平成17(ネ)3497 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成18年6月23日 大阪高等裁判所 その他 大阪地方裁判所 平成16(ワ)4035
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判決文本文21,547 文字)

- 1 -平成18年6月23日判決言渡平成17年(ネ)第3497号損害賠償請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成16年(ワ)第4035号)判決主文,。 原判決のうち被控訴人Bに対する請求部分を次のとおり変更する( ) 被控訴人Bは,控訴人に対し,488万7219円及びこれに対 する平成16年4月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ( ) 控訴人の被控訴人Bに対するその余の請求を棄却する。 控訴人の被控訴人Cに対する控訴を棄却する。 3( ) 訴訟費用は,第1,2審を通じて,控訴人と被控訴人Bとの間に 生じた分については,これを3分し,その1を被控訴人Bの負担とし,その余を控訴人の負担とし,補助参加によって生じた費用については,これを3分し,その1を被控訴人参加人の負担とし,その余を控訴人の負担とする。 ( ) 控訴人の被控訴人Cに対する控訴費用は,控訴人の負担とする。 この判決は,第1項( )に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人Bは,控訴人に対し,1696万8646円及びこれに対する平成16年4月16日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人Cは,控訴人に対し,100万円及びこれに対する平成16年4月15日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による- 2 -金員を支払え。 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。 仮執行宣言第2事案の概要 事案の要旨本件は,スノーボードクロスの競技中に傷害(大腿骨骨折等)を負った控訴人が,被控訴人Bに対しては,上記傷害はスノーボードクロスの競技中,転倒した被控訴人Bに衝突されて負っ 事案の概要 事案の要旨本件は,スノーボードクロスの競技中に傷害(大腿骨骨折等)を負った控訴人が,被控訴人Bに対しては,上記傷害はスノーボードクロスの競技中,転倒した被控訴人Bに衝突されて負ったものであり,被控訴人Bに前方注視義務違反及び衝突回避義務違反があったと主張して,不法行為に基づく損害賠償1696万8646円及びこれに対する不法行為の後の日である平成16年4月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,被控訴人Cに対しては,被控訴人Cが上記衝突事故の後,直ちにパトロールを手配して控訴人を安全な場所に避難させず,上記競技の主催者として負うべき救急体制整備義務に違反したと主張して,不法行為に基づき,これにより被った精神的損害の賠償として慰謝料100万円及びこれに対する不法行為の後の日である同月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原審は,被控訴人Bに対する請求について,本件事故態様として,控訴人がバランスを崩して相当程度の減速をし,倒れまいとして踏ん張っていたところ,その後方から被控訴人Bが転倒し,スノーボードを立てたまま控訴人の右大腿部付近に衝突させたと認定し,これを前提として,被控訴人Bに過失があった可能性を否定することができないとしつつも,バランスを崩して減速している控訴人を発見し得た時点が,控訴人との衝突直前であったことから,通常の滑走技術をもって,衝突を回避することが可能であったことを認定することはできない等として請求を棄却し,被控訴人- 3 -Cに対する請求について,被控訴人Cの不手際により,控訴人の救護搬送が十数分程度遅延したものの,全体としてみれば,大会責任者として,適切な救護をしており,救急体制整備義務違反があったとは認めら -Cに対する請求について,被控訴人Cの不手際により,控訴人の救護搬送が十数分程度遅延したものの,全体としてみれば,大会責任者として,適切な救護をしており,救急体制整備義務違反があったとは認められないとして請求を棄却した。 控訴人は,原判決を不服として控訴した。 争いのない事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,原判決「事実及び理由」中「第2事案の概要」中の「1争いのない事実「2,」,争点」に記載のとおりであるから,これを引用する。 第3当裁判所の判断【以下,原判決「事実及び理由」中の「第3争点に対する判断」の部分を引用した上で,当審において,内容的に付加訂正を加えた主要な箇所をゴシック体太字で記載し,それ以外の字句の訂正,部分的加除については,特に指摘しない】。 被控訴人Bに対する請求について( ) 前提事実 アスノーボードクロス競技争いのない事実,証拠(甲11,20,丙2,3,証人E,被控訴人C本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 スノーボードクロスは,前記争いのない事実のとおり,種々の地形が設けられた滑走コースを,2人以上の競技者が同時にスタートし,スノーボードを使用して滑走し,フィニッシュラインの通過の先後により,順位が決せられる競技である。 スノーボードクロスのコース自体は,スノーボードの通常程度の滑走技術を有していれば,滑り降りることは可能であり,スノーボードの初中級者でも体験が可能であることから,初中級者向けの大会も数多く開催されている。 - 4 -もっとも,転倒や接触が発生することも多いため,一般的にも,本件大会においても,ヘルメットの着用は必須とされ,競技者は,脊髄,パッドなどのプロテクター類を付けた上で競技に臨むのが通常でありコース自体も,安全に配慮して設 生することも多いため,一般的にも,本件大会においても,ヘルメットの着用は必須とされ,競技者は,脊髄,パッドなどのプロテクター類を付けた上で競技に臨むのが通常でありコース自体も,安全に配慮して設計されている。 これらの対策がなされるため,転倒,接触があっても,競技者が怪我を負うことは多くはなく,本件大会においても,レースの中断が必要な程度の怪我は,控訴人以外には発生していない。 スノーボード競技のルール上,他の競技者に対する接触は許されているわけではなく,進路妨害はインターフェアとして反則となる。 イ本件大会証拠(甲11,13)及び弁論の全趣旨によれば,本件大会は「I,CUPエキシビジョン」のスノーボードクロス部門として(他にハーフパイプも実施されている,被控訴人Cの経営するスノーボード。)ショップ「I」がエキシビジョンとして主催したものであり,Jが公認したものではなく,Jの会員であるか否かにかかわらず,誰でも参加可能なものであったことが認められる。 ウ本件コース(,,,,,,,,, 証拠 甲15 乙34,証人D,控訴人本人(原・当審,被控訴人C本人)及び弁論の)全趣旨によれば,以下の事実が認められる(以下,方向は,いずれもスタート地点である上部山側からを見たものである。 下方谷側。)本件大会で使用されたスノーボードクロス用コース(以下「本件コース」という)は,スタート地点からほぼ直線状。 斜面を下った後,のウェーブを経て,第1バンクに至り,左側(5つ程度の山のある)に滑降したところに第2バンクが設けられ,そこから下方の谷側に向800m程度のコースであり,けてその後もコースが続いている全長- 5 -スタート地点から第1バンクまでの直線距離は6 の山のある)に滑降したところに第2バンクが設けられ,そこから下方の谷側に向800m程度のコースであり,けてその後もコースが続いている全長- 5 -スタート地点から第1バンクまでの直線距離は60m程度であり,本件事故の発生した第1バンク付近のコース幅は5m程度である(甲3また,本件コ0,33,乙4,控訴人(原審)本人調書5~7頁。 )ースのスタート地点から第1バンクに入るまでの部分の左側には,ハ,ーフパイプ用の全長60mのコースが設置されていたが(甲30)このハーフパイプの右側土手部分の終点(本件コースの第1バンク及び第2バンク側)と,本件コースの第1バンク及び第2バンクとは,ほぼ接着するような位置関係であった(甲58(59)88及び弁,,論の全趣旨。 )なお,被控訴人Bは,上記第1バンクを第1「コーナー」と呼称す(るが,これがコースの滑降途中で90度近く又はそれ以上に曲がった,場所であることについては関係者の供述が一致しているところであり屈曲地点の谷側は,安全上,ある程度の盛り上がりがあると認められ(甲91によれば,谷側には急斜面が控えている,甲21,丙2に。)よれば,スノーボード又はスキーボードクロスのコースにおいては,このような屈曲のことを「バンク」と呼ぶのであるから,以下では第)1バンクと呼称する。 エ本件事故による傷害証拠(甲2,甲3の1ないし7,控訴人本人(原審)によれば,)控訴人は,本件事故により,右大腿骨顆上部膝関節内骨折及び左肩挫傷の傷害を負い,平成15年12月27日に症状が固定し,平成16年1月10日に右膝運動痛,左肩運動痛,右大腿手術創ケロイド等の後遺症を残したまま,治療が打ち切られたことが認められる。 オ本件事故の衝突者の特定経緯等(ア)証拠(甲5,7,67,84,85,1 年1月10日に右膝運動痛,左肩運動痛,右大腿手術創ケロイド等の後遺症を残したまま,治療が打ち切られたことが認められる。 オ本件事故の衝突者の特定経緯等(ア)証拠(甲5,7,67,84,85,114,丁1ないし6,控訴人本人(原審,被控訴人C本人)によれば,以下の事実が認め)- 6 -られる。 あったものの,氏名及び連控訴人は,本件事故の加害者と面識がめ,平成15年2月20日,被控訴人Cに,絡先を知らなかったた及びその人がKスキー衝突した相手が黄色いウェアを着ていたことを伝え,調査を依頼した。 場のシーズン券を持っていること,,被控訴人Cは本件レースに参加した他の5名に連絡したところ被控訴人B以被控訴人Bが黄色いウェアを着ていたことが判明し,参加者が控訴人との衝突を明確に否定したのに対し,被控訴人外のBは記憶がないと言ってこれを否定しなかったため,被控訴明確に人Bが控訴人に衝突した人物であると特定した。当初,被控訴人Cは,被控訴人Bの氏名等を明かすことを拒んでい控訴人に対して,たが,控訴人の要求により,その後,被控訴人Bの承諾を得て,控訴人に被控訴人Bの氏名及び連絡先を伝えた。 控訴人は,同年3月6日,被控訴人Bに電話をし,本訴における主張と同様の事故態様を述べて「あんだけ蹴り飛ばしたら覚えて,いるはずでしょ」等と述べ,保険会社に連絡することを求めたところ,被控訴人Bは「分かった」と言ってそれを了解し,Kのシー,ズン券に付いている保険に基づいて,保険金を請求することに同意した。 被控訴人Bは,Kスキー場のシーズン券を購入していたため,被控訴人参加人とL株式会社との間で,その購入者を被保険者として締結されている,賠償責任限度額を5000万円とするスキー・スケート総合保険契約の被保険者であった。 被 シーズン券を購入していたため,被控訴人参加人とL株式会社との間で,その購入者を被保険者として締結されている,賠償責任限度額を5000万円とするスキー・スケート総合保険契約の被保険者であった。 被控訴人Bは,同年3月10日ころ,同補助参加人に対し,代理店の株式会社Mを通じて,本件事故の報告をし,また,控訴人に電話でこの経過を報告した。その際,控訴人は,保険担当者からの話- 7 -で,本件事故につき警察に連絡しなくともよいと言われたことを被控訴人Bに告げたところ「警察に届けなくていいんや。よかった,,ブルーやってん」と述べ,本件事故につき警察に届けられるので。 はないかと心配していた心情も明らかにしてい。その後,被控訴た人Bは,控訴人の治療費を立て替えて支払うとともに,同年4月11日ころ,各種書類(賠償責任保険金請求書・支払指図書(丁2,)事故状況報告書(丁3,シーズン券申込書(丁4,スキー事故証))明願(丁5)など)を作成の上,上記代理店に提出し,保険金の支払を請求した。 その後,控訴人は,休業損害の支払につき被控訴人参加人の担当者と交渉した結果,被控訴人参加人は,これに応じ,休業損害につき,同年5月29日に45万5301円を直接控訴人に支払うとともに,同年6月30日までの治療費につき,被控訴人Bが立て替えていた133万3520円を同人に支払った。 しかし,同年11月になって,同補助参加人は,控訴人に対し,本件事故内容を争う旨通知し,被控訴人Bは,控訴人が診療を受けていた病院に対し,治療費の支払を拒否する旨通知した。 (イ)上記認定の事実によれば,本件事故において,控訴人に衝突したのは,被控訴人Bであることを認めることができ,これを覆すに足りる証拠はない。この点につき,被控訴人Bは,第1バンクで転倒した事実は認めつ 上記認定の事実によれば,本件事故において,控訴人に衝突したのは,被控訴人Bであることを認めることができ,これを覆すに足りる証拠はない。この点につき,被控訴人Bは,第1バンクで転倒した事実は認めつつも,控訴人と接触したり,衝突して傷害を負わせた記憶はなく,保険金請求の手続も控訴人の懇請によって好意で行ったに過ぎない旨けれども甲7控供述ないし陳述丙3する(),(訴人の日記帳)に記載された控訴人と被控訴人Bとのやり取りは,具体的かつ詳細に記載されており,その内容も不自然,不可解な点は全くなく,極めてといえる本件事故態信憑性が高いことに加え,- 8 -本件レースに参加した様についての後記認定事実により認められる他の4名の位置取りや順位からしても,控訴人に衝突した者は被控訴人Bをおいて外にないものと判断される。 また,被控訴人Bは,被控訴人Cから本件事故についての問い合わせに対し,明確に否定していないが,仮に,身に覚えがなかったとしたならば,他の競技者同様,明確に否定してしかるべきである,,,しさらには自らが控訴人に衝突した記憶がないにもかかわらず控訴人に懇請されたからといって,好意で保険金請求手続に協力するということも不自然・不可解である。 ( ) 争点( )(被控訴人Bの不法行為)について アスノーボードクロスの競技者の負うべき注意義務その有す一般に,雪面をスノーボードを使用して滑走するものは,る技術に相応のスピードコントロールをして適切な滑走ラインを滑走前方を注視して,他の滑走者との衝突を避けるべき注意義し,接触・務を負うというべきである。 そして,スノーボードクロス競技の試合中にコース上を滑走する場合であっても,その競技者は,競技中であるとの一事をもって,上記注意義務を免れ 避けるべき注意義し,接触・務を負うというべきである。 そして,スノーボードクロス競技の試合中にコース上を滑走する場合であっても,その競技者は,競技中であるとの一事をもって,上記注意義務を免れるわけではない。 なぜなら,上記競技において,他の競技者への接触や衝突が発生しやすいとはいえ,それらの接触や転倒がルール上許されているわけではなく,また,競技者において,他の競技者から接触又は衝突されることを容認しているわけでもないからである。 ただし,スノーボードクロス競技は,同一コースを同時にスタートして相互の着順を競うものであるから,競技者は,自己の滑走技術に応じて,可能な限り高速で滑走することが許されているのであり,具上記注意義務に違反したかどうかを判断するにあ体的場面において,- 9 -このような競技内における滑走であるとの特殊事情をも考たっては,というべきではあるが,それは,あくまでも競技者慮する必要があるとして,自己の滑走技術に応じて滑走しなければならない義務があることを前提として考えるべきであり,自己の滑走技術を超えて滑走したような場合には,そのこと自体,注意義務違反になるというべきである。 イ本件事故の態様証拠(甲23,26,丙3,控訴人本人(原・当審,被控訴人(ア))),。 B及び弁論の全趣旨によれば以下の事実を認めることができるa本件レースは,控訴人及び被控訴人Bを含む合計6人(女子)で行われた。 控訴人は,スタート後,先頭でウェーブを通過して滑走していたが,先に第1バンクがあることを考え,加速しないようにスピードコントロールしながら滑走していた。 ,(),控訴人は第1バンクの左側内側を通過する競技者が多くそのため,雪(コース)の状態が良くないことを認識していたことから,比較的良 うにスピードコントロールしながら滑走していた。 ,(),控訴人は第1バンクの左側内側を通過する競技者が多くそのため,雪(コース)の状態が良くないことを認識していたことから,比較的良好な状態であった右側(外側・谷側)を滑走しようと考え,ウェーブ通過後,第1バンクの外側に進入した。もっとも,第1バンクの外側が比較的良好であったとはいえ,やはり,その斜面が荒れていたので,転倒を避けるため,エッジを谷側外側-右側に向けて踏ん張るようにして滑走していたな(),(お,証人Dは「バランスを崩しつつもちょっと減速したんです,ね」と供述しているが(証人D調書6頁,控訴人が転倒を避け。 )るために踏ん張った動作を,そのように感じたものと理解することができる。 。)そのとき,後続の競技者の一人が,第1バンクの内側(左側)- 10 -を滑走して控訴人を抜き去ったが,その直後,その競技者が前につんのめるようにして転倒した。その後,さらに,少なくとも他の一人の競技者が控訴人の左側から控訴人を抜き去り,転倒している他の競技者をも避けて,第1バンクを通過して滑走していったが,その競技者も第2バンク手前で転倒した。上記の競技者らが転倒した原因は,スピードの出し過ぎでスピードコントロールができなかったか,荒れた斜面のコースでコントロールできなかったことによるものと思われる。 b被控訴人Bは,スタートで出遅れたため,スタート直後は5番手ないし6番手を滑走していたが,その後,ウェーブを通過している際には,4番手ないし5番手で,遅れを取り戻すために懸命。 ,,に前走する競技者を追って滑走していたそして被控訴人Bは第1バンクに進入したとき,第1バンクないし第2バンク内の中央付近で,2名の競技者が転倒していたため,これを抜 り戻すために懸命。 ,,に前走する競技者を追って滑走していたそして被控訴人Bは第1バンクに進入したとき,第1バンクないし第2バンク内の中央付近で,2名の競技者が転倒していたため,これを抜かして滑走しようと考えて,滑走ラインを移動させて減速しようとしたとき,その場所が中緩斜面で,コースも波板上に荒れていたため,スノーボードをコントロールできず,エッジをとられてバランスを崩し,尻餅をつくような形で転倒し,スノーボードを突き上げたまま,転倒を避けるために踏ん張るようにして滑走していた控訴人の右大腿部に当てて,控訴人と衝突した。その際,被控訴人Bは,スノーボードを突き上げたままにし,これを下げたり,あるいは衝突を避けるために制動をかけるような動作をとることもなかった。そして,被控訴人Bは,上記衝突の前に控訴人の滑走している位置や状況を全く認識していなかった。 c控訴人は,被控訴人Bに衝突された際,上記のとおり,転倒を避けるために踏ん張るようにして滑走していたため,バランスを- 11 -崩したものの転倒することはなかった。その後,上記転倒していた2人以外の競技者が,第1バンクを通過し,転倒していた競技者たちも起きあがって滑走し始め,さらには,被控訴人Bも起きあがって控訴人の右側から滑走し始めたので,控訴人も滑走しようとしたところ,足が全く動かなかったため,その場に立ち尽くした。 被控訴人Bは,転倒に至る経緯について「第1コーナーを曲が(イ),って直ぐに,目の前で2名ほどの選手が尻餅をついた状態から起きあがろうとしているように一瞬見えました。私は,スピードを落とし,左に山側方向へボードを振ってそれを避けて通過しようとしましたが,その場所が中緩斜面で,かつ,コースも波板状に荒れてい,,たので落としたスピードに即したボ 見えました。私は,スピードを落とし,左に山側方向へボードを振ってそれを避けて通過しようとしましたが,その場所が中緩斜面で,かつ,コースも波板状に荒れてい,,たので落としたスピードに即したボードのコントロールができずバランスを崩し,ボードを取られ,私も転倒した」旨陳述し(丙。 3,同旨の供述をするところ,被控訴人Bが前方で転倒している)競技者を抜かすために滑走ラインを変更しようとしたなどの上記認定の事実の限度で被控訴人Bの上記陳述及び供述は採用できるが,動かし難い事実である控訴人との衝突の事実に加え,その際の控訴人との位置関係や控訴人の受傷状況から推認される事故態様に照らすと,被控訴人Bが果たして滑走ラインを山側方向(左)へ移動さ。 せようとしたとの上記陳述及び供述は直ちに採用するには至らない(ウ)被控訴人参加人申請の証人Eは,トップを滑走していた控訴人が減速せずに滑降していた際,第1バンクに進入する辺りで,バランスを崩して尻餅をつくような形で転倒し,そのまま第1バンクの出口の辺りまで滑って行ったところへ,2番手以降の選手はそれを右に左に避けて通り抜けて行ったものの,後方にいた被控訴人Bが真っ直ぐに滑降する体勢のまま,ボードの先端を控訴人の右脚の付け- 12 -根辺りに接触させたこと,被控訴人Bは,前のめりになって控訴人ともつれるように転倒した後,そのまま立ち上がって滑降して行っ(証人E調書7ないし12頁等。 たと供述する),控訴人が第1バンク内で尻餅をつくような形で転倒したとの点は本件レースのマーシャルであったFの陳述書でも指摘するところであるが(丁7,と)その陳述書の記載は,証人Eの陳述書(丁9)ほとんど同一内容であって,同人と証人Eは,一緒にレースを観ていた知り合いであるから,相互の影響のない別個の 書でも指摘するところであるが(丁7,と)その陳述書の記載は,証人Eの陳述書(丁9)ほとんど同一内容であって,同人と証人Eは,一緒にレースを観ていた知り合いであるから,相互の影響のない別個のということ陳述はできない。 しかも,この2つの陳述書と証人Eの法廷における供述とを対比すると,丁7のFの陳述書では,控訴人がバランスを崩して転倒したところへ,後続の被控訴人Bが控訴人のすぐ近くで転倒した,被,,控訴人Bが控訴人につまずくような形でぶつかった被控訴人Bは控訴人の前方に前のめりになって転倒した,と記載され,丁9のEの陳述書では,控訴人が転倒してちょうど止まった直後ぐらいのタイミングで,被控訴人Bが前につんのめるようようにして控訴人の上方斜面で転倒しぶつかってしまいましたと記載されているのに対し,証人Eの法廷における供述では,被控訴人Bは転倒せずに控訴人に衝突し,その後に転倒したかのような内容となっており,控訴人が原因でこれをよけようとしてか否かはともかく,被控訴の転倒人Bが転倒して控訴人に衝突したのか,衝突により転倒控訴人とのしたのかの重要な経緯が異なっている。このような瞬時の出来事について,一般の観客であった証人Eが正確な記憶を保持しているといえるかについては疑問があるし,証人Eの供述及び上記Fの陳述記載実際に滑走した控訴人本人(原・当審)及び被控訴人B本が,ものであり,しかも,証人Eの供述は,陳述人の供述と全く異なる- 13 -書(丁9)と矛盾していることからすると,証人Eの供述及び陳述は,到底信用することはできないし,Eの陳述書(丁9)に沿うFの陳述書(丁7)も採用の限りではない。 なお,前記( )前提事実エのとおり,控訴人は,本件事故により, 右脚やや外側に,右大腿骨顆上部膝関節内骨折の傷害 とはできないし,Eの陳述書(丁9)に沿うFの陳述書(丁7)も採用の限りではない。 なお,前記( )前提事実エのとおり,控訴人は,本件事故により, 右脚やや外側に,右大腿骨顆上部膝関節内骨折の傷害を負ったことが認められるが(甲2,90,控訴人が左足を前側に置くレギュ)ラースタンスをとっていたことを考慮すれば,この傷害は,控訴人の後方(斜面上部)から,被控訴人Bが転倒して衝突したという事故態様と整合するものとみられる。 ウ被控訴人Bの過失の有無上記イの認定事実を総合すると,被控訴人Bは,スタートで出(ア)(ア)遅れたため,後方から前方を滑走する競技者を追いかける形となって滑走していたのであるから,相当のスピードを出していたものと思われるところ,第1バンク内付近で2名の競技者が転倒しているのを見て,これを抜かそうとし,滑走ラインを変更しようとしてバランスを崩して転倒し,スノーボードを転倒したままの姿勢で上方に突き上げたままにし,衝突を避けるために制動の動作をとること,,,もせずそのまま控訴人に衝突したものであること被控訴人Bは衝突前において,控訴人が滑走している位置や状況を全く認識していなかったことが認められる。 上記のような事故態様等を前提に,被控訴人Bの過失の有無につ(イ)いて検討する。 まず,①被控訴人Bがバランスを崩して転倒するに至ったのは,被控訴人Bが転倒している前方の滑走者を追い抜くことにのみ集中し,その場のコースの状況等を十分に把握することなく,あるいは同状況等に応じた滑走方法をとることなく,滑走ラインを変更しよ- 14 -うとしたことにあったことは間違いないのであるから,被控訴人Bには滑走ラインを変更する際にスノーボード競技者としてとるべき注意義務を欠いた過失があるものというべきである。 そし 更しよ- 14 -うとしたことにあったことは間違いないのであるから,被控訴人Bには滑走ラインを変更する際にスノーボード競技者としてとるべき注意義務を欠いた過失があるものというべきである。 そして,②被控訴人Bは,控訴人と衝突したことを否認するのであるが,衝突の事実は動かし難いことは前記認定説示のとおりであるところ,控訴人と衝突する前に前方を滑走していた控訴人の位置及び滑走状況を全く認識していなかったというものである。しかしながら,本件事故が発生した第1バンク付近のコースの幅が5m程度であること,被控訴人Bは,第1バンク中央付近で競技者が転倒していることを認識しているのであるから控訴人が被控訴人Bの前方である第1バンクの右側を滑走していたことは当然認識し得たことからすると,上記のように転倒している前方の滑走者を抜くことのみに集中することなく,控訴人の位置関係等を把握しながら滑走しなかったことには,前方不注視の過失があるといわれてもやむを得ないところである。 さらに,③被控訴人Bは,転倒後,控訴人と衝突するまでの間において,上記のとおり転倒したままの姿勢でスノーボードを上方に突き上げたままにし,これを下げたり,あるいは衝突を避けるために制動をかけるなどの動作もとることもなかったのであるから,スノーボード競技者としては,転倒した際には関係者に対する被害を発生させないか,仮に被害が生じたとしても少なくするための措置をとるべきであるところ,被控訴人Bの上記行動はその義務に違反する過失があるものというべきである。 被控訴人Bが転倒した経緯については上記認定のとおりであり,(ウ)控訴人との衝突を避けることができずに転倒したものでないことは明らかである。この点,被控訴人Bは,控訴人を発見して衝突を回- 15 -避して抜かそうとしたのであ は上記認定のとおりであり,(ウ)控訴人との衝突を避けることができずに転倒したものでないことは明らかである。この点,被控訴人Bは,控訴人を発見して衝突を回- 15 -避して抜かそうとしたのであって,回避せずに衝突しようとしたものでは全くないと主張している(被控訴人Bの当審における平成18年2月22日付け答弁書4頁6~7行目。しかし,被控訴人B)は,衝突前の控訴人の位置関係等は認識していなかったことは前記認定のとおりであるし,被控訴人B自身,控訴人との衝突の事実を認識していないと供述等し,かつ,控訴人を発見して衝突を回避して抜かそうとしたなどとは一切供述等していないことからすると,被控訴人Bの上記主張はその前提において失当である。 また,被控訴人Bは,前方で転倒している競技者を認識し,その競技者を抜かそうとして滑走ラインを変更しようとし,バランスを崩して転倒しているのであり,控訴人との衝突を回避しようとして転倒したものではないのであるから,被控訴人Bが,控訴人との衝,。 突を回避できない程度に控訴人に接近していたとも考えられないしたがって,被控訴人Bは,前方で転倒している競技者を発見し,上記①の注意義務を尽くして滑走していたならば,転倒することなく,控訴人との衝突は回避することはできたことは明らかというべきである。 ,,,(エ)なお甲10によれば控訴人と親しい競技参加者の陳述としてあたかも被控訴人Bが控訴人又は同参加者を狙って故意に衝突をしたかのような記載があるが,客観的裏付けを欠き,この事実を認めるには至らない。 エ違法性の有無被控訴人B及び同補助参加人は,①(正当行為)本件事故は,競(ア)技中の事故であり,違法性が阻却される,②(被害者の承諾)控訴人は,本件レースへの参加に際し,エントリー用紙において 違法性の有無被控訴人B及び同補助参加人は,①(正当行為)本件事故は,競(ア)技中の事故であり,違法性が阻却される,②(被害者の承諾)控訴人は,本件レースへの参加に際し,エントリー用紙において,競技会関係者に対する免責に同意している旨主張する。 - 16 -まず,①について検討するに,確かに,上記1ア認定の事実に(イ)(1)よると,スノーボードクロス競技は,転倒や接触が発生することも多いため,着用すべき装備やコースの設計などの点で安全性を保つように配慮していることは認められるが,同競技のルール上,他の競技者に接触することは許容されず,また,進路妨害も反則となるなどとされている。そして,本件事故は,上記認定・判示のとおり被控訴人Bの過失によって生じたものであり,それを避けることも十分にできたのに,被控訴人Bが不適切な滑走方法等をとったことから生じた事故であることに徴すると,競技中の事故であることの故をもって違法性が阻却されるものではない。 次に,②について検討するに,証拠(乙1)によると,本件大会(ウ),,の主催者はJ公認大会統一エントリー用紙を用いて参加者を募り控訴人も同用紙に必要事項を記入し,署名押印して本件大会に参加したものである。同用紙には「免責同意書および親権者承諾書」,として「5私はスノーボードをする時は,自分あるいは他人の,作為・不作為・不注意により損害・損失あるいは重傷・機能マヒ,最悪,死亡にいたる危険のあることを承知します。また,不可知の危険のある事も承知します「6私は本競技会参加によって生。」,じた損失・損害について,J,主催者,大会スポンサー,開催会場等,本競技会の関係者,役員,従業員に対して訴訟しない事を署名し誓約します」との記載のあることは認められる。 。 しかし,上記記載か 」,じた損失・損害について,J,主催者,大会スポンサー,開催会場等,本競技会の関係者,役員,従業員に対して訴訟しない事を署名し誓約します」との記載のあることは認められる。 。 しかし,上記記載からしても,控訴人は,本大会中に本大会の主催者らに対する損害賠償訴訟はしないことを約しているにすぎず,本件大会参加者が過失行為によって他の参加者に与えた損害までも請求せず,放棄するとまで約したものでないことは明らかである。 このことは,同用紙に,控訴人が他者に与えた損害を補償するため- 17 -に,N株式会社のスポーツ傷害保険又は同等の傷害保険に加入していることが記載されている(甲104,控訴人本人(原審)調書44ページ)ことからもうかがうことができるのである。 よって,被控訴人Bらの上記主張はいずれも採用できない。 オそうすると,本件事故は,被控訴人Bの過失によって発生した違法なものであるから,被控訴人Bは,本件事故と相当因果関係のある控訴人の損害を賠償すべき責任がある。 (3) 損害額488万7219円上記認定のとおり,控訴人は,本件事故により,右大腿骨顆上部膝関節内骨折及び左肩挫傷の傷害を負い,平成15年12月27日に症状が固定したところ,これによる損害額は,証拠(かっこ内に掲記)及び弁論の全趣旨によれば,以下のとおり,合計488万7219円であると認められる。 ア治療費69万5000円平成15年7月1日から同年12月27日までの治療費は,69万5000円であると認められる(甲3の1~7,甲84。 )なお,それ以前の,同年2月18日から同年6月30日までの治療費合計133万3520円については,支払済みである(甲84。 )イ入通院慰謝料250万円控訴人は,平成15年2月18日から同年6月7日までの間及び同年7月23日から 同年6月30日までの治療費合計133万3520円については,支払済みである(甲84。 )イ入通院慰謝料250万円控訴人は,平成15年2月18日から同年6月7日までの間及び同年7月23日から同年9月6日までの間の合計156日間,医療法人O病院に入院し,同年2月18日から同年12月27日までの間(上記入院期間を除く,同病院に通院した(実通院日数106日)こと。)が認められる(甲2。 )以上の入通院期間にかんがみれば,控訴人の入通院慰謝料の額は,250万円を下ることはないと認められる。 - 18 -ウ休業損害141万5819円控訴人は,本件事故当時,P株式会社に勤務していたが,本件事故により長期入院を余儀なくされたため,平成15年2月28日,契約解除となって退職したところ,この長期入院がなければ,平成15年4月30日までの契約期限が更新され,同年12月までは,勤務を継続していたこと,控訴人の本件事故前直近3か月の給料合計が,本給54万1668円と付加給1万9669円の合計56万1337円であり,1か月あたりの平均給料は18万7112円であることが認められる(甲86,弁論の全趣旨。 )そうすると,控訴人の平成15年3月から同年12月までの休業損害は,187万1120円(18万7112円10=187万11×20円)であると認められる。 そして,控訴人は,被控訴人参加人から,休業損害の賠償として,45万5301円を受領していることが認められるから,上記損害額から,この受領額を控除すべきである(甲5。 )エ後遺障害慰謝料及び(後遺障害)逸失利益について控訴人は,本件事故により上記のとおりの傷害を負い,右大腿部側手術痕,知覚障害,右膝蓋骨の屈伸開始時のひっかかり,左骨の運動痛,左小指の知覚異常としびれ,間欠性歩行500 後遺障害)逸失利益について控訴人は,本件事故により上記のとおりの傷害を負い,右大腿部側手術痕,知覚障害,右膝蓋骨の屈伸開始時のひっかかり,左骨の運動痛,左小指の知覚異常としびれ,間欠性歩行500m,右膝関節の内旋制限の後遺障害を負ったと主張している。 確かに,甲2には,控訴人の主張に沿う記述がある。しかし,そもそも,左肩の運動痛,左小指の知覚異常としびれと本件事故との因果関係については明らかではないし,甲2の関節機能障害表には,右膝関節の内旋制限についての記載がない。また,甲2には,股の内旋,外旋についての記載があるが,右股のみの記載であり,どの程度制限。 ,,されたものであるのか明らかではないまた右膝の屈曲については- 19 -ほぼ正常の範囲といえるものである(甲2。 )そうすると,控訴人に,後遺障害の賠償を認めるだけの後遺障害が発生しているとは言い難く,ほかにこれを認めるに足りる証拠は存在しない。 よって,控訴人の上記損害の請求は理由がない。 オ入院雑費23万4000円1日あたりの入院雑費としては1500円と認めるの相当であり,そうであるとすると,入院雑費は,入院日数156日を乗じた23万4000円と認める(弁論の全趣旨。 )カ通院交通費4万2400円控訴人方の最寄りのバス停から上記病院の最寄りのバス停まで,大阪市バスで片道200円であることが認められる。前記のとおり,実通院日数が106日であるから,通院交通費は,200円 ××6日=4万2400円であると認められる(甲4。なお,甲4には,合計110日間通院したことが前提となっているが,甲1(実通院日数106日)に照らし採用できない。 。) 被控訴人Cに対する請求について( ) 前提事実 証拠(甲23,30,乙2,3,証人E,証人D, 間通院したことが前提となっているが,甲1(実通院日数106日)に照らし採用できない。 。) 被控訴人Cに対する請求について( ) 前提事実 証拠(甲23,30,乙2,3,証人E,証人D,被控訴人C本人)によれば,以下の事実が認められる。 及び弁論の全趣旨被控訴人Cは,本件事故の発生当時,スタート地点にいたが,マーシャルのFから,無線で事故発生の連絡を受けて,怪我が大きそ負傷者のうであるという話であったので,一旦レースを止めて,本件事故の現場に走って駆けつけた。現場に到着すると,控訴人が痛がっており,動けない状態であったので,ボードを外して,上記F及びそのそばで観戦していたEの協力を得て,控訴人をコース外に運び出し,レースを再開さ- 20 -せた。 被控訴人Cは,控訴人の負傷の状態が大きそうな様子を見て,スキー場のパトロール室に連絡することにした。 しかし,パトロール室の連絡先を書いた紙をスタート付近に置いてきたため,スキー場事務所に携帯電話で問い合わせ,パトロール室の電話番号を聞いて,雪面にメモをした。いざパトロール室に電話をかけようとすると,雪面のメモが読めなくなってしまっていたので,再び,パトロール室の電話番号を問い合わせて,ようやく,パトロール室に電話をかけて,負傷者が出たことを伝えた。 本件事故が発生した現場は,Qスキー場の中央ペアリフトの降り場から,少し滑降した部分であり,パトロール室は同リフトの乗り場から数十m離れたところにあり,その間は,スノーモービルで2,3分で移動できる距離である。 パトロール室に控えていた救護担当者のGは,被控訴人Cから電話を受けて,直ちにスノーモービルで現場に向かった。 しかし,現場に到着したGが控訴人に対しスノーモービルに乗れるかどうか聞いたところ,乗れないという返事であったた 救護担当者のGは,被控訴人Cから電話を受けて,直ちにスノーモービルで現場に向かった。 しかし,現場に到着したGが控訴人に対しスノーモービルに乗れるかどうか聞いたところ,乗れないという返事であったため,直ちに,アキヤボード(そり状の担架)を取りに向かった。 アキヤボードは,たまたま,隣りのリフト降り場付近に保管してあったため,Gは,一旦パトロール室に引き返し,スキー用具を準備した上で,もう1人の救護担当者にスノーモービルに乗せてもらい,アキヤボードの保管場所に向かい,そこから,アキヤボードを担いで控訴人のもとまでスキーで滑り降りた。 被控訴人Cは,Gが到着するまで,控訴人の近くで待機していた。 なお,証拠(乙2,,証人D)によれば,本件事 及び弁論の全趣旨故発生から,控訴人がパトロール室まで搬送されるまでの時間は,40- 21 -分ないし1時間程度であったと認められる。 ( ) 争点( )(被控訴人Cの不法行為)について ア被控訴人Cの負うべき注意義務被控訴人Cは,前記のとおり,本件大会の主催者であるから,事故発生時の救急体制を整備し,実際に事故が発生した場合は,負傷者を適切に救護する義務を負うものと解される。 被控訴人Cは,本件大会は正規の大会ではないと主張するが,J公認の大会でないというだけで,スノーボードクロスの性質上,競技者の事故が発生しうることも十分予測が可能であるから,スノーボードクロスの競技大会を主催する者として,事故の発生可能性を認識し,そのための救急体制を整備し,実際の事故に際しては,負傷者を迅速,・適切に救護する義務を免れることはできないというべきであるから被控訴人Cの上記主張は理由がない。 控訴人は,被控訴人Cの上記義務違反の行為として,①被控訴人Cの対応によって救助が遅れたこと,②控訴人を避難 救護する義務を免れることはできないというべきであるから被控訴人Cの上記主張は理由がない。 控訴人は,被控訴人Cの上記義務違反の行為として,①被控訴人Cの対応によって救助が遅れたこと,②控訴人を避難させた場所が不適切であったことを主張するので,これらについて,以下検討する。 イ救助の遅延について上記控訴人のもとに駆けつけ(1)前提事実によれば,被控訴人Cが,た際,連絡先が記載されたメモを持参していなかったパトロール室のことから,その連絡先さらには,問い合を問い合わせる必要が生じ,読めなくなったたわせた連絡先を雪面に書いたところ,その後これがめに,もう一度問い合わせざるを得なかったという不手際により,パ明らかであり,その遅延のトロール室への電話連絡が遅延したことは程度については,上記前提事実に照らせば,程度の遅延である(1)数分と認められる。 また,前記( )前提事実によれば,被控訴人Cがパトロール室に電話 - 22 -,,,をかけた際に控訴人の受傷状況を適切に伝えなかったためにGはスノーモービルで現場に到着した後,再び,アキヤボードを取りに一度パトロール室に戻ることを余儀なくされ,現場までの往復時間を無控訴人の救助がさらに遅延したこともまた明らかである。 駄にし,被控訴人C本人は,パトロールから,負傷者が座れる状態なお,室かどうかと聞かれたので,控訴人に対し,座れるかどうか聞いたところ,控訴人がうなずいたと供述するが,この時点での控訴人は,コース外に搬出されてから数分が経過し,自分の脚が骨折していること,少なくとも自分が座れない程度の重傷であることを把握していたはずであるから,被控訴人Cの問いかけに対して座れると返答したということは考え難いし,甲28によれば,被控訴人Cから連絡を受けたG ること,少なくとも自分が座れない程度の重傷であることを把握していたはずであるから,被控訴人Cの問いかけに対して座れると返答したということは考え難いし,甲28によれば,被控訴人Cから連絡を受けたGも,被控訴人Cに,負傷者が座れる状態かどうか質問したことを否定ことが認められるから,被控訴人Cの上記供述している(乙2参照)は採用できない。 したがって,被控訴人Cは,控訴人が動けないこと,控訴人がかなり痛がっていることを知っており,控訴人の負傷状況を確認することは容易であったにもかかわらず,Gに詳しい状況を知らせなかったのであるから,この点についても,大会責任者として,不手際があったというほかない。 このように,被控訴人Cのこれら不手際により,控訴人の救助が遅Gが待機場所れたというべきところ,その遅延した時間については,経緯等上記前提事実にかと本件事故現場とを往復するのに費やした(1)んがみれば10分程度であるというべきである。 ながら,被控訴人Cに不手際があったにせよ,控訴人を救助しかし被控訴人Cは,控訴人の負せずに漫然と放置していたものではなく,傷を聞いて,直ちにレースを一旦中断させて本件事故現場に向かい,- 23 -控訴人をコース外に運び出して,その安全を確保するとともに,控訴人に救護が必要と判断してパトロール室に電話で連絡し,控訴人を救護場所に搬送させる手配をするなど,被控訴人Cとしては可能な限り被控訴人Cに上記の救護活動をしていたといって差し支えないから,のような不手際があったとしても,被控訴人Cの救護活動を全体として見れば,大会責任者として,不適切な救護活動であったとまではいうことはできない。 被控訴人Cに救急体制整備義務違反があったそうであるとすると,とは認められない。 まで,,,また被控訴 て見れば,大会責任者として,不適切な救護活動であったとまではいうことはできない。 被控訴人Cに救急体制整備義務違反があったそうであるとすると,とは認められない。 まで,,,また被控訴人Cに上記の不手際があったことによって控訴人にたとえ精神的にしろ,金銭的に評価されるべき損害が生じたとまで認めることもできない。 確かに,大腿骨骨折という重傷を負った控訴人にとって,救護を待つ時間は長く感じられるものであったであろうし,被控訴人Cの不手際を見て,さらに不安感及び不満感を募らせたということも容易に想像がつく。 ,,,,しかし本件事故の発生から救護場所に搬送するまで結果的に長い時間が費やされた主な原因は,アキヤボードが本件現場及びパトロール室から離れた場所に置かれていたこと及び一般にアキヤボードそうであによる搬送には時間がかかることも関係しているとみられ,るとすると,遅延全体について,被控訴人Cの不手際によるものであったとまではいうことはできない。 本件事故のような負傷状況において,直ちに救護場所まで搬送するためには,会場にアキヤボードを準備するとともに,これを牽引するスノーモービルを待機させておくことが期待されるにしても,スキー場の中で,本件コースのみを借りて本件大会を主催した被控訴人Cに- 24 -おいて,そこまでの救護体制を整備しておく義務があったとまでは認められない。 以上によれば,控訴人の救護搬送が遅延したことにつき,被控訴人Cに救急体制整備義務違反があったとは認められない。 ウ避難場所について(ア)本件事故発生直後に,被控訴人Cらが控訴人を運び出し,避難させた地点については争いがあるところ,被控訴人C本人及び証人Eによれば,控訴人が運び出された場所は,第1バンクと第2バンクの中間地点付近の山 件事故発生直後に,被控訴人Cらが控訴人を運び出し,避難させた地点については争いがあるところ,被控訴人C本人及び証人Eによれば,控訴人が運び出された場所は,第1バンクと第2バンクの中間地点付近の山側のネット外側であると認められる。 控訴人は,この地点は2~3mの壁になっており,運び出すのが不可能であったと反論するが,被控訴人C本人,証人E及び証人D,,()によれば本件コースは控訴人の述べるコース形状甲31参照と若干異なり,第1バンクが90度程度のカーブであったと認められる。そして,ハーフパイプの跡を横から写した写真(甲54)をみると,ハーフパイプの出口から本件コースの第1バンクと第2バンクの中間地点までは,少なくとも数mはある緩やかな斜面となっているのであり,上記地点が小高い丘となっていたという証人Eの供述に沿う地形となっている。 また,後述のとおり,この地点は,控訴人の主張するハーフパイプの出口付近であり,一方,控訴人が運び出された地点として主張する第2バンクの出口付近は,上記のとおり,第1バンクが90度程度のカーブであるとすると,ハーフパイプの出口からかえって遠い位置になるから,避難させられた地点を第1バンクと第2バンクの中間地点付近とみる方がハーフパイプとの位置関係についての控訴人の主張ともより整合する。 控訴人が運び出された上記地点につき,証人Eは,ハーフなお,- 25 -パイプの出口と50m程度離れていたと供述するが,現地のビデオ映像(甲91)によれば,ハーフパイプの終結地点より十数m谷側には,急斜面が控えており,コースを設計したHの図示(甲58ないし61)によれば,第1バンクはこの急斜面より山側に設営されたと認められるから,証人Eの供述は,明らかに不合理である。むしろ,甲58ないし61及び控訴人本人( ,コースを設計したHの図示(甲58ないし61)によれば,第1バンクはこの急斜面より山側に設営されたと認められるから,証人Eの供述は,明らかに不合理である。むしろ,甲58ないし61及び控訴人本人(原審,証人Dによれば,)上記地点は,山側から見て,ハーフパイプの出口から右下に十数m程度しか離れていない地点であったと認められる。 控訴人は,上記避難場所が危険な場所であったと主張している。 (イ)ところで,証人E及び証人Dによれば,上記ハーフパイプは,本件当時,滑走禁止となっていたと認められる。 また,本件コースは,ネットにより立入が禁止されていたため,仮にハーフパイプを滑降してくるスノーボーダーがいたとしても,ハーフパイプの出口からは,控訴人の運び出された地点と逆の側に向かわざるをえず,控訴人の横たわっている本件地点の側に向かってくる滑走者がいたとは考えられない。 もっとも,控訴人本人(原審)は,ハーフパイプを滑走していた,証人Dは,ハーフパイプを滑走一般客の雪が飛んできたと供述ししていた一般客が,控訴人に雪をかけるような状況にあったことを供述している(証人D調書13頁。ただ,控訴人は,一般客から)雪をかけられるようなことがあったとしても,上記のとおり,控訴人に向かって滑走してくる者がいたとは考えられず,控訴人が雪を,,かけられるような状況にあったことを考慮しても上記避難場所が控訴人が主張するような危険な場所であったとまではいうことはできないというべきである。 エ控訴人は,控訴人の安全を第一に考えるならば,本件事故現場で救- 26 -援を呼ぶべきであり,骨折をうかがわせる控訴人の症状にかんがみれば,負傷者を動かしてはならないし,骨折部の固定もせず,骨折からの貧血による悪化を防止するため「断熱」や雪の防止をすることも, -援を呼ぶべきであり,骨折をうかがわせる控訴人の症状にかんがみれば,負傷者を動かしてはならないし,骨折部の固定もせず,骨折からの貧血による悪化を防止するため「断熱」や雪の防止をすることも,しなかったと主張している。 しかしながら,甲92によれば,骨折の手当として「むやみに」,傷病者を移動しないこと「できるかぎり」骨折部を固定してから動,かすこと,が認められるところ,そうすると,控訴人を本件コースから移動させたことが「むやみに」なされたとはいえないし,また,骨折部を固定しなかったことについても,これをしないことが直ちに不適切であったともいえない。また,骨折者に対して,断熱や雪の防止をしなかったことについても,そもそも,そのような義務を大会責任者である被控訴人Cが負っていたことについてはこれを認めるに足り(,,,る証拠はない控訴人は甲93を提出しているがこれによってもそのような義務まであることをいうものではないと考えられる。 。)オよって,被控訴人Cに,本件事故後の対応につき,控訴人に対する救護体制整備義務違反又は救護義務違反があったとは認められない。 また,被控訴人Cが控訴人に対し「怪我人は出るし大会は遅れるし最悪や」と罵ったと認めるに足りる証拠はない。 以上によれば,控訴人の被控訴人Bに対する請求は,488万7219円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成16年4月16日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却すべきところ,これと一部結論を異にする原判決を主文のとおり変更し,被控訴人Cに対する請求は理由がないから棄却すべきところ,これと結論を同じくする原判決は相当であり,被控訴人Cに対する控訴は理由がないから棄却するこ と一部結論を異にする原判決を主文のとおり変更し,被控訴人Cに対する請求は理由がないから棄却すべきところ,これと結論を同じくする原判決は相当であり,被控訴人Cに対する控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 - 27 -大阪高等裁判所第2民事部裁判長裁判官松山恒昭裁判官小原卓雄裁判官吉岡真一

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