令和7(行コ)18 違法確認請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和7年12月1日 福岡高等裁判所 佐賀地方裁判所 令和6(行ウ)3
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判決文本文4,551 文字)

- 1 - 主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人が九州防衛局に対し原判決別紙2物件目録記載の土地について令和5年12月11日から令和7年5月30日までの使用料4393万5070円の徴収を怠る事実が違法であることを確認する。 3 被控訴人が九州防衛局に対し前項の土地から掘削した土砂約30万㎥の代金 8億4594万円の徴収を怠る事実が違法であることを確認する。 第2 事案の概要(略称は断らない限り原判決のとおり) 1 事案の要旨控訴人らは佐賀県の住民であり、被控訴人は佐賀県知事である。国(防衛省九州防衛局)は、佐賀市内にある佐賀空港の北西側に垂直離着陸機オスプレイ を配備するための陸上自衛隊佐賀駐屯地(以下「本件駐屯地」という。)を建設していた。 本件は、控訴人らが、被控訴人において、佐賀空港の南西側にある原判決別紙2物件目録記載の土地(本件土地)とそこから掘削した土砂(本件土砂)が佐賀県の財産であるのに、九州防衛局から本件土地の使用料4393万507 0円を徴収しないまま(本件怠る事実1)九州防衛局に本件土地を本件駐屯地の関連施設の建設用地として使用させるとともに、九州防衛局から本件土砂の代金8億4594万円を徴収しないまま(本件怠る事実2)九州防衛局に本件土砂を本件駐屯地の盛土として流用させたとして、被控訴人に対し、地方自治法242条の2第1項3号に基づき、本件怠る事実1・2の違法確認を求めた 住民訴訟である。 - 2 -原判決が控訴人らの請求をいずれも棄却したところ、控訴 、被控訴人に対し、地方自治法242条の2第1項3号に基づき、本件怠る事実1・2の違法確認を求めた 住民訴訟である。 - 2 -原判決が控訴人らの請求をいずれも棄却したところ、控訴人らがこれを不服として控訴をした。 2 前提事実、争点及び原審における当事者の主張原判決「事実及び理由」(かぎ括弧部分以下略)第2の3~5を引用ただし、3⑵エ・カの「1月24日時点」を「9月1日時点」と改める。 3 当審における控訴人の補充主張⑴ 本件土地は本件条例12条にいう「空港」に含まれない。 本件条例上の空港と航空法上の空港は、いずれも駐車場を含むので、同義と解すべきところ、航空法40条、46条に基づいて佐賀空港の範囲を定めた告示には、本件土地が含まれていない。仮に本件条例上の空港が空港機能 の確保に必要な土木施設(空港土木施設)を含むとしても、本件土地は、令和5年当時単なる荒れ地であった上、佐賀空港土木施設台帳に記載されていないので、空港土木施設に当たらない。 ⑵ 本件怠る事実1は違法である。 九州防衛局は、本件駐屯地を建設するのに合わせて、本件土地上に本件駐 屯地からの雨水等を一時貯留して海水と混合させる海水混合施設を建設しようとし、造成面積は計約46haに及んでいた。このため、被控訴人は、本件使用許可決定や本件免除に先立ち、九州防衛局に佐賀県環境影響評価条例に基づく環境アセスメントをさせるべきであったのに(同施行規則2条、別表第1第6号)、させなかった。 また、海水混合施設中の雨水一時貯留池は、容量が35万㎥もあり、周辺地域の降水量データや排水機場における排水実績等に照らして過大であり、必要性がない。このため、被控訴人は、九州防衛局に対して本 また、海水混合施設中の雨水一時貯留池は、容量が35万㎥もあり、周辺地域の降水量データや排水機場における排水実績等に照らして過大であり、必要性がない。このため、被控訴人は、九州防衛局に対して本件使用許可決定や本件免除をすべきでなかった。 ⑶ 本件怠る事実2は違法である。 九州防衛局は、本件使用許可決定において本件土地を海水混合施設の建設- 3 -に使用することしか許可を受けていない上、本件土砂を所有していないので、本件土砂を資源有効利用促進法2条の副産物として再利用することもできない。このため、被控訴人は、九州防衛局に本件土砂を本件駐屯地の盛土として流用させるべきでなかった。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も、控訴人らの請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、以下のとおり付加するほか、原判決第3を引用する。ただし、次のとおり補正する。 2⑵第1段落第1文の「本件土地は」から「認められる」までを「本件土地は、佐賀空港事務所の財産台帳に「空港公園緑地用地」の名称で行政財産とし て登録されていること(甲8)が認められる」と、2⑶イ第2段落第1文を「しかし、上記一覧表が佐賀空港の空港土木施設を全て記載したものであることを認めるに足りる証拠はない。」と、3⑶イ第1段落の「九州防衛局による排水施設建設工事は」から「工事であること」までを「排水施設建設工事は、九州防衛局が、地元漁協の要望を受け、本件駐屯地の排水等がノリ漁業に与える影 響を軽減するために計画した工事であること」と、それぞれ改める。 2 当審における控訴人の補充主張について⑴ 本件土地が本件条例12条にいう「空港」に含まれることは、原判決の説示のとおりである。 証拠(甲2、乙4、6~9)によれば れ改める。 2 当審における控訴人の補充主張について⑴ 本件土地が本件条例12条にいう「空港」に含まれることは、原判決の説示のとおりである。 証拠(甲2、乙4、6~9)によれば、佐賀県は、本件条例12条の「空 港内」の意味につき、佐賀空港がその機能を果たしていくために必要な区域で、行政財産に登録し管理している土地と解した上で、制限区域外かつ空港土木施設内で工作物を設置し、又は土地を使用しようとする者に対しても同条の許可をしてきたことが認められ、これに原判決第3の2⑴記載の事情も併せて考慮すれば、上記「空港内」は上記土地を意味するものと解される。 本件土地は、佐賀県(佐賀空港事務所)の財産台帳に行政財産の分類で空港- 4 -公園緑地として登録・管理されてきたから(甲8)、本件条例12条の「空港」に含まれる。 本件条例上の空港と航空法上の空港を同義と解すべき根拠はない。この点、佐賀県は、平成26年、土地所有者から買収して増設した駐車場を航空法上の空港に含める旨の届出をし、同旨の告示がされた(甲9、22、乙17)。 しかし、これは佐賀県が上記土地所有者に課税の特例を受けさせるために採った例外的な措置であるから(弁論の全趣旨、租税特別措置法33条1項1号、土地収用法3条12号参照)、これをもって一般的に航空法上の空港が駐車場等の空港土木施設を含むとも、本件条例上の空港と航空法上の空港が同義であるとも解することはできない。 また、本件土地は、令和5年当時、雑草が生い茂る緑地であったが(甲30)、それだけで空港公園緑地でなかったとはいえないし、佐賀空港土木施設台帳に記載されていないことを認めるに足りる証拠はないから、空港土木施設に当たらないともいえない。 ⑵ 本件怠る事実1 0)、それだけで空港公園緑地でなかったとはいえないし、佐賀空港土木施設台帳に記載されていないことを認めるに足りる証拠はないから、空港土木施設に当たらないともいえない。 ⑵ 本件怠る事実1が違法であると認められないことは、原判決の説示のとお りである。 佐賀県環境影響評価条例及び同施行規則は、佐賀県での用地造成事業で当該用地と併せて整備される施設の用地の合計造成面積が35ha以上の場合、事業者にいわゆる環境アセスメントを義務付けているところ(同条例2条2項、別表6号、同施行規則2条、別表第1第6号、甲27、28)、本 件駐屯地の面積は約34ha、本件土地の面積は約12haであり(甲2、3、6)、合計造成面積は約46haとなる。しかし、海水混合施設の集水面積は約413haであり(甲2)、本件駐屯地の面積の約12倍に及ぶことを考慮すれば、本件駐屯地と海水混合施設が併せて整備されたとは認められない。仮に上記両施設が併せて整備されたとしても、被控訴人が九州防衛 局に環境アセスメントをさせなかった違法が本件怠る事実1に承継されたこ- 5 -とを基礎付ける事情は認められない。 また、雨水一時貯留池は、約35万㎥の容量がある(乙12、弁論の全趣旨)。しかし、上記のとおり、海水混合施設の集水面積は広大であり、佐賀空港がある佐賀市川副町の過去10年間における1日最大雨量の最大値が約0.26mであるから(甲17)、その場合は雨水一時貯留池に極めて多量 の雨水が集まると考えられること、雨水一時貯留池は、雨水に対して約7倍の海水を混合させることが予定されていることに照らせば(甲15)、過大であり必要性がないとは認められない。 そうすると、控訴人らが主張する事情をもって、被控訴人が九州防衛局に対し て約7倍の海水を混合させることが予定されていることに照らせば(甲15)、過大であり必要性がないとは認められない。 そうすると、控訴人らが主張する事情をもって、被控訴人が九州防衛局に対して本件使用許可決定や本件免除をすべきでなかったとはいえない。 ⑶ 本件怠る事実2が違法であると認められないことは、原判決の説示のとおりである。 地方自治法238条の4第7項、本件条例12条、17条の4に基づく本件使用許可決定及び本件免除の効力は、本件土地での排水施設建設工事に伴い副次的に得られた本件土砂にも及ぶと解される。このため、本件土砂は、 本件使用許可決定における第三者への再使用許可禁止や使用終了後の原状回復等の条件には拘束されるが(甲3)、上記工事に使用するのは本件土地であって本件土砂ではないから、本件使用許可決定における上記工事のためという使用目的には拘束されないというべきである。そのような中、九州防衛局は、上記工事に係る副産物としての本件土砂を再生資源として利用するよ う努めることが義務付けられていたから(資源有効利用促進法4条2項)、使用許可期間中は本件土砂を自ら建設する本件駐屯地の盛土として利用することができたといえる。事業者が資源有効利用促進法4条2項に基づき建設工事に係る副産物を再生資源として利用するのに、使用権原を超えて所有権まで必要と解すべき根拠はない。 そうすると、控訴人らが主張する事情をもって、被控訴人が九州防衛局に- 6 -本件土砂を本件駐屯地の盛土として流用させるべきでなかったとはいえない。 第4 結論よって、原判決は相当であり、本件各控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第4 第4 結論 よって、原判決は相当であり、本件各控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第4民事部 裁判長裁判官 松田典浩 裁判官 志賀勝 裁判官 矢崎豊

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