平成14(行コ)159 法人税等更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成13年(行ウ)第127号)

裁判年月日・裁判所
平成15年1月29日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文31,599 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要 1 被控訴人が,株式会社明立からパチスロ機のメイン基板合計6万6455枚(納品時期が平成8年11月から平成10年9月までのもの)を1枚当たり1万4000円で購入し,これらを株式会社エレクトロコインに対し1枚当たり8万円で販売する取引をして43億8603万円の売買利益を得ていたにもかかわらず,米国法人UniversalDistributingofNevada,Inc.がこの取引をしていたかのように仮装し,同取引によって得た所得等を申告しなかったとして,控訴人は,平成12年12月26日付けで,被控訴人に対し,平成8年4月1日から平成9年3月31日まで,同年4月1日から平成10年3月31日までの各事業年度の法人税並びに平成8年4月1日から平成9年3月31日まで,同年4月1日から平成10年3月31日まで,同年4月1日から平成11年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税について,それぞれ更正処分及び重加算税賦課決定処分をした。 本件は,上記取引を行っていない被控訴人に対してした上記処分は違法であるとして,被控訴人が,控訴人に対し,上記各処分のうち,下記(1),(2)の各処分の取消しを求めたのに対し,控訴人が,上記各処分は適法であるなどと主張して,被控訴人の請求を争っている事案である(以下,上記一連の取引を「本件取引」といい,また,そのうち,株式会社明立と上記米国法人との取引を「本件明立側取引」,上記米国法人と株式会社エレクトロコインとの取引を「本件ECT側取引」という。)。 (1)ア平成8年4月1日から平成9年3月31日までの事業年度分の法 立と上記米国法人との取引を「本件明立側取引」,上記米国法人と株式会社エレクトロコインとの取引を「本件ECT側取引」という。)。 (1)ア平成8年4月1日から平成9年3月31日までの事業年度分の法人税の更正処分のうち納付すべき税額59億6536万4600円を超える部分及びその重加算税賦課決定処分イ平成9年4月1日から平成10年3月31日までの事業年度分の法人税の更正処分のうち納付すべき税額9億7172万1400円を超える部分及びその重加算税賦課決定処分(2)ア平成8年4月1日から平成9年3月31日までの課税期間分の消費税の更正処分のうち納付すべき税額8億9791万7400円を超える部分及びその重加算税賦課決定処分イ平成9年4月1日から平成10年3月31日までの課税期間の消費税の更正処分のうち納付すべき税額17億6814万4400円を超える部分,同課税期間の地方消費税の更正処分のうち納付すべき税額4億4442万1600円を超える部分及びその重加算税賦課決定処分ウ平成10年4月1日から平成11年3月31日までの課税期間の消費税の更正処分のうち納付すべき税額24億7489万0600円を超える部分,同課税期間の地方消費税の更正処分のうち納付すべき税額6億2007万1600円を超える部分及びその重加算税賦課決定処分本件の主たる争点は,被控訴人が本件取引を行っていたか否かの点にある。 原審は,被控訴人が本件取引を行っていたと認めることができず上記各処分は違法であると判断し,被控訴人の請求をいずれも認容したので,控訴人が控訴の申立てをした。 2 前提となる事実,当事者双方の主張及び争点原判決21頁23行目の「九沢製作所」を「株式会社九沢製作所(以下「九沢製作所」という。)」に改め,次項以下に当事者双方の当審における主張を付加する 。 2 前提となる事実,当事者双方の主張及び争点原判決21頁23行目の「九沢製作所」を「株式会社九沢製作所(以下「九沢製作所」という。)」に改め,次項以下に当事者双方の当審における主張を付加するほかは,原判決の「理由」欄の「第2 事案の概要」の1ないし3項(原判決3頁14行目から39頁18行目)に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 控訴人の当審における主張(1) 日電協輸入条件の不存在ア日電協は,外資系パチスロ機製造業者の日電協加入を認めていなかったが,平成3年11月6日,日電規約第22号「国外生産業者の取扱に関する規則」を定めて,日本国以外でパチスロ機の製造を行う業者(以下「国外生産業者」という。)でも一定の要件の下で日電協に準組合員として加入することを認めた。 外資系法人であるECJは,準組合員制度が設けられる以前の平成3年8月に鳥取県にパチスロ機製造工場を取得していたため,準組合員になることができず,また,正組合員の資格(国内生産業者として3年以上の生産実績等)も具備していなかったため,日電協に加入することができなかった。しかし,ECJは,出資者であるECA(外国法人)のイギリスでの生産実績を考慮されて国外生産業者とみなされ,平成5年10月12日,海外で製造輸入されたパチスロ機の販売しか行わない旨の輸入条件を課された上,準組合員として日電協に加入することが許された。 日電協は,平成7年12月13日,準組合員制度を廃止し,外資系パチスロ機製造業者も日電協の正組合員になれるようにした。ECJは当時国内での生産実績が3年以上あったので,国内生産業者として日電協加入が認められたが,上記輸入条件は撤廃されなかった。しかし,ECJは,他の国外生産業者(アイジーティージャパン株式会社,バークレスト株式会社等)が加入後3年で輸入 ったので,国内生産業者として日電協加入が認められたが,上記輸入条件は撤廃されなかった。しかし,ECJは,他の国外生産業者(アイジーティージャパン株式会社,バークレスト株式会社等)が加入後3年で輸入条件が撤廃されたのと同様,日電協加入から3年後の平成8年10月12日に輸入条件が撤廃された。 イ上記のとおり,本件取引が開始された平成8年11月当時,ECJないしその子会社であるECTに日電協の輸入条件は課されていなかった。現に,日電協も,本件取引の期間中,ECJに対し,輸入条件履行の有無について調査をしていない。 なお,ECJの輸入条件は,ECJが英国のECAの工場で完成した完成品を輸入することであって,パチスロ機の一部の部品である基板をアメリカから輸入することではなかった。 (2) 被控訴人を実質的当事者とする本件取引ア ECTは,品種,数量及び納品時期を指定して行う明立基板の注文を,本件ECT側取引の相手方であるUDNに対して行ったことはなく,この注文を,被控訴人のオフコンに入力する方法で被控訴人に対して行っていた。被控訴人小山工場の担当者は,この注文に基づき,九沢製作所に対し明立基板用部材を明立に納品するよう指示するとともに,明立に対し上記部材を使用して明立基板を製造・納品するよう指示し,明立は完成した明立基板を被控訴人小山工場に納品した。被控訴人はこれを日電協の封印会場に運び,そこでECTの従業員が日電脇の職員の立会いの下,プログラムの焼き付けられたロムを明立基板に組み込み,封印した。封印基板は,再び被控訴人小山工場に搬入され,被控訴人が封印基板について電気関係の検査をした後,ECJの小山配送センター等を経て,ECTの下請会社に搬送された。 イこれに対し,UDNは,明立に対し明立基板の注文をしたり,明立から明立基板の現実の引 が封印基板について電気関係の検査をした後,ECJの小山配送センター等を経て,ECTの下請会社に搬送された。 イこれに対し,UDNは,明立に対し明立基板の注文をしたり,明立から明立基板の現実の引渡しを受けていないのはもちろん,ECTに対し,占有改定や指図による占有移転による明立基板の引渡しもしておらず,結局,明立基板の注文や納品に何ら関与していなかった。 ウ被控訴人は,明立に対し明立基板の電子部品を販売するについて,仕入価格の41%という通常の取引では考えられない高額の利益を上乗せした。上記金額が明立に対する電子部品販売代金であると理解することは困難であり,明立から明立基板を購入し,これをECTに売却する転売利益が含まれていたとみるべきである。 明立の上記部品代金支払時期が明立基板代金受領後とされていたこともこのことを裏付けている。 エ上記のとおり,被控訴人は,明立基板について,明立に対する注文及び受領,ECTからの受注及び納品を実質的に行っており,明立基板の転売利益も取得していた。 (3) 明立基板輸出入の仮装ア本件明立側取引及び本件ECT側取引の各売買契約書には,明立基板を輸出することやこれを輸入することが定められていたが,パチスロ機の重要な技術情報が集約されたメイン基板の取引であるにもかかわらず,機密遵守事項の定めがなく,また,振動や静電気等に弱い電子部品の輸出入には通常保険が掛けられているところ,保険の定めがされていない。また,実際には,明立基板の輸出入は全く行われず,別の中古電子部品をダミーとして明立からUDNへ輸出し,UDNからECTがこれを輸入して,明立基板の輸出入がされているような外観を作出していた。 イしたがって,本件取引の関係者は,当初から,明立基板を真実輸出入する意思はなく,輸出入したように仮装することを合 らECTがこれを輸入して,明立基板の輸出入がされているような外観を作出していた。 イしたがって,本件取引の関係者は,当初から,明立基板を真実輸出入する意思はなく,輸出入したように仮装することを合意していた。 (4) 関係者の意思ア明立は,被控訴人から,本件取引の勧誘を受けた。明立にとっては,代金の支払が確実にされることが一番の関心事であったところ,UDNは取引実績のない外国法人であり,代金支払の確実性に欠けていた。したがって,明立がUDNとの間で本件明立側取引をすることを決めたのは,同取引を勧誘した被控訴人が実質的な契約の相手方であると認識したからにほかならない。 イ本件明立側取引の売買契約書は,平成8年11月1日から効力を有するとされ,明立代表者が同年10月11日付け,UDN代表者が同月20日付けで署名押印したようになっているが,UDN日本支社のP1が署名を求めるため明立営業部長P2にあてた売買契約書の送り状の日付が同年12月3日となっていたように,実際は,契約の効力発生の日より後に上記署名がされており,不自然である。 ウ本件明立側取引では,UDNの明立に対する書面による注文,明立の空輸による約定期間内出荷,明立の品質,規格等の保証,UDNのクレームは到着から14日以内に書面ですると約されていたが,実際は,被控訴人小山工場の担当者が明立に注文し,明立は明立基板を被控訴人小山工場に納品し,ダミーとなる中古パチスロ基板の輸出をするのみで,明立基板を輸出しなかったのに対し,UDNが明立にクレームを述べたことはなかった。本件ECT側取引についても,ECTの書面による注文,UDNの空輸による約定期間内出荷,UDNの品質,規格等の保証,ECTのクレームは到着から14日以内に書面でするとされていたが,実際は,ECTが被控訴人に発注し,UDN も,ECTの書面による注文,UDNの空輸による約定期間内出荷,UDNの品質,規格等の保証,ECTのクレームは到着から14日以内に書面でするとされていたが,実際は,ECTが被控訴人に発注し,UDNはダミーとなる中古パチスロ基板の輸出をするのみで,明立基板を輸出しなかったのに対し,ECTがUDNにクレームを述べたことはなかった。 したがって,本件明立側取引及び本件ECT側取引のいずれにおいても,関係当事者は,各売買契約書の契約条項を遵守しないばかりか,そのことに異議を述べてもいなかった。 エ上記のとおり,明立,UDN及びECTは,真実本件取引をする意思を有していなかっただけではなく,被控訴人が実質的な取引の主体であることを認識していたというべきである。 (5) 本件ECJ側取引代金額の不合理性ア UDNは,明立から明立基板を1枚当たり1万4000円で仕入れ,これをECTに1枚当たり8万円で販売していたとしているが,これは通常のメイン基板取引価格を超える高価格で販売していたことになり,このような高価格で取引する合理的な理由はない。 イ被控訴人は,UDN代表者P3がECJに対し行ってきたパチスロ機ソフト開発に必要な知識,技能の指導及び効率的な販売に必要な経営指導の対価を本件ECJ側取引価格に上乗せしたと主張するが,P3はそのような開発指導や経営指導をしていない。すなわち,被控訴人社員P4がECJの研究開発員の評価を行い,テーマ内容,候補者の業務略歴及び推薦理由等を記載した社長表彰候補推薦書を作成しているとおり,ECJの開発員は被控訴人に派遣され,被控訴人の指導を受けてECJのソフト開発を行っていたものであり,P3の指導を受けていたものではない。 ウ仮に,P3がECJに対し開発指導や経営指導をしたとしても,これは被控訴人代表者の立場で ,被控訴人の指導を受けてECJのソフト開発を行っていたものであり,P3の指導を受けていたものではない。 ウ仮に,P3がECJに対し開発指導や経営指導をしたとしても,これは被控訴人代表者の立場で行ったものであり,その対価は被控訴人に帰属する。 すなわち,被控訴人に対し忠実義務を負うP3は,被控訴人の業務の範囲内に属する事項については,被控訴人のためにその能力を用いなければならないところ,P3が指導したノウハウは,日本におけるパチスロ機メーカーのソフト開発や経営に必要な知識等であって,米国法人であるUDNが有していたものではなく,日本法人である被控訴人が有していたものであり,また,UDNは日本の会社に対するソフト開発,経営指導のコンサルタント業務をその業務の範囲とするものではないから,P3のECJに対する開発指導や経営指導に対する対価は,被控訴人に帰属すべきものである。その上,P3は,ゲーム機メーカーである被控訴人の代表取締役であるから,取締役として競業避止義務を負い,被控訴人代表取締役の立場以外で技術指導を行うには被控訴人の取締役会の承認を得る必要があるが,被控訴人の取締役会の承認手続はされていない。また,被控訴人は,本件取引終了後,ECJとの間で,製造販売許諾契約を締結し,ECJ開発ソフトを搭載したパチスロ機をライセンス生産し,その許諾料を1台2万円としているが,許諾料がこのように低額なのは,被控訴人がECJに技術指導を行っていたからと考えられる。さらに,UDNがECJに対し開発指導や経営指導をしたとすれば,ECJにはUDNへの報酬支払について源泉徴収義務が生ずるが,ECJは源泉徴収を行っていない。 (6) 被控訴人の動機ア被控訴人が国外関連者であるUDNと直接明立基板取引を行ったとすると,移転価格税制が適用され,独立企業間価格 ついて源泉徴収義務が生ずるが,ECJは源泉徴収を行っていない。 (6) 被控訴人の動機ア被控訴人が国外関連者であるUDNと直接明立基板取引を行ったとすると,移転価格税制が適用され,独立企業間価格と実際の取引価格との差額の全額が損金不算入となり,また,被控訴人が,合理的な理由もなくUDNに対する債務を免除したり金銭を贈与したとすると,国外関連者に対する寄付としてその全額が損金に算入されないこととなり,いずれの場合にも,被控訴人には税負担が生じるところ(租税措置特別措置法66条の4参照),被控訴人は,これらの税負担を回避して,約43億円の利益をUDNに帰属させた。 したがって,本件取引は,UDNの債務超過を解消するため,被控訴人が取引当事者となった場合の上記税負担を回避した上,被控訴人に帰属する本件取引の利益をUDNに移転する目的で,契約名義人を被控訴人ではなくUDNと仮装して作出したものであり,これにより,被控訴人は,上記税負担を回避してUDNの債務超過を解消した結果,UDNに対し有していた債権の回収が可能となったばかりでなく,自己の株式公開の目的も果たせることになった。 イ仮に,被控訴人の算出の納税金額を前提としても,被控訴人が本件取引を仮装することにより免れた日本での納税総額は19億6729万7139円となり,UDNを取引当事者とする場合の同社の納税総額3億1898万6120円と本件取引の各当事者が負担した輸出入経費総額3億3717万7797円の合計額6億5000万円余を差し引いても,13億円余の租税を回避していることになる。 なお,被控訴人は貸倒損失があるとして上記納税金額を算出しているが,貸倒損失とは,債権全額の回収不能という事実による貸金等の確定的な減少(消滅)をいうものであって,回収不能のおそれがあるというだけでは十分と 控訴人は貸倒損失があるとして上記納税金額を算出しているが,貸倒損失とは,債権全額の回収不能という事実による貸金等の確定的な減少(消滅)をいうものであって,回収不能のおそれがあるというだけでは十分といえないから,直ちに損金の額に算入されるわけではない。実際,被控訴人はUDNに対する債権を貸倒損金に計上していなかった。 (7) まとめア以上のとおり,日電協の輸入条件がない以上,ECTがUDNから明立基板を輸入する必要はなかった。また,被控訴人が,明立に対する注文及びその受領,ECTからの受注及びその納品を実質的に行っており,明立,UDN及びECTは,明立基板の輸出入を仮装するなど真実本件取引をする意思を有しておらず,被控訴人が実質的な取引の主体であると認識していたのである。そして,この本件取引の仮装によって,被控訴人は移転価格税制もしくは寄付金課税による税負担を回避した上UDNの債務超過を解消した結果,UDNに対し有していた債権の回収が可能となったばかりでなく,自己の株式公開の目的も果たせることになったのである。 したがって,本件明立側取引及び本件ECT側取引は,いずれも,明立,UDN及びECTに売買契約の内心的効果意思のない通謀虚偽の意思表示によるものであって無効であり,本件取引は,被控訴人が明立から明立基板を購入し,これをECTに販売したものというべきである。 イ仮に,本件取引が,明立とUDN,UDNとECTの各取引であったとしても,ECTのUDNに対する代金には,P3の開発指導や経営指導の対価が含まれているところ,これは本来被控訴人に帰属するものであるから,この対価を被控訴人がUDNに寄付したことになる。 ウしたがって,本件各処分及び本件各重加算税賦課処分は適法である。 2 被控訴人の当審における主張(1) 日電協輸入条件の継 属するものであるから,この対価を被控訴人がUDNに寄付したことになる。 ウしたがって,本件各処分及び本件各重加算税賦課処分は適法である。 2 被控訴人の当審における主張(1) 日電協輸入条件の継続ア日電協は,外資系企業や新規参入企業に対し厳しい態度をとっていたが,平成7年12月13日に準組合員制度を廃止した後も,外資系企業に対する上記対応を変化させず,同日に正組合員として日電協に加入したECJに対しても,準組合員として日電協に加入した際に課した輸入条件を廃止せず,少なくとも,正組合員として加入後3年間はこの輸入条件を継続させた。そのため,ECJ及びその子会社のECTは,本件取引当時,パチスロ機の製品又は部品を海外から輸入しなければならなかった。また,ECJは,準組合員として加入する前に販売した「チェリーバー」というパチスロ機の製造販売に関し日電協の反発を受けたことがあっただけではなく,人気機種を開発して業績を上げていた外資系の新規参入者であったため,業界他社の厳しい排除圧力を受けており,できるだけ,日電協との間に摩擦を生じさせないようにする必要があった。 イしたがって,ECJ及びECTは,輸入条件を無視して被控訴人から明立基板を購入することができず,海外法人であるUDNと取引せざるを得なかったのである。 なお,日電協がECJに課した輸入条件の趣旨は,輸出入コストを負担させて価格競争力を減殺させるというものであったから,ECJは,当初,ECA英国工場で製造したパチスロ機を輸入していたが,その後,オーストラリア法人であるPGLからパチスロ機を輸入することに改め,このことを全防犯連への報告文書を介して日電協にも通知し,本件取引ではパチスロ機の中枢部品である基板の輸入のみを行うこととした。 (2) 被控訴人の本件取引への関与ア被控 機を輸入することに改め,このことを全防犯連への報告文書を介して日電協にも通知し,本件取引ではパチスロ機の中枢部品である基板の輸入のみを行うこととした。 (2) 被控訴人の本件取引への関与ア被控訴人は,平成8年9月当時,被控訴人の主幹工場を栃木県所在の小山工場から鳥取県所在の鳥取工場に移管しつつあり,小山工場周辺の下請業者である明立の仕事も減少した。そこで,被控訴人は,下請業者である明立に仕事与えようと考え,明立に本件取引を斡旋した。 P3は,懇意にしていたP5を支援する意思を有していたが,日電協の正組合員である被控訴人代表者としてP5経営のECJを支援することができなかったため,UDN代表者としてECJを支援する旨の覚書を取り交わし,UDN代表者としてECJを支援していたところ,ECJの日電協輸入条件の履行に協力するため,UDNを本件取引に参加させた。 被控訴人は,UDNに多額の貸付金債権及び売掛金債権を有していたので,その回収のためUDNを支援することとし,明立基板部品の明立への販売について,その代金を仕入価格の41%と高額にする代わり,簡単な電気検査をする等付随的な手助けをした。 被控訴人は,被控訴人のオフコンにECJから明立基板の受注数が入力されるので,九沢製作所に当該情報を伝達した。このような情報伝達は合理的な取引方法である。 イ上記のとおり,被控訴人は本件取引の付随的な事務に関与したことはあったが,本件取引の当事者になったことはない。 (3) 明立基板の輸出入ア明立基板は,実際には輸出入されず,これに代わる中古基板がダミーとして輸出入されていた。しかし,明立,UDN及びECTは,中古基板の運搬費,梱包費,事務手続費,税金等を輸出入数量に応じて負担していたから,ダミーによる輸出入によって経済的利益を得ていない。また として輸出入されていた。しかし,明立,UDN及びECTは,中古基板の運搬費,梱包費,事務手続費,税金等を輸出入数量に応じて負担していたから,ダミーによる輸出入によって経済的利益を得ていない。また,明立基板は,UDNに輸出された後,直ちにUDNから輸入されるものであるから,明立からUDNへの現実の引渡しは,本件取引を成立させる要件になっていない。 したがって,ダミーによる輸出入は,たまたま,UDNを除く現場関係者が納期に間に合わせるため手続を省略したに過ぎず,明立,UDN及びECTが当初から合意していたことではない。 イ明立基板の輸出は,1回の輸出入当たり最小3台から最大1000台であり,金額も最小4万2000円から最大1400万円と低額であったから,保険を掛けてはいなかった。UDNからの輸入については,包括的な保険契約が締結されており,この保険の対象となっていた。また,明立基板はソフトが搭載されていないので,特段の配慮を要するほどの機密性はなく,特段の機密保護の必要性もなかった。 ウ上記のとおり,明立基板についてダミーによる輸出入がされたからといって,本件取引自体が仮装であることにはならない。 (4) 関係者の意思ア明立とUDNは本件明立側取引について,UDNとECTは本件ECT側取引について,それぞれ売買契約書を作成し,各契約に基づく発注により,明立が明立基板を製作し,最終的にこれがECTに引き渡され,これに従った売買代金がUDNから明立に,ECTからUDNにそれぞれ支払われているから,各当事者に本件取引の意思があったことは明らかである。また,ECJ及びECTは,日電協から輸入条件を課せられていたため,従前から取引関係のあった外国法人のUDNと本件取引をしたのであって,被控訴人とは直接取引をすることができなかった。 イ本件 ある。また,ECJ及びECTは,日電協から輸入条件を課せられていたため,従前から取引関係のあった外国法人のUDNと本件取引をしたのであって,被控訴人とは直接取引をすることができなかった。 イ本件明立側取引の契約書の作成が契約発効後になってしまっているとしても,そのことは一般取引社会においてよく見られることであって,不自然なことではない。 ウ明立基板の発注は,口頭でされることもあるから,UDNから明立,ECTからUDNへの各発注書面がなかったとしても,各売買契約書の契約条項が遵守されていないとか,UDNやECTからの発注がなかったことにはならない。 エ UDNがダミーによる輸出についてクレームを述べなかったのは,UDNがそのことを知らなかったからである。 オ上記のとおり,明立,UDN及びECTは,真実本件取引をする意思を有していたものである。 (5) 本件ECJ側取引代金額の合理性ア P3がECJに対し行ったパチスロ機用ソフト開発指導及び経営指導は,P3がUDNの営業活動を通して獲得したノウハウに基づき,P3個人の創造的能力・応用力によって生み出されるものである。したがって,これらはP3個人に属し,誰のためにこれを使用するかの決定権はP3に帰属するところ,P3がUDNの代表者としてこれらをUDNのために使用すると決定したのであるから,その利益はUDNに帰属する。 なお,ECJは,本件取引の前に,UDN又はその100%子会社であるPGLからパチスロ機の完成品を購入していたときも,P3のECJに対するソフト開発指導及び経営指導の対価を売買代金に上乗せして支払っており,本件取引も,そのときと同様に上記対価を上乗せしたものである。 イ P3のソフト開発指導及び経営指導により,ECJは人気機種の開発に成功し,短期間に高収益を上げるに至った。そ 上乗せして支払っており,本件取引も,そのときと同様に上記対価を上乗せしたものである。 イ P3のソフト開発指導及び経営指導により,ECJは人気機種の開発に成功し,短期間に高収益を上げるに至った。そこで,上記指導対価を本件ECT側取引代金に上乗せすることとし,その額をパチスロ機1台当たりの利益約10万円の2分の1に当たる5万円としたのであるから,その額は合理的かつ適正である。 ウ P3のECJに対するソフト開発指導及び経営指導は,P3が日電協の副理事長を務めている関係上,被控訴人の代表者として行うことはできなかった。また,P3のECJに対するパチスロ機用ソフト開発指導は素人向けの機種であったが,被控訴人のソフト開発はマニア向けの機種であったから,両者が競合することもなかった。したがって,上記開発及び経営指導は被控訴人の営業に属する取引ではないから,取締役の協業避止義務には当たらない。仮に,P3がUDNの代表者としてECJに上記開発指導及び経営指導することが,被控訴人の代表取締役としての競業避止義務に抵触するとしても,被控訴人が商法264条3項の介入権を行使していない以上,UDNとECJ間の取引であることに何らの影響も及ぼさない。 エ被控訴人は,本件取引終了後,ECJとの間で,製造販売許諾契約を締結し,1台2万円の許諾料を支払って,ECJ開発ソフトを搭載したパチスロ機をライセンス生産していたが,上記契約が締結された平成10年12月当時は,被控訴人がECJを買収して100%子会社化することが予定され,被控訴人は子会社に対するロイヤリティを1台当たり2万円と決めていたから,上記許諾料は合理的かつ適正な価格であって,不当に安いということはできない。 オなお,ECJが自社開発部員の業績評価を被控訴人従業員P4に依頼したことがあったが,これはECJ 万円と決めていたから,上記許諾料は合理的かつ適正な価格であって,不当に安いということはできない。 オなお,ECJが自社開発部員の業績評価を被控訴人従業員P4に依頼したことがあったが,これはECJの経営陣にパチスロ機の技術的知識を豊富に有する人材がいなかったからにすぎず,ECJはP4の評価を参考にして業績評価を行ったにすぎず,ECJが被控訴人に開発部員の指導を依頼していたわけではない。 (6) 被控訴人の動機ア被控訴人が,明立から明立基板を購入してこれをECTに販売し,1台当たり6万6000円の売買利益を得たにもかかわらず,UDNが明立から明立基板を購入してこれをECTに販売したように仮装したとすると,被控訴人が免れた課税総額は下記①のとおり19億6729万7139円となるが,同時に同②ないし④の合計22億8400万7517円の出捐ないし税務上のメリットを失う結果,3億1671万0378円の損失を被ることとなり,上記のような仮装をする税務上のメリットはない。 ①被控訴人の平成8年から平成10年までの各事業年度の追加納付法人税額を,平成9年以前の実効税率(法人税率37.5%,事業税率12%,住民税率:法人税率の17.3%),平成10年度の実効税率(法人税率34.5%,事業税率11%,住民税率:法人税率の17.3%)により算出すると,19億6729万7139円となる。②輸出入経費は3億3717万7797円となる。③被控訴人がUDNに対して有していた貸付金債権17億4881円及び売掛債権15億0818円は,UDNの債務超過により回収困難であり,これを貸倒処理することについて,平成8年10月当時の実効税率49.98%を基に試算すれば16億2784万3600円となる。④UDNは,本件取引による利益に基づき,3億1898万6120円を米国に納 れを貸倒処理することについて,平成8年10月当時の実効税率49.98%を基に試算すれば16億2784万3600円となる。④UDNは,本件取引による利益に基づき,3億1898万6120円を米国に納税した。 イ被控訴人は,米国において,100%子会社のアルゼUSAを通じて,ネバタ州ラスベガスのカジノ関連ビジネスに280億円を投資しているが,原処分を受けたことを理由に,アルゼUSAが50%出資しているバルヴィノ・ラモア社のライセンス許可申請手続が凍結され,280億円の投資が無に帰するかもしれない状況に陥っている。また,重加算税賦課決定処分を受ければ,警察庁を監督官庁とする許認可事業である日本におけるパチスロ事業も,存亡の危機に曝されることになる。 ウアルゼが明立から明立基板を購入し,これをUDNに1台当たり1万4000円で販売しても,当該価格は独立企業間価格となるので,被控訴人・UDN間の上記取引に移転価格税制の適用の余地はない。少なくとも,多額の価格差が設けられるのはUDN・ECT間の取引であり,明立・被控訴人間の取引によって得るUDNの利益について移転価格税制の適用は問題とならない。 エ法人税基本通達では,債務超過の状態が相当期間継続し,その貸金等の弁済を受けることができないと認められる場合には,債権者が債務者に書面でした債務免除額を,損金の額に算入することが認められている。UDNは,平成5年12月期から平成9年12月期まで4年間債務超過状態にあったから,被控訴人がUDNに対する貸金債権及び売掛金債権について債務免除しても,合理的理由に基づく債務免除として全額が損金に算入される。 したがって,被控訴人がUDNに対する売掛金,貸金等の債権を免除した場合に,国外関連者に対する寄付金として全額が損金不算入になるということはない。 オ上 く債務免除として全額が損金に算入される。 したがって,被控訴人がUDNに対する売掛金,貸金等の債権を免除した場合に,国外関連者に対する寄付金として全額が損金不算入になるということはない。 オ上記のとおり,被控訴人には,本件取引を仮装する動機はない。 (7) まとめ以上のとおり,本件取引は,債務超過状態にあったUDNが,その債務解消を図るため,日電協の輸入条件を果たさなければならないECTのため本件取引を行い,その中で,UDN代表者P3がECJに対してしたソフト開発指導及び経営指導の対価の支払も受けたものであり,被控訴人が自己の取引を本件取引のように仮装したものではない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)について控訴人の本案前の主張は理由がないものと判断する。その理由は,原判決が「理由」欄の「第3 当裁判所の判断」1項(原判決39頁21行目から40頁8行目まで)において説示するとおりであるから,これを引用する。 2 争点(2)について(1) 関係証拠によれば,以下の事実が認められる。 ア本件取引の概要(ア) 一般的なパチスロ機の開発,製造等の流れa パチスロ機の開発パチスロ機は,すべてコンピューターにより作動し,その開発は,ゲーム性,サウンド,デザイン等のコンピューターソフトのプログラミングを中心に行われる。 上記ソフト開発には,通常,1年程度の期間を要するが,開発されたパチスロ機が売れる期間は,通常1か月から3か月程度であり,特別にヒットするもので1,2年,まれに大ヒットした場合には3年程度と短期間である。(甲73,74,被控訴人代表者)b 財団法人保安電子通信技術協会における検定開発されたパチスロ機は,財団法人保安電子通信技術協会に申請して,風営法に適合しているかどうかの検定を受ける(同法20条4項,5項)。上記 訴人代表者)b 財団法人保安電子通信技術協会における検定開発されたパチスロ機は,財団法人保安電子通信技術協会に申請して,風営法に適合しているかどうかの検定を受ける(同法20条4項,5項)。上記検定に合格すると,上記協会から,ソフトとして開発されたプログラムが書き込まれたROMを49個もらい,このうち48個は各都道府県警察から販売許可を受けるための申請用として使用され,1個がマスターのROMとして日電協に渡され,後記のとおり,日電協の封印会場で行なわれるROMの焼き付けの際に使用される。(甲73,74,乙1)c メイン基板の製作メイン基板は,生基板に部品を挿入させ,ハンダ層に流して作成する。(甲74)。 d メイン基板へのROMの組込みと封印ソフトの搭載されたマスターROMは,日電協の封印会場において,パチスロ機の製造予定台数分の新規ROMに焼き付けられ(コピーされ),焼き付けられたROMをメイン基板に組み込んで,封印する。そして,この封印会場には,日電協職員のほかは,当該パチスロ機の製造業者の社員だけが入ることができるものとされている。(甲74,乙1)日電協における上記封印作業は,基板内のCPU,ROMなどの主要部品の不正改造や不正使用の防止策として,ケースに封止(かしめ)をして基板管理番号を貼り付け,電子回路内にセキュリティー・ワンチップを組み込むなどの対策を講じる作業であり,パチスロ機の出荷前に,封印のためにメイン基板を自社又は指定運送業者が日電協の封印作業所に搬送し,日電協職員立会いの下に封印作業を行うこととされている。(争いのない事実)e パチスロ機の完成ROMの組み込まれた基板,筺体,その他の部材ユニットを組み立てると,パチスロ機の製品が完成する。(甲73,74)(イ) 本件取引a 契約の締結明立 (争いのない事実)e パチスロ機の完成ROMの組み込まれた基板,筺体,その他の部材ユニットを組み立てると,パチスロ機の製品が完成する。(甲73,74)(イ) 本件取引a 契約の締結明立とUDNは,平成8年10月ころ,売買契約を締結した(本件明立側取引)。その内容は,明立がUDNにパチスロ機用メイン基板(明立基板)を売り渡し,UDNの注文は文書により行い,明立は空輸により約定期限内に明立基板を出荷(輸出)し,輸送中の損傷,破損等に関する危険はUDNが負担し,クレームがある場合は商品が仕向地に到着してから14日以内に書面を提出し,平成8年11月1日から発効するというものであり,両者間に上記内容の売買契約書が作成されている。(甲47)UDNとECTは,平成8年10月ころ,売買契約を締結した(本件ECT側取引)。その内容は,UDNがECTに明立基板を売り渡し,ECTの注文は文書により行い,UDNは約定期限内に明立基板を出荷(輸出)し,輸送中の損傷,破損等に関する危険はECTが負担し,クレームがある場合は商品が仕向地に到着してから14日以内に書面を提出し,平成8年11月1日から発効するというものであり,両者間に上記内容の売買契約書が作成されている。(甲3)本件取引の目的物は,上記のとおりソフト搭載ROMが組み込まれる前のメイン基板(明立基板)であり,明立のUDNに対する販売価格は1枚当たり1万4000円とされ,ECTのUDNからの購入価格は1枚当たり8万円と約定された。なお,明立の販売からECTの購入までの間において,明立基板に対する加工はなく,ECT購入の明立基板は,明立がUDNに販売した明立基板と全く同一のものであった。(争いのない事実)b 取引内容本件取引に基づき,平成8年11月から平成10年9月までの間に,明立基板 工はなく,ECT購入の明立基板は,明立がUDNに販売した明立基板と全く同一のものであった。(争いのない事実)b 取引内容本件取引に基づき,平成8年11月から平成10年9月までの間に,明立基板6万5000枚以上が明立から出荷され,これがECTに納品された。ECTは,上記明立基板を使用して数種類のパチスロ機を製作し,これらを販売した。(乙24の1ないし6,乙32の1ないし11,被控訴人代表者)c 代金の支払UDNは,本件明立側取引の代金として,明立に対し,単価1万4000円に購入枚数を乗じた金額の金員を支払い,ECTは,本件ECT側取引の代金として,UDNに対し,単価8万円に購入枚数を乗じた金額の金員を支払った。(争いのない事実)イ被控訴人の本件取引への関与と実際の取引経過(ア) 被控訴人の明立に対する技術指導及び部材供給a 被控訴人の明立に対する技術指導被控訴人は,明立に対し,本件明立側取引をするよう斡旋するとともに,栃木県に所在する小山工場の品質管理担当者において,明立基板の製作に必要な図面を交付してその作業内容の指示や技術的指導を行い,不良品が発生した場合はこれを明立に返送していた。また,被控訴人は,明立に対し,基板の試作品の製作を指示し,明立は,被控訴人に対し,明立基板の試作品を平成8年11月22日に10個,平成9年2月6日に19個,同月26日に2個,同年12月12日に15個,平成10年1月19日に5個,それぞれ納品し,被控訴人からその対価の支払を受けた。(乙2,3の2,乙4,5,26の1,2)b 被控訴人の明立に対する部材供給被控訴人は,ECJから被控訴人のオフコンに入った発注数字に基づき,明立基板の製作予定数量分の電子部品を明立に納入し,この電子部品売買(単価1万0100円)により,仕入値の41パーセン る部材供給被控訴人は,ECJから被控訴人のオフコンに入った発注数字に基づき,明立基板の製作予定数量分の電子部品を明立に納入し,この電子部品売買(単価1万0100円)により,仕入値の41パーセント程度の利益を得ていた。なお,通常の部品売買の利益は仕入値の10%程度である。(甲60,乙2,3の1,乙4,5,被控訴人代表者)(イ) 被控訴人の九沢製作所に対する生基板の製作依頼等a 被控訴人は,九沢製作所に,明立基板の部品となる生基板の明立への販売を斡旋するとともに,電機回路図を示して生基板のパターン設計を依頼し,その設計料を支払った。九沢製作所は,上記パターンに基づき,被控訴人の技術的指示の下,生基板を製造し明立に単価1300円で販売した。(乙21,24の1ないし6,乙25)b 被控訴人小山工場の担当者は,九沢製作所に対し,明立に納入する生基板の納入個数の指示をしていた。(乙21)(ウ) 明立基板の物流aECJは,UDNに明立基板の数量,納期等を連絡するとともに,その発注内容を被控訴人のオフコンに入力した。被控訴人小山工場の担当者は,明立に対し,上記発注内容に従って明立基板の製作及び納品を指示した。明立は,九沢製作所から仕入れた生基板に被控訴人から仕入れた電子部品を挿入して明立基板を製作し,これらを被控訴人小山工場に納品した。なお,輸出の具体的手続及び作業はUDNの日本法人であるUDNジャパンが行うことになっていたので,明立はその後の明立基板の物流には関与しなかった。(乙2,3の1,2,乙4ないし6,27,32の1ないし11)b 被控訴人は,小山工場に納品された明立基板について,数量の確認,動作確認のための検査をした後梱包し,ECJ指定の運送業者に引き渡した。(甲74,乙7,被控訴人代表者)。 c 上記運送業者は,受領した明立 訴人は,小山工場に納品された明立基板について,数量の確認,動作確認のための検査をした後梱包し,ECJ指定の運送業者に引き渡した。(甲74,乙7,被控訴人代表者)。 c 上記運送業者は,受領した明立基板を東京都文京区所在の日電協封印会場に運び,日電協職員の立会いの下,ECJの従業員によって,ECT作成プログラムソフトのROMが明立基板に組み込まれ,封印された。封印済の明立基板は,ECJ小山配送センターを経てECTの下請会社オリモトのα工場に運び込まれ,そこで,パチスロ機の筐体の組立て,メイン基板の組込み等が行なわれ,パチスロ機として完成させられた。(甲73,74,乙7,27,被控訴人代表者)(エ) 輸出入の実態a 明立基板は,明立からUDNに輸出されたことも,また,ECTがUDNから輸入したこともなかった。ただし,明立基板のダミーとして用意されたパチスロ用中古基板が,航空便によって,明立から米国のUDN本社あてに輸出され,また,ECTがUDNからこれを輸入し,このダミー基板が繰り返し輸出入されていた。 (争いのない事実)bUDNジャパンは,輸出報告書・インボイスを作成して,明立に送付し,明立代表者らはこれに署名して返送していた。さらに,明立は,輸出代行業者から送付される請求書に従って,その請求金額を振り込んで支払っていた。その結果,明立はダミー基板の輸出経費,UDNは同輸入経費及び輸出経費,ECTは同輸入経費をそれぞれ現実に負担したが,その額は実際に明立基板の輸出入がされた場合の負担額とほぼ同様であった。(甲52の1,2,甲53の1,2,甲62ないし65,乙2,8)(オ) 本件取引終了後の事情a 被控訴人は,本件取引終了後,ECJを被控訴人の100パーセント子会社とする方針を決定し,ECJ株式の買収を始めた。被控訴人は,上記方針を 2ないし65,乙2,8)(オ) 本件取引終了後の事情a 被控訴人は,本件取引終了後,ECJを被控訴人の100パーセント子会社とする方針を決定し,ECJ株式の買収を始めた。被控訴人は,上記方針を前提として,平成10年12月2日及び同月25日,ECJとの間で,被控訴人がECJ開発のパチスロ機(「ジーセブン」及び「サクセション」という機種)を製造して日本国内で販売する非独占的権利の許諾を受け,その対価として1台当たり2万円をECJに支払う旨の製造販売許諾契約を締結した。 b 被控訴人が,ECJに支払う対価を2万円と定めたのは,被控訴人の100パーセント子会社に対するロイヤリティーを2万円としている例に従ったものである。(乙11の1,2,被控訴人代表者)ウ日電協輸入条件(ア) 日電協と日電特許a パチスロ機に関する特許を有しているパチスロ機製造業者数社は,集団的にサブライセンス権(再実施許諾権)付きで日電特許に対してライセンス(実施許諾)しているが,日電特許は,これらの関係特許等を,日電協の全ての組合員,準組合員にサブライセンスする一方で,日電協の組合員又は準組合員以外の者に対しては,サブライセンスしないという取扱いをしていた。(甲13ないし20)b 上記前提となる事実のとおり,日電協は,風営法の規制を受けるパチスロ機製造業者によって構成される団体である。そして,日電協は,「組合加入申込に関する規則」(以下「加入規則」という。)によって日電協に加入するための条件を定め,外資系パチスロ機製造業者については,当初,組合員になることを認めていなかったが,平成3年11月6日,「国外生産業者の取扱に関する規則」を定めて,外資系パチスロ機製造業者が準組合員として加入することを認め,さらに,平成7年12月13日付けで加入規則を改正して,上記準組合 ったが,平成3年11月6日,「国外生産業者の取扱に関する規則」を定めて,外資系パチスロ機製造業者が準組合員として加入することを認め,さらに,平成7年12月13日付けで加入規則を改正して,上記準組合員制度を廃止し,外資系パチスロ機製造業者も日電協の正組合員になることを可能にした。 国外生産業者の取扱に関する規則は,準組合員の資格を「①日本国以外の諸外国において,電動式遊技機の製造業を行う事業者であること,②電動式遊技機について,製造,検査及び研究開発の設備を持ち,かつ,それらが遊技機製造業者登録規定(財団法人全国防犯協会連合会規程第13号昭和61年5月14日付)に示す基準に適合していること,③回胴式遊技機と同等若しくはそれ以上の機構上又は電気的技術を有する製品を過去3年以上製造した経験を有するものであること,④日本国内において販売した製品について,製造業を行う事業者としての責任体制を日本国内に有するものであること。」と定め,平成7年12月13日改正後の加入規則は,国外生産業者の資格として「①国外生産業者は,当該本社工場で製造し,これを日本で販売する事業者であること,②国外生産業者は,日本国内にその事業者の100%出資による日本法人を有し,製造,販売に関する責任体制を保ち得る事業者であること,③国外生産業者は,前号に掲げる日本法人をもって当組合の組合員とみなすこと」と定めていた。 また,平成9年3月28日に加入規則が再度改正されるまでは,日電協に加入するためには,組合加入推薦人として日電協の理事3名の承諾を得ることが必要とされていた上,理事会が,組合加入申込者の審査及びその審査結果を踏まえて加入の可否を審議し,その審議結果を理事長に報告し,その報告に基づいて理事長が加入の可否を加入申込者に通知するなどの手続を経るものとされていた。 パ ,組合加入申込者の審査及びその審査結果を踏まえて加入の可否を審議し,その審議結果を理事長に報告し,その報告に基づいて理事長が加入の可否を加入申込者に通知するなどの手続を経るものとされていた。 パチスロ機製造業者は,日電協に加入すると,その事業展開が極めて有利となるが,反面,既存の組合員が新規企業の参入によって既得利益の減少が生じることを嫌うため,実際には,客観的な要件が備われば直ちに新規加入が認められるという状況にはなく,日電協に新規加入することは容易ではなかった。(甲11の1ないし3,甲20,48,49,乙18,35,38)(イ) ECJの日電協加入a 前記(ア)bのとおり,外資系パチスロ機製造業者は,平成3年11月6日以降は,日電協の準組合員になることが認められたが,準組合員になるためには,海外で製造された輸入機械の販売しか行わない旨の条件を課されていた(以下「輸入条件」という。)。これは,外資系企業に輸入の負担を負わせて国内での競争力を減殺しようとする趣旨で定められたものであった。(甲21,22,27ないし29)bECJは,平成3年8月に鳥取県に工場を入手したため,上記準組合員の資格を具備せず,また,正組合員の資格(国内生産業者として3年以上の生産実績等)も具備していなかったため,直ちに日電協に加入することができなかった。しかし,ECJは,出資者であるECAのイギリスでの生産実績を考慮されて国外生産業者とみなされ,平成5年10月,基板を除く部材等を英国のECAから輸入する旨の誓約書を提出し,このとおりの輸入条件を課された上,準組合員として日電協に加入することが許された。なお,上記誓約書には期限の記載はない。(甲10,21,23の1,2,甲24の1,2,甲26ないし29,32,乙39,40)c 日電協は,平成7年12月13 員として日電協に加入することが許された。なお,上記誓約書には期限の記載はない。(甲10,21,23の1,2,甲24の1,2,甲26ないし29,32,乙39,40)c 日電協は,平成7年12月13日付けで,準組合員の制度を廃止し,外資系パチスロ製造業社も日電協の正組合員となることが可能となり,ECJは,同日付けで,正組合員として日電協に加入することが認められた。(乙18)(ウ) 平成7年12月13日付け加入規則改正後の輸入条件aECJと同じく外資系企業であり,平成4年10月に3年間の輸入条件付きで準組合員として日電協に加入したアイジーティージャパン株式会社は,加入3年後の平成7年10月13日付けで正組合員として承認されたが,同社は,日電協から輸入条件撤廃の連絡を受けたことはなかった。しかし,準組合員加入から3年経過により当然に輸入条件が解消されたと考え,パチスロ機の海外生産を国内生産に切り替えた。(乙18,42,50)。 b 平成7年12月13日に日電協の正組合員として加入した外資系企業のバークレスト株式会社は,正組合員としての加入にもかかわらず,3年間の輸入条件を課せられ,組合加入3年経過後の平成11年1月13日に,日電協に対し,海外生産から国内生産に切り替えることの承認を求め,これが日電協の役員会議で承認された。(甲48,乙18,50)c 平成11年4月1日付けで日電協に加入した外資系企業の株式会社アリストクラジャパンは,3年間の輸入条件を課せられたが,平成14年4月1日付けで輸入条件解消の確認を日電協に申し出て,これが同月26日の役員会で承認された。 (乙50)dECTの輸入条件は,正組合員として加入を認められても解消されることはなかった。その後,ECTが日電協に輸入条件の解消の確認をしたことはなく,また日電協が解消につい 会で承認された。 (乙50)dECTの輸入条件は,正組合員として加入を認められても解消されることはなかった。その後,ECTが日電協に輸入条件の解消の確認をしたことはなく,また日電協が解消について告知したこともなかったが,ECTは,正組合員としての加入から3年が経過したことにより輸入条件が当然に解消されたものと考え,平成10年12月,被控訴人との間で製造販売許諾契約を締結して,パチスロ機の部品輸入を廃止し,完全な国内生産に切り替えた。(甲60,乙50)エ本件ECJ側取引の代金(ア) UDNのECJに対する支援a 被控訴人及びUDNの代表取締役であるP3は,ECJ及びその親会社であるECAの代表者であったP5と20年来の友人関係にあり,過去に,P3自身が海外でビジネスを行うに際してP5から協力を得たこともあったことから,平成3年ころ,P5に対し,ECJ(同年8月設立)の日本市場参入のために協力することを約束した。そして,ECJは,その設立当初のころから,後記の準組合員として日電協に加入するころまでの間,UDNから,スロットマシーンのリール用帯等の部材を購入し,当該部材をそのまま海外の他社に転売するという取引を行っていた。(甲29,60,被控訴人代表者)bP3は,UDNの代表者として,平成6年1月28日,ECJ代表者のP5との間で,覚書を取り交わし,①P3は,UDNやその子会社であるPGLなど,自己の海外関連会社を通してのみ,ECJを応援し,ECTに協力する,②UDN及びPGLは,将来ECJが独自に製造することができるようになるまで,部品又は組立品を供給することで,応援する,③UDNは,ECJが独り立ちできるまで全面的にECJを応援し,ECJに協力する,④UDNは,知り得るだけのすべてのデータ及び情報を提供して,ECJが日本のプ 又は組立品を供給することで,応援する,③UDNは,ECJが独り立ちできるまで全面的にECJを応援し,ECJに協力する,④UDNは,知り得るだけのすべてのデータ及び情報を提供して,ECJが日本のプレーヤーに受け入れられるようなゲームを開発できるようにECJを応援し,努力する,⑤被控訴人は,ECJの製品が優秀であった場合には販売の一部を引き受ける権利のみを有するが,独占的な取引はできないものとする,などを合意した。 なお,P3は日電協の副理事長の地位にあったため,日電協の正組合員である被控訴人の代表者としては外資系企業であるUDNを支援することができなかった。 (甲5,被控訴人代表者)cUDNは,平成7年6月から平成8年9月までの間,100%子会社であるPGL(オーストラリア法人)が組み立てたパチスロ機の完成品(ソフトはECJが開発したものを)をECJに輸出する取引(以下「PGL取引」という。)を行い,ECJはこれにより日電協の輸入条件を満たしていたが,その際,UDN代表者P3とECJは,P3がECJに対して行っていた後記(イ)のソフト開発指導及び経営指導等に対する対価をPGL取引の販売価格に上乗せすることを合意した。その結果,UDNは,1台約13万円でPGLから購入したパチスロ機を,ECJに対して1台約18万円で販売していた。(甲73,被控訴人代表者)なお,ECJは,上記約定とは別に,平成7年2月24日,PGLとの間で開発業務委託契約書を取り交わして,PGLに対しパチスロ機ソフト(仮称モグモグ)の開発を委託し,その報酬として生産される遊技機1台当たり8000円を支払うことを約した。また,平成9年1月20日付け覚書で,上記開発報酬として1億4000万円を支払うことを合意し,同年3月24日付けで源泉所得税10%を控除した1億2600 機1台当たり8000円を支払うことを約した。また,平成9年1月20日付け覚書で,上記開発報酬として1億4000万円を支払うことを合意し,同年3月24日付けで源泉所得税10%を控除した1億2600万円を支払った。(乙44,45,46の1ないし3)d ところが,PGLが組み立てるパチスロ機には,寸法が規格に合わないなどの品質上の問題や,輸出入に伴う輸送中に故障が発生するなどの問題が生じたため,ECJは,UDNに対し,品質改良を要求した。そこで,P3は,ECJに対し,PGL取引に代えて,ECJの製造部門であるECTが,UDNが日本で調達した日本製メイン基板を同社から輸入し,これを使用して日本国内でパチスロ機を完成させることで,日電協の輸入条件を満たしつつ,パチスロ機の品質を維持し,これに加え,その代金にP3の後記(イ)の指導対価を上乗せし,基板1枚当たりの販売単価を8万円とすることを提案したところ,ECJ及びECTはこれに同意した。そして,ECTは,平成8年11月ころから平成10年9月ころまで,UDNから明立基板を輸入する本件ECT側取引を行い,この明立基板を使用して国内でパチスロ機を製作し,これをECJが販売した。(甲29,60)(イ) P3のECJ従業員に対する指導等aP3は,P5から依頼を受け,平成4年前半ころから,ECJの開発部員に対し,パチスロ機のソフト開発に必要な知識,技能(具体的には,開発技術の習得方法,ネーミングのポイント,リーチ目の図柄の配列,リール上の図柄の配列,ゲーム性,風営法の解釈,検定申請の書類の書き方など)の開発指導を行なうようになり,平成8年11月から平成10年9月までの本件取引の期間中も,多いときには週に3回位,少ないときでも月4回位行っていた。これに加え,P3は,ECJの従業員に対し,購買製造生産体制 を行なうようになり,平成8年11月から平成10年9月までの本件取引の期間中も,多いときには週に3回位,少ないときでも月4回位行っていた。これに加え,P3は,ECJの従業員に対し,購買製造生産体制の確立,代理店を中心とする販売体制の確立などの経営指導も行なっていた。そして,上記(ア)bのとおり,P3のソフト開発指導及び経営指導は,UDN代表者の地位に基づいて行われ,その対価は上記(ア)cのPGL取引の場合と同様,本件取引においても,UDNに対し支払われていた。 なお,P3は,コンピュータ式パチスロ機の開発に初めて成功した技術者であって,人気ソフト開発に必要な知識と技術を有しており,また,被控訴人やUDNの経営者として,日本及び米国におけるパチスロ機やスロットマシーンの製造・販売ビジネスについての経営知識を有していた。 さらに,P3は,上記のようなECJ内部の従業員に対する指導のほか,平成7年8月から平成9年12月まで,ECJの顧問として在籍し,販売代理店に対する指導などの対外的業務も行ない,ECJから,顧問料として月額100万円の給料,4回の賞与及び退職金2000万円を受領していた。 (甲29,60,73,74,75の1ないし3,乙34,被控訴人代表者)bECJ開発部員によるソフト開発ECJには,本件取引が行なわれていた当時,10名余りから24,5名程度の開発部員が在籍していたが,これらの開発部員は,ECJ入社当時は,いずれもパチスロ機ソフト開発の経験がない素人であった。しかし,前記のとおり,P3から直接ソフト開発指導を受けた結果,幾つかの人気ソフトを開発するまでになり,これらのソフトを搭載するパチスロ機の販売により,ECJは大きな利益を得るに至っていた。 (甲73,74,75の1ないし3,被控訴人代表者)オ UDNの赤字解消 かの人気ソフトを開発するまでになり,これらのソフトを搭載するパチスロ機の販売により,ECJは大きな利益を得るに至っていた。 (甲73,74,75の1ないし3,被控訴人代表者)オ UDNの赤字解消及び税負担(ア) UDNの赤字解消UDNは,平成5年12月期に債務超過に陥ったが,専ら本件取引による収益により,平成8年12月期に期間損益が黒字に転換し,平成10年12月期に債務超過の状態を解消した。被控訴人は,平成8年ころから,株式公開を予定するとともに,平成9年4月当時,UDNに対する貸付債権約17億4881万円及び売掛債権15億0818万円の回収を繰り延べていたが,UDNの上記債務解消により,上記債権の回収が可能となり,株式公開にも支障がなくなった。したがって,UDNの債務超過の解消が,UDNの本件取引参加の目的の1つとなっていた。 (乙12,13)(イ) 被控訴人の税負担a 被控訴人が,明立から明立基板を単価1万4000円で購入し,これを単価8万円でECTに販売し,1台当たり6万6000円の売買利益を得たにもかかわらず,UDNが明立から明立基板を購入してこれをECTに販売したように仮装して,その利益をUDNに帰属させていたとすると,被控訴人は,移転価格税制による課税あるいはUDNに対し債務を免除したり金銭を贈与した場合に国外関連者に対する寄付としてその全額が損金に算入されない(寄付金課税)等の税を負担する可能性が出てくるが,このような税負担をしていない。ただし,控訴人も,被控訴人に対し上記のような税負担を求めてはいない。 (弁論の全趣旨)b 被控訴人自身の法人税額に限ってみると,被控訴人の平成8年から平成10年までの各事業年度の追加納付法人税額(消費税額も含む)を,平成9年以前の法人所得課税の実効税率(法人税率37.5%,事業税 b 被控訴人自身の法人税額に限ってみると,被控訴人の平成8年から平成10年までの各事業年度の追加納付法人税額(消費税額も含む)を,平成9年以前の法人所得課税の実効税率(法人税率37.5%,事業税率12%,住民税率:法人税率の17.3%),平成10年度の同実効税率(法人税率34.5%,事業税率11%,住民税率:法人税率の17.3%)により算出すると,約19億6729万7139円になると推定されるが,被控訴人がUDNに対し有していた貸付金債権17億4881円及び売掛債権15億0818円を,平成8年10月当時の実効税率49.98%を基に貸倒損失として処理すると16億2784万3600円となり,これに,輸出入経費3億3717万7797円,UDNの本件取引利益に基づく米国への納税額約3億1898万6120円(円換算)を考慮すると,被控訴人が上記仮装をしたとしても,被控訴人自身には税務上の利益を算出することができない。(甲82,83の1ないし3,乙12,13,弁論の全趣旨)c また,被控訴人は,米国において,100%子会社のアルゼUSAを通じて,ネバタ州ラスベガスのカジノ関連ビジネスに280億円を投資しているが,原処分を受けたことを理由に,アルゼUSAが50%出資しているバルヴィノ・ラモア社のライセンス許可申請手続が凍結され,280億円の投資が無に帰するかもしれない状況に陥っている。また,重加算税賦課決定処分を受ければ,日本におけるパチスロ事業も,警察庁を監督官庁とする許認可事業であることからして,何らかの打撃を受けることが予想される。(甲54ないし55,56の1ないし3,乙19,弁論の全趣旨)(2)ア上記(1)の認定事実によれば,(ア) 本件取引は,そもそも,明立が製作した明立基板をUDNに輸出し,それをそのままECTがUDNから輸入す 5,56の1ないし3,乙19,弁論の全趣旨)(2)ア上記(1)の認定事実によれば,(ア) 本件取引は,そもそも,明立が製作した明立基板をUDNに輸出し,それをそのままECTがUDNから輸入するというものであって,経済的合理性を欠く無意味な取引のようにも見える。また,本件明立側取引及び本件ECT側取引のそれぞれに契約書が作成され,明立基板の発注,輸出入手続,納品等の約定が定められているが,実際には,明立基板の輸出入はされず,ダミー中古基板の輸出入により,いかにも明立基板の輸出入がされたように仮装されていたばかりか,明立基板は,被控訴人を経由して明立からECTに引き渡されていたなど,上記契約条項の主要な部分が遵守されていなかった。さらに,ECJがUDNから購入した明立基板の売買代金は,通常のメイン基板の取引価格を大幅に超えるものであった。 (イ) また,被控訴人は,明立に対し,本件明立側取引を斡旋し,明立基板製作部材である電子部品を販売しただけでなく,明立基板製作の作業内容の指示や技術的指導を行い,九沢製作所にも明立への生基板の販売を斡旋しただけでなく,生基板製作の技術的指示を行い,さらに,ECJから受けた発注情報に基づき,明立に対し,UDNへの納品を指示し,完成した明立基板を被控訴人小山工場で受領し,数量の確認,動作確認のための検査をして梱包した上,ECTの運送業者に引き渡すなど,本件取引の当事者でないはずの被控訴人が,明立基板の注文,製作,授受等の事務の一部を行っていた。他方,UDNは,明立に対し明立基板の発注手続をしたり,現実に明立基板の授受をしたこともないなど,本件取引に関与する程度が希薄であった。 イしかし,(ア) ECJ(子会社のECTも含む,以下同じ。)の日電協輸入条件は,平成7年12月13日に正組合員となった後も継 の授受をしたこともないなど,本件取引に関与する程度が希薄であった。 イしかし,(ア) ECJ(子会社のECTも含む,以下同じ。)の日電協輸入条件は,平成7年12月13日に正組合員となった後も継続していたが,他の外資系企業であるアイジーティージャパン株式会社,バークレスト株式会社及び株式会社アリストクラジャパンに対してはそれぞれ3年間の期限付きで輸入条件が課されたのと異なり,輸入条件に期限が付されていなかったことに加え,その解消が日電協において承認されたこともない以上,平成8年11月から平成10年9月までの本件取引当時,上記輸入条件が解消されていたと認めることは困難である。 また,輸入条件の主たる目的が外資系企業に輸入負担を負わせて国内での競争力を減殺することにあることからすると,誓約書のとおりの輸入でなくとも輸入条件を満たすことがあると考えられる。わざわざ明立基板を輸出してそれをそのまま輸入する旨の本件取引をすることとし,明立基板の輸出入と同様の費用を負担してダミー中古基板による輸出入を行い,その輸入書類をECJが所持していることからすると,ECJは,日電協輸入条件を満たすためにUDNを当事者とする本件取引を行ったものと認めるのが相当であり,ダミーによる輸出入もそのために行われたものと推認される。また,UDNは本件取引によって多額の収益を得て,債務超過の状況を解消させている。 したがって,UDNには本件取引に参加する合理的な理由があり,本件取引が経済的に無意味であるということはできない。また,ダミーによる輸出入は,確かに本件取引の各契約条項に違反するものではあるが,上記のとおり本来の明立基板の輸出入と同様の費用を出捐しているのであるから,ダミーを用いたことが当然に本件取引が虚偽であることを根拠付けることにはなるものではない。 ( 条項に違反するものではあるが,上記のとおり本来の明立基板の輸出入と同様の費用を出捐しているのであるから,ダミーを用いたことが当然に本件取引が虚偽であることを根拠付けることにはなるものではない。 (イ) また,UDN代表者のP3は,覚書を取り交わすなどして,ECJに対し,UDN等の海外法人によるソフト開発等の支援を約束し,平成4年前半ころからECJに対し継続してソフト開発指導及び経営指導を行い,UDNとECJ間の平成7年6月から平成8年9月までのPGL取引において,その報酬をパチスロ機販売代金に約5万円上乗せすることを合意し,PGL取引に引き続く本件取引においても,同様に明立基板販売代金に上乗せすることを合意したものである。 したがって,UDNが1枚当たり1万4000円で仕入れた明立基板を1枚当たり8万円でECTに販売していたことは,経済的に不合理なものということはできない。 (ウ) さらに,被控訴人は,UDNの債権者及び関連企業としてその債務超過の解消に協力する立場にあり,また,明立への電子部品売買により,通常の部品売買の利益が仕入値の10%程度であるにもかかわらず,41パーセント程度の利益を得ていたのであるから,当事者でない被控訴人が,本件取引において,明立基板の注文,製作,授受等の事務の一部を行ってこれを援助したからといって,不自然であるとまでいうことはできない。 (エ) その上,被控訴人の法人税負担をみると,被控訴人のUDNに対する貸付金債権や売掛債権について貸倒損失処理することを前提に考えると,推定される追加納付法人税額から輸出入経費とUDNの米国への納税額を差し引いても,税務上の利益を算出することができない。かえって,被控訴人の米国や日本における事業展開を考慮すれば,被控訴人が本件各重加算税賦課処分を受けると,取引上多額の損 UDNの米国への納税額を差し引いても,税務上の利益を算出することができない。かえって,被控訴人の米国や日本における事業展開を考慮すれば,被控訴人が本件各重加算税賦課処分を受けると,取引上多額の損失を被るおそれがある。また,被控訴人とUDN間の移転価格税制による課税あるいは寄付金課税の税負担の点についても,これを回避するため,取引主体を仮装するような迂遠な方法をとる必要はなく,単にUDNが取引主体となって正当な利益を取得すればよいだけのことである。 したがって,被控訴人の課税回避の確たる動機をうかがうことができない。 (オ) それだけではなく,本件明立側取引において,明立とUDNとの間に売買契約書が作成され,UDNから明立に納品した明立基板に相応する代金の支払がされ,本件ECT側取引においても,UDNとECTとの間に売買契約書が作成され,ECTからUDNに受領した明立基板に相応する売買代金が支払われており,被控訴人が明立基板の代金を取得したことはない。 ウ以上のとおり,上記アの事実は,本件取引自体や被控訴人の本件取引への関与につき,疑問や不自然さを感じさせるものの,これらの疑問点等のほとんどは,上記イのとおり合理的な説明ができるものであり,被控訴人に租税回避の確たる動機があることを認めることもできない。 したがって,上記アの事実から,本件明立側取引及び本件ECT側取引がいずれも通謀虚偽の意思表示によるものであって,被控訴人が明立から明立基板を購入しこれをECJに販売したものであると認めることはできず,他に,これを認めることができる的確な証拠はない。 エこれに対し,控訴人は,(ア) 日電協輸入条件は,ECJが日電協加入から3年を経過した平成8年10月12日に撤廃されたと主張し,当時の理事長のP6の供述中には上記主張に沿う部分がある。 ない。 エこれに対し,控訴人は,(ア) 日電協輸入条件は,ECJが日電協加入から3年を経過した平成8年10月12日に撤廃されたと主張し,当時の理事長のP6の供述中には上記主張に沿う部分がある。また,本件取引期間中,日電協から被控訴人に対する輸入条件遵守の調査がされたこともなかった(乙49)。 しかし,上記のとおり,被控訴人に対する輸入条件に期限の定めがなく,日電協が被控訴人の輸入条件解消について意思決定をしたことがないことに照らすと,上記供述部分は直ちに採用することができない。また,日電協が組合加入後の外資系会社に対する輸入条件遵守の調査をしたことがない事実(乙49)に照らすと,本件取引期間中に上記調査がされなかったからといって,上記主張のように輸入条件が撤廃されたと推認することもできない。 (イ) 被控訴人が明立基板の電子部品を販売するについて,仕入価格の41%の高額の利益を上乗せしたのは,明立から明立基板を購入し,これをECTに売る転売利益が含まれていたとみるべきであり,明立の部品代金支払時期が明立基板代金受領後とされていたこともこのことを裏付けていると主張する。 しかし,被控訴人は,電子部品の販売以外に,明立基板の注文,製作,授受等の事務の一部を行ってこれを援助していたのであるから,上記代金の中にはその対価の趣旨も含まれていたとみるのが相当であり,また,明立の部品代金支払時期を明立基板代金受領後としたのは,明立の支払を容易にして本件取引に参加しやすいようにした趣旨と解される。 したがって,上記主張は採用することができない。 (ウ) 被控訴人が封印済みの明立基板の検査を行っていると主張し,被控訴人小山工場業務係長P7の供述(乙7)中には,被控訴人が封印済みの明立基板の検査を行っていたように受け取れる部分がある。 しかし,そも 被控訴人が封印済みの明立基板の検査を行っていると主張し,被控訴人小山工場業務係長P7の供述(乙7)中には,被控訴人が封印済みの明立基板の検査を行っていたように受け取れる部分がある。 しかし,そもそも,封印後の基板について検査を行うことはできない(被控訴人代表者)から,上記供述は採用できず,また,仮にそのような事実が認められたとしても,それはECTのパチスロ機製作に被控訴人が協力したというにすぎず,ソフト搭載ROMが組み込まれる前のメイン基板の取引である本件取引に関係することではない。 (エ) 本件取引の関係者は,当初から,明立基板を真実輸出入する意思はなく,輸出入がされたように仮装することを合意していたと主張する。 確かに,本件取引には,機密遵守事項の定めや保険の定めがなく(甲3,47),最初から明立基板の輸出入は行われず,中古基板をダミーとする輸出入がされていた。 しかし,本件取引の主たる目的がECTの日電協輸入条件を満たすことにあったのであるから,UDNとダミー中古基板の輸出入をしたことには意味があり,関係者が当初から明立基板ではなくダミー中古基板の輸出入をすることを合意していたとしても,本件取引の当事者がUDNであることが否定されたり,その当事者が被控訴人になるということにはならない。 (オ) 明立,UDN及びECTは,真実本件取引をする意思を有していなかったばかりか,被控訴人が実質的な取引の主体であると認識していたと主張する。 確かに,本件明立側取引及び本件ECT側取引のいずれにおいても,関係当事者は,各売買契約書で定められた輸出入の約定を遵守していなかったばかりか,そのことに異議を述べた形跡もない。 しかし,明立は,被控訴人の関連会社ではなく,また,輸出入手続をUDNジャパンに一任し,その費用を負担していたのであるから, の約定を遵守していなかったばかりか,そのことに異議を述べた形跡もない。 しかし,明立は,被控訴人の関連会社ではなく,また,輸出入手続をUDNジャパンに一任し,その費用を負担していたのであるから,その手続が約定どおり履行されているものと認識していたと推認される。UDNも,本件取引と同様のダミー中古基板の輸出入を繰り返し,その費用を負担していたのであるから,ダミー輸出入の事実を認識していかどうかは明らかでない。また,ダミー中古基板の輸出入は日電協の輸入制限を満たすために行われたのであるから,関係者がこのような輸出入の事実を認識していたとしても,当然に,本件取引をする意思を有していなかったということにはならない。 なお,売買契約の締結後に売買契約書を作成することは間間行われているところであるから,本件取引に関する各契約書が売買契約締結後に作成されたとしてもなんら不自然ではなく,この事実は上記主張の証左となるものではない。 (カ) P3はECJに対しソフト開発指導及び経営指導をしていないと主張する。 確かに,被控訴人社員P4が平成10年3月にECJの研究開発員2名の評価を行い,テーマ内容,候補者の業務略歴及び推薦理由等を記載した社長表彰候補推薦書を作成している(乙47)。 しかし,この事実は,被控訴人の社員がECJの研究開発員の評価をしたというにとどまり,この事実から直ちにP3が上記指導をしたことがなく,被控訴人がECTの研究開発員の指導をしていたと認めることにはならない。 (キ) P3がECJに対し開発指導,経営指導をしたとしても,これは被控訴人代表者の立場で行ったものであり,その対価は被控訴人に帰属すべきであると主張する。 しかし,P3がECJに対し行ったソフト開発指導及び経営指導のノウハウは,P3がそれまでに各種会社経営やソフト開 代表者の立場で行ったものであり,その対価は被控訴人に帰属すべきであると主張する。 しかし,P3がECJに対し行ったソフト開発指導及び経営指導のノウハウは,P3がそれまでに各種会社経営やソフト開発の中で個人として蓄積してきたものと推認されるのであって,これが被控訴人にのみ帰属されるべきであるとする理由はなく,また,P3がUDNの代表者として指導を行っていたことは,覚書の作成やPGL取引の際の指導報酬上乗せの経緯から明らかである。被控訴人の取締役会の承認や源泉徴収義務履行の有無は,被控訴人の取締役の忠実義務違反や税法上の義務違反になることがあったとしても,上記認定を覆すものではない。 以上のとおり,控訴人の主張はいずれも理由がなく採用できない。 第4 結論以上の次第で,被控訴人が本件取引を行ったものとしてされた本件各処分及び本件各重加算税賦課処分は,いずれも違法であるといわざるを得ず,取消を免れない。 よって,被控訴人の本訴請求を認容した原判決は正当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第15民事部裁判長裁判官赤塚信雄裁判官宇田川基裁判官加藤正男

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