令和4(行ウ)26 鈴鹿市指導違反処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年9月26日 津地方裁判所
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判決文本文27,779 文字)

主文 1 処分行政庁が令和4年11月1日付けで原告に対してした生活保護停止決定処分を取り消す。 2 被告は、原告に対し、15万円及びこれに対する令和4年11月1日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は被告の負担とする。 5 この判決は、第2項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 主文1項と同旨。 2 被告は、原告に対し、55万円及びこれに対する令和4年11月1日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 生活保護法(以下、単に「法」ということがある。)による保護を受けていた原 告は、処分行政庁から、原告が保有する自動車(以下「本件自動車」という。)の売却処分に係る複数社の見積書の追加提出を求める旨の法27条の規定による指導又は指示(以下「本件指導」という。)に従う義務に違反したことを理由として令和4年11月1日付けで保護を停止する処分(以下「本件停止処分」という。)を受けた。 本件訴えは、原告が、被告に対し、本件停止処分が違法であるとして、その取消し並びに国家賠償55万円及びこれに対する本件停止処分の日を起算日とする民法所定の法定利率による遅延損害金の支払を求める事案である。 2⑴ 関係法令等は、別紙1記載のとおりである。 ⑵ 関係通達等は、別紙2記載のとおりであり、その一ないし五のとおり、それ ぞれ「次官通知」、「局長通知」、「課長通知」、「事務連絡」及び「注意喚起」と いう。 ⑶ なお、生活保護法に基づく保護が地方自治法2条9項1号所定の第1号法定受託事務であり、上記⑵の関係通達等には同法245条の9第1項及び第3項に基づ 務連絡」及び「注意喚起」と いう。 ⑶ なお、生活保護法に基づく保護が地方自治法2条9項1号所定の第1号法定受託事務であり、上記⑵の関係通達等には同法245条の9第1項及び第3項に基づく処理基準として示されたものがあるため、職権で厚生労働大臣を行政事件訴訟法23条1項所定の行政庁として被告のために参加させる決定をし、 関係通達等の合理性について別紙3のとおり主張させた。 3 前提事実争いのない事実及び掲記書証等(処分行政庁における原告のケースレコード【甲A25、乙12、15】を含む。)により容易に認められる事実は、次のとおりである。 ⑴ 原告は、現在、鈴鹿市に単身で居住する女性(昭和▲年▲月▲日生)であるが、頚椎症性脊髄症を発症し、四肢体幹機能障害を患い、平成22年8月12日付けで、身体障害者手帳1級が交付された。【甲A1】⑵ 原告は、同居していた長男が原告を経済的に支援できなくなったことから、令和元年7月8日、生活保護を申請し、処分行政庁は、同月23日付けで、原 告に対する保護の開始を決定した。このときの生活保護の支給額は、生活扶助として、5万9220円であった。【乙1】⑶ 原告は、上記⑵の生活保護開始決定時において、自動車1台(初度登録年月平成15年8月)(本件自動車)を保有しており、令和元年7月25日、処分行政庁に対して、本件自動車(排気量2,000cc 以下)の使用を認めてほしい旨の 保護申請書を提出した。【甲A10、11、乙3の1】⑷ 処分行政庁は、原告に対し、令和元年7月25日、本件自動車の保有の可否の検討に当たって必要であるとして、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づき、福祉有償運送を利用するための障害支援区分認定の申請手続をす 年7月25日、本件自動車の保有の可否の検討に当たって必要であるとして、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づき、福祉有償運送を利用するための障害支援区分認定の申請手続をするよう求めた。しかし、原告は同手続をしなかったことか ら、処分行政庁は、同年10月30日付けで、同手続をするように法27条1 項に基づき指導をした。【甲A2】⑸ 原告は、令和元年11月13日、上記⑷の指導に従い障害支援区分認定の申請手続を行い、処分行政庁は、同年12月19日、同区分につき、区分1と認定した。【甲A3】⑹ 処分行政庁は、本件自動車の保有及び使用を認めず、原告に対し、福祉有償 運送利用のための手続を行うよう指導することとし、令和2年1月20日付けで、上記⑶の原告の申請を却下した(なお、これに対し、原告は、同年4月1日付けで三重県知事に審査請求をしたが、令和3年3月25日付け裁決により、審査請求の対象となる処分に当たらないとの理由で却下された。)。【甲A21、22、乙3の2】 ⑺ 処分行政庁は、原告に対し、福祉有償運送の利用手続をするよう促したが、原告は同手続をしなかったことから、令和2年3月31日付けで、同手続をするように法27条1項に基づき指導をした。【甲A22、乙16】⑻ 処分行政庁と原告との間で、その後も本件自動車の保有の可否についてやり取りが行われたが、処分行政庁は、令和4年8月4日、鈴鹿市社会福祉事務所 におけるケース検討会議の結果、本件自動車の保有を認めないこととし、同月19日頃、原告にその旨を伝え、原告が、以前に提出した平成30年12月12日付けの本件自動車の処分に係る見積書(処分費用として1万5226円の支払を要するというもの)とは別に、2社以上の見積書を提 19日頃、原告にその旨を伝え、原告が、以前に提出した平成30年12月12日付けの本件自動車の処分に係る見積書(処分費用として1万5226円の支払を要するというもの)とは別に、2社以上の見積書を提出するように口頭で指導した。【甲A4、10、乙11】 ⑼ 原告が、上記⑻の指導に従わなかったことから、処分行政庁は、令和4年9月9日付けで、原告に対し、「令和4年9月26日までに、以前に提出してもらっているものとは異なる自動車の処分に係る見積書を2社以上分福祉事務所に提出すること」との法27条1項に基づく指導(本件指導)をした。【甲A4】 ⑽ 原告は、本件自動車の処分に係る見積書につき、処分行政庁に対し、代理人 弁護士に任せているため、自分では準備しておらず、する予定もないと伝え、本件指導に従わなかったことから、処分行政庁は、令和4年10月4日付けで、原告に対し、行う予定の処分を生活保護の停止とし、その弁明の機会の付与として、同月27日に聴聞会を行うと通知した。【甲A5】⑾ 原告代理人は、令和4年10月24日到達の通知書により、処分行政庁に対 し、上記⑽の生活保護停止の予定に対して抗議するとともに、聴聞会の日程の再調整を求めた。【甲A6の1・2】⑿ 処分行政庁は、令和4年10月25日付けで、冬季加算を理由として原告の保護の変更を行った。変更後の生活保護の支給額は、8万2534円(生活扶助4万9134円、住宅扶助3万3400円)であった。【甲A7】 ⒀ 原告が上記⑽の聴聞会を欠席したため、処分行政庁は、原告が本件指導に従わなかったことを理由として、令和4年11月1日付けで、原告の生活保護(生活扶助、住宅扶助、介護扶助、医療扶助)を停止する処分(本件停止処分)をし、重ねて上記⑼の見 処分行政庁は、原告が本件指導に従わなかったことを理由として、令和4年11月1日付けで、原告の生活保護(生活扶助、住宅扶助、介護扶助、医療扶助)を停止する処分(本件停止処分)をし、重ねて上記⑼の見積書を同月16日までに提出するように指導した。【甲A8の1・2】 ⒁ 原告の普通預金口座の残高は、令和4年10月31日時点で2万1687円、同年11月4日時点で3万4687円であった。【甲A27】⒂ 原告は、同年11月9日、本件訴えを提起するとともに、本件停止処分により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるとして、行政事件訴訟法25条2項に基づき、本案事件の第1審判決の言渡し後60日が経過するまで、 同処分の効力の停止を求める申立てをしたところ(津地方裁判所令和4年(行ク)第9号執行停止申立事件)、同月24日、執行停止決定がされ、被告は即時抗告をせず確定した。これに伴い、処分行政庁は、原告に対し、本件停止処分以降の生活保護費を遡って支給した。【顕著な事実、証人a】 4 争点及び当事者の主張 ⑴ 審査請求前置の要否(争点1) (原告の主張)原告は、本件停止処分により、日常の生活費の支出が困難となり、しかも、令和4年11月の保護費支給の直前であったから、最も手持ち現金のない時期であった。したがって、行政事件訴訟法8条2項2号の「著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき」に該当するので、裁決を経ずに取消訴訟を提起し たものであって、適法である。 (被告及び参加人の主張)原告の取消請求に係る訴えは、審査請求を前置しておらず、不適法である。 生活保護法69条は審査請求前置主義を規定している。仮に、原告が述べるような状況があったとしても、審査請求をして審査庁に執行停止の 原告の取消請求に係る訴えは、審査請求を前置しておらず、不適法である。 生活保護法69条は審査請求前置主義を規定している。仮に、原告が述べるような状況があったとしても、審査請求をして審査庁に執行停止の申立てをする ことが可能であったから、行政事件訴訟法8条2項2号の「著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき」には該当しない。 ⑵ 本件自動車の保有を認めないことの違法性(争点2)(原告の主張)課長通知が定める自動車保有の要件は、目的を通院等に限定すること等によ って、障害者の社会参加や移動の自由を必要最小限度を超えて制約している一方で、極めて限定された要件に該当しない場合には、既に保有している経済的に無価値な自動車についてまで手放すことを強いるものであるから、極めて不合理である(福岡地裁平成21年5月29日判決【甲B6】、大阪地裁平成25年4月19日判決【甲B2】等参照)。 自動車の保有を認められない障害者は、人間として地域の中で生きていくこと自体を否定されることとなる。 自動車の普及率が、全国の総世帯で70%(2人以上世帯で80%)を超えていることからすれば、一般的に生活用品としての自動車の保有を認めるべきである。仮に全国一律には認められないとしても、自動車の総世帯普及率が上 記70%を超えている三重県においては、自動車の保有を認めるべきである。 (被告の主張)法は、最低限度の生活の保障をすることを旨とし、かつ、補足性の原理を基本とすると定めている。そして、自動車の利便性もさることながら、その購入費用や処分価値が一般に大きいこと、維持費や駐車場の経費が最低生活を圧迫しかねないこと、事故の場合の被保護者の負担能力に問題があること及び地域 の低 て、自動車の利便性もさることながら、その購入費用や処分価値が一般に大きいこと、維持費や駐車場の経費が最低生活を圧迫しかねないこと、事故の場合の被保護者の負担能力に問題があること及び地域 の低所得層の生活実態との均衡及び生活感情に対する考慮等が、その課長通知の根拠である。そして、この根拠は自動車の資産価値が極めて低かったとしても、その妥当性は失わない。また、他に課長通知に特段不合理な点は見出せない。 事務連絡の「生活用品としての自動車は、単に日常生活の便利に用いられる のみであるならば、地域の普及率の如何にかかわらず、自動車の保有を認める段階には至っていない。」旨の内容は、一つの文明論的な認識も加味した判断に立脚するものであると考えられる。 関係通達等の合理性については、参加人の主張を援用する。 (参加人の主張) 関係通達等の根拠及び合理性については、別紙3のとおりである。 なお、証人aは、証人尋問において「(厚生労働省から三重県を通じて)このケースでも特別の事情は認められない、やっぱり保有を認めないんだという回答が来たということですか」との裁判長の質問に対し、「そうです」と答えている。参加人は、被告による処分の適否等について意見を述べる立場にないが、 厚生労働省が三重県に対し、原告の件に関して「特別の事情が認められない、やっぱり保有を認めないんだ」という旨の回答をした事実はなく、その証言には誤りがある。 ⑶ 本件指導の違法性(争点3)(原告の主張) ア本件指導は、以下のとおり、原告の移動の自由を侵害し、必要最小限度の 制限を超えるものであるから、原告はこれに従う理由はなく、違法である。 イ原告は、長距離の歩行が困難であり、公共交通機関の利用 以下のとおり、原告の移動の自由を侵害し、必要最小限度の 制限を超えるものであるから、原告はこれに従う理由はなく、違法である。 イ原告は、長距離の歩行が困難であり、公共交通機関の利用ですら事実上不可能である。したがって、原告が日常生活を営み生きていくためには、自動車を使うことが必要不可欠であるのに、処分行政庁は本件車両の保有を認めない。 ウ憲法13条及び22条は、移動の自由を保障しており、日本が批准している障害者権利条約20条は、障害者自身が、自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にすることと定める。原告の身体及び障害の状況からすれば、自動車がなければ日常生活上の移動全般ができないのであるから、本件自動車の保有を許さない本件指導は、 上記移動の自由や、上記条約の要請に反している。 エ原告の歩行の困難さを考慮すれば、通院のために保有を容認されるべき本件自動車を、生活を維持するための用途等に利用することは、法の目的(日常生活自立、社会生活自立)や補足性の原理(保有する資産の有効活用)に沿うものである。そして、原告は、本件自動車の維持費用を賄うことが可能 であり、生活保護制度上もそれで賄うことを許容されているから、本件指導は保護の目的達成に必要な指導又は指示ではなく、被保護者の自由を尊重しておらず、必要最小限度のものでもない。 オ本件指導は、既に提出した見積書により本件自動車が無価値であり、むしろ処分のために費用を要することが明らかであるにもかかわらず、重ねて別 の見積書の提出を求めるものであり、必要最小限度のものとはいえない。 カ以上のとおり、本件指導は、法27条1項及び2項に違反する。 (被告の主張)課長通知に合理性 別 の見積書の提出を求めるものであり、必要最小限度のものとはいえない。 カ以上のとおり、本件指導は、法27条1項及び2項に違反する。 (被告の主張)課長通知に合理性がある以上、厚生労働省から生活保護行政の実施を法定受託事務として委託されている被告は、その委託の趣旨に沿うべく、被保護者に 対し、指導又は指示をする権限を有する。処分行政庁は、厚生労働省が定める 処理基準に基づき、本件指導をしたものであり、合理的なものである。 ⑷ 本件停止処分の違法性(争点4)(原告の主張)ア実体的違法本件停止処分は違法な本件指導を前提としているから、法62条3項に反 し、違法である。 また、原告は、形式的には処分行政庁がした本件指導に従わなかったものであるとしても、その違反は極めて軽微であり悪質性もない。また、原告は、保護の停止がされれば、生命又は身体への影響は重大なものとなるおそれが大きい。これらの事情があるのに、処分行政庁は、その実情を十分考慮せず に本件停止処分を行い、その結果、原告は実際に著しい生活困窮状態に陥った。被告としては、まずは保護の変更により、なお従わない場合に保護の停止をすることも十分に可能であったから、保護の変更を経ることなく直ちに保護を停止する必要性又は緊急性もなかった。 以上に加え、争点3の原告の主張のとおり、本件指導の内容は相当性がな いことも踏まえれば、処分行政庁の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるから、本件停止処分は違法である。 イ手続的違法 法62条4項は、形式的な弁明の機会の付与ではなく、実質的な弁明の機会を与えなければならないものと解すべきである。また、鈴鹿市行政手 続条例16条2項は、 イ手続的違法 法62条4項は、形式的な弁明の機会の付与ではなく、実質的な弁明の機会を与えなければならないものと解すべきである。また、鈴鹿市行政手 続条例16条2項は、代理人に選任された者は、聴聞に関する一切の行為をすることができると規定しており、弁明の機会についても同様である。 しかし、本件では、代理人弁護士の期日出頭の確保をしておらず、法及び上記条例の定めを遵守しておらず、違法である。 また、本件停止処分の通知書は、その理由の記載の文字が小さい上に、 見積書の提出要求の根拠や選択した処分の理由も記載されていない。した がって、本件停止処分の理由付記は、その形式又は内容からして、行政庁の判断の慎重又は合理性を担保しておらず、また、処分の相手方の訴訟提起の便宜を図るという視点もおろそかにしているといわざるを得ないから、違法である。 (被告の主張) 原告は、複数回にわたって、被告からの口頭による指導又は指示を遵守せず、書面による本件指導も遵守しなかったため、処分行政庁は告知又は聴聞の機会を与えた上で、本件停止処分に至ったものである。 法62条3項所定の停止処分においては、当該指導又は指示違反の事実が除去されたことが保護の実施機関において確認されれば保護が再開される。 したがって、本件停止処分は、手順としても制裁の軽重という観点からも相当であり、違法ではない。 ⑸ 国家賠償請求の成否(争点5)(原告の主張)ア本件停止処分は、公務員(処分行政庁)が、その職務行為として、公権力 の行使として行った違法な処分である。 イ処分行政庁が本件停止処分をする前には、原告が行政指導の中止の申出をしていた。また、処分行政庁は、本件停止処分 が、その職務行為として、公権力 の行使として行った違法な処分である。 イ処分行政庁が本件停止処分をする前には、原告が行政指導の中止の申出をしていた。また、処分行政庁は、本件停止処分によって原告に重大な結果が生じかねないことを十分に承知していたはずである。これに加え、過去に別の裁判で三重県四日市市が保護の廃止処分について違法であるとの判決を 受けているところ【甲B5の1・2】、処分行政庁において、本件停止処分は、この判決で示された規範とも合致しないことを認識していたはずである。 したがって、処分行政庁は、本件停止処分をするに当たり、その職務上の注意義務に違反したのであるから、国家賠償法上の違法性を有する行為をしたことは明らかである。 ウ原告は、本件停止処分によって、生命の維持にかかわるほど多大な不安と 苦痛にさらされながら生活することになっているから、このような原告の受けた精神的苦痛を金銭に換算すると、少なくとも慰謝料50万円を下らない。 また、原告は、本件訴訟追行を弁護士に委任することを余儀なくされたが、本件停止処分と相当因果関係を有する弁護士費用は5万円を下らない。 エしたがって、原告は、被告に対し、55万円の損害賠償請求権を有する。 (被告の主張)いずれも否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実(前提事実、争いのない事実、掲記証拠及び弁論の全趣旨等により認められる事実) ⑴ 原告の生活状況等【甲A33、原告本人】ア原告は、三重県四日市市及び鈴鹿市において「犬の美容室」を営んでいたが、長年にわたり中腰の姿勢でのトリマー業務を続けた結果、前提事実⑴の身体障害を生じ、生活保護をいったん受けたが、平成24年に長男が就労した 重県四日市市及び鈴鹿市において「犬の美容室」を営んでいたが、長年にわたり中腰の姿勢でのトリマー業務を続けた結果、前提事実⑴の身体障害を生じ、生活保護をいったん受けたが、平成24年に長男が就労したため、生活保護が廃止された。 イところが、長男が結婚して独立することになり、原告を経済的に支えることができなくなったため、令和元年7月から再び生活保護の受給を開始した(前提事実⑵)。 原告は、生活保護受給開始時点で、平成15年に購入した本件自動車を保有しており、自身で補助装置を使用しながら運転していた。【甲A11、3 8】原告は、身体障害者であり、膝の状態が悪い上に左腕にしびれがあるため、右手で4点杖を使用しているものの、最寄りのスーパーマーケットやバスの停留所までゆっくりと歩くことすら困難となっている。 ウ原告は、令和3年10月から令和4年11月までの間、リウマチのリハビ リと診察のため、b病院に月1回ないし2回程度通院するほか、c歯科医院 等に月1回通院することもあった。【乙6の1・2】原告の自宅からb病院までの移動距離は約2.1ないし2.2㎞であり、タクシー料金は830円ないし910円程度である。【乙7、13】原告の自宅からc歯科医院までの移動距離は約1.3㎞であり、タクシー料金は590円程度である。【乙8】 もっとも、別紙4(原告第5準備書面の別紙一覧表)記載のとおり、鈴鹿市内のタクシー運行状況は、全国的かつ恒常的な運転手不足等もあって、運行台数が少なく、流し営業をしておらず、待機場所も限られていることから、早めに予約することを求められていた。【乙10】その上、確実に予約ができるわけではなく、タクシーを待たせて用事を済 行台数が少なく、流し営業をしておらず、待機場所も限られていることから、早めに予約することを求められていた。【乙10】その上、確実に予約ができるわけではなく、タクシーを待たせて用事を済 ませることも困難である。【甲A31~33、36、37(枝番を含む。)】また、タクシー代について、通院移送費の支給を受けられるとは限らない。 エ原告が、福祉運送車両を使用することは、業者の実情からして不可能であった。 オ原告は、上記ウの通院のみならず、適宜、本件自動車で買物や図書館等に 行くことを強く希望しており、運転免許の更新も受けてきている。 カ原告が被告に提出した本件自動車(トヨタカローラスパシオ)の平成30年12月12日付けの見積書(使用済車引取依頼書)によると、使用済車引取価格は1000円とされ、抹消登録手続代行費用等に1万6226円の支払を要するとされた。【甲A10】 キ原告は、本件自動車のガソリン代は、生活保護の障害者加算の金額(3級地の身体障害者1級の在宅者である原告については当時月額2万3060円【甲B30】)の範囲で賄うことができている。ちなみに、令和4年の車検代は9万6263円であったところ【甲A34の1】、新型コロナウイルス関係の給付金10万円で賄った。自賠責保険料及び任意保険料も生活扶助又 は障害者加算で賄うことができている。【甲A34の2・3】 ク自動車の普及率(平成26年全国消費実態調査)は、全国の総世帯で72. 8%、三重県の総世帯では84.5%に達している。また、自家用自動車の1世帯当たり保有台数は、全国で1.032台、三重県で1.439台(全国15位)、鈴鹿市で1.535台(全国27位)となっている。【甲B10~13】 ⑵ 本 達している。また、自家用自動車の1世帯当たり保有台数は、全国で1.032台、三重県で1.439台(全国15位)、鈴鹿市で1.535台(全国27位)となっている。【甲B10~13】 ⑵ 本件処分に至る経緯被告(処分行政庁)は、三重県に対し、原告がタクシーで通院せず本件自動車で通院することは下記②の及びを満たさないと判断し、本件自動車の保有及び使用を認めないと判断しようと考えていると示した上で、次の回答要望事項について厚生労働省へ回答を求めることを依頼していた。 ① 当市の判断に問題がないか。また問題がある場合は、その問題点をご指摘ください。 ② 当市においてケース検討会議を実施した際に、「検討要件」の解釈について意見があったため、以下の部分の解釈及び具体的な例示をお願いします。 「地域の実情に照らし、社会通念上妥当であるとの判断」の基準 「自動車により通院等を行うことが真にやむを得ない状況」の状況これに対し、令和4年7月21日、三重県から同日の厚生労働省社会・援護局保護課からの回答によるものとして、要旨次のような回答があった。 ① 実施機関において適切に判断されたい。 ② 課長通知第3の問12の答1⑵の記載以上の具体例はありません。【乙1 8】処分行政庁における担当者であるaは、これを受けて、やはり原告の本件自動車の保有は認められないと判断し、それを前提として本件指導をすることにした。【a証人】⑶ 別件訴訟 ア被告においては、過去に、主として被保護者が知人男性と生活を共にして いたことを理由とする保護の廃止処分が違法とされ、国家賠償請求を認容する判決を受け(津地方裁判所平成28年(ワ)第211号)、控 いては、過去に、主として被保護者が知人男性と生活を共にして いたことを理由とする保護の廃止処分が違法とされ、国家賠償請求を認容する判決を受け(津地方裁判所平成28年(ワ)第211号)、控訴も棄却された(名古屋高等裁判所平成29年(ネ)第978号)という先例がある。【甲B39の1・2、a証人】イ被告は、本件のほかにも、生活保護を受けている母と同一世帯の子が所有 する自動車につき、処分行政庁から運転記録票を提出するよう複数回にわたり求められていたにもかかわらず、これを提出しなかったことを理由に、処分行政庁が生活保護を停止する旨の処分をした事案につき、母子から本件訴えと同様の訴訟(津地方裁判所令和4年(行ウ)第24号)を提起され、令和6年3月21日言渡しの判決により、処分取消しと母子それぞれに対して 10万円ずつの国家賠償の支払を命じられ、控訴した。【当裁判所に顕著な事実】 2 争点1(審査請求前置の要否)について本件停止処分を受けたことにより、原告は収入の途を絶たれ、わずかな手持ちの金員により当面の生活をするほかなくなったのであり、審査請求をして裁決を 待つゆとりがなかったことは明らかである。したがって、処分により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるときに該当するものとして、行政事件訴訟法8条2項2号により、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。なお、審査請求手続においても執行停止の申立てができることは、この点の判断を左右しない。 3 争点2(本件自動車の保有を認めないことの違法性)について⑴ 前提事実に加えて、上記1の認定事実⑴によれば、原告に関して次のような事情が認められる。 ア原告は、ごく短い距離を歩くのも困難な身体障害者であり 有を認めないことの違法性)について⑴ 前提事実に加えて、上記1の認定事実⑴によれば、原告に関して次のような事情が認められる。 ア原告は、ごく短い距離を歩くのも困難な身体障害者であり、少なくとも2か所に通院を続ける必要があった。 イ上記通院につき、福祉運送車両の使用は不可能とされており、その都度タ クシーを予約するのも容易かつ確実な方法ではなく、現実的とはいえない。 ウ本件自動車に処分価値はなく、むしろ処分に費用を要する。 エ原告は、本件自動車の維持に要する諸費用(ガソリン代・車検費用・保険料)をこれまで賄うことができている。 オ原告は、身体障害があるものの、本件自動車の運転は可能とされ、自動車 運転免許の更新も受けている。 カ原告は、上記通院のみならず、本件自動車でスーパーマーケットへの買物や図書館等にも行きたいと強く希望している。 キ三重県鈴鹿市においては、自動車は一般世帯で相当に普及しており、公共交通機関を含む地域の交通事情等からしても、自動車の使用の必要性が高く、 その保有に違和感を抱かれるような状況にあるとは考えられない。 ク原告が本件自動車の利用に際して、通院や移動に要する費用やサービスを新たに要求したり、虚偽の申告をしたり、不正の手段を用いたりしてその費用を支出していた事実は認められない。 ⑵ 上記⑴によれば、原告については、本件自動車の処分を強いることに合理性 は認められず、その保有を認めて生活全般に活用させ、自立を助長することこそが、法1条(目的)、3条(最低生活)、4条1項(保護の補足性)及び9条(必要即応の原則)等の趣旨に沿うものであり、自動車の保有が地域の一般世帯との均衡を失することにはならないと判 助長することこそが、法1条(目的)、3条(最低生活)、4条1項(保護の補足性)及び9条(必要即応の原則)等の趣旨に沿うものであり、自動車の保有が地域の一般世帯との均衡を失することにはならないと判断される。 憲法22条1項は「居住、移転」までには至らない一時的な移動の自由をも 保障していると解されるほか、日本も批准した障害者権利条約20条(個人の移動を容易にすること)により「障害者自身が、自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にすること」が求められていること、障害者基本法及び障害者差別解消法により、障害者に対する社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮を求められている ことに鑑みても、原告については本件自動車の保有を認めることが合理的であ るといえる。 なお、被告及び参加人の主張には、被保護者の自動車の保有につき社会通念との関係に言及する部分があるが、被保護者について自動車の保有及び使用を厳格な要件の下でのみ認める関係通達等については、全国市長会【甲A30(19頁)、甲B23】や日本弁護士連合会【甲B9】からも緩和が求められている ことも、現在の社会通念の一端を表すものといえる。 ⑶ そして、次官通知は、資産の処分の例外を比較的広く認め、むしろ処分が困難なもの等の活用を認めており、局長通知も、自動車を含むと解される「その他の物品」について、「処分価値の小さいもの」又は「利用の必要があり、かつ、その保有を認めても当該地域の一般世帯との均衡を失することにならないと 認められるもの」の保有を容認している。 それにもかかわらず、課長通知は、自動車についてのみ「地域の低所得世帯との均衡」を問題にし、「地域の普及率の如何にかかわらず」原則的に保有 ならないと 認められるもの」の保有を容認している。 それにもかかわらず、課長通知は、自動車についてのみ「地域の低所得世帯との均衡」を問題にし、「地域の普及率の如何にかかわらず」原則的に保有は認められないとした上で、問12において、障害者の通院用自動車の保有についてまで5項目にも上る厳格な要件を列挙してその全部を満たすことを要求し ており、より上位の通達である次官通知及び局長通知との整合性を直ちに認め難いものである。特に、タクシーでの移送との比較までも求めた付加部分は、最近のタクシー事情に照らしても、一層合理性が疑わしくなっているものといわざるを得ない。 ⑷ もっとも、仮に、処分行政庁が関係通達等に従って判断したとしても、上記 ⑴によれば、本件指導の当時において、原告は課長通知の上記5項目の要件を満たしていたものと判断すべきであった。処分行政庁は、最終的には上記要件のうち⑵の「タクシーでの移送に比べ自動車での通院が、地域の実情に照らし、社会通念上妥当であると判断される等、自動車による通院等を行うことが真にやむを得ない状況であること」のみを満たさないと判断したものと認められる が、地域のタクシー事情(上記1の認定事実⑴ウ)等に照らしても、その判断 には合理性が認められない。 ⑸ 以上のとおり、そもそも原告に本件自動車の保有を認めないこと自体が、処分行政庁の裁量権を濫用したものとして違法であったと判断される。 4 争点3(本件指導の違法性)について⑴ 上記3のとおり、原告は被保護者としても本件自動車の保有を容認されるべ き立場にあり、これを処分させる前提で見積書の追加提出を求めた本件指導もまた違法であったと判断される。 ⑵ その上、原告は既に本件自動車が無価値であり、むしろ処分費 車の保有を容認されるべ き立場にあり、これを処分させる前提で見積書の追加提出を求めた本件指導もまた違法であったと判断される。 ⑵ その上、原告は既に本件自動車が無価値であり、むしろ処分費用の支出を要する旨の見積書を提出していたものであり、これと異なって処分価値があるとの見積書が得られる可能性は極めて乏しかったと容易に推認される。 それにもかかわらず、処分行政庁は、その具体的な必要性を何ら明らかにしないまま、更に複数の見積書の提出を求めたものである。したがって、本件指導は、この点においても、局長通知第11の2⑶にいう「指導指示が形式化することのないよう十分留意すること」にも反した過剰な指導であり、法27条2項が規定する「必要の最小限度に止めなければならない」との義務に反した ものとして違法であると判断される。 5 争点4(本件停止処分の違法性)について⑴ 上記4のとおり、本件指導は違法であったから、原告がこれに違反した場合であっても、法62条3項に基づく保護停止処分等をすることは許されないと解すべきである。 ⑵ なお、原告は、本件停止処分について手続的違法があったとの主張をするが、弁明の機会の付与については、前提事実⑽及び⑾の経緯からしても、処分行政庁が原告に対してその機会を与えなかったものとまでは評価できない。 また、確かに本件停止処分の通知書面【甲A8の1・2】における理由の記載の文字は小さすぎて読みにくいが、そのことから直ちに違法となるわけでは なく、本件停止処分の理由には、原告が本件指導に違反したこと及び適用条文 につき記載されていることからすれば、原告は、いかなる事実に基づき、いかなる法令を適用して本件停止処分がされたかを了知し得たといえる。 したがって、本件 違反したこと及び適用条文 につき記載されていることからすれば、原告は、いかなる事実に基づき、いかなる法令を適用して本件停止処分がされたかを了知し得たといえる。 したがって、本件停止処分につき、手続違反があったとは認められない。 6 争点5(国家賠償請求の成否)について⑴ 本件停止処分が違法と判断される場合であっても、そのことから直ちに国家 賠償法1条1項に定める違法があるとの評価を受けるものではなく、処分行政庁が本件停止処分をするに当たって、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件停止処分をしたと認め得るような事情がある場合に限り、国家賠償法1条1項にいう違法があったというべきである(最高裁平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁参照)。 ⑵ 処分行政庁は、本件停止処分により原告が健康で文化的な最低限度の生活を維持することが困難となることは容易に認識し得たといえる。 そして、処分行政庁は、このような原告の極めて困難な生活状況等を十分に把握していたはずであるから、保護の停止をすることは慎重にしなければならなかったにもかかわらず、硬直的な被告独自の運用を行って本件停止処分をし たことが認められる。被告においては、処分行政庁が、過去に別の被保護者に対し、保護の廃止処分をしたことにつき、裁判所において違法であるとの判断を受けていること(上記1の認定事実⑶ア)を考慮すれば、保護の廃止ではなく停止処分であったとしても、被保護世帯の状況等に鑑みて慎重に検討した上で決めなければならないことは当然理解しているべきものといえることから して、検討が不十分であったことは明らかである。 それにとどまらず、処分行政庁としては、三重県から伝え聞いた国(参加人)の意向を誤解 ばならないことは当然理解しているべきものといえることから して、検討が不十分であったことは明らかである。 それにとどまらず、処分行政庁としては、三重県から伝え聞いた国(参加人)の意向を誤解し、原告には本件自動車の保有を認めるべきではない旨を断定的に示されたと即断し(上記1の認定事実⑵)、これを前提に本件指導及び本件停止処分に及んだものとみられる。 したがって、処分行政庁は、漫然と本件停止処分をしたと評価せざるを得ず、 そのことについて過失があったというべきである。 ⑶ 本件停止処分によって、原告の日常生活だけではなく、生命の危険も生じ得るものであったことからすれば、原告が被った不利益は甚大なものと認められる。その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件停止処分からその効力の停止までの生活保護について遡って支給されたことを踏まえても、原告が被 った精神的苦痛がその支給により全て慰謝される性質のものとは認め難く、原告の慰謝料は、10万円を相当と認める。 また、本件においては、本件停止処分の効力の停止及び取消しを求めることの必要性又は緊急性が高く、弁護士に委任する必要性も高かったことからすれば、弁護士費用は、原告が主張する5万円を相当と認める。 したがって、原告の損害は、合計15万円となる。 第4 結論 1 以上のとおり、処分行政庁が原告に本件自動車の保有を認めないことを前提として、その処分に係る見積書の追加提出を求めた本件指導は違法であり、その違反を理由とする本件停止処分もまた違法であって、かつ、処分行政庁には過失が あったものと判断される。 2 よって、原告が被告に対し、本件停止処分の取消しを求める請求は理由があるから認容し、原告の被告に対する国家賠償請求は、15万円及びこ つ、処分行政庁には過失が あったものと判断される。 2 よって、原告が被告に対し、本件停止処分の取消しを求める請求は理由があるから認容し、原告の被告に対する国家賠償請求は、15万円及びこれに対する本件停止処分がされた令和4年11月1日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、原告のその余の請求は 棄却すべきであるから、主文のとおり判決する。 なお、審理経過及び事案の性質に鑑み、訴訟費用の負担については、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、64条ただし書を適用して全部被告の負担とする。 津地方裁判所民事部 裁判長裁判官竹内浩史 裁判官芹澤美知太郎 裁判官 後藤寛樹 別紙1(関係法令等) 第1 日本国憲法13条すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上 で、最大の尊重を必要とする。 22条1項何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。 25条1項すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 第2 生活保護法(昭和25年法律144号)1条(この法律の目的)この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、そ 活保護法(昭和25年法律144号)1条(この法律の目的)この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低 限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。 2条(無差別平等)すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。 3条(最低生活) この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。 4条(保護の補足性)1項保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行 われる。 5条(この法律の解釈及び運用)前4条に規定するところは、この法律の基本原理であつて、この法律の解釈及び運用は、すべてこの原理に基いてされなければならない。 6条(用語の定義)1項この法律において「被保護者」とは、現に保護を受けている者をいう。 2項この法律において「要保護者」とは、現に保護を受けているといないとにかかわらず、保護を必要とする状態にある者をいう。 8条(基準及び程度の原則)1項保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補 う程度において行うものとする。 2項前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他の保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且 において行うものとする。 2項前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他の保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。 9条(必要即応の原則) 保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。 27条(指導及び指示)1項保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。 2項前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。 3項第1項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。 62条(指示等に従う義務) 1項被保護者は、保護の実施機関が、(省略)又は第27条の規定により、被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。 3項保護の実施機関は、被保護者が前2項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止又は廃止をすることができる。 4項保護の実施機関は、前項の規定により保護の変更、停止又は廃止の処分をする場合には、当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、当該処分をしようとする理由、弁明をすべき日時及び場所を通知しなければならない。 69条(審査請求と訴訟との関係) この法律の規定に基づき保護の実施機関又は支給機関がした処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経なければ、提起することができない。 第3 行政事件訴訟法( この法律の規定に基づき保護の実施機関又は支給機関がした処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経なければ、提起することができない。 第3 行政事件訴訟法(昭和37年法律139号) 8条(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)1項処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りで ない。 2項前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。 2号処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。 第4 障害者権利条約【甲A30(13頁)】20条個人の移動を容易にすること締約国は、障害者自身ができる限り自立して移動することを容易にすることを確保するための効果的な措置をとる。この措置には、次のことによるものを含む。 ⒜ 障害者自身が、自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にすること。 ⒝ 障害者が質の高い移動補助具、補装具、支援機器、人又は動物による支援及び仲介する者を利用する機会を得やすくすること(これらを負担しやすい費用で利用可能なものとすることを含む。)。 第5 障害者基本法(昭和45年法律84号)【甲A30(13頁)】2条(定義)この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 第5 障害者基本法(昭和45年法律84号)【甲A30(13頁)】2条(定義)この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 1号障害者身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 2号社会的障壁障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 4条(差別の禁止)1項何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権 利利益を侵害する行為をしてはならない。 2項社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。 第6 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)(平成25年法律65号)【甲A30(14頁)、甲B15(32頁)】2条(定義)1号・2号上記第5(障害者基本法)の2条1号及び2号と同旨5条(社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の 整備)行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。 7条(行政機関等における障害を についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。 7条(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止) 1項行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2項行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その 実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 第7 地方自治法(昭和22年法律67号) 2条9項この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。 1号法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第1号法定受託事務」という。) 2号法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第2号法定受託事務」という。) 245条の9(処理基準)1項各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県 として法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第2号法定受託事務」という。) 245条の9(処理基準)1項各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理について、都道府県が当該法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができる。 3項各大臣は、特に必要があると認めるときは、その所管する法律又はこれ に基づく政令に係る市町村の第1号法定受託事務の処理について、市町村が当該第1号法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができる。 第8 鈴鹿市行政手続条例(平成9年9月29日条例42号)【甲B7】 15条1項(聴聞の通知の方式)行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名宛人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。 1号予定される不利益処分の内容及び根拠となる条例等の条項 2号不利益処分の原因となる事実 3号聴聞の期日及び場所4号聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地16条(代理人)1項前条第1項の通知を受けた者(同条第3項後段の規定により当該通知が到達したものとみなされる者を含む。以下「当事者」という。)は、代理人を 選任することができる。 2項代理人は、各自、当事者のために、聴聞に関する一切の行為をすることができる。 別紙2(関係通達等) 一次官通知【甲B4、乙4】「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日厚生省発社第123号) 第3 資産の活用最低生活の内容としてその所有又は利用 達等) 一次官通知【甲B4、乙4】「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日厚生省発社第123号) 第3 資産の活用最低生活の内容としてその所有又は利用を容認するに適しない資産は、次の場合を除き、原則として処分のうえ、最低限度の生活の維持のために活用させること。 なお、資産の活用は売却を原則とするが、これにより難いときは当該資産の 貸与によって収益をあげる等活用の方法を考慮すること。 1 その資産が現実に最低限度の生活維持のために活用されており、かつ、処分するよりも保有している方が生活維持及び自立の助長に実効があがっているもの 2 現在活用されてはいないが、近い将来において活用されることがほぼ確実 であって、かつ、処分するよりも保有している方が生活維持に実効があがると認められるもの 3 処分することができないか、又は著しく困難なもの 4 売却代金よりも売却に要する経費が高いもの 5 社会通念上処分させることを適当としないもの 二局長通知【甲B4、28、丙8】「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知)第3 資産の保有 資産保有の限度及び資産活用の具体的取扱いは、次に掲げるところによること。ただし、保有の限度を超える資産であっても、次官通知第3の3から5までのいずれかに該当するものは、保有を認めて差し支えない。 4 生活用品⑴ 家具什器及び衣類寝具 当該世帯の人員、構成等から判断して利用の必要があると認められる品目及び数量は、保有を認めること。 ⑵ 趣味装飾品処分価値の小さいものは、保有を認めること。 ⑶ 貴 当該世帯の人員、構成等から判断して利用の必要があると認められる品目及び数量は、保有を認めること。 ⑵ 趣味装飾品処分価値の小さいものは、保有を認めること。 ⑶ 貴金属及び債権 保有を認めないこと。 ⑷ その他の物品ア処分価値の小さいものは、保有を認めること。 イア以外の物品については、当該世帯の人員、構成等から判断して利用の必要があり、かつ、その保有を認めても当該地域の一般世帯との均衡 を失することにならないと認められるものは、保有を認めること。 第11 保護決定実施上の指導指示及び検診命令 2 保護受給中における指導指示⑶ 指導指示を行なうにあたっては、必要に応じて、事前に調査、検診命令等を行ない状況の把握に努めるとともに本人の能力、健康状態、世帯の事 情、地域の慣行等について配慮し、指導指示が形式化することのないよう十分留意すること。 ⑷ 法第27条による指導指示は、口頭により直接当該被保護者(これによりがたい場合は、当該世帯主)に対して行なうことを原則とするが、これによって目的を達せられなかったとき、または目的を達せられないと認められ るとき、及びその他の事由で口頭によりがたいときは、文書による指導指 示を行なうこととする。当該被保護者が文書による指導指示に従わなかったときは、必要に応じて法第62条により所定の手続を経たうえ当該世帯又は当該被保護者に対する保護の変更、停止又は廃止を行なうこと。 三課長通知【甲A30、甲B4、28、乙5】 「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」(昭和38年4月1日社保第34号厚生省社会局保護課長通知)第3〔資産の活用〕問6 局 課長通知【甲A30、甲B4、28、乙5】 「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」(昭和38年4月1日社保第34号厚生省社会局保護課長通知)第3〔資産の活用〕問6 局長通知第3の4の⑷のイにいう「当該地域の一般世帯との均衡を失することにならない」ことの判断基準を示されたい。 答⑴ 「当該地域」とは、通常の場合、保護の実施機関の所管区域又は市町村の行政区域を単位とすることが適当であるが、実情に応じて、市の町内会、町村の集落等の区域を単位として取り扱って差し支えない。 ⑵ 「一般世帯との均衡を失することにならない」場合とは、当該物品の普及率をもって判断するものとし、具体的には、当該地域の全世帯の7 0%程度(利用の必要性において同様の状態にある世帯に限ってみた場合には90%程度)の普及率を基準として認定すること。 問9(通勤用自動車についての問答(省略))問12 次のいずれかに該当する場合は自動車の保有を認めてよいか。 1 障害者(児)が通院、通所及び通学(以下「通院等」という。)等のた めに自動車を必要とする場合 2 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者が通院等のために自動車を必要とする場合答次のいずれかに該当し、かつ、その保有が社会的に適当と認められるときは、次官通知第3の5にいう「社会通念上処分させることを適当としな いもの」としてその保有を認めて差しつかえない。 1 障害(児)者が通院等のために自動車を必要とする場合であって、次のいずれにも該当する場合⑴ 障害(児)者の通院等のために定期的に自動車が利用されることが明らかな場合であること。 ⑵ 当該者の障害の状況により利用し得る公共交通機関が全くないか又 は公共交通機 れにも該当する場合⑴ 障害(児)者の通院等のために定期的に自動車が利用されることが明らかな場合であること。 ⑵ 当該者の障害の状況により利用し得る公共交通機関が全くないか又 は公共交通機関を利用することが著しく困難であって、他法他施策による送迎サービス、扶養義務者等による送迎、医療機関等の行う送迎サービス等の活用が困難であり、また、タクシーでの移送に比べ自動車での通院が、地域の実情に照らし、社会通念上妥当であると判断される等、自動車による通院等を行うことが真にやむを得ない状況であ ることが明らかに認められること。(下線部分は平成26年社援保発0331号による改正により付加された部分である。)⑶ 自動車の処分価値が小さく、又は構造上身体障害者用に改造してあるものであって、通院等に必要最小限のもの(排気量がおおむね2,000cc 以下)であること。 ⑷ 自動車の維持に要する費用(ガソリン代を除く。)が他からの援助(維持費に充てることを特定したものに限る。)、他施策の活用等により、確実にまかなわれる見通しがあること。 ⑸ 障害者自身が運転する場合又は専ら障害(児)者の通院等のために生計同一者若しくは常時介護者が運転する場合であること。 なお、以上のいずれかの要件に該当しない場合であっても、その保有を認めることが真に必要であるとする特段の事情があるときは、その保有の容認につき厚生労働大臣に情報提供すること。 2 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者が通院等のために自動車を必要とする場合であって、次のいずれにも該当する場合 ⑴ 当該者の通院等のために定期的に自動車が利用されることが明らかな場合であること。 ⑵ 他法他施策による送迎サービス、扶養義務者等による送迎、 て、次のいずれにも該当する場合 ⑴ 当該者の通院等のために定期的に自動車が利用されることが明らかな場合であること。 ⑵ 他法他施策による送迎サービス、扶養義務者等による送迎、医療機関等の行う送迎サービス等の活用が困難であり、また、タクシーでの移送に比べ自動車での通院が、地域の実態に照らし、社会通念上妥当 であると判断される等、自動車による通院等を行うことが真にやむを得ない状況であると明らかに認められること。 ⑶ 自動車の処分価値が小さく、通院等に必要最小限のもの(排気量がおおむね2,000cc 以下)であること。 ⑷ 自動車の維持に要する費用(ガソリン代を除く。)が他からの援助 (維持費に充てることを特定したものに限る。)等により、確実にまかなわれる見通しがあること。 ⑸ 当該者自身が運転する場合又は専ら当該者の通院等のために生計同一者若しくは常時介護者が運転する場合であること。 第11〔指導指示に従わない場合の取扱い〕 被保護者が書面による指導指示に従わない場合には、必要と認められるときは、法第62条の規定により、所定の手続を経たうえ、保護の変更、停止又は廃止を行うこととなるが、当該要保護者の状況によりなお効果が期待されるときは、これらの処分を行うに先立ち、再度、法第27条により書面による指導指示を行うこと。なお、この場合において、保護の変更、停止又は廃止のうち いずれを適用するかについては、次の基準によること。 1 当該指導指示の内容が比較的軽微な場合は、その実情に応じて適当と認められる限度で保護の変更を行うこと。 2 1によることが適当でない場合は保護を停止することとし、当該被保護者が指導指示に従ったとき、又は事情の変更により指導指示を必要とした事由 がなくなったとき る限度で保護の変更を行うこと。 2 1によることが適当でない場合は保護を停止することとし、当該被保護者が指導指示に従ったとき、又は事情の変更により指導指示を必要とした事由 がなくなったときは、停止を解除すること。 なお、保護を停止した後においても引き続き指導指示に従わないでいる場合には、さらに書面による指導指示を行うこととし、これによってもなお従わない場合は、法第62条の規定により所定の手続を経たうえ、保護を廃止すること。 四事務連絡【甲B28】「生活保護問答集について」(平成21年3月31日厚生労働省社会・援護局保護課長事務連絡)問3-14 自動車の保有(問)課長通知第3の9及び12以外に被保護者が自動車を保有することを認め られる場合はどのような場合か。 (答)生活用品としての自動車は、単に日常生活の便利に用いられるのみであるならば、地域の普及率の如何にかかわらず、自動車の保有を認める段階には至っていない。事業用品としての自動車は当該事業が事業の種別、地理的条件等から判断して当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならないと 認められる場合には、保有を認めて差し支えない。 なお、生活用品としての自動車については原則的に保有は認められないが、なかには、保有を容認しなければならない事情がある場合もあると思われる。かかる場合は、実施機関は、県本庁及び厚生労働省に情報提供の上判断していく必要がある。 問3-19 障害者の通院等の用途の自動車の維持費(問)障害者の通院等の用途の自動車保有に際し、維持費について援助が可能な扶養義務者等がいない場合、障害者加算の範囲で維持費を賄うことは認められるか。 (答)維持費について確認のうえ、障害者加算(他人介 等の用途の自動車保有に際し、維持費について援助が可能な扶養義務者等がいない場合、障害者加算の範囲で維持費を賄うことは認められるか。 (答)維持費について確認のうえ、障害者加算(他人介護料を除く)の範囲で賄われる場合については、課長通知第3の12の⑷の他法他施策の活用等の等に含まれるものとして、お見込みのとおり取り扱って差し支えない。 五注意喚起【乙2】 「生活保護制度上の自動車保有の取扱いについて(注意喚起)」(令和4年5月10日厚生労働省社会・援護局保護課の各都道府県・市町村民生主管部生活保護担当課宛事務連絡)生活保護行政の推進については、平素より格段のご配慮を賜り厚く御礼申し上げます。 さて、生活保護制度においては、自動車の保有は原則として認められていませんが、「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」(昭和38年4月1日社保第34号厚生省社会局保護課長通知)第3の問9、問12において、通勤用自動車の保有、障害者が通院等のため自動車を必要としている場合等の自動車保有について、一定の要件を満たす場合に限って、通勤や通院等のための自動車 の保有を認めているところです。一方で、「生活保護問答集について」(平成21年3月31日厚生労働省社会・援護局保護課長事務連絡)の問3-14でお示ししているとおり、生活用品としての自動車は、単に日常生活の便利に用いられるのみであるならば、地域の普及率の如何にかかわらず、自動車の保有を認める段階には至っておりません。 今般、ある自治体において、障害等を理由に通院のために自動車の保有を容認された者について、通院以外に日常生活に用いることが認められるような考えを示した事例が確認されたことから、改めて実施要領における自動車の保有の取扱いについ 害等を理由に通院のために自動車の保有を容認された者について、通院以外に日常生活に用いることが認められるような考えを示した事例が確認されたことから、改めて実施要領における自動車の保有の取扱いについてご留意いただき、引き続き、自動車の保有について適切な指導をお願いいたします。 別紙3(参加人の主張) 1 次官通知及び課長通知は、地方自治法245条の9第1項及び第3項の規定による処理基準である。 2 自動車については、原則として、その保有が生活保護法上認められるものでは なく、課長通知が定める自動車保有に関する取扱いの考え方は適切かつ合理的なものである。 生活保護法4条1項の「資産」とは、基本的には処分価値を有するものを意味するということができる。 もっとも、処分価値のない資産であっても、その保有により一定の経済的支出 を強いられる場合もあり、そのような場合に特段の必要性もなく資産をあえて保有し続けることは、生活保護法4条1項の補足性の原理に反するのみならず、最低限度の生活保障及び自立助長といった生活保護の目的(同法1条)を阻害するものであるといえる。そして、自動車については、通常、これを保有することにより、車検費用、修理維持費用、自動車保険費用、燃料費用、駐車場代のほか、 自動車税など相当額に上る維持費等の支出を継続的に強いられることになるのであるから、自動車の保有については、処分するよりも保有して活用する方が生活維持及び自立助長に実効性があり、維持費等の経済的支出が社会通念上是認でき、自動車を保有することが社会通念に照らし「最低限度の生活」として容認できると認められるような事情があるかという観点からその保有の可否が検討され るべきものである。 そうすると、処分価 き、自動車を保有することが社会通念に照らし「最低限度の生活」として容認できると認められるような事情があるかという観点からその保有の可否が検討され るべきものである。 そうすると、処分価値のない資産であるからといって、当然に自動車の保有が認められるものではないというべきところ、課長通知の定める自動車保有5要件は、自動車の保有を一律に許さないとするものではなく、上記のような観点から、個別具体的事情に照らして自動車の保有の可否を判断するというものであ り、前記生活保護法4条1項の趣旨・目的に適合するものであるから、合理的であって、5要件ともに合理性を有するといえる。 3 通院等をする場合におけるタクシー代は、一時的な支出であって、通院頻度やタクシーを利用する距離に左右されるものであるから、自動車による通院等に比べ、タクシーによる通院等に必要な費用の方が常に高額になるとはいえない。相 当額に上る維持費等の支出を継続的に強いられ、交通事故により損害賠償義務の負担を生じさせる危険もある自動車を処分させた上で、タクシー代を通院移送費として支給することが経済的合理性を欠くといえるか否かは、当該事案の具体的な事実関係によるといえる。 4 自動車の普及率が80%を超えていることを理由に課長通知の合理性を否定す ることはできない。 現在の我が国における乗用車の保有状況からすれば、全世帯における普及率が高まっているとはいえ、低所得者層にとっては、継続的に相当額の維持費等の負担を強いられることや公共交通機関が相当程度存在していることに照らせば、自動車は依然として高価品であるといえるのであり、このことからすれば、現在の 社会において、自動車を保有することが国民の「健康で文化的な最低限度の生活」の維持に必要であるな ることに照らせば、自動車は依然として高価品であるといえるのであり、このことからすれば、現在の 社会において、自動車を保有することが国民の「健康で文化的な最低限度の生活」の維持に必要であるなどとはいえないから、他の被保護者や保護を受けていない低所得者層との均衡という観点からも、自動車の保有が当然に認められるものではない。 そうすると、課長通知において示されている、被保護者による自動車の保有を 原則として認めず、自動車を使用する高度の必要性があるなどの要件を充足する場合に限って、例外的に自動車の保有を認める考え方は合理性があるといえる。 5 上記考え方は、個人の居住・移転について干渉・妨害するものではないから、憲法22条1項に反するものではない。 また、障害者権利条約20条所定の「障害者自身ができる限り自立して移動す ることを容易にすることを確保するための効果的な措置」や障害者差別解消法5 条及び7条2項所定の「合理的配慮」については、生活保護制度のみならず、各種の制度により総合的に配慮がなされているのであって、課長通知において、障害者の自動車の保有について限定的に認められていることのみをもって、障害者権利条約、障害者基本法及び障害者差別解消法等に違反するといえるものではない。

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