平成27(行ウ)16 怠る事実の違法確認等請求事件(住民訴訟)

裁判年月日・裁判所
平成30年5月24日 大阪地方裁判所 住民訴訟
ファイル
hanrei-pdf-88344.txt

判決文本文38,092 文字)

平成30年5月24日判決言渡平成27年(行ウ)第16号怠る事実の違法確認等請求事件(住民訴訟) 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用及び補助参加によって生じた訴訟費用は原告ら の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告が,P1,P2,P3,P4,P5,P6株式会社,株式会社P7及び被告補助参加人に対し,各自5594万4000円の支払請求を怠ることが違 法であることを確認する。 2 被告は,P1,P2,P3,P4,P5,P6株式会社,株式会社P7及び被告補助参加人に対し,各自5594万4000円及びこれに対する平成27年2月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,α市の住民である原告らが,α市の執行機関である被告を相手に,地方自治法242条の2第1項3号及び4号に基づき,(1) α市の実施したα市立市民会館(以下「市民会館」という。)別館2階ホール増築他建築工事に係る事後審査型制限付一般競争入札(以下「本件入札」 という。)において,本件入札に参加したP6株式会社(以下「P6」という。),株式会社P7(以下「P7」という。),被告補助参加人(以下「補助参加人」といい,上記2社と併せて「P6ほか2社」という。)がP6を受注予定者とする談合を行ったため,適正な競争入札が行われた場合の代金額に比して高額の請負契約(以下「本件原契約」という。)が締結され,α市がその差額に 相当する5594万4000円の損害を被ったことにより,P6ほか2社に 対して,不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているにもかかわらず,被告がその行使を違法に怠っているとして,被告がP 相当する5594万4000円の損害を被ったことにより,P6ほか2社に 対して,不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているにもかかわらず,被告がその行使を違法に怠っているとして,被告がP6ほか2社に対してそれぞれ上記損害賠償請求をしないことが違法であることを確認するとともに,「怠る事実の相手方」であるP6ほか2社に対し,それぞれ上記損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を請求するよう求め, (2) α市長であるP1,副市長であるP2,α市職員であるP3及びP4(P2及びP3と併せて「P2ら」という。)がP6ほか2社による談合を知り,あるいは知り得たにもかかわらず,本件入札を実施し,その結果,適正な一般競争入札が行われた場合の代金額に比して高額の本件原契約が締結され,α市がその差額に相当する5594万4000円の損害を被ったことにより, P1及びP2らに対して,不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているにもかかわらず,被告がその行使を違法に怠っているとして,被告がP1及びP2らに対してそれぞれ上記損害賠償請求をしないことが違法であることを確認するとともに,「怠る事実の相手方」であるP1及びP2らに対し,それぞれ上記損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を請求するよう求め, (3) P1,P2ら及びα市職員であるP5が追加で工事が必要となることを隠して,本件入札を行い,議会の議決を得て,本件原契約を締結したという一連の不法行為により,高額な本件原契約及びそれを変更する契約(以下「本件変更契約」という。)が締結され,α市が5594万4000円の損害を被ったことにより,P1,P2ら及びP5に対して,不法行為に基づく損害賠 償請求権を有しているにもかかわらず,被告がその行使を違法に怠っているとして 結され,α市が5594万4000円の損害を被ったことにより,P1,P2ら及びP5に対して,不法行為に基づく損害賠 償請求権を有しているにもかかわらず,被告がその行使を違法に怠っているとして,被告がP1,P2ら及びP5に対してそれぞれ上記損害賠償請求をしないことが違法であることを確認するとともに,「怠る事実の相手方」であるP1,P2ら及びP5に対し,それぞれ上記損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を請求するよう求めた, 住民訴訟の事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実,証拠(書証番号は特記しない限り枝番号を含む。)により容易に認定することができる事実及び当裁判所に顕著な事実)(1) 当事者等ア原告らは,いずれもα市の住民である。 イ被告は,α市の執行機関たる市長である。 P1は,平成24年5月にα市長に就任し,現在に至るまでその職にある。 ウ P2,P3及びP4は,本件原契約及び本件変更契約締結の当時,それぞれα市の副市長,総務部長及び総務部総括次長の職にあり,P5は,α 市F部建築営繕課(以下「建築営繕課」という。)の職員であった(甲25,乙26)。 エ P6ほか2社は,いずれもα市内に本店を有する建設会社である(甲20,乙15,弁論の全趣旨)。なお,P7は,P1の父が設立した会社であり,P1は平成24年3月20日まで同社の代表取締役を務め,同日以 降現在に至るまで,同人の妹が同社の代表取締役を務めている(甲5)。 (2) 本件原契約及び本件変更契約に至る経緯等ア市民会館は,α市β町地内にあり,本館と別館とで構成される。市民会館別館2階には,約400人を収容できるホール(以下「本件ホール」という。)があった。 イ α市は,本件ホールの ア市民会館は,α市β町地内にあり,本館と別館とで構成される。市民会館別館2階には,約400人を収容できるホール(以下「本件ホール」という。)があった。 イ α市は,本件ホールの改築及び新ホールの増築等の工事(以下「本件工事」という。)を行うことを計画し,平成25年11月6日,株式会社P8(以下「P8」という。)との間で,本件工事の設計業務の委託を内容とする業務委託契約を締結した(乙14)。 市民会館は,いわゆる既存不適格建築物(建築基準法3条2項参照)で あったため,本件工事を実施し市民会館を増改築する場合には,同法86 条の7等の規定により緩和される場合を除き,同法3条3項3号又は4号により,同法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定(以下「建築関係法令」という。)の適用(遡及適用)を受けることとなるものであった。そこで,α市は,P8に対し,本件工事の実施により建築関係法令が適用されることとなる範囲(以下「遡及適用範囲」という。)について,大阪府建 築主事との間で事前協議を行うよう指示した(乙26)。 ウ建築営繕課は,平成26年3月下旬,P8を通じて大阪府建築主事から,本館部分につき,以下のAからEまでに係る工事をするよう指示を受けるとともに,同工事をしなければ建築確認をすることができない旨の見解を示された(乙25,26)。 A.排煙区画の既存部遡及B.堅穴区画部の遮煙性能確保の既存部遡及C.昇降機設備の耐震性確保D.昇降機設備の戸開走行防止対策E.屋上防火水槽の改修 エ P8は,平成26年4月,α市に対し,協議先を大阪府建築主事から大阪府の指定確認検査機関である株式会社日本確認検査センター(以下「日確検」という。)に変更したい旨を申し出て,α市はこれ エ P8は,平成26年4月,α市に対し,協議先を大阪府建築主事から大阪府の指定確認検査機関である株式会社日本確認検査センター(以下「日確検」という。)に変更したい旨を申し出て,α市はこれを了承した(乙25,26)。 オ α市は,本件入札に関し,α市事後審査型制限付一般競争入札実施要領 (以下「本件実施要領」という。甲1の4。)を作成し,平成26年4月25日,入札公告を実施した。 本件実施要領には,概ね以下の記載がある。 (ア) 競争入札に付すべき事項等は,以下のとおりである(本件実施要領1項)。なお,下記c記載の工事には,排煙区画の既存部遡及に係る工事 (上記ウのA。以下「排煙区画工事」という。)が含まれている。 a 工事名称市民会館2階ホール増築他建築工事b 工事場所α市β町地内c 工事概要 2階ホール増築工事,2階ホール既設改修工事,外溝工事d 工期議会の議決の翌日から平成26年11月28日までe 予定価格及び最低制限価格予定価格 :2億0736万円(税込金額) 1億9200万円(税抜金額)最低制限価格:1億5502万7520円(税込金額)1億4354万4000円(税抜金額)(イ) 本件入札の入札参加資格要件では,地方自治法234条2項,地方自治法施行令167条の5及びα市事後審査型制限付一般競争入札制 度に関する要綱(平成9年要綱第9号,以下「本件要綱」という。甲3,乙28。)4条の規定等に基づき,登録の住所(本店)がα市内の者(以下「市内業者」という。)は,経営事項審査結果通知書(審査基準日が平成24年10月23日以降のもの ,以下「本件要綱」という。甲3,乙28。)4条の規定等に基づき,登録の住所(本店)がα市内の者(以下「市内業者」という。)は,経営事項審査結果通知書(審査基準日が平成24年10月23日以降のもの)の建設工事の種類「建築一式」の総合評定値(以下「総合評定値」という。)が700点以上であること (JVを除く。),登録の住所(支店又は営業所)がα市内の者は,総合評定値が900点以上であること(JVを除く。),登録の住所がα市外の者(以下「市外業者」という。)は,総合評定値が1200点以上であること(JVを除く。)とされ,また過去10年間に建築工事で予定価格の50パーセント以上の国又は地方公共団体の元請けとしての施 工実績があることなどの要件が課されていた(本件実施要領2項)。 (ウ) 入札参加希望者は,入札書と共に価格内訳書を提出する必要がある(本件実施要領11項)。 (エ) 契約の締結については,落札決定後に仮契約を締結して,α市議会の議決を得たときに本契約の効力が生ずるものとされた(本件実施要領17項,本件原契約に係る建設工事請負契約書(甲9,10)53条)。 カ α市は,平成26年5月22日,本件入札を実施し,P6は,予定価格と同額である1億9200万円(税抜金額)で応札して,落札した。 本件入札に参加申請したのは,P6の他に株式会社P9,P7及び補助参加人の4社であり,このうち株式会社P9は施工実績の要件を満たさないとして参加が否定され,またP7は入札価格を2億2164万円(税抜 金額),補助参加人は入札価格を2億4500万円(税抜金額)といずれも予定価格を上回る金額で応札したため,失格となった。(以上につき,甲14,20)キ α市は,平成26年5月23日,建築基準法6条の規 ,補助参加人は入札価格を2億4500万円(税抜金額)といずれも予定価格を上回る金額で応札したため,失格となった。(以上につき,甲14,20)キ α市は,平成26年5月23日,建築基準法6条の規定に基づく建築確認申請書を日確検に提出したところ,日確検は,同月26日,遡及適用範 囲について上記ウのBからEまでの範囲(以下「本件遡及適用部分」という。)であり,それらの部分について,本件工事と併せて工事が必要との見解を示した。 ク P2らは,本件工事に係る工事請負仮契約締結案についてP1に上程し,平成26年5月29日,P1は同仮契約締結を認める旨の決裁をした(甲 8)。これを受けて,α市はP6との間で,請負金額を2億0736万円(税込金額)とする仮契約を締結した(甲9,10)。 ケ P8は,日確検との間で協議を継続した結果,平成26年6月23日,本件工事と同時に,本件遡及適用部分の工事(以下「本件追加工事」という。)を実施することで協議を終了し,同追加工事の図面及び内訳書等を 建築営繕課に提出した。本件追加工事に係る費用は,見積額7236万円 (税込金額)とされた。(以上につき,乙25,26)コ α市議会は,平成26年6月25日午前10時からの平成26年6月α市議会定例月議会(以下「本件議会」という。)において,本件原契約締結の議案を審議・可決し,これにより,本件原契約の効力が発生した。P1,P2及びP3は,地方自治法121条により本件議会に出席したが, 本件追加工事が必要であることについての説明をしていない。(以上につき,甲9~11,22)P2,P4及びP5は,同日午後2時から2時34分まで開催された議会運営委員会において,本件工事について建築確認を受けるためには,本件追加工事が必要であり,早急に 以上につき,甲9~11,22)P2,P4及びP5は,同日午後2時から2時34分まで開催された議会運営委員会において,本件工事について建築確認を受けるためには,本件追加工事が必要であり,早急に本件追加工事にかかる費用に対する補正 予算案の決議が必要である旨の説明をし,同委員会は,同年7月8日から同月10日までの間,特別議会を開催することを決した(甲23)。 サ α市は,P6に対し,本件追加工事についても同社に発注することを打診し,同社の内諾等が得られたことから,平成26年7月8日,特別議会に対し,本件追加工事に伴う請負契約の変更及び補正予算の計上に係る各 議案を提出した。同特別議会は,同月9日,いずれの議案も可決した。(以上につき,乙23)シ P2らは,本件工事に係る設計変更及び本件変更契約締結について,P1に上程し,平成26年7月10日及び16日,P1はいずれも認める旨の決裁をした(甲12,13)。 これを受けて,α市は,同月22日,P6との間で,請負金額を7236万円(税込金額)増額する本件変更契約を締結した(甲4)。 ス日確検は,平成26年7月24日,α市に対し,本件工事及び本件追加工事に係る建築確認をして,確認済証を交付した(甲26)。 (3) 本件訴訟に至る経緯 ア原告らは,平成26年10月27日,α市監査委員に対し,住民監査請 求を行ったところ,同監査委員は,同年12月22日付けで,同監査請求には理由がないとしてこれを棄却し,原告らにその旨通知した(甲1,2の1)。 さらに,同監査委員は,同日付けで,α市長宛ての「要望書」と題する書面を作成した。同要望書には,予定価格を公表しているにもかかわらず これを上回る価格で入札するケースの出現は,市の発注価格の妥当性に疑 同監査委員は,同日付けで,α市長宛ての「要望書」と題する書面を作成した。同要望書には,予定価格を公表しているにもかかわらず これを上回る価格で入札するケースの出現は,市の発注価格の妥当性に疑義が生じ兼ねないため,少なくとも設計額の算出から実際の入札までに相当な期間が経過しているものについては,発注価格の妥当性を再確認するとともに,必要に応じて増額等の修正の措置を行われたい旨,また,本件追加工事については早い時期に必要性を把握して当初設計に含んでおくべ きものであり,設計変更で計上することは適切とはいえず,このような事後における多額の契約変更は,入札の公平性や妥当性を阻害する可能性がある旨の記載がある(甲2の2)。 イ原告らは,平成27年1月16日,前記事案の概要(1)の各請求及び同(2)の各請求について本件訴えを提起し,その後,平成29年2月22日付け 訴えの変更申立書をもって,同(3)の各請求のうちP1及びP2らに係るものを追加し,さらに,同年10月10日付け訴えの変更申立書をもって,同(3)の各請求のうちP5に係るものを追加した(顕著な事実)。 なお,前記事案の概要(3)の各請求(本件追加工事の存在を隠して本件入札から本件原契約締結に至るまでの一連の行為をしたP1,P2ら及びP 5に対する不法行為に基づく損害賠償請求権についての各請求)は,いずれも,原告らがα市監査委員から監査結果の通知を受けた日から30日を経過した後に追加されたものであるが,これらの請求は,本件原契約の締結に関与した執行機関又は職員に対する不法行為に基づく損害賠償請求権に係る請求であるという点において,前記事案の概要(2)の各請求(談合 を知りあるいは知り得たのに本件原契約を締結したP1及びP2らに対 する不法行為に基づ 法行為に基づく損害賠償請求権に係る請求であるという点において,前記事案の概要(2)の各請求(談合 を知りあるいは知り得たのに本件原契約を締結したP1及びP2らに対 する不法行為に基づく損害賠償請求権についての各請求)と同一であるといえることなどからすれば,同(3)の各請求に係る訴えは,当初の訴え提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるということができ,適法な訴えであるということができる。 3 争点(1) 談合をしたP6ほか2社に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実についてア P6ほか2社による談合の有無(争点①)イ談合によりα市に生じた損害の有無及びその額(争点②) (2) 談合を知りあるいは知り得たのに本件原契約を締結したP1及びP2らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実についてア P6ほか2社による談合の有無(争点①)イ P1及びP2らが談合を知りあるいは知り得たか否か(争点③)ウ談合によりα市に生じた損害の有無及びその額(争点②) (3) 本件追加工事の存在を隠して,本件入札から本件原契約締結に至るまでの一連の行為をしたP1,P2ら及びP5に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実についてア本件原契約に本件追加工事を含めずに本件入札を行い,議会の議決を得て同契約を締結した行為の違法性の有無(争点④) イ本件原契約によりα市に生じた損害の有無及びその額(争点⑤) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点①(P6ほか2社による談合の有無)について(原告らの主張)ア入札談合について α市に生じた損害の有無及びその額(争点⑤) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点①(P6ほか2社による談合の有無)について(原告らの主張)ア入札談合について 入札談合は,主観的な合意・共同が立証されなければ談合がないという ことはなく,入札の状況,入札参加者の状況,入札者の面識と面談可能性,実際の入札からその存在を推認することができる。 イ本件入札の状況,入札参加者の状況,面識の有無等について(ア) α市は,本件入札において,入札参加資格要件のうち総合評定値につき,市内業者と市外業者とで500点もの点差を設定するなど,他の 市に比べても市外業者が参入困難な競争性を欠く制度を用いていた。被告は,本件入札の入札参加対象業者は,市内業者が5社,市外(府内)業者が86社もあったことから競争性が担保されていた旨主張するが,実際に本件入札に参加したのは市内業者であるP6ほか2社のみであり,互いに面識,交流の深い市内業者であったことからすると,実質的競争 性が担保されていたとはいえない。 (イ) また,α市では,平成19年6月頃から突如工事費内訳書の提出を求めることを止め,価格内訳書の提出に変更し,本件入札においても価格内訳書の提出で足りるとされていたことから(甲1の4),ますます談合を容易にする条件ができていたといえる。 ウ実際の入札及び近時のP6ほか2社による入札状況について(ア) 談合は,受注予定者以外の者が,受注予定者に競争を望まないことを前提にしたカルテルであるから,落札価格を決める権限を委ねられた受注予定者は,予定価格の範囲内で可能な限りそれに近い,つまり最も利益を得られる価格で入札する。そのため,談合が存在する場合には, 落札率が9 テルであるから,落札価格を決める権限を委ねられた受注予定者は,予定価格の範囲内で可能な限りそれに近い,つまり最も利益を得られる価格で入札する。そのため,談合が存在する場合には, 落札率が90パーセント台後半に張り付くことになるところ(甲19),本件入札においてもP6が予定価格の100パーセントで落札している。 そして,P1がα市長に就任した平成24年5月以降にα市で行われた事後審査型制限付一般競争入札(落札者がJVのものは除く。)は6つあるが,6ついずれもP6ほか2社の全て又はいずれかの業者が参加し ており,そのうち同3社が落札した工事は5つで,そのいずれもが予定 価格の93パーセントを超える高値で落札されている。同月以前に行われたα市の事後審査型制限付一般競争入札の落札率が60パーセント台であったことからすると,対照的である(甲17)。 そうすると,本件入札も,P7及び補助参加人が入札前に公表されていた予定価格を超える入札をしてあえて失格となり,それによりP6が 予定価格の100パーセントで落札したのであるから,本件入札は,競争制限された入札方法のもとで繰り返し行われてきた談合の一環であったといえる。 (イ) また,談合がなかったのであれば,予定価格を超える入札をしたP7及び補助参加人は,必ず積算根拠を示すことができるはずであるのに 合理的な説明もないのであるから,本件入札は談合によって行われたものと考えざるを得ない。 エ行政のゆがみが談合を推認させること(ア) α市は,本件追加工事に係る費用の増額という意図的に明白な事実を反映しない予定価格を設定して本件入札を実施し,本件原契約を締結 したものであり,このような行政のゆがみは,談合行為という意図的 α市は,本件追加工事に係る費用の増額という意図的に明白な事実を反映しない予定価格を設定して本件入札を実施し,本件原契約を締結 したものであり,このような行政のゆがみは,談合行為という意図的な行為の介在なくしては説明し得ない。 (イ) また,本件要綱8条では,入札者の数が3者に満たない場合は,入札の執行を中止するものとする旨定め,入札の競争性を担保することにより行政の公正を図っているものと解されるところ,本件入札では,参 加したP6以外の2社は,予定価格を上回る金額で入札した結果,失格となり,P6のみが有効な入札をしたのであるから,入札者の数は実質的には1者であり,入札の競争性を担保した上記要綱8条の趣旨に反する。そのため,α市は,他市がこのような入札を有効とせず,再入札を求めているように,本件入札を中止すべきであった。それにもかかわら ず,P1及びP2らが本件入札を有効なものとして続行したことは,談 合に基づく本件入札への同人らによる不正加担のあらわれである。 オ被告の主張には理由がないこと(ア) 被告及び補助参加人は,予定価格が実勢価格を下回り,両者の価格が乖離することは特異ではないとして,本件入札においてP7及び補助参加人が予定価格を超える金額で応札した理由を説明するが,「公共建築 工事の円滑な施工確保に係る当面の取組について」(平成26年総行行第12号,国営計第102号,国土入企第24号,乙8)によると,予定価格が実勢価格を下回りやすいなどの状況が発生するのは,予定価格の設定が入札の数か月以上前となる場合であって,入札公告日と入札日との間に1か月ほどしかなかった本件入札は,前提を異にする。 また,予算決算及び会計令80条2項や「公共工事の入札及び契約の適正化を図るため か月以上前となる場合であって,入札公告日と入札日との間に1か月ほどしかなかった本件入札は,前提を異にする。 また,予算決算及び会計令80条2項や「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(平成23年8月9日閣議決定,甲21)16頁において,地方公共団体の長は,公共工事の入札の予定価格の設定に当たっては,最新の実勢価格を適正に反映させなければならないなどと定めていることからすると,α市長が法令に従って予定価 格を設定している限り,その予定価格は実勢価格を反映した価格のはずであるから,被告及び補助参加人の主張は全く根拠を欠くものである。 (イ) さらに,被告は,γ市やδ市の例を挙げ,予定価格を超える金額での応札が特段異例ではないなどと主張するが,δ市の例(乙4)では,不調となった入札において,予定価格を超える金額での応札があったか どうか明らかでなく,またγ市の例(乙1)においても,2社が入札を辞退し,残り1社が予定価格を超える金額で入札したことから,入札そのものが不調に終わっている点で本件入札とは異なる。被告の主張は,予定価格を超える金額での応札及び落札した1社が予定価格の100パーセントで応札するという本件入札の異常性を無視するものであり,か かる異常性を否定する理由にはならない。 (被告の主張)ア入札参加資格要件について原告らは,本件入札の入札参加資格要件では,市外の業者に極めて高い総合評定値を設定しており,その結果,実質的に限られた市内業者のみが入札に参加することになる旨主張するが,事後審査型制限付一般競争入札 は,国や地方公共団体において採用されている一般的なものであり,また上記資格要件における総合評定値の設定も当該契約の目的,内容 入札に参加することになる旨主張するが,事後審査型制限付一般競争入札 は,国や地方公共団体において採用されている一般的なものであり,また上記資格要件における総合評定値の設定も当該契約の目的,内容に照らしそれに相応する業者の資力,信用,技術,経験等の経営状況,発注工事の業務遂行能力,市内業者の育成等を総合考慮して設定されたもので,一般的に認められる合理的なものである。そして,本件入札において入札参加 資格要件を満たすものは市内業者5社の他にも市外業者86社いたことに鑑みると,本件入札につき,市内業者3社しか入札に参加しなかったことから競争性が確保されていないと断ずるのは失当である。 イ予定価格と同額あるいはそれを上回る価格での入札が不自然ではないこと 原告らは,法令により定められた予定価格が実勢価格を下回ることはない旨主張するが,γ市では予定価格約74億円に対し約24億円も上回る応札があり,他の応札参加予定者が全て辞退するという異常事態が発生したことなどからもうかがわれるように,地方公共団体の算定した予定価格が実態にそぐわないものとなっているということは,現時点での建設業界 ではままあることである。また,近畿の自治体による公共工事では,東日本大震災の復興工事や全国での公共事業拡大等で人件費や資材価格が急騰し,採算が厳しい工事の入札が敬遠されていたこと,上記γ市の例の他にもδ市立総合体育館建設工事の一般競争入札の例(乙4)のように,予定価格を超える事例が生じていたことからすると,本件入札における予定 価格をオーバーした応札も必ずしも異常なものとはいえず,違法な談合と 関連付けるのは皮相的であって失当である。 さらに,予定価格の100パーセントでの入札は,これを下回る入札業者がいるので バーした応札も必ずしも異常なものとはいえず,違法な談合と 関連付けるのは皮相的であって失当である。 さらに,予定価格の100パーセントでの入札は,これを下回る入札業者がいるのであれば,落札を諦めるということが充分考えられるのであるから,これをもって談合という指摘は的を射たものではない。 ウ本件変更契約締結に至る経緯にやむを得ない事情があること 原告らは,行政のゆがみが談合の存在を推認させるなどと主張するが,大阪府との事前調整段階での不手際,見通しの甘さは否めないとしても,本件変更契約は不測の事態に対するやむを得ざる対応によるものであって違法なものではない。 (補助参加人の主張) ア補助参加人が本件入札の入札価格を積算した時点では,補助参加人内部で人員や資力の不足が発生しており,また一般的にも鉄骨資材や人件費等が高騰していたことから,本件入札における予定価格では,補助参加人にとり到底利益を確保し得ず,まして予定価格を下回った価格で応札することは不可能な状況であることが判明した。 そのため,入札価格がたとい予定価格を上回る金額であったとしても,補助参加人が営利企業として適切な利益を見込んだ見積価格にて応札することはむしろ当然であり,加えて,近年の公共工事における予定価格が人件費の高騰等を合理的に見込んでおらず,不当に建設会社の利益を圧迫しており,入札参加者が提示する入札価格は,このような建設業者の意向 を表明し得る唯一の手段であることからすれば,補助参加人が辞退せずに本件入札へ参加したことには合理的な理由がある。したがって,談合の上わざと失格になりP6に落札させた事実はない。 イ原告らは,予定価格を超える金額での入札が特異な入札であるかのごとく主張するが,予定価格を超え したことには合理的な理由がある。したがって,談合の上わざと失格になりP6に落札させた事実はない。 イ原告らは,予定価格を超える金額での入札が特異な入札であるかのごとく主張するが,予定価格を超える金額での入札は一般的に行われているほ か,補助参加人も他市で行っているのであって(丙1~4),予定価格が実 勢価格と乖離することは特異なことではない。また,原告らが主張するように,殊更に補助参加人が提示した入札価格の積算根拠を示さなければならないものではない。 ウ原告らの主張は,本件入札について,P6ほか2社のみが意思を通じれば談合が成立することを前提とするものであるが,原告ら自身,本件入札 参加資格を有する業者が市内で5社,市外で86社に上ることを認めており,この状況下で,そもそも上記3社のみで談合が成立することはあり得ない。 (2) 争点②(談合によりα市に生じた損害の有無及びその額)について(原告らの主張) 本件入札において,P6ほか2社による談合がなければ,請負金額を予定価格の20%以下に抑えることが可能であったのであるから(甲7参照),P6ほか2社の談合によりα市が被った損害は,予定価格の20パーセントである5594万4000円を下らない。 (被告の主張) 争う。 (3) 争点③(P1及びP2らが談合を知りあるいは知り得たか否か)について(原告らの主張)上記(1)(原告らの主張)のとおり,本件入札は,P1がα市長に就任した後,繰り返し行われてきた談合の一環である。そして,P1及びP2らは, 談合を知りあるいは知り得たにもかかわらず,誠実管理執行義務を怠り,本件原契約を締結している以上,共同不法行為が成立する。 (被告の主張)上記(1)( ,P1及びP2らは, 談合を知りあるいは知り得たにもかかわらず,誠実管理執行義務を怠り,本件原契約を締結している以上,共同不法行為が成立する。 (被告の主張)上記(1)(被告の主張)のとおり,本件入札には談合が存在しないことから,原告らの主張は前提を欠く。 (4) 争点④(本件原契約に本件追加工事を含めずに本件入札を行い,議会の議 決を得て同契約を締結した行為の違法性の有無)について(原告らの主張)ア本件変更契約を本件原契約からあえて分離し,本件原契約のみを競争入札した行為について(ア) α市は,平成26年3月下旬の時点において,大阪府建築主事から 建築確認申請を通すためには本館も改修する必要性があることを指摘されていたことからすると,本件入札の予定価格に,本館改修のための工事(追加工事)にかかる費用を増額することを当然考慮しなければならなかった。それにもかかわらず,α市は,追加工事の見積もりを出さず,建築確認を受けられない違法な本件原契約の工事のみを取り出し,本件 入札の予定価格を設定し,同入札を行っている。 本件入札を実施した後に,本件追加工事を実施するため本件原契約が変更されるに至り,その変更によって請負代金額は7236万円(当初の工事請負契約額の34.9パーセントに相当)も増額し,本件入札の公平性を害したことは,α市監査委員がα市長宛てに提出した要望書(甲 2の2)の中で指摘するとおりである。 (イ) 被告は,後発的に日確検から指摘があり,本件追加工事をする必要性が生じた旨主張するが,P1が本件原契約の設計変更に係る決裁をした時期は,本件議会における議決により,本件原契約の効力が発生した日からわずか15日後であったこと,また本件追加工事は建 事をする必要性が生じた旨主張するが,P1が本件原契約の設計変更に係る決裁をした時期は,本件議会における議決により,本件原契約の効力が発生した日からわずか15日後であったこと,また本件追加工事は建築関係法令 に適合させることを内容とすることからすると,本件追加工事の必要性は,本件原契約締結前から当然明らかであり,P1,P2ら及びP5においてその旨認識していたはずである。 それにもかかわらず,同人らは当初設計に含まれるべき工事内容を設計金額に計上しなかったのであり,被告の主張する日確検からの後発的 な指摘は,本件追加工事を含めずに本件入札を行ったことの合理的理由 とはならない。 (ウ) 仮に本件入札の実施時点において,未だ本件追加工事が現に必要となることを認識していなかったとしても,上記のとおり,建築営繕課は,大阪府建築主事から,建築確認をするためには市民会館の本館についても防災対策を目的とする工事が必要である旨指摘されていたこと,また 別館にある本件ホールと一体として本館を利用する場合,本館だけが防災対策の工事が不要であり遡及適用を受けない,あるいはその遡及適用範囲が縮減されることはおよそ考えられない取扱いであること,さらには,P5は二級建築士の資格を持ち,建築関係法令の遡及適用に関し専門的知識と経験を有していたことからすれば,P5は,本件遡及適用部 分について工事対象としないまま建築確認を受けられる可能性が著しく低いことを当然に知っていたし,また知り得た。それにもかかわらず,遡及適用範囲の縮減を見込めるという甘い見通しのもとに,本件追加工事が発生する可能性について,関係部署であるα市市民生活部生活安全課(以下「生活安全課」という。)及び同市総務部契約課(以下「契約課」 という。)に適時に報 いう甘い見通しのもとに,本件追加工事が発生する可能性について,関係部署であるα市市民生活部生活安全課(以下「生活安全課」という。)及び同市総務部契約課(以下「契約課」 という。)に適時に報告する義務(α市事務分掌条例施行規則(平成7年規則第7号)15条3項7号)を怠り,建築関係法令に反する違法な本件入札が実施されるのを漫然と放置しており,公務員の法令遵守義務(地方公務員法32条)に違反している。 そもそも,入札対象となる工事は,建築確認が得られて初めてその内 容が確定するものであるから,本件工事のように,建築関係法令に適合するか疑義のある工事については,入札がやり直しとなることを避けるため,建築確認申請をして,建築関係法令に適合することの見通しが付いた段階で,入札を実施しなければならないはずである。 (エ) 加えて,生活安全課は,市民会館の安全性に責任を持ち,建築関係 法令に適合する安全な建物を市民に利用させる事務を,また契約課は, 建築関係法令に適合しない違法な工事を入札対象としない事務を分担していること,さらには,α市長は,自らが決裁者となる工事が法令に適合することを当然に前提とすべきことからすれば,上記関係部署が法令に適合するよう他の部署と連携することを怠り,漫然と違法な本件工事のみを取り出して本件入札を実施したことは,P1及び上記各部署の法 令遵守に対する意識の低さの表れといえる。 イ本件原契約締結について議会の議決を得たとはいえないことα市は,本件原契約締結に係る議決を得る以前の平成26年6月23日には,既に本件遡及適用部分について工事が必要であることを認識し,それに伴い新たに7236万円が必要であるとの積算が出ていたにもかか わらず,P1,P2ら及びP5は,本件追加工事 年6月23日には,既に本件遡及適用部分について工事が必要であることを認識し,それに伴い新たに7236万円が必要であるとの積算が出ていたにもかか わらず,P1,P2ら及びP5は,本件追加工事の存在及び工事代金の増額を秘して,本件議会における適正な審議を妨害し,同月25日に本件原契約締結に係る議決を得ており,地方自治法96条1項5号,α市の議会の議決に付すべき契約および財産の取得または処分に関する条例(昭和39年条例第7号,以下「本件条例」という。甲24。)2条に違反する行 為をしている。 ウ小括以上のとおり,P1,P2ら及びP5は,本件追加工事を秘して本件入札を実施することで,同入札の公平性を阻害した上,本件議会における適正な審議を妨害し,地方自治法96条1項5号,本件条例2条に違反する 行為をしており,これらの一連の行為の違法性は明らかである。 (被告の主張)ア本件原契約及び本件変更契約に至る経緯について(ア) 市民会館は,昭和46年に開館し,各種講演会,研修会,美術展示等で連日多くの市民らに利用されていたが,本件ホールについて,天井 が全体的に低いなどの苦情が寄せられ,また老朽化によりドアを閉めて も会場外に音が漏れ,同ホールの収容人数を超える来場者がロビーに溢れるようなイベントが年に数回行われるという状況であった。 そのため,α市は,市民の苦情への対応のため本件工事を実施することとし,同工事を終え,市民会館をオープンする時期については,市民会館が最も多く利用されるのが例年11月から翌年2月までであること, 特に利用者が年末年始に他の施設を利用しなければならない不便さの回避,工事中の騒音等による会議室への影響の短期化等の必要性から,平成26年12月を目指す 例年11月から翌年2月までであること, 特に利用者が年末年始に他の施設を利用しなければならない不便さの回避,工事中の騒音等による会議室への影響の短期化等の必要性から,平成26年12月を目指すこととした。 (イ) P8は,平成25年12月の段階より,建築営繕課の指示を受け,大阪府建築主事と遡及適用範囲について協議を開始したが,協議の内容 は,主として,別館2階のホールの増改築等工事に伴い,別館部分を現行建築基準法に適合させるための改修についてであった。 (ウ) 建築営繕課は,平成26年3月下旬,前記前提事実(2)ウのとおり,P8を通じて,大阪府建築主事から本館部分について多岐にわたる遡及適用範囲についての指示を受けたことから,同範囲を減縮させるために 迅速に協議を進め,より速い応答を求める必要があると判断し,同年4月頃,P8の協議先を大阪府建築主事から日確検へと変更した。 (エ) 日確検は,P8が日確検に対しセカンドオピニオンを求めた平成26年4月の時点では,大阪府建築主事からの指摘事項(前記前提事実(2)ウ)に係る本館部分の改修について不要であるとの見解を示しており (乙25),P8は,同月21日,α市に遡及適用範囲は排煙区画工事以外にないとの設計内訳書(乙27)を渡した。α市は,同月25日,本件工事の入札公告をし,その際,入札予定価格に,排煙区画工事に係る既設のサッシ改修及びオペレーター装置付の工事価格のみ反映した。 (オ) α市は,平成26年5月23日,建築確認申請書を日確検に提出し たところ,日確検は,従前の見解と異なり,遡及適用範囲について本件 遡及適用部分も含まれるとの見解を示した。 (カ) P8は,日確検との折衝によって遡及適用範囲を縮減できるとの望みから,日確検と継続的に協議を 従前の見解と異なり,遡及適用範囲について本件 遡及適用部分も含まれるとの見解を示した。 (カ) P8は,日確検との折衝によって遡及適用範囲を縮減できるとの望みから,日確検と継続的に協議をしたが,平成26年6月23日,本件遡及適用部分に係る工事(本件追加工事)を実施することで協議を終了し,本件追加工事に関する費用を7236万円(税込金額)と見積もり, α市に最終設計を提出した。 (キ) α市は,本件追加工事について,既に工事施工中のP6に発注するのが相当であると判断し,契約課は,平成26年7月8日,特別議会に本件変更契約締結等に係る議案を提出し,同月9日には議会の議決を,同月16日にはα市長による決裁を得た上で,同月22日,P6との間 で本件変更契約を締結した(甲13)。 イ本件追加工事を含めずに本件入札を行い,本件原契約を締結したことに合理性があること原告らは,建築関係法令に適合しない違法な工事のみを取り出して,本件入札を強行したなどと主張するが,上記アのとおり,市民会館の設計業 務の担当部署である建築営繕課は,平成26年4月21日にP8から遡及適用範囲は排煙区画工事以外にないことを示した設計内訳書(乙27)を受け取り,これを契約課に渡したにすぎないのであるから,P1,P2ら及びP5が本件入札の期日までに本件追加工事が発生することを予見することは困難で,同期日を中止せず,落札業者を決定したことにはやむを 得ない事由がある。 ウ本件原契約締結に係る議会の議決は有効に成立していること(ア) 原告らは,本件追加工事の存在を秘して本件議会における適正な審議を妨害し,本件原契約締結に係る議決を得た旨主張するが,建築営繕課及びP8は,日確検との折衝によって遡及適用範囲を縮減できると考 ア) 原告らは,本件追加工事の存在を秘して本件議会における適正な審議を妨害し,本件原契約締結に係る議決を得た旨主張するが,建築営繕課及びP8は,日確検との折衝によって遡及適用範囲を縮減できると考 え,協議を重ねてきたのであり,本件追加工事の内容及び金額が確定し たのは,本件議会の直前である平成26年6月23日であった。 (イ) そして,本件追加工事を実施するには,予算を確保する必要があるところ,支出負担行為として,①一般競争入札によって締結した本件原契約を変更する方法,②当初の設計とは異なる附帯工事を行うとして随意契約で行う方法,③本件契約とは別契約として入札を実施する方法等 を検討した結果,本件追加工事の建築の積算額が7236万円で本件原契約の請負代金に対し34パーセントあまりの増額となることからすると,②の方法では本件条例の規定からも,議会軽視の批判が生じる可能性があること,③の方法では同一敷地内で同一時期に複数の業者が入ることになり,安全面あるいは工事の効率面から難点があること,安全性 を確保しつつ円滑に2つの工事を進めれば,平成26年12月のオープンに間に合うこと,当初の入札では3社からしか応札がなく,そのうち2社が予定価格を超えていたことなどを考慮して,①の当初の本件原契約を変更する方法を採ったのである。 (ウ) そもそも,本件議会における議案は,適法な本件入札に基づき締結 された仮契約について,本契約としての効力を生じさせるためのものであるから,この議案の審議に当たっては,入札が実施された後に判明した本件追加工事,つまり本件変更契約締結の必要性に関しては説明する必要がなかったために,説明していないだけである(本件変更契約の必要性に関しては,平成26年7月8日に開催された特 施された後に判明した本件追加工事,つまり本件変更契約締結の必要性に関しては説明する必要がなかったために,説明していないだけである(本件変更契約の必要性に関しては,平成26年7月8日に開催された特別議会で議決を得 ている。)。 (エ) そうすると,P1,P2ら及びP5は,本件追加工事の存在を秘して,本件原契約締結に係る議決を得たものではなく,地方自治法96条1項5号,本件条例2条に違反せず,何ら不法行為は成立しない。 (5) 争点⑤(本件原契約によりα市に生じた損害の有無及びその額)について (原告らの主張) ア P1,P2ら及びP5が当初から本件原契約と本件変更契約に関する工事費用とを一体とする予定価格を設定し,当該予定価格をもとに一般競争入札を実施していれば,P6ほか2社以外の業者の参入を促し,より競争性の確保された入札を実施することができたはずである。したがって,適正な競争入札を実施した場合と適正な競争入札を回避した本件入札との 差額が損害額となる。 イまた,P1,P2ら及びP5が,本件議会における適正な審議を妨害したことにより,本件原契約締結について議会の議決を経たということはできず,本件原契約は違法無効であるのに,α市に違法無効な同契約に基づく財政支出をさせている。これにより,α市が被った損害は,本件原契約 及び本件変更契約の全額となるが,既に本件工事及び本件追加工事は完了していることから,結局,損害額は,本件原契約及び本件変更契約を一体とする予定価格をもとに適正な競争を実施した場合の契約金額との差額となる。 ウそうすると,これらの不法行為によりα市が被った損害額は,予定価格 の20パーセントである5594万4000円を下らない。 (被告の主張) した場合の契約金額との差額となる。 ウそうすると,これらの不法行為によりα市が被った損害額は,予定価格 の20パーセントである5594万4000円を下らない。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 前記前提事実,証拠(乙25,26,証人P5のほか,各項掲記のもの)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1) α市各部署の役割α市には,地方自治法158条1項の規定に基づき,市長の権限に属する事務を分掌させるため,内部組織として10の組織が設置されているところ (α市事務分掌条例1条),そのうち総務部に属する契約課は,請負契約(工 事及び製造に係るものに限る。)に関すること等を(α市事務分掌条例施行規則11条4項),市民生活部に属する生活安全課は,市民会館に関すること等を(同規則12条2項),街づくり部に属する建築営繕課は,市有建築物及びその他建築物の設計,施工及び監督に関すること等を(同規則15条7項)掌る(乙5,6)。 (2) 本件入札に至るまでの経緯ア市民会館は,昭和46年竣工時から40年以上経過したことにより老朽化しており,また特に本件ホールについては,市民から天井が低いなどの苦情が寄せられていたことから,生活安全課は,平成25年10月2日,本件工事が必要と考え,建築営繕課に対し,本件工事に係る設計業務を依 頼した。 その際,本件工事を終え,市民会館をオープンする時期については,市民からの苦情に早期に対応すること,また年末年始に利用する市民が多いことなどを理由に,平成26年12月を目指すこととした。 イ建築営繕課のP5らは,本件工事の設計業務は一級建築士が行う必要が あることから,P8に同業務を委 また年末年始に利用する市民が多いことなどを理由に,平成26年12月を目指すこととした。 イ建築営繕課のP5らは,本件工事の設計業務は一級建築士が行う必要が あることから,P8に同業務を委託することを決し,平成25年12月頃,P8に対して,本件ホールを改築するとともに,別館の東側に新ホールを増築すること及び同増改築に伴う遡及適用範囲について,大阪府建築主事と事前協議を行うよう指示し,P8は,同建築主事と事前協議を開始した。 ウ P8は,平成26年2月20日,建築営繕課に対し,大阪府建築主事と 協議したところ,日影規制の関係で,市民会館の東側に新ホールを増築することはできない旨指摘を受けたことを報告した。 建築営繕課は,上記報告を受け,新ホールを市民会館の南側に増築することを検討し,生活安全課の了承も得られたことから,P8に対し,市民会館の南側に増築する内容の設計等をするよう指示した。 エ建築営繕課は,平成26年3月下旬,P8を通じて大阪府建築主事から, 前記前提事実(2)ウ記載のAからEまでの箇所を工事するよう指示を受けるとともに,それらの工事を行わない限り,建築確認をすることができない旨の見解を示された。なお,本件遡及適用部分(上記B~E)は,市民会館のうち本館部分に係る工事である(甲26,乙21(7頁),26(別紙),弁論の全趣旨)。 建築営繕課は,P8から,遡及適用範囲の協議には図面の作成等に多くの時間を要し,同年12月のオープンに間に合うか懸念されるため,より迅速に協議を進める必要があるとして,日確検に意見を仰ぎたい旨の申入れを受けたことから,同申入れを了承し,同年4月頃,協議先を大阪府建築主事から日確検へと変更した。 オ日確検は,P8に意見を求められた平成26年4月の して,日確検に意見を仰ぎたい旨の申入れを受けたことから,同申入れを了承し,同年4月頃,協議先を大阪府建築主事から日確検へと変更した。 オ日確検は,P8に意見を求められた平成26年4月の時点では,本件遡及適用部分の改修は不要であるとの見解を示し(乙25),P8は,同月21日,建築営繕課に対し,遡及適用範囲は排煙区画工事以外にないとの設計内訳書(乙27)を渡した。 カ契約課は,上記オの設計内訳書を踏まえて予定価格等を設定し,平成2 6年4月23日,本件入札の入札参加資格要件等についてα市事後審査型制限付一般競争入札資格審査会の審査に付し,同月25日,本件入札を公告した。公告された予定価格(1億9200万円(税抜金額))及び最低制限価格(1億4354万4000円(税抜金額))には,排煙区画工事(前記前提事実(2)ウのA)の工事価格のみ反映された。 (3) 本件入札ア α市は,平成26年5月22日,本件工事を事後審査型一般競争入札に付した(本件入札)。本件入札の入札参加資格要件等は,前記前提事実(2)オ記載のとおりである。 イ本件入札には,P6ほか2社及び株式会社P9が参加申請したところ, 株式会社P9は施工実績の要件を満たさず参加が否定され,またP7及び 補助参加人はいずれも予定価格を上回る金額で応札したため,失格となった。その結果,予定価格と同額である1億9200万円(税抜金額)で応札したP6が,本件入札を落札した。 (4) 本件原契約及び本件変更契約に至る経緯ア P8は,平成26年5月23日,建築確認申請書を日確検に提出したと ころ,日確検は,同月26日頃,従前の見解と異なり,遡及適用範囲について本件遡及適用部分も含む旨の見解を示した。 イ建築営繕課のP5らは,P8 5月23日,建築確認申請書を日確検に提出したと ころ,日確検は,同月26日頃,従前の見解と異なり,遡及適用範囲について本件遡及適用部分も含む旨の見解を示した。 イ建築営繕課のP5らは,P8と日確検との折衝によって遡及適用範囲を縮減することを期待し,上記アの日確検の見解を契約課に連絡することなく,日確検からの更なる回答を待った。 ウ P2らは,本件工事に係る工事請負仮契約締結案についてP1に上程し,平成26年5月29日,P1は同仮契約締結を認める旨の決裁をした。これを受けて,α市はP6との間で,請負金額を2億0736万円(税込金額)とする仮契約を締結した。(以上につき,甲8~10)エ P8は,日確検から改めて遡及適用範囲につき本件遡及適用部分を含む 旨の見解を示されたことから,平成26年6月23日,その旨建築営繕課に報告するとともに,本件追加工事の図面及び設計内訳書を提出して,日確検との協議を終了した。上記設計内訳書には,本件追加工事に係る費用について見積額7236万円(税込金額)と記載されていた。 それを受けて,建築営繕課は,生活安全課に対し,遡及適用範囲を縮減 することはできず,本件追加工事が必要になる旨報告した。 オ α市議会は,平成26年6月25日午前10時からの本件議会において,本件原契約締結の議案を審議・可決し,これにより,本件原契約の効力が発生した。P1,P2及びP3は,地方自治法121条により本件議会に出席したが,本件追加工事が必要であることについての説明をしていない。 (以上につき,甲9~11,22) P2,P4及びP5は,同日午後2時から2時34分まで開催された議会運営委員会において,本件工事について建築確認を受けるためには,本件追加工事が必要であり,早急に本件追加 ~11,22) P2,P4及びP5は,同日午後2時から2時34分まで開催された議会運営委員会において,本件工事について建築確認を受けるためには,本件追加工事が必要であり,早急に本件追加工事にかかる費用に対する補正予算案の決議が必要である旨の説明をし,同委員会は,同年7月8日から同月10日までの間,特別議会を開催することを決した(甲23)。 カ α市は,平成26年7月8日,本件変更契約締結及び補正予算の計上について,上記特別議会に各議案を提出し,同特別議会は,同月9日,いずれの議案も可決した。 キ P1は,平成26年7月10日及び16日,本件工事に係る設計変更及び本件変更契約締結について,いずれも認める旨決裁し,これを受けて, α 市は,同月22日,P6との間で,請負金額を7236万円(税込金額)増額する本件変更契約を締結した(甲12,13)。 ク日確検は,平成26年7月24日,α市に対し,本件工事及び本件追加工事に係る建築確認をして,確認済証を交付した(甲26)。 (5) α市における近時の入札状況 平成22年5月18日から平成27年11月17日までの間にα市で実施された予定価格5000万円以上の入札のうち,事後審査型制限付一般競争入札の形式で行われたものは,本件入札を除いて下記アからセまでの14件であった。なお,下記アからカまではP1のα市長就任前に行われた入札であり,下記キからセまではその就任後に行われた入札である。また,下記ア からセまでの落札者に引き続く括弧書きに記載されているのは,落札者の平成27年10月末日現在の総合評定値及びその順位(市内業者については市内の順位と全体の順位)である。(以上につき,甲16,17)ア G小学校校舎大規模改造建築工事に係る入札入札日平成 平成27年10月末日現在の総合評定値及びその順位(市内業者については市内の順位と全体の順位)である。(以上につき,甲16,17)ア G小学校校舎大規模改造建築工事に係る入札入札日平成22年5月18日 落札価格 3億1600万円(落札率71.6%) 落札者 P10株式会社(1237点,全体85位)参加者数 11社イ H中学校校舎大規模改造建築工事に係る入札入札日平成22年8月3日落札価格 9134万円(落札率66.6%) 落札者株式会社P11(1443点,全体52位)参加者数 6社(P7,補助参加人を含む。)ウ (仮称)I小学校跡地活用建築工事に係る入札入札日平成22年11月9日落札価格 3億4700万円(落札率60.1%) 落札者株式会社P12(1503点,全体46位)参加者数 15社エ K中学校大規模改造建築工事に係る入札入札日平成23年5月17日落札価格 3億9500万円(落札率71.7%) 落札者 P13株式会社(総合評定値なし)参加者数 8社オ L小学校老朽改修建築工事に係る入札入札日平成23年5月17日落札価格 2億1100万円(落札率63.9%) 落札者株式会社P14(1310点,全体74位)参加者数 4社(P7を含む。)カ M小学校大規模改造建築工事に係る入札入札日平成23年5月17日落札価格 2億0700万円(落札率69.7%) 落札者 P7(869点,市内3位・全体178位) 参加者数 3社(P7を含む。)キ N幼稚園大規模改造建築工事に係る入札入札日平成25年6月2 落札者 P7(869点,市内3位・全体178位) 参加者数 3社(P7を含む。)キ N幼稚園大規模改造建築工事に係る入札入札日平成25年6月25日落札価格 1億0900万円(落札率97.3%)落札者 P6(928点,市内2位・全体157位) 参加者数 3社(P6及び補助参加人を含む。)ク O配水場ポンプ室築造工事に係る入札入札日平成25年10月2日落札価格 1億4135万円(落札率94.9%)落札者 P7(869点,市内3位・全体178位) 参加者数 4社(全て市内の会社であり,P6及びP7を含む。)ケ P小学校跡地活用建築工事に係る入札入札日平成26年11月14日落札価格 7億5584万5000円(落札率88.5%)落札者P7(869点,市内3位・全体178位)及びP15株 式会社(1201点,全体96位)によるJV参加者数 4JV(P6及び補助参加人によるJVを含む。)コ M小学校プール改築等建築工事に係る入札入札日平成27年7月30日落札価格 1億3000万円(落札率99.8%) 落札者P16株式会社(706点,市内7位・全体218位)参加者数 4社(全て市内の会社であり,P6を含む。)サ G小学校屋内運動場改修等建築工事に係る入札入札日平成27年10月22日落札価格 1億2600万円(落札率94.0%) 落札者 P6(928点,市内2位・全体157位) 参加者数 6社(P6及び補助参加人を含む。)シ Q小学校屋内運動場改修等建築工事に係る入札入札日平成27年10月22日落札価格 1億230 ,市内2位・全体157位) 参加者数 6社(P6及び補助参加人を含む。)シ Q小学校屋内運動場改修等建築工事に係る入札入札日平成27年10月22日落札価格 1億2300万円(落札率93.8%)落札者補助参加人(1106点,市内1位・全体117位) 参加者数 4社(補助参加人を含む。)ス R小学校屋内運動場改修等建築工事に係る入札入札日平成27年10月22日落札価格 1億1998万円(落札率96.7%)落札者株式会社P9(737点,市内5位・全体210位) 参加者数 3社セ S中学校屋内運動場改修等建築工事に係る入札入札日平成27年11月17日落札価格 8340万円(落札率84.7%)落札者株式会社P17(844点,全体187位) 参加者数 4社 2 争点①(P6ほか2社による談合の有無)について原告らは,①本件入札では,入札参加資格要件について,他市に比べ市外業者が参加困難な競争性を欠く制度等を用いていたこと,その結果,実際に本件入札に参加したのは互いに面識,交流の深い市内業者であるP6ほか2社であ ったこと,また本件入札では,入札に参加する際に価格内訳書を提出すれば足りるとされ,工事費内訳書を提出する必要がなかったこと,②P1がα市長に就任した後の事後審査型制限付一般競争入札のうち,P6ほか2社が落札した5件の落札率が90パーセント台後半に張り付いていることからP6ほか2社による恒常的な談合が推認されるところ,本件入札においても,P7及び補助 参加人が入札前に公表されていた予定価格よりも上回る金額で応札をして失格 となり,P6が100パーセントで落札したこと,さらには③本件追加工事費用を含め 入札においても,P7及び補助 参加人が入札前に公表されていた予定価格よりも上回る金額で応札をして失格 となり,P6が100パーセントで落札したこと,さらには③本件追加工事費用を含めない予定価格を設定して本件入札を実施するなどの行政の歪みが存在していたこと等の事情からすれば,本件入札に際し,P6ほか2社が談合していたことが推認される旨主張する。そこで,以下,原告ら主張の上記事情からP6ほか2社による談合を推認することができるか,検討する。 (1) ①入札参加資格要件,入札参加者の面識の有無等についてア入札参加資格要件(ア) 本件入札において採用された事後審査型制限付一般競争入札は,国や他の地方公共団体が実施する入札においても採用されており(乙4の4,16参照),入札後に落札候補者に限って参加資格を審査することに より,入札事務の簡素化のみならず,談合の未然の防止にも資するものとされている(乙16参照)。 そして,地方自治法等の法令は,普通地方公共団体が締結する公共工事等の契約に関する入札について,機会均等,公正性,透明性及び経済性(価格の有利性)の確保を図っているものと解されるが,契約の確実 な履行の確保あるいは地元経済の活性化への寄与等を考慮して,必要かつ合理的な範囲内で,登録の住所(本店あるいは支店又は営業所)が当該普通地方公共団体内にあるか否かで入札参加資格要件に一定の差異を設けることも許容しているものと解される(地方自治法施行令167条の5の2参照)。 (イ) 本件入札における入札参加資格要件では,総合評定値について,市外業者は,市内業者に比して,500点高い1200点を有している必要がある旨定められていたところ,市内業者は,工事現場等への距離が近く,現場に 札における入札参加資格要件では,総合評定値について,市外業者は,市内業者に比して,500点高い1200点を有している必要がある旨定められていたところ,市内業者は,工事現場等への距離が近く,現場に関する知識等を有しているなど契約の確実な履行を期待し得ること,さらには,地元経済の活性化の見地から,入札参加資格要件 につき合理的範囲内で市内業者を優遇する必要性があったことは否定し 得ない。加えて,本件入札の実施時において,総合評定値が1200点以上の市外業者は86社存在し,総合評定値700点以上の市内業者5社を大幅に上回っていたこと(乙15)などからすれば,総合評定値に係る要件における市内業者と市外業者との上記差異は相当な範囲内のものといえる。 原告らは,上記入札参加資格要件は,他市に比べても市外業者の参入が困難な要件である旨主張するが,本件入札と同様,2億円以上2億5000万円未満の予定価格で一般競争入札を行う場合,ε市,ζ市及びδ市では,市外業者は一律に,原則として入札参加資格要件を有しない(乙17)とされているのであるから,他市に比べ市外業者が参入困難 な要件であるとは必ずしもいえない。 (ウ) その他原告らが主張する事情を検討しても,本件入札における入札参加資格要件に不合理な点は認められず,同要件により本件入札の実質的競争性が阻害されたとはいえない。 イ入札時の提出書類の定め 本件実施要領11項では,入札時の提出書類について,入札書の他,価格内訳書を掲げるのみで,積算根拠を示した工事内訳書の提出を求めていない。しかし,入札参加者に対し,積算根拠を示した工事内訳書を提出させることが談合等の不正の防止策になり得るとしても,入札時に積算根拠を示した工事内訳書の提出を要さない入札において,お 出を求めていない。しかし,入札参加者に対し,積算根拠を示した工事内訳書を提出させることが談合等の不正の防止策になり得るとしても,入札時に積算根拠を示した工事内訳書の提出を要さない入札において,およそ談合がされる とは到底いえず,本件入札においてもその一事をもって談合があったと推認することはできない。 ウ入札参加者の面識の有無等本件入札に参加したP6ほか2社は市内業者であることからすると,互いに面識や交流があった可能性は否定し得ないものの,談合の事実を推認 させるような特別に深い関係性を有していた事実を認めるに足りる証拠 はない。そもそも,上記アのとおり,本件入札の入札参加資格要件を満たす者は,P6ほか2社及び市内業者2社の他に,市外業者も86社あったのであるから,近年α市が実施した事後審査型制限付一般競争入札に市外業者が参加することが減っていた事実が認められるとしても(上記認定事実(5)),P6ほか2社において本件入札に市外業者が参加しないことを認 識していたなどという事情が認められないにもかかわらず,深い関係性があったことの一事をもって,本件入札における談合の存在を推認することはできない。 (2) ②P6ほか2社による従前の入札状況及び本件入札における入札状況について ア P6ほか2社による従前の入札状況(ア) α市が平成22年5月18日から平成27年11月17日までの間に実施した事後審査型制限付一般競争入札の落札率をみると,P1がα市長に就任した平成24年5月より前に実施された6件(上記認定事実(5)ア~カ)については,いずれも70パーセント前後であるのに対 し,就任後に実施された9件については,7件が90パーセントを超え,残り2件についても85パーセント前後であり(上記認定 事実(5)ア~カ)については,いずれも70パーセント前後であるのに対 し,就任後に実施された9件については,7件が90パーセントを超え,残り2件についても85パーセント前後であり(上記認定事実(3)イ,(5)キ~セ),落札率は,P1の市長就任後初めて事後審査型制限付一般競争入札が行われた平成25年6月25日から顕著な高止まり傾向を示している。特に,同年以降,P6ほか2社が単体で落札した事後審 査型制限付一般競争入札5件(上記認定事実(3)イ,(5)キ,ク,サ,シ)における落札率は93パーセントを超え,このような落札率の高止まりは,P6ほか2社による恒常的な談合の存在をうかがわせる一事情となり得ると考えられる(甲19)。 しかしながら,証拠(乙1~4,8~11)によれば,平成25年頃 以降,東日本大震災に係る復旧・復興事業等の影響で人件費や資材価格 が急騰したことによって,国又は地方公共団体が設定した予定価格が実勢価格を下回り,あるいは入札参加資格者が今後の人件費や資材価格の高騰のリスクを嫌うなどして,入札が不調(応札者がいない場合をいう。 以下同じ。)あるいは不落(全ての応札価格が予定価格を超過することをいう。以下同じ。)に終わる事態が生じるようになったこと,また平 成26年に入り,α市の近隣市を含む近畿圏でも,上記と同様の理由により,入札の不調や不落が相次ぐようになった事実が認められる。 そうすると,α市における平成25年6月25日以降の落札率の高止まりは,上記のような人件費及び資材価格の高騰が原因で生じたものであることも十分に考えられるから,上記落札率の高止まりの事実のみを もって,P6ほか2社による恒常的な談合の存在を推認することはできない。 (イ) 次に,平成22年5月18日から平 たものであることも十分に考えられるから,上記落札率の高止まりの事実のみを もって,P6ほか2社による恒常的な談合の存在を推認することはできない。 (イ) 次に,平成22年5月18日から平成27年11月17日までの間にα市で実施された事後審査型制限付一般競争入札の落札状況をみると,市内業者が落札した件数は,平成23年以前に実施された6件について はうち1件にとどまっているが(上記認定事実(5)ア~カ。なお,同エの落札者の本店所在地は証拠上明らかではない。),平成25年以降に実施された9件についてはうち8件と大幅に増加している(上記認定事実(3)イ,(5)キ~ス)。このような市内業者が落札する割合の増加は,一見すると,市内業者による恒常的な談合,特に,上記8件のうち5件を 単体で落札したP6ほか2社による談合の存在を疑わせるものである。 しかし,平成23年以前に実施された6件については,市外業者がその全てに応札しているのに対し,平成25年以降に実施された8件については,市外業者が単体で応札したのは半数の4件にとどまっている(甲17)ことからすれば,上記市内業者が落札する割合の変化は,市外業 者の応札が減少したことによるものと考えられる。したがって,上記事 実から,P6ほか2社による恒常的な談合の存在を推認することはできない。 (ウ) さらに,平成25年以降に市内の会社が単体で落札した入札の内訳をみると,P6(市内2位)が落札したものが3件,補助参加人(市内1位),P7(市内3位),株式会社P9(市内5位)及びP16株式 会社(市内7位)が落札したものが各1件となっており,P6ほか2社で上記7件のうち5件を占めているが(上記認定事実(3)イ,(5)キ,ク,サ,シ),P6ほか2社は,α市における平 びP16株式 会社(市内7位)が落札したものが各1件となっており,P6ほか2社で上記7件のうち5件を占めているが(上記認定事実(3)イ,(5)キ,ク,サ,シ),P6ほか2社は,α市における平成27年10月末日現在の総合評定値の上位3社であるから(甲16),予定価格5000万円を超える規模の入札において,その受注の大半を占めていたとしても直ち に不自然とはいえず,かかる事実をもってP6ほか2社による恒常的な談合の存在を推認させるものではない。 したがって,本件入札がP6ほか2社による恒常的な談合の一環である旨の原告らの主張は,その前提を欠き,採用することはできない。 イ本件入札における入札状況 (ア) 原告らは,本件入札において,P7及び補助参加人が公示されていた予定価格をあえて上回る応札をしたこと,入札に参加した残り1社であるP6が予定価格の100パーセントで応札したことの異常性を指摘し,これらの事実から本件入札における談合が推認される旨主張する。 しかし,上記アのとおり,本件入札当時,東日本大震災に係る復旧・ 復興事業等の影響で人件費や資材価格が急騰したことによって,入札の不調あるいは不落が相次ぐ状況にあったことからすると,本件入札においても,入札実施者の設定した予定価格が実勢価格を下回り,あるいは資材価格の高騰等のリスクを見込んで入札参加希望者が積算した見積価格が実勢価格を上回るなどして,予定価格あるいは見積価格と実勢価格 との間に乖離が生じていた可能性も十分に考えられる。そして,補助参 加人は,このような場合,入札参加希望者において,入札への参加を辞退せず,あえて予定価格を上回る金額で応札することは,公共工事における予定価格が人件費や資材価格の高騰等を合理的に見込んでいないこ 加人は,このような場合,入札参加希望者において,入札への参加を辞退せず,あえて予定価格を上回る金額で応札することは,公共工事における予定価格が人件費や資材価格の高騰等を合理的に見込んでいないことを入札実施者に対し表明するという点において,一定の意義を有するものである旨主張するところ,この主張が特段不自然なものとはいえず, 現に補助参加人がα市以外の市が実施した入札において,予定価格を上回る金額で応札した例も認められるところである(丙1,3)。 さらに,入札参加希望者において,積算した見積価格が予定価格と拮抗している場合,現実の応札を期待するものの,一方で収益性の確保を図る必要があることから,予定価格と同額での落札を求め,それを下回 る価格で入札に参加する者が出現したならば落札を断念するということも経済的見地から十分合理的といえるのであって,P6の落札率が100パーセントであることが明らかに不自然とはいえない。 (イ) 原告らは,地方公共団体の長は,予算決算及び会計令80条2項等に基づき,公共工事の入札の予定価格を設定するに当たっては,最新の 実勢価格を適正に反映させているものと考えられること,また本件入札においては,入札公告日と入札日との間が1か月ほどしかなく,予定価格の設定後入札までに長期間経過していないことなどからすれば,予定価格と実勢価格との間に乖離が生じることは考えられず,予定価格を上回る金額での応札は異常である旨主張する。 しかし,地方公共団体の長において,予定価格の設定に当たり,最新の実勢価格を適正に反映するよう努めているとしても,人件費や資材価格の急騰により,刊行物の掲載価格等が一部で実勢価格の上昇に追い付かず,予定価格と実勢価格との間に乖離が生じる可能性は否定し得ない(乙10参 格を適正に反映するよう努めているとしても,人件費や資材価格の急騰により,刊行物の掲載価格等が一部で実勢価格の上昇に追い付かず,予定価格と実勢価格との間に乖離が生じる可能性は否定し得ない(乙10参照)ところ,現に平成26年に入り近畿圏においても人件費 等の急騰により入札の不調や不落が相次ぐようになったことは既に認 定説示したとおりである。また,予定価格に最新の実勢価格が反映されていたとしても,入札参加者が資材価格の更なる高騰等を予想して積算した見積価格が実勢価格を上回る場合も否定し得ず,予定価格を上回る金額での応札がおよそ不自然とはいえない。 (ウ) したがって,本件入札における入札状況から,P6ほか2社による 談合を推認することはできない。 (3) ③行政の歪みの存否等についてア原告らは,本件入札における予定価格に,意図的に本件追加工事の価格を反映させなかったことが談合を推認させる旨主張するが,上記認定事実(2)カのとおり,契約課は,P8から提出された設計内訳書を踏まえて,予 定価格を設定・公告したにすぎず,また,後記3(1)のとおり,契約課にとどまらず,建築営繕課においても,本件入札の時点においては,遡及適用範囲が排煙区画工事に止まらない具体的な可能性があることを把握していなかったのであるから,P1及びP2らが意図的に本件追加工事の価格を予定価格に反映させなかったものとはいえない。したがって,原告らの 主張はその前提を欠く。 イまた,原告らは,P1及びP2らにおいて,本件要綱8条の適用あるいは同条の趣旨に鑑み本件入札を中止すべきであったのにそのまま執行したことは,同人らが談合に協力していたことを示すものであり,談合の存在を推認させる事情である旨主張する。 しかし,α市競争入 は同条の趣旨に鑑み本件入札を中止すべきであったのにそのまま執行したことは,同人らが談合に協力していたことを示すものであり,談合の存在を推認させる事情である旨主張する。 しかし,α市競争入札心得(甲15)11条1項では,予定価格が事前に公表されている場合,それを超える入札をした者は失格となる旨定めるものの,その者の参加まで遡って否定するとはしていないことからすれば,本件入札における参加者は,P6ほか2社の3者であったと認められるのであって,本件要綱8条の中止の要件には該当しない。 また,本件要綱8条の趣旨は,原告らが主張するとおり,競争性の担保 や価格の有利性の確保等にあるものと考えられるところ,確かにP7及び補助参加人が予定価格を上回る金額で応札したことにより,P6は,結果として,本来一般競争入札が予定する価格競争をすることなく落札するに至っている。しかし,かかる場合,再入札を実施したとしても,予定価格を上げない限り,同じ結果になり,あるいは入札が不落に終わる可能性も 見込まれるのであって,価格の有利性等の見地から入札をそのまま執行することには十分合理性がある。したがって,α市が本件入札をそのまま執行したことが本件要綱8条の趣旨に反するとはいえず,やはり本件入札を中止すべき義務があったとはいえないのであるから,原告らの上記主張は採用することができない。 (4) 小括以上のとおり,原告らが主張する上記間接事実からP6ほか2社による談合の存在を推認することはできず,その他に,P6ほか2社が本件入札において談合したことをうかがわせる事情はないから,P6ほか2社が本件入札に際して談合したと認めることはできない。 3 争点④(本件原契約に本件追加工事を含めずに本件入札を行い,議会の議決を得 いて談合したことをうかがわせる事情はないから,P6ほか2社が本件入札に際して談合したと認めることはできない。 3 争点④(本件原契約に本件追加工事を含めずに本件入札を行い,議会の議決を得て同契約を締結した行為の違法性の有無)について(1) 本件追加工事を含めずに本件入札を行ったことについてア地方自治法234条1項及び2項は,普通地方公共団体の締結する契約について,一般競争入札の方法を原則としているところ,これは,機会均 等の理念に最も適合して公正であり,かつ,価格の有利性を確保し得るためと解される。一般競争入札の方法により契約を締結した後に入札条件とされた契約の内容を変更することは,上記の趣旨に反するものであり,それが当初から予想し得る軽微な範囲にとどまる場合等を除き,原則として許されないものと解される。 そうすると,契約の締結後にその内容を変更する必要があることを認識 している場合には,本来その変更すべき契約内容が確定した後に,新たな条件の下で入札に付すべきものであって,変更内容が当初から予想し得る軽微な範囲にとどまる場合,変更内容が確定する前に早期に契約を締結して履行に着手する必要がある場合や履行に着手した後でなければ変更内容が確定しない場合に変更の可能性を示した上で入札に付すなど特段の 事情がない限り,当該契約について不確定条件で入札を実施することは許されないものと解するのが相当である。 イ(ア) そこで検討すると,上記認定事実によれば,本件入札の実施時点においては,日確検が,遡及適用範囲につき排煙区画工事のみとなる見込みである旨の見解を示していたのであり,また一級建築士のいる設計会 社であるP8においても,日確検の上記見解を受けて,本件追加工事は不要であることを前提として, つき排煙区画工事のみとなる見込みである旨の見解を示していたのであり,また一級建築士のいる設計会 社であるP8においても,日確検の上記見解を受けて,本件追加工事は不要であることを前提として,同追加工事を含めない設計内訳書(乙27)を作成し,建築営繕課に提出していたというのであるから,P5も証言するとおり,本件入札の実施時点においては,本件追加工事が必要となると認識していたとは認められず,また,認識することができたと いうこともできない。 (イ) この点に関し,原告らは,本件追加工事は建築関係法令に適合させることを内容としているのであるから,本件追加工事が必要となることは明らかであった旨主張する。 確かに,普通地方公共団体が建築工事の施工を決定するに当たっては, 同工事が法令に従ったものであるかどうかの審査を行うべきであって,本件工事のように,建築基準法3条2項に定める建築後の法令の変更によって違反建築物と扱われない,いわゆる既存不適格建築物を増改築するに当たっては,当該増改築によって,同条3項3号又は4号により建築関係法令の遡及適用を受けることとなるかについても十分に検討す べきといえる。 しかし,本件ホールは市民会館の別館にあるのに対し,本件遡及適用部分は,いずれも市民会館の本館にあるのであって,別館を増改築することにより,本館についてまで遡及適用が及ぶかについては必ずしも明らかとはいい難く,このことは,現に日確検が,上記のとおり,本件入札の実施時点では,遡及適用範囲について,排煙区画工事のみになる見 込みである旨の見解を示していたことからも裏付けられる。したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (ウ) また,原告らは,α市は本件入札の翌日である平成26年5月23 なる見 込みである旨の見解を示していたことからも裏付けられる。したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (ウ) また,原告らは,α市は本件入札の翌日である平成26年5月23日には建築確認申請をしているところ,本件追加工事に係る補正予算について審理されたT会議において,α市街づくり部長が「増築改修部分 と今回の既存不適格は一本の建築確認で申請しております。」と発言していることからすれば,遅くとも本件入札の実施時には,本件追加工事が必要となることを認識していた旨主張する。 しかし,上記認定事実(4)エによれば,P8が,遡及適用範囲に関する日確検の最終的見解を踏まえ作成した本件追加工事にかかる図面及 び設計内訳書を建築営繕課に提出したのは同年6月23日であり,α市の確認を経て,同市あるいはその代理人であるP8が日確検に上記図面等を提出したのは早くても同日以降であったと考えられる。現に,建築確認申請書(甲26)1頁目にある日確検による受付印は,同年7月24日付けとされており,同年5月23日付けとはされていない。 また,原告らが指摘するT会議における街づくり部長の発言は,同会議に出席したP4が,「最終的にこの工事につきましては増設及び既存部分を改修一体で建築確認申請の審査を受けています。」と述べていること(乙22・18頁)からも明らかなように,本件工事に関する建築確認申請をした後に,本件追加工事に関する資料を追加したことによっ て,最終的には「一本」の建築確認申請となった旨の発言と認められる のであって,街づくり部長の上記発言は,同年5月23日に,本件追加工事についてまで建築確認申請をしたことの根拠となるものではない。 (エ) 以上のとおり,本件入札の実施時点において,P1,P のであって,街づくり部長の上記発言は,同年5月23日に,本件追加工事についてまで建築確認申請をしたことの根拠となるものではない。 (エ) 以上のとおり,本件入札の実施時点において,P1,P2ら及びP5が,本件追加工事が必要となることを認識していた,又は認識することができたとは認められない。したがって,本件追加工事を含めずに本 件入札を行ったことが違法であるとはいえず,この点について,P1,P2ら及びP5が不法行為責任を負うことはない。 ウ原告らは,P5の証言によるとしても,P5は本件入札の実施以前において,本件追加工事が必要となる可能性については認識していたのであるから,その旨関係部署に適時に報告すべきであったのに,遡及適用 範囲の縮減を見込めるという甘い見通しの下に上記報告義務を怠り,建築関係法令に反する違法な本件入札が実施されるのを漫然と放置したなどとして,公務員の法令遵守義務(地方公務員法32条)に違反する旨主張する。 しかし,上記イ(ア)記載のとおり,本件入札の実施時点においては,P 8のみならず日確検においても,本件追加工事が不要となる見込みである旨の見解を示していたのであるから,P5が今後の協議においても日確検が上記見解を維持し,大阪府建築主事から指摘を受けた遡及適用範囲の縮減が見込まれると考えたことについて特段不合理な点は認められない。本件入札の実施時までに,P5が生活安全課や契約課に対し,本 件追加工事の必要性に関する情報を提供することがより適切であったといえるとしても,P5において原告らが主張するような報告義務を負っていたとまでいうことはできない。 エなお,上記のとおり,本件追加工事が必要となる可能性自体はあったのであるから,α市としては,建築確認を得て遡及適用範囲が確定した が主張するような報告義務を負っていたとまでいうことはできない。 エなお,上記のとおり,本件追加工事が必要となる可能性自体はあったのであるから,α市としては,建築確認を得て遡及適用範囲が確定した後に, 本件入札を実施するという選択肢もあり得たということができる。 しかし,建築確認を受けた後でなければ入札を実施することができないというべき合理的な根拠は見いだし難く,むしろ建築確認を受けていない段階でも,既存部分の取壊し工事等は行うことができるというのである(証人P5)。そうすると,上記認定事実のとおり,市民会館は,本件ホールを年末年始に利用する市民が多く,その時期の閉館は避ける必要があ ること等から,平成26年12月の開館を目指していた中で,本件入札の実施を延期することによって,開館を遅らせるのを避けるため,日確検から遡及適用範囲は排煙区画工事のみとなる見込みである旨の見解を示された段階で,同見解に沿う内容の設計図書の作成及び予定価格等の設定をして,本件入札を実施したことが不合理であったとはいい難く,この点に つき裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したとはいえないというべきである。 (2) 本件追加工事の必要性を議会に報告しないまま,本件原契約締結に係る議会の議決を得て同契約を締結したことについてア本件変更契約の締結を予定しながら本件原契約を締結したことの合理性 について(ア) 上記認定事実(4)エ及びオによれば,本件議会において本件原契約締結の議案を審議・可決した平成26年6月25日午前の時点では,既にP8が本件追加工事を行うことで日確検との協議を終了し,その旨建築営繕課に報告しており,また,P2,P4及びP5は,同日午後に開催 された議会運営委員会に出席して,本件追加工事の必 では,既にP8が本件追加工事を行うことで日確検との協議を終了し,その旨建築営繕課に報告しており,また,P2,P4及びP5は,同日午後に開催 された議会運営委員会に出席して,本件追加工事の必要性を報告したというのであるから,本件議会の時点において,P5のみならずP1及びP2らにおいても,本件工事の内容のままでは建築関係法令に適合しないため,同工事と同時に本件追加工事を実施する必要があることを認識していたものと認められる。 そうであるところ,α市は,本件追加工事を実施する方法として,本 件議会の議決を得て本件原契約の効力を発生させ,その上で再び議会の議決を得て本件変更契約を締結する方法を選択したのであるが,本件変更契約が,請負代金額を7236万円(当初の工事請負金額の34.9パーセントに相当)増額し,工事内容にも少なくない範囲で変更を加えるものであることからすれば,α市においては,漫然とP6との間で本 件原契約を締結するのではなく,所要の変更を加えた上で,改めて入札を実施すべきではなかったかなどの疑問も生じ得る。 (イ) しかし,被告の主張によれば,本件議会前の時点において,市民会館を建築関係法令に適合した建築物とするために必要な本件追加工事を実施するための方法としては,本件原契約の締結に係る本件議会の議決 を得た後,同契約変更に係るα市議会の議決を経て,本件原契約を変更するという現に採用された方法のほか,①本件追加工事のみ一般競争入札を実施する方法及び②本件工事に係る工事請負仮契約を解除し,本件追加工事を含めて改めて一般競争入札に付する方法等が考えられたというのであるが,①については,本館と別館とが同一敷地内で互いに隣接 し,内部は扉等でつながっているなど密接な関連性を有するため,別々の業 含めて改めて一般競争入札に付する方法等が考えられたというのであるが,①については,本館と別館とが同一敷地内で互いに隣接 し,内部は扉等でつながっているなど密接な関連性を有するため,別々の業者に工事を行わせるのは不合理かつ非現実的であり,採用することができない。また,②の方法については,新たに一般競争入札を実施するとなれば,市民会館を予定どおり平成26年12月に開館することができず,市民の年末年始の利用等に影響が出るのみならず,α市の都合 で本件原契約(仮契約)を解除することになれば違約金等の発生も予想され,また,本件入札では,入札参加者3社のうち2社が予定価格を15パーセントから25パーセント超える金額で応札していたこと及び資材価格等が高騰していたこと等からすれば,本件追加工事を含めた一般競争入札の不調・不落を防ぐためには,本件入札の予定価格に本件追加 工事の費用(7236万円)を加えた金額を予定価格として設定するの みでは足りず,より多額の予定価格の設定を余儀なくされる可能性も十分に考えられたということができ,この方法も採用することが難しかったものと認められる。 (ウ) そうすると,α市において,本件追加工事が必要であることが明らかになった後に,α市議会の議決を得て本件原契約を締結したことにも, 相応の合理的理由があったものということができる。 なお,本件全証拠においても,本件変更契約の代金が,既存不適格部分を関係法令に適合させるために必要な設計変更に応じて合理的に算出された金額であることに疑いを生じさせるような事情は見当たらない。 イ本件議会において本件追加工事の必要性の報告ないし説明をしなかった ことについて(ア) 地方自治法96条1項5号は,その種類及び金額について政令で定め せるような事情は見当たらない。 イ本件議会において本件追加工事の必要性の報告ないし説明をしなかった ことについて(ア) 地方自治法96条1項5号は,その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約(α市においては1億5000万円以上の工事又は製造の請負契約。地方自治法施行令121条の2第1項,本件条例2条参照。)を締結する場合,議会の議決に付さなければならな い旨規定するところ,その趣旨は,上記政令等で定める種類及び金額の契約を締結することは普通地方公共団体にとり重要な経済行為に当たるものであるから,議会の議決を要することとして,住民の利益を保障するとともに,これらの事務の処理が住民の代表の意思に基づいて適正に行われることを期することにあると解される。 このような趣旨からすれば,議会の議決を要する契約の締結について審議に必要な説明をするために議会に出席した普通地方公共団体の長又はその補助職員が,当該審議に重要な事項を殊更に隠蔽するなどして議会における審議を妨げたといえるような場合には,当該普通地方公共団体に対する関係で不法行為が成立する余地があるものと考えられる。 (イ) 上記認定事実によれば,P1,P2及びP3は,本件議会に出席し たにもかかわらず,同議会において,本件追加工事が必要である等の事情を何ら説明しなかったというのであるが,既に認定・説示したところからすれば,本件追加工事を実施するためには,P6との間で本件原契約を締結した上でこれを変更する方法によることが合理的であったといえる上,本件追加工事は,別館部分の増改築に伴って法令上必要となる 附随的なものであり,その内容等については,予算措置を含めて別に特別議会で議決を求める予定であったことなどからす 的であったといえる上,本件追加工事は,別館部分の増改築に伴って法令上必要となる 附随的なものであり,その内容等については,予算措置を含めて別に特別議会で議決を求める予定であったことなどからすれば,本件議会に出席したP1,P2及びP3が,本件議会はあくまで本件原契約の効力を発生させるものと位置付け,同議会において,本件追加工事が必要となる旨の報告ないし説明をしなかったからといって,本件原契約の締結に ついての審議を妨げたということはできない。 (ウ) 上記に加え,P2,P4及びP5は,本件原契約締結に係る議決を得た後,同日中に議会運営委員会において本件追加工事が必要となる旨報告し,本件追加工事に係る補正予算に加え,本件変更契約締結に関しても,α市議会の議決を得ていることからすれば,P1,P2ら及びP 5において,およそ議会を軽視していたなどということもできない。 (3) 小括以上によれば,本件原契約締結に至るまでのP1,P2ら及びP5による一連の行為が共同不法行為を構成するということはできない。 4 結論 よって,その余の点につき判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官山田 明 裁判官森 田 亮 裁判官石川舞子

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る