令和3年10月26日判決言渡令和3年(行ケ)第10006号特許取消決定取消請求事件口頭弁論終結日令和3年9月14日判決 原告株式会社システムスクエア 同訴訟代理人弁護士岩永利彦 被告特許庁長官 同指定代理人渡戸正義同福島浩司同井上博之同小島寛史同石塚利恵 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 特許庁が異議2020-700117号事件について令和2年12月9日にした決定を取り消す。 第2 事案の概要本件は,特許取消決定の取消訴訟である。 1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。) ⑴ 被告は,平成29年9月20日,発明の名称を「X線検査装置」とする発 明について,特許出願(特願2018-543830号。優先権主張・平成28年10月4日。以下「本件出願」という。)をし,令和元年8月16日,その設定登録(特許第6569070号,請求項の数4)を受けた(特許掲載公報発行・同年9月4日。以下,この登録に係る特許を「本件特 8年10月4日。以下「本件出願」という。)をし,令和元年8月16日,その設定登録(特許第6569070号,請求項の数4)を受けた(特許掲載公報発行・同年9月4日。以下,この登録に係る特許を「本件特許」という。)。 ⑵ 令和2年2月27日付けで本件特許の請求項1ないし4に係る特許について特許異議の申立て(異議2020-700117号)がされたところ,原告は,同年7月13日付けで本件特許の請求項1ないし4に係る特許請求の範囲を訂正する訂正請求を行った(以下,この請求に係る訂正を「本件訂正」という。)。 ⑶ 特許庁は,令和2年12月9日,「特許第6569070号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。特許第6569070号の請求項1ないし4に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その謄本は,同月22日,原告に送達された。 ⑷ 原告は,令和3年1月14日,本件決定の取消しを求めて本件訴えを提起した。 2 特許請求の範囲の記載本件訂正後の本件特許の請求項1ないし4の発明(以下,「本件発明」といい,請求項の番号に従って「本件発明1」のようにいう。)に係る特許請求の範囲の 記載は,それぞれ,次のとおりである。 ⑴ 本件発明1(請求項1)被測定物にX線を照射するX線照射手段と,載置面に載置された前記被測定物を搬送する搬送手段と,前記被測定物を透過したX線の各光子について,光子が持つエネルギーを 所定の個数のエネルギー閾値に照らして,2以上のエネルギー領域に弁別し て検出するX線検出手段と,複数種別の前記被測定物のそれぞれにつ 光子について,光子が持つエネルギーを 所定の個数のエネルギー閾値に照らして,2以上のエネルギー領域に弁別し て検出するX線検出手段と,複数種別の前記被測定物のそれぞれについて,前記被測定物と前記エネルギー閾値とが直接的又は間接的に対応付けられて記憶された記憶手段と,前記記憶手段を参照し,入力された情報により前記種別が特定された前記被測定物に対応する前記エネルギー閾値を,前記所定の個数のエネルギー閾 値として前記X線検出手段が参照できるように保持する閾値設定手段と,前記X線検出手段が所定の1以上の前記エネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数又は光子の数に応じた量に基づいて,前記被測定物を検査する検査手段と,を備え, 前記X線検出手段は,前記載置面との対向状態が固定されていることを特徴とするX線検査装置。 ⑵ 本件発明2(請求項2)前記検査手段は,X線検出手段が前記1以上のエネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数又は光子の数に応じた量に基づいて,前記1以上 のエネルギー領域のそれぞれについてX線透過画像を生成し,各X線透過画像に対し所定の処理を行うことで得られた画像を前記被測定物の検査結果として出力することを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。 ⑶ 本件発明3(請求項3)前記記憶手段は,前記被測定物に対応付けて,前記検査手段における前記 被測定物の検査方法を示す情報を更に記憶し,前記検査手段は,前記記憶手段を参照し,前記閾値設定手段に入力された情報により特定された前記被測定物に対応する検査方法で前記被測定物を検査することを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。 段は,前記記憶手段を参照し,前記閾値設定手段に入力された情報により特定された前記被測定物に対応する検査方法で前記被測定物を検査することを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。 ⑷ 本件発明4(請求項4) 前記光子の数に応じた量は電荷量であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のX線検査装置。 3 本件決定の理由の要旨本件決定は,本件訂正は訂正要件を満たすとした上で,次のとおり,本件発明1ないし4は,甲第1号証「特開2007-232586号公報」(以下「引 用文献1」という。)に記載の発明(以下「引用発明1」という。)及び甲第2号証「特開2004-8460号公報」(以下「引用文献2」という。)に記載の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法29条2項に違反してされたものであり,同法113条2号に該当し,取り消されるべきものであるとした。 ⑴ 本件発明1の進歩性についてア引用発明1の認定(項番号は,本判決で付した。以下,特に断りなく,この項番号により該当事項を特定する。)A 複数種の品種情報を記憶しておき品種選択操作によりその検査時の設定条件切換えを行い,物品を透過したX線を検出しその品質状態に対応 するX線画像を生成して物品を検査するX線異物検出装置であって,B 被検査物品であるワークWを透過したX線を検出する検出手段10(X線検出手段)と,ワークWを所定方向に搬送するコンベア搬送路11とを備え,C コンベア搬送路11は,搬送駆動モータにより所定搬送速度で駆動さ れるベルトコンベアであり,所定の検出領域12内を通してワークWを 所定方向に搬送するコンベア搬送路11とを備え,C コンベア搬送路11は,搬送駆動モータにより所定搬送速度で駆動さ れるベルトコンベアであり,所定の検出領域12内を通してワークWを移動させることができ,D 検出手段10は,検出領域12内のワークWに向けてX線を照射するX線源13と,照射されたX線のうちワークWを透過したX線を検出するX線検出部14と,ワークWがコンベア搬送路11上で検出領域12 の上流側所定位置に達したことを検知するワーク検知センサ15とを含 んで構成されており,EX線検出部14は,X線ラインセンサで構成されており,検出領域12内でコンベア搬送路11の搬送方向と直交する方向(以下,幅員方向という)に隣り合う複数の透過領域のそれぞれについて,ワークWを透過したX線を検出し各透過領域における所定時間ごとの累積透過量のデ ータを検出信号として出力するものであり,F 搬送方向についても,X線検出部14の素子列ライン上でのX線量のサンプリングピッチに対応するサンプリングピッチでワークWのX線透過量が順次サンプリングされるように,コンベア搬送路11の搬送速度が設定されており,X線検出部14の複数の検出素子からのX線透過量 の検出信号をワークWの搬送方向全域について蓄積記憶することで,X線画像作成のためのデータが取得できるようになっており,GX線検出部14の検出信号は,制御装置20に取り込まれるようになっており,H 制御装置20は,X線検出部14の検出情報に基づいて混入異物の有 無などのワークWの品質状態に対応するX線画像を生成するX線画像生成部21(画像形成手段)と,ワークWの品種ごとの情報とその品種ごとの検出手段10及び 部14の検出情報に基づいて混入異物の有 無などのワークWの品質状態に対応するX線画像を生成するX線画像生成部21(画像形成手段)と,ワークWの品種ごとの情報とその品種ごとの検出手段10及びX線画像生成部21の動作条件とをそれぞれ設定する設定操作部22(設定手段)と,設定操作部22の設定情報を記憶する設定情報記憶部23(設定情報記憶手段)と,X線画像生成部21 で作成された各ワークWごとのX線画像に基づき公知の所定の判定処理プログラムを実行してのワークWの品質状態の合否を判定する判定部24と,判定部24の判定結果に対応する検査結果情報を画面表示したり設定操作部22の操作に応じて設定情報記憶部23に記憶された設定情報を画面表示したりする表示制御部25及び表示器26とを含んで構成 されており, I 設定操作部22は,運転画面中に表示されるメニューボタン46や選択画面中の操作部22sのように画面上に操作入力部を有しており,メニューボタン46の操作に応じてメニュー画面を表示して,そこに各種パラメータ設定や品種切換えのための操作ボタンを配して設定操作を可能にするもので,そのためのプログラムを有しており, J 設定情報記憶部23は,設定操作部22によってワークWの品種ごとに検出手段10及びX線画像生成部21の動作条件が設定されるとき,そのX線画像生成部21で生成されたX線画像を前記品種ごとの設定情報(例えば,品種番号,品名,内容物の個数,重さ,形状,管電流,管電圧,搬送速度,判定閾値,マスク処理条件等)に関連付けた設定時X 線画像として記憶するようになっており,K 制御装置20は,更に,設定情報記憶部23の記憶情報に基づき,設定時X線画像がワークWの前記品種ごとの情報と共に表 )に関連付けた設定時X 線画像として記憶するようになっており,K 制御装置20は,更に,設定情報記憶部23の記憶情報に基づき,設定時X線画像がワークWの前記品種ごとの情報と共に表示器26で画面表示される,複数種の前記物品ごとの情報を複数の選択肢として含む品種選択画面30の画像を生成する選択画面生成部27(品種選択画面生 成手段)と,品種選択画面30中の複数の選択肢31~33のいずれかを選択する選択操作に応じて検査対象のワークWの品種を選択する品種選択処理部28(品種選択処理手段)との機能を有しており,品種選択画面30の画像は表示器26で画面表示され,L 品種選択処理部28は,操作部画像22sで決定キー36が操作され て品種選択が確定したとき,選択された品種に対応する設定情報を設定情報記憶部23から読み出して,X線画像生成部21,判定部24,表示制御部25,選択画面生成部27及び検出制御部29に選択された品種の設定パラメータ等を供給するようになっており,これにより検出手段10による検出,X線画像生成部21による画像生成,判定部24に おける判定及び画面表示制御の条件がそれぞれ選択品種に対応するもの に変更され,M 判定部24では,各ライン走査ごとのデータ中の最大画素濃度のデータを所定の閾値と比較してX線吸収率が大きい金属異物等の混入の有無が検出濃度レベルと閾値との比較により判定される,NX線異物検出装置。 イ引用文献2技術事項の認定(項番号は,本判決で付した。以下,特に断りなく,この項番号により該当事項を特定する。)aX線に対してエネルギー分解能を有するピクセルが配列され空間分解能を有するX線検出器とX線発生装置と記憶装置と演算 で付した。以下,特に断りなく,この項番号により該当事項を特定する。)aX線に対してエネルギー分解能を有するピクセルが配列され空間分解能を有するX線検出器とX線発生装置と記憶装置と演算処理装置を備え,被写体にX線を照射して撮影を行い,X線検出器のピクセルごとの出力 信号について所望のX線エネルギーにおける出力信号を選択してX線像化するX線エネルギー分析イメージング装置において,b エネルギー分解能を有するX線検出素子は,素子にX線が入射するとX線のエネルギーに対応する電流を発生するもので,所定期間に観察される電流発生回数を電流の大きさに従って分類して積算することにより, 透過X線のエネルギースペクトルを得ることができ,c 各検出素子ごとのカウント結果はX線エネルギーごとの入射頻度を表し,スペクトル化したデジタル情報として蓄積し,デジタル化した情報は演算処理装置の高速処理を経て,指定したX線エネルギーにおける各素子ごとのX線検出量を算定し,ピクセル配置に対応して平面展開する ことにより指定X線エネルギーにおけるX線透過状態を濃淡画像として表示することができ,d 物質に特有な高吸収X線を利用することにより,荷物や人体内に隠匿した麻薬,あるいは爆薬や象牙などの禁制品の有無を検査することができ, e 特に感度のよいエネルギー領域を選択して目的部位の像を鮮明化した り,f 異なるX線エネルギー領域における出力信号の差分に基づいて画像化するなど,異なる波長における画像を用いた演算により画像を形成すること。 ウ本件発明1と引用発明1との一致点(項番号は,本判決で付した。以下, 特に断りなく,この項番号により該当事項を特定する。)① る画像を用いた演算により画像を形成すること。 ウ本件発明1と引用発明1との一致点(項番号は,本判決で付した。以下, 特に断りなく,この項番号により該当事項を特定する。)① 被測定物にX線を照射するX線照射手段と,② 載置面に載置された前記被測定物を搬送する搬送手段と,③ 前記被測定物を透過したX線を検出するX線検出手段と,④ 複数種別の前記被測定物のそれぞれについて,前記被測定物と検査条 件とが直接的又は間接的に対応付けられて記憶された記憶手段と,⑤ 前記記憶手段を参照し,入力された情報により前記種別が特定された前記被測定物に対応する検査条件を,前記検査条件として利用可能とする検査条件設定手段と,⑥ 前記X線検出手段が検出したX線に関する量に基づいて,前記被測定 物を検査する検査手段と,を備え,⑦ 前記X線検出手段は,前記載置面との対向状態が固定されている⑧ X線検査装置。 エ本件発明1と引用発明1との相違点1 X線検査のための構成について,本件発明1においては,(ア) 「前記被測定物を透過したX線を検出するX線検出手段」(③)が,「X線の各光子について,光子が持つエネルギーを所定の個数のエネルギー閾値に照らして,2以上のエネルギー領域に弁別して検出するX線 検出手段」であって, それに関連して(イ) 「複数種別の前記被測定物のそれぞれについて,前記被測定物と」「直接的又は間接的に対応付けられて」「記憶手段」に「記憶された」「検査条件」(以上,④)であり,また,「検査条件設定手段」が「前記記憶手段を参照し」て「利用可能とす ぞれについて,前記被測定物と」「直接的又は間接的に対応付けられて」「記憶手段」に「記憶された」「検査条件」(以上,④)であり,また,「検査条件設定手段」が「前記記憶手段を参照し」て「利用可能とする」「入力された情報により前記種別が 特定された前記被測定物に対応する検査条件」(以上,⑤)が,「前記エネルギー閾値」であって,「検査条件設定手段」(⑤)が「閾値設定手段」であり,(ウ) 「前記X線検出手段が検出したX線に関する量に基づいて,前記被測定物を検査する検査手段」(⑥)が,「前記X線検出手段が所定の1以 上の前記エネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数又は光子の数に応じた量」に基づいて被測定物を検査するのに対し,引用発明1においては,(ア)′「前記被測定物を透過したX線を検出するX線検出手段」(③)が,「ワークWを透過したX線を検出し各透過領域における所定時間ごとの 累積透過量のデータを検出信号として出力する」「X線検出部14」(以上,E)であって,それに関連して(イ)′「複数種別の前記被測定物のそれぞれについて,前記被測定物と」「直接的又は間接的に対応付けられて」「記憶手段」に「記憶された」「検 査条件」(以上,④)であり,また,「検査条件設定手段」が「前記記憶手段を参照し」て「利用可能とする」「入力された情報により前記種別が特定された前記被測定物に対応する検査条件」(以上⑤)が,「ワークWの品種ごとの情報とその品種ごとの検出手段10及びX線画像生成部21の動作条件」(H)を含む「前記品種ごとの設定情報(例えば,品種番 号,品名,内容物の個数,重さ,形状,管電流,管電圧,搬送速度,判 定閾値,マスク処理条件等)」(J)であっ 部21の動作条件」(H)を含む「前記品種ごとの設定情報(例えば,品種番 号,品名,内容物の個数,重さ,形状,管電流,管電圧,搬送速度,判 定閾値,マスク処理条件等)」(J)であって,「検査条件設定手段」(⑤)が「品種選択処理部28」(L)であり,(ウ)′「前記X線検出手段が検出したX線に関する量に基づいて,前記被測定物を検査する検査手段」(⑥)が,「X線検出部14の検出情報に基づいて」「生成」された「混入異物の有無などのワークWの品質状態に対 応するX線画像」(以上,H)の「各ライン走査ごとのデータ中の最大画素濃度のデータ」(M)に基づいて被検査物品であるワークWを検査する点。 オ本件発明1と引用発明1との相違点2検査条件設定手段が,前記被測定物に対応する検査条件を,前記検査条 件として利用可能とすることについて,本件発明1においては,「前記X線検出手段が参照できるように保持する」のに対し,引用発明1においては,「X線画像生成部21,判定部24,表示制御部25,選択画面生成部27及び検出制御部29に選択された品種の設定パラメータ等を供給する」(L)点。 カ相違点1の容易想到性(ア) 前記エ(ア)及び(ア)′の点引用文献2技術事項に係るX線エネルギー分析イメージング装置は,「荷物や人体内に隠匿した麻薬,あるいは爆薬や象牙などの禁制品の有無を検査することができ」(d)るものであるところ,これら禁制品は, 本来存在すべきではない物体であることから,引用文献2技術事項を異物検査に使用できる。 そうすると,X線異物検出装置である引用発明1の「X線検出部14」(E)を,「所定時間ごとの累積透過量のデータを検出信号として出力 ことから,引用文献2技術事項を異物検査に使用できる。 そうすると,X線異物検出装置である引用発明1の「X線検出部14」(E)を,「所定時間ごとの累積透過量のデータを検出信号として出力するもの」(E)に代えて,引用文献2技術事項の「X線検出器」(a)の 「素子にX線が入射するとX線のエネルギーに対応する電流を発生する もので,所定期間に観察される電流発生回数を電流の大きさに従って分類して積算することにより,透過X線のエネルギースペクトルを得ることができ」(b)るものを採用することは,当業者であれば容易に想到し得る。 ここで,引用文献2技術事項の「X線に対してエネルギー分解能を有 するピクセルが配列され空間分解能を有するX線検出器」(a)は,本件発明1の「X線の各光子について,光子が持つエネルギーを所定の個数のエネルギー閾値に照らして,2以上のエネルギー領域に弁別して検出するX線検出手段」に相当する。 (イ) 前記エ(イ)及び(イ)′の点 引用発明1は,「複数種の品種情報を記憶しておき品種選択操作によりその検査時の設定条件切換えを行い」「物品を検査するX線異物検出装置」(以上,A)であり,「設定情報記憶部23」が「判定閾値」を含む「品種ごとの設定情報」(以上,J)を記憶するものであるから,検査前に選択する品種に対応した物品と異物のそれぞれのX線エネルギーを把 握しておくことは可能であると認められる。 また,品種を特定して検査する引用発明1において,「透過X線のエネルギースペクトル」(b)は,物品と異物を区別できる程度の解像度があればよいことは明らかである。 そうすると,「設定情報記憶部23」に「品種ごとの設定情報(例えば, 「透過X線のエネルギースペクトル」(b)は,物品と異物を区別できる程度の解像度があればよいことは明らかである。 そうすると,「設定情報記憶部23」に「品種ごとの設定情報(例えば, 品種番号,品名,内容物の個数,重さ,形状,管電流,管電圧,搬送速度,判定閾値,マスク処理条件等)」(以上,J)を記憶する引用発明1において,「設定情報記憶部23」(J)が品種に対応した物品と異物とを区別するための「X線のエネルギーに対応する」「電流の大きさ」(b。 なお,本件発明1の「複数種別の前記被測定物のそれぞれについて」「対 応付けられ」た「前記エネルギー閾値」に相当する。)を記憶し,「品種 選択処理部28」(L)が当該「X線のエネルギーに対応する」「電流の大きさ」(以上,b)も供給するようにすることは,引用文献2技術事項の「X線検出器」(a)に係る技術事項を採用することに伴う設計変更にすぎない。 (ウ) 前記エ(ウ)及び(ウ)′の点 引用文献2技術事項の「X線検出器」(a)が検出した「素子にX線が入射すると」「発生する」「X線のエネルギーに対応する電流」の「所定期間に観察される電流発生回数を電流の大きさに従って分類して積算」(以上,b)したものは,本件発明1の「前記X線検出手段が所定の1以上の前記エネルギー領域のそれぞれについて検出した」「光子の数に応 じた量」に相当する。 (エ) 前記(ア)ないし(ウ)を勘案すると,引用発明1において,引用文献2技術事項に基づき,相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を得ることは,当業者であれば容易になし得ることである。 キ相違点2の容易想到性 引用発明1において,「X線画像生成部21,判定部24,表 1に係る本件発明1の発明特定事項を得ることは,当業者であれば容易になし得ることである。 キ相違点2の容易想到性 引用発明1において,「X線画像生成部21,判定部24,表示制御部25,選択画面生成部27及び検出制御部29に選択された品種の設定パラメータ等を供給する」(L)ようにするか,これに代えて,「X線画像生成部21,判定部24,表示制御部25,選択画面生成部27及び検出制御部29」が「選択された品種の設定パラメータ等」(以上,L)を参照しに いくようにするかは,適宜選択し得る設計事項にすぎない。 ⑵ 本件発明2の進歩性について引用文献2技術事項の「異なるX線エネルギー領域における出力信号の差分に基づいて画像化するなど,異なる波長における画像を用いた演算により」「形成」した「画像」(以上,f)は,本件発明2の「X線検出手段が前記1 以上のエネルギー領域のそれぞれについて検出した」「光子の数に応じた量 に基づいて,前記1以上のエネルギー領域のそれぞれについてX線透過画像を生成し,各X線透過画像に対し所定の処理を行うことで得られた画像」に相当する。 よって,本件発明2は,引用発明1及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ⑶ 本件発明3の進歩性について引用文献2技術事項は「異なる波長における画像を用いた演算により画像を形成すること」(f)を含むことから,引用発明1において,「設定情報記憶部23」(J)が品種に対応した「画像を用いた演算」(f)を記憶するようにすることは,技術の適用に伴う設計変更にすぎない。 よって,本件発明3は,引用発明1及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に発 応した「画像を用いた演算」(f)を記憶するようにすることは,技術の適用に伴う設計変更にすぎない。 よって,本件発明3は,引用発明1及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ⑷ 本件発明4の進歩性について引用文献2技術事項の「電流の大きさ」(b)は,本件発明4の「電荷量」に相当する。 よって,本件発明4は,引用発明1及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 取消事由⑴ 本件発明1の進歩性に関する判断の誤り(取消事由1)⑵ 本件発明2ないし4の進歩性に関する判断の誤り(取消事由2) 第3 当事者の主張 1 取消事由1(本件発明1の進歩性に関する判断の誤り)の有無について⑴ 原告ア一致点及び相違点の認定の誤り引用文献1には,「エネルギー閾値」の弁別に関する記載はないから,引 用発明1と本件発明1とが,「光子が持つエネルギーを所定の個数のエネ ルギー閾値に照らして,2以上のエネルギー領域に弁別して検出するX線検出手段」,「前記被測定物と前記エネルギー閾値とが直接的又は間接的に対応付けられて記憶された記憶手段」,「前記被測定物に対応する前記エネルギー閾値を,前記所定の個数のエネルギー閾値として前記X線検出手段が参照できるように保持する閾値設定手段」及び「前記X線検出手段が所 定の1以上の前記エネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数又は光子の数に応じた量に基づいて,前記被測定物を検査する検査手段」について一致することはなく,本件発明1と引用発明1とは,「エネルギー閾値」の弁別及びその後の処理に関して相違している(相違点3)。 光子の数に応じた量に基づいて,前記被測定物を検査する検査手段」について一致することはなく,本件発明1と引用発明1とは,「エネルギー閾値」の弁別及びその後の処理に関して相違している(相違点3)。 イ相違点1の容易想到性判断の誤り (ア)a 引用発明1は,食品等の対象製品にX線を照射し,異物の有無を検査する検査装置の発明である(引用文献1の【0001】)。一方,引用発明2技術事項は,人体用のX線検査装置に関するものである(引用文献2の【0001】,【0021】)。前者の異物検査装置は,対象を製品等とし,たまたま事故により含まれるもの,後で使用しない無 価値なもの等をできるだけ低コストで見つけようとするものであり,後者の人体用X線用検査装置は,対象を生体等とし,故意又は意図的に含ませたもの,後での使用を前提とした価値あるもの等を金に糸目をつけずに見つけようとするものであるから,両者の技術分野は大きく異なる。引用文献2には,「また,物質に特有な高吸収X線を利用す ることにより,荷物や人体内に隠匿した麻薬,あるいは爆薬や象牙などの禁制品の有無を検査することができる。」(【0007】)との記載があるが,あくまで人体とその人体に付随する荷物内に存在するであろう禁制品を見つけることも可能という指摘にとどまるものである。 b 引用発明1の解決課題は,最初に「設定時X線画像」等のリファレ ンスを設定することにより,対象物品(ワーク)とその検査条件を簡 易に把握できるようにして,測定条件等の取り違いによる検査ミス等を減らし,低コストで簡便・容易に検査作業ができるようにすることであり,ユーザーインターフェースを中心とするものである(引用文献1の【0001】,【0005】ないし【0010】)。 による検査ミス等を減らし,低コストで簡便・容易に検査作業ができるようにすることであり,ユーザーインターフェースを中心とするものである(引用文献1の【0001】,【0005】ないし【0010】)。一方,引用文献2技術事項の解決課題は,人体用のX線撮影装置において,被曝防 止の観点から,1回の撮影により,X線吸収特性の異なるいくつかのX線像を抽出して,臓器等を鮮明に表示することができるようにするというものである(【0002】ないし【0005】)。したがって,両者の解決課題は根本的に異なり,共通する点など一つもない。 むしろ,引用発明1の実施品の検査装置は,どんなに高くても数百 万円の価格であるが,引用文献2技術事項に係る実施品は,数千万円から数億円の価格であるから,当業者は,多種類の製品を対象とする食品工場用の低コスト・低額な検査装置である引用発明1の装置に,人体用で高コスト・高額な検査装置に使われる引用文献2技術事項を適用しようとは考えないのであるから,共通の課題を認識できるわけ がない。さらに,引用発明1の装置は,食品と金属等,検出でのコントラストが高いものを対象としているが,引用文献2技術事項の装置は,人体と禁制品等,検出でのコントラストが極めて低いものを対象としているのであり,引用発明1において,異物検出の精度を向上させるため引用文献2技術事項を適用して異物部分と異物以外の部分と のコントラストを高める必要はない。 また,上記したところに照らせば,引用発明1と引用文献2技術事項とは,通常,作用・機能の共通性もない。 c 以上のとおり,引用発明1に引用文献2技術事項を適用することは,その動機付けを欠くものである。 (イ)a 引用発明1は,一品種について単一の ,通常,作用・機能の共通性もない。 c 以上のとおり,引用発明1に引用文献2技術事項を適用することは,その動機付けを欠くものである。 (イ)a 引用発明1は,一品種について単一のエネルギー帯で処理した結 果である「設定時X線画像」(引用文献1の【0010】,【0057】)をリファレンスにして,対象物品(ワーク)とその検査条件を簡易に把握できるようにしたものである。一方,引用文献2技術事項は,一品種について複数のエネルギースペクトルごとに分けて画像を保存するものである(引用文献2の【0008】,【0016】)。そうすると, 引用文献2技術事項を引用発明1に適用する場合には,その複数個あるエネルギースペクトルごとの画像のどれを「設定時X線画像」にするかを定めなければならないが,引用文献2には,複数のエネルギー帯からの取捨選択の基準,取捨選択した後の処理等,どの画像を引用発明1における「設定時X線画像」等のリファレンスにするかの基準 となるべき記載はない。 このように,1つの「設定時X線画像」を基準とする引用発明1に,複数個の画像を基準とし,その基礎とする技術的思想を異にする引用文献2技術事項を適用することには阻害要因がある。 b 引用発明1の解決課題は,特に資格を有しない工場作業員によって 低コストで簡便・容易に検査作業ができるようにしたものであるが,これは引用発明1が,コストの増大や作業員への負担をできるだけ避けたい工場での検査装置を主として念頭に置いているからである。一方,引用文献2技術事項は,禁制品の検査,つまり空港や税関等でのセキュリティを念頭に置いているものであるが,ここでは,検査ミス は許されず,とにかく高精度であることを要し,さらに有資格の専門 方,引用文献2技術事項は,禁制品の検査,つまり空港や税関等でのセキュリティを念頭に置いているものであるが,ここでは,検査ミス は許されず,とにかく高精度であることを要し,さらに有資格の専門作業員を付ける等,金に糸目をつけずにどんなに複雑・高度な検査手順でも許される。このような引用文献2技術事項を実現するためには,相応の設計コストの高騰,部品点数の増大,複雑なユーザーインターフェース,作業員への負担増大,検査作業の高度化・複雑化等が生じ ることは必然である。 そうすると,低コストでの簡便・容易化を目指す引用発明1に,高精度で複雑・高度な引用文献2技術事項を適用することは,甲1発明の目的から乖離・矛盾することになるのであって,阻害要因がある。 ⑵ 被告ア一致点及び相違点の認定の誤りの主張について (ア)a 「X線検出手段」について前記第2の3⑴ウのとおり,「X線検出手段」に係る一致点は,「前記被測定物を透過したX線を検出するX線検出手段」(③)と認定されているのであり,X線を検出する手段という限りにおいて共通するとしたにすぎず,エネルギー閾値に照らして弁別する点は含まれていな い。 b 「記憶手段」について前記第2の3⑴ウのとおり,「記憶手段」は,「複数種別の前記被測定物のそれぞれについて,前記被測定物と検査条件とが直接的又は間接的に対応付けられて記憶された記憶手段」(④)と認定されているの であり,情報を記憶する手段という限りにおいて共通するとしたにすぎず,エネルギー閾値を記憶する点は含まれていない。 c 「閾値設定手段」について前記第2の3⑴ウのとおり,「検査条件設定手段」は,「 という限りにおいて共通するとしたにすぎず,エネルギー閾値を記憶する点は含まれていない。 c 「閾値設定手段」について前記第2の3⑴ウのとおり,「検査条件設定手段」は,「前記記憶手段を参照し,入力された情報により前記種別が特定された前記被測定 物に対応する検査条件を,前記検査条件として利用可能とする検査条件設定手段」(⑤)とされているのであり,検査条件を設定することに係る手段という限りにおいて本件発明1の「閾値設定手段」と共通するとしたにすぎず,エネルギー閾値を保持する点を含めて共通するとしたものでない。 d 「検査手段」について 前記第2の3⑴ウのとおり,「検査手段」は,「前記X線検出手段が検出したX線に関する量に基づいて,前記被測定物を検査する検査手段」(⑥)とされているのであり,被測定物を検査する手段という限りにおいて共通するとしたにすぎず,検査が所定のエネルギー領域それぞれについて検出した光子の数等に基づく点を含めて共通するとした ものでない。 (イ) 前記第2の3⑴エのとおり,本件発明1において,X線検出手段について,「X線の各光子について,光子が持つエネルギーを所定の個数のエネルギー閾値に照らして,2以上のエネルギー領域に弁別して検出すること」(同(ア)),記憶手段について,「記憶された検査条件がエネルギ ー閾値であること」(同(イ)),検査条件設定手段について,「記憶手段を参照して利用可能とする検査条件がエネルギー閾値であって,検査条件設定手段が閾値設定手段であること」(同(イ)),検査手段について,「X線検出手段が所定の1以上の前記エネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数又は光子の数に応じた量に基づいて被測定物 査条件設定手段が閾値設定手段であること」(同(イ)),検査手段について,「X線検出手段が所定の1以上の前記エネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数又は光子の数に応じた量に基づいて被測定物を検査する こと」(同(ウ))が,それぞれ相違点1に含まれているのであるから,原告が相違点3であると主張する「エネルギー閾値の弁別及びその後の処理」に関して相違しているとする点は,相違点1の中に含まれている。 イ相違点1の容易想到性判断の誤りの主張について(ア)aX線検査装置の用途として,医療検査,荷物検査及び食品等の異 物検査があり,各用途で共通した検査技術を採用し得ることは,特開2016-145778号公報(乙1)の記載(【0001】,【0002】,【0004】,【0025】),特開2007-256096号公報(乙2)の記載(【0042】,【0043】),特開2009-14624号公報(乙3)の記載(【0020】),特表2006-509198 号公報(乙4)の記載(【0022】ないし【0025】)から把握さ れるとおり,当業者にとって技術常識であるから,引用発明1と引用文献2技術事項の技術分野には関連性がある。 bX線異物検出装置である引用発明1において,異物を検出することは当然に求められる機能であり,通常の使用において異物検出の精度が低いよりも高い方が好ましいことは技術常識である。そのため,引 用文献1に異物検出の精度を向上させることが明記されていないとしても,当業者であれば引用発明1が異物検出の精度を向上させるという課題を含んでいることを認識できる。 そして,引用発明1は,「金属異物等の混入の有無が検出濃度レベルと閾値との比較により判定される」と認定さ 用発明1が異物検出の精度を向上させるという課題を含んでいることを認識できる。 そして,引用発明1は,「金属異物等の混入の有無が検出濃度レベルと閾値との比較により判定される」と認定されているものであるから, 異物検出の精度を向上させるためには,異物部分の画素値と異物以外の部分の画素値との差異を明確にすること,すなわち,異物部分と異物以外の部分とのコントラストを高める必要があることは明らかである。一方,引用文献2技術事項は,目的とする臓器などを明瞭に表示するようにしたコントラストの高いX線像を得ることをその課題とし て含み(引用文献2の【0002】),その上で,臓器に限らず,「荷物や人体内に隠匿した麻薬,あるいは爆薬や象牙などの禁制品の有無を検査することができ」るようにしたものである(引用文献2の【0007】)。 したがって,引用発明1と引用文献2技術事項とには,X線画像の コントラストを高めるという点で課題の共通性がある。 また,引用発明1は,「各ライン走査ごとのデータ中の最大画素濃度のデータを所定の閾値と比較してX線吸収率が大きい金属異物等の混入の有無が検出濃度レベルと閾値との比較により判定される」(M)ものであるから,物質の違いを画素値の濃淡として検出できることを利 用して,閾値との比較により金属異物等に対応する暗い画素値を有す る箇所の存在の有無を判定していることが明らかである。そして,引用文献2技術事項において「荷物や人体内に隠匿した麻薬,あるいは爆薬や象牙などの禁制品の有無を検査することができ」るのは(引用文献2の【0007】),「X線透過状態を濃淡画像として表示」(引用文献2の【0009】)した場合に画素値の濃淡から禁制品等の存在を 判 象牙などの禁制品の有無を検査することができ」るのは(引用文献2の【0007】),「X線透過状態を濃淡画像として表示」(引用文献2の【0009】)した場合に画素値の濃淡から禁制品等の存在を 判定することができるからである。 したがって,引用発明1と引用文献2技術事項とは,X線吸収率の違いを利用してX線画像の画素値の濃淡から物質の存在を判定するという点で作用・機能も共通する。 c 以上からすると,引用発明1のX線検出部14に代えて引用文献2 技術事項のX線検出器を採用することには,十分な動機付けがある。 (イ)a 引用文献1の記載(【0002】ないし【0011】)によると,引用発明1の「設定時X線画像」(【0010】)は,被検査物品を視覚的に把握可能とすることにより,品種選択作業を容易化したり,選択した品種に対する検査中の品種の照合・判定作業を容易化したりする ために用いられるものである。引用文献2技術事項は,所望のX線エネルギーを選択してX線画像を生成するものであるが,「異なる波長における画像を用いた演算により画像を形成する」(引用文献2の【0020】)ことができるものであるから,各波長(エネルギー)における画像を合成することにより,引用発明1の「設定時X線画像」に対応 する画像を生成することができる。また,引用文献2技術事項は,「特に感度のよいエネルギー領域を選択して目的部位の像を鮮明化」(引用文献2の【0020】)することができるものであるから,被検査物品の視覚化に適したエネルギー領域を選択して引用発明1の「設定時X線画像」として使用可能な画像を生成することもできる。 したがって,引用文献2技術事項がX線エネルギーごとの画像を生 成する ギー領域を選択して引用発明1の「設定時X線画像」として使用可能な画像を生成することもできる。 したがって,引用文献2技術事項がX線エネルギーごとの画像を生 成するものであることが,引用発明1のX線検出部14に代えて引用文献2技術事項のX線検出器を採用することの阻害要因となるものではない。 b 引用文献1の記載(【0002】ないし【0011】)によれば,引用発明1は,物品検査装置に光学カメラ等の外観撮影手段を設ける必 要がない場合であっても,品種選択画面に外観画像を表示させるために外観撮影手段を設ける必要があり,装置のコスト高を招くという課題,及び,外観の類似する物品中に内容物が多様な品種及び収納形態で封入・収納されるため,外観画像を撮影したとしても品種選択操作等をさほど容易化することができないという課題を解決するために, 外観撮影手段を設けずに,内容物を把握することができるX線画像を用いて品種選択を行うようにしたものである。 引用文献2技術事項のX線検出器は,外観撮影手段を用いずに内容物を把握することができるX線画像を生成することができるものであるから,引用発明1のX線検出部14に代えて引用文献2技術事項の X線検出器を採用したとしても,引用発明1が解決しようとする上記の課題を解決することは可能である。 また,引用発明1のX線検出部14に代えて引用文献2技術事項のX線検出器を採用した場合,検査に係る操作について,検査の事前設定の段階において品種ごとにエネルギー閾値を設定するといった作業 が必要になるとしても,実際の検査の段階において作業員が品種選択画面を見て品種を選択するという作業には変更が生じないから,引用発明1の異物検出装置に比べ エネルギー閾値を設定するといった作業 が必要になるとしても,実際の検査の段階において作業員が品種選択画面を見て品種を選択するという作業には変更が生じないから,引用発明1の異物検出装置に比べて作業員の負担が増大するものでもない。 したがって,引用発明1が解決しようとする課題が,引用発明1のX線検出部14に代えて引用文献2技術事項のX線検出器を採用する ことによって阻害されるとはいえない。 2 取消事由2(本件発明2ないし4の進歩性に関する判断の誤り)の有無について⑴ 原告本件発明1に進歩性があるから,その従属項に係る発明である本件発明2ないし4も進歩性がある。 ⑵ 被告本件発明1に係る本件決定の進歩性判断には誤りがないから,原告の主張には理由がない。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実 ⑴ 本件発明について本件出願に係る願書に添付した明細書(甲3。以下,図面を含めて「本件明細書」という。)には,別紙1「本件明細書の記載事項(抜粋)」のとおりの記載があり,この記載によると,本件発明について,次のような開示があると認められる。 ア技術分野本件発明は,対象製品等にX線を照射して異物の検査を行うX線検査装置に関する(【0001】)。 イ発明が解決しようとする課題等被測定物に向けて照射されたX線が被測定物を透過した後のX線強度を, 光子エネルギーを弁別可能な直接変換型X線ラインセンサを用いて,低エネルギーのX線透過画像と高エネルギーのX線透過画像とに変換し,両画像の差分をとることにより得られた画像における被測定物と異物とのコントラストから,被測定物内の異物の有無を可視化する従 用いて,低エネルギーのX線透過画像と高エネルギーのX線透過画像とに変換し,両画像の差分をとることにより得られた画像における被測定物と異物とのコントラストから,被測定物内の異物の有無を可視化する従来のX線検査装置では,被測定物ごとに閾値を変更することができなかった(【0004】, 【0006】)。 本件発明が解決しようとする技術的課題は被測定物等の物性によらず,被測定物を精度よく検査することが可能なX線検査装置を提供することにある(【0007】)。 ウ課題を解決するための手段前記課題を解決するため,本件発明のX線検査装置は,被測定物にX線 を照射するX線照射手段と,被測定物を透過したX線の各光子について,光子が持つエネルギーを所定の閾値に照らして,1以上のエネルギー領域に弁別して検出するX線検出手段と,被測定物とその閾値とが直接的又は間接的に対応付けられて記憶された記憶手段と,記憶手段を参照し,入力された情報により特定された被測定物に対応する閾値を,所定の閾値とし てX線検出手段が参照できるように保持する閾値設定手段と,X線検出手段が1以上のエネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数又は光子の数に応じた量に基づいて被測定物を検査する検査手段と,を備える構成とした(【0008】)。 エ発明の効果 本件発明のX線検査装置によれば,被測定物等の物性に最適な閾値を設定できるため,被測定物等の物性によらず被測定物を精度よく検査することが可能となる(【0009】)。 ⑵ 引用発明1について引用文献1には,別紙2「引用文献1の記載事項(抜粋)」のとおりの記載 があり,この記載によると,引用発明1について,次のような開示があると認めら 9】)。 ⑵ 引用発明1について引用文献1には,別紙2「引用文献1の記載事項(抜粋)」のとおりの記載 があり,この記載によると,引用発明1について,次のような開示があると認められる。そして,この開示事項によると,引用発明1として,本件決定と同様に,前記第2の3(1)アのとおり認定することができる。 ア技術分野引用発明1は,物品を透過したX線を検出しその品質状態に対応するX 線画像を生成して物品を検査する装置,特に複数種の品種情報を記憶して おき品種選択操作によりその検査時の設定条件切換えを行なうX線検査装置に関する(【0001】)。 イ発明が解決しようとする課題等物品を透過したX線を検出しX線画像を作成して物品検査を行なうX線異物検出装置等のX線検査装置にあっては,外観の類似する物品中に内容 物が多様な品種及び収納形態で封入・収納されるとともにその検査条件も多様であるため,外観画像を撮影したとしても品種選択操作等をさほど容易化することができなかった(【0008】)。 そこで,引用発明1は,光学カメラ等の外観撮影手段を用いなくとも被検査物品やその検査の条件を視覚的に把握可能なX線画像を用いること により,品種選択作業を容易化したり,選択した品種に対する検査中の品種の照合・判定作業を容易化したりすることのできる低コストのX線検査装置を提供することを目的とする(【0009】)。 ウ発明を実施するための最良の形態(ア) 引用発明1のX線異物検出装置は,複数種の品種情報を記憶してお き品種選択操作によりその検査時の設定条件切換えを行い,物品を透過したX線を検出しその品質状態に対応するX線画像を生成して物品を検査するX線 X線異物検出装置は,複数種の品種情報を記憶してお き品種選択操作によりその検査時の設定条件切換えを行い,物品を透過したX線を検出しその品質状態に対応するX線画像を生成して物品を検査するX線異物検出装置である(【0010】,【0011】)。 (イ) 被検査物品であるワークWを透過したX線を検出する検出手段10(X線検出手段)と,ワークWを所定方向に搬送するコンベア搬送路1 1とを備える(【0028】)。 (ウ) コンベア搬送路11は,搬送駆動モータにより所定搬送速度で駆動されるベルトコンベアであり,所定の検出領域12内を通してワークWを移動させることができる(【0029】)。 (エ) 検出手段10は,検出領域12内のワークWに向けてX線を照射す るX線源13と,照射されたX線のうちワークWを透過したX線を検出 するX線検出部14と,ワークWがコンベア搬送路11上で検出領域12の上流側所定位置に達したことを検知するワーク検知センサ15とを含んで構成されている(【0030】)。 (オ) X線検出部14は,X線ラインセンサで構成されており,検出領域12内でコンベア搬送路11の搬送方向と直交する方向(以下,幅員方 向という)に隣り合う複数の透過領域のそれぞれについて,ワークWを透過したX線を検出し各透過領域における所定時間ごとの累積透過量のデータを検出信号として出力する(【0031】,【0032】,【図1】)。 (カ) 搬送方向についても,X線検出部14の素子列ライン上でのX線量のサンプリングピッチに対応するサンプリングピッチでワークWのX 線透過量が順次サンプリングされるように,コンベア搬送路11の搬送速度が設定されており,X線検出部14の複数の検出素子からのX線透過量の検出信 ッチに対応するサンプリングピッチでワークWのX 線透過量が順次サンプリングされるように,コンベア搬送路11の搬送速度が設定されており,X線検出部14の複数の検出素子からのX線透過量の検出信号をワークWの搬送方向全域について蓄積記憶することで,X線画像作成のためのデータが取得できるようになっている(【0033】)。 (キ) X線検出部14の検出信号は,制御装置20に取り込まれるようになっている(【0034】)。 (ク) 制御装置20は,X線検出部14の検出情報に基づいて混入異物の有無などのワークWの品質状態に対応するX線画像を生成するX線画像生成部21(画像形成手段)と,ワークWの品種ごとの情報とその品 種ごとの検出手段10及びX線画像生成部21の動作条件とをそれぞれ設定する設定操作部22(設定手段)と,設定操作部22の設定情報を記憶する設定情報記憶部23(設定情報記憶手段)と,X線画像生成部21で作成された各ワークWごとのX線画像に基づき公知の所定の判定処理プログラムを実行してのワークWの品質状態の合否を判定す る判定部24と,判定部24の判定結果に対応する検査結果情報を画面 表示したり設定操作部22の操作に応じて設定情報記憶部23に記憶された設定情報を画面表示したりする表示制御部25及び表示器26とを含んで構成されている(【0035】,【0036】)。 (ケ) 設定操作部22は,運転画面中に表示されるメニューボタン46や選択画面中の操作部22sのように画面上に操作入力部を有しており, メニューボタン46の操作に応じてメニュー画面を表示して,そこに各種パラメータ設定や品種切換えのための操作ボタンを配して設定操作を可能にするもので,そのためのプログラムを有している(【0038】, メニューボタン46の操作に応じてメニュー画面を表示して,そこに各種パラメータ設定や品種切換えのための操作ボタンを配して設定操作を可能にするもので,そのためのプログラムを有している(【0038】,【図3】)。 (コ) 設定情報記憶部23は,設定操作部22によってワークWの品種ご とに検出手段10及びX線画像生成部21の動作条件が設定されるとき,そのX線画像生成部21で生成されたX線画像を前記品種ごとの設定情報(例えば,品種番号,品名,内容物の個数,重さ,形状,管電流,管電圧,搬送速度,判定閾値,マスク処理条件等)に関連付けた設定時X線画像として記憶するようになっている(【0039】)。 (サ) 制御装置20は,更に,設定情報記憶部23の記憶情報に基づき,設定時X線画像がワークWの前記品種ごとの情報と共に表示器26で画面表示される,複数種の前記物品ごとの情報を複数の選択肢として含む品種選択画面30の画像を生成する選択画面生成部27(品種選択画面生成手段)と,品種選択画面30中の複数の選択肢31~33のいずれ かを選択する選択操作に応じて検査対象のワークWの品種を選択する品種選択処理部28(品種選択処理手段)との機能を有しており,品種選択画面30の画像は表示器26で画面表示される(【0040】,【0041】,【図1】(判決注:前後の記載から「表示部26」は「表示器26」の誤記と認める。),【図2】)。 (シ) 品種選択処理部28は,操作部画像22sで決定キー36が操作さ れて品種選択が確定したとき,選択された品種に対応する設定情報を設定情報記憶部23から読み出して,X線画像生成部21,判定部24,表示制御部25,選択画面生成部27及び検出制御部29に選択された品種の設定パ 択が確定したとき,選択された品種に対応する設定情報を設定情報記憶部23から読み出して,X線画像生成部21,判定部24,表示制御部25,選択画面生成部27及び検出制御部29に選択された品種の設定パラメータ等を供給するようになっており,これにより検出手段10による検出,X線画像生成部21による画像生成,判定部24 における判定及び画面表示制御の条件がそれぞれ選択品種に対応するものに変更される(【0044】)。 (ス) 判定部24では,各ライン走査ごとのデータ中の最大画素濃度のデータを所定の閾値と比較してX線吸収率が大きい金属異物等の混入の有無が検出濃度レベルと閾値との比較により判定される(【0058】)。 ⑶ 引用文献2技術事項について引用文献2には,別紙3「引用文献2の記載事項(抜粋)」のとおりの記載があり,この記載によると,引用文献2技術事項について,次のような開示があると認められる。そして,この開示事項によると,引用発明2技術事項として,本件決定と同様に,前記第2の3(1)イのとおり認定することができ る。 ア技術分野引用文献2技術事項は,新しい型式のX線撮影装置に関し,特に医療用検査装置として用いると効果があるX線撮影装置に関するものである(【0001】)。 イ発明が解決しようとする課題等従来の医療用検査に用いられる普通のX線撮影装置では,身体組織ごとの吸収特性にかかわらず白色X線全体の透過量を検知するため,目的とする臓器などを明瞭に表示するようにしたコントラストの高いX線像を得ることが難しかった(【0002】)。 引用文献2技術事項が解決しようとする課題は,X線を照射して得られる 測定出力からX線吸収特性の異なるいく ントラストの高いX線像を得ることが難しかった(【0002】)。 引用文献2技術事項が解決しようとする課題は,X線を照射して得られる 測定出力からX線吸収特性の異なるいくつかの目的物のX線像を抽出して表示するX線撮影装置,すなわちX線エネルギー分析イメージング装置,特に冠状動脈造影など医療用検査に有効なX線エネルギー分析イメージング装置を提供することである(【0005】)。 引用文献2技術事項のイメージング装置によれば,いったん取得したX線 潜像情報をX線エネルギーごとに分離して利用することができるため,全エネルギー成分に対するカウント数情報から特定エネルギーのX線に対するカウント数のみを抽出して画像化することにより,そのエネルギーのX線に対する吸収率が高いあるいは低い対象物が明瞭に浮き出してくる(【0006】)。 また,X線の単色化はデータ処理で行うため,管球からの白色X線を使用 する場合でも複雑で高価な分光装置を必要とせず,実用性の高い装置を得ることができる(【0007】)。 ウ課題を解決するための手段等(ア) 引用発明2技術事項の装置は,X線に対してエネルギー分解能を有するピクセルが配列され空間分解能を有するX線検出器とX線発生装置と 記憶装置と演算処理装置を備え,被写体にX線を照射して撮影を行い,X線検出器のピクセルごとの出力信号について所望のX線エネルギーにおける出力信号を選択してX線像化するX線エネルギー分析イメージング装置である(【0006】,【0013】,【0014】)。 (イ) エネルギー分解能を有するX線検出素子は,素子にX線が入射すると X線のエネルギーに対応する電流を発生するもので,所定期間に観察される電流発生回数を電流の 】,【0014】)。 (イ) エネルギー分解能を有するX線検出素子は,素子にX線が入射すると X線のエネルギーに対応する電流を発生するもので,所定期間に観察される電流発生回数を電流の大きさに従って分類して積算することにより,透過X線のエネルギースペクトルを得ることができる(【0008】,【0015】)。 (ウ) 各検出素子ごとのカウント結果はX線エネルギーごとの入射頻度を表 し,スペクトル化したデジタル情報として蓄積し,デジタル化した情報は 演算処理装置の高速処理を経て,指定したX線エネルギーにおける各素子ごとのX線検出量を算定し,ピクセル配置に対応して平面展開することにより指定X線エネルギーにおけるX線透過状態を濃淡画像として表示することができる(【0009】,【0016】ないし【0019】)。 (エ) 物質に特有な高吸収X線を利用することにより,荷物や人体内に隠匿 した麻薬,あるいは爆薬や象牙などの禁制品の有無を検査することができる(【0007】,【0016】,【0024】)。 (オ) 特に感度のよいエネルギー領域を選択して目的部位の像を鮮明化する(【0020】)。 (カ) 異なるX線エネルギー領域における出力信号の差分に基づいて画像化 するなど,異なる波長における画像を用いた演算により画像を形成する(【0010】,【0020】,【0021】)。 2 取消事由1(本件発明1の進歩性に関する判断の誤り)の有無について⑴ 一致点及び相違点の認定の誤りの有無についてア 「X線検出手段」について 引用発明1の「ワークWを透過したX線を検出し各透過領域における所定時間ごとの累積透過量のデータを検出信号として出力する」「X線検出部14」(以上, ア 「X線検出手段」について 引用発明1の「ワークWを透過したX線を検出し各透過領域における所定時間ごとの累積透過量のデータを検出信号として出力する」「X線検出部14」(以上,E)と,本件発明1の「前記被測定物を透過したX線の各光子について,光子が持つエネルギーを所定の個数のエネルギー閾値に照らして,2以上のエネルギー領域に弁別して検出するX線検出手段」とは, 「前記被測定物を透過したX線を検出するX線検出手段」(③)の限度で共通する。他方,「前記被測定物を透過したX線を検出するX線検出手段」(③)が,本件発明1において,「X線の各光子について,光子が持つエネルギーを所定の個数のエネルギー閾値に照らして,2以上のエネルギー領域に弁別して検出するX線検出手段」であることは,相違点1を構成する(前記 第2の3⑴エ(ア))。 イ 「記憶手段」について引用発明1の「ワークWの品種ごとの情報とその品種ごとの検出手段10及びX線画像生成部21の動作条件」(H)を含む「前記品種ごとの設定情報(例えば,品種番号,品名,内容物の個数,重さ,形状,管電流,管電圧,搬送速度,判定閾値,マスク処理条件等)」を「記憶する」「設定情 報記憶部23(設定情報記憶手段)」(以上,J)と,本件発明1の「複数種別の前記被測定物のそれぞれについて,前記被測定物と前記エネルギー閾値とが直接的又は間接的に対応付けられて記憶された記憶手段」とは,「複数種別の前記被測定物のそれぞれについて,前記被測定物と検査条件とが直接的又は間接的に対応付けられて記憶された記憶手段」(④)の限度 で共通する。他方,本件発明1において,検査条件が「前記エネルギー閾値」であることは,相違点1を構成する(前記第2の3⑴エ( が直接的又は間接的に対応付けられて記憶された記憶手段」(④)の限度 で共通する。他方,本件発明1において,検査条件が「前記エネルギー閾値」であることは,相違点1を構成する(前記第2の3⑴エ(イ))。 ウ 「閾値設定手段」について引用発明1の「品種選択画面30中の複数の選択肢31~33のいずれかを選択する選択操作」(K)と「操作部画像22sで決定キー36が操作 されて品種選択が確定したとき,選択された品種に対応する設定情報を設定情報記憶部23から読み出して,X線画像生成部21,判定部24,表示制御部25,選択画面生成部27及び検出制御部29に選択された品種の設定パラメータ等を供給するようになっており,これにより検出手段10による検出,X線画像生成部21による画像生成,判定部24における 判定及び画面表示制御の条件がそれぞれ選択品種に対応するものに変更され」る「品種選択処理部28」(以上,L)と,本件発明1の「前記記憶手段を参照し,入力された情報により前記種別が特定された前記被測定物に対応する前記エネルギー閾値を,前記所定の個数のエネルギー閾値として前記X線検出手段が参照できるように保持する閾値設定手段」とは,「前 記記憶手段を参照し,入力された情報により前記種別が特定された前記被 測定物に対応する検査条件を,前記検査条件として利用可能とする検査条件設定手段」(⑤)の限度で共通する。他方,本件発明1において,検査条件設定手段が「閾値設定手段」であることは,相違点1を構成する(前記第2の3⑴エ(イ))。 エ 「検査手段」について 引用発明1の「X線検出部14の検出情報に基づいて混入異物の有無などのワークWの品質状態に対応するX線画像を生成するX線画像生成部 (イ))。 エ 「検査手段」について 引用発明1の「X線検出部14の検出情報に基づいて混入異物の有無などのワークWの品質状態に対応するX線画像を生成するX線画像生成部21(画像形成手段)」(H)及び「X線画像生成部21で作成された各ワークWごとのX線画像に基づき公知の所定の判定処理プログラムを実行してのワークWの品質状態の合否を判定する判定部24」(H)であって 「各ライン走査ごとのデータ中の最大画素濃度のデータを所定の閾値と比較してX線吸収率が大きい金属異物等の混入の有無が検出濃度レベルと閾値との比較により判定」する「判定部24」(以上,M)と,本件発明1の「前記X線検出手段が所定の1以上の前記エネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数又は光子の数に応じた量に基づいて,前記被測 定物を検査する検査手段」とは,「前記X線検出手段が検出したX線に関する量に基づいて,前記被測定物を検査する検査手段」(⑥)の限度で共通する。他方,本件発明1において,X線に関する量が「前記X線検出手段が所定の1以上の前記エネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数又は光子の数に応じた量」であることは,相違点1を構成する(前記第 2の3⑴エ(ウ))。 オ前記第3の1(1)アのとおり,原告は,引用文献1には,「エネルギー閾値」の弁別及びその後の処理に関する記載はないから,引用発明1は,本件発明1の「X線検出手段」,「記憶手段」,「閾値設定手段」及び「検査手段」について一致することはない旨主張するが,本件決定において引用発 明1が「エネルギー閾値」の弁別及びその後の処理の構成を有すると認定 した部分はなく,また,係争に係る発明の構成要件中の一部の構成要素が引用に係る発明のそれと一致し において引用発 明1が「エネルギー閾値」の弁別及びその後の処理の構成を有すると認定 した部分はなく,また,係争に係る発明の構成要件中の一部の構成要素が引用に係る発明のそれと一致しないからといって,直ちに当該構成要件が全ての構成要素において共通しないと認定すべきものではなく,当該構成要件の構成要素が互いに技術的に不分離の関係にあるなどの事情のない限り,共通する構成要素は一致点として認定することができる。そして, 相違点1には原告の主張する「相違点3」が全て含まれている。 したがって,原告の上記主張を採用することはできない。 カまとめ以上のとおりであるから,本件決定の一致点及び相違点の認定の判断には,誤りはない。 ⑵ 相違点1の容易想到性判断の誤りの有無についてア前記1(3)によれば,引用文献2技術事項は,物質に特有な高吸収X線を利用することにより,荷物や人体内に隠匿した麻薬,あるいは爆薬や象牙などの禁制品の有無を検査できるものであるから,人体用だけでなく,荷物の中の見えない物体の有無を検査するX線荷物検査装置でもあるとい える。そうすると,食品等の異物検査を行うX線検出装置である引用発明1の技術分野と,医療検査や荷物検査を行う引用文献2技術事項の技術分野は,X線検査装置が用いられる技術分野として関連するものであるといえる。 また,引用発明1においては,判定部24において「各ライン走査ごと のデータ中の最大画素濃度のデータを所定の閾値と比較してX線吸収率が大きい金属異物等の混入の有無が検出濃度レベルと閾値との比較により判定される」(M)ものであり,ワークWのX線画像の検出濃度レベルと所定の閾値とを比較することにより,金属異物等の混入が有 線吸収率が大きい金属異物等の混入の有無が検出濃度レベルと閾値との比較により判定される」(M)ものであり,ワークWのX線画像の検出濃度レベルと所定の閾値とを比較することにより,金属異物等の混入が有る場合の濃度レベルと混入が無い場合の濃度レベルとを判定する必要があるから,ワー クWのX線画像における金属異物等の混入の有無の濃度レベルの間の差 異を明確にしなければならず,X線画像において目的とする物体を透過したX線の検出出力と前記目的とする物体以外の部分を透過したX線の検出出力との間に明確な差異を有するX線画像を生成するという課題を有している。一方,引用文献2においては,従来のX線撮影装置では「目的とする臓器などを明瞭に表示するようにしたコントラストの高いX線像 を得ることが難しい」(【0002】)という課題を有し,また,異なる波長の単色X線を用いて得られたX線像の差分から目的とする部分を際立たせて表示する方法を用いる場合,「異なる時刻に撮影したX線像の差分を取ると,位置がずれてしまい明瞭な動脈像を生成することができない」(【0004】)という課題を有しているところ,引用文献2技術事項によ り「それぞれピクセルへの入射X線量をカウントしカウント値の差分を取ると,軟部組織や骨に吸収されたX線が相殺され血管部分のみに差が現れて冠状動脈のコントラストの大きな鮮明な映像を得ることができる」(【0021】)としている。コントラストが大きなX線画像は,物体を透過したX線の検出出力と目的とする物体以外の部分を透過したX線の検出出力 との間に明確な差異を有するものであるから,引用発明1と引用文献2技術事項とは課題を共通するといえる。 さらに,引用発明1と引用文献2技術事項は,いずれも被測定物の中の外から見え との間に明確な差異を有するものであるから,引用発明1と引用文献2技術事項とは課題を共通するといえる。 さらに,引用発明1と引用文献2技術事項は,いずれも被測定物の中の外から見えない物体を検出するために用いられるX線画像を形成し,当該X線画像に基づいて検査を行うという作用・機能が共通するといえ,加え て,引用文献2には,「X線検出部11に1次元のリニアアレイを用いて1次元走査して測定することもできる」【0014】ことが記載され,被測定物を1次元走査してX線画像を得ることも示唆されており,引用発明1のX線ラインセンサにより搬送される被測定物のX線画像とは,X線画像を被測定物を1次元走査して生成するという点においても共通する。 以上のように,引用発明1と引用文献2技術事項との間に,技術分野, 解決課題及び作用機能に密接な関連性・共通性があることからすると,引用発明1に引用文献2技術事項を組み合わせることに強い動機付けがあるといえる。 イ前記第3の1(1)イ(ア)bのとおり,原告は,引用発明1のX線検査装置は異物の有無を低コストで検査する分野の装置であり,簡易な検査作業の 実現を目的とするのに対し,引用文献2技術事項のX線検査装置は,コストを度外視して検査する分野の装置であり,被曝防止を目的とするものであるから,当業者は,異物検出の精度向上のためにわざわざ引用発明1に引用文献2技術事項とを組み合わせたりする動機付けない旨主張する。 まず,引用文献2には,「撮影は1度で済み」(【0010】),「エネルギ ーを変えて検査するときにも1度の撮影で済むので検査時間が短縮する利点がある。」(【0022】)との記載があるが,それは副次的なものにすぎず,引用文献2技術事項 (【0010】),「エネルギ ーを変えて検査するときにも1度の撮影で済むので検査時間が短縮する利点がある。」(【0022】)との記載があるが,それは副次的なものにすぎず,引用文献2技術事項の課題は,複雑で高価な装置を用いずにコントラストの高いX線像を得ることである(【0003】ないし【0007】,【0010】,【0022】,【0024】)。したがって,引用文献2技術事 項のX線検査装置は,コストを度外視して検査する分野の装置であると認めることはそもそも相当でない。また,引用発明1が,コンベア搬送路上のワークの金属異物等の混入の有無を検査する異物検査装置であることからして,引用発明1が製品製造現場用の装置であり,引用文献2の記載上は,引用文献2技術事項が直接には医療用検査装置に用いることを想定 しているとしても,コストをどの程度かけるかということと技術分野とは直結しないところ,製品の性質,製造現場の規模,製品の販路等も度外視して,製品製造現場用の装置であれば,おしなべて性能の低い製品で足り,当業者は性能の向上には意を払わず,医療検査装置用の技術には関知しないなどとは当然にいえることではなく,そのようにいえる証拠は提出され ていない。 異物検査装置の異物検査の性能を向上させることは自明の要請ともいうべきところであり,前記アのとおり,引用発明1の異物検査装置に,技術分野,課題・解決手段,作用・機能,効果とも密接に関連ないし共通する引用文献2技術事項を適用する強い動機付けがあるというべきである。 ウ前記第3の1(1)イ(イ)aのとおり,原告は,1つの「設定時X線画像」 を基準とする引用発明1に,複数個の画像を基準とし,その基礎とする技術的思想を異にする引用文献2技術事項を適用する ウ前記第3の1(1)イ(イ)aのとおり,原告は,1つの「設定時X線画像」 を基準とする引用発明1に,複数個の画像を基準とし,その基礎とする技術的思想を異にする引用文献2技術事項を適用することには阻害要因がある旨主張する。 ここで,「設定時X線画像」とは,実検査前にサンプルを使用した検査において得られたX線画像データとして設定情報記憶部23に保持された 初期設定データの1つであり(引用文献1の【0052】ないし【0055】),当該品種に設定された各種パラメータや検出条件及び判定条件における検査における代表画像とされ(【0042】),実検査時に実検査時のX線画像Wiと共に表示器26に表示され,実検査中に両者を照合することにより,検査の条件に実検査品が適合したものか否かを判定することや (【0046】,【0059】ないし【0061】),品種選択操作を視覚的に容易に把握することに役立てるものである(【0062】,【0063】)。 したがって,検査の目的に合わせたX線画像を得られるならば「設定時X線画像」も同時に得られる関係にあるところ,引用文献2技術事項によると複数のX線画像を生成することができ得るが,特に感度のよいエネル ギー領域を選択して目的部位の像を鮮明化したり,異なるX線エネルギー領域における出力信号の差分に基づいて画像化するなどして,最適な条件で選んだ画像を1つ生成できることも明らかである。そして,当業者が,異物検査の目的に応じて最適な画像を選択してそれを代表画像とすることができないとする理由もない。 そうすると,引用発明1のX線画像を得る手段として引用文献2技術事 項を適用することには,阻害要因はない。 エ前記第3の1(1)イ(イ)bのとおり 理由もない。 そうすると,引用発明1のX線画像を得る手段として引用文献2技術事 項を適用することには,阻害要因はない。 エ前記第3の1(1)イ(イ)bのとおり,原告は,低コストでの簡便・容易化を目指す引用発明1に,高精度で複雑・高度な引用文献2技術事項を適用することには,甲1発明の目的から乖離・矛盾するから阻害要因がある旨主張する。 しかしながら,前記イにて説示したとおり,技術分野としての観点から見た場合に,あたかもX線検査装置が低コストでの簡便・容易化を目指す装置の分野の技術と複雑・高精度で複雑・高度な装置の分野の技術に二極化していて,両者の技術が相容れないとは認められない。その上,引用文献2技術事項の課題は,前記イのとおり,複雑で高価な装置を用いずにコ ントラストの高いX線像を得ることであり,前記アのように,被測定物を1次元走査して測定するような簡易な方法も示唆されている。また,引用文献2に禁制品の有無を検査することもできるとの示唆があるからといって,引用文献2技術事項が空港や税関等で用いる検査装置のみに用いられる技術ととらえることは,同技術の正しい理解とはいい難い。 したがって,原告の上記主張は前提を欠くものであって,採用することができない。 オ以上のとおり,引用発明1に引用文献2技術事項を組み合わせる動機付けがあり,阻害要因があることもうかがわれないところ,引用発明1において,引用文献2技術事項に基づき,相違点1に係る本件発明1の発明特 定事項を得ることが容易であることは,本件決定が引用する取消理由通知書が説示するとおりであり,誤りは認められない。 したがって,相違点1は容易に想到できるというべきである。 ⑶ 小括 定事項を得ることが容易であることは,本件決定が引用する取消理由通知書が説示するとおりであり,誤りは認められない。 したがって,相違点1は容易に想到できるというべきである。 ⑶ 小括以上から,取消事由1は理由がない。 3 取消事由2(本件発明2ないし4の進歩性に関する判断の誤り)の有無につ いて原告は,取消事由2として,本件発明2ないし4が従属項であることのみを主張し,これら発明と引用発明1との相違点でもある相違点1が容易に想到できないことのみを取消事由としているところ,相違点1が容易に想到できることは前記2において認定判断したとおりであるから,取消事由2は理由がない。 4 結論よって,取消事由はいずれも理由がないから,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官菅野雅之 裁判官本吉弘行 裁判官中村恭 (別紙1)本件明細書の記載事項(抜粋) 【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】本発明は,対象製品等にX線を照射して異物の検査を行うX線検査装置に関する。 【背景技術】【0002】一般に,製品の製造から梱包,出荷に至るまでの各工程では,検査対象となる被 測定物や,被測定物に含まれ得る異物の種類(材料,大きさなど)に適した検査方法に 【背景技術】【0002】一般に,製品の製造から梱包,出荷に至るまでの各工程では,検査対象となる被 測定物や,被測定物に含まれ得る異物の種類(材料,大きさなど)に適した検査方法によって,製品や梱包内に異物が混入していないか等の検査が行われる。このうち製品等を非破壊で検査できるX線検査装置では,対象製品等にX線を照射し,透過したX線を検出することで,外側からは見えない内部の異物の存否を検査することができる。 【0003】X線検査装置において画像情報を電気信号として検出する方式には,一旦X線をシンチレータにより可視光に変換した上でフォトダイオードにより電気信号に変換する間接変換方式と,X線をCdTeなどの半導体素子により電気信号に直接変換する直接変換方式とがある。間接変換方式では原理上,シンチレータの発光効率や フォトダイオードの電荷変換効率による損失が生じる。一方,直接変換方式ではX線が直接電荷に変換されるため変換効率が良い。 【0004】特許文献1には直接変換方式のラインセンサを利用したX線検査装置が開示されており,エネルギー別フォトンカウンティングを実現している。この装置では,被 測定物に向けて照射されたX線が被測定物と当該被測定物を搬送するベルトコンベ アを透過した後のX線強度を,光子エネルギーを弁別可能な直接変換型X線ラインセンサを用いて低エネルギーのX線透過画像と高エネルギーのX線透過画像とに変換し,両画像の差分をとることにより得られた画像における被測定物と異物とのコントラストから,被測定物内の異物の有無を可視化する。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】【0006】低エネルギーのX線で得られる透過画像と高エネルギーのX線で得られる透過画像 トから,被測定物内の異物の有無を可視化する。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】【0006】低エネルギーのX線で得られる透過画像と高エネルギーのX線で得られる透過画像は,低エネルギーの光子と高エネルギーの光子とを弁別するエネルギーの閾値をどこに設定するかにより変化する。被測定物である製品やそれに含まれる異物は, その物性によってX線の透過率が異なるため,ある閾値を設定した場合,ある被測定物に対しては低エネルギーと高エネルギーのX線画像ペアから異物が明瞭に可視化された画像が得られたとしても,別の物性の被測定物に対しては必ずしもコントラストの高い明瞭な画像が得られるとは限らない。しかし,従来のX線検査装置では被測定物ごとに閾値を変更することができなかった。 【0007】本発明の目的は,被測定物等の物性によらず,被測定物を精度よく検査することが可能なX線検査装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】【0008】 本発明のX線検査装置は,被測定物にX線を照射するX線照射手段と,被測定物を透過したX線の各光子について,光子が持つエネルギーを所定の閾値に照らして,1以上のエネルギー領域に弁別して検出するX線検出手段と,被測定物とその閾値とが直接的又は間接的に対応付けられて記憶された記憶手段と,記憶手段を参照し,入力された情報により特定された被測定物に対応する閾値を,所定の閾値としてX 線検出手段が参照できるように保持する閾値設定手段と,X線検出手段が1以上の エネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数又は光子の数に応じた量に基づいて被測定物を検査する検査手段と,を備える。光子の数に応じた量は例えば電荷量である。検査手段は,X線検出手段が1以上のエネ ネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数又は光子の数に応じた量に基づいて被測定物を検査する検査手段と,を備える。光子の数に応じた量は例えば電荷量である。検査手段は,X線検出手段が1以上のエネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数又は光子の数に応じた量に基づいて,1以上のエネルギー領域のそれぞれについて生成したX線透過画像を被測定物の検査結果として出力する ようにしてもよい。また,記憶手段は,被測定物に対応付けて,検査手段における被測定物の検査方法を示す情報を更に格納し,検査手段は,記憶手段を参照し,閾値設定手段に入力された情報により特定された被測定物に対応する検査方法で被測定物を検査するようにしてもよい。 【発明の効果】 【0009】本発明のX線検査装置によれば,被測定物等の物性に最適な閾値を設定できるため,被測定物等の物性によらず被測定物を精度よく検査することが可能となる。 【図面の簡単な説明】【0010】 【図1】本発明のX線検査装置100の機能ブロック図である。 【図2】閾値の設定方法を例示する図である。 【図3】被測定物Wごとの閾値を示したテーブルの一例を示す図である。 【図4】被測定物Wごとの閾値を示したテーブルの別の一例を示す図である。 【発明を実施するための形態】 【0011】以下,本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。 【0012】図1に本発明のX線検査装置100の機能ブロック図を示す。X線検査装置100は, X線照射手段110,搬送手段120,X線検出手段130,閾値設定手段 140,記憶手段141,表示手段150,入力手段160,及び検査手段170 を備える。 【0013】X線照射手段110は,搬送手段120に載置された 段130,閾値設定手段 140,記憶手段141,表示手段150,入力手段160,及び検査手段170 を備える。 【0013】X線照射手段110は,搬送手段120に載置された被測定物Wに向けてX線を照射する。搬送手段120は,例えばX線の透過性が高いベルトコンベアであり,対向配置されたX線照射手段110とX線検出手段130との間に配置されて,載 置された被測定物Wを搬送する。X線照射手段110から被測定物Wに向けて照射されたX線は,被測定物Wと搬送手段120による吸収を受けつつこれらを透過した後,X線検出手段130に到達する。 【0014】X線検出手段130には,例えば,複数のX線検出素子が搬送手段120による 搬送方向に直交する方向に並べられた,いわゆるX線ラインセンサが採用される。 X線検査装置100では,搬送手段120により被測定物Wを移動させつつ,当該被測定物Wから透過したX線の光子がX線ラインセンサにより逐次スキャンされる。 【0015】本実施形態では,X線の光子の到達ごとに当該光子のエネルギーを所定の閾値に 照らして1以上のエネルギー領域に弁別して光子を検出することが可能な直接変換方式のX線ラインセンサが採用される。X線を電気信号に直接変換可能なX線検出素子としては,例えばCdTeなどの半導体素子が挙げられる。X線検出手段130では,X線ラインセンサを構成する個々のX線検出素子において,到達したX線の光子によって電子正孔対が生成され,その電荷を増幅して得られる検出信号のエ ネルギーを所定の閾値と比較し,所定時間内に閾値を超えた又は超えなかった回数を,当該閾値で画されるエネルギー領域での当該X線検出素子のフォトンカウンティング数(検出した光子の数)として出力する。なお , ギーを所定の閾値と比較し,所定時間内に閾値を超えた又は超えなかった回数を,当該閾値で画されるエネルギー領域での当該X線検出素子のフォトンカウンティング数(検出した光子の数)として出力する。なお ,検出信号のエネルギーが所定の閾値を超えた回数の代わりに,エネルギーが所定の閾値を超えた又は超えなかった検出信号の電荷量を所定時間で積分した積分電荷量を,当該閾値で画されるエ ネルギー領域での当該X線検出素子の積分電荷量として出力してもよい。以下では, 出力がフォトンカウンティング数の場合を例にとって説明する。 【0016】X線検出手段130は,光子のエネルギーを弁別してフォトンカウンティングするエネルギー領域の個数に応じた個数の所定の閾値を設定できるように構成される。 エネルギー領域が2個の場合,例えば,図2(a)に示すように2つの閾値(低エネル ギー側の閾値Vth1と高エネルギー側の閾値Vh2)を設定でき,それぞれの閾値を超えたフォトンカウンティング数が逐次メモリに取り込まれるように構成される。そして,各X線検出素子における高エネルギー側の閾値Vth2を超えたフォトンカウンティング数に基づき高エネルギーのX線透過画像を生成することができ,各検出素子における低エネルギー側の閾値Vth1を超えたフォトンカウンティン グ数から高エネルギー側の閾値Vh2を超えたフォトンカウンティング数を差し引いた数に基づき低エネルギーのX線透過画像を生成することができる。なお,例えば,高エネルギーのX線透過画像については上記と同様に生成し,低エネルギーのX線透過画像の代わりに,低エネルギー側の閾値Vth1を超えたフォトンカウンティング数に基づき低エネルギー+高エネルギーのX線透過画像を生成すると いうように,2つ以上のX線透 エネルギーのX線透過画像の代わりに,低エネルギー側の閾値Vth1を超えたフォトンカウンティング数に基づき低エネルギー+高エネルギーのX線透過画像を生成すると いうように,2つ以上のX線透過画像を生成するに際し,フォトンカウンティングするエネルギー領域を部分的に重ねて設定しても構わない。 【0017】フォトンカウンティングするエネルギー領域が2個の場合,閾値の設定方法は図2(a)に示す方法に限定されるものではなく,例えば図2(b)に示すようにフォトン カウンティングする低エネルギー領域を閾値Vth1より低エネルギーの領域として設定する方法など,任意の方法を採用してよい。また,フォトンカウンティングをするエネルギー領域を図2(c),(d)に示すように,ある閾値Vthを超える領域又は超えない領域というように 1個だけ設定してもよい。また,フォトンカウンティングをするエネルギー領域を3個以上設定してもよく,設定方法も任意である。 例えば4個設定する場合,図2(e)に示すようにVth1からVth3の3つの閾 値を境に連続して4個設定してもよいし,図2(f) に示すようにVth1からVth6の6つの閾値を設けて断続的に4個設定してもよい。 フォトンカウンティングするエネルギー領域を増やすことで多段階でのX線透過画像を得ることができ,よりきめ細かな画像処理が可能となる。 【0018】 閾値設定手段140は,被測定物Wとその閾値とが直接的又は間接的に対応付けられて記憶された記憶手段141を参照して,入力された情報により特定された被測定物Wに対応する閾値を,所定の閾値としてX線検出手段130が参照して設定できるように保持する。被測定物Wとその閾値との対応付けは,例えば,被測定物Wをインデックスとして閾値 報により特定された被測定物Wに対応する閾値を,所定の閾値としてX線検出手段130が参照して設定できるように保持する。被測定物Wとその閾値との対応付けは,例えば,被測定物Wをインデックスとして閾値との対応付けが記録されたテーブルとして記憶手段1 41に記憶する。記憶手段141は,装置にハードディスクやRAMとして固定的に設けてもよいし,メモリーカードなど着脱可能に設けてもよい。また,閾値設定手段140は,被測定物Wを特定する情報を装置の利用者が入力できるよう,例えば被測定物Wを選択する入力インタフェースをディスプレイ等の表示手段150に表示する。 【0019】図3に,被測定物Wごとに1つ又は2つの閾値を設定する場合のテーブルの一例を示す。テーブルには,被測定物Wごとに,被測定物Wの物性を踏まえて適切な1つ又は2つの閾値が記録される。ここでいう被測定物Wは被測定物自体に限定されるものではなく,商品名や検出したい異物名,又は被測定物・異物の種別・材質な ど,適宜カテゴライズして設定してよい。また,被測定物と検出したい異物名との組としても設定してもよい。そして,利用者にはテーブルのインデックスである被測定物Wを選択するメニューを提示し, 利用者がマウス,キーボード,タッチパネル,バーコードリーダーなどの入力手段160 を用いて被測定物Wを選択入力すると,閾値設定手段140は,選択された被測定物Wに対応する閾値1,2をテー ブルから読み取ってX線検出手段130が所定の閾値として参照できるように保 持する。このとき,利用者に提示する選択メニューには閾値は表示しなくてよい。 【0020】テーブルにおいて被測定物Wと閾値とを対応付ける構成は,図3に示す構成に限定されず,被測定物Wを特定する情報の入 のとき,利用者に提示する選択メニューには閾値は表示しなくてよい。 【0020】テーブルにおいて被測定物Wと閾値とを対応付ける構成は,図3に示す構成に限定されず,被測定物Wを特定する情報の入力方法に応じて任意に決定してよい。例えば,図3の場合と同様に被測定物Wを利用者に提示して選択入力をする場合に, 図3に示すような1つのテーブルで構成する方法のほか,図4(a),(b)に示すような2つのテーブルにより構成する方法を採ってもよい。具体的には,一方のテーブルを図4(a)に示すように被測定物Wと閾値番号との組で構成し,他方のテーブルを図4(b)に示すように閾値番号と閾値との組で構成して,閾値番号により両テーブルのリレーションをとることで被測定物Wと閾値とを間接的に対応付ける。また, 被測定物Wを特定する情報をバーコードリーダーからのバーコード若しくはQRコード(登録商標)の読み取り,又はキーボードからの商品番号の直接入力により入力する場合には,図3に示すテーブルにおいてインデックスを, 被測定物Wの代わりに被測定物Wを示すコードに対応する番号又は商品番号とすることで ,コードや商品番号に対応する被測定物Wと閾値とを対応付けることができる。 【0021】検査手段170は,X線検出手段130が1以上のエネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数に基づいて被測定物を検査する。例えば,X線検出手段130が図2(a)に示す2つのエネルギー領域のそれぞれについて検出した光子の数に基づいてX線透過画像を生成し,これらの差分を取るなど,所定の処理を行うこ とで被測定物Wやその中に含まれる異物がコントラスト高く可視化された画像を生成することができる。生成した画像は,例えば表示手段150に表示する。なお,検査の結果は必 など,所定の処理を行うこ とで被測定物Wやその中に含まれる異物がコントラスト高く可視化された画像を生成することができる。生成した画像は,例えば表示手段150に表示する。なお,検査の結果は必ずしもそれ自体を出力の対象とする必要はなく,例えば,検査の結果に基づいて選別機の制御信号を出力するようにしてもよい。 【0022】 なお,検査手段170は,X線検出手段130が1以上のエネルギー領域のそれ ぞれについて検出した光子の数に応じた量に基づいて被測定物を検査してもよい。 例えば,X線検出手段130において,X線ラインセンサを構成する個々のX線検出素子に到達したX線の光子によって生成された電子正孔対の電荷を増幅して得られる検出信号のエネルギーを所定の閾値と比較し,閾値を超えた又は超えなかった検出信号の電荷量を所定時間で積分して得られた電荷量を当該閾値で画されるエネ ルギー領域の当該X線検出素子の積分電荷量として出力する。図2(a)に示すように2つの閾値を設定した場合,それぞれの閾値を超えた積分電荷量が逐次メモリに取り込まれるように構成される。そして,各X線検出素子における高エネルギー側の閾値Vth2を超えた積分電荷量に基づき高エネルギーの X線透過画像を生成することができる。また,各検出素子における低エネルギー側の閾値Vth1を超 えた積分電荷量から高エネルギー側の閾値Vth2を超えた積分電荷量を差し引いた電荷量に基づき低エネルギーのX線透過画像を生成することができる。 【0023】なお,検査手段170で行う検査の方法を被測定物Wごとに相違させてもよい。 例えば,記憶手段141に記憶されたテーブルに更に,被測定物Wに対応付けて画 像処理の条件(例えば,各フォトンカウンティング数に対する係数や和 行う検査の方法を被測定物Wごとに相違させてもよい。 例えば,記憶手段141に記憶されたテーブルに更に,被測定物Wに対応付けて画 像処理の条件(例えば,各フォトンカウンティング数に対する係数や和,差などの計算式)を予め記録しておき,検査手段170による処理実行の際にテーブルを参照して閾値設定手段140に選択入力された被測定物Wに対応する検査方法を実行するようにしてもよい。このように被測定物Wごとに異なる検査方法を採用することにより,例えば,コントラストの高い画像を生成するために特別な画像処理を要 する被測定物Wがある場合にも簡単な設定で高コントラストな画像を得ることができる。 【0024】また,被測定物の検査は,必ずしも画像の生成によって行う必要はない。例えばエネルギー領域別の出力データ(各検出素子ごとの光子数など)を内部的にそのま ま差分をとったり比較したりすることで行ってもよい。 【0025】以上説明した本発明のX線検査装置100によれば,被測定物自体やそれに含まれ得る異物の物性に最適な閾値を設定できるため,被測定物等の物性によらず,被測定物と異物とのコントラストが高い明瞭な画像を生成することができ,被測定物を精度よく検査することが可能となる。また,閾値を設定するために被測定物Wを 選択するだけでよいので, X線検査の原理等に習熟していない利用者であっても,素早く,正確に設定を行うことが可能となる。 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 (別紙2)引用文献1の記載事項(抜粋) 【0001】本発明は,物品を透過したX線を検出しその品質状態に対応するX線画像を生成 して物品を検査する装置,特に複数 (別紙2)引用文献1の記載事項(抜粋) 【0001】本発明は,物品を透過したX線を検出しその品質状態に対応するX線画像を生成 して物品を検査する装置,特に複数種の品種情報を記憶しておき品種選択操作によりその検査時の設定条件切換えを行なうX線検査装置に関する。 【背景技術】【0002】従来から,各種生産ラインにおいて物品の品質状態を検査する物品検査装置が多 用されているが,このような物品検査装置は,複数種の物品についての品種データと共に運転条件を規定するパラメータ等の設定データを予め記憶手段に記憶させ,品種選択操作によりその検査時の運転条件を自動的に切換えるようにしたものが多い。 【0003】 例えば,品種識別を容易化するために設定データとその物品の外観画像とを組み合わせて記憶させておき,品種選択画面に複数種の品種の外観画像と品種名,外形寸法等を表示させることで,その表示画像のいずれかを選択指定するだけでその品種に関連する設定データの読み出しを実行できるようにし,パラメータの入力時間短縮と入力ミス防止を図ったものがある(例えば,特許文献1参照)。 【0004】また,外観画像と品種番号,品名,性能,定格等の設定データとを検査中の品種選択画面や測定画面中に表示することで,品種選択時や測定時に作業者が物品を取り違えるようなミスを防止するようにしたものがある(例えば,特許文献2参照)。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】しかしながら,上述のような従来の物品検査装置にあっては,品種データと物品の外観画像を組み合わせて品種情報を構成していたため,その物品検査装置に光学カメラ等の外観撮影手段を設ける必要がない場合であ しかしながら,上述のような従来の物品検査装置にあっては,品種データと物品の外観画像を組み合わせて品種情報を構成していたため,その物品検査装置に光学カメラ等の外観撮影手段を設ける必要がない場合であってもこの手段を設ける必要があり,装置のコスト高を招くという問題があった。 【0006】また,包装材や包装容器に封入・収納される内容物の外観画像をその封入・収納直前に撮影することが容易でないといった場合が多く,その場合には外観画像の取り込み自体が困難であった。 【0007】 さらに,被検査物品の外観画像は被検査物品の識別には有効であるが,通常,それ以外の検査条件に関わる画像情報を含んでおらず,多様な設定条件を有効に表示し得るものではなかった。 【0008】特に,物品を透過したX線を検出しX線画像を作成して物品検査を行なうX線異 物検出装置等のX線検査装置にあっては,外観の類似する物品中に内容物が多様な品種及び収納形態で封入・収納されるとともにその検査条件も多様であるため,外観画像を撮影したとしても品種選択操作等をさほど容易化することができなかった。 【0009】 そこで,本発明は,光学カメラ等の外観撮影手段を用いなくとも被検査物品やその検査の条件を視覚的に把握可能なX線画像を用いることにより,品種選択作業を容易化したり,選択した品種に対する検査中の品種の照合・判定作業を容易化したりすることのできる低コストのX線検査装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明は,上記課題の解決のため,(1)物品を透過したX線を検出するX線検出手段と,前記X線検出手段の検出情報に基づいて前記物品の品質状態に対応するX線画像を生成する画像生成手段と 本発明は,上記課題の解決のため,(1)物品を透過したX線を検出するX線検出手段と,前記X線検出手段の検出情報に基づいて前記物品の品質状態に対応するX線画像を生成する画像生成手段と,前記物品の品種ごとの情報と該品種ごとの前記X線検出手段及び前記画像生成手段の動作条件とをそれぞれ設定する設定手段と,前記設定手段の設定情報を記憶する設定情報記憶手段と,を備え,前記X線画 像に基づいて前記物品の品質状態を検査するX線検査装置であって,前記設定情報記憶手段は,前記設定手段により前記品種ごとの前記X線検出手段及び前記画像生成手段の動作条件が設定されるときの前記X線画像を前記品種ごとの情報に関連付けた設定時X線画像として記憶するものである。 【0011】 この構成により,品種ごとの情報に関連付けて記憶されたX線画像が,品種ごとの検出やX線画像生成(更には判定)の条件に関する設定条件の特徴をその物品の特定の品質状態と共に記憶した情報となるから,これを画面表示すれば設定品種ごとの物品とその検査の条件を視覚的に容易に把握可能となるし,画面表示しない場合でも設定条件の特徴等を抽出処理可能な情報となり,設定条件と検査される物品 との照合・判定(適合の有無の判定)が可能となる。なお,前記X線画像は検査時のX線画像より画素数を少なくした圧縮画像であってよい。 【0026】以下,本発明の好ましい実施の形態について,図面を参照しつつ説明する。 [第1の実施の形態] 図1~図3は本発明の第1の実施の形態に係るX線検査装置を示す図であり,本発明をX線異物検出装置に適用した例を示している。 【0027】まず,その構成について説明する。 【0028】 図1に示すように,本実施形態のX線検査装置は,被 を示す図であり,本発明をX線異物検出装置に適用した例を示している。 【0027】まず,その構成について説明する。 【0028】 図1に示すように,本実施形態のX線検査装置は,被検査物品であるワーク,例 えば袋状の包装材や所定形状の包装容器中に複数個の内容物を収納したワークWを検査する装置で,ワークWを透過したX線を検出する検出手段10(X線検出手段)と,ワークWを所定方向に搬送するコンベア搬送路11とを備えている。 【0029】コンベア搬送路11は,例えば図示しない搬送駆動モータにより所定搬送速度で 駆動されるベルトコンベアであり,所定の検出領域12内を通してワークWを移動させることができる。なお,ワークWの移動は外力による搬送に限定されるものでなく,例えば自重によるワークWの移動経路(転動,摺動,落下等による移動経路)中に検出領域12が存在するものでもよい。 【0030】 検出手段10は,検出領域12内のワークWに向けてX線を照射するX線源13と,照射されたX線のうちワークWを透過したX線を検出するX線検出部14と,ワークWがコンベア搬送路11上で検出領域12の上流側所定位置に達したことを検知するワーク検知センサ15とを含んで構成されている。 【0031】 X線源13は,例えば陰極フィラメントからの熱電子をその陰極と陽極の間の高電圧により陽極ターゲットに衝突させてX線を発生させるX線管を有しており,発生したX線を下方のX線検出部14に向けて不図示のスリットによりコンベア搬送路11の搬送方向と直交する方向(以下,幅員方向という)に広がる扇形のビームに整形して照射するようになっている。 【0032】また,X線検出部14は,検出領域12内でコンベア搬送路11の搬 1の搬送方向と直交する方向(以下,幅員方向という)に広がる扇形のビームに整形して照射するようになっている。 【0032】また,X線検出部14は,検出領域12内でコンベア搬送路11の搬送方向と直交する方向(以下,幅員方向という)に隣り合う複数の透過領域のそれぞれについて,ワークWを透過したX線を検出し各透過領域における所定時間ごとの累積透過量のデータを検出信号として出力するようになっている。X線検出部14は,詳細 を図示しないが,例えばX線ラインセンサで構成されており,このX線ラインセン サは,蛍光体であるシンチレータとフォトダイオード若しくは電荷結合素子とからなる検出素子を幅員方向にアレイ状に所定ピッチで配設した公知のもので,所定解像度でのX線検出を行なうことができる。すなわち,X線検出部14は,検出領域12内をワークWが図1中の左側から右側への搬送方向に通過するとき,そのワークWの品質状態を表わす検出信号を生成し出力するようになっている。 【0033】搬送方向についても,X線検出部14の素子列ライン上でのX線量のサンプリングピッチに対応するサンプリングピッチでワークWのX線透過量が順次サンプリングされるように,コンベア搬送路11の搬送速度が設定されており,X線検出部14の複数の検出素子からのX線透過量の検出信号をワークWの搬送方向全域につい て蓄積記憶することで,X線画像作成のためのデータが取得できるようになっている。 【0034】X線検出部14の検出信号は,制御装置20に取り込まれるようになっている。 【0035】 この制御装置20は,詳細なハードウェア構成を図示しないが,例えばCPU,ROM,RAMおよびI/Oインターフェースを有するマイクロコンピュータと,ハー うになっている。 【0035】 この制御装置20は,詳細なハードウェア構成を図示しないが,例えばCPU,ROM,RAMおよびI/Oインターフェースを有するマイクロコンピュータと,ハードディスク等の補助記憶装置,各機能部のドライバ回路等を含んで構成されており,ROM等に予め格納された制御プログラムに従って,CPUがRAMとの間でデータを授受しながら所定の演算処理を実行することで,X線検出部14からの 検出信号を基にX線画像データを作成して例えばワークW中の異物の有無を判定するようになっている。 【0036】この制御装置20は,機能的には,図1に示すように,X線検出部14の検出情報に基づいてワークWの品質状態,例えば混入異物の有無(あるいは,欠品の有無, 内容物の形状・サイズ・収納状態の合否,密度・厚さ・体積若しくは質量の分布等) に対応するX線画像を生成するX線画像生成部21(画像形成手段)と,ワークWの品種ごとの情報とその品種ごとの検出手段10及びX線画像生成部21の動作条件とをそれぞれ設定する設定操作部22(設定手段)と,設定操作部22の設定情報を記憶する設定情報記憶部23(設定情報記憶手段)と,X線画像生成部21で作成された各ワークWごとのX線画像に基づき公知の所定の判定処理プログラムを 実行してのワークWの品質状態の合否を判定する判定部24と,判定部24の判定結果に対応する検査結果情報を画面表示したり設定操作部22の操作に応じて設定情報記憶部23に記憶された設定情報を画面表示したりする表示制御部25及び表示器26とを含んで構成されている。表示器26は,例えばフラットパネルディスプレイで構成された表示手段である。 【0037】ここで,X線画像生成部21は,例えば各ワークW 部25及び表示器26とを含んで構成されている。表示器26は,例えばフラットパネルディスプレイで構成された表示手段である。 【0037】ここで,X線画像生成部21は,例えば各ワークWについてのX線検出部14からの検出情報に基づき,ワークW(物質)の各部X線吸収レベルに対応し作業者による判定・確認作業にも適した画像処理(例えば人の目の感度に応じ検出信号レベルから対数変換した結果で濃淡階調レベルを設定した画像)を施したX線画像を生 成するようになっている。 【0038】設定操作部22は,例えば図3に示す運転画面中に表示されるメニューボタン46や図2に示す選択画面中の操作部22sのように画面上に操作入力部を有しており,メニューボタン46の操作に応じて図示しないメニュー画面を表示して,そこ に各種パラメータ設定や品種切換えのための操作ボタンを配して設定操作を可能にするもので,そのためのプログラムを有している。なお,図2に示す品種選択画面30はメニュー画面上で品種切換えを選択したときに表示され,図3に示す運転画面40は通常の連続運転による繰り返し検査が実行されるときに表示される。 【0039】 設定情報記憶部23は,設定操作部22によってワークWの品種ごとに検出手段 10及びX線画像生成部21の動作条件が設定されるとき,そのX線画像生成部21で生成されたX線画像を前記品種ごとの設定情報(例えば,品種番号,品名,内容物の個数,重さ,形状,管電流,管電圧,搬送速度,判定閾値,マスク処理条件等)に関連付けた設定時X線画像として記憶するようになっている。 【0040】 また,設定情報記憶部23に記憶した設定時X線画像がワークWの前記品種ごとの情報と共に表示器26で画面表示されるように,表示 た設定時X線画像として記憶するようになっている。 【0040】 また,設定情報記憶部23に記憶した設定時X線画像がワークWの前記品種ごとの情報と共に表示器26で画面表示されるように,表示制御部25での表示制御がなされる。 【0041】具体的には,制御装置20は,更に,設定情報記憶部23の記憶情報に基づき複 数種の前記物品ごとの情報を複数の選択肢として含む品種選択画面30(図2参照)の画像を生成する選択画面生成部27(品種選択画面生成手段)と,品種選択画面30中の複数の選択肢31~33のいずれかを選択する選択操作に応じて検査対象のワークWの品種を選択する品種選択処理部28(品種選択処理手段)との機能を有しており,品種選択画面30の画像は表示部25(判決注:前後の記載から「表 示部25」は「表示器26」の誤記と認める。)で画面表示される。 【0042】また,選択画面生成部27は,例えば図2示すように,品種選択画面30の画像として複数種のワークWの品種ごとの選択肢画像31,32及び33と,設定操作部22の一部を構成する操作部画像22sとを含む画像を生成するようになってい る。ここで,選択肢画像31は,テキスト情報として,図中に「No.001」で示す品種番号31aと,「ソーセージA」で表わされた品名31cと,これら品種番号31a及び品名31cを有する特定の品種のワークWに対応する設定時X線画像31bとで構成されている。同様に,選択肢画像32は,図中に「No.002」で示す品種番号32aと,「ソーセージB」で表わされた品名32cと,これら品種 番号32a及び品名33cを有する特定の品種のワークWに対応する設定時X線画 像32bとで構成され,選択肢画像33は,図中に「No.003」で示す品種 された品名32cと,これら品種 番号32a及び品名33cを有する特定の品種のワークWに対応する設定時X線画 像32bとで構成され,選択肢画像33は,図中に「No.003」で示す品種番号33aと,「レトルトカレーC」で表わされた品名33cと,これら品種番号33a及び品名33cを有する特定の品種のワークWに対応する設定時X線画像33bとで構成されている。すなわち,各選択肢画像31,32又は33は,ワークWの品種ごとの物品情報とその品種について各種パラメータを設定し検査時の検出条件 及び判定条件を設定したときのX線画像,すなわち設定時X線画像31b,32b又は33bをその品種の代表画像として表示するようになっている。 【0043】また,操作部画像22sは,品種選択画面30中に表示された複数の選択肢31,32,33のうち強調表示されるいずれかの1つの選択肢31,32又は33を変 更するための上下移動キー35a,35bと,強調表示されるいずれかの1つの選択肢31,32又は33を仮選択されたものとするための変更キー37と,その仮選択状態を確定状態とするための決定キー36と,変更キー37による仮選択の有効状態を基に戻したり品種選択画面30からメニュー画面に戻したりするための戻るキー38とを含んでいる。 【0044】品種選択処理部28は,操作部画像22sで決定キー36が操作されて品種選択が確定したとき,選択された品種に対応する設定情報を設定情報記憶部23から読み出して,X線画像生成部21,判定部24,表示制御部25,選択画面生成部27及び検出制御部29に選択された品種の設定パラメータ等を供給するようになっ ており,これにより検出手段10による検出,X線画像生成部21による画像生成,判定部24におけ 5,選択画面生成部27及び検出制御部29に選択された品種の設定パラメータ等を供給するようになっ ており,これにより検出手段10による検出,X線画像生成部21による画像生成,判定部24における判定及び画面表示制御の条件がそれぞれ選択品種に対応するものに変更される。 【0045】検出制御部29は,X線源13のX線管の管電流や管電圧を制御したり,X線検 出部14の感度補正を行なったりする一方,ワーク検知センサ15のワーク検知信 号に応じてX線検出部14からX線画像生成部21へのワークWごとの検出信号取り込み期間である測定期間を設定する機能を有している。 【0046】一方,表示制御部25は,設定情報記憶部23を介して設定操作部22からの操作入力内容を取り込み,例えば画面表示モードの切換えを行なって指定された表示 モードで表示器26の表示データを作成する。さらに,表示制御部25は,X線画像生成部21からのX線画像,設定情報記憶部23からの設定情報及び品種選択処理部28からの選択品種に関る情報を取得して,複数のワークWについてその品質状態の検査を連続的に実行する実検査時に,X線画像生成部21により生成される実検査時のX線画像と設定時X線画像とを同時に表示する運転画面情報を生成し, 表示器26に表示させるようになっている。 【0047】この運転画面40は,例えば図3に示すように,その主画面領域40a中に,実検査時のX線画像Wiを表示するX線画像表示部41と,その側方(図3中の右側)に設けられて現在の品種を選択操作画面30中で選択したときに表示されていたと のとほぼ同様な品種情報(図3中では品種番号32a,設定時X線画像32b及び品名32c)を表示する品種情報表示部42と,検査結果(合否)を「 選択操作画面30中で選択したときに表示されていたと のとほぼ同様な品種情報(図3中では品種番号32a,設定時X線画像32b及び品名32c)を表示する品種情報表示部42と,検査結果(合否)を「OK」又は「NG」で表示する結果表示部43と,良品生産量,NG排出量(検査数および検査結果)等を数値で表示する数値表示部44と,判定条件を特定する主要なパラメータ(例えば異物検出リミット,異物面積比,濃淡リミット)を表示する設定パラ メータ表示部45とを含んでいる。 【0048】また,運転画面40は,主画面領域40aに加えて,共通の画面操作やメニュー画面などへの移行操作のためのメニューボタン46,搬送及び検査の開始を指令するスタートボタン47,搬送及び検査の停止を指令するストップボタン48等の操 作キーを表示する操作部領域40bと,検査時刻表示やヘルプ情報,X線照射中で ある旨の動作状態表示(図3中では「運転中」)等の表示領域40cとを含んでいる。 ここで,数値表示部44に表示される「総検査量」は総異物検査回数に対応する。 また,「良品数」はばら状や練り物状の場合は各検査対象量のワークWを単位とする,異物が含まれていなかったワークWの累計の数となり,NG数はこれと同様に異物が含まれていたワークWの累計の数を示している。 【0049】次に,動作について説明する。 【0050】まず,新規な品種のワークWを登録する場合には,まず,その品種の物品の情報である品種番号,品名,内容物の個数,重さ,形状等が設定入力される。 【0051】また,検出手段10のX線源13の駆動条件(照射強度を特定する管電圧及び管電流等)がワークWの品種に合わせて適切なレベルに設定され,無搬送のコンベア搬送路11上の幅員 。 【0051】また,検出手段10のX線源13の駆動条件(照射強度を特定する管電圧及び管電流等)がワークWの品種に合わせて適切なレベルに設定され,無搬送のコンベア搬送路11上の幅員方向全域でベルト面のみでの各透過領域のX線透過量が等しい値になるようX線検出部14の検出感度が調整され,次いで,無搬送時のコンベア 搬送路11のベルト面を被検査物品のない基準面とする検出条件設定がなされ,X線画像生成部21への取り込むデータのノイズカット閾値等が設定される。 【0052】さらに,ワークWのサンプルを使用し,コンベア搬送路11の搬送速度,判定部24での判定に関する閾値その他のパラメータ,X線画像生成部21でのマスク処 理条件等の詳細設定がなされる。 【0053】このとき,判定部24で生成されたX線画像は判定部24を介し表示制御部25に送られ,表示器26により検査を行なう作業者による異物有無の判定・確認に好適な濃度分布画像として表示されるが,その設定時X線画像が適当な画像サイズに 圧縮(縮小)されて表示制御部25から設定情報記憶部23に格納される。なお, 設定値が更新されると,その更新設定時に得られた設定時X線画像が設定情報記憶部23に格納されることで,設定情報記憶部23内の設定時X線画像も更新される。 【0054】上述のような設定で入力された初期設定データは,設定情報記憶部23に例えば品種パラメータファイルとして書き込まれ,品種を指定する入力がなされたときに 読み出し可能な状態で保持される。 【0055】このような設定が済むと,一連の検査の制御プログラムが実行され,例えば図2に示したような品種選択画面検査対象のワークWの品種を指定する入力がなされると,先に設定済みの設定情報 。 【0055】このような設定が済むと,一連の検査の制御プログラムが実行され,例えば図2に示したような品種選択画面検査対象のワークWの品種を指定する入力がなされると,先に設定済みの設定情報が設定情報記憶部23内の品種パラメータファイルか ら読み出され,次いで,測定開始を指示するスタートボタン等の操作入力があると,コンベア搬送路11によるワークWの搬送が開始される。したがって,このときの装置の運転条件は,選択された品種について予め設定された検出条件及び判定条件でX線異物検出(品質状態の検査)を行なう条件となる。 【0056】 次いで,ワークWがワーク検知センサ15で検知される。 【0057】次いで,X線検出部14からの検出信号のX線画像生成部21への取り込みが開始され,ライン走査が繰り返されるとともに,X線画像生成部21内のメモリにX線ラインセンサの検出素子数n個分の透過量のデータが順次格納され,適当な上述 した変換処理が施されて各ワークWについてのX線吸収量分布に対応するX線画像のデータが生成され,そのデータが判定部24に出力される。また,X線画像生成部21では,各品種の設定情報も基づき,検出信号に対応するX線画像データに対し更に加えた画像処理,例えばマスク処理,領域分割処理,検査対象領域の表示枠設定処理等がある場合には,それの処理後の画像が表示制御部25に出力されるよ うに判定部24に必要なデータを出力する。 【0058】次いで,判定部24では,各ライン走査ごとのデータ中の最大画素濃度のデータを所定の閾値と比較してX線吸収率が大きい金属異物等の混入の有無が検出濃度レベルと閾値との比較により判定され,その結果が表示制御部25に順次出力される。 また,X線画像生成部21からのX 濃度のデータを所定の閾値と比較してX線吸収率が大きい金属異物等の混入の有無が検出濃度レベルと閾値との比較により判定され,その結果が表示制御部25に順次出力される。 また,X線画像生成部21からのX線画像のデータ(マスク処理,領域分割処理, 検査対象領域の表示枠設定処理等がされている場合はその処理後の画像データ)が併せて表示制御部25に出力される。 【0059】そして,ワーク検知後の所定のタイミングで表示制御部25では,図3に示したような運転画面40のような画像データが作成され,表示器26に出力される。こ のときの運転画面40においては,判定部24での判定結果が結果表示部43にOK又はNGとして表示される一方,X線画像表示部41に検査中のワークWについての実検査時のX線画像Wiが表示され,更に品種情報表示部42に現在の選択品種の代表画像である設定時X線画像32bが表示される。 【0060】 この状態において,品種ごとの情報に関連付けて記憶された設定時X線画像32bは,品種ごとの検出パラメータやX線画像生成に要する設定パラメータ,判定条件設定パラメータ等の設定条件をその物品の特定の品質状態(内容物の配列状態や搬送姿勢を含む)と共に記憶した画像情報となることから,設定品種ごとの物品とその検査の条件を視覚的に容易に把握することができる。 【0061】しかも,表示器26が実検査時のX線画像と設定時X線画像とを同時に表示しているので,実検査中にその検査の条件に実検査品が適合したものか否かが,実検査のX線画像Wiとこれと同時に表示された設定時X線画像とを照合するだけで,容易に判定できることになる。 【0062】 ここで,例えばメニューボタン46が操作され,メニュー画面中において品種変 これと同時に表示された設定時X線画像とを照合するだけで,容易に判定できることになる。 【0062】 ここで,例えばメニューボタン46が操作され,メニュー画面中において品種変更の指示がされると,品種選択処理部28からの情報を基に選択画面生成部27で設定済みの品種の一覧がスクロール可能に部分的に表示される。 【0063】この状態においては,選択肢となる品種ごとの情報である品種番号31a,32 a,33a及び品名31c,32c,33cと,それぞれの品種に対応する設定時X線画像31b,32b,33bとを確認できることから,選択すべき品種をその検査条件を含めて表示画像から視覚的に容易に把握可能となり,品種選択操作が容易になる。 【0064】 このように,本実施形態のX線検査装置では,品種情報に関連付けて記憶された設定時X線画像によって設定品種ごとのワークWとその検査の条件を容易に把握でき,光学カメラ等の外観撮影手段を用いなくとも,選択すべき品種をその検査条件を含めて表示画像から視覚的に容易に把握可能にして品種選択操作を容易化したり,選択した品種に対する検査中の品種の照合・判定を容易化したりすることができ, 低コストのX線検査装置ともなる。 【図1】 【図2】 (別紙3) 引用文献2の記載事項(抜粋) 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は,新しい型式のX線撮影装置に関し,特に医療用検査装置として用いると効果があるX線撮影装置に関する。 【0002】【従来の技術】 従来,医療用検査に用いられる普通のX線撮影装置は,X線に感度を有するピクセルを配設したX線検出器を備 装置として用いると効果があるX線撮影装置に関する。 【0002】【従来の技術】 従来,医療用検査に用いられる普通のX線撮影装置は,X線に感度を有するピクセルを配設したX線検出器を備えて,白色X線を被写体に照射し,被写体を透過して各ピクセルに到達するX線の総量に対応するカウントの積算数を用いて,画像化するように構成されている。 このようなX線撮影装置では,身体組織ごとの吸収特性にかかわらず白色X線全体 の透過量を検知するため,目的とする臓器などを明瞭に表示するようにしたコントラストの高いX線像を得ることが難しい。 【0003】そこで,白色X線を分光器で分光して,単色化したX線を用いて撮影することによりコントラストのあるX線像を取得することが考えられる。 しかし,簡便のため管球X線を用いる場合はX線が放射状に放出されるため,分光面を球面上に形成した分光器が必要となり,高度な製作技術と大きな費用のため,実用化が困難である。 また,放射光を用いてX線光源を平行光とすることもできるが,光源装置が非常に大型化するため装置全体が大規模化して実用的でない。 【0004】 さらに,ヨウ素を造影剤として利用した冠状動脈造影など,造影剤X線吸収率があ る波長を境に急激に変化することを利用し異なる波長の単色X線を用いて得られたX線像の差分から目的とする部分を際だたせて表示する方法を用いる場合は,波長を変えるたびに撮影するため時間がかかる上,X線エネルギーを変えて分光するようにするため分光器調整を行うため構造が複雑になる問題がある。 特に冠状動脈撮影の場合は,心臓が鼓動しているため異なる時刻に撮影したX線像 の差分を取ると,位置がずれてしまい明瞭な動脈像を生成することができない。 【0005】 複雑になる問題がある。 特に冠状動脈撮影の場合は,心臓が鼓動しているため異なる時刻に撮影したX線像 の差分を取ると,位置がずれてしまい明瞭な動脈像を生成することができない。 【0005】【発明が解決しようとする課題】そこで,本発明が解決しようとする課題は,X線を照射して得られる測定出力からX線吸収特性の異なるいくつかの目的物のX線像を抽出して表示するX線撮影装置, すなわちX線エネルギー分析イメージング装置,特に冠状動脈造影など医療用検査に有効なX線エネルギー分析イメージング装置を提供することである。 【0006】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため,本発明のX線エネルギー分析イメージング装置は,X線 に対してエネルギー分解能を有するピクセルが配列され空間分解能を有するX線検出器とX線発生装置と記憶装置と演算処理装置を備え,被写体にX線を照射して撮影を行い,X線検出器のピクセルごとの出力信号について所望のX線エネルギーにおける出力信号を選択してX線像化することを特徴とする。 本発明のイメージング装置によれば,一旦取得したX線潜像情報をX線エネルギー ごとに分離して利用することができるため,全エネルギー成分に対するカウント数情報から特定エネルギーのX線に対するカウント数のみを抽出して画像化することにより,そのエネルギーのX線に対する吸収率が高いあるいは低い対象物が明瞭に浮き出してくる。 【0007】 また,X線の単色化はデータ処理で行うため,管球からの白色X線を使用する場合 でも複雑で高価な分光装置を必要とせず,実用性の高い装置を得ることができる。 本発明のイメージング装置は,いわゆるレントゲン撮影装置として内蔵組織を選択表示するために利用することができる。また,物 でも複雑で高価な分光装置を必要とせず,実用性の高い装置を得ることができる。 本発明のイメージング装置は,いわゆるレントゲン撮影装置として内蔵組織を選択表示するために利用することができる。また,物質に特有な高吸収X線を利用することにより,荷物や人体内に隠匿した麻薬,あるいは爆薬や象牙などの禁制品の有無を検査することができる。 【0008】エネルギー分解能を有するX線検出素子は,たとえば素子にX線が入射するとX線のエネルギーに対応する電流を発生するものであってもよい。このような素子では,所定期間に観察される電流発生回数を電流の大きさに従って分類して積算することにより,透過X線のエネルギースペクトルを得ることができる。 上記のような特性を有する素子として,ゲルマニウムGe,ヨウ化セシウムCsI,またアモルファスa-Siシンチグラフィなどがある。さらに,テルル化カドミウムCdTeをショットキー電極として用いるCdTeダイオードは,高いバイアス電圧を印加できるため電荷収集時間を短縮することができ,また質量数が大きいためX線やガンマ線の吸収率が高いことなどから,高速応答性と高検出効率を有する 優れた素子としてX線検出検出器に利用することができる。 【0009】X線検出器の出力を増幅器で増幅し,電流値で分類して頻度をカウントする。各検出素子ごとのカウント結果はX線エネルギーごとの入射頻度を表し,スペクトル化したデジタル情報として蓄積することができる。デジタル化した情報は演算処理装 置の高速処理を経て,指定したX線エネルギーにおける各素子ごとのX線検出量を算定し,ピクセル配置に対応して平面展開することにより指定X線エネルギーにおけるX線透過状態を濃淡画像として表示することができる。 【0010】また,異なるX ーにおける各素子ごとのX線検出量を算定し,ピクセル配置に対応して平面展開することにより指定X線エネルギーにおけるX線透過状態を濃淡画像として表示することができる。 【0010】また,異なるX線エネルギー領域における出力信号の差分に基づいて画像化するよ うにしてもよい。 たとえばヨウ素造影剤を用いた冠状動脈造影では,ヨウ素のK吸収端の上と下の2個のエネルギーにおけるX線検出カウント数の差を算出すると,造影剤がない部分ではカウント数が余り変わらないので相殺されて値がゼロに近くなり,造影剤の存在する血管の部分は差が生じて値が大きくなる。したがって,K吸収端の上下におけるカウント数差に基づいて画像を生成すると,血管部分だけが表われた画像とな り,診断に便利である。 通常の冠動脈造影でエネルギー差分を行おうとすると,異なる2波長の単色X線を照射する必要があるが,本発明の装置を用いると,白色X線を照射して得られた測定値から2つのエネルギーを選択して差分処理し画像を得るので,撮影は1度で済み,さらに同じときに形成されたX線像を用いるため鼓動に影響されずいつでも明 瞭なX線像を生成することができる。 【0012】【発明の実施の形態】以下実施例を用いて本発明を詳細に説明する。 図1は本発明の1実施例に係るX線エネルギー分析イメージング装置のシステム図, 図2は信号処理ブロック図,図3は物質の質量吸収係数のフォトンエネルギー依存性を表示したグラフである。 【0013】本実施例のX線エネルギー分析イメージング装置は,図1に示すように,X線検出器1と画像処理装置2と表示装置3から構成され,X線発生器4とX線検出器1の 間に被写体5を置いて,X線を照射してX線検出器1で取得するX線潜像を画像処理装置 置は,図1に示すように,X線検出器1と画像処理装置2と表示装置3から構成され,X線発生器4とX線検出器1の 間に被写体5を置いて,X線を照射してX線検出器1で取得するX線潜像を画像処理装置2により画像処理して目的のX線像を生成して表示装置5に表示する。 X線発生器4は白色X線を発生する管球X線源を使用することができる。 X線検出器1は,エネルギー分解能を有するX線検出素子を面上に配列して形成したX線検出部11を備える。 【0014】 X線検出部11は,たとえばテルル化カドミウムCdTeをピクセルとしてセラミック基板上にアレイ状に形成し,白金とインジウムの電極を用いてバイアス電圧を印加できるようにしたショットキー型の電流電圧特性を有するようにしたテルル化カドミウム半導体検出器を利用することができる。 たとえば,50μm平方程度の大きさのテルル化カドミウム素子を縦横数10mm の基板上にアレイ状に形成することができる。このようにピクセルをアレイ配置したX線検出部11は空間分解能を有する。なお,X線検出部11に1次元のリニアアレイを用いて1次元走査して測定することもできる。 【0015】このような検出器では,半導体ピクセルにバイアス電圧を掛けて発生する電子正孔 対のそれぞれを陽極陰極に引きつけ空乏層を形成しておいて,この空乏層にX線を吸収させると X線のエネルギーに対応する数の電子正孔対が発生して電極間に電流が流れるので,電流の大きさから入射したX線のエネルギーを知ることができる。 電子正孔対の発生により生成する微細電流を増幅して電流値で分類して所定時間における電流値ごとの検出回数を計数すると,ピクセルごとに入射X線のエネルギー スペクトラムを得ることができる。 【0016】X線発生器 生成する微細電流を増幅して電流値で分類して所定時間における電流値ごとの検出回数を計数すると,ピクセルごとに入射X線のエネルギー スペクトラムを得ることができる。 【0016】X線発生器4からの白色X線を測定対象5に照射すると測定対象5を構成する部分ごとにエネルギー吸収率が異なるため,透過X線は強度がエネルギーごとに変成された状態になる。X線検出器1には,X線検出部11のX線検出素子が感度を有す るX線エネルギー領域にわたり受光X線の透過状態が潜像として形成され,エネルギー成分を指定して抽出することにより,そのエネルギー成分について透過X線強度にしたがったX線像を得ることができる。したがって,1回のX線撮影により得られた情報からX線吸収条件が異なる骨の画像と臓器の画像を別々に取り出すことができる。また,麻薬が吸収するX線エネルギー領域を切り出して画像に合成する ことにより,胃の中に隠した麻薬袋を像として検出することなども可能である。 【0017】検出信号を処理するため,図2に表示したように,X線検出器1には,X線検出部11に加えて,各X 線検出素子ごとに設けたプリアンプ12 とプリアンプの出力をさらに増幅する増幅器13と増幅器の出力をデジタル化するA/D変換器14とA/D変換器14の出力を大きさごとに分類してその検出回数を計数する弁別計 数器15と,所定の期間受光したX線の弁別結果を積算して素子ごとのエネルギースペクトルを記憶する2次元メモリ16を備える。 このようにして,2次元メモリ16に蓄えられたピクセルごとのエネルギースペクトル情報は,画像処理装置2で処理して画像化される。 【0018】 画像処理装置2は,波形整形器21と3次元メモリ22とエネルギー選択器23と画像合成器24 ピクセルごとのエネルギースペクトル情報は,画像処理装置2で処理して画像化される。 【0018】 画像処理装置2は,波形整形器21と3次元メモリ22とエネルギー選択器23と画像合成器24と画像メモリ25から構成される。 波形整形器21は,2次元メモリ16のエネルギースペクトル情報を取り込んで信号波形中のノイズやクロストーク成分を除去し,画像処理装置2内の3次元メモリ22にピクセルごとに準備されたスペクトラム記憶領域に格納する。 エネルギー選択器23は,3次元メモリ22からピクセルごとのスペクトラム情報を引き出し,分析目的に従って決定されるエネルギーγに基づいて,ピクセルごとに対象位置におけるX線強度を切り出す。 【0019】画像合成器24 は,各ピクセルにおける指定のエネルギー成分の強度を濃淡度合 いに変換して,ピクセルの空間的配置に対応する点の濃淡として表すことにより,濃淡画像を生成する。この濃淡画像は,そのエネルギー成分のX 線のみを分光器や放射光などで選択して照射した場合に得られるX 線透過像と同じものである。この方法は,単色X線部分のみを使用するものであるから,エネルギーに幅のあるX線を用いたときのX線像のように,目的とする画像が背景ノイズに埋もれて不鮮明 になることがない。 このようにして生成した濃淡画像は画像メモリ25を介して表示装置3に表示することができる。なお,必要に応じて印刷装置で印刷したり,他のコンピュータに転送して利用することもできる。 【0020】また,本実施例のX線エネルギー分析イメージング装置では,一旦取り込んだX線 透過像の潜像を処理して,任意のエネルギーにおけるX線の透過像を生成するから,特に感度のよいエネルギー領域を選択して目的部位の像を鮮明化 線エネルギー分析イメージング装置では,一旦取り込んだX線 透過像の潜像を処理して,任意のエネルギーにおけるX線の透過像を生成するから,特に感度のよいエネルギー領域を選択して目的部位の像を鮮明化する場合や,アンジオグラフィーなどで異なる波長における画像を用いた演算により画像を形成する場合にも有効に使用することができる。 図3に示すように,骨や軟部組織のX線吸収率はX線エネルギーの変化に対してほ ぼ単純に減少するのに対して,たとえばヨウ素は33.17keVの位置にいわゆるK吸収端を有し,K吸収端でX線の質量吸収係数が急激に増加する。 そこで,血管に造影剤としてヨウ素を注入し,ヨウ素のK吸収端より僅かに高い34keVから35keVのX線だけをカウントして画像化すると,周囲の組織と比較して血液のある部分がX線を強く吸収するので,血管を濃い影として検出するこ とができる。 【0021】また,周囲の組織におけるX線吸収量はK吸収端の上下で余り変化がないため,K吸収端の上のたとえば34keVから35keVとK吸収端の下のたとえば32keVから33keVの2個の部分についてそれぞれピクセルへの入射X線量をカ ウントしカウント値の差分を取ると,軟部組織や骨に吸収されたX線が相殺され血管部分のみに差が現れて冠状動脈のコントラストの大きな鮮明な映像を得ることができる。この画像は,同じ時に取得されたエネルギーの異なるX線像から合成されたものであるから,心臓と一緒に激しく動いている冠状動脈を静止状態で検出するものである。 【0022】 この装置は,また,金錯体光感受性物質を用いたガン診断などにそのまま応用することもできる。 本実施例の装置は,実質的に単色X線で測定した場合と同じX線透過像を得るので対象 0022】 この装置は,また,金錯体光感受性物質を用いたガン診断などにそのまま応用することもできる。 本実施例の装置は,実質的に単色X線で測定した場合と同じX線透過像を得るので対象物の検出能力が向上する。さらに,X線単色化のために特殊な装置を使用しないためシステムを小型化することができ,また,エネルギーを変えて検査するきに も1度の撮影で済むので検査時間が短縮する利点がある。 【0024】【発明の効果】以上説明した通り,本発明のX線エネルギー分析イメージング装置を用いることにより,1回の撮影で得られる測定出力からX線吸収特性の異なるいくつかの目的物 のX線像を抽出して鮮明に表示することができる。本発明の装置は,麻薬や火薬の検査などに用いることができ,特に冠状動脈造影など医療用検査に有効に活用することができる。 【図1】 【図2】 【図3】
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