令和2(わ)1585 威力業務妨害

裁判年月日・裁判所
令和2年11月24日 名古屋地方裁判所
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判決文本文1,309 文字)

1 主 文 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理 由 (罪となるべき事実) 被告人は,令和2年7月17日午前9時23分頃から同日午前9時24分頃まで の間,愛知県西尾市a町bc番地d被告人方において,自己が使用する携帯電話機 から,同県瀬戸市追分町64番地の1瀬戸市役所に電話をかけ,応対した同市役所 シティプロモーション課職員Aに対し,「それか瀬戸市そもそも爆破させたろか。」 「1回でもあったら爆破するでな。」などと言い,瀬戸市内のいずれかの施設等を 爆破する旨告知し,その頃,同課職員らに,警察への通報,庁舎の警戒方法につい ての協議等を余儀なくさせて,同人らの正常な業務の遂行に支障を生じさせ,もっ て威力を用いて人の業務を妨害した。 (法令の適用) 1 罰条 刑法234条,233条 2 刑種の選択 懲役刑の選択 3 刑の執行猶予 刑法25条1項 4 訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書 (量刑の理由) 本件は,某棋士の出身地にある市役所を通じて報道機関に働きかけることで,同 棋士に対する報道を止めさせようと考えた被告人が,非通知設定にした上で市役所 に電話をかけ,その職員に対し,報道を止めなければ本件市内のいずれかの施設等 を爆破する旨告知し,もって市役所職員の業務を妨害した,という事案である。 被告人の発言は「爆破」という相手に恐怖心を抱かせる非常に過激なものであり, その結果,市役所職員に対し,警察への通報や庁舎の警戒方法についての協議等を 余儀なくさせたのであるから,市役所職員の業務を妨害した程度は大きく,また, 2 市役所の利用者はもとより本件市内の住民に与えた不安感等の影響も看過し難い。 被告人は,本 についての協議等を 余儀なくさせたのであるから,市役所職員の業務を妨害した程度は大きく,また, 2 市役所の利用者はもとより本件市内の住民に与えた不安感等の影響も看過し難い。 被告人は,本件犯行動機について,某棋士に対する好意的で一面的な報道を変え たかったなど報道の在り方への問題提起ともとれる供述をするが,要するに某棋士 に対する妬みに基づく犯行であり酌量の余地はなく,架電先として市役所を選択し た点についても安易な発想といわざるを得ない。したがって,被告人の刑事責任は 軽視し難い。 他方で,被告人には前科がなく,反省の態度を示した上,市役所等に宛てた謝罪 の手紙を書くなどしていること,親族の支えを受けながら就労への意欲を示してい ることなど被告人に有利な事情も認められる。そこで,こうした事情をも踏まえ, 被告人に対しては,今回に限り,社会内での更生の機会を与えるのが相当と判断し, 責任に相応した懲役1年6月の刑に処した上,その執行について3年間猶予するこ ととした。 (求刑-懲役1年6月) 令和2年11月24日 名古屋地方裁判所刑事第1部 裁判官 岩 見 貴 博

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