平成25年9月30日判決言渡平成25年(行ケ)第10013号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成25年8月26日判決原告 X被告特許庁長官指定代理人川上美秀同関美祝同中島庸子同堀内仁子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2010-22345号事件について平成24年11月28日にした審決を取り消す。 第2 前提となる事実 1 特許庁における手続の経緯原告は,発明の名称を「薬用育毛剤」とする発明について,平成19年1月25日に特許出願(以下「本願」といい,本願に係る明細書を図面を含め「本願明細書」という。)し(甲13),平成22年6月28日,拒絶査定を受け(甲14),同年10月4日,拒絶査定不服審判(不服2010-22345号事件)を請求し,あわせて特許請求の範囲を変更する旨の手続補正(以下「本件補正」という。)を行った(甲16)。特許庁は,平成24年11月28日,請求不成立の審決をし,その謄本は同年12月21日,原告に送達された。 2 特許請求の範囲本件補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1は,以下のとおりである(以下,同項に係る発明を「本願発明」という。)(甲16 本は同年12月21日,原告に送達された。 2 特許請求の範囲本件補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1は,以下のとおりである(以下,同項に係る発明を「本願発明」という。)(甲16)。 「【請求項1】厚労省認定の発毛有効成分イソプロピルメチルフェノール,酢酸トコフェロール,D-パントテニルアルコール,メントールと付随する成分ボタンエキス,ニンジンエキス,センブリエキス,アデノシン3リン酸2Na,グリシン,セリン,メチオニン,ヒキオコシエキス-1,シナノキエキス,オウゴンエキス,ダイズエキス,アルニカエキス,オドリコソウエキス,オランダカラシエキス,ゴボウエキス,セイヨウキズタエキス,ニンニクエキス,マツエキス,ローズマリーエキス,ローマカミツレエキス,エタノール,水,BG,POPジグリセリルエーテル,POE水添ヒマシ油を配合した事を特徴とする薬用育毛剤。」 3 審決の理由審決の理由は,別紙審決書写しに記載のとおりであり,その概要は,本願発明は,特開2002-80327号公報(甲1。以下「引用例1」という。)に記載された発明(以下「引用例1発明」という。)並びに下記の文献の記載及び周知技術から,当業者が容易に発明をすることができたものといえるとするものである。 記国際公開第2006/095778号(甲2。以下「引用例2」という。)特開2001-288042号公報(甲3。以下「引用例3」という。)特開2001-2532号公報(甲4。以下「引用例4」という。)特開平10-265349号公報(甲5。以下「引用例5」という。)特開平06-135821号公報(甲6。以下「引用例6」という。)特開2003-12472号公報(甲7。以下「引用例7」という。)特開20 349号公報(甲5。以下「引用例5」という。)特開平06-135821号公報(甲6。以下「引用例6」という。)特開2003-12472号公報(甲7。以下「引用例7」という。)特開2003-321330号公報(甲8。以下「引用例8」という。)特開2005-139115号公報(甲9。以下「引用例9」という。)審決が認定した引用例1発明の内容,本願発明と引用例1発明との一致点及び相 違点は,以下のとおりである。 (1) 引用例1発明の内容「ニンジンエキス,センブリエキス,ヨウ化ニンニクエキス,ブチレングリコールなども配合できる,酢酸トコフェロールと,D-パントテニルアルコールと,イソプロピルメチルフェノールと,l-メントールと,エタノールと,ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油と,精製水を含有する養毛料。」(2) 一致点「発毛有効成分:イソプロピルメチルフェノール,酢酸トコフェロール,D-パントテニルアルコール,メントールと,付随する成分:ニンジンエキス,センブリエキス,エタノール,水,BG,POE水添ヒマシ油を配合した薬用育毛剤」である点。 (3) 相違点付随する成分について,本願発明では,更に「ボタンエキス」,「アデノシン3リン酸2Na,グリシン,セリン,メチオニン,ヒキオコシエキス-1,シナノキエキス,オウゴンエキス,ダイズエキス,アルニカエキス,オドリコソウエキス,オランダカラシエキス,ゴボウエキス,セイヨウキズタエキス,ニンニクエキス,マツエキス,ローズマリーエキス,ローマカミツレエキス」,「POPジグリセリルエーテル」も配合したと特定されているのに対し,引用例1発明ではそのように言及されていない点。 第3 取消事由に関する当事者の主張 1 原告の主張審決には,引用例1発明 ,「POPジグリセリルエーテル」も配合したと特定されているのに対し,引用例1発明ではそのように言及されていない点。 第3 取消事由に関する当事者の主張 1 原告の主張審決には,引用例1発明の認定の誤り(取消事由1),容易想到性の判断の誤り(取消事由2,3)がある。 (1) 引用例1発明の認定の誤り(取消事由1)特許文献を引用して,その記載に係る発明を認定するに当たっては,特許請求の 範囲の記載に限定して認定すべきである。 引用例1の実施例15には「イソプロピルメチルフェノール,酢酸トコフェロール,D-パントテニルアルコール,メントール」が記載されているが,これらの成分は,ヘアトニックを製造するためのものであり,また,全ての成分が同時に使用されるわけではない。 引用例の実施例15の成分には「ニンジンエキス,センブリエキス,ヨウ化ニンニクエキス,ブチレングリコール(BG)」は明記されていない。この点,被告は,引用例1の実施例15に,他の末梢血流促進剤を配合することもできると主張する。 しかし,育毛剤は人体の皮膚に塗り込むものであり,成分の選択は慎重になされなければならないから,その点を一切考慮しない上記被告の主張は,失当である。 以上のとおり,審決のした認定は誤りである。 (2) 容易想到性の判断の誤り--成分の選択の困難性(取消事由2)ア本願発明は,以下の発毛有効成分とそれに付随する成分から構成されている。 (ア) 発毛有効成分イソプロピルメチルフェノール,酢酸トコフェロール,D-パントテニルアルコール,メントール(イ) 付随する成分ボタンエキス,ニンジンエキス,センブリエキス,アデノシン3リン酸2Na,グリシン,セリン,メチオニン,ヒキオコシエキス-1,シナノキエキス,オウゴンエキス,ダイズエキス (イ) 付随する成分ボタンエキス,ニンジンエキス,センブリエキス,アデノシン3リン酸2Na,グリシン,セリン,メチオニン,ヒキオコシエキス-1,シナノキエキス,オウゴンエキス,ダイズエキス,アルニカエキス,オドリコソウエキス,オランダカラシエキス,ゴボウエキス,セイヨウキズタエキス,ニンニクエキス,マツエキス,ローズマリーエキス,ローマカミツレエキス,エタノール,水,BG,POPジグリセリルエーテル,POE水添ヒマシ油本願発明は,既に発毛効果が確認されている「発毛有効成分」に「付随する成分」を付加した点に特徴がある。「付随する成分」を適宜配合して,養毛・育毛を実現することは容易とはいえない。 審決は,9個の引用例及び3個の周知文献を組み合わせて,本願発明は容易想到であるとしたが,そのように多数の引用例等の組合せによってようやく想到できる発明を容易想到であるとすることは誤りである。 イ引用例2ないし8の「特許請求の範囲」に記載された成分は,本願発明とは異なる。また,引用例9記載の発明は,育毛剤ではなく,頭髪の化粧料の発明であり,本願発明とはその目的及び構成を異にする。 審決は,各引用例の特許請求の範囲の記載に限定せずに,発明の詳細な説明の記載から,本願発明が容易想到であると判断している。しかし,各引用例に記載の発明は,特許請求の範囲を基本として解すべきである。上記のとおり,各引用例の特許請求の範囲に記載の成分は本願発明とは異なるのであるから,本願発明は容易に想到し得るものではない。 (3) 容易想到性判断の誤り--効果の顕著性(取消事由3)本願発明は,本願明細書の図6(使用前)と図7(使用後)で示されているとおり顕著な効果がある。 審決は,本願発明の育毛剤が格別予想外の作用効果を奏するものとは解し得な 効果の顕著性(取消事由3)本願発明は,本願明細書の図6(使用前)と図7(使用後)で示されているとおり顕著な効果がある。 審決は,本願発明の育毛剤が格別予想外の作用効果を奏するものとは解し得ないと判断するが,同判断は誤りである。 2 被告の反論(1) 引用例1発明の認定の誤り(取消事由1)に対して特許文献を引用して,その記載に係る発明を認定するに当たっては,特許請求の範囲の記載に限定すべき理由はない。 引用例1には,養毛料の一形態としてヘアトニックが示され,その実施例15には,イソプロピルメチルフェノール,酢酸トコフェロール,D-パントテニルアルコール,メントールが同時に使用されることが記載されている。 もっとも,実施例15の成分には「ニンジンエキス,センブリエキス,ヨウ化ニンニクエキス,ブチレングリコール(BG)」は明記されていない。しかし,実施例15のヘアトニックには,他の末梢血流促進剤や多価アルコールを配合すること もできると解されることから,「ニンジンエキス,センブリエキス,ヨウ化ニンニクエキス,ブチレングリコールなども配合できる」と認定することは許される。 なお,実施例15の成分に「ニンジンエキス,センブリエキス,ヨウ化ニンニクエキス,ブチレングリコールなども配合できる」と認定することが許されないとしても,引用例1の記載から,これらの成分を配合することは当業者が容易になし得たといえる。 したがって,審決の同認定に誤りはない。 (2) 容易想到性の判断の誤り--成分の選択の困難性(取消事由2)に対して養毛・育毛を図るために「有効成分」に「付随成分」を適宜配合することは,当業者が容易に想到し得るというべきである。引用例2には,多数の成分が配合された例が記載されていることに照らすならば,引用例1 養毛・育毛を図るために「有効成分」に「付随成分」を適宜配合することは,当業者が容易に想到し得るというべきである。引用例2には,多数の成分が配合された例が記載されていることに照らすならば,引用例1発明において,育毛成分として公知の多数の成分を集めて追加配合することは,容易に想到し得る。 本願発明の容易想到性の有無は,組み合わせる引用例の数に影響されるものではない。数多くの引用例を組み合わせることによってはじめて本願発明に至る場合であっても,当然に本願発明が困難であることにはならない。 引用例2ないし9は,いずれも,養毛剤若しくは育毛剤又は養毛・育毛成分を含む頭皮に適用するものである点で,本願発明と技術分野が一致し,養毛・育毛を図るために必要な成分を開示していると解され,これらの引用例に基づいて,本願発明が容易であるとした審決に誤りはない。 (3) 容易想到性判断の誤り--効果の顕著性(取消事由3)に対して本願発明に育毛効果があることから,当然に本願発明の効果が格別顕著な効果であるということはできない。 本願発明に用いられる各成分は,育毛成分として周知ないしは公知であり,育毛作用があることはその作用機序も含めて知られており,本願発明の各成分を配合すれば育毛効果があることは予想できる。したがって,ミノキシジルと同程度の効果があることが示されただけでは,格別に予想外の効果があることを示したことには ならない。 また,引用例1の実施例15の効果は,ミノキシジルと同程度ないしはこれより優れていると理解され,実施例15と比べ,本願発明に格別に予想外の効果があるともいえない。 したがって,本願発明の効果に関する審決の判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実(1) 本願明細書の記載本願明細書には,以 明に格別に予想外の効果があるともいえない。 したがって,本願発明の効果に関する審決の判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実(1) 本願明細書の記載本願明細書には,以下の記載がある。なお,本件明細書中の図2,図3,図6及び図7は,別紙1(本願明細書)図2,同図3,同図6及び同図7のとおりである。 (甲13)「【技術分野】【0001】本発明は薬用育毛剤に関する。 【背景技術】【0002】従来の薬用育毛剤を頭皮に刺激をさせる成分など(例えばトウガラシ)が入っているのが主体で,消費者は頭皮に刺激を感じるので生える気がしているだけで,実際に毛が生えてくることはなかった。 【発明の開示】【発明が解決しようとする課題】【0003】実際に毛が生え且つ副作用がない薬用育毛剤を作ること。」「【発明の効果】【0005】今迄かつて実際に毛が生える薬用育毛剤は存在していなく,本発明は医学的実験を重ね,厚労省が有効と認めた成分を中心としているので育毛で悩んでいる人達を救う上,植物性なので副作用やアレルギーのない画期的な発明である。」「【0008】脱毛症の頭皮では毛細血管機能が低下するとされているが,酢酸 トコフェロール,メントール,センブリエキスが抹消血管の拡張・毛根を刺激し,毛包部への血液供給を促進する。アミノ酸,ATP,D麻pンテノール,ニンジンエキスが毛包細胞への栄養補給,あるいは毛母細胞の酵素活性の賦活による毛成長の促進材として作用する。女性ホルモン様作用成分(イソフラボン)を含むダイズエキスが,抗男性ホルモン(抗5αレダクターゼ活性阻害及び男性ホルモン受容体結合阻害)の一種として毛包のホルモンバランスを整える。殺菌作用のあるイソプロピルメチルフェノールが,フケを抑制し頭皮を良好な状態に保つ 男性ホルモン(抗5αレダクターゼ活性阻害及び男性ホルモン受容体結合阻害)の一種として毛包のホルモンバランスを整える。殺菌作用のあるイソプロピルメチルフェノールが,フケを抑制し頭皮を良好な状態に保つ。抗炎症作用を持つシナノエキス,ヒキオコシエキス,ボタンエキスが,毛周期の休止期を導く毛乳全体の凝縮等の機能障害を誘発するホルモン用物質(サイトカイン)をブロックし,毛周期のバランスを整える。 本発明は下記の成分の配合により成り立つ。・・・以上29の中で,16種類の植物エキスが配合されている。 以上の成分を各々に配合することにより,従来とは全く異なった薬用育毛剤となる。 上記は本発明の実施の一例であり,これに95合成無変性アルコール,SY-DP9,ニッコールHCO-40(医),ファルコレックスHGL,フィテレンEGX-232(BG) などを加えるなどの変形も本発明に含まれるものである。」「【0011】本発明の育毛試験結果は以下の通りである。 実験1図2はC3Hマウスを使用した育毛試験では,本発明はミノキシジルと同程度の育毛効果が認められた。図2は本発明を塗布したときの毛の再生率のグラフであり,図3はミノキシジルを塗布したときの毛の再生率のグラフである。 試験方法は,動物背部役8cm2を電気バリカン及びシェーバーにて除毛。次に除毛した背部に被験薬物を1日1回,週5日,21日間塗布を行った。判定は塗布後12日目から21日目まで画像解析装置にて,除毛した面積に対する毛の再生が認められた面積の割合(体毛再生率)を計測した。・・・【0012】実験2 ヒトでの臨床試験でも,本発明の育毛効果が認められた。 試験方法は,被験者に一日3回,頭皮に被験薬物を適量使用。判定は,使用前と使用後の頭皮をビデオマイクロスコープにて観察し 】実験2 ヒトでの臨床試験でも,本発明の育毛効果が認められた。 試験方法は,被験者に一日3回,頭皮に被験薬物を適量使用。判定は,使用前と使用後の頭皮をビデオマイクロスコープにて観察した。図6は本発明使用前の頭皮の写真であり,図7は本発明使用6ヶ月後の頭皮の写真である。」「【産業上の利用可能性】【0014】今迄かつて実際に毛が生える薬用育毛剤の存在は確認されていない。 本発明は副作用もなく育毛で悩んでいる人達を救う画期的な発明である。」(2) 引用例1の記載引用例1には以下の記載がある。なお,表1及び表2は別紙2(引用例1)表1,同表2のとおりである。(甲1)「【特許請求の範囲】【請求項1】末梢血流促進剤とオイゲノール配糖体とを含有することを特徴とする養毛料。」「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,養毛料に関し,詳しくは,末梢血流促進剤とオイゲノール配糖体とにより,育毛効果,脱毛予防効果,ふけ防止効果及び白髪防止効果に優れた養毛料に関する。」「【0002】【従来の技術】ヒト頭皮においては,老化によって脱毛や白髪の発生が起こる。 これら脱毛や白髪の発生は,血行の不全,毛母細胞活性の低下,毛乳頭のチロシナーゼ活性低下,性ホルモンのアンバランス等様々な要因が複雑に絡みあって生じていると考えられている。しかし,その発生機作が未だ充分に解明されていないのが現状である。それ故に,従来,各種の薬剤を配合した養毛料が脱毛や白髪の予防と治療に用いられてきているが,その効果を充分に発現する程に有効なる物質の発現にまでは至っていない。」「【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は,このような実情の下でなされたものであって,その目的は,育毛効果,脱毛予防効果,ふけ防止効果及び白髪防止 にまでは至っていない。」「【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は,このような実情の下でなされたものであって,その目的は,育毛効果,脱毛予防効果,ふけ防止効果及び白髪防止効果に優れた養毛料を提供することにある。」「【0010】【発明の実施の形態】以下,本発明の構成について詳述する。 【0011】本発明に用いられる末梢血流促進剤としては,ジイソプロピルアミンジクロロアセテート,γ-アミノ酪酸誘導体,ニコチン酸誘導体,ミノキシジル及びその塩並びに抱合体,センブリエキス,朝鮮ニンジンエキス,セファランチン,ヒノキチオール,ビタミンE誘導体,γ-オリザノール,塩化カプロニウム,モノニトログアヤコール,イチョウ抽出物,霊芝抽出物及びヨウ化ニンニクエキスを挙げることができる。」「【0025】本発明においては,これら末梢血流促進剤の中から,一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。」「【0026】本発明に用いられるオイゲノール配糖体とは,グルコース・・・等の糖類とオイゲノールとがO-グリコシド結合された化合物である。」「【0027】これらオイゲノール配糖体の中でも,その効果の発現の程度から,好ましくはグルコース配糖体であり,具体的には,オイゲニルα-D-グルコシド及び/又はオイゲニルβ-D-グルコシドである。・・・そして,これらオイゲノール配糖体は,頭皮常在菌或いは,皮膚内での代謝により,オイゲノールと糖部分に適宜分解され,徐放性の育毛効果,脱毛予防効果,ふけ防止効果及び白髪防止効果を示すと考えられる。」「【0032】尚,本発明養毛料には,通常の皮膚外用剤(毛髪用化粧料を含む)に配合され得る一般的な基剤成分や薬効成分を,具体的な組成物の剤型や形態に応じて,その剤型や形態における所望の効果を損なわ 「【0032】尚,本発明養毛料には,通常の皮膚外用剤(毛髪用化粧料を含む)に配合され得る一般的な基剤成分や薬効成分を,具体的な組成物の剤型や形態に応じて,その剤型や形態における所望の効果を損なわない限りにおいて配合することができる。具体的には,水,エタノール,イソプロピルアルコール,グリセリン,プロピレングリコール類等の多価アルコール,アニオン界面活性剤,両性界面 活性剤,カチオン界面活性剤,非イオン界面活性剤等の界面活性剤,高級アルコール,油分,増粘剤,ビタミン類,アミノ酸類,ホルモン剤,防腐剤,酸化防止剤,金属イオン封鎖剤,殺菌剤,清涼剤,紫外線防御剤,粉末成分,動植物抽出エキス,抗炎症剤,色剤,香料等を目的とする剤型や形態に応じて適宜選択して配合することができる。」「【0033】本発明の養毛料の形態は,液剤,乳剤,軟膏等の皮膚又は頭皮に適用できる性状のものであればいずれでもよく,一般的に,ローション,クリーム,オイル,ジェル,ヘアトニック,ヘアリキッド,トリートメント,エアゾールムース,エアゾールスプレー等の形態を採ることができる。」「【0035】(1)C3Hマウス発毛促進効果試験法C3Hマウス(8週齢,オス,平均重量35g)の背部皮膚(2cm×4cm)を電気バリカン及びシェーバーで刈り,翌日より実施例及び比較例の各試料を被験部皮膚に朝夕2回,一匹当り0.2mLを二週間連用塗布した。一試料に対して動物一群10匹使用した。塗布開始14日目に各試料の被験部皮膚をビデオカメラに撮影し,画像解析装置にて毛刈り部及び発毛部の面積を測定した。養毛効果の判定は,下記に示す発毛率(%)を対照群と比較することにより行った。 発毛率(%)=(発毛部の面積/毛刈り部の面積)×100【0036】(2)ヒト頭皮毛成長促進効果試験法 を測定した。養毛効果の判定は,下記に示す発毛率(%)を対照群と比較することにより行った。 発毛率(%)=(発毛部の面積/毛刈り部の面積)×100【0036】(2)ヒト頭皮毛成長促進効果試験法男性型脱毛症患者である被試験者10名の頭部の耳の上5cmの位置の頭髪を左右2カ所に於いて直径1cmの円形状に剃毛した被験部位に,実施例及び比較例の各試料を左側に毎日朝夕2回,約3mL塗布し,無処置の右側と比較した。効果の判定は,試験開始後28日目に,左右の被験部位の毛髪各々20本ずつを剃毛し,下記の式で求めた値で毛成長促進度を評価した。 毛成長促進度=(B)/(A)(A):右側(無処置)の毛20本の長さの平均値(B):左側(実施例及び比較例の試料を塗布)の毛20本の長さの平均値」 「【0045】以下,本発明頭皮頭髪用組成物のその他の処方例を実施例として挙げる。尚,これらの実施例の本発明養毛料についても,上記の,発毛率,毛成長促進度,フケ防止効果,白髪発生予防及び抑制効果を検討したところ,いずれの実施例においても,優れた特性を有しており良好であった。」「【0050】実施例15(ヘアトニック)(配合成分)配合量(%)(1)ジイソプロピルアミンジクロロアセテート0.7(2)酢酸トコフェロール0.2(3)ヒノキチオール0.1(4)ニコチン酸ベンジル0.05(5)セファランチン0.01(6)オイゲニルグルコシド(α体)0.5(7)D-パントテニルアルコール0.2(8)イソプロピルメチルフェノール0.2(9)水添ビサボロール0.5(10)1-メントール0.3(11)サンショウエキスBG-J(丸善製薬社製)0.5(12)エタ 8)イソプロピルメチルフェノール0.2(9)水添ビサボロール0.5(10)1-メントール0.3(11)サンショウエキスBG-J(丸善製薬社製)0.5(12)エタノール50.0(13)ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油0.5(14)精製水残量」「【0060】【発明の効果】本発明により,育毛効果,脱毛予防効果,ふけ防止効果及び白髪防止効果に極めて有用であるとともに,安全性にも優れた養毛料が提供される。」(3) 引用例2の記載引用例2は,ナノ粒子内に育毛成分として生薬を封入した育毛成分含有ナノ粒子に関する発明の国際公開公報である。引用例2には,同ナノ粒子に内包される生薬 成分としては,毛母細胞活性剤,消炎剤,血行促進剤等の,育毛効果を有する種々の生薬成分が挙げられること(段落[0043]),毛母細胞活性剤は,毛母細胞や毛根細胞に直接作用して,あるいは細胞分裂のエネルギー源となるATPを増加させて細胞分裂を活性化すること(段落[0043]),消炎剤は,頭皮の炎症を抑えてフケやかゆみを抑制すること(段落[0044]),血行促進剤は,毛細血管を拡張することにより血流量を増大させ,毛乳頭への栄養補給を促進すること(段落[0046]),発毛,育毛効果を促進するためには,様々な作用機序を有する育毛成分の複合的使用が必要であること(段落[0058]),育毛成分の中でも,頭皮表面にも作用する消炎剤,殺菌・抗菌剤や,頭皮に作用して育毛効果を更に増強させる保湿剤,局所刺激剤,抗脂漏剤等を配合すれば,これらの薬剤の頭皮表面への即効性を確保しつつ,頭皮深部においては育毛成分含有ナノ粒子からの生薬成分の徐放により長期間に亘る育毛効果が期待できること(段落[0058]),保湿剤は,頭 を配合すれば,これらの薬剤の頭皮表面への即効性を確保しつつ,頭皮深部においては育毛成分含有ナノ粒子からの生薬成分の徐放により長期間に亘る育毛効果が期待できること(段落[0058]),保湿剤は,頭皮の乾燥を防止して柔軟にすることで,発毛環境を整えること(段落[0059]),局所刺激剤は,頭皮の新陳代謝の活性化,頭皮の強化,かゆみ防止等の効果を有すること(段落[0060]),抗脂漏剤は,脱毛を促進する過剰に分泌された皮脂を除外したり,皮脂腺の活動を抑制したりすること(段落[0061])が記載されている。(甲2)(4) 引用例3の記載引用例3は,頭皮頭髪用組成物に関する発明の公開特許公報である。引用例3には,従来の頭皮頭髪用組成物にはビタミン類,アミノ酸類,血管拡張剤,抗炎症剤等が配合されていたこと(段落【0005】),消炎剤とアデノシン類とを組み合わせて配合すると,養毛効果,頭皮の消炎効果,荒れ防止効果,フケ・カユミ防止効果等が高まること(段落【0007】)が記載されている。(甲3)(5) 引用例4の記載引用例4は,育毛剤に関する発明の公開特許公報である。引用例4には,血行促進剤及び毛包賦活剤から選ばれる1種以上の成分並びにユーカリの極性溶媒抽出物 を含有する育毛剤が優れた育毛・養毛作用等を有し,安全性が高いこと(【請求項1】,段落【0001】),育毛剤に,保湿剤,抗菌剤,角質溶解剤,局所刺激剤,抗炎症剤等を配合することにより更に優れた発毛促進効果が得られること(段落【0022】)が記載されている。(甲4)(6) 引用例5の記載引用例5は,毛周期における休止期の毛髪を同成長期に移行させる作用を有する成分,及び同成長期を維持又は延長する作用を有する成分を有効成分とする育毛剤の発明の公開特許公報である。引用例 例5の記載引用例5は,毛周期における休止期の毛髪を同成長期に移行させる作用を有する成分,及び同成長期を維持又は延長する作用を有する成分を有効成分とする育毛剤の発明の公開特許公報である。引用例5には,上記養毛剤において,毛周期における成長期を維持又は延長する作用を有する成分(以下「成長期延長成分」という。)は,この作用により毛髪の伸長を維持したり促進することができること(段落【0010】),また,毛周期における休止期の毛髪を同成長期に移行させる作用を有する成分(以下「成長期移行成分」という。)は,この作用により頭部における成長期毛の割合を休止期毛に対して増加させることができること(段落【0019】),成長期延長成分も成長期移行成分も,単独でも,2種以上を組み合わせて配合することもできること(段落【0012】,【0023】),前記必須成分に加えて,必要に応じて水性成分,保湿剤等を配合することができること(段落【0033】),が記載されている。(甲5)(7) 引用例6の記載引用例6は,養毛効果を有する物質の少なくとも1種とセスキテルペン系化合物を配合してなる養毛料に関する発明の公開特許公報であり,養毛効果を有する物質として,グリチルリチン酸及びグリチルレチン酸とその誘導体,アミノ酸あるいはその誘導体が挙げられている(【請求項2】)。(甲6)(8) 引用例7の記載引用例7は,育毛剤に関する発明の公開特許公報であり,ミカン属に属する植物の葉の抽出物より選択した1種若しくは2種以上,又はこれとシナノキ属に属する植物の抽出物等から選択した1種若しくは2種以上を含有する育毛剤が,毛包の休 止期から成長期への移行を促進し,あるいは毛包の成長期を延長して,育毛効果を発揮すること(段落【0001】)が記載されている。(甲7) した1種若しくは2種以上を含有する育毛剤が,毛包の休 止期から成長期への移行を促進し,あるいは毛包の成長期を延長して,育毛効果を発揮すること(段落【0001】)が記載されている。(甲7)(9) 引用例8の記載引用例8は,没食子酸又はその誘導体から選ばれる1種又は2種以上を含有する養育毛組成物に関する発明の公開特許公報であり,養育毛組成物に他の植物抽出物や薬剤も適宜配合することができること(段落【0011】)が記載されている。 (甲8)(10) 平成13年発行の「香粧品製造学」と題する書籍(甲10。以下「周知文献A」という。)の「3.育毛剤の原料」の項に,育毛剤の基本的な構成成分は,主剤(有効成分),基剤,保湿剤,界面活性剤,安定化剤及びその他(香料など)であること,脱毛の原因としては,毛乳頭及び毛包部への血流の低下,毛母細胞の機能低下,皮脂腺機能の過剰亢進などが考えられており,このような原因に対して,育毛剤には,有効性分として,血行促進,毛母細胞賦活,殺菌,抗炎症,皮脂分泌抑制等の作用を有する成分が配合されていることが記載されている。 (11) 平成15年発行の「化粧品事典」と題する書籍(甲11。以下「周知文献B」という。)の「育毛剤」の項に,育毛剤は,一般に,アルコール水溶液に各種の薬効成分,保湿剤,油分,香料,色素,可溶化剤などを添加した外用剤であり,頭部に用いて頭皮機能を正常化し,また頭皮の血液循環を良好にして毛包の機能を高めることにより,発毛,育毛促進及び脱毛防止,同時にふけやかゆみを防止するものであること,一般に用いられている主な有効成分は,血行促進剤,毛母細胞賦活剤,抗炎症剤,頭皮の保湿剤等であることが記載されている。 (12) 平成8年発行の「化粧品ハンドブック」と題する書籍(甲12。以下「周知文献C いられている主な有効成分は,血行促進剤,毛母細胞賦活剤,抗炎症剤,頭皮の保湿剤等であることが記載されている。 (12) 平成8年発行の「化粧品ハンドブック」と題する書籍(甲12。以下「周知文献C」という。)の「4.育毛剤」中の「5.育毛剤に使用される成分」の項に,育毛剤には,血管拡張及び血流促進効果,皮脂分泌抑制効果,細胞賦活効果,栄養補給,抗炎症作用等の効果を有する様々な成分が使用されていることが記載され,栄養補給成分の例として各種アミノ酸が記載されている。また,同文献の「1 4.動植物抽出物」中の「表14・1植物抽出物一覧表」に,各植物抽出物の主成分や効果が記載されている。 2 引用例1発明の認定の誤り(取消事由1)について(1) 本願発明について本願明細書によると,本願発明は,実際に毛が生え,かつ,副作用がない薬用育毛剤を作ることを課題とした発明であり,発毛有効成分として「イソプロピルメチルフェノール,酢酸トコフェロール,D-パントテニルアルコール,メントール」の4成分,付随する成分として「ボタンエキス,ニンジンエキス,センブリエキス,アデノシン3リン酸2Na,グリシン,セリン,メチオニン,ヒキオコシエキス-1,シナノキエキス,オウゴンエキス,ダイズエキス,アルニカエキス,オドリコソウエキス,オランダカラシエキス,ゴボウエキス,セイヨウキズタエキス,ニンニクエキス,マツエキス,ローズマリーエキス,ローマカミツレエキス,エタノール,水,BG,POPジグリセリルエーテル,POE水添ヒマシ油」の25成分を配合した薬用育毛剤とすることによって,上記課題を解決したというものである。 (2) 引用例1発明について引用例1には,育毛効果,脱毛予防効果,ふけ防止効果及び白髪防止効果に優れた養毛料を提供するために,末梢血流 することによって,上記課題を解決したというものである。 (2) 引用例1発明について引用例1には,育毛効果,脱毛予防効果,ふけ防止効果及び白髪防止効果に優れた養毛料を提供するために,末梢血流促進剤とオイゲノール配糖体とを含有する養毛料とすることが記載されている。そして,引用例1の実施例15には,その具体例として,「ジイソプロピルアミンジクロロアセテート,酢酸トコフェロール,ヒノキチオール,ニコチン酸ベンジル,セファランチン,オイゲニルグルコシド(α体),D-パントテニルアルコール,イソプロピルメチルフェノール,水添ビサボロール,1-メントール,サンショウエキスBG-J(丸善製薬社製),エタノール,ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油,精製水」からなる養毛料が記載されている。 (3) 引用例1発明の認定の誤りについてア原告は,特許文献を引用して,その記載に係る発明を認定するに当たっては, 特許請求の範囲の記載に限定して認定すべきであると主張する。 しかし,原告の上記主張は,以下のとおり失当である。すなわち,特許法29条1項3号,2項によれば,特許発明の新規性及び進歩性の判断の基礎とされる刊行物とは,「特許出願前に頒布された刊行物」を指し,刊行物中の特定の箇所に限定されることはない。刊行物が特許文献であった場合には,特許文献の全体を指すのであって,「特許請求の範囲の記載」に限定される合理的な根拠はない。したがって,審決が,引用例1における特許請求の範囲の記載以外の技術事項を認定し,引用した点に違法はない。 イ原告は,審決の引用する「イソプロピルメチルフェノール,酢酸トコフェロール,D-パントテニルアルコール,メントール」は,ヘアトニックを製造するためのものであり,また,全ての成分が同時に使用されるわけではな ,審決の引用する「イソプロピルメチルフェノール,酢酸トコフェロール,D-パントテニルアルコール,メントール」は,ヘアトニックを製造するためのものであり,また,全ての成分が同時に使用されるわけではないと主張する。 しかし,原告の上記主張も,以下のとおり失当である。すなわち,実施例15にはヘアトニックと記載されているが,段落【0033】には,ヘアトニックも養毛料の一形態として記載されており,また,実施例15では上記成分が全て使用されていることに照らすならば,審決が上記成分が記載されているとした認定に誤りはない。 ウ原告は,引用例の実施例15の成分には「ニンジンエキス,センブリエキス,ヨウ化ニンニクエキス,ブチレングリコール(BG)」は明記されていないにもかかわらず,これらを配合することができるとした審決の認定に誤りがあると主張する。 しかし,原告の上記主張も,以下のとおり失当である。すなわち,引用例1の段落【0025】には1種又は2種以上の末梢血流促進剤を適宜選択して用いることができる旨の記載が,段落【0032】には多価アルコールを配合することができる旨の記載があることに照らすならば,末梢血流促進剤として「ニンジンエキス,センブリエキス,ヨウ化ニンニクエキス」を,多価アルコールとして「ブチレングリコール」を配合することができると認定した審決に誤りがあるとはいえない(な お,「ニンジンエキス,センブリエキス,ブチレングリコール」の配合の有無が相違点になるとしても(審決では,「ニンニクエキス」の配合の有無は,相違点として認定し,判断している。),上記のとおり,引用例1にはこれらを配合することができる旨の記載があることからすると,原告のこの点の主張は,本願発明が容易想到であるとした審決の結論に影響を与えるものではない。)。 断している。),上記のとおり,引用例1にはこれらを配合することができる旨の記載があることからすると,原告のこの点の主張は,本願発明が容易想到であるとした審決の結論に影響を与えるものではない。)。 3 容易想到性の判断の誤り--成分の選択の困難性(取消事由2)について(1) 原告は,本願発明は,既に発毛が確認されている「発毛有効成分」に「付随する成分」として,「ボタンエキス,アデノシン3リン酸2Na,グリシン,セリン,メチオニン,ヒキオコシエキス-1,シナノキエキス,オウゴンエキス,ダイズエキス,アルニカエキス,オドリコソウエキス,オランダカラシエキス,ゴボウエキス,セイヨウキズタエキス,ニンニクエキス,マツエキス,ローズマリーエキス,ローマカミツレエキス,POPジグリセリルエーテル」を配合することを容易に想到し得るものではないと主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。 ア相違点に係る各成分について(ア) ボタンエキス引用例2には,育毛成分の一つである保湿剤の例として「ボタンピエキス」が挙げられている(段落[0059]。甲2)。引用例5には,育毛剤に使用する成長期移行成分の例として,「ボタンピ抽出物」が挙げられている(段落【0022】。 甲5)。引用例7には,毛乳頭活性化作用を有するものとして「ボタンピ抽出物」が挙げられている(段落【0004】。甲7)。周知文献Cには,「ボタンエキス」に抗炎症,血管拡張の作用があることが記載されている(甲12)。 (イ) アデノシン3リン酸2Na引用例4には,育毛剤に含有される毛包賦活剤の例として「アデノシン三リン酸ジナトリウム」が挙げられている(段落【0018】。甲4)。 (ウ) グリシン 引用例6には,皮膚の保湿機能を改善維持するNMF成分といわれて る毛包賦活剤の例として「アデノシン三リン酸ジナトリウム」が挙げられている(段落【0018】。甲4)。 (ウ) グリシン 引用例6には,皮膚の保湿機能を改善維持するNMF成分といわれているアミノ酸として「グリシン」が挙げられている(段落【0012】。甲6)。 (エ) セリン引用例3には,従来の頭皮頭髪用組成物に配合されていたアミノ酸類の例として「セリン」が挙げられており(段落【0005】),実施例11でも使用されている(甲3)。引用例5には,必須成分に加えることができる成分として「セリン」等のアミノ酸類が記載されている(段落【0034】。甲5)。引用例6には,皮膚の機能代謝における有用な栄養補給成分とされているアミノ酸として「L-セリン」が挙げられている(段落【0011】。甲6)。周知文献Bには,毛母細胞賦活剤であるアミノ酸の例として「セリン」が挙げられている(甲11)。 (オ) メチオニン引用例3には,従来の頭皮頭髪用組成物に配合されていたアミノ酸類の例として「メチオニン」が挙げられている(段落【0005】。甲3)。引用例5には,必須成分に加えることができる成分として「メチオニン」等のアミノ酸類が記載されている(段落【0034】。甲5)。引用例6には,毛髪等の蛋白合成に関与するといわれているアミノ酸として「L-メチオニン」が挙げられている(段落【0010】。甲6)。引用例8には,従来の養育毛組成物に配合されていた,栄養補給源となるアミノ酸の例として「メチオニン」が挙げられている(段落【0003】。 甲8)。周知文献Bには,毛母細胞賦活剤であるアミノ酸の例として「メチオニン」が挙げられている(甲11)。 (カ) ヒキオコシエキス-1引用例4には,育毛剤に配合する保湿剤の例として「延命草エキス」が挙げられて は,毛母細胞賦活剤であるアミノ酸の例として「メチオニン」が挙げられている(甲11)。 (カ) ヒキオコシエキス-1引用例4には,育毛剤に配合する保湿剤の例として「延命草エキス」が挙げられている(段落【0023】。甲4)。引用例5には,育毛剤に使用する成長期延長成分の例として,「ヒキオコシの抽出物」が挙げられている(段落【0012】。 甲5)。周知文献Cには,「ヒキオコシエキス」に代謝促進,抗菌,血流促進の効果があることが記載されている(甲12)。 (キ) シナノキエキス引用例5には,育毛剤に使用する成長期移行成分の例として,「シナノキ抽出物」が挙げられている(段落【0023】。甲5)。引用例7には,血管内皮細胞増殖因子産生促進効果を有するものとして,「シナノキ属に属する植物の抽出物」を育毛剤に配合することが記載されている(段落【0008】。甲7)。周知文献Cには,「シナノキエキス」に,収れん,血行促進,保湿,抗炎症等の効果があることが記載されている(甲12)。 (ク) オウゴンエキス引用例2には,生薬成分の一つである消炎剤の例として「オウゴンエキス」が挙げられており(段落[0044]),実施例14でも使用されている(甲2)。引用例4には,育毛剤に配合する抗炎症剤の例として「オウゴンエキス」が挙げられている(段落【0023】。甲4)。引用例7には,毛乳頭活性化作用を有するものとして「オウゴンの抽出物」が挙げられている(段落【0004】。甲7)。周知文献Bには,毛母細胞賦活剤である生薬成分の一つとして「オウゴン」が挙げられている(甲11)。周知文献Cには,育毛の有効成分として,「オウゴン抽出物」に,抗炎症,抗アレルギー,抗菌,収れん作用などがあり,培養毛組織細胞の増殖効果も認められる旨記載されている(表4・6)( れている(甲11)。周知文献Cには,育毛の有効成分として,「オウゴン抽出物」に,抗炎症,抗アレルギー,抗菌,収れん作用などがあり,培養毛組織細胞の増殖効果も認められる旨記載されている(表4・6)(甲12)。 (ケ) ダイズエキス引用例5には,育毛剤に使用する成長期延長成分及び成長期移行成分の例として,「ダイズ(の)抽出物」が挙げられている(段落【0012】,【0021】。甲5)。 (コ) アルニカエキス引用例2の実施例14で使用されている(甲2)。引用例5には,育毛剤に使用する成長期延長成分の例として,「アルニカの抽出物」が挙げられている(段落【0012】。甲5)。引用例7には,毛乳頭活性化作用を有するものとして「アルニカの抽出物」が挙げられている(段落【0004】。甲7)。周知文献Cに, 「アルニカエキス」には抗炎症,刺激緩和,鎮痒,血流促進,保湿,脱毛予防の効果があることが記載されている(甲12)。 (サ) オドリコソウエキス引用例2には,育毛成分の一つである抗脂漏剤の例として「オドリコソウエキス」が挙げられており(段落[0061]),実施例14でも「オドリコソウ花エキス」が使用されている(甲2)。引用例5には,育毛剤に使用する成長期移行成分の例として,「オドリコソウ抽出物」が挙げられている(段落【0023】。甲5)。引用例8の実施例43で使用されている(甲8)。周知文献Cに,「オドリコソウエキス」には,抗炎症,消炎,収れん,皮脂分泌抑制等の効果があることが記載されている(甲12)。 (シ) オランダカラシエキス引用例2には,育毛成分の一つである局所刺激剤の例として「オランダカラシエキス」が挙げられており(段落[0060]),実施例14でも使用されている(甲2)。引用例8の実施例42で使用されている( 引用例2には,育毛成分の一つである局所刺激剤の例として「オランダカラシエキス」が挙げられており(段落[0060]),実施例14でも使用されている(甲2)。引用例8の実施例42で使用されている(甲8)。周知文献Cに,「オランダカラシエキス」には,血流促進,発毛促進,保湿の効果があることが記載されている(甲12)。 (ス) ゴボウエキス引用例2には,育毛成分の一つである保湿剤の例として「ゴボウエキス」が挙げられており(段落[0059]),実施例14でも使用されている(甲2)。引用例4には,育毛剤に配合する保湿剤の例として「ゴボウエキス」が挙げられている(段落【0023】。甲4)。引用例5には,育毛剤に使用する成長期移行成分の例として,「ゴボウ抽出物」が挙げられている(段落【0022】。甲5)。引用例8には,養育毛組成物に配合することができる植物抽出物の例として「ゴボウ」が挙げられている(段落【0011】。甲8)。周知文献Cには,「ゴボウエキス」に,保湿,ふけ・脱毛予防,血行促進等の効果があることが記載されている(甲12)。 (セ) セイヨウキズタエキス引用例2の実施例14で使用されている(甲2)。引用例5には,育毛剤に使用する成長期移行成分の例として,「セイヨウキズタ抽出物」が挙げられている(段落【0023】。甲5)。周知文献Cには,「セイヨウキズタエキス」に保湿,収れん,抗炎症,抗菌等の効果があることが記載されている(甲12)。 (ソ) ニンニクエキス引用例2には,生薬成分の一つである毛母細胞活性剤の例として「ニンニク成分」が挙げられており(段落[0043]),実施例14でも使用されている(甲2)。引用例4には,育毛剤に含有される血行促進剤のうち,より好ましいものの例として「ニンニクエキス」が挙げられてい ニク成分」が挙げられており(段落[0043]),実施例14でも使用されている(甲2)。引用例4には,育毛剤に含有される血行促進剤のうち,より好ましいものの例として「ニンニクエキス」が挙げられている(段落【0016】。甲4)。引用例5には,育毛剤に使用する成長期移行成分の例として,「ニンニク抽出物」が挙げられている(段落【0022】。甲5)。引用例8には,養育毛組成物に配合することができる植物抽出物の例として「ニンニク」が挙げられている(段落【0011】。甲8)。周知文献Bには,育毛剤の成分である血行促進剤,毛母細胞賦活剤として「ニンニクエキス」が挙げられている(甲11)。周知文献Cには,「ニンニクエキス」に皮膚の代謝促進,抗菌,血行促進等の効果があることが記載されている(甲12)。 (タ) マツエキス引用例2の実施例14で使用されている(甲2)。引用例5には,育毛剤に使用する成長期移行成分の例として,「マツ抽出物」が挙げられている(段落【0022】。甲5)。引用例8には,養育毛組成物に配合することができる植物抽出物の例として「マツ」が挙げられている(段落【0011】。甲8)。周知文献Cには,「マツエキス」に殺菌等の効果があることが記載されている(甲12)。 (チ) ローズマリーエキス引用例2には,生薬成分の一つである血行促進剤の例として「ローズマリーエキス」が挙げられており(段落[0046]),実施例14でも使用されている(甲 2)。周知文献Cには,「ローズマリーエキス」に抗ふけ,抗炎症,脱毛予防,抗菌等の効果があることが記載されている(甲12)。 (ツ) ローマカミツレエキス引用例2には,生薬成分の一つである血行促進剤の例として「カミツレエキス」が挙げられており(段落[0046]),実施例14でも使用されて 記載されている(甲12)。 (ツ) ローマカミツレエキス引用例2には,生薬成分の一つである血行促進剤の例として「カミツレエキス」が挙げられており(段落[0046]),実施例14でも使用されている(甲2)。 引用例4には,育毛剤に配合する抗炎症剤の例として「カミツレエキス」が挙げられている(段落【0023】。甲4)。引用例5には,育毛剤に使用する成長期移行成分の例として,「カモミラ(カミツレ)の抽出物」が挙げられている(段落【0020】。甲5)。周知文献Cには,「ローマカミツレエキス」に抗炎症,抗菌,脱毛防止等の効果があることが記載されている(甲12)。 (テ) POPジグリセリルエーテル引用例8の実施例36及び37に使用されている(甲8)。 イ引用例1ないし8及び周知文献AないしCによると,育毛剤には,育毛効果,脱毛予防効果等の効果を得,さらに発毛,育毛効果を促進するため,血流促進,毛母細胞賦活,殺菌,抗炎症,皮脂分泌抑制等の作用を有する成分や,保湿剤,界面活性剤等を配合すること,育毛剤には,同種の作用を有する複数の成分や異なる作用を有する成分等が複合的に使用されるのが一般的であること,が認められる。 そして,相違点における各成分は,上記のとおり,いずれも育毛効果,脱毛予防効果等の効果を得るのに有効な成分であることが周知又は公知な成分であり,引用例1に接した当業者が,これらの成分を養毛剤に配合することは,容易であると認められる。 (2) 原告は,本願発明は,厚生労働省で発毛が確認された発毛有効成分に付随する成分を付加したことに特徴があり,ノウハウがあると主張する。 しかし,イソプロピルメチルフェノールには殺菌作用が(甲10,11),酢酸トコフェロールには末梢血管拡張作用が(甲11),D-パントテニルアルコール(パント 徴があり,ノウハウがあると主張する。 しかし,イソプロピルメチルフェノールには殺菌作用が(甲10,11),酢酸トコフェロールには末梢血管拡張作用が(甲11),D-パントテニルアルコール(パントテニルアルコール)には毛母細胞賦活作用が(甲10,11),メントー ルには局所刺激,抗炎症の作用が(甲10,11)それぞれあるところ,前記のとおり,これらの成分に,これらと同種の作用又は異なる作用を有する成分を複数配合して有効な育毛剤を得ることは周知な技術であると認められる。また,引用例1発明に相違点における成分を配合することが容易でないとする事情は特に認められない。したがって,原告の主張は採用できない。 また,原告は,審決は,9個の引用例及び3個の周知文献を組み合わせて,本願発明は容易想到であるとしたが,そのように多数の引用例等の組合せによってようやく想到できる発明を容易想到であるとすることは誤りであると主張する。 しかし,本件においては,相違点における各成分の多くは育毛剤に配合される成分であることが複数の文献に記載されており,これらの成分は育毛剤に配合される成分として周知であること,育毛剤においては,同種の作用を有する複数の成分や異なる作用を有する成分等を複合的に使用することが周知であることを立証するために,引用例1ないし8及び周知文献AないしCが用いられていることに照らすならば,引用例等として多数の文献が用いられていることをもって,容易想到ではないということはできない。 さらに,原告は,各引用例に記載の発明は,各引用例の特許請求の範囲を基本として解すべきであると主張するが,前記のとおり,この点についての原告の主張も失当である。 (3) 小括以上のとおり,本願発明の成分の選択において容易とはいえないとする原告の主張は理由 基本として解すべきであると主張するが,前記のとおり,この点についての原告の主張も失当である。 (3) 小括以上のとおり,本願発明の成分の選択において容易とはいえないとする原告の主張は理由がない。 4 容易想到性判断の誤り--効果の顕著性(取消事由3)について原告は,本願明細書の図6(使用前)と図7(使用後)の比較により示されるとおり,発毛有効成分に付随する成分を混ぜることによって特別顕著な発毛効果があると主張する。 しかし,本願明細書の段落【0011】並びに図2及び図3によると,本願発明 に係る育毛剤の毛の再生率は,育毛剤の成分のうち血行促進剤であるミノキシジル(甲11)と同程度のものであると認められる。 また,引用例1の表1には,末梢血流促進剤であるミノキシジルにオイゲノール配糖体であるオイゲニル-β-D-グルコシドを組み合わせた養毛料(実施例4)が,ミノキシジルのみを配合した養毛料(比較例5)と比較して,発毛率及び毛成長促進度において優れていること,ミノキシジル以外の末梢血流促進剤とオイゲノール配糖体であるオイゲニル-β-D-グルコシドを組み合わせた養毛料(実施例1~3,5~12)の発毛率及び毛成長促進度も,ミノキシジルのみを配合した養毛料(比較例5)と比較して優れていることが示されており,引用例1の請求項1に記載された発明である,末梢血流促進剤とオイゲノール配糖体とを含有する養毛料は,ミノキシジルのみを含有する養毛料と比較して,優れた育毛効果を有すると認められる。引用例1発明は請求項1の実施例をもとに認定されたものであるから,引用例1発明も,ミノキシジルのみを含有する養毛料と比較して優れた育毛効果を有するものと認められる。 以上によると,ミノキシジルと同程度の育毛効果を有する本願発明は,引用例1 たものであるから,引用例1発明も,ミノキシジルのみを含有する養毛料と比較して優れた育毛効果を有するものと認められる。 以上によると,ミノキシジルと同程度の育毛効果を有する本願発明は,引用例1発明と比較して,予想外の顕著な効果を有するということはできない。 なお,図6及び図7からは,本願発明に係る育毛剤に,発毛,育毛の効果があることは認められるが,これのみから,その効果が顕著なものであると認めることはできない。 したがって,本願発明に,当業者が引用例1からは予測し得ない顕著な効果があるとは認められない。 5 結論以上のとおり,原告主張の取消事由は理由がなく,審決に誤りはない。その他,原告は縷々主張するが,いずれも理由がない。よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官八木貴美子 裁判官小田真治 別紙1(本願明細書)図2 図3 図6 図7 別紙2(引用例1) 表1 表2 表1 表2
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