令和1(ワ)11673 差止請求等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年9月3日 東京地方裁判所
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令和3年9月3日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和元年(ワ)第11673号差止請求等請求事件口頭弁論終結日令和3年6月30日判決原告株式会社シーオーメディカル同訴訟代理人弁護士松繁三知代同伊与田美幸同平沼健太被告VIDAN株式会社 主文 1 被告は,原告に対し,2億0274万5063円及びうち1億0935万3310円に対する令和元年5月28日から,うち9339万1753円に対する同年10月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを10分し,その3を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 本判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙1被告商品目録記載1及び2の各女性用下着を譲渡し,引き渡し,又は譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。 2 被告は,別紙1被告商品目録記載1及び2の各女性用下着を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,2億0274万5063円及びこれに対する令和元年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,別紙2原告商品目録記載の女性用下着(以下「原告商品」という。)を販売する原告が,被告に対し,被告は,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されている原告商品の形態と実質的 1 本件は,別紙2原告商品目録記載の女性用下着(以下「原告商品」という。) を販売する原告が,被告に対し,被告は,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されている原告商品の形態と実質的に同一の別紙1被告商品目録記載1及び2の各女性用下着(以下,それぞれ「被告商品1」,「被告商品2」といい,これらを併せて「被告各商品」という。)を販売して,原告の商品と混同を生じさせ,かつ,原告商品の形態を模倣した被告各商品を販売したもの であり,これらの被告の行為は,不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号,3号の不正競争に該当すると主張して,不競法3条1項,2項に基づき,被告各商品の譲渡,引渡し及び譲渡又は引渡しのための展示の差止め並びに廃棄を求め(ただし,これらの請求は,被告の行為が不競法2条1項1号に該当することを理由とするものである。),不競法4条に基づき,2億 0274万5063円(不競法5条2項による損害額1億8431万3694円,弁護士費用相当額1843万1369円)及びこれに対する訴状送達日の翌日である令和元年5月28日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠(以下,書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者ア原告は,医薬品,医療機器,化粧品,美容健康器具等の企画開発,製造販売等を目的とする株式会社である。 イ被告は,健康食品,美容商材,衣料品等の企画,製造販売等を目的とする株式会社である。 (2) 原告商品の販売原告は,平成28年9月12日,「ふん 株式会社である。 イ被告は,健康食品,美容商材,衣料品等の企画,製造販売等を目的とする株式会社である。 (2) 原告商品の販売原告は,平成28年9月12日,「ふんわりルームブラ」の商品名で,女性が特に夜間の睡眠中に着用することを目的とするブラジャー(ナイトブラ) である原告商品の販売を開始した(甲3)。 (3) 被告各商品の販売ア被告は,平成30年10月頃から平成31年3月頃までの間,「Moriage(モリアージュ)加圧ブラ」の商品名で,被告商品1を販売した。 被告商品1には,S,M及びLの3つのサイズがあり,黒及び白の2色があった。 イ被告は,平成31年2月頃から更に改良した商品の販売を開始する令和元年9月頃までの間,前記アと同じ商品名で,被告商品1を改良した被告商品2を販売した。被告商品2には,S,M及びLの3つのサイズがあり,黒,白及びピンクの3色があった。 3 争点 (1) 不競法2条1項1号該当性(争点1)ア原告商品の形態が原告の商品等表示として周知であるか(争点1-1)イ原告商品の形態と被告各商品の形態が同一又は類似であるか(争点1-2)ウ被告各商品の販売が原告の商品と混同を生じさせるか(争点1-3) (2) 不競法2条1項3号該当性被告各商品が原告商品の形態を模倣したものか(争点2)(3) 損害の発生及びその額(争点3)(4) 差止め等の必要性(争点4) 4 争点に関する当事者の主張 (1) 争点1-1(原告商品の形態が原告の商品等表示として周知であるか)について(原告の主張)ア原告商品の形態原告商品の形態は,別紙2原告 する当事者の主張 (1) 争点1-1(原告商品の形態が原告の商品等表示として周知であるか)について(原告の主張)ア原告商品の形態原告商品の形態は,別紙2原告商品目録記載の写真のとおりであり,以 下の特徴を有する。 (ア) 通常のブラジャーやナイトブラと同様に,バストを覆うカップ部が存在し,カップ部材の表面側全体にレース生地が設けられ,胸元部分は胸元の谷間が見える程度にカットされており,カップ部内部には,外見上膨らみが認められるパッドが設けられている(以下「形態①」という。)。 (イ) カップ部から背部にかけて連結部が存在せず,肩紐を伴う伸縮性のある筒状の布で,バスト回りを覆っている(以下「形態②」という。)。 (ウ) カップ部材の表面側に設けられたレース生地は,アンダーバスト位置より約6cm長く伸びており,当該アンダーバスト下部のレース生地は,前部のカップ下のみならず,背部を含む胴回り全体に位置する(以下 「形態③」という。)。 (エ) カップ部の両端部に縫着され,肩紐の延長生地を含む3枚の生地が一体となった左右の前身頃が,カップ部分の両端をカバーしつつ,バストの下部を支えるようなアンダーバスト辺りの位置で,バスト中央部に向かって設けられており,当該前身頃は,カップ部材の両端から約5cm の箇所1点において,カップ部材に縫着されている(以下「形態④」という。)。 (オ) 前記(エ)の左右の前身頃は,バスト中央部において,ホックにより連結可能となっている(以下「形態⑤」という。)。 (カ) 前記(オ)の連結部分には,上下2か所のホックにより3段階で連結幅を 調節・変更できる部材が用いられている(以下「形態⑥」という。)。 (キ) カップ部表面側全体のレ 」という。)。 (カ) 前記(オ)の連結部分には,上下2か所のホックにより3段階で連結幅を 調節・変更できる部材が用いられている(以下「形態⑥」という。)。 (キ) カップ部表面側全体のレース生地は,カップ上部の端部がレースの波型となるよう,カップ部材から5mmないし1cmほど上部まで設けられている(以下「形態⑦」という。)。 イ原告商品の形態の周知商品等表示該当性 (ア) 原告商品の形態の特別顕著性 a 従来のナイトブラは,睡眠中のバストの動きを制御し,バストへの衝撃を防止し,バストの下垂を防ぐという機能を果たすため,伸縮性のある生地を用いてバスト全体を大きく包むことによりホールド力を高める形状のものが多く,デザイン性にあまり優れていなかった。これに対し,原告商品は,レース生地をカップ部材の表面側に用いるだ けでなく,アンダーバストから下にも設けており,デザイン性が高められている。また,胸元部分は,従来のナイトブラのようにバスト全体を大きく包むのではなく,胸元の谷間が見えるようにカットされており,ファッション性をより高める効果を上げている。 さらに,従来のナイトブラの多くは,原告商品と同様に,肩紐部を 伴う筒状のものであったが,原告商品は,肩紐部からカップ部材の側面に続く3枚の生地が流れるように縫い付けられ,アンダーバスト中央部の連結部分は,ホックを縦2段にとどめて幅を狭くしており,全体的なバランスを崩すことなくバストを包み込むように設計されている点において,デザイン性に優れ,極めて特徴的かつ独特の形態を有 していた。 b 被告は,商品形態が商品等表示となる要件として独自な意匠的特徴を有すること等が必要であるとした上で,原告商品が備える形態①ないし⑦について,それぞれに独自の意匠的特 態を有 していた。 b 被告は,商品形態が商品等表示となる要件として独自な意匠的特徴を有すること等が必要であるとした上で,原告商品が備える形態①ないし⑦について,それぞれに独自の意匠的特徴を見いだすことができず,これらの個別要素の集合体である原告商品全体の外観においても, 個別要素の特徴的配置を見いだすこともできないと主張する。 しかし,原告商品の形態が他の同種商品と識別し得る特徴を有するといえるか否かについては,個別要素を組み合わせた全体としての形態が上記特徴を有するか否かを検討することによって判断すべきであり,仮に各要素一つ一つがありふれた形態であったとしても,これら を全体として組み合わせた原告商品の形態が直ちに上記特徴を有さず ありふれたものであると判断されるわけではない。そして,被告が指摘する原告商品と同種の商品は,原告商品の各形態のうちの一部のみを備えているにすぎず,原告商品全体の形態と同一又は類似の商品は見当たらない。 したがって,被告が指摘する上記の商品の存在をもって,原告商品 の全体がありふれた形態であるということはできず,原告商品の特別顕著性が否定されるものではない。 c 被告は,睡眠時におけるバストの下垂や形状の崩れを防止しつつ同時にデザイン性を追求するというナイトブラという下着の性質上,その構成要素の形態の選択肢及び配置手法には機能から導かれる限界が あり,意匠的形態として同様なものにならざるを得ないと主張する。 しかし,原告商品が備える形態①ないし⑦は,全体としてはもとより,そのいずれについても,他の選択肢が存在することは明白であり,ナイトブラとしての機能上不可避な形態であるとはいえないから,被告が主張する点を理由として,原告商品の形態の特別顕著性が否定さ ,そのいずれについても,他の選択肢が存在することは明白であり,ナイトブラとしての機能上不可避な形態であるとはいえないから,被告が主張する点を理由として,原告商品の形態の特別顕著性が否定さ れるものではない。 d 以上のとおり,原告商品の形態は,これまでのナイトブラにはなかった独自のものであり,かつ,カップ部材の表面側にレース生地を設け,アンダーバストから下にレース生地を長めに設けるなど,需要者が求めていた高いデザイン性を備えたものであって,数ある選択肢の 中から全体としてこのような形態の組合せが選択されたものであるから,ナイトブラの機能と結びついた形態であるとはいえず,他の同種商品と識別し得る顕著な特徴を有するといえる。 (イ) 原告商品の形態の周知性a 原告は,平成28年9月12日に原告商品の販売を開始し,平成2 9年12月31日までの累計販売枚数は26万枚を超えた。原告商品 は,平成31年1月時点で,140万枚まで売上げを伸ばし,令和元年9月27日の時点で,インターネットショッピングモールであるAmazonにおいて,売れ筋ランキング1位を獲得していた(甲26)。 b 原告は,短期間のうちに原告商品の宣伝広告を大々的に繰り広げ, 原告商品の宣伝広告費として,平成28年に約1900万円を,平成29年に約4億1500万円を,平成30年に約13億8400万円をそれぞれ費やした(合計約18億1800万円)。 c 原告は,以下のとおり,原告商品の宣伝広告等を行い,需要者に対して,原告商品の特徴的形態を周知した。 (a) 平成30年2月以降,「InRed」(宝島社),「MORE」(集英社),「STORY」(光文社)等の女性ファッション雑誌において,原告商品の広告が掲載された。これらは,原告商品の商 (a) 平成30年2月以降,「InRed」(宝島社),「MORE」(集英社),「STORY」(光文社)等の女性ファッション雑誌において,原告商品の広告が掲載された。これらは,原告商品の商品名を特定し,原告商品の形態が一見して明らかに判別することができる写真とともに,「サイドから包み込むパワーネット」,「3 段ホックの特殊構造」等の特徴的形態に言及するものであった。 (b) 平成29年12月以降,全国において,原告商品のテレビCMが放送された。 (c) 原告代表者は,平成30年1月31日,インターネットオークションにおいて,俳優のHに受付業務を一日担当してもらえる権利を 落札したところ,この事実は,多数のインターネットニュース,テレビ報道,新聞等で取り上げられた。 そして,原告は,同年5月19日,ファッションビルであるSHIBUYA109において,Hが,来場者300人のバストサイズを測定し,原告商品のうち来場者に似合う色を提案するイベント (以下「本件イベント」という。)を実施したところ,約3000 人が会場を訪れ,本件イベントの様子がテレビ報道や雑誌等で取り上げられた。 (d) 原告は,平成30年5月14日から同月16日までの間,国際展示場である東京ビッグサイトにおいて開催され,7万6702人が来場した,美容関連商品の見本市「ビューティーワールドジャパン」 に出展し,原告商品を販売した。 また,原告は,同年10月15日から同月17日までの間,国際展示場であるインテックス大阪において開催され,2万4405人が来場した,美容関連商品の見本市「ビューティーワールドジャパンウェスト」に出展し,原告商品を販売した。 (e) 原告商品は,そのほかにも,女性ファッション雑誌「O 開催され,2万4405人が来場した,美容関連商品の見本市「ビューティーワールドジャパンウェスト」に出展し,原告商品を販売した。 (e) 原告商品は,そのほかにも,女性ファッション雑誌「Oggi」で取り上げられたり,「王様のブランチ」,「ヒルナンデス!」等のテレビ番組で取り上げられたりした。 さらに,原告は,通信販売の方法による販売に加えて,平成30年11月以降,百貨店である新宿マルイアネックス,心斎橋OPA 等に臨時店又は常設店を開設し,原告商品を販売した。また,原告商品は,平成28年10月から,国内トップクラスのマーケットシェアを誇る美容クリニックである湘南美容クリニックにおいても販売されている。 (f) そのほかに,原告のウェブサイトにおける動画,動画共有サイト であるYouTubeにおける広告,東京メトロ全線のトレインチャンネル(電車内に設置されたディスプレイによる電子広告)における動画,ファッションイベント「東京ガールズコレクション」への出展等を通じて,原告商品の宣伝広告が行われた。 d 原告商品は,平成29年時点において,ナイトブラの売上実績や人 気を比較した複数のウェブサイトにおいて,ランキングの上位に位置 し,おすすめの商品として紹介されていた。 また,原告商品は,平成28年10月から楽天市場において,平成29年11月からAmazonにおいて,それぞれ販売が開始され,いずれも,日本最大級のインターネットショッピングモールであって,「ナイトブラ」で検索すると,原告商品を含む商品が一覧表示される ことから,原告商品の形態は,ナイトブラに関心がある需要者の目に触れ,原告の出所を示すものとして需要者に広く認識されていたといえる。 e 原告商品は,前記aないしdのとおり,原告による様 る ことから,原告商品の形態は,ナイトブラに関心がある需要者の目に触れ,原告の出所を示すものとして需要者に広く認識されていたといえる。 e 原告商品は,前記aないしdのとおり,原告による様々な宣伝広告等を通じて需要者に広く認識され,少なくとも26万枚を超える販売 を達成した平成29年12月には周知性が確立し,被告商品1の販売が開始された平成30年10月においても周知性が確立していた。そして,このような周知性は,原告のその後の継続的な宣伝広告活動により,現在に至るまで維持され,むしろ更に高まったといえる。 ウ小括 以上によれば,原告商品の形態は,客観的に他の同種商品と識別し得る独特かつ顕著な特徴を有しており,原告を示すものとして需要者の間に広く認識されていると認められるから,原告の周知商品等表示であるといえる。 (被告の主張) ア原告商品の形態(ア) 商品の形態が「商品等表示」(不競法2条1項1号)に該当するためには,当該形態が,他の同種商品と比較して,需要者の感覚に端的に訴える独自の意匠的特徴を有し,需要者が一見して特定の営業主体の商品であることを理解することができる程度の識別力を備えたものであるこ とが必要である。 (イ) 原告は,原告商品が,カップ部材の表面側全体にレース生地が設けられており,カップ部内部に外見上膨らみが認められるパッドが設けられているなどという形態①を備えると主張する。 しかし,カップ部材の表面側にレース生地を設けることは,女性用下着の市場において,デザイン性を高めるための手段として一般的なもの であるし,レース生地の花模様の柄も,需要者を惹き付ける特徴的なものとはいえない上,無地の前身頃によ 地を設けることは,女性用下着の市場において,デザイン性を高めるための手段として一般的なもの であるし,レース生地の花模様の柄も,需要者を惹き付ける特徴的なものとはいえない上,無地の前身頃によりカップ部材のレース生地の3分の2以上が覆われているため,視認できる範囲は大きくない。 また,カップ部材の内部のパッドは,バストの外観上の膨らみを誇張する目的で,ブラジャーの市場において広く採用されており,特にナイ トブラの市場では,上記目的に加え,睡眠時のバストの形状の崩れや下垂を防止する目的から広く採用されている。 したがって,形態①は独自の意匠的特徴を有するものではなく,形態①から他の同種商品との識別機能が生ずるものではない。 (ウ) 原告は,原告商品が,カップ部から背部にかけて連結部が存在せず, 伸縮性のある筒状の布でバスト回りを覆うなどという形態②を備えると主張する。 しかし,肩紐をも構成する布でバスト回りを筒状に覆う形態は,原告商品の販売が開始される前から,他の同種商品において広く採用されていたものであり,このような形態が,睡眠時のバストの下垂や形状の崩 れを防ぎ,バストを保護することができることからすると,睡眠時のバストの状態を第一に考慮して設計すべきナイトブラの市場において,一般的に用いられるものであったといえる。 したがって,形態②は独自の意匠的特徴を有するものではなく,形態②から他の同種商品との識別機能が生ずるものではない。 (エ) 原告は,原告商品が,レース生地がアンダーバスト位置より約6cm 長く伸びており,当該アンダーバスト下部のレース生地が胴回り全体に位置するなどという形態③を備えると主張する。 しか 告は,原告商品が,レース生地がアンダーバスト位置より約6cm 長く伸びており,当該アンダーバスト下部のレース生地が胴回り全体に位置するなどという形態③を備えると主張する。 しかし,このような形態の商品は,原告商品の販売が開始される前から販売されていた。 したがって,形態③は独自の意匠的特徴を有するものではなく,形態 ③から他の同種商品との識別機能が生ずるものではない。 (オ) 原告は,原告商品が,肩紐の延長生地を含む3枚の生地が一体となった左右の前身頃が,カップ部分の両端をカバーしつつ,バストの下部を支えるようなアンダーバスト辺りの位置で,バスト中央部に向かって設けられているなどという形態④を備えると主張する。 しかし,肩紐部と左右の前身頃が一体となった生地がバスト中央部に向かって設けられた形態や,カップ部材の両端部付近に縫い付けられた左右の前身頃がバストを下から支えるようにバスト中央部に向かって設けられた形態は,原告商品の販売が開始される前から同種商品が販売されていた。 また,原告商品は,肩紐から前身頃にかけて3枚の異なる生地が設けられており,これと全く同じ商品は見当たらないが,この3枚の生地は,カップ部材とは別に設けられた前身頃の生地(1枚目),肩の負担軽減のために布製生地が採用された肩紐の生地(2枚目),両者の中間に縫い付けられた伸縮性を有する生地(3枚目)で構成されるところ,この ような構成を採用したのは,バスト中央部に設けられたホックにより前身頃の幅を調整することができるように,前身頃に伸縮性を保たせるという機能的な要請によるものであるから,意匠的な特徴を生じさせるものとはいえない。 したがって,形態④は独自の意匠的 前身頃の幅を調整することができるように,前身頃に伸縮性を保たせるという機能的な要請によるものであるから,意匠的な特徴を生じさせるものとはいえない。 したがって,形態④は独自の意匠的特徴を有するものではなく,形態 ④から他の同種商品との識別機能が生ずるものではない。 (カ) 原告は,原告商品が,左右の前身頃がバスト中央部においてホックにより連結可能となっているという形態⑤を備えると主張する。 しかし,原告商品の販売が開始される前から,前身頃がホックにより連結することができる同種商品は多数販売されており,前身頃を左右両脇においてホック等により連結することができる類似商品も販売されて いた。 したがって,形態⑤は独自の意匠的特徴を有するものではなく,形態⑤から他の同種商品との識別機能が生ずるものではない。 (キ) 原告は,原告商品が,左右の前身頃を連結する部分に上下2か所のホックにより3段階で連結幅を調節・変更できる部材が用いられていると いう形態⑥を備えると主張する。 しかし,原告商品の販売が開始される前から,連結する位置を3段階で調整することができるように設けられたホックは同種商品において広く採用されているし,ホックを設置する数の相違は下着の装着調整機能に由来するものであり,デザインとの関係で大きな違いを生むものでは ない。 したがって,形態⑥は独自の意匠的特徴を有するものではなく,形態⑥から他の同種商品との識別機能が生ずるものではない。 (ク) 原告は,原告商品が,カップ部材の表面側のレース生地がカップ部の上端部において波型となるように,カップ部材から上に5mmから1c mのところまであるという形態⑦を備 はない。 (ク) 原告は,原告商品が,カップ部材の表面側のレース生地がカップ部の上端部において波型となるように,カップ部材から上に5mmから1c mのところまであるという形態⑦を備えると主張する。 しかし,原告商品の販売が開始される前から,カップ部の上端部にレース生地が設けられた同種商品が販売されており,原告商品は,レース生地がカップ部材よりもわずかに上部まで設けられているにすぎないから,需要者の注意を惹き付ける特徴的なものとはいえない。 したがって,形態⑦は独自の意匠的特徴を有するものではなく,形態 ⑦から他の同種商品との識別機能が生ずるものではない。 (ケ) 原告商品が備える形態①ないし⑦は,上記のとおり,個別要素としてそれぞれに独自の意匠的特徴を見いだすことはできないし,個別要素の集合体である原告商品全体の外観においても意匠的特徴は見られない。 そもそも,睡眠時におけるバストの下垂や形状の崩れを防止しつつ, 同時にデザイン性も追求したナイトブラという下着の性質上,その構成要素の形態の選択肢及び配置手法には限界があり,意匠的形態として同様なものにならざるを得ない。 したがって,原告商品の形態は,他の同種商品と識別し得る顕著な特徴を有するものではない。 イ原告商品の周知性(ア) 原告は,平成29年12月には原告商品の形態について原告の商品等表示としての周知性が確立したと主張するが,原告商品の販売が開始された平成28年9月から1年程度しか経過しておらず,そのような短期間のうちに原告商品の形態につき周知性が確立したとは考え難い。 (イ) 原告は,原告商品の宣伝広告のために多額の金銭を費やしたと主張す から1年程度しか経過しておらず,そのような短期間のうちに原告商品の形態につき周知性が確立したとは考え難い。 (イ) 原告は,原告商品の宣伝広告のために多額の金銭を費やしたと主張するが,具体的な宣伝広告の内容は不明である。 (ウ) 原告は,原告商品の広告等が各種女性ファッション雑誌に掲載されたと主張する。 しかし,上記雑誌においては,下着以外のカテゴリーの商品が多数掲 載され,原告商品に関するコメントはそれほど多くはない。また,原告商品がノンワイヤーで構成され,これにより着用時の締め付け感が軽減されつつ,胸部補正効果を併せ持つことが記載されるのみであり,原告が指摘する原告商品の形態については触れられていない。さらに,タレントがプライベートで使用する私物の一つとして,他の複数の商品とと もに原告商品が紹介されたにすぎない。 このように,上記広告等のほとんどが,原告が主張する原告商品の特徴的形態に一切言及しておらず,このような特徴的形態の周知性の確保に資するものではない。 (エ) 原告は,原告商品のテレビCMが放送されたり,原告商品がテレビ番組等で紹介されたり,本件イベントが各種メディアで取り上げられたり したと主張する。 しかし,それらは,いずれも,原告が主張する原告商品の特徴的形態の周知性に直ちに結びつくような内容ではないし,テレビ番組での紹介も,本件イベントの話題性に着目した内容であり,原告商品そのものに着目したものではなく,殊更に原告商品の形態が紹介されたという事情 もないから,上記テレビCM等により,原告商品の特徴的形態が広く認識されるに至ったとはいえない。 (オ) 原告は,原告商品が「ビューティーワールドジャパン」 態が紹介されたという事情 もないから,上記テレビCM等により,原告商品の特徴的形態が広く認識されるに至ったとはいえない。 (オ) 原告は,原告商品が「ビューティーワールドジャパン」等の見本市において販売されたと主張するが,これらにおいて原告商品の特徴的形態が周知されたことはうかがえない。 (カ) 原告は,原告商品がナイトブラのおすすめランキングの上位に位置し,楽天市場やAmazonにおいて販売されていたと主張する。 しかし,それらは「ナイトブラ」という限定されたカテゴリーにおけるランキングにすぎず,需要者はより広いブラジャーというカテゴリーも参照すると考えられるが,そのカテゴリーにおいても原告商品がラン キングの上位にあったのかは不明である。また,インターネットショッピングモールにおいて「ナイトブラ」で検索すると,関連する商品の一覧が表示され,原告商品はこれら複数の商品の一つとして掲載されるにすぎないし,需要者が商品を検索する際,商品の価格やレビューの件数,送料の要否等様々な条件を付して検索することが通常であることからす ると,そのような条件で「ナイトブラ」で検索した場合に,必ずしも原 告商品が表示されるとは限らない。 (キ) 以上のとおり,原告が主張する宣伝広告等をもってしても,原告商品の特徴的形態につき周知性が確立したと評価することはできない。 ウ小括以上によれば,原告商品の形態は,他の同種商品と比較して,需要者の 感覚に端的に訴える独自の意匠的特徴を有し,需要者が一見して原告の商品であることを理解することができる程度の識別力を備えているとはいえず,原告の商品であることを示すものとして需要者の間に広く認識されているともいえないから 意匠的特徴を有し,需要者が一見して原告の商品であることを理解することができる程度の識別力を備えているとはいえず,原告の商品であることを示すものとして需要者の間に広く認識されているともいえないから,原告商品の形態は,原告の商品等表示として周知であるとは認められない。 (2) 争点1-2(原告商品の形態と被告各商品の形態が同一又は類似であるか)について(原告の主張)ア被告商品1について被告商品1は,原告商品が備える形態①ないし⑦のほぼ全てを備え,前 身頃の最下部に位置する生地がレース生地であること,カップ部の中央に約2cmのリボンが付いていないことの2点のみが異なるところ,極めて微小な差異といわざるを得ず,全体的な形態の印象に変化をもたらすものではない。 したがって,原告商品と被告商品1は,実質的に同一の形態であるから, 同一の商品等表示が使用されているといえる。 イ被告商品2について被告商品2は,被告商品1と同様,原告商品が備える形態①ないし⑦のほぼ全てを備え,前身頃の最下部に位置する生地がレース生地であること,カップ部の中央に約2cmのリボンが付いていないこと,肩紐部及び背部 の生地がレース生地であること,ホックが3段階ではなく4段階であるこ との4点のみが異なり,極めて微小な差異といわざるを得ず,全体的な形態の印象に変化をもたらすものではない。 したがって,原告商品と被告商品2は,実質的に同一の形態であるから,同一の商品等表示が使用されているといえる。 (被告の主張) ア被告商品1について被告商品1は,左右の前身頃を構成する3枚の生地のうち最下部に位置する生地(カップ部分の両端をカ 示が使用されているといえる。 (被告の主張) ア被告商品1について被告商品1は,左右の前身頃を構成する3枚の生地のうち最下部に位置する生地(カップ部分の両端をカバーしつつ,バストの下部を支える生地)がレース生地であり,華やかな印象を与えるのに対し,原告商品は,これが無地であり,スポーティな印象を与える。 したがって,被告商品1は,原告商品の商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用するものではないというべきである。 イ被告商品2について被告商品2は,左右の前身頃を構成する3枚の生地のうち最下部に位置する生地(カップ部分の両端をカバーしつつ,バストの下部を支える生地) 及び肩紐部にレース生地が使用されており,全体に華やかな印象を与えるのに対し,原告商品は,レース生地がカップ部材及びアンダーバスト部分のみに使用され,その結果,無地の部分が強調されるため,スポーティな印象を与える。また,被告商品2の背部は全面的にレース生地で構成されており,前部と同じく,華やかで女性らしい印象を与えるデザインである のに対し,原告商品の背部は無地であり,スポーツブラや丈の短いタンクトップのようなスポーティな印象を与える。 したがって,被告商品2は,原告商品の商品等表示と同一又は類似する商品等表示を使用するものではないというべきである。 (3) 争点1-3(被告各商品の販売が原告の商品と混同を生じさせるか)につ いて (原告の主張)前記(2)(原告の主張)のとおり,原告商品の形態と被告各商品の形態は実質的に同一であり,実際,原告は,月1,2件の割合で,原告商品に関するカスタマーサービス宛てに,原告商品を購入したと勘違いをした 前記(2)(原告の主張)のとおり,原告商品の形態と被告各商品の形態は実質的に同一であり,実際,原告は,月1,2件の割合で,原告商品に関するカスタマーサービス宛てに,原告商品を購入したと勘違いをした被告各商品の購入者から,被告各商品の返品や交換を求める問合せを受けている。 原告商品と被告各商品とでカラーバリエーションやサイズバリエーションが異なるとしても,原告商品及び被告各商品には,いずれも商品名は記載されておらず,被告各商品を目にした需要者が,原告商品との差異を認識することができたとはいえない。また,原告商品及び被告各商品はいずれもインターネットを通じて販売されていたから,需要者がパッケージで商品を判断 するとは考えられない。 したがって,被告各商品の販売は,原告の商品と混同を生じさせるというべきである。 (被告の主張)被告各商品は,黒及び白の2色又は黒,白及びピンクの3色で,S,M及 びLの3つのサイズしかないのに対し,原告商品は,シフォンピンク,ラベンダー,アクアブルー,ミントグリーン,ホワイト,モカベージュ,ボルドー,ネイビー及びブラックの9色で,S〜M,M〜L,L〜LL,+S〜M,+M〜L,+L〜LLの6つのサイズがあり,カラーとサイズが豊富である。 また,被告商品1の商品名は,「Moriage加圧ブラ」であり,需要 者に対し,胸部矯正の印象を与えるのに対し,原告商品の商品名は,「ふんわりルームブラ」であり,柔らかで,自宅でも使用できる女性用下着という印象を与えるものである。 さらに,原告商品及び被告各商品の販売は,いずれもインターネットを通じたものを中心とするが,原告商品と被告各商品とでは,これらを販売する ウェブサイトの構成や写真の掲載方 のである。 さらに,原告商品及び被告各商品の販売は,いずれもインターネットを通じたものを中心とするが,原告商品と被告各商品とでは,これらを販売する ウェブサイトの構成や写真の掲載方法が著しく異なり,インターネットショ ッピングモールにおけるサムネイル画像や商品のパッケージも全く異なる。 したがって,被告各商品の販売は,原告の商品と混同を生じさせるものではない。 (4) 争点2(被告各商品が原告商品の形態を模倣したものか)について(原告の主張) ア前記(2)(原告の主張)のとおり,原告商品の形態と被告各商品の各形態とは酷似し,「実質的に同一」(不競法2条5項)であるといえ,また,原告商品はその販売開始当初から大々的に宣伝広告され,ナイトブラを販売する会社である被告は原告商品に接する機会があったはずであるから,被告各商品の各形態は原告商品の形態に「依拠」(同項)したものという べきである。 したがって,被告各商品は,原告商品の形態を模倣したものである(同条1項3号)。 イ被告は,原告商品の形態がありふれたものであると主張するが,前記(1)(原告の主張)イ(ア)bのとおり,他の同種商品は,原告商品の形態の特徴 の一部を有しているにすぎず,原告商品の形態を全体として観察した場合,その特徴の全てを有しているのは被告各商品のほかにないから,原告商品の形態がありふれているとはいえない。 (被告の主張)ア商品全体の形態が,他の同種商品と比べて何の特徴もないありふれた形 態である場合は,「商品の形態」(不競法2条1項3号)には当たらないというべきであり,ありふれた形態であるか否かは,商品を全体として観察して判断すべきである。 そして,前記(1)(被告の主張)アの 態である場合は,「商品の形態」(不競法2条1項3号)には当たらないというべきであり,ありふれた形態であるか否かは,商品を全体として観察して判断すべきである。 そして,前記(1)(被告の主張)アのとおり,原告商品の形態は,同種の商品と比べて何の特徴もなく,ナイトブラの市場においてありふれたもの といえるから,上記「商品の形態」には当たらない。 イまた,被告は,被告商品1を販売するに先立ち,複数のインターネットショッピングモールを確認したものの,原告商品を見つけることができず,原告商品が販売されていることすら認識していなかったから,原告商品の形態に「依拠」(不競法2条5項)したともいえない。 (5) 争点3(損害の発生及びその額)について (原告の主張)ア不競法5条2項の「利益の額」とは,被侵害者において既に商品開発を完了し,当該商品の製造販売を行っている場合,そのままの状態で製造販売することができる商品数の範囲内では,当該商品の売上額から仕入価格等の販売のための変動経費のみ控除した販売利益をいうと解すべきであり, 人件費や広告費等の非変動経費は控除されるべきではない。 イ被告作成に係る資料(甲54)には,被告商品1の売上額は1億5794万円,商品原価は2650万円,カード決済料金は552万7900円,送料原価は2650万円とあり,被告商品2の売上額は1億4254万5320円,商品原価は2873万7640円,カード決済料金は498万 9086円,送料原価は2391万7000円とある。上記商品原価,カード決済料金及び送料原価は,一応,販売枚数の増加に伴って増額される変動経費ということができる。 他方で,上記資料には広告費の記載があるが,それが真に被告各商品の宣 る。上記商品原価,カード決済料金及び送料原価は,一応,販売枚数の増加に伴って増額される変動経費ということができる。 他方で,上記資料には広告費の記載があるが,それが真に被告各商品の宣伝広告に使用されたことを裏付ける証拠もない上,そもそも広告費は非 変動経費というべきであり,限界利益を算定するに当たり,これを経費として控除するのは相当でない。また,人件費の記載があるが,人件費も非変動経費というべきであり,これを経費として控除するのは相当でない。 さらに,販売システム費用の記載があるが,何に要した費用であるかは明らかでないから,これを経費として控除することも相当でない。 ウしたがって,被告作成に係る資料を基にしても,被告は,被告商品1を 販売したことにより少なくとも9941万2100円(=1億5794万円-2650万円-552万7900円-2650万円)の,被告商品2を販売したことにより少なくとも8490万1594円(=1億4254万5320円-2873万7640円-498万9086円-2391万7000円)の各利益を得たので,これが原告の損害と推定される(不競 法5条2項)。 また,被告各商品が販売されたことによる弁護士費用相当の損害額は,上記各金額の1割に相当する994万1210円及び849万0159円と認めるべきである。 (被告の主張) 争う。 (6) 争点4(差止め等の必要性)について(原告の主張)被告が被告各商品を販売する行為は,不競法2条1項1号の不正競争に該当する。 原告商品と被告各商品は,いずれもナイトブラというブラジャーの中の特殊な分野に属するものであり,両者の需要者は完全に同一である。ナイトブラ 競法2条1項1号の不正競争に該当する。 原告商品と被告各商品は,いずれもナイトブラというブラジャーの中の特殊な分野に属するものであり,両者の需要者は完全に同一である。ナイトブラの市場がブラジャー全体の市場と比較すると小さいことからすると,需要者を完全に同じくする被告各商品の販売が継続されると,原告は,原告商品を販売する機会を確実に失い,営業上の利益が害される。 したがって,被告に対し,被告各商品を譲渡し,引き渡し,譲渡又は引渡しのために展示することを差し止め,これを廃棄させる必要性が認められる。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1-1(原告商品の形態が原告の商品等表示として周知であるか)につ いて(1) 認定事実証拠(甲3,4ないし15,23ないし26,28,29,31ないし40,43,44,47ないし49,53,乙1,2,6ないし10,12,13,15,16)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることが できる。 ア原告商品の形態について原告商品の形態は,別紙2原告商品目録記載の写真のとおりであり,以下の特徴を有する(甲49)。 (ア) 通常のブラジャーやナイトブラと同様に,バストを覆うカップ部が存 在し,カップ部材の表面側全体にレース生地が設けられ,胸元部分は胸元の谷間が見える程度にカットされており,カップ部内部には,外見上膨らみが認められるパッドが設けられている(形態①)。 (イ) カップ部から背部にかけて連結部が存在せず,肩紐を伴う伸縮性のある筒状の布で,バスト回りを覆っている(形態②)。 (ウ) カップ部材の表面側に設けられたレース生地は,アン (イ) カップ部から背部にかけて連結部が存在せず,肩紐を伴う伸縮性のある筒状の布で,バスト回りを覆っている(形態②)。 (ウ) カップ部材の表面側に設けられたレース生地は,アンダーバスト位置より約6cm長く伸びており,当該アンダーバスト下部のレース生地は,前部のカップ下のみならず,背部を含む胴回り全体に位置する(形態③)。 (エ) カップ部の両端部に縫着され,肩紐の延長生地を含む3枚の生地が一 体となった左右の前身頃が,カップ部分の両端をカバーしつつ,バストの下部を支えるようなアンダーバスト辺りの位置で,バスト中央部に向かって設けられており,当該前身頃は,カップ部材の両端から約5cmの箇所1点において,カップ部材に縫着されている(形態④)。 (オ) 前記(エ)の左右の前身頃は,バスト中央部において,ホックにより連結 可能となっている(形態⑤)。 (カ) 前記(オ)の連結部分には,上下2か所のホックにより3段階で連結幅を調節・変更できる部材が用いられている(形態⑥)。 (キ) カップ部表面側全体のレース生地は,カップ上部の端部がレースの波型となるよう,カップ部材から5mmないし1cmほど上部まで設けられている(形態⑦)。 イ原告商品に係る宣伝広告等について(ア) 原告は,平成28年9月12日に原告商品の販売を開始し,平成29年12月31日までに合計26万1742枚を販売した(甲3,53)。 (イ) 原告は,宣伝広告費として,平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に7688万0184円を,同年4月1日から平成29 年3月31日までの間に3億4769万7169円を,同年4月1日から平成30年3月31日までの間に9 月1日から平成28年3月31日までの間に7688万0184円を,同年4月1日から平成29 年3月31日までの間に3億4769万7169円を,同年4月1日から平成30年3月31日までの間に9億8694万5661円を,同年4月1日から平成31年3月31日までの間に18億8238万5233円をそれぞれ支出した(甲23)。 (ウ) 原告商品は,平成29年6月から平成31年3月までの間に,「In Red」,「MORE」,「STORY」,「Oggi」等の女性ファッション雑誌において取り上げられた(甲4,15)。 (エ) 原告は,平成29年12月12日から,原告商品に係るテレビCMを放送し,同CMに係る動画をYouTubeに投稿して公開した(甲28,29,弁論の全趣旨)。 (オ) 原告は,遅くとも平成29年頃から,湘南美容クリニックの各店舗において,原告商品を販売している(甲47,48,弁論の全趣旨)。 (カ) 原告代表者は,平成30年1月31日,ミーアンドスターズ株式会社が実施したインターネットオークションにおいて,俳優のHが1日受付業務を担当する権利を約2700万円で落札した(甲5,6)。 原告は,上記権利を利用し,原告商品を宣伝するために,同年5月1 9日,SHIBUYA109において,Hが,参加者のバストを測定し,当該参加者に合った原告商品のサイズや似合う色を提案するなどする「ふんわりルームブラバスト測定受付」と題する本件イベントを開催した。本件イベントにおいては,原告商品を着用したモデルが登場したり,参加者がその場で原告商品を購入したりすることができた。本件イベン トに参加するための整理券は約300人分用意されたが,この整理券を求めて,約3000人 ,原告商品を着用したモデルが登場したり,参加者がその場で原告商品を購入したりすることができた。本件イベン トに参加するための整理券は約300人分用意されたが,この整理券を求めて,約3000人が集まった。(甲7,8)上記オークション及び本件イベントの様子は,新聞,インターネット等の各種メディアで取り上げられた(甲5ないし12)。 (キ) 原告は,平成30年5月14日から同月16日までの間に東京ビッグ サイトにおいて開催された「ビューティーワールドジャパン」(来場者数7万6702名)及び同年10月15日から同月17日までの間にインテックス大阪において開催された「ビューティーワールドジャパンウェスト」(来場者数2万4405名)にそれぞれ出展し,原告商品を販売した(甲13,14,弁論の全趣旨)。 (ク) 原告は,被告商品1の販売が開始した平成30年10月以降も,東京メトロの電車内において原告商品に係る動画CMを流したり,新宿マルイアネックス,心斎橋OPA,マルイシティ横浜等に直営常設店を開設し,同各店において原告商品を販売したり,「東京ガールズコレクション」及び「ミラノ・コレクション」に出展し,原告商品を紹介したりし た(甲31ないし40)。 (ケ) 原告商品は,平成29年ないし平成31年頃,インターネット上で紹介された「ナイトブラ」のランキングで,1位又は2位を獲得した(甲24ないし26,43,44,弁論の全趣旨)。 ウ他の同種商品の形態について (ア) 原告商品の販売が開始された平成28年9月12日以前に,以下の形 態のブラジャー又はナイトブラが少なくとも販売されていた。 a 「ラディアンヌリフトアップ美胸ブラ」という商品名のブ 原告商品の販売が開始された平成28年9月12日以前に,以下の形 態のブラジャー又はナイトブラが少なくとも販売されていた。 a 「ラディアンヌリフトアップ美胸ブラ」という商品名のブラジャー(以下「商品A」という。)は,(ⅰ) バストを覆うカップ部が存在し,カップ部材の表面側全体にレース生地が設けられ,胸元部分は胸元の谷間が見える程度にカットされており,カップ部内部には,外見上膨 らみが認められるパッドが設けられ,(ⅱ) 左右の前身頃が,カップ部分の両端をカバーしつつ,バストの下部を支えるようなアンダーバスト辺りの位置で,バスト中央部に向かって設けられており,(ⅲ) 上記左右の前身頃は,バスト中央部において,ホックにより連結可能となっており,(ⅳ) 上記連結部分には,ホックにより3段階で連結幅を調 節・変更できる部材が用いられているものであり,原告商品が備える形態①及び④ないし⑥と同一又はそれに近い形態を備えていた(乙6)。 b 「ゆめふわブラ」という商品名のナイトブラ(以下「商品B」という。)は,(ⅰ) バストを覆うカップ部が存在し,胸元部分は胸元の谷 間が見える程度にカットされており,(ⅱ) カップ部から背部にかけて連結部が存在せず,伸縮性のある筒状の布で,バスト回りを覆っており,(ⅲ) 左右の前身頃が,バストの両端をカバーしつつ,バストの下部を支えるようなアンダーバスト辺りの位置で,バスト中央部に向かって設けられ,(ⅳ) 上記前身頃の連結部分には,上下2か所のホック により3段階で連結幅を調節・変更できる部材が用いられているものであり,原告商品が備える形態①,②,④及び⑥と同一又はそれに近い形態を備えていた(乙7)。 c 「AgeBraNEO」という商品名のブラジ 幅を調節・変更できる部材が用いられているものであり,原告商品が備える形態①,②,④及び⑥と同一又はそれに近い形態を備えていた(乙7)。 c 「AgeBraNEO」という商品名のブラジャー(以下「商品C」という。)は,(ⅰ) バストを覆うカップ部が存在し,カップ部材の表 面側全体にレース生地が設けられ,胸元部分は胸元の谷間が見える程 度にカットされており,カップ部内部には,外見上膨らみが認められるパッドが設けられ,(ⅱ) 左右の前身頃が,カップ部分の両端をカバーしつつ,バストの下部を支えるようなアンダーバスト辺りの位置で,バスト中央部に向かって設けられており,(ⅲ) 上記左右の前身頃は,バスト中央部において,ホックにより連結可能となっており,(ⅳ) 上 記連結部分には,ホックにより3段階で連結幅を調節・変更できる部材が用いられているものであり,原告商品が備える形態①及び④ないし⑥と同一又はそれに近い形態を備えていた(乙8)。 d 「リフトアップ谷間形成ブラ」という商品名のブラジャー(以下「商品D」という。)は,(ⅰ) バストを覆うカップ部が存在し,カッ プ部材の表面側全体にレース生地が設けられ,胸元部分は胸元の谷間が見える程度にカットされており,カップ部内部には,外見上膨らみが認められるパッドが設けられ,(ⅱ) 左右の前身頃が,カップ部分の両端をカバーしつつ,バストの下部を支えるようなアンダーバスト辺りの位置で,バスト中央部に向かって設けられており,(ⅲ) 上記左右 の前身頃は,バスト中央部において,ホックにより連結可能となっているものであり,原告商品が備える形態①,④及び⑤と同一又はそれに近い形態を備えていた(乙9)。 e 「夜寄るブラ」という商品名のナイトブラ(以下 部において,ホックにより連結可能となっているものであり,原告商品が備える形態①,④及び⑤と同一又はそれに近い形態を備えていた(乙9)。 e 「夜寄るブラ」という商品名のナイトブラ(以下「商品E」という。)は,(ⅰ) 胸元部分は胸元の谷間が見える程度にカットされてお り,(ⅱ) バストから背部にかけて連結部が存在せず,肩紐を伴う伸縮性のある筒状の布で,バスト回りを覆い,(ⅲ) アンダーバスト下部のレース生地が,胴回り全体に位置するものであり,原告商品が備える形態①ないし③と同一又はそれに近い形態を備えていた(乙10)。 f 「つけナイトブラプレミアム」という商品名のナイトブラ(以下 「商品F」という。)は,(ⅰ) バストを覆うカップ部が存在し,胸元 部分は胸元の谷間が見える程度にカットされており,(ⅱ) カップ部から背部にかけて連結部が存在せず,肩紐を伴う伸縮性のある筒状の布で,バスト回りを覆い,(ⅲ) 左右の前身頃が,カップ部分の両端をカバーしつつ,バストの下部を支えるようなアンダーバスト辺りの位置で,バスト中央部に向かって設けられ,(ⅳ) 上記前身頃の連結部分に は,上下2か所のホックにより3段階で連結幅を調節・変更できる部材が用いられているものであり,原告商品が備える形態①,②,④及び⑥と同一又はそれに近い形態を備えていた(乙12,13)。 g 「家事ブラ」という商品名のブラジャー(以下「商品G」という。)は,(ⅰ) バストを覆うカップ部が存在し,カップ部材の表面側全体に レース生地が設けられ,カップ部内部には,外見上膨らみが認められるパッドが設けられ,(ⅱ) カップ部から背部にかけて連結部が存在せず,肩紐を伴う伸縮性のある筒状の布で,バスト回りを覆い,(ⅲ) カ レース生地が設けられ,カップ部内部には,外見上膨らみが認められるパッドが設けられ,(ⅱ) カップ部から背部にかけて連結部が存在せず,肩紐を伴う伸縮性のある筒状の布で,バスト回りを覆い,(ⅲ) カップ部表面側全体のレース生地は,カップ上部の端部がレースの波型となるよう,カップ部材から上部に設けられているものであり,原告 商品が備える形態①,②及び⑦と同一又はそれに近い形態を備えていた(乙15,16)。 (イ) 令和元年7月頃に販売されていたブラジャー又はナイトブラには,(ⅰ) バストを覆うカップ部が存在し,カップ部材の表面側全体にレース生地が設けられ,胸元部分は胸元の谷間が見える程度にカットされてお り,カップ部内部には,外見上膨らみが認められるパッドが設けられたもの,(ⅱ) カップ部から背部にかけて連結部が存在せず,肩紐を伴う伸縮性のある筒状の布で,バスト回りを覆うもの,(ⅲ) アンダーバスト下部のレース生地が,胴回り全体に位置するもの,(ⅳ) 左右の前身頃が,カップ部分の両端をカバーしつつ,バストの下部を支えるようなアンダ ーバスト辺りの位置で,バスト中央部に向かって設けられているもの, (ⅴ) 左右の前身頃が,バスト中央部において,ホックにより連結可能となっているもの,(ⅵ) カップ部表面側全体のレース生地は,カップ上部の端部がレースの波型となるよう,カップ部材から上部に設けられているものといった,原告商品が備える形態①ないし⑤又は⑦と同一又はそれに近い形態を備えるものがあった(乙1,2)。 (2) 原告商品の形態の「商品等表示」(不競法2条1項1号)の該当性ア商品の形態と商品等表示該当性(ア) 不競法2条1項1号は,他人の周知な商品等表示と同一又は類似の商品等 (2) 原告商品の形態の「商品等表示」(不競法2条1項1号)の該当性ア商品の形態と商品等表示該当性(ア) 不競法2条1項1号は,他人の周知な商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用することをもって「不正競争」に該当すると定めたものであるところ,その趣旨は,周知な商品等表示の有する出所表示機能を 保護するため,周知な商品等表示に化体された他人の営業上の信用を自己のものと誤認混同させて顧客を獲得する行為を防止することにより,事業者間の公正な競争を確保することにある。 同号にいう「商品等表示」とは,「人の業務に係る氏名,商号,商標,標章,商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」 をいうところ,商品の形態は,「商標」等と異なり,本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではないが,商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有するに至る場合がある。そして,このように商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有し,不競法2条1項1号にいう「商品等表示」に該当するためには,その形態が 「商標」等と同程度に不競法による保護に値する出所表示機能を発揮し得ること,すなわち,① 商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性),かつ,② その形態が特定の事業者によって長期間独占的に利用され,又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により,需要者においてその形態を有する商品が特定 の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性) を要すると解するのが相当である。 (イ) 前記前提事実(2)のとおり,ナイトブラとは,特に夜間の睡眠中にバストに着用することを目的とするブラジャーであるところ,証拠(甲2 周知性) を要すると解するのが相当である。 (イ) 前記前提事実(2)のとおり,ナイトブラとは,特に夜間の睡眠中にバストに着用することを目的とするブラジャーであるところ,証拠(甲24ないし26,43,44)によれば,一般的に,ナイトブラも,通常のブラジャーと同じく,バストを包む形状をしており,ブラジャーの一類 型であることが認められる。そして,証拠(甲4)によれば,原告商品は,夜間の睡眠中のみならず,日中も着用することができると紹介されていることが認められ,夜間の睡眠中,通常のブラジャーを着用してはならないこと,反対に,日中,ナイトブラを着用してはならないことを認めるに足りる証拠はない。 そうすると,原告商品の商品等表示該当性を検討するに当たって,その判断の基準となる需要者は,ブラジャー又はナイトブラの購入に関心がある一般消費者であると認めるのが相当である。 イ特別顕著性について(ア) 前記(1)アのとおり,形態①ないし⑦を有する原告商品は,伸縮性のあ る布とカップ部により,バストを筒状に覆うとともに,カップ部の両端からバスト中央部に向かって設けられた左右の前身頃をバスト中央部で連結することにより,カップ部の両端を覆いつつ,バストを下から支える構造となっており(形態①,②及び④ないし⑥),また,カップ部の内部にパッドを設けた上,胸元の谷間が見える程度に胸元部分をカット し,カップ部やその上部,アンダーバストの下の胴回りにレース生地を設けて(形態①,③及び⑦),ファッション性を高めたナイトブラであるということができる。 しかし,形態①について,ブラジャーにレース生地を用いることや胸元の谷間が見えるように胸元部分がカットされていること,カップ部材 ョン性を高めたナイトブラであるということができる。 しかし,形態①について,ブラジャーにレース生地を用いることや胸元の谷間が見えるように胸元部分がカットされていること,カップ部材 の内部にパッドを設けることは,いずれもブラジャーが有するありふれ た形態といえるし,前記(1)ウ(ア)のとおり,原告商品の販売が開始される前から,形態①を備えるブラジャー又はナイトブラである商品AないしGが少なくとも販売されていた。 形態②は,ホックで連結する通常のブラジャーとは異なる形態ではあるが,前記(1)ウ(ア)のとおり,原告商品の販売が開始される前から,形 態②を備えるブラジャー又はナイトブラである商品B及びEないしGが少なくとも販売されていた。 形態③について,上記のとおり,ブラジャーにレース生地を用いること自体はありふれた形態であり,これをアンダーバストの下の胴回り全体に設けたとしても,需要者であるブラジャー又はナイトブラの購入に 関心がある一般消費者にとって,デザインのバリエーションのうちの一つと認識されることはあっても,出所の違いを識別する要素となるものとまではいい難いし,前記(1)ウ(ア)のとおり,原告商品の販売が開始される前から,形態③を備えるナイトブラである商品Eが少なくとも販売されていた。 形態④は,通常のブラジャーとは異なる形態といえるが,前記(1)ウ(ア)のとおり,原告商品の販売が開始される前から,形態④を備えるブラジャー又はナイトブラである商品AないしD及びFが少なくとも販売されており,このうち,商品A,C及びDは形態⑤を備え,商品AないしC及びFは形態⑥を備えていた。 形態⑦について,上記のとおり,ブラジャーにレース生地 D及びFが少なくとも販売されており,このうち,商品A,C及びDは形態⑤を備え,商品AないしC及びFは形態⑥を備えていた。 形態⑦について,上記のとおり,ブラジャーにレース生地を用いること自体はありふれた形態であり,これをカップ部の上端部に設けたとしても,需要者であるブラジャー又はナイトブラの購入に関心がある一般消費者にとって出所の違いを識別する要素となるとはいい難いし,前記(1)ウ(ア)のとおり,原告商品の販売が開始される前から,形態⑦を備え るブラジャーである商品Gが少なくとも販売されていた。 以上によれば,原告商品が備える形態①ないし⑦は,いずれも他の商品とは異なる顕著な特徴とは認められない。 (イ) 原告は,原告商品は形態①ないし⑦を組み合わせたものであり,原告商品全体の形態と同一又は類似の商品は見当たらないから,他の同種商品と識別し得る特徴を有すると主張する。 しかし,原告商品の販売が開始された当時,原告商品が備える形態①ないし⑦の全てを備えるブラジャー又はナイトブラが販売されていたことを認めるに足りる証拠はないものの,前記(1)ウ(ア)のとおり,形態①ないし⑦のうちの3つ又は4つを備える商品AないしGが存在していた。 そうすると,原告商品の販売開始時点では,既に,原告商品の形態に似 通った商品が複数販売されていたということができる。しかも,前記(ア)のとおり,原告商品の形態①ないし⑦は,いずれも他の商品とは異なる顕著な特徴とは認められないから,当該商品には認められないが原告商品には認められる形態上の特徴により,需要者であるブラジャー又はナイトブラの購入に関心がある一般消費者が出所の違いを識別することが できるとはいえない。そして,形態① には認められないが原告商品には認められる形態上の特徴により,需要者であるブラジャー又はナイトブラの購入に関心がある一般消費者が出所の違いを識別することが できるとはいえない。そして,形態①ないし⑦を組み合わせることにより上記需要者の注意を特に惹くことになる事情も見当たらないことからすると,形態①ないし⑦を組み合わせた原告商品の形態が他の同種の商品とは異なる顕著な特徴を有していると認めることはできない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 ウ周知性について前記(1)イ(ア)のとおり,原告商品は平成28年9月12日に販売が開始されたところ,原告商品の形態につき周知性が確立したと原告が主張する平成29年12月までに約1年4か月,被告商品1の販売が開始された平成30年10月まででも約2年1か月しか経過していない。そして,前記 (1)ウ(ア)のとおり,原告商品の販売が開始される前から,原告商品が備え る形態①ないし⑦のうち複数を有するブラジャー又はナイトブラが販売されており,原告商品の形態が原告によって長期間独占的に利用されたとは認められない。 また,前記(1)イのとおり,原告は,原告商品の販売開始以降,多大な宣伝広告費を費やし,雑誌,テレビCM,イベント等を通じて,集中的に原 告商品の宣伝広告を行い,平成29年12月31日までに原告商品を約26万枚販売し,平成29年ないし平成31年頃のナイトブラを対象としたランキングで1位又は2位を獲得しているが,他方,証拠(甲24ないし26,43,44,乙1の1,乙2,6ないし10,12,13,15,16)によれば,原告商品の販売が開始される前から,ナイトブラを含む 多種多様なブラジャーが販売され,それら 拠(甲24ないし26,43,44,乙1の1,乙2,6ないし10,12,13,15,16)によれば,原告商品の販売が開始される前から,ナイトブラを含む 多種多様なブラジャーが販売され,それらの商品に係る宣伝広告がされていたことが認められる。そして,本件全証拠によっても,上記の他のブラジャー又はナイトブラと比較して,原告が行った原告商品に係る宣伝広告が極めて強力であったとか,原告商品が爆発的に販売されたといった,需要者であるブラジャー又はナイトブラの購入に関心がある一般消費者によ り原告商品の形態が原告の出所を表示するものとして広く認識され得るような事情までは認められない。 さらに,前記(1)ウ(イ)のとおり,令和元年7月当時において,原告商品の形態が有する特徴のうち複数を有するブラジャー又はナイトブラが販売されていたことからすると,口頭弁論終結時においても,原告商品の形態 が長期間独占的に利用されたとは認められないし,原告が行った原告商品に係る宣伝広告が極めて強力であったり,爆発的に販売されたりしたといった,原告商品の形態が広く認識され得るような上記事情は認められない。 エ小括以上によれば,原告商品の形態が他の同種商品とは異なる顕著な特徴を 有しているとは認められず,需要者において原告商品の形態を有する商品 が原告を表示するものとして周知になっているとは認められないから,原告商品の形態は「商品等表示」(不競法2条1項1号)に該当するとは認められない。 したがって,その余の点を判断するまでもなく,被告が被告各商品を販売する行為が不競法2条1項1号に該当することを理由とする原告の差止 廃棄請求及び損害賠償請求はいずれも理由がない。 2 争点2(被告各商品が 余の点を判断するまでもなく,被告が被告各商品を販売する行為が不競法2条1項1号に該当することを理由とする原告の差止 廃棄請求及び損害賠償請求はいずれも理由がない。 2 争点2(被告各商品が原告商品の形態を模倣したものか)について(1) 認定事実被告各商品の形態について,証拠(甲50,51,乙3)によれば,以下の事実を認めることができる。 ア被告商品1について被告商品1の形態は,別紙1被告商品目録記載1の写真のとおりであり,原告商品が備える形態①ないし⑦を備え,(ⅰ) カップ部の中央に約2cmのリボンがない点(以下「相違点①」という。)及び(ⅱ) 左右の前身頃を構成する3枚の生地のうち最下部にある生地がレース生地からなる点(以 下「相違点②」という。)が原告商品と異なる(甲50)。 イ被告商品2について被告商品2の形態は,別紙1被告商品目録記載2の写真のとおりであり,原告商品が備える形態①ないし⑤及び⑦を備え,(ⅰ) カップ部の中央に約2cmのリボンがない点(以下「相違点③」という。),(ⅱ) 左右の前身 頃を構成する3枚の生地のうち最下部にある生地がレース生地からなる点(以下「相違点④」という。),(ⅲ) 肩紐部及び背部がレース生地からなる点(以下「相違点⑤」という。)及び(ⅳ) 左右の前身頃を連結するホックが上下2か所で4段階である点(以下「相違点⑥」という。)が原告商品と異なる(甲51,乙3)。 (2) 被告各商品が原告商品の「商品の形態」を「模倣した商品」(不競法2条1 項3号)に該当するかア商品の形態の実質的同一性「商品の形態」とは,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することがで 「模倣した商品」(不競法2条1 項3号)に該当するかア商品の形態の実質的同一性「商品の形態」とは,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいい(不競法2条4項),「模倣する」 とは,他人の商品の形態に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう(同条5項)。 そして,商品の形態を比較した場合,問題とされている商品の形態に他人の商品の形態と相違する部分があるとしても,当該相違部分についての改変の内容・程度,改変の着想の難易,改変が商品全体の形態に与える効 果等を総合的に判断した上で,その相違がわずかな改変に基づくものであって,商品の全体的形態に与える変化が乏しく,商品全体から見て些細な相違にとどまると評価されるときには,当該商品は他人の商品と実質的に同一の形態というべきである。 イ被告商品1について (ア) 前記(1)アのとおり,被告商品1は,原告商品が備える形態①ないし⑦を全て備え,別紙3比較写真目録記載の写真のとおり,全体的なデザインはほぼ同一であるといえる。 被告商品1と原告商品の間には相違点①が認められるが,別紙2原告商品目録記載の写真のとおり,原告商品のカップ部の中央に付けられた リボンはごく小さな装飾にすぎず,そのようなリボンを取り外すという改変については,その程度はわずかであり,着想することが困難であるとはいえず,商品全体の形態に与える効果もほとんどないといえる。 また,被告商品1と原告商品の間には相違点②が認められるが,別紙1被告商品目録記載1の写真のとおり,左右の前身頃を構成する3枚の 商品全体の形態に与える効果もほとんどないといえる。 また,被告商品1と原告商品の間には相違点②が認められるが,別紙1被告商品目録記載1の写真のとおり,左右の前身頃を構成する3枚の 生地のうち最下部にある生地が被告商品全体に占める面積はそれほど大 きいものではなく,他の部分の布地と同系色であってレース生地の存在が際立つものではない上,別紙3比較写真目録記載の写真のとおり,原告商品と被告商品1とで,ナイトブラとしての機能を成り立たせるパーツの形状及び構成は同一といってよいことからすると,相違点②は,需要者であるブラジャー又はナイトブラの購入に関心がある一般消費者に 対し,原告商品よりもレース生地が比較的多いという印象を与えるにとどまるから,被告商品1の上記部分をレース生地とすることが商品全体の形態に与える効果は小さいといえる。さらに,前記1(2)イのとおり,ブラジャーにレース生地を用いること自体ありふれた形態であり,上記部分を無地の生地からレース生地に置き換える着想が困難であるともい えない。 そうすると,相違点①及び②は,いずれもわずかな改変に基づくものであり,商品の全体的形態に与える変化は乏しく,商品全体から見て些細な相違にとどまるといえるから,被告商品1は原告商品と実質的に同一の形態であると認めるのが相当である。 (イ) 前記(ア)のとおり,被告商品1と原告商品は実質的に同一の形態であり,前記前提事実(2)及び(3)アのとおり,被告商品1の販売が開始された平成30年10月頃に先立つ平成28年9月12日に原告商品の販売が開始されているところ,本件全証拠によっても,被告が被告商品1を独自に開発したことをうかがわせる事情は認められないことからすると,被 告は原告商 に先立つ平成28年9月12日に原告商品の販売が開始されているところ,本件全証拠によっても,被告が被告商品1を独自に開発したことをうかがわせる事情は認められないことからすると,被 告は原告商品の形態に依拠して被告商品1を作り出したと推認するのが相当である。 (ウ) 以上によれば,被告商品1は,原告商品の「商品の形態」を「模倣した商品」であると認められる。 ウ被告商品2について (ア) 前記(1)イのとおり,被告商品2は,原告商品が備える形態①ないし⑤ 及び⑦を備え,別紙1被告商品目録記載2の写真と別紙2原告商品目録記載の写真を見比べても,全体的なデザインは酷似しているといえる。 被告商品2と原告商品の間には相違点③及び④が認められるが,相違点①及び②と同一であり,前記イ(ア)のとおり,これらは商品全体から見て些細な相違にとどまるというべきである。 また,被告商品2と原告商品の間には相違点⑤が認められるが,別紙1被告商品目録記載2の写真のとおり,被告商品2も,被告商品1と同様,レース生地の色合いが他の部分の布地と同系色であって,レース生地の存在が際立つものではなく,被告商品2では,被告商品1よりレース生地が多く用いられているものの,そのレース生地が肩紐部や背部と いった比較的注目することが多くないと考えられる部分に用いられており,一方で,同写真と別紙2原告商品目録記載の写真を見比べると,原告商品と被告商品2とで,ナイトブラとしての機能を成り立たせるパーツの形状及び構成はほぼ同一であるといえることからすると,この改変が商品全体の形態に与える効果は大きくないというべきである。さらに, 前記1(2)イのとおり,ブラジャーにレース生地を用いること自体あり 及び構成はほぼ同一であるといえることからすると,この改変が商品全体の形態に与える効果は大きくないというべきである。さらに, 前記1(2)イのとおり,ブラジャーにレース生地を用いること自体ありふれた形態であり,被告商品2の相違点⑤に係る部分を無地の生地からレース生地に置き換える着想が困難であるとはいえない。 被告商品2と原告商品の間には相違点⑥が認められるが,ホックが4段階であるか3段階であるかの違いにすぎず,ホックを連結する段階数 を増やすという改変を着想することは容易であり,そのような改変が商品全体の形態に与える効果は小さいといえる。 そうすると,相違点③ないし⑥は,いずれもわずかな改変に基づくものであり,商品の全体的形態に与える変化は大きくなく,商品全体から見て些細な相違にとどまるといえるから,被告商品2は原告商品と実質 的に同一の形態であると認めるのが相当である。 (イ) 前記(ア)のとおり,被告商品2と原告商品は実質的に同一の形態であり,前記前提事実(2)及び(3)イのとおり,被告商品2の販売が開始された平成31年2月頃に先立つ平成28年9月12日に原告商品の販売が開始されているところ,本件全証拠によっても,被告が被告商品2を独自に開発したことをうかがわせる事情は認められないことからすると,被告 は原告商品の形態に依拠して被告商品2を作り出したと推認するのが相当である。 (ウ) 以上によれば,被告商品2は,原告商品の「商品の形態」を「模倣」したものと認められる。 エ被告の主張について 被告は,① 原告商品の形態は,同種の商品と比べて何の特徴もなく,ナイトブラ市場においてありふれたものであるから,不競法2条1項3号により保護 。 エ被告の主張について 被告は,① 原告商品の形態は,同種の商品と比べて何の特徴もなく,ナイトブラ市場においてありふれたものであるから,不競法2条1項3号により保護される「商品の形態」に該当せず,② 被告は,被告商品1を販売するに先立ち,インターネットショッピングモールを確認したが,原告商品を見つけることはできず,原告商品が販売されていることを認識してい なかったから,被告各商品は原告商品に「依拠」したものではなく,被告の行為は同号の「模倣」に該当しないと主張する。 しかし,上記①について,前記1(1)ウのとおり,原告商品の形態が有する特徴の一部を有するブラジャー又はナイトブラが販売されていたものの,被告各商品のほかに,原告商品と実質的に同一の形態の商品が販売されて いたことを認めるに足りる証拠はなく,前記1(1)ウのとおり,むしろ,原告商品の発売が開始される前から,多種多様なブラジャー及びナイトブラが販売されており,その形態について多数の選択肢が存在していたといえることからすると,原告商品の形態が何の特徴もなくありふれているとは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 また,上記②について,前記1(1)イのとおり,原告は,原告商品の販売 開始以降,多大な宣伝広告費を費やし,雑誌,テレビCM,イベント等を通じて,原告商品の宣伝広告を行い,平成29年12月31日までに原告商品を約26万枚販売し,平成29年ないし平成31年頃のナイトブラを対象としたランキングで1位又は2位を獲得したことからすると,被告商品1の販売が開始された平成30年10月頃,原告の同業者である被告が インターネットショッピングモールを確認して原告商品を見つけることができなかった 1位又は2位を獲得したことからすると,被告商品1の販売が開始された平成30年10月頃,原告の同業者である被告が インターネットショッピングモールを確認して原告商品を見つけることができなかったとは考えられず,他に被告商品1の販売及びこれに続く被告商品2の販売に先立って,被告が原告商品を見つけることができなかったことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,被告の上記各主張はいずれも採用することができない。 オ小括以上によれば,被告各商品は,原告商品の「商品の形態」を「模倣した商品」であると認められるから,被告が被告各商品を販売する行為は,不競法2条1項3号の不正競争に該当する。 3 争点3(損害の発生及びその額)について (1) 不競法5条2項の侵害者が侵害行為により受けた利益の額は,侵害者の侵害品の売上高から,侵害者において侵害品を製造販売することによりその製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利益の額であると解するのが相当である。 辞任前の被告訴訟代理人が作成した一覧表(甲54)によれば,被告が被 告商品1を販売したことにより,1億5794万円の売上げがあり,商品原価として2650万円,カード決済料金として552万7900円及び送料原価として2650万円を要したこと,被告が被告商品2を販売したことにより,1億4254万5320円の売上げがあり,商品原価として2873万7640円,カード決済料金として498万9086円及び送料原価とし て2391万7000円を要したことが認められる。そして,弁論の全趣旨 によれば,上記の商品原価,カード決済料金及び送料原価は,いずれも被告各商品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費 2391万7000円を要したことが認められる。そして,弁論の全趣旨 によれば,上記の商品原価,カード決済料金及び送料原価は,いずれも被告各商品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費と認められる。 他方で,上記一覧表(甲54)には,被告商品1につき広告費として7320万5070円,人件費420万円及び販売システム費用789万7000円,被告商品2につき広告費として7063万0834円,人件費630 万円及び販売システム費用712万7266円を要したかのような記載がある。しかし,被告が上記広告費を支出してどのような内容の広告をしたのか,それが被告各商品に係るものであったかは,証拠上明らかではないし,上記人件費及び販売システム費用がいかなる目的で支出されたかも証拠上明らかでないから,これらの費用は,被告各商品の製造販売に直接関連して追加的 に必要となった経費とは認められない。 したがって,被告が被告商品1を販売したことによる利益の額は9941万2100円(=1億5794万円-2650万円-552万7900円-2650万円)であると,被告商品2を販売したことによる利益の額は8490万1594円(=1億4254万5320円-2873万7640円- 498万9086円-2391万7000円)であると,それぞれ認められる。 (2) 本件訴訟に現れた全ての事情を勘案すると,本件訴訟の弁護士費用相当の損害額は,被告商品1につき994万1210円,被告商品2につき849万0159円と認めるのが相当である。 (3) したがって,被告が被告各商品を販売したことにより原告が被った損害額は,合計2億0274万5063円である。 ところで,前記前提事実(3)アのとおり,被告商品1は平成3 (3) したがって,被告が被告各商品を販売したことにより原告が被った損害額は,合計2億0274万5063円である。 ところで,前記前提事実(3)アのとおり,被告商品1は平成31年3月頃に販売を終了しているから,上記損害額合計のうち被告商品1に係る部分(1億0935万3310円)については, 被告は訴状送達日の翌日である令和 元年5月28日までに履行遅滞に陥ったと認められる。 他方で,前記前提事実(3)イのとおり,被告商品2は,平成31年2月頃から令和元年9月頃までの間,販売されたところ,被告商品2に係る損害が,この間のいつ,いくら発生したかを確定する証拠はない。そこで,上記損害額合計のうち被告商品2に係る部分(9339万1753円)については,被告は遅くとも被告商品2の販売が終了した後である同年10月1日までに 履行遅滞に陥ったと認めるのが相当である。 第4 結論以上によれば,原告の請求は,被告に対して2億0274万5063円及びうち1億0935万3310円に対する令和元年5月28日から,うち9339万1753円に対する同年10月1日から各支払済みまで年5分の割合によ る金員の支払を求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないからいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。なお,仮執行免脱宣言は相当でないから,これを付さない。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 國分隆文 裁判官 小川暁 裁判官 矢野紀夫 (別紙1) 被告商品目録 1 商品名 Moriage(モリアージュ)加圧ブラ色黒,白サイズ S,M,L表面裏面 2 商品名 Moriage(モリアージュ)加圧ブラ色黒,白,ピンクサイズ S,M,L表面裏面 (別紙2) 原告商品目録 商品名ふんわりルームブラ (別紙3) 比較写真目録 左側:原告商品右側:被告商品1

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