- 1 -平成27年3月25日判決言渡平成23年(行ウ)第181号分限免職処分取消等請求事件 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 京都社会保険事務局長が平成21年12月25日付けで原告P1,同P2,同P3,同P4,同P5,同P6,同P7,同P8,同P9及び同P10に対してした各分限免職処分をいずれも取り消す。 2 社会保険庁長官が平成21年12月25日付けで原告P11及び同P12に対してした各分限免職処分をいずれも取り消す。 3 被告は,原告らに対し,各100万円及びこれに対する平成21年12月31日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要社会保険庁(以下「社保庁」という。)の職員として,京都社会保険事務局(以下,地方社会保険事務局を「社保局」という。)又はその管轄区域内の社会保険事務所(以下「社保事務所」という。)において勤務していた原告らは,平成22年1月1日に,日本年金機構法(以下「機構法」という。)に基づき日本年金機構(以下「機構」という。)が設立され,社保庁が廃止されたことに伴い,任命権者(処分権者)である社保庁長官又は京都社保局長(以下「社保庁長官等」という。)により,平成21年12月25日付けで,国家公務員法(以下「国公法」という。)78条4号(「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」)に基づき同月31日限りで分限免職する旨の各処分(以下「本件各処分」といい,各原告に対する処分を「本件処分」ともいう。)を受けた。 - 2 -本件は,原告らが,本件各処分は,国公法78条4号の要件に該当せず,仮に同号の要件に該当するとしても,民間における整理解雇4要件を満たしてい 分を「本件処分」ともいう。)を受けた。 - 2 -本件は,原告らが,本件各処分は,国公法78条4号の要件に該当せず,仮に同号の要件に該当するとしても,民間における整理解雇4要件を満たしていないから,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものであると主張して,本件各処分(ただし,人事院判定において分限免職処分が取り消された原告P13,同P14及び同P15(以下「原告P13ら3名」という。)に係るものを除く。)の取消しを求めるとともに,社保庁長官等が本件各処分をしたことが国家賠償法(以下「国賠法」という。)上の違法行為に該当すると主張して,被告に対し,同法1条1項に基づき,慰謝料各100万円及びこれに対する違法行為後の日である平成21年12月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 関係法令の定め本件に関係する法令の定めは,別紙2「関係法令の定め」のとおりである。 2 前提事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)(1) 当事者等ア原告らの官職原告らは,本件各処分当時,社保庁職員として,それぞれ下記の官職及び職務の級(行政職俸給表(一)におけるもの。以下同じ。)にあった。 記原告P1 京都社保局(以下省略)原告P2 京都社保局(以下省略)原告P3 舞鶴社保事務所(以下省略)原告P4 舞鶴社保事務所(以下省略)原告P13 京都南社保事務所(以下省略)原告P11 舞鶴社保事務所(以下省略)原告P14 京都社保局(以下省略)原告P12 京都南社保事務所(以下省略)- 3 -原告P5 京都社保局(以下省略)原告P6 上京社保事務所(以下省略)原告P15 上京社保事務所(以下省略)原告P7 京都社保局( P12 京都南社保事務所(以下省略)- 3 -原告P5 京都社保局(以下省略)原告P6 上京社保事務所(以下省略)原告P15 上京社保事務所(以下省略)原告P7 京都社保局(以下省略)原告P8 上京社保事務所(以下省略)原告P9 上京社保事務所(以下省略)原告P10 上京社保事務所(以下省略)イ原告らの任命権者(処分権者)社保庁は,厚生労働省(以下「厚労省」という。)の外局であり(厚労省設置法25条1項,国家行政組織法3条),社保庁職員であった原告らの任命権者(処分権者)は社保庁長官であった(国公法55条1項,61条)。 ただし,原告P11及び同P12を除く原告ら13名については,国公法55条2項に基づき,京都社保局長に任命権(処分権)が委任されていた。 (弁論の全趣旨)ウ原告らの懲戒処分歴原告らのうち,原告P3,同P4,同P11及び同P9(以下「原告P3ら4名」という。)には懲戒処分歴がなく,その余の原告P1以下11名(以下「原告P1ら11名」という。)には,次の懲戒処分歴がある。 (ア) 原告P1(乙B1の2)原告P1は,平成16年3月に合計3回,業務外の目的で被保険者の情報について閲覧を行ったこと(以下「業務外閲覧」という。)等を理由に,京都社保局長から,平成17年12月27日付けで,国公法82条1項1号及び2号に基づき,戒告の懲戒処分を受けた。 (イ) 原告P2(甲A214,B2の1,乙B2の2)- 4 -a 原告P2は,平成12年11月から平成17年1月までの間,社保庁長官の許可を得ることなく職員団体の業務に専ら従事し給与の支給を受け続けたこと(以下「無許可専従」という。)を理由に,京都社保局長から,平成20年9月3日付けで,国公法82条1項各号に基づき 保庁長官の許可を得ることなく職員団体の業務に専ら従事し給与の支給を受け続けたこと(以下「無許可専従」という。)を理由に,京都社保局長から,平成20年9月3日付けで,国公法82条1項各号に基づき,2か月間俸給の月額の10分の2を減給する懲戒処分を受けた。 b 原告P2は,上記懲戒処分の取消訴訟を提起したが,京都地方裁判所(以下「京都地裁」という。)は,平成23年9月28日,上記懲戒処分は適法であるとして,同原告の請求を棄却する旨の判決をした。 原告P2は,同判決に対して控訴及び上告をしたが,いずれも棄却された。 (ウ) 原告P13(甲A220,乙B5の2及び7)a 原告P13は,P16労働組合(以下「P16」という。)P17支部の支部長の立場にあった際,原告P2による無許可専従を惹起させたことを理由に,京都社保局長から,平成20年9月3日付けで,国公法82条1項1号に基づき,2か月間俸給の月額の10分の2を減給する懲戒処分を受けた。 b 原告P13は,上記懲戒処分について審査請求をし,人事院は,平成23年9月1日,原告P13が原告P2による無許可専従を惹起させた事実を認めるに足りる証拠はないとして,上記懲戒処分を取り消す旨の判定をした。 (エ) 原告P14(乙B7の2)原告P14は,平成16年1月及び同年3月に合計6回の業務外閲覧等を理由に,京都社保局長から,平成17年12月27日付けで,国公法82条1項1号及び2号に基づき,戒告の懲戒処分を受けた。 (オ) 原告P12(乙B8の2)原告P12は,自らに交付された業務カード(以下,単に「カード」- 5 -という。)の管理が不十分であったため(以下「カード管理懈怠」という。),平成16年7月に2回,同カードを使用して他の職員による業務外閲覧が行われたことなどを ド(以下,単に「カード」- 5 -という。)の管理が不十分であったため(以下「カード管理懈怠」という。),平成16年7月に2回,同カードを使用して他の職員による業務外閲覧が行われたことなどを理由に,社保庁長官から,平成17年12月27日付けで,国公法82条1項1号及び2号に基づき,1か月間俸給の月額の10分の1を減給する懲戒処分を受けた。 (カ) 原告P5(乙B9の2)原告P5は,カード管理懈怠により,平成16年8月及び同年9月に各1回,同カードを使用して他の職員による業務外閲覧が行われたことなどを理由に,京都社保局長から,平成17年12月27日付けで,国公法82条1項1号及び2号に基づき,1か月間俸給の月額の10分の1を減給する懲戒処分を受けた。 (キ) 原告P6(乙B10の2)原告P6は,カード管理懈怠により,平成16年4月及び同年10月に合計3回,同カードを使用して他の職員による業務外閲覧が行われたことなどを理由に,京都社保局長から,平成17年12月27日付けで,国公法82条1項1号及び2号に基づき,1か月間俸給の月額の10分の1を減給する懲戒処分を受けた。 (ク) 原告P15(乙A96,A100,B11の2)a 原告P15は,平成9年11月から平成12年10月までの間の無許可専従を理由に,京都社保局長から,平成21年7月31日付けで,国公法82条1項各号に基づき,2か月間俸給の月額の10分の2を減給する懲戒処分を受けた。 b 原告P15は,上記懲戒処分の取消訴訟を提起したが,大阪地方裁判所は,平成26年2月24日,上記懲戒処分は適法であるとして,同原告の請求を棄却する旨の判決をし,大阪高等裁判所(以下「大阪高裁」という。)は,同年10月1日,原告P15の控訴を棄却する- 6 -旨の判決をした。 24日,上記懲戒処分は適法であるとして,同原告の請求を棄却する旨の判決をし,大阪高等裁判所(以下「大阪高裁」という。)は,同年10月1日,原告P15の控訴を棄却する- 6 -旨の判決をした。 (ケ) 原告P7(乙B12の2及び8)原告P7は,平成20年12月の業務外閲覧(ただし,対象は元職員2名)等を理由に,京都社保局長から,平成21年3月11日付けで,国公法82条1項1号及び2号に基づき,戒告の懲戒処分を受けた。 (コ) 原告P8(乙B13の2)原告P8は,平成16年3月に1回の業務外閲覧等を理由に,京都社保局長から,平成17年12月27日付けで,国公法82条1項1号及び2号に基づき,戒告の懲戒処分を受けた。 (サ) 原告P10(甲B15の15,乙B15の2,原告P10本人)a 原告P10は,カード管理懈怠により,平成16年5月及び同年7月に各1回,同カードを使用して他の職員による業務外閲覧が行われたことなどを理由に,京都社保局長から,平成17年12月27日付けで,国公法82条1項1号及び2号に基づき,戒告の懲戒処分を受けた。 b 原告P10は,上記懲戒処分について審査請求をしたが,人事院は,平成20年7月29日,同処分を承認する旨の判定をした。 原告P10は,上記懲戒処分の取消訴訟を提起しなかった。 (2) 社保庁の廃止に至る経緯等ア社保庁においては,平成16年3月,国民年金保険料の未納情報等に関する個人情報の漏洩が疑われる事例が報道され,これをきっかけに,業務外閲覧をした社保庁職員が多数存在することが判明し,同時期に,業者からの物品の授受等の国家公務員倫理法に違反する行為も判明した。これらの業務外閲覧等については,多数の社保庁職員に対し,懲戒処分又は矯正措置が行われた。(甲A51,A222,乙A し,同時期に,業者からの物品の授受等の国家公務員倫理法に違反する行為も判明した。これらの業務外閲覧等については,多数の社保庁職員に対し,懲戒処分又は矯正措置が行われた。(甲A51,A222,乙A1の2,弁論の全趣旨)イ平成16年8月,内閣官房長官の下に「社会保険庁の在り方に関する有- 7 -識者会議」が設置された。 平成17年5月に上記有識者会議が取りまとめた「社会保険庁改革の在り方について(最終取りまとめ)」は,公的年金制度の運営と政府管掌健康保険(以下「政管健保」という。)の運営を分離した上で,それぞれ新たな組織を設置し,それぞれの事業の運営を担わせることが適当であるとし,公的年金の運営主体については,年金事業に特化した組織とした上で,徴収を始めとする業務全般について,政府が直接に関与し,明確かつ十全に運営責任を果たす体制を確立することが必要であるとし,政管健保の運営主体については,国とは切り離された全国単位の公法人を保険者として設立して事務を実施させることが適切であるとした。 (なお,以下では,主に公的年金の運営主体について記載するところ,後記(7)のとおり,政管健保については,社保庁の廃止に先立って平成20年10月1日に設立された非公務員型法人である全国健康保険協会(以下「協会」という。)が実施することとなった。)ウ平成17年6月,厚生労働大臣(以下「厚労大臣」という。)の下に「社会保険新組織の実現に向けた有識者会議」が設置された。 同年12月に上記有識者会議が取りまとめた「組織改革の在り方について」は,社保庁を廃止して,新組織(国家行政組織法に定める特別の機関)を設立すべきとした。 エ平成18年3月,厚労省は,社保庁を廃止し,厚労省に特別の機関(職員は公務員の身分を有する。)として「ねんきん事業機構」 止して,新組織(国家行政組織法に定める特別の機関)を設立すべきとした。 エ平成18年3月,厚労省は,社保庁を廃止し,厚労省に特別の機関(職員は公務員の身分を有する。)として「ねんきん事業機構」を設置することなどを内容とする「ねんきん事業機構法案」を国会に提出した。 しかし,上記法案の審議中に,国民年金保険料の不適正免除等が社会問題となり,同年12月,同法案は審議未了のまま廃案となった。 オその後,社保庁の改革については,与党年金制度改革協議会(以下「与党協議会」という。)において議論された。 - 8 -平成18年12月に与党協議会が取りまとめた「社会保険庁改革の推進について」は,社保庁を廃止・解体し,新たな非公務員型の公的新法人を設立すること,年金新法人の発足に当たり,その職員は社保庁を一旦退職した後,第三者機関の厳正な審査を経て再雇用すること,外部からの採用も積極的に行い,これまでの職場体質を一掃することなどの考え方を示した。 カ平成19年3月,厚労省は,社保庁を廃止して,公的年金業務等を行う機構を設立することなどを内容とする日本年金機構法案(以下「機構法案」という。)を国会に提出した。 機構法は,同年6月30日に成立し,同年7月6日に公布され,附則の一部の規定を除き,平成22年1月1日から施行された。 (3) 機構法における社保庁職員の取扱いア機構法においては,機構の設立時に,社保庁職員が法律上当然に機構職員となる旨の規定(以下,同様の規定を「職員承継規定」という。)は設けられなかった。 なお,機構職員は,公務員としての身分を有せず(機構法20条),機構は,非公務員型法人である。 イ機構法においては,政府が,政府管掌年金又は経営管理に関し専門的な学識又は実践的な能力を有し,中立の立場で公正な判断をする としての身分を有せず(機構法20条),機構は,非公務員型法人である。 イ機構法においては,政府が,政府管掌年金又は経営管理に関し専門的な学識又は実践的な能力を有し,中立の立場で公正な判断をすることができる学識経験者の意見を聴いた上で(附則3条3項),機構の設立に際して採用する職員の数その他の機構職員の採用についての基本的な事項等について,基本計画を定め(同条1項,2項),厚労大臣が任命する設立委員が,基本計画に基づき,機構職員の労働条件及び採用基準を定めることとされた(附則5条1項,2項)。 そして,設立委員は,社保庁長官を通じ,社保庁職員に対し,機構職員の労働条件及び採用基準を提示して,機構職員の募集を行い,社保庁長官- 9 -は,機構職員となることに関する社保庁職員の意思を確認し,機構職員となる意思を表示した者の中から,当該採用基準に従い,機構職員となるべき者を選定し,その名簿を作成して設立委員に提出するものとされた(附則8条1項,2項)。 その上で,上記名簿に記載された社保庁職員のうち,設立委員から採用する旨の通知を受けた者であって機構法の施行の際現に社保庁職員であるものは,機構の成立の時において,機構職員として採用されることとなった(附則8条3項)。なお,設立委員は,機構職員の採否を決定するに当たっては,人事管理に関し高い識見を有し,中立の立場で公正な判断をすることができる学識経験者のうちから厚労大臣の承認を受けて選任する者からなる会議の意見を聴くものとされた(附則8条5項)。 (4) 機構職員の採用等に関する議論の経緯ア年金業務・組織再生会議での議論(甲A222,乙A7,A66の1及び2,弁論の全趣旨)(ア) 平成19年8月,機構法附則3条3項に基づき,国・地方行政改革担当大臣の下に,学識経験者か ア年金業務・組織再生会議での議論(甲A222,乙A7,A66の1及び2,弁論の全趣旨)(ア) 平成19年8月,機構法附則3条3項に基づき,国・地方行政改革担当大臣の下に,学識経験者から構成される「年金業務・組織再生会議」(以下「再生会議」という。)が設置された。 再生会議における議論の中で,再生会議が社保庁に対して要請した服務違反行為調査により,無許可専従をした職員及びこれに関与した管理職員が相当数存在することが明らかになった。その後,これらの無許可専従をした職員等に対しては懲戒処分がされた。 (イ) 平成20年6月に再生会議が取りまとめた「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本的方針について(最終整理)」(以下「最終整理」という。)は,機構に求められる組織体制,業務の外部委託推進についての基本的考え方,職員採用についての基本的考え方及び機構の必要人員数等についての検討結果を示した。 - 10 -(ウ) 最終整理は,公的年金業務への信頼を損ねた職員の取扱いとして,「過去に懲戒処分や矯正措置などの処分を受けた者については,その処分を機構の職員としての採否を決定する際の重要な考慮要素とし,処分歴や処分の理由となった行為の性質,処分後の更生状況などをきめ細かく勘案した上で,採否を厳正に判断すべきである」,「特に国民の公的年金業務に対する信頼回復の観点から,懲戒処分を受けた者は機構の正規職員には採用すべきでない」,「懲戒処分を受けた者についても,有期雇用職員として採用することは可能であるが,この場合にあっても,採用基準を定め,審査会における公正かつ厳格な審査を経るべきである」,「有期雇用職員として採用された機構の職員についても,その能力や実績に応じ,本人の希望により,雇用期間満了後に正規職員として採用される道が 定め,審査会における公正かつ厳格な審査を経るべきである」,「有期雇用職員として採用された機構の職員についても,その能力や実績に応じ,本人の希望により,雇用期間満了後に正規職員として採用される道が開かれるべきである。しかし,過去に懲戒処分を受けた者については,機構の有期雇用職員としての採用後,業務に精励し,意欲と能力が実証された場合にあって,正規職員への採用を行おうとするときは,機構において第三者による公正かつ厳格な採用審査を行うべきである」とした。 また,最終整理は,外部人材の積極採用について,業務の円滑な移行のため,機構の業務に必要な知識や経験を有する社保庁職員の活用は必要としても,機構がサービスの質の向上を図りつつ,効率的で公正,透明な業務運営を行える,国民から信頼される組織として再生するため,民間人はもとより,他省庁の職員も含め外部から優れた能力を有する人材を積極的に採用することが必要であるとした上で,機構の必要人員数について,機構の設立時点の人員数を総数1万7830名程度とし,うち1万0880名程度を正規職員,6950名程度(社保庁職員により担われている業務のうち,機構設立後に削減が予定されている業務量におおむね相当する人員数1400名程度を含む。)を有期雇用職員とし,- 11 -正規職員1万0880名のうち,おおむね1000名程度については,外部から人材を採用することが適当であるとした。 さらに,最終整理は,「機構の設立に際し,機構への採用を希望しても,一定数の社会保険庁の職員は不採用になることが見込まれる。厚生労働省及び任命権者である社会保険庁長官は,退職勧奨,厚生労働省への配置転換など,分限免職回避に向けてできる限りの努力を行うべきである。また,官民人材交流センターの活用も図るべきである」とした。 イ政府 び任命権者である社会保険庁長官は,退職勧奨,厚生労働省への配置転換など,分限免職回避に向けてできる限りの努力を行うべきである。また,官民人材交流センターの活用も図るべきである」とした。 イ政府による基本計画の決定(乙A8)(ア) 平成20年7月29日,政府(内閣)は,機構法附則3条に基づき,再生会議が取りまとめた最終整理を踏まえ,「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画」(以下「本件基本計画」という。)を閣議決定した。 本件基本計画は,機構の組織体制,業務の外部委託推進についての基本的考え方,職員採用についての基本的考え方及び機構の必要人員数等を内容とするものであった。 (イ) 本件基本計画は,職員採用についての基本的考え方として,「国民の公的年金業務に対する信頼回復の観点から,懲戒処分を受けた者は,機構の正規職員及び有期雇用職員には採用されない」,「機構がサービスの質の向上を図りつつ,効率的で公正,透明な業務運営を行える,国民から『信頼』される組織として再生するため,民間人はもとより,他省庁の職員も含め外部から優れた能力を有する人材を積極的に採用する」とした。 また,本件基本計画は,機構の必要人員数について,機構の設立時点の人員数を総数1万7830名程度とし,うち1万0880名程度を正規職員,6950名程度(社保庁職員により担われている業務のうち,機構設立後に削減が予定されている業務量におおむね相当する人員数1- 12 -400名程度を含む。)を有期雇用職員とし,正規職員1万0880名のうち,おおむね1000名程度については,外部から人材を採用するが,応募状況等を踏まえ,その採用数の拡大を検討するとした。 さらに,本件基本計画は,社保庁職員からの機構職員の採用に当たり,機構に採用されない職員(以下「不採 度については,外部から人材を採用するが,応募状況等を踏まえ,その採用数の拡大を検討するとした。 さらに,本件基本計画は,社保庁職員からの機構職員の採用に当たり,機構に採用されない職員(以下「不採用職員」という。)については,「退職勧奨,厚生労働省への配置転換,官民人材交流センターの活用など,分限免職回避に向けてできる限りの努力を行う」とした。 (5) 設立委員による採用基準の策定等(乙A9,A10の1)ア平成20年11月,厚労大臣に任命された学識経験者である設立委員は,日本年金機構設立委員会(以下「設立委員会」という。)を組織した。 イ同年12月22日,設立委員会は,機構法附則5条2項及び8条1項に基づき,機構職員の労働条件及び採用基準(以下,この採用基準を「本件採用基準」という。)を定めるとともに,社保庁長官に対してこれを提示し,機構職員の募集を行った。 ウ本件採用基準は,社保庁職員からの採用に当たって,「懲戒処分を受けた者は採用しない。なお,採用内定後に懲戒処分の対象となる行為が明らかになった場合には,内定を取り消す。また,採用後に懲戒処分の対象となる行為が明らかになった場合には,機構において,労働契約を解除する」とした。 (6) 設立委員会による機構職員の採用等ア社保庁職員に対する意向調査等(ア) 平成20年10月から同年11月にかけて,社保庁は,厚労省と共同して,社保庁職員全員に対し,厚労省への転任及び機構への採用等の希望を把握するため,職員意向準備調査票(以下「準備調査票」という。)に基づく意向準備調査(以下「本件準備調査」という。)を実施した。 (イ) 平成20年12月24日,社保庁は,設立委員会から本件採用基準が- 13 -提示されたことを受け,社保局に対し,同基準を職員全員に配付するよ 下「本件準備調査」という。)を実施した。 (イ) 平成20年12月24日,社保庁は,設立委員会から本件採用基準が- 13 -提示されたことを受け,社保局に対し,同基準を職員全員に配付するよう通知した。 (ウ) 平成21年1月,社保庁は,社保庁職員全員に対し,機構及び協会(以下「機構等」という。)への採用並びに厚労省への転任等の希望を確認するため,職員意向調査票(以下「意向調査票」という。)に基づく意向調査(以下「本件意向調査」という。)を実施した。 イ社保庁長官による名簿提出平成21年2月16日,社保庁長官は,本件意向調査の結果及び人事記録に基づき,機構職員となることを希望した者1万1132名の中から,懲戒処分歴保有者14名を本件採用基準に合致しないとして除外し,機構職員となるべき者1万1118名を選定し,設立委員会に対して名簿を提出した。(甲A194の1,乙A14)ウ機構職員の採用内定(ア) 平成21年5月19日,設立委員会により選任された学識経験者で組織される日本年金機構職員採用審査会(機構法8条5項。以下「採用審査会」という。)は,上記名簿とともに提出された書類の審査を行った上で,面接をすることが必要と判断した者の面接審査を行い,機構職員としての採否を設立委員会に報告した。 (イ) 同日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,上記名簿に登載された者のうち,正規職員として9613名,准職員として358名の採用を内定し,28名を不採用,残りの1119名を保留等(採否の判定を保留する者182名,退職又は退職予定者44名,協会の内定予定者40名,厚労省転任予定者852名,名簿提出後に本件採用基準を満たさなくなった者1名)とした。 (甲A194の1及び2,A196,乙A15)同年6月25日,社保庁 予定者44名,協会の内定予定者40名,厚労省転任予定者852名,名簿提出後に本件採用基準を満たさなくなった者1名)とした。 (甲A194の1及び2,A196,乙A15)同年6月25日,社保庁は,設立委員会が上記採用内定をしたことを- 14 -受け,これを内定を受けた社保庁職員に伝達した。(乙A36の2)なお,准職員とは,社保庁職員により担われている業務のうち,機構設立後に削減が予定されている業務量におおむね相当する人員数1400名程度について,期限を定めて雇用される職員をいい,正規職員と比べると,労働条件の点で,①労働契約の期間について,機構設立当初が1年で,契約更新時には3年以内とされ,契約更新回数が2回を限度とされていること,②異動について,一定地域内に限定され,転居を伴う異動を命じられることはないこと,③管理職への登用について,年金事務所長等の管理職等に登用されることはないこと,④退職手当について,正規職員の50%となることが相違する。(乙A16)(ウ) 同年10月8日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,健康状態を理由として採否を保留していた社保庁職員161名について,正規職員として59名,准職員として78名の採用を内定し,24名を不採用とした。 (エ) 同年7月28日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,外部(民間)から正規職員として1078名の採用を内定した。 同年10月8日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,外部(民間)から准職員の募集に応募した5975名について,准職員として970名の採用を内定した。 同月28日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,外部(民間)から,管理職(正規職員)として49名の採用を内定した。 エ機構職員の追加募集等(ア) 平成21年5月 の採用を内定した。 同月28日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,外部(民間)から,管理職(正規職員)として49名の採用を内定した。 エ機構職員の追加募集等(ア) 平成21年5月19日,設立委員会は,社保庁長官に対し本件採用基準を示して,准職員の1次追加募集を行った。 同年10月8日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,社保庁職員から准職員の1次追加募集に応じた160名について,准職員と- 15 -して154名の採用を内定し,6名を不採用とした。 (イ) 同年12月1日,設立委員会は,社保庁長官に対し本件採用基準を示して,准職員の2次追加募集を行った。 同月17日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,社保庁職員から准職員の2次追加募集に応じた61名について,准職員として60名の採用を内定し,1名を不採用とした。 オ設立委員会による機構職員の内定者数上記の経緯による機構職員の内定者は,合計1万2419名(正規職員1万0799名及び准職員1620名)であり,そのうち,①社保庁職員からの内定者が1万0322名(正規職員9672名及び准職員650名),②外部(民間)からの内定者が2097名(正規職員1127名及び准職員970名)であった。 (7) 協会の設立等ア政管健保業務の移管社保庁が行っていた政管健保(健康保険組合の組合員でない被用者の健康保険)業務については,健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律83号。以下「健康保険法改正法」という。)により,非公務員型法人である協会が設立され,同業務を実施することとなった。 イ社保庁長官による名簿提出(ア) 協会職員については,厚労大臣が任命した設立委員が提示する採用基準に従って社保庁長官が作成した名簿に記載された社保庁職員か ,同業務を実施することとなった。 イ社保庁長官による名簿提出(ア) 協会職員については,厚労大臣が任命した設立委員が提示する採用基準に従って社保庁長官が作成した名簿に記載された社保庁職員から,設立委員が採用することとされた(健康保険法改正法附則15条)。 (イ) 厚労大臣に任命された設立委員は,全国健康保険協会設立委員会(以下「協会設立委員会」という。)を組織した。 平成19年10月25日,同委員会は,協会職員の労働条件及び採用基準(以下,この採用基準を「協会採用基準」という。)を定め,同基- 16 -準において,社保庁職員からの職員について,「懲戒処分を受けた者及び社会保険庁の改革に反する行為を行った者については,その内容等を踏まえ,勤務成績及び改悛の情を考慮して,可否を厳正に判断するものとする」とした。 (ウ) 協会設立委員会は,協会の必要人員数について約2100名とし,社保庁職員から約1800名,外部(民間)からの採用や民間・国等からの出向により約300名を確保することとした。 (エ) 平成20年4月14日,社保庁長官は,社保庁職員全員に対する意向調査において協会を第1希望とした4156名を優先し,協会採用基準に従い,協会の人事方針への賛同の有無,人事評価結果,健康状態,業務経験及び懲戒処分歴に照らし,1800名の名簿を作成して協会設立委員会に提出した。(乙A27の1,A28)社保庁長官は,上記名簿を作成した際,懲戒処分歴保有者について,懲戒処分の量定と勤務成績に応じて,他の職員よりも一定以上高い水準の評価がされている者を選定し,上記1800名には,減給の懲戒処分歴保有者9名及び戒告の懲戒処分歴保有者62名の合計71名が含まれていた。(乙A27の1)ウ協会職員の採用内定(ア) 平成20年4 されている者を選定し,上記1800名には,減給の懲戒処分歴保有者9名及び戒告の懲戒処分歴保有者62名の合計71名が含まれていた。(乙A27の1)ウ協会職員の採用内定(ア) 平成20年4月14日,協会設立委員会は,社保庁長官から提出された名簿に記載された1800名全員について採用を内定した。 (イ) 平成20年4月3日及び同年9月3日,協会設立委員会は,外部(民間)からの正規職員として,合計271名の採用を内定した。 エ協会の設立平成20年10月1日,協会が設立され,上記1800名の社保庁職員は,社保庁を退職して協会職員となった。 オ協会職員の追加募集- 17 -(ア) 社保庁が行っていた船員保険業務については,雇用保険法等の一部を改正する法律(平成19年法律30号。以下「雇用保険法改正法」という。)による船員保険法の改正によって,平成22年1月から協会が行うこととなった。 (イ) 平成20年12月25日,協会は,機構設立委員会が同月22日に決定した本件採用基準において,懲戒処分を受けた者は採用しないとされたことを踏まえ,協会採用基準における社保庁職員からの採用に関する部分について,「懲戒処分を受けた者は採用しない。なお,採用内定後に懲戒処分の対象となる行為が明らかになった場合には,内定を取り消す。採用後に懲戒処分の対象となる行為が明らかになった場合には,協会において,労働契約を解除する」と改めた(以下,改正後の協会採用基準を「改正協会採用基準」といい,本件採用基準と併せて「本件各採用基準」という。)。(甲A194の1,乙A33の1)(ウ) 同日,協会は,社保庁長官に対し,改正協会採用基準を示し,約40名の協会職員の募集を行い,平成21年2月16日までに協会職員となる者の名簿を提出するよう求め A194の1,乙A33の1)(ウ) 同日,協会は,社保庁長官に対し,改正協会採用基準を示し,約40名の協会職員の募集を行い,平成21年2月16日までに協会職員となる者の名簿を提出するよう求めた。 (エ) 平成20年12月26日,社保庁は,協会から改正協会採用基準が提示されたことを受け,社保局に対し,同基準を職員全員に配付するよう通知した。 (オ) 平成21年2月16日,社保庁長官は,本件意向調査の結果及び人事記録に基づき,協会職員となることを希望した者3077名の中から,懲戒処分歴保有者6名を改正協会採用基準に合致しないとして除外し,協会職員となるべき者3071名を選定し,協会に対して名簿を提出した。(甲A194の1,A195,乙A35)(カ) 同年6月25日,社保庁は,協会が上記名簿から45名の採用を内定したことを受け,これを内定を受けた社保庁職員に伝達した。 - 18 -(8) 社保庁職員に対する分限免職処分等ア平成21年12月時点で社保庁職員であった1万2566名のうち,1万0069名が機構に,45名が協会にそれぞれ採用され,1293名が厚労省及び他府省(以下「厚労省等」という。その内訳は,厚労省に1284名,金融庁に1名及び公正取引委員会(以下「公取委」という。)に8名)に転任し,631名が勧奨により,3名が自己都合によりそれぞれ退職した(以下,勧奨による退職を「勧奨退職」という。)。 イその結果,原告らを含む525名については,機構等への採用や厚労省等への転任がされず,退職勧奨にも応じなかったため,社保庁長官等により国公法78条4号に基づく分限免職処分を受けた。 上記525名のうち,懲戒処分歴のある者は251名で,懲戒処分歴のない者は274名であった。 ウ上記分限免職処分を受けた社保庁職員 庁長官等により国公法78条4号に基づく分限免職処分を受けた。 上記525名のうち,懲戒処分歴のある者は251名で,懲戒処分歴のない者は274名であった。 ウ上記分限免職処分を受けた社保庁職員に対しては,国家公務員退職手当法5条に基づき,自己都合退職や勤続25年未満の勧奨退職者に比べて割増しされた退職手当が支給された。 なお,上記分限免職処分を受けた525名のうち401名は,退職勧奨を受け入れない理由として,退職手当が割増しされる制度の適用を希望した旨を回答していた。(乙A36の1)(9) 原告らに対する本件各処分等ア本件意向調査の結果等(ア) 原告らのうち,懲戒処分歴のない原告P3ら4名は,平成21年1月に実施された本件意向調査において,機構等への採用を希望しなかった。 また,原告P3ら4名は,平成21年7月に実施された職員意向追加調査票(以下「追加調査票」という。)に基づく職員意向確認追加調査(以下「本件追加調査」という。)において,機構の准職員の追加募集への応募を希望しなかった。 - 19 -(イ) 原告らは,平成21年2月10日から同月16日にかけて,それぞれ1回ずつ10分から15分程度で,厚労省近畿厚生局(以下,単に「近畿厚生局」という。)の面接官による同厚生局への転任面接(以下「本件転任面接」という。)を受けた。 (乙A38,B1の7,B2の7,B3の6,B4の6,B5の8,B6の6,B7の7,B8の6,B9の7,B10の7,B11の7,B12の7,B13の7,B14の6,B15の7,弁論の全趣旨)原告らは,本件転任面接の結果,いずれも近畿厚生局に転任されなかった。 イ本件各処分社保庁長官等は,平成21年12月25日付けで,原告らに対し,同月31日をもって分限免職する旨の本件各処分を 原告らは,本件転任面接の結果,いずれも近畿厚生局に転任されなかった。 イ本件各処分社保庁長官等は,平成21年12月25日付けで,原告らに対し,同月31日をもって分限免職する旨の本件各処分をした。 機構法の施行により平成21年12月31日をもって社保庁が廃止されたことにより,同法附則73条1項に基づき,本件各処分は厚労大臣がしたものとみなされる。 ウ本件各処分に対する審査請求等原告ら(原告P14を除く。)は平成22年1月18日に,原告P14は同年2月25日に,本件各処分の取消しを求めて,人事院に対する審査請求をした。 原告らは,上記審査請求をした日から3か月を経過しても裁決がないとして,平成22年7月23日,本件訴訟を提起した。(顕著な事実)エ原告らに対する人事院判定(以下「本件各人事院判定」という。)(ア) 人事院は,平成25年10月9日,原告P1,同P2,同P3,同P4,同P11,同P12,同P5,同P6,同P7,同P8,同P9及び同P10に対し,「分限免職回避に向け,社会保険庁及び厚生労働省は,処分直前まで種々の取組を行ったと認められるが,新規採用を相当- 20 -数行ったこと,他府省による受入れは,金融庁及び公正取引委員会以外の府省については行われず,同庁及び同委員会による計9人と限定的なものにとどまっていること,暫定定員を活用しなかったこと,各般の取組の開始時期が遅かったこと等,取組には不十分な点も認められ,少なくとも公務部門における受入れを一部増加させる余地はあったと認められる。しかし,その増加は限定的なものであり,そのような状況の下で,請求者については,本件処分を取り消すべき特段の事情は認められず,また,社会保険庁の廃止に伴う同庁に属する職の廃止は,法第78条第4号に規定する官制の改廃によ 的なものであり,そのような状況の下で,請求者については,本件処分を取り消すべき特段の事情は認められず,また,社会保険庁の廃止に伴う同庁に属する職の廃止は,法第78条第4号に規定する官制の改廃により廃職を生じた場合に該当することから,処分者が,請求者について法第78条第4号に該当するとしたことを違法,不当とすることはできない」との理由で,本件処分を承認する旨の判定をした。 (乙B1の8,B2の8,B3の7,B4の7,B6の7,B8の7,B9の8,B10の8,B12の8,B13の8,B14の7,B15の8)(イ) 人事院は,平成25年10月9日,本件処分後に人事院判定により懲戒処分が取り消された原告P13に対し,「懲戒処分を受けたことを前提に社会保険庁長官により機構職員となるべき者として選定されず,名簿に登載されなかったことにより,機構に採用される機会を失したまま行われた本件処分を維持することは妥当性を欠くことから,本件処分は取り消すことが相当である」との理由で,本件処分を取り消す旨の判定をした。(甲A220,A249)また,人事院は,平成25年10月9日,原告P14及び同P15に対し,「分限免職回避に向け,社会保険庁及び厚生労働省は,処分直前まで種々の取組を行ったと認められるが,新規採用を相当数行ったこと,他府省による受入れは,金融庁及び公正取引委員会以外の府省について- 21 -は行われず,同庁及び同委員会による計9人と限定的なものにとどまっていること,暫定定員を活用しなかったこと,各般の取組の開始時期が遅かったこと等,取組には不十分な点も認められ,少なくとも公務部門における受入れを一部増加させる余地はあったと認められる。そうした中,地方厚生(支)局等に転任候補者として選考された職員と同等の評価を受けたと認められ 組には不十分な点も認められ,少なくとも公務部門における受入れを一部増加させる余地はあったと認められる。そうした中,地方厚生(支)局等に転任候補者として選考された職員と同等の評価を受けたと認められる請求者を処分者が分限免職処分に付したことは,人事の公平性・公正性の観点から妥当性を欠き,請求者のその余の主張については判断するまでもなく,取り消すことが相当と認められる」との理由で,本件処分を取り消す旨の判定をした。 (甲A250,A251)原告P13ら3名は,上記各判定を受け,原告P13ら3名に対する本件処分の取消しを求める訴えを取り下げた。(顕著な事実) 3 争点(1) 本件各処分の国公法78条4号の要件該当性(2) 本件各処分についての裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無。具体的には,以下の各点である。 ア民間の整理解雇と同様の判断枠組みの適否イ分限免職の必要性の有無ウ分限免職処分を回避するために努力すべき義務(以下「分限回避義務」という。)履行の有無(ア) 分限回避義務の主体(イ) 分限回避義務の範囲(ウ) 分限回避義務の履行状況エ人員選定(以下「人選」という。)の合理性の有無オ誠実な説明・協議義務等の履行の有無(3) 本件各処分の国賠法上の違法性及び社保庁長官等の過失の有無等- 22 - 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件各処分の国公法78条4号の要件該当性)について(被告の主張)ア廃職を生じた場合に該当すること(ア) 本件各処分は,法律改正(機構法附則による国家行政組織法及び厚労省設置法の改正)に基づき,社保庁という「官制」が「改廃」され,これにより社保庁の全ての職の「廃職」が生じたためにされたものである。 (イ) 本件においては,社保 附則による国家行政組織法及び厚労省設置法の改正)に基づき,社保庁という「官制」が「改廃」され,これにより社保庁の全ての職の「廃職」が生じたためにされたものである。 (イ) 本件においては,社保庁の全ての職が廃止されたことに伴い,その全職員が分限免職処分の対象となり得たが,社保庁長官等や厚労大臣等による分限免職処分を回避するための措置(以下「分限回避措置」という。)等によって,分限免職処分対象者が最終的に525名にとどまったものであるから,社保庁職員の一部に「過員」を生じた場合には該当しない。 (ウ) したがって,本件は官制の改廃により廃職が生じた場合に該当するから,本件各処分は国公法78条4号の要件を満たすものである。 イ国公法78条4号を適用すべき場合であること(ア) 政府は,懲戒処分歴保有者を機構から排除し,分限免職処分に追い込むといった方針は有していなかった。 そして,国の行政機関が行ってきた業務を公法人に担わせるに当たって,職員承継規定を設けるか否かは,専ら立法政策の問題であり,政府の方針に基づくものではない。 (イ) また,機構法に職員承継規定が設けられなかったのは,新たな非公務員型の法人である機構を創設し,公的年金制度に対する国民の信頼を確保する目的によるものであり,上記規定を設けなかったことも,上記目的との関係で必要かつ合理的な措置であった。 ウ小括したがって,本件各処分は国公法78条4号の要件に該当する。 - 23 -(原告らの主張)ア廃職を生じた場合に該当しないこと(ア) 憲法25条及び15条に基づき,国公法74条1項,75条,78条及び人事院規則11-4第2条等が国家公務員の身分保障を定めている趣旨からすれば,同法78条4号は,当該国家公務員が従事していた職務そのものがなく び15条に基づき,国公法74条1項,75条,78条及び人事院規則11-4第2条等が国家公務員の身分保障を定めている趣旨からすれば,同法78条4号は,当該国家公務員が従事していた職務そのものがなくなったり,現存の職員数に比して業務量が減少して,当該職務に従事する職員の人員削減の必要が生じたりした場合を指すというべきである。 (イ) 本件においては,社保庁は廃止されたが,社保庁が行っていた公的年金業務は機構にそのまま承継されており,社保庁職員が従事していた職務がそのまま存続しているから,「廃職」には該当しない。 なお,機構の発足に当たっては,民間から1000名以上もの職員が新たに採用されており,人員削減の必要性はなかったから,「過員」にも該当しない。 本件のような場合も「廃職」又は「過員」に該当するとすれば,国家公務員を分限免職するためには,当該国家公務員が所属する部門を公法人化して業務委託すれば足りることになり,国家公務員の身分保障の趣旨は無に帰する。 (ウ) 公務の一部を民営化したり,業務委託したりする場合には,当該公務に従事していた職員は形式的に「過員」となる。しかし,例えば,「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」(以下「公共サービス改革法」という。)48条や「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(以下「行革法」という。)45条2項は,職員の雇用を確保するための措置を義務付けている。 このように,公務の一部が公法人や民間業者に委ねられる場合であっても,そのことを理由に,当該公務に従事していた職員の雇用を奪うこ- 24 -とを正当化することはできない。 (エ) したがって,本件は,国公法78条4号の「廃職」が生じた場合に該当しない。 イ国公法78条4号を適用すべき場合でな た職員の雇用を奪うこ- 24 -とを正当化することはできない。 (エ) したがって,本件は,国公法78条4号の「廃職」が生じた場合に該当しない。 イ国公法78条4号を適用すべき場合でないこと(ア) 従前,国の機関の業務が独立行政法人等の公法人に移管される際は,職員承継規定が設けられていたが,社保庁の業務を引き継ぐ機構については,職員承継規定が設けられず,設立委員会による職員採用方式が採られた。 これは,国民の公的年金に対する信頼回復(以下,単に「信頼回復」ということがある。)の観点から,懲戒処分歴保有者を機構から排除し,分限免職処分に追い込むという政府の方針に基づくものである。 しかし,信頼回復という目的と分限免職処分という手段の間には関連性がないし,上記目的のために職員を分限免職することは,国公法78条4号の制度趣旨から外れるものであって,同号の要件を満たさないというべきである。 なお,信頼回復の観点からの機構の設立と社保庁の廃止は,同一の立法によりされたものであり,社保庁職員が機構に承継されず,懲戒処分歴保有者が機構から排除され,外部から1000名もの大量採用がされたのは,全て信頼回復のための本件基本計画に基づくものであるから,結局,原告らは,信頼回復のために本件各処分を受けたものと評価すべきである。 (イ) いわゆる年金記録問題や,公的年金制度に対する信頼の崩壊は,公的年金制度創設以来のずさんな管理政策や政府の年金政策によるものであって,末端の社保庁職員の責任によるものではない。しかし,信頼回復をめぐる政府,与党,再生会議及び国会の議論において,年金記録問題を始めとする年金行政失敗の全責任が末端の社保庁職員にあるかのよう- 25 -な政治的雰囲気が作られ,原告らを含む社保庁職員が責任を取らされる 与党,再生会議及び国会の議論において,年金記録問題を始めとする年金行政失敗の全責任が末端の社保庁職員にあるかのよう- 25 -な政治的雰囲気が作られ,原告らを含む社保庁職員が責任を取らされる形で分限免職されたものである。 本来,信頼回復のためには,確実な年金給付の実現とそのための人員確保が必要であって,原告らを含む経験豊富な職員の活用が求められており,懲戒処分歴保有者の機構への不採用及び分限免職という方針は,信頼回復の方向性に逆行するものである。実際にも,現在,機構においては,システム開発や外部委託等による人員削減という方針は破綻しており,日常業務にも支障を来している状況になっている。 (ウ) したがって,本件は,国公法78条4号を適用すべき場合ではない。 (2) 争点(2)(本件各処分についての裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無)について(原告らの主張)ア判断枠組み国公法が定める国家公務員の身分保障及び厳格な分限規定は,憲法25条の生存権保障に基づくものであり,国公法78条2号及び3号に基づく分限免職処分においてすら,特に厳密,慎重であることが要求されるのであるから,職員の側に落ち度の全くない同条4号に基づく分限免職処分においては,更に厳密,慎重であることが要求される。 そして,民間の整理解雇と国公法78条4号に基づく分限免職は,いずれも組織の縮小や廃止等に伴い,個々の労働者に何らの帰責事由が存在しないにもかかわらず,その意に反して離職させる点において共通している。 また,国公法78条4号は,官制の改廃による廃職を生じた場合に分限免職をしなければならないという義務規定とはなっていないところ,これは,憲法及び法律に基づく分限回避義務が尽くされているか否かが極めて重要であるからである。 そうすると,国公法7 生じた場合に分限免職をしなければならないという義務規定とはなっていないところ,これは,憲法及び法律に基づく分限回避義務が尽くされているか否かが極めて重要であるからである。 そうすると,国公法78条4号に基づく分限免職については,最低でも- 26 -民間における整理解雇4要件を満たすべきであり,これを満たさない分限免職処分は,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となる。 イ分限免職の必要性の有無(ア) 機構が従来と同一の業務を継続していくためには,その業務に精通した経験豊富な職員を必要としており,社保庁職員の希望者全員を採用しない理由はなかったにもかかわらず,社保庁から機構への移行に当たり,社保庁職員からの採用が制限され,あえて外部から1000名以上もの職員が採用されている。 (イ) 信頼回復という目的からしても,原告らの分限免職は全く必要がないものであり,目的と手段との間に関連性もないから,このような目的に基づく本件各処分には必要性がなかった。 また,信頼回復の内容も,当初は業務外閲覧等の業務上の問題を中心とするものであったにもかかわらず,途中から,末端の社保庁職員には全く責任のない年金記録問題にすり替わり,原告らが年金記録問題の責任を取らされる形で本件各処分を受けており,このように信頼回復の内容がすり替わっている以上,本件各処分には必要性がなかった。 (ウ) したがって,本件においては,分限免職の必要性はなかった。 ウ分限回避義務履行の有無(ア) 分限回避義務の主体a 憲法15条及び国公法98条2項によれば,国家公務員の使用者は,国民全体又はこれを代表する政府であり,任用行為により,国と個々の職員の間に公務員関係が生じる。そして,国家公務員は,使用者である国民全体又は政府に対して 98条2項によれば,国家公務員の使用者は,国民全体又はこれを代表する政府であり,任用行為により,国と個々の職員の間に公務員関係が生じる。そして,国家公務員は,使用者である国民全体又は政府に対して,生存権を主張することができ,その一形態として,分限回避措置を求める権利を有している。 b 実際にも,これまで政府は,日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)- 27 -解体の際や,行革法に基づく国家公務員の純減の際に,内閣総理大臣等を本部長とする組織を立ち上げ,府省の垣根を超えた転任を強力に推進するなどして,政府全体として分限回避義務を果たしてきている。 c また,本件基本計画においても,分限回避義務の主体を社保庁長官等に限るような記載はなく,むしろ政府全体で分限回避措置を採るために,分限回避義務の主体が明示されていない。 d 仮に任命権者のみが分限回避義務を負うとすると,転任の可能な単位が小さい行政機関の職員ほど,分限回避措置が採られないことになり,結果において著しい不平等が生じるし,そもそも任命権者のみが分限回避義務を負うと解すべき法的根拠はない。 e したがって,本件において,分限回避義務を負っているのは政府全体である。 なお,本件各人事院判定は,政府全体が分限回避義務を負うと認めていない点において不当ではあるが,少なくとも社保庁を外局に持つ厚労大臣も分限回避義務を負っていたとしている。 (イ) 分限回避義務の程度,時的範囲及び内容a 分限回避義務の程度(a) 公務員の身分保障が憲法25条及び15条を基礎とするものであることからすれば,政府は,国家公務員に対して非常に高い水準の分限回避義務を負っている。 本件においても,本件基本計画は,「分限免職回避に向けてできる限りの努力を行う」としているところ,ここにいう「できる らすれば,政府は,国家公務員に対して非常に高い水準の分限回避義務を負っている。 本件においても,本件基本計画は,「分限免職回避に向けてできる限りの努力を行う」としているところ,ここにいう「できる限り」とは,法律上最大限を意味するから,このような分限回避義務が尽くされずにされた分限免職処分は,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法なものとなる。 (b) そして,国会及び政府は,国家公務員の身分保障の観点から,国- 28 -鉄を解体した際,行革法に基づき国家公務員を減員する際,及び公共サービス改革法に基づき公共サービスを民間業者に行わせる際などに,分限回避措置を採っている。 国公法27条が平等原則を規定し,同法74条以下及び人事院規則11-4第2条が国家公務員の身分保障及び公正・平等な取扱いを定めていることからすれば,平等原則の観点から,政府は,国家公務員に対する分限免職処分をする際,過去に国会及び政府が採ったのと同等の分限回避措置を採らなければならない。 b 政府が分限回避義務を負う時的範囲(a) 平成18年3月10日の時点での分限回避義務同日,機構法の基となる「ねんきん事業機構法案」が国会に提出されたが,この頃,与党を中心に社保庁からの転任については,職員承継規定を設けず,懲戒処分歴保有者を中心に分限免職処分をすることが視野に入れられていた。 同法案は同年中に廃案となったが,この頃から,社保庁職員を排除しようとする動きがあったから,内閣,厚労大臣及び社保庁長官等(以下「内閣等」という。)は,分限回避措置を採るべきであった。この時点で速やかに同措置を採っていれば,新卒者の採用時期が毎年8月であることから,平成19年度の厚労省等の新卒採用枠を分限免職処分の回避のために利用することができた。 (b) 平 べきであった。この時点で速やかに同措置を採っていれば,新卒者の採用時期が毎年8月であることから,平成19年度の厚労省等の新卒採用枠を分限免職処分の回避のために利用することができた。 (b) 平成19年3月13日の時点での分限回避義務同日,機構法案が国会に提出されたが,同法案は,社保庁職員排除の意図を徹底する内容となっていたから,内閣等は,この時点から分限回避措置を採るべきであった。 この時点で速やかに分限回避措置を採っていれば,新卒者の採用時期が毎年8月であることから,平成20年度の厚労省等の新卒採用枠- 29 -を分限免職処分の回避のために利用することができた。 (c) 平成19年7月6日の時点での分限回避義務同日,機構法が公布され,社保庁職員が当然には機構に承継されないことが確定したから,遅くともこの時点が内閣等の分限回避義務の起点となる。 この時点で速やかに分限回避措置を採っていれば,新卒者の採用時期が毎年8月であることから,平成20年度の厚労省等の新卒採用枠を分限免職処分の回避のために利用することができた。 (d) 平成20年6月30日の時点での分限回避義務同日,再生会議が最終整理を公表し,従前から与党が主張していた懲戒処分歴保有者排除の方針がほぼ固まったから,内閣等が分限回避措置を採らなければ手遅れになる可能性が高かった。 この時点で速やかに上記措置を採っていれば,新卒者の採用時期が毎年8月であることから,平成21年度の厚労省等の新卒採用枠を分限免職処分の回避のために利用することができた。 (e) 平成20年7月29日の時点での分限回避義務同日,本件基本計画が閣議決定され,政府は社保庁職員を分限免職に追い込む施策を打ち出した。 しかし,この時点で速やかに分限回避措置を採っていれば,新卒者の採用時 7月29日の時点での分限回避義務同日,本件基本計画が閣議決定され,政府は社保庁職員を分限免職に追い込む施策を打ち出した。 しかし,この時点で速やかに分限回避措置を採っていれば,新卒者の採用時期が毎年8月であることから,平成21年度の厚労省等の新卒採用枠を分限免職処分の回避のために利用することができた。 (f) 平成22年度中の分限回避義務内閣等は,本件各処分を受けた原告らの身分を平成22年1月以降もつなぎ止めておくことによって,同年4月の新規採用又は同年度中の途中採用につなげることが可能であったから,少なくとも同年度中の分限回避義務を免れない。 - 30 -c 内閣等の分限回避義務の内容(a) 内閣の分限回避義務内閣は,分限回避義務の履行として,最低でも,①権限を積極的に行使して,組織替えの際に職員が新組織に円滑に移行することができる仕組みを作ること,②府省を超えた転任について,各府省の退職者の把握,新規採用の抑制の指示等による空き定員の把握,具体的な転任のあっせん,転任時期の調整等の転任に関する統合調整,③総務省を通じての地方公共団体への受入れの仲介・あっせん,④法律の施行日を調整することで,転任の可能性を広げること(本件では,機構法の施行日を国家公務員の定年退職時期と合わせて平成22年4月1日とすること),⑤新組織への職員の円滑な移行や転任を妨げるような作為(例えば,閣議決定によって懲戒処分歴保有者を一律不採用にしたり,新組織の定員を過剰に削減したり,外部からの過剰な採用や正規職員の非正規職員への置き換え等により余剰定員を作り出したりすること)を行わないことが求められていた。 (b) 厚労大臣の分限回避義務厚労大臣は,分限回避義務の履行として,最低でも,①社保庁職員受入れのために,採用抑制や空き定員 余剰定員を作り出したりすること)を行わないことが求められていた。 (b) 厚労大臣の分限回避義務厚労大臣は,分限回避義務の履行として,最低でも,①社保庁職員受入れのために,採用抑制や空き定員の活用等により,労働部門も含め,自らの定員枠を最大限に利用すること,②内閣と協議した上,監督権等を適切に行使して,機構等への採用,厚労省等への転任を有機的に結び付け,社保庁職員が円滑に新組織や厚労省等に移行することができるようにすること,③内閣と調整して,国家公務員雇用調整本部(以下「雇用調整本部」という。)を通じた他府省からの職員受入れを実施しないことが求められていた。 (c) 社保庁長官等の分限回避義務社保庁長官等においては,分限回避義務の履行として,最低でも,- 31 -①職員の意向を丁寧に聴取して,職員の新組織への移行が遺漏なく行われるようにするとともに,厚労省等への転任について,確保された枠と職員のマッチング(組合せ)を行うこと,②新組織への移行や転任枠を併せても希望職員数に満たない場合は,人事院規則11-4第7条2項に基づき,厚労大臣とも協議しながら,分限免職処分の候補者を公平な基準に基づいて選定することが求められていた。 (ウ) 分限回避義務の履行可能性a 定員枠の確保可能性分限免職処分となった社保庁職員525名のうち,分限免職を望まなかった者は,原告らを含む124名であったところ,機構発足時の欠員数は471名(厚労省からの出向者147名を含む。)で,平成22年5月末までに退職した109名も含めれば580名の定員枠が空いていた。 そして,政府と機構が連携して,厚労省等に懲戒処分歴保有者を転任させ,機構に採用される資格を有する者を機構等に採用させれば,現状のままでも,124名はおろか,525名分の定員枠を確 空いていた。 そして,政府と機構が連携して,厚労省等に懲戒処分歴保有者を転任させ,機構に採用される資格を有する者を機構等に採用させれば,現状のままでも,124名はおろか,525名分の定員枠を確保し,分限免職処分を回避することができた。 また,厚労省は,新規採用の抑制や空き定員の活用によって,分限免職処分を回避するために更なる定員枠を確保し,分限免職処分を回避することができた。 b 平成19年度の定員枠(a) 厚労省は,平成19年度中に,202名(うち追加採用73名)を新規採用し,雇用調整本部経由で他府省から29名を受け入れた。 国の行政機関における新規採用の内定は毎年8月に出されるが,厚労省は,平成20年4月の新規採用を抑制することはなく,平成19年4月の新規採用者数129名よりも99名も多い228名を- 32 -新規採用した。 (b) 国家公務員Ⅱ種及びⅢ種全体で,平成19年度に3284名が新規に採用されている。 c 平成20年度の定員枠(a) 厚労省は,平成20年度中に,373名(うち追加採用145名)を新規採用し,雇用調整本部経由で他府省から43名を受け入れた。 (b) 同年度中に厚労省を退職した職員は609名であり,これらの定員枠も分限回避措置の対象とされなければならなかったが,そのような位置付けは一切されなかった。 特に,本件基本計画の閣議決定以降の追加採用においては,懲戒処分歴保有者を優先させる必要があったが,そのような考慮はされず,平成18年度の88名及び平成19年度の73名と比べて追加採用者数が145名と大幅に増加した。 (c) 平成21年度の新規採用を抑制して,社保庁職員が転任することができる枠を確保する必要性が高かったにもかかわらず,厚労省は,平成20年8月の内定決定時にそのような配慮を 名と大幅に増加した。 (c) 平成21年度の新規採用を抑制して,社保庁職員が転任することができる枠を確保する必要性が高かったにもかかわらず,厚労省は,平成20年8月の内定決定時にそのような配慮をすることなく,平成21年4月に158名もの新規採用をした。 (d) 社保局が実施していた保険医療機関等に対する指導・監督等の事務の移管に伴い,平成20年10月1日,553名が社保庁から厚労省に転任されたが,懲戒処分歴保有者を優先させる配慮はされなかった。 (e) 平成21年1月に実施された本件意向調査の結果,機構希望者が1万1132名,協会希望者が3071名,厚労省への転任希望者が6017名,退職希望者等が1416名となった。この結果を見れば,機構への採用手続を先行させなければ,厚労省への転任による分限免職処分の回避が困難になる上,機構に必要な職員を確保す- 33 -ることができないことが容易に予想されたはずである。 しかし,社保庁と厚労省は,6017名全員を厚労省への転任希望対象として,機構職員の採用に優先して(少なくとも相互に関係なく並行して)手続を行うという方針を改めなかった。 (f) 協会設立委員会は,平成20年4月3日及び同年9月3日に,外部(民間)から合計271名を採用することを内定しており,この数をもっと抑えれば,分限免職処分の回避につなげることができた。 (g) 同年7月29日の本件基本計画の閣議決定により,社保庁と比べて,定員が機構単体で2235名削減される見込みとなり,懲戒処分歴保有者を厚労省等に優先的に転任させなければ,平成21年末に分限免職処分になることが明確になった。 また,本件基本計画では,民間から1000名程度採用することも定められており,分限免職処分対象者が増加することとなった。 (h) 同年夏 ば,平成21年末に分限免職処分になることが明確になった。 また,本件基本計画では,民間から1000名程度採用することも定められており,分限免職処分対象者が増加することとなった。 (h) 同年夏,厚労省は,平成21年度の定員として3万8959名を要求したが,査定の結果,655名の減員となった。社保庁職員の分限免職処分を回避するためには,厚労省の定員確保は極めて重要であったにもかかわらず,政府はそのような姿勢を見せることはなかった。 (i) 国家公務員Ⅱ種及びⅢ種全体で,平成20年度に3508名が新規に採用されている。 d 平成21年度の定員枠(a) 厚労省は,平成21年度中に195名(うち追加採用は37名)を新規採用し,雇用調整本部経由で他府省から63名を受け入れた。 (b) 同年度における厚労省の欠員数は,同年6月末で382名であり,これに新規採用者数195名(うち158名が4月採用)を併せた合計577名を社保庁からの転任者で充てれば,分限免職処分を回- 34 -避することができた。 また,同年12月末の厚労省の欠員数は106名となっているところ,追加採用者数及び他府省からの受入数を除けば,厚労省は,同年6月末以降,休職者・出向者の復帰等で170名以上を補充し,意図的に転任者の受入可能数を減少させたものと考えられる。 (c) 同年5月18日に社保庁職員から厚労省への転任者が内定したが,この過程において,懲戒処分歴保有者が優先されることはなかった。 (d) 同月29日,厚労省は,公共職業安定所(以下「ハローワーク」という。)の任期付職員304名を公募しており,この304名の定員増についても,社保庁職員の分限免職処分回避のために活用すべきであった。 (e) 社保庁からの年金記録確認業務の移管に伴い,総務省年金記録確 )の任期付職員304名を公募しており,この304名の定員増についても,社保庁職員の分限免職処分回避のために活用すべきであった。 (e) 社保庁からの年金記録確認業務の移管に伴い,総務省年金記録確認第三者委員会(以下「第三者委員会」という。)に252名の定員措置がされたが,社保庁職員からの転任数は162名にとどまっており,残りの90名についても社保庁職員を充てるべきであった。 (f) 都道府県労働局が転任を受け入れた社保庁職員は,66名にとどまった。このうち,新規採用抑制等による採用は,約30名にすぎなかった。厚労省の労働関係の部局は,社保庁職員の分限免職について全く他人事であり,全ての過程において分限回避義務の履行に向けて何の積極性も発揮しなかった。 (g) 厚労省全体で最終的に1284名の社保庁職員を受け入れたうち,新規採用抑制等による転任はわずか116名にすぎなかった。 (h) 厚労省には,平成21年度予算で,残務整理要員として,平成22年3月までの113名分の定員が確保されており,この定員枠を社保庁職員の分限免職処分対象者に充てていれば,分限免職処分を- 35 -回避することは十分できた。 (i) 機構発足に先立ち,機構に300名程度の欠員が生じていたため,厚労省は,業務支援のために147名の職員を出向させていたが,当該出向者分の定員を欠員扱いせず,その穴埋めをするため,非常勤職員採用という定員外の措置を採った。 そして,厚労省は,平成21年12月に非常勤職員を公募し,社保庁職員から152名及び民間から112名の合計264名が非常勤職員として採用された。厚労省が264名もの非常勤職員を採用したことは,厚労省の業務を遂行するための人員が大幅に不足していたことを示すものであり,この不足分を出向者の欠員補充という形で 名が非常勤職員として採用された。厚労省が264名もの非常勤職員を採用したことは,厚労省の業務を遂行するための人員が大幅に不足していたことを示すものであり,この不足分を出向者の欠員補充という形で補っていれば,分限免職処分を回避することは十分できた。それにもかかわらず,厚労省が非常勤職員の採用をしたことは,最も確実な分限免職処分回避のための枠をあえて活用しなかったものといわざるを得ない。 (j) 厚労省の欠員は,平成22年3月末において,機構出向者147名及び残務整理定員113名を除いて48名であり,この定員枠も,分限免職処分対象者に充てられるべきであった。 (k) 平成21年7月,厚労省及び社保庁は,他府省への社保庁職員の受入れを要請しているが,これらは,雇用調整本部による府省間横断的な転任ではなく,実効性の乏しい方法であった。 (l) 社保庁から京都社保局に対して,京都府下の他府省の出先機関を回るように指示があったのは,同年8月11日以降のことであった。 この時期は,次年度の新規採用の採用はほぼ決まっており,他府省が転任を受け入れる余地がほとんどなく,手遅れであった。 京都社保局は,各府省の出先機関等に対して社保庁職員の採用を求める文書を送付したが,時期は同月以降であり,そもそも訪問し- 36 -ていない出先機関もあり,出先機関からは採用を表明する返答もなかった。また,京都社保局は,他の出先機関等に対して期限を切った回答を求めたり,複数回の訪問をして督促したりしなかったため,何の実効性もなかった。 (m) 同年7月28日,設立委員会は,外部(民間)から1078名を採用することを内定し,同年10月28日には,外部(民間)からの追加募集分として49名の採用を内定したが,この数をもっと抑えれば,分限免職処分の回避につなげる 委員会は,外部(民間)から1078名を採用することを内定し,同年10月28日には,外部(民間)からの追加募集分として49名の採用を内定したが,この数をもっと抑えれば,分限免職処分の回避につなげることができた。 (n) 同年11月末頃までに,社保庁職員のうち機構への採用を辞退した者が百数十名おり,その後も辞退者が続き,同年12月末までに約100名の社保庁職員が機構への採用を辞退した。その結果,平成22年1月1日の機構の発足時に,正規職員は324名の欠員が生じていた。しかし,正規職員の追加採用は行われなかったし,その可否の検討すらしなかった。 (o) 国家公務員Ⅱ種及びⅢ種全体で,平成21年度に3656名が新規に採用されている。 e 平成22年度の定員枠(a) 残務整理定員113名分を活用すれば,平成22年度の新規採用の定員枠を社保庁職員の転任のために活用することもできた。 (b) 平成22年度中に厚労省に新規採用されたのは436名であり,そのうち追加採用されたのは248名であった。厚労省は,この追加採用において,分限免職処分者を「かつて職員であった者」(人事院規則8-12第18条1項2号)として選考採用することもなかった。 (c) 厚労省は,平成22年度に雇用調整本部経由で他府省から20名を受け入れた。 - 37 -(d) 国家公務員Ⅱ種及びⅢ種全体で,平成22年度に3832名が新規に採用されている。 (エ) 分限回避義務の履行状況a 内閣の分限回避義務違反内閣には,①本件基本計画を閣議決定することにより,懲戒処分歴保有者が機構に採用される途を完全に閉ざしたこと,②社保庁職員に対して雇用調整本部を活用しなかったこと,③府省を超えた転任の統合調整を怠ったこと,④地方公共団体への受入れの仲介・あっせんを行わ 歴保有者が機構に採用される途を完全に閉ざしたこと,②社保庁職員に対して雇用調整本部を活用しなかったこと,③府省を超えた転任の統合調整を怠ったこと,④地方公共団体への受入れの仲介・あっせんを行わなかったこと,⑤機構法の施行日をあえて平成22年1月1日にしたこと,⑥平成22年度以降に社保庁職員であった者を各府省が採用するよう決定しなかったことという分限回避義務違反が存在した。 b 厚労大臣の分限回避義務違反厚労大臣には,①定員枠の最大限まで社保庁職員を受け入れなかったこと,②機構等に対する監督権を適切に行使して,社保庁職員が円滑に機構等や他府省に採用又は転任することができるようにしなかったこと,③雇用調整本部を経由した他府省からの職員受入れを制限しなかったことという分限回避義務違反が存在した。 なお,厚労大臣は,厚労省の非常勤職員の募集をしているが,社保庁職員以外からの募集もしており,分限回避措置にはなっていないし,そもそも有期雇用職員への採用では,分限回避義務を果たしたことにはならない。 c 社保庁長官の分限回避義務違反社保庁長官には,①内閣,厚労省等及び地方公共団体に対する働き掛けが不十分であったこと,②確保された機構等や厚労省の定員枠と社保庁職員のマッチングが不十分であったことという分限回避義務違反が存在した。 - 38 -なお,社保庁長官は,各社保局に,地方社会保険事務局職員再就職等支援室(以下「地方再就職支援室」という。)を設置したが,社保庁職員に対する同支援室の周知すら十分に行わなかった。また,地方再就職支援室は,始めから公務職場への転任は困難であるとして,官民人材交流センター(以下「官民センター」という。)を通じた民間企業へのあっせんを第一とし,国家公務員としての身分を保障しようとする姿勢はなかった。 ,始めから公務職場への転任は困難であるとして,官民人材交流センター(以下「官民センター」という。)を通じた民間企業へのあっせんを第一とし,国家公務員としての身分を保障しようとする姿勢はなかった。そして,官民センターは完全に機能不全に陥っており,分限回避措置に値するものではなかった。 d 京都社保局長の分限回避義務違反京都社保局長には,①京都社会保険事務局職員再就職等支援室(以下「本件支援室」という。)における対応がおざなりであったこと,②他府省や地方公共団体への受入要請や欠員の確認が不十分であったこと,③職員団体の提案や要請を真剣に検討して,分限回避措置を採らなかったことという分限回避義務違反が存在した。 e 小括以上のとおり,内閣等は,本件各処分に当たって分限回避義務を果たしていない。 エ人選の合理性の有無(ア) 人選の在り方a 人事院規則11-4第7条4項は,国公法78条4号に基づく分限免職処分の対象者を公正に選定すべき旨を定めており,分限免職処分に当たっては,公正な人選が行われなければならない。 具体的には,公平かつ合理的な人選を行うために,勤務成績,勤務年数に加えて,個々の職員の収入状況,家族構成,健康状態,妥当な再就職先の確保状況等の事情を十分に考慮しなければならない。 そして,このような事情を考慮することなく,公平かつ公正にされな- 39 -かった分限免職処分は,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となる。 b また,処分権者が裁量権を行使するに当たり,考慮すべき事項を考慮せず,考慮すべきでない事項を考慮して処分をした場合には,当該処分は裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となる。 具体的には,上記aの勤務成績等のように考慮すべき事項を考慮しなかったり,懲 すべきでない事項を考慮して処分をした場合には,当該処分は裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となる。 具体的には,上記aの勤務成績等のように考慮すべき事項を考慮しなかったり,懲戒処分歴,成績に基づかない事情及び精神疾患の発病のような考慮すべきでない事項を考慮したりしてされた分限免職処分は違法となる。 (イ) 人選の不合理性a 人選がされなかったこと社保庁の廃止に伴う分限免職処分においては,人事院規則11-4第7条4項に基づく人選基準が定められることはなく,厚労省への転任や機構等への採用がされなかった社保庁職員は,自動的に分限免職処分とされた。 b 近畿厚生局への転任手続が不公正であったこと本件転任面接において,面接官は,当該転任が分限回避措置として位置付けられているとの認識を有していなかったから,このような転任手続が適正な人員を選定するという観点から行われたものでないことは明らかである。 また,近畿厚生局への転任対象者の選定基準は,面接者の主観的判断に基づくものであっただけでなく,面接者が独断で評価基準を細分化するなど,客観的・統一的な基準も設けられていなかった。そして,本件転任面接は,わずか10分程度の時間で実施されたものであったし,本来は評価の対象とすべきではない準備調査票の記載を主観的な- 40 -評価の対象としていた。 さらに,本件転任面接においては,対象者の成績,家族状況・収入状況,及び準備調査票の特記事項欄の記載のように考慮すべき事項を考慮せず,準備調査票の記載内容,準備調査票の記載誤り・乱筆,精神疾患,年次有給休暇(以下「年休」という。)の取得日数,及び懲戒処分に対する不服申立てのように考慮すべきでない事項を考慮した上で,対象者に対する不適正な評価がされ,これに基づく転任手続 ・乱筆,精神疾患,年次有給休暇(以下「年休」という。)の取得日数,及び懲戒処分に対する不服申立てのように考慮すべきでない事項を考慮した上で,対象者に対する不適正な評価がされ,これに基づく転任手続がされた。 c 機構への採用手続が不公正であったこと機構への採用手続において,社保庁職員に対して機構への採用に関する説明が行われなかっただけでなく,本件採用基準は公平・公正なものではなく,病気休職者を殊更不利益に扱う不公正なものであった。 d 協会への採用手続が不公正であったこと協会採用基準及び改正協会採用基準(以下「協会採用基準等」という。)は,懲戒処分歴のある社保庁職員を殊更不利益に扱うものであるだけでなく,社保庁職員にこれらの基準が周知されていなかった。 e 小括以上のとおり,本件各処分においては,人事院規則11-4第7条4項に基づく公正な人選が行われなかった。 オ誠実な説明・協議義務等の履行の有無(ア) 適正手続の要請a 国公法78条4号に基づく分限免職処分に当たっては,憲法31条が保障する適正手続の観点から,分限免職処分の時期・規模・必要性,分限回避義務に関連して,各府省の欠員状況とその活用,他府省への転任に関する基準,雇用調整本部を活用しない合理的理由,新規採用抑制の内容,厚労省への転任に関する基準や転任手続の内容,機構の- 41 -欠員状況,地方再就職支援室の設置及び支援の内容,分限免職処分対象者の人数等について告知がされ,収入状況や家族状況,転職の意向等について聴聞がされなければならない。 b また,職員の勤務条件の最たるものである分限免職処分は,当然に職員団体との交渉事項に該当するところ,適正手続を保障し,分限免職処分が職員団体加入による不利益取扱いに該当しないためには,職員団体との協議の実 員の勤務条件の最たるものである分限免職処分は,当然に職員団体との交渉事項に該当するところ,適正手続を保障し,分限免職処分が職員団体加入による不利益取扱いに該当しないためには,職員団体との協議の実施が不可欠である。 本件においては,分限免職処分の時期・規模・必要性,分限回避義務に関連して,各府省の欠員状況とその活用,他府省への転任に関する基準,雇用調整本部を活用しない合理的理由,新規採用抑制の内容,厚労省への転任に関する基準や転任手続の内容,機構の欠員状況,地方再就職支援室の設置及び支援の内容,分限免職処分対象者の人数等が交渉の対象となり,政府は,これらの点に関する職員団体からの質問に対して誠実に回答及び説明をして,協議義務を尽くす必要があった。 (イ) 説明・協議義務違反等本件各処分に当たり,原告らに対して,上記の各事項について,納得することができるような説明や協議は一切行われなかった。 また,政府は,職員団体に対し,本件基本計画の内容を繰り返すだけの紋切り型の回答をし,具体的な取組についての回答をすることもないという不誠実な対応に終始した。 このように,政府は,本件各処分に当たり,誠実な説明・協議義務等を怠っている。 カ原告らの個別事情原告らに現れた分限回避義務違反,人選の不合理性及び誠実な説明・協議義務違反の事実は,別紙3「個別事情に関する原告ら主張」記載のとお- 42 -りである(添付省略)。 キまとめ以上によれば,本件各処分は違法であるから,本件各処分(人事院判定で取り消された原告P13ら3名に対するものを除く。)はいずれも取り消されるべきである。 (被告の主張)ア判断枠組み(ア) 国公法78条に基づく分限免職処分については,①分限制度の目的と関係のない目的や動機に基づいて分限免職 のを除く。)はいずれも取り消されるべきである。 (被告の主張)ア判断枠組み(ア) 国公法78条に基づく分限免職処分については,①分限制度の目的と関係のない目的や動機に基づいて分限免職処分を行った場合,②考慮すべき事項を考慮せず,考慮すべきでない事項を考慮して判断した場合,③その判断が合理性を持つ判断として許容される限度を超えた不当なものである場合,④合理的な範囲での分限回避義務を怠った場合のように,処分権者が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したと認められる場合に限り,違法となる。 国家公務員の分限免職処分は,民間の整理解雇とはその趣旨及び目的が異なり,国公法及び人事院規則(以下「国公法等」という。)並びに過去の判例等において,分限免職処分が許容される具体的範囲やその合理性・相当性の判断基準が明示されているから,整理解雇の4要件を考慮して判断する必要はなく,適切でもない。 (イ) 本件においては,社保庁の廃止による全ての職の廃止という分限事由は,法律の改正によるものであるから,分限事由を生じさせたことについて,社保庁長官等による裁量権の範囲の逸脱又はその濫用を観念することはできない。 また,本件各処分は,機構への採用や厚労省への転任等がされず,退職勧奨にも応じなかった者について一律に行われたものであるから,社保庁長官等による人選も観念することができない。 - 43 -したがって,本件各処分については,上記①から③までは問題とならず,上記④に該当するか,すなわち,分限回避義務を履行するに当たって,(ア)転任等が比較的容易であったのにそれを怠ったか否か,(イ)国公法27条,74条,108条の7及びこれらを受けた人事院規則の趣旨に照らして平等かつ公正に行われなかった否かのみが問題になる。 イ分限回避義務の履行 容易であったのにそれを怠ったか否か,(イ)国公法27条,74条,108条の7及びこれらを受けた人事院規則の趣旨に照らして平等かつ公正に行われなかった否かのみが問題になる。 イ分限回避義務の履行について(ア) 分限回避義務の主体a 社保庁職員に対する任命権(処分権)は,社保庁長官及びその委任を受けた社保局長に独立的かつ終局的に帰属するから,本件各処分についての裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無は,任命権者(処分権者)である社保庁長官等について判断されるべきである。 したがって,本件においては,社保庁長官等がその与えられた権限に照らして行い得る活動の範囲内において分限回避義務を尽くしたかどうかが問題となり,社保庁長官等が左右し得ない事情や,他の行政機関等の分限回避義務履行の有無は,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無に関する判断に影響を与えない。 b 国鉄民営化の際の再就職促進対策は,具体的な法律の定めに基づき行われたものであり,このような立法を経ることなく,任命権者以外に当然に分限回避義務が発生することはないし,国鉄民営化の際に再就職促進対策が講じられたからといって,本件においても当然に政府全体が社保庁職員の分限回避義務を負うことにもならない。 また,行革法に基づく雇用調整本部を利用した国家公務員の純減は,全府省を対象として,定員の純減及び転任を段階的に行うものであって,社保庁職員の分限免職処分回避のための取組とは趣旨,目的等が全く異なるから,行革法の規定に基づき,政府全体が分限回避義務を負っているとはいえない。 - 44 -さらに,本件各人事院判定は,本件各処分の妥当性について判断したにすぎず,厚労大臣の努力が不十分であれば,本件各処分が違法となると認めたものとはいえない。 (イ) 分限回避義務の程度,時 -さらに,本件各人事院判定は,本件各処分の妥当性について判断したにすぎず,厚労大臣の努力が不十分であれば,本件各処分が違法となると認めたものとはいえない。 (イ) 分限回避義務の程度,時的範囲及び内容a 分限回避義務の程度及び内容(a) 社保庁長官等がその権限内で行うことができた分限回避措置は,①社保庁職員の再就職又は退職に当たっての意向又は希望を再三にわたって丁寧に聴取し,設立委員会の要請により,その募集内容を周知するとともに,機構職員への採用を希望する社保庁職員のうち本件採用基準を満たす者の名簿を作成して提出すること,②厚労省を含む各府省に対し,可能な限り社保庁職員を受け入れるよう要請するとともに,その募集内容を周知すること,③そのほか,年金相談センター等の職員,機構の准職員,厚労省の非常勤職員等の募集内容を周知したり,地方公共団体に受入要請をしたり,官民センターやハローワークの利用を周知したりすることに限られていた。 (b) 過去に国会や政府が一定の雇用確保措置等を講じてきたのは,各事例における個別具体的な事情に基づくものであって,全く事情の異なる本件各処分について,社保庁長官等が過去の措置と同様の水準での分限回避義務を尽くさなければならないとはいえない。 b 分限回避義務の時的範囲(a) 本件各処分の分限事由である官制の改廃による廃職が生じることが確定したのは,機構法が公布された平成19年7月6日であり,それ以前の段階において,社保庁長官等が分限回避義務を負うことはない。 そして,機構法には,職員承継規定は設けられていなかったものの,同法附則3条は,機構への業務の引継ぎや機構の設立に際して採用す- 45 -る職員の数や採用条件等について,政府が基本計画を定めることを求めており,同法附則8条は,機 けられていなかったものの,同法附則3条は,機構への業務の引継ぎや機構の設立に際して採用す- 45 -る職員の数や採用条件等について,政府が基本計画を定めることを求めており,同法附則8条は,機構職員の採用基準が示されることを前提として,社保庁職員の機構における採用の方法等について規定している。このように,機構法も,機構における社保庁職員の採用に関する事項や社保庁職員のその後の任免に関する事項については,政府による基本計画の策定を待って対処することを当然に予定していた。 (b) また,機構法に基づき,平成20年7月29日に本件基本計画が閣議決定されるまでは,社保庁職員が機構に採用されるか否かといった具体的な方向性は明らかでなかったから,社保庁長官等が具体的な分限回避措置を採るべき義務は発生していなかった。 (ウ) 分限回避義務の履行状況a 社保庁長官等は,自らの権限の及ぶ範囲内において,可能な限りの分限回避義務を履行した。すなわち,社保庁長官等は,その自己の権限の及ぶ範囲内において,社保庁職員の意向又は希望等を丁寧に聴取し,機構等の募集内容の周知並びに採用基準を満たす職員の名簿の作成及び提出を適正に行った上,各府省や地方公共団体等への社保庁職員の受入要請及び募集内容の周知等を可能な限り行った。 また,社保庁長官等は,これらの分限回避措置を採るに当たって,恣意的な取扱いをせず,全ての社保庁職員について,平等かつ公平に行った。 b 機構等への職員承継規定が設けられなかったのは,専ら国会の立法裁量の問題であるし,懲戒処分歴保有者が機構に採用されないことや機構の採用数等は,機構法附則3条に基づき閣議決定された本件基本計画により決定されたものであり,これらについて社保庁長官等は権限を有していなかった。 他府省への転任についても に採用されないことや機構の採用数等は,機構法附則3条に基づき閣議決定された本件基本計画により決定されたものであり,これらについて社保庁長官等は権限を有していなかった。 他府省への転任についても,懲戒処分歴保有者を優先的に他府省に転- 46 -任させるべき法的根拠がないだけでなく,これを行えば他の社保庁職員との間に不公正が生じることになるし,そもそも社保庁職員を受け入れるか否かは,各府省の任命権者が決定する事項であって,社保庁長官等は,他府省の官職への任命について何らの権限も有していなかった。 c 社保庁長官等以外の政府や厚労大臣の取組等は,本件各処分がされた当時の状況という事情にすぎず,本件各処分の適法性に影響を及ぼさない。 ただし,厚労大臣は,本省内部部局の既定定員枠,退職不補充による欠員の定員枠及び新たに行う年金業務に伴い増加した定員枠を活用して,業務内容に応じた人員確保という合理的な数の範囲内で,可能な限りの社保庁職員を転任により受け入れたほか,非常勤職員として社保庁職員を採用している。 なお,113名の残務整理定員は,飽くまで残務を処理するため暫定的に確保したものであり,その後,残務の円滑な処理の必要性等の合理的な理由により当該定員を利用しなかったものである。この残務整理定員を使って,平成22年1月から同年3月末まで国家公務員の身分を引き継ぎ,同年4月以降に他府省へ配置転換するということも考えられなくはないが,同月以降について,他府省から社保庁職員を受け入れる旨の申出がなかったため,このような残務整理定員枠を用いて社保庁職員を受け入れることはできなかった。また,同年4月の厚労省の新規採用定員枠は188名であったところ,この定員枠は,厚労省が,行革法に基づく定員削減を実施しなければならない上,社保庁職員の受入れ 庁職員を受け入れることはできなかった。また,同年4月の厚労省の新規採用定員枠は188名であったところ,この定員枠は,厚労省が,行革法に基づく定員削減を実施しなければならない上,社保庁職員の受入れのために,平成21年12月末日までに欠員不補充等の措置を講じなければならないという状況において,組織の年齢構成,組織体制維持のための新卒者採用の必要性等の諸般の事情を考慮し,新卒者を採用すべき必要- 47 -最小限度の定員数として決定し,同年8月頃に採用予定者の内定をしたものであり,この内定を取り消すなどしてまで,社保庁職員の転任枠を確保することは,採用予定者との関係における法的観点からも極めて困難であった。 政府や厚労大臣は,社保庁職員の機構等への採用や厚労省等への転任を実施するに当たり,適正な採用基準又は転任基準に基づいて,平等かつ公正にこれを実施しており,各人の希望に応じた分限回避義務も履行している。 そして,原告らは,いずれも厚労省の正規職員を希望したが,平等かつ公正な手続による書類審査及び面接審査を経た評価に基づき,限りある転任数の枠内で転任の可否が適正に判断された結果,いずれも転任がかなわなかったものである。 d 以上によれば,原告らを含む525名について,結果として,分限免職処分を回避することができなかったことは,やむを得ない結果というべきであって,社保庁長官等により行われた原告らに対する本件各処分が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできない。 ウ分限免職の必要性について本件各処分における分限事由は,法律改正による社保庁の廃止及びこれに伴う全ての職の廃止であり,これらは国会が行ったものであるから,社保庁長官等による裁量権の範囲の逸脱又はその濫用を論じる余地がない。 なお,国の行政機関が行 は,法律改正による社保庁の廃止及びこれに伴う全ての職の廃止であり,これらは国会が行ったものであるから,社保庁長官等による裁量権の範囲の逸脱又はその濫用を論じる余地がない。 なお,国の行政機関が行ってきた業務を公法人に担わせるに当たって,職員承継規定を設けるか否かは,専ら立法政策の問題である。そして,職員承継規定を設けなかったことは,非公務員型法人を創設し,公的年金制度に対する国民の信頼を確保するという目的との関係で必要かつ合理的な措置であった。 - 48 -エ人選の合理性について(ア) 人事院規則11-4第7条4項は,その規定ぶりからして,専ら国公法78条4号のうち,過員を生じた場合に関するものであり,廃職を生じて当該官職に就いていた職員全員が分限免職処分の対象となり得る場合を想定したものとは解されない。 ただし,廃職を生じた場合においても,分限免職処分をするに先立って同処分を回避する努力をする際,同法74条及び同規則7条4項の趣旨に従って公正に行うことが要請されていると解される。 (イ) 原告らが金融庁及び公取委への転任の対象とされなかったのは,金融庁及び公取委が示した採用条件に適合しなかったからであり,社保庁長官等が原告らを不平等・不公正に取り扱ったものではない。 (ウ) また,そもそも社保庁長官等は,機構等への採用や厚労省への転任について権限を有しなかったし,機構等への採用基準・審査は適正・公平なものであり,厚労省による転任候補者に対する面接審査も適正・公平に行われている。 オ説明・協議義務等について(ア) 国家公務員に対する分限免職処分については,行政手続法(以下「行手法」という。)の適用はなく,告知・聴聞の機会の付与は手続的要件とされていないし,憲法31条を直接の根拠として,告知・聴聞の手続 ) 国家公務員に対する分限免職処分については,行政手続法(以下「行手法」という。)の適用はなく,告知・聴聞の機会の付与は手続的要件とされていないし,憲法31条を直接の根拠として,告知・聴聞の手続が必要となるともいえない。 (イ) そして,本件各処分に至る過程においては,社保庁職員に対し,必要な都度,各種の情報提供が行われるとともに,複数回にわたる意向調査や説明等が行われているから,防御権が違法に制限されたともいえない。 また,社保庁長官等及び厚労大臣は,社保庁の廃止に当たり,社保庁の廃止や職員に対する分限免職処分一般に関する事項について,職員団体との間で複数回の交渉を行っている。 - 49 -(ウ) したがって,社保庁職員及び職員団体への説明や協議が不十分であったとはいえない。 カまとめ以上によれば,本件各処分については,社保庁長官等による裁量権の範囲の逸脱又はその濫用は認められないから,いずれも適法なものというべきである。 (3) 争点(3)(本件各処分の国賠法上の違法性及び社保庁長官等の過失の有無等)について(原告らの主張)ア社保庁長官等は,本件各処分に至るまでの期間において,分限免職処分を回避するために考慮すべき事情を厳密,慎重に考慮するとともに,考慮すべきでないことを考慮してはならず,適正な認識や評価を行い,分限回避回避義務を尽くした上でなければ,分限免職処分をしてはならない義務を負っていた。 しかし,社保庁長官等は,本件各処分に至るまでの期間において,分限免職を回避するために考慮すべき事情を厳密,慎重に考慮せず,一方で考慮すべきでないことを考慮し,誤った認識や評価に基づいて,本件各処分をしたものである。 したがって,社保庁長官等による本件各処分は,国賠法1条1項の適用上,原告らに対する違法 に考慮せず,一方で考慮すべきでないことを考慮し,誤った認識や評価に基づいて,本件各処分をしたものである。 したがって,社保庁長官等による本件各処分は,国賠法1条1項の適用上,原告らに対する違法行為に該当するものである。 イ社保庁長官等は,原告らに対する分限回避義務が果たされていないことを知り,又は容易に知り得たにもかかわらず,原告らに精神的損害が発生することが当然に予想される本件各処分をしたのであるから,社保庁長官等には,上記違法行為をしたことについて少なくとも過失がある。 ウ原告らは,別紙4「損害に関する原告ら主張」記載のとおり,違法な本件各処分により,職を奪われるとともに,現在の年金行政の行き詰まりに- 50 -責任があるかのように扱われ,計り知れない精神的苦痛を被ったところ,これに対する慰謝料は各100万円を下らない。 (被告の主張)ア人事院の判定により取り消された原告P13ら3名に対するものも含め,本件各処分は適法であるから,国賠法1条1項の適用上違法となることはないし,社保庁長官等に過失はない。 イ原告らの損害については争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件各処分の国公法78条4号の要件該当性)について(1) 関係法令の定め並びに前提事実(1)及び(9)によれば,原告らは,社保庁職員であったところ,機構法附則70条及び72条による国家行政組織法及び厚労省設置法の改正によって社保庁が廃止されたことに伴い,社保庁の全ての官職が廃止されたため,本件各処分を受けたものであることが認められる。 そうすると,本件各処分は,官制の改廃により廃職が生じた場合においてされたものであるから,国公法78条4号の要件を満たすものというべきである。 (2) これに対し,原告らは,国公法等が国家公務員の身分保障 と,本件各処分は,官制の改廃により廃職が生じた場合においてされたものであるから,国公法78条4号の要件を満たすものというべきである。 (2) これに対し,原告らは,国公法等が国家公務員の身分保障を定めている趣旨からすれば,同法78条4号は,当該国家公務員が従事していた職務そのものがなくなった場合等を指すというべきであり,本件のような場合も「廃職」に該当するとすれば,国家公務員を分限免職するためには,当該国家公務員が所属する部門を公法人化して業務委託すれば足りることになり,国家公務員の身分保障の趣旨は無に帰する旨主張する。 アそこで検討するに,本件においては,従前,国家行政組織法及び厚労省設置法に基づき社保庁が政府管掌年金事業等を所掌していたところ,機構法の制定等により,社保庁が廃止され,非公務員型の法人である機構等が同事業等を担うことになったものであり,公的性格を有する同事業等その- 51 -ものは存続しているものということができる。 イしかしながら,国民主権原理を採用する憲法は,行政の民主的統制の観点から,行政が担うべき事務の範囲及び内閣の下に置かれる行政組織の仕組みについて,国権の最高機関たる国会の立法により定めるべきものとしていると解され(1条,66条1項,73条4号参照),それを担う公務員についても,全体の奉仕者であると定めた上で,国民がその選定罷免権を有すると定めている(15条1項,2項)。そして,それを受けて国家行政組織法は,内閣府以外の国の行政機関の組織を法律で定めるものとした上(3条),行政機関の職員の定員に関する法律(以下「総定員法」という。)で常勤の職員の定員の総数の最高限度を定めた上,定員については政令に委任し,国公法は,上記のとおり,行政組織の変動に応じて国家公務員を分限免職することができると定 る法律(以下「総定員法」という。)で常勤の職員の定員の総数の最高限度を定めた上,定員については政令に委任し,国公法は,上記のとおり,行政組織の変動に応じて国家公務員を分限免職することができると定めているのである(78条4号)。 そうすると,公的事務を国家公務員に担わせるか,それともそれ以外の者に担わせるかについても,国民の代表者たる国会の立法により定められるべきものと解される。 確かに,国家公務員は,労働基本権の制約に対する代償として,憲法上の生存権保障の趣旨から,国公法において制度上整備された身分保障を受けているものの,同法は,上記のとおり,国民主権原理に基づく行政の民主的統制という憲法上の要請に基づき,行政組織の変動に関しては,廃職・過員が生じた場合に限り分限免職処分をするという限度で国家公務員の身分保障をしているにとどまり,その範囲を超える身分保障を憲法が国家公務員に保障しているものとは解されない。 また,原告らの主張によれば,法改正により行政機関が公法人化されたことに伴って当該行政機関の官職が廃止された場合であっても,国公法78条4号の「廃職」に該当せず,当該官職にあった国家公務員に対する分限免職処分をすることができないことになるが,上記のとおり,憲法が国- 52 -家公務員に対してこのような身分保障を与えていると解することはできないから,同号に規定する「廃職」の意義について原告らが主張するような解釈を採ることはできない。 したがって,国公法78条4号に基づく分限免職処分をすることができる場合について,当該国家公務員が従事していた職務そのものがなくなった場合等に限定すべき理由はなく,本件のように,従前行政機関が行っていた公的事務を国家公務員以外の組織に担わせる場合であっても,当該事務を職務としていた官職が廃止される ていた職務そのものがなくなった場合等に限定すべき理由はなく,本件のように,従前行政機関が行っていた公的事務を国家公務員以外の組織に担わせる場合であっても,当該事務を職務としていた官職が廃止されることになる以上,任命権者は同号に基づく分限免職をすることができるというべきである。そして,国公法等に基づく国家公務員の身分保障の趣旨については,分限免職処分をするに当たっての任命権者の裁量権行使の違法性を判断する際に考慮すべきものというべきである。 ウ以上によれば,原告らの上記主張は採用することができない。 (3) また,原告らは,社保庁から機構への移行に当たり,希望者全員を採用しない理由はないにもかかわらず,その採用を制限して,外部から1000名以上の職員を採用した上,機構法に職員承継規定が設けられなかったのは,国民の公的年金に対する信頼回復の観点から,懲戒処分歴保有者を機構から排除し,分限免職処分に追い込むという政府の方針に基づくものであり,分限免職の必要性はなかったし,このような信頼回復という目的で社保庁職員を分限免職することは国公法78条4号の制度趣旨から外れるものであって,同号の要件を満たさない旨主張する。 アしかしながら,仮に,機構が採用を希望する社保庁職員全員を採用したり,機構法に職員承継規定が設けられたりしたとしても,それらの者は機構法の施行時に法律上当然に国とは別の法人格を有する機構の職員となる結果,その際に国の行政機関の職員としての地位とともに国家公務員としての身分をも喪失するのであるから(前提事実(3)ア),機構が希望者全員- 53 -を採用しなかったり,上記規定が設けられなかったりしたことは,原告らが機構職員の地位を取得することができなかったことに関する違法性を基礎付ける事情とはなり得ても,同じく国家公務 全員- 53 -を採用しなかったり,上記規定が設けられなかったりしたことは,原告らが機構職員の地位を取得することができなかったことに関する違法性を基礎付ける事情とはなり得ても,同じく国家公務員の身分を喪失させる効果を有する本件各処分(分限免職処分)の違法性を根拠付ける事情になるとはいい難い。 この点を措くとしても,関係法令の定め及び前提事実(2)に加え,証拠(乙A4,A5)によれば,機構が採用を希望する社保庁職員全員を採用しなかったのは,外部から優れた能力を有する人材を積極的に採用するためであり,機構法に職員承継規定が置かれなかったのは,機構の業務にふさわしくない社保庁職員が漫然と機構に移ることを防ぐため,第三者機関による厳正な採用審査を経た上で,社保庁職員を機構職員として採用することとされたことによるものと認められる。そして,上記(2)イのとおり,国の行政機関が担っていた事務を公法人に担わせることにした場合に職員承継規定を設けるか否かについては,立法裁量に属するものであることをも勘案すれば,国民の公的年金に対する信頼回復を図る観点から,国会が機構法に上記規定を置かなかったことや,新たに発足する機構が,外部からの人材を積極的に採用する方針を採った結果,採用を希望する社保庁職員全員を採用しなかったことについて,これが不合理なものであって,本件各処分の違法をもたらすものとはいえない。 なお,原告らは,機構法の制定による社保庁の廃止及びその際に職員承継規定が設けられなかったという立法行為が憲法に違反する旨の主張はしていないし,仮にその旨の主張があったとしても,上記で述べたことからすれば,このような立法行為が直ちに憲法に違反するものと解することはできない。 イまた,前提事実(8)及び証拠(甲A194の1,乙A1からA8まで)に の主張があったとしても,上記で述べたことからすれば,このような立法行為が直ちに憲法に違反するものと解することはできない。 イまた,前提事実(8)及び証拠(甲A194の1,乙A1からA8まで)によれば,政府において,懲戒処分歴を有する社保庁職員を分限免職処分と- 54 -する目的で,国会に提出した機構法案に職員承継規定を設けなかったとは認め難く,むしろ,懲戒処分歴を有していたために機構等に採用されなかった社保庁職員のうち291名は,厚労省に転任されて分限免職処分を受けておらず,分限免職処分となった社保庁職員のうち過半数は懲戒処分歴を有しなかったことが認められる。 そうすると,政府において,国民の公的年金に対する信頼回復の観点から,懲戒処分歴を保有する社保庁職員を分限免職処分に追い込むといった目的を有していたとは認められない。 ウさらに,前提事実(1)及び(4)によれば,政府は,機構法附則3条に基づいて策定した本件基本計画において,懲戒処分歴を有する社保庁職員は機構の正規職員及び有期雇用職員には採用されない旨を定め,これにより,懲戒処分歴を有する原告P1ら11名は,機構職員に採用される可能性がなくなり,事実上,同原告らに対する本件処分につながったことが認められる。 しかしながら,まず,政府が本件基本計画に上記定めを設けたことは,機構職員の地位を取得することができなかったことに関する違法性を基礎付ける事情とはなり得ても,機構職員への採用と同じく国家公務員の身分を喪失させる効果を有する本件各処分の違法性を根拠付ける事情になるとはいい難いことは,上記アで述べたとおりである。 この点を措くとしても,前提事実(2)及び(4)のとおり,社保庁については,業務外閲覧,業者からの物品授受等の国家公務員倫理法違反,国民年金保険料免除等の 難いことは,上記アで述べたとおりである。 この点を措くとしても,前提事実(2)及び(4)のとおり,社保庁については,業務外閲覧,業者からの物品授受等の国家公務員倫理法違反,国民年金保険料免除等の不適正事務処理,及び無許可専従等の不祥事が生じ,これに対して多数の社保庁職員に対する懲戒処分や矯正措置が行われるという状況を受けて,公的年金業務を担う組織の改革について政府内で議論され,最終的に,機構法により,同業務を営む新たな非公務員型法人として機構が設立され,社保庁が廃止されたことが認められる。そして,前提事- 55 -実(1)のとおり,原告P1ら11名は,本件各処分の時点で,業務外閲覧をしたこと,カード管理懈怠により業務外閲覧を引き起こしたこと,無許可専従をしたこと又は無許可専従を惹起したことによる懲戒処分歴を有していたものである。この点,社保庁が取り扱う公的年金に対する国民の信頼が失われたことについては,他にいわゆる年金記録問題の存在がその原因の一つであり,同問題の発生の責任は社保庁職員のみに帰することができないものであったとしても,原告P1ら11名を含む社保庁職員による上記の業務外閲覧等もまた,国民の公的年金業務に対する信頼を失わせる原因の一つとなったことは否定することができない。 また,上記イのとおり,機構法に職員承継規定が置かれなかったのは,機構の業務にふさわしくない社保庁職員が漫然と機構に移ることを防ぐため,第三者機関による厳正な採用審査を経た上で,社保庁職員を機構職員として採用することとされたことによるものであるところ,機構法附則3条3項に基づき設置され,学識経験者から構成される再生会議は,懲戒処分歴を有する社保庁職員について,公正かつ厳格な審査を経た上での有期雇用職員への採用の可能性は残したものの,国民の公的年金業 附則3条3項に基づき設置され,学識経験者から構成される再生会議は,懲戒処分歴を有する社保庁職員について,公正かつ厳格な審査を経た上での有期雇用職員への採用の可能性は残したものの,国民の公的年金業務に対する信頼回復の観点から,正規職員には採用すべきでないとの内容の最終整理を示している(前提事実(4))。そして,政府は,最終整理が示された後の与党での議論を踏まえ,懲戒処分歴を有する社保庁職員について,有期雇用職員としても採用しないこととして,本件基本計画の閣議決定をしたものである(甲A29,A30,A194の1)。 これらの事実によれば,社保庁による公的年金業務については国民の信頼を損ねる事態が生じていたことなどから,信頼回復のために機構法が制定されたところ,政府は,同法に基づき設置された学識経験者の意見及び与党での議論を踏まえた上で,本件基本計画を策定したものということができる。 - 56 -そうすると,政府が,多数の社保庁職員に対して業務外閲覧等を理由とする懲戒処分等がされている状況下において,国民の公的年金制度に対する信頼回復を図る目的で,公的年金業務を担う新たな組織である機構を設立するに当たって,懲戒処分歴を有する社保庁職員を機構職員として採用しないという方針を採り,これを内容とする本件基本計画を閣議決定したことについては,上記目的の達成という観点からして,一定の必要性と合理性を肯定することができ,少なくとも,機構法附則3条が,政府に対し,基本計画において機構職員の採用についての基本的事項を定める権限を付与した趣旨を逸脱するものであったり,懲戒処分歴を有する社保庁職員を不公正・不平等に取り扱ったりするものとはいえないから,政府が本件基本計画を閣議決定したことが本件各処分の違法をもたらすものということはできない。 な のであったり,懲戒処分歴を有する社保庁職員を不公正・不平等に取り扱ったりするものとはいえないから,政府が本件基本計画を閣議決定したことが本件各処分の違法をもたらすものということはできない。 なお,原告らは,経験豊富な社保庁職員を機構職員として採用しなかった結果,機構の日常業務に支障を来している旨主張するが,仮にそうであったとしても,このような本件各処分後の事情は,本件各処分の適法性に影響を及ぼすものではないというべきである。 エこの点,原告らは,原告P1ら11名が懲戒処分を受けていたことについて,これらの懲戒処分が違法であるか,少なくとも懲戒処分歴があることを理由として分限免職処分とすることは,二重処分に該当して違法である旨主張する。 しかしながら,前提事実(1)及び弁論の全趣旨によれば,原告P13に対するものを除き,原告P1ら11名に対する懲戒処分は,いずれも裁判所又は権限ある行政機関により取り消されていないことが認められるから,これらの処分の効力を否定することはできないし,原告P13に対するものも含め,上記の懲戒処分に重大かつ明白な瑕疵があり,無効なものであると認めるに足りる主張立証も存在しないから,原告らの上記主張は採用- 57 -することができない。 また,上記(1)で述べたとおり,本件各処分は,機構法の制定により社保庁が廃止されたことに伴い,社保庁の全ての官職が廃止されたために行われたものであって,原告P1ら11名が懲戒処分歴を有することを理由としてされたものではないから,原告らの上記主張は前提が欠けるものである。さらに,実質的に,原告P1ら11名が懲戒処分歴を有していたことが本件各処分につながったものと見るとしても,分限処分と懲戒処分とでは,その趣旨,目的が異なるものであって,分限処分に当たって,懲戒処分 らに,実質的に,原告P1ら11名が懲戒処分歴を有していたことが本件各処分につながったものと見るとしても,分限処分と懲戒処分とでは,その趣旨,目的が異なるものであって,分限処分に当たって,懲戒処分歴が考慮されたとしても,直ちに二重処分の違法があるということはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。 オまた,前提事実(1),(6),(7)及び(9)によれば,原告P3ら4名については,懲戒処分歴がなく,機構等への採用を希望することが可能であったにもかかわらず,機構等に採用されることを希望せず,厚労省等への転任もされなかったため,本件処分に至ったものであることが認められる。 そうすると,機構が採用を希望する社保庁職員全員を採用しなかったり,機構法に職員承継規定が設けられなかったりしたこと,更には本件各採用基準により懲戒処分歴保有者が機構等に採用されなかったことは,そもそも原告P3ら4名に対する本件処分の違法性を基礎付けるものとはなり得ないというべきである。 カしたがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (4) 以上によれば,本件各処分は,国公法78条4号の要件に該当するものというべきである。 2 争点(2)(本件各処分についての裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無)について(1) 判断枠組みについてア国公法78条所定の分限制度は,公務の能率の維持及びその適正な運営- 58 -の確保の観点から,同条に定めるような処分権限を任命権者に認めるとともに,公務員の身分保障の見地から,その処分権限を発動し得る場合を限定したものと解される。また,同条は,その規定ぶりからして,任命権者に対し,同条4号に規定する事由が存在する場合においても,分限免職処分をするか否かについての裁量権を認めているものと解される。 を限定したものと解される。また,同条は,その規定ぶりからして,任命権者に対し,同条4号に規定する事由が存在する場合においても,分限免職処分をするか否かについての裁量権を認めているものと解される。 なお,この点,原告らは,同条が4号の場合に分限免職処分を義務付ける文言になっていないことを根拠に高度な分限回避義務が導かれる旨の主張をしているが,上記文言は,飽くまでも裁量権の有無やその内容・程度を判断する一つの考慮要素となるにすぎない。 そして,国公法78条に規定する分限免職処分については,同法27条,74条1項及び108条の7並びに人事院規則11-4第2条及び第7条4項に基づき,平等原則,公正基準及び不利益取扱い禁止に違反してはならないというほかは特段の法令上の制約は存在せず,同法78条各号の要件を満たす場合には,これらに違反しない限り,任命権者は分限免職処分をすることができるのが原則である。 しかしながら,国公法78条4号に基づく分限免職処分は,被処分者には何ら責められるべき事由がないにもかかわらず,その意思に反して免職という重大な不利益を課すものであるとともに,上記のとおり,任命権者には同処分をするか否かについての裁量権が認められていることからすれば,任命権者において,同処分を回避することが現実に可能であるにもかかわらず,同処分を回避するために努力すべき義務(分限回避義務)を履行することなく同処分をした場合には,当該処分は,任命権者が有する裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして,違法なものになるというべきである。 イこれに対し,原告らは,国公法78条4号に基づく分限免職処分は,組織の縮小や廃止等に伴い,個々の労働者に何らの帰責事由が存在しないに- 59 -もかかわらず,その意に反して離職させる点において,民間 に対し,原告らは,国公法78条4号に基づく分限免職処分は,組織の縮小や廃止等に伴い,個々の労働者に何らの帰責事由が存在しないに- 59 -もかかわらず,その意に反して離職させる点において,民間における整理解雇と共通しているから,同処分については,最低でも民間における整理解雇4要件を満たすべきである旨主張する。 しかしながら,いわゆる整理解雇4要件(4要素)は,労働契約関係における解雇権濫用法理(労働契約法16条)にその基礎を有するものであって,上記1(2)イで述べたとおり,憲法の規定する行政の民主的統制の要請を受けた国公法に基づく任用関係にある国家公務員に適用する基礎を欠くものである(同法22条1項参照)。 また,実質的に考えても,整理解雇4要件(4要素)とは,一般に,①人員削減の必要性,②解雇回避努力の有無,③人選の合理性,④手続の妥当性を総合的に考慮して,解雇権濫用の有無を判断するという判断枠組みを指すところ,国公法78条4号に規定する分限免職処分においては,同法自体が,同号に規定する場合には,①の人員削減の必要性が存在することを法定しているものといえるし,③の人選の合理性及び④の手続の妥当性についても,それぞれ同法78条及びこれを受けた人事院規則11-4第7条4項や同法89条等による定めが存在するから,同法78条4号に基づく分限免職処分について,整理解雇4要件(4要素)に基づいてその違法性を判断することが適切であるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 ウまた,原告らは,平等原則の観点から,国家公務員に対する分限免職処分をするに当たっては,国鉄を解体した際,行革法に基づき国家公務員を減員する際,及び公共サービス改革法に基づき公共サービスを民間業者に行わせる際などと同等の分限回避措置を 家公務員に対する分限免職処分をするに当たっては,国鉄を解体した際,行革法に基づき国家公務員を減員する際,及び公共サービス改革法に基づき公共サービスを民間業者に行わせる際などと同等の分限回避措置を採らなければならない旨主張する。 しかしながら,国公法78条4号に該当する事由が生じた場合,分限回避義務の履行として,どのような分限回避措置を採ることができたかや,それらの措置を現実にどの程度講じるべきであるかは,その時々の個別具- 60 -体的な事情によって異なるべきものであるところ,国鉄民営化,行革法に基づく減員又は公共サービス改革法に基づく取組等と,本件における社保庁の廃止とでは,その根拠法令や取り巻く状況が異なっており,このように事情の異なる事例と同様の措置を講じなかったからといって,本件各処分が直ちに平等原則に違反するものとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (2) 分限回避義務の主体についてア上記(1)で述べたとおり,国公法78条4号に基づく分限免職処分については,任命権者において,同処分を回避することが現実に可能であるにもかかわらず,分限回避義務を履行することなく同処分をした場合に,任命権者が有する裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法なものになるというべきである。 そうすると,上記の分限回避義務の履行の有無については,任命権者が,その法令上の権限に照らして可能な分限回避措置を採ったか否かという観点から判断するのが原則である。 イ一方,本件においては,前提事実(4)によれば,政府が機構法附則3条に基づいて閣議決定した本件基本計画は,不採用職員について,「退職勧奨,厚生労働省への配置転換,官民人材交流センターの活用など,分限免職回避に向けてできる限りの努力を行う」と ,政府が機構法附則3条に基づいて閣議決定した本件基本計画は,不採用職員について,「退職勧奨,厚生労働省への配置転換,官民人材交流センターの活用など,分限免職回避に向けてできる限りの努力を行う」としているところ,本件基本計画は,再生会議が取りまとめた最終整理を踏まえて策定されたものであり,同最終整理においては,「厚生労働省及び任命権者である社会保険庁長官は,退職勧奨,厚生労働省への配置転換など,分限免職回避に向けてできる限りの努力を行うべきである。また,官民人材交流センターの活用も図るべきである」とされていることが認められる。 そうすると,本件基本計画は,任命権者である社保庁長官等のみならず,厚労大臣に対しても,厚労省への転任を含め,分限免職処分の回避に向け- 61 -てできる限りの努力をすることを求めているものと認めるのが相当であり,厚労大臣は,内閣の一員として,閣議決定された本件基本計画に基づき,上記努力をすべき義務(分限回避義務)を負っていたものということができる。 そして,原告らに対する任命権者である社保庁長官等において,厚労大臣が上記分限回避義務を怠っているにもかかわらず,これを履行するよう促すなどせずに,漫然と国公法78条4号に基づく分限免職処分をした場合には,社保庁長官等が分限回避義務を履行することなく同処分をしたものとして,同処分は裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものになるというべきである。 ウこれに対し,原告らは,国家公務員の使用者は国民全体又はこれを代表する政府であり,これまで政府は,国鉄解体や行革法に基づく国家公務員の純減の際に政府全体として分限回避義務を果たしてきており,本件基本計画も政府全体で分限回避措置を採るために分限回避義務の主体を明示していないから,本件において分限回避義務を負 法に基づく国家公務員の純減の際に政府全体として分限回避義務を果たしてきており,本件基本計画も政府全体で分限回避措置を採るために分限回避義務の主体を明示していないから,本件において分限回避義務を負っているのは政府全体である旨主張する。 (ア) 確かに,国家公務員については,任命権者による任用行為により,国と当該国家公務員との間に権利義務関係が生じることになり,その意味では,国家公務員の使用者は国又は政府全体であるということも可能である。 しかしながら,上記1(2)イで述べたことからすれば,憲法は,行政組織を担う公務員の選定方法(任命権を有する機関等)も国会の立法により定めるべきものとしていると解されるのであり,それを受けて,国公法は,国家公務員関係の発生根拠となる任命権を終局的かつ独立的に各府省の長に与え,ある任命権者の任命権は,他の任命権者の任命権の対象となる官職には及ばないという制度を採用しており(55条1項),- 62 -分限免職処分についても,それぞれの任命権者が処分権限を有し,国又は政府が処分権限を有しているわけではない(61条,78条)。 そうすると,国公法78条4号に基づく分限免職処分をするに当たって履行されるべき分限回避義務について,任命権者にとどまらず,国又は政府が同義務を負っていると解することは,上記国公法の制度と整合しないし,上記のように解するべき十分な法的根拠が存在するともいえない。 (イ) それどころか,国公法78条4号に基づく分限免職処分について,政府全体が分限回避義務を負っていると解した場合,「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」に該当しても,総定員法1条1項に規定する政府全体の定員の総数の最高限度に満つるまで,転任による分限回避義務の履行が可能となること 制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」に該当しても,総定員法1条1項に規定する政府全体の定員の総数の最高限度に満つるまで,転任による分限回避義務の履行が可能となることから,国公法78条4号の「廃職」による分限免職処分はあり得ず,上記定員の総数の最高限度を超える「過員」を生じた場合に限って分限免職処分ができることになり,同号の明文規定に反することになる。 (ウ) また,証拠(甲A12,乙A61)によれば,政府は,国鉄解体や行革法に基づく国家公務員の純減の際に,政府全体の取組として,府省間での転任等を行ってきたことが認められるものの,これらは,上記(1)ウで述べたとおり,その時々の個別具体的事情に基づくものであって,国公法78条4号に基づく分限免職処分について,政府全体が分限回避義務を負っていることを示すものとはいえない。 (エ) さらに,本件基本計画が,不採用職員については,「退職勧奨,厚生労働省への配置転換,官民人材交流センターの活用など,分限免職回避に向けてできる限りの努力を行う」とのみ記載しており,分限回避義務の主体を明示していないことについては,本件基本計画が最終整理を踏まえて策定されたものであり,そこに例示された取組の内容が最終整理- 63 -において例示された取組の内容と同一であり,配置転換(転任)先も厚労省のみが明示されていること(前提事実(4))に照らせば,本件基本計画も,最終整理と同様に,分限回避義務の主体が厚労大臣及び任命権者たる社保庁長官等であることを前提とするものと理解するのが自然であるし,政府において,本件基本計画を閣議決定するに当たり,政府全体が分限回避義務を負うとの認識を有していたことをうかがわせる証拠も存在しない。 (オ) したがって,政府全体が分限回避義務 然であるし,政府において,本件基本計画を閣議決定するに当たり,政府全体が分限回避義務を負うとの認識を有していたことをうかがわせる証拠も存在しない。 (オ) したがって,政府全体が分限回避義務を負っていることを前提とする原告らの主張は,前提が欠けるものであって,これを採用することができない。 エまた,原告らは,仮に任命権者のみが分限回避義務を負うとすると,転任の可能な単位が小さい行政機関の職員ほど,分限回避措置が採られないことになり,結果において著しい不平等が生じる旨主張する。 しかしながら,国公法は,任命権者(同法55条2項に基づき機関の長から任命権の委任を受けた者も含む。)が有する法律上の権限の大小にかかわりなく,任命権者に対して同法78条4号に基づく分限免職処分をする権限を与えているところ,当該任命権者が法律上採り得る分限回避措置が限定されていることを根拠に,政府全体が分限回避義務を負うと解することはできないし,政府全体が分限回避義務を負うと解すると国公法78条4号の明文規定に反することになることは,上記ウ(イ)で述べたとおりである。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (3) 分限回避義務の時的範囲についてア原告らは,政府において,「ねんきん事業機構法案」が国会に提出された平成18年3月10日以降,少なくとも平成22年度中まで,分限回避義務を負っていた旨主張する。 - 64 -イしかしながら,平成19年7月6日に機構法が公布されるまでは,社保庁の廃止という本件各処分における分限事由は何ら決定されていなかったのであるから,同日以前の時点において,原告らに対する任命権者である社保庁長官等が分限回避義務を負っていたということはできない。 ウ一方,機構法の上記公布によって,平成22年4月 されていなかったのであるから,同日以前の時点において,原告らに対する任命権者である社保庁長官等が分限回避義務を負っていたということはできない。 ウ一方,機構法の上記公布によって,平成22年4月1日までに社保庁が廃止されるとともに,社保庁職員は当然に機構職員となるのではないことが明らかになっていたものということができる(同法附則1条,8条)。 しかしながら,機構法は,職員承継規定を設けなかったものの,機構職員の多くが社保庁職員から採用されることを想定しており(附則8条),その職員の採用についての基本的事項は,学識経験者の意見を聴いた上で,政府が基本計画において定めるものとされていたものである(附則3条)。 そうすると,機構法の公布時には,社保庁職員のうち,不採用職員や,機構職員の募集に応募せず,厚労省等への転任を希望する者がどの程度生じるかは全く明らかでなく,これを具体的に想定することも困難であったと考えられるから,この時点において,社保庁長官等において,現実的な分限回避措置を採ることは困難であって,社保庁長官等が具体的な分限回避義務を負っていたということはできない。 エ以上によれば,社保庁長官等及び厚労大臣が分限回避義務を負うのは,本件基本計画が閣議決定され,機構職員の必要人数や,懲戒処分歴保有者が機構職員に採用されないという機構職員採用についての基本的考え方が明らかになった平成20年7月29日以降であるというべきである。 なお,原告らは,本件各処分がされた後である平成22年度中も分限回避義務が存在する旨主張するが,本件各処分後の事情が本件各処分の適法性に影響することはないから,原告らの上記主張は採用することができない。 したがって,本件基本計画が閣議決定された平成20年7月29日以前- 65 -及び本件各処分がされ 情が本件各処分の適法性に影響することはないから,原告らの上記主張は採用することができない。 したがって,本件基本計画が閣議決定された平成20年7月29日以前- 65 -及び本件各処分がされた平成21年12月25日以降における分限回避措置に関する原告らの主張は,前提が欠けるものであって,これを採用することができない。 (4) 認定事実以上で述べた観点から,本件各処分について,任命権者(処分権者)である社保庁長官等が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものといえるかについて検討するに,前提事実に加え,証拠(項目ごとに掲記する。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア社保庁長官による取組(各項目に掲記するもののほか,前提事実(6),(7),甲A188の1,A189の1,A190の1,A191の1,A192の1,乙A97,証人P18,弁論の全趣旨)(ア) 機構等への採用(乙A12,A16,A20,A93)a 平成20年10月から同年11月にかけて,社保庁は,厚労省と共同して,社保庁職員全員に対し,厚労省への転任及び機構への採用等の希望を把握するため,準備調査票に基づく本件準備調査を実施した。 b 平成20年12月24日及び同月26日,社保庁は,設立委員会及び協会から本件各採用基準が提示されたことを受け,社保局に対し,同基準を職員全員に配付するよう通知した。 同月24日及び同月26日,社保庁は,社保局に対し,本件各採用基準を同月末日までに各職員に配付するとともに,本件各採用基準が社保庁LAN掲示板にも掲載してあることを周知すること,平成21年1月9日に全国社会保険事務局長等事務打合せ(以下「本件事務打合せ」という。)を開催する旨を連絡した。 同日,社保庁は,本件事務打合せにおいて,社保局長及び同 してあることを周知すること,平成21年1月9日に全国社会保険事務局長等事務打合せ(以下「本件事務打合せ」という。)を開催する旨を連絡した。 同日,社保庁は,本件事務打合せにおいて,社保局長及び同局総務課長等に対し,本件各採用基準及び本件意向調査の実施について説明し,同月- 66 -16日までに,全職員に対してこれらを周知するよう指示した。 上記の指示に基づき,社保庁職員に対しては,本件各採用基準の配付及び本件意向調査の実施に関する説明が行われた。 c 平成21年1月,社保庁は,社保庁職員全員に対し,機構等への採用及び厚労省への転任等の希望を確認するため,意向調査票に基づく本件意向調査を実施した。 d 同年2月16日,社保庁長官は,本件意向調査の結果及び人事記録に基づき,機構職員となることを希望した者1万1132名の中から,懲戒処分歴保有者14名を本件採用基準に合致しないとして除外し,機構職員となるべき者1万1118名を選定し,設立委員会に対して名簿を提出するとともに,協会職員となることを希望した者3077名の中から,懲戒処分歴保有者6名を改正協会採用基準に合致しないとして除外し,協会職員となるべき者3071名を選定し,協会に対して名簿を提出した。 e 同年5月19日,採用審査会は,社保庁長官から提出された名簿及び書類の審査を行った上で,面接をすることが必要と判断した者の面接審査を行い,機構職員としての採否を設立委員会に報告した。 同日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,上記名簿に登載された者のうち,正規職員として9613名,准職員として358名の採用を内定し,28名を不採用,残りの1119名を保留等とした。 また,協会は,社保庁長官から提出された名簿及び書類の審査を行った上で,同名簿に登載された者のうち,45名 名,准職員として358名の採用を内定し,28名を不採用,残りの1119名を保留等とした。 また,協会は,社保庁長官から提出された名簿及び書類の審査を行った上で,同名簿に登載された者のうち,45名の採用を内定した。 同年6月25日,社保庁は,設立委員会及び協会が上記採用内定をしたことを受け,これを内定を受けた社保庁職員に伝達した。 f 同年10月8日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,健康状態を理由として採否を保留していた社保庁職員161名について,- 67 -正規職員として59名,准職員として78名の採用を内定し,24名を不採用とした。 g 同年5月19日,設立委員会は,社保庁長官に対し本件採用基準を示して,准職員の1次追加募集を行った。 同年6月26日,社保庁は,社保局に対し,機構等への採用も厚労省への転任もされない社保庁職員(以下「支援対象職員」という。)のうち,本件採用基準を満たす者について,機構の准職員の1次追加募集に関する説明をするよう指示し,この指示に基づき,該当する職員に対する説明が実施された。 同年10月8日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,社保庁職員から准職員の1次追加募集に応じた160名について,准職員として154名の採用を内定し,6名を不採用とした。 h 同年12月1日,設立委員会は,社保庁長官に対し本件採用基準を示して,准職員の2次追加募集を行った。 同日,社保庁は,社保局に対し,支援対象職員のうち,本件採用基準を満たす者について,機構の准職員の2次追加募集に関する説明をするよう指示し,この指示に基づき,該当する職員に対する説明が実施された。 同月17日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,社保庁職員から准職員の2次追加募集に応じた61名について,准職員として60名の ,この指示に基づき,該当する職員に対する説明が実施された。 同月17日,設立委員会は,採用審査会からの報告を受け,社保庁職員から准職員の2次追加募集に応じた61名について,准職員として60名の採用を内定し,1名を不採用とした。 i 上記の経緯による機構職員の内定者は,合計1万2419名(正規職員1万0799名及び准職員1620名)であり,そのうち,社保庁職員からの内定者は,1万0322名(正規職員9672名及び准職員650名)であった。 (イ) 厚労省への転任要請- 68 -(甲A194の1,乙A12,A36の2,A37,A76)a 平成21年1月9日,社保庁総務部総務課長(以下「社保庁総務課長」という。)は,厚労省大臣官房人事課長(以下「厚労省人事課長」という。)に対し,本件基本計画において,不採用職員について分限免職を回避するための努力を尽くす必要があるとされていることなどから,厚労省への転任者の選考に当たっては,経験,勤務実績,面談結果等を踏まえて総合的な判断の下で積極的に採用するとの立場から選定をするよう依頼するとともに,厚労省の新規採用及び欠員補充に当たって,不採用職員からの転任について検討するよう依頼した。 b 同日,社保庁が実施した本件事務打合せにおいて,厚労省は,同省への転任は,本件意向調査で同省への転任を第1希望とした者から,書類審査及び面接審査の結果等を総合的に勘案して審査した上で決定する旨を説明し,その後,社保局長又は同局総務課長等から,社保庁職員に対しても同様の説明が行われた。 c 本件意向調査において,社保庁職員のうち6017名が厚労省への転任を第1希望とし,これらの者全員について面接審査が行われた。 同年6月25日,社保庁は,厚労省が同月22日までに1265名の転任を内定したことを受 おいて,社保庁職員のうち6017名が厚労省への転任を第1希望とし,これらの者全員について面接審査が行われた。 同年6月25日,社保庁は,厚労省が同月22日までに1265名の転任を内定したことを受け,これを内定を受けた社保庁職員に伝達した。 その後,社保庁は,厚労省が転任の追加内定をした都度,これを内定を受けた社保庁職員に伝達し,最終的に,1284名(そのほか15名が内定を辞退した。)の社保庁職員に対し,厚労省への転任の内定を伝達した。 (ウ) 地方再就職支援室の設置等(乙A30の1及び2)平成21年6月24日,社保庁は,社保庁職員から機構等への採用者及び厚労省への転任者が内定した結果,支援対象職員については,同年- 69 -12月31日時点で国公法78条4号に基づく分限免職処分となる可能性があることから,分限免職処分回避のための取組として,社会保険庁職員再就職等支援対策本部を設置し,同本部の下に,社会保険庁職員再就職等支援室(以下「再就職支援室」という。)を設置するとともに,各社保局に地方再就職支援室を設置することとした。 (エ) 他府省への転任要請(乙A42,A43の1及び2,A44,A91,A92)a 平成21年7月8日,厚労省人事課長は,各府省人事管理官会議幹事会において,各府省の人事担当課長等に対し,支援対象職員の転任による受入れについて協力要請をした。 平成21年7月9日から同年8月20日にかけて,社保庁総務課長は,支援対象職員の他府省への転任を実現するため,全府省の人事担当課長を往訪し,社保庁長官名義の要請書に基づき,各府省の事務次官等に対し,支援対象職員の受入れを要請した。 b また,社保庁は,各都道府県に所在する各府省の地方支分部局等に対して直接に受入れを要請するため,各府省の人事当局に対し 請書に基づき,各府省の事務次官等に対し,支援対象職員の受入れを要請した。 b また,社保庁は,各都道府県に所在する各府省の地方支分部局等に対して直接に受入れを要請するため,各府省の人事当局に対し,各府省の地方支分部局等への要請の可否を確認し,その結果,各府省の地方支分部局等において採用権限を有し,支援対象職員の受入れを要請することについての了解を得られた地方支分部局等に対して,受入れを要請することとした。 そして,平成21年8月11日及び同月31日,再就職支援室は,地方再就職支援室に対し,上記の確認の結果,直接,受入れを要請してよい旨の回答が得られた各府省の地方支分部局等に対して受入れを要請するよう連絡した。 c 上記の受入要請の結果,公取委及び金融庁から,受入れの回答があったが,その他の府省(厚労省は除く。)からは,受入要請に応じる- 70 -旨の回答はなかった。 具体的には,公取委から,①受入数は5名程度まで,②対象年齢は20歳代後半から40歳代半ばまで,③勤務地は東京,④業務の内容は,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反被疑事件の審査等,⑤勤務成績が優秀であり,同法違反被疑事件の審査等を行うに必要な能力を有する者(事務所調査業務又は事務所の滞納処分業務の経験がある者)との条件が示された。社保庁は,公取委への転任者が5名と少数であること,勤務地が東京とされていることを踏まえ,社保庁本庁,社会保険業務センター,東京及び神奈川の両社保局に所属する支援対象職員から,11名の候補者を選定して,その名簿を公取委に提出した。 また,金融庁から,①受入数は1名,②対象年齢は30歳前後の係長クラス,③勤務地は東京,④資金運用等の金融関連業務の経験者又はIT関係の知識を有する者,⑤人物的にしっかりしている者との条件が 。 また,金融庁から,①受入数は1名,②対象年齢は30歳前後の係長クラス,③勤務地は東京,④資金運用等の金融関連業務の経験者又はIT関係の知識を有する者,⑤人物的にしっかりしている者との条件が示された。社保庁は,同本庁及び社会保険業務センターに所属する支援対象職員から,4名の候補者を選定して,その名簿を金融庁に提出した。 上記各名簿に基づき,公取委及び金融庁による面接等が実施され,公取委に8名,金融庁に1名の転任が内定した。 (オ) 雇用調整本部の活用の打診(甲A194の1,A197)a 平成18年12月,与党協議会が社保庁を廃止することなどを内容とする「社会保険庁改革の推進について」を取りまとめた後,社保庁は,厚労省とともに,雇用調整本部に対し,社保庁の廃止に伴う社保庁職員の転任について,同本部の枠組みを活用することを要請した。 これに対し,雇用調整本部から,同本部を利用しての転任は,同年6月に国の行政機関の定員の純減を行うこととして閣議決定された事- 71 -項に基づく取組であり,同取組において,社保庁の廃止に伴う職員の転任を扱うことは,趣旨において全く異なり,不可能である旨の回答があった。 b 平成20年10月,本件基本計画が閣議決定されたことから,厚労省人事課長及び参事官は,雇用調整本部の総務参事官に対し,社保庁の廃止に伴う社保庁職員の転任に関して,同本部の枠組みを活用することができるか否かについて再度確認するとともに,平成22年度における同本部による厚労省に対する転任の受入れを免除してほしいことを要請した。 同年11月,厚労省及び社保庁は,雇用調整本部に対し,同本部の枠組みの活用の可否について確認するとともに,平成22年度において,同本部による厚労省への転任の受入れを免除してほしいことを要請した。 年11月,厚労省及び社保庁は,雇用調整本部に対し,同本部の枠組みの活用の可否について確認するとともに,平成22年度において,同本部による厚労省への転任の受入れを免除してほしいことを要請した。 しかし,雇用調整本部は,同月,同本部を活用することは不可能であるとともに,厚労省のみを特別扱いすることはできず,制度の趣旨に基づき,転任の受入れをしてもらう旨の回答をした。 (カ) 地方公共団体への採用要請(甲A196,乙A46)a 平成21年7月3日,社保庁は,全国知事会,全国市長会及び全国町村会に対し,地方公共団体において,欠員補充等のため採用予定がある場合などには,支援対象職員の選考採用について検討してほしい旨を文書により要請し,社保局からも,各地方公共団体に対し,同旨の要請をした。 b しかし,地方公共団体からの受入れの回答はなかった。 (キ) 官民センターの活用(乙A32の1,A46,A47の1から3まで)a 平成20年12月31日以降,各府省による職員の再就職のあっせ- 72 -んが禁止され(国公法106条の2第1項),国家公務員の再就職支援については,内閣府に設置された官民センターが一元的に行うことになった(同法18条の5から7まで)。 b 社保庁は,支援対象職員の再就職のため,官民センターにおける再就職のあっせんを活用した。具体的には,社保庁が同センターのシステムに支援対象職員の氏名等の基本情報を入力し,同職員がインターネットを通じて同システムにアクセスし,詳細な人材情報及び再就職希望を登録することとされた。 そして,人材情報等を登録した支援対象職員のうち,官民センターによる支援を希望する者について,社保庁が同センターに対して支援依頼を行った。社保庁は,再就職を希望する支援対象職員に対し,同センターに そして,人材情報等を登録した支援対象職員のうち,官民センターによる支援を希望する者について,社保庁が同センターに対して支援依頼を行った。社保庁は,再就職を希望する支援対象職員に対し,同センターに人材情報等を登録することが必要であることを説明し,その登録を促した。 c また,社保庁は,関係団体等を訪問し,官民センターへの求人情報の登録を要請した。 d 支援対象職員のうち348名が官民センターによる支援を受け,108名が同センターのあっせんにより再就職した。 (ク) ハローワークの活用(乙A48)平成21年7月3日,社保庁は,厚労省に対し,ハローワークを活用して求職活動を行う支援対象職員に対する支援を要請し,厚労省は,各都道府県労働局長に対し,同職員の再就職支援に協力するよう通知した。 同月13日,再就職支援室は,地方再就職支援室に対し,上記支援要請について通知した。 (ケ) 厚労省の非常勤職員への採用(乙A36の1,A50の1及び2)平成21年12月8日,再就職支援室は,地方再就職支援室に対し,地方厚生局(地方厚生支局を含む。以下同じ。)において,200名か- 73 -ら250名の非常勤職員を公募していることを支援対象職員に情報提供するよう通知した。 支援対象職員のうち192名が上記非常勤職員に応募し,152名が採用された。 (コ) 退職勧奨の活用(乙A30の1,A51の1及び2,A52)a 平成21年6月24日,社保庁は,社保局に対し,支援対象職員から,勧奨があれば応じたい旨の意思表示がある場合,勤続年数(年齢)にかかわらず,勧奨退職を認める旨を通知し,これに基づき,支援対象職員に対する説明がされた。 b 同年12月7日以降,社保庁は,支援対象職員に対し,退職勧奨をした上で,勧奨退職するか,分限免職処分 にかかわらず,勧奨退職を認める旨を通知し,これに基づき,支援対象職員に対する説明がされた。 b 同年12月7日以降,社保庁は,支援対象職員に対し,退職勧奨をした上で,勧奨退職するか,分限免職処分により退職するか,自己都合で退職するかの意思確認をするとともに,それぞれの場合の退職手当の額についても説明した。 イ京都社保局長による取組(各項目に掲記するもののほか,甲A188の2,A189の3,A190の2,A191の2,乙A98,弁論の全趣旨)(ア) 本件支援室の設置(乙A30の1及び2)平成21年6月24日,京都社保局は,社保庁の指示により,局長,P19次長及びP20課長から成る本件支援室を設置した。 (イ) 他府省への転任の要請(乙A43の1及び2,A77の1,A78の1及び2)a 平成21年7月,社保庁の指示により,京都社保局は,所管地区所在の法務省の地方支分部局等(京都府所在の地方法務局,刑務所,少年刑務所及び拘置所)への要請に係る担当事務局とされ,大阪社保局が,総務省,経済産業省,国土交通省の地方支分部局等(近畿管区行政評価局,近畿総合通信局,近畿経済産業局,近畿地方整備局及び近- 74 -畿運輸局)への受入要請に係る担当事務局とされた。 これを受けて,京都社保局は,京都地方法務局,京都刑務所,京都拘置所及び京都医療少年院に対して,大阪社保局は,近畿管区行政評価局,近畿経済産業局,近畿総合通信局,近畿運輸局及び近畿地方整備局に対して,それぞれ,支援対象職員の転任による受入れを要請した。 b 京都社保局は,京都労働局及び京都行政評価事務所に対しても,支援対象職員の転任による受入れを要請した。 (ウ) 地方公共団体への採用要請(乙A77の1)a 京都社保局は,京都府市長会を通じて京都府所在の各 ,京都労働局及び京都行政評価事務所に対しても,支援対象職員の転任による受入れを要請した。 (ウ) 地方公共団体への採用要請(乙A77の1)a 京都社保局は,京都府市長会を通じて京都府所在の各市に対して支援対象職員の選考採用を要請するとともに,京都市及び京都府に対して個別に要請した。 b しかし,要請先の各地方公共団体からは,上記の受入要請に応じる旨の返答はなかった。 (エ) 官民センターの活用(乙A47の1,A77の2)a 京都社保局は,企業年金連合会近畿地方協議会厚生年金基金部会京滋福支部,P21,京都府国民年金基金,P22病院,P23,P24,P25,P26,P27,P28共済組合及びP29労働金庫P30支店等の民間企業法人等を順次訪問して,官民センターへの企業登録の開拓を図った。 b 官民センターを利用して再就職した社保庁職員108名のうち,京都社保局職員は3名であった。 ウ厚労大臣が実施した取組(各項目に掲記するもののほか,甲A192の2から4まで,A193の2,乙A99,証人P31,弁論の全趣旨)(ア) 定員枠の確保- 75 -(甲A202,乙A40,A45の1から3まで,A82)a 厚労省は,総務省等の査定官庁に対する平成21年度組織・定員要求において,社保庁の廃止に伴い,厚労省が新たに行うこととなった年金業務(事業管理部門の業務,社会保険審査官等の業務,船員保険業務,年金記録)に伴う定員増及び第三者委員会に出向させる定員の合計706名が認められ,そのうち598名について,社保庁職員を転任により受け入れた(残りの定員のうち,年金業務に係る18名は国家公務員Ⅰ種採用職員が配置され,第三者委員会に係る90名は他府省からの出向者が配置された。)。 b 厚労省は,平成21年度の既定定員の により受け入れた(残りの定員のうち,年金業務に係る18名は国家公務員Ⅰ種採用職員が配置され,第三者委員会に係る90名は他府省からの出向者が配置された。)。 b 厚労省は,平成21年度の既定定員のうち,社保庁から出向を受けていた570名の定員については,そのまま社保庁職員を転任により受け入れた。 c 厚労省は,平成18年度から平成20年度までの国家公務員Ⅱ・Ⅲ種試験合格者の平均新規採用者数333名に対して,平成21年度における新規採用者数を195名に抑えた。また,平成21年度中に退職等により生じた欠員をできる限り補充しないこととした。 これにより,厚労省は,最終的に,平成21年12月末日において,106名の欠員を確保した(定員数2万7695名に対し,在職者数は2万7589名。)。 d 以上により,厚労省は,社保庁の廃止に伴い,定員増の枠内で598名及び既定定員の枠内で686名の合計1284名の社保庁職員を転任により受け入れた。 (イ) 厚労省への転任(甲A66,A188の3から6まで,A189の2及び4,A190の3及び4,A191の3及び4,A193の1,A194の1,A195,A196,A199,A231,乙A38,A39,A41,- 76 -A53,A79)a 平成21年1月1日,厚労省は,社保庁の廃止に伴って厚労省及び地方厚生局に転任する職員の選考等の事務を円滑に処理するため,事務次官,厚生労働審議官,大臣官房長,総括審議官及び人事課長等から成る厚生労働省職員等選考会議を設置した。 そして,厚労省は,本件意向調査において厚労省を第1希望とした6017名から,1284名(そのほか15名が内定を辞退した。)を厚労省への転任候補者として内定した。 社保庁職員を厚労省に転任するに当たっては,厚労省本省に493名 において厚労省を第1希望とした6017名から,1284名(そのほか15名が内定を辞退した。)を厚労省への転任候補者として内定した。 社保庁職員を厚労省に転任するに当たっては,厚労省本省に493名及び地方厚生局に791名の合計1284名を転任数とし,1級から8級の職員について,それぞれ級別に,厚労省本省及び地方厚生局ごとに転任数が定められ,この定員と級の枠内において,厚労省又は地方厚生局への転任がされた。 b 厚労省による転任候補者の選考については,書類審査(準備調査票,人事記録,出勤簿,休暇簿,健康診断書,勤務評価資料,処分関係資料の審査)及び面接審査の結果を総合的に勘案し,組織における転任予定数及び転任先の職務の内容に基づいて転任の可否が判断された。 厚労省への転任面接のうち,社保庁本庁,社会保険業務センター及び社会保険大学校の職員に対するものは,厚労省において,社保局及びその管轄区域内の社保事務所の職員に対するものは,各地方厚生局において,それぞれ実施されたところ,面接評価に偏りが生じることがないよう,統一された面接要領(以下「面接要領」という。)が設けられた。 c 面接を担当する面接官は,事前に被面接者に係る準備調査票,人事記録,出勤簿,休暇簿,健康診断書,懲戒処分・矯正措置の状況,人事評価書を審査し,その結果,面接において確認すべき留意事項があ- 77 -る場合は,面接の際,上記留意事項を確認して面接評価における判断材料の一つとしていた。 また,近畿厚生局においては,より子細な面接評価を実施するため,準備調査票を審査する際,面接票に「意向準備調査票の記載状況等評価」という評価欄を設け,準備調査票の記載状況を,A:丁寧に記載,意向,熱意が伝わる,B:特段なし(普通),C:熱意が伝わらない(記載誤り,乱筆等)とい る際,面接票に「意向準備調査票の記載状況等評価」という評価欄を設け,準備調査票の記載状況を,A:丁寧に記載,意向,熱意が伝わる,B:特段なし(普通),C:熱意が伝わらない(記載誤り,乱筆等)という3段階で評価し,面接評価における判断材料の一つとしていた。 d 面接要領において,面接審査は,被面接者1名に対しておおむね10分前後を目安に行われ,被面接者の人柄及び性向等について評定し,転任者が就くことが予想される官職への適否を判定することを目的とするものであり,その判定は5段階の評価基準(A:是非任用したい,B:任用したい,C:任用してもよい,D:任用には多少疑問がある,E:任用不可)に従って評定するものとされていた。 なお,近畿厚生局においては,このAからEまでの評価のうち,C評価(任用してもよい)に評価が集中することが予想されたことから,円滑な選考を実施するために,Cランクを上,中,下に区分し,より細分化した評定をした。 評定に当たっては,面接要領において,「志望動機の確認 ※本人の希望に反していないか」,「異動可能な範囲の確認(広域以外の場合は将来的な可否を確認)」,「希望分野の確認(保険医療指導監査部門,年金部門)」,「懲戒処分の確認(処分を受けた者は,改悛の情を確認)」,「労働関係部門への希望の有無及び船員保険担当経験の有無」,「書類の確認で留意点があった事項」,「健康状態の確認」等を確認することとされた。 面接官は,上記事項を参考に,被面接者の人柄及び性向等を総合的- 78 -に評価して,転任者が就くことが予想される官職への適否の判定として,AからEまでの評価基準に従い,評定をした。 e 面接要領においては,被面接者1名に対して面接官2名(総務管理官,総務課長,健康福祉課長及び指導養成課長等)で行うこととされ, への適否の判定として,AからEまでの評価基準に従い,評定をした。 e 面接要領においては,被面接者1名に対して面接官2名(総務管理官,総務課長,健康福祉課長及び指導養成課長等)で行うこととされ,面接官と被面接者が特別な関係(親族,友人,知人等)にある場合には面接官を交代し,また,社保庁人事グループの者は面接官にしないこと,面接の留意事項として,質問に当たっては,面接時間に極端な長短が生じないようにすること,評定及び判定に当たっては,面接票の項目ごとに評価の視点等を参考にしながら評定をするとともに,先入観や評価の厳しさの偏り等による誤差が生じないようにすることが定められていた。 f 近畿厚生局においては,平成21年2月2日から同月27日にかけて,合計10名の面接官が2名ずつのチームを組んで,1061名(そのうち,京都社保局及びその管轄区域内の社保事務所の職員は,原告らを含む140名)について,被面接者ごとに10分から15分程度の時間で面接を実施した。 近畿厚生局においては,同年3月19日,転任者選考会議において,級別に設定された転任数に基づき,転任面接の評価等を踏まえ,合計123名の転任者(1級が12名,2級が27名,3級が28名,4級が20名,5級が26名,6級が10名)が決定された。 なお,近畿厚生局においては,新たに欠員予定が生じるなどしたため,追加で8名の内定者が決定され,最終的に,131名の社保庁職員が同局に転任した。 (ウ) 残務整理定員の確保a 平成20年8月,厚労省は,平成21年度の組織・定員要求において,社保庁の廃止後に生じる職員の人事記録等の移管,退職手当の支- 79 -給,同年12月分の超過勤務手当の支給や社保庁が行った調達・契約案件の残務整理及び出納整理,国有財産の承継事務等を処理するため 庁の廃止後に生じる職員の人事記録等の移管,退職手当の支- 79 -給,同年12月分の超過勤務手当の支給や社保庁が行った調達・契約案件の残務整理及び出納整理,国有財産の承継事務等を処理するための残務整理定員を要求し,平成22年1月から同年3月までの暫定定員として,合計113名の定員が認められた。 上記残務整理定員の要求に当たっては,仮に,他府省が,通常の人事異動の時期である平成22年4月1日付けであれば社保庁職員を転任により受け入れることが可能となった場合に備え,同年1月1日から同年3月31日までの間,国家公務員としての身分を保有させておくための一時的な定員を確保するという意図もあった。 b しかし,その後,社保庁廃止後の残務の内容が具体化するにつれ,残務整理に要する期間が短い業務(平成22年3月31日までの対応が不要な業務)が多数存在することが明らかになったほか,社保庁廃止時点で実際に当該業務に従事していた職員が,同廃止後の残務整理をそのまま担当することが円滑な事務処理に不可欠であると判断されたため,残務整理は,厚労省年金局,地方厚生局及び機構職員が対応することとなった。 また,社保庁による要請に対し,他府省による平成22年4月期での転任受入れの回答はなかった。 c そのため,厚労省は,残務整理定員を利用することはなかった。 (エ) 非常勤職員の募集(乙A36,A50の1及び2)平成21年12月1日,厚労省は,支援対象職員に対する雇用確保の一方策として,非常勤職員を200名から250名程度公募した。 支援対象職員のうち192名が上記非常勤職員に応募し,152名が採用された。 (5) 分限回避義務の履行の有無についてア上記認定事実によれば,原告らに対する任命権者である社保庁長官等は,- 80 -平成20年7 名が上記非常勤職員に応募し,152名が採用された。 (5) 分限回避義務の履行の有無についてア上記認定事実によれば,原告らに対する任命権者である社保庁長官等は,- 80 -平成20年7月29日に本件基本計画が閣議決定された後,①同年10月及び同年11月,雇用調整本部に対し,同本部の枠組みの活用を要請したこと,②同年12月24日及び同月26日に設立委員会及び協会から本件各採用基準が提示されたことを受け,同基準を社保庁職員全員に対して配付するなどして,その内容の周知を図るとともに,懲戒処分歴を有するために本件各採用基準を明らかに満たさない職員のみを除外して,設立委員会及び協会に対して名簿を提出し,機構の准職員が追加募集された際には,職員に対して同募集の内容を説明するなどしたこと,③厚労省に対して,社保庁職員の転任を要請したこと,④平成21年6月24日,支援対象職員を支援するため,再就職支援室及び地方再就職支援室を設置するとともに,他府省への転任や地方公共団体への採用を要請したこと,⑤官民センターへの企業登録の開拓を図るとともに,支援対象職員に対し,同センターやハローワークを活用しての再就職を促したり,厚労省の非常勤職員の公募の情報提供をしたりしたほか,勤続年数(年齢)にかかわらず,退職手当の割増しが受けられる勧奨退職を認めることとしたことが認められる。 また,上記認定事実によれば,厚労大臣は,平成20年7月29日に本件基本計画が閣議決定された後,①同年8月頃に採用を内定する平成21年度の新規採用数を抑制するとともに,同年度中に生じた欠員をできる限り補充しないこととして,同年12月末の時点で106名の空き定員を確保したこと,②社保庁の廃止に伴う定員増及び既定定員(上記空き定員を含む。)を利用して,合計1284名の社保庁職員を 欠員をできる限り補充しないこととして,同年12月末の時点で106名の空き定員を確保したこと,②社保庁の廃止に伴う定員増及び既定定員(上記空き定員を含む。)を利用して,合計1284名の社保庁職員を転任により受け入れたこと,③平成21年度組織・定員要求において,平成22年4月に社保庁職員が他府省に転任する際にも利用することが可能な113名の残務整理定員を確保したこと,④平成21年12月,支援対象職員の雇用確保のため,非常勤職員を公募したことが認められる。 そして,前提事実(8)によれば,社保庁長官等及び厚労大臣による分限回- 81 -避措置により,平成21年12月時点で社保庁職員であった1万2566名のうち,1万0069名が機構に,45名が協会にそれぞれ採用され,厚労省に1284名,金融庁に1名及び公取委に8名がそれぞれ転任し,631名が勧奨退職により,3名が自己都合により退職することになり,原告らを含む525名(そのうち401名は,分限免職処分により退職手当が割増しされる制度の適用を希望していた。)について,分限免職処分を受けたことが認められる。 イ本件においては,前提事実(3)及び(4)並びに証拠(乙A45の1から3まで)によれば,機構法には職員承継規定が設けられず,本件基本計画において,懲戒処分歴保有者は機構職員に採用されず,おおむね1000名程度が外部(民間)から機構に採用されることとなったことから,機構職員に採用されず,社保庁の廃止に伴って分限免職処分となる社保庁職員が相当数生じることが想定されたものの,閣議決定に基づく定員の純減や雇用調整本部を通じての転任の取組がされている中で,他府省による社保庁職員の受入れは非常に困難な状況にあったものと認められる。 このような状況の下で,社保庁が廃止され,その全職員が分限免職 の純減や雇用調整本部を通じての転任の取組がされている中で,他府省による社保庁職員の受入れは非常に困難な状況にあったものと認められる。 このような状況の下で,社保庁が廃止され,その全職員が分限免職処分の対象たり得たところ,社保庁長官等及び厚労大臣が,上記のような各種の分限回避措置を採り,これが一定の成果を上げた結果,分限免職処分をされた者は最終的に525名(そのうち401名は,分限免職処分により退職手当が割増しされる制度の適用を希望していた。)にとどまったものであり,任命権者である社保庁長官等において,上記525名の分限免職処分をも回避することが現実に可能であったとは直ちにいえず,社保庁長官等及び厚労大臣による分限免職処分を回避するための努力が不十分であったともいえない。 ウこれに対し,原告らは,定員枠の活用による分限回避義務の履行可能性について主張するところ,そのうち,本件基本計画の閣議決定後において- 82 -厚労大臣及び社保庁長官等が採るべき分限回避措置としては,①厚労省に懲戒処分歴保有者を転任させ,それに伴い厚労省に転任することができなかった者について,機構発足時に欠員となっていた定員枠等を活用すること,②雇用調整本部経由での他府省からの受入れ中止,③平成20年における厚労省の追加採用分の定員の活用,④平成21年4月の新規採用158名の抑制,⑤平成21年度途中での欠員枠の活用,⑥平成21年5月のハローワークの任期付職員の定員増の活用,⑦第三者委員会の定員活用,⑧厚労省の労働部門の定員活用,⑨残務整理定員の活用,⑩厚労省から機構への出向者分の定員活用を主張するものと解される。 なお,厚労大臣及び社保庁長官等は,機構等による採用,他府省への転任や他府省の採用抑制について権限を有しないから,これらの要請を行ったにもかか 構への出向者分の定員活用を主張するものと解される。 なお,厚労大臣及び社保庁長官等は,機構等による採用,他府省への転任や他府省の採用抑制について権限を有しないから,これらの要請を行ったにもかかわらず,それらが実現しなかったことをもって,厚労大臣及び社保庁長官等に分限回避義務違反があったと評価することはできない。 (ア) 上記①について原告らは,機構発足時の欠員数が471名で,平成22年5月末までに退職した109名も含めれば580名の定員枠が空いていたから,政府と機構が連携して,厚労省を含む各府省に懲戒処分歴保有者を転任させ,機構に採用される資格を有する者を機構に採用させれば,525名分の定員枠を確保し,分限免職処分を回避することは可能であった旨主張する。 しかしながら,社保庁長官等及び厚労大臣において,懲戒処分歴を有しない者に比べて,これを有する者を優先的に厚労省等に転任させる義務を負っていたとはいえないし,そもそも懲戒処分歴保有者を優先するということは,平等取扱い及び公正基準の観点からも問題があるといわざるを得ない。 また,機構法上,機構職員の採用について権限を有するのは設立委員- 83 -会であり,社保庁長官等や厚労大臣は,これについて何ら権限を有しないから,上記のような手段によって分限免職処分を回避することが現実的に可能であったとも直ちにいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (イ) 上記②について原告らは,厚労大臣において,雇用調整本部経由での他府省からの受入れを中止すべきであった旨主張する。 しかしながら,認定事実ア(オ)及び証拠(乙A45の1及び2,A83,A86)によれば,雇用調整本部を活用しての府省間転任については,閣議決定に基づいて行われていた取組であり,厚労省 旨主張する。 しかしながら,認定事実ア(オ)及び証拠(乙A45の1及び2,A83,A86)によれば,雇用調整本部を活用しての府省間転任については,閣議決定に基づいて行われていた取組であり,厚労省においても,同閣議決定に基づき,同本部が決定した人数を他府省から受け入れることを義務付けられていたところ,厚労省は,平成20年10月及び同年11月,同本部に対して,平成22年度の転任の受入れを免除してほしい旨の要請をしたものの,これが受け入れられなかったことが認められるから,厚労大臣において,同本部経由での他府省からの受入れを中止することが現実的に可能であったとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (ウ) 上記③について原告らは,厚労大臣は,本件基本計画の閣議決定後,厚労省における追加採用の際,懲戒処分歴保有者を優先させる必要があった旨主張する。 しかしながら,上記(ア)で述べたとおり,懲戒処分歴保有者を優先させるべきであったということはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。 (エ) 上記④について原告らは,平成21年4月の新規採用数である158名を抑制すべきであった旨主張する。 - 84 -しかしながら,証拠(甲A197,A199,A202,証人P31)によれば,厚労省は,それぞれの組織の年齢階層別人員数に偏りが生じないようにし,約950か所に及ぶ厚労省の各組織・機関の将来を担っていく人材の確保・育成のために最低限必要な人数として,平成20年4月の228名より相当少ない158名を平成21年4月に採用したものと認められる。 そして,厚労省において,新規採用数を上記158名よりも抑制するとともに,当該抑制部分の定員を平成22年1月1日の機構法施行まで欠員のまま維持してい を平成21年4月に採用したものと認められる。 そして,厚労省において,新規採用数を上記158名よりも抑制するとともに,当該抑制部分の定員を平成22年1月1日の機構法施行まで欠員のまま維持していたとしても,業務の円滑な運営や人材の確保・育成という観点から支障が生じなかったと認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (オ) 上記⑤について原告らは,平成21年6月末における厚労省の欠員数は382名であり,これに新規採用者数195名(うち158名が4月採用)を併せた合計577名を社保庁からの転任者で充てれば,分限免職処分を回避することができ,また,同年12月末の厚労省の欠員数は106名となっているところ,追加採用者数及び他府省からの受入数を除けば,厚労省は,休職者・出向者の復帰等で170名以上を補充し,意図的に転任者の受入可能数を減少させたものと考えられる旨主張する。 しかしながら,証拠(乙A89)及び弁論の全趣旨によれば,厚労省の欠員数が平成21年6月末日に382名に増加し,同年12月末に106名に減少したのは,平成20年末のいわゆるリーマンショックを受けて,ハローワークの人員体制を緊急で強化する必要が生じ,平成21年5月29日に成立した補正予算により,時限的措置として,304名の定員増措置が講じられたものの,これらの職員の採用が同年7月1日に行われたことから,当該304名の定員が欠員として計上されたため- 85 -に欠員数が増加し,その後,上記職員の採用が行われたため欠員数が減少したことによることが認められ,社保庁職員を転任することができる欠員が存在したということはできない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (カ) 上記⑥について原告らは,平成21 によることが認められ,社保庁職員を転任することができる欠員が存在したということはできない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (カ) 上記⑥について原告らは,平成21年5月のハローワークの任期付職員の定員304名増についても,社保庁職員の分限免職処分回避のために活用すべきであった旨主張する。 しかしながら,証拠(甲A197,A241,乙A89)及び弁論の全趣旨によれば,上記304名の任期付職員は,平成20年末のいわゆるリーマンショックを受けて,ハローワークの人員体制を緊急で強化するために補正予算で講じられた定員措置であり,任期付職員であって即戦力としての専門性が要求され,かつ,社保庁廃止以前に要員を緊急で確保する必要があったことから,社保庁職員の転任に用いることはできなかったものと認められる。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (キ) 上記⑦について原告らは,社保庁からの年金記録確認業務の移管に伴って第三者委員会に認められた252名の定員のうち,社保庁職員が転任したのは162名にとどまっており,残りの90名についても社保庁職員が転任されるべきであった旨主張する。 しかしながら,証拠(乙A81)及び弁論の全趣旨によれば,第三者委員会は,公正な第三者の立場で独立して年金記録を確認する組織であり,その職員全員を社保庁職員からの転任者とすることは,第三者委員会の中立性・公正性を確保するために望ましくないと考えられたため,他府省からも一部の者が出向することとされたものと認められる。 - 86 -したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (ク) 上記⑧について原告らは,厚労省の労働部門における社保庁職員の転任が66名にとどまり,そのうち新規採用抑制等による採 86 -したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (ク) 上記⑧について原告らは,厚労省の労働部門における社保庁職員の転任が66名にとどまり,そのうち新規採用抑制等による採用は60名にすぎず,社保庁職員に対する分限回避義務の履行に向けて何の積極性も示さなかった旨主張する。 しかしながら,厚労省の労働部門において,業務の円滑な遂行に支障を来すことなく,更なる新規採用抑制等をして,より多くの社保庁職員を受け入れることが可能であったことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (ケ) 上記⑨について原告らは,厚労省に認められていた113名の残務整理定員を活用すべきであった旨主張する。 しかしながら,認定事実ウ(ウ)によれば,上記定員については,平成22年4月1日付けでの他府省への社保庁職員の受入れのために用いることも想定されていたものの,実際には,同日付けで社保庁職員を受け入れる他府省は存在しなかったことから,上記定員は用いられなかったことが認められる。 また,証拠(甲A199,A202)及び弁論の全趣旨によれば,厚労省は,平成22年4月1日に188名の新規採用をしたものであるところ,この188名については,厚労省が,行革法に基づく定員削減を実施しなければならない上,社保庁職員の受入れのために,平成21年12月末日までに欠員不補充等の措置を講じなければならないという状況において,それぞれの組織の年齢階層別人員数に偏りが生じないようにし,約950か所に及ぶ厚労省の各組織・機関の将来を担っていく人材の確保・育成のために最低限必要な人数として決定し,同年8月頃に- 87 -採用予定者の内定をしたものであることが認められる。そして,厚労省において,新規採用数を上 ・機関の将来を担っていく人材の確保・育成のために最低限必要な人数として決定し,同年8月頃に- 87 -採用予定者の内定をしたものであることが認められる。そして,厚労省において,新規採用数を上記188名よりも抑制したとしても,業務の円滑な運営や人材の確保・育成という観点から支障が生じなかったと認めるに足りる証拠はない。 したがって,平成22年1月から同年3月までの間について残務整理定員を活用することによって,同年4月に他府省又は厚労省に社保庁職員を転任させることができたとはいえないから,原告らの上記主張は採用することができない。 (コ) 上記⑩について原告らは,厚労省が機構に対する業務支援のために出向させていた147名の欠員を活用すべきであった旨主張する。 しかしながら,上記の147名は,機構からの要請を受けて業務支援のために一時的に出向していたものであるから,出向終了後に出向者を厚労省に復帰させるためには,147名分の欠員を維持しておく必要があったものと考えられ,この欠員枠を社保庁職員の受入れに充てることが可能であったとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 エ以上によれば,社保庁長官等において,本件各処分をするに当たり,現実に可能な分限回避義務の履行を怠ったり,また,厚労大臣が分限回避義務の履行を怠っているのを漫然と放置したりしたということはできず,社保庁長官等が本件各処分をしたことが裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできない。 (6) 人選の合理性についてア原告らは,本件各処分に当たり,人事院規則11-4第7条4項に基づく人選基準が定められなかっただけでなく,近畿厚生局への転任手続及び機構等への採用手続が不公正であったから,公正な人選が行われなかった- らは,本件各処分に当たり,人事院規則11-4第7条4項に基づく人選基準が定められなかっただけでなく,近畿厚生局への転任手続及び機構等への採用手続が不公正であったから,公正な人選が行われなかった- 88 -旨主張する(ア) しかしながら,関係法令の定め並びに前提事実(8)及び(9)によれば,機構法の施行により社保庁が廃止されたことによって,全ての社保庁職員が分限免職処分の対象となり得たところ,大多数の社保庁職員は,社保庁が廃止されるまでの間に,機構等における採用,厚労省への転任等又は官民センターを活用した民間企業等への再就職をしたり,退職勧奨に応じて退職をしたりしたことによって分限免職処分の対象とはならなくなったが,これらの職員以外の525名の社保庁職員については,一律に分限免職処分とされたものであり,複数の候補者の中から分限免職処分の対象とする者の選定がされたものではないから,人事院規則11-4第7条4項を適用する前提が欠けるものというべきである。 (イ) 一方,国公法27条及び74条1項並びに人事院規則11-4第2条及び第7条が平等原則及び公正基準を定めていることからすれば,任命権者は,同法78条4号に基づく分限免職処分をするに当たっての分限回避義務を履行する際,職員に対して平等かつ公正な取扱いをすべき義務を負っているというべきであり,原告らが人選の不合理性として主張する事情については,この趣旨において捉えることが可能である。 (ウ) まず,近畿厚生局への転任手続について検討する。 a 認定事実ウ(イ)によれば,厚労省への転任は,転任を受け入れる定員枠及び職務の級の制約がある中で,厚労省を第1希望とした6017名の社保庁職員について,書類審査及び面接審査に基づき,特に面接審査については,被面接者の人柄及び性向等に 転任は,転任を受け入れる定員枠及び職務の級の制約がある中で,厚労省を第1希望とした6017名の社保庁職員について,書類審査及び面接審査に基づき,特に面接審査については,被面接者の人柄及び性向等について評定し,転任者が就くことが予想される官職への適否を判定する目的で行われたものであるところ,この面接は,面接要領に基づき,全国統一的に行われたものであり,その実施態様や内容が不公正・不平等であったとは認められない。 - 89 -b これに対し,原告らは,本件転任面接について,面接官が,厚労省への転任が分限回避措置として位置付けられているとの認識を有していなかったから,このような転任手続が適正な人員を選定するという観点から行われたものでないことは明らかである旨主張する。 しかしながら,認定事実ウ(イ)によれば,面接官は,面接要領に基づき,転任者が就くことが予想される官職への適否を判定することを目的として,原告らに対する本件転任面接を実施したことが認められるところ,上記のとおり,約6000名の転任希望者の全員を受け入れるだけの定員枠は厚労省に存在しない以上,転任希望者の選別が必要となるだけでなく,被面接者は,厚労省に転任した場合,転任先での職務に従事することになるのであるから,公務能率の維持という観点からすれば,上記の目的で本件転任面接がされたことも必要かつ合理的なものであったということができる。 そして,面接官が,厚労省への転任が分限回避措置として位置付けられているとの認識を有していなかったとしても,そのことのみで直ちに本件転任面接が不平等・不公正なものとなるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 c また,原告らは,本件転任面接の時間が短時間であったことや準備調査票の記載を評価の対象にしたこと 平等・不公正なものとなるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 c また,原告らは,本件転任面接の時間が短時間であったことや準備調査票の記載を評価の対象にしたことが不公正である旨主張する。 しかしながら,認定事実ウ(イ)によれば,厚労省は,面接要領に基づき,面接時間について,被面接者1名当たりおおむね10分前後という時間を一律に決めて実施していたものであり,原告らに対してのみ不平等な扱いをしていたとは認められない上,約6000名から約1300名を上記面接等で選定したことをも併せ考慮すれば,面接時間の長さのみをもって本件転任面接が不公正であったということはできない。 - 90 -また,認定事実ウ(イ)によれば,近畿厚生局においては,本件転任面接に当たって,準備調査票の記載内容等も評価の対象としていたことが認められるところ,上記記載内容等も転任者が就くことが予想される官職への適格性を計る指標となり得るものであるから,面接評価に当たっての判断材料の一つとしたとしても不公正であるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 d さらに,原告らは,原告P4,同P6及び同P7について,公務災害である精神疾患を発病しており,このような公務災害により療養中の者を分限免職処分の対象者とすることは許されない旨主張する。 しかしながら,上記原告らは,いずれも公務災害の認定請求すらしておらず(甲B4の3,弁論の全趣旨),同原告らの精神疾患が公務災害に該当するものと認めるに足りる証拠はない。 また,近畿厚生局への転任に当たっては,転任者が就くことが予想される官職への適否を判定する必要があったといえるから,原告らの健康状態も評価の対象とすることが不合理であったとはいえない。 したがって,原 ,近畿厚生局への転任に当たっては,転任者が就くことが予想される官職への適否を判定する必要があったといえるから,原告らの健康状態も評価の対象とすることが不合理であったとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 e また,原告らは,原告P3及び同P4が夫婦共に分限免職処分となったことが不合理である旨主張する。 しかしながら,たまたま配偶者が社保庁職員であるからといって,近畿厚生局への転任に当たって優遇すべき理由はないし,そもそも原告P3及び同P4は,夫婦共に,機構等への応募も可能であったにもかかわらず,機構等への採用を希望せず,厚労省等への転任のみを希望した結果,いずれも転任が認められず,夫婦共に分限免職処分に至ったものであるから,同処分についてはやむを得なかったものといわざるを得ない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 - 91 -(エ) 次に,機構等への採用手続について検討する。 a 原告らは,社保庁職員に対して,機構への採用に関する説明が行われなかったり,協会採用基準等が周知されなかったりした旨主張する。 しかしながら,認定事実ア(ア)及び証拠(乙A12)によれば,社保庁職員に対しては,本件採用基準及び機構の労働条件が書面で配付されるとともに,社保庁LAN掲示板にも掲載され,本件意向調査に当たっては,社保庁職員に対して,本件採用基準及び本件意向調査の実施に関する説明も行われていることが認められる。 また,前提事実(7),認定事実ア(ア)及び証拠(乙A12,A23の1及び2,A34)によれば,社保庁は,協会職員の募集及び追加募集の際,社保庁職員に対し,協会採用基準等を周知したものと認められる。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 b 原告らは,本 34)によれば,社保庁は,協会職員の募集及び追加募集の際,社保庁職員に対し,協会採用基準等を周知したものと認められる。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 b 原告らは,本件採用基準は病気休職者を殊更に不利益に取り扱うものであった旨主張する。 しかしながら,証拠(乙A10の1,A12)によれば,本件採用基準では,心身の故障により長期にわたって休職中の者であっても,回復の見込みがあり,長期的に見て職務遂行に支障がないと判断される健康状態であれば,機構に採用される可能性はあり,また,機構の労働条件においても,一定期間の病気休暇及び病気休職の制度が存在したことが認められるから,本件採用基準が病気休職者を殊更に不利益に取り扱うものであったとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 c 原告らは,協会採用基準等が懲戒処分歴のある社保庁職員を殊更不利益に扱うものであった旨主張する。 しかしながら,上記1(3)で述べたところによれば,国民の信頼回復- 92 -の観点から,協会採用基準等が,懲戒処分歴のある社保庁職員に対して厳格な採用基準を設けたことも不合理であるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 イ以上によれば,社保庁長官等及び厚労大臣が,社保庁職員に対する分限回避措置を採るに当たって,不平等又は不公正な取扱いをしたものということはできない。 (7) 説明・協議義務についてア原告らは,国公法78条4号に基づく分限免職処分に当たっては,適正手続の観点から,被処分者に対する告知及び聴聞並びに職員団体との誠実な協議がされなければならないが,本件各処分に当たっては,原告らが納得することのできるような説明や誠実な協議は行われなかった旨主張する。 イ ら,被処分者に対する告知及び聴聞並びに職員団体との誠実な協議がされなければならないが,本件各処分に当たっては,原告らが納得することのできるような説明や誠実な協議は行われなかった旨主張する。 イしかしながら,国家公務員に対する分限免職処分には行手法の適用はないところ(同法3条1項9号),国公法上,同処分については,処分の事由を記載した説明書の交付(89条)のみが手続要件とされており,被処分者に対する告知及び聴聞の機会の付与並びに職員団体との協議は,その手続要件とされていないし,憲法31条に基づき,これらの手続が求められるものとも解されない。 そうすると,本件各処分に当たって,上記の被処分者に対する告知及び聴聞並びに職員団体との誠実な協議がされなかったとしても,本件各処分が違法なものとなるとはいえない。 ウまた,この点を措くとしても,前提事実(6)及び(9),認定事実アに加え,証拠(乙A64,B1の5,B2の5,B3の4,B4の4,B5の5,B6の4,B7の5,B8の5,B9の5,B10の5,B11の5,B12の5,B13の5,B14の4,B15の5)及び弁論の全趣旨によれば,社保庁長官等は,原告らを含む社保庁職員に対し,必要な都度,各種の情報提供を行うとともに,複数回にわたりその再就職又は退職に関す- 93 -る意向調査や必要な説明等を行うとともに,社保庁の廃止に当たり,社保庁の廃止,職員に対する分限免職処分一般に関する事項及び分限回避措置等について,職員団体との間で説明及び協議を行っていることが認められる。 エしたがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (8) まとめ以上によれば,社保庁長官等が本件各処分(原告P13ら3名に対するものを除く。)をしたことについて,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用し 告らの上記主張は採用することができない。 (8) まとめ以上によれば,社保庁長官等が本件各処分(原告P13ら3名に対するものを除く。)をしたことについて,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであるということはできないから,これらの処分はいずれも適法なものというべきである。 3 争点(3)(本件各処分の国賠法上の違法性及び社保庁長官等の過失の有無等)について(1) 上記1及び2で述べたとおり,本件各処分(原告P13ら3名に対するものを除く。)は適法であるから,社保庁長官等がこれをしたことが国賠法上の違法行為に該当しないことは明らかである。 (2) この点,前提事実(9)によれば,原告P13ら3名に対する本件処分については,人事院判定において取り消されていることが認められるところ,京都社保局長がこれらの処分を行ったことが国賠法上の違法行為に該当するかについて検討する。 アまず,原告P13について見るに,前提事実(1)及び(9)によれば,人事院は,懲戒処分を受けたことを前提に同原告は機構に採用される機会を失したところ,後に当該懲戒処分が取り消されたことから,同原告に対する分限免職処分を維持することは妥当性を欠くとして,同処分を取り消したものであることが認められる。 しかしながら,前提事実(1)及び(9)によれば,京都社保局長が原告P13に対して分限免職処分をした時点では,同原告に対する上記懲戒処分は- 94 -いまだ取り消されていなかったことが認められるし,上記懲戒処分が重大かつ明白な瑕疵を有する無効なものであると認めるに足りる主張立証は存在しない。 そうすると,平成21年12月25日の時点では原告P13に対する懲戒処分は外見上有効に存在したものであるから,京都社保局長が同原告に対して本件処分をしたことが,職務 足りる主張立証は存在しない。 そうすると,平成21年12月25日の時点では原告P13に対する懲戒処分は外見上有効に存在したものであるから,京都社保局長が同原告に対して本件処分をしたことが,職務上の注意義務に違反するものとして,国賠法上の違法行為に該当するということはできない。 イまた,原告P14及び同P15についてみるに,前提事実(1)及び(9)によれば,人事院は,社保庁及び厚労省の分限免職回避に向けた取組には不十分な点も認められ,少なくとも受入れを一部増加させる余地はあったところ,地方厚生局への転任候補者として選考された職員と同等の評価を受けたと認められる上記原告らに対する本件処分は,人事の公平性・公正性の観点から妥当性を欠くとして,同処分を取り消したものであることが認められる。 しかしながら,上記人事院判定は,原告P14及び同P15に対する本件処分が妥当性を欠くものであったと判断しているものであって,同処分が違法であると判断したものではないところ,本件転任面接を含む近畿厚生局への転任手続が不平等・不公正なものであったとはいえないことは上記2(6)のとおりである。また,京都社保局長が上記原告らに対して本件処分をすることが妥当でないことを認識し又は認識し得たにもかかわらず,本件処分をしたといった事情は認められない。 そうすると,京都社保局長が上記原告らに対し本件処分をしたことが,職務上の注意義務に違反するものとして,国賠法上の違法行為に該当するということはできない。 ウしたがって,京都社保局長が原告P13ら3名に対する本件処分をしたことが国賠法上の違法行為に該当するとはいえない。 - 95 -(3) 以上によれば,社保庁長官等の過失の有無及び原告らの損害について検討するまでもなく,原告らの被告に対する国賠法1条1項 したことが国賠法上の違法行為に該当するとはいえない。 - 95 -(3) 以上によれば,社保庁長官等の過失の有無及び原告らの損害について検討するまでもなく,原告らの被告に対する国賠法1条1項に基づく損害賠償請求は理由がない。 4 結論よって,原告らの請求はいずれも理由がないから,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官中垣内健治 裁判官馬場俊宏 裁判官笹井三佳 - 96 -別紙2関係法令の定め 1 国公法(1) 27条(平等取扱の原則)すべて国民は,この法律の適用について,平等に取り扱われ,人種,信条,性別,社会的身分,門地又は第38条第5号に規定する場合を除くの外政治的意見若しくは政治的所属関係によって,差別されてはならない。 (2) 55条(任命権者)(平成26年法律22号による改正前のもの。以下,同条につき同じ。)ア 1項任命権は,法律に別段の定めのある場合を除いては,内閣,各大臣(内閣総理大臣及び各省大臣をいう。以下同じ。),会計検査院長及び人事院総裁並びに宮内庁長官及び各外局の長に属するものとする。これらの機関の長の有する任命権は,その部内の機関に属する官職に限られ,内閣の有する任命権は,その直属する機関(内閣府を除く。)に属する官職に限られる。ただし,外局の長に対する任命権は,各大臣に属する。 イ 2項前項に規定する機関の長たる任命権者は,その任命権を,その部内の上級の職員に限り委任することができる。この委任は,その効力が発生する日の前に,書面をもって,これを人事院に提示しなければならない。 (3) 61条(休職,復職,退職及び免職)職員の休職,復職,退職及び免職 限り委任することができる。この委任は,その効力が発生する日の前に,書面をもって,これを人事院に提示しなければならない。 (3) 61条(休職,復職,退職及び免職)職員の休職,復職,退職及び免職は任命権者が,この法律及び人事院規則に従い,これを行う。 (4) 74条(分限,懲戒及び保障の根本基準)ア 1項すべて職員の分限,懲戒及び保障については,公正でなければならない。 - 97 -イ 2項前項に規定する根本基準の実施につき必要な事項は,この法律に定めるものを除いては,人事院規則でこれを定める。 (5) 75条(身分保障)1項職員は,法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ,その意に反して,降任され,休職され,又は免職されることはない。 (6) 78条(本人の意に反する降任及び免職の場合)職員が,次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは,人事院規則の定めるところにより,その意に反して,これを降任し,又は免職することができる。 1号人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして,勤務実績がよくない場合2号心身の故障のため,職務の遂行に支障があり,又はこれに堪えない場合3号その他その官職に必要な適格性を欠く場合4号官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合(7) 89条(職員の意に反する降給等の処分に関する説明書の交付)1項職員に対し,その意に反して,降給し,降任し,休職し,免職し,その他これに対しいちじるしく不利益な処分を行い,又は懲戒処分を行おうとするときは,その処分を行う者は,その職員に対し,その処分の際,処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。 (8) 108条の7(不利益取扱いの禁止)職員は,職員団体の構成員であること,これ は,その処分を行う者は,その職員に対し,その処分の際,処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。 (8) 108条の7(不利益取扱いの禁止)職員は,職員団体の構成員であること,これを結成しようとしたこと,若しくはこれに加入しようとしたこと,又はその職員団体における正当な行為をしたことのために不利益な取扱いを受けない。 - 98 - 2 国家行政組織法(平成19年法律109号による改正前のもの)(1) 3条(行政機関の設置,廃止,任務及び所掌事務)ア 1項国の行政機関の組織は,この法律でこれを定めるものとする。 イ 2項行政組織のため置かれる国の行政機関は,省,委員会及び庁とし,その設置及び廃止は,別に法律の定めるところによる。 ウ 3項省は,内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれるものとし,委員会及び庁は,省に,その外局として置かれるものとする。 エ 4項第2項の国の行政機関として置かれるものは,別表第一にこれを掲げる。 (2) 4条前条の国の行政機関の任務及びこれを達成するため必要となる所掌事務の範囲は,別に法律でこれを定める。 (3) 6条委員会の長は,委員長とし,庁の長は,長官とする。 (4) 10条(行政機関の長の権限)各省大臣,各委員会の委員長及び各庁の長官は,その機関の事務を統括し,職員の服務について,これを統督する。 (5) 別表第一(第3条関係)省委員会庁厚生労働省中央労働委員会社会保険庁 3 厚生労働省設置法(平成19年法律109号による改正前のもの。以下「厚労省設置法」という。)(1) 4条(所掌事務)- 99 -厚生労働省は,前条の任務を達成するため,次に掲げる事務をつかさどる。 74号 19年法律109号による改正前のもの。以下「厚労省設置法」という。)(1) 4条(所掌事務)- 99 -厚生労働省は,前条の任務を達成するため,次に掲げる事務をつかさどる。 74号児童の心身の育成及び発達に関すること。 94号健康保険事業に関すること。 95号政府が管掌する船員保険事業に関すること。 98号政府が管掌する厚生年金保険事業に関すること。 99号政府が管掌する国民年金事業に関すること。 102号社会保険労務士に関すること。 109号所掌事務に係る国際協力に関すること。 110号政令で定める文教研修施設において所掌事務に関する研修を行うこと。 111号前各号に掲げるもののほか,法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき厚生労働省に属させられた事務(2) 25条1項国家行政組織法第3条第2項の規定に基づいて,厚生労働省に,社会保険庁を置く。 (3) 26条(長官)社会保険庁の長は,社会保険庁長官とする。 (4) 27条(任務)社会保険庁は,全国健康保険協会が管掌する健康保険の事業のうち健康保険法の規定により社会保険庁長官が行う業務に関する部分,政府が管掌する船員保険事業,厚生年金保険事業及び国民年金事業並びに児童手当事業のうち拠出金の徴収に関する部分を適正に運営することを任務とする。 (5) 28条(所掌事務)社会保険庁は,前条の任務を達成するため,第4条第1項第74号(児童手当法(昭和46年法律第73号)の規定による拠出金の徴収に関する部分に限る。)に掲げる事務,同項第94号(全国健康保険協会が管掌するもののうち- 100 -健康保険法の規定により社会保険庁長官が行う部分に限る。)に掲げる事務,第95号,第98号及び第99号に掲げる事業(政府が管掌するものに 94号(全国健康保険協会が管掌するもののうち- 100 -健康保険法の規定により社会保険庁長官が行う部分に限る。)に掲げる事務,第95号,第98号及び第99号に掲げる事業(政府が管掌するものに限る。)の実施に関する事務並びに同項第102号及び第109号から第111号までに掲げる事務をつかさどる。 (6) 29条(地方社会保険事務局)ア 1項社会保険庁に,地方支分部局として,政令で定める数の範囲内において,地方社会保険事務局を置く。 イ 2項地方社会保険事務局は,社会保険庁の所掌事務を分掌する。 (7) 30条(社会保険事務所)1項地方社会保険事務局の所掌事務の一部を分掌させるため,所要の地に,社会保険事務所を置く。 4 機構法(1) 1条(目的)日本年金機構は,この法律に定める業務運営の基本理念に従い,厚生労働大臣の監督の下に,厚生労働大臣と密接な連携を図りながら,政府が管掌する厚生年金保険事業及び国民年金事業(以下「政府管掌年金事業」という。)に関し,厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)及び国民年金法(昭和34年法律第141号)の規定に基づく業務等を行うことにより,政府管掌年金事業の適正な運営並びに厚生年金保険制度及び国民年金制度(以下「政府管掌年金」という。)に対する国民の信頼の確保を図り,もって国民生活の安定に寄与することを目的とする。 (2) 2条(基本理念等)1項日本年金機構は,その業務運営に当たり,政府管掌年金が国民の共同連帯の理念に基づき国民の信頼を基礎として常に安定的に実施されるべきものである- 101 -ことにかんがみ,政府管掌年金事業に対する国民の意見を反映しつつ,提供するサービスの質の向上を図るとともに,業務運営の効率化並びに業務運営における公正性及び透明性の確保に努 である- 101 -ことにかんがみ,政府管掌年金事業に対する国民の意見を反映しつつ,提供するサービスの質の向上を図るとともに,業務運営の効率化並びに業務運営における公正性及び透明性の確保に努めなければならない。 (3) 3条(法人格)日本年金機構(以下「機構」という。)は,法人とする。 (4) 19条(職員の任命)機構の職員は,理事長が任命する。 (5) 20条(役員及び職員の地位)機構の役員及び職員(・・・(略)・・・)は,刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については,法令により公務に従事する職員とみなす。 (6) 27条(業務の範囲)1項機構は,第1条の目的を達成するため,次の業務を行う。 1号厚生年金保険法第100条の4第1項に規定する権限に係る事務,同法第100条の10第1項に規定する事務,同法第79条第1項各号に掲げる事業及び同条第2項に規定する運用並びに同法第100条の11第1項に規定する収納を行うこと。 2号国民年金法第109条の4第1項に規定する権限に係る事務,同法第109条の10第1項に規定する事務,同法第74条第1項各号に掲げる事業及び同条第2項に規定する運用並びに同法第109条の11第1項に規定する収納を行うこと。 3号前2号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。 (7) 附則1条この法律は,平成22年4月1日までの間において政令で定める日から施行する。ただし,次の各号に掲げる規定は,当該各号に定める日から施行する。 1号附則第3条から第6条まで,第8条・・・(略)・・の規定公布の日(8) 附則3条(基本計画)- 102 -ア 1項政府は,社会保険庁長官から厚生労働大臣及び機構への業務の円滑な引継ぎを確保し,政府管掌年金事業の適正かつ効率的な運営を 規定公布の日(8) 附則3条(基本計画)- 102 -ア 1項政府は,社会保険庁長官から厚生労働大臣及び機構への業務の円滑な引継ぎを確保し,政府管掌年金事業の適正かつ効率的な運営を図るため,機構の当面の業務運営に関する基本計画(以下この条及び附則第5条第2項において「基本計画」という。)を定めるものとする。 イ 2項基本計画は,次に掲げる事項について定めるものとする。 1号機構が自ら行う業務と第31条第1項の規定により委託する業務との区分,委託先の選定に係る基準その他の業務の委託の推進についての基本的な事項2号機構の設立に際して採用する職員の数その他の機構の職員の採用についての基本的な事項ウ 3項政府は,第1項の規定により基本計画を定めようとするときは,あらかじめ,政府管掌年金又は経営管理に関し専門的な学識又は実践的な能力を有し,中立の立場で公正な判断をすることができる学識経験者の意見を聴くものとする。 (9) 5条(設立委員等)ア 1項厚生労働大臣は,設立委員を命じて,機構の設立に関する事務を処理させる。 イ 2項設立委員は,基本計画に基づき,機構の職員の労働条件及び機構の職員の採用の基準を定めなければならない。 (10)附則7条(機構の成立)機構は,この法律の施行の時に成立する。 - 103 -(11)附則8条(職員の採用)ア 1項設立委員は,社会保険庁長官を通じ,その職員に対し,機構の職員の労働条件及び機構の職員の採用の基準を提示して,機構の職員の募集を行うものとする。 イ 2項社会保険庁長官は,前項の規定によりその職員に対し,機構の職員の労働条件及び機構の職員の採用の基準が提示されたときは,機構の職員となることに関する社会保険庁の職員の意思を確認し,機構 イ 2項社会保険庁長官は,前項の規定によりその職員に対し,機構の職員の労働条件及び機構の職員の採用の基準が提示されたときは,機構の職員となることに関する社会保険庁の職員の意思を確認し,機構の職員となる意思を表示した者の中から,当該機構の職員の採用の基準に従い,機構の職員となるべき者を選定し,その名簿を作成して設立委員に提出するものとする。 ウ 3項前項の名簿に記載された社会保険庁の職員のうち,設立委員から採用する旨の通知を受けた者であってこの法律の施行の際現に社会保険庁の職員であるものは,機構の成立の時において,機構の職員として採用される。 エ 5項設立委員は,機構の職員の採否を決定するに当たっては,人事管理に関し高い識見を有し,中立の立場で公正な判断をすることができる学識経験者のうちから厚生労働大臣の承認を受けて選任する者からなる会議の意見を聴くものとする。 (12)附則70条(国家行政組織法の一部改正)国家行政組織法(昭和23年法律第120号)の一部を次のように改正する。 別表第一厚生労働省の項及び別表第二中「社会保険庁」を削る。 (13)附則第72条厚生労働省設置法の一部を次のように改正する。 目次中「第4章外局第1節設置(第25条) 第2節社会保険庁- 104 -第1款任務及び所掌事務(第26条-第28条) 第2款地方支分部局(第29条・第30条) 第3節中央労働委員会(第31条)」を「第4章中央労働委員会(第25条)」に改める。(以下略)(14)附則73条(処分,申請等に関する経過措置)1項この法律(・・・(略)・・・)の施行前に法令の規定により社会保険庁長官,地方社会保険事務局長又は社会保険事務所長(・・・(略)・・・)がした裁定,承認,指定,認可その他の処分又は通知そ 置)1項この法律(・・・(略)・・・)の施行前に法令の規定により社会保険庁長官,地方社会保険事務局長又は社会保険事務所長(・・・(略)・・・)がした裁定,承認,指定,認可その他の処分又は通知その他の行為は,法令に別段の定めがあるもののほか,この法律の施行後は,この法律の施行後の法令の相当規定に基づいて,厚生労働大臣,地方厚生局長若しくは地方厚生支局長又は機構(・・・(略)・・・)がした裁定,承認,指定,認可その他の処分又は通知その他の行為とみなす。 5 人事院規則11-4(職員の身分保障)(平成26年人事院規則1-62による改正前のもの。以下同じ。なお,ここでいう「法」とは国公法を指す。)(1) 2条いかなる場合においても,法第27条に定める平等取扱の原則,法第74条に定める分限の根本基準及び法第108条の7の規定に違反して,職員を免職し,又は降任し,その他職員に対して不利益な処分をしてはならない。 (2) 7条4項(本人の意に反する降任又は免職)法第78条第4号の規定により職員のうちいずれを降任し,又は免職するかは,任命権者が,勤務成績,勤務年数その他の事実に基づき,公正に判断して定めるものとする。 以上
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