令和4(わ)728 地方公務員法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
令和4年10月26日 福岡地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-91570.txt

判決文本文1,921 文字)

令和4年(わ)第728号、同第779号、同第827号地方公務員法違反被告事件 主文 被告人を懲役1年2月に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、福岡県警察官として同県田川警察署A交番に勤務し、地域警察の職務に従事していたものであるが、第1(令和4年9月13日付け起訴状記載の公訴事実)令和3年8月上旬頃から同月中旬頃までの間に、北九州市内において、Bに対し、前記田川警察署管内に設置された照会用端末を操作して入手したCの本籍、住所及び犯歴等の捜査情報を教示し、第2(令和4年8月26日付け起訴状記載の公訴事実第1)同月20日頃、福岡県内又はその周辺において、Bに対し、自己が使用するスマートフォンのアプリケーションソフト「Signal」の通話機能を用いて、前記照会用端末を操作して入手したDの指名手配事実に関する捜査情報を教示し、第3(令和4年8月5日付け起訴状記載の公訴事実第1)同月29日頃、福岡県内又はその周辺において、Bに対し、前同様の方法で、福岡県警察本部刑事部刑事総務課から入手したEの暴力団員等該当性情報を教示し、第4(令和4年8月5日付け起訴状記載の公訴事実第2)令和4年3月7日頃、福岡県内又はその周辺において、Dに対し、前同様の方法で、情を知らない警察官を介して入手したFに係る犯罪経歴照会結果報告 書等記載の同人の本籍及び住所を教示し、第5(令和4年8月26日付け起訴状記載の公訴事実第2)同年4月11日頃、福岡県内又はその周辺において、Gに対し、前同様の方法で、前記照会用端末を操作して入手したHの逮捕等の捜査情報を教示し、第6(令和4年8月26日付け 起訴状記載の公訴事実第2)同年4月11日頃、福岡県内又はその周辺において、Gに対し、前同様の方法で、前記照会用端末を操作して入手したHの逮捕等の捜査情報を教示し、第6(令和4年8月26日付け起訴状記載の公訴事実第3)同月15日頃、福岡県内又はその周辺において、Dに対し、前同様の方法で、前記照会用端末を操作して入手したIが被疑者として捜査の対象となっている刑事事件の捜査状況を教示し、第7(令和4年8月5日付け起訴状記載の公訴事実第3)同年6月17日頃、福岡県内又はその周辺において、Jに対し、前同様の方法で、前記照会用端末を操作して入手したHの逮捕等の捜査情報を教示し、もってそれぞれ職務上知り得た秘密を漏らした。 (法令の適用)罰条判示の各行為につき、いずれも地方公務員法60条2号、34条1項前段刑種の選択判示各罪につき、いずれも懲役刑を選択併合罪の処理刑法45条前段、47条本文、10条(判示各罪は併合罪の関係にあるから、犯情の最も重い判示第7の罪の刑に法定の加重)刑の執行猶予刑法25条1項訴訟費用(不負担) 刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由)本件は、判示のとおり、福岡県警察官である被告人が職務上知り得た秘密を漏示したという地方公務員法違反の事案である。 被告人が漏示した秘密は、個人の本籍や住所、犯歴等といったプライバシー性の高い情報や、刑事事件の捜査情報という機密性の高い情報等であって、いずれも厳 に秘匿されるべき情報である。しかるに、被告人は、これらの秘匿性の高い情報を常習的に被教示者らに漏示しており、被教示者らのうちには暴力団関係者も含まれていた。本件各犯行が招いた警察公務に対する不信は大きいと認められる。被告人は、金銭的利得を期待し得る被教示者 の高い情報を常習的に被教示者らに漏示しており、被教示者らのうちには暴力団関係者も含まれていた。本件各犯行が招いた警察公務に対する不信は大きいと認められる。被告人は、金銭的利得を期待し得る被教示者らとの関係を維持するために、本件各犯行に及んだものであって、動機に酌量の余地はない。本件各犯行は、同種事案の中でも悪質性が高い犯行というべきである。 他方で、被告人には前科がなく、当初から事実を認め、自身の行為が社会に与えた影響を自覚し、今後は被教示者らとは関わらない旨述べるなど反省の態度を示している。本件各犯行の発覚を契機に懲戒免職処分を受けるなど、一定の社会的制裁を受けている。同居の父親が出廷し、被告人の監督を約している。 以上の事情を考慮し、今回に限っては、社会内で更生する機会を設けるのが相当であると判断し、主文の懲役刑を科した上、その刑の執行を猶予することにした。 (求刑-懲役1年2月)令和4年10月26日福岡地方裁判所第3刑事部 裁判長裁判官神原浩 裁判官細川英仁 裁判官絹川宥樹

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る