平成18年10月30日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成18年(ワ)第13406号謝罪広告等請求事件口頭弁論終結日平成18年8月28日判決東京都新宿区<以下略>原告A東京都港区<以下略>被告横浜ゴム株式会社同訴訟代理人弁護士上谷清同永井紀昭同萩尾保繁同山口健司同薄葉健司同補佐人弁理士水野みな子同川崎典子主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告は,別紙1「謝罪広告指定内容」記載の謝罪広告を,スポーツ新聞紙各紙(サンケイスポーツ,日刊スポーツ,東京スポーツ,デイリースポーツ,西日本スポーツ,中日スポーツ,スポーツ報知,スポニチ大阪)及びゴルフ関連情報誌各誌(ゴルフトゥディ,アルバ,週間パーゴルフ,週間ゴルフダイジェ スト,月刊ゴルフダイジェスト,ゴルフワッグル,ゴルフトライ,ゴルフクラシック,ティアップゴルフマガジン)に各3回掲載せよ。 第2事案の概要,,,本件はゴルフ用ボールマーカーに係る意匠権を有する原告が被告に対し被告が製造し譲渡したゴルフ用ボールマーカーの意匠が,原告の意匠権を侵害すると主張して,意匠法41条,特許法106条に基づき,謝罪広告を求めた事案である。 前提となる事実等(争いがない)(1) 原告の意匠権原告は,以下の意匠権を有している(以下「本件意匠権」といい,当該意匠権に係る登録意匠を「本件登録意匠」という。 。)登録番号登録第1217691号出願年月日平成16年2月18日登録年月日平成16年8月6日意匠に係る物品ゴルフ用ボールマーカー(「」。)登録意匠別紙2の意匠公報以下本件意匠公報 登録第1217691号出願年月日平成16年2月18日登録年月日平成16年8月6日意匠に係る物品ゴルフ用ボールマーカー(「」。)登録意匠別紙2の意匠公報以下本件意匠公報というに記載のとおり(2) 被告製品意匠の構成被告はプロギアボールマーカーと称され別紙3の被告製品の写真,「」,のとおりのゴルフ用ボールマーカー(以下「被告製品」といい,その意匠を「被告製品意匠」という)を製造し,販売促進品として無償譲渡した。 。 被告製品意匠の構成は,以下のとおりである。 ア基本的構成球体の一部を切り取ってできた円盤状であって,上面は,膨出する表面に円凹弧面状のディンプルが複数配されており,底面は,水平状かつ同心円状に表れる。 イ具体的態様(ア)上面に配されたディンプルは,いずれも略同径である。 (イ)ディンプルの配列は,略同径のディンプルが複数相互に近接して配されている。 (ウ)上面と底面際の間に周側面を形成する滑面状立ち上がり壁がある。 (エ)底面は,外輪郭線の内側に二重の同心円が表れる態様である。 (オ)上面の略同径ディンプル群の中央に,個々のディンプルの径より天地が長い4個の大文字PRGRが横直線状に近接して刻み「」,「」,「」,「」込まれており,さらに,当該文字の下方に当該文字と平行に「GOLF」という小さな大文字が横直線状に刻み込まれている。 争点 被告製品意匠が本件登録意匠と類似するか否か。 争点についての当事者の主張(1) 原告の主張被告製品意匠は,本件登録意匠と類似し,その製造及び譲渡は,本件意匠権を侵害している。 ア本件登録意匠に係るゴルフ用ボールマーカーは,別紙3の原告製品写真のとおり,ゴルフボールの形態をしたボールマーカーであり,ドーム形状の表 類似し,その製造及び譲渡は,本件意匠権を侵害している。 ア本件登録意匠に係るゴルフ用ボールマーカーは,別紙3の原告製品写真のとおり,ゴルフボールの形態をしたボールマーカーであり,ドーム形状の表面に複数のディンプルを有し,ゴルフボールそっくりのデザインである。 被告製品は,原告製品と全く同じデザインであり,本件意匠権を侵害している。 イ市販のゴルフボールのディンプルのデザインは,空気抵抗等の重要な要因を含んでおり,詳細なディンプルのデザインの差異が問題となるが,ボ,,ールマーカーのデザインにおいてはゴルフボールらしさのみが求められ詳細なディンプルのデザインは問題とならないから,被告製品意匠は,本 件登録意匠に類似する(甲3。 )(2) 被告の反論被告製品意匠は,本件登録意匠に類似しない。 ア本件登録意匠の構成本件登録意匠は,下記の構成を有する。 (ア)基本的構成球面の一部を切り取ってできた円盤状であって,上面は膨出する表面に円凹弧面状のディンプルが複数配されており,底面は水平状かつ同心円状に表れる。 (イ)具体的態様,,,。 a上面に配されたディンプルは大中小の3種類の大きさがあるbディンプルの配列は,大ディンプルにおいて,上面の中心に1個,これを挟んで垂直水平(縦横)方向に各2個計5個が直列に配され,さらに,当該縦横の中間45度の位置で,上面外縁付近に各1個計4個配されており,小ディンプルは,上面の中心の大ディンプルと周囲の大ディンプルが作る隙間に等間隔に4個配され,その余の大ディンプル同士間には,中ディンプルが配されている。 cディンプルは,上面と底面の際まで表されている。 d底面は,外輪郭線の内側に一つの同心円が表れる態様である。 イ本件登録意匠と被告製品意匠との共通点及び相違点(ア) ィンプルが配されている。 cディンプルは,上面と底面の際まで表されている。 d底面は,外輪郭線の内側に一つの同心円が表れる態様である。 イ本件登録意匠と被告製品意匠との共通点及び相違点(ア)共通点本件登録意匠と被告製品意匠とは,その基本的構成において共通している。 (イ)相違点本件登録意匠と被告製品意匠とは,その具体的態様において,以下のような相違点がある。 ,,,a本件登録意匠は上面の膨出する表面に配されたディンプルに大中,小という大きさが異なる3種類あるのに対し,被告製品意匠のディンプルは,いずれも略同径であるという点。 b本件登録意匠は,上面に配列された大,中,小のディンプルが,大ディンプルについて,上面の中心に1個,これを挟んで垂直水平(縦横)方向に各2個計5個が直列に配され,さらに,当該縦横の中間45度の位置で上面外縁付近各1個計4個配されており,小ディンプルは,上面の中心の大ディンプルと周囲の大ディンプルが作る隙間に,等間隔に4個配され,その余の大ディンプル同士間には,中ディンプルを配したというものであるのに対し,被告製品意匠は,略同径のディンプルが複数相互に近接したものであるという点。 c本件登録意匠は,ディンプルが上面と底面との際まで表されているのに対し,被告製品意匠は,上面と底面際の間に周側面を形成する滑面状立ち上がり壁がある点。 d本件登録意匠は,底面が外輪郭線の内側に一つの同心円が表れる態様であるのに対し,被告製品意匠は,底面が外輪郭線の内側に二重の同心円が表れる態様である点。 e本件登録意匠は,上面にはディンプル以外には何も表されていないのに対し,被告製品意匠は,略同径のディンプル群の中央に,個々のディンプルの径より天地が長い4個の大文字P,R,G,Rが横直線状に近接して刻み込まれ は,上面にはディンプル以外には何も表されていないのに対し,被告製品意匠は,略同径のディンプル群の中央に,個々のディンプルの径より天地が長い4個の大文字P,R,G,Rが横直線状に近接して刻み込まれており,さらに,当該文字の下方に当該文字と平行にGOLFという小さな大文字が横直線状に刻み込まれている点。 ウ本件登録意匠の要部について(ア)看者が注目する部位についてa取引者・需要者についてゴルフ用ボールマーカーは,ゴルフ用マーカー,ゴルフボールマー カーとも称されるもので,グリーン上でボールマークのために使用される。その需要者は,ゴルフをスポーツとして楽しむ人々であり,一般的には最終ユーザーといわれる普通の人々である。ゴルフ用ボールマーカーの看者はスポーツと趣味的な世界を楽しむ人々といえる乙,(3,4。 )bゴルフ用ボールマーカーの物品としての性格についてゴルフ用ボールマーカーは,上記のように,趣味,運動としてのゴルフを楽しむ際に使用されるものであって,自然,様々な意匠が楽しめる上面に看者の注目が集まるものといえる。 一方,底面については,マーカー底面に地面に一時的に留めるため,,のピンを有するものマーカーホルダーに磁性を利用して留めるものあるいは,そのような係止手段を特に限定していないもの等様々なものがあるが,マーカーをグリーン上に置くという本来の使用状態では,。 見えなくなる部分であり特に看者の注目を集める部分とはいえないc以上の事情を考慮すれば,ゴルフ用ボールマーカーの看者は,マーカー上面の態様に注目するものといえる。 (イ)本件登録意匠の基本的構成の評価公知文献である実開平6-44568号公報(乙5。出願日平成6年6月14日。以下「乙5文献」という)には,その図1~図3までにお。 いて球体の一部を える。 (イ)本件登録意匠の基本的構成の評価公知文献である実開平6-44568号公報(乙5。出願日平成6年6月14日。以下「乙5文献」という)には,その図1~図3までにお。 いて球体の一部を切り取ってできた円盤状であって上方に膨出する,「,面には,略同径の円凹弧面状ディンプルが複数相互に等間隔に配されており,底面は水平上に表れる」との態様が明示されており,その第4頁では図1ないし図3において1はゴルフ用マーカーで本体2は金,「,,や銀,プラチナ等の貴金属やプラスチックその他の素材で作成されている。そしてその表面にはゴルフボールの表面状態に類似したディンプル3が形成され,使用時の滑りを防止している。もちろん,上記本体2の 全体形状としては,円形のみならず,多角形その他の形状でもよい。またその表面形状も上記ディンプル3に限られるものでなく,種々の模様や彫刻を施したり,あるいは種々の宝石,その他の装飾品を配設することができる」と記載されている。 。 このように,ゴルフ用ボールマーカーの分野において,これを球体の一部を切り取ってできた円盤状とし,上面の表面にゴルフボールの表面状態に類似したディンプルを形成すること(いわば,ゴルフボールの一部を切り取ったような形状のゴルフ用ボールマーカーとすることすな),わち,上記した本件登録意匠と被告製品意匠との共通点は,本件登録意匠出願前に既に公知の構成である。 したがって,被告製品意匠との共通点でもある本件登録意匠の基本的構成は,本件登録意匠の要部とはなり得ない。 (ウ)本件登録意匠の具体的態様ゴルフ用ボールマーカーは,経済産業省令で定める物品の区分と同程度の区分であって,当該物品は,意匠法施行規則別表第一では,運動競技用品の下位の球技用具の下位に分類される。当該類には, 匠の具体的態様ゴルフ用ボールマーカーは,経済産業省令で定める物品の区分と同程度の区分であって,当該物品は,意匠法施行規則別表第一では,運動競技用品の下位の球技用具の下位に分類される。当該類には,ゴルフ用ボールも分類されており,ゴルフ用ボールの意匠としては,球面上にディンプルを複数配列すること(意匠登録第1118250号公報(乙6の1)及び意匠登録第1160059号公報(乙6の2,及び略同径の))円凹弧面状のディンプルを複数相互に近接して配することは,いずれも一般的であるから,その具体的態様,詳細な態様を観察して,意匠の類((),否判断がなされている意匠登録第1004772号公報乙7の1意匠登録第1004773号公報乙7の2意匠登録第100477(),4号公報乙7の3意匠登録第1004774の類似1号公報乙7(),(の4,意匠登録第1004775号公報(乙7の5,意匠登録第10))04775の類似1号公報乙7の6意匠登録第1088398号公(), 報乙7の7意匠登録第1088688号公報乙7の8意匠登録(),(,第1088398号の関連意匠。 ))(エ)前記(ア)に上記(イ),(ウ)を総合すれば,本件登録意匠の要部は,,,「,,,その上面の具体的態様すなわち上面の大中小のディンプルはいずれも円凹弧面状であり,その配列は,大ディンプルについて,上面の中心に1個,これを挟んで垂直水平(縦横)方向に各2個計5個が直列に配され,さらに,当該縦横の中間45度の位置で上面外縁付近に各1個計4個配されており,小ディンプルについて,上面の中心の大ディンプルと周囲の大ディンプルが作る隙間に,等間隔に4個配され,その余の大ディンプル同士間には中ディンプルを配したとい 上面外縁付近に各1個計4個配されており,小ディンプルについて,上面の中心の大ディンプルと周囲の大ディンプルが作る隙間に,等間隔に4個配され,その余の大ディンプル同士間には中ディンプルを配したというものであり,これらディンプルは,上面と底面との際まで表されている」という特徴にあることが明白である。 エ本件登録意匠と被告製品意匠とは,本件登録意匠の要部である,上記上面の具体的態様との対比において,ディンプルの大きさや配列態様などの点で,相当程度異なっており,その結果,両意匠は,全く異なる美観を呈するものとなっている。 したがって,被告製品意匠が本件登録意匠に類似しないことは明らかであるから,被告製品意匠の製造及び譲渡は,本件意匠権を侵害する行為ではない。 ,,オなお別紙3において原告製品とされているゴルフ用ボールマーカーは,,本件登録意匠の要部を有していないので本件登録意匠の実施品ではなく同製品と被告製品意匠が似ているか否かは,本件意匠権侵害の有無とは無関係である。 第3当裁判所の判断 争点(被告製品意匠が本件登録意匠と類似するか否か)について(1) 本件登録意匠の構成 本件登録意匠の基本的構成及び具体的態様は次のとおりと認められる乙,(1。 )ア基本的構成球体の一部を切り取ってできた円盤状であって,上面は,膨出する表面に円凹弧面状のディンプル(くぼみ)が複数配されており,底面は,水平状で,同心円状の模様が表れている。 イ具体的態様(ア)上面に配されたディンプルには,大,中,小の3種類の大きさがある。 (イ)大ディンプルは,上面の中心を通過するように垂直(縦)方向に直列に5個,同じく上面の中心を通過し,中心の1個を共通にし十文字を形成するように水平(横)方向に直列に5個,合計9個が配され,さらに, 大ディンプルは,上面の中心を通過するように垂直(縦)方向に直列に5個,同じく上面の中心を通過し,中心の1個を共通にし十文字を形成するように水平(横)方向に直列に5個,合計9個が配され,さらに,当該縦横十文字の中間45度の位置で,上面外縁付近に各1個,計4個配されている。小ディンプルは,上面の中心の大ディンプルとその周囲の4個の大ディンプルが作る隙間に,等間隔に4個配されている。 中ディンプルは,上面外縁付近に配された4個の大ディンプルと縦横十,。 文字に配された大ディンプルとの間に各5個合計20個配されている(ウ)ディンプルは,上面と底面の際まで配されている。 (エ)底面には,外輪郭線の内側に一つの同心円が表れている。 (2) 被告製品意匠の構成被告製品意匠の構成は,以下のとおりである(争いがない。 )ア基本的構成球体の一部を切り取ってできた円盤状であって,上面は,膨出する表面に円凹弧面状のディンプルが複数配されており,底面は,水平状かつ同心円状に表れる。 イ具体的態様 (ア)上面に配されたディンプルは,いずれも略同径である。 (イ)ディンプルの配列は,略同径のディンプルが複数相互に近接して配されている。 (ウ)上面と底面際の間に,周側面を形成する滑面状立ち上がり側壁がある。 (エ)底面は,外輪郭線の内側に二重の同心円が表れる態様である。 (オ)上面の略同径ディンプル群の中央に,個々のディンプルの径より天地が長い4個の大文字PRGRが横直線状に近接して刻み「」,「」,「」,「」込まれておりさらに当該文字の下段に2番目のRの文字の左端か,,「」ら4番目の「R」の左端にかけて当該文字と平行して「GOLF」という小,さな大文字が(個々のディンプルの径のほぼ2分の1の天地の長さ)横直線状に の下段に2番目のRの文字の左端か,,「」ら4番目の「R」の左端にかけて当該文字と平行して「GOLF」という小,さな大文字が(個々のディンプルの径のほぼ2分の1の天地の長さ)横直線状に刻み込まれている。 (3) 本件登録意匠の要部意匠の類否を判断するに当たっては,意匠を全体として観察することを要するが,この場合,意匠に係る物品の性質,用途,使用態様,更には公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌して,意匠に係る物品の取引者・需要者の注意を最も惹きやすい部分を意匠の要部として把握し,両意匠が要部において構成態様を共通にするか否かを中心に観察して,両意匠が全体として美感を共通にするか否かを判断すべきものといえる。そこで,本件登録意匠の要部を検討する。 アまず,証拠(乙3,4)及び弁論の全趣旨によれば,本件登録意匠に係る物品である「ゴルフ用ボールマーカー」は,ゴルフの際,グリーン上でボール位置をマークするため使用されるものであって,その需要者は,ゴルフを運動・趣味として楽しむ一般の競技者であると認められる。 そして,グリーン上に置いてボール位置をマークするという,ゴルフ用ボールマーカー本来の使用態様からすれば,ゴルフ用ボールマーカーの需 要者であり看者である一般の競技者は,様々な意匠を凝らすことのできる上面に最も注意を払うものといえる。一方,底面については,マーカー底面にピンを有するもの,マーカーホルダーに磁性を利用して留めるもの,又はそのような係止手段を特に限定していないものなどの違いはあるものの,ゴルフ用ボールマーカーをグリーン上に置くという本来の使用状態では視認することができなくなる部分であり,看者の注意を惹く部分ということはできない。 イ乙5文献には,名称を「ゴルフ用マーカーの携帯機構」とする考案において球 ーン上に置くという本来の使用状態では視認することができなくなる部分であり,看者の注意を惹く部分ということはできない。 イ乙5文献には,名称を「ゴルフ用マーカーの携帯機構」とする考案において球体の一部を切り取ってできた円盤状で上面は膨出する表面に,「,,円凹弧面状のディンプルが複数配されている」構成が開示されており(図),,「,1ないし図3さらに実施例の説明として図1ないし図3において1はゴルフ用マーカーで,本体2は金や銀,プラチナ等の貴金属やプラスチックその他の素材で作成されている。そしてその表面にはゴルフボールの表面状態に類似したディンプル3が形成され,使用時の滑りを防止している。もちろん,上記本体2の全体形状としては,円形のみならず,多角形その他の形状でもよい。またその表面形状も上記ディンプル3に限られるものでなく,種々の模様や彫刻を施したり,あるいは種々の宝石,その。」(【】)。 他の装飾品を配設することができる0011と記載されているそうするとゴルフ用ボールマーカーにおいて球体の一部を切り取っ,,「てできた円盤状で,上面は,膨出する表面に円凹弧面状のディンプルが複数配されている」構成を意匠の一部として採用することは,本件登録意匠出願(平成16年2月18日)前に公然知られており,創作性の低いものと認められる。 したがって本件登録意匠のうち球体の一部を切り取ってできた円盤,,「状で,上面は,膨出する表面に円凹弧面状のディンプルが複数配されている」構成をもって,本件登録意匠の要部ということはできない。 ウまた,球面上にディンプルを複数配列すること及び円凹弧面状のディンプルを複数相互に近接して配することが一般的と考えられるゴルフボールの意匠の場合ディンプルの形状円形か六 とはできない。 ウまた,球面上にディンプルを複数配列すること及び円凹弧面状のディンプルを複数相互に近接して配することが一般的と考えられるゴルフボールの意匠の場合ディンプルの形状円形か六角形かなどディンプルの大,(),きさの違いの有無,ディンプルの配置方法等による差異により,複数の意匠が登録されているのであって乙6の1・2乙7の1~7の8その(,),類否判断は,球面上のディンプルの具体的,詳細な態様を観察してなされていると認められる。そして,この類否判断は,ゴルフボール自体の意匠のみならず,本件登録意匠や被告製品意匠のように,ゴルフボールを直接的に模した形状,すなわち,球体の一部を切り取ってできた円盤状で,上面は,膨出する表面に円凹弧面状のディンプルが複数配されている形状においても,同様に解されるというべきである。 エ以上からすれば,本件登録意匠の要部は,その上面の具体的態様,すなわち前記(1)イのとおり上面に配されたディンプルに大中小の3,,,,,種類の大きさがあり,大ディンプルは,縦横十文字に合計9個,当該十文字の中間45度の位置の上面外縁付近に合計4個が,それぞれ配され,小ディンプルは,上面の中心の大ディンプルとその周囲の4個の大ディンプルが作る隙間に,等間隔に4個配され,中ディンプルは,上面外縁付近に配された4個の大ディンプルと,縦横十文字に配された大ディンプルとの間に各5個,合計20個配されており,これらディンプルは,上面と底面との際まで表されているという構成にあると認めるのが相当である。 オこの点について,原告がその主張の裏付けとして提出する甲3(弁理士作成の所見書)は,乙5文献の図面の示す「意匠においては円状の模様箇所が非模様箇所に占める割合は圧倒的に小さく,球面の一 である。 オこの点について,原告がその主張の裏付けとして提出する甲3(弁理士作成の所見書)は,乙5文献の図面の示す「意匠においては円状の模様箇所が非模様箇所に占める割合は圧倒的に小さく,球面の一部を構成するように隆起した表面に小さな円状の模様が多数点在しているような印象を与えるのに対し,本件登録意匠においては凹陥部箇所が非凹陥部箇所に占める割合は圧倒的に大きく,球面の一部を構成するように隆起した表面が多 数の凹陥部で埋め尽くされているような印象を与えるという相違があります。上記の相違点はそれぞれの意匠において意匠全体から受ける美観の中でも特に印象に残るものであり,本件登録意匠は上記の点に新しさが見出されて登録されたものと判断され」ると述べており,本件登録意匠の要部を,上記説示と異なる部分と把握している。 しかしながら,乙5文献の【0011】欄において,前記のとおり,ゴルフ用マーカーの「表面にはゴルフボールの表面状態に類似したディンプル3が形成され」る旨明記されていることからすれば,乙5文献には,ゴルフ用ボールマーカーの意匠において円状の模様箇所が非模様箇所に占,「める割合が圧倒的に小さい構成のみならず膨出する表面に円凹弧面状」,「のくぼみ(ディンプル)が複数配されている」構成,すなわち,通常使用されるゴルフボールの表面状態に類似した構成が実質的に開示されているというべきである。そうすると,乙5文献を前提とした場合に,本件登録意匠が新規な創作性を有する部分は凹陥部箇所が非凹陥部箇所に占める,「割合が圧倒的に大きく,球面の一部を構成するように隆起した表面が多数の凹陥部で埋め尽くされているような印象を与える」点ではなく,前記のとおり,上面の具体的態様と認定するのが相当であり,これを本件登録意匠の要部として把握す 面の一部を構成するように隆起した表面が多数の凹陥部で埋め尽くされているような印象を与える」点ではなく,前記のとおり,上面の具体的態様と認定するのが相当であり,これを本件登録意匠の要部として把握するべきである。 (4) 類否の判断本件登録意匠を,その要部において,被告製品意匠と比較すると,以下のような相違点がある。 ,,ア上面の膨出する表面に配されたディンプルが本件登録意匠においては大,中,小という大きさの異なる3種類あるのに対し,被告製品意匠においては,いずれも略同径であるという点。 イ本件登録意匠においては,大ディンプルが,縦横十文字に合計9個,当該十文字の中間45度の位置の上面外縁付近に合計4個が,それぞれ配さ れており,小ディンプルが,上面の中心の大ディンプルと周囲の大ディンプルが作る隙間に,等間隔に4個配され,中ディンプルが,その余の大ディンプル同士間に配されているというものであるのに対し,被告製品意匠においては,略同径のディンプルが複数相互に近接したものである(その数は明確に視認できない)という点。 。 ウ本件登録意匠は,ディンプルが上面と底面との際まで表されているのに対し,被告製品意匠は,上面と底面際の間に周側面を形成する滑面状立ち上がり側壁がある点。 エ本件登録意匠においては,上面にディンプル以外に何も表されていない,,,のに対し被告製品意匠においては上面の略同径ディンプル群の中央に「」,「」,「」,「」個々のディンプルの径より天地が長い4個の大文字PRGRが横直線状に近接して刻み込まれており,さらに,当該文字の下段に2番目の「R」の文字の左端から4番目の「R」の左端にかけて当該文字と平行してGOLFという小さな大文字が個々のディンプルの径のほぼ2分の,「」(1の天地の長さ) らに,当該文字の下段に2番目の「R」の文字の左端から4番目の「R」の左端にかけて当該文字と平行してGOLFという小さな大文字が個々のディンプルの径のほぼ2分の,「」(1の天地の長さ)横直線状に刻み込まれている点。 以上のとおり,被告製品意匠と本件登録意匠とは,基本的構成を同じくするものの,要部の構成において相違しており,その相違は,ゴルフ用ボールマーカーの上面全体に及んでおり,微小なものとはいえないから,被告製品意匠は,全体として本件登録意匠とは美感を異にするというべきである。 したがって,被告製品意匠が本件登録意匠に類似しないことは明らかであるから,被告製品意匠の製造及び譲渡は,本件意匠権を侵害する行為ではない。 (5) なお,原告は,別紙3において原告製品とされているゴルフ用ボールマーカーと被告製品意匠とを対比した上で,被告製品意匠が本件意匠権を侵害している旨主張するかのようであるが,別紙3の原告製品は,本件登録意匠を実施したものとは異なり,前記認定の要部を有しているものとは認められな いから,同製品と被告製品意匠との対比は,本件において意味を持たない失当なものである。 また,原告は,市販のゴルフボールのディンプルのデザインは,空気抵抗等の重要な要因を含んでおり,詳細なディンプルのデザインの差異が問題となるが,ボールマーカーのデザインでは問題とならないから,被告製品意匠は本件登録意匠に類似する旨主張し,ディンプルの有する機能が意匠に影響すると主張するようにも解されるが,本件登録意匠の要部は上記のとおりと認められ,ゴルフボールにおけるディンプルの有する機能上の差異により,同認定が左右されるものではない。したがって,原告の上記主張は採用できない。 ,,,, 以上のとおり原告の請求は理由がないからこれを棄 ルにおけるディンプルの有する機能上の差異により,同認定が左右されるものではない。したがって,原告の上記主張は採用できない。 ,,,, 以上のとおり原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部裁判長裁判官清水節裁判官山田真紀裁判官片山信
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