平成21(ワ)9644 地位確認等請求事件(通称 東京都私立大学職員解雇)

裁判年月日・裁判所
平成22年7月12日 東京地方裁判所
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判決文本文36,276 文字)

主文 1 原告が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に対し,平成21年3月から本判決確定に至るまで,毎月22日限り,月額62万0800円の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,原告が,被告の原告に対する解雇の意思表示は解雇権を濫用した無効なものであると主張して,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び賃金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実。 認定に用いた証拠は認定事実の末尾に記載する。)(1) 被告は,P1大学(以下「本件大学」という。)等を運営する学校法人である。本件大学の施設は,αと横浜の2か所に分かれて存在している(以下,これらの施設を「αキャンパス」及び「横浜キャンパス」という。)。 (2) 原告は,昭和51年3月,P2大学大学院工学研究科計測工学専攻修士課程を卒業後,同年4月から平成3年4月までP3(入社時点は○○)に,同年5月から平成15年12月までP4株式会社に,平成16年1月から同年11月まで株式会社P5にそれぞれ勤めていた者である。 [甲96](3) 原告は,平成18年10月16日,被告との間で,下記内容の労働契約(以下「本件労働契約」という。)を締結した。 配属先:P1大学国際交流センター(以下,単に「国際交流センター」 という。)業務内容:海外の提携先大学との間で,交換留学生の派遣及び受入れに関する業務の企画とマネジメント :P1大学国際交流センター(以下,単に「国際交流センター」 という。)業務内容:海外の提携先大学との間で,交換留学生の派遣及び受入れに関する業務の企画とマネジメント役職:次長(主事)[甲1,乙1](4) 原告は,平成19年3月1日,P1大学学長室次長付き調査役に異動した(以下,P1大学学長室を単に「学長室」という。)。 (5) 原告は,平成20年1月1日,P1大学図書館長付き調査役に異動した(以下,P1大学図書館を単に「図書館」という。)。 (6) 被告は,平成21年1月26日,原告に対し,同年2月27日付けで解雇する旨の意思表示をし(以下「本件解雇」という。),下記の解雇理由を記載した解雇通知書(以下「本件解雇通知書」という。)を交付した。 「 本学院は、2006年10月16日付で貴殿が高度な英語能力とマネジメント能力を有するものとして、大学の国際交流業務を行う上級の管理職(次長)として中途採用しました。しかしながら、就任後、貴殿が期待されたマネジメント能力を有していないため、組織運営に極めて重大な支障をきたすまでに至り(英語能力の活用もありませんでした)、やむなく2007年2月28日に同職を解任しました。 本来ならばこの時点で、貴殿に退職を求めるべきであったところ、貴殿の将来に配慮し、二度にわたり、大学の別の部署に異動させ、一般職の業務に配属しました。しかし、いずれの部署においても十分に業務を遂行することができず、また組織運営に極めて重大な支障をきたすに至ったものと認めざるを得ませんでした。 以上のことから、本学院としては、貴殿の解雇はやむを得ないものと判断せざるを得ず、学長の同意を得て、上記のとおり通知いたします。 ものと認めざるを得ませんでした。 以上のことから、本学院としては、貴殿の解雇はやむを得ないものと判断せざるを得ず、学長の同意を得て、上記のとおり通知いたします。 (就業規則第16条第1項第4号による)」 [甲7](7) 被告の就業規則の第1章及び第3章には,以下の規定がある。 「第1章総則第1条この規則で勤務員とは,P1に勤務し俸給を受ける者をいう。 ただし,学院長は勤務員に含まれない。 2 (省略)第3章任命,休職,退職および解職第10条勤務員の任命は,次の方法による。 (1)~(5) (省略。ただし,(2)は,校長,総主事,財務課長及び宗教主任についての規定である。)(6) 第2号に定める者を除き,職員の任命は所属の長に諮って,学院長がこれを行なう。 第11条~第15条 (省略)第16条勤務員が次の各号の一に該当するときは,30日前に予告し,2ケ月分以上の平均賃金を支給して,これを解職することができる。 (1) 精神もしくは身体の障害によって業務に堪えられないと認められたとき。 (2) 教員にあっては,担当の学科目または講座が廃止されたとき。 (3) 職員にあっては,担当業務が変更もしくは縮小されたとき。 (4) その他前各号に準ずる程度のやむを得ない事情があるとき。 2 第10条の規定は前項の解職について準用する。ただし,同条に「任命」とあるのは「解職」,「推薦する者」とあるのは「解職を行なおうとする者」と読み替えるものとする。」[乙18] 2 第10条の規定は前項の解職について準用する。ただし,同条に「任命」とあるのは「解職」,「推薦する者」とあるのは「解職を行なおうとする者」と読み替えるものとする。」[乙18] 3 争点(1) 本件解雇の効力の有無(以下「争点①」という。)(2) 原告の賃金請求権の有無(以下「争点②」という。) 4 争点①(本件解雇の効力の有無)に関する当事者の主張(1) 被告ア国際交流センター次長在職中の原告の業務状況(ア) 国際交流センターは,本件大学の国際交流担当副学長,教務部長,学生部長,国際交流センター長等が構成員である国際交流委員会が,P1大学国際交流委員会規程(乙2)に基づいて審議した国際交流の基本政策に基づく国際交流事業を行うことを業務とし,その中には,留学について本件大学と協定している海外の大学(以下「協定校」という。)と本件大学との間の交換留学生の面倒を見ることが含まれる。 (イ) 原告は,国際交流センターの管理体制を充実するために,高度な英語能力とマネジメント能力を有する上級の管理職(次長)として,被告に雇用された者であり,その業務は,協定校との間で交換留学生の派遣及び受入れに関する業務の企画と組織のマネジメントをすることであった。 (ウ) しかし,原告は,以下のとおり,国際交流センター次長に就任中,同センターにおいて,その組織運営及び業務運営に極めて重大な支障を及ぼした。 a 着任直後の不適切な就業状況(a) 原告は,着任翌日から,国際交流課の職員に対し,質問を山のように浴びせかける一方,職員の説明を途中から聞かないということが度々あった。 (b) 同センター国際交流課長のP6(以下「P6課長」という。) から,国際交流課の職員に対し,質問を山のように浴びせかける一方,職員の説明を途中から聞かないということが度々あった。 (b) 同センター国際交流課長のP6(以下「P6課長」という。)は,原告に本件大学の国際交流を理解してもらうために,原告に対 し,「大学案内」,「留学ハンドブック」(派遣留学生用),「UC・ISPハンドブック」(交換留学生用),「正規留学生ハンドブック」(4年間本件大学で学ぶ留学生用)等を交付したが,原告は,これらを一読した様子がなく,P6課長及び職員に対して質問を浴びせかけた。 (c) 原告は,一度説明された事項について,同じ質問を繰り返したり,既に交付されたデータを再度要求するなどして,職員を困惑させた。 (d) 原告は,職員に対して個別面談を複数回行い,その際,他の職員の印象や行動を聞いた上,これを別の職員に歪曲して伝えるなどし,国際交流センター長のP7(以下「P7センター長」という。)及び職員との間に誤解,相互不信を招きかねない行動をとり,また,職員を困惑させた。 b 不適切な窓口対応国際交流センターにおける窓口対応上の問題は,同センター限りで対応して処理すべきものであるところ,原告は,一人勤務していた土曜日に本件大学の大学院生から電話による問い合わせを受けた際,的確な対応ができず,同大学院生との窓口対応について,直接,本件大学の学長であったP8に報告を行い,P8学長から,窓口対応はP6課長に聞くように指示された。 c 人事に関する非常識な提案原告は,上記bの出来事に関して,自らの窓口対応の不手際を反省することなく,学生のコミュニケーション能力の欠如を指摘するとともに,窓口・電話対応の専門家として,臨床心理 非常識な提案原告は,上記bの出来事に関して,自らの窓口対応の不手際を反省することなく,学生のコミュニケーション能力の欠如を指摘するとともに,窓口・電話対応の専門家として,臨床心理士の資格を持った派遣職員を採用すべきであると判断し,本件大学人事部にその要請をした。 d マネジメント能力に欠けた不適切な業務指示等原告は,国際交流センターの現状を把握しないまま,以下のとおり,職員に対し,次々に不要,不急の平常業務外の仕事を課し,同センター内の業務を過剰にし,かつ,混乱させるなど,マネジメント能力に欠けた業務状況であった。 (a) 無意味な業務の指示原告は,平成18年11月19日,職員全員に対し,「プラダを着た悪魔」という映画を観て,その物語展開から,すべての映画における物語展開の共通点が何かを考え,それを抽出し,聞かせることを指示した。 (b) P6課長の勤怠管理業務と重複する業務の指示原告は,同月22日,職員全員に対し,情報共有化を目的とするとの理由を挙げて,週報として,今週金曜日(又は土曜日)から,各自の,①今週の成果,②超過勤務時間実績,③来週の予定及び④来週の総超過勤務時間予想を,毎週金曜日(又は土曜日)の24時までに,職員全員,P7センター長及び副学長のP9宛てにメール送信するよう指示した。 (c) 改革のための強引で不適切な業務の指示その1原告は,同年12月20日,課長以下の職員に対し,各担当業務の手順を文書化する作業の開始日と終了予定日を同日中に返送するようにメールで指示した。 (d) 改革のための強引で不適切な業務の指示その2原告は,平成19年1 当業務の手順を文書化する作業の開始日と終了予定日を同日中に返送するようにメールで指示した。 (d) 改革のための強引で不適切な業務の指示その2原告は,平成19年1月5日,同月1日付けで異動したP6課長に対し,同月19日までに担当業務手順文書の作成を要請した。 (e) 改革のための強引で不適切な業務の指示その3原告は,同月8日,職員に対し,担当業務の優先順位付け,リス クマネジメントのための各業務についてのリスク評価として失敗の列挙及びそれぞれについて点数化を要請した。 (f) アルバイト職員への不適切な対応原告は,アルバイト職員にもメールアドレスを取得させ,専任職員との区別をせずに,アルバイト職員に仕事を与え,困惑させた。 (g) 原告は,職員に対して方向性のずれた指示を行い,職員の仕事に対する意欲を減退させた。 e 上司の指示のない遠隔授業の推進原告は,同年2月ころ,国際学部が開講している留学生及び日本人学生のための英語による授業を遠隔授業として本件大学αキャンパスで行うシステムを導入することについて,独断で,P10国際学部長ほか1名の教授との間で会合を開き,進行させようとした。 f 英語能力の不活用原告は,平成18年10月24日に催された米国P11カレッジの教授の来校歓迎昼食会において,同教授と会話をするなどの接客をせず,その職責を果たさなかった。 g その他の不適切な言動原告には,以下のとおり,国際交流センターを組織として運営しようという意思も行動もなかった。 (a) 原告は,同センターの日常業務に手を出そうとしなかった。 適切な言動原告には,以下のとおり,国際交流センターを組織として運営しようという意思も行動もなかった。 (a) 原告は,同センターの日常業務に手を出そうとしなかった。 (b) 原告は,自分の責任にかかわるようなことは一切手を付けようとせず,上司や職員に行わせた。 (エ) 学長室次長付き調査役への異動aP7センター長は,原告に対し,原告の業務態度等の是正を求めたが,改まらず,平成18年12月ころには,原告が国際交流センターで勤務を続けると,同センターの組織の運営や日常業務への支障が継 続し,組織としての機能が全うできない状況になった。そこで,P7センター長は,同月ころ,本件大学人事部長のP12に原告の異動を申し入れた。 b 本件大学人事部は,国際交流課長及び職員に対する事情聴取を行う方法で調査をし,その結果,原告を速やかに他部署へ異動させるべきであるとの結論に至り,学長室次長付き調査役に異動することを決めた。 c 原告は,平成19年3月1日付けで,学長室次長付き調査役に異動した。 イ学長室次長付き調査役在職中の原告の業務状況(ア) 原告の学長室次長付き調査役としての業務は,学長室次長が指示する業務に従事することであった。 (イ) しかし,原告は,以下のとおり,学長室次長付き調査役に就任後,学長室の組織運営及び業務運営に極めて重大な支障を及ぼした。 a 認証評価業務の不着手原告は,学長室企画課が所掌する認証評価制度に係る業務を命じられ,同課課長のP13(以下「P13企画課長」という。)から同業務の内容について説明を受けたが,同業務の必要性や評価の意義について議論をするばかりで実際に同業務に着 る認証評価制度に係る業務を命じられ,同課課長のP13(以下「P13企画課長」という。)から同業務の内容について説明を受けたが,同業務の必要性や評価の意義について議論をするばかりで実際に同業務に着手せず,また,平成19年度における認証評価業務としてのプレ認証のフィードバック業務に全く着手しなかった。そのため,P13企画課長は,これらの業務のかなりの部分を補った。 b データベース入力作業の懈怠原告は,学長室教育研究支援課の所掌業務である教員業績データベースの入力作業を命じられ,同課職員から同作業の説明を受けたが,入力する情報の収集方法について質問や議論をするばかりで,同作業 を進めず,このような仕事は向かないなどと不満を述べた。結局,原告に対する同作業の従事命令は取り下げられた。 c 電話対応の回避原告は,その業務である電話対応を避ける態度をとり,注意を受けても改善しなかった。 d 不適切な入試業務原告は,担当した入試業務に関して,事前に行われた入試業務説明会で寝てしまい,後日,入試業務の内容を質問したり,入試当日,受験生のための椅子に座るなどして,受験生からクレームが寄せられた。 e 不適切な執務態度原告は,与えられた業務に関心がない態度であり,責任を持って業務を遂行する姿勢に欠けており,周りの職員の仕事状況の如何にかかわらず質問するなどした。その結果,原告は,自分の業務をしないだけでなく,他の職員の業務の妨げになった。 f 業務外の業務への従事原告は,以下のとおり,P13企画課長から,学長室における業務と関係のないことを止めるように言われたにもかかわらず行った。 (a) 原告 f 業務外の業務への従事原告は,以下のとおり,P13企画課長から,学長室における業務と関係のないことを止めるように言われたにもかかわらず行った。 (a) 原告は,国際学部の遠隔授業について,提案,協議をした。 (b) 原告は,本件大学の食堂の改革にかかわった。 (c) 原告は,認証評価業務を行うべき日に学外の研修に参加しようとした。なお,原告は,学長室次長(後に学長室長事務取扱)のP14(以下「P14学長室次長」という。)から業務命令が出されて,ようやく同研修への参加をあきらめた。 g 業務指示書の無視原告は,P14学長室次長及びP12人事部長から,業務指示書をもって勤務態度(勤務時間を勝手に変更,就業時間中に私的な読書を することなど)の改善を指示されたが,改善しなかった。 (ウ) 図書館長付き調査役への異動原告は,平成20年1月1日付けで,図書館に異動した。 ウ図書館長付き調査役在職中の原告の業務状況(ア) 原告の図書館長付き調査役としての業務は,図書館の職員が担当していた通常の業務と同じものであり,特別なものはなかった。 (イ) 原告は,以下のとおり,その従事したカウンター業務を適切に遂行することができなかった。 a 不適切な執務態度原告は,カウンター業務従事中,以下の執務態度がみられ,注意を受けても改善しなかった。 (a) 原告は,執務時間中に,原告の携帯電話に掛かってきた電話に出ることがしばしばあった。 (b) 原告は,執務時間中に,業務と無関係な本を度々読んでいた。 (c) 原告は,カウンター業務に従事中に腕組みを 携帯電話に掛かってきた電話に出ることがしばしばあった。 (b) 原告は,執務時間中に,業務と無関係な本を度々読んでいた。 (c) 原告は,カウンター業務に従事中に腕組みをしたり,足を組んで座ったりするなど,執務態度が悪く,上司から何度も注意を受けたが改善しなかった。 (d) 原告は,5階カウンターで業務に就いていた時,執務室とカウンターとの間の扉を開けるように注意されていたのに,これを守らず,利用者に迷惑を掛けた。 b 不適切な業務遂行原告は,以下のとおり,独断で業務をしたり,受けた指示とは異なる処理を意識的にすることが多く,それについて注意されると,反省することなく議論を持ち掛け,職場を混乱させた。 (a) 購入希望図書情報の不適切な管理原告は,購入希望図書に係る業務を担当した際,図書購入希望に 係る電子情報を管理する方法について,図書館利用サービス・電子情報課の利用サービス係主任のP15の説明,指示に反して,独断で指示された方法でない方法により当該電子情報の管理をした。また,P15主任から,当該管理方法が指示に違反したものである旨を指摘された際,原告の方が正しいなどと主張して,P15主任と口論になった。 (b) ILL料金の過少徴収図書館利用サービス・電子情報課では,カウンター業務の一つとして,学生からの他大学等の図書館所蔵の図書のコピーの入手依頼事務及びこれに係る料金(ILL料金)の本件大学が発行する証紙による納付事務を扱っているところ,原告は,平成20年10月1日,ILL料金を収受する業務に就いていた時に,独断で10円少なく徴収し,これについて注意されても,事後処理をせず,その問題性の認 証紙による納付事務を扱っているところ,原告は,平成20年10月1日,ILL料金を収受する業務に就いていた時に,独断で10円少なく徴収し,これについて注意されても,事後処理をせず,その問題性の認識がなく,反省もなかった。 原告は,同月2日の朝会において,図書館利用サービス・電子情報課長であったP16(以下「P16課長」という。)から,ILL料金の収受は請求金額どおり正しく収受するように言われ,さらに,同月9日,図書館次長であったP17及びP16課長から,過少徴収について注意を受けたが,過少徴収について問題意識がなく,反省も見られなかったことから,始末書の提出を命じられ,同日,始末書を提出した。しかし,始末書の内容は,反省していることがうかがわれないものであった。 (c) ILL料金の過大徴収原告は,上記始末書を提出した日から1週間後の同月17日,カウンター業務に就いていた時に,独断で学生からILL料金を正規の額より30円多く徴収した。原告は,これについて他のILL担 当者から注意を受けたが,学生が了解した,多ければ問題ないだろう,多くて何が悪いのかなどと言って自己の行為を反省することなく,過大徴収の問題性を意識していない発言をし,また,原告に対応したP16課長を相手に,長時間にわたり議論を続けた。以上のことについて,同月20日,P17図書館次長から原告に対し,口頭で厳重注意がされた。 (d) 紛失・汚損図書の弁償業務におけるメールの誤送信原告は,カウンター業務の一つである紛失・汚損図書の弁償業務(貸出図書が紛失したり,返却後に汚損が発見された場合,借出人に弁償を求める業務)に関して,同年11月4日,借出人でない学生にメールを送信した。この誤送信 ー業務の一つである紛失・汚損図書の弁償業務(貸出図書が紛失したり,返却後に汚損が発見された場合,借出人に弁償を求める業務)に関して,同年11月4日,借出人でない学生にメールを送信した。この誤送信が同月7日に発覚し,P15主任は,原告に対し,注意をして,正しく借出人にメールをし直すように指示をしたが,原告には反省する態度がなかった。 (e) 予約図書業務に係る不適切なメール送信原告は,カウンター業務に関して,同月7日に交代者から引継ぎを受けて予約図書に関するメールを学生に送信した際,不十分な内容のメールを送信した。そのため,翌日のカウンター担当者に混乱が生じ,また,事後処理のために他の職員が時間外勤務をすることになる事態となった。原告は,以上の事態の原因が原告にあることを認識せず,反省もしなかった。 (ウ) 本件大学学院長であったP18は,上記アの国際交流センターにおける原告の問題のある業務状況,それにより学長室次長付き調査役に配置換えされた後の上記イの学長室における原告の問題のある業務状況,さらにそれにより図書館長付き調査役に配置換えされた後の上記(イ)の図書館における原告の問題のある業務状況からして,就業規則16条1項4号により原告を解雇することがやむを得ないと判断するに至り,平 成20年11月11日,原告の所属長であるP19学長に諮った上,原告を解雇することを決定した。 なお,P18学院長は,原告の将来を考え,解雇を告知する前に,自主的に退職する機会を与えるため,同年12月4日及び同月24日の2回にわたり,P18学院長の意を受けた本件大学大学事務局長のP20及び本件大学人事部長のP21をして,原告に対し,退職を勧奨したが,原告が拒否したため,平成21年1月26日,P1 及び同月24日の2回にわたり,P18学院長の意を受けた本件大学大学事務局長のP20及び本件大学人事部長のP21をして,原告に対し,退職を勧奨したが,原告が拒否したため,平成21年1月26日,P18学院長の命を受けた本件大学法人事務局長のP22から,原告に対し,本件解雇の意思表示をし,本件解雇通知書を手交した。 (2) 原告ア原告の業務内容(ア) 本件大学執行部は,民間の経営手法を大学に導入するために民間企業からの有能な人材を登用するという方針を有していた。原告は,同方針の一環として採用された。 (イ) 国際交流センター次長の業務は,留学について本件大学と協定校との交換留学生の面倒を見ることが主たるものであったが,その他に国際交流事業全般にわたっていた。なお,同センター長は,学部教授が兼務していたことから,原告が同センターの実質的な運営一切を任される立場にあった。 (ウ) 学長室次長付き調査役の業務は,学長の下で,平成20年に大学評価機関への申請を予定していた本件大学の認証評価に関する業務の実質的プロジェクト・マネージャーとして,大学組織内に自己点検をする機能を構築するというものであった。 (エ) 図書館長付き調査役の業務は,図書館カウンターで利用者の相談に応じたり,本件大学のゼミ授業の一環として図書館の利用法や情報検索法のガイダンスをするなどというものであった。 イ被告が主張する解雇事由についての認否,反論原告には,以下のとおり,被告が本件解雇の理由とした解雇理由に該当する事実はない。したがって,本件解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当と認められないものであり,解雇権を濫用したものとして無効である。 (ア) 上記(1)ア(ウ 雇理由に該当する事実はない。したがって,本件解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当と認められないものであり,解雇権を濫用したものとして無効である。 (ア) 上記(1)ア(ウ)の主張についてa 同a(a)~(c)の事実はない。 同a(d)は,原告が国際交流センターの職員に対して個人面談をしたことは認めるが,職員の業務内容や業務遂行上の問題点を把握するために必要な範囲で行ったものであり,職員の相互不信を招いたり,職員に困惑をさせるようなことはなかった。 b 同bは,原告の大学院生に対する窓口対応は適切なものであったし,P8学長に報告したことについては,P8学長から感謝されている。 c 同cは,要請したことは否認する。原告は,窓口業務に関して専任職員の負担を減らして付加価値の高い本業に専念させるため,本件大学人事部に対し,窓口業務を担当する者としてコミュニケーション能力を備える臨床心理士の資格を有している派遣職員が望ましいという意見を伝えたにすぎない。 d 同d(a)は,職員の能力向上を図るために行ったものであるが,原告の真意が伝わらなかったかもしれない。 同d(b)~(e)は,同センターにおける業務の中長期的な効率化,ミスの減少,勤務状況の共有化等を図るために必要なものとして指示したものであり,これについてはP7センター長も了解していた。 同d(f)は,アルバイト職員にメールアドレスを取得させたことは認める。これは,既に10数年も同センターで就労し,同センターの業務に精通していたアルバイト職員に対してメールアドレスを取得さ せ,同職員の能力を有効に活用しようとしたものである。 同d(g)の事実はない。 ンターで就労し,同センターの業務に精通していたアルバイト職員に対してメールアドレスを取得さ せ,同職員の能力を有効に活用しようとしたものである。 同d(g)の事実はない。 e 同eは,原告が,国際学部が開講している留学生及び日本人学生のための英語による授業を遠隔授業として本件大学αキャンパスで行うシステムの導入に向けた準備業務を行ったことは認めるが,原告は,これを独断で行ったのではない。原告は,以上の準備業務を,P8学長及びP7センター長の了承の下,P7センター長に報告,相談しながら進めた。 f 同fの事実はなく,本訴に至るまでこの点が問題とされたことはない。 g 同g(a)及び(b)の事実はない。 (イ) 上記(1)イ(イ)の主張についてa 同aは,原告が命じられた認証評価業務を行わなかったという事実はない。原告は,学長室に異動後直ちに同業務に着手し,異動時から2週間後の平成20年3月16日に開催された大学評価説明会において,同業務の解説を行ったほか,その後も積極的に同業務を行った。 b 同bは,原告が命じられた教員業績データベースの入力作業を行わなかったという事実はない。原告は,同作業の従事命令を取り消されることなく,同データベースを作成している。 c 同c~eの事実はない。 d 同f(a)~(c)の事実はない。なお,同f(c)で指摘されている原告が出席しようとした学外の研修とは,P2大学・P3共催のシンポジウムである「ユビキタス先導~産学連携の未来~」であるところ,産学連携は大学認証評価における主要な項目の一つであった。そして,同シンポジウムの開催日であった平成19年7月20日は,学長室が担当していた認証評価業務に関し 先導~産学連携の未来~」であるところ,産学連携は大学認証評価における主要な項目の一つであった。そして,同シンポジウムの開催日であった平成19年7月20日は,学長室が担当していた認証評価業務に関して重要な日ではなかったので,原告 は,同日午後に有給休暇を取り,同シンポジウムに参加した。 e 同gは,P14学長室次長が原告に対して業務指示書を出したことは認めるが,同書に書かれているような事実はない。 (ウ) 上記(1)ウ(イ)の主張についてa 同a(a)~(d)の事実はない。このような事実があれば原告をカウンター業務に就けることはあり得ないところ,原告は,他の職員よりも多くカウンター業務に就いていたのであり,この事実は,原告のカウンター業務が良好であったことを示している。 b 同b(a)の事実はない。 同b(b)のうち,原告がILL料金を10円過少に徴収したこと,同b(c)のうち,原告がILL料金を30円過大に徴収したことがあったことは認めるが,原告は,これらの行為について反省し,その後は同様の料金徴収に関する問題を起こしていない。原告は,ILL料金の徴収に関して,被告から事前に指示,注意を受けておらず,事後的に誤りを指摘されたにすぎない。 同b(d)の事実はない。 同b(e)の事実はない。 5 争点②(原告の賃金請求権の有無)に関する当事者の主張(1) 原告ア本件解雇時点における原告の賃金は月額62万0800円であり,その支払日は毎月22日である。 イ被告は,原告に対し,平成21年3月分以降の賃金を支払わない。 (2) 被告上記(1)は認める。しかし,本件解雇は有効であるから,被告には原告主張の賃 毎月22日である。 イ被告は,原告に対し,平成21年3月分以降の賃金を支払わない。 (2) 被告上記(1)は認める。しかし,本件解雇は有効であるから,被告には原告主張の賃金支払義務はない。 第3 当裁判所の判断 1 争点①(本件解雇の効力の有無)について(1) 原告が配置された部署が扱う事務証拠(乙20,22,35)によれば,以下の事実が認められる。 ア本件大学には,大学一般の事務及び被告から委任された事務を行う事務組織として事務局が置かれており,事務局は,その所掌事務を行うため,その下部組織として部,室及びセンターを置いている。また,部,室及びセンターには,課及び事務室が置かれており,さらに,必要に応じて課及び事務室に係が置かれている。国際交流センター,学長室及び図書館は,いずれも事務局の下部組織である。 イ国際交流センター国際交流センターには,課として国際交流課が置かれている。同課の分掌事務は,①教職員及び学生の国外留学に関する事項,②外国人留学生及び海外帰国子女に関する事項,③被告及び本件大学が加盟する国際団体との連絡又は会議出席等に関する事項,④国際交流委員会に関する事項,⑤国際交流にかかわる広報活動に関する事項,⑥その他被告から委任を受けた事項である。国際交流委員会は,国際交流担当副学長,教務部長,学生部長,大学事務局長,同センター長等を構成員として,本件大学の教職員及び学生にかかわる国際交流計画の基本方針を策定し,その運用を図ることを目的として本件大学に設置されている組織である。 同センターの上記事務における主な日常業務は,国外に留学を希望する学生への相談,指導,留学手続,海外からの留学生への相談,指導,入学手続,協定校 して本件大学に設置されている組織である。 同センターの上記事務における主な日常業務は,国外に留学を希望する学生への相談,指導,留学手続,海外からの留学生への相談,指導,入学手続,協定校からの来校者等に対する応接等である。 同センターは,αキャンパス及び横浜キャンパスのそれぞれに事務室を置いており,原告が次長として就任する前は,αキャンパス事務室には,国際交流課長1名,正職員1名及びアルバイト職員1名の合計3名の職員が,横浜キャンパス事務室には,正職員2名,派遣職員1名の合計3名の 職員が在籍していた。 ウ学長室学長室には,課として秘書課,企画課及び教育研究支援課が置かれている。このうち,企画課の分掌事務は,①本件大学の長期学事計画及び年次学事計画の企画,調査,立案に関する事項,②学事にかかわる情報の収集,分析,調査,統計に関する事項,③教学にかかわる規程の検討に関する事項,④自己点検・自己評価に関する事項であり,教育研究支援課の分掌事務は,①ファカルティ・ディベロップメント及び教員評価の企画,調査,実施補助に関する事項,②教育研究における外部助成獲得のための調査,学内調整,申請,実施補助に関する事項,③教育研究における内部助成の企画,立案,学内調整,実施補助に関する事項である。 エ図書館図書館には,課として資料管理課及び利用サービス・電子情報課が置かれている。このうち,利用サービス・電子情報課の分掌事務は,①図書及び資料の利用サービスに関する事項,②参考業務・相互協力に関する事項,③資料の電子化に関する事項,④逐次刊行物に関する事項である。同課には,利用サービス係と電子情報係があり,利用サービス係は,利用者対応を内容とするカウンター業務,授業のガイダン 互協力に関する事項,③資料の電子化に関する事項,④逐次刊行物に関する事項である。同課には,利用サービス係と電子情報係があり,利用サービス係は,利用者対応を内容とするカウンター業務,授業のガイダンス等を担当し,電子情報係は雑誌の受入れ,電子ジャーナル等を担当する。 (2) 国際交流センター次長在職中の原告の業務状況についてア原告の国際交流センター次長の業務内容(ア) 上記第2の2の前提事実(以下,単に「前提事実」という。)並びに証拠(認定に用いた証拠は認定事実の末尾に記載する。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 a 平成18年当時,本件大学では,国際交流の一層の充実,協定校の拡大を図るため,また,留学の目的が従来の勉学を主としたものにと どまらず,国際インターンシップや国際ボランティアなど多様化してきた状況にかんがみて,国際交流センターが本件大学の他の部署との協力を得て国際センターなるものを作る構想が持ち上がっていた。同年4月に同センター長に就任したP7センター長は,上記の状況に対応できるように同センターの管理体制を充実させること,その当時の同センター所属職員が全員女性であったことから緊急時の海外出張に備えることが必要であると考え,本件大学事務局に対し,高度な英語能力とマネジメント能力を有する男性を同センターの次長職として置くことを要望していた。しかし,本件大学内には適任者がいなかったことから,学外から登用することとなり,P12人事部長がその任に当たった。 [乙19,24,25]bP12人事部長は,同年8月ころ,P23大学のP24講師と会い,適任者の紹介を依頼した。原告は,同月ころ,P24講師から,P12人事部長が本件大学の国際交流担当 乙19,24,25]bP12人事部長は,同年8月ころ,P23大学のP24講師と会い,適任者の紹介を依頼した。原告は,同月ころ,P24講師から,P12人事部長が本件大学の国際交流担当として英語能力とマネジメント能力のある人を探しているがどうかという打診を受け,これを受けることとした。P24講師は,同年9月ころ,P12人事部長に原告を紹介した。 [甲11,96,乙25]c 原告は,昭和51年3月にP2大学大学院計測工学研究科修士課程を修了後,同年4月から平成3年4月までP3(入社時点は○○)に,同年5月から平成15年12月までP4株式会社に,平成16年1月から同年11月まで株式会社P5に勤めた経歴を有しており,P4株式会社在籍中の平成7年から平成9年にかけて米国カリフォルニア州に所在する同社の関連会社に出向していた。原告は,P4株式会社に在籍中,財団法人P25センターの品質システム審査員及びP26協 議会認定のセルフアセッサーの資格を取得し,また,平成9年11月実施のTOEICテストで920点を取り,P4英語能力認定基準で国際業務レベル1の評価を受けていた。 [甲2~4,59,62,96]d 原告は,平成18年9月5日にP12人事部長との面談,同月20日にP9副学長,P7センター長,本件大学事務局長のP27(以下「P27大学事務局長」という。)及びP12人事部長による面接,同月25日にP7センター長との面談を経て,同年10月16日,被告との間で,前提事実(3)に記載の内容の本件労働契約を締結した。 (イ) 以上の認定事実によれば,原告は,国際交流センターの管理体制を充実するために,高度の英語能力とマネジメント能力を有する人物として被告に雇用されたことが認 の本件労働契約を締結した。 (イ) 以上の認定事実によれば,原告は,国際交流センターの管理体制を充実するために,高度の英語能力とマネジメント能力を有する人物として被告に雇用されたことが認められ,このことと同センターの所掌事務が上記(1)イのとおりであることを照らし合わせると,原告の同センター次長としての業務は,本件労働契約で定める業務内容である交換留学生の派遣及び受入れに関する業務の企画とマネジメントだけでなく,これを主としながら,同センターの所掌事務全般に及ぶものと認めるのが相当である。 なお,原告は,その陳述書(甲96)において,被告は原告が本件大学における大学改革の担い手となることを期待して原告を雇用した旨陳述する部分があるが,仮にそうであるとしても,本件労働契約上,同センター次長の業務に大学改革に関するものが含まれていることを認め得る証拠はない。 イ被告が就業規則16条1項4号に該当するものとして主張する原告の国際交流センターにおける行為等について(ア) 着任直後の不適切な就業状況についてa 証拠(甲96,乙19,20)によれば,原告は,平成18年10 月16日に国際交流センター次長に着任した直後から,①国際交流課の職員に対して質問をしたこと,②同課のP6課長から渡された「大学案内」,「留学ハンドブック」(派遣留学生用),「UC・ISPハンドブック」(交換留学生用),「正規留学生ハンドブック」(4年間本件大学で学ぶ留学生用)等に関して,P6課長等に質問をしたことが認められる。 被告は,上記①について,原告が質問を山のように浴びせかけ,他方,原告は職員の説明を聞かないことが度々あった,上記②について,原告は,P6課長から渡された上記資料を一読した様子 る。 被告は,上記①について,原告が質問を山のように浴びせかけ,他方,原告は職員の説明を聞かないことが度々あった,上記②について,原告は,P6課長から渡された上記資料を一読した様子がなく,これらの資料に関してP6課長及び職員に質問を浴びせかけた,原告は,一度説明された事項について,同じ質問を繰り返したり,既に交付されたデータを再度要求するなどした,このような行為により職員を困惑させたと主張し(上記第2の4(1)ア(ウ)a(a)~(c)),P6課長の陳述書(乙20)には,同旨の陳述部分がある。しかし,同センター次長に着任した直後の原告が,同センターの業務内容等を把握し,理解するために,P6課長を始めとして職員に質問することは,その程度や態様が非常識なものであって職員の業務を阻害したなどの事情がなければ,これを問題視するのは相当とはいえないところ,P6課長の上記陳述部分は,包括的で具体性のないものである上,P6課長の上司であるP7センター長の陳述書(乙19)には以上の点に関する陳述はなく,原告の陳述書(甲96)では以上の点を否定していることに照らすと,P6課長の上記陳述部分を採用することはできず,他に被告が主張する上記事情を認め得る証拠はない。 以上によれば,上記認定の原告の行為等をもって原告の業務態様や業務状況における問題行為に当たるとはいえない。 b 証拠(甲96,乙19,20)によれば,原告は,同センター次長 に就任後,職員との個別面談を,1人につき1回ないし3回の回数行ったことが認められる。 被告は,原告が,上記個別面談の際に,聴取した他の職員の印象や行動を別の職員に歪曲して伝えるなどし,P7センター長と職員との間に誤解,相互不信を招きかねない行動をとり,また,職員 。 被告は,原告が,上記個別面談の際に,聴取した他の職員の印象や行動を別の職員に歪曲して伝えるなどし,P7センター長と職員との間に誤解,相互不信を招きかねない行動をとり,また,職員を困惑させたと主張するが,これを的確に認め得る証拠はない。 以上によれば,上記認定の原告の行為等をもって原告の業務態様や業務状況における問題行為に当たるとはいえない。 (イ) 不適切な窓口対応について証拠(甲21,96,乙20,24)によれば,平成18年11月4日(土曜日),原告が国際交流センターで一人で勤務をしていたときに大学院生から電話で留学に関する問い合わせを受けたのに対して的確な対応ができず,これに腹を立てた同大学院生が同センターを訪れたこと,その際の原告の対応が十分なものでなかったことから,同大学院生が怒り,「学長と同窓会にいいつける」と言って帰ったこと,原告は,以上のことをP8学長にメールで伝えたことが認められる。 被告は,同センターにおける窓口対応上の問題は,同センター限りで対応して処理すべきものであるのに,原告は,P8学長に対して直接,メールで上記出来事を報告し,P8学長から,窓口対応はP6課長に聞くように指示されたと主張する。しかし,P6課長の陳述書(乙20)によれば,同センターにおける窓口対応上の問題は同センター限りで対応して処理するのが普通のやり方であるというにとどまるものであり,これ以外の対応方法をとることが許されないとまでは解されないし,原告の上記メールに対する同学長からの返信メール(甲22)の内容は,原告が上記メールをしたことを問題視し,咎める趣旨のものではない。 以上によれば,原告の上記窓口対応は不適切なものであるといえるが, P8学長に対し の返信メール(甲22)の内容は,原告が上記メールをしたことを問題視し,咎める趣旨のものではない。 以上によれば,原告の上記窓口対応は不適切なものであるといえるが, P8学長に対して連絡したことが直ちに原告の業務態様や業務状況における問題行為に当たるとはいえない。 (ウ) 人事に関する非常識な提案証拠(甲23の1・2)によれば,原告は,上記大学院生との窓口対応上のトラブルがあった日の翌々日の平成18年11月6日,P12人事部長に対し,P8学長から指示された国際交流センターの機能強化の方針を達成するために,不定期かつ煩雑な相談業務を専門に扱う派遣社員を配置することにより,正規職員をより付加価値の高い本業に専念させることを理由として挙げて,臨床心理士,コーチング資格取得者又は取得見込みの者を例示して,同センターにおける留学希望学生等に対するカウンター窓口や電話,メールなどを通した相談を主な職務とし,同センターの職員の事務補助を従たる職務とする派遣社員の手配を依頼することを内容とした「派遣社員手配依頼書」を提出したことが認められる。 被告は,原告が自らの窓口対応の不手際を反省することなく上記依頼書を提出したと主張する。上記大学院生との窓口対応上のトラブルがあった日と上記依頼書提出の日が近接していることからすると,同トラブルの発生が原告において同依頼書を提出することを思い至る要因になっていると見ることができる。そして,上記(イ)の認定事実によれば,同トラブルが原告の対応上の不手際から生じたものということができるところ,原告が,この点を踏まえて,同依頼書の内容の依頼をする必要性について十分検討,考察したことをうかがわせる証拠はなく,また,同提案をすることを同センター内で議論した形跡はない いうことができるところ,原告が,この点を踏まえて,同依頼書の内容の依頼をする必要性について十分検討,考察したことをうかがわせる証拠はなく,また,同提案をすることを同センター内で議論した形跡はない。そうすると,原告の上記行為は,思い付きで唐突に行った不適切なものと評価することができ,原告の業務態様における問題行為に当たるといえる。 (エ) マネジメント能力に欠けた不適切な業務指示等について a 証拠(甲24の1,25の2,80,96,乙7~11,19,20)によれば,原告は,①平成18年11月19日,国際交流課の全職員に対し,「プラダを着た悪魔」という映画を観て,その物語展開から,すべての映画における物語展開の共通点が何かを考え,それを抽出し,聞かせるようにという指示をしたこと,②同月22日,同課の全職員に対し,情報共有化を目的とするとの理由を挙げて,週報として,今週金曜日(又は土曜日)から,各自の<ⅰ>今週の成果, <ⅱ>超過勤務時間実績,<ⅲ>来週の予定,<ⅳ>来週の総超過勤務時間予想を,毎週金曜日(又は土曜日)の24時までに,同課の全職員,P7センター長及びP9副学長宛てにメール送信するよう指示したこと,③同年12月20日,課長以下の職員に対し,各担当業務の手順を文書化する作業の開始日と終了予定日を同日中に返送するようにメールで指示したこと,④平成19年1月5日,同月1日付けで異動したP6課長に対し,同月19日までに上記担当業務手順文書の作成を要請したこと,⑤同月8日,P6課長に対し,担当業務の優先順位付け,リスクマネジメントのための各業務についてのリスク評価として失敗の列挙及びそれぞれについて点数化を要請したことが認められる。 被告は,以上の原告の指示等について,国際交流センターの現 リスクマネジメントのための各業務についてのリスク評価として失敗の列挙及びそれぞれについて点数化を要請したことが認められる。 被告は,以上の原告の指示等について,国際交流センターの現状を把握しないまま,不要,不急の平常業務外の仕事を課し,同センター内の業務を過剰にし,かつ,混乱させたと主張する。上記①の指示については,同指示の内容が同センターの業務の改善等にどのように関連するのか明らかでなく,業務に関する指示としては不適当なものであるというべきである(原告も,その陳述書(甲96)において,業務上の指示の趣旨で行ったものではないが,適切でないことを認めている。)。上記②の指示については,報告事項がP6課長の勤怠管理業務と重なるものとはいえず,情報共有化という目的で週報を作成す ることは,一般的に業務改善につながる有用性のあるものということができる。しかし,原告が同指示を行うについて,その実施の必要性,実施開始日等に関して国際交流課内で事前調整を行った形跡はうかがわれず,原告が唐突に指示したものとみることができることからすると,同指示は職員にとまどいと混乱を生じさせる要因になったと考えられる。もっとも,同指示は結局のところ実施されなかったというのであるから(甲96),混乱の程度は小さいものであったと考えられる。上記③の指示については,その必要性が認められるほか,証拠(甲24の1)によれば,P7センター長も同指示事項に賛成していることが認められる。上記④の要請については,証拠(甲81)によれば,P6課長がこれを了解していたことが認められる。上記⑤の要請については,証拠(乙9)によると,平成19年1月1日付けで異動したP6課長に対し,引継事項の追加として要請したものであると認められるものであって,全職員に対する指示で とが認められる。上記⑤の要請については,証拠(乙9)によると,平成19年1月1日付けで異動したP6課長に対し,引継事項の追加として要請したものであると認められるものであって,全職員に対する指示ではなく,同要請が職員の業務を増加させたものというのは当たらない。 以上によれば,上記①及び②の指示は原告の業務態様や業務状況における問題行為に当たるといえるが,その余の指示及び要請をもって原告の業務態様や業務状況における問題行為に当たるとはいえない。 b 原告がアルバイト職員にメールアドレスを取得させたことは,当事者間に争いがない。 被告は,この点を原告のマネジメント能力の欠如を示すものであると主張する。しかし,証拠(甲96)によれば,同アルバイト職員は10数年間同センターで勤務していた者であることが認められるのに対し,同アルバイト職員が担当していた業務内容がどのようなものであったのかについて,これを認め得る証拠がなく,正職員と業務上の棲み分けがされていたのかどうかについては不明であることからする と,同アルバイト職員に正職員と同様にメールアドレスを取得させて業務を行わせることが直ちに不相当であると判断することはできない。 以上によれば,上記事実をもって原告の業務態様や業務状況における問題行為に当たるとはいえない。 c 被告は,原告が職員に対して方向性のずれた指示を行ったと主張するが,同主張自体具体性がなく,また,この点を具体的に認め得る証拠もない。したがって,この点を原告の業務態様や業務状況における問題事象として取り上げることはできない。 (オ) 上司の指示のない遠隔授業の推進について原告が,国際学部が開講している留学生及び日本人学生のための英 務態様や業務状況における問題事象として取り上げることはできない。 (オ) 上司の指示のない遠隔授業の推進について原告が,国際学部が開講している留学生及び日本人学生のための英語による授業に関して,これを遠隔授業として本件大学αキャンパスで行うシステムの導入に向けた準備業務を行ったことは,当事者間に争いがない。 被告は,原告が独断で上記業務を行ったと主張し,P7センター長の陳述書(乙19)には,同旨の陳述部分がある。しかし,証拠(甲30,31,33,34の1~7,64,96,乙24,原告本人)によれば,原告は,平成18年11月13日,P7センター長に対して遠隔授業導入の提案をし,同日,P7センター長から,検討することに賛意を示す内容の返事をもらったこと,同月15日,P8学長からもP7センター長と相談して検討するように言われたこと,平成19年1月8日から同月27日にかけて,原告とP7センター長との間で,遠隔事業の導入を進める方向に向けた内容のやり取りをしていることが認められることからすると,乙19の上記陳述部分は信用することができず,被告の上記主張も採用することができない。 以上によれば,上記認定の原告の行為等をもって原告の業務態様や業 務状況における問題行為に当たるとはいえない。 (カ) 英語能力の不活用について証拠(乙19,20)によれば,平成18年10月24日に催された米国P11カレッジの教授の来校歓迎昼食会に本件大学からP9副学長,P7センター長,P6課長及び原告が出席したが,原告は,同教授と英語で会話をすることは全くなく,P9副学長とのみ話をしていたことが認められる。しかし,この事実から直ちに原告が英語能力を活かしていないと断定することはできず,他 原告が出席したが,原告は,同教授と英語で会話をすることは全くなく,P9副学長とのみ話をしていたことが認められる。しかし,この事実から直ちに原告が英語能力を活かしていないと断定することはできず,他に,原告が英語能力を活用していないことを的確に認め得る証拠はない。したがって,この点を原告の業務態様や業務状況における問題事象として取り上げることはできない。 (キ) その他の不適切な言動についてこの点に関する被告の主張は,包括的で抽象的なものであり,また,この点に関する具体的な事実関係を的確に認め得る証拠もない。したがって,この点を原告の業務態様や業務状況における問題事象として取り上げることはできない。 しかし,上記(エ)aで述べたように,映画鑑賞や週報の作成に関する原告の指示の仕方等には問題となり得る余地があるほか,P6課長の後任であるP28からの原告の業務状況についての報告(乙19の添付資料)には,原告は誰とも相談することなく原告だけの判断で業務指示を出すなどし,組織としての組織運営を行おうとする姿勢がないということを指摘しており,P7センター長及びP6課長の各陳述書(乙19,20)には,これと同旨の陳述部分があること,P7センター長及びP8学長の各陳述書(乙19,24)には,原告が国際交流センターに着任してから1か月半ないし2か月を経過したころから,原告に関する同センター内の不協和音や不満が聞こえてきた旨の陳述部分があること,後記ウで認定している原告が学長室へ異動することになった経緯を総合 すると,同センターの職員は,原告の同センターにおける業務態様や業務状況について否定的,批判的な見方をしており,その間の関係性が良くない状態となり,業務遂行上支障となる状況になっていたことが認められる。 同センターの職員は,原告の同センターにおける業務態様や業務状況について否定的,批判的な見方をしており,その間の関係性が良くない状態となり,業務遂行上支障となる状況になっていたことが認められる。 ウ学長室次長付き調査役への異動の経緯前提事実(4)及び証拠(甲96,乙6,19,25,79)によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 平成19年1月ころ,P7センター長は,P27大学事務局長に対し,原告とP7センター長及び国際交流センターの職員との関係がうまくいっていない旨の話をし,原告の異動を申し入れた。これを受けて,P27大学事務局長は,P12人事部長に対し,人事部の管理職をして,同センターの職員全員から聞取調査をするように要請した。 P12人事部長は,本件大学人事部人事課長のP29及び同部人事企画課長のP30をして,同センターの職員に対する個別面談を行った。 (イ) 本件大学人事部では,上記個別面談の結果に基づいて検討した結果,原告を速やかに他部署へ異動させるべきであるとの結論に達した。同部が平成19年2月13日付けで作成した「国際交流センター次長について(総括的意見)」と題する書面には,上記結論の理由として,①マネジメント能力及びコミュニケーション能力が著しく欠けていること,②就任早々行った個人面談において職員間の人間関係及び職員と原告との関係に不信感を根付かせてしまったこと,③同センターの業務を理解する姿勢が全く見られず,自分の興味のみを根拠に改革を行おうとしていること,④以上の理由により,被面談者全員が原告との組織運営及び業務遂行を不可能と考えていることが挙げられている。以上のことは,P12人事部長からP27大学事務局長に対し,同部の意見として上記結論が報告された。 より,被面談者全員が原告との組織運営及び業務遂行を不可能と考えていることが挙げられている。以上のことは,P12人事部長からP27大学事務局長に対し,同部の意見として上記結論が報告された。 (ウ) 同日,P27大学事務局長及びP12人事部長は,原告に対し,学長室への異動を伝え,原告は,同年3月1日付けで学長室次長付き調査役として学長室に異動した。 (3) 学長室次長付き調査役在職中の原告の業務状況についてア原告の学長室次長付き調査役の業務内容(ア) 上記(1)ウの認定事実及び証拠(乙21,26)によれば,以下の事実が認められる。 a 平成16年に全国すべての大学が文部科学省の認定を受けた認証評価団体による評価を受けるという認証評価制度が導入されていたところ,本件大学は,平成21年度に認証評価を受けることになっており,学長室がこれに係る業務(以下「認証評価業務」という。)を担当していた。平成19年3月ころは,認証評価を受けるための準備を始めた段階であり,具体的な業務内容としては,認証評価団体に提出する書類の作成準備,一連の認証評価業務に対する本件大学内の啓蒙・啓発活動,認証評価を受けるための本件大学内の仕組みを構築することなどがあった。 bP14学長室次長及びP13企画課長は,同年3月1日,P27大学事務局長から,原告が学長室に異動になるので然るべき仕事を任せるようにしてほしいとの話を受け,原告に認証評価業務を担当させることとした。また,P13企画課長は,その時点での認証評価業務の仕事量は多くなかったことから,原告に学長室教育研究支援課が所掌している教員業績データベースの入力作業を併せて担当させることとした。 (イ) 以上の認定事実によれば,原告が学長室次長 務の仕事量は多くなかったことから,原告に学長室教育研究支援課が所掌している教員業績データベースの入力作業を併せて担当させることとした。 (イ) 以上の認定事実によれば,原告が学長室次長付き調査役として担当を命じられた業務は,認証評価業務及び教員業績データベースの入力作業であることが認められる。 なお,原告の陳述書(甲96)には,原告は,学長室への異動を伝えられた際,P27大学事務局長から「認証評価や教学改革の仕事に従事していただきたい。」,P12人事部長から「人事の基本は適材適所です。それを考えて,原告を学長室に異動させました。」と言われ,平成18年11月30日に学長室長の職を解かれたP31教授に代わって認証評価業務を担当する人物として学長室に異動したのであり,この点は,同年10月8日に開催された部次長会議のメモ(乙30)により裏付けられる旨陳述しているが,P27大学事務局長及びP12人事部長の上記発言は,原告の異動の理由を伝えた際の発言であって,原告の異動後の業務を定めたものではなく,上記メモ(乙30)は,その内容に照らすと,原告の上記陳述内容を裏付けるものではないことからすると,原告の上記陳述部分は採用できない。 イ被告が就業規則16条1項4号に該当するものとして主張する原告の学長室における行為等について(ア) 認証評価業務の不着手について被告は,原告が,認証評価制度に係る業務を命じられ,P13企画課長から同業務の内容について説明を受けたが,同業務の必要性や評価の意義についての議論ばかりして,実際に同業務に着手しなかったと主張し,P13企画課長の陳述書(乙21)には同旨の陳述がある。しかし,証拠(甲36~39,乙39の1~8,40の1~3)によれば,原告は,学 ついての議論ばかりして,実際に同業務に着手しなかったと主張し,P13企画課長の陳述書(乙21)には同旨の陳述がある。しかし,証拠(甲36~39,乙39の1~8,40の1~3)によれば,原告は,学長室への異動後,同異動発令日から約2週間後の平成19年3月16日に行われる認証評価業務に関する業務である大学評価説明会において「2007年度大学評価スケジュールについて」を説明するための準備に取りかかっていること,原告は,同日,同説明会において上記の事項を説明したことが認められ,また,証拠(甲40の1・2,41,42の1~7,43の1・2,68,乙26,41の1・2,42~4 6,48,51~55)によれば,原告は,その後,学長室企画課の職員と共に,同年6月6日に開催された認証評価業務に関する講習会の準備等をし,同講習会において,「自己点検・評価報告書書き方」の講師を務め,好評を得たこと,同月19日に開催された部会活動フォローアップ説明会の講師を務めたことが認められることからすると,同課長の上記陳述部分は措信できず,被告の上記主張は採用することができない。 また,被告は,原告がプレ認証のフィードバックには全く着手していないと主張している。しかし,証拠(甲66,乙36,37,39の8)によれば,上記大学評価説明会において原告が説明したプレ認証のフィードバックをする時期としては,平成20年2月末を予定していたこと,原告は,平成19年12月21日,「プレ認証評価活動に対する全体的講評」を作成していること,被告は,平成20年3月7日,「プレ認証自己点検・評価報告書に対する全体的講評」を作成し,プレ認証に関する評価結果を示したことが認められることからすると,被告の上記主張は採用することができない。 以上によれば,認証評 認証自己点検・評価報告書に対する全体的講評」を作成し,プレ認証に関する評価結果を示したことが認められることからすると,被告の上記主張は採用することができない。 以上によれば,認証評価業務に関して問題事象として取り上げるべき原告の業務態様や業務状況は認められない。 (イ) データベース入力作業の懈怠について上記ア(ア)bの認定事実及び証拠(甲47,96,乙21,27)によれば,学長室教育研究支援課では,本件大学の教員の業績をデータベース化する業務を担当していたこと,データ入力は,当初,各教員自らがデータを入力する方法が検討されていたが,その後,事務方でデータを入力したものを各教員に確認,加除訂正してもらう方法を採ることとなったこと,P14学長室次長は,学長室に異動してくる原告にデータ入力を担当させることとしたこと,平成19年3月7日,原告,企画課からP13企画課長ほか2名,教育研究支援課から2名が出席して,学 長室において教員業績データベースに関する打合せが行われたこと,同課課長のP32(以下「P32教育支援課長」という。)は,そのころ,原告に対し,データ入力をするように指示したことが認められ,以上によれば,原告は,学長室に異動直後から教員業績データベース作成業務に加わり,データ入力作業を担当することになったことが認められる。 証拠(乙21,27)によれば,原告が上記のデータ入力作業に積極的な姿勢で取り組んでいなかったこと,P32教育支援課長は,P14学長室次長に対し,原告に対する教員業績データベース作成業務命令を取り下げるよう依頼したことがあったことが認められるが,他方,証拠(甲48,49,67,100,101,乙27,原告本人)によれば,同年7月及び同年8月の時点で,原告と 績データベース作成業務命令を取り下げるよう依頼したことがあったことが認められるが,他方,証拠(甲48,49,67,100,101,乙27,原告本人)によれば,同年7月及び同年8月の時点で,原告とP32教育支援課長らとの間で,同業務に関するメールのやり取りが行われており,原告が入力した約500件のデータが同課長に提出されたことが認められる。 被告は,原告が,教員業績データベースの入力作業を命じられたが,同作業を進めず,結局,原告に対する同作業の従事命令は取り下げられたと主張し,P13企画課長の陳述書(乙21)には,同旨の陳述部分があるが,同作業の従事命令の取下げがいつ行われたのかについて具体的な陳述はない。この点と上記各認定事実に照らすと,被告の上記主張及びP13企画課長の上記陳述部分を採用することはできない。他に,教員業績データベース作成業務において,原告が支障その他好ましくない状況を生じさせたことを認め得る証拠はない。 以上によれば,教員業績データベース作成業務に関して問題事象として取り上げるべき原告の業務態様や業務状況は認められない。 (ウ) 電話対応の回避について被告は,原告が,その業務である電話対応を避ける態度をとり,注意を受けても改善しなかったと主張するが,同主張自体具体性がなく,ま た,この点を具体的に認め得る証拠もない。したがって,この点を原告の業務態様や業務状況における問題事象として取り上げることはできない。 (エ) 不適切な入試業務について証拠(甲50の1・2,乙21,26)によれば,原告は,学長室の他の職員より多く,平成20年度本件大学の入試業務を担当したこと,原告は,事前の入試業務説明会で寝てしまい,後日,入試担当職員に入試業務の (甲50の1・2,乙21,26)によれば,原告は,学長室の他の職員より多く,平成20年度本件大学の入試業務を担当したこと,原告は,事前の入試業務説明会で寝てしまい,後日,入試担当職員に入試業務の内容を質問したり,入試当日,受験生のための椅子に座っていたことについて受験生からクレームが寄せられたことが認められる。 以上の点は,原告の業務態様や業務状況における問題行為に当たるといえる。 (オ) 不適切な執務態度について証拠(乙21)によれば,P13企画課長は,原告の業務態度を見て,与えられた業務に関心がなく,議論好きで,責任を持って業務を遂行する姿勢に欠けているという評価をしており,原告の議論に付き合うと自分の業務ができないことがあったことが認められる。 以上の点は,原告の業務態様や業務状況をマイナス評価する事情になるといえる。 (カ) 業務外の業務への従事についてa 証拠(甲96,乙21)によれば,原告は,学長室に異動した後も,国際学部の遠隔授業の導入に関して業者からの電話を受けていたことが認められる。しかし,原告は,その陳述書(甲96)において,同電話は,原告が学長室に異動したことを知らない遠隔授業用機器販売業者が異動後に電話を掛けてきたことがあったが,同業者と遠隔授業について協議したことはない旨陳述しており,また,原告が遠隔授業の導入に関して業者と協議,提案をしていたことを具体的に示す証拠 はない。 以上によれば,上記の点を原告の業務態様や業務状況における問題事象として取り上げることはできない。 b 証拠(甲96)によれば,原告が,本件大学の食堂の改装に関して知り合いの業者をP8学長に紹介したことが認められる。しかし,この事実 における問題事象として取り上げることはできない。 b 証拠(甲96)によれば,原告が,本件大学の食堂の改装に関して知り合いの業者をP8学長に紹介したことが認められる。しかし,この事実関係のみで,原告が本件大学の食堂の改革業務にかかわったということはできないし,他にそれを認め得る証拠はない。 以上によれば,上記の点を原告の業務態様や業務状況における問題事象として取り上げることはできない。 c 被告は,原告が,認証評価業務を行うべき日に学外の研修に参加しようとし,P14学長室次長から業務命令が出されて,ようやく同研修への参加をあきらめたと主張し,P13企画課長の陳述書(乙21)には同旨の陳述部分がある。しかし,証拠(甲53,54,96)によれば,上記研修は,平成19年7月20日にP2大学とP3の共催により開催されたシンポジウム「ユビキタス先導~産学連携の未来~」であること,原告は,同研修に,同日午後半日の有給休暇を取って参加したことが認められるほか,P13企画課長の別の陳述書(乙26)には,原告が有給休暇を取って同研修に参加したことを認める陳述をしており,同日,行わなければならなかった認証評価業務が何なのかを認め得る証拠はないことからすると,被告の上記主張及び同主張に沿うP13企画課長の上記陳述部分は採用することができない。そして,原告が同研修に参加したことにより,学長室における業務に支障が生じたことをうかがわせる事情を認め得る証拠もない。 以上によれば,上記の点を原告の業務態様や業務状況における問題事象として取り上げることはできない。 (キ) 業務指示書の無視 a 証拠(甲96,乙14,21)によれば,P14学長室次長は,平成19年11月30日,原告に対 おける問題事象として取り上げることはできない。 (キ) 業務指示書の無視 a 証拠(甲96,乙14,21)によれば,P14学長室次長は,平成19年11月30日,原告に対し,以下(a)~(k)の指示内容を記載した「業務指示書」と題する書面を交付したことが認められる。 (a) 勤務時間変更は上司の指示に従う。本人の都合は認めない。 (b) 電話当番,11:45~12:30及び16:25~退勤時における電話の当番である。(P33氏のシフト勤務ということは,上記電話当番時に職員が離席する時間であるため,それがP33氏の当然の業務とみなしている。このことに気付かずにいることが問題視)(c) 休暇を率先して取得しないこと。また,旅行など個人の都合を最優先しないこと。 (d) 就業中の読書を禁じます。 (e) 以前から指示している,認証関連業務について当該課長の指示を順守し,その報告を日誌で提出すること。(優先第1位)(f) 履修要項等により本学諸学科生の入学から卒業までの卒業要件,履修方法を会得し,当該学生の質問に答えられる実力を上司に報告すること。 (g) 学生奨学金の種類,応募方法等を理解し,学生から奨学金関連の質問を受けても応じられる実力を備えること。 (h) 突然の時間外勤務の指示に応えられること。 (i) 上司が指示した作業を実施し,その報告を提出すること。 (j) 業務日報を退勤時に上司の机上に提出すること。(業務日誌は,時間ごとに上司に指示された詳細な作業報告と,達成度を記入すること)(k) 上記の指示を誠実に履行すること。 b 被告は, 司の机上に提出すること。(業務日誌は,時間ごとに上司に指示された詳細な作業報告と,達成度を記入すること)(k) 上記の指示を誠実に履行すること。 b 被告は,上記業務指示書をもって原告の勤務態度の改善を指示した が,原告は改善しなかったと主張し,P13企画課長の陳述書(乙21)には同旨の陳述部分がある。上記内容の業務指示書が出されたということからすると,原告には,同業務指示書に記載されている各指示事項が出される原因となる問題行為があったことは推認されるが,それぞれの指示事項における原告の問題行為を具体的に認め得る証拠はなく,また,改善しなかった内容についても,これを具体的に認め得る証拠はない。 以上によれば,原告には,上記各指示事項の原因となる業務態様や業務状況における問題行為があったといえるが,その具体的内容も行為の問題性の程度も不明である。 ウ図書館長付き調査役への異動の経緯前提事実(5)及び証拠(乙25)によれば以下の事実が認められるが,これ以外に,原告が図書館に異動した経緯を認め得る証拠はない。 (ア) 原告が学長室に異動した後も,本件大学人事部には,原告が他の職員とうまくいかないという情報が入っていた。P12人事部長は,平成19年12月ころ,原告に対し,個人的に転職を打診し,また,原告を被告に紹介したP24講師に対し,原告に転職を勧めるよう依頼をしたが,原告は,転職を拒否した。 (イ) 原告は,平成20年1月1日付けで,図書館長付き調査役として図書館に異動した。 (4) 図書館長付き調査役在職中の原告の業務状況についてア原告の図書館長付き調査役の業務内容上記(1)エの認定事実及び証拠(甲96,乙22 役として図書館に異動した。 (4) 図書館長付き調査役在職中の原告の業務状況についてア原告の図書館長付き調査役の業務内容上記(1)エの認定事実及び証拠(甲96,乙22)によれば,原告は,利用サービス・電子情報課の利用サービス係に配置され,主にカウンター業務に従事したこと,カウンター業務は,図書館の利用者と直接対応する業務であることが認められる。 イ被告が就業規則16条1項4号に該当するものとして主張する原告の図書館における行為等について(ア) 不適切な執務態度について証拠(乙23,29)によれば,原告は,①カウンター業務に就いていた時に,原告の携帯電話に掛かってきた業務以外の電話に出ることがしばしばあったこと,②カウンター業務に従事中,本を読んでいたことが何度もあったこと,③平成21年1月中旬ころ,5階カウンターで腕組みをしたり,足を組んで座っていたこと,④5階カウンターで執務をしていた時,執務室とカウンターとの間の扉は開けることになっていたのに,同扉を閉めて執務していたこと,原告は,以上のうち読書を除く執務態度について注意を受けたが,執務態度を直さなかったことが認められる。 他方,上記①については,頻度や電話状況などの具体的事情を認め得る証拠はなく,上記②については,被告は,業務と無関係な本を読んでいたと主張するが,具体的にどのような本を読んでいたのかを認め得る証拠はなく,また,いずれについてもカウンター業務にどの程度の支障を及ぼしたのかは不明である。上記③については,証拠(乙23)によれば,図書館を利用した本件大学の職員から,原告の上記③の執務態度を見て,声をかけずらい雰囲気で感じが悪かったという指摘があったことが認められるが,カウンター業 上記③については,証拠(乙23)によれば,図書館を利用した本件大学の職員から,原告の上記③の執務態度を見て,声をかけずらい雰囲気で感じが悪かったという指摘があったことが認められるが,カウンター業務自体に支障が生じたことをうかがわせる事情を認め得る証拠はない。上記④については,被告は,利用者に迷惑を掛けたと主張するが,この点を認めるに足りる証拠はない。 以上によれば,原告の上記認定の各行為は,勤務態度が悪かったことを示すものとして,原告の業務態様における問題行為とみることができるが,その内容に照らすと,重大なものとはいえない。 (イ) 不適切な業務遂行について a 購入希望図書情報の不適切な管理について(a) 証拠(甲92,96,乙22,23,28,証人P16)によれば,以下の事実が認められる。 本件大学では,電子データの保存・管理方法として,大学職員であれば誰でも閲覧できるサイボウズを使うものと,閲覧するには図書館職員用のIDとパスワードを必要とするJドライブを使うものとがあった。図書館では,扱う情報に利用者の個人情報が含まれることから,その情報の保存・管理はJドライブを使って行っていた。 原告は,学生の購入希望図書に係る情報を整理する業務に従事していたところ,P15主任に対し,同情報をサイボウズのファイル管理ソフトを使って保存・管理することを申し入れた。これに対し,P15主任は,情報管理上,Jドライブに保存するように指示した。 しかし,原告は,同指示に反して,同情報をサイボウズに保存した。 その後,原告が上記情報をサイボウズに保存していることが発覚し,P15主任は,平成20年10月17日,原告に対し,当該保存方法は情報管理上問題 して,同情報をサイボウズに保存した。 その後,原告が上記情報をサイボウズに保存していることが発覚し,P15主任は,平成20年10月17日,原告に対し,当該保存方法は情報管理上問題があることを指摘し,Jドライブに保存するように再度指示したが,原告は,異論を唱えて同指示に従う姿勢を示さず,その間で口論する状態になった。原告は,同月22日,上記情報をJドライブに移した。 (b) 以上認定した原告の上記情報管理行為は,原告の業務態様や業務状況における問題行為に当たるといえる。 bILL料金の過少徴収について(a) 証拠(甲96,乙15,22,23)によれば,以下の事実が認められる(ただし,原告がILL料金を10円過少に徴収したことは,当事者間に争いがない。)。 原告は,同月1日,カウンター業務の一つであるILL料金収受 業務を担当した際,同料金を支払いに来た学生から,独断で正規の額より10円少なく徴収した。原告は,この過少徴収について,ILL担当職員のP34から注意されたのに対し,10円位いいではないかなどと発言した。この過少徴収の事後処理は,P34が行った。 P16課長は,同月2日の朝会において,利用サービス係の職員全員に対し,ILL料金の収受は請求金額どおり正しく収受するように話をした。さらに,同月9日,P17図書館次長,P16課長及び原告の間で原告がした過少徴収について話し合う機会が持たれ,P17図書館次長は,原告に対し,過少徴収が問題であることを話したが,原告に問題意識を持っている様子も反省している様子も見られなかったことから,始末書の提出を命じた。 原告は,同日,始末書を提出した。その内容は,事実関係の説明と,今後 を話したが,原告に問題意識を持っている様子も反省している様子も見られなかったことから,始末書の提出を命じた。 原告は,同日,始末書を提出した。その内容は,事実関係の説明と,今後の対応として,「請求金額通り,請求する。」と記載したものであった。 (b) 以上認定した原告の上記ILL料金過少徴収行為は,原告の業務態様や業務状況における問題行為に当たるということができ,また,同行為を指摘された後の原告の対応も,問題行為に当たるといえる。 cILL料金の過大徴収について(a) 証拠(甲96,乙22,23)によれば,以下の事実が認められる(ただし,原告がILL料金を30円過大に徴収したことは,当事者間に争いがない。)。 原告は,上記bの始末書を提出した日から1週間後の同月17日,ILL料金を支払いに来た学生から,独断で正規の額より30円多く徴収した。原告は,この過大徴収について,P34から注意を受 けたのに対し,学生が了解した,多ければ問題ないだろう,多くて何が悪いのかなどと発言した。P34は,この過大徴収の事後処理のために,上記学生を館内放送で呼び出したり,上記学生に図書館に来館するように依頼するメールを送信したが,上記学生は図書館に来なかった。 P16課長は,同日,過大徴収の事後処理が終わっていないのに,原告が定時に帰宅しようとしたのを見て,原告が過大徴収をしたことについて反省していないものと考え,原告に対し,改めて過大徴収をした理由を問い質した。原告は,多い分には構わないでしょう,多ければ問題ないだろう,顧客(学生)の時間を節約してあげた,多くて何が悪いのか,理由を教えてほしい,学生という顧客が良いと言っているのだから良いではないか, 。原告は,多い分には構わないでしょう,多ければ問題ないだろう,顧客(学生)の時間を節約してあげた,多くて何が悪いのか,理由を教えてほしい,学生という顧客が良いと言っているのだから良いではないか,顧客が中心の考え方だ,それが世の中の常識ですなどと発言し,怒った状態で図書館を退室した。 原告は,それから約10分後,P16課長と話し合いたいので図書館に戻る旨の電話を掛けて図書館に戻り,P16課長と話合いをした。話合いは1時間10分程度続いたが,双方の主張内容は平行線をたどった。同話合いの最後に,P16課長は,原告に対し,原告の今回と前回の徴収行為の後始末でP34が迷惑を被り,超過勤務になっている,P34に謝るべきではないか,一緒に働いている者の気持ちも考えるべきではないかということを話したところ,原告は,それは理解できると述べ,P34に謝り,握手を求めたが,P34は,謝罪は受け入れられない,許したくもないと対応した。 原告は,これ以後,ILL料金の徴収に関する過誤はない。 (b) 以上認定した原告の上記ILL料金過大徴収行為は,原告の業務態様や業務状況における問題行為に当たるということができ,ま た,同行為を指摘された後の原告の対応も,問題行為に当たるといえる。 d 紛失・汚損図書の弁償業務に係るメールの誤送信について(a) 証拠(乙23)によれば,以下の事実が認められる。 原告は,平成20年11月4日,担当していた紛失・汚損した貸出図書の弁償に関する業務に関して,借出人でない学生に対してメールを送信した。 P15主任は,同月7日,この点について同メールを受けた学生から指摘を受け,原告によるメールの誤送信の事実を確認した上, 業務に関して,借出人でない学生に対してメールを送信した。 P15主任は,同月7日,この点について同メールを受けた学生から指摘を受け,原告によるメールの誤送信の事実を確認した上,原告に対し,注意をするとともに,適切に連絡し直すように指示した。これに対し,原告は,誤送信したメールには弁償に関することは書いていない旨の言い訳をするなどした。 (b) 以上認定した原告の上記メール誤送信は,原告の業務態様や業務状況に関する問題行為に当たるということができ,また,同行為を指摘された後の原告の対応も,問題行為に当たるといえる。 e 予約図書業務に係る不適切なメール送信について(a) 証拠(乙23)によれば,以下の事実が認められる。 2冊の図書の借出予約をしていた学生が,同日,予約図書を受け取りに来たが,担当職員が予約図書を見つけることができなかったことから,借出事務が完了しなかった。その後,担当職員は,予約図書を見つけ,原告に対し,借出予約をしていた学生に対してメールで連絡するように引継ぎをした。同日が予約期間の最終日であったので,同日中に図書を取りに来るように連絡しなければならなかったところ,原告は,期限を限定しないで予約図書を受け取りに来るように伝えるメールを学生に送信した。 上記予約図書2冊は,同月8日,パソコン管理上,自動的に予約 が解除され,そのうちの1冊については,次の予約者が借出予約している状態になった。上記の同月7日の経過を知っていた他の職員は,上記予約図書を上記学生が受け取りに来る可能性があることから,上記予約図書の借出予約を解除してよいものかどうか迷い,困惑した。その後,他の職員がパソコン上借出予約解除になっている状態を元に戻すの ,上記予約図書を上記学生が受け取りに来る可能性があることから,上記予約図書の借出予約を解除してよいものかどうか迷い,困惑した。その後,他の職員がパソコン上借出予約解除になっている状態を元に戻すのに1時間半ほど要し,そのために時間外勤務が発生した。また,P15主任は,同月10日,上記出来事の原因を解明するために原告を含む関係者に事情聴取をし,これに約45分要した。原告は,同事情聴取において,原告に引継ぎをした職員の名前も覚えておらず,P15主任に対し,送ってほしいと言われたから送った,なぜ送信するのか詳細は分からなかったなどと説明した。 (b) 以上認定した原告のメール送信に関して上記担当職員が原告に対して行った引継ぎの具体的内容を認め得る証拠はない。そうすると,原告が,同担当職員から,借出予約をした学生に対して同日中に図書を取りに来るように連絡することを引き継いだかどうかは不明というほかなく,原告の上記メール送信が直ちに原告の業務態様や業務状況における問題行為に当たるとはいえない。 (5) 解雇事由の有無についての検討上記(2)~(4)の認定判断によれば,原告には,国際交流センター在職中に,① 学生に対する不適切な窓口対応をしたこと,② 手順を踏まないで唐突に派遣社員手配依頼書を提出したこと,③ 業務指示と受け取られる形で映画鑑賞を指示し,職員を困惑させたこと,④ 手順を踏まないで唐突に週報を作成するように指示し,職員を混乱させたこと,⑤ 同センターの職員と良好な関係性を保つことができず,業務運営上支障となる状況が生じ,学長室に異動することになったこと,学長室在職中に,⑥ 入試業務説明会で居眠りをしたり,入試当日に受験生のための椅子に座るなどしたこと,⑦ 好んで議論を持 ち掛けて他の職員の業務遂行 況が生じ,学長室に異動することになったこと,学長室在職中に,⑥ 入試業務説明会で居眠りをしたり,入試当日に受験生のための椅子に座るなどしたこと,⑦ 好んで議論を持 ち掛けて他の職員の業務遂行に影響を及ぼすことがあったこと,⑧ 業務指示書が出される原因となる行動があったこと(ただし,その具体的内容は把握できない。),図書館在職中に,⑨ 業務態度が悪かったこと,⑩ 購入希望図書情報を不適切な方法で管理したこと,⑪ ILL料金を過少に徴収したこと,⑫ ⑪の行動に引き続いてILL料金を過大に徴収したこと,⑬ 紛失・汚損図書の弁償業務に関してメールを誤送信したこと,⑭ ⑩~⑬の行為に関して,図書館の他の職員の業務に支障又は影響を及ぼしたこと,以上の業務態様や業務状況における問題行為が認められる。 原告は,上記(2)アで説示したとおり,高度の英語能力とマネジメント能力を有することを買われて国際交流センター次長として雇用された者であるが,上記①~④の行為は,原告のマネジメント能力に疑問を抱かせるものであり,上記⑤の状態は,同センター次長として期待された役割を果たせていないことを示すものである。また,上記⑥~⑧の行為は,組織に属して業務を担う職員としての適格性に問題があることを示すものである。上記⑨の行為は,問題ではあるが重大なものとはいえない。上記⑩~⑬の行為は,難しい専門的判断を要しない単純業務といえるような業務を適正に行わなかったというものであり,これらと併せて上記⑭の状態が生じたということは,同センター及び学長室に在職中にも現れた問題事象が図書館においても同様に生じているものであって,原告の組織に属して業務を担う職員としての適格性の問題性が小さいものではないことを示すものであるといえる。 被告が主張する本件解雇の理由 事象が図書館においても同様に生じているものであって,原告の組織に属して業務を担う職員としての適格性の問題性が小さいものではないことを示すものであるといえる。 被告が主張する本件解雇の理由は,原告の上記①~⑭の行為等が就業規則16条1項4号に該当するというものである。同条が規定する内容は,前提事実(7)のとおりであり,同号は,<a> 精神若しくは身体の障害によって業務に堪えられないと認められたとき,又は,<b> 教員にあっては,担当の学科目又は講座が廃止されたとき,又は,<c> 職員にあっては,担当業務が変更若しくは縮小されたときのいずれかに準ずる程度のやむを得ない事情がある ときに,解職することができると定めるものであるところ,上記①~⑭の原告の行為等は,それらを個別に見た場合には,上記<a>~<c>に準ずる程度のやむを得ない事情に当たるものとは到底いえず,それらを総合して見ても,上記○a~○cに準ずる程度のやむを得ない事情に当たるものとはいい難い。 原告は,被告に雇用された後,上記①~⑭の行為をし又は状態をもたらしているところ,これらは本件大学の職員として望ましくないものあるいは不適正なものであることは明らかであり,被告がこれらを服務上の問題事項として取り上げることには理由があるといえるが,上記(2)~(4)で認定判断したこれらの行為等の内容や態様及びこれらによる国際交流センター,学長室及び図書館におけるそれぞれの業務支障の状況や程度にかんがみると,原告を被告から排除しなければならないほど重大なものであるとはいい難い。 そうすると,原告には就業規則16条1項4号に該当する事由はなく,また,原告の上記①~⑭の行為等をもって原告を解雇に処することは,著しく不合理であって社会通念上相当なものとはいえない い。 そうすると,原告には就業規則16条1項4号に該当する事由はなく,また,原告の上記①~⑭の行為等をもって原告を解雇に処することは,著しく不合理であって社会通念上相当なものとはいえないというべきであるから,本件解雇は,解雇権を濫用したものとして無効であると解するのが相当である。 2 争点②(原告の賃金請求権の有無)について(1) 本件解雇当時の本件労働契約における原告の賃金が月額62万0800円であり,その支払日は毎月22日であることは,当事者間に争いがない。 (2) 上記1の認定判断のとおり,本件解雇は無効であるから,本件労働契約はなお存続しているところ,弁論の全趣旨によれば,原告は,就労の意思を表明しているが,被告は,本件解雇を理由として原告の就労を拒絶していることが認められる。そうすると,原告は,民法536条2項本文により,本件解雇以降も上記(1)の内容の賃金請求権を失わない。 3 以上によれば,原告の請求は全部理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部 裁判官青野洋士

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