主文 被告人を懲役11年及び罰金300万円に処する。 未決勾留日数中330日を上記懲役刑に算入する。 上記罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,被告人を労役場に留置する。 押収してある覚せい剤3袋(平成13年押第31号の1ないし3),乾燥大麻草1袋(同押号の9,ただし,葉片部分のみ)をいずれも没収する。 理由 (罪となるべき事実)第1 被告人は,法定の除外事由がないのに,平成13年2月12日ころから同月17日ころまでの間に,三重県鳥羽市内又はその周辺において,覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン又はその塩類若干量を摂取し,もって覚せい剤を使用した。 第2 被告人は,平成13年2月17日午前10時55分ころ,三重県鳥羽市a町b番地c所在のホテル「d」e号室(以下「本件客室」という。)において, 1 営利の目的で,みだりに,覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン塩酸塩約287.273グラム(平成13年押第31号の1ないし3はその一部)を, 2 営利の目的で,みだりに,乾燥大麻約539グラム(ただし,葉片と種子が混在したもの739.7グラム中の葉片部分の重量,平成13年押第31号の9はその一部)を, 3 法定の除外事由がないのに,自動装てん式けん銃1丁(平成13年押第31号の5)を,これに適合する実包5個(同押号の6は,その試射済みのため弾丸と空薬きょうが分離したもの)と共に携帯して,それぞれ所持した。 (事実認定の補足説明) 1 弁護人は,①判示第1の覚せい剤は被告人が自らの意思により身体に摂取したものではなく,②判示第2の覚せい剤,大麻及びけん銃・実包は何者かが被告人の使用していた本件客室に持ち込んだものであって,いずれも被告人が所持していたものとはい 告人が自らの意思により身体に摂取したものではなく,②判示第2の覚せい剤,大麻及びけん銃・実包は何者かが被告人の使用していた本件客室に持ち込んだものであって,いずれも被告人が所持していたものとはいえないから,判示各犯行について,被告人は無罪であると主張し,被告人もこれらに沿う供述をする。そこで,以下検討する。 2 まず判示第1の事実について検討するに,上掲判示第1の事実に関する各証拠によれば,被告人は,平成13年2月12日から同月17日まで,本件客室に宿泊していたこと,同期間中,被告人は,何度か何かの水溶液を作って注射器に入れ,それを自ら肘関節内側に注射し,あるいはAに注射してもらっていること,被告人の両肘内側,手の甲などの静脈上には,判示第1の期間ころに注射されたと判断される注射痕があり,また,同月21日提出した被告人の尿から覚せい剤成分が検出されていることが認められる。これらによれば,被告人が自ら注射しあるいは他人から注射してもらう方法により,上記期間中に覚せい剤を使用したと強く推認される。 これに対して,被告人は,本件客室内において,テーブル上の湯飲みに入っていたお茶を飲んだ際,異常に苦かったことがあったが,同室内には,覚せい剤の乱用者であるA,Bらが出入りし,同室内で覚せい剤を使用していたから,たまたま被告人が飲んだお茶の中にその覚せい剤が入っていた可能性が高い,また,Cからもらって飲んだ精力剤に覚せい剤が入っていた可能性がある,腕等に注射痕があるのは,肝炎の治療として受けていた点滴の痕に過ぎない等とるる弁解する。 しかしながら,Aは,捜査段階及び自己の覚せい剤取締法違反被告事件の公判廷において,平成12年4月に被告人と知り合ってから,被告人が多量の覚せい剤を所持しているのを何度か見たことがある,被告人は,覚せい剤を自分で使用して 査段階及び自己の覚せい剤取締法違反被告事件の公判廷において,平成12年4月に被告人と知り合ってから,被告人が多量の覚せい剤を所持しているのを何度か見たことがある,被告人は,覚せい剤を自分で使用していた,被告人は,自分では注射がうまくできなかったので,Aが注射してあげることもあった,平成13年2月16日にも本件客室において,Aが被告人に覚せい剤を注射してあげた,被告人は,その後に訪れた店舗の駐車場でも,覚せい剤を注射して使用していたなど供述しているところ,その供述内容は,日時や覚せい剤の使用方法等具体的に述べたものであること,Bも上記A供述に沿う供述をしていること,Aは,被告人と親しく交際し,同人から金銭的な援助を受けるなどして同人に恩義を感じており,Bは,Aと交際していた女性で,被告人とも個人的な付き合いがあり,A,被告人とともに本件客室に滞在していたものであって,A及びBが被告人に不利益な事実を殊更作り上げて虚偽の供述をするような事情はうかがわれないことを考えれば,上記A及びBの各供述は,信用できる。また,被告人が医師から受けた点滴治療は両肘内側静脈に受けたものであり,被告人の両手甲に注射痕があることは治療として点滴を受けていたことでは説明できない。 なお,Aは,公判廷において,被告人が覚せい剤を使用するのは見たことがないなど,上記供述を変遷させているが,これはAの捜査段階等における上記供述に真っ向から反しているし,同人は,そのように供述を変遷させた合理的な説明をしていないのであって,結局被告人をはばかるなどして虚偽の事実を述べているものと推量され,信用できない。 そうしてみると,被告人の上記弁解は,上記認定事実並びにA及びBの上記信用できる供述に符合しないこと,被告人の弁解に従えば,同人の尿中から検出された覚せい剤成分は,たまたま 量され,信用できない。 そうしてみると,被告人の上記弁解は,上記認定事実並びにA及びBの上記信用できる供述に符合しないこと,被告人の弁解に従えば,同人の尿中から検出された覚せい剤成分は,たまたまそのときだけ体内に取り入れられたに過ぎないことになるが,1回だけ覚せい剤を使用した者の毛髪から覚せい剤成分を検出することは難しいのに,被告人の毛髪からは被告人が逮捕されたころに覚せい剤を使用したと推認される覚せい剤成分が検出されていること,A,Bらは,覚せい剤を使用する際,それをお茶に溶かして飲むようなことはせず,注射して使用していたものであって,毛髪中から検出されるほどの量の覚せい剤成分が一杯のお茶にたまたま入っていたというのは不自然であること,同人らの公判証言や供述調書によっても,テーブル上に覚せい剤の成分が溶解していたお茶が存在していて被告人が誤ってこれを飲用した事実はうかがわれないこと,被告人は,公判廷における被告人質問に至って初めてCにもらった精力剤に覚せい剤が入っていたとの弁解をするに至ったものであること,のみならず,被告人の弁解は,後述するように,被告人が多量の覚せい剤や大麻を隠し持っていたこと等にも符合しないことなどから見て,到底信用できない。 なお,被告人は,自ら肝臓病の薬を注射していたから,被告人が覚せい剤を注射していると見えたのはこの注射行為を見誤ったものである旨の弁解もしている。しかしながら,被告人が肝臓機能改善薬タチオン(注射用アンプル)を所持していたことはそのとおりであるが,AやBは,被告人が覚せい剤水溶液を作成するところも目撃しているから,被告人の注射を全て見誤ったとは考えられない。 以上を総合すると,被告人は判示第1の期間ころ,本件客室内を含む三重県鳥羽市内又はその周辺において,覚せい剤を自ら注射するなどして使用し 撃しているから,被告人の注射を全て見誤ったとは考えられない。 以上を総合すると,被告人は判示第1の期間ころ,本件客室内を含む三重県鳥羽市内又はその周辺において,覚せい剤を自ら注射するなどして使用し,その成分が尿中から検出されたものと認められるから,弁護人の上記1の①の主張は採用できない。 3 次いで,判示第2の各事実について検討する。 (1) 本件各証拠を総合すると,以下の事実が認められる。 ① 判示第2記載の日時ころ,被告人は,A及びBとともに,本件客室に滞在していたが,鳥羽警察署警察官らが判示ホテルの支配人から覚せい剤使用の通報を受け,捜索のため本件客室に赴き,ホテルの従業員による火災報知器の点検と言ってドアを開けさせようとしたところ,被告人らは,用心してただちに扉を開けなかった。警察官らが一斉に室内に入り込み,本件客室内の捜索を開始した際,被告人は,警察官に対し,「この部屋にはシャブ(覚せい剤)もチャカ(けん銃)もある。これらの者(A,B)は関係がないから帰してやって欲しい。」と申し向け,本件客室内のソファー上に置かれたベージュ色ショルダーバッグ,黒色手提げカバン及びベージュ色手提げカバンに目をやった。担当警察官に「取り調べた後でなければ帰すことはできない。」と返答されると,被告人は「それでは自分も否認する。」旨答え,AやBに対し,「22日間だから頑張れ。」などと,警察の取調べに対し黙秘ないし否認するよう促すものと受け取られるような発言をした。 ② 上記①記載の捜索の結果,同記載のベージュ色ショルダーバッグから判示第2の1記載のビニール袋に入った3袋の覚せい剤(合計約286.67グラム)及び被告人の国民健康被保険者証1通等が,同黒色手提げカバン内から覚せい剤1袋(約0.603グラム),注射器1本,注射針2本(うち1本には覚せい剤が付 入った3袋の覚せい剤(合計約286.67グラム)及び被告人の国民健康被保険者証1通等が,同黒色手提げカバン内から覚せい剤1袋(約0.603グラム),注射器1本,注射針2本(うち1本には覚せい剤が付着),計量器,覚せい剤が付着したストローやスプーン及びビニール袋9袋が,同ベージュ色手提げカバン内からホルスターに入った判示第2の3記載のけん銃1丁(弾倉内に実包5発が装てんされたもの),けん銃の手入れに用いることのできるオイルスプレー,多数のビニール袋,被告人の携帯電話及び「2/15D 粉,5千円分葉:5B:5千円分A葉:10B1万円分」と記載されたメモ用紙等が,本件客室内洗面台下にあった黒色ビニール製手提げ袋内から紙袋,アルミホイルや新聞紙に包まれた判示第2の2記載の大麻草1塊がそれぞれ発見された。上記ベージュ色ショルダーバッグは,平成13年2月15日夜,被告人の自動車に積載されていたのをBが被告人の指示で本件客室内に運び込んだもの,上記大麻草1塊が入った紙袋は,同日夜,被告人がAとBに指示して上記車両から本件客室内に持ち込ませ,AとBがその一部を小分けした後,Bが黒色ビニール製手提げ袋に納めておいたものであり,上記大麻草1塊は上記黒色手提げカバン及び同ベージュ色手提げカバンと同様,AやBのものではなかった。また,上記捜索の際,本件客室内から,小分け用の計量器,多量のビニール袋,スプーン等が,被告人の自動車内から多数のビニール袋がそれぞれ発見された。 ③ 被告人は,平成13年2月15日ころ,上記②記載の大麻をAに小分けさせ,その売却先を探すよう依頼するとともに,その一部をAに売却したり,B,Aとともに喫煙するなどした。また,被告人は,平成12年4月以降,A,C,E,愛人のF,Gらに覚せい剤を有償あるいは無償で譲渡していたが,判示第2の う依頼するとともに,その一部をAに売却したり,B,Aとともに喫煙するなどした。また,被告人は,平成12年4月以降,A,C,E,愛人のF,Gらに覚せい剤を有償あるいは無償で譲渡していたが,判示第2の各犯行前,本件客室に滞在している間もAに対し,ポーチを指さして,「(覚せい剤が)ここに入っているんや。」と言ったり,同月14日又は15日夜,Fに,自己の携帯電話から「ホワイトあるよ」とのメールを送り,これを見て本件客室を訪ねてきた同女に覚せい剤を譲渡するなどした。けん銃について,被告人は,同月15日夜,上記オイルスプレーを用いて手入れしたり,銃口をBに向け,同女をからかうなどした。 なお,Aは平成12年11月末ころにも被告人からそのけん銃を見せられている。 ④ 被告人の携帯電話には「草は一つしか持って行ってないよ始めから。」(平成13年2月8日午後9時7分受信),「草の事何だけど休みでH来なくて今連絡来て300円決めたよ,良かったかな」(同月13日午後2時13分受信),「草はまだあるよ300円でも売れたらいい」(同月14日午後6時31分発信)など,大麻の取引に関するものと思われるメールの受発信記録がある。 そして,黒色手提げカバン及びベージュ色手提げカバンは,被告人の携帯電話や国民健康被保険者証などが入れてあったから,これらは,被告人の管理にかかるもので,被告人が当日ホテルを退出するため,荷物を入れてソファー上に置いていたものと推測され,また,被告人は,上記のとおり,本件客室において,覚せい剤,大麻及びけん銃を自己のものとして扱っていたのであって,以上を総合すると,被告人は,遅くとも本件捜索の前夜ころには被告人の使用していた本件客室において,判示第2の各罪に係る覚せい剤,大麻,けん銃・実包を所持していたことが認められる。のみならず,覚せい剤と大麻 合すると,被告人は,遅くとも本件捜索の前夜ころには被告人の使用していた本件客室において,判示第2の各罪に係る覚せい剤,大麻,けん銃・実包を所持していたことが認められる。のみならず,覚せい剤と大麻の所持は,上記認定のとおりその量が多量であることなどから,営利目的であったことも明らかである。そうしてみると,被告人が判示第2の各犯行を犯したことが優に認められる。 (2) これに対し,被告人は,これらの物はいずれも何者かにより,被告人が不知の間に本件客室内に持ち込まれたものであると弁解する。 しかしながら,Aは,これまで被告人がけん銃や大量の覚せい剤を所持しているのを見たことがある,被告人は,覚せい剤を上記CやEらに有償で譲渡していた,本件客室で発見された覚せい剤やけん銃,大麻は被告人の物である,被告人には,その大麻を小分けすることや販売先を探すことを頼まれ,実際に自分が小分けし,また,B,被告人とともにその一部を吸った,被告人は,普段覚せい剤を「タネ」と呼んでいたが,平成13年2月11日,「今度はたんと仕入れてきたで,当分志摩のタネには不自由せんぞ。」と言っており,同日,自分も被告人から覚せい剤約10グラムを買った,同月15日にも被告人から覚せい剤や大麻を譲り受け,その覚せい剤を自分とBとで使用した,同月16日,被告人は,本件客室でけん銃にオイルスプレーを掛けたり,面白がって,それをBに突き付けたりしていた旨の供述をし,また,上記Fも,平成12年10月ころ,被告人と知り合ってから,被告人から覚せい剤を譲り受けるようになり,平成13年2月15日にも,被告人から覚せい剤があるとのメールを受け,本件客室に赴いて同人から覚せい剤を譲り受けたなどとの供述をし,Bもこれらに沿う供述をしているところ,Aの上記供述は,被告人の覚せい剤,けん銃及び大麻の保管 告人から覚せい剤があるとのメールを受け,本件客室に赴いて同人から覚せい剤を譲り受けたなどとの供述をし,Bもこれらに沿う供述をしているところ,Aの上記供述は,被告人の覚せい剤,けん銃及び大麻の保管状況や被告人から覚せい剤を譲り受けて使用した状況などについても具体的かつ詳細に述べたものであること,同供述及びB,Fの各供述は相互に矛盾がないし,上記・記載の認定事実にも符合していること,A,B及びFと被告人との関係は既に述べたとおりであって,同人らが被告人に不利益な事実を殊更作り上げて供述するような事情はうかがわれないこと,また,I,Gも,平成12年秋ころ,被告人が覚せい剤を有償で譲渡していたと供述していることからすれば,A,B及びFの各供述の信用性は極めて高いといえる。 なお,Aは,公判廷において,「被告人は知人の暴力団員から陥れられる危険があった。被告人は本件けん銃を発見したとき,あいつら何を考えているんやと述べて怒っていた。本件の覚せい剤や大麻は被告人の物でなく,被告人の知人がホテルの部屋に置いていって被告人を陥れようとしたものである。」など被告人の上記弁解に沿うような供述もしているが,これは同人の捜査段階における上記供述や上記認定事実と全く相反するし,同人は,そのように供述を変遷させた合理的な説明をしていないのであって,上記被告人の覚せい剤の使用に関する供述と同様,被告人をはばかるなどして虚偽の事実を述べているものと推量され,信用できない。また,B,I,Fも公判廷において,一部被告人の上記弁解に沿う証言をなしているが,同人らは,やはり捜査段階における上記供述から供述を変遷させた理由につき合理的な説明をしておらず,上記認定される事実と符合しないのはAの場合と同様であって信用できない。 そして,被告人の上記弁解は,上記2及び3(1)記載の における上記供述から供述を変遷させた理由につき合理的な説明をしておらず,上記認定される事実と符合しないのはAの場合と同様であって信用できない。 そして,被告人の上記弁解は,上記2及び3(1)記載の認定事実並びにA,B及びFらの上記信用できる捜査段階等の供述と明らかに符合せず,甚だ不自然であって,到底信用できず,したがって,弁護人の上記1の②の主張は採用できない。 (法令の適用)罰条判示第1の所為覚せい剤取締法41条の3第1項1号,19条判示第2の1の所為包括して覚せい剤取締法41条の2第2項,1項判示第2の2の所為大麻取締法24条の2第2項,1項判示第2の3の所為銃砲刀剣類所持等取締法31条の3第1項,2項,3条1項刑種の選択判示第2の1及び2の各罪につき,いずれも情状により懲役刑及び罰金刑を選択併合罪加重刑法45条前段,懲役刑につき,さらに47条本文,10条,14条(最も重い判示第2の3の罪の刑に法定加重),罰金刑につき,さらに同法48条1項,2項未決勾留日数の算入刑法21条労役場留置刑法18条(5000円を1日に換算)没収覚せい剤につき覚せい剤取締法41条の8第1項本文(判示第2の1の罪に係る覚せい剤)乾燥大麻につき大麻取締法24条の5第1項本文(判示第2の2の罪に係る大麻)訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由)本件は,覚せい剤の自己使用1件,覚せい剤及び大麻の営利目的所持各1件,けん銃を適合実包とともに所持したけん銃の加重所持1件の事案である。 判示第1の罪について,被告人には多数の注射痕が存在すること,判示第2の1及び2のとおり多量の覚せい剤や大麻を所持していたこと等からすると,被告人には,覚せい剤使用の常習性が認められ,覚せい剤等の薬 判示第1の罪について,被告人には多数の注射痕が存在すること,判示第2の1及び2のとおり多量の覚せい剤や大麻を所持していたこと等からすると,被告人には,覚せい剤使用の常習性が認められ,覚せい剤等の薬物に対する強い親和性も認められる。 判示第2の1及び2の各犯行おいて,被告人は,計量器,ビニール袋,スプーンなどの小分け道具を準備したり,実際にAに大麻の小分けをさせるなどしているし,所持していた覚せい剤の量は約287.273グラム,乾燥大麻の量は約539グラムといずれも多量であり,被告人が覚せい剤や大麻を密売して多額の利益を上げることを目論み密売に関わっていたことがうかがわれ,犯情は極めて悪い。 判示第2の3の犯行を構成する被告人の所持していたけん銃は,真正けん銃であり,それに適合実包を装てんし,直ちに使用できる状態で所持していたもので,危険性は大きく,犯行は悪質である。 しかも,被告人は判示各犯行を否認し,上記のような不合理な弁解を弄しており,反省の情が認められないし,被告人が,これまで覚せい剤取締法違反等により執行猶予付き懲役1年の刑を(執行猶予は後に取り消し),けん銃を用いた殺人及び殺人未遂の幇助等により懲役6年の実刑を,暴力行為等処罰に関する法律違反と脅迫により各罰金刑を,それぞれ受けたのに,さらに,営利販売目的で大量の覚せい剤及び大麻を所持し,自らも覚せい剤を使用し,適合する実包を装てんしたけん銃までも所持していたことをも考慮すれば,被告人の規範意識の欠如は顕著である。 そうすると,被告人のこの種事案における刑事責任は相当重大であって,記録からうかがえる被告人に有利な事情を考慮しても,主文の量刑はやむを得ない。 (求刑ー懲役12年及び罰金300万円並びに覚せい剤及び大麻の没収)平成14年6月12日津地方裁判所刑事部裁判長裁判官 かがえる被告人に有利な事情を考慮しても,主文の量刑はやむを得ない。 (求刑ー懲役12年及び罰金300万円並びに覚せい剤及び大麻の没収)平成14年6月12日津地方裁判所刑事部裁判長裁判官天野登喜治裁判官増田周三裁判官見宮大介
▼ クリックして全文を表示