平成13年(ワ)第27511号実用新案権不当利得返還請求事件口頭弁論終結日平成14年2月18日判決原告 A被告日本電信電話株式会社訴訟代理人弁護士本間崇補佐人弁理士蟹田昌之 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,金1億2500万円及びこれに対する平成14年1月9日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,被告に対し,テレホンカードを製造販売した被告の行為は原告が持分を有していた実用新案権を侵害する行為であり,不当利得行為に当たると主張して,不当利得金の返還を求めた事案である。 1 前提となる事実(当事者間に争いはない。)(1) 実用新案権原告がその持分を有していたと主張する実用新案権(以下「本件実用新案権」といい,その考案を「本件考案」という。)は,次のとおりである。 ア考案の名称テレホンカードイ出願日昭和59年9月5日ウ登録日平成7年4月20日エ登録番号第2058104号オ実用新案登録請求の範囲電話機に差し込むことにより電話がかけられるテレホンカードにおいて,該カード本体に,カ エ登録番号第2058104号オ実用新案登録請求の範囲電話機に差し込むことにより電話がかけられるテレホンカードにおいて,該カード本体に,カードの表裏の確認並びに電話機に差し込む方向を指示するための指示部を設け,該指示部は,該カード本体の一部に形成された押形部から成り,該押形部は,カード本体を押圧して形成されたへこみ部から成ることを特徴とする,テレホンカード。 (2) 被告の行為被告は,昭和60年5月13日以降,目の不自由な者でも電話機へ差し込む方向が確認できる凹み(切欠部)を設けたテレホンカード(以下「被告テレホンカード」という。)を製造,販売している。 (3) 関連判決等本件に関連して,原告及びOから被告に対して,実用新案権に基づく不当利得返還請求訴訟(平成11年(ワ)24280号)が提起されたが,平成12年7月26日,当裁判所において請求棄却の判決がされ,その控訴(平成12年(ネ)第4209号)につき,平成13年4月17日,東京高等裁判所において控訴棄却の判決がされ,その上告等(平成13年(オ)第1182号,同年(受)第1161号)につき,平成13年10月16日,最高裁判所において,上告棄却及び受理しないとの決定がされた(裁判所に顕著な事実)。 2 争点(1) 本件実用新案権の持分取得の有無(原告の主張)原告は,平成11年7月1日,訴外Iから,本件実用新案権につき持分2分の1を譲り受け,存続期間満了日である平成11年9月5日まで,同持分を有していた。 (被告の反論)原告が本件実用新案権の持分2分の1について譲り受けた旨の移転登録はされていない。したがって,原告は実 了日である平成11年9月5日まで,同持分を有していた。 (被告の反論)原告が本件実用新案権の持分2分の1について譲り受けた旨の移転登録はされていない。したがって,原告は実用新案権の持分を取得したことはない(乙1)。 (2) 本件実用新案権侵害の成否(原告の主張)指示部である「切欠部」を設けた被告テレホンカードは,本件考案と,その本質的部分(目の不自由な人に向けた便利な物理的な「指示部」を設けた点)及び作用効果(目の不自由な人をしてカードの表裏及び差込方向を指示すること)において同一であり,均等であるから,被告テレホンカードは本件実用新案権を侵害する。 (被告の反論)原告の主張は否認する。 被告テレホンカードに設けられた指示部である「切欠部」は,本件実用新案権の出願過程において,本件考案の技術的範囲から意識的に除外された。その結果,本件考案の本質的部分は,カード表面から押圧を掛けて,へこみを有するように変形させて形成された「へこみ部」とされた。被告テレホンカードの「切欠部」は,本件考案の「へこみ部」には該当しない。 (3) 不当利得の額(原告の主張)被告は,被告テレホンカードを,本件実用新案権の出願日である昭和59年9月5日以降,年間2億枚以上製造,販売しており,その売上高は年間平均約1900億円を超える。本件実用新案権の実施料相当額は,売上高の3パーセントが相当であるので,被告は少なくとも年間57億円を不当に利得しており,過去10年分の不当利得額は金570億円である。原告は,このうち,内金として金1億2500万円の支払を求める。 (被告の反論)第1文は認め,その余は争う。 第3 争 ており,過去10年分の不当利得額は金570億円である。原告は,このうち,内金として金1億2500万円の支払を求める。 (被告の反論)第1文は認め,その余は争う。 第3 争点に対する判断乙1(本件実用新案登録原簿記載事項証明書,閉鎖後のもの)によれば,原告が,本件実用新案権について,その持分2分の1について移転を受けた旨の登録はされていない。 したがって,原告が訴外Iから本件実用新案権の持分2分の1を譲り受けたことによる持分権移転の効力は生じていないから(実用新案法26条,特許法98条1項1号),原告の請求はその余の点について判断するまでもなく理由がない。よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部裁判長裁判官飯村敏明 裁判官今井弘晃 裁判官石村智
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