平成26年1月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成23年(ワ)第38799号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成25年11月12日判決台湾新北市<以下略>原告億光電子工業股份有限公司 同訴訟代理人弁護士黒田健二吉村誠徳島県阿南市<以下略>被告日亜化学工業株式会社 同訴訟代理人弁護士長島安治古城春実松田俊治東崎賢治牧野知彦上田一郎同訴訟復代理人弁護士高橋綾 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,第三者に対し,文書又は口頭で,別紙物件目録記載の各製品(以下,同目録記載1及び2の各製品をそれぞれ「原告製品1」などといい,これらを 併せて「原告各製品」という。)が特許第4530094号の特許権(以下「本件特許権」という。)を侵害し,又は侵害するおそれがある旨を告知し,又は流布してはならない。 2 被告は,原告に対し,1100万円及びこれに対する平成23年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,別紙謝罪広告目録記載の内容の謝罪広告を,被告が管理する被告ホームページに掲載せよ 円及びこれに対する平成23年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,別紙謝罪広告目録記載の内容の謝罪広告を,被告が管理する被告ホームページに掲載せよ。 第2 事案の概要被告は,発明の名称を「発光ダイオード」とする本件特許権の特許権者であり,原告各製品を輸入,販売することが本件特許権の侵害に当たるとして,株式会社チップワンストップ(以下「チップワンストップ」という。)及び株式会社立花エレテック(以下「立花エレテック」という。)に対して特許権侵害訴訟(以下,チップワンストップを被告とする訴訟を「第1訴訟」,立花エレテックを被告とする訴訟を「第2訴訟」という。)を提起するとともに,第1訴訟につき別紙プレスリリース目録1に記載のとおりのプレスリリース(以下「本件プレスリリース1」という。)を,第2訴訟につき別紙プレスリリース目録2に記載のとおりのプレスリリース(以下「本件プレスリリース2」といい,本件プレスリリース1と併せて「本件各プレスリリース」という。)を被告のホームページに掲載した。 本件は,原告が,本件各プレスリリースの掲載及び第2訴訟の提起が不正競争防止法2条1項14号(以下,単に「14号」ということがある。)所定の不正競争行為(営業上の信用を害する虚偽の事実の告知又は流布)に該当し,第2訴訟の提起及び本件プレスリリース2の掲載が不法行為に該当すると主張して,被告に対し,① 不正競争防止法3条1項に基づく不正競争行為の差止め,② 同法4条又は民法709条に基づく損害金1100万円及びこれに対する不法行為の日の後である平成23年12月14日から支払済みまで民法所 定の年5分の割合による遅延損害金の支払,③ 不正競争防止法14条に基づく謝罪広告の掲載を求めた事案である。 に対する不法行為の日の後である平成23年12月14日から支払済みまで民法所 定の年5分の割合による遅延損害金の支払,③ 不正競争防止法14条に基づく謝罪広告の掲載を求めた事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。ただし,書証の枝番の記載は省略する。以下同じ。)(1) 当事者原告は,その英文名称を「EverlightElectronicsCo., Ltd.」とし,LEDランプ及びパッケージの製造及び販売等を業務とする台湾法人である。 被告は,半導体及び関連材料,部品,応用製品の製造,販売及び研究開発等を業とする株式会社である。 (2) 本件特許権(甲2)ア被告は,以下の特許権(本件特許権)を有している。 発明の名称発光ダイオード登録番号特許第4530094号原出願日平成9年7月29日(特願平10-508693号。以下「本件最初の原出願」という。)出願日平成21年3月18日(特願2009-65948号。 特願2008-269(以下「本件原出願」といい,本件原出願の願書に添付された明細書を「本件原出願明細書」という。)からの分割出願である。)。 優先日平成8年7月29日(特願平8-198585号)平成8年9月17日(特願平8-244339号)平成8年9月18日(特願平8-245381号)平成8年12月27日(特願平8-359004号)平成9年3月31日(特願平9-81010号)(以下,上記5件の優先権主張の基礎とされた特許出願 を併せて「本件各優先権出願」という。)登録日平成22年6月18日イ被告は,平成24年12月27日,特許庁に対して訂正審判(訂正2012-390 張の基礎とされた特許出願 を併せて「本件各優先権出願」という。)登録日平成22年6月18日イ被告は,平成24年12月27日,特許庁に対して訂正審判(訂正2012-390168事件)を請求し,特許庁は,平成25年2月28日,訂正を認める旨の審決をした(以下,この訂正を「本件訂正」という。)。 ウ本件特許権の特許請求の範囲の請求項1の記載は,本件訂正の前(本件各プレスリリースがされた当時)が次の(ア),その後が次の(イ)のとおりである(下線は訂正によって付加された部分である。下記エについても同じ。以下,本件訂正の前及び後の請求項1記載の発明をそれぞれ「本件訂正前発明」及び「本件訂正後発明」といい,その特許を「本件特許」というが,便宜上,本件訂正の前後で「本件訂正前特許」及び「本件訂正後特許」ということがある。また,本件特許の特許出願の願書に添付された明細書(ただし,本件訂正後のもの)を「本件明細書」という。)。 (ア) 窒化ガリウム系化合物半導体を有するLEDチップと,該LEDチップを直接覆うコーティング樹脂であって,該LEDチップからの第1の光の少なくとも一部を吸収し波長変換して前記第1の光とは波長の異なる第2の光を発光するフォトルミネセンス蛍光体が含有されたコーティング樹脂を有し,前記フォトルミネセンス蛍光体に吸収されずに通過した前記第1の光の発光スペクトルと前記第2の光の発光スペクトルとが重なり合って白色系の光を発光する発光ダイオードであって,前記コーティング樹脂中のフォトルミネセンス蛍光体の濃度が,前記コーティング樹脂の表面側から前記LEDチップに向かって高くなっていることを特徴とする発光ダイオード。 (イ) 窒化ガリウム系化合物半導体を有するLEDチップと,該LEDチップを直接覆うコーティング ティング樹脂の表面側から前記LEDチップに向かって高くなっていることを特徴とする発光ダイオード。 (イ) 窒化ガリウム系化合物半導体を有するLEDチップと,該LEDチップを直接覆うコーティング樹脂であって,該LEDチップからの第1の光の少なくとも一部を吸収し波長変換して前記第1の光とは波長の異 なる第2の光を発光するフォトルミネセンス蛍光体が含有されたコーティング樹脂を有し,前記フォトルミネセンス蛍光体に吸収されずに通過した前記第1の光の発光スペクトルと前記第2の光の発光スペクトルとが重なり合って白色系の光を発光する発光ダイオードであって,前記コーティング樹脂中のフォトルミネセンス蛍光体の濃度が,前記コーティング樹脂の表面側から前記LEDチップに向かって高くなっており,かつ,前記フォトルミネセンス蛍光体は互いに組成の異なる2種以上であることを特徴とする発光ダイオード。 エ本件訂正後発明の構成要件を分説すると,次のとおりである(以下,各構成要件を「構成要件A」などという。)。 A 窒化ガリウム系化合物半導体を有するLEDチップと,B 該LEDチップを直接覆うコーティング樹脂であって,該LEDチップからの第1の光の少なくとも一部を吸収し波長変換して前記第1の光とは波長の異なる第2の光を発光するフォトルミネセンス蛍光体が含有されたコーティング樹脂を有し,C 前記フォトルミネセンス蛍光体に吸収されずに通過した前記第1の光の発光スペクトルと前記第2の光の発光スペクトルとが重なり合って白色系の光を発光する発光ダイオードであって,D 前記コーティング樹脂中のフォトルミネセンス蛍光体の濃度が,前記コーティング樹脂の表面側から前記LEDチップに向かって高くなっており,E かつ,前記フォトルミネセンス蛍光体は互いに組成 ,D 前記コーティング樹脂中のフォトルミネセンス蛍光体の濃度が,前記コーティング樹脂の表面側から前記LEDチップに向かって高くなっており,E かつ,前記フォトルミネセンス蛍光体は互いに組成の異なる2種以上であるF ことを特徴とする発光ダイオード。 (3) 本件各プレスリリース等(甲4,5,51,89)ア被告は,平成23年8月31日,チップワンストップによる原告製品1 の輸入,販売等が本件特許権の侵害に当たるとして,侵害行為の差止めを求める訴訟(第1訴訟。東京地方裁判所平成23年(ワ)第28766号)を提起するとともに,同年9月1日付けで,別紙プレスリリース目録1に記載のとおり,第1訴訟に関するプレスリリース(本件プレスリリース1)を被告ホームページ上に掲載した。 第1訴訟は,チップワンストップが原告製品1の販売を中止したため,原告が同月8日に訴えを取り下げることにより終了した。 イ被告は,平成23年10月4日,立花エレテックによる原告各製品の輸入,譲渡及び譲渡の申出が本件特許権の侵害に当たるとして,侵害行為の差止め等を求める訴訟(第2訴訟。東京地方裁判所平成23年(ワ)第32488号,第32489号)を提起するとともに,同月5日付けで,別紙プレスリリース目録2に記載のとおり,第2訴訟に関するプレスリリース(本件プレスリリース2)を被告ホームページ上に掲載した。 第2訴訟については,平成25年1月31日,立花エレテックによる原告各製品の輸入,譲渡及び譲渡の申出の事実があったと認めるに足りる証拠はないとして,請求を棄却する旨の判決がされた。被告は,同判決を不服として控訴をしたが(知的財産高等裁判所平成25年(ネ)第10014号),知的財産高等裁判所は,同年7月11日,第一審と同旨の理由により被告の控訴 求を棄却する旨の判決がされた。被告は,同判決を不服として控訴をしたが(知的財産高等裁判所平成25年(ネ)第10014号),知的財産高等裁判所は,同年7月11日,第一審と同旨の理由により被告の控訴を棄却する旨の判決をした。被告は,同判決を不服とし,同年7月24日,上告及び上告受理申立てをした。(甲51,89)(4) 本件特許に係る無効審判請求等(甲47,乙5,6,11,38,59)本件特許については,無効審判が複数請求されている。 このうち,平成23年2月4日に請求された無効2011-800021事件(特許法44条1項所定の分割要件違反を理由とするもの)において,特許庁は,同年10月19日付けで無効審判請求は成り立たない旨の審決を し,請求人はこれを不服として審決取消訴訟(知的財産高等裁判所平成23年(行ケ)第10391号事件)を提起した。知的財産高等裁判所は,平成24年9月27日,上記審決を取り消す旨の判決をした(以下「本件審決取消判決」という。)。 また,平成23年9月5日に請求された無効2011-800159事件(進歩性欠如等を理由とするもの)において,特許庁は平成24年6月12日に無効審判請求は成り立たない旨の審決をし,請求人はこれを不服として同年10月18日に審決取消訴訟(知的財産高等裁判所平成24年(行ケ)第10362号事件)を提起した。その後,本件訂正がされたことから,知的財産高等裁判所は,平成25年6月27日,上記審決を取り消す旨の判決をした。 本件口頭弁論終結時において,特許庁に無効審判請求事件が複数係属しているが,本件特許を無効とする旨の審決は存在しない。 2 争点(1) 本件各プレスリリースの掲載及び第2訴訟の提起が14号に該当するかア本件プレスリリース1についてイ本件プレス 属しているが,本件特許を無効とする旨の審決は存在しない。 2 争点(1) 本件各プレスリリースの掲載及び第2訴訟の提起が14号に該当するかア本件プレスリリース1についてイ本件プレスリリース2についてウ第2訴訟の提起について(2) 本件プレスリリース2の掲載及び第2訴訟の提起が不法行為としての違法性を有するか(3) 被告の故意又は過失ないし違法性阻却事由(正当行為)の存否(4) 原告の損害(5) 差止めの必要性(6) 名誉回復措置の必要性 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)ア(本件プレスリリース1の掲載が14号に該当するか)につい て(原告の主張)ア本件プレスリリース1の記載全体,特に第2段落に触れた第三者は,タイトルで原告名が明記されていることに加え,「中韓台LEDチップ及びパッケージメーカーによる,特許権を無視した日本市場での行動は目に余るものがあります」という記載や,「台湾最大のLEDアッセンブリメーカーであるEverlightElectronics社」及び「このような日本市場での日亜特許の侵害行為に対する対抗措置の一環として,当社は今般,台湾最大のLEDパッケージメーカー製品に対して訴訟を提起」という記載から,原告が日本市場において本件特許権の侵害行為を行っていると認識し得る。 イ本件プレスリリース1の目的は,原告製品1を日本において輸入販売することが本件特許権の侵害行為であると告知することにある。被告が原告以外の企業が製造したLEDに関して提起した特許権侵害訴訟についてのプレスリリースと比較して,本件プレスリリース1が原告名を殊更に強調していることからすると,本件プレスリリース1が裁判制度に借名して原告の信用を毀損するものであることは明白であり,現 訴訟についてのプレスリリースと比較して,本件プレスリリース1が原告名を殊更に強調していることからすると,本件プレスリリース1が裁判制度に借名して原告の信用を毀損するものであることは明白であり,現に,原告の信用は毀損されている。 ウそして,本件プレスリリース1における,原告が本件特許権の侵害行為をしている旨の記載は,次のとおり虚偽である。 (ア) 原告製品1は,以下のとおり,本件訂正後発明の技術的範囲に属しない。 a 構成要件Dの記載からすると,本件訂正後発明においては,フォトルミネセンス蛍光体の濃度は,コーティング樹脂の表面側から,LEDチップに向かって徐々に高くなっていることが必要であり,このことは,本件明細書の実施例の「徐々に」の記載及び本件特許の出願経過からも明らかである。 これに対し,原告製品1の蛍光体の濃度分布は,原告の分析(甲29)によれば,コーティング樹脂からLEDチップに向かって「高低高」となっている。また,被告の分析(甲28)については,分析対象となった製品が原告製品1であるかは疑問である上,被告の主張立証によったとしても,コーティング樹脂からLEDチップに向かって徐々に高くなっていないばかりか,LEDチップに向かって濃度が低くなる部分がある。したがって,原告製品1は構成要件Dを充足しない。 b 本件訂正後発明において,フォトルミネセンス蛍光体は「第2の光」を発するものであり(構成要件B),かつ,互いに組成の異なる2種以上であること(構成要件E)が必要であるから,互いに組成の異なる2種類以上のフォトルミネセンス蛍光体は,同じ「第2の光」を発しなければならない。 これに対し,被告の分析によっても,原告製品1において,一つの蛍光体は黄色発光し,もう一つの蛍光体は赤色発光しており,互いに組 ォトルミネセンス蛍光体は,同じ「第2の光」を発しなければならない。 これに対し,被告の分析によっても,原告製品1において,一つの蛍光体は黄色発光し,もう一つの蛍光体は赤色発光しており,互いに組成の異なるフォトルミネセンス蛍光体が異なる光を発している。したがって,原告製品1は構成要件B及びEを充足しない。 (イ) 本件訂正前特許は,以下の理由により,特許法123条1項2号又は4号により無効とされるべきである。 a 特開平5-152609号公報(甲14。以下「甲14文献」という。)と特開平7-99345号公報(甲15。以下「甲15文献」という。)の組合せによる進歩性欠如b 甲14文献と,甲15文献及び特開平7-176794号公報(甲17。以下「甲17文献」という。)の組合せによる進歩性欠如c 甲14文献と,甲15文献及び周知技術の組合せによる進歩性欠如d 甲15文献と甲17文献の組合せによる進歩性欠如 e 水分による劣化を防止するという作用効果についてのサポート要件違反及び実施可能要件違反f 甲17文献と周知技術の組合せによる新規性欠如及び進歩性欠如g 蛍光体及び蛍光体の濃度についてのサポート要件違反及び実施可能要件違反h 本件原出願に具体的な組成が限定されていない蛍光体が記載されていないことを理由とする分割要件違反(ウ) 本件訂正後特許は,以下の理由により,特許法123条1項2号により無効とされるべきである。 a 本件原出願明細書には,組成が特定されたフォトルミネセンス蛍光体しか開示されておらず,他方,本件訂正後発明は,フォトルミネセンス蛍光体の組成について限定がない。被告は,本件原出願明細書に記載された実施の形態2に本件訂正後発明が開示されている旨主張するが,実施の形態2は組成が限定された ,本件訂正後発明は,フォトルミネセンス蛍光体の組成について限定がない。被告は,本件原出願明細書に記載された実施の形態2に本件訂正後発明が開示されている旨主張するが,実施の形態2は組成が限定された実施の形態1と別のものとは解釈できず,実施の形態1には組成が特定されたフォトルミネセンス蛍光体しか記載されていない。そのため本件特許の出願(本件原出願からの分割出願)は,分割要件(特許法44条1項)に違反するから,その出願日は平成21年3月18日となるので,本件原出願の公開公報により新規性又は進歩性を欠くことになる。 b 本件各優先権出願はいずれも組成が限定されていないフォトルミネセンス蛍光体を2種以上用いることを開示していないから,本件訂正後発明は本件各優先権出願による優先権の利益を享受できない。 そして,本件最初の原出願日より前の平成8年11月に頒布された第264回蛍光体同学会講演予稿「白色LEDの開発と応用」(甲84。以下「甲84文献」という。)は,本件訂正後発明と同一であるか(新規性欠如),又は構成要件Eのみ相違するが,かかる相違点は 周知技術(甲85~87)により当業者に容易想到である(進歩性欠如)。また,平成9年4月に頒布された「Luminescenceconversionofbluelightemittingdiodes」(甲85。以下「甲85文献」という。)は,訂正後の本件発明と同一であるか(新規性欠如),又は構成要件Dのみ相違するが,かかる相違点は周知技術(甲30,84)により当業者に容易想到である(進歩性欠如)。 (エ) 原告は,原告製品1を日本国内で製造,輸入,販売等していないから,原告による本件特許権の実施行為は存在しない。 (被告の主張)ア本件プレスリリース1は,チップワンストッ 歩性欠如)。 (エ) 原告は,原告製品1を日本国内で製造,輸入,販売等していないから,原告による本件特許権の実施行為は存在しない。 (被告の主張)ア本件プレスリリース1は,チップワンストップが原告製品1を輸入,販売等する行為が本件特許権の侵害行為であることを理由に,被告がチップワンストップを相手方として特許権侵害訴訟を提起した事実を告知するものにすぎないから,通常の一般人は原告が日本市場において本件特許権の侵害行為をしているとは理解しない。その第2段落も,「その製造販売が特許権を侵害することとなる製品」の意味で「特許権を侵害する製品」との表現が慣用的に用いられるのと同様,当該訴訟の対象製品である原告製品1の製造元を特定する趣旨で,「台湾最大のLEDパッケージメーカー製品」を対象とする訴訟を被告が提起したこと等を述べるものにすぎない。 そもそも本件プレスリリース1の読み手は基本的に当該業界に深い関心を持つ者であるところ,本件プレスリリース1を取り扱っている当該業界のウェブサイトにおいても原告の主張するような理解はされていない。 イ上記のことから,本件プレスリリース1の記載内容が原告の営業上の信用を害することはない。 ウ仮に本件プレスリリース1において原告が日本市場において本件特許権の侵害行為をしている旨の記載があると解されるとしても,次のとおり,同記載が虚偽であることの立証はない。 (ア) 原告は,原告製品1が構成要件D並びにB及びEを充足せず,本件訂正後発明の技術的範囲に属しないと主張するが,以下のとおり,そのような事実は認められない。 a 本件訂正後発明の特許請求の範囲の記載及び本件明細書の段落【0048】に記載された本件訂正後発明の作用効果からすれば,構成要件Dは,コーティング樹脂中の蛍光体の含 ような事実は認められない。 a 本件訂正後発明の特許請求の範囲の記載及び本件明細書の段落【0048】に記載された本件訂正後発明の作用効果からすれば,構成要件Dは,コーティング樹脂中の蛍光体の含有分布の状態を全体としてみたときに,蛍光体の含有分布が,水分が侵入する起点であるコーティング樹脂の表面側から離れて位置するLEDチップが存在する方に有意に偏っている状態を意味し,構成要件Dの蛍光体の濃度が表面側からLEDチップに「向かって高くなっている」態様が「徐々に」でなければならないと解する理由はない。本件明細書の実施例1に「徐々に」の文言が記載されているからといって特許請求の範囲が実施例に限定されないことは当然であるし,出願経過における特許庁の認定は蛍光体の分布が徐々に変化しなければならないというものではない。 そして,被告が入手した原告製品1の断面写真(甲28)によれば,その蛍光体の含有分布が,コーティング樹脂の表面側からLEDチップの方に有意に偏っていることは明らかである。他方において,原告の分析した製品(甲29)は原告製品1でない可能性があり,また分析方法自体恣意的なものである。したがって,原告製品1が構成要件Dを充足しないことの立証はできていない。 b 組成が異なる2種類の蛍光体があれば,原則としてその発光色が異なることは当然であるし,本件明細書においても,組成の異なる蛍光体の発光が異なることが明記されている。構成要件Bが「第2の光」と規定しているのは,「LEDからの発光」を「第1の光」としたのと対をなすものとして「蛍光体からの発光」を「第2の光」としてい るだけのことであり,「蛍光体からの発光」が同じ発光色でなければならないことは規定されていない。そのため,構成要件B及びEに関する原告の解釈は誤りである 発光」を「第2の光」としてい るだけのことであり,「蛍光体からの発光」が同じ発光色でなければならないことは規定されていない。そのため,構成要件B及びEに関する原告の解釈は誤りである。また,原告製品1において,2種類の蛍光体が含まれていないとの立証はされていない。したがって,原告製品1が構成要件B及びEを充足しないことの立証はできていない。 (イ) 本件訂正前特許が無効であるとの主張はいずれも否認ないし争う。 また,無効理由があったとしても,本件訂正により解消されている。 (ウ) 原告は,本件訂正後発明がなお分割要件に違反し,又は優先権の利益を受けられないことにより新規性あるいは進歩性を欠く旨主張するが,以下のとおり,その立証はない。 a 本件訂正後発明は,本件原出願明細書の実施の形態2に記載されており,本件原出願明細書の段落【0078】~【0085】には,特定組成の蛍光体の使用はあくまでも任意であることが明記されている。 また,当業者は,特定組成に限定されない,互いに組成の異なる2種類以上のフォトルミネセンス蛍光体について,本件訂正後発明を読み取れることが明らかである。 したがって,本件特許の出願が分割要件に違反することはない。 b 本件訂正後発明が特定の組成の蛍光体に限定されていないことを理由として本件各優先権出願による優先権の利益を受けられないとの主張が成り立たないことは,上記aで述べたことと同様である。 なお,甲84文献は,コーティング樹脂内に均等に蛍光体が分布していることを示しており,構成要件Dと相違するし,蛍光体が互いに組成の異なる2種以上でもよいことは記載されていない。 c 原告が原告製品1を日本国内で製造,輸入,販売等をしていないとの主張は不知であり,その立証はできていない。 (2) 争点(1)イ( 互いに組成の異なる2種以上でもよいことは記載されていない。 c 原告が原告製品1を日本国内で製造,輸入,販売等をしていないとの主張は不知であり,その立証はできていない。 (2) 争点(1)イ(本件プレスリリース2の掲載が14号に該当するか)につい て(原告の主張)本件プレスリリース2にも,原告が日本市場において本件特許の侵害行為をしている旨が記載されており,本件プレスリリース2の掲載は,上記(1)(原告の主張)において本件プレスリリース1について述べたのと同様の理由により,原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に該当する。 このことに加え,本件プレスリリース2には,「立花社が輸入,販売等する白色LED(製造型番:GT3528シリーズ,61-238シリーズ)」との記載があるところ,立花エレテックは原告各製品を輸入,販売等していないから,本件プレスリリース2はかかる点においても原告の営業上の信用を害する虚偽の事実が記載されている。 (被告の主張)上記(1)(被告の主張)で述べたのと同様の理由により,本件プレスリリース2は原告が日本市場において本件特許の侵害行為をしている旨を記載しておらず,その掲載は原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知には該当しない。さらに,本件プレスリリース2には,「立花社に対してもその販売等の中止等を求めるものです」との記載があり,第2訴訟の相手方が立花エレテックであることが明記されている。 また,本件プレスリリース2の第2段落は,立花エレテックが原告各製品を輸入販売等する行為が本件特許権の侵害行為であることを理由に,特許権侵害訴訟を提起したという事実を告知するものにすぎない。同段落に立花エレテックが原告各製品を輸入販売等しているという事実が記載されていると解釈しても,立花エ 許権の侵害行為であることを理由に,特許権侵害訴訟を提起したという事実を告知するものにすぎない。同段落に立花エレテックが原告各製品を輸入販売等しているという事実が記載されていると解釈しても,立花エレテックは原告各製品についてウェブページを通じて譲渡の申出を行っているから,上記記載は虚偽ではない。さらに,上記記載は立花エレテックの行為についてのものであり,原告の営業上の信用とは無関係である。 (3) 争点(1)ウ(第2訴訟の提起が14号に該当するか)について(原告の主張)原告各製品が本件訂正後発明の技術的範囲に属さず,かつ本件特許に無効理由がある以上,第2訴訟の訴えの内容は,原告の営業上の信用を害する虚偽の事実である。そして,被告が,第2訴訟を提起するに当たり,東京地方裁判所をして訴状を第2訴訟の被告である立花エレテックに送達させた行為は,裁判制度に借名した違法な行為として,上記原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に当たる。 (被告の主張)訴訟の提起に伴う訴状の送達が不正競争防止法2条1項14号所定の告知行為に該当するという原告の主張は,主張自体失当である。 また,第2訴訟の提起により立花エレテックに告知されたのは,立花エレテックによる原告各製品の輸入,譲渡の申出,譲渡等の行為が本件特許権を侵害するという被告の主張にすぎない。原告自身が日本国内において原告のLED製品の販売を計画又は容認していたという事実が立証されていない現状において,原告とは無関係で独立した事業者による原告各製品の輸入行為が日本国特許権の侵害行為に該当すると告知しても,原告の営業上の信用が毀損されないのは明らかである。 (4) 争点(2)(本件プレスリリース2の掲載及び第2訴訟の提起が不法行為としての違法性を有するか)(原告の 害行為に該当すると告知しても,原告の営業上の信用が毀損されないのは明らかである。 (4) 争点(2)(本件プレスリリース2の掲載及び第2訴訟の提起が不法行為としての違法性を有するか)(原告の主張)立花エレテックが原告各製品を輸入も販売もしていないこと,原告各製品が本件発明の技術的範囲に属しないこと,本件特許に無効理由があることは,上記(1)(原告の主張)ウで述べたとおりであり,これらのことは後記(5)(原告の主張)イで述べることと同様の理由により,被告において事前に調査すれば容易に知り得たものである。したがって,第2訴訟において被告が 主張する権利又は法律関係は事実的法律的根拠を欠くものであり,通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのに,被告はあえて第2訴訟を提起したものといえる。被告は,第1訴訟の提起直後にチップワンストップが和解に応じたことから,同様の経緯を期待して第2訴訟を提起したのであり,第2訴訟の提起は違法である。 また,本件プレスリリース2の掲載も,第2訴訟の提起に乗じて行われた,裁判制度に借名して原告の信用を毀損するものである。 したがって,第2訴訟の提起及び本件プレスリリース2の掲載は違法である。 (被告の主張)原告各製品は本件発明の技術的範囲に属するのであり,また,本件特許に無効理由などは存在しない。さらに,後記(5)(被告の主張)ウで述べるとおり,被告が立花エレテックが原告各製品を輸入していると認識して提訴することは通常の対応というべきである。したがって,第2訴訟の提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものとは認められない。 また,被告が立花エレテックに対して特許権侵害訴訟を提起した事実を告知するにすぎない本件プレスリリース2の掲載が違法となることもない。 ( 旨目的に照らして著しく相当性を欠くものとは認められない。 また,被告が立花エレテックに対して特許権侵害訴訟を提起した事実を告知するにすぎない本件プレスリリース2の掲載が違法となることもない。 (5) 争点(3)(被告の故意又は過失ないし違法性阻却事由の存否)(原告の主張)ア被告が原告以外の企業が製造したLEDに関して提起した特許権侵害訴訟についてのプレスリリースと比較すれば明らかなように,本件各プレスリリースは,原告名を殊更に強調して原告の信用を毀損する意図に基づくものである。 イ被告には,以下のとおり,原告各製品が本件訂正後発明の技術的範囲に属すると信じたこと,本件特許に無効理由がないと信じたこと,立花エレテックが原告各製品の輸入販売等をしたと信じたことにつき,過失がある。 また,本件各プレスリリースの掲載及び第2訴訟の提起が正当な権利行使となることもない。 (ア) 本件各プレスリリース掲載時において,被告は,本件訂正後発明において追加された構成要件Eを原告各製品が充足するかを検討していない。したがって,被告には原告各製品が本件訂正後発明の技術的範囲に属すると信じたことに過失があることは明らかである。 また,被告は,平成25年3月7日に構成要件Eを充足するかどうかの分析を行っているが(乙32,33),上記(1)(原告の主張)ウ(ア)b及び(2)(原告の主張)のとおり,原告各製品が構成要件B及びEを充足しないのは明らかであるから,少なくとも同日以降は過失がある。 (イ) 本件各プレスリリース掲載時には,本件訂正前特許が分割要件に違反すると判示した本件審決取消判決に係る無効審判請求事件が既に特許庁に係属していた。そして,分割要件違反は客観的に理解可能である。 それにもかかわらず,被告は本件各プレスリリース 前特許が分割要件に違反すると判示した本件審決取消判決に係る無効審判請求事件が既に特許庁に係属していた。そして,分割要件違反は客観的に理解可能である。 それにもかかわらず,被告は本件各プレスリリースを掲載したのであるから,同掲載時において,被告には,本件特許に無効理由がないと信じたことについて過失があり,少なくとも,本件審決取消判決後において過失があることは明らかである。また,本件訂正後特許も本件訂正前と同様の無効理由があることから,本件訂正後においても被告に過失があることは変わらない。 (ウ) 被告は,立花エレテックに警告書を送ること等をしておらず,本件プレスリリース2を掲載するに先立ち,特許権者であれば通常行うような調査を一切行っていない。立花エレテックのホームページに原告のLED製品の取扱いがある旨の記載があったとしても,当該ホームページには具体的な品番が掲載されておらず,かつ,原告の全商品を取り扱っている旨の記載もなかった。それにもかかわらず,被告は第2訴訟を提 起し,本件プレスリリース2を掲載したのであるから,被告には,これらの行為をした時点において,立花エレテックによる実施行為があると信じたことにつき過失がある。少なくとも第2訴訟について第一審判決があった日以降について過失があることは明らかである。 (被告の主張)以下のとおり,被告が本件各プレスリリースを掲載し,第2訴訟を提起したことについて被告には故意過失がなく,また,これらの行為は正当行為として違法性を否定されるべきである。 ア原告各製品が本件訂正後発明の技術的範囲に属しないと判断されたとすれば,その理由はクレーム解釈や対象製品の分析方法についての認識の相違にあるといえる。しかし,被告のクレーム解釈は一般的な手法に基づくものであるし,対象製品 明の技術的範囲に属しないと判断されたとすれば,その理由はクレーム解釈や対象製品の分析方法についての認識の相違にあるといえる。しかし,被告のクレーム解釈は一般的な手法に基づくものであるし,対象製品の分析方法は一般に自らが採用する方法が当業者の技術水準であると考えることが自然であるから,被告に故意過失はない。 イ本件特許はそもそも特許庁審査官によって認められたものであり,かつ,第2訴訟の提起後において,特許庁の審判官は2度にわたり本件訂正前発明が本件原出願明細書に記載されているとの判断をしている。このことからすると,本件訂正前発明が分割要件違反であるとする本件審決取消判決は,誤りであるか,又は裁判所による高度に専門的な判断であるというほかない。これらのことからすれば,特許権者としては,本件各プレスリリースの掲載時において,被告が本件訂正前特許について分割要件違反がないと信じることに相当程度以上の合理性がある。 このことは本件訂正後発明についても同様であり,特許庁は上記判決を踏まえた上で被告の訂正請求を認めたのであるから,万が一,後に本件訂正後特許が無効になったとしても,被告に過失はないことはより一層明らかである。 ウ原告の製品を全般的に取り扱っていることをウェブサイト上で告知して いた立花エレテックが原告各製品を輸入販売していると認識し,第2訴訟を提起するとともにその認識をプレスリリースに掲載することは通常の対応である。また,立花エレテックのような,LED等の需要者である企業と直接取引を行っている商社から,LEDの製造者である被告が自ら又は第三者を介して商品を入手することは困難であるし,特許権侵害訴訟の提起前に警告書を送付することを義務付けることは妥当でない。したがって,被告の第2訴訟の提起及び本件プレスリリース ある被告が自ら又は第三者を介して商品を入手することは困難であるし,特許権侵害訴訟の提起前に警告書を送付することを義務付けることは妥当でない。したがって,被告の第2訴訟の提起及び本件プレスリリース2の掲載に故意過失はなく,違法性は阻却されるというべきである。 エ本件各プレスリリースは,全体としてみた場合,特許権侵害訴訟の提起に関する典型的なプレスリリースである。このように訴訟提起の事実を告知するプレスリリースを自社ウェブサイトに掲載することは,訴訟提起という権利行使に付随した行為にすぎず,また,企業が有する表現の自由との関係で原則的に保護されるべき行為である。 さらに,第2訴訟に関していえば,被告である立花エレテックは技術商社であり,自ら訴訟に対応することは十分に可能であったし,原告は台湾法人であるから,本件特許権に基づき原告の行為を問題とすることは困難であった。 (6) 争点(4)(原告の損害)(原告の主張)被告の不正競争行為及び不法行為により,原告の顧客の多くは原告の製造販売するLEDに特許問題があるとの危惧を抱くようになり,原告の営業上の信用は大きく毀損された。その損害(無形損害)は1000万円を下らず,上記被告の各行為と相当因果関係を有する弁護士費用は100万円を下らない。 (被告の主張)争う。 (7) 争点(5)(差止めの必要性)(原告の主張)被告は,現在に至るまで本件各プレスリリースを掲載し続けているから,第三者に対し,文書又は口頭で,原告各製品が本件特許権を侵害し,又は侵害するおそれがある旨を告知又は流布することを差し止める必要がある。 (被告の主張)争う。被告は,平成25年8月19日までに本件各プレスリリースに関するデータをサーバーから完全に削除し,現在,本件各プレスリリ ある旨を告知又は流布することを差し止める必要がある。 (被告の主張)争う。被告は,平成25年8月19日までに本件各プレスリリースに関するデータをサーバーから完全に削除し,現在,本件各プレスリリースを閲覧することはできなくなっている。 (8) 争点(6)(名誉回復措置の必要性)(原告の主張)被告による不正競争行為及び不法行為により毀損された原告の営業上の信用を回復するためには,別紙謝罪広告目録記載の文章を被告のホームページに掲載する必要がある。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)ア(本件プレスリリース1の掲載が14号に該当するか)について(1) 原告は,本件プレスリリース1の記載内容からは原告が日本市場において本件特許権の侵害行為をしていると認識し得るのであり,このような虚偽の事実を告知流布する本件プレスリリース1により原告の信用が害されている旨主張する。 (2) そこで,まず,本件プレスリリース1によりいかなる事実が告知又は流布されたと認められるかについてみるに,本件プレスリリース1には,別紙プレスリリース目録1に記載のとおり,「台湾Everlight社製白色LEDに対する特許侵害訴訟について」との見出しの下,第1段落において, 原告が製造し,チップワンストップが輸入販売している原告製品1について,被告が,チップワンストップに対し本件特許権に基づき侵害の差止めを求める訴訟(第1訴訟)を提起したこと,第2段落において,被告が特に日本市場における被告の保有する特許の侵害行為について断固たる措置を取ってきたこと,しかしながら,中韓台LEDチップ及びパッケージメーカーによる特許権を無視した日本市場での行動が目に余るものであること及び上記侵害行為への対抗措置の一環として台湾最大のL たる措置を取ってきたこと,しかしながら,中韓台LEDチップ及びパッケージメーカーによる特許権を無視した日本市場での行動が目に余るものであること及び上記侵害行為への対抗措置の一環として台湾最大のLEDパッケージメーカー製品に対して訴訟を提起したことが記載されている。 このような記載の全体をみれば,本件プレスリリース1は,① 被告がチップワンストップに対して第1訴訟を提起した旨の事実と共に,② チップワンストップが原告製品1を輸入販売した旨,及び,③ チップワンストップのように原告製品1を我が国に輸入し,販売する行為が本件特許権の侵害となり,かかる行為に対しては被告が特許権侵害訴訟を提起するなどの対抗措置を取ることになる旨の事実を告知し,流布するものであると認めるのが相当である。 これに対し,原告は,本件プレスリリース1には原告自身が日本国内で本件特許権の侵害行為をしている旨の事実が記載されている旨主張する。しかしながら,本件プレスリリース1には,原告が原告製品1を製造している旨の記載や,「中韓台LEDチップ及びパッケージメーカー」の一員としての原告が「特許権を無視した日本市場での行動」をしている旨の記載は存するものの,原告自身が日本において原告製品1を製造し,販売するなどの実施行為(特許法2条1項1号)をしていることを示す記載は存在しない。そうすると,本件プレスリリース1に接する者は,第1訴訟において問題とされているチップワンストップによる原告製品1の輸入販売行為のほかに,原告が日本において本件特許権の侵害行為をしていると認識すると解することはできないというべきである。 他方,被告は,本件プレスリリース1に記載されたのは上記①の訴訟提起の事実のみである旨主張する。そこで判断するに,本件プレスリリース1の見出しは ことはできないというべきである。 他方,被告は,本件プレスリリース1に記載されたのは上記①の訴訟提起の事実のみである旨主張する。そこで判断するに,本件プレスリリース1の見出しは,「台湾Everlight社製白色LEDに対する特許侵害訴訟について」というものである。一般に,見出しがそれに続く文章の要点を掲げるものであり,読み手の関心を引き付ける重要な部分であることからすると,被告が本件プレスリリース1の告知内容として重点を置く部分は,第1訴訟の対象が原告の製造するLED(原告製品1)である点にあると解される。このことは,本件プレスリリース1の本文は比較的短いものであり,第1段落と第2段落が一体のものとして理解されること,そして,第2段落には,中韓台メーカーの行動が「特許を無視した」ものであり,それが「目に余る」ものであるなど,原告を含む中韓台メーカーの行動を強く非難する表現が用いられていること,第1訴訟の提起が中韓台メーカーの上記特許を無視した行動に対する対抗手段であり,被告が日本市場における被告の保有する特許の侵害行為に対しては「断固たる措置」を取ってきていること,第1訴訟が原告のLED製品に対するものである旨が改めて記載されていることからも裏付けられる。これらのことからすれば,本件プレスリリース1に接した者は,本件プレスリリース1には,単に上記①の第1訴訟の提起の事実が記載されているにとどまらず,上記②及び③のチップワンストップによる原告製品1の輸入販売行為が特許権侵害になる旨の事実が記載されていると認識すると解するのが相当である。 (3) 本件プレスリリース1により告知流布された上記事実のうち,①及び②は,弁論の全趣旨によれば,虚偽の事実でないことが明らかである。 他方,③の事実は,原告が製造したLEDを日本 が相当である。 (3) 本件プレスリリース1により告知流布された上記事実のうち,①及び②は,弁論の全趣旨によれば,虚偽の事実でないことが明らかである。 他方,③の事実は,原告が製造したLEDを日本に輸入し,販売する行為が特許権侵害になる旨をいうものであるから,事柄の性質上,我が国における原告の営業上の信用を害するものということができる。そうすると,これが虚偽であるとすれば,14号に該当すると認めるべきものとなる。 (4) そこで,本件プレスリリース1により告知流布された上記③の事実が虚偽であるかを検討するに,ア原告製品1が本件訂正後発明の技術的範囲に属しない場合,又は,イ本件特許が無効と認められる場合には,虚偽の事実に当たると解すべきことになる。 なお,原告は,本件訂正の前後を通じて本件特許が無効である旨主張するが,訂正審決が確定した場合には,その訂正後における明細書,特許請求の範囲又は図面により特許出願及び特許権の設定の登録がされたものとみなされるから(特許法128条),本件訂正前特許が無効であることをいう原告の主張は,それ自体失当である。 ア技術的範囲の属否について原告は,原告製品1が本件訂正後発明の構成要件D並びにB及びEを充足しない旨主張するが,以下のとおり,いずれも採用することはできない。 (ア) 構成要件Dについてa 原告は,構成要件Dを充足するためにはフォトルミネセンス蛍光体の濃度がコーティング樹脂の表面側からLEDチップに向かって徐々に高くなっている必要があるのに対し,原告製品においては,これが徐々に高くなっていないばかりか,LEDチップに向かって濃度が低くなる部分があるから,構成要件Dを充足しないと主張する。 b そこで判断するに,証拠(甲28,29,62,63,乙22)及び弁論の 徐々に高くなっていないばかりか,LEDチップに向かって濃度が低くなる部分があるから,構成要件Dを充足しないと主張する。 b そこで判断するに,証拠(甲28,29,62,63,乙22)及び弁論の全趣旨によれば,① 原告が原告製品1であると主張する製品(以下「原告分析品」という。)について原告がフォトルミネセンス蛍光体の分布状況を分析した結果は,コーティング樹脂の表面側からLEDチップに向かって「高,高,低,高,低,高,高,低」という濃度分布であったこと,② 被告が原告製品1であると主張する製品(以下「被告分析品」という。)について被告がフォトルミネセンス蛍光体の分布状況を分析した結果は,蛍光体の濃度がコーティング 樹脂の表面側からLEDチップに向かって低くなることはなく,LEDチップの表面付近で集中して高くなっていたこと,③ 原告分析品と被告分析品は外観が異なること,④ チップワンストップは,そのウェブサイトにおいて型番を「GT3528」とする原告製のLEDパッケージの販売の申出をしており,被告はチップワンストップから被告分析品を購入した第三者を通じてこれを入手したこと,⑤ チップワンストップは,日本半導体商社協会に加入する半導体商社であって,原告からの問い合わせに対し,原告の正規品を取り扱っていると回答していること,以上の事実が認められる。 本件訂正後発明の特許請求の範囲には,構成要件Dとして「フォトルミネセンス蛍光体の濃度が,前記コーティング樹脂の表面側から前記LEDチップに向かって高くなって」と記載されているところ,原告の分析によれば原告分析品の濃度分布はこの記載と相いれないものであるのに対し,被告の分析によれば,被告分析品の濃度分布は上記記載に整合すると解し得るものとなる。そして,原告分析品と被告分析品 原告の分析によれば原告分析品の濃度分布はこの記載と相いれないものであるのに対し,被告の分析によれば,被告分析品の濃度分布は上記記載に整合すると解し得るものとなる。そして,原告分析品と被告分析品の外観が異なることからすると,これらの少なくとも一方は原告製品1ではないと解すべきところ,被告分析品が半導体取引の専門業者によって原告の正規品として取り扱われていたものであるのに対し,原告は,原告製品1の製造業者でありながら,原告分析品が原告製品1であること又は被告分析品が原告製品1でないことを裏付ける設計図面,製造記録などの客観的証拠を何ら提出していない。そうすると,本件の関係証拠上,原告分析品が原告製品1であると認めることはできず,ほかに原告製品1が構成要件Dを充足しないことをうかがわせる証拠は存在しない。 c 以上によれば,原告製品1が本件訂正後発明の構成要件Dを充足しないと認めることはできない。 (イ) 構成要件B及びEについてa 原告は,互いに組成の異なる2種類以上のフォトルミネセンス蛍光体(構成要件E)は同じ「第2の光」(構成要件B)を発しなければならないのに対し,原告製品1は互いに組成の異なるフォトルミネセンス蛍光体が異なる光を発しているから,構成要件B及びEを充足しないと主張する。 b そこで判断するに,構成要件Bは,特許請求の範囲の記載によれば,LEDチップから発せられた光を「第1の光」とし,その光がフォトルミネセンス蛍光体に吸収され,波長変換されて「第1の光」と異なる波長となったものを「第2の光」と呼んでいると解されるのであり,第2の光の波長,強度等を限定する趣旨の記載はない。他方,特許請求の範囲の記載上,本件訂正後発明におけるフォトルミネセンス蛍光体は「互いに組成の異なる2種以上」であることが いると解されるのであり,第2の光の波長,強度等を限定する趣旨の記載はない。他方,特許請求の範囲の記載上,本件訂正後発明におけるフォトルミネセンス蛍光体は「互いに組成の異なる2種以上」であることが規定されており(構成要件E),異なる蛍光体によって波長変換されることにより波長等が異なる光が「第2の光」として生じることが想定されているとみることができる。 c 以上によれば,原告の上記主張を採用することはできず,原告製品1が構成要件B及びDを充足しないとは認められないというべきである。 イ本件特許の有効性について原告は本件訂正後特許には分割要件違反又は優先権の規定違反による新規性又は進歩性欠如の無効理由があるから,本件プレスリリース1により告知流布された前記(2)③の事実が虚偽である旨主張する。 そこで判断するに,本件特許については,いまだこれを無効とする審決がされていないことは前記前提事実(4)のとおりであり,本件プレスリリース1がされた時点でも有効に存在していたことはいうまでもない。そし て,原告製品1が本件訂正後発明の技術的範囲に属しないとはいえないこと(むしろ,被告による分析結果によればその技術的範囲に属すると考えられること)は上記アのとおりである。そして,本件訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められるので(乙38),原告製品1は本件訂正前発明の技術的範囲にも属するものと解される。そうすると,被告が「原告製品1の輸入販売が本件特許権の侵害になる」旨の事実を告知流布する本件プレスリリース1を掲載したことは,特許権者による正当な権利行使であり,単に本件特許に無効理由が存在するというだけでは,本件プレスリリース1により告知流布された上記事実が虚偽であるとして不正競争行為に当たるとすることは相当でな は,特許権者による正当な権利行使であり,単に本件特許に無効理由が存在するというだけでは,本件プレスリリース1により告知流布された上記事実が虚偽であるとして不正競争行為に当たるとすることは相当でないというべきである。一方,本件特許に無効理由が存在することが明らかであるなど,本件特許権の行使が権利の濫用に当たるような場合には被告はこれに基づく差止め,損害賠償等の請求をすることができないから(最高裁平成12年4月11日第三小法廷判決・民集54巻4号1368頁,特許法104条の3第1項参照),このような場合に当たるとすれば本件プレスリリース1により告知流布された上記事実は虚偽であると評価すべきこととなる。以上の見地から検討すると,以下のとおりに解するのが相当である。 (ア) 分割要件について原告は,本件訂正後発明はフォトルミネセンス蛍光体の組成を限定していないのに対し,本件原出願明細書には組成が限定されていないフォトルミネセンス蛍光体を用いることが記載されていないから,本件訂正後特許は分割要件に違反すると主張する。 そこで判断するに,前記前提事実(4)に加え,証拠(乙30,38)及び弁論の全趣旨によれば,本件特許については分割要件違反を理由とする無効審判請求がされ,特許庁がこれを不成立とする審決をしたところ,これを取り消す旨の本件審決取消判決がされたこと,被告はこれを 受けて訂正審判を請求し,特許庁は,本件訂正後特許には分割要件違反その他無効理由が存在しないと判断して,本件訂正を認める旨の審決をしたことが認められる。 また,証拠(甲45,47,乙24,25,31)及び弁論の全趣旨によれば,本件原出願明細書には実施形態又は実施例として組成が限定された蛍光体のみが記載されているとはいえないと解することが可能であって,こ 証拠(甲45,47,乙24,25,31)及び弁論の全趣旨によれば,本件原出願明細書には実施形態又は実施例として組成が限定された蛍光体のみが記載されているとはいえないと解することが可能であって,この趣旨をいう専門家の意見書も提出されている。 これらの事情を総合すると,分割要件違反の有無については第1次的には専門的知識経験を有する特許庁の審判手続により判断されるべきところ(特許法178条6項参照),本件訂正後特許についてこれを無効とする審決がされることが見込まれるということはできない。そうすると,不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為の有無が争われている本件訴訟において,分割要件違反を理由として本件プレスリリース1により告知流布された前記事実が虚偽であると解することはできないというべきである。 (イ) 優先権について原告は,本件各優先権出願明細書には組成が限定されていないフォトルミネセンス蛍光体を用いることが記載されていないから,本件訂正後特許は本件各優先権出願による優先権の利益を受けることができない旨主張する。 そこで判断するに,本件原出願明細書に組成が限定された蛍光体のみが記載されているとはいえないと解し得ることは上記(ア)のとおりであり,証拠(甲23,45,79~83)及び弁論の全趣旨によれば,本件各優先権出願に係る明細書についてもこれと同様に解することが可能である。さらに,優先権の利益を受けることができない旨の主張については,本件の関係各証拠上,これまでに特許庁の審判手続において判断 されたことがあるとはうかがわれない。 これらの事情を考慮すると,優先権の規定の違反を理由に前記事実が虚偽であるということはできないと解すべきである。 (5) 以上によれば,本件プレスリリース1の掲載が原告の営業上の うかがわれない。 これらの事情を考慮すると,優先権の規定の違反を理由に前記事実が虚偽であるということはできないと解すべきである。 (5) 以上によれば,本件プレスリリース1の掲載が原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知流布に当たると認めることはできないと判断するのが相当である。 2 争点(1)イ(本件プレスリリース2の掲載が14号に該当するか)について(1) 別紙プレスリリース目録1及び同2に記載のとおり,本件プレスリリース2には,第2訴訟の提起に関し,訴訟の相手方が立花エレテックであり,対象製品が原告製品1に加えて原告製品2が含まれることのほかは,前記1(2)で摘示した本件プレスリリース1の記載内容とほぼ同様の記載がある。そうすると,本件プレスリリース2は,前記1(2)で判示したのと同様の理由により,① 被告が立花エレテックに対して第2訴訟を提起した旨の事実,② 立花エレテックが原告各製品を輸入販売した旨の事実と,③ 立花エレテックのように原告各製品を我が国に輸入し,販売する行為が本件特許権の侵害となり,かかる行為に対しては被告が特許権侵害訴訟を提起するなどの対抗措置を取ることになる旨の事実が記載されていると認めることができる。 (2) 本件プレスリリース2により告知された上記事実のうち①は,弁論の全趣旨によれば,虚偽でないことが明らかである。 次に,上記②の事実は,立花エレテックが原告各製品の輸入,販売等をしていないとすれば(甲7,8,51,89参照),虚偽の事実に当たることになり得る。しかしながら,立花エレテックが原告各製品を輸入販売等しているかどうかは,それ自体としては原告の営業上の信用に影響しない事実であると解される。そうすると,上記②の事実が虚偽であるとしても,これにより原告の営業上の信用が害されることはな 品を輸入販売等しているかどうかは,それ自体としては原告の営業上の信用に影響しない事実であると解される。そうすると,上記②の事実が虚偽であるとしても,これにより原告の営業上の信用が害されることはないから,本件プレスリリース2 のうちこの部分について14号の不正競争行為を認めることはできない。 他方,上記③の事実は,事柄の性質上,原告の営業上の信用を害するものと認められる。 (3) 進んで,上記③の事実が虚偽であるかどうかについてみるに,本件プレスリリース2の記載内容は,原告製品1に加えて原告製品2が含まれるほかは本件プレスリリース1と同旨である。そのため,原告製品2が本件訂正後発明の技術的範囲に属しないために虚偽であるか否かという点を除いては,前記1(4)で判示したのと同様の理由により,本件プレスリリース2により告知流布された事実が虚偽であると認めることはできない。 そこで,原告製品2が本件訂正後発明の技術的範囲に属しないか否かについて検討するに,証拠(甲27,29,乙14)及び弁論の全趣旨によれば,原告製品2のフォトルミネセンス蛍光体の濃度分布は,原告による分析結果では表面側からLEDチップ表面まで「高,低,高,低,低,高,低,高」となっているが,被告による分析結果では,コーティング樹脂の表面側からLEDチップに向かって低くなることはなく,LEDチップの表面付近で集中して高くなっていることが認められる。また,分析対象品の入手方法を含め,原告による分析が被告によるものより信用性が高いことをうかがわせる事情は見当たらない。そうすると,原告製品2についても,原告製品1と同様,構成要件Dを充足しないと認めることはできないと解される。 また,構成要件B及びEについては,前記1(4)ア(イ)で判示したのと同様の理由により,原 すると,原告製品2についても,原告製品1と同様,構成要件Dを充足しないと認めることはできないと解される。 また,構成要件B及びEについては,前記1(4)ア(イ)で判示したのと同様の理由により,原告製品2がこれらを充足しないと認めることはできない。 したがって,本件プレスリリース2により告知流布された前記③の事実を虚偽であると認めるに足りる証拠はないというべきである。 (4) 以上によれば,本件プレスリリース2の掲載が原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知流布に当たると認めることはできないと判断するのが相当である。 3 争点(1)ウ(第2訴訟の提起が14号に該当するか)について原告は,第2訴訟の提起に当たり,東京地方裁判所をして訴状を第2訴訟の被告である立花エレテックに送達させた行為が14号所定の虚偽の事実の告知に該当する旨主張する。 しかしながら,訴状は,その性質上,当該事件の原告の法律上及び事実上の見解を記載するものであり,これを受領する者はそのような書面として受け取るのであるから,14号にいう「事実」を告知するものとみることは困難である。さらに,法的紛争の当事者が当該紛争の終局的解決を裁判所に求めることは法治国家の根幹に関わる重要な事柄であり,かかる裁判制度の利用及びこれに当然随伴する行為を差し止めることは不正競争防止法が予定するところではないと解される。そうすると,訴状の送達により訴えの内容を相手方に知らせることは,14号所定の告知行為に該当しないというべきである。 したがって,第2訴訟の提起が14号に該当することをいう原告の主張は失当というほかない。 4 争点(2)(本件プレスリリース2の掲載及び第2訴訟の提起が不法行為としての違法性を有するか)について(1) 原告は,被告が事実的及び法律的根 ることをいう原告の主張は失当というほかない。 4 争点(2)(本件プレスリリース2の掲載及び第2訴訟の提起が不法行為としての違法性を有するか)について(1) 原告は,被告が事実的及び法律的根拠を欠く第2訴訟を提起したこと並びにこれに乗じて本件プレスリリース2を掲載したことが不法行為に当たる旨主張する。 (2) そこで,まず,第2訴訟の提起についてみるに,訴えの提起が相手方に対する違法な行為となるのは,当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものである上,提訴者がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したときなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨に照らして著しく相当性を欠くと認められる場合に限られるのであり(最高裁昭和63年1月26日第三小法廷判決・民集42巻1号1頁参照),このような場合を除いて は,訴えの提起が当該訴えの相手方以外の者に対する不法行為となることもないと解するのが相当である。 これを本件についてみるに,前記前提事実(3)イのとおり,第2訴訟は,被告が,① 立花エレテックが原告各製品の輸入,譲渡の申出,譲渡等をしており,かつ,② これが本件特許権を侵害すると主張して,立花エレテックに対し侵害行為の差止め等を求めたものである。 このうち,上記①の立花エレテックが原告各製品の輸入,譲渡の申出,譲渡等をしているとの主張については,前記前提事実(3)イのとおり,第2訴訟の第一審及び控訴審の各判決においてはこれを認めるに足りる証拠はないと判断されたものの,証拠(乙48,51,55)及び弁論の全趣旨によれば,立花エレテックのホームページに,同社が取り扱う半導体製品のメーカーとして原告が掲げられており,原告製の白色LEDを取り扱っ と判断されたものの,証拠(乙48,51,55)及び弁論の全趣旨によれば,立花エレテックのホームページに,同社が取り扱う半導体製品のメーカーとして原告が掲げられており,原告製の白色LEDを取り扱っている旨記載され,原告各製品が掲載されている原告のホームページへのリンクが貼られていたこと,被告は,立花エレテックにおいて白色LEDである原告各製品につき少なくとも譲渡の申出をしていたものと判断し,第2訴訟を提起したことが認められる。そうすると,被告の上記①の主張は相応の根拠をもってされたものということができ,事実的根拠を欠くものと認めるには足りないというべきである。また,上記②の原告各製品の輸入等が本件特許権の侵害に当たる旨の主張が事実的,法律的根拠を欠くものでないことは,争点(1)イについて判示したことから明らかである。 したがって,第2訴訟の提起が不法行為に当たるとの原告の主張を採用することはできない。 (3) 次に,本件プレスリリース2の掲載についてみるに,第2訴訟の提起が上記(2)のとおり根拠を欠くものと認めることができない以上,本件プレスリリース2のうち第2訴訟を提起した旨の事実を告知流布する部分に違法性はないと考えられる。また,本件プレスリリース2のうちその余の部分につ いても,争点(1)イで判示したところによれば,その掲載は不正競争行為に当たるものではなく,かえって本件特許権の行使として不当なものではないとみることができる。したがって,この点に係る原告の主張も採用することができない。 5 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は,いずれも理由がない。 第4 結論よって,原告の請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官 ついて判断するまでもなく,原告の請求は,いずれも理由がない。 第4 結論よって,原告の請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官長谷川浩二 裁判官高橋彩 裁判官植田裕紀久 別紙物件目録 下記のLEDパッケージ。 記 1 GT3528/X2C-BXXXXXXXXXX/2T 2 61-238/XK2C-BXXXXXXXXXX/ET(ただし,上記Xには任意のアルファベット又は数字が入る)以上 別紙謝罪広告目録 1. 表題 に対する謝罪 2. 本文当社,日亜化学工業株式会社は,平成23年8月31日以降,台湾法人 社(本社中華民国新北市<以下略>,董事長A。以下「 社」)が製造する白色LED(製品型番GT3528シリーズ,61-238シリーズ)について,当社特許権(第4530094号。以下「094特許」)を侵害するかのような記載を,当社ホームページに掲載しました。 しかしながら,当該記載は虚偽でありましたので,撤回致します。 今後,かかる行為を行わないことを誓約し, 社に対し,心よりお詫び申し上げます。 平成●年●月●日日亜化学工業株式会社 別紙プレスリリース目録1 台湾 社製白色LEDに対する特許侵害訴訟について 2011年8月31日,日亜化学工業株式会社(本社徳島県阿南市,社長B)は,株式会社チップワンストッ スリリース目録1 台湾 社製白色LEDに対する特許侵害訴訟について 2011年8月31日,日亜化学工業株式会社(本社徳島県阿南市,社長B)は,株式会社チップワンストップ(本社神奈川県横浜市,社長C。以下「チップワン社」)を被告として,台湾最大のLEDアッセンブリメーカーである 社(本社中華民国新北市<以下略>,董事長A)が製造し,チップワン社が輸入,販売する白色LED(製品型番GT3528シリーズ)について,当社特許権(第4530094号。以下「094特許」)に基づき,侵害差止めを求める訴訟を東京地方裁判所に提起致しました。 当社は,これまでも当社特許を侵害する企業に対しては,全世界において当社の権利を主張し,とりわけ,日本市場での日亜特許の侵害行為に対しては,断固たる措置を取ってまいりました。しかしながら,昨今の中韓台LEDチップ及びパッケージメーカーによる,特許権を無視した日本市場での行動は目に余るものがあります。 このような日本市場での日亜特許の侵害行為に対する対抗措置の一環として,当社は今般,台湾最大のLEDパッケージメーカー製品に対して訴訟を提起したものであります。なお,この訴訟に続き,同社製品に対して追加の訴訟を提起する予定です。 注対象特許の概要現在一般に流通している白色LEDは,青色発光のLEDチップに黄色など様々な色を発光する蛍光体を組み合わせて,白色系の発光を得ております。 今回の対象特許(特許)は,このような白色LED内の蛍光体の濃度について規 定した技術であり,蛍光体の種類に限定はありません。 別紙プレスリリース目録2 台湾 社製白色LEDに対する新たな特許侵害 光体の濃度について規 定した技術であり,蛍光体の種類に限定はありません。 別紙プレスリリース目録2 台湾 社製白色LEDに対する新たな特許侵害訴訟の提起について 2011年10月4日,日亜化学工業株式会社(本社徳島県阿南市,社長B)は,株式会社立花エレテック(本社大阪府大阪市,社長D。以下「立花社」)を被告として,台湾最大のLEDアッセンブリメーカーである 社(本社中華民国新北市<以下略>,董事長A。以下「 社」)が製造し,立花社が輸入,販売等する白色LED(製品型番GT3528シリーズ,61-238シリーズ)について,当社特許権(第4530094号。以下「094特許」)に基づき,侵害差止め及び損害賠償を求める2件の訴訟を東京地方裁判所に提起致しました。 当社は,これまでも当社特許を侵害する企業に対しては,全世界において当社の権利を主張し,とりわけ,日本市場での当社特許の侵害行為に対しては,断固たる措置を取ってまいりました。しかしながら,昨今の中韓台LEDチップ及びパッケージメーカーによる,特許権を無視した日本市場での行動は目に余るものがあります。 このような日本市場での当社特許の侵害行為に対する対抗措置の一環として,今年8月に 社製白色LEDを取り扱っていた会社に対する訴訟を提起し,当該事件の被告は当該白色LEDが当社特許の権利範囲であることを認め,その販売等を中止しました。今回提起した訴訟は,この訴訟に続くものであり,立花社に対してもその販売等の中止等を求めるものです。 注:対象特許の概要現在一般に流通している白色LEDは,青色発光のLEDチップに黄色など様々な色を発光する蛍光体 の訴訟に続くものであり,立花社に対してもその販売等の中止等を求めるものです。 注:対象特許の概要現在一般に流通している白色LEDは,青色発光のLEDチップに黄色など様々な色を発光する蛍光体を組み合わせて,白色系の発光を得てお ります。 今回の対象特許(094特許)は,このような白色LED内の蛍光体の濃度について規定した技術であり,蛍光体の種類に限定はありません。
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