平成13(ワ)2572 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成17年2月22日 京都地方裁判所
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判決文本文46,233 文字)

主文 1 被告Dら,被告Gら及び被告市は,原告Aに対し,連帯して,70万円及びこれに対する平成13年12月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告Dら及び被告Gらは,原告Aに対し,連帯して,70万円及びこれに対する平成13年12月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告Dらは,原告Aに対し,連帯して,60万円及びこれに対する平成13年12月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告Dら及び被告Gらは,原告Bに対し,連帯して,128万5000円を支払え。 5 被告Dら及び被告Jらは,原告Aに対し,連帯して,50万円及びこれに対する平成13年12月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 別紙4「確定遅延損害金一覧表」の「被告」欄記載の各被告らは,原告Aに対し,連帯して(同表Fの場合を除く。),同表「確定遅延損害金」欄記載の各金員を支払え。 7 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 8 訴訟費用は,これを10分し,その3を被告Dらの負担とし,その2を被告Gらの負担とし,その1を被告Jらの負担とし,その1を被告市の負担とし,その余を原告らの負担とする。 9 この判決は,第1項ないし第6項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告D及び被告Gは,自ら又は第三者をして,次に掲げる行為をし,又はさせてはならない。 (1) 原告Aに対し,著しく粗野又は乱暴な言動をすること(2) 原告Aに対し,暴行を加えること(3) 原告Aに対し,つきまとい,待ち伏せし,進路に立ちふさがり,原告Aの住居,その他原告Aが通常所在する場所の付近におい 著しく粗野又は乱暴な言動をすること(2) 原告Aに対し,暴行を加えること(3) 原告Aに対し,つきまとい,待ち伏せし,進路に立ちふさがり,原告Aの住居,その他原告Aが通常所在する場所の付近において見張りをし,又はこれらの場所に立ち入ること 2 被告Dら,被告Gら及び被告市は,原告Aに対し,連帯して,300万円及びこれに対する別紙3「遅延損害金起算日一覧表」の「遅延損害金起算日」欄記載の各日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告Dら,被告Gら及び被告市は,原告Bに対し,連帯して,100万円及びこれに対する別紙3「遅延損害金起算日一覧表」の「遅延損害金起算日」欄記載の各日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員並びに203万9000円を支払え。 4 被告Dら,被告Gら及び被告市は,原告Cに対し,連帯して,100万円及びこれに対する別紙3「遅延損害金起算日一覧表」の「遅延損害金起算日」欄記載の各日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告Dら及び被告Jらは,原告Aに対し,連帯して,150万円及びこれに対する別紙3「遅延損害金起算日一覧表」の「遅延損害金起算日」欄記載の各日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 被告Dら及び被告Jらは,原告Bに対し,連帯して,50万円及びこれに対する別紙3「遅延損害金起算日一覧表」の「遅延損害金起算日」欄記載の各日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 7 被告Dら及び被告Jらは,原告Cに対し,連帯して,50万円及びこれに対する別紙3「遅延損害金起算日一覧表」の「遅延損害金起算日」欄記載の各日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,原告Aが,被告 50万円及びこれに対する別紙3「遅延損害金起算日一覧表」の「遅延損害金起算日」欄記載の各日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,原告Aが,被告市が設置する小学校及び中学校に在籍中,同小学校及び同中学校の同級生であった被告D及び被告Gから暴行脅迫等を,被告Jから被告Dのそそのかし行為に起因する暴行等を受け,また,被告D及び被告Gの上記暴行脅迫等により,原告A及び原告Cが転居を余儀なくされ,現在も被告D及び被告Gから危害を加えられる危険があるとして,原告らが,①被告D,被告Gに対し,上記暴行脅迫等につき不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)及び請求1記載の各行為の差止(以下「本件差止」という。)を,②被告D及び被告Jに対し,上記暴行等につき不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)を,③被告Dの父母である被告E及び被告F,被告Gの父母である被告H及び被告I並びに被告Jの父母である被告K及び被告Lに対し,同人らの子に対する指導監督を怠ったとして不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)を,④被告市に対し,同市の設置する小学校ないし中学校において生徒間の行為による生徒の生命,身体等への侵害を防止する義務を怠ったとして国家賠償法1条に基づく損害賠償(慰謝料)をそれぞれ求め,加えて,原告Bが,被告Dら,被告Gら及び被告市に対し,上記各被告らの不法行為によって,転居費用等を出捐したとして,同額の損害賠償を求めた事案である。 2 争いのない事実(1) 当事者ア原告Aは,平成13年1月から3月当時,被告市が設置するa小学校(以下「本件小学校」という。)に小学6年生として在籍し,同年4月当時,同市が設置するb中学校(以下「本件中学校」という。)に中学1年生として在籍していた。 原告Bは,原告Aの父親であり,原告 学校(以下「本件小学校」という。)に小学6年生として在籍し,同年4月当時,同市が設置するb中学校(以下「本件中学校」という。)に中学1年生として在籍していた。 原告Bは,原告Aの父親であり,原告Cは,原告Aの母親である。 イ被告Dは,平成13年1月から3月当時,本件小学校に小学6年生として在籍し,同年4月当時,本件中学校に中学1年生として在籍していた。 被告Eは,被告Dの父親であり,被告Fは,被告Dの母親である。 ウ被告Gは,平成13年1月から3月当時,本件小学校に小学6年生として在籍し,同年4月当時,本件中学校に中学1年生として在籍していた。 被告Hは,被告Gの父親であり,被告Iは,被告Gの母親である。 エ被告Jは,平成13年1月から3月当時,本件小学校に小学6年生として在籍し,同年4月当時,同月16日に転校するまで,本件中学校に在籍していた。 被告Kは,被告Jの父親であり,被告Lは,被告Jの母親である。 オ被告市は,地方公共団体であり,本件小学校及び本件中学校を設置管理している。 (2) 仮処分命令原告Aは,平成13年3月28日,被告D,被告E,被告F,被告G,被告H及び被告Iを相手方として,原告Aとの面談禁止等を求める仮処分命令を京都地方裁判所に申し立て(京都地方裁判所平成13年(ヨ)第260号事件。以下,この仮処分命令申立てを「本件仮処分命令申立て」という。),同裁判所は,同年4月20日,同年5月11日,同年6月12日の3回にわたる審尋を行い,同月27日,概略,次の内容の仮処分命令をした(甲12。以下「本件仮処分命令」という。)。 ア被告D及び被告Gは,自ら又は第三者をして,次に掲げる行為をし,又はさせてはならない。 (ア) 原告Aに対し,著しく粗野又は乱暴な言動をすること(イ) 原告Aに対し,暴行を加えること(ウ) 被告D及び被告Gは,自ら又は第三者をして,次に掲げる行為をし,又はさせてはならない。 (ア) 原告Aに対し,著しく粗野又は乱暴な言動をすること(イ) 原告Aに対し,暴行を加えること(ウ) 原告Aに対し,つきまとい,待ち伏せし,進路に立ちふさがり,原告Aの住居その他原告Aが通常所在する場所の付近において見張りをし,又はこれらの場所に立ち入ることイ被告E及び被告F並びに被告H及び被告Iは,それぞれの子に対して,上記アに掲げる行為をさせてはならず,それぞれの子が上記アに掲げる行為をしようとしたときは,これを阻止しなければならない。 3 争点(1) 被告D及び被告Gの暴行脅迫等の有無及び違法性(2) 被告Jの暴行の有無及び違法性並びに当該暴行への被告Dの関与の有無(3) 被告市の注意義務違反の有無(4) 被告らの責任原因及び損害(5) 被告D及び被告Gに対する本件差止の必要性 4 争点に対する当事者の主張(以下,年月日につき,月日のみの記載は,平成13年の当該月日を指す。)(1) 争点(1)についてア原告ら(ア) 平成12年4月ころ,被告D及び被告Jが,同学年の生徒1名と共謀の上,原告Aの靴,体操服等を隠したり,捨てたりし,また,原告ら方に無言電話をかけたり,同月27日には被告Jが原告ら方の自転車のタイヤに穴を開け,同年5月ころには上記生徒が原告Aに対して足蹴にするなどの暴行を加えるなどするといういじめ事件が起こった。 同月上旬ころ,被告D,被告J及び上記生徒らが原告Aに謝罪し,原告Aに対するいじめは一旦は収束したかに見えた。 しかし,平成12年度の2学期には,被告D,被告G及び被告Jらは,互いに示し合わせた上,原告Aを殊更無視する行動に出た。こうして,原告Aに対する集団いじめが再び開始された。 そして,後記(イ) た。 しかし,平成12年度の2学期には,被告D,被告G及び被告Jらは,互いに示し合わせた上,原告Aを殊更無視する行動に出た。こうして,原告Aに対する集団いじめが再び開始された。 そして,後記(イ)及び後記(2)アのとおり,被告D,被告G及び被告Jらは,原告Aに対して,暴行,脅迫等を行った。 (イ) 被告D及び被告Gは,原告Aに対し,以下のような暴行脅迫等を行った。 a 被告D及び被告Gは,1月22日夕方ころ,本件小学校から帰宅途中の原告Aを待ち伏せ,同人に飛びかかって地面に押し倒した上,同人の下半身を押さえつけ,顔面や頭部等を上から足蹴にするなどの暴行を加えた(以下「本件暴行1」という。)。 b 被告D及び被告Gは,同月23日午前8時30分頃,本件小学校内において,原告Aに飛びかかり,同人の下半身を足蹴にするなどの暴行を加えた(以下「本件暴行2」という。)。 c 被告Dは,同月25日午前中,特に必要がないのに,彫刻刀を持ち出して本件小学校内を徘徊し,同小学校のM教諭から注意を受けたにもかかわらず,同日午後,再度,彫刻刀を持ち出し,背後から原告Aに近寄ろうとしたが,同小学校のN教諭に取り押さえられた(以下「本件暴行未遂」という。)。 d 被告D及び被告Gは,同月31日午後,上記N教諭に付き添われて下校中の原告Aに対し,通学路が異なるにもかかわらず,後ろからつきまとった(以下「本件つきまとい」という。)。 e 被告D及び被告Gは,2月1日,本件小学校体育館横から,下校する原告Aを監視した(以下「本件監視」という。)。 f 被告D及び被告Gは,同月14日午後の5時限目の授業中,原告Aのいる教室内に,「クラス全員皆殺しや。」,「やったる。」等と大声で怒鳴りながら乱入し,原告A及び担任であったO教諭に殴りかかろうとした。しかし,被告D及び被告Gは 日午後の5時限目の授業中,原告Aのいる教室内に,「クラス全員皆殺しや。」,「やったる。」等と大声で怒鳴りながら乱入し,原告A及び担任であったO教諭に殴りかかろうとした。しかし,被告D及び被告Gは,警戒にあたっていた本件小学校の4人の教諭により,教室の外へ連れ出された。被告D及び被告Gは,教室内への侵入を制止する教諭らに対し,「おまえらもやったる。」,「キショイんじゃー。」と怒鳴り(「キショイ」は「気色悪い」を略したもの),教室内の原告Aに対しては,「A,いつかやったるぞ。」,「覚えとれ。」と怒号を浴びせ,脅迫した(以下「本件暴行脅迫」という。)。 g 被告Dは,3月26日午前11時50分頃,他の児童らとともに原告ら方前において,「殺したるぞ,ハゲー。」と怒鳴り,同建物内の原告Aを脅迫した(以下「本件脅迫1」という。)。 h 被告D及び被告Gは,4月9日午前中,本件中学校1年3組内において,原告Aに対し,「おい,ちび,6年の時キショイと言うたやろ。お前が言わへんかったら殴らへんのじゃ。」,「米澤とかいう弁護士つけて,やってるやろ。」,「やったるぞ。」,「殴ったるしな。」,「先生に言うたら殴るぞ。」などと同人の生命身体等にいかなる危害をも加えかねない気勢を示して脅迫した(以下「本件脅迫2」という。)。 i 被告Dは,同日午後4時30分ころ,原告ら方玄関先において,大声を上げて同建物内にいる原告Aを威嚇しながら,玄関扉を足蹴にし,原告ら方内に侵入しようとしたが,被告F及び被告Dの祖父Pに制止され,連れ戻された(以下「本件住居侵入脅迫」という。)。 イ被告Dら(ア) 本件暴行1について,被告Dが,原告Aに対し,多少粗暴な行為をしたことは認めるが,その原因は,被告Dが,原告Aより,1年くらい前から理由もなく「キショイ。」と言われ続けたから イ被告Dら(ア) 本件暴行1について,被告Dが,原告Aに対し,多少粗暴な行為をしたことは認めるが,その原因は,被告Dが,原告Aより,1年くらい前から理由もなく「キショイ。」と言われ続けたからである。 (イ) 本件暴行2については,被告Dが,原告Aに対し,多少粗暴な行為をしたことは認めるが,原告主張の事実は誇張されている。 また,本件暴行2に至った原因は,原告Aが,被告Dの上履きを所定の場所と違う場所に捨て,被告Gの靴を掃除箱に隠したことにある。 (ウ) 本件暴行未遂については,被告Dが彫刻刀を所持し,本件小学校の教職員5名に制止されたことは認めるが,被告Dは,原告Aに近づこうとしたことはなく,また,被告Dが彫刻刀を所持していたのは,防衛のためである。 (エ) 本件つきまとい及び本件監視については,否認する。本件つきまといについては,被告Dが帰宅途中,たまたまN教諭と原告Aが前を歩いていただけで,避けるのも不自然なので,そのまま後方から帰宅しただけである。 (オ) 本件暴行脅迫については,被告Dが,多少粗暴な行為に出たことは認めるが,「クラス全員皆殺しや。」,「やったる。」と怒鳴ったり,本件小学校の教諭に殴りかかったことはなく,原告主張の事実は誇張されている。 被告Dが多少粗暴な行為に出た原因は,被告Dは被告Gと共に,1月15日から,本件小学校校長の指示により,「ふれあいルーム」という別室(以下「本件別室」という。)で授業を受けていたが,2月14日,同校長の指示で,本来の教室へ戻ることになり,教室に戻って原告Aに「キショイ。」等の発言の真意を確かめたところ,同人は同発言を否定し,クラスメイト全員にも同様のことを問うたが,いずれも原告Aの発言を認めなかったためである。 (カ) 本件脅迫1については否認する。 (キ) 本 の発言の真意を確かめたところ,同人は同発言を否定し,クラスメイト全員にも同様のことを問うたが,いずれも原告Aの発言を認めなかったためである。 (カ) 本件脅迫1については否認する。 (キ) 本件脅迫2については,被告Dが,原告Aに対し,多少粗暴な内容の事実を言ったことは認めるが,その余の事実は否認する。被告Dの粗暴な発言の原因は,本件中学校の入学式において,原告Aが「キショイ。」等と言って被告Dを挑発したことにある。 (ク) 本件住居侵入脅迫については,被告F及びPが,被告Dを自動車で迎えに行き,一緒に帰宅したことはあるが,その余の事実は否認する。 ウ被告Gら(ア) 本件暴行1については,原告Aと被告D及び被告Gとの間で下校途中いざこざが生じ,被告D及び被告Gが,原告Aを押し倒し,その下半身を押さえたことは認め,その余は否認する。 被告D及び被告Gは,原告Aと帰り道が同じであったため,同人の後ろを歩いていただけで,待ち伏せしていたことはない。また,上記いざこざの原因は,原告Aから日常的に「キショイ。」等の悪口を言われ続け腹立たしく思っており,隔離される理由がないにもかかわらず,上記悪口を避けるために本件別室で授業を受けなければならなかった被告Gが,かかる原因を作った原告Aが前を歩いていたのを見て,同人に自分の鞄を当てるふりをしたところ,それに気付いた原告Aが過剰に反応し,持っていた鍵の束を被告D及び被告Gに投げつけ,それが被告Dの顔面に当たったことにある。 そして,被告D及び被告Gが原告Aを押し倒し,下半身を押しつけたのは,原告Aが両人に殴りかかってきたので,それを鎮めるためである。 (イ) 本件暴行2については,認めるが,被告Gが原告Aを蹴ったのは2,3回であり,倒すほどの強い力で蹴ったわけではない。 本件暴行2 原告Aが両人に殴りかかってきたので,それを鎮めるためである。 (イ) 本件暴行2については,認めるが,被告Gが原告Aを蹴ったのは2,3回であり,倒すほどの強い力で蹴ったわけではない。 本件暴行2に至った原因は,被告D及び被告Gが登校した際,両者の上履きが上履き入れから落とされており,原告Aがそれを落としたことを認めたことにある。 (ウ) 本件つきまといについては,否認する。原告Aと被告D及び被告Gとは本件小学校からの帰り道が同じであるにすぎない。 (エ) 本件監視については,否認する。 (オ) 本件暴行脅迫については,被告D及び被告Gが教室に入ったこと及び教室に入ってきた教諭とともに教室から出たことは認めるが,その余は否認する。 被告D及び被告Gが教室に入ろうとしたとき,教諭に止められたが,入室を止められる理由を告げられなかったので,被告Gが普通に教室に入ったこと,その際,教諭が被告Gを背後から羽交い締めにしようとしたので,それを防ぐため,軽く手を振ったところ,O教諭にその手が当たったこと,教諭らとともに教室を出た際に,なぜ教室に入ってはならないのか教諭らに尋ねたことはある。 (カ) 本件脅迫2については,否認する。 被告Gは,原告Aから,平成12年秋ころから平成13年1月にかけて,継続的に「キショイ。」と言われ続け,また,同月15日から同月末日まで本件別室に入れられていたとき,本件別室の前をわざと通って笑いながら同室のドアに体当たりしたり,運動場に行く際に,同室の外壁を叩いたり蹴ったりして大きな音をたてて逃げ去っていくなどの挑発行為を行っていたという背景事情のもと,本件中学校の入学式当日,式を終えて教室に戻ろうとした被告D,被告Gに対し,原告Aが「キショイ。」と3回言ったため,原告Aに対し「お前が何もせえへんかったら何もせえへん ていたという背景事情のもと,本件中学校の入学式当日,式を終えて教室に戻ろうとした被告D,被告Gに対し,原告Aが「キショイ。」と3回言ったため,原告Aに対し「お前が何もせえへんかったら何もせえへん。」と言ったのである。 (2) 争点(2)についてア原告ら(ア) 被告Jは,4月3日,午後1時20分頃,後記(イ)のとおり,被告Dからの煽動を受け,施錠されていた原告ら方の玄関ドアを蹴り開けて,土足のまま,原告ら方に上がり込んで暴れ回り,原告Aに対し殴る蹴るの暴行を加え,同人に頭部外傷,下口唇・背部・左前胸部・両肩・右側腹部,左大腿部打撲の傷害を負わせ,また,原告ら方の壁に穴を開け,室内に酒をまき散らした。原告Aは,上記暴行を受け,裸足のまま外に飛び出し,逃げ出したが,被告Jは,原告Aを追いかけ,更に暴行を加えようとした(以上の被告Jの行為を,以下「本件住居侵入暴行」という。)。 (イ) 被告Dは,同日,被告Jに対し,原告Aが,被告Jの兄の障害のことを言いふらしていると申し向け,被告Jをいたずらに憤慨させ,本件住居侵入暴行を唆し,あるいは,本件住居侵入暴行を企図した被告Jをことさら煽り立てた(以下「本件煽動」という。)。 (ウ) 被告D及び被告Gは,原告ら方付近で,上記被告Jの暴行等を観察し,原告らの被害状況を窺っていた。 原告Aは,近くの薬局に逃げ込んで保護され,被告Jは,同薬局の人に取り押さえられ,その後,警察官により,城陽署に連行された。 イ被告Dら被告Dが本件煽動を行ったとの事実は否認する。 ウ被告Jら本件住居侵入暴行については,認めるが,原告ら方の玄関ドアは施錠されておらず,玄関ドアを蹴り開けたことはないし,畳に酒をまき散らしたこともない。 上記行為の原因は,平成12年度の2学期の中頃から,原告Aが被告Jに 行については,認めるが,原告ら方の玄関ドアは施錠されておらず,玄関ドアを蹴り開けたことはないし,畳に酒をまき散らしたこともない。 上記行為の原因は,平成12年度の2学期の中頃から,原告Aが被告Jに対して,直接,「ガイジ(障害児の略語)の弟」と障害者を差別する発言をしていたところ,被告Jが本件小学校を休んでいる間,原告Aが「ガイジの弟」と言いふらしていると被告Dから聞かされ,同被告に脅迫的に「やってこい。」と言われたためである。 被告Jは,原告方で声を掛けたが応答がなかったため,原告方へ上がった。 (3) 争点(3)についてア原告ら(ア) 小学校及び中学校の教員らの注意義務小学校・中学校においては,学校教育活動及びこれと密接に関連する生活関係において暴力行為(いじめ)等による生徒の心身に対する違法な侵害が加えられないよう,適切な配慮をすべき注意義務,すなわち,日頃から生徒の動静を観察し,あらゆる機会をとらえて,暴力行為(いじめ)等が行われているかどうかについて細心の注意を払い,暴力行為(いじめ)等の存在が窺われる場合には,関係生徒及び保護者から事情聴取をするなどして,その実態を調査し,実態に応じた適切な防止措置(結果回避措置)を取る義務がある。そして,かかる義務は,学校全体として,全ての教員が負うものである。 さらに,かかる義務を全うするため,学校としては,問題行動を繰り返す児童やその保護者に対して再三にわたり指導教育を行ってもその効果が現れず,当該児童をそのまま通常の教室内で他の児童らと一緒に学習させることが,他の児童らの生命身体等に危険を及ぼす蓋然性が高い場合には,特別に別室において学習させることも認められるが,その際には,当該児童が再び通常の教室内で他の児童らと一緒に安全に学習できるよう常に別室に教職員を らの生命身体等に危険を及ぼす蓋然性が高い場合には,特別に別室において学習させることも認められるが,その際には,当該児童が再び通常の教室内で他の児童らと一緒に安全に学習できるよう常に別室に教職員を配置し,問題行動を止めさせるような教育指導を行うとともに,通常の教室に復帰した際にはスムーズに他の児童と同内容の学習が行えるよう,平行して教科指導を行わなければならない。また,当該児童が,教職員の指導に従わず,教職員の制止を振り切ってまで,他の児童に危害を加える場合,学校は,被害児童の学習権及び身体生命の安全確保の観点から,加害児童・被害児童の双方に対し,それぞれ複数の教職員が常時付き添うなどして,絶対に暴行行為等が起きないよう防止すべき義務を負う。 上記義務の具体的内容のうちには,集団生活を営んでいく上で必要な人格教育や予想される児童間の事故を防止するために必要な事項についての教育を施すべき義務をも包含する。この点において,特に日常接触する学級担任教諭の上記指導義務は,教諭の職責中においても重要な地位を占めているから,小学校の教職員としては,児童の生命,身体等の保護の為に,単に一般的抽象的な注意や指導をするだけでは足りないのであって,学校における教育活動及びこれと密接不離な生活関係に関する限りは,児童一人一人の性格や素行,学級における集団生活の状況を日頃から綿密に観察し,特に他の児童に対し危害を加えるおそれのある児童,他の児童から危害を加えられるおそれのある児童については,その行動にきめ細やかな注意を払って,児童間の事故や暴力行為によりその生命,身体等が害されるという事態を未然に防止するため,万全の措置を講ずべき義務を負う。 (イ) 本件小学校教員らの注意義務違反a 本件小学校は,既に平成11年度から被告Dらによ 生命,身体等が害されるという事態を未然に防止するため,万全の措置を講ずべき義務を負う。 (イ) 本件小学校教員らの注意義務違反a 本件小学校は,既に平成11年度から被告Dらによる問題行動とその保護者の非協力的態度を認識しており,クラスの児童らにおいても,被告Dらからいつ暴行を加えられるかもしれないという不安感,恐怖感がまん延している中,前記(1)ア(ア)のとおり,既に,平成12年度の1学期において,被告Dらから原告Aに対するいじめ(以下「本件先行いじめ1」という。)があったところ,このいじめは,原告A自身からの申告ではなく,周りの保護者の発見により発覚したのであるから,その後一旦表面的にいじめ事件が収束したとはいえ,本件小学校の各教員において,同様のいじめ事件が再発生しないように,また,いじめ事件が発生した際には即座にこれを発見して止めさせるように,細心の注意を払って生徒の動静を観察すべき義務があった。 しかるに,本件小学校教員らは,文部省(当時)から教育委員会を通じて配布されていたいじめ問題に関する通知すらまともに読まず,本件先行いじめ1の真相究明及び被告Dらに対する指導についても,同人らの保護者からの抗議により,中断してしまった。 そして,平成12年度の2学期において,前記(1)ア(ア)のとおり,被告D,被告G及び被告Jによる原告Aに対するいじめ(以下「本件先行いじめ2」という。)が再開したのに,これを発見することができなかった。 被告D及び被告Gは,平成13年度の3学期が始まった1月9日以降,原告Aに対する害意をあらわにしており,同月10日,同月11日,同月12日と学校を抜け出しているのであるから,本件小学校教員らは,これらの時点でも,被告D及び被告Gによるその後の暴 た1月9日以降,原告Aに対する害意をあらわにしており,同月10日,同月11日,同月12日と学校を抜け出しているのであるから,本件小学校教員らは,これらの時点でも,被告D及び被告Gによるその後の暴行事件の発生を予見できた。それにもかかわらず,両名に対する厳しい指導を行わず,同人らの保護者に対しても問題行動の抑止に向けた厳しい指導を行わず,平成13年1月中旬頃,両名らが教職員らの手に負えないと見るや,同人らの保護者に事前に連絡しないまま,本件別室に隔離するに至ったのである。そして,本件小学校は,本件別室での授業において,指導教育すべき教職員を常駐させず,学習課題を与えたまま放置し,手の空いている教職員が時折様子を見に行くにとどまり,問題行動の制止及び教科の指導を行わなかった。 b 被告D及び被告Gが本件別室に移った時点で,同被告らは原告Aに対する暴行を公然と予告し,「バットで殴る。」等と発言しており,本件小学校教員らは,原告Aの身体・生命に対する危険が緊急に差し迫っていたことを十分認識しながら,このことを原告B及び原告Cに報告せず,また,原告Aの生命身体の安全を確保する具体的方策もとらなかったため,本件暴行1を阻止することができなかった。 c 本件小学校教員らは,本件暴行1の事件発生翌日である1月23日には,原告Aの安全を確保すべく,関係児童の登校を見守り,声掛けをするなどし,さらなる暴行事件が発生しないよう,6年1組の教室及び本件別室に教職員を配置するなどするべきであったのにこれを怠ったため,本件暴行2が発生した。 d 本件小学校教員らは,1月25日,本件暴行未遂が発生する前に,被告Dが彫刻刀を持って徘徊しているのを目撃したが,被告Dのそれまでの言動から,同被告に彫刻刀を保持させることが極めて危険であるにもかかわらず,これを預かり 1月25日,本件暴行未遂が発生する前に,被告Dが彫刻刀を持って徘徊しているのを目撃したが,被告Dのそれまでの言動から,同被告に彫刻刀を保持させることが極めて危険であるにもかかわらず,これを預かり保管することなく,そのまま同被告に保持させ,その結果,本件暴行未遂が発生した。 e さらに,本件小学校教員らは,本件暴行1及び2,本件暴行未遂,本件つきまとい並びに本件監視を認識しており,被告D及び被告Gへの対策が一刻の猶予も許されない状況にあり,同人らへ教職員が常時付き添うなどして,特に細心の注意を払い,絶対に暴行行為等が起きないよう厳重に注意すべきであったのにこれを怠り,加えて,被害児童である原告Aが約2週間の欠席の後,登校を開始した日である2月14日には,細心の注意を払って同人に教職員が張り付いて暴行を阻止しなければならなかったのにそれを怠った。 その結果,本件暴行脅迫が発生した。 f 原告Aは,O教諭が絶対に安全を確保する旨を原告らに申し述べ,登校を強く勧めたので,それを信じ,同月14日に再登校したにもかかわらず,その信頼を裏切られ,本件暴行脅迫が発生したことで,計り知れない精神的ショックを受けた。その後,原告Aは,本件小学校卒業まで,卒業式を含め,一度も登校することができなかったが,本件小学校は,原告Aに対しては,上記精神的ショックを和らげるような適切なケアを,被告Dらに対しては,その危険性を除去するような方策を採らなければならなかったのに,それらを何ら行わなかった。 (ウ) 本件中学校教員らの注意義務違反本件中学校では,原告A,被告D,被告G,被告Jを迎え入れるに当たり,入学式に先立って,本件小学校からの一応の報告を受け,事態が予断を許さないものであることを知りながら,4月1日より前に原告らからなされた安全確保の申入 ,被告D,被告G,被告Jを迎え入れるに当たり,入学式に先立って,本件小学校からの一応の報告を受け,事態が予断を許さないものであることを知りながら,4月1日より前に原告らからなされた安全確保の申入れに対しては「まだ中学校に在籍していない。」との形式的理由で拒み,原告ら代理人からの面談の申入れについても,市教委の指示が必要等との理由で拒んでおり,真剣に児童の安全を確保しようとしていたとは考え難い。 その後,原告Cは,4月4日,本件中学校を訪れ,原告Cは事故防止について強く申し入れたが,本件中学校側は何らの有効な防止策をとることもなく,まさに入学式の当日である同月9日に本件脅迫2が起こるのを漫然と放置した上,同日午後には,被告Dが原告ら方に不法侵入しようとしたにもかかわらず,これに対する迅速な調査・指導をおこなわず,その後の問題行動(窓ガラスの破損,原告Aの姉に対する脅迫,原告ら方周辺の徘徊,教職員に対する暴行・傷害)についても全く防止できていない。 (エ) 本件中学校教員らには,早期に本件小学校から引継ぎを受けた上,中学校進学後の指導方法及び安全確保の方法について綿密に計画するとともに,万全の態勢をとって,事件の再発を防止すべき義務があり,かつ,本件住居侵入暴行が同年4月3日午後に発生した後,これに対する迅速な調査指導をすべきであったにもかかわらず,かかる義務を怠り,関係生徒の顔や体格等,特定に必要な情報も伝達しないなど,不十分な警備態勢しかとらず,生徒には自由に教室間を出入りさせ,また,担任教諭には関係生徒への注意を払わないまま教室を離れさせたことにより,本件脅迫2が発生した。 イ被告市(ア) 公立学校の校長ないし教員は,学校教育法により,生徒の親権者等の法定監督義務者に代わって監督すべき義務を負うものではあるが,その義務の範 たことにより,本件脅迫2が発生した。 イ被告市(ア) 公立学校の校長ないし教員は,学校教育法により,生徒の親権者等の法定監督義務者に代わって監督すべき義務を負うものではあるが,その義務の範囲は,これらの者の地位,権限及び義務に照らし,学校における教育活動及びこれと密接不離の関係にある生活関係についての監督義務に限られるところ,放課後や春休み期間中などの時間帯で発生した事件,学校外で発生した事件,始業時間開始前に発生した事件については,被告市は法的責任を負わない。 (イ) 原告らが主張するように,児童に常時教職員を付き添わせることは,児童にとっての心理的負担が大きすぎ,教育上あまり好ましくないし,そのような配置を行う人材的余裕もなく,さらに,他の児童の教育を受ける権利への配慮がおろそかになってしまう。 本件先行いじめ1の発覚が,教職員による発見ではなく,周りの保護者の発見によるとの事実は否認する。 本件先行いじめ1については,前年度の原告Aが5年生の時に,同人の所属するクラスでトラブルが発生していることをクラス担任教諭が把握しており,被告Dの状況を注視しつつ,いじめについてクラス全体で自分のこととしてとらえて取り組むよう指導し,クラスの雰囲気を変えることに努力し,その結果,本件先行いじめ1が一旦は収束したのである。 平成12年度2学期に本件先行いじめ2が発生したとの事実は否認する。 また,被告D及び被告Gの本件別室での授業につき,同人らの保護者に事前に連絡しなかったこと,教職員を常駐させず,手の空いた教職員が時折様子を見に来るにとどまっていたこと,指導を行っていなかったことも否認する。本件別室での授業は,被告D及び被告Gが教室内で落ち着いて授業を受けることができず,他の生徒も授業に集中できないなどの問題に対処するた るにとどまっていたこと,指導を行っていなかったことも否認する。本件別室での授業は,被告D及び被告Gが教室内で落ち着いて授業を受けることができず,他の生徒も授業に集中できないなどの問題に対処するために,両名と話し合い,その希望を受けて,行ったものである。 なお,被告D及び被告Gが,本件別室のドアを閉め切って,指導を強く拒絶したため,事実上指導できない場面があったことは否めないが,教職員を配置し,教育課程に準じて学習計画を提示して指導し,かつ,暴力の否定を繰り返し丁寧に指導し,再び通常の教室内で他の生徒と一緒に安全に学習できるよう指導を行ってきた。 (ウ) 本件小学校は,①登校時には,校門前指導,校舎内では,靴箱から本件別室付近までの巡回指導,北校舎の2階から3階の階段踊り場付近までの巡回指導,午前8時から始業チャイムまでは,3名で巡回,職員打合せの際は,必ず1人は,北校舎の階段踊り場で待機する,②授業中は,担任のない職員を本件別室付近と教室付近に分散待機させる,③中間休みや昼休みは,北校舎や南校舎でパトロールを行い,特に,原告Aが移動するときには,安全に移動したことを確認してから職員室に戻るようにし,また,原告Aが運動場にいるときは,職員室から見守り,原告Aが教室にいるときは,職員で教室付近の廊下をパトロールし,他方,本件別室での被告D・被告Gの動きを見守るようにする,④掃除時間は,原告Aの付近に教師を必ず付き添わせる,⑤クラブ活動の際は,それぞれ職員を必ず配置し,原告Aと被告Dないし被告Gが接触しないよう配慮する,⑥下校時は,教師が下校の様子を見守るか,車で送るようにし,特に危険と思われたときには,教職員において,原告Aが帰宅して鍵をかけるのを見届けてから帰ったり,保護者帰宅まで,自宅付近で待つ,⑦特に,靴は,いたずらなどさ 校の様子を見守るか,車で送るようにし,特に危険と思われたときには,教職員において,原告Aが帰宅して鍵をかけるのを見届けてから帰ったり,保護者帰宅まで,自宅付近で待つ,⑦特に,靴は,いたずらなどされないよう教室で保管する,⑧被告Dや被告Gの気持ちが和らぐように,教職員として,できるだけ接触を保つようにする,⑨原告Aが登校できないときは,数人の教師で,勉強を教えるように,自宅に通う,⑩これらの対応について,教職員間で,必要な情報はお互いに伝え合い,集団で議論し,方針を出すよう努力し,携帯電話も常時携帯し,密に連絡を取るようにするなどして,原告Aの安全確保にできる限りの努力をしていた。 (エ) 本件小学校は,原告Aが欠席した後も,担任のO教諭のみならず,N教諭,Q教諭らをして,原告Aに対し,毎日家庭訪問を行い,学習指導及び心のケアを行っており,卒業式については家庭訪問や電話により,出席を促している。 また,本件小学校は,本件暴行脅迫のあった翌日である2月15日,学年懇談会で,6年生の保護者に対し,これまでの状況を説明し,協力を求めた。その後,被告D及び被告Gの拒絶及び同人らの保護者等による反対により,本件別室での教育を続けることができなくなり,保護者の指示により被告D及び被告Gらが欠席し始めた2月26日以降,本件小学校のR教頭をして,同人らに対し,毎日家庭訪問を行い,プリント学習や,保護者への指導を行い,繰り返し暴力否定の説得を続けている。 また,本件小学校は,同年3月6日に,学年保護者会を開催し,問題解決への協力を求めている。 (オ) 3月下旬には,R教頭から本件中学校教頭が本件の概略の説明を受け,同月22日には,本件中学校の教師2名が本件小学校に赴き,入学児童についてヒアリングを受け,原告A,被告D及び被告Gの個別の説明を受けている には,R教頭から本件中学校教頭が本件の概略の説明を受け,同月22日には,本件中学校の教師2名が本件小学校に赴き,入学児童についてヒアリングを受け,原告A,被告D及び被告Gの個別の説明を受けている。同月31日には,本件小学校校長及びR教頭,本件中学校校長及び教頭並びに被告市の教育委員会(以下「本件教育委員会」という。)が,本件につき,会合を開き,協議し,このとき,別室登校の経緯,一連の暴力事件,本件小学校における指導経過と校内態勢,当事者が代理人弁護士に委任して交渉中であることなどが報告された。同年4月2日には,本件中学校は,企画会議を開催して,受入と指導方法につき検討し,翌日には職員会議を開催して学校をあげて態勢を組むことを確認し,翌々日には,新1年生の学年会議を開催し,学年としての受入と指導方法について検討している。そして,同日には,R教頭が,本件中学校に赴き,本件中学校校長及び教頭に対し,本件につき詳細な説明を行っている。本件中学校は,本件脅迫2が発生した同月9日の入学式において,事件発生防止のため本件教育委員会からも職員を出席させ,また,同校校長は,生徒全員に対し,新たな気持ちで中学校での生活を送って欲しい,「いじめ」や「暴力」や「差別」は,他人だけでなく自分も傷つけるものであるから,そのようなことをしないようにお互いに頑張ろうということを訴えた。また,本件中学校は,入学式終了後,1年生の教室のある3階廊下に生徒指導主事等2名を待機させ,状況を見守らせていた。 (カ) 本件住居侵入暴行については,本件小学校が原告Cより連絡を受け,本件教育委員会に連絡し,同会からの指示により,本件小学校教職員が,現場に赴き,警察官とともに被告Jを制止した。本件教育委員会は警察へ協力を依頼した。同教職員は,被告Jの保護者に連絡し,同校の養護教員 件教育委員会に連絡し,同会からの指示により,本件小学校教職員が,現場に赴き,警察官とともに被告Jを制止した。本件教育委員会は警察へ協力を依頼した。同教職員は,被告Jの保護者に連絡し,同校の養護教員が原告Aが搬送された病院で付き添った。本件教育委員会は,部内報告会議を開催し,対応を協議し,同小学校に赴いて報告を受けた。本件中学校は,入学式以前に被告J及びその保護者の転校等の相談を受け,4月9日,同月10日,同月11日及び同月13日に被告Jに対し家庭訪問を行ったが,同人は同月16日に転校した。 (キ) 本件小学校は,本件先行いじめ1の収束後の本件暴行1について予見することはできなかった。また,本件暴行2については,始業前に発生し,前日に指導を行い,別室教室での授業も開始され,これまで指導の翌日に暴力事件が発生することはなかったので予見できなかった。更に,本件暴行脅迫についても,そのような授業中に教室内に小学生の児童が乱入するという事例はなく,予見することはできなかった。 (ク) 本件中学校は,本件脅迫2について予見することはできなかった。 (ケ) なお,原告らが主張する一連の事件は,原告Aが被告D,被告G及び被告Jに対して「キショイ。」等の発言をしたことに起因する可能性があり,そうであるとすれば,本件は,原告Aが自らの言動で招いたという側面を有するのであって,被告市が法的責任を問われるべきものではない。 (4) 争点(4)についてア原告ら(ア) 被告D,被告G及び被告Jは,前記(1)ア及び(2)ア記載の各行為につき,不法行為責任を負う。そして,上記被告E,被告F,被告H,被告I,被告K及び被告Lは,それぞれ,自らの子らに対する指導,監督を怠り,各子らが上記行為に及んだのであるから,各子らと共同して不法行為責任を負う。 さらに,被告市に ,上記被告E,被告F,被告H,被告I,被告K及び被告Lは,それぞれ,自らの子らに対する指導,監督を怠り,各子らが上記行為に及んだのであるから,各子らと共同して不法行為責任を負う。 さらに,被告市には,上記(3)ア記載のとおり,注意義務違反があるから,他の被告らと連帯して原告らに対する損害賠償責任を負う。 (イ) 原告らは,被告らの不法行為により,精神的損害を被った。これを慰謝するには以下の慰謝料が相当である。 a 本件暴行1及び2,本件暴行未遂,本件つきまとい,本件監視,本件暴行脅迫,本件脅迫1及び2並びに本件住居侵入脅迫について(a) 原告A 300万円(b) 原告B及び原告C 各100万円b 本件住居侵入暴行について(a) 原告A 150万円(b) 原告B及び原告C 各 50万円(ウ) 原告A及び原告Cは,被告Dら,被告Gら及び被告市の上記不法行為により,一時的緊急避難として,転居を余儀なくされた。 上記転居のため,原告Bは,賃貸マンションを賃借し,平成13年6月から平成16年1月までの間に,礼金,賃料及び共益費並びに契約更新料として合計203万9000円を支払った。 イ被告Dら原告らの主張はいずれも争う。 原告らが被告Dが行ったと主張する行為の当時には,被告Eは被告Fと離婚しており,事実上監督することはできない状態にあった。 ウ被告Jら原告らの主張はいずれも争う。 なお,本件住居侵入暴行に関して,被告Jらは,家屋損傷の損害賠償として原告から請求された金額を支払っている。 エ被告Gら及び被告市原告らの主張はいずれも争う。 (5) 争点(5)についてア原告ら(ア) 原告らは,本件仮処分命令を受け,被告D及び被告G並びに両名の保護者に対し,謝罪・再発防 いる。 エ被告Gら及び被告市原告らの主張はいずれも争う。 (5) 争点(5)についてア原告ら(ア) 原告らは,本件仮処分命令を受け,被告D及び被告G並びに両名の保護者に対し,謝罪・再発防止の約束を求めたが拒絶されており,被告D及び被告Gの危険性は今もって除去されていない。 (イ) 特に,被告Dは,①原告Aの姉に対し,7月3日ころ,本件中学校内において,「かかってこいや。」等と申し向けて威迫し,暴行を加えようとし,②同月12日頃,同校内において,同人に対し,「殺したろか。」等と怒声を浴びせ脅迫し,③同年9月上旬から下旬にかけて,同校内において,同人に対し,少なくとも3回,「キショイわ。」「殺したるぞ。」と執拗に脅迫し,④また,同月18日以降,同校の他の生徒とともに,原告ら方の周りを徘徊し,様子を窺っている。 (ウ) その後,本件訴訟の審理においても,被告D及び被告Gに反省の態度は見られず,被告Eら同人らの保護者も,十分な指導・監督義務を果たせるとは考えられない。 (エ) すなわち,現在においても,原告Aが被告D及び被告Gと出会った場合,いかなる危険が生じるか,予断を許さない状況にある。いまなお,原告Aが自宅に戻った場合,再び甚大な被害を被る蓋然性は極めて高い。 イ被告D(ア) 被告Dが,上記謝罪・再発防止の約束を拒絶したこと,上記①ないし③の事実は認めるが,その余は否認する。 (イ) ①ないし③の原因は,原告Aの姉が,被告Dと会うたびに,同人に対し,「キショイ。」「死ね。」と言い続け,同人の先輩でもある原告Aの姉の彼氏を含め,多数人が,被告Dのことをメール等で,「キショイ。」と言いふらしているからである。 ウ被告G原告らから,謝罪・再発防止の申し出を受けたこと及び謝罪を受け入れなかったことは認めるが,その余は否認する。 人が,被告Dのことをメール等で,「キショイ。」と言いふらしているからである。 ウ被告G原告らから,謝罪・再発防止の申し出を受けたこと及び謝罪を受け入れなかったことは認めるが,その余は否認する。平成13年7月10日付内容証明郵便により,原告らに対し,再発防止の努力をしていることを伝えている。 第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実に,甲1ないし4,13ないし17,26,28ないし32,丁1,4,5,8ないし12,証人R,証人O,証人Sの各証言,原告らの各本人尋問の結果及び被告J本人,被告L本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1) 平成12年度1学期の事実経過ア平成12年4月,原告A,被告D,被告G及び被告Jは,小学6年生に進級し,いずれも6年1組に配属された。同クラスの担任はO教諭であり,クラスの編成は,担任も含め,小学5年生のときと同じであった。 原告Aらが小学5年生当時から,被告Dは男子児童グループの中心的な存在であったが,同学年のころ,被告D,原告Aらが同じクラスの児童Tを仲間はずれにする態度をとったことがあった。 イ平成12年度の1学期になって,被告DとTは仲直りをしたが,その仲直りの事実を原告Aには隠し,今度は被告D,被告J及びTが原告Aに対して,靴や体操服を隠したり,リコーダーを捨てたり,原告ら方の自転車をパンクさせる,暴行を加えるなどのいじめを行った(本件先行いじめ1)。そして,原告Aが四,五日連続して欠席したため,O教諭は,5月2日,原告Aを家庭訪問した。 その後,被告D,被告J及びTが,Tが中心となって3人で上記いじめをした旨申し出て,これら3名が原告Aに謝罪するという形で,上記いじめ事件は一旦収束した。 O教諭は,クラスの児童に対し,いじめを黙って見過ごすのは,いじめに加 が,Tが中心となって3人で上記いじめをした旨申し出て,これら3名が原告Aに謝罪するという形で,上記いじめ事件は一旦収束した。 O教諭は,クラスの児童に対し,いじめを黙って見過ごすのは,いじめに加わっているのと同じである等と話して,作文を書かせるなど,いじめに対する指導を行い,その結果,いじめを止めたり,教諭に伝えるなどしなければならないという雰囲気が次第にクラス内に醸成されるようになった。 他方,O教諭が,本件先行いじめ1について,背景事情等を把握するため,さらに事情聴取等を継続しようとしたところ,被告DやTの保護者から,指導を中止するよう抗議を受け,本件先行いじめ1に対する指導はそれ以上継続されなかった。 ウその後,被告JとTは,6月12日,O教諭に対し,本件先行いじめ1について,リコーダー等を捨てたりしたのは,実際にはTではなく被告D及び被告Jである旨申告した。 これから間もない6月16日から同月21日にかけて,被告Dは不登校になったが,この理由について,同人は,O教諭に対し,「Tが自分を無視する。」と訴えた。 7月17日には,被告DがTに暴行するという事件が発生し,その翌日である7月18日から夏休みを挟んで9月4日まで,被告Dは不登校となった。この理由について,同人は,野球の練習の際に,原告Aが被告Dの父親(当時別居中であった。)について,「いいひんねんな。」等と発言したことに腹を立てたからだと説明した。 (2) 平成12年度2学期及び3学期の事実経過ア被告Dは,平成12年度2学期になってから登校を再開したが,クラス内にいじめをなくそうという意識が浸透してきたことなどから,12月までに,被告Dのクラス内での影響力は徐々に低下していった。そして,被告Dは,クラスの内外で,同級生が自分を無視している,自分の悪口を にいじめをなくそうという意識が浸透してきたことなどから,12月までに,被告Dのクラス内での影響力は徐々に低下していった。そして,被告Dは,クラスの内外で,同級生が自分を無視している,自分の悪口を言っている等と被害意識を持つようになった。そのような中,被告D,被告G及び被告Jは,原告Aを無視したり,同人の靴を隠す等のいじめをした(本件先行いじめ2)が,この事実については,O教諭をはじめ本件小学校の教員らは,はっきりと認識していなかった。 イ被告Dと原告Aは,12月8日,「キショイ。」と言い合いをし,つかみ合いのけんかとなりかけた。当時,本件小学校に限らず,児童らが,他人を悪く言ったり,腹立たしい気持ち等を表す際に,「キショイ」と言うことがいわば流行していた。他方,おもしろい,おかしいことを表す際に,半ば冗談交じりに「キショイ」との言葉が使われることもあった。 同日,本件小学校では,学年委員会が開催され,「キショイ」という言葉は,言われると嫌な気持ちになること,言わないよう約束し,児童が互いに注意し合うよう指導することとなった。 12月11日,原告Aらのクラスで話し合いがされ,「キショイ」,「むかつく」といった言葉はたとえ冗談でも言わないようにし,互いに注意し合うこととされた。 この話し合いの後,原告Aを含めてクラスの児童が「キショイ」という言葉を使うことは減っていったが,被告Dと被告Jは,「キショイ」という言葉を使い続けた。 ウ平成12年度3学期になって,被告Jは,不登校となった。この理由について,同人は,O教諭に対し,兄の障害のことを言われるのが嫌だと訴え,また,原告AやTの顔を見るのが嫌だと訴えた。家庭訪問等をして再登校を促したが,被告Jは,その後,卒業式の日を含めて,本件小学校に登校しなかった。被告Jは,家庭訪問の ことを言われるのが嫌だと訴え,また,原告AやTの顔を見るのが嫌だと訴えた。家庭訪問等をして再登校を促したが,被告Jは,その後,卒業式の日を含めて,本件小学校に登校しなかった。被告Jは,家庭訪問の過程で,登校しない理由について,被告Dがよく電話をかけてきて,誘いかけてくるのが嫌だということも話すようになった。 他方,被告D及び被告Gは,1月10日,同月11日,同月12日と連続して,授業中に教室を抜け出し,校外へ出るなどした。 この抜出しの理由について,被告D及び被告Gは原告A及びTが「キショイ」等の発言をするのが嫌だ,この事実を訴えても,O教諭が確認してくれないことに不満を持っている,原告Aが,上記発言をしていないと嘘をついているのが許せない等と話し,「バットで殴る。」等,原告Aに対して暴力を振るう旨公言していた。R教頭は,暴力によって解決することは決してしてはならない旨繰り返し指導した。 これに対して,被告Dは,原告Aに暴力を振るうという姿勢を崩さなかった。 O教諭は,原告A及びTに対して,「キショイ」と言ったかどうかを確認したが,二人ともこれを否定し,周囲の児童も聞いたことがないと答えたため,同人らが上記発言をした事実を確認することはできなかった。 エ被告Dと被告Gは,原告Aの顔を見るとむかむかするので教室にいられないと訴えたことから,O教諭らは,そのような場合には,校外に出て気持ちをおさめるのではなく,校内のどこかで気持ちをおさめ,収まったら教室に戻るということを提案し,職員室をはじめいくつかの場所を被告D及び被告Gに選択肢として挙げたところ,同人らは本件別室で授業を受けることを選択した。そして,被告D及び被告Gは,1月15日から,本件別室で授業を受けるようになった。 本件別室は,本件小学校の南校舎の1階にあり, 肢として挙げたところ,同人らは本件別室で授業を受けることを選択した。そして,被告D及び被告Gは,1月15日から,本件別室で授業を受けるようになった。 本件別室は,本件小学校の南校舎の1階にあり,原告Aが所属していた6年1組の教室は,本件小学校北校舎の3階にある。 本件別室での授業は,当初,正規の時間割と同じ時間割を使用して,O教諭が被告D及び被告Gに時間割を提示し,課題を指定していた。 被告D及び被告Gは,本件別室での指導を受け始めた当初から,原告Aに対して暴力を振るう旨話していた。本件小学校では,本来の教室に戻ることについて再三話をし,教室に戻る場合には原告Aに対しての暴力はやめるように指導したが,被告Dは,原告Aに対する暴力を最後まで否定しなかった。他方,被告Gは,途中から,原告Aに暴力を振るわない旨話すようになった。 オ本件小学校においては,被告D及び被告Gが本件別室で授業を受け始めたころから,それまで毎朝行っていた職員朝礼に加え,授業終了後に終礼を行うようになった。この朝礼ないし終礼においては,前日の出来事の報告や本件別室で指導する教員を誰にするか,誰がどのような家庭訪問をするのか等について話し合われた。 また,被告D及び被告Gが,原告Aに対し暴行する旨公言していたことから,同人の安全確保のため,始業前,中間休み,昼休み,掃除の時間等,教員の分担を決めて配置したり,加えて,全体を見回る教職員を決めたりするなどしていた。また,2月になってからは,O教諭に職員室への連絡用に携帯電話を持たせるなどした。 カ被告D及び被告Gは,本件別室での授業を受け始めた1月15日,4時限目までは本件別室で授業を受けたが,5時限目以降は学校を抜け出した。 翌日の1時限目,被告Gが原告Aに「キショイ」と言われたことについて,O教諭が は,本件別室での授業を受け始めた1月15日,4時限目までは本件別室で授業を受けたが,5時限目以降は学校を抜け出した。 翌日の1時限目,被告Gが原告Aに「キショイ」と言われたことについて,O教諭が被告Gから話を聞いたが,言われた時,内容等についてはあいまいな返事であった。 同日,6時限目に,被告Dが本件小学校の児童であるUに暴行を加えるという事件があった。 キ本件小学校は,1月18日に被告Fとの懇談計画をしていたが,被告Fは本件小学校に来校しなかった。 ク被告D及び被告Gは,1月19日,同月20日には,特段問題行動を起こすことはなく,本件別室での授業を受けた。 ケ被告D及び被告Gは,1月22日,帰宅途中の原告Aを待ち伏せ,同人を被告Gが後ろからつかんで押さえようとしたため,原告Aは持っていた鍵を投げたが,二人がかりで押し倒された。被告Gは原告Aを押さえつけ,被告Dは,原告Aの頭や顔を踏みつける暴行を加えた(本件暴行1)。 原告Aは,本件小学校に戻って,保健室で治療を受けた後,O教諭に自宅まで送ってもらった。その後,本件小学校において,原告Aを病院に連れて行った方がよいということになり,O教諭が原告ら方へ電話をかけて経緯を説明した上,病院で診察を受けるよう勧めた。 O教諭は,木津川病院に行って診察に立ち会った後,被告D及び被告Gの家に電話をかけ,暴行事件が発生したこと,原告Aが病院に診察を受けに行ったこと,詳しい事情は本人から聞かないとわからないが,原告Aとその保護者に謝罪をしてほしいことを話した。 コ翌23日の朝,被告Dと被告Gは,始業前に原告Aがいる教室へ入り,原告Aを足蹴にする暴行を加えた(本件暴行2)。 被告D及び被告Gは,原告Aに暴行を加えた理由について,本件別室の壁を外から叩いた者がおり,きっと原告Aである,と訴えた。 に原告Aがいる教室へ入り,原告Aを足蹴にする暴行を加えた(本件暴行2)。 被告D及び被告Gは,原告Aに暴行を加えた理由について,本件別室の壁を外から叩いた者がおり,きっと原告Aである,と訴えた。 O教諭は,暴力では何も解決しない旨諭し,謝罪を促したが,二人とも「あいつが悪い,またやったる。」と言うのみであった。 このため,本件小学校は,被告D及び被告Gが再度原告Aに暴行を加えるおそれがあると判断し,登下校時の原告Aへの教員の付き添いや,休み時間等に教室周辺に教師が立つなどの措置をとることとした。 また,O教諭は,被告D及び被告Gの保護者に対して,経過を説明し,謝罪を促すなどした。これに対して,被告Dの保護者が謝罪に行く様子が見られなかったため,O教諭は数回にわたって電話連絡をしたが,その際,被告Dの保護者は無力感に打ちのめされているような印象であった。 サ被告D及び被告Gは,1月24日,登校後に校外へ出て,4時限目以降には帰宅した。同日,被告Gの両親は,本件小学校に対し,しばらくの間,被告Gを登校させない旨連絡した。 シ同日ころ,被告Dは,被告J方を訪れ,同人に対し,彫刻刀を貸すよう申し向け,被告Jはこれに応じて,彫刻刀を貸した。その際,被告Dは,「刺したる。」等と言っていた。 1月25日の午前中,被告Dが,特に授業等で使用する予定もないのに,彫刻刀を手に持って,北校舎に向かおうとしているのを本件小学校教諭が発見し,北校舎2階の階段で,被告Dを制止し,本件別室に連れ戻した。その後,同日の2時限目に本件小学校の教諭らが被告Dと話し合って説得し,落ち着かせた。この際,被告Dは,自ら彫刻刀を箱に戻したことから,本件小学校教諭らは,彫刻刀をその場で取り上げれば,かえって被告Dを興奮させることになりかねないと判断して,彫刻刀を取り上げること ,落ち着かせた。この際,被告Dは,自ら彫刻刀を箱に戻したことから,本件小学校教諭らは,彫刻刀をその場で取り上げれば,かえって被告Dを興奮させることになりかねないと判断して,彫刻刀を取り上げることはしなかった。その後,3時限目には被告Dは本件別室で授業を受けたが,掃除の時間になって,校内をパトロールしていた教諭が,被告Dが再度彫刻刀を持って廊下を歩いて,原告Aに近寄ろうとしているのを発見し(本件暴行未遂),他の教諭ら二人とともに,彫刻刀をしまうよう説得した。他方,O教諭は,他の教諭一人とともに,原告Aのそばで同人を保護する態勢をとった。その後,被告Dは教諭らの説得に応じて本件別室に戻り,保護者とともに帰宅した。 被告Dは,彫刻刀を持っていた理由について,「これで刺したんねん。」等とO教諭に話した。 被告Gは,1月25日から1月30日まで欠席した。O教諭は,この間,3回にわたって被告Gを家庭訪問した。 ス 1月26日から同月30日まで,被告Dは本件別室での授業,指導を受け,また,1月30日の6時限目には,同じクラスの児童らと卓球をしたが,特に問題行動を起こすことはなかった。しかし,原告Aの話題が出ると,興奮して指導を受け付けようとしなかった。 セ被告Gは,1月31日の2時限目に,父親の反対を押し切って登校した。被告Gが登校したことで,被告Dは態度が急変し,R教頭に暴言を吐いたり,漢字帳を投げたりした。 同日,被告D及び被告Gは,通学路が原告Aと異なるにもかかわらず,本件小学校教諭に付き添われて下校中の原告Aの後ろをつけ,同教諭に注意をされて,立ち去った(本件つきまとい)。 また,1月末から2月初めにかけて,被告D及び被告Gは,本件小学校体育館横から,原告Aの様子を窺い,監視するような態度をとった(本件監視)。 ソ被告D及び被告G ,立ち去った(本件つきまとい)。 また,1月末から2月初めにかけて,被告D及び被告Gは,本件小学校体育館横から,原告Aの様子を窺い,監視するような態度をとった(本件監視)。 ソ被告D及び被告Gは,2月以降,担任の声掛けを無視するようになり,給食を教諭に運ばせたり,自習課題も提出せず,本件別室に教員が入るのを拒否する等して,指導が困難な状態になっていった。 一方,原告Aは,2月2日から,水疱瘡のため出席停止となった。 タ O教諭と本件小学校校長は,2月9日,宇治児童相談所を訪れ,経過を報告した上,被告D及び被告Gの各保護者に対し,児童相談所への相談を勧めた。 また,本件小学校校長は,平成13年2月9日付けで,本件教育委員会教育長にあてて特別問題事象報告書を提出し,本件暴行1及び2の概要,原因,動機・背景,前後の経過,今後の課題と方針等を報告した。 同報告書には,問題事象の原因として,①学級や学年内の相互理解の不十分さと感情の不安定さ,わがまま,②人権を無視するような言葉や態度が互いにあり,心からの許容ができなかった,③父親と別居中の児童に,当てつけになるような言葉をわざと言ってしまう,④自分の仲間,取り巻き確保のために威圧をかけるような言動や嫌がらせ行為,⑤人権学習,思いやりの暖かい心の育成と指導の不十分さ等を挙げ,「日常的に指導を続けているが,行動に結びきれていなかった。」と記載されている。 また,動機,背景として,①自分の思いどおりの仲間関係ができなかった(暴力や威圧,にらみ等,低学年よりある。),②被告Dが少年野球練習中「誰かさんの父さん,来いひんねんなあ。」と嫌みを言われたり,原告Aが父親の自慢話を聞こえるように言う。悔しくて我慢できない。許せない,③仲間を組んでその子に特定の児童にいじめ的な行為や暴力的な行為をさせる,④ 父さん,来いひんねんなあ。」と嫌みを言われたり,原告Aが父親の自慢話を聞こえるように言う。悔しくて我慢できない。許せない,③仲間を組んでその子に特定の児童にいじめ的な行為や暴力的な行為をさせる,④担任の指導が自分の思いどおりにならないので気に入らない等と記載されている。 チ原告Bは,平成13年2月13日付けで,本件小学校校長にあてて,①被告Dの本件小学校における行動,言動等についての報告,②保護者会の開催,③児童相談所への相談や警察への通知等を含めた本件小学校の対処方針の明確化,④本件小学校から本件中学校への詳細な伝達等を要望する要望書を作成し,翌日,本件小学校校長に手渡した。 ツ原告Aは,水疱瘡が治り,また,O教諭が「安全を確保する。」旨約束して,登校を促したことから,2月14日から登校を再開した。 同日,O教諭は,被告D及び被告Gが,休み時間に運動場で原告Aをにらみつけるなど,同人の様子を盛んに窺っているのを感じ,二人の行動に注意するとともに,原告Aとの接触がないように,被告Dらのそばに付くなどしていた。 しかし,同日の5時限目の授業中,被告D及び被告Gは,原告Aがいる教室に乱入しようとした。本件小学校教員らは,二人を制止しようとしたが,被告Gはこれを振り切って教室内に入り,原告Aの髪をつかむ等の暴行を加えた。また,O教諭に対しても,靴を投げつけるなどの暴行を加えた。被告D及び被告Gは,教員ら4人がかりでもすぐに鎮めるのが困難なほど興奮した状態で,「クラス全員皆殺しや。」,「やったる。」等と怒鳴り,教員らに廊下に連れ出された後も,「A,いつかやったるぞ。」,「覚えとれ。」などと大声をあげ続けた(本件暴行脅迫)。 同日の本件小学校の警備態勢は,従前の態勢と同様のもので,原告Aが登校を再開するということで特に新たな態勢がとられ 「A,いつかやったるぞ。」,「覚えとれ。」などと大声をあげ続けた(本件暴行脅迫)。 同日の本件小学校の警備態勢は,従前の態勢と同様のもので,原告Aが登校を再開するということで特に新たな態勢がとられるということはなかった。 この翌日以降,原告Aは,被告D及び被告Gに対する恐怖から,登校することができなくなり,結局,3月19日に行われた卒業式にも出席しなかった。O教諭は,原告Aが欠席し始めて以降,病気で入院する3月27日まで,ほぼ毎日原告Aを家庭訪問するとともに,学習指導等も行った。 テ本件小学校は,2月15日,授業参観後の学年懇談会において,保護者らにそれまでの経過を説明し,協力を求めた。 しかし,2月19日には,被告Dの関係者がPとともに本件小学校を訪れて学校の対応や本件別室での指導について抗議するなどし,被告D及び被告Gは,O教諭に対して「おまえなんかやめさせてやる。」,「首になれ。」等と暴言を吐いたり,暴行を加え,翌20日には,本件小学校校長室に入り,校長に暴言を吐き,暴行を加えるなど,事態は悪化する一方であった。また,同日及び翌21日には,被告D及び被告Gの保護者らが,別室指導をやめて本来の教室に戻すよう要求した。 ト被告D及び被告GのO教諭に対する反発が強固であったことから,本件小学校は,両名が本来の教室に戻るに当たって,O教諭を一旦授業からはずした方が円滑に戻ることができると考え,2月23日から同月26日まで,O教諭にカウンセリングや研修を受けるよう指示した。 ナ被告D及び被告Gは,2月27日以降,保護者の指導のもと,欠席を続け,そのまま,卒業式にも出席しなかった。その後は,R教頭がほぼ毎日,被告D及び被告Gの自宅に家庭訪問を続けた。そして,本件小学校では,R教頭の家庭訪問後,当日ないし翌日朝,教職員らで検討会を行った。 のまま,卒業式にも出席しなかった。その後は,R教頭がほぼ毎日,被告D及び被告Gの自宅に家庭訪問を続けた。そして,本件小学校では,R教頭の家庭訪問後,当日ないし翌日朝,教職員らで検討会を行った。 また,被告Jについても,ほぼ毎日,家庭訪問が続けられた。 ニ原告らは,3月ころから,代理人弁護士を通じて,本件小学校や被告Dら,被告Gらと面談をするなどして,暴行等の再発防止を求めたが,具体的な再発防止策が提示されることはなく,かえって,同被告らは,暴行等を受けるのは原告Aの言動に原因があるとの発言をした。 また,3月6日には,本件小学校において学年懇談会が開催され,被告F,P,被告H,被告Iも出席したが,具体的な指導監督等の対策が提示されることはなかった。 ヌ本件中学校は,3月22日,教員2名を本件小学校に派遣し,本件小学校からの卒業生全体の引継ぎを受け,その際,原告A,被告D及び被告Gについて,個別に説明を受けた。同月31日には,両校の校長,教頭,教育委員会の担当者らの合同会議が開催され,本件小学校側から,本件暴行1及び2,本件暴行脅迫,O教諭への暴行等につき,具体的な説明がなされた。また,4月に入ってからも,R教頭が本件中学校に出向き,同校の校長及び教頭と話し合った。 ネ原告A,被告D,被告G及び被告Jが本件中学校に入学するに際して作成された組分け資料には,それぞれの者について,特記事項として,原告Aについては,「不注意な言動が目立ち指導を受けることがあったが,努力しておさまってきている。甲君(被告Dを指す。以下同じ。)からは今も暴行を予告されている。」,「安心して学校生活に取り組むには,甲君との問題解決が急務。」と,被告Dについて,「被害意識が強く,不満を暴言,暴力に訴えようとする。 人間関係に敏感で自分に対する反感を相手の態度 告されている。」,「安心して学校生活に取り組むには,甲君との問題解決が急務。」と,被告Dについて,「被害意識が強く,不満を暴言,暴力に訴えようとする。 人間関係に敏感で自分に対する反感を相手の態度に感じると,執拗に嫌がらせをする。相手の過失をなかなか許すことができない。」,「親への甘え(幼児期)の経験が不十分で,教師に愛情を(わがままや反抗という形で)求めてくる。十分な受け止めが必要。」と,被告Gについて,「不満を暴力にあらわすことがあった。乙君(原告Aを指す。)への暴行を繰り返し,甲とともに教師に反抗したりもした。」等と,被告Jについて,「3学期3日目より不登校。①担任が兄のことに触れた,②嫌いなやつがクラスにいる,③本当は甲が嫌だが,離れられないのでという3つの理由。中学へは行くつもり。」,「障害者理解教育は非常に慎重に行うことが必要。」との記載がされている。このうち,原告Aの「不注意な言動」は,冗談交じりに「キショイ」という言葉を使うことがある,という趣旨で書かれたものである。 ノ被告Dは,他の児童とともに,3月26日,原告ら方の前で,屋内にいる原告Aに対して,「殺したるぞ,ハゲー。」と怒鳴って逃げて行った(本件脅迫1)。 ハ原告らは,前記争いのない事実記載のとおり,3月28日,本件仮処分命令申立てをした。 (3) 平成13年4月以降の事実経過ア本件中学校においては,4月2日,新学年の企画会議が行われ,その中で,手空きの教員を1年生の教室付近や廊下等に配置するなどして,入学式当日の態勢を強化するよう指示がなされた。 また,4月3日には,職員会議において,本件小学校における原告Aらに係る一連の事実経過等の説明がされ,受入態勢を整えるようにとの指示がなされた。 イ同日の午前中,被告Dは,被告J宅を訪ね,同人に対し,原告 3日には,職員会議において,本件小学校における原告Aらに係る一連の事実経過等の説明がされ,受入態勢を整えるようにとの指示がなされた。 イ同日の午前中,被告Dは,被告J宅を訪ね,同人に対し,原告Aが「ガイジの弟」と学校で言いふらしている,被告Jが休んでいる間に,おれも原告Aを殴ったりした,おまえは何もしていないから,おまえも殴りに行け,後で見に行く,家に入って,親がいても殴れ,二人で行ったら,おれも殴ってしまいそうやから,おまえ一人で行け等と命令した。 被告Jは,上記のように被告Dから言われ,これを拒めず,同日午後,原告ら方に行き,玄関ドアを蹴りつけて鍵を壊して建物内に土足で上がり込んだ上,原告Aに対して殴る,蹴るの暴行を加えた(本件住居侵入暴行)。この暴行に及ぶに際し,被告Jが,原告Aに対して,「ガイジの弟」と言ったことにつき抗議することはなかった。 原告Aは,屋外へ逃げ出し,近所の薬局に逃げ込んだが,被告Jは,同人を追いかけて,なおも暴行を加えようとした。 被告Dは,自転車に乗ってその現場付近におり,この様子を見ていた。 本件住居侵入暴行について連絡を受けた本件小学校教員らは,原告ら方へ駆けつけ,また,本件中学校教頭も,現場へ駆けつけた。現場には,警察官が出動する事態となった。 原告Aは,本件住居侵入暴行により,頭部外傷,下口唇・背部・左前胸部・両肩・右側腹部・左大腿部打撲により約3日間の治療を要する見込みの傷害を負った。 また,本件住居侵入暴行により,原告らの自宅の壁に穴が開き,壁の一部が剥がれ落ちたり,室内に置いてあった酒類のびんから,酒がこぼれるなどした。 その後,被告Jらは,原告らに対し,原告Aの治療費,原告ら方の修繕費等を弁償した。 ウ原告Cは,4月4日,本件中学校を訪れ,本件住居侵入暴行の概要や被害 た酒類のびんから,酒がこぼれるなどした。 その後,被告Jらは,原告らに対し,原告Aの治療費,原告ら方の修繕費等を弁償した。 ウ原告Cは,4月4日,本件中学校を訪れ,本件住居侵入暴行の概要や被害状況について説明した上,本件中学校において,原告Aの安全を保障するよう求めた。本件中学校は,これに対して,生徒が見える位置に教員を配置したり,待機させるなどの方法をとって対応したい旨話し,併せて,精一杯の対応はするが,学校教育上限界もある旨説明した。 また,被告J,被告K及び被告Lは,4月5日,本件中学校を訪れ,両親としては本件中学校に進学させたいが,被告Jは頑なに本件中学校には進学したくないと言っている旨伝え,相談した。これを受けて,本件中学校は,本件教育委員会に報告の上,転校について相談した。結局,被告Jは,入学式を含め,本件中学校に1度も登校することのないまま,4月16日に他の中学校へ転校した。 エ 4月9日,本件中学校において入学式が行われたが,本件中学校は,入学式を行うに当たり,本件教育委員会からの指示を受けた上,受付に配置する教員を増員し,生徒指導主事及び学年主任の教諭の2名を1年生のフロアに配置するなどした。 入学式自体は,特に混乱もなく終了し,生徒は体育館から教室に移動した。そして,担任がそれぞれ配布物を取りに職員室へ戻っていた間に,被告D及び被告Gが原告Aのいる教室に入り,同人に対して,「キショイと言ったやろ,殴るぞ。」,「やったるぞ。」等と罵った(本件脅迫2)。原告Aは,本件脅迫2を受けて,原告Cのいる体育館まで逃げ,その後,校長室で本件中学校校長と話したが,そのまま教室に戻ることはなく,帰宅した。 被告D及び被告Gは,本件脅迫2を行った理由について,担任らに対し,入学式後に,両名に対して,原告Aが「キショイ」と3回言っ 長室で本件中学校校長と話したが,そのまま教室に戻ることはなく,帰宅した。 被告D及び被告Gは,本件脅迫2を行った理由について,担任らに対し,入学式後に,両名に対して,原告Aが「キショイ」と3回言ったため,腹が立って,原告Aのいる教室に行って文句を言った旨説明した。 オ被告Dは,同日午後,原告Aが「キショイ」と言っていないと嘘をついている,同人の家に行って確かめる,等として,原告A方まで行き,玄関の戸を開けようとしたが,被告F及びPに制止され,帰宅した(本件住居侵入脅迫)。 原告Aは,この後,被告D及び被告Gに対する恐怖のため,本件中学校に通うことができなくなり,しばらく親戚の家で様子をみたものの,その後,原告Cとともに転居し,5月7日付けで本件中学校とは別の中学校に転校した。 カ原告B及び原告Aの姉は,従前の住居に住んでおり,原告ら家族は,現在も別居状態にある。 原告Bは,原告A及び原告Cを転居させるため,賃貸マンションを賃借し,平成13年6月から平成16年1月までの間に,礼金,賃料及び共益費並びに契約更新料として合計203万9000円出捐した。 キ被告Dは,本件中学校に進学してからも,他の生徒等に対する暴言,暴行,授業妨害等について,本件中学校教員から指導されることがままあり,同校に在籍する原告Aの姉に対して,暴言を吐いたこともあった。 その後,被告Dは,被告Eと同居することとなり,他の中学校へ転校した。他方,被告Gも,中学2年生の初めころまでは,授業を抜け出したり,授業を妨害することがあったが,それ以降,次第に言動は落ち着き,中学3年生になった時点では,ほとんど問題行動をすることはなくなった。 原告Bは,被告Dが被告Eと同居するようになって転校して以降,被告Dが原告ら方付近を徘徊したり,同人ら方を監 動は落ち着き,中学3年生になった時点では,ほとんど問題行動をすることはなくなった。 原告Bは,被告Dが被告Eと同居するようになって転校して以降,被告Dが原告ら方付近を徘徊したり,同人ら方を監視するような行動をしているところを見たことはなく,また,被告Gを原告ら方付近で見かけることもなかった。 2 争点について(1) 争点(1)についてア本件暴行1について(ア) 前記1(2)ケのとおり,被告D及び被告Gは,1月22日,帰宅途中の原告Aを待ち伏せ,同人を被告Gが後ろからつかんで押さえようとしたため,原告Aは持っていた鍵を投げたが,二人がかりで押し倒された。被告Gは原告Aを押さえつけ,被告Dは,原告Aの頭や顔を踏みつける暴行を加えた事実が認められる。そして,同被告らの上記行為が違法であることは明らかである。 (イ) これに対し,被告D及び被告Gは,本件暴行1に及んだのは,従前から,原告Aが同被告らに対して「キショイ」と言い続けてきたからである旨主張する。しかし,原告Aが同被告らに対して「キショイ」との発言をしたことを的確に認定しうる証拠はない。 かえって,同被告らは,平成12年度3学期開始早々から授業を抜け出しており,その理由として,原告Aから「キショイ」と言われるのが嫌だと話しているにもかかわらず,平成13年1月15日に被告GがO教諭から事情を聞かれた際,「キショイ」と言われた日時・場所,状況等について,あいまいな説明しかしなかったことに鑑みると,本件暴行1の動機として,原告Aが「キショイ」と言ったというのは,いわば口実にすぎず,実際に「キショイ」と言われたがために,本件暴行1に及んだものではないというべきである。 イ本件暴行2について(ア) 前記1(2)コのとおり,1月23日の朝,被告Dと被告Gが,始業前に原告A ,実際に「キショイ」と言われたがために,本件暴行1に及んだものではないというべきである。 イ本件暴行2について(ア) 前記1(2)コのとおり,1月23日の朝,被告Dと被告Gが,始業前に原告Aがいる教室へ入り,原告Aを足蹴にする暴行を加えた事実が認められ,上記暴行が違法であることは明らかである。 (イ) これに対し,被告D及び被告Gは,原告Aが同被告らの上履きを捨てた,あるいは靴箱から落としたことを認めたためであると主張する。 しかし,原告Aが同被告らの上履きを捨てたり,落としたりした事実を認めるに足りる証拠はない。また,同被告らは,前記認定のとおり,O教諭に対して,暴行に及んだ理由につき,本件別室の壁を叩いて逃げていった者がおり,それは原告Aに違いない旨説明しているところ,原告Aが本件別室の壁を叩いたとの事実を認めるに足りる証拠もない(被告Gは,本人尋問において,「原告Aが逃げていくのを見た。」旨供述しているが,本件暴行2の直後にO教諭に聞かれた際には,「きっと原告Aに違いない。」と推測を述べているにとどまるのであって,上記供述は措信できない。)。 ウ本件暴行未遂について(ア) 前記1(2)シのとおり,1月25日の午後,被告Dが彫刻刀を手に持って廊下を歩き,原告Aに近寄ろうとした事実が認められる。 (イ) これに対して,被告Dは,原告Aに近づこうとしたことはなく,また,彫刻刀を所持していたのは,防衛のためであると主張する。 しかし,被告Dは,わざわざ被告J宅を訪ねて彫刻刀を借り,その際,被告Jに対し,「刺したる。」等と述べ,また,O教諭に対しても,「刺したるねん。」と述べているのであって,防衛目的とは到底考えられない。そして,特に授業等で使用する予定もないのに,同日中に,2度にわたって彫刻刀を持って校内を徘徊していること,本件暴 対しても,「刺したるねん。」と述べているのであって,防衛目的とは到底考えられない。そして,特に授業等で使用する予定もないのに,同日中に,2度にわたって彫刻刀を持って校内を徘徊していること,本件暴行1及び2から間がないこと等を合わせ考えると,被告Dは,彫刻刀で原告Aを傷つける目的で,校内を徘徊し,原告Aに近づこうとしたものと認めるのが相当である。 (ウ) そして,本件暴行未遂は,現実に原告Aの身体等を傷つけるには至らなかったが,原告Aは,現に彫刻刀を所持している被告Dを見て,現在でも目に焼き付いているというほどの恐怖を感じたのであり,本件暴行未遂が違法であることは明らかである。 エ本件つきまとい,本件監視について(ア) 前記1(2)セのとおり,1月31日,被告D及び被告Gは,通学路が原告Aと異なるにもかかわらず,本件小学校教諭に付き添われて下校中の原告Aの後ろをつけ,同教諭に注意をされて,立ち去った事実及び1月末から2月初めにかけて,被告D及び被告Gは,原告Aの様子を窺い,監視するような態度をとった事実が認められる。 (イ) これに対し,被告D及び被告Gは,通学路が同じであっただけであるとして本件つきまといの事実を否定するが,通学路が同じであるというのであれば,当時付き添っていたN教諭に注意をされたときに逃げ去る必要はない。また,本件監視についても,被告Gは,体育館横にいたことは認めながら,そこで何をしていたのか,何のためにそこにいたのかについては具体的に供述していないこと,被告Dと被告Gが,それまでの短期間に,本件暴行1及び2を起こしていること等を合わせ考えれば,同被告らは,原告Aの行動を監視していたものと認めるのが相当である。 (ウ) そして,上記つきまとい行為,監視行為は,本件暴行1及び2,本件暴行未遂が連続して起こった後の いること等を合わせ考えれば,同被告らは,原告Aの行動を監視していたものと認めるのが相当である。 (ウ) そして,上記つきまとい行為,監視行為は,本件暴行1及び2,本件暴行未遂が連続して起こった後の原告Aに対して,その不安を増強させるに十分な行為であり,違法性を有するものというべきである。 オ本件暴行脅迫について(ア) 前記1(2)ツのとおり,2月14日の5時限目の授業中,被告D及び被告Gが,原告Aがいる教室に乱入しようとし,被告Gが教員らの制止を振り切って教室内に入り,原告Aの髪をつかむ等の暴行を加え,「クラス全員皆殺しや。」,「やったる。」等と怒鳴り,教員らに廊下に連れ出された後も,「A,いつかやったるぞ。」,「覚えとれ。」などと大声をあげ続けた事実が認められ,上記行為が違法であることは明らかである。 (イ) これに対し,同被告らは,「クラス全員皆殺しや。」,「やったる。」と怒鳴ったことはない,普通に教室に入ろうとしただけである,原告Aが「キショイ」と発言したことを認めなかったためである等と主張する。 しかし,同被告らが上記のような言葉を叫んでいたことは,原告Aないし本件小学校教員らが現に聞いており,また,同被告らは教員4人がかりでも鎮めるのが困難なほど興奮状態にあったのであり,「普通に入ろうとした。」などという態様ではないことは明白である。さらに,原告Aが「キショイ」と発言したことを認めなかったという点についても,そもそもそのような発言がいつ,どこで,どのような状況でなされたのかも明らかでなく,到底本件暴行脅迫を正当化するような事情とはなり得ない。 カ本件脅迫1について前記1(2)ノのとおり,被告Dは,他の児童とともに,3月26日,原告ら方の前で,屋内にいる原告Aに対して,「殺したるぞ,ハゲー。」と怒鳴った事実が認められ なり得ない。 カ本件脅迫1について前記1(2)ノのとおり,被告Dは,他の児童とともに,3月26日,原告ら方の前で,屋内にいる原告Aに対して,「殺したるぞ,ハゲー。」と怒鳴った事実が認められ,これが違法であることは明らかである。 キ本件脅迫2について(ア) 前記1(3)エのとおり,4月9日,本件中学校の入学式終了後に,被告D及び被告Gが原告Aのいる教室に入り,同人に対して,「キショイと言ったやろ,殴るぞ。」,「やったるぞ。」等と罵った事実が認められ,この行為が違法であることは明らかである。 (イ) これに対し,被告D及び被告Gは,上記行為の原因につき,入学式終了後に,原告Aとすれ違った際,「キショイ」と3回言ったからである旨主張する。 しかし,原告Aが「キショイ」と発言したことを的確に認定しうる証拠はない。そもそも,原告Aは,本件暴行1以降,わずか1か月たらずの短期間に,本件暴行2,本件暴行未遂,本件暴行脅迫等を立て続けに受けて,不登校にまで至っており,上記暴行等の理由として,同被告らが,「原告Aがキショイと言った。」と主張していることを十分認識していたと認められるところ,ようやく中学校に進学した,その入学式の日に,同被告らに「キショイ」との発言をするとは到底考えられない。 してみると,本件脅迫2は,まさに同被告らの原告Aに対する脅迫であって,「キショイ」等の発言をめぐる同被告らの主張は,言い逃れにすぎないというべきである。 ク本件住居侵入脅迫について(ア) 前記1(3)オのとおり,被告Dは,4月9日午後,原告Aが「キショイ」と言っていないと嘘をついている,同人の家に行って確かめる,等として,原告Aら方まで行き,玄関の戸を開けようとしたが,被告F及びPに制止され,帰宅した事実が認められる。 (イ) 結局,被告Dは,原 と言っていないと嘘をついている,同人の家に行って確かめる,等として,原告Aら方まで行き,玄関の戸を開けようとしたが,被告F及びPに制止され,帰宅した事実が認められる。 (イ) 結局,被告Dは,原告ら方に侵入する前に連れ戻されてはいるものの,「キショイと言った」というのを口実に,家にまで押しかけて,中に侵入しようとした上記行為は,十分違法性を有するものというべきである。 (2) 争点(2)についてア本件煽動について(ア) 前記1(3)イのとおり,本件住居侵入暴行に先立ち,被告Dは,被告J宅を訪ね,同人に対し,原告Aが「ガイジの弟」と学校で言いふらしている,被告Jが休んでいる間に,おれも原告Aを殴ったりした,おまえは何もしていないから,おまえも殴りに行け,後で見に行く,家に入って,親がいても殴れ,二人で行ったら,おれも殴ってしまいそうやから,おまえ一人で行け等と唆し,被告Jは,これを受けて,本件暴行脅迫を実行したものと認められるから,本件暴行脅迫に被告Dが関与していることは明らかである。 (イ) これに対し,被告Dは,本件煽動の事実を否定するが,平成12年度3学期になって以降約3か月間,一度も原告Aと顔を合わせていない被告Jが,突如として原告Aら方に侵入し,体中に靴跡が残るほど執拗な暴行を加えていることからすると,被告Jが供述するとおり,被告Dからの煽動があったとしか考えられない。そして,前記のとおり,本件住居侵入暴行の現場に,被告Dが様子を見に来ており,教員らに目撃されていることも,本件煽動の存在を裏付ける。 イ本件住居侵入暴行について(ア) 前記1(3)イのとおり,被告Jが,4月3日,本件煽動を受けて,同日午後,原告ら方に行き,玄関ドアを蹴りつけて鍵を壊し,建物内に土足で上がり込んだ上,原告Aに対して殴る,蹴るの暴行を加え て(ア) 前記1(3)イのとおり,被告Jが,4月3日,本件煽動を受けて,同日午後,原告ら方に行き,玄関ドアを蹴りつけて鍵を壊し,建物内に土足で上がり込んだ上,原告Aに対して殴る,蹴るの暴行を加え,原告Aが近所の薬局に逃げ込んだ後も,被告Jは,同人を追いかけて,なおも暴行を加えようとした事実が認められ,この行為が違法であることは明らかである。 (イ) 被告Jは,本件住居侵入暴行に及んだ理由として,従前から原告Aに「ガイジの弟」と兄の障害のことを悪く言われ続けてきたことを主張する。 しかし,前記のとおり,被告Jは,本件住居侵入暴行に及ぶ前約3か月間,そもそも原告Aと顔を合わせる機会はなく,被告Dから「原告Aがガイジの弟と言いふらしている。」と告げられても,その点を原告Aに確認することもなく,また,そのような発言について抗議することもなく,本件住居侵入暴行に及んでいるのである。 してみると,仮に,平成12年度2学期以前に,原告Aが被告Jに対して,「ガイジの弟」との発言をしたことがあったとしても,少なくとも,それが本件住居侵入暴行の原因となっているとは認められず,むしろ,被告Dから「おまえも殴りに行け。」,「後から見に行く。」等と言われて,これを断れず,本件住居侵入暴行に及んだものと見るのが相当である。 (3) 争点(3)についてア原告らは,被告市に注意義務違反があるとして,本件暴行1及び2,本件暴行未遂,本件つきまとい,本件監視,本件暴行脅迫,本件脅迫1及び2及び本件住居侵入脅迫に関して,被告市は,被告D及び被告Gと連帯して責任を負う旨主張するので,以下,個々の事件につき,被告市の注意義務違反の有無を検討する。 イ本件暴行1について(ア) 原告らは,被告D及び被告Gが本件別室に移った時点で,同被告らは原告Aに対する暴行を公然と予告 ので,以下,個々の事件につき,被告市の注意義務違反の有無を検討する。 イ本件暴行1について(ア) 原告らは,被告D及び被告Gが本件別室に移った時点で,同被告らは原告Aに対する暴行を公然と予告しており,本件小学校は,原告Aの身体・生命に対する危険が緊急に差し迫っていたことを十分認識しながら,このことを原告B及び原告Cに報告せず,また,原告Aの生命身体の安全を確保する具体的方策もとらなかったため,本件暴行1を阻止することができなかった旨主張する。 (イ) しかし,前記認定のとおり,被告D及び被告Gは,本件別室での指導を受け始めた1月15日当初から,原告Aに暴行を振るうことを公言していた事実が認められるが,平成12年度2学期の時点ではクラス内にいじめを許さないという雰囲気が醸成されてきていたこと及び被告D及び被告Gは,同年度3学期に入った直後から,授業を抜け出す等の行為に出て,本件小学校では,両名を本件別室で指導することにして,両名に対する個別的な暴力否定の指導等を開始したという経緯に照らせば,このような本件別室での個別的な暴力否定の指導を始めて間もないうちに,被告Dらが原告Aに対する暴力を公言していたことをもって,同人の身体・生命に対する危険が緊急に差し迫っていると認識せず,原告B及び原告Cにその旨連絡しなかったとしても,本件小学校の対応に注意義務違反があるということはできない。 また,被告D及び被告Gは,1月19日及び同月20日には,特に問題行動を起こすこともなく,本件別室での指導を受けており,本件暴行1は,日曜日である同月21日をはさんで翌週月曜日の同月22日に,しかも原告Aの下校途中に起きたものであることも合わせ考えると,本件小学校教員らが,本件暴行1の発生を予見できた可能性はないと言うべきである。 ウ本件暴行2について んで翌週月曜日の同月22日に,しかも原告Aの下校途中に起きたものであることも合わせ考えると,本件小学校教員らが,本件暴行1の発生を予見できた可能性はないと言うべきである。 ウ本件暴行2について(ア) 本件暴行2は,前記認定のとおり,本件暴行1の翌日,始業前の時間帯に,教室内で発生している。このような場合,本件小学校としては,前日に本件暴行1が発生したことを当然認識しているのであるから,翌日には,本件暴行1に引き続くさらなる暴行事件等が発生しないよう注意する義務があるというべきであり,具体的には,登校時の関係児童の様子に注意したり,本件別室や6年1組の教室に始業前から教員を配置するなど,適切な措置を講ずる義務があるというべきである。 (イ) これに対して,被告市は,本件暴行1の後,指導をしており,このように指導した後に連日暴行事件が発生することは予見できなかった旨主張する。 しかし,O教諭によれば,本件暴行1の後,同教諭は原告Aに付き添って病院に行くなどし,被告D及び被告Gに対しては,電話にて保護者に経過を説明し,謝罪を促したにとどまり,具体的に同被告らから事情を聞いたり,指導をしたわけではない。 そうすると,本件小学校は,本件暴行1の翌日の朝の段階では,本件暴行1に関する事情聴取等も済んでいないのであるから,当然,本件暴行1の後,さらなる暴行事件が発生する可能性を十分認識し得たと認められる。 (ウ) 上記のような状況下において,本件小学校は,本件暴行2の発生当日の朝,暴行事件の発生を予防するような措置を何ら講じておらず,この点について,注意義務違反がある。 エ本件暴行未遂について(ア) 被告Dは,1月25日午前中に彫刻刀を持って校内を徘徊した後,本件小学校教員の説得に応じて,自ら彫刻刀をしまい,その後,本件別室で授業を受け 注意義務違反がある。 エ本件暴行未遂について(ア) 被告Dは,1月25日午前中に彫刻刀を持って校内を徘徊した後,本件小学校教員の説得に応じて,自ら彫刻刀をしまい,その後,本件別室で授業を受けているのであり,このような状況下で,いたずらに被告Dを興奮させるのを避け,あるいは被告Dとの信頼関係も念頭に置いた上,彫刻刀を預からなかったとしても,それをもって,本件小学校教員らに注意義務違反があるということはできない。 (イ) したがって,午前中の徘徊の際に,彫刻刀を預かり保管すべきであったとする原告の主張は採用できない。 オ本件つきまとい,本件監視について本件つきまとい及び本件監視は,それを発見した際に注意することは当然可能であるが,これらの行為を事前に防ぐことは本来的に困難な性質の行為であり,被告D及び被告Gが上記行為をしたからといって,それをもって直ちに本件小学校教員らに注意義務違反があるとはいえない。 カ本件暴行脅迫について(ア) 前記認定のとおり,本件暴行脅迫は,原告Aが水疱瘡が治り,O教諭の安全確保の約束もあって,登校を再開した当日に発生したものである。そして,同日,O教諭は,被告D及び被告Gが,休み時間に運動場で原告Aをにらみつけるなど,同人の様子を盛んに窺っているのを感じ,二人の行動に注意するとともに,原告Aとの接触がないように,被告Dらのそばに付くなどしていたというのであるから,同被告らが,登校を再開した原告Aをねらって,暴行等の行為に出る可能性があることを十分に認識していたものといえ,また,被告D及び被告Gは,それまでにも,複数回にわたって授業中に本件別室を抜け出していること,本件暴行2は,始業前とはいえ,授業時間帯に近接した時間帯に起きていることなどからすれば,被告D及び被告Gが,授業中といえども本件 れまでにも,複数回にわたって授業中に本件別室を抜け出していること,本件暴行2は,始業前とはいえ,授業時間帯に近接した時間帯に起きていることなどからすれば,被告D及び被告Gが,授業中といえども本件別室を抜け出し,原告Aに対して暴行に及ぶ可能性があることも十分認識し得たというべきである。 そうすると,本件小学校としては,上記のような被告D及び被告Gの態度を各職員に伝達した上,各職員らに一層の注意を促すとともに,原告Aと被告D及び被告Gを接触させないよう,万全の態勢を整えて対応すべき注意義務があるというべきである。具体的には,本件小学校教員らとしては,授業時間内外を問わず,本件別室近辺に職員を配置するなどして,少なくとも,被告D及び被告Gが,6年1組の教室のある北校舎に近寄らないように注意する義務がある。 (イ) それにもかかわらず,本件小学校においては,本件暴行脅迫当日,従前と特に変わりのない警備態勢を敷いたのみで,被告D及び被告Gが6年1組の教室に行くのを止めることもできなかったというのであり,この点について本件小学校教員らに注意義務違反がある。 (ウ) これに対し,被告市は,従前,授業中に児童が教室に乱入した例はなく,予見できなかった旨主張するが,前記のとおり,当日ないしそれまでの被告D及び被告Gの言動からすれば,十分予見は可能であったというべきであり,被告市の主張は採用できない。 そして,校舎を隔てているにもかかわらず,被告D及び被告Gが6年1組の教室までたどりついたことからすれば,本件小学校の警備態勢に落ち度があったというほかない。 キ本件脅迫1について本件脅迫1は,春休み中に,被告Dが,原告ら方前で,外から,屋内にいる原告Aに対して,脅迫したというものであるところ,本件小学校の教員らとしては,このような春休み中の,しかも校 本件脅迫1について本件脅迫1は,春休み中に,被告Dが,原告ら方前で,外から,屋内にいる原告Aに対して,脅迫したというものであるところ,本件小学校の教員らとしては,このような春休み中の,しかも校外でなされた行為については,そもそも予見することができなかったというべきであり,本件小学校教員らに何ら注意義務違反は認められない。 ク本件脅迫2について本件中学校が本件小学校から引継ぎを受け,入学式当日に人員を増員して,教室前の廊下に教員を配置するなどの措置をとったことは前記認定のとおりであり,これらの措置について特段の落ち度があるとは認められない。原告らは,本件中学校教員らが,該当生徒らの風貌や顔等について認識する措置をとっていないこと等を非難するが,教室内が見える位置に教員を配置すれば,何らかのトラブルが生じた際に,教員らが速やかに対応することができると考えられるのであって,本件中学校としてとるべき措置としてはそれで十分であるというべきである。 したがって,本件脅迫2について,本件中学校教員らに注意義務違反は認められない。 ケ本件住居侵入脅迫について本件住居侵入脅迫は,前記認定のとおり,本件中学校における入学式が終了した後,被告Dが,原告ら方へ行き,ドアを開けて侵入しようとしたというものであるが,本件中学校が入学式終了後に原告Aと被告D及び被告Gとの間で,「キショイ」と言った,言わないのトラブルが生じ,本件脅迫2が発生したことを認識していたことを前提としても,本件中学校教員らが,その後被告Dが原告ら方へ怒鳴り込みに行くということは予見できなかったというべきであり,本件住居侵入脅迫につき,本件中学校教員らに注意義務違反は認められない。 (4) 争点(4)についてア被告らの責任原因について(ア) 被告Dは,前記(1)判示 見できなかったというべきであり,本件住居侵入脅迫につき,本件中学校教員らに注意義務違反は認められない。 (4) 争点(4)についてア被告らの責任原因について(ア) 被告Dは,前記(1)判示の各行為及び前記(2)判示の本件煽動につき,不法行為責任を負う。そして,被告E及び被告Fは,度重なる被告Dの不法行為につき,何ら具体的な指導・監督をした形跡はなく,かえって,トラブルの原因は原告Aにあるとして,本件小学校にも非協力的な態度をとるなど,被告Dに対する指導・監督義務違反があると認められるから,被告Dと連帯して不法行為責任を負う。 なお,被告Dらは,被告Eの指導・監督義務につき,本件当時,既に離婚しており,指導・監督は不可能であった旨主張するが,被告Eと被告Fが離婚したのは,前記一連の行為よりも後である平成13年10月であることは当裁判所に顕著な事実であり,上記各行為当時は,別居中であるにすぎなかったと認められる。そして,単に別居中であるというのみで,被告Eが指導・監督義務を負わないことにはならない。 (イ) 被告Gは,前記(1)判示の各行為のうち,本件暴行1及び2,本件つきまとい,本件監視,本件暴行脅迫,本件脅迫2につき,不法行為責任を負う。 他方,本件暴行未遂,本件脅迫1及び本件住居侵入脅迫については,被告Gがこれら行為につき不法行為責任を負うべき原因について主張立証がない。 そして,被告H及び被告Iは,被告Gの不法行為につき,具体的・実効的な指導・監督をした形跡はなく,かえって,トラブルの原因は原告Aにあるとの態度をとるなど,被告Gに対する指導・監督義務違反があると認められるから,被告Gと連帯して不法行為責任を負う。 (ウ) 被告Jは,前記(2)判示の本件住居侵入暴行につき,不法行為責任を負う。 そして,被告K及び被告Lは,被告 する指導・監督義務違反があると認められるから,被告Gと連帯して不法行為責任を負う。 (ウ) 被告Jは,前記(2)判示の本件住居侵入暴行につき,不法行為責任を負う。 そして,被告K及び被告Lは,被告Jに対し,積極的に指導・監督を行った形跡はなく,かえって,トラブルの原因は原告Aの暴言にあるという態度をとるなど,被告Jに対する指導・監督義務違反があると認められるから,被告Jと連帯して不法行為責任を負う。 (エ) 被告市は,前記(1)判示の各行為のうち,前記のとおり,本件暴行2,本件暴行脅迫について,注意義務違反があると認められるから,これらにつき,国家賠償法に基づく損害賠償責任を負う。 イ原告Aの損害について(ア) 被告Dらの負うべき損害賠償額(本件住居侵入暴行の点を除く)本件暴行1及び2,本件暴行未遂,本件つきまとい,本件監視,本件暴行脅迫,本件脅迫1,本件脅迫2,本件住居侵入脅迫によって原告Aが被った精神的苦痛に対する慰謝料としては,200万円が相当である。 (イ) 被告Gらの負うべき損害賠償額本件暴行1及び2,本件つきまとい,本件監視,本件暴行脅迫,本件脅迫2によって原告Aが被った精神的苦痛に対する慰謝料としては,140万円が相当である。 (ウ) 被告D及び被告Jが負うべき損害賠償額(本件住居侵入暴行の点)本件住居侵入暴行によって原告Aが被った精神的苦痛に対する慰謝料としては,50万円が相当である。 (エ) 被告市が負うべき損害賠償額本件暴行2及び本件暴行脅迫によって原告Aが被った精神的苦痛に対する慰謝料としては,70万円が相当である。 ウ原告Bの損害について(ア) 精神的苦痛について原告Bは,原告Aが受けた前記一連の不法行為につき,精神的苦痛を被ったとして,固有の損害賠償を求めているが,上記不法行為につい 円が相当である。 ウ原告Bの損害について(ア) 精神的苦痛について原告Bは,原告Aが受けた前記一連の不法行為につき,精神的苦痛を被ったとして,固有の損害賠償を求めているが,上記不法行為について,原告Aに加えて,原告Bに固有の慰謝料請求権を発生させるほどの精神的苦痛が生じたとは認め難く,原告Bの上記請求は理由がない。 (イ) 財産的損害について原告Bは,転居に伴う費用として,平成13年6月から平成16年1月までの間に,礼金,賃料及び共益費並びに契約更新料として合計203万9000円出捐したとして,同額の損害賠償を求めている。 この点,本件で問題とされている被告D及び被告Gの一連の不法行為の執拗さや,被告Dらが原告ら方を訪れてまで不法行為に及ぶなどしていることなどからすると,被告D及び被告Gの前記不法行為によって,上記原告Aが自宅に居住し続けることが困難となり,転居を余儀なくされたものと認めることができる。 一方,①前記認定のとおり,被告Gは,本件中学校入学後,2年生の初めころまでは,授業を抜け出したりしていたものの,次第に言動が落ちついたこと,②平成15年12月に実施された尋問期日において,原告Bは,被告Dがいつ頃まで原告ら方付近を徘徊していたのを見たかという点について,はっきり覚えていないとした上で,駅前で友達と遊んでいるのを見かけたことは何度もあると供述するにとどまっていること等を考慮すると,平成14年12月ころには,原告Aが本来の住居に戻った場合に,被告D及び被告Gが自宅にまで押しかけてきて同人に危害を加えるなどするおそれは,ほぼ消失したものというべきである。したがって,被告D及び被告Gの一連の不法行為と因果関係のある損害としては,平成13年6月分から平成14年12月までの間に出捐した礼金,賃料及び共益費並びに契約更新料の 消失したものというべきである。したがって,被告D及び被告Gの一連の不法行為と因果関係のある損害としては,平成13年6月分から平成14年12月までの間に出捐した礼金,賃料及び共益費並びに契約更新料の範囲にとどまると認められ,原告Bの上記請求は,この限度で理由がある。 そして,その金額は,128万5000円となる(7万5000円(礼金)+5万8000円(賃料及び共益費月額合計)×19か月+10万8000円(契約更新料))。 また,原告Bは,被告市に対しても,同様の財産的損害の賠償を求めているが,被告市の前記注意義務違反の程度等に照らせば,転居に要した費用等と因果関係があるとはいえない。 エ原告Cの損害について原告Cは,原告Aが受けた前記一連の不法行為につき,精神的苦痛を被ったとして,固有の損害賠償を求めているが,前記ウ(ア)と同様,上記不法行為について,原告Aに加えて,原告Cに固有の慰謝料請求権を発生させるほどの精神的苦痛が生じたとは認め難く,原告Cの上記請求は理由がない。 (5) 争点(5)についてア原告らは,現在においても,原告Aが被告D,被告G及び被告Jらと出会った場合,いかなる危険が生じるか,予断を許さない状況にあり,原告Aが自宅に戻った場合,再び甚大な被害を被る蓋然性は極めて高いとして,本件差止を求めている。 イしかし,前記認定のとおり,被告Dは,被告Eと同居することとなり,他の中学校へ転校し,他方,被告Gも,中学2年生の初めころまでは,授業を抜け出したり,授業を妨害することがあったが,それ以降,次第に言動は落ち着き,中学3年生になった時点では,ほとんど問題行動をすることはなくなったのであり,また,原告Bは,被告Dが被告Eと同居するようになって転校して以降,被告Dが原告ら方付近を徘徊したり,同人ら方を監視するよ 学3年生になった時点では,ほとんど問題行動をすることはなくなったのであり,また,原告Bは,被告Dが被告Eと同居するようになって転校して以降,被告Dが原告ら方付近を徘徊したり,同人ら方を監視するような行動をしているところを見たことはなく,また,被告Gを原告ら方付近で見かけることもなかったという状況に照らせば,現在において,原告Aが自宅に戻った場合,被告D及び被告Gにより,再び甚大な被害を被る蓋然性は極めて高いとはいえず,本件差止の必要性は認められない。 3 結論(1) 以上によれば,被告らは,それぞれ,原告Aないし原告Bに対し,次のとおりの損害賠償債務を負うこととなる。 ア被告Dら(ア) 原告Aに対し,連帯して200万円及びこれに対する別紙3遅延損害金起算日一覧表の各「遅延損害金起算日」欄から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金(前記2(4)イ(ア))(イ) 原告Aに対し,連帯して50万円及びこれに対する別紙3遅延損害金起算日一覧表の各「遅延損害金起算日」欄から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金(前記2(4)イ(ウ))(ウ) 原告Bに対し,128万5000円(前記2(4)ウ(イ))イ被告Gら(ア) 原告Aに対し,連帯して140万円及びこれに対する別紙3遅延損害金起算日一覧表の各「遅延損害金起算日」欄から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金(前記2(4)イ(イ))(イ) 原告Bに対し,128万5000円(前記2(4)ウ(イ))ウ被告Jら原告Aに対し,連帯して50万円及びこれに対する別紙3遅延損害金起算日一覧表の各「遅延損害金起算日」欄から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金(前記2(4)イ(ウ))エ被告市原告Aに対し,70万円及びこれに対する平成13年10月11日から支払済みまで年5分の 覧表の各「遅延損害金起算日」欄から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金(前記2(4)イ(ウ))エ被告市原告Aに対し,70万円及びこれに対する平成13年10月11日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金(前記2(4)イ(エ))(2) 被告らの損害賠償債務の関係ア元本の関係(ア) 前記(1)ア(ア),(1)イ(ア)及び(1)エの各債務は不真正連帯債務と解するのが相当であるが,一部連帯であるから,結局,①70万円については被告Dら,被告Gら及び被告市の不真正連帯債務となり(主文第1項),②70万円については被告Dら及び被告Gらの不真正連帯債務となり(主文第2項),③60万円については被告Dらの不真正連帯債務となる(主文第3項)。 (イ) 前記(1)ア(ウ)と(1)イ(イ)の各債務は,不真正連帯債務と解するのが相当である(主文第4項)。 (ウ) 前記(1)ア(イ)及び(1)ウの各債務は,不真正連帯債務と解するのが相当である(主文第5項)。 イ遅延損害金の関係(以下の計算は,全て1円未満切り捨て)(ア) 上記ア(ア)①に係る遅延損害金債務は,被告Dら,被告Gら及び被告市の不真正連帯債務と解するのが相当であるが,一部連帯であるから,①平成13年12月20日以降支払済みまでの間の遅延損害金については,被告Dら,被告Gら及び被告市の不真正連帯債務となり(主文第1項),②平成13年10月31日から同年12月19日までの間の遅延損害金4794円(70万円×0.05÷365日×50日)については,被告D,被告F,被告Gら及び被告市の不真正連帯債務となり(別紙確定遅延損害金一覧表A),③同年10月11日から同年10月30日までの間の遅延損害金1917円(70万円×0.05÷365日×20日)については,被告F,被告H,被告I及び被 正連帯債務となり(別紙確定遅延損害金一覧表A),③同年10月11日から同年10月30日までの間の遅延損害金1917円(70万円×0.05÷365日×20日)については,被告F,被告H,被告I及び被告市の不真正連帯債務となる(同表B)。 (イ) 上記ア(ア)②に係る遅延損害金債務は,被告Dら及び被告Gらの不真正連帯債務と解するのが相当であるが,一部連帯であるから,①平成13年12月20日以降支払済みまでの間の遅延損害金については,被告Dら及び被告Gらの不真正連帯債務となり(主文第2項),②平成13年10月31日から同年12月19日までの間の遅延損害金4794円(70万円×0.05÷365日×50日)については,被告D,被告F及び被告Gらの不真正連帯債務となり(同表C),③同年10月11日から同年10月30日までの間の遅延損害金1917円(70万円×0.05÷365日×20日)については,被告F,被告H及び被告Iの不真正連帯債務となる(同表D)。 (ウ) 上記ア(ア)③に係る遅延損害金債務は,被告Dらの不真正連帯債務と解するのが相当であるが,一部連帯であるから,①平成13年12月20日以降支払済みまでの間の遅延損害金については,被告Dらの不真正連帯債務となり(主文第3項),②平成13年10月31日から同年12月19日までの間の遅延損害金4109円(60万円×0.05÷365日×50日)については,被告D及び被告Fの不真正連帯債務となり(同表E),③同年10月11日から同年10月30日までの間の遅延損害金1643円(60万円×0.05÷365日×20日)については,被告Fの債務となる(同表F)。 (エ) 上記ア(イ)に係る遅延損害金債務は,被告Dら及び被告Jらの不真正連帯債務と解するのが相当であるが,一部連帯であるから,①平成13年12月2 0日)については,被告Fの債務となる(同表F)。 (エ) 上記ア(イ)に係る遅延損害金債務は,被告Dら及び被告Jらの不真正連帯債務と解するのが相当であるが,一部連帯であるから,①平成13年12月20日以降支払済みまでの間の遅延損害金については,被告Dら及び被告Jらの不真正連帯債務となり(主文第5項),②平成13年10月31日から同年12月19日までの間の遅延損害金3424円(50万円×0.05÷365日×50日)については,被告D,被告F及び被告Jらの不真正連帯債務となり(同表G),③同年10月11日から同年10月30日までの間の遅延損害金1369円(50万円×0.05÷365日×20日)については,被告F,被告K及び被告Lの不真正連帯債務となる(同表H)。 (3) 以上の次第で,原告らの請求は,主文掲記の限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 京都地方裁判所第7民事部裁判長裁判官葛井久雄裁判官田中義則 裁判官大橋弘治別紙1 当事者目録(省略)別紙2 当事者の略称一覧表(省略)別紙3 遅延損害金起算日一覧表(省略)別紙4 確定遅延損害金一覧表(省略)(編注) 「被告Dら」は,「被告D,被告E及び被告F」「被告Gら」は,「被告G,被告H及び被告I」「被告Jら」は,「被告J,被告K及び被告L」のそれぞれ略称である。 略称である。

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