遺贈が効力を生じた場合においても、遺贈を 原因とする所有権移転登記のなされない間は、完全に排他的な権利変動を生じない ものと解すべきである。そして、民法一七七条が広く物権の得喪変更について登記 をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由 はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記 をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。しかるときは、本件不 動産につき遺贈による移転登記のなされない間に、亡Dと法律上同一の地位にあ おいても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記 をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。しかるときは、本件不 動産につき遺贈による移転登記のなされない間に、亡Dと法律上同一の地位にある - 1 - Fに対する強制執行として、Fの前記持分に対する強制競売申立が登記簿に記入さ れた前記認定の事実関係のもとにおいては、競売中立をした被上告人は、前記Fの 本件不動産持分に対する差押債権者として民法一七七条にいう第三者に該当し、受 遺者は登記がなければ自己の所有権取得をもつて被上告人に対抗できないものと解 すべきであり、原判決認定のように競売申立記入登記後に遺言執行者が選任せられ ても、それは被上告人の前記第三者たる地位に影響を及ぼすものでないと解するの が相当である。  従つて、原審が、前記認定の事実に基づき、被上告人が民法一七七条の第三者に 該当し、受遺者は自己の所有権取得をもつて被上告人に対抗できないとした判断は 正当であり、所論は、独自の見解に立ち原判決を非難するに帰するものであつて、 採用できない。  よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと おり判決する。      最高裁判所第二小法廷          裁判長裁判官    奥   野   健   一             裁判官    山   田   作 之 助             裁判官    草   鹿   浅 之 介             裁判官    城   戸   芳   彦             裁判官    石   田   和   外 - 2 -

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