【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 被告人A弁護人高橋武夫上告趣意第一点について。 所論Bの盗難届書抄本には、被害品目及び数量を第一号乃至第七四号の箇条書と
主 文 本件上告を棄却する。 理 由 被告人A弁護人高橋武夫上告趣意第一点について。 所論Bの盗難届書抄本には、被害品目及び数量を第一号乃至第七四号の箇条書と して列記し、その第一号に携帯用赤革トランク一個を、第二号以下全部に衣類をか ゝげその数量としては概ね各一点とあるが、第二一号及び第五一号にはそれぞれ小 物数点と記載せられてある。従つて右盗難届書抄本によれば、携帯用赤革トランク 一個外衣類七四点以上の盗害のあつたことが窺い得るのである。されば原審が該届 書抄本に基いて、本件被害物件の品目及び数量を論旨の指摘するように判示したの は、むしろその証拠の示す範囲内における認定をしたものであつて、原判決には所 論のような違法はなく、論旨は理由なきものである。同第二点について。 公判廷において証拠調をした書類を公判調書に記載するには、如何なる書類につ き証拠調がなされたかを明確にすれば事足るのであつて、必ずしもその書類を一々 個別具体的に掲記する必要はない。原審公判調書を見ると、その証拠調の記載部分 に「裁判長は証拠調をなす旨を告げ本件記録中の公判調書聴取書盗難届書抄本及其 他の各書類の要旨を告げ其の都度意見弁解を求め……」とあつて証拠調のなされた 書類の一々につき具体的に明確に示されてないことは、論旨の指摘する通りである が右の記載によつても本件記録中に存する聴取書の全部について証拠調手続が適法 に履践されたことが窺われ得るのである。従つて本件記録に綴られてある所論のC に対する司法警察官の聴取書についても亦適法に証拠調がなされたことを認め得る のであるから、原審が該聴取書を証拠として事実認定の用に供したからといつて、 原判決に所論のような違法があると言うことはできない。論旨は理由なきものであ る。 - 1 - 同第三点について。 認め得る のであるから、原審が該聴取書を証拠として事実認定の用に供したからといつて、 原判決に所論のような違法があると言うことはできない。論旨は理由なきものであ る。 - 1 - 同第三点について。 刑訴応急措置法第一二条は、憲法第三七条第二項の法意を受けて、証人その他の 者の供述を録取した書類又はこれに代わるべき書類については、被告人が公判期日 においてその供述者又は作成者を訊問することを請求し得る権利のあることを予想 して、右の請求のあつたときは、裁判所はその訊問の機会を与えなければかゝる書 類を証拠とすることができない旨を規定したのではあるが、必ずしも裁判所に対し て、被告人に右証人訊問の請求権あることを告知し又はその権利行使を促すべき義 務を負担せしめたものでないことも亦法文上明かである。尤も右応急措置法の規定 は、憲法の実施に即応して新に制定され、その施行後まだ間もないことで、往々前 示のような権利あることを知らない被告人もあり得るのであるから、殊に弁護人の 附されていない場合にあつては、裁判所は進んで被告人に対して、これを告知する のが懇切な訴訟指揮として推奨せらるべきことであろうけれど、かゝる措置に出で なかつたというてこれを目して違法なりということはできない。 さて本件記録をみると原審が右の措置をとらなかつたことは論旨所論の通りであ るが、この一事を捉えて原判決を違法なりと断定し得ないことは前説示の通りで本 論旨も亦理由なきものである。 よつて刑事訴訟法第四四六条に従い主文の通り判決する。 この判決は、裁判官全員の一致した意見である。 検察官下秀雄関与 昭和二三年四月八日 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 岩 松 三 郎 裁判官 沢 田 竹 治 郎 昭和二三年四月八日 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 岩 松 三 郎 裁判官 沢 田 竹 治 郎 裁判官 真 野 毅 - 2 - 裁判官 斎 藤 悠 輔 - 3 -
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