【DRY-RUN】主 文 原判決中控訴人等敗訴の部分を取消す。 被控訴人は控訴人Aに対し金五万四千円を、控訴人Bに対し金六万四千 八百円を支払え。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の
主文 原判決中控訴人等敗訴の部分を取消す。 被控訴人は控訴人Aに対し金五万四千円を、控訴人Bに対し金六万四千八百円を支払え。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。 この判決は控訴人Aにおいて金一万五千円を、控訴人Bにおいて金二万円の担保を供するときは、それぞれ仮りにこれを執行することができる。 事実 控訴代理人は、「原判決中控訴人敗訴の部分を取消す。被控訴人は控訴人Aに対し別紙目録記載第一の株券を控訴人Bに対し同目録記載第二の株券を引渡せ。もし、右株券の全部又は一部を引渡すことができないときは、被控訴人は控訴人等に対しそれぞれ一株について金五十四円の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする」旨の判決並びに担保を条件とする仮執行の宣言を求め、被控訴代理人は、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人等の負担とする。」との判決を求めた。 当事者双方の事実上の陳述は控訴代理人において、「控訴人等がそれぞれ訴外竹島証券株式会社に別紙目録記載の本件株券を寄託した趣旨は、同訴外会社の申入れによりその資産状態を外部に示すため単に本件株券を所持せしめるにあり、従つて寄託株券には名義書換のため委任状を添付せず、又同訴外会社に対し処分承諾書の如きも交付してない。控訴人等の金員の支払を求める本訴請求は、民法第七〇九条の規定による損害賠償を予備的に請求するものであつて、本件株式の右不法行為当時の時価を一株につき金五十四円に訂正する。」旨陳述し、被控訴代理人において、右寄託の趣旨を否認したほか、原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。 立証として、控訴代理人は、甲第一ないし第四号証、第五、六号証の各一ないし三、第七号証の一ないし六、第八号証 て、右寄託の趣旨を否認したほか、原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。 立証として、控訴代理人は、甲第一ないし第四号証、第五、六号証の各一ないし三、第七号証の一ないし六、第八号証の一たいし三、第九号証、第一〇号訂の一、二、第一一ないし第一九号証、第二〇、二一号証の各一、二、第二二号証を提出し日本水産株式会社に対する調査嘱託の結果及び原審証人C、D、E、当審証人F並びに原審における控訴人A本人の各供述を援用し、乙第三号証の成立を認め、その他の同号各証は不知と述べ、被控訴代理人は、乙第一号証の一、二、第二、三号証を提出し、原審証人G、H、I並びに原審における被控訴会社代表者J本人の供述を援用し、甲第三号証、第七ないし第二二号証の成立を認めて同第二一号証の一、二を利益に援用しその余の同号各証は不知と述べた。 理由 原審証人C、Dの供述によつて成立の真正を認める甲第一号証、原審証人Iの供述により真正に成立したものと認める乙第一号証の一、二、第二号証に原審証人C、D、E、H(一部)並びに原審における控訴人A、被控訴会社代表者J(一部)各本人の供述を綜合すると、控訴人Aは昭和二五年三月一七日その所有に係る自己名義の別紙目録記載第一の株券を他の株券とともに、控訴人Bは同年一二月三一日その所有に属する自己名義の同目録記載第二の株券をいずれも訴外竹島証券株式会社に寄託したこと、しかし、右寄託の目的は同訴外会社の懇請によつていわゆる「見せ株」として同訴外会社に所持せしむるにあり、従つて控訴人等と同訴外会社との間には処分禁止の約定の下に株主名義書換のための委任状は勿論処分承諾書の如きも一切添付あるいは授受されていないこと、ところが、同訴外会社は右約旨に反し翌二六年一月三一日被控訴人に対し自己の借入金債務金十一万円 禁止の約定の下に株主名義書換のための委任状は勿論処分承諾書の如きも一切添付あるいは授受されていないこと、ところが、同訴外会社は右約旨に反し翌二六年一月三一日被控訴人に対し自己の借入金債務金十一万円の担保の一部として本件株券全部を各控訴人名義の偽造の株主名義書換のための白紙委任状を添付して質入交付したこと、被控訴人は同年九月上旬頃右貸金債務の弁済に充当するため訴外Eに対し本件株券全部を前記偽造白紙委任状を添付して売渡し交付したことが認められ、他に右認定を左右するに足る証拠がない。 <要旨>しかるに、昭和二五年法律第一六七号による改正によつて商法第二〇五条第一項が記名株式の譲渡方法とし</要旨>て従前の裏書のほか、「株券及之ニ株主トシテ表示セラレル者ノ署名アル譲渡ヲ証スル書面」(譲渡証書)の交付による方法を認めた理由は、裏書による方法と譲渡証書による方法が作用的に同一であることによるもので、いわゆる譲渡証書には必ずも譲渡なる文字の記載を必要とせず、該書面によつて譲渡の意思が認められれば足るものと解すべきである。しかして、白地裏書の方法(同法第二〇五条第二項)と同一作用を営むものと認める株式譲渡の度毎に株主名義書換の煩を避けるため株券に株主名義書換のための白紙委任状を添付してする記名株式の譲渡は、同法第二〇五条第一項の譲渡証書による記名株式の譲渡に該当するものとするを相当とするから、本件株券が、敍上認定のような経過経緯で訴外Eに譲渡せられたとしても、同訴外人が悪意又は重大な過失によつて本株券の所有権を取得したことの主張立証のない本件においては、同訴外人は同法第二二九条によつて本件株式の株主たる地位を取得し、事由の如何を問わず本件株券返還の義務を負わないものとなすべきである。従つて、所有権に基き被控訴人に対し本件株券の引渡を求める控訴人等の 外人は同法第二二九条によつて本件株式の株主たる地位を取得し、事由の如何を問わず本件株券返還の義務を負わないものとなすべきである。従つて、所有権に基き被控訴人に対し本件株券の引渡を求める控訴人等の本訴請求はこれを認容する余地がない。 よつて、次に控訴人等の予備的請求について按ずるに、右の本件株券の入質は、商法の一部を改正する法律の施行せられた昭和二六年七月一日以前になされたものであるから、同法施行法第一一条本文によつて旧法第二二九条の趣旨に照らすと偽造の白紙委任状により無権利者からなされた無効の質権設定というべく、従つて控訴人等は右入質によつて各本件株券の所有権を喪失するいわれはない。然るに、成立に争いのない乙第三号証に原審証人G、I(一部)並びに原審における被控訴会社代表者J本人(一部)の供述を綜合すると、被控訴人は本件株券添付の前記各白紙委任状名下の控訴人等の印影が訴外日本水産株式会社に届出の印鑑と相違するため、右委任状による同訴外会社に対する株主名義書換が不能であることが判明したので、昭和二六年五月一二日質権実行のため広島地方裁判所執行吏に本件株券の任意競売を委任した(この委任は同年七月一二日取下げられた)ことが認められ、他にこの認定のさまたげとなる証左はない。然らば被控訴人は右競売委任当時から既に敍上の如く各委任状名下の控訴人等の印影が会社届出の印鑑と相違することを知悉し、従つて被控訴人においては本件株券を処分する権限のないことを知り又は知り得べかりしにもかかわらず、訴外Eに対し本件株券全部を売渡したものとなすべく、しかしてその結果前記説示の如く控訴人等は各その所有権を喪失するに至つたものというべきであるから、控訴人等は被控訴人の故意又は少なくとも過失によつて本件株券の各所有権を侵害せられ、因つて同株式の時価相当額の損害を蒙つ 記説示の如く控訴人等は各その所有権を喪失するに至つたものというべきであるから、控訴人等は被控訴人の故意又は少なくとも過失によつて本件株券の各所有権を侵害せられ、因つて同株式の時価相当額の損害を蒙つたものとしなければならない。そして右不法行為当時の本件株式の時価が一株につき五十四円であることは被控訴人の明らかに争わないところであるから、被控訴人は控訴人等に対しそれぞれ不法行為による損害賠償として右時価相当の金員を支払う義務があるというべきである。 以上のとおりであるから、被控訴人が控訴人等の各本件株券の所有権を侵害したことによる損害賠償として一株につき金五十四円の割合を以て被控訴人に対し控訴人Aが金五万四千円の、控訴人Bが金六万四千八百円の支払を求める控訴人等の本訴請求は、これを正当として認容すべく、右と趣旨を異にする原判決は取消を免れない。よつて、民事訴訟法第三八六条第九六条第八九条第一九六号を適用し、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官植山日二裁判官池田章裁判官宮田信夫)
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